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特許7196644傾き検出装置、読取装置、画像処理装置および傾き検出方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】傾き検出装置、読取装置、画像処理装置および傾き検出方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/04 20060101AFI20221220BHJP
   H04N 1/387 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
H04N1/04 106A
H04N1/12 Z
H04N1/387 800
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019014659
(22)【出願日】2019-01-30
(65)【公開番号】P2020123839
(43)【公開日】2020-08-13
【審査請求日】2021-10-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(72)【発明者】
【氏名】塚原 元
(72)【発明者】
【氏名】白土 寛貴
(72)【発明者】
【氏名】橋本 歩
(72)【発明者】
【氏名】中田 祐貴
(72)【発明者】
【氏名】小野 智彦
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 達也
(72)【発明者】
【氏名】久保 宏
(72)【発明者】
【氏名】長尾 佳明
(72)【発明者】
【氏名】柳澤 公治
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 昌弘
【審査官】松永 隆志
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-157417(JP,A)
【文献】特開2017-112412(JP,A)
【文献】特開2001-238039(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00-1/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
背景部材が背景となる撮像位置で検知対象物を撮像する撮像部と、
前記撮像部によって撮像された前記検知対象物の画像である画像情報における前記背景部材と前記検知対象物の影との境界を検出し、当該境界の検出結果から前記検知対象物の傾き量を検出する第1の境界検出部と、
前記画像情報における前記検知対象物の影と前記検知対象物との境界を検出し、当該境界の検出結果から前記検知対象物の傾き量を検出する第2の境界検出部と、
前記第1の境界検出部と前記第2の境界検出部とでそれぞれ検出した境界から検出される前記検知対象物の傾き量から前記画像情報への処理を決定する処理決定部と、
前記第1の境界検出部と前記第2の境界検出部とでそれぞれ検出した境界から前記画像情報における前記検知対象物の傾きを検出し、当該傾きを前記処理決定部で決定した処理に従い、補正する傾き補正部と、
を備えることを特徴とする読取装置。
【請求項2】
前記第1の境界検出部および前記第2の境界検出部は、前記検知対象物の主走査方向の輪郭の一部又は全てから前記境界を検出し、当該境界の検出結果から前記検知対象物の傾き量を検出する、
ことを特徴とする請求項に記載の読取装置。
【請求項3】
前記第1の境界検出部および前記第2の境界検出部は、前記検知対象物の副走査方向の輪郭の一部又は全てから前記境界を検出し、当該境界の検出結果から前記検知対象物の傾き量を検出する、
ことを特徴とする請求項に記載の読取装置。
【請求項4】
前記第1の境界検出部および前記第2の境界検出部は、前記検知対象物の主走査方向の輪郭の一部又は全てから前記境界を検出し、当該境界の検出結果から前記検知対象物の傾き量を検出し、かつ、前記検知対象物の副走査方向の輪郭の一部又は全てから前記境界を検出し、当該境界の検出結果から前記検知対象物の傾き量を検出する、
ことを特徴とする請求項に記載の読取装置。
【請求項5】
前記第1の境界検出部が複数設けられ、
前記第2の境界検出部が複数設けられ、
前記処理決定部は、複数の前記第1の境界検出部と複数の前記第2の境界検出部とでそれぞれ検出した境界から検出される前記検知対象物の傾き量から前記画像情報への処理を決定する、
ことを特徴とする請求項1ないし4の何れか一項に記載の読取装置。
【請求項6】
記処理決定部は、前記第1の境界検出部で検出した境界における傾き量と前記第2の境界検出部で検出した境界における傾き量との差が所定値より大きい場合は、前記傾き補正部に対して前記検知対象物の傾きの補正を行わない命令を通知する、
ことを特徴とする請求項1ないし5の何れか一項に記載の読取装置。
【請求項7】
記処理決定部は、前記第1の境界検出部で検出した境界における傾き量と前記第2の境界検出部で検出した境界における傾き量との差によらず、前記第2の境界検出部で検出した境界における傾き量での補正命令を前記傾き補正部に通知する、
ことを特徴とする請求項1ないし5の何れか一項に記載の読取装置。
【請求項8】
記処理決定部は、前記第1の境界検出部で検出した境界における傾き量と前記第2の境界検出部で検出した境界における傾き量との差分値と、前記第2の境界検出部で検出した境界における傾き量とから傾き補正量を決定する、
ことを特徴とする請求項1ないし5の何れか一項に記載の読取装置。
【請求項9】
前記第2の境界検出部は、前記第1の境界検出部での前記背景部材と原稿影との境界検出結果から副走査方向に所定のライン数以上離れて原稿影と原稿との境界が検出されている場合、原稿影と原稿の境界を検出しない、
ことを特徴とする請求項ないしの何れか一項に記載の読取装置。
【請求項10】
前記処理決定部は、前記第2の境界検出部が境界を検出できなかった場合は、前記傾き補正部に対して前記検知対象物の傾きの補正を行わない命令を通知する、
ことを特徴とする請求項1ないし5の何れか一項に記載の読取装置。
【請求項11】
前記第1の境界検出部および前記第2の境界検出部は、前記検知対象物のサイズに応じて設定された境界検出領域にて、前記検知対象物の境界を検出する、
ことを特徴とする請求項ないし10の何れか一項に記載の読取装置。
【請求項12】
請求項ないし11の何れか一項に記載の読取装置と、
前記読取装置で読み取った画像情報に基づき画像を形成する画像形成部と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項13】
背景部材が背景となる撮像位置で検知対象物を撮像する撮像工程と、
前記撮像工程によって撮像された検知対象物の画像である画像情報における前記背景部材と前記検知対象物の影との境界を検出し、当該境界の検出結果から前記検知対象物の傾き量を検出する第1の境界検出工程と、
前記画像情報における前記検知対象物の影と前記検知対象物との境界を検出し、当該境界の検出結果から前記検知対象物の傾き量を検出する第2の境界検出工程と、
前記第1の境界検出工程と前記第2の境界検出工程とでそれぞれ検出した境界から検出される前記検知対象物の傾き量から前記画像情報への処理を決定する処理決定工程と、
前記第1の境界検出工程と前記第2の境界検出工程とでそれぞれ検出した境界から前記画像情報における前記検知対象物の傾きを検出し、当該傾きを前記処理決定工程で決定した処理に従い、補正する傾き補正工程と、
を含むことを特徴とする読取方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、読取装置、画像処理装置および読取方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動原稿送り装置(ADF:Auto Document Feeder)の読取画像から検知したスキュー角度やレジスト位置に基づいて、ADF読取時の原稿スキューおよび主副レジストずれを画像処理にて補正するエレキスキュー補正技術が知られている。
【0003】
特許文献1には、エレキスキュー補正に際して、上辺エッジを検出する前に原稿の両辺の縦エッジを検出することで上辺エッジの検出範囲を確定し、その検出範囲内で原稿エッジを検出する技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、影は原稿状態(折れ、カール等)の影響を受けやすく、原稿は原稿の色または濃度による影響を受けやすい(背景、影との差がないと検出できない)、という問題がある。
【0005】
そのため、特許文献1に開示の技術によれば、これらの影響により、原稿輪郭の検出精度が得られず、スキュー量およびレジスト量の検出誤りにより、間違ったエレキスキュー補正を行ってしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、エレキスキュー補正精度を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、背景部材が背景となる撮像位置で検知対象物を撮像する撮像部と、前記撮像部によって撮像された前記検知対象物の画像である画像情報における前記背景部材と前記検知対象物の影との境界を検出し、当該境界の検出結果から前記検知対象物の傾き量を検出する第1の境界検出部と、前記画像情報における前記検知対象物の影と前記検知対象物との境界を検出し、当該境界の検出結果から前記検知対象物の傾き量を検出する第2の境界検出部と、前記第1の境界検出部と前記第2の境界検出部とでそれぞれ検出した境界から検出される前記検知対象物の傾き量から前記画像情報への処理を決定する処理決定部と、前記第1の境界検出部と前記第2の境界検出部とでそれぞれ検出した境界から前記画像情報における前記検知対象物の傾きを検出し、当該傾きを前記処理決定部で決定した処理に従い、補正する傾き補正部と、を備えることを特徴とする。


【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、エレキスキュー補正精度を高めることができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1の実施の形態にかかる画像処理装置の概略構成を模式的に示す断面図である。
図2図2は、スキャナの概略構成を模式的に示す断面図である。
図3図3は、ADFの概略構成を模式的に示す断面図である。
図4図4は、原稿の読取位置近傍の構成を模式的に示す図である。
図5図5は、画像処理装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図6図6は、画像処理部の機能を示すブロック図である。
図7図7は、画像データの一例を示す図である。
図8図8は、画像データからの傾き量検出の一例を示す図である。
図9図9は原稿サイズ毎の傾き量検出領域の切り替え例を示す図である。
図10図10は、画像読取処理の流れを概略的に示すフローチャートである。
図11図11は、副走査方向に所定のライン数以内で原稿影と原稿との境界が検出できる場合を示す図である。
図12図12は、副走査方向に所定のライン数以内で原稿影と原稿との境界が検出できない場合を示す図である。
図13図13は、第2の実施の形態にかかる画像データからの傾き量検出の一例を示す図である。
図14図14は、第3の実施の形態にかかる画像処理部の機能を示すブロック図である。
図15図15は、画像データからの傾き量検出の一例を示す図である。
図16図16は、第4の実施の形態にかかる画像処理部の機能を示すブロック図である。
図17図17は、第5の実施の形態にかかる画像処理部の機能を示すブロック図である。
図18図18は、画像データからの傾き量検出の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照して、傾き検出装置、読取装置、画像処理装置および傾き検出方法の実施の形態を詳細に説明する。
【0011】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態にかかる画像処理装置100の概略構成を模式的に示す断面図である。画像処理装置100は、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能のうち少なくとも2つの機能を有する複合機である。
【0012】
図1に示すように、画像処理装置100は、給紙部103、装置本体104、スキャナ101及び自動原稿送り装置(ADF:Auto Document Feeder)102を備える。
【0013】
画像処理装置100は、装置本体104内に、画像形成部であるプロッタ120を備える。プロッタ120は、タンデム方式の作像部105と、作像部105に給紙部103から搬送路107を介して記録紙を供給するレジストローラ108と、光書き込み装置109と、定着部110と、両面トレイ111と、を備えている。
【0014】
作像部105には、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(キー・プレート(ブラック))の4色に対応して4本の感光体ドラム112が並設される。各感光体ドラム112の周りには、帯電器、現像器106、転写器、クリーナ及び除電器を含む作像要素が配置されている。
【0015】
また、転写器と感光体ドラム112との間には、両者のニップに挟持された状態で駆動ローラと従動ローラとの間に張架された中間転写ベルト113が配置されている。
【0016】
このように構成されたタンデム方式の画像処理装置100は、ADF102から送られた検知対象物である原稿をスキャナ101で読み取った原稿画像に基づき、YMCKの色毎に各色に対応する感光体ドラム112に光書き込み装置109から光書き込みを行い、現像器106で各色のトナー毎に現像し、中間転写ベルト113上に例えばY,M,C,Kの順で1次転写する。そして、画像処理装置100は、1次転写により4色重畳されたフルカラーの画像を給紙部103から供給された記録紙に2次転写した後、定着部110で定着して排紙することによりフルカラーの画像を記録紙上に形成する。
【0017】
次に、スキャナ101について説明する。
【0018】
図2は、スキャナ101の概略構成を模式的に示す断面図である。図2に示すように、スキャナ101は、第1キャリッジ25と、第2キャリッジ26と、結像レンズ27と、撮像部28とを備えており、これらの各構成部材はスキャナ101の本体フレーム101aの内部にそれぞれ配置されている。
【0019】
また、スキャナ101の本体フレーム101aの内部には、図示しない第1レール及び第2レールが副走査方向(図2中、左右方向)に延在するよう設けられている。第1レールは、副走査方向と直交する主走査方向に所定の間隔をあけて配置された2本のレールからなる。第2レールについても、第1レールと同様の構成である。
【0020】
第1キャリッジ25は、第1レールに摺動自在に取り付けられ、図示しない駆動モータにより図示しない第1キャリッジ用駆動ワイヤを介して副走査方向に、図2中実線で示す位置と破線で示す位置との間で往復移動可能に構成されている。第1キャリッジ25には、光源24と、第1ミラー部材25aとが設けられている。
【0021】
また、第2キャリッジ26は、第2レールに摺動自在に取り付けられ、図示しない駆動モータにより図示しない第2キャリッジ用駆動ワイヤを介して副走査方向に、図2中実線で示す位置と破線で示す位置との間で往復移動可能に構成されている。第2キャリッジ26には、第2ミラー部材26aと、第3ミラー部材26bとが設けられている。
【0022】
ここで、これら第1キャリッジ25及び第2キャリッジ26は、2:1の速度比で副走査方向に移動する。このような移動速度の関係により、第1キャリッジ25及び第2キャリッジ26の移動があっても、原稿面から結像レンズ27までの光の光路長が変化しないようになっている。
【0023】
結像レンズ27は、各ミラー部材を介して入射された原稿からの反射光を撮像部28に集光結像する。撮像部28は、CCD等の撮像素子で構成され、結像レンズ27を介して結像された原稿の反射光像を光電変換して読取画像であるアナログ画像信号を出力する。
【0024】
次に、スキャナ101上に搭載されるADF102について説明する。
【0025】
図3は、ADF102の概略構成を模式的に示す断面図である。図3に示すように、ADF102は、原稿を載置する原稿トレイ11を備える。原稿トレイ11は、基端部を支点として図中a,b方向に回動する可動原稿テーブル41と、原稿の給紙方向に対する左右方向を位置決めする一対のサイドガイド板42とを有している。可動原稿テーブル41の回動により、原稿の給送方向前端部が適切な高さに合わせられる。
【0026】
また、原稿トレイ11には、原稿の向きが縦と横の何れになっているかを検知する原稿長さ検知センサ89,90が給送方向に離隔して設けられている。なお、原稿長さ検知センサ89,90としては、光学的手段により未接触で検知する反射型センサ、又は接触式のアクチュエータタイプのセンサを用いてもよい。
【0027】
一対のサイドガイド板42は、片側が給紙方向に対する左右方向にスライド自在であり、異なるサイズの原稿が載置可能に構成されている。
【0028】
一対のサイドガイド板42の固定側には、原稿の載置により回動するセットフィラー46が設けられている。また、セットフィラー46の先端部の移動軌跡上の最下部には、原稿トレイ11に原稿が載置されたことを検知する原稿セットセンサ82が設けられている。つまり、原稿セットセンサ82は、セットフィラー46が回動して原稿セットセンサ82から外れたか否かにより、ADF102にセットされた原稿の有無を検知する。
【0029】
ADF102は、分離給送部51と、プルアウト部52と、ターン部53と、第1読取搬送部54と、第2読取搬送部55と、排紙部56とにより構成される搬送部50を備えている。搬送部50の各搬送ローラは、1つ以上の搬送モータにより回転駆動される。
【0030】
分離給送部51は、原稿を給紙する給紙口60の近傍に配置されたピックアップローラ61と、搬送経路を挟んで対向するように配置された給紙ベルト62及びリバースローラ63とを有している。
【0031】
ピックアップローラ61は、給紙ベルト62に取り付けられた支持アーム部材64により支持されており、図示しないカム機構を介して原稿束に接触する接触位置と原稿束から離れた離隔位置との間で図中c,d方向に上下動する。ピックアップローラ61は、接触位置において原稿トレイ11上に積載された原稿のうち、数枚(理想的には一枚)の原稿をピックアップする。
【0032】
給紙ベルト62は、給送方向に回転し、リバースローラ63は、給送方向と逆方向に回転する。また、リバースローラ63は、原稿が重送された場合に、給紙ベルト62に対して逆方向に回転するが、リバースローラ63が給紙ベルト62に接している場合、又は原稿を一枚のみ搬送している場合には、図示しないトルクリミッタの働きにより、給紙ベルト62に連れ回りする。これにより、原稿の重送が防止される。
【0033】
プルアウト部52は、搬送経路52aを挟むように配置された一対のローラからなるプルアウトローラ65を有している。プルアウト部52は、プルアウトローラ65とピックアップローラ61の駆動タイミングにより、送り出された原稿を一次突当整合(いわゆる、スキュー補正)し、整合後の原稿を引き出し搬送する。
【0034】
ターン部53は、上から下に向けて湾曲した搬送経路53aを挟むように配置された一対のローラからなる中間ローラ66及び読取入口ローラ67を有している。ターン部53は、中間ローラ66により引き出し搬送された原稿を、湾曲した搬送経路を搬送することによりターンさせて、読取入口ローラ67により原稿の表面を下方に向けて原稿の読取位置(撮像位置)であるスリットガラス7の近傍まで搬送する。
【0035】
ここで、プルアウト部52からターン部53への原稿の搬送速度は、第1読取搬送部54における搬送速度よりも高速に設定されている。これにより、第1読取搬送部54に搬送される原稿の搬送時間の短縮が図られている。
【0036】
第1読取搬送部54は、スリットガラス7に対向するよう配置された第1読取ローラ68と、読取終了後の搬送経路55aに配置された第1読取出口ローラ69とを有している。第1読取搬送部54は、スリットガラス7の近傍まで搬送された原稿の表面を第1読取ローラ68によりスリットガラス7に接触させながら搬送する。この際、原稿は、スリットガラス7を介して、スキャナ101にて読み取られる。このとき、スキャナ101の第1キャリッジ25および第2キャリッジ26は、ホームポジションの位置で停止した状態である。第1読取搬送部54は、読取終了後の原稿を第1読取出口ローラ69によりさらに搬送する。
【0037】
ここで、図4は原稿の読取位置近傍の構成を模式的に示す図である。なお、図4においては、原稿は、左から右に搬送される。
【0038】
図4に示すように、ADF102は、スリットガラス7に対向する位置に、撮像背景となる背景部材92を備えている。背景部材92は、例えば白色であり、シェーディング補正に用いられる。原稿は、スリットガラス7と背景部材92との間を搬送される。スキャナ101は、図4に示す読取ラインの位置で、画像読み取りを行う。
【0039】
第2読取搬送部55は、原稿の裏面を読み取る第2読取部91と、搬送経路55aを挟んで第2読取部91に対向するよう配置された第2読取ローラ70と、第2読取部91の搬送方向下流に配置された第2読取出口ローラ71とを有している。
【0040】
第2読取搬送部55では、表面読取後の原稿の裏面が第2読取部91により読み取られる。裏面が読み取られた原稿は、第2読取出口ローラ71により排紙口に向けて搬送される。第2読取ローラ70は、第2読取部91における原稿の浮きを抑えると同時に、第2読取部91におけるシェーディングデータを取得するための基準白部を兼ねるものである。両面読み取りを行わない場合には、原稿は第2読取部91を素通りするようになっている。
【0041】
排紙部56は、排紙口の近傍に一対の排紙ローラ72が設けられ、第2読取出口ローラ71により搬送された原稿を排紙トレイ12に排紙する。
【0042】
また、ADF102には、搬送経路に沿って、突き当てセンサ84、レジストセンサ81、排紙センサ83などの各種センサが設けられており、原稿の搬送距離や搬送速度等の搬送制御に用いられる。
【0043】
さらに、プルアウトローラ65と中間ローラ66との間には、原稿幅センサ85が設けられている。なお、原稿の搬送方向の長さは、突き当てセンサ84やレジストセンサ81での原稿の先端及び後端を読み取りによりモータパルスから検知される。
【0044】
次に、画像処理装置100のハードウェア構成について説明する。
【0045】
ここで、図5は画像処理装置100のハードウェア構成を示すブロック図である。図5に示すように、画像処理装置100にはスキャナ101で読み取った原稿画像に所定の処理を施し、画像データとしてプロッタ120に出力する画像処理部200が設けられている。スキャナ101とADF102と画像処理部200は、傾き検出装置および読取装置を構成する。
【0046】
画像処理部200は、CPU(Central Processing Unit)201、ROM(Read Only Memory)202、メインメモリ205、チップセット206、画像処理ASIC207、コントローラASIC208、メインメモリ209、I/O ASIC210を備える。なお、ASICは、Application Specific Integrated Circuit(特定用途向け集積回路)の略称である。
【0047】
CPU201は、画像処理装置100を制御するためのものである。メインメモリ205は、CPU201が画像処理装置100を制御するためのプログラムが展開されるワーク領域として使用されたり、扱う画像データなどを一時保管したりするもの(画像メモリ)である。チップセット206は、CPU201と共に用いられコントローラASIC208、I/O ASIC210がメインメモリ205へアクセスすることを制御する。
【0048】
本実施の形態の画像処理装置100で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0049】
さらに、本実施の形態の画像処理装置100で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施の形態の画像処理装置100で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0050】
スキャナ101は、コピー処理する画像データや外部インターフェイスへ出力するための画像データを読み取る機能を有している。プロッタ120は、コントローラASIC208で画像処理された画像データを印刷するための機能を有している。
【0051】
画像処理ASIC207は、スキャナ101より読み取られた画像データに対して画像処理を行いコントローラASIC208へ画像データを出力する。また、画像処理ASIC207は、コントローラASIC208からの画像データをプロッタ120にて印刷できるように画像処理したり、プロッタ120の印刷タイミングにあわせて画像データを送ったりするものである。
【0052】
コントローラASIC208は、チップセット206越しのメインメモリ205を使って画像処理装置100で扱う画像データの回転、および編集などを行い、HDD211に蓄積し画像処理ASIC207と画像データを送受信する。メインメモリ209は、コントローラASIC208が画像処理を行う画像メモリとして使用される。HDD(Hard Disk Drive)211は、画像処理した画像データを一時保管するため使用される。
【0053】
I/O ASIC210は、画像処理装置100に付加機能を与えるための外部インターフェイスである。例えば、I/O ASIC210は、ネットワークインターフェイス、USB、SDカード、操作部、SPI、I2C、原稿幅センサ85などのインターフェイスや画像処理を高速化するためのハードウェアアクセラレータ、暗号化処理回路などが具備されている。
【0054】
次に、画像処理部200により発揮される機能について説明する。
【0055】
ここで、図6は画像処理部200の機能を示すブロック図である。なお、ここでは、画像処理部200が発揮する機能のうち、本実施の形態における特徴的な機能について説明する。
【0056】
図6に示すように、画像処理部200は、画像生成部300と、第1の境界検出部として機能する第1傾き量検出部310と、第2の境界検出部として機能する第2傾き量検出部320と、処理決定部330と、傾き検出部として機能する傾き補正部340と、を有する。本実施の形態においては、画像処理ASIC207が画像生成部300を有し、コントローラASIC208が第1傾き量検出部310、第2傾き量検出部320、処理決定部330および傾き補正部340を有する。なお、これに限るものではなく、CPU201がプログラムを実行することにより、第1傾き量検出部310と、第2傾き量検出部320と、処理決定部330と、傾き補正部340と、を実現するものであってもよい。
【0057】
画像生成部300は、原稿の読取位置(撮像位置)であるスリットガラス7を通過する原稿に照射した光の反射光を撮像部28で読み取ったアナログ画像信号に基づき、画像情報であるデジタル画像データ(以下、画像データという)を生成する。
【0058】
ここで、図7は画像データの一例を示す図である。
【0059】
図7に示すように、画像データには、背景領域と原稿領域との境に影領域が発生する。背景部材92が白色である場合、影は必ず出現するものである。なお、図7では上辺のみに影領域を示しているが、原稿の輪郭には全て影領域が発生する。
【0060】
ところで、主走査方向において原稿と背景部材92との距離が一定であれば、影領域の幅は主走査方向に於いて均一となる。しかしながら、画像データにおける影領域の幅は、原稿と背景部材92との間の距離によって変化する。図7の影領域は、原稿の先端にカールや折れ等が発生して原稿先端に変動が発生することで、影幅が均一にならない例を示している。例えば、原稿が上方、すなわち背景部材92側にある場合、影領域の幅は細くなる。一方、原稿が下方、すなわちスリットガラス7側にある場合、影領域の幅は太くなる。
【0061】
第1傾き量検出部310は、画像データ内の原稿の主走査方向の輪郭の一部又は全てから背景部材92と原稿影との境界(原稿の影エッジ)の検出結果から原稿の傾き量(スキュー量)を検出する。
【0062】
本実施の形態においては、第1傾き量検出部310は、上辺における背景部材92と原稿影との境界を検出し、当該境界の検出結果から原稿の傾き量(スキュー量)を検出する。
【0063】
上述したように、主走査方向に於いて影幅が均一であれば、第1傾き量検出部310の検出結果によりで正確な傾き量を検出することが可能である。しかし、原稿の先端にカールや折れ等が発生している場合、主走査の影幅が均一とならず、第1傾き量検出部310の傾き量検出結果には、影幅変動の影響による誤差が発生する。
【0064】
そこで、第2傾き量検出部320が、画像データ内の原稿の主走査方向の輪郭の一部又は全てから原稿影と原稿との境界(原稿エッジ)を検出し、当該境界の検出結果から原稿の傾き量を検出する。
【0065】
本実施の形態においては、第2傾き量検出部320が、画像データ内の上辺における原稿影と原稿との境界の検出結果から原稿の傾き量を検出する。
【0066】
例えば、スキャナ101の装置構成により、主走査方向の輪郭、副走査方向の輪郭の安定性が異なる。主走査方向の輪郭の安定性が高い場合は、主走査方向の輪郭のみから傾き量を検出することで検出精度を向上させることができる。
【0067】
ここで、図8は画像データからの傾き量検出の一例を示す図である。図8は、影領域の幅が変動した場合における、第1傾き量検出部310の傾き量検出結果(1)と、第2傾き量検出部320の傾き量検出結果(2)とを示すものである。
【0068】
図8に示すように、第1傾き量検出部310の傾き量検出結果(1)は、原稿と背景部材92との距離が原稿の主走査方向においてばらついているため、原稿の主走査方向において影が均一とならず、影幅に変動が発生している。このような場合でも、第2傾き量検出部320の傾き量検出結果(2)は、誤差は含むものの、原稿の輪郭に近い傾き量となっている。そこで、例えば傾き量(1)-傾き量(2)の絶対値をとることで、原稿の先端におけるカールや折れ等の変動の有無を検出することが可能となる。
【0069】
処理決定部330は、第1傾き量検出部310および第2傾き量検出部320で算出した傾き量から画像データへの処理を決定する。
【0070】
傾き補正部340は、処理決定部330で決定した画像処理を実施して画像データにおける原稿の傾きを検出するとともに検出した傾きを補正し、補正後画像データとして後段に出力する。
【0071】
ここで、処理決定部330による画像データへの処理の決定例について、例示的に説明する。
【0072】
(処理決定例1)
例えば、処理決定部330は、(1)-(2)の絶対値があらかじめ決められた所定値以上である場合、傾き補正部340に対して補正を行わない命令を通知する。この場合、傾き補正部340は、傾き量の補正を行わない。これにより、原稿にカール、折れ等がある場合、誤った補正を行わないことが可能となる。
【0073】
一方、処理決定部330は、(1)-(2)の絶対値があらかじめ決められた所定値以下である場合、傾き補正部340に対して、第2傾き量検出部320の傾き量検出結果(2)での補正命令を通知する。この場合、傾き補正部340は、傾き量(2)での補正を行う。
【0074】
上記により、全ての原稿に対して、誤補正を行うことのない傾き量補正機能を提供することが可能となる。
【0075】
(処理決定例2)
例えば、処理決定部330は、(1)と(2)の差によらず、第2傾き量検出部320の傾き量検出結果(2)での補正命令を傾き補正部340に通知する。この場合、傾き補正部340は、傾き量(2)での補正を行う。これにより、原稿にカール、折れ等がある場合でも誤補正を最小にしながら、傾き補正が可能となる。
【0076】
ここで、第1傾き量検出部310の傾き量検出結果(1)を取得する目的は、傾き量(2)として画像領域内の情報を検出しないためである。この場合、傾き量(1)の検出位置から副走査のあらかじめ決められたライン数以内で検出した輪郭情報を使用して傾き量(2)を生成することを特徴とする。
【0077】
上記により、全ての原稿に対して、誤補正を行うことのない傾き量補正機能を提供することが可能となる。
【0078】
(処理決定例3)
原稿影と原稿との境界検出結果は、原稿の状態によらず誤差は含むものの、輪郭を精度よく検出することが可能である。しかしながら、原稿のカールや折れ等の状態が大きい場合、原稿の輪郭検出結果の誤差が大きくなる場合がある。そこで、処理決定部330は、例えば、図8における(1)-(2)の差分と、傾き量(2)とから補正量を決定することで、ダメージの大きい原稿でも精度の良い補正を行うことが可能となる。
【0079】
一例の演算式としては、下記式が挙げられる。
補正量=|傾き量(1)-傾き量(2)|×(1/α)+傾き量(2)
α:固定値、または(1)-(2)から決まる係数
【0080】
これにより、原稿にカール、折れ等がある場合でも誤補正を最小にしながら、精度の高い傾き補正が可能となる。
【0081】
なお、図8において、第1傾き量検出部310および第2傾き量検出部320における傾き量検出領域(境界検出領域)は任意の幅の設定を可能にしてもよい。ここで、図9は原稿サイズ毎の傾き量検出領域の切り替え例を示す図である。スキャナ101の構成により、最適な傾き量の検出領域は異なってくる。一般的には、傾き量検出領域を広げることで、外乱要因を減少させることが可能となる。そのため、図9に示すように、原稿サイズが大きい場合は傾き量検出領域を広げ、原稿サイズが小さい場合は傾き量検出領域を狭くすることで、最適な検出性能を出すことが可能となる。
【0082】
また、第2傾き量検出部320の傾き量検出結果(2)から、原稿領域の副走査方向の位置を検出することが可能である。
【0083】
上記により、傾き量(1)-傾き量(2)の絶対値の値によらず、副走査方向のレジストを補正することが可能である。
【0084】
なお、本実施の形態においては、画像データ内の上辺を使って傾き量を検出するようにしたが、これに限るものではなく、画像データ内の下辺を使って傾き量を検出するようにしてもよい。
【0085】
次に、本実施の形態の画像処理装置100における画像読取処理について説明する。
【0086】
ここで、図10は画像読取処理の流れを概略的に示すフローチャートである。図10に示すように、ADF102により原稿搬送が開始されると、画像処理部200は、ADF102により読取位置であるスリットガラス7に搬送された原稿をスキャナ101が読み取った画像データを取得する(ステップS1)。
【0087】
次いで、画像処理部200(第1傾き量検出部310および第2傾き量検出部320)は、傾き量(1)および傾き量(2)を検出する(ステップS2)。
【0088】
次いで、画像処理部200(処理決定部330)は、第1傾き量検出部310および第2傾き量検出部320で算出した傾き量(1)および傾き量(2)から画像データへの処理を決定する(ステップS3)。
【0089】
次いで、画像処理部200(傾き補正部340)は、ステップS3において決定した画像処理を実施して画像データにおける原稿の傾きを補正し、補正後画像データとして後段に出力する(ステップS4)。
【0090】
このように本実施の形態によれば、主走査の特定位置において影エッジ、原稿エッジの傾き量検出結果の差を検出し、この差分値から原稿にカール、折れがあるかを判断し、補正可否判断、又は検出精度判定結果からスキュー、レジスト補正量を決定する。これにより、従来技術と比較して、エレキスキュー補正精度を高めることが可能で、原稿エッジが検出できない可能性のある濃度の高い原稿でも誤検出を抑制することができる。
【0091】
なお、本実施の形態において、処理決定部330は、第1傾き量検出部310および第2傾き量検出部320で傾き量を必ず検出するようにしたが、これに限るものではない。
【0092】
図11は、背景部材92と原稿影との境界の検出結果から副走査方向に所定のライン数以内で原稿影と原稿との境界が検出できる場合を示す図である。一方、図12は、背景部材92と原稿影との境界検出結果から副走査方向に所定のライン数以内で原稿影と原稿の境界が検出できず、原稿領域内の情報を輪郭として検出した場合を示す図である。
【0093】
原稿影に対して原稿の濃度が同等又は高い場合、原稿影と原稿の境界が検出できない場合がある。具体的には、図12に示すように、原稿影と原稿との境界が検出できない場合、原稿領域内の画像情報を検出してしまう場合がある。
【0094】
そこで、第2傾き量検出部320は、第1傾き量検出部310での背景部材92と原稿影との境界検出結果から副走査方向に所定のライン数以上離れて原稿影と原稿との境界が検出されている場合、原稿輪郭ではないと判断し、傾き量を検出しないようにしてもよい。
【0095】
そして、処理決定部330は、第2傾き量検出部320が傾き量を検出できなかった場合は、傾き補正部340に対して補正を行わない命令を通知する。これにより、原稿濃度、色により原稿影と原稿の境界が検出できない場合、誤った補正を行うことを防止することができる。
【0096】
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態について説明する。
【0097】
第2の実施の形態は、縦辺を使って傾き量を検出する点が、第1の実施の形態と異なる。以下、第2の実施の形態の説明では、第1の実施の形態と同一部分の説明については省略し、第1の実施の形態と異なる箇所について説明する。
【0098】
図13は、第2の実施の形態にかかる画像データからの傾き量検出の一例を示す図である。図13に示すように、画像データには、背景領域と原稿領域との境に影領域が発生する。なお、図13では左の縦辺のみに影領域を示しているが、原稿の輪郭には全て影領域が発生する。
【0099】
第1傾き量検出部310は、画像データ内の原稿の副走査方向の輪郭の一部又は全てから背景部材92と原稿影との境界の検出結果から原稿の傾き量(スキュー量)を検出する。
【0100】
本実施の形態においては、第1傾き量検出部310は、左の縦辺における背景部材92と原稿影との境界の検出結果から原稿の傾き量(スキュー量)を検出する。
【0101】
また、第2傾き量検出部320が、画像データ内の原稿の副走査方向の輪郭の一部又は全てから原稿影と原稿との境界の検出結果から原稿の傾き量を検出する。
【0102】
本実施の形態においては、第2傾き量検出部320が、画像データ内の左の縦辺における原稿影と原稿との境界の検出結果から原稿の傾き量を検出する。
【0103】
図13は、影領域の幅が変動した場合における、第1傾き量検出部310の傾き量検出結果(1)と、第2傾き量検出部320の傾き量検出結果(2)とを示すものである。
【0104】
図13に示すように、第1傾き量検出部310の傾き量検出結果(1)は、原稿と背景部材92との距離が原稿の副走査方向(搬送方向)においてばらついているため、原稿の副走査方向において影が均一とならず、影幅に変動が発生している。このような場合でも、第2傾き量検出部320の傾き量検出結果(2)は、誤差は含むものの、原稿の輪郭に近い傾き量を検出できる。そこで、例えば傾き量(1)-傾き量(2)の絶対値をとることで、原稿の先端におけるカールや折れ等の変動の有無を検出することが可能となる。
【0105】
処理決定部330は、例えば、第1の実施の形態で説明した(処理決定例1)~(処理決定例3)の何れかの処理を決定し、傾き補正部340が処理決定部330で決定した画像処理を実施して画像データにおける原稿の傾きを補正することで、全ての原稿に対して、誤補正を行うことのない傾き量補正機能を提供することが可能となる。
【0106】
なお、図13において、傾き量検出領域は任意の幅の設定が可能である。また、第2傾き量検出部320の傾き量検出結果(2)から、原稿領域の主走査方向の位置を検出することが可能である。
【0107】
また、傾き量(1)-傾き量(2)の絶対値の値によらず、主走査方向のレジストを補正することが可能である。
【0108】
なお、左の縦辺でなく、右の縦辺を使って傾き量を検出してもよい。
【0109】
このように本実施の形態によれば、スキャナ101の装置構成により、副走査方向の輪郭の安定性が高い場合は、副走査方向の輪郭のみから傾き量を検出することで検出精度を向上させることができる。また、副走査方向の輪郭を検出することで、主走査のレジストを高精度で補正することができる。
【0110】
(第3の実施の形態)
次に、第3の実施の形態について説明する。
【0111】
第3の実施の形態は、上辺または下辺を使って傾き量を検出するとともに、縦辺を使って傾き量を検出する点が、第1の実施の形態と異なる。以下、第3の実施の形態の説明では、第1の実施の形態と同一部分の説明については省略し、第1の実施の形態と異なる箇所について説明する。
【0112】
図14は、第3の実施の形態にかかる画像処理部200の機能を示すブロック図である。図14に示すように、画像処理部200は、画像生成部300と、第1傾き量検出部310と、第2傾き量検出部320と、処理決定部330と、傾き補正部340とに加え、第1の境界検出部として機能する第3傾き量検出部350と、第2の境界検出部として機能する第4傾き量検出部360と、を有する。コントローラASIC208が、第3傾き量検出部350および第4傾き量検出部360を有する。なお、これに限るものではなく、CPU201がプログラムを実行することにより、第3傾き量検出部350と、第4傾き量検出部360と、を実現するものであってもよい。
【0113】
第1傾き量検出部310は、画像データ内の上辺における背景部材92と原稿との影境界を検出し、当該境界の検出結果から原稿の傾き量を検出する。
【0114】
第2傾き量検出部320は、画像データ内の上辺における原稿影と原稿との境界を検出し、当該境界の検出結果から原稿の傾き量を検出する。
【0115】
第3傾き量検出部350は、画像データ内の左の縦辺における背景部材92と原稿との影境界を検出し、当該境界の検出結果から原稿の傾き量を検出する。
【0116】
第4傾き量検出部360は、画像データ内の左の縦辺における原稿影と原稿との境界を検出し、当該境界の検出結果から原稿の傾き量を検出する。
【0117】
ここで、図15は画像データからの傾き量検出の一例を示す図である。図15に示すように、画像データには、背景領域と原稿領域との境に影領域が発生する。なお、図15では上辺および左の縦辺の2辺にのみ影領域を示しているが、原稿の輪郭には全て影領域が発生する。
【0118】
図15は、影領域の幅が変動した場合における、第1傾き量検出部310の傾き量検出結果(1)と、第2傾き量検出部320の傾き量検出結果(2)と、第3傾き量検出部350の傾き量検出結果(3)と、第4傾き量検出部360の傾き量検出結果(4)と、を示すものである。
【0119】
図15に示すように、第1傾き量検出部310の傾き量検出結果(1)は、原稿と背景部材92との距離が原稿の主走査方向においてばらついているため、原稿の主走査方向において影が均一とならず、影幅に変動が発生している。このような場合でも、第2傾き量検出部320の傾き量検出結果(2)は、誤差は含むものの、原稿の輪郭に近い傾き量を検出できる。そこで、例えば傾き量(1)-傾き量(2)の絶対値をとることで、原稿の先端におけるカールや折れ等の変動の有無を検出することが可能となる。
【0120】
また、図15に示すように、第3傾き量検出部350の傾き量検出結果(3)は、原稿と背景部材92の距離が原稿の副走査方向(搬送方向)においてばらついているため、原稿の副走査方向において影が均一とならず、影幅に変動が発生している。このような場合でも、第4傾き量検出部360の傾き量検出結果(4)は、誤差は含むものの、原稿の輪郭に近い傾き量を検出できる。そこで、例えば傾き量(3)-傾き量(4)の絶対値をとることで、原稿にカール、折れ等の変動の有無を検出することが可能となる。
【0121】
処理決定部330は、第1傾き量検出部310および第2傾き量検出部320で算出した画像データ内の上辺における傾き量と、第3傾き量検出部350および第4傾き量検出部360で算出した画像データ内の左の縦辺における傾き量と、から画像データへの処理を決定する。
【0122】
傾き補正部340は、処理決定部330で決定した画像処理を実施して画像データにおける原稿の傾きを補正し、補正後画像データとして後段に出力する。
【0123】
ここで、処理決定部330による画像データへの処理の決定例について、例示的に説明する。
【0124】
(処理決定例4)
例えば、処理決定部330は、(1)-(2)の絶対値、(3)-(4)の絶対値が共にあらかじめ決められた所定値以上の差がある場合、傾き補正部340に対して補正を行わない命令を傾き補正部340に通知する。この場合、傾き補正部340は、傾き量の補正を行わない。
【0125】
一方、処理決定部330は、(1)-(2)の絶対値があらかじめ決められた所定値以下である場合、傾き補正部340に対して、第2傾き量検出部320の傾き量検出結果(2)での補正命令を通知する。この場合、傾き補正部340は、傾き量(2)での補正を行う。
【0126】
また、処理決定部330は、(3)-(4)の絶対値があらかじめ決められた所定値以下である場合、傾き補正部340に対して、第4傾き量検出部360の傾き量検出結果(4)での補正命令を通知する。この場合、傾き補正部340は、傾き量(4)での補正を行う。
【0127】
さらに、処理決定部330は、(1)-(2)、(3)-(4)のどちらの絶対値もあらかじめ決められた所定値以下の差である場合、例えば、以下のどれかの値での補正を傾き補正部340に通知する。
・第2傾き量検出部320の傾き量検出結果(2)
・第4傾き量検出部360の傾き量検出結果(4)
・第2傾き量検出部320の傾き量検出結果(2)と、第4傾き量検出部360の傾き量検出結果(4)との平均値
【0128】
なお、処理決定部330は、(1)-(2)、(3)-(4)のどちらの絶対値もあらかじめ決められた所定値以下の差である場合、(2)、(4)を使った他の演算方法で算出した値での補正命令を傾き補正部340に通知するものであってもよい。
【0129】
上記により、全ての原稿に対して、誤補正を行うことのない傾き量補正機能を提供することが可能となる。
【0130】
(処理決定例5)
例えば、処理決定部330は、(1)-(2)、(3)-(4)の差によらず、以下のどれかの値での補正命令を傾き補正部340に通知する。
・第2傾き量検出部320の傾き量検出結果(2)
・第4傾き量検出部360の傾き量検出結果(4)
・第2傾き量検出部320の傾き量検出結果(2)と、第4傾き量検出部360の傾き量検出結果(4)との平均値
【0131】
なお、処理決定部330は、(2)、(4)を使った他の演算方法で算出した値での補正命令を傾き補正部340に通知するものであってもよい。
【0132】
ここで、第1傾き量検出部310の傾き量検出結果(1)を取得する目的、および第3傾き量検出部350の傾き量検出結果(3)を取得する目的は、傾き量(2)、(4)として画像領域内の情報を検出しないためである。この場合、傾き量(1)の検出位置から副走査のあらかじめ決められたライン数以内で検出した輪郭情報を使用して傾き量(2)を生成することを特徴とする。また、傾き量(3)の検出位置から主走査のあらかじめ決められた画素数以内で検出した輪郭情報を使用して傾き量(4)を生成することを特徴とする。
【0133】
上記により、全ての原稿に対して、誤補正を行うことのない傾き量補正機能を提供することが可能となる。
【0134】
(処理決定例6)
原稿影と原稿との境界検出結果は、原稿の状態によらず誤差は含むものの、輪郭を精度よく検出することが可能である。しかしながら、原稿のカール、折れ等の状態が大きい場合、原稿の輪郭検出結果の誤差が大きくなる場合がある。そこで、処理決定部330は、例えば、図15における(1)-(2)の差分と、傾き量(2)とから補正量を決定することで、ダメージの大きい原稿でも精度の良い補正を行うことが可能となる。
【0135】
一例の演算式としては、下記式が挙げられる。
補正量1=|傾き量(1)-傾き量(2)|×(1/α)+傾き量(2)
α:固定値、または(1)-(2)から決まる係数
【0136】
そして、図15における(3)-(4)の差分と傾き量(4)から補正量を決定する。
【0137】
一例の演算式としては、下記式が挙げられる。
補正量2=|傾き量(3)-傾き量(4)|×(1/β)+傾き量(4)
β:固定値、または(3)-(4)から決まる係数
【0138】
例えば、処理決定部330は、以下のどれかの値での補正命令を傾き補正部340に通知する。
・第2傾き量検出部320の傾き量検出結果の補正量1
・第4傾き量検出部360の傾き量検出結果の補正量2
・第2傾き量検出部320の傾き量検出結果の補正量1と、第4傾き量検出部360の傾き量検出結果の補正量2との平均値
【0139】
なお、処理決定部330は、(1)~(4)を使った他の演算方法で算出した値での補正命令を傾き補正部340に通知するものであってもよい。
【0140】
上記により、全ての原稿に対して、誤補正を行うことのない傾き量補正機能を提供することが可能となる。
【0141】
なお、図15において、傾き量検出領域は任意の幅の設定が可能である。
【0142】
また、第2傾き量検出部320の傾き量検出結果(2)から、原稿領域の副走査方向の位置を検出することが可能である。
【0143】
上記により、傾き量(1)-傾き量(2)の絶対値の値によらず、副走査方向のレジストを補正することが可能である。
【0144】
また、第4傾き量検出部360の傾き量検出結果(4)から、原稿領域の主走査方向の位置を検出することが可能である。
【0145】
上記により、傾き量(3)-傾き量(4)の絶対値の値によらず、主走査方向のレジストを補正することが可能である。
【0146】
なお、本実施の形態においては、画像データ内の上辺を使って傾き量を検出するようにしたが、これに限るものではなく、画像データ内の下辺を使って傾き量を検出するようにしてもよい。
【0147】
また、本実施の形態においては、画像データ内の左の縦辺を使って傾き量を検出するようにしたが、これに限るものではなく、画像データ内の右の縦辺を使って傾き量を検出するようにしてもよい。
【0148】
このように本実施の形態によれば、スキャナ101の装置構成により、主走査、副走査方向両方の輪郭の安定性が高い場合は、両方の輪郭から傾き量を検出することで検出精度を向上させることができる。また、副走査方向の輪郭を検出することで、主走査のレジストを高精度で補正することができる。
【0149】
(第4の実施の形態)
次に、第4の実施の形態について説明する。
【0150】
第4の実施の形態は、第1傾き量検出部310および第2傾き量検出部320をそれぞれ複数備えた点が、第1の実施の形態と異なる。以下、第4の実施の形態の説明では、第1の実施の形態と同一部分の説明については省略し、第1の実施の形態と異なる箇所について説明する。
【0151】
図16は、第4の実施の形態にかかる画像処理部200の機能を示すブロック図である。図16に示すように、画像処理部200は、画像生成部300と、複数の第1傾き量検出部310と、複数の第2傾き量検出部320と、処理決定部330と、傾き補正部340と、を有する。コントローラASIC208が、複数の第1傾き量検出部310および複数の第2傾き量検出部320を有する。なお、これに限るものではなく、CPU201がプログラムを実行することにより、複数の第1傾き量検出部310と、複数の第2傾き量検出部320と、を実現するものであってもよい。
【0152】
処理決定部330は、複数の第1傾き量検出部310および複数の第2傾き量検出部320で算出した画像データ内の上辺における傾き量から画像データへの処理を決定する。
【0153】
例えば、処理決定部330は、同じ位置の第1傾き量検出部310と第2傾き量検出部320の傾き量との差を算出する。そして、処理決定部330は、複数箇所の差分の中で最も差分の小さい位置の結果から画像データへの処理を決定する。
【0154】
傾き補正部340は、処理決定部330で決定した画像処理を実施して画像データにおける原稿の傾きを補正し、補正後画像データとして後段に出力する。
【0155】
このように本実施の形態によれば、原稿エッジの複数箇所で検出した結果から判断することで、原稿内の情報を原稿エッジと誤検出せずに、傾き量の誤検出による差を最小にすることができる。
【0156】
なお、本実施の形態においては、画像データ内の上辺を使って傾き量を検出するようにしたが、これに限るものではなく、画像データ内の下辺を使って傾き量を検出するようにしてもよい。
【0157】
また、本実施の形態においては、画像データ内の上辺を使って傾き量を検出するようにしたが、これに限るものではなく、画像データ内の左右何れかの縦辺を使って傾き量を検出するようにしてもよい。
【0158】
(第5の実施の形態)
次に、第5の実施の形態について説明する。
【0159】
第5の実施の形態は、第1傾き量検出部310および第2傾き量検出部320をそれぞれ複数備えるとともに、第3傾き量検出部350および第4傾き量検出部360をそれぞれ複数備える点が、第3の実施の形態と異なる。以下、第5の実施の形態の説明では、第3の実施の形態と同一部分の説明については省略し、第3の実施の形態と異なる箇所について説明する。
【0160】
図17は、第5の実施の形態にかかる画像処理部200の機能を示すブロック図である。図17に示すように、画像処理部200は、画像生成部300と、複数の第1傾き量検出部310と、複数の第2傾き量検出部320と、処理決定部330と、傾き補正部340とに加え、複数の第3傾き量検出部350と、複数の第4傾き量検出部360と、を有する。コントローラASIC208が、複数の第1傾き量検出部310、複数の第2傾き量検出部320、複数の第3傾き量検出部350、複数の第4傾き量検出部360を有する。なお、これに限るものではなく、CPU201がプログラムを実行することにより、複数の第1傾き量検出部310と、複数の第2傾き量検出部320と、複数の第3傾き量検出部350と、複数の第4傾き量検出部360とを実現するものであってもよい。
【0161】
複数の第1傾き量検出部310は、画像データ内の上辺における背景部材92と原稿との影境界を検出し、当該境界の検出結果から原稿の傾き量を検出する。
【0162】
複数の第2傾き量検出部320は、画像データ内の上辺における原稿影と原稿との境界を検出し、当該境界の検出結果から原稿の傾き量を検出する。
【0163】
複数の第3傾き量検出部350は、画像データ内の左の縦辺における背景部材92と原稿との影境界を検出し、当該境界の検出結果から原稿の傾き量を検出する。
【0164】
複数の第4傾き量検出部360は、画像データ内の左の縦辺における原稿影と原稿との境界を検出し、当該境界の検出結果から原稿の傾き量を検出する。
【0165】
ここで、図18は画像データからの傾き量検出の一例を示す図である。図18に示すように、画像データには、背景領域と原稿領域との境に影領域が発生する。なお、図18では上辺および左の縦辺の2辺にのみ影領域を示しているが、原稿の輪郭には全て影領域が発生する。
【0166】
図18は、上辺の影領域の幅が変動した場合における、複数の第1傾き量検出部310の傾き量検出結果(1-1)~(1-3)と、複数の第2傾き量検出部320の傾き量検出結果(2-1)~(2-3)と、左の縦辺の影領域の幅が変動した場合における、複数の第3傾き量検出部350の傾き量検出結果(3-1)~(3-3)と、複数の第4傾き量検出部360の傾き量検出結果(4-1)~(4-3)と、を示すものである。
【0167】
図18に示すように、複数の第1傾き量検出部310の傾き量検出結果(1-1)~(1-3)は、原稿と背景部材92との距離が原稿の主走査方向においてばらついているため、原稿の主走査方向において影が均一とならず、影幅に変動が発生している。このような場合でも、複数の第2傾き量検出部320の傾き量検出結果(2-1)~(2-3)は、誤差は含むものの、原稿の輪郭に近い傾き量を検出できる。また、原稿にダメージがある場合でも、主走査の位置によっては、第1傾き量検出部310の誤検出量の小さい場所がある。そこで、例えば傾き量(1-1)-傾き量(2-1)の絶対値、傾き量(1-2)-傾き量(2-2)の絶対値、傾き量(1-3)-傾き量(2-3)の絶対値をそれぞれとり、最も差分の小さい位置の結果から処理を決定することで、原稿にカール、折れ等の変動がある場合でも、検出誤差を小さくすることが可能となる。
【0168】
また、図18に示すように、複数の第3傾き量検出部350の傾き量検出結果(3-1)~(3-3)は、原稿と背景部材92との距離が原稿の副走査方向においてばらついているため、原稿の副走査方向において影が均一とならず、影幅に変動が発生している。このような場合でも、複数の第4傾き量検出部360の傾き量検出結果(4-1)~(4-3)は、誤差は含むものの、原稿の輪郭に近い傾き量を検出できる。また、原稿にダメージがある場合でも、副走査の位置によっては、第3傾き量検出部350の誤検出量の小さい場所がある。そこで、例えば傾き量(3-1)-傾き量(4-1)の絶対値、傾き量(3-2)-傾き量(4-2)の絶対値、傾き量(3-3)-傾き量(4-3)の絶対値をそれぞれとり、最も差分の小さい位置の結果から処理を決定することで、原稿にカール、折れ等の変動がある場合でも、検出誤差を小さくすることが可能となる。
【0169】
処理決定部330は、複数の第1傾き量検出部310および複数の第2傾き量検出部320、および複数の第3傾き量検出部350および複数の第4傾き量検出部360で算出した画像データ内の上辺および左の縦辺における傾き量から画像データへの処理を決定する。
【0170】
例えば、処理決定部330は、同じ位置の第1傾き量検出部310と第2傾き量検出部320の傾き量との差を算出する。また、処理決定部330は、同じ位置の第3傾き量検出部350と第4傾き量検出部360の傾き量との差を算出する。そして、処理決定部330は、複数箇所の差分の中で最も差分の小さい位置の結果から画像データへの処理を決定する。
【0171】
傾き補正部340は、処理決定部330で決定した画像処理を実施して画像データにおける原稿の傾きを補正し、補正後画像データとして後段に出力する。
【0172】
ここで、処理決定部330による画像データへの処理の決定例について、例示的に説明する。
【0173】
(処理決定例7)
例えば、処理決定部330は、複数箇所の(1)-(2)の絶対値の最も小さい差分値、複数箇所の(3)-(4)の絶対値の最も小さい差分値が、共にあらかじめ決められた所定値以上の差がある場合、傾き補正部340に対して補正を行わない命令を傾き補正部340に通知する。この場合、傾き補正部340は、傾き量の補正を行わない。
【0174】
また、処理決定部330は、複数箇所の(1)-(2)の絶対値の最も小さい差分値のみが、あらかじめ決められた所定値以下の差である場合、傾き補正部340に対して差分値の最も小さい位置の傾き量検出結果(2-*)での補正命令を通知する。なお、「*」は、1~3のいずれかを示す(以下においても同様とする)。この場合、傾き補正部340は、傾き量(2-*)での補正を行う。
【0175】
また、処理決定部330は、複数箇所の(3)-(4)の絶対値の最も小さい差分値のみが、あらかじめ決められた所定値以下の差である場合、傾き補正部340に対して差分値の最も小さい位置の傾き量検出結果(4-*)での補正命令を通知する。この場合、傾き補正部340は、傾き量(4-*)での補正を行う。
【0176】
一方、処理決定部330は、複数箇所の(1)-(2)の絶対値の最も小さい差分値、複数箇所の(3)-(4)の絶対値の最も小さい差分値が、共にあらかじめ決められた所定値以下の差である場合、例えば、以下のどれかの値での補正を傾き補正部340に通知する。
・第2傾き量検出部320の差分値の最も小さい位置の傾き量検出結果(2-*)
・第4傾き量検出部360の差分値の最も小さい位置の傾き量検出結果(4-*)
・第2傾き量検出部320の差分値の最も小さい位置の傾き量検出結果(2-*)と、第4傾き量検出部360の差分値の最も小さい位置の傾き量検出結果(4-*)との平均値
【0177】
なお、処理決定部330は、複数箇所の(1)-(2)、複数箇所の(3)-(4)のどちらの絶対値もあらかじめ決められた所定値以下の差である場合、(2-*)、(4-*)を使った他の演算方法で算出した値での補正命令を傾き補正部340に通知するものであってもよい。
【0178】
上記により、全ての原稿に対して、誤補正を行うことのない傾き量補正機能を提供することが可能となる。
【0179】
(処理決定例8)
例えば、処理決定部330は、複数箇所の(1)-(2)、複数箇所の(3)-(4)の絶対値の最も小さい差分値の位置を決定し、以下のどれかの値での補正を傾き補正部340に通知する。
・第2傾き量検出部320の差分値の最も小さい位置の傾き量検出結果(2-*)
・第4傾き量検出部360の差分値の最も小さい位置の傾き量検出結果(4-*)
・第2傾き量検出部320の差分値の最も小さい位置の傾き量検出結果(2-*)と、第4傾き量検出部360の差分値の最も小さい位置の傾き量検出結果(4-*)との平均値
【0180】
なお、処理決定部330は、複数箇所の(1)-(2)、複数箇所の(3)-(4)の絶対値の最も小さい差分値の位置を決定し、(2-*)、(4-*)を使った他の演算方法で算出した値での補正命令を傾き補正部340に通知するものであってもよい。
【0181】
上記により、全ての原稿に対して、誤補正を行うことのない傾き量補正機能を提供することが可能となる。
【0182】
(処理決定例9)
原稿影と原稿との境界検出結果は、原稿の状態によらず誤差は含むものの、輪郭を精度よく検出することが可能である。しかしながら、原稿のカール、折れ等の状態が大きい場合、原稿の輪郭検出結果の誤差が大きくなる場合がある。そこで、処理決定部330は、例えば、図18の最も小さい差分値の位置における(1-*)-(2-*)の差分と、傾き量(2-*)とから補正量を決定することで、ダメージの大きい原稿でも精度の良い補正を行うことが可能となる。
【0183】
一例の演算式としては、下記式が挙げられる。
補正量1=|傾き量(1-*)-傾き量(2-*)|×(1/α)+傾き量(2-*)
α:固定値、または(1-*)-(2-*)から決まる係数
【0184】
そして、図18の最も小さい差分値の位置における(3-*)-(4-*)の差分と傾き量(4-*)から補正量を決定する。
【0185】
一例の演算式としては、下記式が挙げられる。
補正量2=|傾き量(3-*)-傾き量(4-*)|×(1/β)+傾き量(4-*)
β:固定値、または(3-*)-(4-*)から決まる係数
【0186】
例えば、処理決定部330は、以下のどれかの値での補正命令を傾き補正部340に通知する。
・第2傾き量検出部320の差分値の最も小さい位置の傾き量検出結果(2-*)
・第4傾き量検出部360の差分値の最も小さい位置の傾き量検出結果(4-*)
・第2傾き量検出部320の差分値の最も小さい位置の傾き量検出結果(2-*)と、第4傾き量検出部360の差分値の最も小さい位置の傾き量検出結果(4-*)との平均値
【0187】
なお、処理決定部330は、(1)~(4)を使った他の演算方法で算出した値での補正命令を傾き補正部340に通知するものであってもよい。
【0188】
上記により、全ての原稿に対して、誤補正を行うことのない傾き量補正機能を提供することが可能となる。
【0189】
なお、図18において、傾き量検出領域は任意の幅の設定が可能である。
【0190】
なお、本実施の形態においては、画像データ内の上辺を使って傾き量を検出するようにしたが、これに限るものではなく、画像データ内の下辺を使って傾き量を検出するようにしてもよい。
【0191】
また、本実施の形態においては、画像データ内の左の縦辺を使って傾き量を検出するようにしたが、これに限るものではなく、画像データ内の右の縦辺を使って傾き量を検出するようにしてもよい。
【0192】
このように本実施の形態によれば、原稿エッジの複数個所で検出した結果から判断することで、原稿内の情報を原稿エッジと誤検出せずに、傾き量の誤検出による差を最小にすることができる。
【0193】
なお、上記各実施の形態においては、スキャナ101とADF102と画像処理部200を傾き検出装置とし、検査対象物(原稿)の搬送時の傾き検知について説明したが、これに限るものではない。例えば、各実施の形態の傾き検出装置は、FA(Factory Automation)検査装置の検査対象物の傾き検知にも適用可能である。
【0194】
また、上記各実施の形態においては、検知対象物(原稿)を搬送して固定の撮像部28で画像取得を行っているが、逆に止まっている検知対象物(原稿)を撮像部28が移動して検知対象物(原稿)の傾きを検知する方法でも良い。
【0195】
なお、上記各実施の形態では、本発明の画像処理装置を、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能のうち少なくとも2つの機能を有する複合機に適用した例を挙げて説明するが、複写機、プリンタ、スキャナ装置、ファクシミリ装置等の画像処理装置であればいずれにも適用することができる。
【0196】
以上、この発明の各実施の形態について説明したが、それらの各部の具体的な構成、処理の内容、データの形式等は、実施形態で説明したものに限るものではない。また、以上説明してきた実施形態の構成は、相互に矛盾しない限り任意に組み合わせて実施可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0197】
28 撮像部
100 画像処理装置
101、102 傾き検出装置、読取装置
120 画像形成部
310、350 第1の境界検出部
320、360 第2の境界検出部
330 処理決定部
340 傾き検出部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0198】
【文献】特開2017-092562号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図15
図16
図17
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