(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】画像読取り装置、印刷装置、画像形成システム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20221220BHJP
H04N 1/04 20060101ALI20221220BHJP
B65H 5/06 20060101ALI20221220BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
H04N1/00 567Q
H04N1/12 Z
B65H5/06 D
G03G15/00 107
(21)【出願番号】P 2018221384
(22)【出願日】2018-11-27
【審査請求日】2021-08-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(72)【発明者】
【氏名】前山 雄一郎
【審査官】野口 俊明
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-246528(JP,A)
【文献】特開2018-148481(JP,A)
【文献】特開昭55-041569(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
H04N 1/04
B65H 5/06
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート上の検出用画像を読取る読取手段と、
前記読取手段のシート搬送方向上流側に配置され、前記シートを搬送する上流側読取り搬送回転体対と、
前記上流側読取り搬送回転体対よりもシート搬送方向上流側に配置され、前記シートを前記上流側読取り搬送回転体対に向けて搬送する少なくとも1つの上流側搬送回転体対と、を含み、
前記上流側搬送回転体対は少なくとも一方の回転体が他方の回転体に対して接触及び離間可能に設けられ、
前記上流側搬送回転体対は、前記シートの先端が前記上流側読取り搬送回転体対に到達した後であって、前記シートの先端が、前記読取り手段による読取り位置に到達する前に離間される
ことを特徴とする画像読取り装置。
【請求項2】
前記読取手段のシート搬送方向下流側に配置され、前記シートを搬送する下流側読取り搬送回転体対と、
前記下流側読取り搬送回転体対よりもシート搬送方向下流側に配置され、前記下流側読取り搬送回転体対から搬送された前記シートを受け入れて下流側に搬送する少なくとも1つの下流側搬送回転体対と、を含み、
前記下流側搬送回転体対は少なくとも一方の回転体を他方の回転体に対して接触及び離間可能に設けられ、
前記下流側搬送回転体対は、前記シートの後端側の前記検出用画像が、前記読取り手段による読取り位置に到達する前に離間される
ことを特徴とする請求項1に記載の画像読取り装置。
【請求項3】
シート上に形成された検出用画像を読取る読取手段と、
前記読取手段のシート搬送方向下流側に配置され、前記シートを搬送する下流側読取り搬送回転体対と、
前記下流側読取り搬送回転体対よりもシート搬送方向下流側に配置され、前記下流側読取り搬送回転体対から搬送された前記シートを受け入れて下流側に搬送する少なくとも1つの下流側搬送回転体対と、を含み、
前記下流側搬送回転体対は少なくとも一方の回転体を他方の回転体に対して接触及び離間可能に設けられ、
前記下流側搬送回転体対は、前記シートの後端側の前記検出用画像が、前記読取り手段による読取り位置に到達する前に離間される
ことを特徴とする画像読取り装置。
【請求項4】
前記上流側読取り搬送回転体対と前記読取り手段による読取位置との距離L1は、前記シートの先端が前記上流側読取り搬送回転体対に到達したときから前記上流側搬送回転体対の離間を開始するまでの時間をT1と、離間開始から離間完了までの時間をT2、前記シートの搬送速度をVとするとき、L1>V×(T1+T2)の関係にある
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像読取り装置。
【請求項5】
前記上流側搬送回転体対が複数配置され、
前記複数の上流側搬送回転体対の内、前記読取り手段による読取り位置までの距離が、搬送する前記シートの最大長さよりも短い前記上流側搬送回転体対はいずれも離間されることを特徴とする請求項1、2及び4のいずれかに記載の画像読取り装置。
【請求項6】
前記下流側読取り搬送回転体対は少なくとも一方の回転体を他方の回転体に対して接触及び離間可能に設けられ、
前記シートの先端から前記検出用画像のシート搬送方向下流端までの距離Lm1が、前記読取り手段による読取り位置から前記下流側読取り搬送回転体対までの距離L2より長いときには、前記下流側読取り搬送回転体対が離間される
ことを特徴とする請求項
2に記載の画像読取り装置。
【請求項7】
前記下流側読取り搬送回転体対に前記シートの先端が到達する前に前記下流側読取り搬送回転体対を離間する
ことを特徴とする請求項6に記載の画像読取り装置。
【請求項8】
前記上流側読取り搬送回転体対と前記読取り手段による読取位置との距離L1、前記距離Lm1、前記シートの装置内で通紙可能な最小長さLminは、Lmin>(Lm1+L1)の関係にある
ことを特徴とする請求項6又は7に記載の画像読取り装置。
【請求項9】
前記下流側搬送回転体対が複数配置され、
前記複数の下流側搬送回転体対の内、前記読取り手段による読取り位置までの距離が、前記シートの最大長さよりも短い前記下流側搬送回転体対はいずれも離間される
ことを特徴とする請求項2、3、6、7及び8のいずれかに記載の画像読取り装置。
【請求項10】
前記上流側読取り搬送回転体対は少なくとも一方の回転体を他方の回転体に対して接触及び離間可能に設けられ、
前記シートの後端から前記検出用画像のシート搬送方向上流端までの距離Lm2が、前記上流側読取り搬送回転体対と前記読取り手段による読取位置の距離L1よりも長いときには、前記上流側読取り搬送回転体対が離間される
ことを特徴とした請求項2に記載の画像読取り装置。
【請求項11】
前記検出用画像が前記読取り手段による読取位置に到達する前に前記上流側読取り搬送回転体対が離間される
ことを特徴とする請求項10に記載の画像読取り装置。
【請求項12】
前記読取り手段による読取位置と前記下流側読取り搬送回転体対との距離L2、前記距離Lm2、前記シートの最小長さLminは、Lmin>(Lm2+L2)の関係にある
ことを特徴とする請求項10又は11に記載の画像読取り装置。
【請求項13】
前記下流側読取り搬送回転体対と前記読取り手段による読取位置との距離L2は、前記シートの後端が前記読取位置に到達した後、前記下流側搬送回転体対の接触が開始されるまでの時間をT3、接触開始から接触完了までの時間をT4、シート搬送速度をVとするとき、L2>V×(T3+T4)の関係にある
ことを特徴とする請求項2、3、10、11及び12のいずれかに記載の画像読取り装置。
【請求項14】
前記シートの後端が前記読取位置に到達する前に前記下流側搬送回転体対の接触を開始し、接触開始後前記シートの後端が前記読取位置に到達するまでの時間を-T3とするとき、T3+T4>0、の関係にある
ことを特徴とする請求項13に記載の画像読取り装置。
【請求項15】
請求項1ないし14のいずれかに記載の画像読取り装置を備えている
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項16】
請求項1ないし14のいずれかに記載の画像読取り装置と、
前記シートに画像を形成する画像形成装置と、を備えている
ことを特徴とする画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像読取り装置、印刷装置、画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像読取り装置として、シート材に付与された検出用画像を読取りものがある。
【0003】
従来、画像読取り手段に対してシート材を搬送する上流側搬送ローラ対及び下流側搬送ローラ対を読取り手段の上流側及び下流側にそれぞれ配置し、下流側搬送ローラ対を離間させた状態で上流側搬送ローラ対によってシート材を搬送して読取り、シート材の先端が下流側搬送ローラ対に到達したときに上流側搬送ローラ対を離間して、下流側搬送ローラ対でシート材の搬送に移行することで、シート材の搬送速度を一定にしようとする読取り装置が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示の構成にあっては、読取り手段による読み取りを行っているときに、上流側搬送ローラ対の離間と下流側搬送ローラ対の圧接が行われるため、シートの搬送速度が変動し、読取り精度が低下するという課題がある。
【0006】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、読取り精度を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明の請求項1に係る画像読取り装置は、
シート上に形成された検出用画像を読取る読取手段と、
前記読取手段のシート搬送方向上流側に配置され、前記シートを搬送する上流側読取り搬送回転体対と、
前記上流側読取り搬送回転体対よりもシート搬送方向上流側に配置され、前記シートを前記上流側読取り搬送回転体対に向けて搬送する少なくとも1つの上流側搬送回転体対と、を含み、
前記上流側搬送回転体対は少なくとも一方の回転体が他方の回転体に対して接触及び離間可能に設けられ、
前記上流側搬送回転体対は、前記シートの先端が前記上流側読取り搬送回転体対に到達した後であって、前記シートの先端が、前記読取り手段による読取り位置に到達する前に離間される
構成とした。
【0008】
本発明によれば、読取り精度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る画像読取り装置の模式的説明図である。
【
図2】同実施形態における読取り動作の説明に供する模式的説明図である。
【
図3】同じく読取り動作の説明に供する模式的説明図である。
【
図4】本発明の第2実施形態に係る画像読取り装置の模式的説明図である。
【
図5】同実施形態における読取り動作の説明に供する模式的説明図である。
【
図6】本発明の第3実施形態に係る画像読取り装置の模式的説明図である。
【
図7】本発明の第4実施形態に係る画像読取り装置の模式的説明図である。
【
図8】同実施形態における読取り動作の説明に供する模式的説明図である。
【
図9】本発明の第5実施形態に係る画像読取り装置の模式的説明図である。
【
図10】本発明に係る画像形成システムを構成する印刷装置の一例の概略構成図である。
【
図11】同じく検出装置における読取デバイスと位置基準部材との設置態様を示す模式図である。
【
図12】同じくシートPに形成される画像位置調整のための検出用マークとしてのパターンの一例の説明図である。
【
図13】同じく画像の補正の種別を模式的に示す説明図である。
【
図14】画像読取り装置を構成する上流側搬送回転体対(搬送ローラ対)の上流側離間手段の一例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。本発明の第1実施形態について
図1を参照して説明する。
図1は同実施形態に係る画像読取り装置の模式的説明図である。
【0011】
この画像読取り装置2は、シートP上の検出用画像である検出マークM(
図1では先端の検出マークM1を図示している。)を読取る読取手段21を備えている。
【0012】
そして、読取手段21のシート搬送方向上流側にはシートPを搬送する上流側読取り搬送回転体対である上流側読取り搬送ローラ対22(22A、22B)が配置されている。また、読取手段21のシート搬送方向下流側にはシートPを搬送すると下流側読取り搬送回転体対である下流側読取り搬送ローラ対23(23A、24B)が配置されている。
【0013】
画像読取り装置2は、上流側読取り搬送ローラ対22よりもシート搬送方向上流側に配置され、シートPを上流側読取り搬送ローラ対22に向けて搬送する上流側搬送回転体対である上流側搬送ローラ対24(24A,24B)を備えている。上流側搬送ローラ対24は少なくとも1つあればよいが、搬送方向に沿って複数配置しても良い。
【0014】
上流側搬送ローラ対24(24A,24B)は、一方の搬送ローラ(従動ローラ)24Bを他方の搬送ローラ(駆動ローラ)24Aに対して接触及び離間可能に設けている。そして、上流側搬送ローラ対24の従動ローラ24Bを、他方の搬送ローラ24Aに対して接触及び離間させる上流側離間手段26を備えている。
【0015】
また、画像読取り装置2は、下流側読取り搬送ローラ対23よりもシート搬送方向下流側に配置され、下流側読取り搬送ローラ対23から搬送されたシートPを受け入れて下流側に搬送する下流側搬送回転体対である下流側搬送ローラ対25(25A、25B)を備えている。下流側搬送ローラ対25は少なくとも1つあればよいが、搬送方向に沿って複数配置しても良い。
【0016】
下流側搬送ローラ対25(25A,25B)は、一方の搬送ローラ(従動ローラ)25Bを、他方の搬送ローラ(駆動ローラ)25Aに対して接触及び離間可能に設けている。そして、下流側搬送ローラ対25の従動ローラ25Bを、搬送ローラ25Aに対して接触及び離間させる下流側離間手段27を備えている。
【0017】
次に、本実施形態における読取り動作について
図2及び
図3を参照して説明する。
図2及び
図3は同動作の説明に供する模式的説明図である。
【0018】
シートP上の検出マークM1を読取るときには、
図2(a)に示すように、上流側搬送ローラ対24によって、例えば搬送速度VでシートPを上流側読取り搬送ローラ対22に向けて搬送する。上流側読取り搬送ローラ対22は、
図2(b)に示すように、シートPを読取り手段21による読取り位置Sに搬送する。
【0019】
ここで、シートPが上流側読取り搬送ローラ対22に到達した後、シートPの先端が読取り手段21による読取り位置Sに到達する前に、上流側搬送ローラ対24の従動ローラ24Bを、上流側離間手段26によって搬送ローラ24Aから離間する。
【0020】
ここでは、上流側読取り搬送ローラ対22にシートPが到達したときから後、従動ローラ24Bの離間を開始するまでの時間をT1,離間が完了するまでの時間(離間時間)をT2とし、シートPの搬送速度をVとするとき、上流読取り搬送ローラ対22と読取位置Sとの間の距離L1が、L1>V×(T1+T2)の関係となるようにしている。
【0021】
この場合、従動ローラ24Bの離間時のショックなどによる速度変動を低減するためには、その余裕度分を見込んで距離L1を設定することが好ましい。
【0022】
また、複数の上流側搬送ローラ対24を配置しているときには、上流側読取り搬送ローラ対22よりもシートPの最大長さ分以上の上流にある上流側搬送ローラ対24の従動ローラ24Bはすべて離間させることが好ましい。
【0023】
このとき、
図2(c)に示すように、読取り手段21に対して上流側読取り搬送ローラ対22のみでシートPが搬送され、シートPを介してさらに上流側の上流側搬送ローラ対24との引っ張り合いを避けることができる。
【0024】
これにより、シートPを高精度に搬送して、高精度に検出マークの搬送方向座標などを検出することができる。
【0025】
次に、シートPの後端側の検出マークM2を読み取るときには、
図3(a)に示すように、シートPの後端側の検出マークM2が読取り手段21による読取位置Sに到達する前に、下流側搬送ローラ対25の従動ローラ25Bを搬送ローラ25Aから離間しておく。
【0026】
この場合、複数の下流側搬送ローラ対25を配置しているときには、読取り位置SよりもシートPの最大長さ分以上の下流にある下流側搬送ローラ対25の従動ローラ24Bはすべて離間させることが好ましい。
【0027】
このとき、
図3(b)に示すように、読取り手段21に対して下流側読取り搬送ローラ対23のみでシートPが搬送され、シートPを介してさらに下流側の下流側搬送ローラ対25との引っ張り合いを避けることができる。
【0028】
これにより、シートPを高精度に搬送して、高精度に検出マークの搬送方向座標などを検出することができる。
【0029】
その後、シートPの後端側を読取が終了したら、
図3(c)に示すように、下流側搬送ローラ対25の従動ローラ25Bを搬送ローラ25に圧接(接触)する。
【0030】
このとき、下流側読取り搬送ローラ対23をシートPの後端が抜ける前に圧接する必要がある。
【0031】
そこで、下流側読取り搬送ローラ対23と読取位置Sとの距離L2は、シートPの後端が読取位置に到達した後、下流側搬送ローラ対23の接触が開始されるまでの時間をT3、接触(圧接)に要する時間をT4とし、シート搬送速度をVとするとき、L2>V×(T3+T4)の関係としている。
【0032】
これにより、シートPの後端が下流側読取り搬送ローラ対23を抜けてしまう前に、下流側搬送ローラ対25で搬送することができ、読取精度も高精度にすることができる。
【0033】
また、シートPの後端が読取位置Sに到達する前に下流側搬送ローラ対23の接触を開始することもできる。この場合、接触開始後シートPの後端が読取位置Sに到達するまでの時間を-T3とするとき、T3+T4>0、の関係になるようにする。
【0034】
つまり、時間T3はマイナスの値でも良いが、シートPの後端を読み取っている間に、圧接(接触)し、搬送速度に変動が生じないように、T3+T4>0とする。
【0035】
このようにして、シートPに設けられた検出用画像を高精度に読み取ることができる。
【0036】
次に、本発明の第2実施形態について
図4を参照して説明する。
図4は同実施形態に係る画像読取り装置の模式的説明図である。
【0037】
本実施形態では、下流側読取り搬送ローラ対23(23A、23B)は、一方の読み取り搬送ローラ(従動ローラ)23Bを他方の読み取り搬送ローラ(駆動ローラ)23Aに対して接触及び離間可能に設けている。そして、下流側読取り搬送ローラ対23の従動ローラ23Bを搬送ローラ23Aに対して接触及び離間させる下流側読取り搬送離間手段28を備えている。
【0038】
次に、本実施形態の読取り動作について
図5を参照して説明する。
図5は同動作の説明に供する模式的説明図である。
【0039】
本実施形態は、
図5(a)に示すように、シートPの先端から検出マークM1のシート搬送方向下流端までの距離Lm1が読取り手段21と下流側読取り搬送ローラ対23との距離L2よりも大きい(lm1>L2)場合に対応できるようにしたものである。
【0040】
つまり、Lm1>L2の関係にあるとき、読取り手段21による読取り位置Sを検出マークM1が通過する前に、シートPの先端が下流側読取り搬送ローラ対23に到達し、上流側読取り搬送ローラ対22のみでシートPを搬送できない状態になる。
【0041】
そこで、この場合には、
図5(a)、(b)に示すように、シートPの先端が下流側読取り搬送ローラ対23に到達する前に、下流側読取り搬送ローラ対23の従動ローラ23Bを離間させる。
【0042】
これにより、読取り手段21による読取り位置Sを検出マークM1が通過するときに、上流側読取り搬送ローラ対22のみでシートPを搬送でき、高精度な読取りを行うことができる。
【0043】
次に、本発明の第3実施形態について
図6を参照して説明する。
図6は同実施形態に係る画像読取り装置の模式的説明図である。
【0044】
本実施形態では、上流側読取り搬送ローラ対22と読取り手段21による読取り位置Sとの距離L1と、シートPの先端から検出マークM1のシート搬送方向下流端までの距離Lm1と、シートPの装置内で通紙可能な最小長さLminは、Lmin>(Lm1+L1)の関係にある構成としている。
【0045】
このように、装置内で通紙可能な最小のシート長さLminよりも、(Lm1+L1)が大きくなるように上流側読取り搬送ローラ対22、下流側読取り搬送ローラ対23が配置されている。
【0046】
この場合、検出マークM1を検出した後、シートPの後端が上流側読取り搬送ローラ対22を抜ける前に、下流側読取り搬送ローラ対23をシートPに当接させ、マーク検出後のシートPを確実に下流へ搬送することができる。長さLmin以上の長さを持つすべてのシートで検出マークM1の検出を確実に行うことができる。
【0047】
次に、本発明の第4実施形態について
図7を参照して説明する。
図7は同実施形態に係る画像読取り装置の模式的説明図である。
【0048】
本実施形態では、上流側読取り搬送ローラ対22(22A、22B)は、一方の読み取り搬送ローラ(従動ローラ)22Bを他方の読み取り搬送ローラ(駆動ローラ)22Aに対して接触及び離間可能に設けている。そして、上流側読取り搬送ローラ対22の従動ローラ22Bを搬送ローラ22Aに対して接触及び離間させる上流側読取り搬送離間手段29を備えている。
【0049】
次に、本実施形態の読取り動作について
図8を参照して説明する。
図8は同動作の説明に供する模式的説明図である。
【0050】
本実施形態は、
図8(a)に示すように、シートPの後端から検出マークM2のシート搬送方向上流端までの距離Lm2が読取り手段21と上流側読取り搬送ローラ対22との距離L1よりも大きい(lm2>L1)場合に対応できるようにしたものである。
【0051】
つまり、Lm2>L1の関係にあるとき、シートPの後端が上流側読取り搬送ローラ対22を抜ける前に、読取り手段21による読取り位置Sを検出マークM1が通過することになり、下流側読取り搬送ローラ対23のみでシートPを搬送できない状態になる。
【0052】
そこで、この場合には、
図8(a)、(b)に示すように、読取り手段21による読取り位置Sを検出マークM1が通過する前に、上流側読取り搬送ローラ対22の従動ローラ22Bを離間させる。
【0053】
これにより、読取り手段21による読取り位置Sを検出マークM2が通過するときに、下流側読取り搬送ローラ対23のみでシートPを搬送でき、高精度な読取りを行うことができる。
【0054】
次に、本発明の第5実施形態について
図9を参照して説明する。
図9は同実施形態に係る画像読取り装置の模式的説明図である。
【0055】
本実施形態では、読取り手段21による読取り位置Sと下流側読取り搬送ローラ対23との距離L2と、シートPの後端から検出マークM2のシート搬送方向上流端までの距離Lm2と、シートPの装置内で通紙可能な最小長さLminは、Lmin>(Lm2+L2)の関係にある構成としている。
【0056】
このように、装置内で通紙可能な最小のシート長さLminよりも、(Lm2+L2)が大きくなるように上流側読取り搬送ローラ対22、下流側読取り搬送ローラ対23が配置されている。
【0057】
この場合、検出マークM2を検出する前に上流側読取り搬送ローラ対22を離間させたとしても、下流側読取り搬送ローラ対23でシートPの下流への搬送を継続しながら検出マークM2を検出することができる。これにより、長さLmin以上の長さを持つすべてのシートPで検出マークM2の検出を確実に行うことができる。
【0058】
なお、搬送回転体対、読取り搬送回転体対は、ローラ対で説明しているが、一方又は双方の回転体を無端ベルトなどで構成することもできる。また、一方の搬送回転体、一方の読取り搬送回転体対を他方の搬送回転体、他方の読取り搬送回転体対に対して接触及び離間可能に配置しているが、双方の搬送回転体、読取り搬送回転体対が移動して接触及び離間を行う構成とすることもできる。
【0059】
次に、本発明に係る画像形成システムを構成する印刷装置の一例について
図10を参照して説明する。
図10は同印刷装置の概略構成図である。
【0060】
印刷装置(画像形成システム)1は、排紙ユニット102と、冷却ユニット103と、乾燥ユニット104と、画像形成装置としての作像ユニット105と、レジストユニット106と、先塗りユニット107と、給紙ユニット108とを備える。
【0061】
給紙ユニット108は、処理対象(被搬送物)であるシートPが収容されており、シートPを後段の作像ユニット105などに対して供給する。シートPとしては、例えば、シートP(転写紙)が挙げられるが、これに限定されず、例えば、コート紙、厚紙、OHP(Overhead Projector)シート、プラスチックフィルム、及び銅箔など画像を印刷可能なものであればよい。なお、本実施の形態においては、画像を形成するシートPを処理対象(被搬送物)としたが、これに限るものではなく、プリプレグなどの画像を形成する対象ではないシートなどを処理対象(被搬送物)としてもよい。
【0062】
先塗りユニット107は、給紙ユニット108から供給された処理対象(被搬送物)であるシートPに対して先塗り液をコートする。これにより、異なるシートPに対しても作像ユニット105で打ち込むインクを馴染ませることができる。なお、先塗りユニットを備えない構成とすることもできる。
【0063】
レジストユニット106は、作像ユニット105に対するシートPの搬送タイミングや位置調整を行うユニットである。
【0064】
作像ユニット105は、インクジェット方式の印刷手段であって、シートPにインクを打ち込み画像を形成する。作像ユニット105は、ユーザにより印刷指示される出力画像及び検出用画像としての検出マークM1及びM2をシートP上に形成可能である。なお、作像ユニット105は、インクジェット方式の印刷手段に代えて、電子写真方式の印刷手段などとすることもできる。
【0065】
乾燥ユニット104は、作像ユニット105によってシートPに付着したインクを乾燥させ、馴染ませる役割を持つ。
【0066】
冷却ユニット103は、乾燥ユニット104によって熱されたシートPを冷却する。
【0067】
冷却ユニット103は、片面印刷の場合、画像が形成されたシートPを後段の排紙ユニット102へ送る。一方、冷却ユニット103は、両面印刷の場合、画像が形成されたシートPを反転パス109へ送る。
【0068】
反転パス109は、送られたシートPをスイッチバックすることによりシートPの表面・裏面を反転して搬送する。反転パス109により搬送されたシートPは、作像ユニット105に再搬送され、作像ユニット105により前回と逆側の面に画像が形成され、乾燥ユニット104および冷却ユニット103により乾燥・冷却され、印刷物として、後段の排紙ユニット102へ送られる。
【0069】
排紙ユニット102は、作像ユニット105と乾燥ユニット104と冷却ユニット103とを経て画像が形成されたシートPの排紙を受け付ける。
【0070】
また、作像ユニット105には、複数の読取デバイス間及び1つの読取デバイスの画素ごとの相対位置を補正するために、搬送されるシートPの端部やシートPに記録された画像位置を検出する本発明に係る画像読取り装置を含む検出装置200が設けられている。
【0071】
検出装置200は、読取り手段である読取デバイス201と、位置基準部材202と、を備える。
【0072】
読取デバイス201は、例えば、複数の撮像素子(CMOSイメージセンサ)をライン状に並べたCIS(Contact Image Sensor:密着型イメージセンサ)等により実現できる。読取デバイス201は、読み取り対象からの反射光を受光して、画像信号を出力する。具体的には、読取デバイス201は、作像ユニット105で画像が形成されたシートPの搬送位置および当該シートPに対する画像形成位置を読取対象とする。また、読取デバイス201は、位置基準部材202を読取対象とする。
【0073】
読取デバイス201に適用されるCISは、一般的に、複数画素を有するセンサチップを主走査方向に複数配列することによって、必要な主走査方向の有効読取長を確保する構成で知られている。
【0074】
位置基準部材202は、周辺部材の発熱影響等による膨張・伸縮が発生すると、絶対的な位置基準として機能せず、位置検出精度の悪化を招いてしまう。そこで、位置基準部材202は、読取デバイス201の基板に比べて線膨張係数が低く、位置検出において周囲温度の影響による伸縮量が無視できるほどに小さい材料によって構成されている。
【0075】
本実施の形態においては、想定される温度変化範囲、線膨張係数を考慮し、位置基準部材202は、ガラスで形成されている。なお、位置基準部材202の材料はこれに限るものではなく、読取デバイス201の温度変化範囲が広い場合に精度の高い媒体位置検出を実現するためには、石英ガラスなどを用いるのがより好適である。
【0076】
次に、検出装置200について
図11を参照して説明する。
図11は同検出装置における読取デバイスと位置基準部材との設置態様を示す模式図である。
【0077】
位置基準部材202は、位置基準部材202a及び位置基準部材202bで構成される。位置基準部材202(202a,202b)は、モータ204により回転駆動される回転部材(リボルバー)203に設けられている。位置基準部材202(202a,202b)は、モータ204により等速回転される回転部材203により移動する。位置基準部材202aと位置基準部材202bとは、回転部材203の回転に伴って切り替えられ、所定のタイミングで読取デバイス201の対向面に配置される。
【0078】
また、回転部材203には、搬送されるシートPの端部やシートPに記録された画像位置の検出などに用いる読取背景205も設けられている。位置基準部材202および読取背景205は、モータ204の駆動による回転部材203の回転によって、読取デバイス201に対向する位置に選択的に切り替えられる。
【0079】
また、位置基準部材202(202a,202b)を回転させるのは、読取デバイス201の副走査方向への取り付け傾きを検知するために、位置基準部材202を副走査方向に一定速度で移動させ、位置基準部材202(202a,202b)上に配置された所定の方向に延びた線を含む基準パターンであるスケールを読み取るためである。
【0080】
なお、
図11では位置基準部材202(202a,202b)を回転部材203に取り付けて位置基準部材202(202a,202b)を副走査方向に一定速度で移動させるようにしたが、これに限るものではない。例えば、位置基準部材202(202a,202b)は、直線状に移動可能なように設けられていても良い。
【0081】
次に、シートPに形成される画像位置調整のための検出用画像としての検出用マークとしてのパターンの一例について
図12を参照して説明する。
【0082】
印刷装置1は、画像位置を調整するための調整モードを備える。印刷装置1は、自動若しくは手動で調整モードが選択されると、作像ユニット105が備えるインクジェットヘッド(検出マーク追加部)により、シートP上の四隅の近傍にそれぞれ検出用画像である検出マークとしてL字状のパターンa、b、c、dを形成する。パターンa、b、c、dの中心位置は、それぞれa0,b0,c0,d0である。パターンa、bはシートPの搬送方向先端側に形成され、検出マークM1に相当する。パターンc、dはシートPの搬送方向後端側に形成され、検出マークM2に相当する。
【0083】
パターンa、b、c、dが形成されたシートPは、乾燥ユニット104によるインクの乾燥工程及び冷却ユニット103によるシートPの冷却工程を経て、反転パス109内の検出装置200へ搬送される。
【0084】
検出装置200は、読取デバイス201として幅方向に延びて設けられたCIS(カラーイメージセンサ)を備える。検出装置200は、前述したように、読取り手段である読取デバイス201の上流側及び下流側に、シートPを搬送する複数の上流側読取り搬送ローラ対22、下流側読取り搬送ローラ対23、上流側搬送ローラ対24、下流側搬送ローラ対25などを備える。また、前記第1ないし第3実施形態で説明したように、上流側離間手段26、下流側離間手段27、下流側読取り搬送離間手段28、上流側読取り搬送離間手段29を必要に応じて備える。
【0085】
検出装置200は、読取背景205を読取デバイス201に対向させた状態で、複数の搬送ローラによって搬送されるシートPの縁及びパターンa,b,c、dを読取デバイス201によって光学的に読み取る。
【0086】
そして、印刷装置1内に設けられたCPU(マーク座標算出部)は、読取結果に基づきシートP上におけるパターンの中心位置(検出マーク中心位置)の座標(H0、V0など)を算出する。
【0087】
なお、
図12に示したパターンにかえて十字形、矩形、直線などのパターンを用いても良い。また、本実施形態では検出マーク追加部として出力画像を吐出するヘッドを用いたが、出力画像を吐出するヘッドとは別に検出マーク追加用の専用のヘッドなどを設けてもよい。
【0088】
次に、画像の補正について
図13を参照して説明する。
図13は画像の補正の種別を模式的に示す説明図である。
【0089】
印刷装置1のCPU(補正値算出部)は、算出されたパターンの中心位置の、目標位置からのずれ量(補正値)を算出し、パターンが目標位置に形成されるように印字ヘッドからのインクの吐出タイミングや位置を補正する。
【0090】
本実施形態の印刷装置1は、画像位置の補正として、
図13に示すようにレジスト補正(すなわち、シートPの幅方向、又は搬送方向へ画像位置を平行移動させる補正)、倍率補正、スキュー補正、台形補正、またはその他の補正を行うが、これに限られない。
【0091】
なお、印刷装置1では、印字の工程及び印字後の乾燥などの工程によりシートPが伸縮あるいは変形し、シートPに形成された表面と裏面の画像位置が互いにずれることがある。
【0092】
そこで、当該補正方法を用いて、シートPの表面と裏面の画像位置を合わせることが好ましい。
【0093】
表裏の画像位置を合わせる場合、印刷装置1のCPUは、表面へのパターン印字、乾燥、冷却、表面のパターンの読取、裏面へのパターン印字、乾燥、冷却、裏面のパターンの読取りをこの順におこなう。そして、表裏のパターンの読取り結果にもとづき、表裏の画像の位置が互いに一致するように印字ヘッドからのインクの吐出タイミングや位置を補正する。これにより、表面と裏面の画像位置が互いにずれることを防止できる。
【0094】
次に、画像読取り装置を構成する離間手段の一例について
図14を参照して説明する。
図14は上流側搬送回転体対(搬送ローラ対)の上流側離間手段の一例の説明図である。
【0095】
上流側離間手段26は、上流側搬送ローラ対24の従動ローラ24Bの回転軸を回動可能に支持するアーム41と、アーム41の回転支点42に接続されてアーム41を回転支点42周りに回転駆動するモータ43とを備える。
【0096】
モータ43は、アーム41を時計回りに回転させることで、従動ローラ24Bを搬送ローラ24A(駆動ローラ)から離間させる。また、モータ43は、アーム41を反時計回りに回転させることで、従動ローラ24Bを搬送ローラ24Aに当接させる。
【0097】
なお、ここでは、上流側離間手段26について説明しているが、下流側離間手段27、下流側読取り搬送離間手段28、上流側読取り搬送離間手段29についても同様に構成することができる。また、離間手段の駆動源としてモータを使用した例で説明しているが、その他、カム、ソレノイド、リンクなどを用いた離間手段を構成することもできる。
【0098】
このように、本発明に係る画像読取り装置を備えることで、高精度な画像を印刷することができる。
【符号の説明】
【0099】
1 印刷装置(画像形成システム)
2 画像読取り装置
21 読取り手段
22 上流側読取り搬送ローラ対
23 下流側読取り搬送ローラ対
24 上流側搬送ローラ対
25 下流側搬送ローラ対
26 上流側離間手段
27 下流側離間手段
28 下流側搬送離間手段
29 上流側搬送離間手段
200 検出装置
P シート