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特許7196698画像処理装置、画像処理方法、及び画像処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】画像処理装置、画像処理方法、及び画像処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 3/60 20060101AFI20221220BHJP
   G06T 7/60 20170101ALI20221220BHJP
   H04N 1/387 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
G06T3/60 715
G06T7/60 200G
H04N1/387 800
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019044138
(22)【出願日】2019-03-11
(65)【公開番号】P2020149148
(43)【公開日】2020-09-17
【審査請求日】2021-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】橋本 歩
(72)【発明者】
【氏名】塚原 元
(72)【発明者】
【氏名】白土 寛貴
(72)【発明者】
【氏名】中田 祐貴
(72)【発明者】
【氏名】小野 智彦
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 達也
(72)【発明者】
【氏名】久保 宏
(72)【発明者】
【氏名】柳澤 公治
(72)【発明者】
【氏名】長尾 佳明
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 昌弘
【審査官】岡本 俊威
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-106154(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 3/60
G06T 7/60
H04N 1/387
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送される原稿の画像を読み取る画像読取装置から出力される読取画像を画像処理する画像処理装置であって、
前記読取画像中の背景領域と原稿領域とのエッジを検出するエッジ検出部と、
前記エッジの検出結果を第1方向に第1間隔ごとにサンプリングすることにより、複数の境界点からなる第1境界点群を抽出する第1境界点群抽出部と、
前記エッジの検出結果を前記第1方向に第2間隔ごとにサンプリングすることにより、複数の境界点からなる第2境界点群を抽出する第2境界点群抽出部と、
前記第1境界点群に基づいてノイズ除去条件を決定するノイズ除去条件決定部と、
前記第2境界点群から前記ノイズ除去条件を満たす境界点をノイズとして除去するノイズ除去部と、
前記ノイズ除去部によりノイズが除去された前記第2境界点群に近似する直線式を算出する直線式算出部と、
を有する画像処理装置。
【請求項2】
前記第1間隔は、前記第2間隔より大きい請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記ノイズ除去条件決定部は、前記第1境界点群の前記第1方向に直交する第2方向に関する位置について中央値を求め、この中央値から前記第2方向へ一定値以上離れた領域に存在する境界点を除去することを前記ノイズ除去条件として決定する請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記直線式算出部は、前記ノイズ除去部によりノイズが除去された前記第2境界点群のうち、前記第1方向に関する直線式算出領域に含まれる境界点を用いて前記直線式を算出し、
前記ノイズ除去条件決定部は、前記直線式算出領域の大きさに応じて、前記一定値を変更する請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記ノイズ除去条件決定部は、前記第1境界点群に近似する近似直線を求め、この近似直線から前記第1方向に直交する第2方向へ一定値以上離れた領域に存在する境界点を除去することを前記ノイズ除去条件として決定する請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記直線式算出部は、前記エッジを前記第1方向に分割した複数の分割領域のそれぞれについて直線式を求め、求めた複数の直線式に基づいて全体直線式を決定する請求項1ないし5いずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記直線式算出部により算出された前記直線式に基づいてスキュー補正を行うスキュー補正部を有する請求項1ないし5いずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記直線式算出部により決定された前記全体直線式に基づいてスキュー補正を行うスキュー補正部を有する請求項6に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記直線式算出部は、原稿の直交する2辺についてそれぞれ直線式を算出するものであり、
前記直線式算出部により算出された2つの直線式の交点を求めることにより原点座標を算出する原点座標算出部と、
を有する請求項1ないし8いずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記原点座標算出部により算出された前記原点座標に基づいて前記読取画像の原点位置を補正する原点位置補正部を有する請求項9に記載の画像処理装置。
【請求項11】
搬送される原稿の画像を読み取る画像読取装置から出力される読取画像を画像処理する画像処理方法であって、
前記読取画像中の背景領域と原稿領域とのエッジを検出するエッジ検出ステップと、
前記エッジの検出結果を第1方向に第1間隔ごとにサンプリングすることにより、複数の境界点からなる第1境界点群を抽出する第1境界点群抽出ステップと、
前記エッジの検出結果を前記第1方向に第2間隔ごとにサンプリングすることにより、複数の境界点からなる第2境界点群を抽出する第2境界点群抽出ステップと、
前記第1境界点群に基づいてノイズ除去条件を決定するノイズ除去条件決定ステップと、
前記第2境界点群から前記ノイズ除去条件を満たす境界点をノイズとして除去するノイズ除去ステップと、
前記ノイズ除去ステップによりノイズが除去された前記第2境界点群に近似する直線式を算出する直線式算出ステップと、
を有する画像処理方法。
【請求項12】
搬送される原稿の画像を読み取る画像読取装置から出力される読取画像に対する画像処理を、コンピュータに実行させるプログラムであって、
前記読取画像中の背景領域と原稿領域とのエッジを検出するエッジ検出ステップと、
前記エッジの検出結果を第1方向に第1間隔ごとにサンプリングすることにより、複数の境界点からなる第1境界点群を抽出する第1境界点群抽出ステップと、
前記エッジの検出結果を前記第1方向に第2間隔ごとにサンプリングすることにより、複数の境界点からなる第2境界点群を抽出する第2境界点群抽出ステップと、
前記第1境界点群に基づいてノイズ除去条件を決定するノイズ除去条件決定ステップと、
前記第2境界点群から前記ノイズ除去条件を満たす境界点をノイズとして除去するノイズ除去ステップと、
前記ノイズ除去ステップによりノイズが除去された前記第2境界点群に近似する直線式を算出する直線式算出ステップと、
をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像処理方法、及び画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機等の画像形成装置において、自動原稿送り装置(ADF:Automatic Document Feeder)による原稿読取時に生じるスキューをメカ的な機構で補正している。近年、メカ的な機構によるスキューの補正に代えて、画像処理でスキューの補正を行うエレキスキュー補正技術が知られている。エレキスキュー補正技術は、原稿にスキューが生じて読み取られた読取画像からスキュー角度を検出し、これらの情報に基づいて画像処理による補正を行う技術である。エレキスキュー補正技術においてスキュー角度を検出するには、読取画像から原稿エッジを精度よく検出する必要がある。
【0003】
特許文献1には、読取画像からエッジ境界点群を検出し、検出したエッジ境界点群に近似する直線を算出することでスキュー補正を行う技術が開示されている。さらに特許文献1には、ノイズの影響を低減するために、エッジ境界点群の検出結果に対し、隣接した境界点を比較し、検出位置が閾値以上離れている場合にノイズとみなして、当該隣接した境界点の一方又は両方を無効とする構成が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、読取画像において白く明るい領域として現れる白エッジの特徴を利用して原稿エッジを検出し、検出した原稿エッジから近似直線を算出することでスキュー補正を行う技術が開示されている。さらに特許文献2には、ノイズの影響を除くために、左右終端画素から所定画素数離れた位置を両端とする中央エリア内で、エッジ画素群を複数のグループに分割し、その中で中央の値となる位置を検出し、近似直線の算出に選択的に用いることをする構成が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術には以下の課題がある。図1図3を用いて上記従来技術の課題を説明する。図1は、ADFを用いた画像読取部の周辺の構成を概略的に示す。ADFでは、搬送された原稿を、主走査方向(図1の紙面に直交する方向)に延びた読取ラインで読み取ることで読取画像を生成する。このため、スキューした原稿では、原稿の先端が読取ラインに到達するタイミングが異なる。原稿領域を不足なく読み取るためには、原稿の先端が読取ラインに初めに到達した時点から読取を開始する必要があるので、スキューした原稿では、読取画像は背景領域を含んだ画像になる。
【0006】
図2は、画像読取部の周辺に各種のゴミが存在する場合の読取画像のイメージ図である。背景部材には、ゴミが付着することがある。このような背景部材に付着したゴミ(以下、付着ゴミという。)は、副走査方向に伸びた筋状のノイズを発生させる。
【0007】
また、ADF読取時には、スリットガラスと背景部材との間に、原稿の紙粉などがゴミとして浮遊する場合がある。この場合、読取画像の背景領域は、浮遊したゴミ(以下、浮遊ゴミという。)が読み取られた画像が映り込む。このような浮遊ゴミの場合は、原稿の搬送中に、スリットガラスや背景部材に付いたり離れたりするため、塊状のノイズとして読取画像に現れる。
【0008】
読取画像に生じた付着ゴミに起因した筋状のノイズについては、従来の画像処理方法(例えば、特許文献3参照)により補正を行うことが可能である。しかし、浮遊ゴミに対しては、エッジ検出の誤検出に影響しないように対応する必要がある。
【0009】
図3は、原稿のエッジ検出により得られる境界点群の一例を示すグラフである。図3に示すように、浮遊ゴミは、主走査方向に幅を有するノイズとなり、原稿エッジの誤検出の原因となる。スキュー角度の検出を目的とした近似直線の算出式の精度を高めるためには、算出に使用するサンプリング点(境界点)はできるだけ間隔が狭い方が良いが、サンプリング間隔を狭くすると、浮遊ゴミに起因したノイズを近似直線の算出に使用する可能性が高くなる。
【0010】
特許文献1,2に記載されたノイズの除去方法は、図3に示す撮像部に起因したノイズのように局所的に発生する局所ノイズに対しては効果的であるが、浮遊ゴミに起因したノイズのように一定以上の大きさを有する大域ノイズに対しては効果的ではない。浮遊ゴミは、数画素~数十画素の大きさがあり、幅を持つことが想定され、浮遊ゴミに起因したノイズは連続性を有し、また中央値に影響を与えるため、特許文献1,2に記載されたノイズの除去方法では除去することができない。
【0011】
開示の技術は、上記事情に鑑みてこれを解決すべくなされたものであり、エレキスキュー補正の精度を向上させることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
開示の技術は、搬送される原稿の画像を読み取る画像読取装置から出力される読取画像を画像処理する画像処理装置であって、前記読取画像中の背景領域と原稿領域とのエッジを検出するエッジ検出部と、前記エッジの検出結果を前記第1方向に第1間隔ごとにサンプリングすることにより、複数の境界点からなる第1境界点群を抽出する第1境界点群抽出部と、前記エッジの検出結果を前記第1方向に第2間隔ごとにサンプリングすることにより、複数の境界点からなる第2境界点群を抽出する第2境界点群抽出部と、前記第1境界点群に基づいてノイズ除去条件を決定するノイズ除去条件決定部と、前記第2境界点群から前記ノイズ除去条件を満たす境界点をノイズとして除去するノイズ除去部と、前記ノイズ除去部によりノイズが除去された前記第2境界点群に近似する直線式を算出する直線式算出部と、を有する画像処理装置である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、エレキスキュー補正の精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】従来技術の課題を説明するための図(その1)である。
図2】従来技術の課題を説明するための図(その2)である。
図3】従来技術の課題を説明するための図(その3)である。
図4】第1実施形態に係る自動原稿搬送装置を備えた画像形成装置を示す図である。
図5】画像読取部の詳細な構成を示す図である。
図6】ADFの詳細な構成を示す図である。
図7】第1実施形態に係る画像処理装置のハードウェア構成例を示す図である。
図8】画像処理装置の機能構成例を示す図である。
図9】原稿エッジ直線式算出部の詳細な構成を示す図である。
図10】エッジ検出部に入力される読取画像の一例を概略的に示す図である。
図11】読取画像における副走査方向への画素値の変化の一例を概略的に示す図である。
図12】浮遊ゴミが映り込んだ読取画像の一例を概略的に示す図である。
図13図12に示す読取画像に対してエッジ検出を行った場合のエッジ検出結果の一例を概略的に示す図である。
図14】第1境界点群の抽出方法の一例を示す図である。
図15】第2境界点群の抽出方法の一例を示す図である。
図16】ノイズ除去条件決定方法を説明する図である。
図17】第1直線式算出領域の大きさと一定値Wとの関係を示す図である。
図18】第1変形例に係るノイズ除去条件決定方法を説明する図である。
図19】第2変形例に係る原稿エッジ直線式算出部の構成を示す図である。
図20】原稿エッジを分割した第1~第3分割領域を例示する図である。
図21】第3変形例に係る画像処理装置の機能構成例を示す図である。
図22】第3変形例に係る画像処理装置による読取画像の遷移を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら、発明を実施するための形態を説明する。なお、図面の説明
において同一要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
<第1実施形態>
(画像形成装置の構成)
図4は、第1実施形態に係る自動原稿搬送装置を備えた画像形成装置を示す図である。図4では、画像形成装置を電子写真方式の複写機1に適用した例を示している。複写機としては、例えば、一般的な静電作像方法を用いて画像を形成するフルカラーの複写機やモノクロ画像を形成する複写機などが挙げられる。また、作像方式としては、電子写真方式以外にも、例えばインクジェット方式等を用いることも可能である。さらに、画像形成装置は、複写機1として構成される他に、ファクシミリ装置、印刷機、スキャナ、複合機等として構成されてもよい。
【0016】
図4に示すように、複写機1は、自動原稿搬送装置(以下、単にADFという)2と、給紙部3と、画像読取部4と、画像形成部5とから構成されている。また、本実施形態において、ADF2及び画像読取部4は、画像読取装置10を構成する。
【0017】
ADF2は、詳しくは後述するが、原稿載置台としての原稿トレイ11と、各種ローラ等からなる搬送部13とを備えている。ADF2は、原稿トレイ11に載置された原稿束から原稿を一枚ずつ分離して搬送部13によりスリットガラス7上に搬送する。そして、ADF2は、スリットガラス7を介して画像読取部4により読み取りが終了した原稿を、スリットガラス7上を通過させた後、排紙トレイ12に排紙する。また、ADF2は、画像読取部4に対して開閉自在に取り付けられている。
【0018】
給紙部3は、給紙カセット3a、3bと、給紙装置21、22と、搬送手段23とを有している。給紙カセット3a、3bは、用紙サイズの異なる記録紙を収納する。給紙装置21、22は、給紙カセット3a、3bに収納された記録媒体としての記録紙Pをそれぞれピックアップして給紙する。搬送手段23は、給紙装置21、22から給紙された記録紙Pを画像形成部5の所定の画像形成位置まで搬送する各種ローラからなる。
【0019】
画像読取部4は、第1キャリッジ25と、第2キャリッジ26と、結像レンズ27と、撮像部28とを備えている。第1キャリッジ25には、光源及びミラー部材が搭載されている。第2キャリッジ26には、ミラー部材が搭載されている。
【0020】
画像読取部4は、詳しくは後述するが、ADF2により搬送される原稿の画像を読み取る場合には、第1キャリッジ25及び第2キャリッジ26をスリットガラス7の直下の図4中、Hで示す位置に移動し、その位置で停止させる。そして、第1キャリッジ25に搭載された光源によりスリットガラス7上を通過中の原稿に光を照射し、第1キャリッジ25及び第2キャリッジ26に搭載された各ミラー部材により原稿からの反射光を折り返させ、その反射光を結像レンズ27により結像して撮像部28で読み取らせる。
【0021】
一方で、コンタクトガラス8上に載置された原稿を読み取る場合には、第1キャリッジ25及び第2キャリッジ26を図4中、左右方向(副走査方向)に移動させる。そして、第1キャリッジ25及び第2キャリッジ26を移動させる過程で、光源により原稿に光を照射し、第1キャリッジ25及び第2キャリッジ26に搭載された各ミラー部材により原稿からの反射光を折り返させ、その反射光を結像レンズ27により結像して撮像部28で読み取らせる。
【0022】
画像形成部5は、露光装置31と、複数の感光体ドラム32と、現像装置33と、転写ベルト34と、定着装置35とを備えている。現像装置33には、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックとそれぞれ異なる色のトナーが充填されている。
【0023】
画像形成部5は、撮像部28により読み取られた読取画像に基づいて、露光装置31により各感光体ドラム32を露光して各感光体ドラム32に潜像を形成し、各現像装置33により各感光体ドラム32にそれぞれ異なる色のトナーを供給して現像する。そして、画像形成部5は、転写ベルト34により各感光体ドラム32に現像された像を給紙部3から供給された記録紙Pに転写した後、定着装置35により記録紙Pに転写されたトナー画像のトナーを溶融して、記録紙Pにカラー画像を定着する。これにより、記録紙Pにフルカラー画像が形成される。
【0024】
次に、図5を参照して、画像読取部4の詳細な構成について説明する。図5に示すように、画像読取部4は、第1キャリッジ25と、第2キャリッジ26と、結像レンズ27と、撮像部28とを備えており、これらの各構成部材は画像読取部4の本体フレーム4aの内部に配置されている。また、本体フレーム4aの内部には、図示しない第1レール及び第2レールが副走査方向(図5中の左右方向)に延在するよう設けられている。第1レールは、副走査方向と直交する主走査方向に所定の間隔をあけて配置された2本のレールからなる。第2レールは、第1レールと同様の構成である。
【0025】
第1キャリッジ25は、第1レールに摺動自在に取り付けられている。第1キャリッジ25は、駆動モータ(図示せず)により、第1キャリッジ用駆動ワイヤ(図示せず)を介して、副走査方向に往復移動可能に構成されている。第1キャリッジ25は、図5において実線で示す位置と破線で示す位置との間で往復移動する。
【0026】
また、第2キャリッジ26は、第2レールに摺動自在に取り付けられている。第2キャリッジ26は、駆動モータ(図示せず)により、第2キャリッジ用駆動ワイヤ(図示せず)を介して、副走査方向に往復移動可能に構成されている。第2キャリッジ26は、図5中において実線で示す位置と破線で示す位置との間で往復移動する。
【0027】
第1キャリッジ25及び第2キャリッジ26は、2:1の速度比で副走査方向に移動する。このような移動速度の関係とすることにより、第1キャリッジ25及び第2キャリッジ26が移動しても、原稿面から結像レンズ27までの光路長が一定に保たれる。
【0028】
第1キャリッジ25には、光源24と、第1ミラー部材25aとが設けられている。また、第2キャリッジ26には、第2ミラー部材26aと、第3ミラー部材26bとが設けられている。
【0029】
結像レンズ27は、各ミラー部材を介して入射された原稿からの反射光を撮像部28に集光結像する。撮像部28は、CCD等の撮像素子で構成されている。撮像部28は、結像レンズ27を介して結像された原稿の光像を光電変換して、読取画像であるアナログ画像信号を出力する。
【0030】
次に、図6を参照して、ADF2の詳細な構成について説明する。図6に示すように、原稿トレイ11は、可動原稿テーブル41と、一対のサイドガイド板42とを有している。可動原稿テーブル41は、基端部を支点として図中a、b方向に回動する。一対のサイドガイド板42は、原稿の給紙方向に対する左右方向を位置決めする。可動原稿テーブル41の回動により、原稿の給送方向前端部が適切な高さに合わせられる。
【0031】
また、原稿トレイ11には、原稿の向きが縦と横の何れであるかを検知する原稿長さ検知センサ89、90が、給送方向に離隔して設けられている。なお、原稿長さ検知センサ89、90としては、光学的手段により未接触で検知する反射型センサや、接触式のアクチュエータタイプのセンサを用いることができる。
【0032】
一対のサイドガイド板42は、片側が給紙方向に対する左右方向にスライド自在であり、異なるサイズの原稿が載置可能に構成されている。
【0033】
一対のサイドガイド板42の固定側には、原稿の載置により回動するセットフィラー46が設けられている。また、セットフィラー46の先端部の移動軌跡上の最下部には、原稿トレイ11に原稿が載置されたことを検知する原稿セットセンサ82が設けられている。つまり、原稿セットセンサ82は、セットフィラー46が回動して原稿セットセンサ82から外れたか否かにより、ADF2にセットされた原稿の有無を検知する。
【0034】
ADF2の搬送部13(図4参照)は、分離給送部51と、プルアウト部52と、ターン部53と、第1読取搬送部54と、第2読取搬送部55と、排紙部56とにより構成されている。
【0035】
分離給送部51は、給紙口の近傍に配置されたピックアップローラ61と、搬送経路を挟んで対向するように配置された給紙ベルト62及びリバースローラ63とを有している。
【0036】
ピックアップローラ61は、給紙ベルト62に取り付けられた支持アーム部材64により支持されており、図示しないカム機構を介して原稿束に接触する接触位置と原稿束から離れた離隔位置との間で図中c、d方向に上下動する。ピックアップローラ61は、接触位置において原稿トレイ11上に積載された原稿のうち、数枚(理想的には一枚)の原稿をピックアップする。
【0037】
給紙ベルト62は、給送方向に回転する。リバースローラ63は、給送方向と逆方向に回転する。また、リバースローラ63は、原稿が重送された場合に、給紙ベルト62に対して逆方向に回転するが、リバースローラ63が給紙ベルト62に接している場合、又は原稿を一枚のみ搬送している場合には、図示しないトルクリミッタの働きにより、給紙ベルト62に連れ回りする。これにより、原稿の重送が防止される。
【0038】
プルアウト部52は、搬送経路52aを挟むように配置された一対のローラからなるプルアウトローラ65を有している。プルアウト部52は、プルアウトローラ65とピックアップローラ61の駆動タイミングにより、送り出された原稿を一次突当整合し、整合後の原稿を引き出し搬送する。
【0039】
ターン部53は、上から下に向けて湾曲した搬送経路53aを挟むように配置された一対のローラからなる中間ローラ66及び読取入口ローラ67を有している。ターン部53は、中間ローラ66により引き出し搬送された原稿を、湾曲した搬送経路を搬送することによりターンさせて、読取入口ローラ67により原稿の表面を下方に向けてスリットガラス7の近傍まで搬送する。
【0040】
ここで、プルアウト部52からターン部53への原稿の搬送速度は、第1読取搬送部54における搬送速度よりも高速に設定されている。これにより、第1読取搬送部54に搬送される原稿の搬送時間の短縮が図られている。
【0041】
第1読取搬送部54は、第1読取ローラ68と、第1読取出口ローラ69とを有している。第1読取ローラ68は、スリットガラス7に対向するよう配置されている。第1読取出口ローラ69は、読取終了後の搬送経路55aに配置されている。第1読取搬送部54は、スリットガラス7の近傍まで搬送された原稿の表面を第1読取ローラ68によりスリットガラス7に接触させながら搬送し、読取終了後の原稿を第1読取出口ローラ69によりさらに搬送する。
【0042】
第2読取搬送部55は、第2読取部101と、第2読取ローラ70と、第2読取出口ローラ71とを有している。第2読取部101は、原稿の裏面を読み取る。第2読取ローラ70は、搬送経路55aを挟んで第2読取部101に対向するよう配置されている。第2読取出口ローラ71は、第2読取部101の搬送方向下流に配置されている。
【0043】
第2読取搬送部55では、表面読取後の原稿の裏面が第2読取部101により読み取られる。裏面が読み取られた原稿は、第2読取出口ローラ71により排紙口に向けて搬送される。第2読取ローラ70は、第2読取部101における原稿の浮きを抑えると同時に、第2読取部101におけるシェーディングデータを取得する為の基準白部を兼ねるものである。両面読み取りを行わない場合には、原稿は第2読取部101を素通りする。
【0044】
排紙部56は、排紙口の近傍に一対の排紙ローラ72が設けられ、第2読取出口ローラ71により搬送された原稿を排紙トレイ12に排紙する。
【0045】
また、ADF2には、搬送経路に沿って、突き当てセンサ84、レジストセンサ81、排紙センサ83などの各種センサが設けられており、原稿の搬送距離や搬送速度等の搬送制御に用いられる。
【0046】
さらに、プルアウトローラ65と中間ローラ66との間には、原稿幅センサ85が設けられている。原稿幅センサ85は、原稿の幅方向に複数並べた受光素子から構成されており、搬送経路を挟んで対向位置に設けられた照射光からの受光結果に基づき原稿幅を検知する。なお、原稿の搬送方向の長さは、上記突き当てセンサ84での原稿の先端及び後端を読み取りによりモータパルスから検知される。
【0047】
(画像処理装置の構成)
図7は、第1実施形態に係る画像処理装置200のハードウェア構成例を示す図である。図7において、画像処理装置200は、コンピュータによって構築されており、CPU301、ROM302、RAM303、HDD304、HDDコントローラ305、ネットワークI/F306、バスライン307等を有している。
【0048】
CPU301は、装置全体の動作を制御する。ROM302は、IPL等のCPU301の駆動に用いられるプログラムを記憶する。RAM303は、CPU301のワークエリアとして使用される。HDD304は、プログラム等の各種データを記憶する。HDDコントローラ305は、CPU301の制御にしたがってHDD304に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。
【0049】
ネットワークI/F306は、ネットワークを利用して外部装置等とデータ通信をするためのインターフェースである。バスライン307は、CPU301等の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等である。
【0050】
画像処理装置200は、CPU301がプログラムに基づいて処理を実行することにより、後述する各種機能を実現する。
【0051】
図8は、画像処理装置200の機能構成例を示す図である。図8に示すように、画像処理装置200は、原稿エッジ直線式算出部210と、スキュー補正部220とを有する。原稿エッジ直線式算出部210及びスキュー補正部220には、上述の画像読取部4から、例えばRGB形式の読取画像が入力される。
【0052】
原稿エッジ直線式算出部210は、入力された読取画像から原稿の一辺のエッジ(原稿エッジ)に近似する直線式(以下、原稿エッジ直線式という。)を算出して、スキュー補正部220へ出力する。
【0053】
スキュー補正部220は、原稿エッジ直線式算出部210から入力される原稿エッジ直線式(Y=aX+b)の傾きaに基づいてスキュー角度θを算出し、θ=0とするように読取画像を回転させる画像補正を行うことにより、スキューのない画像を生成して出力する。
【0054】
図9は、原稿エッジ直線式算出部210の詳細な構成を示す図である。図9に示すように、原稿エッジ直線式算出部210は、エッジ検出部211と、第1境界点群抽出部212と、第2境界点群抽出部213と、ノイズ除去条件決定部214と、ノイズ除去部215と、直線式算出部216とを有する。
【0055】
エッジ検出部211は、画像読取部4から入力される読取画像に基づき、原稿エッジの検出を行う。図10は、エッジ検出部211に入力される読取画像の一例を概略的に示す図である。図11は、読取画像における副走査方向への画素値の変化の一例を概略的に示す図である。図10に示すように、読取画像には、原稿が読み取られた領域である原稿領域E1と、原稿の背景に存在する背景部材が読み取られた領域である背景領域E2とが含まれる。また、原稿領域E1のエッジ部分には、露光時に生じる原稿の影が読み取られた領域である影領域E3が生じる。
【0056】
エッジ検出部211は、一次微分フィルタ等の画像処理フィルタを用いて画素値の変化を検出することで、原稿エッジを検出する。例えば、エッジ検出部211は、背景領域E3から影領域E2への変化をエッジとして検出する。原稿領域E1の画素値は入力原稿に依存して変化するため、背景領域E3と影領域E2の変化点を検出することで、原稿によらず安定したエッジ検出を行うことができる。なお、大抵の原稿では影領域E3から原稿領域E1にも画素値が変化するため、この変化に基づいて原稿エッジを検出しても良い。また、エッジ検出部211は、一次微分フィルタに限られず、二次微分フィルタを用いてエッジ検出を行ってもよい。さらに、画像処理フィルタを用いずに、閾値処理などでエッジ検出を行ってもよい。
【0057】
実際のADF読取時には、スリットガラス7と背景部材との間に、原稿の紙粉などがゴミとして浮遊する場合がある。この場合、読取画像の背景領域は、浮遊したゴミ(以下、浮遊ゴミという。)が読み取られた画像が映り込む。このような浮遊ゴミの場合は、原稿の搬送中に、スリットガラスや背景部材に付いたり離れたりするため、塊状のノイズとして読取画像に現れる。図12は、浮遊ゴミが映り込んだ読取画像の一例を概略的に示す図である。なお、図12では、影領域E3の図示は省略している。
【0058】
図13は、図12に示す読取画像に対して、エッジ検出部211によりエッジ検出を行った場合のエッジ検出結果の一例を概略的に示す図である。図13は、副走査方向への画素値の変化を検出するフィルタ処理を行った例を示している。図13に示すように、浮遊ゴミが存在する場合には、本来のエッジ検出の対象である原稿エッジだけでなく、浮遊ゴミのエッジが誤検出されることがある。
【0059】
図9に戻り、第1境界点群抽出部212は、エッジ検出部211により検出されたエッジの検出結果を主走査方向(第1方向)に第1間隔S1ごとにサンプリングすることにより、複数の境界点からなる第1境界点群を抽出する。図14は、第1境界点群の抽出方法の一例を示す図である。図14に示すように、第1境界点群抽出部212は、主走査方向に第1間隔S1ごとに、読取画像の先端から副走査方向(第1方向に直交する第2方向)に走査することでエッジ検出結果に含まれる境界点の副走査位置を取得する。
【0060】
第2境界点群抽出部213は、エッジ検出部211により検出されたエッジの検出結果を主走査方向に第2間隔S2ごとにサンプリングすることにより、複数の境界点からなる第2境界点群を抽出する。図15は、第2境界点群の抽出方法の一例を示す図である。図15に示すように、第2境界点群抽出部213は、主走査方向に第2間隔S2ごとに、読取画像の先端から副走査方向に走査することでエッジ検出結果に含まれる境界点の副走査位置を取得する。
【0061】
第2境界点群抽出部213による抽出処理は、サンプリングの間隔のみが第1境界点群抽出部212による抽出処理と異なる。本実施形態では、第1間隔S1は、第2間隔S2より大きい(S1>S2)とする。
【0062】
ノイズ除去条件決定部214は、第1境界点群抽出部212により抽出された第1境界点群に基づき、浮遊ゴミ等によるノイズを除去するための条件(ノイズ除去条件)を決定する。第1境界点群の抽出間隔である第1間隔S1を大きく設定することにより、ノイズ除去条件を決定する際の浮遊ゴミ等の影響を小さくすることができる。具体的には、浮遊ゴミは最大数ミリメートルの大きさを有するため、第1間隔S1を想定される浮遊ゴミの大きさよりも大きくすることで、浮遊ゴミによる影響を小さくすることができる。
【0063】
図16は、ノイズ除去条件決定部214によるノイズ除去条件決定方法を説明する図である。まず、ノイズ除去条件決定部214は、第1境界点群から副走査方向への位置に関する中央値を取る境界点を探索する。図16に示すP1~P8は、第1境界点群に含まれる境界点を例示している。この場合、例えば、境界点P5が中央値Y0を取る。
【0064】
このとき、ノイズ除去条件決定部214は、後述する直線式算出部216により設定される主走査方向に関する直線式算出領域(以下、第1直線式算出領域という。)に含まれる境界点(図16の場合、境界点P2~P7)を用いて中央値を取る境界点を探索する。なお、ノイズ除去条件決定部214は、第1境界点群の連続性を考慮し、副走査方向への位置が隣接する境界点と大きく異なる境界点(図16の場合、境界点P3)を予め除去したうえで、中央値を取る境界点を探索してもよい。
【0065】
そして、ノイズ除去条件決定部214は、中央値YMに対して一定値Wを減算した値を最小値Y1とし、中央値YMに対して一定値Wを加算した値を最大値Y2とし、副走査方向に関して最小値Y1から最大値Y2までの領域を直線式算出領域(以下、第2直線式算出領域という。)とする。
【0066】
このように、ノイズ除去条件決定部214は、最小値Y1以下、及び最大値Y2以上の領域をノイズ除去領域(ノイズ除去条件)として決定する。すなわち、ノイズ除去条件決定部214は、中央値から副走査方向へ一定値W以上離れた領域に存在する境界点を除去することをノイズ除去条件として決定する。
【0067】
図9に戻り、ノイズ除去部215は、第2境界点群抽出部213により抽出された第2境界点群から、ノイズ除去条件決定部214により決定されたノイズ除去条件を満たす境界点(副画素方向に関する位置がノイズ除去領域に含まれる境界点)を除去する。これにより、図15に示すような浮遊ゴミに起因する境界点が、ノイズとして第2境界点群から除去される。
【0068】
直線式算出部216は、ノイズ除去部215によりノイズが除去された第2境界点群に基づき、当該第2境界点群に近似する直線式(原稿エッジ直線式)を、最小二乗法等により算出する。直線式算出部216は、算出した原稿エッジ直線式(Y=aX+b)のうち、少なくとも傾きaをスキュー補正部220に提供する。なお、直線式算出部216は、ノイズが除去された第2境界点群のうち、第1直線式算出領域に含まれる境界点を用いて原稿エッジ直線式の算出を行う。
【0069】
前述の第2間隔S2を小さくしてサンプリング数を増加させ、ランダムノイズなどの影響を低減することにより、原稿エッジ直線式の算出精度を高めることができる。
【0070】
次に、ノイズ除去条件決定部214がノイズ条件を決定するために用いる一定値Wについて説明する。一定値Wは固定値であってもよいが、直線式算出部216により設定される第1直線式算出領域に応じて変更してもよい。
【0071】
直線式算出部216は、例えば、原稿サイズに応じて第1直線式算出領域を変更する。例えば、原稿サイズが「A3縦」の場合には、原稿サイズが「A4縦」の場合よりも第1直線式算出領域を大きく設定する。
【0072】
図17は、第1直線式算出領域の大きさと一定値Wとの関係を示す図である。図17(A)は、図17(B)よりも原稿サイズが大きく、第1直線式算出領域が大きい場合を示している。図17(A)及び図17(B)において、αは、スキュー補正部220によるスキュー補正の対応が必要な最大の角度を表している。第1直線式算出領域の長さをLとした場合、一定値Wは、下式(1)で表される。
【0073】
W=(L/2)×tanα ・・・(1)
ノイズ除去条件決定部214は、上式(1)に基づいて一定値Wを決定すればよい。
【0074】
以上のように、本実施形態に係る画像処理装置200によれば、原稿エッジから第1間隔S1ごとに抽出された第1境界点群に基づいて決定されたノイズ除去条件し、原稿エッジから第2間隔S2ごとに抽出された第2境界点群から上記ノイズ除去条件に基づいてノイズを除去するので、浮遊ゴミに起因したノイズのように一定以上の大きさを有する大域ノイズを低減することができる。また、このようにノイズが低減された第2境界点群に基づいて原稿エッジ直線式を算出するので、エレキスキュー補正の精度が向上する。
<第1実施形態の変形例>
次に、第1実施形態の各種変形例を示す。
【0075】
(第1変形例)
まず、第1変形例として、ノイズ除去条件決定部214によるノイズ除去条件の決定方法に関する変形例を説明する。第1実施形態では、第1境界点群から副走査方向に関する中央値を求め、この中央値を基準としてノイズ除去領域を決定している。本変形例では、第1境界点群に近似する近似直線を求め、この近似直線を基準としてノイズ除去領域を決定する。
【0076】
図18は、第1変形例に係るノイズ除去条件決定方法を説明する図である。本変形例では、まず、ノイズ除去条件決定部214は、第1境界点群に基づき、最小二乗法等により近似直線L0を求める。例えば、ノイズ除去条件決定部214は、直線式算出部216により設定される第1直線式算出領域に含まれる境界点(図18の場合、境界点P2~P7)を用いて近似直線L0を算出する。なお、ノイズ除去条件決定部214は、第1境界点群の連続性を考慮し、副走査方向への位置が隣接する境界点と大きく異なる境界点(図18の場合、境界点P3)を予め除去したうえで、近似直線L0を算出してもよい。
【0077】
そして、ノイズ除去条件決定部214は、近似直線L0に対して一定値Wを減算した直線を下限線L1とし、近似直線L0に対して一定値Wを加算した直線を上限線L2とし、下限線L1と上限線L2とで挟まれる範囲を第2直線式算出領域とする。
【0078】
このように、ノイズ除去条件決定部214は、下限線L1以下、及び上限線L2以上の領域をノイズ除去領域(ノイズ除去条件)として決定する。すなわち、ノイズ除去条件決定部214は、近似直線L0から副走査方向へ一定値W以上離れた領域に存在する境界点を除去することをノイズ除去条件として決定する。
【0079】
第1実施形態におけるノイズ除去条件決定方法は、算出が容易な中央値に基づいてノイズ除去条件を決定するので、演算速度の高速化が可能であるが、本変形例のように第1境界点群の近似直線に基づいてノイズ除去条件を決定するより、ノイズ除去範囲が主走査方向に依らずに一定となり、ノイズの除去精度が向上する。
【0080】
(第2変形例)
次に、第2変形例として、原稿エッジ直線式の算出方法に関する変形例を説明する。図19は、第2変形例に係る原稿エッジ直線式算出部210aの構成を示す図である。原稿エッジ直線式算出部210aは、エッジ検出部211と、第1~第3分割処理部217a~217cと、全体直線式決定部218とを有する。エッジ検出部211は、第1実施形態と同様の構成である。
【0081】
第1~第3分割処理部217a~217cは、それぞれ同様の構成であり、第1境界点群抽出部212と、第2境界点群抽出部213と、ノイズ除去条件決定部214と、ノイズ除去部215と、直線式算出部216とを有する。これらの各構成部は、第1実施形態と同様の構成である。
【0082】
第1~第3分割処理部217a~217cは、エッジ検出部211により検出される原稿エッジを主走査方向に3分割した第1~第3分割領域について、それぞれ原稿エッジ直線式を算出する。
【0083】
図20は、原稿エッジを分割した第1~第3分割領域を例示する図である。第1分割処理部217aは、第1分割領域に対して、第1実施形態で説明した処理を行うことにより第1原稿エッジ直線式EL1を算出する。同様に、第2分割処理部217bは、第2分割領域に対して処理を行うことにより第2原稿エッジ直線式EL2を算出する。同様に、第3分割処理部217cは、第3分割領域に対して処理を行うことにより第3原稿エッジ直線式EL3を算出する。
【0084】
全体直線式決定部218は、第1~第3分割処理部217a~217cにより算出された第1~第3原稿エッジ直線式EL1~EL3に基づいて、全体の1つの直線式(全体直線式)を決定する。例えば、全体直線式決定部218は、第1~第3原稿エッジ直線式EL1~EL3から、傾きが最も平均的なものを選択することにより全体直線式を決定する。図20の場合には、例えば、第2原稿エッジ直線式EL2が選択されて全体直線式として決定される。
【0085】
本変形例では、スキュー補正部220は、全体直線式決定部218により決定された全体直線式の傾きに基づいてスキュー補正を行う。
【0086】
通常、読取対象の原稿が正常である場合には、第1~第3原稿エッジ直線式EL1~EL3の傾きは、それぞれほぼ等しい値となる。しかし、原稿の一部が欠けていたり、原稿の先端の一部が折れ曲がっていたりするような場合は、原稿エッジが全体として直線状ではなく、一部に通常の原稿エッジとは異なる傾きが生じる。このような場合に、第1実施形態の方法で原稿エッジ直線式を算出した場合には、原稿の欠けや折れの影響を受けて、真の傾きから大きくずれた傾きが算出される可能性がある。本変形例では、原稿の欠けや折れが生じた部分が含まれる分割領域に基づいて算出される直線式(異常直線式)は、全体直線式決定部218により除去されるので、精度の高い原稿エッジ直線式が求まる。この結果、スキュー補正精度が向上する。
【0087】
なお、本変形例では、3つの分割処理部を設けているが、分割処理部の数はこれに限られず、適宜設定してよい。また、分割処理部を1つとし、複数の分割領域について1つの分割処理部で時分割的に処理を行うことにより、複数の原稿エッジ直線式を算出してもよい。
【0088】
(第3変形例)
次に、第3変形例として、スキュー補正に加えて、原稿の原点位置の補正を行うこと可能とする画像処理装置について説明する。図21は、第3変形例に係る画像処理装置200aの機能構成例を示す図である。図21に示すように、画像処理装置200aは、第1原稿エッジ直線式算出部250aと、第2原稿エッジ直線式算出部250bと、スキュー補正部220と、原点座標算出部230と、原点位置補正部240とを有する。
【0089】
第1原稿エッジ直線式算出部250aは、第1実施形態の原稿エッジ直線式算出部210と同様の構成であり、原稿の主走査方向にほぼ平行な第1原稿エッジの直線式(Y=aX+b)を算出する。
【0090】
第2原稿エッジ直線式算出部250bは、読取画像の側端から主走査方向に走査を行うことにより、原稿の副走査方向にほぼ平行な第2原稿エッジの直線式(Y=cX+d)を算出する。第2原稿エッジ直線式算出部250bは、主走査方向と副走査方向とを逆として処理を行うこと以外は、第1原稿エッジ直線式算出部250aと同様の構成である。
【0091】
原点座標算出部230は、第1原稿エッジ直線式算出部250aにより算出される第1原稿エッジ直線式(Y=aX+b)と、第2原稿エッジ直線式算出部250bにより算出される第2原稿エッジ直線式(Y=cX+d)との交点を求め、この交点の座標を原稿領域E1の原点座標(X0,Y0)として出力する。この原点座標は、スキュー補正部220と、原点位置補正部240とに供給される。
【0092】
スキュー補正部220は、第1実施形態と同様に、第1原稿エッジ直線式(Y=aX+b)の傾きaに基づいてスキュー角度θを算出し、θ=0とするように読取画像を回転させる画像補正を行う。また、このとき、スキュー補正部220は、原点座標(X0,Y0)を中心として読取画像を回転させる。
【0093】
原点位置補正部240は、スキュー補正部220によりスキュー補正がなされた読取画像中の原稿領域E1を、原点座標(X0,Y0)が読取画像の原点に一致するように平行移動させる原点位置補正を行う。そして、原点位置補正部240は、スキュー補正及び原点位置補正がなされた読取画像から原稿領域E1を切り出した画像を出力する。
【0094】
図22は、第3変形例に係る画像処理装置200aによる読取画像の遷移を説明する図である。図22(A)は、スキュー補正及び原点位置補正が行われる前の初期の読取画像を示す。図22(B)は、スキュー補正部220によりスキュー補正が行われた後の読取画像を示す。図22(C)は、原点位置補正部240により原点位置補正が行われた後の読取画像を示す。図22(D)は、読取画像から切り出された原稿領域E1の出力画像である。
【0095】
ADF読取時には、搬送時に原稿位置がずれたり、原稿がスキューしたりする影響などで原点位置がずれた状態で読み取られる場合がある。この場合、ユーザにとっては本来読み取りたい原稿の先端部分に背景領域E2が入り込んだり、原稿領域E1の後端部分が切れてしまったりする可能性がある。本変形例によれば、スキュー及び原点位置のずれが補正されたユーザの所望する出力画像が得られる。
【0096】
上記各実施形態における画像処理装置の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field programmable gate array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【0097】
また、上記各実施形態に示した要件に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の主旨をそこなわない範囲で変更することができ、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0098】
1 複写機
2 自動原稿搬送装置(ADF)
3 給紙部
4 画像読取部
5 画像形成部
7 スリットガラス
10 画像読取装置
24 光源
28 撮像部
31 露光装置
200,200a 画像処理装置
210,210a 原稿エッジ直線式算出部
211 エッジ検出部
212 第1境界点群抽出部
213 第2境界点群抽出部
214 ノイズ除去条件決定部
215 ノイズ除去部
216 直線式算出部
217a~217c 第1~第3分割処理部
218 全体直線式決定部
220 スキュー補正部
230 原点座標算出部
240 原点位置補正部
250a 第1原稿エッジ直線式算出部
250b 第2原稿エッジ直線式算出部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0099】
【文献】特開2017-108258号公報
【文献】特開2017-098841号公報
【文献】特開2008-28684号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22