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特許7196540シート材読取装置、原稿読取装置および画像形成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】シート材読取装置、原稿読取装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/04 20060101AFI20221220BHJP
   G03B 27/62 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
H04N1/04 106A
H04N1/12 Z
G03B27/62
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018205347
(22)【出願日】2018-10-31
(65)【公開番号】P2020072385
(43)【公開日】2020-05-07
【審査請求日】2021-07-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100072604
【弁理士】
【氏名又は名称】有我 軍一郎
(72)【発明者】
【氏名】久保 宏
(72)【発明者】
【氏名】柳澤 公治
(72)【発明者】
【氏名】塚原 元
(72)【発明者】
【氏名】長尾 佳明
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 達也
(72)【発明者】
【氏名】小野 智彦
(72)【発明者】
【氏名】中田 祐貴
(72)【発明者】
【氏名】白土 寛貴
(72)【発明者】
【氏名】橋本 歩
【審査官】橘 高志
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-166267(JP,A)
【文献】特開2015-023429(JP,A)
【文献】特開2016-100645(JP,A)
【文献】特開2013-138322(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/04 - 1/207
G06T 1/00
G03B 27/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のシート材を載置する載置部と、
前記シート材を搬送する搬送部材と、
前記搬送部材により搬送される前記シート材をガイドする読取ガイドと、
前記搬送部材により搬送される前記シート材の影を読み取る読取部と、を備え、
前記シート材から離間して、前記読取ガイドに近接する前記読取部の読取線上の位置に透明部材を設け、前記シート材の影を読取り、前記シート材の傾きを検出するシート材読取装置であって、
前記読取ガイドは、前記読取部に対向する位置に凹部を有し、該凹部に前記透明部材を設け、
前記透明部材と前記読取ガイドの間に白色シート部材を設けたことを特徴とするシート材読取装置。
【請求項2】
前記読取部に対向する前記読取ガイドの端部にコンタクトガラスと略平行なガイド面を設けたことを特徴とする請求項に記載のシート材読取装置。
【請求項3】
凹形状を有する前記読取ガイドは金属材であることを特徴とする請求項に記載のシート材読取装置。
【請求項4】
前記載置部における前記シート材の有無を検知するシート材検知部と、
前記載置部内に収容された前記シート材を狭持するシート材狭持部と、
前記シート材狭持部によって狭持された前記シート材に前記搬送部材側に向かう搬送力を付与して前記シート材を送り出すシート材送出部と、を備えたことを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載のシート材読取装置。
【請求項5】
前記読取部で読取った画像のスキュー量を前記読取ガイドに投影された前記シート材の影を検出することで検知するスキュー量検知部と、
前記スキュー量検知部で検知されたスキュー量に基づき、前記読取部の読み取った画像の傾きを補正する補正部と、を備えたことを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載のシート材読取装置。
【請求項6】
請求項1~のいずれか1項に記載のシート材読取装置において、前記シート材として原稿を読み取ることを特徴とする原稿読取装置。
【請求項7】
請求項に記載のシート材読取装置と、前記補正部で補正された画像を形成する画像形成部と、を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高品質な読み取り画像を提供するシート材読取装置、原稿読取装置およびこれを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シート材読取装置にて、光源と背景板の間にある原稿端部を光源にて照射した際にシート材端部の影がガイド部材に投影され、その影の傾き(スキュー量)を検出し、その傾き分(角度)だけ読取画像を回転させスキューを補正する技術が既に知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1には、基準位置PRから見て受光部23および光源24と反対側にある背面部材21表面に、溝41を形成し、検知部が、溝41に生じるシート材先端の影を検出し、影からシート材先端の検出変化に基づいて、基準位置PRにシート材先端が至るタイミングを検知するシート材端検知装置が開示されている。このような構成により、シート材端部の傾きから原稿スキューを検出することを試みている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1等に記載されたガイド部材に複数の凹部を設けることで、シート材端部の状態によらず影を発生させる技術では、ガイド部材の凹凸により影の濃淡が出てしまい、シート材端部の傾きを検出できないという問題があった。
【0005】
本発明は、上述のような事情に鑑みてなされたもので、シート材端部の状態(カールや原稿厚み)によらず確実にガイド部材に影を投影させ、シート材端部の傾きを検出することができるシート材読取装置、原稿読取装置およびこれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るシート材読取装置は、上記目的を達成するため、複数のシート材を載置する載置部と、 前記シート材を搬送する搬送部材と、前記搬送部材により搬送される前記シート材をガイドする読取ガイドと、前記搬送部材により搬送される前記シート材の影を読み取る読取部と、を備え、前記シート材から離間して、前記読取ガイドに近接する前記読取部の読取線上の位置に透明部材を設け、前記シート材の影を読取り、前記シート材の傾きを検出するシート材読取装置であって、前記読取ガイドは、前記読取部に対向する位置に凹部を有し、該凹部に前記透明部材を設け、前記透明部材と前記読取ガイドの間に白色シート部材を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、シート材端部の状態(カールや原稿厚み)によらず確実に影を投影させ、シート材端部の傾きを検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の概略構成を示す正面断面図である。
図2】本発明の実施の形態に係るADFの概略構成図である。
図3】本発明の実施の形態に係るADFの制御構成を表すブロック図である。
図4】本発明の実施形態に係る原稿読取ガイドの構成を示す模式図である。
図5】本発明の実施形態に係る原稿読取ガイドの原稿端部影が投影されている状態を示す模式図である。
図6】本発明の実施形態に係る原稿読取ガイドの原稿端部影が投影されている状態を示す模式図である。
図7】本発明の実施形態に係る原稿読取ガイドの原稿を規制する状態を示す模式図である。
図8】本発明の実施形態に係る原稿読取ガイドの変形例の構成を示す模式図である。
図9】本発明の実施形態に係る原稿読取ガイドの変形例の構成を示す模式図である。
図10】従来の原稿読取ガイドの構成を示す模式図である。
図11】従来の原稿読取ガイドの構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0010】
図1に示すように、本実施の形態に係る画像形成装置1は、給紙装置2、画像形成部3、および画像読取部4を有する装置本体1Mと、装置本体1M上に配置されたADF5とを備えたデジタル複合機である。画像読取部4およびADF5は、画像読取装置6を構成している。画像形成部3は、本発明に係る画像形成部を構成する。画像読取装置6は、本発明に係る原稿読取装置を構成する。
【0011】
給紙装置2は、それぞれカットシート状の転写紙Pを積層状態で収納可能な複数段の給紙カセット21A,21B,21Cを有している。各給紙カセット21A,21B,21Cには、例えば複数のシートサイズから予め選択されたシートサイズの転写紙P(例えば白紙)が、縦又は横の給紙方向に向けて収容されるようになっている。
【0012】
給紙装置2は、給紙カセット21A,21B,21Cに収納された転写紙Pをそれぞれの最上層側から順次ピックアップして分離給紙する給紙装置22A,22B,22Cを有している。給紙装置2には、更に各種ローラ23等が設けられており、これらによって、各給紙装置22A,22B,22Cから給紙された転写紙Pを画像形成部3の所定の画像形成位置まで搬送する給紙経路24が形成されている。
【0013】
画像形成部3は、露光装置31と、感光体ドラム32K,32Y,32M,32Cと、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)およびシアン(C)のトナーが充填された現像装置33K,33Y,33M,33Cとを備えている。また、画像形成部3は、一次転写部34と、二次転写部35と、定着部36とを備えている。
【0014】
露光装置31は、例えば、画像読取装置6で読み取った画像に基づいて各色の露光用のレーザ光Lを生成するようになっている。また、露光装置31は、レーザ光を各色の感光体ドラム32K,32Y,32M,32Cを露光して、各感光体ドラム32K,32Y,32M,32Cの表層部に読取画像に対応した各色の静電潜像を形成するようになっている。
【0015】
現像装置33K,33Y,33M,33Cは、それぞれ対応する感光体ドラム32K,32Y,32M,32Cに薄層状のトナーを近接させるように供給して、静電潜像をトナーにより顕像化する現像を行うようになっている。
【0016】
画像形成部3は、感光体ドラム32K,32Y,32M,32C上に現像されたトナー像を一次転写部34に一次転写し、一次転写部34に近接する二次転写部35でそのトナー像を転写紙Pに二次転写するようになっている。また、画像形成部3は、転写紙Pに二次転写したトナー像を定着部36により加熱・加圧して溶融させ、転写紙Pにカラー画像を定着させて記録するようになっている。
【0017】
画像形成部3は、給紙装置2から給紙経路24を経て搬入された転写紙Pを二次転写部35側に搬送する搬送経路39Aを有している。この搬送経路39Aにおいては、まず、レジストローラ対37において、転写紙Pの搬送タイミングおよび搬送速度が調整されるようになっている。そして、転写紙Pは、一次転写部34および二次転写部35でのベルト速度に同期した状態で二次転写部35および定着部36を通過した後、排紙トレイ38上に排紙されるようになっている。
【0018】
画像形成部3は、手差トレイ25上に載置される転写紙をレジストローラ対37よりも上流側で搬送経路39Aに給紙する手差給紙経路39Bを併有している。レジストローラ対37の上流側の搬送経路39Aまたは手差給紙経路39Bの近傍に読取部としての光学ユニットを設けるようにしてもよい。光学ユニットは発光部、受光部等を備え、搬送経路39Aまたは手差給紙経路39Bを搬送される転写紙Pの影を読取線上にて読み取ることができる。レジストローラ対37の搬送タイミングは可変としてよい。
【0019】
二次転写部35および定着部36の下方には、それぞれ複数の搬送ローラおよび搬送ガイド等からなるスイッチバック搬送路39Cおよび反転搬送路39Dが配設されている。
【0020】
スイッチバック搬送路39Cは、転写紙Pの両面に画像を形成する場合に、任意の一面に画像定着が済んだ転写紙Pを一端から進入させた後に、後退(進入時とは逆方向に移動)させるスイッチバック搬送を行うようになっている。
【0021】
反転搬送路39Dは、スイッチバック搬送路39Cによりスイッチバック搬送された転写紙Pの表裏を反転させて、レジストローラ対37に再度給紙するようになっている。
【0022】
これらスイッチバック搬送路39Cおよび反転搬送路39Dにより、一面に対する画像定着処理を終えた転写紙Pは、その進行方向を逆向きに切り替えられた後に表裏反転されて、再び二次転写ニップに進入する。そして、転写紙Pは、他面にも画像の二次転写処理と定着処理とが施された後、排紙トレイ38上に排紙されるようになっている。
【0023】
画像読取部4は、発光部である光源およびミラー部材を搭載した第1キャリッジ41と、ミラー部材を搭載した第2キャリッジ42と、結像レンズ43と、受光部である撮像部44と、第1コンタクトガラス45とを備えている。これらは装置本体1M側に配設され、第1コンタクトガラス45上を搬送される記録媒体としての原稿シートSの片側の画像面(例えば表側の画像面)の画像読み取りする光学走査ユニット40を構成している。光学走査ユニット40は、本発明に係る画像読取部4の読取部を構成する。原稿シートSは、普通紙、グロスコート紙、マッコート紙、アートコート紙、OHPシート、エンボス加工を施した特殊紙その他のシート材である。
【0024】
画像読取部4には、原稿シートSが載置される第2コンタクトガラス46と、原稿シートSの一辺の突当ておよび位置決めが可能な突当部材47a等とが併設されている。
【0025】
第1キャリッジ41は、第1コンタクトガラス45および第2コンタクトガラス46の下方に、図中の左右方向に移動可能におよび位置制御可能に設けられている。なお、第1キャリッジ41を第1コンタクトガラス45の下方に固設させ、別のキャリッジを新たに第2コンタクトガラス46の下方に移動可能に設けても良い。第1キャリッジ41内の光源からの照明光は第1コンタクトガラス45を通過し、第1コンタクトガラス45上の原稿シートSを照射する。原稿シートSで反射した反射光は、第2キャリッジ42に搭載された各ミラー部材を経由して結像レンズ43により結像され、撮像部44にてその結像した画像が読み取られるようになっている。なお、第1キャリッジ41および第2キャリッジ42、結像レンズ43、撮像部44を一体のキャリッジにすることも可能である。
【0026】
第2コンタクトガラス46上に置いた原稿シートSの画像を読取る場合、画像読取部4は、光源点灯状態で第1キャリッジ41および第2キャリッジ42を例えば2:1の速度比で図中の右方向に移動させつつ、第2コンタクトガラス46上に置いた原稿シートSの画像面を読み取られるようになっている。そして、画像読取部4は、固定原稿読取機能(いわゆるフラットベッドスキャナ機能)を発揮できるようになっている。
【0027】
第1コンタクトガラス45上の原稿シートSの画像を読取る場合、画像読取部4は、第1キャリッジ41を第1コンタクトガラス45の直下の定位置に停止させることができるようになっている。そして、画像読取部4は、光源や反射ミラー等からなる光学系を移動させることなく、自動原稿搬送中の原稿シートSの第1面(原稿テーブル51上の原稿シートSの表面)の画像を読み取る移動原稿読取機能(いわゆるDFスキャナ機能)を発揮できるようになっている。
【0028】
ADF5は、シートスルー方式の自動原稿搬送装置として構成されている。ADF5は、原稿載置台である原稿テーブル51と、各種ローラおよびガイド部材等からなる原稿搬送部52と、画像読み取り後の原稿シートSを集積する原稿排紙トレイ53とを備えている。原稿テーブル51は、カットシート状の少なくとも1枚の原稿シートS、例えば複数枚の原稿シートSの原稿束を載置可能になっている。また、原稿テーブル51は、給紙カバー55とともに原稿シートAを覆い収容する。原稿テーブル51は、本発明に係るシート材収容部の一部を構成する。
【0029】
第1コンタクトガラス45上での画像読み取り後、原稿シートSは原稿搬送部52により搬送下流方向へ搬送される。原稿搬送部52における第1コンタクトガラス45の搬送下流方向には、裏面読取部69が設けられている。裏面読取部69は原稿シートSが読取位置を通過する際に、原稿シートSの裏面の画像を読み取る。裏面読取部69を通過した原稿シートSは排紙ローラ67により原稿排紙トレイ53に排出される。
【0030】
ADF5は、画像形成装置1の装置本体1Mの上部にヒンジ機構を介して開閉動作可能に連結されている。ADF5は、画像読取部4における第1コンタクトガラス45および第2コンタクトガラス46を露出させる開放位置と、第1コンタクトガラス45および第2コンタクトガラス46を覆う閉止位置との間で回動操作されるようになっている。
【0031】
画像形成部3は、露光装置31と、感光体ドラム32K,32Y,32M,32Cと、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)およびシアン(C)のトナーが充填された現像装置33K,33Y,33M,33Cとを備えている。また、画像形成部3は、一次転写部34と、二次転写部35と、定着部36とを備えている。
【0032】
露光装置31は、例えば、画像読取装置6で読み取った画像に基づいて各色の露光用のレーザ光Lを生成するようになっている。露光装置31は、各色の感光体ドラム32K,32Y,32M,32Cを露光し、各感光体ドラム32K,32Y,32M,32Cの表層部に読取画像に対応した各色の静電潜像を形成するようになっている。
【0033】
現像装置33K,33Y,33M,33Cは、それぞれ対応する感光体ドラム32K,32Y,32M,32Cに薄層状のトナーを供給して、静電潜像をトナーにより顕像化する現像を行うようになっている。
【0034】
画像形成部3は、感光体ドラム32K,32Y,32M,32C上に現像されたトナー像を一次転写部34に一次転写し、一次転写部34に近接する二次転写部35でそのトナー像を転写紙Pに二次転写するようになっている。また、画像形成部3は、転写紙Pに二次転写したトナー像を定着部36により加熱・加圧して溶融させ、転写紙Pにカラー画像を定着させて記録するようになっている。
【0035】
定着部36に搬送された転写紙Pは、定着部36内における加圧や加熱によってフルカラー画像が定着された後、定着部36から排紙ローラ対に送られ、機外の排紙トレイ38上に排出されるようになっている。
【0036】
図2は、図1に示すADF5と置き換え可能な自動原稿搬送装置であるADF5aの概略構成図である。ADF5aは、後述するようにその両面機構がADF5のものと異なる。
【0037】
図2に示すように、ADF5aは、複数の機能部として、原稿セット部A、分離給送部B、レジスト部C、ターン部D、読取搬送部E、排出部F、およびスタック部Gを備えている。上記の複数の機能部のうち、分離給送部B、レジスト部C、ターン部D、読取搬送部E、および排出部Fの機能は、主に原稿搬送部52によって実現される。
【0038】
原稿搬送部52は、少なくともその上方を開閉可能とした給紙カバー部12によって覆われている。給紙カバー部12は、原稿シートSの先端が給紙カバー部12の内部に臨むように給紙口55aを有している。また、給紙カバー部12は、給紙口55aよりも内部に原稿テーブル51の先端が位置するように、原稿テーブル51の先端の上方を覆っている。
【0039】
原稿搬送部52は、給紙口55aから原稿排紙トレイ53の上方の排紙口55bに至る範囲が、給紙カバー部12の給紙カバー55等に形成されたリブ55cや他のガイド部材等により覆われ、搬送経路56を形成している。給紙カバー55は本発明に係るシート材収容部の一部を構成する。
【0040】
原稿搬送部52は、分離センサ11、突当センサ85、原稿幅センサ86、読取入口センサ87、レジストセンサ88、排紙センサ89を、原稿シートSの搬送方向上流側から下流側へと、この順に配置している。これらのセンサは、搬送経路56における原稿シートSの位置や形状を検知するものである。特に、読取入口センサ87、レジストセンサ88、排紙センサ89は、原稿シートSの搬送距離や搬送速度等の制御並びにジャム検知等に用いられるようになっている。
【0041】
原稿セット部Aは、原稿シートSの原稿束の給送方向の先端が原稿突当爪28に突き当てられた状態で、原稿テーブル51上に原稿束がセットされるようになっている。原稿シートSが片面原稿の場合には、表面を上向きにした状態で原稿テーブル51に原稿束がセットされるようになっている。
【0042】
分離給送部Bは、原稿セット部Aの原稿テーブル51に載置された原稿シートSの原稿束から最上位のものを一枚ずつ分離して、搬送経路56の入口に給送するようになっている。
【0043】
レジスト部Cは、分離給送部Bから順次給送される原稿シートSを一次突当てにより所要の搬送姿勢に整合する機能と、その整合後の原稿シートSを下流側に引き出し搬送する機能を有している。
【0044】
ターン部Dは、レジスト部Cにより引き出されて搬送される原稿シートSを表裏面が反転するよう折り返し搬送し、原稿シートSの表面を図中の下向きにする反転搬送機能を有している。
【0045】
読取搬送部Eは、ターン部Dからの折り返し後の原稿シートSを第1コンタクトガラス45上の読取位置20を通過させつつ副走査方向(原稿幅方向である主走査方向に対し直交する方向)に所定速度で搬送するようになっている。
【0046】
排出部Fは、読取搬送部Eで搬送されて原稿画像読み取りが完了した原稿シートSをスタック部G側に排出するようになっている。また、排出部Fは、原稿シートSの裏面の読取が必要な場合に、原稿シートSをスタック部G側に排出させずに反転させて、再度搬送経路56を搬送させる。これにより、反転された原稿シートSは、読取搬送部Eを経て裏面側が読み取られ、原稿シートSの両面の読み取りがなされる。
【0047】
スタック部Gは、排出部Fから順次排紙される原稿シートSをその表面を下向きにしつつ、原稿セット部Aの下方に配置された原稿排紙トレイ53に順次積載するようになっている。スタック部Gに積載される原稿シートSは、原稿セット部Aに載置したときと同じ頁順序であって、その束全体としては原稿面の向きが上下逆に積み重ねられるようになっている。
【0048】
これら原稿セット部A、分離給送部B、レジスト部C、ターン部D、読取搬送部E、排出部F、およびスタック部Gは、自動原稿搬送制御用のコントローラ部によって制御されるようになっている。
【0049】
ADF5aは、原稿テーブル51に載置された原稿シートSの原稿束から最上位の原稿シートSを1枚ずつ分離して、原稿搬送部52により、第1コンタクトガラス45上を通る所定の搬送経路で搬送するようになっている。さらに、ADF5aは、原稿シートSが第1コンタクトガラス45を通過する際に画像読取部4により原稿シートSの画像を読み取った後、原稿シートSを原稿排紙トレイ53に排紙するようになっている。
【0050】
原稿シートSが上向きに載置される原稿テーブル51は、原稿搬送部52側を原稿シートSの先端側として、その先端側が下方、その後端側が上方となるように傾斜して配置されている。
【0051】
また、ADF5aは、原稿テーブル51において給送方向に沿って離隔して設けられた原稿長さセンサ81A~81Cを有している。原稿長さセンサ81A~81Cは、例えば、公知の反射型フォトセンサで構成されているが、これに限定されず、スプリングやヒンジレバーを備えたアクチュエータの動作を感知するマイクロスイッチやフォトセンサであってもよい。
【0052】
原稿長さセンサ81A~81Cは、図2に示すように、原稿シートSの原稿束の先端が原稿突当爪28に突き当たり、原稿テーブル51上に原稿束がセットされた状態で、原稿束の概略の長さを検知するようになっている。ここで、原稿突当爪28は、原稿テーブル51上にセットされる原稿束の姿勢を整えるようになっている。
【0053】
ADF5aは、原稿シートSの原稿搬送方向を基準として給紙口55a側の上流端である原稿テーブル51の先端上部に、原稿テーブル51に載置された原稿シートSにより回動する原稿セットフィラー57を有している。
【0054】
また、ADF5aは、原稿テーブル51の先端寄りの底面付近に、原稿セットフィラー57の先端部の移動軌跡上の最下部を検知することによって、原稿テーブル51に原稿シートSがセットされたか否かを検知する原稿セットセンサ82を有している。原稿セットセンサ82は、原稿セットフィラー57が回動して原稿セットセンサ82から外れたか否かを検知することにより、原稿テーブル51にセットされた原稿シートSの有無を検知する。原稿セットセンサ82は、本発明に係るシート材検知部を構成する。
【0055】
また、ADF5aは、平坦で板状に形成され第2コンタクトガラス46に対向して配置された圧板部27を備えている。圧板部27は、読み取られる本や原稿を第2コンタクトガラス46に圧接するよう構成されている。
【0056】
原稿搬送部52は、給紙口55aよりも原稿シートSの搬送方向下流に配置された呼び出しローラとしてのピックアップローラ58と、ピックアップローラ58より下流の搬送経路56近傍に配置された無端状の給紙ベルト59およびリバースローラ60(給紙部)とを有している。給紙ベルト59とリバースローラ60は搬送経路を挟んで対向するよう配置されている。ピックアップローラ58、給紙ベルト59およびリバースローラ60は、本発明に係る分離給送部を構成し、ピックアップローラ58がピックアップした原稿シートSを給紙ベルト59およびリバースローラ60が、1枚ずつ分離する。
【0057】
ピックアップローラ58は、カム機構を介して上下動し、接触位置において原稿テーブル51に積載された原稿シートSのうち、最上位側から数枚(理想的には1枚)の原稿シートSを摩擦搬送してピックアップして順次分離ユニットに搬送する。ここで、分離ユニットは、駆動ローラ71、従動ローラ72、給紙ベルト59、およびリバースローラ60からなる。
【0058】
給紙ベルト59は、給紙モータ102(図3参照)により駆動される駆動ローラ71により原稿シートSの搬送方向に回転するようになっている。
【0059】
リバースローラ60は、給紙ベルト59の給送方向と逆方向に回転可能であり、最上位の原稿シートSとその下の原稿シートSとを分離して、最上位の原稿シートSのみを給紙できる構成となっている。また、リバースローラ60は、トルクリミッタを内蔵している。リバースローラ60は、給紙ベルト59に対し圧接しており、給紙ベルト59と直接に接しているか、又は1枚の原稿シートSを介して接している状態では、トルクリミッタが作動し、給紙ベルト59に連れ回りするようになっている。
【0060】
リバースローラ60は、複数枚の原稿シートSが給紙ベルト59とリバースローラ60との間に進入すると、反時計方向への連れ回り力がトルクリミッタの設定トルクに対応した力よりも低くなる。これにより、リバースローラ60は、駆動方向である時計方向に回転し、重送された原稿シートSを戻して、原稿シートSが重送されるのを防止するようになっている。
【0061】
給紙ベルト59とリバースローラ60との作用により1枚に分離された原稿シートSは、給紙ベルト59によって更に送られ、搬送方向下流の突当センサ85によって先端が検知されることで、非回転の搬送ローラ61に突き当たり停止する。突当センサ85は、給紙ベルト59と搬送ローラ61との間に配置されており、原稿シートSの先端および後端を検知するよう構成されている。
【0062】
また、原稿搬送部52は、搬送経路56を挟んで対向するように原稿シートSをニップして搬送するプルアウトローラとしての搬送ローラ対61と、読取入口ローラとしての搬送ローラ対63と、読取出口ローラとしての搬送ローラ対65と、を有している。各搬送ローラ対61、63、65は、原稿シートSを原稿排紙トレイ53まで搬送する。各搬送ローラ対の配置数や配置場所は、搬送経路56の経路設計や、ADF5aが許容する原稿シートSの最小サイズの原稿搬送方向の長さ等に応じて適宜設定される。搬送ローラ対61、63、65は、本発明に係る搬送部材を構成する。
【0063】
原稿シートSは、突当センサ85で検知されてから搬送ローラ61に到達するまで充分に余裕のある距離をもって送られ、搬送ローラ61に撓みを持って押し当てられる。ここでいう距離は、原稿シートSの紙質等に応じて変更してよい。この状態で給紙モータを停止させることにより、給紙ベルト59の駆動が停止する。
【0064】
その際に、ピックアップ昇降モータ101(図3参照)の回転により、原稿シートSの上面と接触しているピックアップローラ58が上方に退避する。このようにして、原稿シートSを給紙ベルト59の搬送力で送ることにより、原稿シートSの先端が搬送ローラ61の上下ローラ対のニップに進入し、先端の整合(後述するスキュー補正)が行われる。
【0065】
搬送ローラ61は、プルアウトモータ113(図3参照)により駆動されるようになっている。プルアウトモータ113は、ピックアップローラ58によってピックアップされた原稿シートSに搬送ローラ61の回転による搬送力を付与して原稿シートSを送り出す。プルアウトモータ113は、本発明に係るシート材送出部を構成する。
【0066】
搬送ローラ61は、突当センサ85によって先端が検知された原稿シートSの先端を突き当て停止させてスキューを補正するとともに、補正後の原稿シートSを搬送方向に搬送するようになっている。
【0067】
また、搬送ローラ61の原稿シートSの搬送方向下流側には、原稿幅センサ86が配置されており、搬送ローラ61により搬送された原稿シートSの搬送方向に直行する幅方向のサイズを検知する。原稿幅センサ86は、原稿シートSの幅方向に沿って複数並べた端部が軸回転し他端部が原稿シートSに接触する検知材で、この検知材の動きを光学素子で検知するセンサである。なお、原稿シートSの幅方向に沿って複数並べた発光素子と、この発光素子と搬送経路56を挟んで対向位置に配置した受光素子とで構成することも可能である。また、原稿シートSの搬送方向の長さは、原稿シートSの先端および後端の突当センサ85の検知と、その間のモータのパルスカウントとから検出することができる。
【0068】
ADF5aは、原稿シートSの先端が読取入口センサ87により検出されると、搬送ローラ63の上下ローラ対のニップに原稿シートSの先端が進入する前に、原稿シートSの搬送速度を所定の速度にするために減速を開始する。同時に、ADF5aは、読取モータ103を正転駆動して搬送ローラ63および搬送ローラ65を駆動する。
【0069】
搬送ローラ63は、原稿読取ガイド91に向かって原稿シートSを搬送するようになっている。搬送ローラ65は、原稿読取ガイド91と対向する画像読取部4の第1コンタクトガラス45との間を通過し読み取りが完了した原稿シートSを排出部F側に搬送するようになっている。原稿読取ガイド91は、画像読取部4の第1コンタクトガラス45を通過中の原稿シートSをガイドするようになっている。原稿読取ガイド91は、本発明に係る読取ガイドを構成する。
【0070】
さらに、原稿搬送部52は、排紙ローラ67と、分岐爪90と、反転ローラ68と、を含む。
【0071】
排紙ローラ67は、原稿シートSの表面の読み取りが終わり、裏面の読み取りを行わない場合に、搬送ローラ65で搬送された原稿シートSを、原稿排紙トレイ53に排出するようになっている。
【0072】
反転ローラ68は、原稿シートSの表面の読み取りが終わり、更に裏面の読み取りを行う場合に、分岐爪90によりガイドされて搬送され、原稿排紙トレイ53に排出されなかった原稿シートSを反転させる。排紙ローラ67は、反転した原稿シートSを搬送ローラ61に向かって搬送するようになっている。
【0073】
図3に示すように、画像形成装置1は、自動原稿搬送制御用のコントローラ部100と、装置本体制御用の本体制御部111と、本体制御部111に付帯する操作部108とを備えている。
【0074】
操作部108は、操作スタート、プリントのためのボタンおよびパネル等の入出力部を有している。コントローラ部100と本体制御部111とは、インターフェース107を介して接続されている。本体制御部111は、操作部108のスタートボタンが押下され入力信号を得ると、インターフェース107を介してコントローラ部100に原稿給紙信号や読取開始信号を送信するようになっている。
【0075】
コントローラ部100は、分離センサ11、開閉センサ18、原稿長さセンサ81A~81C、原稿セットセンサ82、突当センサ85、原稿幅センサ86、読取入口センサ87、レジストセンサ88、排紙センサ89、および撮像部44による検知信号を取り込むようになっている。撮像部44は、本発明に係るスキュー量検知部を構成する。
【0076】
コントローラ部100は、ピックアップローラ58を昇降するピックアップ昇降モータ101、給紙ベルト59を駆動する給紙モータ102、搬送ローラ63,65を駆動する読取モータ103を作動させるようになっている。
【0077】
また、コントローラ部100は、排紙ローラ67を駆動する排紙モータ104、搬送ローラ61を駆動するプルアウトモータ113、ピックアップローラ58を駆動するピックアップ搬送モータ115、反転ローラ68を駆動する反転モータ105を作動させるようになっている。
【0078】
コントローラ部100は、撮像部44により検出されたスキュー量に基づいて、搬送ローラ61に給紙した原稿シートSの先端を突当てて、光学走査ユニット40が読み取った画像の傾きを補正、即ちスキューを補正する。撮像部44は、光学走査ユニット40が検知位置において検出した照射光の反射量により、後述する原稿読取ガイド91に投影された影を検知する。コントローラ部100は、本発明に係る補正部を構成する。画像形成部3は、このようにコントローラ部100により読み取った画像を補正して画像を形成する。
【0079】
コントローラ部100は、原稿シートSの先端をレジストセンサ88にて検知すると、本体制御部111にインターフェース107を介して搬送停止信号を送信する。また、コントローラ部100は、原稿シートSの先端をレジストセンサ88にて検知すると、所定の搬送距離をかけて搬送速度を減速し、読取線20の手前で原稿シートSを一時停止させる。以下、この搬送停止信号が送信される時の原稿シートSの先端位置をレジスト位置ともいう。
【0080】
続いてコントローラ部100は、本体制御部111より読取開始信号を受信すると、一時停止していた原稿シートSを、読取線20上の読取位置に原稿シートSの先端が到達するまでに所定の搬送速度に立ち上がるように増速して搬送する。
【0081】
コントローラ部100は、原稿シートSの先端が光学走査ユニット40による読取位置20に到達するタイミングで、本体制御部111に対して第1面の副走査方向有効画像領域および非有効画像領域を示すゲート信号の送信を開始する。ここで、非有効画像領域は、原稿シートSの先端から有効画像領域の初端、および有効画像領域の後端から原稿シートSの後端までの領域である。ゲート信号にはON/OFFがあり、有効画像領域はONに、非有効画像領域はOFFに対応する。ゲート信号の送信は、原稿シートSの後端が光学走査ユニット40による読取線20上の読取位置を通過するまで行われる。ここで、原稿シートSの先端が読取位置に到達するタイミングは、読取入口センサ87により原稿シートSの先端が検知されてからの読取モータ103のパルスカウントにより検出される。
【0082】
読取搬送部Eを通過した原稿シートSは、排出部Fへ搬送される。この際、コントローラ部100は、排紙センサ89により原稿シートSの先端を検知すると、排紙モータ104を正転駆動して排紙ローラ67を反時計方向に回転させる。また、コントローラ部100は、排紙センサ89による原稿シートSの先端検知からの排紙モータパルスカウントに基づいて原稿シートSの後端が排紙ローラ対94のニップを抜け出るタイミングを演算する。コントローラ部100は、この演算結果に基づいて、原稿シートSの後端が排紙ローラ対67のニップから抜け出る直前のタイミングで、排紙モータ104の駆動速度を減速させて、原稿排紙トレイ53上に排出される原稿シートSが飛び出さない様に制御する。
【0083】
ここで、画像形成装置1における省エネモードについて説明する。省エネモードでは、ユーザが画像形成装置1を使用する際の契機となる、操作部108やADF5aにセンシング用の電源が供給され、それ以外の電源が切断されるようになっている。このようにして、画像形成装置1では、省エネモード時にセンシング用の電源を除く他の電源をオフすることにより、低消費電力化を図っている。
【0084】
省エネモード時に原稿シートSが原稿テーブル51にセットされると、原稿セットセンサ82が原稿テーブル51上への原稿シートSのセットを検知することにより、画像形成装置1が省エネ復帰した状態となる。また、画像形成装置1は、省エネモード時に操作部108のタッチパネル等が操作されることによっても省エネ復帰する。
【0085】
省エネモード中の画像形成装置1は、上記のようにユーザによりADF5aに原稿シートがセットされる、又は、操作部108が操作されることにより、省エネ復帰のためにADF5aを含む画像形成装置1のイニシャル動作を実行し、画像形成装置1自身を再起動する。この過程を経て初めて画像形成装置1は自動原稿搬送が可能な動作モード状態(ADFレディ)へと復帰する。
【0086】
そのため、省エネ復帰時においては、ADF5aのイニシャル動作の開始から完了までの時間(以下、「ADFイニシャル時間」ともいう)、画像形成装置1を操作することができないようになっている。したがって、ADFイニシャル時間中の画像形成装置1を使用しようとする場合、ユーザは、ADF5aが動作可能な状態に復帰し(ADFレディ)、画像形成装置1の操作が可能な状態になるまで待つことになる。
【0087】
省エネ復帰時には、省エネ復帰信号が本体制御部111から出力され、コントローラ部100で受信される。コントローラ部100が省エネ復帰信号を受信することにより、ADF5aの電源がオンとなる。
【0088】
また、画像形成装置1の主電源がオフからオンとなった場合には、電源オン信号が本体制御部111から出力され、コントローラ部100で受信される。コントローラ部100が電源オン信号を受信することにより、ADF5aの電源がオンとなる。
【0089】
また、画像形成装置1の主電源がオンの状態で、給紙カバー55が開状態になった場合には開信号、給紙カバー55が閉状態になった場合には閉信号が、それぞれ開閉センサ18から出力され、コントローラ部100で受信される。コントローラ部100が開信号又は閉信号を受信することにより、ADF5aの電源がオンとなる。
【0090】
図4は、原稿シートSの読取位置における原稿読取ガイド91の構成を示す図である。原稿読取ガイド91は、搬送経路56に沿って搬送上流側から搬送ローラ61、搬送ローラ63を経て搬送されてきた原稿シートSの内周をガイドする上方ガイド部材である。第1コンタクトガラス45の下方にある光学走査ユニット40の第1キャリッジ41(図1参照)に対向する位置に凹部94を有している。第1キャリッジ41の右方には結像レンズ43と撮像部44が設けられている。
【0091】
凹部94は、原稿読取ガイド91の所定部分に対し上方に窪みを持たせて構成されており、窪みの内部に透明部材92が設けられている。原稿読取ガイド91は、例えば金属製とし、金属材の押出し材/引き抜き材での凹形状を加工することで、原稿読取ガイド91の凹形状を精度よく加工することができる。
【0092】
本実施の形態に係るADF5aは後述するように原稿シートSのスキューを、原稿読取ガイド91に投影される原稿シートSの影Wの傾き検出により検出する。したがって、上述のように原稿読取ガイド91の凹形状を精度よく加工することで、原稿読取ガイド91に投影される影Wが明瞭となり、精度よく影Wを検出することが可能となる。
【0093】
透明部材92は、板状で所定の厚みを持つガラス等の光を透過する透明の部材である。透明部材92は、搬送経路56上の凹部94の内部に、光学走査ユニット40に対向するよう読取線20上に設けられている。透明部材92の主走査方向(紙面に対し垂直方向)長さは、ADF5aの最大通紙可能サイズの主走査方向長さよりも長く、原稿主走査方向全域に渡り平面状に延在している。
【0094】
上述のように、透明部材92を凹部94の窪みの内部に設けた理由について説明する。図10および図11は、従来の原稿読取ガイド191において光学走査ユニット40に対向する位置に凹部を設けず、透明部材を用いずに原稿シートSを搬送させた場合の模式図である。
【0095】
図10は、原稿シートSの搬送下流側の先端が第1コンタクトガラス45に近接して搬送されるケースを示している。同図中の実線の矢印は光源(発光部)である第1キャリッジ41から照射される光の向き(発光線)を示している。また点線の矢印は照射された光の向き(受光線)で、この光は受光部である撮像部44で受光され原稿シートS表面を読取る読取線である。原稿読取ガイド191は、第1コンタクトガラス45に平行で光学走査ユニット40に対向するガイド面191Aと、ガイド面191Aの左右に上方に傾斜する傾斜部191B1、191B2と、を有する。
【0096】
原稿読取時、光学走査ユニット40の第1キャリッジ41内の光源が、原稿読取ガイド191および原稿シートSに傾斜角度θをもって原稿シートSの読取り対象の箇所を照射し、受光部である撮像部44が読取線20方向(y方向)からの反射光をミラー部材を経由して受け、原稿シートS表面を読取る。ここでいう、傾斜角度θは、図10におけるy方向に対する第1キャリッジ41内の光源からの照射方向の傾きの角度である。
【0097】
原稿シートSの先端が第1コンタクトガラス45に近接して搬送される場合、図10に示すように原稿シートSの先端が読取線20上の読取位置に到達するより前に、原稿シートSの先端の影Wが同図中の左斜め下側から原稿読取ガイド191に投影される。原稿シートSの先端と原稿読取ガイド91のy方向位置が異なるためである。
【0098】
図11は、原稿シートSの搬送下流側の先端が原稿読取ガイド191に近接して搬送されるケースを示している。同図中の実線の矢印は光源(発光部)である第1キャリッジ41から照射される光の向き(発光線)を示している。また点線の矢印は照射された光の向き(受光線)で、この光は受光部である撮像部44で受光され原稿シートS表面を読取る読取線である。原稿読取ガイド191は、第1コンタクトガラス45に平行で光学走査ユニット40に対向するガイド面191Aと、ガイド面191Aの左右に上方に傾斜する傾斜部191B1、191B2と、を有する。
【0099】
原稿シートSの先端が原稿読取ガイド191に近接して搬送される場合には、原稿シートSの先端と原稿読取ガイド191のy方向位置がほぼ同じであり、第1キャリッジ41内の光源が図11中の左斜め下側から原稿シートSを照射し、原稿シートSの先端の影Wが原稿読取ガイド191の読取線20上に投影されるタイミングと、原稿シートSの先端が読取ガイド191の読取線20上を通過するタイミングとが略同時である。よって、原稿読取ガイド191に投影された原稿シートSの影Wを読み取ることは困難である。
【0100】
したがって、図10および図11に示すような原稿読取ガイド191では、原稿読取ガイドに投影される原稿シートSの影Wを撮像部44で検出することができない場合があり、原稿シートSの影Wを検出することでスキュー量を検出する方式のスキュー補正を精度良く行うことができない。
【0101】
図5および図6は、本発明の原稿読取ガイド91において光学走査ユニット40に対向する位置に凹部94を設け、透明部材92を用いて原稿シートSを搬送させた場合の模式図である。
【0102】
図5は、原稿シートSの搬送下流側の先端が原稿読取ガイド91に近接して搬送されるケースを示している。同図中の実線の矢印は光源(発光部)である第1キャリッジ41から照射される光の向き(発光線)を示している。また点線の矢印は照射された光の向き(受光線)で、この光は受光部である撮像部44で受光され原稿シートS表面を読取る読取線である。
【0103】
原稿読取ガイド91は、第1コンタクトガラス45に平行で光学走査ユニット40に対向するガイド面91A1、ガイド面91A2と、ガイド面91A1の左方に上方に傾斜する傾斜部91B1と、ガイド面91A2の右方に上方に傾斜する傾斜部91B2と、ガイド面91A1とガイド面91A2の間の領域を上方に窪ませて設けた凹部94と、を有する。ガイド面91A1と傾斜部91B1との境界部分は、搬送経路56を搬送される原稿シートSの搬送位置を規制する規制部91Cを、ガイド面91A2と傾斜部91B2との境界部分は、搬送経路56を搬送される原稿シートSの搬送位置を規制する規制部91Dを構成している。
【0104】
このように、原稿読取ガイド91に透明部材92を設けた構成の場合、透明部材92に厚みがあるために、原稿シートSの先端が透明部材92に近接して搬送される場合において、原稿シートSと原稿読取ガイド91のy方向位置は、少なくとも透明部材92のy方向の厚み分だけ異なる。この点、原稿シートSの先端が透明部材92に接して搬送されていたとしても同様である。よって、原稿シートSの先端が読取線20上の読取位置に到達するより前に、原稿シートSの先端の影Wが原稿読取ガイド91に投影される。透明部材92の厚さは第1コンタクトガラス45の厚さより薄くなるよう構成されている。
【0105】
撮像部44は、ミラー材等を経て、原稿読取ガイド91に投影される影Wを読取線20上で検知する。撮像部44が検知する光量レベルは、原稿シートSが原稿読取ガイド91の読取線20上を通過する過程において、原稿読取ガイド91の表面を検知している状態から原稿シートSの影Wを読取線20上で検知し始めるタイミングと、原稿シートSの影Wを検知している状態から原稿シートSそのものを読取線20上で検知し始めるタイミングの2つのタイミングで大きく変化する。上述の2つのタイミングのいずれを用いてスキューを検知してもよい。したがって、原稿読取ガイド91に投影される原稿シートSの影Wを撮像部44で精度よく検出することができる。
【0106】
図6は、原稿シートSの搬送下流側の先端が第1コンタクトガラス45に近接して搬送されるケースを示している。同図中の実線の矢印は光源(発光部)である第1キャリジ41から照射される光の向き(発光線)を示している。また点線の矢印は照射された光の向き(受光線)で、この光は受光部である撮像部44で受光され原稿シートS表面を読取る読取線である。
【0107】
図5に示すケースと同様に原稿読取ガイド91に透明部材92を設けた構成の場合、透明部材92に厚みがあるために、原稿シートSの先端が第1コンタクトガラス45に近接して搬送される場合において、原稿シートSと原稿読取ガイド91のy方向位置は、少なくとも透明部材92のy方向の厚み分だけ異なる。したがって、原稿シートSの先端が読取線20上の読取位置に到達するより前に、原稿シートSの先端の影Wが原稿読取ガイド91に投影される。
【0108】
図7に示すように原稿シートSの搬送経路56が湾曲した搬送経路であり、ストレートな搬送経路でない場合に、読取線20上で読取画像を安定させるために原稿シートSを規制する必要がある。透明部材92を設けた場合においても原稿シートSの規制は原稿読取ガイド91における規制部91Cおよび規制部91Dにて規制する。規制部91Cは、第1コンタクトガラスと略平行であるガイド面91A1と上流側の傾斜部91B1との境界部分で構成され、規制部91Dは、第1コンタクトガラスと略平行であるガイド面91A2と下流側の傾斜部91B2との境界部分で構成される。規制部91Cおよび規制部91Dは、搬送経路56を搬送される原稿シートSの搬送位置を規制するようになっている。このような構成とするため、光学走査ユニット40に対向する原稿読取ガイド91のガイド面91A1、ガイド面91A2を第1コンタクトガラス45と略平行に、凹部94の左右に設け、原稿読取ガイド91が傾斜部91B1、傾斜部91B2および凹部94のみで構成されないようした。
【0109】
図8に示すように透明部材92と原稿読取ガイド91の間に白色シート部材93を設けてもよい。白色シート部材93は、例えば、白色の薄いプラスチック製の部材でよい。このような、塗装されていないシート部材は表面のムラや凹凸がなく、白色シート部材93に映る色の安定性を確保できる。
【0110】
また、原稿読取ガイド91の構成の変形例として図9に示すように、原稿読取ガイド91が上流側の原稿読取ガイド91Xと下流側の原稿読取ガイド91Yとの間に透明部材92を設ける構成としてもよい。他の構成は図5におけるものと同等である。このような構成においては透明部材92の下側の面が原稿シートS等のシート材を原稿読取ガイド91X、91Yとともにガイドする。
【0111】
以上のように本実施の形態に係る画像読取装置6は、原稿シートSを載置し、収容する原稿テーブル51および給紙カバー55と、原稿シートSを所定の搬送目的位置まで搬送する搬送ローラ61、63、65と、搬送ローラ61、63、65により搬送される原稿シートSをガイドする原稿読取ガイド91と、搬送ローラ61、63、65により搬送される原稿シートS上の画像を読み取る光学走査ユニット40と、を備え、原稿読取ガイド91と原稿シートSとの間であって、光学走査ユニット40による読取線20上の位置に透明部材92を設けるよう構成した。
【0112】
この構成により、本実施の形態に係る画像読取装置6は、原稿読取ガイド91と原稿シートSとの間であって、光学走査ユニット40に対向する位置に透明部材92を設けたので、原稿シートS端部の状態や原稿厚みによらず確実に原稿読取ガイド91に影Wを投影させることができる。また、透明部材92を主走査方向全域に渡り平面状に延在させたので、濃淡のない読取画像を得ることができる。
【0113】
また、本実施の形態に係る画像読取装置6は、原稿読取ガイド91は、光学走査ユニット40に対向する位置に凹部94を有し、凹部94に透明部材92を設けた構成としてもよい。
【0114】
この構成により、本実施の形態に係る画像読取装置6は、原稿シートSの位置規制を原稿読取ガイド91で行うことで、透明部材92の厚みのバラツキによる第1コンタクトガラス45と原稿読取ガイド面との位置バラツキの精度を確保することができる。
【0115】
また、本実施の形態に係る画像読取装置6は、光学走査ユニット40に対向する原稿読取ガイド91の第1コンタクトガラス45と略平行な原稿読取のガイド面91A1とガイド面91A2の端部に規制部91Cと規制部91Dとを設けた構成としてもよい。
【0116】
この構成により、本実施の形態に係る画像読取装置6は、原稿シートSの位置規制は原稿読取ガイド91の規制部91Cと規制部91Dで行うことで位置バラツキの精度を確保することができる。
【0117】
また、本実施の形態に係る画像読取装置6は、透明部材92と原稿読取ガイド91の間に白色シート部材93を設けた構成としてもよい。
【0118】
この構成により、本実施の形態に係る画像読取装置6は、透明部材92と原稿読取ガイド91の間に設けるシート部材に塗装を施さないことで、シート部材の表面に塗装によるムラや凹凸を発生させない。したがって、白色シート部材93に映る色の安定性を確保できる。
【0119】
また、本実施の形態に係る画像読取装置6は、凹形状である凹部94を有する原稿読取ガイド91は金属材であるよう構成してもよい。本実施の形態に係る画像読取装置6は、影でスキュー量を検出するので影の精度が悪い場合、スキュー検出誤差が大きくなる。金属材の押出し材/引き抜き材での凹形状を加工することで、原稿読取ガイド91の凹形状をである凹部94を精度よく加工することができる。凹部94を精度よく加工することで、凹部94に透明部材92を設ける際に原稿読取ガイド91と透明部材92との位置ズレをなくし、原稿読取ガイド91に投影される影Wの精度を確保することができる。
【0120】
また、本実施の形態に係る画像読取装置6は、原稿テーブル51および給紙カバー55に収容された原稿シートSの有無を検知する原稿セットセンサ82と、原稿テーブル51および給紙カバー55に収容された原稿シートSを狭持するピックアップローラ58と、ピックアップローラ58によって狭持された原稿シートSに搬送ローラ61、63、65側に向かう搬送力を付与して原稿シートSを送り出すプルアウトモータ113と、を備えた構成としてもよい。
【0121】
また、本実施の形態に係る画像読取装置6は、光学走査ユニット40で読取った画像のスキュー量を検知する撮像部44と、撮像部44で検知されたスキュー量に基づき、光学走査ユニット40の読み取った画像の傾きを補正するコントローラ部100と、を備えた構成としてもよい。
【0122】
また、本実施の形態に係る画像形成装置1は、画像読取装置6と、コントローラ部100で補正された画像を形成する画像形成部3と、を備えた構成としてもよい。
【0123】
本発明によれば、原稿端部の状態や原稿厚みによらず確実にガイド部材に影を投影させ、濃淡のない読取画像を得ることができ、原稿読取装置および画像形成装置全般に有用である。
【符号の説明】
【0124】
1 画像形成装置
3 画像形成部(画像形成部)
6 画像読取装置(原稿読取装置)
40 光学走査ユニット(読取部)
44 撮像部(スキュー量検知部)
51 原稿テーブル(シート材収容部)
55 給紙カバー(シート材収容部)
58 ピックアップローラ(シート材挟持部)
61、63、65 搬送ローラ(搬送部材)
82 原稿セットセンサ(シート材検知部)
91 原稿読取ガイド(読取ガイド)
92 透明部材
93 白色シート部材
94 凹部
100 コントローラ部(補正部)
113 プルアウトモータ(シート材送出部)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0125】
【文献】特開2001-77986号公報
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