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特許7195710銅合金粒子、表面被覆銅系粒子および混合粒子
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  • 特許-銅合金粒子、表面被覆銅系粒子および混合粒子 図1
  • 特許-銅合金粒子、表面被覆銅系粒子および混合粒子 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-16
(45)【発行日】2022-12-26
(54)【発明の名称】銅合金粒子、表面被覆銅系粒子および混合粒子
(51)【国際特許分類】
   B22F 1/00 20220101AFI20221219BHJP
   B22F 1/14 20220101ALI20221219BHJP
   C22C 9/06 20060101ALI20221219BHJP
   C22C 9/10 20060101ALI20221219BHJP
   C22C 9/01 20060101ALI20221219BHJP
   C22C 9/02 20060101ALI20221219BHJP
   C22C 9/04 20060101ALI20221219BHJP
   C22C 9/05 20060101ALI20221219BHJP
   C22C 9/00 20060101ALI20221219BHJP
   B22F 3/24 20060101ALI20221219BHJP
   B33Y 70/00 20200101ALI20221219BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20221219BHJP
   B22F 10/28 20210101ALI20221219BHJP
【FI】
B22F1/00 L
B22F1/14 700
B22F1/14 500
C22C9/06
C22C9/10
C22C9/01
C22C9/02
C22C9/04
C22C9/05
C22C9/00
B22F3/24 A
B22F3/24 D
B33Y70/00
B33Y10/00
B22F10/28
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019514546
(86)(22)【出願日】2018-04-24
(86)【国際出願番号】 JP2018016671
(87)【国際公開番号】W WO2018199110
(87)【国際公開日】2018-11-01
【審査請求日】2020-12-21
(31)【優先権主張番号】P 2017090563
(32)【優先日】2017-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(74)【代理人】
【識別番号】100143959
【弁理士】
【氏名又は名称】住吉 秀一
(72)【発明者】
【氏名】吉田 浩一
【審査官】松岡 徹
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-028286(JP,A)
【文献】特開2016-211062(JP,A)
【文献】国際公開第2016/185966(WO,A1)
【文献】特開2003-340924(JP,A)
【文献】特開平04-131341(JP,A)
【文献】Zhang, Dan Qing et al.,Selective Laser Melting: On the Study of Microstructure of K220,Proceedings of the 1st International Conference on Progress in Additive Manufacturing (Pro-AM 2014),2014年,p.176-184,http://hdl.handle.net/10356/84272 [インターネット]
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 1/00
B22F 10/00
B22F 12/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1.2μm以下の波長を有するレーザ光を照射して積層造形される素材として使用され、平均粒径が50μm以下であり、かつ、紫外可視近赤外分光光度計を用い、0.250-2.000μm(0.005μm毎)の光エネルギーを入射角8°における拡散反射と正反射(鏡面反射)のそれぞれの反射率の測定を行い、これらの反射率の和を合計反射率として求めた、前記素材としての光吸収率が6%以上であり、
質量%で、Ni:3.0~40.0%、Al:0~10%、Cr:0~10%、Co:0~10%、Fe:0~10%、Mg:0~10%、Mn:0~10%、Mo:0~10%、Pd:0~10%、Pt:0~10%、Rh:0~10%、Si:0~10%、Sn:0~10%、Ti:0~10%、W:0~10%、Zn:0~10%、C:0~10%およびS:0~10%を含有し、残部が銅および不可避不純物である、銅合金粒子。
【請求項2】
質量%で、Al:0.5~10%、Cr:0.5~10%、Co:0.5~10%、Fe:0.5~10%、Mg:0.5~10%、Mn:0.5~10%、Mo:0.5~10%、Pd:0.5~10%、Pt:0.5~10%、Rh:0.5~10%、Si:0.5~10%、Sn:0.5~10%、Ti:0.5~10%、W:0.5~10%、Zn:0.5~10%、C:0.5~10%およびS:0.5~10%の群から選択される少なくとも1種の元素を含有し、かつ、含有する前記少なくとも1種の元素が2種以上である場合には、合計含有量が1~30%である、請求項1に記載の銅合金粒子。
【請求項3】
表面に、膜厚が1.0~100nmである金属酸化物層をさらに有する、請求項1または2に記載の銅合金粒子。
【請求項4】
1.2μm以下の波長を有するレーザ光を照射して積層造形される素材として使用され、平均粒径が50μm以下である銅粒子、または請求項1~3のいずれか1項に記載の銅合金粒子の銅系粒子と、該銅系粒子の表面に、50%以上の被覆率で形成された金属含有層とを有し、かつ、紫外可視近赤外分光光度計を用い、0.250-2.000μm(0.005μm毎)の光エネルギーを入射角8°における拡散反射と正反射(鏡面反射)のそれぞれの反射率の測定を行い、これらの反射率の和を合計反射率として求めた、前記素材としての光吸収率が6%以上である表面被覆銅系粒子であって、
該表面被覆銅系粒子としての平均組成が、質量%で、Ni:3.0~40.0%、Al:0~10%、Cr:0~10%、Co:0~10%、Fe:0~10%、Mg:0~10%、Mn:0~10%、Mo:0~10%、Pd:0~10%、Pt:0~10%、Rh:0~10%、Si:0~10%、Sn:0~10%、Ti:0~10%、W:0~10%、Zn:0~10%、C:0~10%およびS:0~10%を含有し、残部が銅および不可避不純物である、表面被覆銅系粒子。
【請求項5】
該表面被覆銅系粒子としての平均組成が、質量%で、Al:0.5~10%、Cr:0.5~10%、Co:0.5~10%、Fe:0.5~10%、Mg:0.5~10%、Mn:0.5~10%、Mo:0.5~10%、Pd:0.5~10%、Pt:0.5~10%、Rh:0.5~10%、Si:0.5~10%、Sn:0.5~10%、Ti:0.5~10%、W:0.5~10%、Zn:0.5~10%、C:0.5~10%およびS:0.5~10%の群から選択される少なくとも1種の元素を含有し、かつ、含有する前記少なくとも1種の元素が2種以上である場合には、合計含有量が1~30%であり、残部が銅および不可避不純物である、請求項4に記載の表面被覆銅系粒子。
【請求項6】
表面に、膜厚が1.0~100nmである金属酸化物層をさらに有する、請求項4または5に記載の表面被覆銅系粒子。
【請求項7】
1.2μm以下の波長を有するレーザ光を照射して積層造形される素材として使用され、平均粒径が50μm以下である銅または銅合金からなる銅系粒子と、該銅系粒子とは異なる組成をもつ異種粒子との混合粒子であって、
以下の式から算出される素材としての平均光吸収率(β)が6%以上であり、
【数1】
(但し、αは、混合粒子を構成する各粒子iの、紫外可視近赤外分光光度計を用い、0.250-2.000μm(0.005μm毎)の光エネルギーを入射角8°における拡散反射と正反射(鏡面反射)のそれぞれの反射率の測定を行い、これらの反射率の和を合計反射率として求めた、素材としての光吸収率、Vは、混合粒子に占める各粒子iの体積分率である。)
該混合粒子としての平均組成が、質量%で、Ni:3.0~40.0%、Al:0~10%、Cr:0~10%、Co:0~10%、Fe:0~10%、Mg:0~10%、Mn:0~10%、Mo:0~10%、Pd:0~10%、Pt:0~10%、Rh:0~10%、Si:0~10%、Sn:0~10%、Ti:0~10%、W:0~10%、Zn:0~10%、C:0~10%およびS:0~10%を含有し、残部が銅および不可避不純物である、混合粒子。
【請求項8】
平均組成が、質量%で、Al:0.5~10%、Cr:0.5~10%、Co:0.5~10%、Fe:0.5~10%、Mg:0.5~10%、Mn:0.5~10%、Mo:0.5~10%、Pd:0.5~10%、Pt:0.5~10%、Rh:0.5~10%、Si:0.5~10%、Sn:0.5~10%、Ti:0.5~10%、W:0.5~10%、Zn:0.5~10%、C:0.5~10%およびS:0.5~10%の群から選択される少なくとも1種の元素を含有し、かつ、該少なくとも1種の元素を2種以上含有する場合には、合計含有量が1~30%であり、残部が銅および不可避不純物である、請求項7に記載の混合粒子。
【請求項9】
前記異種粒子の平均粒径の、前記銅系粒子の平均粒径に対する比が0.1以下、もしくは0.5~1.5の範囲である、請求項7または8に記載の混合粒子。
【請求項10】
前記異種粒子は、Ni、Al、Cr、Co、Fe、Mg、Mn、Mo、Pd、Pt、Rh、Si、Sn、Ti、W、Zn、C、およびSの群から選択される、単一成分粒子または2種以上の合金成分粒子である、請求項7~9のいずれか1項に記載の混合粒子。
【請求項11】
請求項1~3のいずれか1項に記載の銅合金粒子で粒子層を形成する粒子層形成工程と、
前記粒子層の所定位置に存在する前記銅合金粒子を溶融固化させて造形層を形成する造形層形成工程と、を含み、
前記粒子層形成工程と前記造形層形成工程とを順次繰り返して造形層を積層する、積層造形品の製造方法。
【請求項12】
請求項4~6のいずれか1項に記載の表面被覆銅系粒子で粒子層を形成する粒子層形成工程と、
前記粒子層の所定位置に存在する前記銅合金粒子を溶融固化させて造形層を形成する造形層形成工程と、を含み、
前記粒子層形成工程と前記造形層形成工程とを順次繰り返して造形層を積層する、積層造形品の製造方法。
【請求項13】
請求項7~10のいずれか1項に記載の混合粒子で粒子層を形成する粒子層形成工程と、
前記粒子層の所定位置に存在する前記混合粒子を溶融固化させて造形層を形成する造形層形成工程と、を含み、
前記粒子層形成工程と前記造形層形成工程とを順次繰り返して造形層を積層する、積層造形品の製造方法。
【請求項14】
前記造形層を積層後、熱処理工程及び鍛造処理工程の少なくともいずれか一方をさらに行う請求項11~13のいずれか1項に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばヒートパイプやベーパーチャンバーなどの熱輸送部品、パソコンやスマートホンなどに実装されるブスバー、コネクタやリードフレームなどの電子機器部品等の、特に複雑な形状を有する銅合金部品をレーザ積層造形する際の素材として使用するのに適した銅合金粒子、表面被覆銅系粒子および混合粒子に関する。
【背景技術】
【0002】
パソコン、タブレット、スマートホンなどの電子機器では、軽量小型化が進んでおり、また、データ処理量が急激に増加したことから高速演算処理が行われるようになり、これに伴って発熱(蓄熱)の問題が顕在化するようになった。このため、かかる電子機器には、例えばヒートパイプやベーパーチャンバーなどの高機能な放熱部材を設ける必要性が高まっている。しかし、押出し・鍛造加工法や粉末冶金法のような従来の製造方法では、小型でかつ複雑な形状をもつ放熱部材を精度良く成形することは難しく、必ずしも要求特性を満足できない。
【0003】
そのため、近年では、製品を造形する造形・加工テーブル上に、素材としての金属粒子を、リコータによるスキージングによって0.05mm程度の厚さで均一に敷き詰めて薄い粒子層を形成し、次いでCADデータに基づきレーザ光を照射し、粒子層の照射部分のみを溶融固化させ、さらに粒子層の形成とレーザ光の照射とをレーザ積層造形装置(いわゆる3Dプリンタ)を用いて繰り返し行なうことによって、ヒートパイプなどの各種部品を積層造形品として製造することができる、いわゆるレーザ積層造形技術が注目されている。
【0004】
しかし、素材の金属粒子として銅系粒子を用いる場合、銅は、レーザ光の反射率が高く、光吸収率(例えばJIS H3510:2012に規定されている電子管用無酸素銅(合金番号:C1011)の板を鏡面研磨したものをSolidSpec-3700DUV (株式会社島津製作所製)で反射率を測定し、それを100から差し引いたものを吸収率とした。そして1065nmの光の吸収率は4.6%であった。)と低いため、造形品を製造するためには、高出力のレーザ装置を使用することが必要になり、また、銅は熱伝導性に優れているため、レーザの照射部分に発生した熱が、瞬時に照射部分以外の粒子層の部分に拡散してしまうことから、健全な造形品を得るには至っていないのが現状である。そのため、銅系粒子を用いて健全な積層造形品を製造するには、銅系粒子の光吸収率を向上させて、レーザ照射時に照射部分で良好な溶融固化現象が生じるようにすることが必要とされる。
【0005】
例えば、特許文献1では、クロムおよび珪素の少なくともいずれかを0.10質量%以上1.00質量%以下含有し、前記クロムおよび前記珪素の合計量が1.00質量%以下であり、残部が銅からなる、銅合金粉末が記載されている。
【0006】
また、特許文献2では、主金属元素と添加元素とを含み、添加元素の原子半径aの主金属元素の原子半径bに対する比率100(a-b)/bが-30%ないし+30%である合金からなる金属成形体であって、原料金属粉末を積層工法により積層して製造され、主金属元素がCuであり、添加元素が、固溶限なしの完全固溶型元素として、K、Mn、Rh、Pd、Pt、Au、最大固溶限1ないし50重量%の大量固溶型元素として、Li、Be、Mg、Al、Si、Ti、Co、Zn、Ga、Ge、As、Ni、Ag、Sn、Ir、Hg、最大固溶限0.01ないし1重量%の微量固溶型元素として、H、B、C、Sc、Cr、Fe、Mo、Ag、Cd、Sb、Hf、Ir、最大固溶限0重量%の非固溶型元素として、Se、Mo、Tc、Ru、I、Ta、W、Re、Osからなる群から選ばれた1種類以上である金属成形体が記載されている。
【0007】
さらに、特許文献3では、入熱された熱の均一化及び急冷化を目的として、Cuなどの高融点金属粒子と、Snなどの低融点金属粒子とを混合してなる金属粒子により金属造形物を造形するための三次元造形用材料が記載されている。
【0008】
しかしながら、特許文献1~3はいずれも、素材としての銅系合金粒子にレーザ光を照射した際の銅系粒子の光吸収率を向上させるという観点から、銅系粒子の組成や粒径サイズ等の検討を行ったものではなく、また、1.2μm以下の波長をもつレーザ、特に1.065nmの波長をもつファイバーレーザを純銅粒子に照射した場合、光吸収率が低い銅粒子では十分に溶融しきれずに、ポロシティ(空隙率)の数値が1%以上と大きくなる傾向があること、さらに、ポロシティ(空隙率)の数値を1%未満と小さくすることができる合金元素については何ら言及がない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特許第6030186号公報
【文献】特開2016-053198号公報
【文献】特許第5943963号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、照射するレーザ光の波長に対して、積層造形される素材として使用される銅系粒子の粒径サイズおよび光吸収率の適正化を図ることにより、特に造形時におけるレーザ光の照射により発生する熱で、粒子層の照射部分に良好な溶融固化現象を生じさせることにより、ポロシティ(空隙率)の数値が1%未満と小さく、しかも耐食性や疲労特性に優れる積層造形品、例えばヒートパイプやベーパーチャンバーなどの熱輸送部品や、パソコンやスマートホンなどに実装されるブスバー、コネクタやリードフレームなどの電子機器部品を得るのに適した、銅合金粒子、表面被覆銅系粒子および混合粒子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の要旨構成は、以下のとおりである。
(1)1.2μm以下の波長を有するレーザ光を照射して積層造形される素材として使用され、平均粒径が50μm以下であり、かつ前記素材としての光吸収率が6%以上であることを特徴とする銅合金粒子。
(2)質量%で、Ni:1.0~40.0%、Al:0~10%、Cr:0~10%、Co:0~10%、Fe:0~10%、Mg:0~10%、Mn:0~10%、Mo:0~10%、Pd:0~10%、Pt:0~10%、Rh:0~10%、Si:0~10%、Sn:0~10%、Ti:0~10%、W:0~10%、Zn:0~10%、C:0~10%およびS:0~10%を含有し、残部が銅および不可避不純物である、上記(1)に記載の銅合金粒子。
(3)質量%で、Al:0.5~10%、Cr:0.5~10%、Co:0.5~10%、Fe:0.5~10%、Mg:0.5~10%、Mn:0.5~10%、Mo:0.5~10%、Pd:0.5~10%、Pt:0.5~10%、Rh:0.5~10%、Si:0.5~10%、Sn:0.5~10%、Ti:0.5~10%、W:0.5~10%、Zn:0.5~10%、C:0.5~10%およびS:0.5~10%の群から選択される少なくとも1種の元素を含有し、かつ、含有する前記少なくとも1種の元素が2種以上である場合には、合計含有量が1~30%である、上記(2)に記載の銅合金粒子。
(4)表面に、膜厚が1.0~100nmである金属酸化物層をさらに有する、上記(1)~(3)のいずれか1項に記載の銅合金粒子。
(5)1.2μm以下の波長を有するレーザ光を照射して積層造形される素材として使用され、平均粒径が50μm以下である銅粒子、または上記(1)~(3)のいずれか1項に記載の銅合金粒子の銅系粒子と、該銅系粒子の表面に、50%以上の被覆率で形成された金属含有層とを有し、かつ前記素材としての光吸収率が6%以上である表面被覆銅系粒子であって、該表面被覆銅系粒子としての平均組成が、質量%で、Ni:1.0~40.0%、Al:0~10%、Cr:0~10%、Co:0~10%、Fe:0~10%、Mg:0~10%、Mn:0~10%、Mo:0~10%、Pd:0~10%、Pt:0~10%、Rh:0~10%、Si:0~10%、Sn:0~10%、Ti:0~10%、W:0~10%、Zn:0~10%、C:0~10%およびS:0~10%を含有し、残部が銅および不可避不純物である、表面被覆銅系粒子。
(6)該表面被覆銅系粒子としての平均組成が、質量%で、Al:0.5~10%、Cr:0.5~10%、Co:0.5~10%、Fe:0.5~10%、Mg:0.5~10%、Mn:0.5~10%、Mo:0.5~10%、Pd:0.5~10%、Pt:0.5~10%、Rh:0.5~10%、Si:0.5~10%、Sn:0.5~10%、Ti:0.5~10%、W:0.5~10%、Zn:0.5~10%、C:0.5~10%およびS:0.5~10%の群から選択される少なくとも1種の元素を含有し、かつ、含有する前記少なくとも1種の元素が2種以上である場合には、合計含有量が1~30%であり、残部が銅および不可避不純物である、上記(5)に記載の表面被覆銅系粒子。
(7)表面に、膜厚が1.0~100nmである金属酸化物層をさらに有する、上記(5)または(6)に記載の表面被覆銅系粒子。
(8)1.2μm以下の波長を有するレーザ光を照射して積層造形される素材として使用され、平均粒径が50μm以下である銅または銅合金からなる銅系粒子と、該銅系粒子とは異なる組成をもつ異種粒子との混合粒子であって、以下の式から算出される素材としての平均光吸収率(β)が6%以上であることを特徴とする混合粒子。
【数1】
但し、αは、混合粒子を構成する各粒子iの素材としての光吸収率、Vは、混合粒子に占める各粒子iの体積分率である。
(9)該混合粒子としての平均組成が、質量%で、Ni:1.0~40.0%、Al:0~10%、Cr:0~10%、Co:0~10%、Fe:0~10%、Mg:0~10%、Mn:0~10%、Mo:0~10%、Pd:0~10%、Pt:0~10%、Rh:0~10%、Si:0~10%、Sn:0~10%、Ti:0~10%、W:0~10%、Zn:0~10%、C:0~10%およびS:0~10%を含有し、残部が銅および不可避不純物である、上記(8)に記載の混合粒子。
(10)平均組成が、質量%で、Al:0.5~10%、Cr:0.5~10%、Co:0.5~10%、Fe:0.5~10%、Mg:0.5~10%、Mn:0.5~10%、Mo:0.5~10%、Pd:0.5~10%、Pt:0.5~10%、Rh:0.5~10%、Si:0.5~10%、Sn:0.5~10%、Ti:0.5~10%、W:0.5~10%、Zn:0.5~10%、C:0.5~10%およびS:0.5~10%の群から選択される少なくとも1種の元素を含有し、かつ、該少なくとも1種の元素を2種以上含有する場合には、合計含有量が1~30%であり、残部が銅および不可避不純物である、上記(9)に記載の混合粒子。
(11)前記異種粒子の平均粒径の、前記銅系粒子の平均粒径に対する比が0.1以下、もしくは0.5~1.5の範囲である、上記(8)~(10)のいずれか1項に記載の混合粒子。
(12)前記異種粒子は、Ni、Al、Cr、Co、Fe、Mg、Mn、Mo、Pd、Pt、Rh、Si、Sn、Ti、W、Zn、C、およびSの群から選択される、単一成分粒子または2種以上の合金成分粒子である、上記(8)~(11)のいずれか1項に記載の混合粒子。
(13)上記(1)~(4)のいずれか1項に記載の銅合金粒子で粒子層を形成する粒子層形成工程と、
前記粒子層の所定位置に存在する前記銅合金粒子を溶融固化させて造形層を形成する造形層形成工程と、を含み、
前記粒子層形成工程と前記造形層形成工程とを順次繰り返して造形層を積層する、積層造形品の製造方法。
(14)上記(5)~(7)のいずれか1項に記載の表面被覆銅系粒子で粒子層を形成する粒子層形成工程と、
前記粒子層の所定位置に存在する前記銅合金粒子を溶融固化させて造形層を形成する造形層形成工程と、を含み、
前記粒子層形成工程と前記造形層形成工程とを順次繰り返して造形層を積層する、積層造形品の製造方法。
(15)上記(8)~(12)のいずれか1項に記載の混合粒子で粒子層を形成する粒子層形成工程と、
前記粒子層の所定位置に存在する前記銅合金粒子を溶融固化させて造形層を形成する造形層形成工程と、を含み、
前記粒子層形成工程と前記造形層形成工程とを順次繰り返して造形層を積層する、積層造形品の製造方法。
(16)前記造形層を積層後、熱処理工程及び鍛造処理工程の少なくともいずれか一方をさらに行う上記(13)~(15)のいずれか1項に記載の製造方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、1.2μm以下の波長を有するレーザ光を照射して積層造形される素材として使用され、平均粒径が50μm以下であり、かつ素材としての光吸収率が6%以上であることにより、特に造形時におけるレーザ光の照射により発生する熱で、粒子層の照射部分に良好な溶融固化現象を生じさせることにより、ポロシティ(空隙率)の数値が1%未満と小さく、しかも耐食性や疲労特性に優れる積層造形品、例えばヒートパイプやベーパーチャンバーなどの熱輸送部品や、パソコンやスマートホンなどに実装されるブスバー、コネクタやリードフレームなどの電子機器部品を得るのに適した、銅合金粒子、表面被覆銅系粒子および混合粒子を提供することが可能になった。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明に従う銅合金粒子を素材として用い、積層造形装置(3Dプリンタ)によって製造した扁平ヒートパイプの概略斜視図であって、ヒートパイプの内部構造がわかるように上面板部を除去した状態で示す。
図2図2は、市販の純銅粉を従来の製法である熱処理(焼結)によって製造した扁平ヒートパイプの概略斜視図であって、ヒートパイプの内部構造がわかるように上面板部を除去した状態で示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に従う銅合金粒子の実施形態について、以下で詳細に説明する。
本発明に係る銅合金粒子は、1.2μm以下の波長を有するレーザ光を照射して積層造形される素材として使用され、平均粒径が50μm以下であり、かつ素材としての光吸収率が6%以上であることを特徴とする。なお、銅合金粒子は、一次粒子でも、一次粒子が凝集、固結等によって生成した粒子(二次粒子)でもよい。従って、銅合金粒子の平均粒径とは、銅合金粒子が一次粒子の場合には、平均一次粒子径を意味し、銅合金粒子が二次粒子の場合には、平均二次粒子径を意味する。
【0015】
一般に、金属の光吸収率は、例えば波長が10.6μmであるCO(炭酸ガス)レーザの場合には、いずれの金属とも光吸収率がほぼ一様に低いものの、波長が1.2μm以下であるレーザ、例えばYAGレーザ(波長1.06μm)やファイバーレーザ(波長1.065μm)の場合には、各金属の光吸収率は、CO(炭酸ガス)レーザの場合と比べると高くなるものの、光吸収率は、金属ごとに大きく異なっており、例えば銅は、1μm波長帯の光吸収率が4.6%程度と低いことから、健全な造形品を得るには至っていないのが現状である。
【0016】
そのため、本発明者は、レーザ積層造形技術により、従来は健全な積層造形品を製造することが難しいとされていた銅系粒子を素材とする検討を行なったところ、積層造形する際のレーザ光の波長を1.2μm以下に限定し、素材として用いる銅系粒子の平均粒径50μm以下とし、かつ、素材としての光吸収率を6%以上にまで高めるように構成することによって、レーザ光を照射した銅合金粒子が良好な溶融現象を実現できる結果、複雑な形状を有する健全な積層造形品である各種銅合金部品を製造することに成功し、本発明を完成させるに至ったのである。
【0017】
ここで、レーザ光の波長を1.2μm以下に限定した理由は、微細な積層造形を再現する上でビーム径を小さくすることで造形精度及び微細なポロシティの低減に効果があるためである。ちなみに、シングルモードのレーザビームを、焦点距離fのレンズで集光した場合に得られる最小スポット径(直径)Dの理論的限界は、波長をλ、入射ビーム直径をDとすると近似的に以下の式で示され、

=(4×λ×f)/(π×D)

この式からも波長λを小さくすることでスポット径を小さくでき、その結果、造形品の外形寸法精度の向上を図ることができる。ちなみに、最小スポット径Dを100μm以下にすることが望ましい。
【0018】
また、銅系粒子の平均粒径を50μm以下に限定した理由は、平均粒径D50(累積分布で50%となる粒径)が50μmを超えるとパウダー・ベッド方式では粉体の流動性が低下して、リコータによるスキージングによって薄い粒子層を均一に敷き詰めることができなくなるからである。なお、銅系粒子の粒径は、平均粒径D50が50μm以下で、かつ、D95(累積分布で95%となる粒径)が100μm以下であることがより好ましい。
【0019】
さらに、素材としての光吸収率を6%以上に限定した理由は、純銅の光吸収率が4.6%であることから光エネルギーの吸収が悪く、十分に金属粉末を溶融させることができないことから粗大なポロシティが発生することは広く知られている(粉体粉末冶金協会 主催 平成28年度秋季大会の“選択的レーザ溶融装置による銅の積層造形に及ぼす粉末特性と積層造形条件の影響”等)。また、この銅系粒子を十分に溶融するには、さらに高出力のレーザ装置を導入する必要が生じ、積層造形品の製造コストの上昇を招くからである。
【0020】
ここで、素材としての光吸収率の測定方法は、素材として使用する銅原料(例えば8kg分)を、アーク溶解炉や誘導加熱炉に投入し溶製したインゴットから、例えば30mm×35mmの試験片を切り出し、紫外可視近赤外分光光度計(株式会社島津製作所製SolidSpec-3700DUV)を用い、0.250-2.000μm(0.005μm毎)の光エネルギーを入射角8°における拡散反射と正反射(鏡面反射)のそれぞれの反射率の測定を行い、これらの反射率の和を合計反射率として求めた。なお、サンプル表面は、鏡面研磨して非酸化面とした。この得られた反射率の数値を、光吸収率(%)=100-反射率(%)の式に代入することによって、光吸収率を算出した。
【0021】
また、本発明者は、波長が1.2μm以下のレーザ光を照射し、平均粒径が50μm以下である銅合金粒子を素材として用いた場合に、素材としての光吸収率を6%以上と高くするための検討を行なったところ、銅合金粒子として、または表面被覆銅系粒子として、または銅系粒子と異種粒子とで構成される混合粒子として、Niを1%以上含有することによって、上述した素材としての光吸収率が6%以上となって、レーザ光を照射した粒子層の照射部分で銅系粒子の良好な溶融固化現象を生じさせることができる結果、ポロシティ(空隙率)が1%未満の健全な積層造形品(銅合金部品)の製造が可能になり、しかも、この銅合金部品は、耐食性と疲労特性の双方に優れていることを見出した。以下に、銅合金粒子、表面被覆銅系粒子、および混合粒子の限定理由を説明する。
【0022】
(第1の実施形態(銅合金粒子))
第1の実施形態の積層造形用素材は、質量%で、Ni:1.0~40.0%、Al:0~10%、Cr:0~10%、Co:0~10%、Fe:0~10%、Mg:0~10%、Mn:0~10%、Mo:0~10%、Pd:0~10%、Pt:0~10%、Rh:0~10%、Si:0~10%、Sn:0~10%、Ti:0~10%、W:0~10%、Zn:0~10%、C:0~10%およびS:0~10%を含有し、残部が銅および不可避不純物である銅合金粒子である。
【0023】
本実施形態の銅合金粒子は、Ni:1.0~40.0%を必須の含有成分とし、また、Al:0~10%、Cr:0~10%、Co:0~10%、Fe:0~10%、Mg:0~10%、Mn:0~10%、Mo:0~10%、Pd:0~10%、Pt:0~10%、Rh:0~10%、Si:0~10%、Sn:0~10%、Ti:0~10%、W:0~10%、Zn:0~10%、C:0~10%およびS:0~10%の各成分は、いずれも製造される銅合金部品に対する要求性能に応じて適宜添加される任意添加成分である。
【0024】
<必須含有成分>
・Ni:1.0~40.0質量%
Ni(ニッケル)は、耐食性を向上させるだけではなく、1.2μm以下の波長を有するレーザ光、特に1.065μmの波長を有するファイバーレーザの光吸収率を少量で格段に高める作用を発揮することができる重要な元素である。かかる作用を発揮するため、Ni含有量は、1.0質量%以上であることが好ましい。また、Ni含有量が40.0質量%を超えると銅合金粒子の光吸収性が増加し、その結果として急激に粒子が溶解し、局部的に沸点近傍まで昇温する。そして一部の溶融金属がプラズマ化しキーホールが生成し、溶融池中の溶融金属の対流により気泡が溶融池中に巻き込まれる(例えば、溶接学会誌第78巻(2009)第2号、p.124~138)。その結果として造形品内部にポロシティ(空隙率)が形成され、このポロシティを1%未満にすることができなくなる。このため、Ni含有量が1.0~40.0質量%の範囲とすることが好ましい。また、Niは、スキージングの際の流動性を高める作用も有する元素であり、流動性を高める点から、Ni含有量は3.0質量%以上とすることがより好ましい。
【0025】
<任意添加成分>
第1の実施形態の銅合金粒子は、Al(アルミニウム)、Cr(クロム)、Co(コバルト)、Fe(鉄)、Mg(マグネシウム)、Mn(マンガン)、Mo(モリブデン)、Pd(パラジウム)、Pt(白金)、Rh(ロジウム)、Si(ケイ素)、Sn(錫)、Ti(チタン)、W(タングステン)、Zn(亜鉛)、C(炭素)、S(硫黄)の群から選択される少なくとも1種の元素をそれぞれ0.5~10質量%含有し、かつ、含有する前記少なくとも1種以上の元素が2種以上である場合には、合計含有量が1~30質量%であることが好ましい。これらの成分は、光吸収特性を向上させるために添加される元素であり、かかる特性を向上させるためには、各添加成分の含有量を0.5質量以上とすることが好ましい。一方、各添加成分を10質量%よりも多く添加しても、それ以上の向上効果が期待できないからである。また、任意添加成分が2種以上含有させる場合には、吸収率の向上効果が期待できる観点から、合計含有量が1~30質量%であることが好ましい。
【0026】
<残部>
上述した必須含有成分および任意添加成分以外は、残部がCuおよび不可避不純物からなる。なお、ここでいう「不可避不純物」とは、概ね銅合金粒子において、原料中に存在するものや、製造工程において不可避的に混入するもので、本来は不要なものであるが、微量であり、概ね0.05質量%以下で銅合金粒子の特性に影響を及ぼさないため許容されている不純物である。
【0027】
(第2の実施形態(表面被覆銅系粒子))
第2の実施形態の積層造形用素材は、1.2μm以下の波長を有するレーザ光を照射して積層造形される素材として使用され、平均粒径が50μm以下である銅粒子、または第1の実施形態の銅合金粒子の銅系粒子と、この銅系粒子の表面に、50%以上の被覆率で形成された金属含有層とを有する表面被覆銅系粒子であり、この表面被覆銅系粒子としての平均組成が、質量%で、Ni:1.0~40.0%、Al:0~10%、Cr:0~10%、Co:0~10%、Fe:0~10%、Mg:0~10%、Mn:0~10%、Mo:0~10%、Pd:0~10%、Pt:0~10%、Rh:0~10%、Si:0~10%、Sn:0~10%、Ti:0~10%、W:0~10%、Zn:0~10%、C:0~10%およびS:0~10%を含有し、残部が銅および不可避不純物である。
【0028】
本実施形態の表面被覆銅系粒子は、表面被覆銅系粒子全体として、Ni:1.0~40.0%を必須の含有成分とし、また、Al:0~10%、Cr:0~10%、Co:0~10%、Fe:0~10%、Mg:0~10%、Mn:0~10%、Mo:0~10%、Pd:0~10%、Pt:0~10%、Rh:0~10%、Si:0~10%、Sn:0~10%、Ti:0~10%、W:0~10%、Zn:0~10%、C:0~10%およびS:0~10%の各成分は、いずれも製造される銅合金部品に対する要求性能に応じて適宜添加される任意添加成分である。
【0029】
第2の実施形態(表面被覆銅系粒子)は、第1の実施形態(銅合金粒子)とは積層造形用素材の形態が異なるだけであり、レーザを照射して溶融固化して形成した銅合金部品としては、同様の組成を有するものである。すなわち、第2実施形態では、銅粒子、または銅合金粒子の銅系粒子と、金属含有層とを有する表面被覆銅系粒子を積層造形用素材として使用することから、第1実施形態の銅合金粒子を使用する場合だけには限定されず、金属含有層の適宜選択により、銅合金粒子の代わりに銅粒子を使用することも可能になる。
【0030】
金属含有層は、銅系粒子の表面に50%以上の被覆率で形成されていることが好ましい。金属含有層の被覆率が50%未満だと、吸収率が低い部位が吸収率の高い部位より多くなり粒子毎の光エネルギーの吸収にバラツキが発生する。その為に、僅かな時間(~数μ秒)内での粒子の溶融に時間のズレが生じ、溶融遅れに起因する粗大なボーリング欠陥が発生するからである。
【0031】
また、金属含有層は、銅系粒子とともに素材の一部をなし、表面被覆銅系粒子としてレーザ照射により溶融固化することによって銅合金部品を構成するものであり、この銅合金部品における平均組成が、上記した組成の範囲になるような成分組成を有していればよく、特に限定はしないが、例えば、Ni層、Co層、Sn層、Zn層などが挙げられる。金属含有層の形成方法も、特に限定はしないが、例えば電解めっきや無電解めっきのような湿式めっきや、蒸着などの乾式めっきにより形成することができる。
【0032】
平均組成の限定理由は、第1の実施形態の銅合金粒子で限定した理由と同様なので、説明は省略する。
【0033】
(第3の実施形態(混合粒子))
第3の実施形態の積層造形用素材は、1.2μm以下の波長を有するレーザ光を照射して積層造形される素材として使用され、平均粒径が50μm以下である銅または銅合金からなる銅系粒子と、該銅系粒子とは異なる組成をもつ異種粒子との混合粒子であって、以下の式から算出される素材としての平均光吸収率(β)が6%以上であることを特徴とする混合粒子である。
【0034】
【数2】
但し、αは、混合粒子を構成する各粒子iの素材としての光吸収率、Vは、混合粒子に占める各粒子iの体積分率である。
【0035】
第3の実施形態では、第1の実施形態の銅合金粒子の代わりに、銅または銅合金からなる銅系粒子と、異種粒子とで構成される混合粒子を積層造形用素材として使用して、平均光吸収率(β)を6%以上にすることにある。
【0036】
本実施形態の混合粒子は、混合粒子全体として、Ni:1.0~40.0%を必須の含有成分とし、また、Al:0~10%、Cr:0~10%、Co:0~10%、Fe:0~10%、Mg:0~10%、Mn:0~10%、Mo:0~10%、Pd:0~10%、Pt:0~10%、Rh:0~10%、Si:0~10%、Sn:0~10%、Ti:0~10%、W:0~10%、Zn:0~10%、C:0~10%およびS:0~10%の各成分は、いずれも製造される銅合金部品に対する要求性能に応じて適宜添加される任意添加成分である。
【0037】
第3の実施形態(混合粒子)は、第1の実施形態(銅合金粒子)とは積層造形用素材の形態が異なるだけであり、レーザを照射して溶融固化して形成した銅合金部品としては、同様の組成を有するものである。すなわち、第3の実施形態では、銅粒子または銅合金粒子の銅系粒子と、異種粒子との混合粒子を積層造形用素材として使用することから、第1実施形態の銅合金粒子を使用する場合だけには限定されず、異種粒子の適宜選択により、銅合金粒子の代わりに銅粒子を使用することも可能になる。
【0038】
異種粒子としては、例えば、Ni、Al、Cr、Co、Fe、Mg、Mn、Mo、Pd、Pt、Rh、Si、Sn、Ti、W、Zn、C、およびSの群から選択される、単一成分粒子または2種以上の合金成分粒子であることが好ましい。
【0039】
なお、混合粒子としての平均組成の限定理由は、第1の実施形態の銅合金粒子で限定した理由と同様なので、説明は省略する。
また、異種粒子の平均粒径が、銅系粒子の平均粒径に対する比(異種粒子の平均粒径/銅系粒子の平均粒径の比)がナノ粒子を含めた0.1以下、もしくは0.5~1.5の範囲であることが、粒子をスキージングする際の流動性を改善する上で好ましい。前記比が0.1以下の場合は、銅系粒子の隙間に異種粒子が入り込む為に流動性が損なわれない。また、前記比が、0.5~1.5の場合は、銅系粒子と異種粒子が同等な挙動を示すことから流動性が損なわれないためである。
【0040】
<その他の実施形態>
その他の実施形態としては、第1の実施形態の銅合金粒子、または第2の実施形態の表面被覆銅系粒子の表面に、膜厚が1.0~100nmである金属酸化物層をさらに有することが好ましい。金属酸化物層は、光の反射を抑制して光吸収率を高める作用を有するため、金属酸化物層の膜厚を1.0nm以上とすることが好ましい。一方、金属酸化物層の膜厚を100nmよりも厚くすると、積層造形品(銅合金部品)のポロシティ(空隙率)の数値が1%以上と大きくなるとともに、銅合金部品を造形する造形・加工テーブル上に、素材としての銅合金粒子または表面被覆銅系粒子をスキージングによって敷き詰めて薄い粒子層を形成する際のスキージング性(粒子の流動性)が悪化し、さらに、銅系粒子を構成する溶融金属の流動性が低下して造形性を阻害するおそれがあることから、金属酸化物層の膜厚は、1.0~100nmとすることが好ましく、より好ましくは1.0~50nmである。
【0041】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の概念および請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含み、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
【0042】
更に、これら粒子を均一にスキージングする際に、リコータに5kHz以上の高周波を印可することで、より粒子の整列化が進み造形品のポロシティが0.8%から0.6%に減少した。これは、スキージングを行う際に使用するブレードの表面にある極めて微細な表面傷(大きさ:~10μm)に銅系粒子が固着して均一にスキージングできない現象に対して、振動を付与することで改善するものである。これにより銅系粒子がより均一に分散することで粒子間の隙間が均一になり、粒子間の熱抵抗が均一になることでレーザによる光エネルギーが熱エネルギーに変換されたものが均一の拡散することで溶融凝固後の空隙率が改善されるためである。
【0043】
次に、本発明の銅合金粒子、表面被覆銅系粒子及び/または混合粒子(以下、「素材粒子」ということがある。)を用いて、積層造形品を製造する方法について説明する。
【0044】
まず、素材粒子供給手段を用いて、素材粒子を造形エリアに所望の厚さに敷き詰めて粒子層を形成する。素材粒子供給手段としては、例えば、リコータを挙げることができる。次に、形成した粒子層の所定位置に存在する素材粒子を1.2μm以下の波長を有するレーザ光を照射して発生させた熱源によって溶融固化させて造形層を形成する。上記した粒子層形成工程と造形層形成工程を、順次、繰り返して造形層を積層させていくことにより、積層造形品である銅合金部材を製造することができる。積層造形品の製造装置としては、粉末焼成積層方式の積層造形装置(3Dプリンタ)を挙げることができる。
【0045】
また、積層造形品を製造後、必要に応じて、製造した積層造形品に対して熱処理を行って積層造形品の強度を向上させてもよく、また、製造した積層造形品に対して鍛造処理を行って積層造形品の強度を向上させつつ、さらなる成形をしてもよい。
【実施例
【0046】
次に、本発明の効果をさらに明確にするために、実施例および比較例について説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0047】
(実施例1A~11Aおよび比較例1A~13A)
表1に示す成分組成となるように各成分を秤量し、秤量した成分を溶解炉に投入し、溶解して銅合金(インゴット)を作製した。なお、溶解する成分の中にMo、W、Tiなどの高融点元素が含まれている場合には、アーク溶解炉にて真空中でアーク溶解し、また、溶解する成分に中に高融点元素が含まれない場合には、誘導加熱炉にてアルゴン雰囲気中で溶解した。作製した各銅合金(インゴット)を機械的に粉砕し、粉砕した銅合金の粉砕物をガスアトマイズ装置にて溶解後に噴霧して銅合金粒子を得た。なお、微細粒子を得る為に、ガスアトマイズ装置の噴霧槽内は、85体積%Nと15体積%Hとの混合ガス、もしくはHeガスを充填した雰囲気とした。回収された銅合金粉末(粒子)は、ふるいにかけて分粒を実施した。なお、分粒されたものの粒度分布は、レーザ回折式粒度分布測定装置(株式会社島津製作所製SALD-2300)で測定し、平均粒径としてD50の値を採用した。
【0048】
また、銅合金粒子の流動性は、JIS Z2502:2012に規定する「金属粉-流動度測定方法」に従い、流動性測定器(ホールフローメータ)を用いて実施した。
さらに、光吸収率は、銅合金粉末(粒子)作製前のインゴットから30×35mmの試験片(バルク片)を切り出し、紫外可視近赤外分光光度計(株式会社島津製作所製SolidSpec-3700DUV)を用い、0.250-2.000μm(0.005μm毎)の光エネルギーを入射角8°における拡散反射と正反射(鏡面反射)のそれぞれの反射率の測定を行い、これらの反射率の和を合計反射率として求めた。なお、サンプル表面は、鏡面研磨して非酸化面とした。この得られた反射率の数値を、光吸収率(%)=100-反射率(%)の式に代入することによって、光吸収率を算出した。
【0049】
次に、作製した銅合金粒子を、レーザ積層造形装置としてConcept Laser M2(波長1065nm、出力400W)を用いて、サイズが130mm×20mm×9mmの積層造形品(銅合金部品)を作製し、表面の粒子の除去及び平滑面を確保すべく切削加工にて120mm×14mm×3mmのテストピースを作製した。作製した各造形品(銅合金部品)を、アルキメデス法によって見掛け密度の測定を実施し、真密度との差異から以下の式を用いて空隙率(%)を試算した。
空隙率(%)=(真密度-見掛け密度)÷真密度×100
【0050】
造形品の素材として使用した各銅合金粒子の、平均粒径D50および素材としての1μm波長帯の光吸収率(%)、各造形品(銅合金部品)の空隙率(%)ならびに総合判定を表1に示す。なお、総合判定は、造形品(銅合金部品)中の空隙率、耐疲労特性および耐食性のそれぞれの結果を踏まえて、以下に示す基準によって、「◎」、「○」、「△」および「×」の4段階で総合的に判定し、「◎」および「○」を合格レベルとした。
【0051】
造形品(銅合金部品)中の空隙率は、1%未満である場合を合格レベルとし、1%以上である場合を不合格とした。
耐疲労特性は、平面曲げ疲労試験機(東京衡機エンジニアリング社製)により疲労試験を行い、疲労破断回数を測定し、疲労寿命が1万回以上の場合を「◎」、5000回以上1万回未満の場合を「○」とし、3000回以上5000回未満の場合を「△」とし、3000回未満を「×」とし、本実施例では、「◎」、「○」および「△」を合格レベルとした。
耐食性は、JIS Z 2371:2015に準拠して塩水噴霧試験を行い、1000時間後のサンプル質量の変化率から0.1%未満の場合を「◎」、0.1%以上0.5%未満の場合を「○」とし、0.5%以上1.0%未満の場合を「△」とし、1.0%以上の場合を「×(不可)」とし、本実施例では、「◎」、「○」および「△」を合格レベルとした。
【0052】
<総合判定>
◎:空隙率が1%未満であり、耐疲労特性および耐食性の双方が「◎(優)」である場合。
○:空隙率が1%未満であり、耐疲労特性および耐食性の双方とも「○(良)」以上である場合。
△:空隙率が1%未満であり、耐疲労特性および耐食性の少なくとも1方が「◎(優)」でも「○(良)」でもないが、双方が「△(可)」以上である場合。
×:空隙率が1%未満であり、耐疲労特性および耐食性の少なくとも一方が「×(不可)」である場合、あるいは、空隙率が1%以上である場合。
【0053】
【表1】
【0054】
表1に示す結果から、実施例1A~11Aはいずれも、総合判定が「○」以上であり、空隙率が1%未満、耐疲労特性の双方とも「○(良)」以上であった。一方、比較例1A~13Aは、いずれも空隙率が1%以上であり、疲労特性が「△」または「×」であり、総合判定は「△」以下であり、不合格であった。
【0055】
(実施例1B~12Bおよび比較例1B~7B)
次に、市販の銅粒子(平均粒径:28μm、福田金属箔粉製)または表1に示す銅合金粒子を用い、各粒子の表面に、金属含有層を形成して表面被覆銅系粒子を作製した。金属含有層を形成する前に、酸による表面洗浄処理を行い、表面酸化膜を除去した。その後に無電解メッキにて各種金属元素をメッキし、洗浄・乾燥を実施した。得られた表面被覆銅系粒子の断面観察からメッキ厚さ(被覆厚み)および被覆率を測定した。測定した被覆厚みおよび被覆率を表2に示す。また、作製した各粒子を紫外可視近赤外分光光度計で測定を実施し、メッキ前の粒子の平均粒径との差異から被覆厚みを算出した。また、このメッキ後の表面被覆銅系粒子の化学分析を行い、その組成差から幾何学的に被覆率を算出した。
また、表2に示す平均組成は、銅系粒子に金属含有層を形成した表面被覆銅系粒子として組成であり、この複合粒子を混酸を用いて全量溶解し、この溶液をICP発光分光分析装置ICPE-9800(株式会社島津製作所製)により測定した。また、被覆厚みは、FIBにて粒子を切断し、その断面を走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察して算出した。銅系粒子は真球と仮定して平均粒径サイズ、被覆厚み、被覆材の真比重から被覆率を算術計算した。
また、表面被覆(メッキ)前の銅系粒子と同じ組成の銅系板の上に再現させたものを紫外可視近赤外分光光度計によって、光反射率を測定し、同様な計算式から吸収率を算出した。その結果から1μm波長帯の吸収率を表2に示す。この表面被覆銅系粒子を前述のレーザ造形装置を用いて積層造形を行い、表1と同様に総合判定を実施した結果を表2に示す。
【0056】
【表2】
【0057】
表2に示す結果から、実施例1B~12Bはいずれも、総合判定が「○」以上であり、空隙率が1%未満、耐疲労特性および耐食性の双方とも「○(良)」以上であった。一方、比較例1B~7Bは、いずれも空隙率が1%以上であり、総合判定が「△」以下と不合格であった。
【0058】
(実施例1C~10Cおよび比較例1C~8C)
次に、表1に示す銅合金粒子または表2に示す表面被覆銅系粒子の表面に、表3に示す膜厚で金属酸化物層を形成し、形成した粒子としての1μm波長帯の光吸収率、スキージング特性を測定した。CO/COの分圧制御により、粒子表面に強制的に金属酸化物層を形成させた銅系粒子を、オージェ電子分光装置を用いて金属酸化物層の膜厚を測定した。なお、金属酸化物層の膜厚は、粒子表面から粒子の内部に向かって深さ方向に元素分析を行ない、粒子表面で測定された酸素量の1/10に低減した位置までを酸化層と定義した。また、得られた金属酸化物層を、銅系粉末と同じ組成の銅系板の上に再現させたものを紫外可視近赤外分光光度計によって、1μm波長帯のレーザ光を銅系板の表面に照射したときの合計反射率を測定し、1μm波長帯の光吸収率を算出した。
この粒子を前述のレーザ造形装置を用いて積層造形を行い、空隙率及び総合判定を実施した結果を表3に示す。
【0059】
なお、ここでスキージング特性は、Concept Laser M2での銅系粒子(粉末)のスキージングを実施した粒子の分布状態をマイクロスコープにて100倍で観察し4段階で評価した。その結果を表3に示す。なお、表3中に示すスキージング特性の記号は、「◎」が、粒子が一様に分布している場合、「○」が、1mmに1~3個の粒子の欠損がある場合、「△」が、1mmに4~10個の粒子の欠損がある場合、そして、「×」が、1mmに11個以上の粒子の欠損がある場合を意味する。本実施例では、スキージング特性は、「◎」と「○」を合格レベルとした。
金属酸化物層を形成した銅系粒子を、前述のレーザ造形装置を用いて積層造形を行い、表1と同様に総合判定を実施した結果を表3に示す。
【0060】
【表3】
【0061】
表3に示す結果から、実施例1C~10Cはいずれも、総合判定が「○」以上であり、空隙率が1%未満、スキージング性が「○」以上であった。一方、比較例1C~8Cは、いずれも空隙率(1%未満)およびスキージング性(「○」以上)の少なくとも一方が合格レベルにはなく、総合判定が「△」以下と不合格であった。
【0062】
(実施例1D~11Dおよび比較例1D~4D)
市販の銅粒子(平均粒径:28μm、福田金属箔粉製)または表1に示す銅合金粒子からなる銅系粒子と、表4に示す平均粒径を有する異種粒子とを、表4に示す混合割合で混練し、混合粒子を作製した。混合粒子の平均組成は、混合粒子を溶解してICP発光分光分析装置ICPE-9800により測定した。表5に、混合粒子の平均組成および1μm波長帯の光吸収率を示す。次に、作製した混合粒子を用いてレーザ積層実験を実施した。混合粒子を前述のレーザ造形装置を用いて積層造形を行い、表1と同様に、造形品(銅合金部品)の空隙率および総合判定を実施した結果を表5に示す。
【0063】
【表4】
【0064】
【表5】
【0065】
表5に示す結果から、実施例1D~11Dはいずれも、総合判定が「○」以上であり、空隙率が1%未満、耐疲労特性および耐食性の双方とも「○」以上であった。一方、比較例1D~4Dは、いずれも空隙率が1%以上であり、総合判定が「△」以下と不合格であった。
【0066】
また、以下に流動性の評価として、銅系粒子(平均粒径:28.9nm)の落下速度を「金属粉-流動度測定方法」で測定し、このときの落下時間を100として、種々のサイズの銅系粒子と異種粒子とを混合してなる混合粒子の落下時間の比較を行った。本試験では、混合粒子の銅系粒子と異種粒子の落下異時間比の閾値が110以下の場合を「○」とし、110超え150以下の場合を「△」とし、150超えの場合を「×」とし、200超えの場合を「××」として評価した。
【0067】
【表6】
【0068】
表6に示す評価結果から、実施例12D~15Dは流動性に優れていた。
【0069】
(実施例1E、比較例1E、従来例1E)
実施例1Eは、表1に示す実施例6Aの銅合金粒子を素材とし、3D積層造形装置(Concept Laser M2)を用いて、図1に示すウィック構造2を有するヒートパイプ1を積層造形により作製した。作製したヒートパイプは、微細なストレートな冷媒移送経路を有し、使用した平均粒子サイズは42μmであり、これが微細経路表面に露出していることから毛細管力を働き、冷媒輸送力を向上させており、加えて、ストレートな流路を確保することから輸送経路の抵抗が少ないことも冷媒輸送力の向上に繋がっている。
比較のため、実施例6Aの銅合金粉末の代わりに、市販の銅粒子(平均粒径:28μm、福田金属箔粉製)を素材として積層造形により作製したヒートパイプ(比較例1E)と、通常の銅管から金属粉末を焼結させて作製した、図2に示すウィック構造を有するヒートパイプ(従来例1E)についても用意した。
作製した上記各ヒートパイプについて、熱輸送量、耐疲労特性および総合判定の比較を行った。それらの結果を表7に示す。なお、表7に示す熱輸送量、耐疲労特性および総合判定は、いずれも従来例1Eを基準として示したものであり、熱輸送量および耐疲労特性の数値は、従来例1Eを100とした指数比で示しており、数値が大きいほど特性が優れていることを意味し、また、総合判定は、従来例1Eよりも優れている場合を「○」、従来例1Eよりも劣っている場合を「×」として示す。
【0070】
【表7】
【0071】
表7に示す結果から、実施例1Eは、従来例1Eに比べて、疲労特性が同等以上でありながら、熱輸送量が3.9倍も向上している。また、市販の銅粒子を素材として積層造形した比較例1Eは、疲労特性が従来例1Eの10分の1と劣っていた。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明によれば、特に造形時におけるレーザ光の照射により発生する熱で、粒子層の照射部分に良好な溶融固化現象を生じさせることにより、ポロシティ(空隙率)の数値が1%未満と小さく、しかも耐食性や疲労特性に優れる積層造形品、例えばヒートパイプやベーパーチャンバーなどの熱輸送部品や、パソコンやスマートホンなどに実装されるブスバー、コネクタやリードフレームなどの電子機器部品を得るのに適した、銅合金粒子、表面被覆銅合金粒子および混合粒子を提供することが可能になった。特に本発明の銅合金粒子、表面被覆銅合金粒子および混合粒子のいずれかをヒートパイプに適用した場合に、断面積が任意のサイズに変更できるので、パソコンやスマートホン等の高密度実装の僅かな空間に設置することが可能になる。また、貫通穴を有する構造に微細ネジを用いて、発熱部位に高密着させことで熱抵抗を下げて放熱効果を向上させることができる。さらに、ヒートシンクやヒートスプレッダーも同時造形することで、これらを個別製造し接続した場合に発生する熱抵抗が皆無化することで放熱効率が向上する。
【符号の説明】
【0073】
1 ヒートパイプ
2 ウィック構造
図1
図2