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特許7195688オリゴマーの製造方法およびオリゴマーの製造装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-16
(45)【発行日】2022-12-26
(54)【発明の名称】オリゴマーの製造方法およびオリゴマーの製造装置
(51)【国際特許分類】
   C07C 2/06 20060101AFI20221219BHJP
   C07C 11/02 20060101ALI20221219BHJP
   B01J 3/00 20060101ALI20221219BHJP
【FI】
C07C2/06
C07C11/02
B01J3/00 B
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021541111
(86)(22)【出願日】2020-08-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-08
(86)【国際出願番号】 KR2020010466
(87)【国際公開番号】W WO2021033971
(87)【国際公開日】2021-02-25
【審査請求日】2021-07-15
(31)【優先権主張番号】10-2019-0102511
(32)【優先日】2019-08-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0094665
(32)【優先日】2020-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ウン・キョ・キム
(72)【発明者】
【氏名】ミ・キュン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ジュン・ホ・シン
(72)【発明者】
【氏名】ヘ・ビン・キム
【審査官】前田 憲彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-065051(JP,A)
【文献】国際公開第2012/096159(WO,A1)
【文献】特表平09-502454(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0185362(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 2/00
C07C 11/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応器に単量体を含むフィードストリームを供給し、オリゴマー化反応を実施するステップと、
前記反応器の第1排出ストリームを第1分離装置に供給し、前記反応器の第2排出ストリームを第2分離装置に供給するステップと、
前記第2分離装置の上部排出ストリームとして単量体を回収し、下部排出ストリームは第3分離装置に供給するステップと、
前記第3分離装置の上部排出ストリームを第2分離装置に供給するステップと
前記第1分離装置の下部排出ストリームを第2分離装置に供給するステップと、
を含む、オリゴマーの製造方法であって、
前記単量体はエチレンであり、前記オリゴマーはアルファオレフィンである、オリゴマーの製造方法
【請求項2】
前記第3分離装置の上部排出ストリームは、C4化合物を含む液相ストリームである、請求項1に記載のオリゴマーの製造方法。
【請求項3】
前記第3分離装置の上部排出ストリームのうち一部のストリームは、第2分離装置に供給されず回収される、請求項1または2に記載のオリゴマーの製造方法。
【請求項4】
前記第3分離装置の上部排出ストリームのうち一部のストリームに含まれたC4化合物の含量は、70重量%以上である、請求項3に記載のオリゴマーの製造方法。
【請求項5】
前記第3分離装置の上部排出ストリームのうち一部のストリームに含まれた単量体の含量は、5重量%以下である、請求項3または4に記載のオリゴマーの製造方法。
【請求項6】
前記第2分離装置の下部排出ストリームに含まれたC4化合物の含量は、5重量%~40重量%である、請求項1から5のいずれか一項に記載のオリゴマーの製造方法。
【請求項7】
前記反応器の第2排出ストリーム内に含まれたC4化合物の含量に対して、前記第3分離装置の上部排出ストリーム内に含まれたC4化合物の含量比は、2以上である、請求項1から6のいずれか一項に記載のオリゴマーの製造方法。
【請求項8】
前記第2分離装置内の圧力は、前記第3分離装置内の圧力より高圧である、請求項1から7のいずれか一項に記載のオリゴマーの製造方法。
【請求項9】
前記第2分離装置内の圧力は12bar~25barであり、前記第3分離装置内の圧力は3bar~15barである、請求項1から8のいずれか一項に記載のオリゴマーの製造方法。
【請求項10】
第2分離装置の下部排出ストリームの温度は、130℃~200℃である、請求項1から9のいずれか一項に記載のオリゴマーの製造方法。
【請求項11】
供給された単量体を含むフィードストリームをオリゴマー化反応させ、第1排出ストリームを第1分離装置に供給し、第2排出ストリームを第2分離装置に供給する反応器と、
前記反応器の第1排出ストリームの供給を受け、下部排出ストリームを第2分離装置に供給する第1分離装置と、
前記反応器の第2排出ストリームの供給を受け、前記第1分離装置の下部排出ストリームの供給を受け、上部排出ストリームとして単量体を回収し、下部排出ストリームを第3分離装置に供給する第2分離装置と、
前記第2分離装置の下部排出ストリームの供給を受け、上部排出ストリームを第2分離装置に供給する第3分離装置とを含む、オリゴマーの製造装置であって、
前記単量体はエチレンであり、前記オリゴマーはアルファオレフィンである、オリゴマーの製造装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2019年8月21日付けの韓国特許出願第10-2019-0102511号および2020年7月29日付けの韓国特許出願第10-2020-0094665号に基づく優先権の利益を主張し、該当韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は、本明細書の一部として組み込まれる。
【0002】
本発明は、オリゴマーの製造方法およびオリゴマーの製造装置に関し、より詳細には、オリゴマーの製造工程で回収された単量体を効率的に再使用するオリゴマーの製造方法およびオリゴマーの製造装置に関する。
【背景技術】
【0003】
アルファオレフィン(alpha-olefin)は、共単量体、洗浄剤、潤滑剤、可塑剤などに用いられる重要な物質として商業的に広く用いられており、特に、1-ヘキセンと1-オクテンは、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)の製造時に、ポリエチレンの密度を調節するための共単量体として多く用いられている。
【0004】
前記1-ヘキセンおよび1-オクテンのようなアルファオレフィンは、代表的に、エチレンのオリゴマー化反応により製造されている。前記エチレンのオリゴマー化反応は、エチレンを反応物として使用して、エチレンのオリゴマー化反応(三量体化反応または四量体化反応)により行われる。上記の反応を経て生成された生成物は、目的とする1-ヘキセンおよび1-オクテンを含む多成分の炭化水素混合物だけでなく、未反応のエチレンを含んでいる。前記生成物は、蒸留塔を介して分離工程を経ることになり、この際、未反応のエチレンは、回収し、エチレンのオリゴマー化反応に再使用している。
【0005】
未反応のエチレンを回収するにあたり、回収する未反応のエチレンストリーム内に生成物や溶媒などの副産物の量を減少させるために、蒸留塔またはフラッシュドラム(flash drum)といった分離装置を使用する。この際、未反応のエチレンと生成物との沸点の差が大きくて、分離装置の上下部の温度の差も大きくなる。前記分離装置の上下部の温度は、分離装置の圧力によって定められるが、分離装置の圧力が高いと上下部の温度が高くなり、分離装置の圧力が低いと上下部の温度が低くなる。前記分離装置の圧力を高める場合、分離装置の圧力を高めると、分離装置の上部の温度が高くなり、未反応のエチレンの回収が容易になるが、分離装置の下部の温度も高くなるため、生成物および溶媒などの炭化水素類の分解および反応が促進される可能性があり、生成物の生産収率が低くなるという問題がある。一方、分離装置の圧力を下げると、炭化水素類の副反応を抑制することはできるが、分離装置の上部の温度が低くなり、未反応のエチレンの回収時に、低温の冷媒を使用するか、高い圧縮比の圧縮機を設置するなどのさらなる構成が求められ、この場合には、工程コストが増加するという問題がある。
【0006】
このように、従来の未反応のエチレンを回収し、オリゴマー化反応に再使用するための方法は、生成物の生産収率が低下するか、非常に低い温度の冷媒を使用するか、高い圧縮比の圧縮機を設置するなど、投資コストが高く、経済性に劣るという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、上記の発明の背景技術で言及している問題を解決するために、投資コストが削減したオリゴマーの製造方法およびオリゴマーの製造装置を提供することである。
【0008】
すなわち、本発明は、オリゴマーの製造工程において、未反応のエチレンを回収し、オリゴマー化反応に再使用するにあたり、非常に低い温度の冷媒を使用したり高い圧縮比の圧縮機を設置する必要がなくて、投資コストを削減し、経済性を向上させ、生成物の生産収率の低下を防止することができるオリゴマーの製造方法およびオリゴマーの製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するための本発明の一実施形態によると、本発明は、反応器に単量体を含むフィードストリームを供給し、オリゴマー化反応を実施するステップと、前記反応器の第1排出ストリームを第1分離装置に供給し、前記反応器の第2排出ストリームを第2分離装置に供給するステップと、前記第2分離装置の上部排出ストリームとして単量体を回収し、下部排出ストリームは第3分離装置に供給するステップと、前記第3分離装置の上部排出ストリームを第2分離装置に供給するステップとを含むオリゴマーの製造方法を提供する。
【0010】
また、本発明は、供給された単量体を含むフィードストリームをオリゴマー化反応させ、第1排出ストリームを第1分離装置に供給し、第2排出ストリームを第2分離装置に供給する反応器と、前記反応器の第1排出ストリームの供給を受ける第1分離装置と、前記反応器の第2排出ストリームの供給を受け、上部排出ストリームとして単量体を回収し、下部排出ストリームを第3分離装置に供給する第2分離装置と、前記第2分離装置の下部排出ストリームの供給を受け、上部排出ストリームを第2分離装置に供給する第3分離装置とを含むオリゴマーの製造装置を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明のオリゴマーの製造方法およびオリゴマーの製造装置によると、未反応の単量体を回収するにあたり、第2分離装置を高圧で運転し、第2分離装置の下部排出ストリームが連結された第3分離装置を低圧で運転し、前記第3分離装置の上部排出ストリームを第2分離装置に供給して、第2分離装置と第3分離装置を連結することで、第2分離装置の下部の流れに、単量体より沸点が高く、オリゴマー生成物より沸点が低い副産物を濃縮させることができる。したがって、前記第2分離装置を高圧で運転して、上部の温度を高温に維持するとともに下部の温度を下げ、単量体を効率的に回収しながら炭化水素類の副反応を抑制することができる。
【0012】
また、前記第2分離装置と第3分離装置の循環流れから濃縮された副産物を除去し、単量体の損失を減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態によるオリゴマーの製造方法による工程の流れを示す図である。
図2】比較例によるオリゴマーの製造方法による工程の流れを示す図である。
図3】比較例によるオリゴマーの製造方法による工程の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の説明および特許請求の範囲で用いられた用語や単語は、通常的もしくは辞書的な意味に限定して解釈してはならず、発明者らは、自分の発明を最善の方法で説明するために、用語の概念を適切に定義することができるという原則に則って、本発明の技術的思想に合致する意味と概念で解釈すべきである。
【0015】
本発明において、用語「ストリーム(stream)」は、工程内における流体(fluid)の流れを意味し、また、配管内で流れる流体自体を意味し得る。具体的には、前記「ストリーム」は、各装置を連結する配管内で流れる流体自体、および流体の流れの両方を意味し得る。また、前記流体は、気体(gas)、または液体(liquid)を意味し得る。
【0016】
以下、本発明に関する理解を容易にするために、本発明をより詳細に説明する。
【0017】
本発明によると、オリゴマーの製造方法が提供される。前記オリゴマーの製造方法として、反応器に単量体を含むフィードストリームを供給し、オリゴマー化反応を実施するステップと、前記反応器の第1排出ストリームを第1分離装置に供給し、前記反応器の第2排出ストリームを第2分離装置に供給するステップと、前記第2分離装置の上部排出ストリームとして単量体を回収し、下部排出ストリームは第3分離装置に供給するステップと、前記第3分離装置の上部排出ストリームを第2分離装置に供給するステップとを含むオリゴマーの製造方法を提供することができる。
【0018】
本発明の一実施形態によると、反応器に単量体を含むフィードストリームを供給し、オリゴマー化反応を実施するステップは、単量体を含むフィードストリームが反応器に供給され、前記反応器の下部で液体状で単量体のオリゴマー化反応が行われ得る。前記オリゴマー化反応は、単量体がオリゴマー化する反応を意味し得る。重合される単量体の個数に応じて、三量化(trimerization)、四量化(tetramerization)と称し、これをまとめて多量化(multimerization)とする。
【0019】
本発明の一実施形態によると、前記単量体はエチレンであり、オリゴマーはアルファオレフィンであってもよい。アルファオレフィンは、共単量体、洗浄剤、潤滑剤、可塑剤などに使用される重要な物質であり、商業的に広く使用されており、特に、1-ヘキセンと1-オクテンは、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)の製造時に、ポリエチレンの密度を調節するための共単量体として多く使用されている。前記1-ヘキセンおよび1-オクテンのようなアルファオレフィンは、例えば、エチレンの三量体化反応または四量体化反応により製造することができる。
【0020】
本発明の一実施形態によると、前記単量体のオリゴマー化反応ステップは、連続工程に適する反応器で行われ、好ましくは、連続撹拌槽型反応器(CSTR)およびプラグフロー反応器(PFR)からなる群から選択される1種以上の反応器を含む反応系下で行われ得る。
【0021】
本発明の一実施形態によると、前記単量体のオリゴマー化反応は、前記反応系と通常の接触技術を応用して、溶媒の存在または不在下で、均質液相反応、触媒系の一部が溶解されないか、全部が溶解されない形態であるスラリー反応、二相液体/液体反応、または生成物が主媒質として作用するバルク相反応または気相反応により行われ得る。好ましくは、前記単量体のオリゴマー化反応ステップは、均質液相反応で行われ得る。
【0022】
本発明の一実施形態によると、前記オリゴマー化反応を実施するステップは、10℃~180℃、30℃~150℃または50℃~120℃の温度下で行われ得る。また、前記オリゴマー化反応を実施するステップは、15bar~100bar、20bar~80barまたは25bar~60barの圧力下で行われ得る。前記温度の範囲および圧力の範囲内でエチレンをオリゴマー化する時に、所望のアルファオレフィンに対して優れた選択度を有することができ、副産物の量が低減され得、連続工程の運用上効率を上昇させ、コストを削減することができる。
【0023】
本発明の一実施形態によると、前記単量体を含むフィードストリームは、気相の単量体および溶媒を含むことができる。
【0024】
前記フィードストリームに含まれる気相の単量体は、例えば、ナフサ熱分解(NCC:Naphtha Cracking center)工程で分離したエチレン単量体を直接または貯蔵ステップを経てから単量体を含むフィードストリームとして供給され得る。また、前記気相の単量体は、オリゴマーの製造工程内で回収されたストリームを含むことができる。
【0025】
前記フィードストリームに含まれる溶媒は、フィードストリームとして反応器に供給され得る。場合に応じて、前記溶媒として、オリゴマー工程内で、使用後、回収された溶媒を再使用することができる。
【0026】
本発明の一実施形態によると、前記反応器の第1排出ストリームを第1分離装置に供給し、前記反応器の第2排出ストリームを第2分離装置に供給するステップにおいて、分離装置は、通常の蒸留塔を用いることができる。
【0027】
本発明の一実施形態によると、前記第1排出ストリームは、気相の単量体を含むストリームであってもよい。前記第1分離装置は、気相の単量体を含む上部排出ストリームは反応器に供給し、液相の単量体を含む下部排出ストリームは第2分離装置に供給することができる。この際、前記第1分離装置の上部排出ストリームは、反応器に別に供給される気相の単量体ストリームと混合器で混合されて反応器に供給されるか、別に反応器に供給され得る。
【0028】
本発明の一実施形態によると、前記反応器の第2排出ストリームは、第2分離装置に供給され、気相の単量体を含む上部排出ストリームと、オリゴマー生成物、副産物および溶媒を含む下部排出ストリームとに分離することができる。
【0029】
前記第2分離装置で上部排出ストリームとして回収される気相の単量体は、反応器に供給され得る。この際、前記第2分離装置の上部排出ストリームは、反応器に別に供給される気相の単量体ストリームおよび第1分離装置の上部排出ストリームと混合器で混合されて反応器に供給されるか、別に反応器に供給され得る。
【0030】
前記第2分離装置の下部排出ストリームは、第3分離装置に供給され、第3分離装置において、オリゴマーおよび溶媒を含む液相の下部排出ストリームと、副産物としてC4化合物を含む液相の上部排出ストリームとに分離することができる。この際、前記C4化合物は、1-ブテン(1-C4)を含むことができる。
【0031】
前記第3分離装置の上部排出ストリーム内に含まれたC4化合物の含量は、70重量%以上であってもよい。例えば、前記第3分離装置の上部排出ストリーム内に含まれたC4化合物の含量は、70重量%~99重量%、80重量%~95重量%または85重量%~90重量%の範囲であってもよい。このように、C4化合物を含む第3分離装置の上部排出ストリームは第2分離装置に供給され、第2分離装置と第3分離装置は、循環流れを有することができる。この際、第3分離装置において、C4化合物を上部排出ストリームとして第2分離装置に供給することで、オリゴマー生成物および溶媒に比べて沸点が低いC4化合物が、第2分離装置の下部に濃縮され得る。これにより、第2分離装置の上部では未反応の単量体を回収しながら、下部の温度は低くなり、下部排出ストリームとして濃縮されたC4化合物を効果的に除去することができる。
【0032】
前記第2分離装置の下部排出ストリームに濃縮されたC4化合物の含量は、5重量%~40重量%であってもよい。例えば、前記第2分離装置の下部排出ストリームに含まれたC4化合物の含量は、5重量%~40重量%、10重量%~30重量%または13重量%~20重量%であってもよい。
【0033】
前記濃縮されたC4化合物を含む第2分離装置の下部排出ストリームは、第3分離装置に供給され、第3分離装置において80重量%以上のC4化合物を含む上部排出ストリームを排出する。この際、前記第3分離装置の上部排出ストリームのうち一部のストリームを第2分離装置に供給せず、分岐して回収する方法で、C4化合物を効率的に分離することができる。例えば、前記C4化合物を高い含量で含んでいる第3分離装置の上部排出ストリームを一部パージさせて、C4化合物を選択的に回収することができる。
【0034】
前記第3分離装置の上部排出ストリームのうち一部のストリームに含まれたC4化合物の含量は、70重量%以上であってもよい。例えば、前記第3分離装置の上部排出ストリームのうち一部のストリームに含まれたC4化合物の含量は、70重量%~99重量%、80重量%~95重量%または85重量%~90重量%の範囲であってもよい。また、前記第3分離装置の上部排出ストリームのうち一部のストリームに含まれた単量体の含量は、5重量%以下であってもよい。例えば、前記第3分離装置の上部排出ストリームのうち一部のストリームに含まれた単量体の含量は、0.01重量%~5重量%、0.1重量%~3重量%または0.5重量%~2重量%の範囲であってもよい。このように、本発明によるオリゴマーの製造方法は、単量体の損失(loss)を5重量%以下に最小化しながら、第3分離装置の上部排出ストリームの一部のストリームをパージさせて、工程内の副産物であるC4化合物を選択的に回収することができる。これにより、従来のオリゴマーの製造方法において、C4化合物に対する選択度が低くて、別のC4分離ステップなしに未反応の単量体回収ストリームの一部のストリームをパージする方法でC4化合物を除去した場合、C4化合物とともに単量体も除去され、単量体の損失が大きかった問題を解決した。
【0035】
前記反応器の第2排出ストリーム内に含まれたC4化合物の含量に対して、前記第3分離装置の上部排出ストリーム内に含まれたC4化合物の含量比は、2以上2~7、4~6であってもよい。この際、前記第3分離装置の上部排出ストリームは、第3分離装置の上部から排出され、第2分離装置に供給されるストリームを意味し得る。前記反応器の第2排出ストリーム内に含まれたC4化合物の含量に対して、前記第3分離装置の上部排出ストリーム内に含まれたC4化合物の含量比は、反応器の第2排出ストリームが第2分離装置に供給され、第3分離装置を経て一部循環しながら反応器の第2排出ストリーム内のC4化合物が濃縮される濃縮比を意味し得る。具体的には、前記第2分離装置の後端に第3分離装置を設置して、前記反応器の第2排出ストリーム内のC4含量に対して2倍以上の濃縮比でC4化合物を濃縮させることで、C4化合物の沸点が低いことから、第2分離装置の下部排出ストリームの沸点を下げる効果を得ることができ、第2分離装置の圧力を高圧に維持しながら下部の温度を下げることができる。具体的には、同じ圧力で沸点が低い物質の濃度が高くなると、混合物の沸点が低くなるという効果があり、これにより、C4化合物を濃縮させることで、第2分離装置の下部排出ストリームの沸点を下げることができた。この際、蒸留塔から排出されるストリームの沸点は、当該蒸留塔の運転温度を意味し得、前記第2分離装置の下部排出ストリームの沸点は、第2分離装置の下部の運転温度を意味し得る。
【0036】
本発明の一実施形態によると、前記第2分離装置内の圧力は、前記第3分離装置内の圧力より高圧で運転され得る。具体的には、前記第2分離装置は、高圧で運転しながら、単量体を含む下部排出ストリームを第3分離装置に排出させることで、第2分離装置の上部の温度を高温に維持しながら、下部の温度を下げることができる。これにより、炭化水素類の副反応を抑制することができる。具体的には、第2分離装置内の圧力を高圧で運転しながら上部の温度は高温に維持し、下部の温度を下げることで、上部で未反応の単量体を容易に回収し、下部で製造されたオリゴマーが分解されるか、他の物質と反応して副産物を生成する副反応が起こることを防止することができる。
【0037】
前記第2分離装置内の圧力は12bar~25barであり、前記第3分離装置内の圧力は3bar~15barの範囲であってもよい。例えば、前記第2分離装置内の圧力は、12bar~25bar、13bar~23barまたは14bar~20barであってもよく、第3分離装置内の圧力は、3bar~15bar、4bar~13barまたは5bar~10barの範囲であってもよい。第2分離装置および第3分離装置内の圧力を前記範囲内に制御することで、第2分離装置および第3分離装置で低温の冷媒や高い圧縮比の圧縮機を必要とせず、未反応の単量体を効率的に回収することができ、第2分離装置の下部で単量体のオリゴマー化反応により製造されたオリゴマーが分解されるか、他の物質と反応して副産物を生成する副反応が起こることを防止することができる。
【0038】
前記第2分離装置を高圧で運転し、前記第2分離装置の下部排出ストリームを低圧で運転される第3分離装置に供給し、前記高圧の第2分離装置と低圧の第3分離装置の循環流れから第2分離装置の下部にC4化合物を濃縮させることで、第2分離装置の上部の温度は高く維持しながら下部の温度を下げることができる。具体的には、前記第2分離装置の下部排出ストリームの温度は130℃~200℃であってもよい。例えば、前記第2分離装置の下部排出ストリームの温度は、130℃~200℃、140℃~190℃または150℃~180℃であってもよい。
【0039】
本発明の一実施形態によると、前記第3分離装置の下部ストリームにおいて、溶媒およびオリゴマーは、さらなる分離工程により分離することができ、分離した溶媒は、反応器に供給することができる。また、前記分離したオリゴマーは、またさらなる分離工程により単量体の三量体および四量体などに分離することができる。
【0040】
本発明によると、オリゴマーの製造装置が提供される。前記オリゴマーの製造装置として、供給された単量体を含むフィードストリームをオリゴマー化反応させ、第1排出ストリームを第1分離装置に供給し、第2排出ストリームを第2分離装置に供給する反応器と、前記反応器の第1排出ストリームの供給を受ける第1分離装置と、前記反応器の第2排出ストリームの供給を受け、上部排出ストリームとして単量体を回収し、下部排出ストリームを第3分離装置に供給する第2分離装置と、前記第2分離装置の下部排出ストリームの供給を受け、上部排出ストリームを第2分離装置に供給する第3分離装置とを含むオリゴマーの製造装置を提供することができる。
【0041】
本発明の一実施形態によると、前記本発明によるオリゴマーの製造装置は、上述のオリゴマーの製造方法による工程を実施するための装置であってもよい。
【0042】
本発明の一実施形態によると、前記本発明によるオリゴマーの製造装置は、下記図1を参照して説明することができる。例えば、前記オリゴマーの製造装置は、供給された単量体を含むフィードストリームをオリゴマー化反応させる反応器100を含み、前記反応器100において、気相の単量体を含む第1排出ストリームは第1分離装置200に供給され、液相の単量体を含む第2排出ストリームは第2分離装置210に供給され得る。
【0043】
本発明の一実施形態によると、前記反応器100に供給されるフィードストリームは、単量体および溶媒を含むことができる。具体的には、前記フィードストリームは、気相の単量体および溶媒を含むことができる。前記気相の単量体を含むフィードストリームは、反応器100に直接供給される気相の単量体ストリームと、第1分離装置200で上部排出ストリームとして回収された気相の単量体と、第2分離装置210で上部排出ストリームとして回収された気相の単量体とを含むことができる。前記反応器100に直接供給される気相の単量体ストリーム、気相の単量体を含む第1分離装置200の上部排出ストリームおよび気相の単量体を含む第2分離装置210の上部排出ストリームは、個別に反応器100に供給されるか、混合器(図示せず)で混合された混合排出ストリームとして反応器100に供給され得る。前記溶媒は、反応器100に別に供給されてもよく、この際、前記溶媒は、工程内で、使用後、分離した溶媒を再使用することができる。
【0044】
本発明の一実施形態によると、第1分離装置200は、反応器100から第1排出ストリームの供給を受け、気相の単量体を含む上部排出ストリームと、液相の単量体を含む下部排出ストリームとに分離することができる。この際、前記第1分離装置200の上部排出ストリームは反応器100に供給し、下部排出ストリームは第2分離装置210に供給することができる。
【0045】
本発明の一実施形態によると、第2分離装置210は、液相の単量体を含む反応器100の第2排出ストリームおよび第1分離装置200の下部排出ストリームの供給を受け、気相の単量体を含む上部排出ストリームと、オリゴマー生成物、副産物および溶媒を含む下部排出ストリームとに分離することができる。この際、前記第2分離装置210の上部排出ストリームは反応器100に供給し、下部排出ストリームは第3分離装置220に供給することができる。
【0046】
前記第2分離装置210の上部排出ストリームは、圧縮機300を通過して反応器100に供給され得る。この際、前記第2分離装置210は、12bar~20barの高圧で運転されることから、比較的低い圧縮比の圧縮機300を使用しても良いという点で経済的という利点がある。したがって、従来の高い圧縮比の圧縮機300を使用した場合に比べて、工程コストを削減することができる。
【0047】
前記第2分離装置210の下部排出ストリームは、第3分離装置220に供給され、C4化合物を含む副産物を含む上部排出ストリームを第2分離装置210に供給することができる。この際、前記第3分離装置220の上部排出ストリームは、ポンプ400を用いて、第2分離装置210に供給することができる。具体的には、前記ポンプ400を用いて、第3分離装置220の上部排出ストリームを第2分離装置210に供給するが、この過程で、第3分離装置220の上部排出ストリームの圧力を第2分離装置210の圧力まで高めることができる。
【0048】
前記第3分離装置220の上部排出ストリームのうち一部のストリームは、第2分離装置210に供給されず、回収され得る。具体的には、前記第3分離装置220の上部排出ストリームをパージさせてC4化合物を含む一部のストリームを回収し、残りのストリームを第2分離装置210に供給することができる。
【0049】
前記第3分離装置220でオリゴマー生成物および溶媒を含む下部排出ストリームを回収することができる。この際、前記第3分離装置220の下部排出ストリームに含まれたオリゴマー生成物および溶媒は、さらなる分離装置(図示せず)を介して分離することができ、分離した溶媒は、オリゴマーの製造工程内で再使用することができる。また、前記単量体としてエチレン単量体を用いてオリゴマー化反応を行った場合を例に挙げると、オリゴマー生成物は、1-ヘキセンおよび1-オクテンを含むことができる。この場合、前記1-ヘキセンおよび1-オクテンは、さらなる分離装置(図示せず)を介して分離するか、別の工程により分離して使用することができる。
【0050】
本発明の一実施形態によると、場合に応じて、前記第1分離装置200、第2分離装置210および第3分離装置220のいずれか一つ以上の上部には、凝縮器(condenser、図示せず)がさらに設置されてもよく、下部には、再沸器(reboilier、図示せず)がさらに設置されてもよい。
【0051】
以上、本発明によるオリゴマーの製造方法および装置について記載および図面に図示しているが、前記の記載および図面における図示は、本発明を理解するための核心の構成のみを記載および図示したものであって、前記記載および図面に図示した工程および装置の他に、別に記載および図示していない工程および装置は、本発明によるオリゴマーの製造方法および装置を実施するために適切に応用され用いられ得る。
【0052】
以下、実施例により本発明をより詳細に説明する。しかし、下記の実施例は、本発明を例示するためのものであって、本発明の範疇および技術思想の範囲内で様々な変更および修正が可能であることは、通常の技術者にとって明白なことであり、これらにのみ本発明の範囲が限定されるものではない。
【0053】
実施例
実施例1
図1に図示されている工程の流れを示す図に対して、アスペンテック社製のアスペンプラスシミューレータを用いて、工程をシミュレーションした。この際、第2分離装置210の下部排出ストリームは、再沸器(reboiler、図示せず)を通過したストリームであり、第3分離装置220の上部排出ストリームは、凝縮器(condenser、図示せず)を通過したストリームであり、第3分離装置220の下部排出ストリームは、再沸器(reboiler、図示せず)を通過したストリームである。また、反応器100に単量体としてエチレン(C2)を反応量である20,000kg/hr以上で供給し、反応器100の反応条件は、53℃の温度および30barの圧力に設定し、第2分離装置210の運転圧力は15barに設定し、第3分離装置220の運転圧力は6barに設定した。その結果は、下記表1に示した。
【0054】
【表1】
【0055】
本発明の表において、ストリーム内の成分流量は、小数点第一位を四捨五入して記載しており、前記流量を重量%で示した場合、総流量内の成分流量含量で計算し、記載した。
【0056】
前記表1を参照すると、第2分離装置210に供給される反応器100の第2排出ストリーム内の1-C4の含量に対して、前記第2分離装置210および第3分離装置220を経てまた第2分離装置210に循環するストリーム内の1-C4の含量比、すなわち、1-C4の濃縮比が約4.6に濃縮されたことが分かり、これにより、第2分離装置210の下部排出ストリーム内の1-C4の含量が17重量%に示されることを確認することができた。また、前記第3分離装置220の上部排出ストリームの一部のストリームをパージさせて分離したストリーム内に、1-C4の含量は85重量%であり、エチレン単量体の含量は1重量%であり、1-C4の純度が高く、エチレン単量体の損失(loss)がほとんどないということが分かる。
【0057】
実施例2
第2分離装置210の運転圧力は18barに設定し、第3分離装置220の運転圧力は8barに設定した以外は、実施例1と同じ方法で実施した。その結果は、下記表2に示した。
【0058】
【表2】
【0059】
前記表2を参照すると、第2分離装置210の運転圧力を18barに設定し、第3分離装置220の運転圧力は8barに設定した場合、前記第3分離装置220の上部排出ストリームの一部のストリームをパージさせて分離したストリーム内に1-C4の含量は80重量%であり、エチレン単量体の含量は2重量%であり、1-C4の純度が高く、エチレン単量体の損失(loss)がほとんどないということが分かる。
【0060】
また、実施例1と比較して、第2分離装置210の圧力が高いが、第5ストリームを増加させて1-C4の濃縮流れおよび濃縮比が増加することで、第2分離装置210の下部排出ストリームの温度を、実施例1と同様、160℃で運転することができた。
【0061】
比較例
比較例1
図2に図示されている工程の流れを示す図に対して、アスペンテック社製のアスペンプラスシミューレータを用いて、工程をシミュレーションした。この際、第2分離装置210の上部排出ストリームは、凝縮器(condenser、図示せず)を通過したストリームであり、第2分離装置210の下部排出ストリームは、再沸器(reboiler、図示せず)を通過したストリームである。また、反応器100に単量体としてエチレン(C2)を反応量である20,000kg/hr以上で供給し、反応器100の反応条件は、53℃の温度および30barの圧力に設定し、第2分離装置210の運転圧力は、15barに設定した。その結果は、下記表3に示した。
【0062】
【表3】
【0063】
前記表3を参照すると、比較例1は、第2分離装置210は前記実施例1と同様に15barで運転できるが、第2分離装置210の下部排出ストリームである第3-1ストリームをみると、温度が212℃であり、実施例1の160℃と比較して著しく高いことが分かる。また、第2分離装置210の運転圧力が15barより高い実施例2の場合にも、第2分離装置210の下部排出ストリームの温度は160℃であり、比較例1に比べて著しく低いことが分かる。
【0064】
また、実施例1および実施例2の場合、第2分離装置210の下部排出ストリーム内の1-C4含量が17重量%および19重量%であることと比較して、比較例の場合、分離装置210の下部排出ストリーム内の1-C4含量は、0.5重量%未満であることを確認することができる。
【0065】
結果、同じ圧力またはより低い圧力で運転しても、比較例1の第2分離装置210の下部排出ストリームの温度が高い理由は、第2分離装置210の下部排出ストリームが連結される第3分離装置220の不在と、前記第3分離装置220の不在によって、第2分離装置210の下部に1-C4の濃縮が行われない結果として見なされる。
【0066】
比較例2
前記比較例2で、第2分離装置210の下部の温度を、実施例1のように160℃に下げるために、第2分離装置210の運転圧力を6barに設定した以外は、前記比較例2と同じ方法で行った。その結果は、下記表4に示した。
【0067】
【表4】
【0068】
前記表4を参照すると、比較例2は、第2分離装置210を6barで運転することで、第2分離装置210の下部排出ストリームである第3-1ストリームの温度を、実施例1のように160℃に下げているが、この場合、前記6barで排出される第2分離装置210の上部排出ストリームを反応器100に供給するために、約24bar上昇させなければならないため、一般的に最大3倍の圧縮比を有する圧縮機300を下記図3のように2機を使用する必要があることを確認することができた。また、前記実施例1と比較して、第2分離装置210に供給されるストリームの組成は維持した状態で、第2分離装置210の圧力のみ下げたため、第3-1ストリームの温度が低くなったように、第2-1ストリームの温度も低くなり、-16℃になった。このように、第2分離装置210の上部排出ストリームを-16℃に冷却するためには、一般的に工程で使用する冷却水、エチレングリコール不凍液などの冷媒より低い温度水準の冷媒を使用する必要があるため、別の投資コストと運転コストが発生するという問題がある。
図1
図2
図3