(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-16
(45)【発行日】2022-12-26
(54)【発明の名称】パンツ型使い捨ておむつ
(51)【国際特許分類】
A61F 13/49 20060101AFI20221219BHJP
A61F 13/496 20060101ALI20221219BHJP
A61F 13/51 20060101ALI20221219BHJP
【FI】
A61F13/49 312Z
A61F13/496
A61F13/49 319
A61F13/49 311Z
A61F13/51
(21)【出願番号】P 2019008507
(22)【出願日】2019-01-22
【審査請求日】2021-10-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】笹山 賢一
(72)【発明者】
【氏名】村上 圭
(72)【発明者】
【氏名】永山 唯
(72)【発明者】
【氏名】近藤 大貴
【審査官】▲高▼辻 将人
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-147075(JP,A)
【文献】特開平10-127687(JP,A)
【文献】特開2015-165852(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F13/15-13/84
A61L15/16-15/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに交差する上下方向と左右方向と前後方向を有し、
ベルト部と、吸収性本体と、を有するパンツ型使い捨ておむつであって、
前記ベルト部は、胴回り開口の縁に沿った伸縮領域の下方において、低圧力領域、及び、高圧力領域を有し、
前記低圧力領域、及び、前記高圧力領域は、隣接し、かつ、前記左右方向に伸縮性を有し、
前記上下方向における単位幅の前記高圧力領域を、前記左右方向に単位長さ伸長させるための力は、前記単位幅の前記低圧力領域を、前記左右方向に前記単位長さ伸長させるための力よりも大きく、
前記ベルト部を非肌側と肌側の少なくとも一方側から見た場合に、前記上下方向における前記高圧力領域の輪郭部は、前記低圧力領域と異なる色であり、
前記ベルト部を前記非肌側と前記肌側の少なくとも一方側から見た場合に、
前記高圧力領域と前記低圧力領域において、L
*a
*b
*表色系のa
*値の差をΔa
*、b
*値の差をΔb
*として、下式で色差ΔE
*を算出すると、
ΔE
*
=[(Δa
*
)
2
+(Δb
*
)
2
]
1/2
前記色差ΔE
*が1.45以上であり、
前記低圧力領域は、単一色であり、
前記低圧力領域は、当該低圧力領域内に設けられた伸縮性を備えた部材により伸縮性が付与されており、
前記高圧力領域は、前記低圧力領域の単一色とは異なる単一色である異色部と、前記異色部以外であって前記低圧力領域の単一色と同じ単一色の非異色部とを有し、
前記ベルト部は、前側ベルト部と、後側ベルト部とを有し、
前記前側ベルト部の前記左右方向の両側部と、前記後側ベルト部の前記左右方向の両側部とが、一対の係止部において係止されており、
前記異色部は、前記一対の係止部間に亘って前記左右方向に連続して配置されている、
ことを特徴とするパンツ型使い捨ておむつ。
【請求項2】
請求項1に記載のパンツ型使い捨ておむつであって、
前記ベルト部を前記非肌側から見た場合に、
前記色差ΔE*が1.45以上であることを特徴とするパンツ型使い捨ておむつ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のパンツ型使い捨ておむつであって、
前記高圧力領域は、前記左右方向に伸縮する伸縮性部材を有し、
前記伸縮性部材は、前記低圧力領域と異なる色に着色されていることを特徴とするパンツ型使い捨ておむつ。
【請求項4】
請求項3に記載のパンツ型使い捨ておむつであって、
前記高圧力領域では、前記ベルト部の厚さ方向に複数の資材が積層されており、
前記伸縮性部材は、前記非肌側寄りに配置されていることを特徴とするパンツ型使い捨ておむつ。
【請求項5】
請求項3又は4に記載のパンツ型使い捨ておむつであって、
前記伸縮性部材は、シート状の伸縮性部材であることを特徴とするパンツ型使い捨ておむつ。
【請求項6】
請求項3から5の何れか1項に記載のパンツ型使い捨ておむつであって、
前記高圧力領域において、前記伸縮性部材は、前記上下方向に間隔をあけて複数配置されていることを特徴とするパンツ型使い捨ておむつ。
【請求項7】
請求項3から6の何れか1項に記載のパンツ型使い捨ておむつであって、 前記伸縮性部材は、前記伸縮性部材よりも前記非肌側に配置されているシートと、複数の接合部によって間欠的に接合されており、
前記上下方向における前記伸縮性部材の長さよりも、前記上下方向に隣り合う前記接合部の間隔の方が小さく、かつ、前記左右方向における前記伸縮性部材の長さよりも、前記左右方向に隣り合う前記接合部の間隔の方が小さいことを特徴とするパンツ型使い捨ておむつ。
【請求項8】
請求項1から7の何れか1項に記載のパンツ型使い捨ておむつであって、
前記高圧力領域は、前記低圧力領域と異なる色である異色部と、前記異色部以外の非異色部とを有し、
前記左右方向における前記ベルト部の中央部では端部に比べて、単位面積あたりの前記異色部の割合が高いことを特徴とするパンツ型使い捨ておむつ。
【請求項9】
請求項1から8の何れか1項に記載のパンツ型使い捨ておむつであって、
前記ベルト部は、前側ベルト部と、後側ベルト部とを有し、
前記前側ベルト部の前記左右方向の中央部に位置する前記高圧力領域の上端から前記胴回り開口までの前記上下方向の長さは、前記後側ベルト部の前記左右方向の中央部に位置する前記高圧力領域の上端から前記胴回り開口までの前記上下方向の長さと異なることを特徴とするパンツ型使い捨ておむつ。
【請求項10】
請求項1から9の何れか1項に記載のパンツ型使い捨ておむつであって、
前記ベルト部は、前側ベルト部と、後側ベルト部とを有し、
前記前側ベルト部の前記左右方向の両側部と、前記後側ベルト部の前記左右方向の両側部とが、一対の係止部において係止されており、
前記高圧力領域は、前記前側ベルト部において、第1高圧力領域を有し、
前記第1高圧力領域は、前記一対の係止部間に亘って前記左右方向に連続して配置されており、
前記第1高圧力領域の前記左右方向の中央部は両端部に比べて、下側に位置していることを特徴とするパンツ型使い捨ておむつ。
【請求項11】
請求項10に記載のパンツ型使い捨ておむつであって、
前記高圧力領域は、前記前側ベルト部において、第2高圧力領域を有し、
前記第2高圧力領域は、前記一対の係止部間に亘って前記左右方向に連続して配置されており、
前記第2高圧力領域の前記左右方向の両端部は、前記第1高圧力領域よりも下側に位置し、
前記第2高圧力領域の前記左右方向の中央部の少なくとも一部は、前記第1高圧力領域と重なることを特徴とするパンツ型使い捨ておむつ。
【請求項12】
請求項1から11の何れか1項に記載のパンツ型使い捨ておむつであって、
前記ベルト部は、前側ベルト部と、後側ベルト部とを有し、
前記前側ベルト部の前記左右方向の両側部と、前記後側ベルト部の前記左右方向の両側部とが、一対の係止部において係止されており、
前記高圧力領域は、前記後側ベルト部において、第3高圧力領域を有し、
前記第3高圧力領域は、前記一対の係止部間に亘って前記左右方向に連続して配置されており、
前記第3高圧力領域の前記左右方向の中央部は両端部に比べて、上側に位置していることを特徴とするパンツ型使い捨ておむつ。
【請求項13】
請求項12に記載のパンツ型使い捨ておむつであって、 前記高圧力領域は、前記後側ベルト部において、第4高圧力領域を有し、
前記第4高圧力領域は、前記一対の係止部間に亘って前記左右方向に連続して配置されており、
前記第4高圧力領域の前記左右方向の両端部は、前記第3高圧力領域よりも上側に位置し、
前記第4高圧力領域の前記左右方向の中央部の少なくとも一部は、前記第3高圧力領域と重なることを特徴とするパンツ型使い捨ておむつ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パンツ型使い捨ておむつに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、吸収性本体と、吸収性本体を固定している外包材とを備えたパンツ型使い捨ておむつが開示されている。特許文献1のおむつの外包材は、2枚のシートが積層された構造であり、その2枚のシートとは別の伸縮性シートが配された高装着圧領域を有している。この高装着圧領域を、着用者の腸骨稜から上前腸骨稜にかけての部位に当接させることで、おむつ着用中のずれ落ちを効果的に防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、おむつの着用者や介助者が高装着圧領域(高圧力領域)の位置を把握できない場合、着用者の適切な位置に高装着圧領域が位置するように、おむつの引き上げ具合を調整することが難しい。そうすると、高装着圧領域による効果が得られない恐れがある。逆に、締め付けるべきでない場所(例えば下腹部や臀部の膨らみ部分等)に高装着圧領域が位置して、おむつの着け心地が低下してしまう恐れがある。
【0005】
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであって、高圧力領域を有するパンツ型使い捨ておむつが着用者の適切な位置に装着されるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための主たる発明は、
互いに交差する上下方向と左右方向と前後方向を有し、
ベルト部と、吸収性本体と、を有するパンツ型使い捨ておむつであって、
前記ベルト部は、胴回り開口の縁に沿った伸縮領域の下方において、低圧力領域、及び、高圧力領域を有し、
前記低圧力領域、及び、前記高圧力領域は、隣接し、かつ、前記左右方向に伸縮性を有し、
前記上下方向における単位幅の前記高圧力領域を、前記左右方向に単位長さ伸長させる
ための力は、前記単位幅の前記低圧力領域を、前記左右方向に前記単位長さ伸長させるための力よりも大きく、
前記ベルト部を前記非肌側と前記肌側の少なくとも一方側から見た場合に、前記上下方向における前記高圧力領域の輪郭部は、前記低圧力領域と異なる色であり、
前記ベルト部を前記非肌側と前記肌側の少なくとも一方側から見た場合に、
前記高圧力領域と前記低圧力領域において、L*a*b*表色系のa*値の差をΔa*、b*値の差をΔb*として、下式で色差ΔE*を算出すると、
ΔE
*
=[(Δa
*
)
2
+(Δb
*
)
2
]
1/2
前記色差ΔE*が1.45以上であり、
前記低圧力領域は、単一色であり、
前記低圧力領域は、当該低圧力領域内に設けられた伸縮性を備えた部材により伸縮性が付与されており、
前記高圧力領域は、前記低圧力領域の単一色とは異なる単一色である異色部と、前記異色部以外であって前記低圧力領域の単一色と同じ単一色の非異色部とを有し、
前記ベルト部は、前側ベルト部と、後側ベルト部とを有し、
前記前側ベルト部の前記左右方向の両側部と、前記後側ベルト部の前記左右方向の両側部とが、一対の係止部において係止されており、
前記異色部は、前記一対の係止部間に亘って前記左右方向に連続して配置されている、
ことを特徴とするパンツ型使い捨ておむつである。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、高圧力領域を有するパンツ型使い捨ておむつが着用者の適切な位置に装着されるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】パンツ型使い捨ておむつ1の概略斜視図である。
【
図2】展開かつ伸長状態のおむつ1の概略平面図である。
【
図4】
図4Aは前側ベルト部21及び後側ベルト部22の接合部30の一例を示す図であり、
図4Bは前側ベルト部21及び後側ベルト部22の概略断面図である。
【
図7】高圧力領域60の視認性についての試験結果を示す表である。
【
図8】伸縮性フィルム65に形成された接合部30の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
互いに交差する上下方向と左右方向と前後方向を有し、ベルト部と、吸収性本体と、を有するパンツ型使い捨ておむつであって、前記ベルト部は、胴回り開口の縁に沿った伸縮領域の下方において、低圧力領域、及び、高圧力領域を有し、前記低圧力領域、及び、前記高圧力領域は、隣接し、かつ、前記左右方向に伸縮性を有し、前記上下方向における単位幅の前記高圧力領域を、前記左右方向に単位長さ伸長させるための力は、前記単位幅の前記低圧力領域を、前記左右方向に前記単位長さ伸長させるための力よりも大きく、前記ベルト部を非肌側と肌側の少なくとも一方側から見た場合に、前記高圧力領域の少なくとも一部は、前記低圧力領域と異なる色であることを特徴とするパンツ型使い捨ておむつである。
【0010】
このようなパンツ型使い捨ておむつによれば、ユーザーは高圧力領域の位置を把握でき、着用者の締め付けるべき場所に高圧力領域を位置合わせすることができる。よって、おむつが着用者の適切な位置に装着されるので、高圧力領域による効果が得られる。また、着用者の締め付けるべきでない場所に高圧力領域が位置して、おむつの着け心地が低下してしまうことを抑制できる。
【0011】
かかるパンツ型使い捨ておむつであって、前記ベルト部を前記非肌側と前記肌側の少なくとも一方側から見た場合に、前記上下方向における前記高圧力領域の輪郭部は、前記低圧力領域と異なる色であることを特徴とするパンツ型使い捨ておむつである。
【0012】
このようなパンツ型使い捨ておむつによれば、高圧力領域と低圧力領域の境界が明確となり、ユーザーは高圧力領域の位置をより把握しやすくなる。
【0013】
かかるパンツ型使い捨ておむつであって、前記ベルト部を前記非肌側と前記肌側の少なくとも一方側から見た場合に、前記高圧力領域と前記低圧力領域において、L*a*b*表色系のa*値の差をΔa*、b*値の差をΔb*として、下式で色差ΔE*を算出すると、ΔE*=[(Δa*)2+(Δb*)2]1/2前記色差ΔE*が1.45以上であることを特徴とするパンツ型使い捨ておむつである。
【0014】
このようなパンツ型使い捨ておむつによれば、ユーザーは高圧力領域と低圧力領域を判別できる。
【0015】
かかるパンツ型使い捨ておむつであって、前記ベルト部を前記非肌側から見た場合に、
前記色差ΔE*が1.45以上であることを特徴とするパンツ型使い捨ておむつである。
【0016】
このようなパンツ型使い捨ておむつによれば、非肌側(外側)から高圧力領域が視認可能となるため、高圧力領域がユーザーに認識されやすく、また、着用者の締め付けるべき場所に高圧力領域を位置合わせしやすくなる。
【0017】
かかるパンツ型使い捨ておむつであって、前記高圧力領域は、前記左右方向に伸縮する伸縮性部材を有し、前記伸縮性部材は、前記低圧力領域と異なる色に着色されていることを特徴とするパンツ型使い捨ておむつである。
【0018】
このようなパンツ型使い捨ておむつによれば、ユーザーが認識する高圧力領域と、締め付け圧力が強い領域とが一致するため、高圧力領域による効果が得られやすくなる。
【0019】
かかるパンツ型使い捨ておむつであって、前記高圧力領域では、前記ベルト部の厚さ方向に複数の資材が積層されており、前記伸縮性部材は、前記非肌側寄りに配置されていることを特徴とするパンツ型使い捨ておむつである。
【0020】
このようなパンツ型使い捨ておむつによれば、非肌側(外側)から高圧力領域が視認されやすくなるため、高圧力領域がユーザーに認識されやすく、また、着用者の締め付けるべき場所に高圧力領域を位置合わせしやすくなる。
【0021】
かかるパンツ型使い捨ておむつであって、前記伸縮性部材は、シート状の伸縮性部材であることを特徴とするパンツ型使い捨ておむつである。
【0022】
このようなパンツ型使い捨ておむつによれば、着色された伸縮性部材が面状であることで、高圧力領域において低圧力領域と異なる色の部位の面積が大きくなり、高圧力領域が視認されやすくなる。
【0023】
かかるパンツ型使い捨ておむつであって、前記高圧力領域において、前記伸縮性部材は、前記上下方向に間隔をあけて複数配置されていることを特徴とするパンツ型使い捨ておむつである。
【0024】
このようなパンツ型使い捨ておむつによれば、高圧力領域が縞模様となり、その縞模様がアクセントとなり目立ち、高圧力領域がユーザーに認識されやすくなる。
【0025】
かかるパンツ型使い捨ておむつであって、前記伸縮性部材は、前記伸縮性部材よりも前記非肌側に配置されているシートと、複数の接合部によって間欠的に接合されており、前記上下方向における前記伸縮性部材の長さよりも、前記上下方向に隣り合う前記接合部の間隔の方が小さく、かつ、前記左右方向における前記伸縮性部材の長さよりも、前記左右方向に隣り合う前記接合部の間隔の方が小さいことを特徴とするパンツ型使い捨ておむつである。
【0026】
このようなパンツ型使い捨ておむつによれば、伸縮性部材上において細かい皺(凹凸)が形成されるため、伸縮性部材を視認可能にしつつ、柔らかいおむつである印象をユーザーに付与できる。
【0027】
かかるパンツ型使い捨ておむつであって、前記高圧力領域は、前記低圧力領域と異なる色である異色部と、前記異色部以外の非異色部とを有し、前記左右方向における前記ベルト部の中央部では端部に比べて、単位面積あたりの前記異色部の割合が高いことを特徴とするパンツ型使い捨ておむつである。
【0028】
このようなパンツ型使い捨ておむつによれば、ユーザーに着目されやすいベルト部の左右方向の中央部において、高圧力領域が目立つため、高圧力領域がユーザーに認識されやすくなる。
【0029】
かかるパンツ型使い捨ておむつであって、前記ベルト部は、前側ベルト部と、後側ベルト部とを有し、前記前側ベルト部の前記左右方向の中央部に位置する前記高圧力領域の上端から前記胴周り開口までの前記上下方向の長さは、前記後側ベルト部の前記左右方向の中央部に位置する前記高圧力領域の上端から前記胴周り開口までの前記上下方向の長さと異なることを特徴とするパンツ型使い捨ておむつである。
【0030】
このようなパンツ型使い捨ておむつによれば、視認可能な高圧力領域に基づいて、おむつの前後判断を行える。
【0031】
かかるパンツ型使い捨ておむつであって、前記ベルト部は、前側ベルト部と、後側ベルト部とを有し、前記前側ベルト部の前記左右方向の両側部と、前記後側ベルト部の前記左右方向の両側部とが、一対の係止部において係止されており、前記高圧力領域は、前記前側ベルト部において、第1高圧力領域を有し、前記第1高圧力領域は、前記一対の係止部間に亘って前記左右方向に連続して配置されており、前記第1高圧力領域の前記左右方向の中央部は両端部に比べて、下側に位置していることを特徴とするパンツ型使い捨ておむつである。
【0032】
このようなパンツ型使い捨ておむつによれば、第1高圧力領域によって着用者の腹部を過度に締め付けてしまうことを防止できる。また、第1高圧力領域の左右方向の両端部において、着用者の上前腸骨棘付近を締め付けることができ、着用時のおむつの位置ずれを抑制できる。
【0033】
かかるパンツ型使い捨ておむつであって、前記高圧力領域は、前記前側ベルト部において、第2高圧力領域を有し、前記第2高圧力領域は、前記一対の係止部間に亘って前記左右方向に連続して配置されており、前記第2高圧力領域の前記左右方向の両端部は、前記第1高圧力領域よりも下側に位置し、前記第2高圧力領域の前記左右方向の中央部の少なくとも一部は、前記第1高圧力領域と重なることを特徴とするパンツ型使い捨ておむつである。
【0034】
このようなパンツ型使い捨ておむつによれば、第2高圧力領域によって着用者の腹部を過度に締め付けてしまうことを防止できる。また、第2高圧力領域の左右方向の両端部において、着用者の上前腸骨棘を下方から支持するように締め付けることができ、着用時のおむつの位置ずれを抑制できる。
【0035】
かかるパンツ型使い捨ておむつであって、前記ベルト部は、前側ベルト部と、後側ベルト部とを有し、前記前側ベルト部の前記左右方向の両側部と、前記後側ベルト部の前記左右方向の両側部とが、一対の係止部において係止されており、前記高圧力領域は、前記後側ベルト部において、第3高圧力領域を有し、前記第3高圧力領域は、前記一対の係止部間に亘って前記左右方向に連続して配置されており、前記第3高圧力領域の前記左右方向の中央部は両端部に比べて、上側に位置していることを特徴とするパンツ型使い捨ておむつである。
【0036】
このようなパンツ型使い捨ておむつによれば、第3高圧力領域によって着用者の臀部中央部を過度に締め付けてしまうことを防止できる。
【0037】
かかるパンツ型使い捨ておむつであって、前記高圧力領域は、前記後側ベルト部において、第4高圧力領域を有し、前記第4高圧力領域は、前記一対の係止部間に亘って前記左右方向に連続して配置されており、前記第4高圧力領域の前記左右方向の両端部は、前記第3高圧力領域よりも上側に位置し、前記第4高圧力領域の前記左右方向の中央部の少なくとも一部は、前記第3高圧力領域と重なることを特徴とするパンツ型使い捨ておむつである。
【0038】
このようなパンツ型使い捨ておむつによれば、第4高圧力領域によって着用者の臀部中央部を過度に締め付けてしまうことを防止できる。また、第4高圧力領域の左右方向の両端部において、着用者の上前腸骨棘付近を締め付けることができ、着用時のおむつの位置ずれを抑制できる。
【0039】
===実施形態===
以下、パンツ型使い捨ておむつとして、大人向けのパンツ型使い捨ておむつを例に挙げて実施形態を説明する。ただしこれに限定されず、本発明に係るパンツ型使い捨ておむつは、例えば子供向け(乳幼児用)の使い捨ておむつや生理用ショーツ等としても適用できる。
【0040】
<<おむつ1の基本構成>>
図1は、パンツ型使い捨ておむつ1(以下、おむつ1ともいう)の概略斜視図である。
図2は、展開かつ伸長状態のおむつ1の概略平面図である。
図3は、
図2のI-I線(左右方向の中央)での概略断面図である。
図4Aは、前側ベルト部21及び後側ベルト部22の接合部30の一例を示す図であり、
図4Bは、前側ベルト部21及び後側ベルト部22の概略断面図である。
【0041】
おむつ1は、互いに交差する上下方向、左右方向、及び、前後方向を有するとともに、
図3に示すように、各部材が積層された厚さ方向を有する。上下方向において、着用者の胴側となる側を上側とし、着用者の股下となる側を下側とする。前後方向において、着用者の腹側となる側を前側とし、着用者の背側となる側を後側とする。厚さ方向において、着用者に接する側を肌側とし、その反対側を非肌側とする。
【0042】
おむつ1は、吸収性本体10と、吸収性本体10の非肌側に位置する外装体20とを有している。外装体20は、着用者の腹側に配置される前側ベルト部21(ベルト部)と、着用者の背側に配置される後側ベルト部22(ベルト部)と、それらを繋ぐ股下部23とを有している。
【0043】
なお、本実施形態のおむつ1では外装体20が3部材(前側ベルト部21、後側ベルト部22、及び、股下部23)から構成されているが、これに限らない。例えば、前側ベルト部21、後側ベルト部22、及び、股下部23が連続した1部材で構成されていてもよい。また、股下部23を有さない構成としてもよい。
【0044】
図2に示す展開状態のおむつ1では、吸収性本体10の長手方向の一端側に、前側ベルト部21が位置し、吸収性本体10の長手方向の他端側に、後側ベルト部22が位置している。展開状態のおむつ1において、吸収性本体10が長手方向の略中央で2つ折りされ、前側ベルト部21の左右方向の両側部と後側ベルト部22の左右方向の両側部とが、一対の係止部24において係止されることにより、
図1に示すパンツ型となる。つまり、吸収性本体10の長手方向がおむつ1の上下方向に沿い、前側ベルト部21と後側ベルト部22とが環状につながり、その上端に胴回り開口1aが形成され、また、左右方向の両側に一対の脚回り開口1bが形成される。なお、係止部24による係止方法としては、溶着や接着剤による接合等を例示できる。
【0045】
吸収性本体10は、
図3に示すように、吸収性コア11と、吸収性コア11の肌側に位置する液透過性のトップシート12と、吸収性コア11の非肌側に位置するバックシート13とを有している。本実施形態のバックシート13は、液不透過性シート13a、及び、その非肌側に配された疎水性の液透過性シート(例えば疎水性不織布)13bの二層構造である。
【0046】
吸収性コア11は、尿等の排泄液を吸収して保持する部材であり、例えば高吸収性ポリマー(SAP)が混入したパルプ繊維等の液体吸収性繊維により形成される。図示しないが、吸収性コア11は、ティッシュペーパーや不織布等の液透過性のシートによって、外周面が覆われていてもよい。
【0047】
前側ベルト部21及び後側ベルト部22は、それぞれ
図2に示すように、上下方向において係止部24と重複する部位である胴回り領域211,221と、胴回り領域211,221よりも下側の股下側領域212,222とを有している。
【0048】
股下側領域212,222は略台形形状を成し、下側に向かうにつれて横幅(左右方向の長さ)が狭くなっている。また、前側ベルト部21に比べて後側ベルト部22の方が、股下側領域222が大きく、着用者の臀部を被覆可能となっている。
【0049】
前側ベルト部21及び後側ベルト部22は、それぞれ
図3に示すように、肌側シート213,223と、非肌側シート214,224と、それらの間に位置する伸縮性不織布215,225とを有している。肌側シート213,223及び非肌側シート214,224としては、スパンボンド不織布やSMS不織布等により形成された柔軟なシートを例示できる。また、肌側シート213,223及び非肌側シート214,224は、実質的に伸縮しない非伸縮性シートとする。
【0050】
伸縮性不織布215,225は、少なくともおむつ1の左右方向に伸縮するシートとする。また、伸縮性不織布215,225は、伸縮性繊維と、非伸縮性繊維(すなわち伸縮性繊維よりも収縮性の低い伸長性繊維)を含む不織布とする。
【0051】
伸縮性不織布215,225としては、弾性を有する熱可塑性エラストマーの一種であるポリウレタン系エラストマーの伸縮性繊維と、非弾性を有する熱可塑性樹脂の一種であるポリオレフィン系樹脂のポリプロピレン(PP)の非伸縮性繊維に、ギア延伸等の適宜な延伸処理が施された不織布を例示できる。延伸処理は、互いに直交する方向(おむつ1の左右方向及び上下方向)に延伸処理を行うものであってもよいし、所定方向(おむつ1の左右方向)にのみ延伸処理を行うものであってもよい。なお、所定方向にのみ延伸処理を行った場合、所定方向の伸縮性が発現されるが、すべての繊維の配向が所定方向に沿っているとは限らないため、所定方向と直交する方向にも伸縮性が発現される。
【0052】
そして、肌側シート213,223、非肌側シート214,224、及び、伸縮性不織布215,225は、伸縮性不織布215,225が左右方向に伸長している状態で、接合部30により接合されている。
図4Aに示すように、接合部30は、おむつ1の左右方向及び上下方向に点在しているとよい。そうすることで、おむつ1が収縮すると、接合部30の間において、肌側シート213,223及び非肌側シート214,224はたくれて、厚さ方向の外側に突出した凸部を形成する。一方、伸縮性不織布215,225は、伸縮性繊維が非伸縮性繊維を絡めつつ(集めつつ)収縮するため、厚さ方向に広がる。そのため、凸部は伸縮性不織布215,225の繊維に支持されて潰れにくくなり、凸部のクッション性が高まる。よって、前側ベルト部21及び後側ベルト部22の着用者への肌当たりを良くすることができる。また、視覚的にも柔らかいおむつ1である印象をユーザーに付与できる。
【0053】
また、股下部23も、前側ベルト部21及び後側ベルト部22と同様に、肌側シート231と非肌側シート232の間に伸縮性不織布233が配置された構成とする。ただし、股下部23の構成は特に限定されず、例えば、肌側シート231を有さずに、吸収性本体10と非肌側シート232の間に伸縮性不織布233が配置された構成であってもよい。
【0054】
<<高圧力領域60について>>
図5は、前側ベルト部21の概略平面図である。
図6は、後側ベルト部22の概略平面図である。
【0055】
前側ベルト部21及び後側ベルト部22は、上下方向に係止部24と重複する胴回り領域211,221において、ウェスト伸縮領域40と、低圧力領域50と、高圧力領域60とを有する。
【0056】
ウェスト伸縮領域40は、胴回り開口1aの縁に沿った伸縮領域であり、おむつ1の左右方向に伸縮する糸ゴム41が上下方向に間隔をあけて複数配置されている。ウェスト伸縮領域40は、
図3に示すように伸縮性不織布215,225が配置されていない構成であってもよいし、伸縮性不織布と糸ゴム41が積層された構成(不図示)であってもよい。
【0057】
低圧力領域50、及び、高圧力領域60は、ウェスト伸縮領域40の下方に配置された領域であり、互いに隣接し、かつ、左右方向に伸縮性を有する。低圧力領域50は、肌側シート213,223と非肌側シート214,224の間に伸縮性不織布215,225が配置された領域である。高圧力領域60は、肌側シート213,223と非肌側シート214,224の間に、伸縮性不織布215,225と、伸縮性フィルム65が配置された領域である。伸縮性フィルム65は、少なくともおむつ1の左右方向に伸縮するシートである。
【0058】
伸縮性フィルム65としては、ウレタンやスチレンのようなエストラマー樹脂を溶融し、均一厚さのシート状とした伸縮性を有する弾性部材を例示できる。また、例えば、エラストマー層の表面と裏面にポリオレフィン層を一体化した伸縮性フィルムでもよい。この伸縮性フィルムを用いる場合は、ポリオレフィン層が伸縮性を持たないため、予めフィルムに延伸をかけることで伸縮性を発現させることができる。表面にポリオレフィン層があることで、ポリオレフィン繊維不織布との溶着がしやすくなるという利点がある。
【0059】
高圧力領域60は、伸縮性フィルム65が配置されている分だけ、低圧力領域50に比べて、おむつ着用時の締め付け圧力が高くなる。詳しくは、上下方向における単位幅の高圧力領域60を、左右方向に単位長さ伸長させるための力は、上下方向における単位幅の低圧力領域50を、左右方向に単位長さ伸長させるための力よりも大きい。つまり、上下方向における単位幅の高圧力領域60において左右方向に働く収縮力が、上下方向における単位幅の低圧力領域50において左右方向に働く収縮力よりも大きく、高圧力領域60は着用者に強く密着する。
【0060】
ただし、高圧力領域60の全域に伸縮性フィルム65が配置されるに限らない。例えば、
図5や
図6に示すように、左右方向に延びた複数の伸縮性フィルム65a~65f,65A~65Fが上下方向に間隔を空けて配置されていてもよい。その場合、同じ形状(同じ軌跡)で配置されている複数の伸縮性フィルム65のうち、最も上側に位置する伸縮性フィルム65の上端と、最も下側に位置する伸縮性フィルム65の下端と、一対の係止部24で囲われた領域を1つの高圧力領域とする。
【0061】
具体的に説明すると、前側ベルト部21は、
図5に示すように、下側に凸となる形状の3本の伸縮性フィルム65a~65cが配置されている「第1高圧力領域61」(abcdで囲われた領域)と、おむつ1の左右方向に水平な3本の伸縮性フィルム65d~65fが配置されている「第2高圧力領域62」(efghで囲われた領域)を有する。
【0062】
一方、後側ベルト部22は、
図6に示すように、上側に凸となる形状の3本の伸縮性フィルム65A~65Cが配置されている「第3高圧力領域63」(ijklで囲われた領域)と、おむつ1の左右方向に水平な3本の伸縮性フィルム65D~65Fが配置されている「第4高圧力領域64」(mnopで囲われた領域)を有する。
【0063】
また、本実施形態の前側ベルト部21及び後側ベルト部22では、ウェスト伸縮領域40よりも下方の全域に伸縮性不織布215,225が配置されている(
図3参照)。そのため、前側ベルト部21の胴周り領域211であり、かつ、ウェスト伸縮領域40の下方の領域のうち、第1高圧力領域61及び第2高圧力領域62以外の領域を、低圧力領域50とする。同様に、後側ベルト部22の胴周り領域221であり、かつ、ウェスト伸縮領域40の下方の領域のうち、第3高圧力領域63及び第4高圧力領域64以外の領域を、低圧力領域50とする。ただし、前側ベルト部21及び後側ベルト部22が脚周り開口1bに沿う脚周り用糸ゴム27を有する場合、脚周り用糸ゴム27が配置されている部位は低圧力領域50から除くものとする。
【0064】
なお、上下方向における単位幅の高圧力領域60を、左右方向に単位長さ伸長させるための力と、上下方向における単位幅の低圧力領域50を、左右方向に単位長さ伸長させるための力の比較は、周知の方法で行うとよい。例えば、後側ベルト部22又は前側ベルト部21から高圧力領域60及び低圧力領域50の全て又は一部をそれぞれサンプルとして切り出す。そして、各サンプルの上下方向の長さの平均値を算出する。また、引張試験機のチャックに、おむつ1の左右方向に対応するサンプルの両端部を挟ませる。チャック間を単位長さ離してサンプルを伸長させた状態で得られる荷重を測定する。そして、各サンプルの荷重を、各サンプルの上下方向の長さの平均値で除した値を比較するとよい。なお、低圧力領域50として、脚周り用糸ゴム27が配置されている部位を含む範囲で切り出す場合、脚周り用糸ゴム27は伸縮性が発現しないようにした状態で荷重を測定する。
【0065】
また、高圧力領域60は、低圧力領域50に比べて締め付け圧力が高ければよく、伸縮性不織布215,225に伸縮性フィルム65が積層された構成であるに限らない。例えば、前側ベルト部21及び後側ベルト部22の広い範囲に亘って糸状弾性部材を上下方向に間隔を空けて配置して低圧力領域50を形成し、高圧力領域60を形成する部位には、前記糸状弾性部材に重ねて、別の伸縮性部材(伸縮性フィルム、伸縮性不織布、糸状弾性部材等)を配置してもよい。逆に、前側ベルト部21及び後側ベルト部22の広い範囲に亘ってシート状の伸縮性部材(伸縮性フィルム、伸縮性不織布)を配置して低圧力領域50を形成し、高圧力領域60を形成する部位には、前記シート状の伸縮性部材に重ねて糸状弾性部材を配置してもよい。また、前側ベルト部21及び後側ベルト部22の広い範囲に亘って伸縮性フィルムを配置して低圧力領域50を形成し、高圧力領域60を形成する部位には、前記伸縮性フィルムに重ねてシート状の伸縮性部材(伸縮性フィルム、伸縮性不織布)を配置してもよい。また、低圧力領域50と高圧力領域60の構成を同じにし、低圧力領域50の伸縮性部材の伸長倍率に比べて、高圧力領域60の伸縮性部材の伸長倍率を高めてもよい。
【0066】
以上のように、前側ベルト部21及び後側ベルト部22には、部分的に高圧力領域60が設けられている。そのため、着用者の締め付けるべき場所(例えば、おむつ1のずれ落ちを防止する場所や、着用者の動きをサポートする場所等)を高圧力領域60によって締め付けることができる。また、低圧力領域50も伸縮性を有する。そのため、着用者の締め付けるべき場所以外は、低圧力領域50を適度に密着させることができる。よって、着用者の過度な締め付けを防ぎつつ、おむつ1のフィット性を向上させることができる。
【0067】
さらに、本実施形態のおむつ1では、肌側シート213,223、非肌側シート214,224、及び、伸縮性不織布215,225を白色のシートとし、伸縮性フィルム65を有色のシート(例えば紫色、青色、ピンク色等に着色されたシート)とする。つまり、伸縮性フィルム65の色と、それ以外のシートの色とを異ならせる。そうすることで、前側ベルト部21及び後側ベルト部22を非肌側と肌側の少なくとも一方側から見た場合に、伸縮性フィルム65を有する高圧力領域60の一部は、低圧力領域50と異なる色となる。
【0068】
このように高圧力領域60を視認可能にすることで、おむつ1のユーザー(着用者や介助者)は、おむつ1における高圧力領域60の位置を把握できる。そのため、ユーザーは、着用者の締め付けるべき場所に高圧力領域60が位置していることを確認しながら、おむつ1の引き上げ具合を調整できる。よって、おむつ1が着用者の適切な位置に正しく装着され、高圧力領域60による効果(おむつ1のずれ落ち防止や着用者の動きのサポート等)が得られる。また、着用者の締め付けるべきでない場所(例えば下腹部や臀部の膨らみ部分)に高圧力領域60が位置して、おむつ1の着け心地が低下してしまうことを防止できる。
【0069】
より好ましくは、前側ベルト部21及び後側ベルト部22を非肌側と肌側の少なくとも一方側から見た場合に、おむつ1の上下方向における高圧力領域60の輪郭部が、低圧力領域50と異なる色であるとよい。例えば、前側ベルト部21の第1高圧力領域61の場合、上端部に、着色された伸縮性フィルム65aが位置し、下端部に、着色された伸縮性フィルム65cが位置している。第2~第4高圧力領域62~64も同様に、上端部と下端部に着色された伸縮性フィルム65が位置している。
【0070】
そうすることで、高圧力領域60と低圧力領域50の境界が明確となり、ユーザーは高圧力領域60の位置をより把握しやすくなる。よって、おむつ1が着用者の適切な位置に装着されやすくなる。
【0071】
なお、高圧力領域60の少なくとも一部と低圧力領域50とが異なる色であればよく、高圧力領域60の輪郭部以外の一部が異なる色であってもよいし、高圧力領域60の全領域が異なる色であってもよい。また、高圧力領域60が着色されるに限らない。つまり、高圧力領域60を構成する資材が白色であり、低圧力領域50を構成する資材が有色に着色されていてもよい。また、高圧力領域60と低圧力領域50が白以外の互いに異なる色に着色されていてもよい。
【0072】
図7は、高圧力領域60の視認性についての試験結果を示す表である。高圧力領域60と低圧力領域50が異なる色とは、具体的にどの程度の色差であれば、高圧力領域60の位置が把握されるかについて、試験を行った。まず、種々の構成であるベルト部のサンプル1~6を準備した。サンプル1~6の構成は以下の通りである。
【0073】
サンプル1は、肌側シート213,223及び非肌側シート214,224として、坪量27g/m
2、スパンボンド不織布を使用した。伸縮性不織布215,225として、坪量28g/m
2、伸長倍率2.3倍のものを使用した。また、非肌側シート214,224と伸縮性不織布215,225の間の一部に、濃ベージュの伸縮性フィルム65を配置した。伸縮性フィルム65の配置は
図2に示す配置である(他のサンプルも同様)。
【0074】
サンプル2は、伸縮性フィルム65の色を薄ベージュとし、それ以外の構成はサンプル1と同じとした。
【0075】
サンプル3は、肌側シート213,223及び非肌側シート214,224として、坪量20g/m2、スパンボンド不織布を使用した。伸縮性不織布215,225として、坪量28g/m2、伸長倍率2.3倍のものを使用した。また、非肌側シート214,224と伸縮性不織布215,225の間の一部に、濃ベージュの伸縮性フィルム65を配置した。
【0076】
サンプル4は、伸縮性フィルム65の色を薄ベージュとし、それ以外の構成はサンプル3と同じとした。
【0077】
サンプル5は、肌側シート213,223及び非肌側シート214,224として、坪量19g/m2、サンプル1~4に比べて白色顔料(酸化チタン)の含有率が低いスパンボンド不織布を使用した。伸縮性不織布215,225として、坪量28g/m2、伸長倍率2.3倍のものを使用した。また、非肌側シート214,224と伸縮性不織布215,225の間の一部に、濃ベージュの伸縮性フィルム65を配置した。
【0078】
サンプル6は、伸縮性フィルム65の色を薄ベージュとし、それ以外の構成はサンプル5と同じとした。
【0079】
そして、サンプル1~6をそれぞれ肌側から見た場合と非肌側から見た場合とで、高圧力領域60と低圧力領域50を判別できるかについて、被験者に評価してもらった。なお、サンプル1~6を適応サイズのドールに履かせた状態で、被験者に評価してもらった。高圧力領域60と低圧力領域50を判別できる場合には「○」、判別できるが分かり難い場合には「△」、判別できない場合には「×」と、3段階で評価してもらった。おむつ1は大人用のおむつであるため、被験者(A~E)は30代~50代の成人男女5名とした。試験は屋内の蛍光灯下(照度407Lx)で、サンプル1~6と被験者との水平距離を40cm離して行った。
【0080】
また、サンプル1~6をそれぞれ肌側から見た場合と非肌側から見た場合とで、高圧力領域60と低圧力領域50の色差ΔE*を測定した。
【0081】
色差ΔE*の測定は、色差計(今回は日本電色工業株式会社製の測色色差計ZE-6000)を用いて行った。測定方式は反射、試料口は直径30mmとした。まず、測定対象のサンプル(おむつ1のベルト部)を自然状態で載置した。非肌側からの色差ΔE*を測定する場合には、サンプルの非肌側面を上にし、肌側からの色差ΔE*を測定する場合には、サンプルの肌側面を上にして測定を行った。
【0082】
そして、高圧力領域60におけるランダムな複数箇所(今回は5カ所)について測定を行い、それぞれの測定結果(L*a*b*表色系のa*値、b*値)を取得した。複数箇所の測定結果の平均値を、その高圧力領域60の測定結果とした。同様に、低圧力領域50におけるランダムな複数箇所(今回は5カ所)について測定を行い、それぞれの測定結果(a*値、b*値)を取得した。複数箇所の測定結果の平均値を、その低圧力領域50の測定結果とした。
【0083】
また、高圧力領域60において低圧力領域50と異なる色の部分(有色の伸縮性フィルム65の配置部分)が一部分である場合、低圧力領域50との異色部と非異色部とが混在する測定箇所が、ランダムな複数の測定箇所の中に含まれるようにする。
【0084】
そして、高圧力領域60の測定結果と低圧力領域50の測定結果に基づき、下記の式により色差ΔE*を算出する。
ΔE*=[(Δa*)2+(Δb*)2]1/2
【0085】
なお、一般的な色差の定義にはL*値(明度)も含まれる。ただし、おむつの場合、不織布の積層枚数の違いによりL*値が変化しやすく、その結果、色差が変化する。そのため、L*値を含んで算出した色差が、実際に目で見た色の違いとずれる恐れがある。そのため、L*値は除いて色差ΔE*を算出する。
【0086】
以上の試験結果を
図7の表にまとめた。全ての被験者(A~E)が、高圧力領域60と低圧力領域50を判別できる(○)とした色差ΔE
*(サンプル)について、高圧力領域60の視認性を「○」とした。表の結果から、色差ΔE
*が「1.45」以上である場合に、高圧力領域60の視認性が「○」となっている。
【0087】
そこで、前側ベルト部21及び後側ベルト部22を非肌側と肌側の少なくとも一方側から見た場合に、高圧力領域60と低圧力領域50において、L*a*b*表色系のa*値の差をΔa*、b*値の差をΔb*として、下式で色差ΔE*を算出したときに、
ΔE*=[(Δa*)2+(Δb*)2]1/2
色差ΔE*が1.45以上であるとよい。
【0088】
そうすることで、高圧力領域60と低圧力領域50が判別されやすく、ユーザーは高圧力領域60の位置を把握しやすくなる。よって、おむつ1が着用者の適切な位置に装着されやすくなる。なお、色差ΔE*の測定方法は、上記の試験で説明した方法、又は、それと同等の方法で行うとする。
【0089】
また、ここまで、前側ベルト部21及び後側ベルト部22を非肌側と肌側の少なくとも一方側から見た場合に、高圧力領域60と低圧力領域50が異なる色であればよいとしている。ただし、より好ましくは、前側ベルト部21及び後側ベルト部22を非肌側(外側)から見た場合に、高圧力領域60の少なくとも一部と低圧力領域50が異なる色であるとよい、つまり、高圧力領域60と低圧力領域50の色差ΔE*が1.45以上であるとよい。
【0090】
そうすることで、おむつ1が高圧力領域60を有することを、ユーザーに認識されやすくなり、ユーザーは高圧力領域60を意識しながら、おむつ1を装着しやすくなる。また、非肌側から高圧力領域60の位置を把握できることで、着用者の締め付けるべき場所に高圧力領域60を位置合わせしやすくなる。よって、おむつ1が着用者の適切な位置に装着されやすくなる。
【0091】
また、高圧力領域60を形成する伸縮性部材、すなわち本実施形態における伸縮性フィルム65が、低圧力領域50と異なる色に着色されていることが好ましい。そうすることで、ユーザーが高圧力領域60と認識する領域と、実際に締め付け圧力が高い領域とが一致する。そのため、着用者の締め付けるべき場所に伸縮性フィルム65が位置合わせされ、高圧力領域60による効果が得られやすくなる。
【0092】
ただし、上記に限定されない。高圧力領域60に配置されている別の資材(肌側シート213,223、非肌側シート214,224、伸縮性不織布215,225)の少なくとも1つが、低圧力領域50と異なる色に着色されていてもよい。この場合、例えば、伸縮性フィルム65が上下方向に間欠に配置されている場合でも、高圧力領域60の全域を着色できる。また、高圧力領域60の全域に伸縮性フィルム65が配置されている場合にも、高圧力領域60の一部分(例えば輪郭部分)を着色できる。
【0093】
また、伸縮性フィルム65が着色されている場合、前側ベルト部21及び後側ベルト部22の厚さ方向に積層されている複数の資材のうち、非肌側寄りに伸縮性フィルム65が配置されていることが好ましい。本実施形態では、
図3に示すように、非肌側シート214,224と伸縮性不織布215,225の間に伸縮性フィルム65が配置されている。
【0094】
そうすることで、非肌側からの高圧力領域60の視認性が高まる。よって、高圧力領域60がユーザーに認識されやすくなり、また、着用者の締め付けるべき場所に高圧力領域60を位置合わせしやすくなる。ただし、上記に限定されず、非肌側シート214,224よりも肌側シート213,223寄りに伸縮性フィルム65が配置されていてもよい。
【0095】
また、高圧力領域60を形成する着色された伸縮性部材は、本実施形態の伸縮性フィルム65のように、シート状の伸縮性部材であることが好ましい。そうすることで、伸縮性部材が糸ゴムである場合に比べて、低圧力領域50と異なる色である異色部の面積が大きくなる。そのため、高圧力領域60が目立ち、ユーザーに認識されやすくなる。また、着用者の締め付けるべき場所に高圧力領域60を位置合わせしやすくなる。
【0096】
また、高圧力領域60を形成する伸縮性部材がシート状の伸縮性部材である場合、高圧力領域60は面で着用者に強く密着でき、局所的な締め付けを防止できる。よって、おむつ1の着け心地を良くすることができ、また、着用者の肌に伸縮性部材の痕が残り難くなる。
【0097】
また、高圧力領域60を形成する着色された伸縮性部材(伸縮性フィルム65)は、上下方向に間隔をあけて複数配置されていることが好ましい。そうすることで、高圧力領域60において縞模様が形成され、その縞模様がアクセントとなり目立ち、高圧力領域60がユーザーに認識されやすくなる。また、高圧力領域60が部分的に着色されていることで、おむつ1の締め付けが強過ぎるとユーザーに認識されてしまう恐れを防止できる。
【0098】
図8は、伸縮性フィルム65に形成された接合部30の説明図である。前述の
図4Bに示すように、着色された伸縮性フィルム65は、伸縮性フィルム65よりも非肌側に配置されているシート(本実施形態の場合には非肌側シート214,224)と、複数の接合部30によって間欠的に接合されているとよい。
【0099】
そうすることで、接合部30の間において非肌側シート214,224が伸縮性フィルム65から浮き、非肌側シート214,224による皺(凹凸)が発生する。そのため、伸縮性フィルム65を視認可能にしつつ、伸縮性フィルム65が目立ち過ぎてしまうことを防止できる。つまり、伸縮性フィルム65の硬さを皺によって軽減できる。ゆえに、柔らかく、着け心地が良いおむつ1である印象をユーザーに付与できる。
【0100】
さらに、
図8に示すように、上下方向における伸縮性フィルム65の長さ(幅)W1よりも、上下方向に隣り合う接合部30の間隔W2の方が小さく(W1>W2)、かつ、左右方向における伸縮性フィルム65の長さ(本実施形態の場合には一対の係止部24間の長さ)よりも、左右方向に隣り合う接合部30の間隔L0の方が小さいことが好ましい。
【0101】
そうすることで、伸縮性フィルム65の上下方向の範囲内に複数の接合部30が配置され、伸縮性フィルム65の左右方向の範囲内に複数の接合部30が配置される。そのため、非肌側シート214,224による皺がより細かく発生する。よって、柔らかく、着け心地が良いおむつ1である印象をユーザーに付与できる。
【0102】
ただし、上記に限らず、伸縮性フィルム65の全域が非肌側シート214,224に接合されていてもよい。その場合、伸縮性フィルム65が目立ち、高圧力領域60の視認性が高まる。
【0103】
なお、伸縮性フィルム65の長さと接合部30の間隔を比較する場合、前側ベルト部21や後側ベルト部22を皺なく伸長させた状態において行うとよい。具体的には、前側ベルト部21や後側ベルト部22を構成する部材(例えば肌側シート214,224等)の寸法がその部材単体の寸法と一致又はそれに近い長さになるまで伸長させた状態である。後述する他の長さや位置の比較についても同様である。
【0104】
また、高圧力領域60の一部が低圧力領域50と異なる色である場合、高圧力領域60は、低圧力領域50と異なる色である異色部66(伸縮性フィルム65の配置部)と、異色部66以外の非異色部67とを有する。この場合、前側ベルト部21及び後側ベルト部22の少なくとも一方において、左右方向の中央部では端部に比べて、単位面積あたりの異色部67の割合が高いことが好ましい。
【0105】
例えば、
図5に示すように、前側ベルト部21では、左右方向の中央部において、第1高圧力領域61及び第2高圧力領域62の互いの一部が重なっており、左右方向の端部では、第1高圧力領域61と第2高圧力領域62が離間している。よって、左右方向の中央部において、単位面積あたりの異色部67の割合が高くなっている。後側ベルト部22も同様である。
【0106】
前側ベルト部21や後側ベルト部22の左右方向の中央部は端部に比べて、ユーザーに着目されやすく、その中央部において、単位面積あたりの異色部66割合を高くすることで、高圧力領域60がユーザーに認識されやすくなる。ただし、上記に限定されず、例えば、単位面積あたりの異色部66の割合は、一定であってもよいし、左右方向の両端部の方が中央部よりも高くてもよい。
【0107】
また、
図5及び
図6に示すように、前側ベルト部21の左右方向の中央部に位置する高圧力領域60の上端60aから胴周り開口1aまでの上下方向の長さL1は、後側ベルト部22の左右方向の中央部に位置する高圧力領域60の上端60aから胴周り開口1aまでの上下方向の長さL2と異なるとよい。
【0108】
そうすることで、ユーザーは、視認可能な高圧力領域60の上下方向の位置に基づいて、おむつ1の前後判断を行える。よって、おむつ1が前後正しく装着される。
【0109】
なお、前述の単位面積あたりの異色部67の割合や、高圧力領域60から胴周り開口1aまでの長さ(L1,L2)の関係については、少なくとも、一対の係止部24(ベルト部の左右方向の両端部)と、一対の係止部24の中央(ベルト部の左右方向の中央部)において、成立しているとよい。好ましくは、一対の係止部24それぞれから一対の係止部24間の1/3の長さの両端部と、その間の中央部において、成立しているとよい。
【0110】
また、高圧力領域60の方が、低圧力領域50よりも収縮率が高い方がよい。収縮率とは、高圧力領域60及び低圧力領域50を皺なく左右方向に伸長させた状態の左右方向の長さをaとし、高圧力領域60及び低圧力領域50の自然状態の左右方向の長さをbとした場合に、次式「(a-b)/a×100(%)」で算出される値である。そうすることで、高圧力領域60が着色されている場合に、おむつ1の自然状態において、高圧力領域60の色が比較的に濃くなる。そのため、高圧力領域60がユーザーに認識されやすくなる。
【0111】
また、高圧力領域60において着色されているシート(ここでは伸縮性フィルム65)以外のシートの光線透過率を比較的に高くするとよい(例えば50%以上にするとよい)。その他、着色されているシート以外のシートが含有する白色顔料(例えば酸化チタン等)の量を低くするとよい(例えば10%未満にするとよい)。そうすることで、前側ベルト部21及び後側ベルト部22の非肌側や肌側から、着色されたシートが透けて見えやすくなり、高圧力領域60がユーザーに認識されやすくなる。
【0112】
次に、第1~第4高圧力領域61~64の形状について具体的に説明する。
図5に示すように、前側ベルト部21が有する第1高圧力領域61は、一対の係止部24間に亘って左右方向に連続して配置されており、第1高圧力領域61の左右方向の中央部は両端部に比べて、下側に位置している。詳説すると、第1高圧力領域61は、左右方向の両端部から中央部に向かって徐々に下側に傾斜している。
【0113】
そのため、第1高圧力領域61によって着用者の腹部を過度に締め付けてしまうことを防止できる。また、低圧力領域50が着用者の腹部に適度に密着できるため、おむつ1の着け心地を良くすることができる。また、第1高圧力領域61の左右方向の両端部において、着用者の上前腸骨棘付近を締め付けることができ、着用時のおむつ1の位置ずれを抑制できる。
【0114】
また、前側ベルト部21が有する第2高圧力領域62も、一対の係止部24間に亘って左右方向に連続して配置されており、第2高圧力領域62の左右方向の両端部は、第1高圧力領域61よりも下側に位置し、第2高圧力領域62の左右方向の中央部の少なくとも一部は、第1高圧力領域61と重なっている。
【0115】
つまり、第2高圧力領域62の左右方向の中央部は、第1高圧力領域61と同様に比較的に下側に位置する。そのため、第2高圧力領域62によって着用者の腹部を過度に締め付けてしまうことを防止できる。また、第2高圧力領域62の左右方向の両端部では、着用者の上前腸骨棘を下から支持するように締め付けることができ、着用時のおむつ1の位置ずれを抑制できる。
【0116】
一方、
図6に示すように、後側ベルト部22が有する第3高圧力領域63は、一対の係止部24間に亘って左右方向に連続して配置されており、第3高圧力領域63の左右方向の中央部は両端部に比べて、上側に位置している。詳説すると、第3高圧力領域63は、左右方向の両端部から中央部に向かって徐々に上側に傾斜している。
【0117】
そのため、着用者の動きが大きい臀部中央部を、第3高圧力領域63によって過度に締め付けてしまうことを防止できる。また、低圧力領域50が着用者の臀部中央部に適度に密着できるため、おむつ1の着け心地を良くすることができる。また、臀部中央部に高圧力領域60が位置していると、臀部の中央部の動きや膨らみによって高圧力領域60が位置ずれし、その結果、おむつ1が位置ずれする恐れがある。これに対して、第3高圧力領域63は、臀部中央部を上側から部分的に囲うように配置されているため、位置ずれし難い。また、第2高圧力領域62と同様に、第3高圧力領域63の左右方向の両端部では、着用者の上前腸骨棘を下から支持するように締め付けることができ、着用時のおむつ1の位置ずれを抑制できる。
【0118】
また、後側ベルト部22が有する第4高圧力領域64も、一対の係止部24間に亘って左右方向に連続して配置されており、第4高圧力領域64の左右方向の両端部は、第3高圧力領域63よりも上側に位置し、第4高圧力領域64の左右方向の中央部の少なくとも一部は、第3高圧力領域63と重なっている。
【0119】
つまり、第4高圧力領域64の左右方向の中央部は、第3高圧力領域63と同様に比較的に上側に位置する。そのため、第4高圧力領域64によって着用者の臀部中央部を過度に締め付けてしまうことを防止できる。また、第4高圧力領域64の左右方向の両端部は、比較的に上側に位置するため、第1高圧力領域61と同様に、着用者の上前腸骨棘付近を締め付けることができ、着用時のおむつ1の位置ずれを抑制できる。
【0120】
なお、第1~第4高圧力領域61~64の位置関係については、少なくとも、一対の係止部24(高圧力領域の左右方向の両端部)と、一対の係止部24の中央(高圧力領域の左右方向の中央部)において、成立しているとよい。好ましくは、一対の係止部24それぞれから一対の係止部24間の1/3の長さの両端部と、その間の中央部において、成立しているとよい。
【0121】
また、係止部24において、第1高圧力領域61と第4高圧力領域64の上下方向の一部又は全部の位置が揃っているとよい。同様に、係止部24において、第2高圧力領域62と第3高圧力領域63の上下方向の一部又は全部の位置が揃っているとよい。そうすることで、環状の高圧力領域60が形成される。よって、おむつ1が着用者の胴回りにフィットし、おむつ1の位置ずれを抑制できる。
【0122】
また、前側ベルト部21及び後側ベルト部22の左右方向の中央において、第4高圧力領域64の下端が、第1高圧力領域61の下端よりも上側に配置されており、第3高圧力領域63の下端が、第2高圧力領域62の下端よりも上側に配置されている。これにより、下腹部を斜め上に締めることができ、腹腔内圧を高めることができる。そのため、骨盤周りの筋肉(腹筋など)の働きを補助でき、骨盤を安定させることができる。
【0123】
また、後側ベルト22において、左右方向の両端部の方が中央部に比べて、第4高圧力領域64の上端から第3高圧力領域63の下端までの上下方向の長さが長く、かつ、第3高圧力領域63の下端が下方に位置している。さらに、後側ベルト部22の左右方向の中央部から両端部に向かって、第3高圧力領域63の下端が徐々に下方に傾斜している。つまり、第3,第4高圧力領域63,64が中臀筋の形状に合わせた配置となっている。そのため、おむつ1の着用時に、第3,第4高圧力領域63,64が着用者の中臀筋を締め付けることができ、中臀筋の動きを補助できる。その結果、歩行等の動作時の骨盤が安定し、着用者の動作(歩行)をサポートできる。
【0124】
そして、本実施形態のおむつ1では、上記のように着用者の体型に合わせた高圧力領域60を、低圧力領域50と異なる色にして視認可能にする。そのため、ユーザーは、動きやすく着け心地が良く、位置ずれし難い着用者の位置に、おむつ1を装着できる。よって、高圧力領域60による効果がより確実に得られる。
【0125】
ただし、
図5及び
図6に示す高圧力領域60は一例であり、高圧力領域60の数、形状、配置等は、特に限定されない。例えば、おむつ1が第1~第4高圧力領域61~64の何れか1つ又は複数を有していてもよい。また、前側ベルト部21及び後側ベルト部22の一方のみが高圧力領域60を有し、他方は高圧力領域60を有していなくてもよい。
【0126】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。また、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更や改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれるのはいうまでもない。
【符号の説明】
【0127】
1 おむつ(パンツ型使い捨ておむつ)、
1a 胴周り開口、1b 脚周り開口、
10 吸収性本体、11 吸収性コア、
12 トップシート、13 バックシート、
20 外装体、
21 前側ベルト部(ベルト部)、22 後側ベルト部(ベルト部)、
213、223 肌側シート、214、224 非肌側シート、
215、225 伸縮性不織布、
23 股下部、24 係止部、27 脚周り用糸ゴム、
30 接合部、
40 ウェスト伸縮領域(伸縮領域)、41 糸ゴム、
50 低圧力領域、
60 高圧力領域、
61 第1高圧力領域、62 第2高圧力領域、
63 第3高圧力領域、64 第4高圧力領域、
65 伸縮性フィルム(伸縮性部材)、
66 異色部、67 非異色部、