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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】光モジュール
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/01 20060101AFI20221220BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
G02F1/01 F
H05K7/20 D
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018103535
(22)【出願日】2018-05-30
(65)【公開番号】P2019207362
(43)【公開日】2019-12-05
【審査請求日】2021-02-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000183266
【氏名又は名称】住友大阪セメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】片岡 利夫
(72)【発明者】
【氏名】菅又 徹
【審査官】井部 紗代子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0109668(US,A1)
【文献】特開2016-072920(JP,A)
【文献】特開2016-082590(JP,A)
【文献】特開2012-252135(JP,A)
【文献】特開2006-343369(JP,A)
【文献】国際公開第2017/088091(WO,A1)
【文献】特開2012-003130(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0064512(US,A1)
【文献】特開2016-099508(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0112137(US,A1)
【文献】特開2013-084006(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/26 - 6/27
G02B 6/30 - 6/34
G02B 6/42 - 6/43
G02F 1/00 - 1/125
G02F 1/21 - 7/00
H04B 10/00 -10/90
H04J 14/00 -14/08
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバが固定された第1筐体と前記第1筐体内に配された光変調素子とを有する光変調器と、発熱体である電子部品が配された回路基板と、前記光変調器及び前記回路基板を収容する第2筐体と、を備える光モジュールであって、
前記光変調器と前記電子部品とは、前記回路基板の同じ一の面の上に実装されており、
前記回路基板の前記一の面に対向する他の面のうち、前記一の面の前記電子部品が実装されている領域に対向する領域は、空間を挟んで前記第2筐体と離間しており、
前記光変調器は、前記第1筐体の前記回路基板に対向する表面の少なくとも一部と、前記電子部品の前記第1筐体に対向する面の少なくとも一部と、が接触するように配されている、
光モジュール。
【請求項2】
光ファイバが固定された第1筐体と前記第1筐体内に配された光変調素子とを有する光変調器と、発熱体である電子部品が配された回路基板と、前記光変調器及び前記回路基板を収容する第2筐体と、を備える光モジュールであって、
前記光変調器と前記電子部品とは、前記回路基板の同じ一の面の上に実装されており、
前記回路基板の前記一の面に対向する他の面のうち、前記一の面の前記電子部品が実装されている領域に対向する領域は、空間を挟んで前記第2筐体と離間しており、
前記光変調器の前記第1筐体の、前記回路基板に対向する表面の少なくとも一部と、前記電子部品の前記第1筐体に対向する面の少なくとも一部と、の間に介在する熱伝導体を有する、
光モジュール。
【請求項3】
前記光変調器は、当該光変調器の前記回路基板に対向する表面の少なくとも一部と、前記電子部品の前記光変調器に対向する面の少なくとも一部と、の間の距離が2mm以下となるように配されて、前記電子部品からの発熱が前記光変調器と前記電子部品との間に配された前記熱伝導体を介して放熱される、
請求項2に記載の光モジュール。
【請求項4】
前記光変調器は、当該光変調器の前記回路基板に対向する表面に凸部を有し、当該凸部の少なくとも一部と、前記電子部品の前記光変調器に対向する面の少なくとも一部と、の間の距離が2mm以下となるように配されている、
請求項3に記載の光モジュール。
【請求項5】
前記光変調器の前記回路基板に対向する表面の前記少なくとも一部は、前記光変調器の長手方向の端部から所定の距離の範囲内である、
請求項1ないし4のいずれか一項に記載の光モジュール。
【請求項6】
前記光変調器及び前記回路基板を収容する筐体を備え、
前記光変調器は、当該光変調器の表面の少なくとも一部が前記筐体の内面と直接的又は間接的に熱的な接続がされている、
請求項1ないし5のいずれか一項に記載の光モジュール。
【請求項7】
前記光変調器は、当該光変調器の表面の少なくとも一部に設けられた凹部又は凸部で構成される放熱構造を備える、
請求項1ないし6のいずれか一項に記載の光モジュール。
【請求項8】
前記電子部品は、高周波ドライバ又はデジタルシグナルプロセッサである、
請求項1ないし7のいずれか一項に記載の光モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光変調器を用いて光通信動作を行う光モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、長距離光通信において適用が開始されたデジタルコヒーレント伝送技術は、通信需要の更なる高まりから中距離、短距離などメトロ用光通信にも適用されつつある。このようなデジタルコヒーレント伝送においては、光変調器として、代表的にはLiNbO3(以下、LNという)基板を用いたDP-QPSK(Dual Polarization-Quadrature Phase Shift Keying)変調器が用いられる。以下、LiNbO3基板を用いた光変調器を、LN変調器という。
【0003】
このような光変調器は、例えば、当該光変調器に変調動作を行わせるための電気信号を出力するドライバIC(ドライバ集積回路)が配された回路基板と共に、光通信動作を行う光モジュール内に実装されて使用される。
【0004】
特に、メトロ用光通信など短距離用途の光モジュールでは、光変調器やドライバIC等の設置空間の抑制に対する要請が高く、光変調器等の小型化が望まれている。光変調器を小型化するため、LN光変調素子の小型化(例えば、LN基板上における光導波路配置面積の縮小)、LN基板上の光導波路からの出力光を出力光ファイバへ光結合するための空間光学系の小型化、LN変調器の高周波(RF)信号入力インタフェースの小型化(例えば、同軸コネクタからフレキシブルプリント板への変更)等の取り組みが従来から行われている。
【0005】
また、上記のような光変調器単体の小型化に加えて、光モジュールの筐体内の空間利用率を高めるべく、光変調器筐体の底面の限られた部分に突出部を設け、当該突出部により確保される空間にドライバIC等の電子部品を配することが提案されている(特許文献1、2、3)。
【0006】
図17図18、及び図19は、それぞれ、そのような従来の光変調器の一例である光変調器1700の外観の一例を示す平面図、側面図、及び底面図である。また、図20は、光変調器1700が適用される従来の光モジュール2000の構成の一例を示す平面図、図21は、図20における光モジュール2000の平面図のGG断面矢視図である。
【0007】
光変調器1700は、例えば、変調器筐体1704と、変調器筐体1704に収容された変調素子(不図示)に光を入力する光ファイバ1708と、当該変調素子により変調された光を出力する光ファイバ1710とを備える。変調器筐体1704の底面(図19)の四隅には、変調器筐体1704を、例えば光モジュール2000の回路基板2004に固定するためのネジ穴1910、1912、1914、1916がそれぞれ設けられた突起部1900、1902、1904、1906が設けられている。また、変調器筐体1704の底面には、さらに2つの突起部1920、1922が設けられており、当該突起部1920、1922に、上記光変調素子へ高周波信号を入力するためのリードピン1820及び1822と、1824及び1826とが、それぞれ設けられている。
【0008】
光変調器1700を回路基板上に実装した際には、突起部1900、1902、1904、1906により光変調器1700の変調器筐体1704の底面と、回路基板との間に空間が確保され、当該空間に電子部品を実装することが可能となる。また、特に図示してはいないが、光変調器のバイアス点調整のための信号を入力、もしくは光変調器の出力光強度モニタ用のPDからの信号を出力するためのDCピンなどが筐体に形成されている。
【0009】
光モジュール2000は、モジュール筐体2002内に、光変調器1700、LD(Laser Diode)2006、PD(Photo Diode)2008、及びこれらの光部品を動作させるための電子回路を構成する電子部品が搭載された回路基板2004が収容される。図20には、主要な電子部品との一例として、デジタル信号処理を行うDSP(Digital Signal Processor)2020と、光変調器1700を駆動して光変調動作を行わせるドライバIC2022が示されている。
【0010】
なお、光変調器1700及び回路基板2004はモジュール筐体2002内に収容されているため、実際にはモジュール筐体2002の外部から光変調器1700及び回路基板2004を視認することはできないが、図20においては、説明のため、モジュール筐体2002の内部に収容されている部分についても、光変調器1700により隠れている部分を除き、実線を用いて示している。
【0011】
図示のように、光モジュール2000では、例えば、変調器筐体1704の底面に設けられた突起部1900、1902、1904、1906により当該変調器筐体1704の底面と回路基板2004との間に確保される空間にDSP2020やドライバIC2022の一部若しくは全てが実装される。
【0012】
ここで、ドライバIC2022は、一般に、数V(ボルト)から十数Vの電圧振幅を持つ高周波信号を出力し、1W程度に至る電力を消費してその消費電力に相当する熱を外部へ放出する。このため、従来の光モジュール2000では、モジュール筐体2002のサイズが許容する範囲内において、ドライバIC2022と光変調器1700の底面(すなわち、変調器筐体1704の底面)との間の距離d211をできるだけ大きくとって、ドライバIC2022の発熱により光変調器1700の温度が上昇するのを回避すると共に、ドライバIC2022の放熱が図られる。
【0013】
しかしながら、上記従来の光モジュール2000の構成では、モジュール筐体2002の内部における空気の対流や、ドライバIC2022の出力電圧や動作周波数等の駆動条件などに依存して、ドライバIC2022の放熱が十分に行えない場合が起り得る。この場合、ドライバIC2022の周辺温度が局所的に高温となり、ドライバIC2022の出力特性が経時的に変化したり、またドライバIC2022の電気的結線が断線するなど特性やドライバIC2022の信頼性が低下する等、の影響が生ずることが有り得る。また、このような特性変化や信頼性の低下は、変調器筐体1704の下部に配されたドライバIC2022に限らず、発熱を伴う一般の電子部品(発熱電子部品)、例えば上述のDSP2020においても、モジュール筐体2002内の空気対流の起こりにくい位置に配される場合等には同様に発生し得る。
【0014】
すなわち、上記従来の光モジュールでは、モジュール筐体の小型化への要請に対応すべく、モジュール筐体内に収容されたドライバIC等の発熱電子部品の放熱に関し更に改善の必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【文献】特願2018-003442号
【文献】特願2018-003443号
【文献】特願2018-034768号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
上記背景より、ドライバIC等の発熱電子部品と光変調器とを備える光モジュールにおいて、放熱不足による上記発熱電子部品の特性変化及び信頼性低下を回避することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の一の態様は、光ファイバが固定された第1筐体と前記第1筐体内に配された光変調素子とを有する光変調器と、発熱体である電子部品が配された回路基板と、前記光変調器及び前記回路基板を収容する第2筐体と、を備える光モジュールであって、前記光変調器と前記電子部品とは、前記回路基板の同じ一の面の上に実装されており、前記回路基板の前記一の面に対向する他の面のうち、前記一の面の前記電子部品が実装されている領域に対向する領域は、空間を挟んで前記第2筐体と離間しており、前記光変調器は、前記第1筐体の前記回路基板に対向する表面の少なくとも一部と、前記電子部品の前記第1筐体に対向する面の少なくとも一部と、が接触するように配されている。
本発明の他の態様は、光ファイバが固定された第1筐体と前記第1筐体内に配された光変調素子とを有する光変調器と、発熱体である電子部品が配された回路基板と、前記光変調器及び前記回路基板を収容する第2筐体と、を備える光モジュールであって、前記光変調器と前記電子部品とは、前記回路基板の同じ一の面の上に実装されており、前記回路基板の前記一の面に対向する他の面のうち、前記一の面の前記電子部品が実装されている領域に対向する領域は、空間を挟んで前記第2筐体と離間しており、前記光変調器の前記第1筐体の、前記回路基板に対向する表面の少なくとも一部と、前記電子部品の前記第1筐体に対向する面の少なくとも一部と、の間に介在する熱伝導体を有する。
本発明の他の態様によると、前記光変調器は、当該光変調器の前記回路基板に対向する表面の少なくとも一部と、前記電子部品の前記光変調器に対向する面の少なくとも一部と、の間の距離が2mm以下となるように配されて、前記電子部品からの発熱が前記光変調器と前記電子部品との間に配された前記熱伝導体を介して前記光変調器を介して放熱される。
本発明の他の態様によると、前記光変調器は、当該光変調器の前記回路基板に対向する表面に凸部を有し、当該凸部の少なくとも一部と、前記電子部品の前記光変調器に対向する面の少なくとも一部と、の間の距離が2mm以下となるように配されている。
本発明の他の態様によると、前記光変調器の前記回路基板に対向する表面の前記少なくとも一部は、前記光変調器の長手方向の端部から所定の距離の範囲内である。
本発明の他の態様によると、前記光変調器及び前記回路基板を収容する筐体を備え、前記光変調器は、当該光変調器の表面の少なくとも一部が前記筐体の内面と直接的又は間接的に熱的な接続がされている。
本発明の他の態様によると、前記光変調器は、当該光変調器の表面の少なくとも一部に設けられた凹部又は凸部で構成される放熱構造を備える。
本発明の他の態様によると、前記電子部品は、高周波ドライバ又はデジタルシグナルプロセッサである。
【発明の効果】
【0018】
本発明の技術的思想は、光変調器筐体自身をヒートシンクとして積極的に作用させる、若しくは光変調器筐体自身を熱伝導体として積極的に作用させることであり、本発明によれば、ドライバIC等の発熱電子部品と光変調器とを備える光モジュールにおいて、放熱不足による上記発熱電子部品の特性変化及び信頼性低下を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1の実施形態に係る光モジュールの平面図である。
図2図1に示す光モジュールのAA断面図である。
図3図1に示す光モジュールに用いられる光変調器の平面図である。
図4図1に示す光モジュールに用いられる光変調器の側面図である。
図5図1に示す光モジュールに用いられる光変調器の底面図である。
図6図1に示す光変調器の変形例の構成を示す断面図である。
図7】本発明の第2の実施形態に係る光モジュールの平面図である。
図8図7に示す光モジュールのBB断面図である。
図9図7に示す光モジュールに用いられる光変調器の側面図である。
図10図7に示す光モジュールに用いられる光変調器の底面図である。
図11図7に示す光モジュールにおける、光変調器とドライバICとの間の離間距離d1と、ドライバICの表面温度との関係を示すシミュレーション結果である。
図12】第3の変形例に係る光モジュールの平面図である。
図13図12に示す光モジュールのCC断面図である。
図14図12示す光モジュールに用いられる光変調器の平面図である。
図15図12に示す光モジュールに用いられる光変調器の側面図である。
図16図12に示す光モジュールに用いられる光変調器の底面図である。
図17】一例である光変調器の平面図である。
図18図17に示す光変調器の側面図である。
図19図17に示す光変調器の底面図である。
図20図17図18、及び図19に示す光変調器を用いた従来の光モジュールの平面図である。
図21図20に示す従来の光モジュールのGG断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1の実施形態に係る光モジュール100の構成を示す平面図、図2は、図1に示す光モジュール100のAA断面矢視図である。また、図3図4、及び図5は、それぞれ、光モジュール100内に実装されて用いられる光変調器300の平面図、側面図、及び底面図である。
【0021】
光モジュール100は、モジュール筐体102内に、光変調器300と、回路基板104と、を収容する。回路基板104には、光変調器300が搭載されるほか、送信光の光源であるLD(Laser Diode)106、受信光の受光器であるPD(Photo Diode)108、及びこれらの光部品を動作させるための電子回路を構成する電子部品が搭載される。図1には、主要な電子部品の一例として、光変調器300を駆動して光変調動作を行わせる高周波ドライバであるドライバIC110が示されている。ただし、図1に示す構成は一例であって、回路基板104上には、光モジュール100に求められる機能に応じて、その他の光部品や電子部品が搭載され得る。そのような電子部品には、例えば、DSP等のデジタル信号処理用部品が含まれ得る。
【0022】
なお、光変調器300及び回路基板104は、モジュール筐体102内に収容されているため、実際にはモジュール筐体102の外部からこれらを視認することはできないが、図1においては、説明のため、モジュール筐体102の内部に収容されている部分についても、光変調器300の変調器筐体304により隠れている部分を除き、実線を用いて示している。
【0023】
光変調器300は、光変調素子302と、光変調素子302を収容する変調器筐体304と、光変調素子302に光を入射するための光ファイバ308と、光変調素子302から出力される光を変調器筐体304の外部へ導く光ファイバ310と、を備える。
【0024】
変調器筐体304は、導電性素材(例えばステンレス等の金属や、金等の金属薄膜がコートされた素材)で構成されている。
【0025】
光変調素子302は、例えばLiNbO基板上に設けられた4つのマッハツェンダ型光導波路と、当該マッハツェンダ型光導波路上にそれぞれ設けられて光導波路内を伝搬する光波を変調する4つのRF電極(高周波電極)350、352、354、356と、を備えたDP―QPSK光変調器である。光変調素子302から出力される2つの光は、例えばレンズ光学系(不図示)により偏波合成され、光ファイバ310を介して変調器筐体304の外部へ導かれる。
【0026】
変調器筐体304には、高周波信号入力用の信号入力端子である4つのリードピン420、422、424、426が設けられている。これらのリードピン420、422、424、426は、変調器筐体304の例えば底面(図5に示す面)から外部へ延在する。
【0027】
4つのリードピン420、422、424、426は、中継基板330、332上の導体パターン340、342、344、346を介して、それぞれ、RF電極350、352、354、356の一端と電気的に接続されている。導体パターン340、342、344、346とRF電極350、352、354、356との間は、それぞれ、例えば金(Au)のワイヤにより電気的に接続されている。
【0028】
RF電極350、352、354、356は、それぞれ、動作周波数範囲において特性インピーダンスが所定の値となるように設計されている。また、RF電極350、352、354、356の他端は、一般的にそれぞれ、上記特性インピーダンスと同じ値のインピーダンスを持つ終端抵抗360、362、364、366により電気的に接続されて終端されている。これらの終端抵抗360、362、364、366は、セラミック等で構成された基板である終端抵抗基板370上に実装されている。
【0029】
なお、変調器筐体304は気密封止されているため、実際には変調器筐体304の内部を視認することはできないが、図3においては、変調器筐体304内部における構成の理解を容易にするため、変調器筐体304内部の構成要素を実線で示している。
【0030】
変調器筐体304の底面(図5)には、変調器筐体304を回路基板104に固定するためのネジ穴510、512、514、516がそれぞれ設けられた突起部500、502、504、506が設けられている(図4図5参照)。
【0031】
また、変調器筐体304の底面には、さらに2つの突起部520、522が設けられており、当該突起部520、522には、上記光変調素子302へ高周波信号を入力するためのリードピン420及び422と、424及び426とが、それぞれ設けられている。
【0032】
これにより、ネジ穴510、512、514、516に例えばネジ210、212、214、216を締結して光変調器300を回路基板104上に実装すると、突起部500、502、504、506により光変調器300の変調器筐体304の底面と、回路基板104との間に空間が確保され、当該空間に電子部品を実装することが可能となる。
【0033】
特に、本実施形態の光モジュール100では、光変調器300の長手方向の端部から光変調素子302に設けられたRF電極(高周波電極)の入力端部までの所定距離Lの範囲内に発熱電子部品であるドライバIC110が実装されており、ドライバIC110と光変調器300の変調器筐体304の底面との間には、熱良導体である例えば熱伝導性シリコンゴム接着剤や熱伝導性エポキシ接着剤等で構成された熱伝導体250が配されている。これにより、光モジュール100では、発熱電子部品であるドライバIC110からの発熱が、光変調器300の変調器筐体304を介して放熱されるので、モジュール筐体102内の限られた空間内に光部品と電子部品とが高密度に実装された場合でも、ドライバIC110等の発熱電子部品を効果的に放熱して、その特性変動や信頼性低下を防止することができる。すなわち、本実施形態の構成では、光変調器300の温度特性に若干の影響を与えつつも、光モジュール100として極めて重要なドライバIC110の特性変化や信頼性低下といった問題を抑制することができる。
【0034】
なお、熱伝導体250は、発熱電子部品(本実施形態ではドライバIC110)と変調器筐体304との間が熱的に接続されるように配置されていればよい。従って、熱伝導体250は、例えば、光変調器300(具体的には変調器筐体304)の回路基板104に対向する表面(本実施形態においては、例えば底面)の少なくとも一部と、上記発熱電子部品のうち光変調器300に対向する面の少なくとも一部と、の間に介在するよう配されるものとすることができる。
【0035】
また、本実施形態においては、光変調器300の長手方向の端部から所定距離Lの範囲内において発熱電子部品であるドライバIC110からの熱が熱伝導体250を介して伝達されるものとしたが、これには限られない。例えば、光変調器300の長手方向の中央付近に配された発熱電子部品からの熱を、当該発熱電子部品と変調器筐体304との間に配した熱伝導体250を介して光変調器300へ伝導させるものとすることもできる。
【0036】
ただし、本実施形態のように光変調器300の長手方向の端部から所定距離Lの範囲内に発熱電子部品からの熱が伝わるように構成した場合には、変調器筐体304の長手方向中央部に一般的に配される変調素子等の光学系(不図示)に対して当該熱が与える影響を軽減しつつ、光変調器300を介してドライバIC110等の発熱電子部品を効果的に放熱することが可能となる。
【0037】
また、上記のように光変調器300の長手方向の端部付近にドライバIC110を配した場合には、例えば光変調器300の底面に配される高周波信号の入出力端子である4つのリードピン420、422、424、426とドライバIC110との間の距離を短くすることができるので、光変調器300の高周波特性の観点からも好都合である。
【0038】
またモジュール筐体102の側壁に高周波信号の入出力端子(不図示)が配置される場合、上記のように光変調器300の長手方向の端部付近にドライバIC110を配するとともに、ドライバIC110を高周波信号の入出力端子(不図示)の近傍に配置してもよい。このような構成とすることで光変調器300の底面に配される高周波信号の入出力端子である4つのリードピン420、422、424、426からモジュール筐体102の側壁に配置された高周波信号の入出力端子(不図示)までの距離を短くすることができるので、光モジュール100の高周波特性の観点からも好都合である。
【0039】
ここで、上記所定距離Lは、例えば、所定距離Lの範囲内に発熱電子部品からの熱が変調器筐体304に伝わった場合でも、光変調器300の温度特性に所定の水準以上の影響が生じないように、例えば温度特性試験等により定めることもできる。あるいは、所定距離Lは、変調器筐体304のうち発熱電子部品からの熱が流入する部分が、光変調素子302のうち高周波信号により光波の伝搬が制御される部分(例えばRF電極350、352、354、356が形成された部分)と平面視において重ならない位置となるように設定するものとすることができる。
【0040】
また、本実施形態では、図1及び図2に示すように、ドライバIC110である発熱電子部品の一部が光変調器300の下部に配されるものとしたが、これには限られない。発熱電子部品は、その全体が光変調器300の下部に配されるものとしてもよい。
【0041】
また、本実施形態では、光変調器300の底面と発熱電子部品であるドライバIC110との隙間に、熱伝導体250が配されるものとしたが、これには限られない。例えば、変調器筐体304の突起部500、502、504、506、520、522の高さを調製することにより、光変調器300の底面とドライバIC110の上面とが接触するように構成してもよい。すなわち、光変調器300は、当該光変調器300の回路基板104に対向する表面の少なくとも一部と、発熱電子部品であるドライバIC110の光変調器300に対向する面の少なくとも一部と、が接触するように配されるものとすることができる。
【0042】
また、本実施形態の変形例として、光変調器300は、光変調器300の表面の少なくとも一部がモジュール筐体102の内面と直接的又は間接的に熱的な接続がされて、ドライバIC110の熱が光変調器300を介してモジュール筐体102へ放熱されるものとすることができる。
【0043】
図6は、そのような変形例である光モジュール100´の構成を示す図である。図6は、図2に示す光モジュール100のAA断面矢視図に対応する光モジュール100´の断面図を示している。
【0044】
図示の変形例では、光変調器300の図示上側の面のうち、熱伝導体250が配された光変調器300の図示下側の面にほぼ対向する部分が、熱伝導体650を介してモジュール筐体102の内面と熱的に接続されている。
【0045】
これにより、本変形例では、発熱電子部品であるドライバIC110からの熱が、変調器筐体304に滞留することなく、モジュール筐体102に向かって速やかに放熱される。このため、光モジュール100´では、発熱電子部品の放熱を更に効果的に行うことができると共に、発熱電子部品の熱による変調器筐体304の温度上昇を抑制して、当該熱が光変調器300の特性に与える影響も低減することができる。
【0046】
尚、熱伝導体650が配置される場所は光変調器300の図示上側の面のうち、熱伝導体250が配された光変調器300の図示下側の面の部分にほぼ対向する部分の全体でもよいし、その一部でもよいが放熱効率の観点からは前者が望ましい。また熱伝導体650が配置される場所は光変調器300の図示上側の面のうち、熱伝導体250が配された光変調器300の図示下側の面の部分にほぼ対向する部分以外でもよい。更に放熱効率の観点から、熱伝導体650は光変調器300の図示上側の面の全体もしくは当該面の面積の半分以上に配置されるとよい。また、熱伝導体650がなくても光変調器300の図示上側の面の少なくとも一部とモジュール筐体102の内面とが直接、熱的に接続されていてもよい。
【0047】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2の実施形態に係る光モジュールについて説明する。図7は、第2の実施形態に係る光モジュール100-1の構成を示す平面図、図8は、図7に示す光モジュール100-1のBB断面矢視図である。また、図9及び図10は、それぞれ、光モジュール100-1内に実装されて用いられる光変調器300-1の側面図及び底面図である。ここで、図7及び図8においては、それぞれ、図1及び図2に示す第1の実施形態に係る光モジュール100と同一の構成要素については、図1及び図2に示す符号と同じ符号を示すものとし、上述した光モジュール100についての説明を援用するものとする。
【0048】
また、光変調器300-1の構成は、変調器筐体304に代えて変調器筐体304-1を備え得る点以外は、光変調器300と同様であるので、光変調器300の平面図である図3を光変調器300-1の平面図として援用し、及び上述した図3についての説明を援用するものとする。また、光変調器300-1の側面図及び底面図である図9及び図10においては、それぞれ、光変調器300と同一の構成要素については光変調器300の側面図及び底面図である図4及び図5に示す符号と同一の符号を用いるものとし、上述した光変調器300についての説明を援用するものとする。
【0049】
光モジュール100-1は、光モジュール100と同様の構成を有するが、光変調器300に代えて光変調器300-1を備え、熱伝導体250が配されない点が異なる。
【0050】
光変調器300-1は、光変調器300と同様の構成を有するが、変調器筐体304に代えて変調器筐体304-1を有する点が異なる。変調器筐体304-1は、変調器筐体304と同様の構成を有するが、変調器筐体304-1の底面(図10)のうち発熱電子部品であるドライバIC110に対向することとなる部分に、高さt1の凸部950を有する点が異なる。
【0051】
これにより、光モジュール100-1では、図8に示すように、光変調器300-1の底面とドライバIC110との間に、所定の離間距離d1の微小な間隙が設けられる。そして、発熱電子部品であるドライバIC110からの熱は、この微小な間隙を介して光変調器300-1に伝わり、当該光変調器300-1を介して空間等へ放熱される。
【0052】
この光モジュール100-1の構成は、光モジュール100のように熱伝導体250の塗布を必要としない。このため、組み立て工程を簡略化したい場合や、熱伝導体用接着剤のアウトガスなどの制約事項などから熱伝導体250を用いたくない場合等には、光モジュール100-1の構成を用いて、発熱電子部品を効果的に放熱することができる。
【0053】
ドライバIC110から光変調器300-1への熱伝達の効率は、上記微小な間隙の離間距離d1により定まり、特に、2mm以下であることが望ましい。
【0054】
図11は、光変調器であるDP-QPSK変調器の駆動用ICとして一般に用いられている出力1WクラスのドライバICを用いた場合の、種々の駆動電力値における上記微小間隙の離間距離d1に対するドライバICの表面温度のシミュレーション結果である。図11において、横軸は離間距離d1、縦軸はドライバICの表面温度である。また、図11に示す図示四角形のプロットは、ドライバICを出力電力1Wで動作させたときの、当該ドライバICの表面温度を示しており、曲線1100は、四角形プロットの近似曲線である。また、図11に示す図示三角形及び菱形のプロットは、それぞれ、ドライバICを出力電力1.1W及び0.78Wで動作させたときの、当該ドライバICの表面温度を示しており、曲線1102及び1104は、それぞれ、三角形プロット及び菱形プロットの近似曲線である。
【0055】
ドライバICの表面温度は、離間距離d1の減少と共に低下し、特に、d1≒3mmを境に、離間距離d1の減少に伴う表面温度の低下傾向が顕著となる。また、図11より、d1≦2mmの範囲では、出力電力に依らずドライバICの表面温度を光変調器の一般的な保管上限温度であるの80℃以内に低減させ得ることがわかる。
【0056】
したがって、光変調器及び光モジュールの長期信頼性を確保する上では、上述したように、上記微小間隙の離間距離d1の値としてd1≦2mmの範囲の値を選択することが特に好ましい。また、図11から明らかなように、離間距離d1が3mm以下、更に好適には2mm以下の場合には、ドライバICの出力電力条件に違いによる当該ドライバICの表面温度の変動幅も抑制することができる等の効果が得られる。
【0057】
なお、本実施形態では、光変調器300-1の下面とドライバIC110の上面との間の微小間隙の離間距離d1を所定の距離とするために、変調器筐体304-1に凸部950を設けるものとしたが、これには限られない。例えば、光変調器300-1に代えて、凸部950を設けない光変調器300を用い、変調器筐体304に設ける突起部500、502、504、506の高さを調製することにより、ドライバIC110の上面と光変調器300下面との微小間隙の離間距離d1を所定の距離としてもよい。
【0058】
なお、離間距離d1の微小間隙を介した光変調器300-1とドライバIC110との間の熱的な接続は、光変調器300-1の表面の少なくとも一部と、発熱電子部品であるドライバIC110の表面の少なくとも一部との間で行われていればよい。すなわち、光モジュール100-1は、光変調器300-1の、回路基板104に対向する表面の少なくとも一部と、発熱電子部品であるドライバIC110のうち光変調器300-1に対向する面の少なくとも一部と、の間の離間距離d1が所定距離(好ましくは2mm以下)となるように配されて、ドライバIC110からの発熱が光変調器300-1を介して放熱されるように構成されるものとすることができる。
【0059】
また、本実施形態においても、図6に示す光モジュール100´と同様に、光変調器300-1とモジュール筐体102との間に熱伝導体650を設けて、ドライバIC110からの熱を、光変調器300-1を介してモジュール筐体102へ放熱するものとしてもよい。
【0060】
また、ドライバIC110との離間距離d1の微小間隙を介した熱的な接続は、光変調器300-1の長手方向の端部付近に限らず、光変調器300-1の底面の任意の位置とすることができる。この場合にも、第1実施形態について上述したように、熱的な接続は、ドライバIC110からの熱が変調器筐体304-1に伝わった場合でも、光変調器300-1の温度特性に所定の水準以上の影響が生じないように、例えば温度特性試験等により定めることもできる。あるいは、上記熱的な接続は、変調器筐体304-1のうち発熱電子部品からの熱が流入する部分が、光変調素子302のうち高周波信号により光波の伝搬が制御される部分(例えばRF電極350、352、354、356が形成された部分)と平面視において重ならない位置となるように設定するものとすることができる。
【0061】
〔第3実施形態〕
次に、本発明の第3の実施形態に係る光モジュール100-2について説明する。図12は、第3の実施形態に係る光モジュール100-2の構成を示す平面図、図13は、図12に示す光モジュール100-2のCC断面矢視図である。また、図14図15、及び図16は、それぞれ、光モジュール100-2内に実装されて用いられる光変調器300-2の平面図、側面図、及び底面図である。ここで、図12及び図13においては、それぞれ、図1及び図2に示す第1の実施形態に係る光モジュール100と同一の構成要素については、図1及び図2に示す符号と同じ符号を示すものとし、上述した光モジュール100についての説明を援用するものとする。また、図14図15、及び図16においては、それぞれ、光変調器300と同一の構成要素については光変調器300の平面図、側面図、及び底面図である図3図4、及び図5に示す符号と同一の符号を用いるものとし、上述した光変調器300についての説明を援用するものとする。
【0062】
光モジュール100-2は、光モジュール100と同様の構成を有するが、光変調器300に代えて光変調器300-2を用いる点が異なる。光変調器300-2は、光変調器300と同様の構成を有するが、変調器筐体304に代えて変調器筐体304-2を有する点が異なる。変調器筐体304-2は、変調器筐体304と同様の構成を有するが、変調器筐体304-2の側面のそれぞれの一部に、表面積を拡大して放熱を促進するための放熱構造として機能する凸部1400、1402、1404、1420、1422、1424、及び1410、1412、1414、1430、1432、1434を有する点が異なる。
【0063】
ドライバIC110から熱伝導体250を介して光変調器300-2に伝わった熱は、これらの凸部1400、1402、1404、1420、1422、1424、及び1410、1412、1414、1430、1432、1434により、光変調器300-2を介してモジュール筐体102の内部の空気に対してより効果的に放熱される。
【0064】
なお、本実施形態では、変調器筐体304-2の両側面の一部に凸部1400等を設けることで、当該変調器筐体304-2の表面積を拡大して放熱を促進するものとしたが、これには限られない。例えば、凸部1400等の形成位置は、変調器筐体304-2の全部又は任意の一部とすることができる。また、凸部1400等に代えて、変調器筐体304-2の表面積を拡大するための凹部を、変調器筐体304-2の全部又は任意の一部に設けるものとすることができる。
【0065】
なお、図6に示す第1の実施形態の変形例と同様に、本実施形態においても、光変調器300-2とモジュール筐体102との内面との間に熱伝導体650を設けるものとすることができる。これにより、光変調器300-2の凸部1400等により放熱することに加えて、ドライバIC110の熱を光変調器300-2を介してモジュール筐体102へ放熱することができる。
【0066】
また、本実施形態においても、ドライバIC110と光変調器300-2との間は、熱伝導体250を介さず、互いに直接に接触しているものとすることができる。また、ドライバIC110と光変調器300-2との間は、第2の実施形態と同様に、離間距離d1を有する微小間隙を介して熱的に接続されるものとしてもよい。さらに、本実施形態においても、ドライバIC110は、光変調器300-2の底面の任意の位置で熱的に接続されているものとすることができる。
【0067】
また、第1実施形態について上述したように、本実施形態においても、光変調器300-2の底面における上記熱的な接続の位置は、ドライバIC110からの熱が変調器筐体304-2に伝わった場合でも、光変調器300-2の温度特性に所定の水準以上の影響が生じないように、例えば温度特性試験等により定めることもできる。また、上記熱的な接続は、変調器筐体304-2のうちドライバIC110からの熱が流入する部分が、光変調素子302のうち高周波信号により光波の伝搬が制御される部分(例えばRF電極350、352、354、356が形成された部分)と平面視において重ならない位置となるように設定するものとすることができる。
【0068】
なお、上述した第1、第2、及び第3の実施形態では、光変調器300、300-1、300-2を介して放熱される発熱電子部品としてドライバIC110を示したが、これには限られない。例えば、発熱電子部品であるDSPが、光変調器300等と接触して直接に、又は熱伝導体250を介して間接に、光変調器300等を介して放熱されるものとすることができる。
【0069】
以上説明したように、本発明の実施形態に係る光モジュール100、100´、100-1、100-2は、発熱体であるドライバIC110が配された回路基板104と、回路基板104上に実装された光変調器300等と、を備える光モジュールである。そして、光変調器300等は、回路基板104に対向する表面の少なくとも一部と、ドライバIC110の光変調器300等に対向する面の少なくとも一部と、が熱的に接続されて、ドライバIC110からの発熱が光変調器300等を介して放熱される。
【0070】
具体的には、光モジュール100では、光変調器300は、光変調器300の回路基板104に対向する表面の少なくとも一部と、ドライバIC110の光変調器300に対向する面の少なくとも一部と、が接触するように配されて、又はこれらの間に介在する熱伝導体250が配されて、ドライバIC110からの発熱が光変調器300を介して放熱される。
【0071】
また、光モジュール100-1では、光変調器300-1は、光変調器300-1の回路基板104に対向する表面の少なくとも一部と、ドライバIC110の光変調器300-1に対向する面の少なくとも一部と、の間の距離が2mm以下となるように配されて、ドライバICからの発熱が光変調器300-1を介して放熱される。この距離は、例えば、光変調器300-1の回路基板104に対向する表面に凸部950が設けられることにより実現されるか、又は光変調器300-1に代えて光変調器300を用い、光変調器300の底面に設ける突起部500、502、504、506の高さを調製することにより実現され得る。
【0072】
これらの構成によれば、それぞれ、ドライバIC110からの熱は、光変調器300等を介して効果的に放熱されるので、ドライバIC110の表面温度の上昇が緩和される。その結果、ドライバIC110の特性変化や長期信頼性の低下が防止される。
【0073】
また、光モジュール100では、熱伝導体250は、ドライバIC110と対向する光変調器300の回路基板104に対向する表面の少なくとも一部に配されており、当該表面の少なくとも一部は、光変調器300の長手方向の端部から所定の距離Lの範囲内である。また、光モジュール100において、ドライバIC110と対向する光変調器300の回路基板104に対向する表面の少なくとも一部をドライバIC110と接触させる場合にも、当該接触させる上記表面の少なくとも一部は、光変調器300の長手方向の端部から所定の距離Lの範囲内であるものとすることができる。さらに、光モジュール100-1においても、ドライバIC110との離間距離d1の微小間隙を介した熱的な接続は、光変調器300-1の長手方向の端部から所定の距離Lの範囲内であるものとすることができる。
【0074】
この構成によれば、ドライバIC110からの熱が光変調器300等の変調器筐体304等内に収容された光変調素子302の近傍を伝わるのを避けて、当該熱に起因して光変調器300等の特性が変化するのをことができる。
【0075】
また、光モジュール100´では、光変調器300及び回路基板104を収容するモジュール筐体102の内面と、光変調器300の表面の少なくとも一部とが、直接に(すなっわち、接触により)、又は間接に(例えば、熱伝導体を介して)、熱的に接続されている。この構成によれば、ドライバIC110からの熱を、光変調器300を介してモジュール筐体102へ伝えて、より効果的に放熱を行うことができる。
【0076】
また、光モジュール100-2では、モジュール筐体102の内部に実装される光変調器300-2は、光変調器300-2(具体的には、変調器筐体304-2)の表面の少なくとも一部に設けられた凸部1400等で構成される放熱構造を備える。また、この放熱構造は、凸部1400等に代えて、変調器筐体304-2に設けられる凹部で構成されるものとすることができる。この構成によれば、ドライバIC110からの熱を、光変調器300-2を介して、モジュール筐体102内の空気に対して効果的に放熱することができる。
【0077】
また、光モジュール100等においては、光変調器300等を介して放熱される発熱電子部品は、上述した各実施形態に記載したドライバIC110のほか、デジタル信号処理を行うデジタルシグナルプロセッサであるものとすることができる。この構成によれば、ドライバIC110に限らず、光モジュール100等における必須機能を果たすデジタルシグナルプロセッサをも、光変調器300等を介して効果的に放熱することができる。
【符号の説明】
【0078】
100、100´、100-1、100-2、2000…光モジュール、102、2002…モジュール筐体、104、2004…回路基板、106、2006…LD、108、2008…PD、110、2022…ドライバIC(高周波ドライバ)、2020…デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、210、212、214、216、2010、2012、2014、2016…ネジ、250、650…熱伝導体、300、300-1、300-2、…光変調器、302…変調素子、304、304-1、304-2…変調器筐体、308、310…光ファイバ、330、332…中継基板、340、342、344、346…導体パターン、350、352、354、356…RF電極(高周波電極)、360、362、364、366…終端抵抗、370…終端抵抗基板、420、422、424、426…リードピン、500、502、504、506、520、522…突起部、510、512、514、516、1910、1912、1914、1916…ネジ穴、950、1400、1402、1404、1406、1410、1412、1414、1416、1420、1422、1424、1426、1430、1432、1434、1436…凸部、
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
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