(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】情報処理装置、画像形成システム、画像形成方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/12 20060101AFI20221220BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20221220BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
G06F3/12 361
G03G21/00 388
G03G21/00 386
B41J29/38
G06F3/12 326
G06F3/12 332
G06F3/12 321
G06F3/12 385
(21)【出願番号】P 2019004494
(22)【出願日】2019-01-15
【審査請求日】2021-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】亀田 剛広
【審査官】松浦 かおり
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-110266(JP,A)
【文献】特開2012-037541(JP,A)
【文献】特開2010-058352(JP,A)
【文献】特開2006-123421(JP,A)
【文献】特開2010-128848(JP,A)
【文献】特開2011-248031(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0013109(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/09- 3/12
B41J 29/00-29/70
G03G 13/34
G03G 15/00
G03G 15/36
G03G 21/00-21/02
G03G 21/14
G03G 21/20
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる用紙を用いた画像形成が混在する複数の印刷ジョブを取得するジョブ取得部と、
前記印刷ジョブの各々について、前記印刷ジョブの実行時の定着部又は乾燥部の温度である温度条件と用紙情報の少なくとも一方を特定する解析部と、
複数の前記印刷ジョブを、同じ温度条件または同じ用紙情報のジョブが連続して実行されるように並べ替える並べ替え部と、
並び替え後の順序で、前記印刷ジョブを画像形成装置に出力するジョブ出力部と、
前記画像形成装置から前記画像形成装置に関する情報であるプリンタ情報を取得するプリンタ情報取得部と、
を有
し、
前記解析部は、前記プリンタ情報に基づいて、前記印刷ジョブの中から、前記画像形成装置の条件に適合しない除外ジョブを特定し、
前記並べ替え部は、前記除外ジョブについて、再並べ替えし、
前記ジョブ出力部は、前記除外ジョブを、再並べ替え後の順番で第2の画像形成装置に出力する情報処理装置。
【請求項2】
前記解析部は、前記印刷ジョブの各々について定着温度を特定し、
前記並べ替え部は、同じ定着温度のジョブが連続し、かつ前記定着温度が低い順に並ぶように前記印刷ジョブを並べ替えることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記並べ替え部は、同じ用紙サイズのジョブが連続し、かつ前記温度条件の低い順に並ぶように前記印刷ジョブを並べ替えることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記条件は、前記画像形成装置にセットされている用紙のサイズ、用紙の種類、用紙の枚数の少なくとも一つであり、
前記並べ替え部は、前記画像形成装置にセットされる用紙が交換または補充されて新プリンタ情報が取得されたときに、再並べ替えすることを特徴とする請求項
1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
除外された前記印刷ジョブのリストと、再並べ替え情報の少なくとも一方を表示情報として出力する表示情報出力部、
をさらに有することを特徴とする請求項
1~4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記解析部は、出力された前記印刷ジョブの実行中に新たな印刷ジョブを受け取ったときに、前記新たな印刷ジョブの温度条件が、現在実行中の処理温度以上であるか否かを判断し、
前記並べ替え部は、前記新たな印刷ジョブの温度条件が現在実行中の前記処理温度以上である場合に再並べ替えを行い、
前記ジョブ出力部は、前記新たな印刷ジョブと再並び替え後の順序を出力することを特徴とする請求項1~
5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
請求項1~
6のいずれか1項に記載の情報処理装置と、
前記画像形成装置と、
を含む画像形成システム。
【請求項8】
異なる用紙を用いた画像形成が混在する複数の印刷ジョブを取得し、
前記印刷ジョブの各々について、前記印刷ジョブの実行時の画像形成装置の定着部または乾燥部の温度である温度条件と用紙情報の少なくとも一方を特定し、
複数の前記印刷ジョブを、同じ温度条件または同じ用紙情報のジョブが連続して実行されるように並べ替え、
並び替え後の順番で、前記印刷ジョブを前記画像形成装置に出力し、
前記画像形成装置から前記画像形成装置に関する情報であるプリンタ情報を取得し、
前記プリンタ情報に基づいて、前記印刷ジョブの中から、前記画像形成装置の条件に適合しない除外ジョブを特定し、
前記除外ジョブについて、再並べ替えし、
前記除外ジョブを、再並べ替え後の順番で第2の画像形成装置に出力する
画像形成方法。
【請求項9】
情報処理装置に、
異なる用紙を用いた画像形成が混在する複数の印刷ジョブを取得する手順と、
前記印刷ジョブの各々について、前記印刷ジョブの実行時の画像形成装置の定着部または乾燥部の温度である温度条件と用紙情報の少なくとも一方を特定する手順と、
複数の前記印刷ジョブを、同じ温度条件または同じ用紙情報のジョブが連続して実行されるように並べ替える手順と、
並び替え後の順番で、前記印刷ジョブを前記画像形成装置に出力する手順と、
前記画像形成装置から前記画像形成装置に関する情報であるプリンタ情報を取得する手順と、
前記プリンタ情報に基づいて、前記印刷ジョブの中から、前記画像形成装置の条件に適合しない除外ジョブを特定する手順と、
前記除外ジョブについて、再並べ替えする手順と、
前記除外ジョブを、再並べ替え後の順番で第2の画像形成装置に出力する手順と、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、画像形成システム、画像形成方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
大量の印刷ジョブを処理する際に、用紙の種類、厚さ、加工の程度などが異なる多様な媒体が混在していることがある。多様な媒体が混在した状態で印刷処理を行うと、電子写真方式の印刷では、用紙の種類や厚さ、加工の程度などに応じて、印刷機の定着ローラーの温度を変える必要がある。インクジェット方式の場合は、用紙の厚さ、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)、S(クリアー、メタリック、蛍光色等の特色)のインク液量等に応じてドライ処理の調整が必要になることもある。
【0003】
電子写真方式の印刷で、異なる定着圧力の用紙が混在する場合に、同じ圧力を要する用紙が連続して定着処理を受けるように印刷順序を入れ替える技術が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0004】
同じく電子写真方式の印刷で、省エネルギー状態のときに印刷データを受け取った場合、まず定着手段を設定可能な最も高い定着温度に向かって昇温し、昇温途中に印刷内容に応じて決定された定着温度の指示を受け取って、指示された温度へと制御する手法が知られている(たとえば、特許文献2参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
用紙の種類、厚さ、加工の程度などに応じて処理温度を制御することで、用いる用紙に最も適した温度で画像を形成することができる。しかし、連続する印刷ジョブに異なる用紙が混在している場合に、用紙に合わせて処理温度を上下させると、所望の温度になるまでに時間がかかり、また、消費電力が大きくなる。
【0006】
本発明は、異なる種類の用紙が混在する印刷処理で、消費電力の増大を抑制しつつ処理効率を向上することのできる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を実現するために、画像形成装置よりも手前の段階で、消費電力と処理時間が最小になるように印刷ジョブを並べ替える。具体的には、情報処理装置は、
異なる用紙を用いた画像形成が混在する複数の印刷ジョブを取得するジョブ取得部と、
前記印刷ジョブの各々について、前記印刷ジョブの実行時の定着部または乾燥部の温度である温度条件と用紙情報の少なくとも一方を特定する解析部と、
複数の前記印刷ジョブを、同じ温度条件または同じ用紙情報のジョブが連続して実行されるように並べ替える並べ替え部と、
並び替え後の順序で、前記印刷ジョブを画像形成装置に出力するジョブ出力部と、
前記画像形成装置から前記画像形成装置に関する情報であるプリンタ情報を取得するプリンタ情報取得部と、
を有し、
前記解析部は、前記プリンタ情報に基づいて、前記印刷ジョブの中から、前記画像形成装置の条件に適合しない除外ジョブを特定し、
前記並べ替え部は、前記除外ジョブについて、再並べ替えし、
前記ジョブ出力部は、前記除外ジョブを、再並べ替え後の順番で第2の画像形成装置に出力する。
【発明の効果】
【0008】
上記の構成により、異なる種類の用紙が混在する印刷処理で、消費電力の増大を抑制しつつ処理効率を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態の画像形成システムの全体図である。
【
図2】ジョブコントローラを情報処理装置に置くときのハードウエア構成図である。
【
図3】ジョブコントローラの機能ブロック図である。
【
図4】第1実施形態のジョブコントローラの動作を説明する概念図である。
【
図5】用紙情報から決まる定着温度を説明する図である。
【
図6】用紙情報から決まる定着温度の別の例である。
【
図7】印刷ジョブの並べ替えの一例を示す図である。
【
図8】第1実施形態の並べ替えの効果を示す図である。
【
図9】第1実施形態の並べ替えの効果を示す図である。
【
図10】ジョブの並べ替え結果と進捗状況を示す表示画面の一例である。
【
図11】第1実施形態の画像形成方法のフローチャートである。
【
図12】第1実施形態の変形例のフローチャートである。
【
図13】ジョブリストに印刷ジョブを追加したときの表示例を示す図である。
【
図14】第2実施形態のジョブコントローラの機能ブロック図である。
【
図15】第2実施形態のジョブコントローラの動作を説明する概念図である。
【
図16】ジョブコントローラが取得するトレイ情報の一例である。
【
図17】画像形成装置の条件を満たさないジョブの特定を説明する図である。
【
図18】未処理のジョブ一覧を表示する表示画面の一例である。
【
図19】第2実施形態の画像形成方法のフローチャートである。
【
図20】画像形成システムの変形例の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、実施形態の画像形成システム100の全体図である。画像形成システム100は、情報処理端末101と、デジタルフロントエンド(DFE)102と、画像形成装置103と、サーバ104を含む。
【0011】
情報処理端末101は、パーソナルコンピュータ(PC)、タブレット端末、スマートフォン等の情報処理端末であり、特許請求の範囲の「情報処理装置」に対応する。
【0012】
DFE102は、フロントエンドプロセッサの一種であり、情報処理端末101またはサーバ104から受け取る多様な印刷ジョブを、画像形成装置103での印刷処理に適した形態に変換する。DFE102も、特許請求の範囲の「情報処理装置」に対応し得る。
【0013】
画像形成装置103は、印刷機、複合機などであり、印刷媒体上に物理的な画像を形成して出力する。
【0014】
サーバ104は、必ずしも画像形成システム100に含まれていなくてもよく、ネットワークを介して接続される外部のサーバ、クラウド上のサーバ等であってもよい。
【0015】
本発明に係るジョブコントローラ200は、画像形成装置103よりも手前(上流)側の任意の機器に設けられる。
図1の例では、ジョブコントローラ200は情報処理端末101に配置されているが、DFE102に配置されてもよい。ジョブコントローラ200は、FPGA(Field Programmable Gate Array)などのロジックデバイスであってもよいし、情報処理端末101またはDFE102に組み込まれているプロセッサの一部であってもよい。あるいは、後述するようにプログラムによって実現されてもよい。
【0016】
ジョブコントローラ200は、定着温度などの処理温度の異なる多様な用紙が混在している印刷ジョブで、同じ温度で処理される用紙が連続して処理されるように、印刷ジョブの順序を調整する。一つの態様では、同じ定着温度のジョブをひとまとめにし、かつ定着温度の低い順に並べ替える。
【0017】
このような並べ替えを行うことで、温度変更の回数が大幅に減るため、印刷処理にかかるトータルの時間を短縮することができ、かつ温度変更にともなう電力消費を低減できる。この結果、大量の印刷ジョブの処理効率を向上し、かつ画像形成装置103の消費電力の増大を抑制することができる。
【0018】
図2は、ジョブコントローラ200が情報処理端末101に配置されるときのハードウエア構成図である。
【0019】
情報処理端末101は、CPU(Central Processing Unit)251、リードオンリーメモリ(ROM)252、ランダムアクセスメモリ(RAM)253、補助記憶装置254、インタフェース(I/F)255、入力装置256、及び出力装置257を有する。これらの装置は、システムバス258によって相互に接続されている。
【0020】
CPU251は、情報処理端末101の全体の動作と各装置の動作を制御し、主記憶装置であるRAM253の作業領域を用いて必要な演算、データ加工等を行う。RAM253は、CPU251に組み込まれていてもよい。
【0021】
CPU251はまた、主記憶装置であるROM252、または補助記憶装置254に保存された各種のプログラムを実行する。ROM252または補助記憶装置254にプログラムを保存してCPU201に実行させることで、ジョブコントローラ200を実現してもよい。
【0022】
ROM252は、CPU251の動作に必要な各種のパラメータ、プログラム等を保存する。補助記憶装置254は、ハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートディスク(SDD)などのストレージであり、長期的に大容量のデータを保存する。
【0023】
I/F255は、外部機器を情報処理端末101に接続してデータの入出力を行うためのインタフェースである。外部機器は、DFE102、画像形成装置103、サーバ104等を含む。I/F255は、ネットワーク等を介して外部機器との間でデータの送受信を行ってもよい。外部機器が無線通信機能を有する場合、I/F255は短距離、近距離等の無線通信を行う無線インタフェースであってもよい。
【0024】
ジョブコントローラ200がDFE102に配置される場合は、DFE102は
図2のハードウエア構成を有し、I/F255によって外部の情報処理端末101、画像形成装置103等と接続される。
【0025】
<第1実施形態>
図3は、第1実施形態のジョブコントローラ200Aの機能ブロック図である。ジョブコントローラ200Aは、ジョブ取得部201と、ジョブ解析部202Aと、ジョブ並べ替え部203と、ジョブ出力部204を有する。
【0026】
ジョブコントローラ200Aが情報処理端末101に配置されている場合、ジョブ取得部201は、印刷ジョブをユーザ入力、あるいはネットワークを介してサーバ104から取得する。ジョブコントローラ200AがDFE102に配置されている場合は、ジョブ取得部201は印刷ジョブを情報処理端末101から受け取ってもよいし、情報処理端末101の指示により直接サーバ104から受け取ってもよい。
【0027】
ジョブ解析部202Aは、印刷ジョブの用紙情報を解析して、そのジョブに必要とされる定着温度を決定する。
【0028】
ジョブ並べ替え部203は、定着温度に基づいて印刷順序を並べ替える。並べ替えの際に、定着温度に加えて、用紙サイズ、用紙の種類、厚さ等の用紙情報、片面印刷か両面印刷か等の印刷情報の全部または一部を、並べ替えの基礎に用いてもよい。
【0029】
ジョブ出力部204は、並べ替えられた順序で印刷ジョブを出力する。
【0030】
図4は、第1実施形態でジョブコントローラ200Aが行う動作の概念図である。
図4では、DFE102にジョブコントローラ200Aが配置されることを想定している。ジョブ取得部201は、印刷ジョブについての書誌情報と、印刷データを取得する。
【0031】
書誌情報は、用紙に関する情報(「用紙情報」とする)と、片面/両面などの印刷様式、印刷部数、印刷完了限等の管理情報を含む。用紙情報には、用紙の名称、大きさ、厚さ、坪量、用紙の種別(塗工紙、非塗工紙など)等が含まれる。書誌情報は、一例としてXML形式のデータであるが、これに限定されず、HTML形式やテキスト形式であってもよい。
【0032】
印刷データは、紙等の媒体上に印刷される具体的な内容を含む。印刷データは、一例としてPDF形式のデータで入力される。他の形式の画像データであってもよいが、PDFは実際に印刷されるイメージを電子ファイルに保存したものなので、画像形成装置103への入力データに変換しやすい。
【0033】
書誌情報と印刷データは、同じソースから入力されてもよいし、別々のソースから入力されてもよい。たとえば、書誌情報を情報処理端末101から受け取り、印刷データをサーバ104から受け取ってもよい。顧客からの印刷注文をサーバ104で管理している場合は、情報処理端末101からサーバ104への転送命令に応答して、印刷データと書誌情報が対応づけられた印刷ジョブを、サーバ104からジョブコントローラ200Aに供給してもよい。
【0034】
あるいは、一定量の印刷ジョブをサーバ104から情報処理端末101にダウンロードして、情報処理端末101からジョブコントローラ200Aに画像データと書誌情報のリストを供給してもよい。
【0035】
ジョブ解析部202Aは、入力された書誌情報を解析して、ジョブごとに定着温度を決定する。定着温度は、用紙の厚さ、坪量、用紙種別等の特性から決定することができる。
【0036】
図5は、用紙情報から決まる定着温度を説明する図である。この例では、ジョブ解析部202Aは、坪量及び用紙種別と定着温度の関係を示すテーブル211を有している。坪量は、用紙の単位重さ(gsm)が大きくなるほど定着温度が高くなる。坪量が大きいということは、用紙の厚さが厚いか、または紙の密度が高い。この場合、坪量が小さい用紙よりもトナー画像の定着温度が高い。
【0037】
用紙の種別として、上質紙、微塗工紙、塗工紙などがある。上質紙は、表面加工がされていない化学パルプ配合が100%の紙である。塗工紙は表面がコートされており、非塗工紙と比較して光沢があり平滑である。微塗工紙は、塗工紙よりも少ない量の塗料でコートされた紙である。表面塗装の程度によって、定着温度が変わり、非塗工紙、微塗工紙、塗工紙の順で定着温度が高くなる。
【0038】
最適な定着温度は、画像形成装置103ごとに異なる場合があるので、あらかじめ使用する画像形成装置103で、用紙ごとの定着温度を決定しておくことが望ましい。たとえば、トナーの融点以上の温度から5℃きざみで、実際に使用する用紙に、定着性を確認するためのパターン印刷を複数枚行う。このとき、用紙の材質などに起因した搬送性の問題で紙詰まりが発生した場合は、この用紙を不適合として、ジョブリストから排除してもよい。
【0039】
テスト印刷したパターンに対して、布及び針を使ってこすり、用紙からトナーが剥がれ落ちないかどうかを確認し、トナーが剥がれ落ちた温度は不適格として、1ステップ温度を上げて同じテストを行う。また、その処理温度で用紙にカールや折れ曲がりといったダメージがないかを確認し、ダメージが発生する温度は不適合とする。
【0040】
テスト印刷でダメージがなく、かつトナーが剥がれない最低の温度を、その用紙の定着温度として決定し、テーブル211に記録する。
【0041】
図6は、用紙情報から決まる定着温度を説明する別の図である。この例では、ジョブ解析部202Aは、用紙名(商品名)と定着温度を対応付けたテーブル212を有する。顧客から印刷の注文がある場合、商品名で用紙が指定されることも多い。たとえば、用紙銘柄Aと用紙銘柄Bは上質紙であるが坪量が異なる商品である。用紙銘柄Cと用紙銘柄Dはともに塗工紙であるが、坪量が異なる商品である。
【0042】
なお、テーブル情報は
図5,6の例に限定されず、用紙情報から定着温度を決定できる任意の形式で温度情報を持っていてもよい。
【0043】
図4に戻って、ジョブ解析部202Aは、印刷ジョブごとに用紙情報を解析し、テーブル211または212を参照して、定着温度を決定し、各印刷ジョブに温度情報を追加して印刷ジョブのリストをジョブ並べ替え部203に渡す。
【0044】
ジョブ解析部202Aが印刷ジョブのリストをジョブ並べ替え部203に送信するタイミングとしては、所定数の印刷ファイルまたは印刷ジョブが蓄積されたとき、印刷物の合計のページ数が所定の枚数に達したとき、所定の時間がきたとき(1時間ごと、24時間ごと等)、などがある。あるいは、現在蓄積されているジョブを所定のアルゴリズムに従って最適な順に並べ替えたときにかかる印刷時間を推定し、推定される印刷時間が閾値に達した場合に、ジョブリストをジョブ並べ替え部203に渡してもよい。
【0045】
ジョブ並べ替え部203は、受け取ったジョブを印刷条件ごとにフィルタリング(分類)して並べ替える。印刷条件は、
図4の例では、定着温度と、用紙サイズである。好ましい態様では、定着温度の低い順に並び替える。
【0046】
ジョブ並べ替え部203は、用紙サイズ(A3,A4,A5など)に応じてグループ分けしてスプーリングし、各スプールで定着温度の低い順に並べ替える。用紙情報に基づくグループ分けと、定着温度に基づく並び替えは、必ずしも
図4の順序でなくてもよい。まず、定着温度ごとにグループ分けして温度の低い順に並び替えた後に、それぞれの温度グループ内で用紙サイズごとに分類してもよい。
【0047】
用紙サイズに基づく分類は必須ではないが、各温度条件で、複数の印刷ジョブを同じ用紙サイズで連続して印刷するので、用紙切り換えの時間ロスが低減される。これにより、トータルの処理時間をさらに低減することができる。
【0048】
ジョブ並べ替え部203は、ジョブ解析部202Aと協働して、並べ替え後の印刷所要時間を推定して、印刷完了予定時刻を出力してもよい。印刷完了予定時刻は、ジョブコントローラ200Aから情報処理端末101に出力され、表示されてもよい。
【0049】
定着温度とともに並べ替えに用いられる条件は用紙サイズに限定されず、用紙の種別であってもよい。また、用紙の属性のすべてを並べ替えの基礎にしてもよい。ここでいう用紙の「属性」は、用紙のサイズ、銘柄、厚さ、坪量など、用紙そのものが持つ属性であって、その用紙に対する処理条件(処理温度など)は含まないものとする。
【0050】
ジョブ出力部204は、並べ替え後の順番で、画像形成装置103にPDFデータを順次出力する。なお、出力されるPDFデータは、DFE102によって、画像形成装置103での印刷に適した形式に変換されているものとする。
【0051】
図7は、印刷ジョブの並べ替えの一例を示す。左側は、ジョブ並べ替え部203に入力されるジョブリスト、右側は並べ替え後のジョブリストである。入力されたジョブリストは、受付番号順、あるいはサーバ104からの転送順にジョブが並べられている。それぞれのジョブに対応して、書誌情報と印刷データ(PDF等)が紐づけられている。
【0052】
入力された順番では、用紙の銘柄がばらばらであり、定着温度が上下することになる。ジョブ並べ替え部203は、同じ銘柄の用紙を使うジョブごとにグループ分けし、用紙グループを定着温度の低い順に並べる。用紙銘柄Aが最も定着温度が低く、用紙銘柄B,Cと進むにつれて、定着温度が高くなっていく。
【0053】
この並べ替えにより、定着部の温度制御に要する消費電力が最小化され、かつ印刷にかかる時間が最短になる。
【0054】
図8は、第1実施形態の効果を示す図である。
図8(A)はジョブの並べ替えを行わずに、定着部の温度を変化させたときにかかる印刷時間を示す。たとえば、指定された用紙の種類に応じて定着部の温度を100℃→200℃→100℃→200℃と変化させる場合、200℃から100℃に下げるのに700秒かかる。ここから再度200℃に昇温するために、72秒必要である。トータルの印刷時間がかかるだけではなく、温度の上げ下げのために要する電力量も増大する。
【0055】
具体的には、100℃→200℃(72秒、100wh)→100℃(700秒、700wh)→200℃(72秒、100wh)で、トータルで844秒、270whの電力が消費される。
【0056】
図8(B)は、実施形態の方法でジョブ並べ替えを行ったときの処理時間を示す。同じ温度の処理をまとめたため、定着部の温度は、100℃→100℃→200℃→200℃と変化する。定着部の温度を100℃から200℃に一度昇温すればよいので、温度制御は72秒、100whの電力消費で済む。また、昇温よりも降温に時間がかかるので、処理温度を低い方から高い方に並べるのが有利である。
【0057】
図9は、第1実施形態の効果を示す別の図である。
図9(A)はジョブの並べ替えを行わずに、定着部の温度を変化させたときにかかる印刷時間を示す。指定された用紙の種類等に応じて定着部の温度を150℃→170℃→155℃→170℃と変化させる場合、155℃から170℃に上げるのに40秒かかり、170℃から155℃に下げるのに60秒かかる。
【0058】
図9(B)は、実施形態の方法でジョブ並べ替えを行ったときの処理時間を示す。同じ温度の処理をまとめたため、定着部の温度は、155℃→155℃→170℃→170℃と変化する。すなわち、定着部の温度を155℃から170℃に一度昇温すればよい。また、昇温よりも降温に時間がかかるので、処理温度を低い方から高い方に並べるのが有利である。
【0059】
ジョブ並べ替え部203によって並べ替えられたジョブは、情報処理端末101の表示画面、あるいはDFE102のモニタ画面に表示されてもよい。情報処理端末101がスマートフォンやタブレット端末のような携帯端末である場合、オペレータ(印刷担当者)は画像形成装置103やDFE102の近傍にいなくても、ジョブの印刷順序を確認することができる。
【0060】
図10は、ジョブの並べ替え結果と進捗状況を示す表示画面の一例である。異なる銘柄の用紙を用いる複数の印刷ジョブが、同じ定着温度で処理される用紙銘柄ごとにまとめられ、かつ、定着温度の低い順に並べられている。処理温度の最も低い用紙銘柄Cの印刷ジョブがすべて終わるまで、定着部の温度を上げる必要がない。処理温度が2番目に低い用紙銘柄Dの印刷ジョブに入るときは、最小の昇温量と昇温時間で以降することができる。昇温後は、用紙銘柄Dを用いるジョブが連続する間、温度は一定なので、画像形成装置103は同じ状態で安定して複数の印刷ジョブを実行できる。
【0061】
最適な順序に並べ替えられたジョブリストとともに進捗状況をバー表示することで、オペレータは複数の印刷ジョブの進捗状況を知ることができる。この表示画面に、ジョブコントローラ200Aによって推定された印刷完了予定時刻を併せて表示してもよい。
【0062】
図11は、第1実施形態の画像形成方法のフローチャートである。この処理フローは、ジョブコントローラ200Aによって実行される。
【0063】
まず、印刷ジョブを取得する(S11)。印刷ジョブは、情報処理端末101から取得してもよいし、サーバ104から取得してもよい。
【0064】
取得したジョブごとに、処理温度を特定する(S12)。トナー印刷の場合は、各印刷ジョブに適した定着温度である。インクジェット方式の場合は、各印刷ジョブにおけるドライ処理(ヒータによる加熱や送風機による送風により用紙上のインクを乾燥させる乾燥部が実行する処理)の要否とその温度であってもよい。
【0065】
次に、特定した処理温度に基づいて、ジョブの実行順序を決定する(S13)。トナー印刷の場合は、定着温度の低いほうから順に並べるのが望ましい。このとき、処理効率の観点から同じ温度ごとに同じ種類の用紙が連続することが望ましい。同じ処理温度、同じ種類の用紙の中では、受付順序の早い順に並べてもよい。
【0066】
ドライ処理の場合も、送風をオンにする場合よりも降温に時間がかかるので、送風オフ、常温送風、高温送風の順に並べ替えるのが望ましい。また、温度ごとに、同じ用紙の種類が連続するように並び替えるのが望ましい。
【0067】
この画像形成方法により、複数の用紙が混在する印刷ジョブでトータルの処理時間を短縮し、消費電力の増大を抑制することができる。
【0068】
<変形例>
図12は、第1実施形態の変形例を示すフローチャートである。画像形成装置103による印刷ジョブの実行中に、ジョブコントローラ200Aが新たな印刷ジョブを受け立った場合、処理温度の関係でその印刷ジョブの割り込みが可能な場合は、動的にジョブの並べ替えを行う。
【0069】
S11とS12は、
図11のS11及びS12と同じである。すなわち、印刷ジョブを取得して(S11)、各ジョブの処理温度を特定する(S12)。処理温度が低い順に、かつ用紙の種類、サイズ等が同じ印刷ジョブが連続するように、印刷ジョブを並べ替えて印刷データを画像形成装置103に出力する(S23)。
【0070】
画像形成装置103による印刷ジョブの実行中に、新たなジョブが到着した場合、新たなジョブの処理温度が現在実行中の印刷の処理温度と同じか、または高い温度であるか判断する(S24)。現在実行中の印刷温度よりも低い処理温度であれば(S24でNO)、そのまま、次回のジョブリストの作成と並べ替えまで、フォルダに保存しておく。
【0071】
新たなジョブの処理温度が現在実行中の処理温度以上の場合は(S24でYES)、新たなジョブを対応するスプールに追加して、動的に並べ替えを実行し、並べ替え後の順序と新たなジョブの印刷データを画像形成装置103に出力する(S25)。
【0072】
任意で、並び替え後に全ジョブ完了までにかかる最速の処理時間または平均の処理時間を計算して表示してもよい(S26)。
【0073】
この方法により、印刷効率を落とさずに、処理できるジョブを迅速に処理することができる。
【0074】
図13は、ジョブリストに印刷ジョブを追加したときの表示例を示す図である。この表示は、情報処理端末101の表示画面に表示されてもよいし、DFE102のモニタ画面に表示されてもよい。
【0075】
実行済みのジョブについては、
図10と同様に進捗状況がバー表示されている。この状態で、現在実行中のジョブの処理温度と同じか、それよりも高い処理温度のジョブが追加されたときに、新たなジョブが追加された旨が表示され、再並べ替えの順序で全ジョブ終了までにかかる時間が表示されている。
【0076】
新たに到着したジョブの処理温度に応じて、動的かつ自動的にジョブの並べ替えが行われるので、処理効率を高く維持し、かつ消費電力の増大を抑制することができる。オペレータは、新たな印刷ジョブの書誌詳細を意識していなくても、新たなジョブが現在の印刷プロセスに組み込まれたこと、並べ替え後にかかる時間などを知ることができる。
【0077】
<第2実施形態>
図14は、第2実施形態のジョブコントローラ200Bの機能ブロック図である。ジョブコントローラ200Bは、ジョブ取得部201と、ジョブ解析部202Bと、ジョブ並べ替え部203と、ジョブ出力部204と、プリンタ情報取得部205と、表示情報出力部206を有する。
【0078】
ジョブ取得部201は、情報処理端末101、またはサーバ104から印刷ジョブを取得する。
【0079】
プリンタ情報取得部205は、画像形成装置103に関する情報、たとえば、給紙トレイにセットされている用紙の種類、厚さ等の情報を取得する。
【0080】
ジョブ解析部202Bは、印刷ジョブの用紙情報を解析して、各ジョブに必要とされる定着温度を特定する。また、そのジョブが画像形成装置103の条件を満たしているかどうかを判断する。画像形成装置103の条件は、給紙トレイにセットされている用紙の種類、用紙の枚数などである。
【0081】
画像形成装置103に現在セットされていない用紙を用いるジョブや、指定の印刷枚数が現在セットされている用紙枚数を超える場合、そのジョブを並べ替え対象からいったん排除する。画像形成装置103の条件を満たす印刷ジョブについて、温度情報を付加してジョブ並べ替え部203に供給する。
【0082】
印刷ジョブをジョブ解析部202Bからジョブ並べ替え部203に送信するタイミングとしては、画像形成装置103の条件を満たす印刷ジョブが所定の数に達したとき、印刷物の合計のページ数が所定の枚数に達したとき、所定の時間がきたとき(1時間ごと、24時間ごと等)、などがある。あるいは、画像形成装置103の条件を満たすジョブを所定のアルゴリズムに従って最適な順に並べ替えたときに要する印刷時間を推定し、推定印刷時間が閾値に達したときにジョブリストをジョブ並べ替え部203に渡してもよい。
【0083】
画像形成装置103の条件を満たしておらず、いったんジョブリストから外されたジョブは、別のジョブリストとして、ジョブ並べ替え部203に供給されてもよい。
【0084】
たとえば、画像形成装置103の条件を満たすすべてのジョブが完了して、有限の給紙トレイ内の用紙が、別種類の用紙に交換されたとき、あるいは給紙トレイに十分な枚数の用紙が補充されたとき、ジョブ解析部202Bはプリンタ情報取得部205から、新たなプリンタ情報を受け取る。新たなプリンタ情報に基づいて、いったんジョブリストから外された印刷ジョブについて定着温度を特定し、第2ジョブリストとして、ジョブ並べ替え部に供給する。
【0085】
あるいは、第2のジョブリストに関し、別の画像形成装置の条件を満たすか否かを判断して、条件の適合する画像形成装置へジョブを振り分けてもよい。
【0086】
ジョブ並べ替え部203は、画像形成装置103の条件を満たす印刷ジョブについて、定着温度に基づいて印刷順序を並べ替える。並べ替えの際に、定着温度に加えて、用紙サイズ、用紙の種類、厚さ等の用紙情報、片面印刷か両面印刷か等の印刷情報の全部または一部を、並べ替えの基礎に用いてもよい。ジョブ解析部202Bから第2ジョブリストを受け取ったときは、第2ジョブリストの中で、定着温度、用紙種別等に基づいて印刷順序を並べ替える。
【0087】
ジョブ出力部204は、並べ替えられた順序で画像形成装置103に印刷ジョブを出力する。
【0088】
表示情報出力部206は、画像形成装置103の条件を満たさないとしてジョブリストからはずされたジョブに関する表示情報を出力する。表示情報は情報処理端末101の表示画面に出力されてもよいし、DFE102のモニタディスプレイに出力されてもよい。
【0089】
この構成により、有限のトレイ数、用紙枚数を有する画像形成装置103で、多種多様な印刷ジョブを最も効率の良いやり方で処理することができる。オペレータは、各ジョブの詳細な書誌内容を意識していなくても、画像形成装置103の条件を満たすジョブリストの完了後に、用紙を交換、補充する等して、第2のジョブリストを実行させることができる。ジョブコントローラ200Bが情報処理端末101に配置されている場合は、は第2のジョブリストについて、自動的に別のDFEと画像形成装置に処理を振り分けることができる。
【0090】
図15は、第2実施形態でジョブコントローラ200Bが行う動作の概念図である。
図15ではDFE102にジョブコントローラ200Bが配置されることを想定している。第1実施形態と同じ機能には同じ番号を付けて、重複する説明を省略する。
【0091】
ジョブ取得部201は、印刷ジョブについての書誌情報と、印刷データを取得する。書誌情報は、用紙銘柄、用紙の種別、厚さ等の用紙情報とともに、片面/両面などの印刷様式、印刷部数、印刷完了限等の管理情報を含む。書誌情報は、一例としてXML形式のデータであるが、これに限定されず、HTML形式やテキスト形式であってもよい。
【0092】
印刷データは、紙等の印刷媒体上に印刷される具体的な内容を含む。印刷データは、一例としてPDF形式のデータで入力される。他の形式の画像データであってもよい。
【0093】
書誌情報と印刷データは、同じソースから入力されてもよいし、別々のソースから入力されてもよい。
【0094】
プリンタ情報取得部205は、画像形成装置103の条件について報プリンタ情報を取得する。プリンタ情報は、給紙トレイにセットされている用紙の種類、枚数等を含む。
【0095】
ジョブ解析部202Bは、入力された書誌情報とプリンタ情報を解析して、ジョブごとに、画像形成装置103の条件を満たしているか否かを判断し、条件を満たすジョブについて定着温度を特定する。定着温度は、プリンタ情報に含まれていてもよいし、
図5または
図6に示すテーブル情報を利用してもよい。
【0096】
画像形成装置103の条件を満たしていないジョブについては、ジョブリストから除外して、表示情報出力部206に通知する。表示情報出力部206は、除外されたジョブに関する情報を、DFE102のモニタディスプレイ、あるいは情報処理端末101に出力する。
【0097】
ジョブ解析部202Bは、画像形成装置103の条件を満たす印刷ジョブについて、処理温度に関する情報を付加して、ジョブ並べ替え部203に出力する。また、画像形成装置103の条件に適合しないとして排除されたジョブについて、適切なタイミングで、再度、条件充足の判定と定着温度の特定を行う。適切なタイミングとは、ジョブリストの出力と同時、または所定の時間経過後、あるいはプリンタ情報取得部205から新たなプリンタ情報を受け取ったとき等である。
【0098】
ジョブ並べ替え部203は、受け取ったジョブを印刷条件ごとにフィルタリング(分類)して、最も時間ロスが少なくなる順番に並べ替える。たとえば、定着温度ごとにグループ分けして温度の低い順に並び替え、各温度グループ内で同じ用紙を用いる印刷ジョブが連続するように並べ替える。
【0099】
ジョブ並べ替え部203は、ジョブ解析部202Bから、排除された印刷ジョブについての第2のジョブリストを受け取ったときは、第2のジョブリストについても同様の並べ替えを行う。第2のジョブリストの並べ替えの結果を、表示情報出力部206に供給してもよい。この場合、表示情報出力部206は、第2のジョブリストの並べ替え結果を、DFE102のモニタディスプレイ、あるいは情報処理端末101に出力する。
【0100】
ジョブ出力部204は、並べ替え後の順番で、画像形成装置103にPDFデータを順次出力する。
【0101】
図16は、プリンタ情報取得部205が取得するプリンタ情報の一例である。画像形成装置103のトレイ1~6には、用紙銘柄A~Fの6種類の用紙がセットされている。これらの用紙には、塗工紙も非塗工紙も含まれており、それぞれ定着温度が対応付けられている。
【0102】
セットされていない用紙を用いるジョブが入力されても、画像形成装置103は印刷することができず、装置によっては印刷が一時停止してしまうことがある。
【0103】
図17は、画像形成装置の条件を満たさないジョブの特定を説明する図である。
図17のジョブリストのうち、用紙銘柄Oと用紙銘柄Gは画像形成装置103にセットされていない。これらの用紙を用いるジョブ(ジョブ番号03、04、12、13)については、画像形成装置に印刷ジョブを送信せずに、未処理ジョブの一覧をオペレータに通知する。
【0104】
図18は、未処理のジョブ一覧を表示する表示画面216の一例である。排除されたジョブとともに、ジョブリストから排除された理由を表示する。これとともに、ジョブ並べ替え部203において、未処理ジョブについての再並べ替えが行われている。
【0105】
これにより、用紙の交換・補充を最小限にし、かつ画像形成装置103の印刷停止を最小限にして、生産効率を向上することができる。
【0106】
図19は、第2実施形態の画像形成方法のフローチャートである。この処理フローは、ジョブコントローラ200Bによって実行される。
【0107】
ジョブコントローラ200Bは、情報処理端末101またはサーバ104から印刷ジョブを取得し(S11)、画像形成装置からプリンタ情報を取得する(S31)。各印刷ジョブがプリンタ条件を満たすか否かを判断し、条件を満たさない印刷ジョブをジョブリストから除く(S32)。プリンタ条件を満たすジョブごとに処理温度を特定し、処理温度に基づいてジョブを並べ替えて、画像形成装置にジョブを出力する(S33)。
【0108】
プリンタ条件を満たさない未処理のジョブについて再度並べ替えを行い(S34)、オペレータに未処理のジョブリストとその並べ替え情報を表示する(S35)。
【0109】
一般的なカットシートのプリンタは、給紙トレイの数が3~8程度であるが、印刷業者が取り扱う用紙の種類は100種類を超える場合もある。これらすべての用紙を一台のカットシートプリンタにセットすることは現実的に困難である。
【0110】
印刷ジョブで指定される用紙が給紙トレイに入っていない場合は、印刷オペレータによって用紙の入れ替えが必要である。通常は、用紙切れの表示がなされて印刷オペレータに用紙の交換・補充作業が促されるが、その間は印刷が停止し、生産効率が低下する。
【0111】
第2実施形態では、画像形成装置103の条件に適合する印刷ジョブを優先的に画像形成装置103に送信し、排除されたジョブのリストを事前にオペレータに提示するとともに、未処理リストのジョブについて再度、処理温度に基づく並べ替えを行う。これにより用紙交換の頻度を最小にし、印刷の停止時間を最小限にして生産効率を向上できる。
【0112】
第2実施形態においても、処理温度順に印刷ジョブを実行する場合、用紙サイズが同じジョブが連続するように並べ替えてもよい。用紙サイズが同じジョブを、処理温度の低い順に印刷することで、画像形成装置103での消費電力を最小にし、かつ最速で出力することができる。画像形成装置103の排出トレイでも、同じサイズの用紙が連続して排出される方が、両面印刷等の装置内への搬送やステープリング等の加工、出力後の印刷物の移動、搬送等の点で有利である。
【0113】
インクジェット方式など、出力機器によっては、用紙サイズの切り換え、両面印刷のための切り替えなど、用紙搬送に関わる問題が顕著になる場合もあるので、同じ用紙サイズの印刷ジョブをまとめて並べ替えてもよい。
【0114】
<画像形成システムの変形例>
図20は、変形例の画像形成システム100Aを示す。画像形成システム100Aは、複数の画像形成装置103-1~103-3を用いてもよい。この場合、ジョブコントローラ200を情報処理端末101に配置して、複数のDFE102-1~102-3と接続してもよい。
【0115】
情報処理端末101は、ネットワークまたはクラウド上のサーバ104から印刷ジョブを一括してダウンロードする。ジョブコントローラ200は、印刷ジョブの書誌情報と画像形成装置103-1~103-2のプリンタ情報に基づいて、最も効率の良い処理手順となるように印刷ジョブを並べ替えてもよい。
【0116】
画像形成装置103-1にセットされていない用紙サイズや用紙種別を用いる印刷ジョブについては、画像形成装置103-2または103-3に振り分けてもよい。振り分けた後に、画像形成装置103ごとに印刷ジョブの並べ替えを行って、並べ替えたジョブリストを対応するDFE102に送信してもよい。
【0117】
以上、特定の実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は上述した構成例に限定されない。たとえば、
図12の変形例を第2実施形態と組み合わせてもよい。この場合、印刷実行中に新たなジョブが到着したときに、画像形成装置103の条件(用紙サイズ、用紙種別等)を満たすか否かを判断し、条件を満たす場合に現在実行中の処理温度以上のジョブか否かを判断してジョブを追加してもよい。また、処理温度と用紙情報(用紙サイズ、種別、銘柄等)に加えて、印刷期限を並べ替えの基礎に用いてもよい。同じ定着温度で同じ用紙が連続して印刷される場合に、印刷期限の早い順に並べ替えてもよい。
【0118】
実施形態のジョブコントローラ200をプログラムで実現してもよい。この場合は、プログラムはプロセッサに、
異なる用紙を用いた画像形成が混在する複数の印刷ジョブを取得する手順と、
前記印刷ジョブの各々について、前記印刷ジョブの実行時の画像形成装置の定着部または乾燥部の温度である温度条件と用紙情報の少なくとも一方を特定する手順と、
複数の前記印刷ジョブを、同じ温度条件または同じ用紙情報のジョブが連続して実行されるように並べ替える手順と、
並び替え後の順番で、前記印刷ジョブを前記画像形成装置に出力する手順と、
を実行させる。
【符号の説明】
【0119】
100、100A 画像形成システム
101 情報処理端末(情報処理装置)
102 DFE(情報処理装置)
103 画像形成装置
104 サーバ
200、200A、200B ジョブコントローラ
201 ジョブ取得部
202、202A、202B ジョブ解析部
203 ジョブ並び替え部
204 ジョブ出力部
205 プリンタ情報取得部
206 表示情報出力部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0120】
【文献】特開2009-092980号公報
【文献】特許第5957811号