(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-16
(45)【発行日】2022-12-26
(54)【発明の名称】テーパー状の傾斜したフィンを作製するための制御されたハードマスク成形
(51)【国際特許分類】
G02B 5/18 20060101AFI20221219BHJP
G02B 27/02 20060101ALI20221219BHJP
【FI】
G02B5/18
G02B27/02 Z
(21)【出願番号】P 2021522948
(86)(22)【出願日】2019-10-24
(86)【国際出願番号】 US2019057950
(87)【国際公開番号】W WO2020092133
(87)【国際公開日】2020-05-07
【審査請求日】2021-07-08
(32)【優先日】2018-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】M/S 1269,3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ゴデット, ルドヴィーク
(72)【発明者】
【氏名】マイヤー ティマーマン タイセン, ラトガー
【審査官】酒井 康博
(56)【参考文献】
【文献】特開平01-231327(JP,A)
【文献】特開2018-037648(JP,A)
【文献】特開2010-096958(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0118604(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0182623(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/18
G02B 27/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板であって、パターニングされた多層マスクが、前記基板上に配置され、前記パターニングされた多層マスクが、
前記基板または前記基板上に配置されたデバイス層の露出部分を画定する2つ以上の最初の突起であって、各最初の突起が、前記基板上に配置された底面における後縁を有する、最初の突起を有する、前記基板上に配置された最初のパターニングされたマスクと、
前記最初のパターニングされたマスクの各最初の突起上に配置された2つ以上の後続の突起であって、各後続の突起が、各後続の突起の上面における前縁と、前記上面から各最初の突起までの高さ
と、を含む、後続の突起を有する少なくとも1つの後続のパターニングされたマスクと、
を含む、基板を、前記基板の表面の表面法線に対して
傾斜したイオン角度のイオンに曝露して、前記基板または前記基板上に配置された前記デバイス層の材料を除去して、複数の深さのうちの最初の深さを形成することと、
前記基板を前記イオン角度のイオンに曝露して、前記基板または前記デバイス層の材料を除去することを繰り返して、前記基板または前記デバイス層内に前記複数の深さのうちの少なくとも1つの後続の深さを形成することと、
を含む方法。
【請求項2】
前記最初のパターニングされたマスクが、第1の侵食速度を有する第1の材料を含み、前記少なくとも1つの後続のパターニングされたマスクが、第2の侵食速度を有する第2の材料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記基板を前記イオン角度のイオンに曝露した後に、エッチングプロセスを実行することを、さらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記エッチングプロセスのエッチング化学物質に基づいて、前記第2の侵食速度が、前記第1の侵食速度よりも大きい、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記基板が前記イオンに曝露されたとき、前記第2の侵食速度が、前記第1の侵食速度よりも大きい、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つの後続の深さの後続の線幅が、前記高さを減少させることにより前記前縁の前縁平面と前記後縁の後縁平面との間の距離によって制御される、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記基板をイオンに曝露することが、傾斜イオンエッチングまたは指向性反応性イオンエッチング(RIE)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記最初のパターニングされたマスクが、前記デバイス層と接触する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
基板であって、パターニングされた
多層マスクが、前記基板上に配置され、前記パターニングされた
多層マスクが、
前記基板または前記基板上に配置されたデバイス層の露出部分を画定する2つ以上の
最初の突起を備え、各
最初の突起が、
前記基板上に配置された底面における後縁
を有する、最初の突起を有する、前記基板上に配置された最初のパターニングされたマスクと、
前記最初のパターニングされたマスクの各最初の突起上に配置された2つ以上の後続の突起であって、各後続の突起が、各
後続の突起の上面における前縁
と、前記上面から
各最初の突起までの高さ
と、を有する、
後続の突起を有する少なくとも1つの後続のパターニングされたマスクと、
を含む、基板を、前記基板の表面の表面法線に対して
傾斜したイオン角度のイオンに曝露して、
前記基板または前記基板上に配置された前記デバイス層の材料を除去して、複数の深さのうちの最初の深さを形成することと、
前記基板を前記イオン角度のイオンに曝
露して、
前記基板または前記デバイス層の材料を除去することを繰り返して、前記基板または前記デバイス層内に前記複数の深さのうちの少なくとも1つの後続の深さを形成することと、
を含む方法であって、前縁の前縁平面から後縁の後縁平面までの距離が、前記イオン角度のイオンへの後続の曝露ごとに増加し、線幅が増加する後続の深さを形成する、方法。
【請求項10】
前記デバイス層をイオンに曝露することが、傾斜イオンエッチングまたは指向性反応性イオンエッチング(RIE)を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
傾斜イオンエッチングが、イオンビームを生成することと、前記イオンビームを前記イオン角度で前記基板に向けることとを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記イオンビームが、リボンビーム、スポットビーム、またはフル基板サイズビームである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記基板を前記イオン角度のイオンに曝露した後、異方性エッチングプロセスを実行することを、さらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
基板上に配置されたデバイス層であって、パターニングされた多層マスクが、前記デバイス層上に配置され、前記パターニングされた多層マスクが、
前記デバイス層の露出部分を画定する2つ以上の最初の突起であって、各最初の突起が、前記デバイス層と接触する底面における後縁を有する、最初の突起を有する、前記デバイス層上に配置された最初のパターニングされたマスクであって、第1の侵食速度を有する第1の材料を含む最初のパターニングされたマスクと、
前記最初のパターニングされたマスクの各最初の突起上に配置された2つ以上の後続の突起であって、各後続の突起が、各後続の突起の上面における前縁と、前記上面から各最初の突起までの高さ
と、を含む、後続の突起を有する少なくとも1つの後続のパターニングされたマスクであって、前記第1の侵食速度よりも大きい第2の侵食速度を有する第2の材料を含む少なくとも1つの後続のパターニングされたマスクと、
を含む、デバイス層を、前記基板の表面の表面法線に対して
傾斜したイオン角度で前記デバイス層と接触するイオンに曝露して、前記デバイス層の材料を除去して、複数の深さのうちの最初の深さを形成することと、
前記デバイス層を、前記イオン角度で前記デバイス層と接触するイオンに曝露して、前記デバイス層の材料を除去することを繰り返して、前記デバイス層内に前記複数の深さのうちの少なくとも1つの後続の深さを形成することと、
を含む方法。
【請求項15】
前記デバイス層が前記イオンに曝露されたとき、前記第2の侵食速度が、前記第1の侵食速度よりも大きい、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
[0001]本出願は、参照により本明細書に組み込まれる2018年10月31日に出願された米国仮特許出願第62/753,847号の優先権を主張する。
【0002】
[0002]本開示の実施形態は、概して、拡張現実、仮想現実、および複合現実のための光学デバイスに関する。より具体的には、本明細書に記載の実施形態は、テーパーフィンを備えた光学デバイスの製造を提供する。
【背景技術】
【0003】
[0003]一般に、仮想現実は、ユーザーが物理的に存在するように見えるコンピュータ生成のシミュレートされた環境であると考えられている。仮想現実体験は3Dで生成され、実際の環境を置き換える仮想現実環境を表示するためのレンズとしてニアアイディスプレイパネルを備えたメガネやその他のウェアラブルディスプレイデバイスなどのヘッドマウントディスプレイ(HMD)で見ることができる。
【0004】
[0004]しかしながら、拡張現実は、ユーザーがメガネや他のHMDデバイスのディスプレイレンズを通して周囲の環境を見ることができるが、ディスプレイ用に生成され環境の一部として現れる仮想オブジェクトのイメージも見ることができる体験を可能にする。拡張現実には、ユーザーが体験する環境を強化または拡張する仮想イメージ、グラフィック、ビデオだけでなく、音声入力や触覚入力など、あらゆるタイプの入力を含めることができる。新たに出現した技術として、拡張現実には多くの課題と設計上の制約がある。
【0005】
[0005]そのような課題の1つは、周囲環境にオーバーレイされた仮想イメージを表示することである。導波管などの光学デバイスが、イメージのオーバーレイを支援するために使用される。生成された光は、光学デバイスを通って伝搬し、光学デバイスを出て周囲環境にオーバーレイされる。光学デバイスの特性は不均一になる傾向があるので、光学デバイスの製造は困難であり得る。したがって、当技術分野で必要とされているのは、改良された光学デバイスおよび製造方法である。
【発明の概要】
【0006】
[0006]一実施形態で、方法が提供される。この方法は、基板の表面の表面法線に対してイオン角度で基板をイオンに曝露して、複数の深さのうちの最初の深さを形成することを含む。パターニングされた多層マスクが、基板上に配置され、基板または基板上に配置されたデバイス層の露出部分を画定する2つ以上の最初の突起を有する、基板上に配置された最初のパターニングされたマスクを含む。各最初の突起は、基板上に配置された底面における後縁を有する。2つ以上の後続の突起を有する少なくとも1つの後続のパターニングされたマスクが、最初のパターニングされたマスクの各最初の突起上に配置される。各後続の突起は、各後続の突起の上面における前縁と、上面から各最初の突起までの高さを含む。イオン角度で基板をイオンに曝露することを繰り返して、複数の深さのうちの少なくとも1つの後続の深さを形成する。
【0007】
[0007]別の実施形態で、方法が提供される。この方法は、基板の表面の表面法線に対してイオン角度で基板をイオンに曝露して、複数の深さのうちの最初の深さを形成することを含み、パターニングされたマスクが、基板上に配置され、基板または基板上に配置されたデバイス層の露出部分を画定する2つ以上の突起を含む。各突起は、デバイス層と接触する底面における後縁、各突起の上面における前縁、および上面からデバイス層までの高さを有する。イオン角度で基板をイオンに曝露することを繰り返して、複数の深さのうちの少なくとも1つの後続の深さを形成する。
【0008】
[0008]さらに別の実施形態で、方法が提供される。この方法は、基板上に配置されたデバイス層を、基板の表面の表面法線に対してイオン角度でデバイス層と接触するイオンに曝露して、複数の深さのうちの最初の深さを形成することを含む。パターニングされた多層マスクが、デバイス層上に配置され、デバイス層の露出部分を画定する2つ以上の最初の突起を有する、デバイス層上に配置された最初のパターニングされたマスクを含む。各最初の突起は、デバイス層と接触する底面における後縁を有する。最初のパターニングされたマスクは、第1の侵食速度を有する第1の材料を含む。2つ以上の後続の突起を有する少なくとも1つの後続のパターニングされたマスクが、最初のパターニングされたマスクの各最初の突起上に配置される。各後続の突起は、各後続の突起の上面における前縁と、上面から各最初の突起までの高さを含む。イオン角度のイオンに基板を曝露することを繰り返して、複数の深さのうちの少なくとも1つの後続の深さを形成する。
【0009】
[0009]本開示の上記の特徴が詳細に理解されるように、上記で簡単に要約された本開示のより具体的な説明が、実施形態を参照することによって得られ、そのいくつかは、添付の図面に示されている。しかしながら、添付の図面は、例示的な実施形態のみを例示し、したがって、その範囲を限定すると見なされるべきではなく、他の同等に有効な実施形態を認めることができることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】一実施形態による光学デバイスの正面図である。
【
図2】一実施形態による光学デバイス構造を形成する方法の流れ図である。
【
図3A】一実施形態による光学デバイス構造を形成する方法中の光学デバイス構造の概略断面図である。
【
図3B】一実施形態による光学デバイス構造を形成する方法中の光学デバイス構造の概略断面図である。
【
図3C】一実施形態による光学デバイス構造を形成する方法中の光学デバイス構造の概略断面図である。
【
図3D】一実施形態による光学デバイス構造を形成する方法中の光学デバイス構造の概略断面図である。
【
図3E】一実施形態による光学デバイス構造を形成する方法中の光学デバイス構造の概略断面図である。
【
図3F】一実施形態による光学デバイス構造を形成する方法中の光学デバイス構造の概略断面図である。
【
図3G】一実施形態による光学デバイス構造を形成する方法中の光学デバイス構造の概略断面図である。
【
図4】一実施形態による光学デバイス構造を形成する方法の流れ図である。
【
図5A】一実施形態による光学デバイス構造を形成する方法中の光学デバイス構造の概略断面図である。
【
図5B】一実施形態による光学デバイス構造を形成する方法中の光学デバイス構造の概略断面図である。
【
図5C】一実施形態による光学デバイス構造を形成する方法中の光学デバイス構造の概略断面図である。
【
図5D】一実施形態による光学デバイス構造を形成する方法中の光学デバイス構造の概略断面図である。
【
図5E】一実施形態による光学デバイス構造を形成する方法中の光学デバイス構造の概略断面図である。
【
図5F】一実施形態による光学デバイス構造を形成する方法中の光学デバイス構造の概略断面図である。
【
図5G】一実施形態による光学デバイス構造を形成する方法中の光学デバイス構造の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[0015]理解を容易にするために、可能な場合は、図に共通する同一の要素を示すために、同一の参照番号が使用されている。ある実施形態の要素および特徴は、さらに詳説することなく、他の実施形態に有益に組み込まれ得ることが企図されている。
【0012】
[0016]本明細書に記載の実施形態は、テーパーフィンを備えた光学デバイス構造を形成する方法に関する。この方法は、基板の表面の表面法線に対してイオン角度で、基板または基板上に配置されたデバイス層と接触するイオンに、基板を曝露することを含む。ハードマスク成形の利用、つまり、パターニングされたマスクの前縁によって規定される前縁平面とパターニングされたマスクの後縁によって規定される後縁平面との間の距離を制御することにより、各フィンの線幅とフィンの深さが増加し、光学デバイス構造の基板またはデバイス層にテーパーフィンを形成することを可能にする。
【0013】
[0017]
図1は、光学デバイス100の正面図である。以下に説明する光学デバイス100は、光学デバイスの一例である。光学デバイス100は、複数のフィン108によって規定される入力結合領域102、光学デバイス領域104、および複数のフィン110によって規定される出力結合領域106を含む。
【0014】
[0018]入力結合領域102は、マイクロディスプレイから、ある強度を有する入射光ビーム(仮想イメージ)を受け取る。複数のフィン108の各フィンが、各ビームがモードを有する入射ビームを、複数のモードに分割する。ゼロ次モード(T0)ビームは、光学デバイス100内で屈折して戻るか、または失われ、正の1次モード(T1)ビームは、光学デバイス領域104を横切って出力結合領域106まで光学デバイス100を通って全内部反射(TIR)を行い、負の1次モード(T-1)ビームは、光学デバイス100内をT1ビームとは反対の方向に伝搬する。T1ビームは、出力結合領域106内の複数のフィン110と接触するまで、光学デバイス100を通って全内部反射(TIR)を行う。T1ビームは、複数のフィン110のうちのフィンと接触し、そこで、T1ビームは、光学デバイス100内で屈折して戻るかまたは失われるT0ビーム、複数のフィン110のうちの別のフィンと接触するまで出力結合領域106でTIRを行うT1ビーム、および光学デバイス100から出て結合するT-1ビームに分割される。光学デバイス100を通って出力結合領域106に結合するT1ビームを制御し、光学デバイス100から出て結合するT-1ビームを制御する1つのアプローチは、複数のフィン108および複数のフィン110の各フィンの形状を制御することである。複数のフィン108および複数のフィン110の各フィンのテーパー形状は、視野の調節および光学帯域幅の増大を提供する。
【0015】
[0019]
図2は、
図3A~
図3Gに示される光学デバイス構造300を形成するための方法200の流れ図である。一実施形態では、光学デバイス構造300は、光学デバイス100の入力結合領域102および/または出力結合領域106に対応する。工程201において、基板302が、イオンビームなどのイオン301に曝露される。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、イオン301は、基板302の表面304の表面法線303に対してイオン角度θで基板302と接触する。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる別の実施形態では、イオン301が、基板302の表面304の表面法線303に対してイオン角度θでデバイス層308と接触するように、デバイス層308が、基板302上に配置される。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができるさらに別の実施形態では、エッチング停止層306が、デバイス層308と基板302の表面304との間に配置される。
図3Fに示すように、デバイス層308が基板302上に配置されるとき、光学デバイス構造300は、デバイス層308に形成された少なくとも1つのフィン326を含む。そうでなければ、
図3Gに示すように、光学デバイス構造300は、基板302に形成された少なくとも1つのフィン326を含む。デバイス層308内に少なくとも1つのフィン326を形成する態様が議論されるが、基板302内の少なくとも1つのフィン326が、デバイス層308がその上に配置されることなく、同様に形成されることを理解されたい。
【0016】
[0020]基板302をイオン角度θでイオン301に曝露することは、イオン301を基板302に加速する傾斜イオンエッチングおよび指向性反応性イオンエッチング(RIE)などのエッチングプロセスを含むことができる。傾斜イオンエッチングは、リボンビーム、スポットビーム、またはフル基板サイズビームなどのイオンビームを生成すること、およびイオンビームをイオン角度θでデバイス層308に向けることを含む。イオンビームは、イオンビームを生成するために活性化されたガスまたはガス混合物に対応するエッチング化学物質を有する。傾斜イオンエッチングシステムの一例は、カリフォルニア州サンタクララにあるApplied Materials,Inc.から入手可能なVarian VIISta(登録商標)システムである。指向性RIEは、ガスまたはガス混合物に高周波(RF)電力を印加することによって、エッチング化学物質としても知られるガスまたはガス混合物をプラズマへ励起することと、プラズマのイオンをイオン角度θで基板302に向けることとを含む。
【0017】
[0021]本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、デバイス層308は、オキシ炭化ケイ素(SiOC)、二酸化チタン(TiO2)、二酸化ケイ素(SiO2)、酸化バナジウム(IV)(VOx)、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、五酸化タンタル(Ta2O5)、窒化ケイ素(Si3N4)、窒化チタン(TiN)、二酸化ジルコニウム(ZrO2)、および炭窒化ケイ素(SiCN)を含む材料のうちの少なくとも1つを含むが、これらに限定されない。基板302は、アモルファス誘電体、非アモルファス誘電体、結晶誘電体、酸化ケイ素、ポリマー、およびそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含むが、これらに限定されない。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができるいくつかの実施形態では、基板302は、酸化物、硫化物、リン化物、テルル化物、およびそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含むが、これらに限定されない。一例では、基板302は、ケイ素(Si)、二酸化ケイ素(SiO2)、サファイア、および高屈折率透明材料を含む材料のうちの少なくとも1つを含む。
【0018】
[0022]
図3Aに示すように、工程201の前に、パターニングされた多層マスクが、デバイス層308と基板302のうちの一方に配置される。パターニングされた多層マスクは、最初のパターニングされたマスク310および少なくとも1つの後続のパターニングされたマスク312を含む。最初のパターニングされたマスク310は、デバイス層308と基板302のうちの一方に配置される。最初のパターニングされたマスク310は、デバイス層308(または基板302)の露出部分を画定する2つ以上の最初の突起311を含む。2つ以上の突起313を有する少なくとも1つの後続のパターニングされたマスク312が、最初のパターニングされたマスク310上に配置される。2つ以上の突起313は、2つ以上の突起311と実質的に整列している。各突起313は、各突起313の上面320に前縁315を含む。各突起311は、デバイス層308(または基板302)と接触する底面318に後縁317を有する。最初のパターニングされたマスク310は、隣接する後縁317間のピッチ322を含む。各突起311は、底面318から後続のパターニングされたマスク312までの第1の高さ314を有する。各突起313は、最初のパターニングされたマスク310から上面320までの第2の高さ316を有する。工程201の前において、第1の高さ314と第2の高さ316は、実質的に同じである。
【0019】
[0023]
図3Bは、工程201における基板302の概略断面図である。
図3Bに示すように、イオン301が、基板302の表面304の表面法線303に対してイオン角度θでデバイス層308(または基板302)と接触する。イオン301は、少なくとも1つのキャビティ368の複数の深さ327(
図3D~
図3Fに示される)のうちの最初の深さ325をデバイス層308または基板302(
図3G)にエッチングする。
図3D~
図3Gに示すように、各キャビティ368は、2つの隣接するフィン326の間にある。工程201の後、最初の深さ325に加えて、少なくとも1つのキャビティ368は、前側壁359(
図3Fおよび
図3Gに示される)の最初の前側壁部分357、後側壁364(
図3Fおよび
図3Gに示される)の最初の後側壁部分361、および最初の前側壁部分357から最初の後側壁部分361までの最初の線幅363を含む。最初の前側壁部分357は、表面法線303に対するイオン角度θに対応する最初の前角度αiを有する。最初の後側壁部分361は、表面法線303に対するイオン角度θに対応する最初の後角度βiを有する。最初の線幅363は、各突起313の上面320における前縁315によって規定される前縁平面334と、デバイス層308(または基板302)と接触する底面318における後縁317によって規定される後縁平面336との間の距離332によって制御される。イオン角度θのイオン301は、距離332の外側でデバイス層308(または基板302)と接触しないので、距離332は、最初の線幅363に対応する。距離332が、少なくとも1つの後続の線幅365(
図3D~
図3Gに示される)について増加するように、第2の高さ316が制御される、すなわち低減される。
【0020】
[0024]
図3Cに示すように、工程201の後、第2の高さ316は減少する。後続のパターニングされたマスク312は、第2の侵食速度を有する第2の材料を含み、最初のパターニングされたマスク310は、第1の侵食速度を有する第1の材料を含む。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、第1の材料は、TiN、窒化タンタル(TaN)、およびクロム(Cr)含有材料のうちの少なくとも1つを含む。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる別の実施形態では、第2の材料は、酸化ケイ素(SiOx)およびSiCNのうちの少なくとも1つを含む。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができるさらに別の実施形態では、第2の材料は、スピンオンカーボン(SOC)、フォトレジスト、および底部反射防止コーティング材料のうちの少なくとも1つを含む。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、デバイス層308がイオン301に曝露されるとき、イオン301のエッチング化学物質により、第2の侵食速度は、第1の侵食速度よりも大きい。例えば、第1の材料はTiNを含み、第2の材料はSiOxを含み、イオン301のエッチング化学物質は、フルオロメタン(CH
3F)、二原子酸素(O
2)、およびアルゴン(Ar)などのキャリアガスを含む。CH
3F、O
2、およびArのエッチング化学物質によって生成されたイオン301に曝露されるとき、SiOxを含む第2の材料は、TiNを含む第1の材料よりも大きい速度で侵食される。したがって、デバイス層308(または基板302)がイオン301に曝露されると、距離332が減少する。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる別の実施形態では、第2の侵食速度は、O
2などのエッチングプロセスのエッチング化学物質に依存して、第1の侵食速度よりも大きい。O
2のエッチング化学物質によって生成されたイオンに曝露されるとき、第2の材料は、第1の材料よりも大きい速度で侵食される。任意選択の工程202は、エッチングプロセスを実行して、第2の高さ316を減少させることを含む。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、エッチングプロセスは、等方性エッチングプロセスである。
【0021】
[0025]工程203では、工程201が繰り返されて、少なくとも1つのキャビティ368の複数の深さ327のうちの少なくとも1つの後続の深さ328が、デバイス層308(または基板302)にエッチングされる。
図3Dに示されるように、後続の深さ328に加えて、キャビティ368は、前側壁359の後続の前側壁部分358、後側壁364の後続の後側壁部分362、および後続の前側壁部分358から後続の後側壁部分362までの後続の線幅365を含む。後続の前側壁部分358は、表面法線303に対するイオン角度θに対応する後続の前角度αsを有する。後続の後側壁部分362は、表面法線303に対するイオン角度θに対応する後続の
後角度βsを有する。後続の線幅365は、第2の高さ316を減少させることによって増加した前縁平面334と後縁平面336との間の距離332によって制御される。イオン角度θのイオン301は、距離332の外側でデバイス層308(または基板302)と接触しないので、距離332は、後続の線幅365に対応する。
図3Eに示すように、任意選択の工程204は、少なくとも1つのキャビティ368の各後続の深さ328がエッチングされた後に、任意選択の工程202を繰り返すことを含む。
【0022】
[0026]
図3Fおよび
図3Gは、光学デバイス構造300の概略断面図である。少なくとも1つのキャビティ368が、フィンの深さに対応する最初の深さ325および少なくとも1つの後続の深さ328を含む複数の深さ327を有する、光学デバイス構造300が、形成されるまで、工程201および任意選択の工程202が繰り返される。少なくとも1つのキャビティ368は、クリティカルディメンション366を有する。クリティカルディメンション366は、隣接する残りの突起313および突起311によって画定される露出部分の半値全幅(FWHM)である。最初の深さ325および各後続の深さ328を減少させると、少なくとも1つのキャビティ368のより滑らかな前側壁359が得られる。表面法線303に対して測定された前側壁359の平面376の前角度αは、約15°から約70°である。表面法線303に対して測定された後側壁364の後角度βは、約20°から約75°である。
【0023】
[0027]本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、最初のパターニングされたマスク310および少なくとも1つの後続のパターニングされたマスク312は、不透明材料を含み、光学デバイス構造300が形成された後に除去される。例えば、最初のパターニングされたマスク310および少なくとも1つの後続のパターニングされたマスク312は、Crまたは銀(Ag)などの反射性材料を含む。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる別の実施形態では、光学デバイス構造300が形成された後に、最初のパターニングされたマスク310および少なくとも1つの後続のパターニングされたマスク312が残るように、最初のパターニングされたマスク310および少なくとも1つの後続のパターニングされたマスク312は、透明材料を含む。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、エッチング停止層306は、光学デバイス構造300が形成された後に除去される不透明なエッチング停止層である。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる別の実施形態では、エッチング停止層306は、光学デバイス構造300が形成された後に残る透明なエッチング停止層である。
【0024】
[0028]
図4は、
図5A~
図5Gに示される光学デバイス構造500を形成するための方法400の流れ図である。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、光学デバイス構造500は、光学デバイス100の入力結合領域102および/または出力結合領域106に対応する。工程401では、基板302が、イオン301に曝露される。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、イオン301は、基板302の表面304の表面法線303に対してイオン角度θで基板302と接触する。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる別の実施形態では、イオン301が、基板302の表面304の表面法線303に対してイオン角度θでデバイス層308と接触するように、デバイス層308が、基板302上に配置される。一実施形態では、エッチング停止層306が、デバイス層308と基板302の表面304との間に配置される。デバイス層308をイオン角度θでイオン301に曝露することは、イオン301をデバイス層308(または基板302)に加速する傾斜イオンエッチングおよび指向性RIEなどのエッチングプロセスを含むことができる。
図5Fに示すように、デバイス層308が基板302上に配置されるとき、光学デバイス構造500は、デバイス層308に形成された少なくとも1つのフィン526を含む。そうでなければ、
図5Gに示すように、光学デバイス構造500は、基板302に形成された少なくとも1つのフィン526を含む。デバイス層308内に少なくとも1つのフィン526を形成する態様が議論されるが、基板302内の少なくとも1つのフィン526が、デバイス層308がその上に配置されることなく、同様に形成されることを理解されたい。
【0025】
[0029]
図5Aに示すように、パターニングされたマスク510が、デバイス層308(または基板302)上に配置される。パターニングされたマスク510は、デバイス層308(または基板302)の露出部分を画定する2つ以上の突起511を含む。各突起511は、上面520における前縁515およびデバイス層308(または基板302)と接触する底面518における後縁517を含む。パターニングされたマスク510は、ピッチ522を含む。ピッチ522は、隣接する後縁517間または隣接する前縁515間で測定することができる。各突起511は、底面518から上面520までの高さ514を有する。
【0026】
[0030]
図5Bに示すように、イオン301は、基板302の表面304の表面法線303に対してイオン角度θでデバイス層308(または基板302)と接触する。イオン301は、少なくとも1つのキャビティ568の複数の深さ527(
図5D~
図5Gに示される)のうちの最初の深さ525をデバイス層308(または基板302)にエッチングする。
図5D~
図5Gに示すように、各キャビティ568は、2つの隣接するフィン526の間にある。工程401の後、最初の深さ525に加えて、キャビティ568は、前側壁559の最初の前側壁部分557、後側壁364の最初の後側壁部分561、および最初の前側壁部分557から最初の後側壁部分561までの最初の線幅563を含む。最初の前側壁部分557は、表面法線303に対するイオン角度θに対応する最初の前角度αiを有する。後側壁部分561は、表面法線303に対するイオン角度θに対応する最初の後角度βiを有する。最初の線幅563は、上面520における前縁515によって規定される前縁平面534と、底面518における後縁517によって規定される後縁平面536との間の距離532によって制御される。イオン角度θのイオン301は、距離532の外側でデバイス層308と接触しないので、距離532は、最初の線幅563に対応する。距離532が、少なくとも1つの後続の線幅365について増加するように、各突起511の高さ514および突起幅516が制御される、すなわち低減される。
図5Cに示すように、工程402は、異方性エッチングプロセスを実行して、高さ514および突起幅516を減少させることを含む。
【0027】
[0031]
図5D~
図5Gに示すように、工程403では、工程401および402が繰り返され、フィンの深さに対応する最初の深さ325および少なくとも1つの後続の深さ528を含む複数の深さ527を有する少なくとも1つのキャビティ568を有する光学デバイス構造500が形成されるまで、少なくとも1つのキャビティ568の複数の深さ527のうちの少なくとも1つの後続の深さ528をデバイス層308(または基板302)にエッチングする。キャビティ568は、前側壁559の少なくとも1つの後続の前側壁部分558、後側壁564の少なくとも1つの後続の後側壁部分562、および後続の前側壁部分558から後続の後側壁部分562への少なくとも1つの後続の線幅565を含む。後続の前側壁部分558は、表面法線303に対するイオン角度θに対応する後続の前角度αsを有する。後側壁部分561は、表面法線303に対するイオン角度θに対応する後続の後角度βsを有する。後続の線幅565は、異方性エッチングプロセスを実行することにより高さ514および突起幅516を減少させることによって増加する前縁平面534と後縁平面536との間の距離532によって制御される。イオン角度θのイオン301は、距離532の外側でデバイス層308(または基板302)と接触しないので、距離532は、後続の線幅365に対応する。
【0028】
[0032]
図5Fおよび
図5Gに示すように、少なくとも1つのキャビティ568は、クリティカルディメンション566を有する。クリティカルディメンション566は、隣接する残りの突起511によって画定される露出部分のFWHMである。最初の深さ525および各後続の深さ528を減少させると、少なくとも1つのキャビティ568のより滑らかな前側壁559およびより滑らかな後側壁564が得られる。表面法線303に対して測定された前側壁559の平面576の前角度αは、約15°から約70°である。表面法線303に対して測定された後側壁564の平面577の後角度βは、約20°から約75°である。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、パターニングされたマスク510は、不透明材料を含む。したがって、パターニングされたマスク510は、光学デバイス構造500が形成された後に除去される。例えば、パターニングされたマスク510は、Crまたは
銀などの反射性材料を含む。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる別の実施形態では、光学デバイス構造500が形成された後に、パターニングされたマスク510が残るように、パターニングされたマスク510は、透明材料を含む。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、エッチング停止層306は、光学デバイス構造500が形成された後に除去される不透明なエッチング停止層である。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる別の実施形態では、エッチング停止層306は、光学デバイス構造500が形成された後に残る透明なエッチング停止層である。
【0029】
[0033]要約すると、テーパーフィンを有する光学デバイス構造を形成する方法が、本明細書に記載されている。ハードマスク成形の利用、つまり、パターニングされたマスクの前縁によって規定される前縁平面とパターニングされたマスクの後縁によって規定される後縁平面との間の距離を制御することにより、各フィンの線幅とフィンの深さが増加し、光学デバイス構造のデバイス層にテーパーフィンを形成することを可能にする。
【0030】
[0034]上記は、本開示の実施例に向けられているが、本開示の他のさらなる実施例が、その基本的な範囲から逸脱することなく考案されることができ、その範囲は、以下の特許請求の範囲によって決定される。