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特許7196694画像形成装置、テスト記録媒体の搬送処理方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】画像形成装置、テスト記録媒体の搬送処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/393 20060101AFI20221220BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20221220BHJP
   B41J 3/60 20060101ALI20221220BHJP
   B65H 29/60 20060101ALI20221220BHJP
   B65H 29/62 20060101ALI20221220BHJP
   B65H 31/24 20060101ALI20221220BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20221220BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
B41J29/393 101
B41J29/38 301
B41J29/38 302
B41J3/60
B65H29/60 D
B65H29/62 Z
B65H31/24
G03G15/00 463
G03G21/00 384
G03G21/00 386
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019040349
(22)【出願日】2019-03-06
(65)【公開番号】P2020142427
(43)【公開日】2020-09-10
【審査請求日】2021-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(72)【発明者】
【氏名】大平 賢
(72)【発明者】
【氏名】門傳 智弘
【審査官】牧島 元
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-066516(JP,A)
【文献】特開2005-157015(JP,A)
【文献】特開2009-069796(JP,A)
【文献】特開2005-266212(JP,A)
【文献】特開2005-153374(JP,A)
【文献】特開2018-069606(JP,A)
【文献】特開2005-144797(JP,A)
【文献】特開平11-180592(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/393
B41J 29/38
B41J 3/60
B65H 29/60
B65H 29/62
B65H 31/24
G03G 15/00
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
テスト印刷モードによる画像形成が可能な画像形成部を備えた画像形成装置であって、
画像形成中に発生した無効記録媒体を排出するためのパージトレイを有し、
前記テスト印刷モードにより印刷されたテスト記録媒体の排出先を前記パージトレイに切り替える切替手段を備え、
前記テスト印刷モードの実施時に前記無効記録媒体が前記パージトレイ内に存在する場合には、前記テスト記録媒体を、前記画像形成部から前記パージトレイへ向かうパージ搬送経路により保持した状態で搬送制御を停止させることにより、前記パージトレイ内に前記テスト記録媒体と無効記録媒体とを混在させないようにしたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
画像形成装置は、
前記画像形成部において画像形成を受けた記録媒体を反転して前記画像形成装置外へ排出させるための排紙反転経路と、
前記画像形成部において一面に画像形成を受けた記録媒体を反転して前記画像形成部に再搬送するための両面反転搬送経路と、を備え、
前記排紙反転経路、及び前記両面反転搬送経路の何れからも前記テスト記録媒体を前記パージトレイへ排出することができることを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項3】
2つの前記パージ搬送経路を備え、
前記テスト印刷モードの実施時に前記パージトレイ内に前記無効記録媒体が存在する場合に、
一方の前記パージ搬送経路が前記テスト記録媒体を保持しているために該一方のパージ搬送経路が使用できない時には、他方の前記パージ搬送経路内で前記テスト記録媒体を保持した状態で搬送制御を停止させることを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項4】
テスト印刷モードによる画像形成が可能な画像形成部を備え、
画像形成中に発生した無効記録媒体を排出するためのパージトレイと、前記テスト印刷モードにより印刷されたテスト記録媒体の排出先を切り替える切替手段と、を備えた画像形成装置によるテスト記録媒体の搬送処理方法であって、
前記切替手段により前記テスト記録媒体の搬送先を前記パージトレイに切り替えるステップを有し、
前記テスト印刷モードの実施時に前記無効記録媒体が前記パージトレイ内に存在する場合には、前記テスト記録媒体を、前記画像形成部から前記パージトレイへ向かうパージ搬送経路により保持した状態で搬送制御を停止させることにより、前記パージトレイ内に前記テスト記録媒体と無効記録媒体とを混在させないようにしたことを特徴とするテスト記録媒体の搬送処理方法。
【請求項5】
テスト印刷モードによる画像形成が可能な画像形成部と、画像形成中に発生した無効記録媒体を排出するためのパージトレイと、前記テスト印刷モードにより印刷されたテスト記録媒体の排出先を切り替える切替手段と、を備えた画像形成装置によるテスト記録媒体の搬送処理を実行させるプログラムであって、
前記テスト記録媒体の搬送先を前記切替手段により前記パージトレイに切り替えるステップを前記画像形成装置に実行させ、
前記テスト印刷モードの実施時に前記無効記録媒体が前記パージトレイ内に存在する場合には、前記テスト記録媒体を、前記画像形成部から前記パージトレイへ向かうパージ搬送経路により保持した状態で搬送制御を停止させることにより、前記パージトレイ内に前記テスト記録媒体と無効記録媒体とを混在させないようにしたことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置から排出されたテスト印刷物が後処理装置に搬送されて不要な後処理を受けることを簡易に防止することができる画像形成装置、テスト記録媒体の搬送処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ等の画像形成装置の用紙排出口側に連設される用紙後処理装置は、画像形成装置から排出されてきた印刷物を受け入れて製本、ステープル、仕分け、スタック等の各種の後処理加工を行う。
用紙後処理装置には、受け入れた印刷物に対して一律に後処理加工を実施するタイプがあり、このタイプにあっては印刷物の排出先として単一のスタッカーのみを有する。
【0003】
ところで、上記タイプの用紙後処理装置を連設した画像形成装置において、メンテナンス等のために用紙上に印刷される画像の適否を判定するテスト印刷モードによる印刷を実施すると、テスト印刷による印刷物が用紙後処理装置内で製本等の後処理加工を必ず受けてスタッカー上に排出されることになる。
しかし、製本等の後処理加工は、テスト印刷された印刷物にとっては不要な加工となるためにテスト画像が読みづらくなったり、ステープルなどのサプライを無駄に消費してしまうこととなる。
そのような不具合を解消するためにはテスト印刷実施の際に用紙後処理装置を画像形成装置から取り外しておく必要があるが、着脱に際して手間が発生するため面倒であり、従来からこの点の改善が求められていた。
【0004】
特許文献1には、オプション排紙装置、またはオプション中間搬送ユニットが取り付け可能であり、オプション排紙装置またはオプション中間搬送ユニットを含め用紙の排紙先を複数有する画像形成装置において、用紙に適切に画像を記録することが可能な状態か否かを確認するテスト印刷動作を実行する際に、印刷済み用紙の搬送先を選択的に制御する旨が記載されている。
しかし、オプション排紙装置に加工を受けた用紙を収容するスタッカーのみしか設けられていない場合においてテスト印刷を行うと、テスト印刷された用紙が製本等の加工を受けてスタッカーに排出されるため、上記と同様の不具合が発生する。
【0005】
また、特許文献2には、画像読取手段により読み取られたテスト画像に基づいて色校正処理を行う校正手段を備え、テスト画像が形成された記録媒体を廃棄経路(パージトレイ)に搬送するようにした画像形成装置が開示されている。しかし、画像形成装置に接続された用紙後処理装置が加工した印刷物を排出するスタッカーのみを備え、しかも後処理装置が一律に後処理加工を実施するタイプである場合、特許文献2の装置構成では破棄に指定される色校正のためにテスト印刷された印刷物は全てパージトレイに排出されるが、破棄に指定されない他の目的のテスト印刷物はスタッカーに排出されることになるため、テスト印刷を受けた印刷物が加工された状態でスタッカーに排出されてしまうという問題は解消できていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、テスト印刷物が用紙後処理装置により不要に加工されることがなくなり、テスト印刷物が読み辛くなったりサプライを無駄に消費するという問題を解消し、更にテスト印刷の度にわざわざ後処理装置を取り外し、終わったら再設置するという手間を無くすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため本発明に係る画像形成装置は、テスト印刷モードによる画像形成が可能な画像形成部を備えた画像形成装置であって、画像形成中に発生した無効記録媒体を排出するためのパージトレイを有し、前記テスト印刷されたテスト記録媒体の排出先を前記パージトレイに切り替える切替手段を備え、前記テスト印刷モードの実施時に前記無効記録媒体が前記パージトレイ内に存在する場合には、前記テスト記録媒体を、前記画像形成部から前記パージトレイへ向かうパージ搬送経路により保持した状態で搬送制御を停止させることにより、前記パージトレイ内に前記テスト記録媒体と無効記録媒体とを混在させないようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の画像装置によれば、テスト印刷物が用紙後処理装置により不要に加工されることがなくなり、テスト印刷物が読み辛くなったりサプライを無駄に消費するという問題を解消し、更にテスト印刷の度にわざわざ後処理装置を取り外し、終わったら再設置するという手間も無くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置に対して用紙後処理装置を連設した状態(画像形成システムの構成)を示す概略説明図である。
図2】画像形成装置、用紙後処理装置を含む画像形成システムの制御ブロック図である。
図3】パージトレイへの搬送経路を示す略図である。
図4】(a)及び(b)はパージ処理モード、及び両面プリントモードにおける搬送処理動作を説明する図である。
図5】本発明のテスト印刷物の搬送処理の基本手順を示すフローチャートである。
図6】本発明の画像形成装置における各分岐部、各パージ排紙経路、及びパージトレイの構成例を示す説明図である。
図7】テスト印刷物をパージトレイに排出する搬送処理方法の変形例を説明するフローチャートである。
図8】各分岐部、各パージ排紙経路、及びパージトレイの構成、動作を示す他の説明図である。
図9】テスト印刷物をパージトレイへの搬送経路内の搬送ローラにより停止させる手順を示すフローチャートである。
図10】各分岐部、各パージ排紙経路、及びパージトレイの構成、動作を示す他の説明図である。
図11】テスト印刷物をパージ搬送経路の最下流搬送ローラで停止させることによりパージトレイ内の無効印刷物とテスト印刷物とを目視にて区別する搬送処理方法、制御手順のフローチャートである。
図12】本発明の第2実施形態に係る搬送処理方法、制御手順に係るフローチャートである。
図13】最大サイズの記録媒体をパージトレイ内の無効印刷物との識別手段として排出する場合のフローチャートである。
図14】(a)及び(b)はパージトレイ内で混同が防止されている積載状態を示す説明図である。
図15】テスト印刷物を2つのパージ搬送経路の最下流搬送ローラにより停止、保持する処理のフローチャートである。
図16】(a)(b)は本発明の第3実施形態に係る混同防止のための搬送処理方法を実現するための装置構成例を示す図である。
図17】既排出の無効印刷物と後続のテスト印刷物とをパージトレイ上で区別するための処理手順を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を図面に示した実施の形態により詳細に説明する。
<第1実施形態>
[基本的な装置構成例]
図1は本発明の一実施形態に係る画像形成装置に対して用紙後処理装置を連設した状態(画像形成システムの構成)を示す概略説明図であり、図2は画像形成装置、用紙後処理装置を含む画像形成システムの構成を示す制御ブロック図であり、図3はパージトレイへの搬送経路を示す略図であり、図4(a)及び(b)はパージ処理モード、及び両面プリントモードにおける搬送処理動作を説明する図であり、図5は本発明のテスト印刷物の搬送処理手順の基本構成を示すフローチャートであり、図6は本発明の画像形成装置における各分岐部、各パージ排紙経路、及びパージトレイの構成例を示す説明図である。
【0011】
画像形成システム1は、画像形成装置10と、用紙後処理装置(以下、後処理装置、と称する)100と、を概略備えている。
本発明の画像形成装置10は、受け入れた全ての用紙、記録紙等の記録媒体に対して一律に後処理を実施する後処理装置100が記録媒体の排出側に装着可能な構成を備えており、画像形成装置10は、筐体内に記録媒体Pに画像を形成(印刷)する画像形成部10Aと、画像形成中に発生した異常に起因して印刷された無効記録媒体(廃棄用記録媒体)を排出するためのパージトレイ50と、を備え、後処理装置100は、印刷物を受け入れる受入れ口102、後処理加工部、及び後処理済み記録媒体を収容するスタッカー105を備え、画像形成装置が記録媒体に記録される画像の適否を判定するテスト印刷モードによるテスト印刷を実施中には、テスト印刷モードにより画像記録されたテスト記録媒体を後処理装置100へは排出せずに、パージトレイ50に排出して保留しておくようにした点が特徴的である。
【0012】
まず、図1にて、画像形成システム1の全体的な構成・動作について説明する。
画像形成装置10には、画像形成装置内においてジャム(紙詰り)等の異常発生により滞留(搬送停止)した記録媒体Pをパージトレイ50(パージ部)に向けて搬送して、滞留した記録媒体Pを装置内の搬送経路から一掃(パージ処理)するための搬送装置20が設置されている。また、本実施の形態における搬送装置20は、両面プリントモード時などに記録媒体Pの搬送方向を正方向から逆方向に反転させる機能も有している。
【0013】
図1に示すように、画像形成装置10の中央上方には、中間転写ベルト8が設置されている。また、中間転写ベルト8に対向するように、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した感光体ドラム2Y、2M、2C、2K(作像部)が並設されている。さらに、中間転写ベルト8は、その下方で2次転写ローラ15(2次転写ベルト16)に圧接して、画像形成部としての2次転写ニップを形成している。
図1に示すように、ブラックに対応した感光体ドラム2Kの周囲には、帯電部3、現像部4、クリーニング部5、除電部などが配置されている。そして、感光体ドラム2K上で、作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、クリーニング工程、除電工程)がおこなわれて、感光体ドラム2Kの表面にブラック画像が形成されることになる。
なお、他の3つの感光体ドラム2Y、2M、2Cの周囲もほぼ同じように構成されていて、それぞれのトナー色に対応した画像が感光体ドラム2Y、2M、2Cの表面に形成される。以下、他の3つの感光体ドラム2Y、2M、2C上の作像プロセスの説明を適宜に省略して、ブラックに対応した作像プロセスのみの説明をおこなうことにする。
【0014】
感光体ドラム2Kは、メインモータによって図1の反時計方向に回転駆動される。そして、帯電部3の位置で、感光体ドラム2Kの表面が一様に帯電される。
その後、感光体ドラム2Kの表面は、露光部7から発せられたレーザ光の照射位置に達して、この位置での幅方向(図1の紙面垂直方向であって、主走査方向である。)の露光走査によってブラックに対応した静電潜像が形成される。
その後、感光体ドラム2Kの表面は、現像部4との対向位置に達して、この位置で静電潜像が現像されて、イエローのトナー像が形成される。
その後、感光体ドラム2Kの表面は、中間転写ベルト8及び1次転写ローラ6の対向位置に達して、この位置で感光体ドラム2Kの表面に形成されたトナー像が中間転写ベルト8の表面に1次転写される。
その後、感光体ドラム2Kの表面は、クリーニング部5との対向位置に達して、この位置で感光体ドラム2K上に残留した未転写トナーがクリーニングブレードによってクリーニング部5内に回収される。
【0015】
最後に、感光体ドラム2Kの表面は除電部との対向位置に達して、この位置で感光体ドラム2K上の残留電位が除去される。
こうして、感光体ドラム2K上でおこなわれる一連の作像プロセスが終了する。
なお、上述した作像プロセスは、他の感光体ドラム2Y、2M、2Cの表面でも、ブラックの感光体ドラム2Kと同様におこなわれる。
そして、それぞれの感光体ドラム2Y、2M、2C、2Kの表面に形成された各色のトナー像が、中間転写ベルト8上に重ねて1次転写されることになる。こうして、中間転写ベルト8上にカラー画像が形成される。
【0016】
その後、各色のトナー像が重ねて1次転写された中間転写ベルト8は、2次転写ローラ15(2次転写ベルト16)との対向位置に達する。この位置では、2次転写対向ローラ9が、2次転写ローラ15との間に中間転写ベルト8と2次転写ベルト16とを挟み込んで2次転写ニップを形成している。そして、中間転写ベルト8上に形成された4色のトナー像は、この2次転写ニップの位置に搬送された用紙等の記録媒体P上に2次転写される。
その後、中間転写ベルト8は、中間転写クリーニング部の位置に達する。そして、この位置で、中間転写ベルト8の表面に付着した未転写トナーなどの付着物が除去される。
こうして、中間転写ベルト8上でおこなわれる一連の転写プロセスが終了する。
【0017】
2次転写ニップ(画像形成部)の位置に搬送される記録媒体Pは、画像形成装置10の下方に配設された給紙部10Bから、給紙ローラ11やレジストローラ12等が配置された給紙搬送部K1を経由して搬送されるものである。
詳しくは、給紙部10Bの各給紙トレイT1、T2には、用紙などの記録媒体Pが複数枚重ねて収納されている。そして、給紙ローラ11が図1の反時計方向に回転駆動されると、一番上の記録媒体Pが給紙搬送部K1を経由してレジストローラ12のローラ間に向けて給送される。
レジストローラ12に搬送された記録媒体Pは、回転駆動を停止したレジストローラ12のローラニップの位置で一旦停止する。そして、中間転写ベルト8上のカラー画像にタイミングを合わせて、レジストローラ12が回転駆動されて記録媒体Pが2次転写ニップ(画像形成部)に向けて搬送される。こうして、記録媒体P上に、所望のカラー画像が転写される。
【0018】
その後、2次転写ニップの位置でカラー画像が転写された記録媒体Pは、2次転写ベルト16によって搬送されて2次転写ベルト16から分離された後に、搬送ベルト18によって定着部19の位置に搬送される。そして、この位置で、定着ベルト及び圧力ローラによる熱と圧力とにより、表面に転写されたカラー画像が記録媒体P上に定着される。
その後、記録媒体Pは、第1排出路K2-1を経由して、排紙ローラ25によって画像形成装置10の外部へと排出される。 さらに、画像形成装置10から排出された記録媒体Pは、後処理装置100の内部に搬送されて後処理装置100内で製本、パンチ処理、綴じ処理などの後処理が施される。そして、後処理が施された記録媒体P(記録媒体束PT)は、スタッカー(排出トレイ)105に排出される。
こうして、画像形成装置10における、一連の画像形成プロセス(画像形成動作)が完了する。
【0019】
なお、図1に加えて図3をも参照して、記録媒体Pの両面(オモテ面とウラ面とである。)へのプリントをおこなう「両面プリントモード」が選択されている場合には、オモテ面への定着工程が終了した記録媒体Pは、第1切替爪(排紙方向切替爪)61、第2切替爪63の動作により、上述した「片面プリントモード」が選択されているときのようにそのまま画像形成装置10から排出されることなく、分岐導入経路K3に導かれる。そして、分岐導入経路K3に導かれた記録媒体Pは、第3切替爪74等の動作により、第2搬送経路(両面反転枝経路)K5に導かれる。そして、第2搬送経路K5に導かれた記録媒体Pは、その搬送方向が両面反転ローラ72の正回転から逆回転の駆動切替によって反転された後に、第3切替爪74(両面切替爪)等の動作により両面反転搬送経路K6に導かれる。そして、両面反転搬送経路K6に導かれた記録媒体Pは、再び2次転写ニップ(画像形成部)の位置に向けて搬送される。そして、2次転写ニップの位置で先に説明したものと同様の画像形成プロセス(画像形成動作)によって記録媒体Pのウラ面への画像形成がおこなわれ、その後に定着部19での定着工程を経て、第1排出路K2-1を経由して、画像形成装置10から排出される。
【0020】
すなわち、「両面プリントモード」が選択されている場合には、分岐導入経路K3、第2搬送経路(両面反転枝経路)K5、両面反転搬送経路K6が両面搬送経路として機能することになる。
さらに、記録媒体Pのオモテ面とウラ面とを反転させて排出をおこなう「反転排出モード」が選択されている場合には、オモテ面(又は、両面)への定着工程が終了した記録媒体Pは、第1、第2切替爪61、63の動作により、そのまま画像形成装置10から排出されることなく分岐導入経路K3に導かれる。そして、分岐導入経路K3に導かれた記録媒体Pは、その先端部側が第3切替爪74等の動作により、第1搬送経路K4に導かれる。そして、第1搬送経路K4に導かれた記録媒体Pは、その搬送方向が排紙反転ローラ80の正回転から逆回転の駆動切替によって反転された後に、第2切替爪63の動作により、分岐導入経路K3を経由して第2排出路K2-2に導かれる。そして、反転した状態の記録媒体Pが第1排出路K2-1を経由して、画像形成装置10から排出される。
【0021】
すなわち、「反転排出モード」が選択されている場合には、分岐導入経路K3、第1搬送経路K4、第2排出路K2-2、第1排出路K2-1が反転排出経路として機能することになる。
なお、「片面プリントモード」、「両面プリントモード」、「反転排出モード」は、ユーザーによる操作表示パネル95(画像形成装置10の外装部に設置されている。)の操作によって選択される。
【0022】
以下、本実施の形態における画像形成装置10(画像形成システム1)において特徴的な、搬送装置20について詳述する。
本実施の形態における画像形成装置10には、給紙部10Bに隣り合う位置に、画像形成装置内においてジャム(紙詰り)などにより滞留した記録媒体Pをパージトレイ50(パージ部)に向けて搬送するための搬送装置20が設置されている。画像形成装置10の排紙ローラ25の近傍に設置されたジャム検知センサ24や、後処理装置100の入口ローラの近傍に設置されたジャム検知センサ103、など、搬送経路中の複数箇所に配置したジャム検知センサによって記録媒体Pがジャム(紙詰り)した状態が光学的に検知されると、搬送経路中に滞留したすべての記録媒体Pのうち、パージトレイ50までの搬送経路が確保できる記録媒体Pがすべて搬送ローラの駆動によりパージトレイ50に向けて搬送されることになる。
なお、このような制御モードを、以下、適宜に「パージ処理モード」又は「パージ処理」と呼ぶ。
【0023】
図1図3等を参照して、搬送装置20は、パージトレイ50(パージ部)、第1搬送経路K4(パージトレイ導入路50a)、第2搬送経路K5、切替手段としての切替爪73、フォトセンサ65、75、76、ガイド部としてのパージトレイ導入路50a(パージ搬送経路)、壁部としてのストッパ部111、などで構成されている。
本実施の形態における搬送装置20のパージトレイ50には、パージ処理モード時に不要な記録媒体Pを積載・収納するための収納スペースが設けられている。
本実施の形態において、パージトレイ50は、複数枚の記録媒体P(記録媒体束PT)を積載して収納できるように構成されている。詳しくは、パージトレイ50は、画像形成装置(本体)10に滞留した記録媒体Pが収納されて、その収納された記録媒体P(記録媒体束PT)を画像形成装置10の外部に取り出し可能に構成されている。
【0024】
さらに具体的には図3に示すように、パージトレイ50には、搬送された記録媒体Pを案内するパージトレイ導入路50a(湾曲ガイド板)、パージトレイ積載部50b、パージトレイ積載部50b上に積載された記録媒体束PTを揃えるためのストッパ部50c(壁部)などが設置されている。
パージトレイ50に収納された記録媒体P(記録媒体束PT)は、適宜、ユーザーによって画像形成装置10から取り除かれる。詳しくは、パージトレイ50の外装部としても機能する開閉ドアが開放されて、パージトレイ50が露呈された状態で、パージトレイ導入路50a上に積載された不要な記録媒体束PTが取り出されて、ユーザーによって処分されることになる。
【0025】
ここで、本実施の形態では、パージトレイ50に向けて記録媒体P(滞留して不要な記録媒体Pである。)を搬送する第1搬送経路K4が設けられている。
そして、パージ処理時に、図4(a)に示すように、本体制御手段200の制御によって第4切替爪73(切替手段)が第2搬送経路K5の上流部を塞ぐように回転すると、分岐導入経路K3を通過した記録媒体Pが第1搬送経路K4を経由してパージトレイ50に搬送されることになる。
【0026】
なお、第1搬送経路(パージトレイ導入路)K4には、その位置を通過する記録媒体Pを光学的に検知するフォトセンサ76(第1検知手段)が設置されている。そして、このフォトセンサ76によって、パージトレイ50に積載・収納される記録媒体Pの枚数が検知されることになる。第1搬送経路K4は、図1等を用いて説明したように、画像形成装置10の画像形成部10A(2次転写ニップ)を通過して画像が形成された記録媒体Pを反転して画像形成装置10の外部に排出する反転排出経路の一部としても機能する搬送経路である。
【0027】
なお、分岐導入経路K3、或いは第1搬送経路K4には、その位置を通過する記録媒体Pを光学的に検知するフォトセンサから成る排紙反転センサ65(第3検知手段)、フォトセンサ76が設置されている。そして、この排紙反転センサ65、フォトセンサ76の検知結果に基づいて、排紙反転ローラ80を正回転から逆回転に切り替えるタイミングが定められる。
【0028】
また、本実施の形態における搬送装置20には、第1搬送経路K4に隣接するように並行して第2搬送経路K5が設けられている。
この第2搬送経路K5は、画像形成装置10の画像形成部10Aを通過して画像が形成された記録媒体Pを反転して2次転写ニップに向けて搬送する両面搬送経路の一部として機能する搬送経路である。
第2搬送経路K5は、パージトレイ50の上流部を基準にして、第1搬送経路K4に対して、パージトレイ50において記録媒体Pの積載高さが高くなる方向(図3の右方)に離れた位置に配置されている。また、第2搬送経路K5は、先に説明した両面反転ローラ72の正逆方向の回転動作によって、記録媒体Pの搬送方向を正方向(下方)から逆方向(上方)に反転できるように構成されている。
【0029】
特に、本実施の形態において、第1搬送経路K4と第2搬送経路K5とは、それぞれ、略垂直方向の上方から下方に向けて記録媒体Pを正方向に搬送するように横方向に併設されている。
なお、第2搬送経路K5には、その位置を通過する記録媒体Pを光学的に検知するフォトセンサ75(第2検知手段)が設置されている。そして、このフォトセンサ75の検知結果に基づいて、両面反転ローラ72を正回転から逆回転に切り替えるタイミングが定められる。
【0030】
また、パージ処理モード時には、分岐導入経路K3を通過した記録媒体Pが第2搬送経路K5を経由してパージトレイ50に搬送されることもできるように構成されている。
なお、第2搬送経路K5には、その位置を通過する記録媒体Pを光学的に検知するフォトセンサ75(第2検知手段)が設置されている。そして、このフォトセンサ75によって、パージトレイ50に積載・収納される記録媒体Pの枚数が検知されることになる。
【0031】
パージトレイ50に設置されたパージトレイ導入路50aは、図3等に示すように、第1搬送経路K4から記録媒体Pが排出される位置、又はその近傍を起点として、略垂直方向の下方に延びて、さらに下方に向けて第2搬送経路K5の垂直方向下方の位置を越える位置まで延在するガイド部である。
すなわち、パージトレイ導入路50aは、その上端の位置が第1搬送経路K4を構成するガイド板の下端の位置か、それよりも左方に位置していて、その位置から下方に略垂直に延びて、その後に下方に向けて右方にカーブするようなガイド面を有している。
そして、そのパージトレイ導入路50aの終点(右方下端である。)には、略垂直方向の上方に向けて起立する壁部としてのストッパ部50cが設けられている。第1搬送経路K4から排出された記録媒体Pは、パージトレイ導入路50aの湾曲したガイド面(又は、ガイド面上の記録媒体P)に沿って下端位置(積載部50b)まで滑落して、その先端部がストッパ部50cに当接することにより、その搬送方向(滑落方向)の姿勢が定まり揃えられることになる。したがって、ユーザーは、良好に揃え処理がされた記録媒体束PTをパージトレイ50から取り出すことができる。
【0032】
図1に基づいて説明したように画像形成装置10は、電子写真式の画像形成部10Aと、サイズ、色などの異なる記録媒体を収容した複数の給紙トレイT1、T2、・・・、及び各給紙トレイから記録媒体を取り出して画像形成部へ搬送する給紙搬送部(給紙搬送経路)K1を備えた給紙部10Bと、画像形成部の転写部において一面にトナー像が転写された記録媒体が定着部を通過した後で当該記録媒体を反転させた上で画像形成部に再給紙して他面に画像形成を受けさせるための両面反転搬送経路K6と、画像形成部10Aにおいて一面に画像形成を受けた記録媒体を反転して排出口30から画像形成装置外へ排出させるための排紙反転経路40(K4、K2-2)と、画像形成中に異常に起因して発生した無効記録媒体(無効印刷物)Pを排出するためのパージトレイ50と、を備えている。
【0033】
画像形成装置10は、画像位置合わせや機器情報印刷のためのテスト印刷用の画像データにて画像を形成するテスト印刷モードを有する。
画像形成部10Aとして電子写真方式の構成例を挙げたが、これは一例に過ぎず、インクジェット式、その他種々の画像形成方式を採用することができる。
なお、以下においては画像形成と印刷とをほぼ同義語として使用し、記録媒体を印刷物とも称する。
【0034】
[テスト印刷物の基本的な搬送処理方法]
本発明では、後処理装置100が受け入れた全ての印刷物(画像形成済みの記録媒体等)に対して一律に製本等の加工を実施する構成である場合において、画像形成装置10によりテスト印刷を実施した時に得られたテスト記録媒体(テスト印刷物)を画像形成装置に内蔵されたパージトレイへ排出するように搬送処理する構成とした点が特徴的である。
言い換えれば、図2に示した画像形成装置の本体制御手段200は、これから実施される画像形成がテスト印刷であることを認識した場合には、搬送経路に沿って配置された用紙センサの情報から画像形成装置内でのテスト印刷物の搬送状況を判断するとともに用紙情報から駆動モータを制御することで、後処理装置を回避して画像形成装置内のパージトレイまでテスト印刷物を搬送して画像形成装置内に留めておく。
【0035】
以上の構成によれば、テスト印刷物が後処理装置に送られないことにより無加工のテスト印刷物を得ることが可能となり、テスト印刷本来の目的である画像記録状態のチェック、画像の判定等を正確、且つ迅速に実施できるようになる。
画像形成装置の図示しない正面ドアを開くとパージトレイ50、及びパージ搬送経路32(K5)、40(K4)が開放されて露出するため、パージトレイ及びパージ搬送経路の状態は容易に確認できる。そのため、パージトレイ及びパージ搬送経路に記録媒体が留まっていても記録媒体の状態が確認でき、容易に除去できる。
これにより、テスト印刷物に対して画像の判定が困難になる不要な加工をすることがなくなり、また、後処理装置を取り外すこともなく、テスト印刷を実施することが可能になる。
【0036】
図5は本発明の画像形成装置によるテスト印刷物の搬送処理方法の基本例を示すフローチャートである。
テスト印刷を行う場合、テスト印刷物が画像形成部10Aから排出されて来た時に、画像形成装置本体のパージトレイ50内でテスト印刷物を停止させる制御へと移行する(ステップS1、S2、S3)。つまり、画像形成装置内でのテスト印刷物の搬送先、停止位置(本体内停止位置)がパージトレイとなるように搬送機構を切り替えてから、パージトレイにまで搬送する。後述するようにパージトレイ内に無効記録媒体などが先行して排出されている場合には、パージトレイへの搬送経路(パージ搬送経路)が本体内停止位置となるのでパージ搬送経路内の所定位置まで搬送して停止させる。
【0037】
パージトレイ50は記録媒体を複数枚格納することができるため、テスト印刷物が連続した場合でも、続けてパージトレイに排出させることができる(ステップS4)。ステップS4においては、排出されてきたテスト印刷物が最終紙であるか否かをチェックし、最終紙である場合にはステップS5へ進み、最終紙でない場合にはステップS2に戻ってテスト印刷物専用の搬送処理を繰り返す。
テスト印刷物のパージトレイ(その他の本体内停止位置)への搬送が完了したら、パージトレイにテスト印刷物が停止したことを操作パネルに表示する(S5)。
ユーザーは操作パネルの表示に従ってパージトレイからテスト印刷物を取得する。
【0038】
パージトレイ50は画像形成中に発生した異常により生成された無効記録媒体(無効印刷物)を排出格納するためのトレイであり、パージトレイ内に無効印刷物が先行して存在していない場合にはテスト印刷物をパージトレイへ排出することができるが、既にパージトレイ内に無効印刷物がある状態でテスト印刷を実施すると、廃棄対象となる無効印刷物とテスト印刷物とがパージトレイ内で混在して区別できなくなる事態を生じる。
このため、後述する他の実施形態では、パージトレイ内における無効印刷物とテスト印刷物との混在を防止する手法と、混在が発生しても両者を容易に判別できる手法を示す。
【0039】
図6は本発明の画像形成装置における各分岐部60、70、各パージ排紙経路32、40、及びパージトレイ50の構成例を示す説明図である。
第1分岐部(切替手段)60には、画像形成部10Aからの主排紙経路15aからの印刷物を、後処理装置100側の受入れ口102に向けて排出する第1排出路K2-1と、パージトレイ50へ向かう分岐導入経路K3へ選択的に振り分けるための切替え可能な排紙方向切替爪(切替手段)61と、分岐導入経路K3の下流側で反転された印刷物を逆送させて後処理装置100へ搬送する第2排出路K2-2と、分岐導入経路K3(パージトレイ導入路50a)から第2排出路K2-2へ印刷物を案内する切替え可能な切替爪(切替手段)63と、分岐導入経路K3の下流側(パージトレイ導入路50a)で反転された印刷物を検知する排紙反転センサ(切替手段)65と、が配置されている。
第1分岐部60とパージトレイ50との間に位置する第2分岐部70は、分岐導入経路K3を下降してきた印刷物を両面反転枝経路32とパージトレイ50(パージトレイ導入路50a)の何れかへ選択的に切り替える切替手段である。第2分岐部70には、分岐導入経路K3を経て降下してきた印刷物を両面反転枝経路32内において反転させた後で逆送して両面反転搬送経路K6に導入するために作動する両面反転ローラ(対)72、両面切替爪(切替手段)74、両面反転センサ76、及び排紙反転切替爪(切替手段)78が配置されている。
【0040】
両面反転に際しては、本体制御手段200が排紙方向切替爪61により主排紙経路15aと分岐導入経路K3とを連通させて主排紙経路15aから排紙されてきた印刷物を各搬送ローラ、切替爪63等との協働により分岐導入経路K3へ導入する。その後印刷物の後端が切替爪63を通過したことを排紙反転センサ65により検知された段階で切替爪74、78を作動させ、且つ両面反転ローラ72を正転駆動して印刷物先端を両面反転枝経路32へ導く。図6ではテスト印刷物PAが両面反転枝経路32に入り込んで、両面反転ローラ72により後端部付近をニップされた状態を示しており、テスト印刷物PAがこの位置に達した段階でそれまで正転していた両面反転ローラ72を停止させる。次いで、テスト印刷物PAを後端部側を先頭にして両面反転搬送経路K6に向けて搬送するために、両面切替爪74により両面反転搬送経路K6を開放させてから両面反転ローラ72を逆転開始する。その後の画像形成動作については説明を省略する。
【0041】
また、第2分岐部70には、パージトレイ導入路50aを利用して印刷物を反転させるための排紙反転切替爪78、排紙反転ローラ(対)80が配置されている。
排紙反転に際しては、まず本体制御手段200が排紙方向切替爪61により主排紙経路15aと分岐導入経路K3とを連通させて主排紙経路15aから排紙されてきた印刷物を各搬送ローラの協働により分岐導入経路K3へ導入する。その後印刷物の後端が切替爪63を通過したことを排紙反転センサ65により検知された段階で切替爪74、78を作動させて印刷物先端をパージトレイ導入路50aへ導く。先端からパージトレイ導入路50aへ進入した印刷物の後部が排紙反転ローラ80に達したタイミングでそれまで正転していた排紙反転ローラ80を停止させることにより印刷物をニップさせた状態とする(図10のテスト印刷物PBを参照)。その後、切替爪63により第2排出路K2-2を開放させてから排紙反転ローラ80、その他の搬送ローラを逆転させることにより、印刷物を第1排出路K2-1を経て後処理装置100内に表裏を反転させた状態で導入させることができる。
【0042】
このように本発明によれば、テスト印刷された印刷物を後処理装置側に搬送せずに、画像形成装置内に備え付けてあるパージトレイに排出させて画像形成装置内部に留めておくことにより、テスト印刷物が後処理装置により不要に加工されることがなくなり、テスト印刷物が読み辛くなったり、サプライを無駄に消費するという問題を解消することができる。
また、テスト印刷物を用紙後処理装置内に通過させないことで、テスト印刷の度にわざわざ後処理装置を取り外し、終わったら再設置するという手間も発生しなくなる。
【0043】
[テスト印刷物の搬送処理方法の変形例]
次に、図7のフローチャートによりテスト印刷物をパージトレイに排出する搬送処理方法の変形例を説明する。
なお、本例、及び以下の他の変形例、他の実施形態では後処理装置100が受け入れた全ての印刷物に対して一律に後処理を施してスタッカー105に排出する構成であることが前提である。
パージトレイ50は画像形成中に発生した異常等により生成された無効記録媒体(無効印刷物)を排出格納するためのトレイであり、パージトレイ内に無効印刷物が先行して存在していない場合にはテスト印刷物をパージトレイへ排出し(ステップS11~S14)。テスト印刷物が複数枚連続して排出される場合は続けてパージトレイへ排出する(ステップS16、NO)。
【0044】
しかし、既にパージトレイ内に無効印刷物がある状態でテスト印刷を実施すると、無効印刷物とテスト印刷物がパージトレイ内で混在してしまうため、パージトレイ内に無効印刷物が既にある場合(ステップS13、YES)は、テスト印刷物をパージトレイへの搬送経路の最下流の搬送ローラ(両面反転ローラ72、排紙反転ローラ80)で咬んだ状態(保持した状態)で搬送制御を停止させる(ステップS15)ことで混在を防ぐことができる(図6図10参照)。
テスト印刷が完了した場合(ステップS16、YES)は、画像形成装置の操作パネル画面にテスト印刷物がパージトレイに排出したことを表示する(ステップS17)。
【0045】
図8は各分岐部60、70、各パージ排紙経路32、40、及びパージトレイ50の構成、動作を示す説明図であり、図9はテスト印刷物をパージトレイへの搬送経路の最下流に位置する搬送ローラにより停止させる手順を示すフローチャートである。
図8中に矢印Y1、Y2で示すようにパージトレイ50に対しては、印刷物を両面反転搬送経路K6に導入するための両面反転枝経路32と、印刷物を反転して排出させるための排紙反転経路40の何れの経路からも排出することができるように構成されている。なお、両面反転枝経路32と排紙反転経路40(パージトレイ導入路50a)とを併せた概念としてパージ搬送経路を用いる。
図6のように既にパージトレイ50内に無効印刷物がある状態で画像形成部10Aにてテスト印刷を実施した場合は、例えば、テスト印刷物PAをテスト印刷物を保持していない両面反転枝経路32の最下流の搬送ローラ(両面反転ローラ72)で咬ませて停止させる(図9、ステップS21、S22)。
【0046】
図10は各分岐部60、70、各パージ排紙経路32、40、及びパージトレイ50の構成、動作を示す他の説明図であり、次のテスト印刷物PBが排出されてきた時点で、一方の搬送経路が使用できない場合、本例では両面反転枝経路32内にテスト印刷物PAが保持されている場合には、後続のテスト印刷物PBはテスト印刷物を保持していない他方の排紙反転経路40の最下流の搬送ローラ(排紙反転ローラ80)で咬ませて停止させる(図9、ステップS24 NO、S25)ことで複数枚のテスト印刷を連続して実施することができる。
テスト印刷が完了した場合は、操作パネル画面に、テスト印刷物がパージトレイに排出したことを表示する(図7のステップS17を参照)。
【0047】
このようにテスト印刷物を両面反転枝経路32内で停止させる場合は、両面反転センサ76がテスト印刷物の後端の通過を検知した時に最下流の搬送ローラである両面反転ローラ72を停止させ、両面反転ローラでテスト印刷物を咬んだ状態とする(図6)。
テスト印刷物を排紙反転経路40内で停止させる場合は、排紙反転センサ65がテスト印刷物の後端の通過を検知した時に最下流の搬送ローラである排紙反転ローラ80を停止させ、排紙反転ローラでテスト印刷物を咬んだ状態とする(図10、テスト印刷物PB側)。
【0048】
図11はテスト印刷物をパージ搬送経路(両面反転枝経路32、排紙反転経路40)の最下流搬送ローラで停止させることによりパージトレイ内の無効印刷物とテスト印刷物とを目視にて区別することを可能とする搬送方法、制御手順のフローチャートである。
本体制御手段200は、テスト印刷物が画像形成部10Aから排出されたことが確認されたとき(ステップS31、YES)に、テスト印刷物の排出先をパージトレイ50に切り替える(ステップS32)。テスト印刷物の排紙先がパージトレイに切り替えられたら、ステップS33においてパージトレイ内での無効印刷物の有無を判断し、無効印刷物が有りの場合(ステップS33、NO)はステップS34以降へ進んでテスト印刷物をパージトレイへの搬送経路の最下流搬送ローラで停止させる処理を実施する。ステップS34においてパージトレイへの搬送経路の最下流搬送ローラにテスト印刷物があるかどうかを判断し、テスト印刷物がない場合(Sステップ34、YES)はパージ経路の最下流搬送路でテスト印刷物を停止させる処理へ移行する(ステップS36)。つまり、テスト印刷物は、パージ搬送経路の最下流搬送ローラまで搬送され停止する。
【0049】
テスト印刷物の搬送が完了したら、パージトレイに用紙が停止したことを操作パネルに表示する(ステップS40)。
ステップS33においてパージトレイに無効印刷物が存在していない場合には、ステップS35においてテスト印刷物をパージトレイに排出する。
ステップS34においてパージトレイへの搬送経路の最下流搬送ローラにテスト印刷物がある場合(Sステップ34、NO)は、テスト印刷物を搬送せずに画像形成装置内(パージトレイの手前)でテスト印刷物が停止したことを画面に表示する(ステップS37)。ユーザーは操作パネルの表示に従って、パージトレイからテスト印刷物を除去する。
ステップ39においてパージトレイ内、或いは最下流搬送ローラに保持されたテスト印刷物が除去されたことが検知された場合は、ステップS33に戻ってパージトレイ内での無効印刷物の有無のチェックを行う。
【0050】
次に、図10に基づいて複数枚のテスト印刷が連続して実施される場合の搬送処理手順を示す。
テスト印刷が複数枚連続して実施された場合において、一方のパージ搬送経路(例えば両面反転枝経路32)にて既にテスト印刷物が最下流搬送ローラ72で保持されている場合、他方のパージ搬送経路(排紙反転経路40)の最下流搬送ローラ80で保持した状態にすることで連続テスト印刷を実施することができる。
【0051】
このように両パージ搬送経路内の搬送ローラによりテスト印刷物が保持された状態で更に新たなテスト印刷が実施された場合は、当該新たなテスト印刷を実施せずに、搬送ローラに挟まっているテスト印刷物あるいはパージトレイの無効印刷物が除去されることを条件として自動でテスト印刷が実施するように制御する。
つまり、パージトレイ内に無効記録媒体、又はテスト記録媒体が存在しておらず、且つ、各パージ搬送経路によりテスト記録媒体が保持されている場合に、パージトレイ内の無効記録媒体、又はテスト記録媒体がユーザーにより除去された後で自動的にテスト印刷を実施開始する。このため、記録媒体を除去したのちに改めてテスト印刷開始を操作する手間を無くすことができる。
【0052】
図11のステップS34においてパージトレイへ50の搬送経路の最下流搬送ローラにテスト印刷物があるかどうかを判断し、テスト印刷物が有る場合にはテスト印刷物を搬送させずにパージトレイに用紙が停止したことを操作パネルに表示する(ステップS37)。
その後、パージトレイ内、或いはパージトレイへの搬送経路の最下流搬送ローラにより保持されたテスト印刷物のユーザーによる除去を待ち、テスト印刷物が除去されたらパージトレイへのテスト印刷物の搬送を再開する(ステップS39 YES)。
【0053】
<第2実施形態>
図12は第2実施形態に係る搬送処理方法、制御手順に係るフローチャートであり、図14(a)(b)はパージトレイ内で混同が防止されている積載状態を示す説明図である。
図12のフローチャート、及び図14(a)のパージトレイ内の積載状態を示す図に基づいてパージトレイにすでに無効印刷物がある状態でテスト印刷を実施する場合に無効印刷物との混同を防止するための搬送処理方法、制御手順について説明する。
テスト印刷を実施するためにテスト印刷物の搬送経路をパージトレイ側へ切り替えた際に(ステップS51 YES、S52)、パージトレイ50内にすでに無効印刷物がある場合には(S53、YES)、テスト印刷物を画像形成装置から排出する前に、別の給紙トレイ(例えば、給紙トレイT1)にセットした色紙を画像形成部を経由してパージトレイに排出した後(ステップS54)に、テスト印刷物をパージトレイに排出する(ステップS55)。
【0054】
テスト印刷が複数回に渡って実施される場合は、後続のテスト印刷物を継続してパージトレイに排出する(ステップS56 NO)。
テスト印刷が完了した場合は、操作パネル画面に、テスト印刷物がパージトレイに排出されたことを表示する(S57)。
これらの搬送処理により、パージトレイ内のテスト印刷物と無効印刷物を、色紙を目安(区切り)にして容易に判別できる。
なお、色紙は一例であり、色紙に代えて、外観上(目視上)他の記録媒体との違いが識別可能な異種記録媒体を排出するようにしてもよい。或いは、同じ色調であっても濃度の違いにより識別が可能な異種記録媒体を排出するようにしてもよい。
【0055】
次に、色紙に代えて最大サイズの記録媒体をパージトレイ内の無効印刷物との識別手段として排出する場合のフローチャートである図13と、図14(b)に示すパージトレイ内の積載状態を示す図に基づいて、パージトレイにすでに無効印刷物がある状態でテスト印刷を実施する場合に無効印刷物との混同を防止するための搬送方法、制御手順について説明する。
テスト印刷を実施するためにテスト印刷物の搬送経路をパージトレイ側へ切り替えた際に(ステップS61 YES、S62)、パージトレイ50内にすでに無効印刷物がある場合には(S63、YES)、テスト印刷物を画像形成装置から排出する前に、全ての給紙トレイの中で最大サイズの記録媒体を収容している給紙トレイから最大サイズの記録媒体をテスト印刷に先行してパージトレイに排出した後に(ステップS64)に、テスト印刷物をパージトレイに排出する(ステップS65)。
【0056】
テスト印刷が複数回に渡って実施される場合は、テスト印刷物を継続してパージトレイに排出する(ステップS66 NO)。
テスト印刷が完了した場合は、操作パネル画面に、テスト印刷物がパージトレイに排出されたことを表示する(S67)。
これらの搬送処理により、パージトレイ内のテスト印刷物と無効印刷物を、無効印刷物上に排出されている最大サイズの記録媒体を目安(区切り)にして容易に判別できる。
【0057】
図14(a)(b)にそれぞれ示した無効印刷物とテスト印刷物を区別する手法について説明すると、パージトレイに無効印刷物が既にある状態でテスト印刷が実施された場合、テスト印刷を行う前に無効印刷物とテスト印刷物を区別できる別の識別用の用紙を先にパージトレイに排出し、その後でテスト印刷を行い、テスト印刷物をパージトレイに排出する。そうすることで、パージトレイ内で無効印刷物とテスト印刷物との間に識別用の用紙が挟まり、テスト印刷物を容易に判別することができる。
識別用の用紙としては、図14(a)に示した色付き用紙、他の用紙(無効印刷物)とは色が異なる用紙、或いは図14(b)に示した無効印刷物(全ての用紙)よりもサイズが大きい、或いは搬送方向が異なる用紙を挙げることができる。
【0058】
次に図15にテスト印刷物をパージ搬送経路(両面反転枝経路32、排紙反転経路40)の最下流搬送ローラ72、80により停止、保持する処理のフローチャートを示す。このフローチャートは、図12図13の各フローチャートにより示された搬送処理方法、制御手順を包括する上位概念に相当する搬送方法、制御手順を示している。
ステップS71では、両面反転ローラ72によりテスト印刷物が保持されているか否かを判断し、テスト印刷物が保持されている場合にはステップS74の排紙反転ローラ80でのテスト印刷物保持の有無判断へ移行する。
ステップS74で排紙反転ローラ80がテスト印刷物を保持していないと判断された場合には、テスト印刷物を排紙反転経路40で停止させる処理へ移行する(ステップS75)。テスト印刷物は、排紙反転経路の最下流搬送ローラ80まで搬送されて停止する。
ステップS71でテスト印刷物が両面反転ローラ72により保持されていないと判断された場合には、テスト印刷物の後部が両面反転ローラ72に達してからその回転を停止させてテスト印刷物を保持する(ステップS72)。
【0059】
<第3実施形態>
図16(a)(b)は本発明の第3実施形態に係る混同防止のための搬送処理方法を実現するための装置構成を示す図であり、図17は既排出の無効印刷物と後続のテスト印刷物とをパージトレイ上で区別するための処理手順を示したフローチャートである。
パージトレイ50内に新たに排出される印刷物はパージトレイ内の既排出印刷物(無効印刷物)の最上面に排出されることにより、既排出印刷物と識別、区分けして取出し易くすることがベストである。しかし、パージトレイに先行して排出、スタックされた無効印刷物の枚数が多かったり、異サイズ印刷物が混在していると、パージトレイに次に排出される用紙はスタックされた無効印刷物の束にぶつかったり挟まったりする可能性があり、パージトレイ内の既スタック印刷物の最上面に確実に排出されない場合がある。
【0060】
本実施形態の搬送処理方法では、パージトレイ内に無効印刷物が既にある状態でテスト印刷が実施された時に、テスト印刷物をパージトレイ内の既排出無効印刷物の最上面に確実に排出させることによりテスト印刷物の判別性を高めるようにしている。つまり、パージトレイ内に収容された複数枚の印刷物のうちの最上面に位置する印刷物がテスト印刷物となるため、無効印刷物との区別が容易にできる。
そのような搬送処理方法を実現するために本実施形態は、パージトレイに排出されるテスト印刷物(テスト記録媒体)の排出方向先端をパージトレイの排出方向中間位置、或いは該中間位置よりも排出方向前方位置に方向付け(着地)させる可動ガイド片85を備え、テスト記録媒体がパージトレイに排出される時(直前)に可動ガイド片を作動させてテスト記録媒体をパージトレイ内に先行して排出されている無効記録媒体の上面に確実に落下させるようにしている。
パージトレイ50は、印刷物を収容、積載する積載部50bを備え、積載部50bの上流側にパージトレイ導入路50aが連設されている。
【0061】
本実施形態では、可動ガイド片85をパージトレイのパージトレイ導入路50aの適所に軸85aを中心として回動自在に配置すると共に、図示しないソレノイド等の駆動手段により図16(a)の退避位置(下向き姿勢)と、同図(b)の作動位置(傾斜姿勢)との間で可動ガイド片が回動できるようにしている。可動ガイド片85が退避位置にあるときにはパージトレイ導入路50a内を下降するテスト印刷物に干渉しないが、(b)に示した作動位置に突出した時にはパージトレイ導入路50a内を下降するテスト印刷物PBの先端寄り部位に干渉してこの部位を両面反転枝経路32側へ押出すことにより、両面反転枝経路32を越えてパージトレイの積載部50bの排紙方向中間位置の上方(上空)まで押し出す。このため、テスト印刷物PBは可動ガイド片の上面に沿って積載部50bの排紙方向中間位置に先端から落下、着地することができ、最終的に既排出の無効印刷物上面に積載されることとなる。本例ではパージトレイ導入路50aの右側に両面反転枝経路32が位置しているが、両面反転枝経路32にテスト印刷物PBが通過できる開口などを設ける。
【0062】
図16(a)のように積載部50b上に無効印刷物等の束が存在する場合に退避位置にある可動ガイド片85がテスト印刷物PBをパージトレイ導入路50aに沿って落下させるとすればテスト印刷物は無効印刷物に衝突して進入不良となったり、変形したり、無効印刷物間に入り込むが、図16(b)のように可動ガイド片85により既積載印刷物上の中間位置に落下させることにより上記不具合を解消できることが明らかである。
なお、排紙方向中間部とは図16中では積載部50bの左右方向中間部であるが、厳密な意味で積載部の排紙方向長の中心部を意味せず、中心部を中心として所定長の左方向、或いは右方向を含めた範囲である。また、中間位置よりも排紙方向前方位置とは図16では右方向の範囲を意味する。
【0063】
図16(a)に示すように可動ガイド片85が作動せずにパージトレイ導入路50aに沿って下降してきたテスト印刷物PBが最後までパージトレイ導入路50aに沿って積載部50bに移動した場合には、テスト印刷物の先端が積載部50b内の無効印刷物に衝突して既積載の無効印刷物の上面に積載できなくなる可能性がある。一方、図16(b)のように可動ガイド片85が作動している場合には、パージトレイ導入路50aの途中でパージトレイ導入路から離脱して積載部50bの排紙方向中間位置に落下するようにすれば、確実に既積載の無効印刷物の上面に落下させることが可能となる。
【0064】
次に図17のフローチャートに基づいて可動ガイド片によってテスト印刷物の落下位置を制御する搬送処理方法を説明する。
テスト印刷を実施するためにテスト印刷物の搬送経路をパージトレイ側へ切り替えた際に(ステップS81 YES、S82)、パージトレイ50内にすでに無効印刷物がある場合には(S83、YES)、テスト印刷物を画像形成装置から排出する前、その他の適度なタイミングで、図16(a)の退避位置にあった可動ガイド片85を同図(b)に示した作動位置に移動させる(ステップS84)。この状態でテスト印刷物がパージトレイ導入路50aを下方へ移動すると、傾斜姿勢にある可動ガイド片85により先端が右方向へガイドされて積載部50bの排紙方向中間部の上方で積載部上に放出される。このため、積載部50b上の既積載印刷物の積載状態がどのようなものであっても既積載印刷物の最上面に落下することができる。
【0065】
テスト印刷が複数回に渡って実施される場合は、テスト印刷物を継続してパージトレイに排出し(ステップS86 NO)、テスト印刷を最終印刷が完了するまで繰り返す。
テスト印刷が終了して後続のテスト印刷物を排出することがなくなった場合には可動ガイド片の姿勢を確認し、作動位置にある場合には元の退避位置に戻す(ステップS87 YES、ステップS88)。
テスト印刷が完了した場合は、操作パネル画面に、テスト印刷物がパージトレイに排出されたことを表示する(S89)。
これらの操作により、パージトレイ内のテスト印刷物は、常に既に排出されている無効印刷物の最上面に積載されることとなり無効印刷物と容易に判別できる。
【0066】
<本発明の構成、作用、効果のまとめ>
第1の本発明に係る画像形成装置は、テスト印刷モードによる画像形成が可能な画像形成部10Aを備え、画像形成中に発生した無効記録媒体を排出するためのパージトレイ50を有し、テスト印刷されたテスト記録媒体の排出先をパージトレイに切り替える切替手段60、70を設けたことを特徴とする。
例えば、画像形成装置に対して、受け入れた全ての記録媒体に対して一律に後処理を実施する用紙後処理装置100を連設した場合にはテスト印刷物に対しても一律に製本、ステープル等の後処理が実施されることになるが、テスト印刷物上の画像の良否等をチェックする上で後処理は支障をもたらすため不要である。
【0067】
本発明では、画像形成装置に搬送先をパージトレイに切り替えるための切替手段60、70(61、63、65、74、76、78)を設けたので、テスト印刷物は後処理装置へは排出せずに画像形成側のパージトレイに排出、収容することができる。このため、テスト印刷時に後処理装置を画像形成装置から離脱させる等の手間を省略することが可能になる。
【0068】
また、本発明は用紙後処理装置に印刷物を無加工で排出する排紙トレイがない場合においてテスト印刷を実施した際に、テスト印刷物を画像形成装置側に内蔵されたパージトレイへ排出する。これにより、テスト印刷物が用紙後処理装置のスタッカーに混在して排出されることを防止できる。
【0069】
第2の本発明に係る画像形成装置では、テスト印刷の実施時に、無効記録媒体がパージトレイ50内に存在する場合には、テスト記録媒体を、画像形成部からパージトレイへ向かうパージ搬送経路32、40、50a中(最下流の搬送ローラ)に保持した状態で搬送制御を停止させることにより、パージトレイ内にテスト記録媒体と無効記録媒体とを混在させないようにしたことを特徴とする。
これによれば、テスト印刷物をパージトレイ手前で停止させることで、パージトレイ内で無効印刷物とテスト印刷物とが混在して無効印刷物とテスト印刷物の区別ができなくなる不具合を防止することができる。
【0070】
第3の本発明に係る画像形成装置では、画像形成装置は、画像形成部において画像形成を受けた記録媒体を反転して画像形成装置外へ排出させるための排紙反転経路と、画像形成部において一面に画像形成を受けた記録媒体を反転して画像形成部に再搬送するための両面反転搬送経路と、を備え、排紙反転経路、及び両面反転搬送経路の何れからもテスト記録媒体をパージトレイへ排出することができることを特徴とする。
パージトレイへの搬送経路、即ちパージ搬送経路が複数存在することで、どちらのパージ搬送経路からでもテスト記録媒体をパージトレイへ排出することができる。
実施形態中における両面反転枝経路32は、両面反転搬送経路K6の一部を構成している。
【0071】
第4の本発明に係る画像形成装置では、2つのパージ搬送経路を備え、テスト印刷の実施時に、パージトレイ内に無効記録媒体が存在する場合に、一方のパージ搬送経路内でテスト記録媒体を保持されているために該一方のパージ搬送経路が使用できない時には、他方のパージ搬送経路内でテスト記録媒体を保持した状態で搬送制御を停止させることを特徴とする。
パージ搬送経路内でテスト記録媒体を保持するとは、パージ搬送経路内の最下流の搬送ローラ対によりテスト記録媒体をニップして停止させる場合を挙げることができる。
パージ搬送経路内でテスト記録媒体を一時的に保持して搬送停止することができるので、テスト記録媒体が複数枚連続してパージトレイに向けて排出されてくる場合にも対応することができる。
【0072】
第5の本発明に係る画像形成装置では、パージトレイ内に無効記録媒体、又はテスト記録媒体が存在しており、且つ、各パージ搬送経路によりテスト記録媒体が保持されている場合に、パージトレイ内の無効記録媒体、又はテスト記録媒体が除去された後で、自動でテスト印刷を実施開始することを特徴とする。
パージトレイ内に無効記録媒体、又はテスト記録媒体があり、且つ全てのパージ搬送経路内にもテスト記録媒体が保持されている場合には後続のテスト印刷を実施できないので、これらの記録媒体が除去されたあとで自動的にテスト印刷を開始する。これによれば、記録媒体を除去したのちに改めてテスト印刷開始を操作する手間を無くすことができる。
【0073】
第6の本発明に係る画像形成装置では、画像形成装置は、画像形成部へ記録媒体を給紙する給紙トレイを複数備え、且つ少なくとも一つの給紙トレイには他の記録媒体との違いを目視により識別可能な特徴を有した異種記録媒体が収納されており(画像形成装置は、画像形成部へ異種記録媒体を給紙する給紙トレイを含めた複数の給紙トレイを備え)、パージトレイ内に無効記録媒体が存在している状態でのテスト印刷の実施開始前に、給紙トレイにセットされた異種記録媒体を先にパージトレイに排出した後にテスト印刷を実施してテスト記録媒体をパージトレイに排出することを特徴とする。
パージトレイ上において無効記録媒体とテスト記録媒体との間に仕切りとなる異種記録媒体を挟むことで、パージトレイ内で無効記録媒体とテスト記録媒体が混在しても、異種記録媒体の上に位置する記録媒体がテスト記録媒体となるため、容易に判別することができる。
【0074】
第7の本発明に係る画像形成装置では、異種記録媒体は、他の記録媒体とは異なった色の記録媒体、或いは最大サイズの記録媒体であることを特徴とする。
無効記録媒体とテスト記録媒体との間に仕切りとなる最大サイズ用紙、或いは異なった色の記録媒体を挟むことで、パージトレイ内で無効記録媒体とテスト記録媒体が混在しても、最大サイズ記録紙等の次の記録紙がテスト記録媒体であるため、容易に判別することができる。
【0075】
第8の本発明に係る画像形成装置では、パージトレイに排出される記録媒体の先端を該パージトレイの排出方向中間位置、或いは該中間位置よりも排出方向前方位置に着地させる可動ガイド片を備え、テスト記録媒体がパージトレイに排出される時に可動ガイド片を作動させて、テスト記録媒体をパージトレイ内に先行して排出されている無効記録媒体の上面に落下させることを特徴とする。
可動ガイド片の先端部をパージトレイの排出方向中間位置、或いは該中間位置よりも排出方向前方位置に着地させることで、パージトレイ内でテスト記録媒体が必ず無効記録媒体の上に排出されてパージトレイ内の一番上の用紙がテスト記録媒体となるため、容易に判別することができる。
【0076】
第9の本発明に係る画像形成装置では、テスト記録媒体が前記パージトレイへ排出完了したことを操作パネルで通知することを特徴とする。
テスト記録媒体は後処理装置側に排出されずに画像形成装置本体内に留まるため、ユーザーはテスト印刷が終了したことを判断できないが、テスト印刷が終了した旨を操作パネル上の表示部により通知することでユーザーにパージトレイからの記録紙の除去などの適切な処置を行ってもらうことができる。
【0077】
第10の本発明に係るテスト記録媒体の搬送処理方法では、テスト印刷モードによる画像形成が可能な画像形成部10Aを備え、画像形成中に発生した無効記録媒体を排出するためのパージトレイ50と、テスト印刷されたテスト記録媒体の排出先を切り替える切替手段60、70と、を備えた画像形成装置によるテスト記録媒体の搬送処理方法であって、切替手段によりテスト記録媒体の搬送先をパージトレイに切り替えることを特徴とする。
テスト印刷物は後処理装置へは排出せずに画像形成側のパージトレイに排出、収容することができる。このため、テスト印刷物上の画像の視認性の低下、テスト印刷時に後処理装置を画像形成装置から離脱させる等の手間を省略することが可能になる。
【0078】
第11の本発明に係るプログラムは、テスト印刷モードによる画像形成が可能な画像形成部10Aと、画像形成中に発生した無効記録媒体を排出するためのパージトレイ50と、テスト印刷されたテスト記録媒体の排出先を切り替える切替手段60、70と、を備えた画像形成装置であって、テスト記録媒体の搬送先を切替手段によりパージトレイに切り替えるステップを画像形成装置に実行させることを特徴とする。
テスト印刷物は後処理装置へは排出せずに画像形成側のパージトレイに排出、収容することができる。このため、テスト印刷物上の画像の視認性の低下、テスト印刷時に後処理装置を画像形成装置から離脱させる等の手間を省略することが可能になる。
【符号の説明】
【0079】
1…画像形成システム、3…帯電部、4…現像部、5…クリーニング部、6…二次転写ローラ、7…露光部、8…中間転写ベルト、9…2次転写対向ローラ、10…画像形成装置、10A…画像形成部、10B…給紙部、11…給紙ローラ、12…レジストローラ、15…次転写ローラ、15a…主排紙経路、16…次転写ベルト、18…搬送ベルト、19…定着部、20…搬送装置、24…ジャム検知センサ、25…排紙ローラ、30…排出口、32…両面反転枝経路(パージ搬送経路)、32、40、50a…パージ搬送経路、40…排紙反転経路、50…パージトレイ、50a…パージトレイ導入路、50b…パージトレイ積載部、50c…ストッパ部、60…第1分岐部(切替手段)、61…排紙方向切替爪、63…切替爪、65…排紙反転センサ(第3検知手段)、70…第2分岐部(切替手段)、72…両面反転ローラ(最下流搬送ローラ)、73…切替爪(第4切替爪)、74…両面切替爪(第3切替爪)、75…フォトセンサ、76…両面反転センサ(フォトセンサ)、78…排紙反転切替爪、80…排紙反転ローラ(最下流搬送ローラ)、85…可動ガイド片、85a…軸、90…本体・後処理装置間通信手段、95…操作表示パネル、100…用紙後処理装置(後処理装置)、103…ジャム検知センサ、105…スタッカー、111…ストッパ部、200…本体制御手段、K1…給紙搬送部、K2-1…第1排出路、K2-2…第2排出路、K3…分岐導入経路、K4…第1搬送経路、K5…第2搬送経路(両面反転枝経路)、K6…両面反転搬送経路。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0080】
【文献】特開2006-321058号公報
【文献】特開2005-266212号公報
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