(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】照明装置、投影機、及び検査方法
(51)【国際特許分類】
G03B 21/14 20060101AFI20221220BHJP
G03B 21/00 20060101ALI20221220BHJP
H04N 5/74 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
G03B21/14 Z
G03B21/00 D
H04N5/74 Z
(21)【出願番号】P 2019047983
(22)【出願日】2019-03-15
【審査請求日】2021-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 公昭
【審査官】石本 努
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-174273(JP,A)
【文献】特開2017-090488(JP,A)
【文献】特開2016-095505(JP,A)
【文献】特開2017-049514(JP,A)
【文献】特開2016-009109(JP,A)
【文献】特開2015-004846(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21K9/00-9/90
F21S2/00-45/70
F21V1/00-15/04
G02B5/00-5/136
G03B21/00-21/10
21/12-21/13
21/134-21/30
33/00-33/16
H04N5/66-5/74
9/12-9/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外面と、少なくとも前記外面に設けられた第1の導電部と、を有し、内部を通過する光の照度分布を均一に近づける、ライトトンネルと、
前記第1の導電部に接触した第2の導電部を有し、前記光の光軸と交差する第1の方向に前記ライトトンネルを支持する、弾性部材と、
第3の導電部を有し、前記第1の方向と、前記第1の方向の反対の第2の方向と、に進退可能であり、前記第3の導電部を前記第1の導電部に接触させて前記第2の方向に前記ライトトンネルを支持することと、前記ライトトンネルから離間することと、が可能である、調整部材と、
前記第2の導電部と前記第3の導電部とに電圧を印加可能な電源部と、
前記第1の導電部を通じた前記第2の導電部と前記第3の導電部との間の通電を検知する検知部と、
を備えることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
定期的に、前記電源部によって前記第2の導電部と前記第3の導電部とに電圧を印加するとともに、前記検知部によって前記第1の導電部を通じた前記第2の導電部と前記第3の導電部との間の通電を検知する、制御部、をさらに備えることを特徴とする
請求項1の照明装置。
【請求項3】
外面と、少なくとも前記外面に設けられた第1の導電部と、を有し、内部を通過する光の照度分布を均一に近づける、ライトトンネルと、
前記第1の導電部に接触した第2の導電部を有し、前記光の光軸と交差する第1の方向に前記ライトトンネルを支持する、弾性部材と、
第3の導電部を有し、前記第1の方向と、前記第1の方向の反対の第2の方向と、に進退可能であり、前記第3の導電部を前記第1の導電部に接触させて前記第2の方向に前記ライトトンネルを支持することと、前記ライトトンネルから離間することと、が可能である、調整部材と、
前記第2の導電部と前記第3の導電部とに電圧を印加可能な電源部と、
前記第1の導電部を通じた前記第2の導電部と前記第3の導電部との間の通電を検知する検知部と、
を備えることを特徴とする投影機。
【請求項4】
定期的に、前記電源部によって前記第2の導電部と前記第3の導電部とに電圧を印加するとともに、前記検知部によって前記第1の導電部を通じた前記第2の導電部と前記第3の導電部との間の通電を検知する、制御部、をさらに備えることを特徴とする
請求項3の投影機。
【請求項5】
外面と、少なくとも前記外面に設けられた第1の導電部と、を有し、内部を通過する光の照度分布を均一に近づける、ライトトンネルと、
前記第1の導電部に接触した第2の導電部を有し、前記光の光軸と交差する第1の方向に前記ライトトンネルを支持する、弾性部材と、
第3の導電部を有し、前記第1の方向と、前記第1の方向の反対の第2の方向と、に進退可能であり、前記第3の導電部を前記第1の導電部に接触させて前記第2の方向に前記ライトトンネルを支持することと、前記ライトトンネルから離間することと、が可能である、調整部材と、
を備える投影機の前記ライトトンネルの保持状態の検知方法であって、
前記第2の導電部と前記第3の導電部とに電圧を印加する工程と、
前記第1の導電部を通じた前記第2の導電部と前記第3の導電部との間の通電を検知する工程と、
を含むことを特徴とする検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置、投影機、及び検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、画像データを元に生成した画像を被照射面に照射して表示する投影機が知られている。投影機は、光源と画像形成素子との間に設けられたライトトンネルを有する。光源から出射された光がライトトンネルの内部を反射しながら進行することで、当該光の照度分布が均一に近づけられる。
【0003】
例えば特許文献1の開示によれば、ライトトンネルは、一方の面を基準面により支持されるとともに、反対側の面から弾性的に押圧されることで、保持される。ベース部材に取り付けられるライトトンネル固定部材に、ライトトンネルを弾性力によって基準面に押し付ける曲げ部が設けられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えば振動や経時的変化により、基準面や曲げ部のような保持のための部分がライトトンネルから離間して、ライトトンネルが保持されない状態となることがある。保持されない状態であることが検知されない場合、ライトトンネルは動くことが可能なままにされてしまう虞がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ライトトンネルが弾性部材及び調整部材の両方に支持されているか否かを検知することが可能な照明装置、投影機、及び検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の一つの実施形態に係る照明装置は、外面と、少なくとも前記外面に設けられた第1の導電部と、を有し、内部を通過する光の照度分布を均一に近づける、ライトトンネルと、前記第1の導電部に接触した第2の導電部を有し、前記光の光軸と交差する第1の方向に前記ライトトンネルを支持する、弾性部材と、第3の導電部を有し、前記第1の方向と、前記第1の方向の反対の第2の方向と、に進退可能であり、前記第3の導電部を前記第1の導電部に接触させて前記第2の方向に前記ライトトンネルを支持することと、前記ライトトンネルから離間することと、が可能である、調整部材と、前記第2の導電部と前記第3の導電部とに電圧を印加可能な電源部と、前記第1の導電部を通じた前記第2の導電部と前記第3の導電部との間の通電を検知する検知部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ライトトンネルが弾性部材及び調整部材の両方に支持されているか否かを検知することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】映像光をスクリーンに照射するプロジェクタを示す側面図である。
【
図3】プロジェクタに搭載される光学装置及び光源装置を示す断面図である。
【
図4】プロジェクタの一部を模式的に示す断面図である。
【
図5】ライトトンネルの保持状態の検知方法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1の実施形態)
以下、本発明が適用される投影機としてのプロジェクタの第1の実施形態について、
図1乃至
図5を用いて説明する。
図1は、プロジェクタ1を示す斜視図である。
図2は、映像光をスクリーン2に照射するプロジェクタ1を示す側面図である。
図3は、プロジェクタ1に搭載される光学装置3及び光源装置4を示す断面図である。
【0010】
プロジェクタ1は、投影機の一例であり、例えば画像照射装置とも称され得る。
図2に示すように、プロジェクタ1は、例えば、パーソナルコンピュータのような情報処理装置やビデオカメラのような撮像装置から入力される映像データを元に映像を生成し、当該映像をスクリーン2のような被照射面に投影する。プロジェクタ1は、
図2に示す照射レンズ10と、
図3に示す光学装置3、光源装置4、及び画像形成部11とを有する。
【0011】
図3に示すように、光学装置3は、照明光学ユニット3aと投射光学ユニット3bとを備える。照明光学ユニット3aは、照明装置の一例である。照明光学ユニット3aは、カラーホイール5と、ライトトンネル6と、リレーレンズ7と、平面ミラー8と、凹面ミラー9とを有する。また、光学装置3に、画像形成部11が設けられる。
【0012】
カラーホイール5は、円盤状に形成され、例えばモータにより回転可能である。カラーホイール5は、例えば、回転軸の周方向に並べられた、赤(R)、緑(G)、及び青(B)のカラーフィルタを有する。カラーホイール5は、光源装置4から出射された白色光を、単位時間毎にRGBの各色が繰り返す光に変換して、ライトトンネル6に向けて出射する。なお、カラーホイール5は、白色、シアン、マゼンタ、イエローのような他の色のカラーフィルタを有しても良い。
【0013】
ライトトンネル6は、例えば、四角形又は多角形の筒状に張り合わされた板ガラスにより作られる。ライトトンネル6の内面は、銀や誘電体多層膜等を蒸着されることで、光を反射可能とされている。ライトトンネル6は、カラーホイール5から出射された光をリレーレンズ7へと導出する。カラーホイール5から入射された光は、ライトトンネル6の内部を通過する際に、ライトトンネル6の内面で複数回反射されるとともに合成され、照度分布を均一に近づけられる。
【0014】
リレーレンズ7は、組み合わされた二枚のレンズにより形成され、ライトトンネル6から出射される光の軸上色収差を補正しつつ集光する。平面ミラー8及び凹面ミラー9は、リレーレンズ7により出射される光を反射して、画像形成部11へと案内して、集光させる。
【0015】
画像形成部11は、例えば、DMD素子(画像形成素子)を有する。DMD素子は、複数のマイクロミラーにより形成される矩形状のミラー面を有し、映像や画像のデータに基づいて各マイクロミラーが時分割駆動されることにより、所定の画像データを形成するように照射光を加工して反射する。
【0016】
画像形成部11は、入力信号に応じてマイクロミラーのオンオフを切り替えることで投射光学ユニット3bへ出力される光を選別するとともに階調を表現する。すなわち、画像形成部11は、時分割で映像データに基づいて、複数のマイクロミラーが使用する光を投射レンズへ反射させ、捨てる光をOFF光板へ反射させる。画像形成部11で使用する光は、投射光学ユニット3bへ反射される。投射光学ユニット3b内の複数の投射レンズを通り拡大された映像光は、照射レンズ10を通ってスクリーン2上へ拡大投影される。
【0017】
光源装置4は、高圧水銀ランプのような光源を有する。光源装置4の光源は、キセノンランプのような他のアークランプであっても良い。光源装置4は光学装置3の照明光学ユニット3aに向けて白色光を照射する。
【0018】
次に、ライトトンネル6の詳細と、当該ライトトンネル6の保持とについて、
図4及び
図5を用いて説明する。
図4は、照明光学ユニット3aを含むプロジェクタ1の一部を模式的に示す断面図である。
【0019】
図4に示すように、本実施形態のライトトンネル6は、四角形の筒状に形成される。なお、上述のように、ライトトンネル6は、多角形の筒状に形成されても良い。ライトトンネル6は、カラーホイール5から出射された光の光軸OAに沿って延びる。
図4は、光軸OAと直交するライトトンネル6の断面を示す。
【0020】
図4に示すように、以下の説明において、X軸、Y軸、X方向、及びY方向が定義される。X軸とY軸とは、互いに直交するとともに、光軸OAと直交する。X方向は、X軸に沿う方向であって、X軸の矢印が示す+X方向(
図4の右方向)と、X軸の矢印の反対の-X方向(
図4の左方向)とを含む。Y方向は、Y軸に沿う方向であって、Y軸の矢印が示す+Y方向(
図4の上方向)と、Y軸の矢印の反対の-Y方向(
図4の下方向)とを含む。
【0021】
+X方向及び+Y方向は、光軸OAと直交する方向であり、第1の方向の一例である。-X方向及び-Y方向は、+X方向及び+Y方向の反対方向であり、第2の方向の一例である。なお、第1の方向及び第2の方向は、光軸と交差していれば良く、光軸と直交していなくても良い。
【0022】
ライトトンネル6は、内面61と、外面62とを有する。内面61は、筒状のライトトンネル6の内部に向く面であり、カラーホイール5から出射された光が通る導光路63を形成(規定)する。導光路63は、ライトトンネル6の内部の一例である。導光路63は、光軸OAに沿う方向におけるライトトンネル6の両端で開く孔である。
【0023】
内面61は、一対の第1の対向面61aと、一対の第2の対向面61bとを含む。第1の対向面61aは、Y方向に互いに向かい合う略平坦な面である。第2の対向面61bは、X方向に互いに向かい合う略平坦な面である。
【0024】
ライトトンネル6は、内面61に設けられた反射層65をさらに有する。反射層65は、例えば、内面61に蒸着された銀や誘電体多層膜等により作られる。反射層65は、導光路63を通過する光を複数回反射するとともに合成し、照度分布を均一に近づける。
【0025】
外面62は、内面61の反対側に設けられ、ライトトンネル6の外部に向く。外面62は、上面62aと、下面62bと、右側面62cと、左側面62dとを含む。なお、上面62a、下面62b、右側面62c、及び左側面62dの呼称は、
図4に基づく説明のための便宜的なものであり、位置及び向きを限定するものではない。
【0026】
上面62aは、+Y方向に向く略平坦な面である。下面62bは、-Y方向に向く略平坦な面である。右側面62cは、+X方向に向く略平坦な面である。左側面62dは、-X方向に向く略平坦な面である。
【0027】
ライトトンネル6は、外面62に設けられた導電層66をさらに有する。導電層66は、第1の導電部の一例である。なお、第1の導電部はこの例に限られない。例えば、ライトトンネル6が導電性の材料により作られることで、ライトトンネル6の全体が第1の導電部の一例となっても良い。
【0028】
導電層66は、例えば、外面62に蒸着された金属のような導電体により作られる。なお、導電層66は、外面62の全体を覆っても良いし、外面62の一部に設けられても良い。また、導電層66は、反射層65と一体であっても良い。
【0029】
本実施形態において、照明光学ユニット3aは、ライトトンネル6に加え、ライトトンネル保持装置100と、制御装置200と、通知装置300とをさらに有する。制御装置200は、制御部の一例であり、制御回路とも称され得る。
【0030】
ライトトンネル保持装置100はライトトンネル6を、照明光学ユニット3aの、又はプロジェクタ1全体の、筐体400の内部で保持する。ライトトンネル保持装置100は、第1の保持機構101と、第2の保持機構102とを有する。
【0031】
第1の保持機構101は、Y方向にライトトンネル6を保持する。第1の保持機構101は、第1の弾性部材111と、第1の調整部材112と、第1の電源部113と、第1の検知部114とを有する。
【0032】
第1の弾性部材111は、例えば、金属製の板バネ111aにより構成される。板バネ111aは、導電性を有しており、当該板バネ111aの全体が第2の導電部の一例である。なお、第2の導電部は、この例に限られない。例えば、第1の弾性部材111は、合成ゴムのような弾性体により構成されても良い。この場合、例えば、合成ゴムの表面に、第2の導電部の一例としての導電層が設けられる。
【0033】
板バネ111aの一方の端部は、ライトトンネル6の下面62bに設けられた導電層66に接触する。これにより、板バネ111aと導電層66とが、電気的に接続される。板バネ111aの他方の端部は、筐体400に固定される。板バネ111aは、下面62bと筐体400との間で、少なくともY方向に弾性変形可能である。
【0034】
第1の調整部材112は、例えば、金属製のネジ112aにより構成される。ネジ112aは、導電性を有しており、当該ネジ112aの全体が第3の導電部の一例である。なお、第3の導電部は、この例に限られない。例えば、第1の調整部材112は、合成樹脂によって作られたネジにより構成されても良い。この場合、例えば、合成樹脂製のネジの表面に、第3の導電部の一例としての導電層が設けられる。また、第1の調整部材112は、ネジに限らず、スライド式の部材により構成されても良い。
【0035】
ネジ112aは、筐体400に設けられたネジ穴に取り付けられる。ネジ112aの先端は、ライトトンネル6の上面62aに向く。また、ネジ112aの頭は、筐体400の外部に位置する。ネジ112aの頭は、筐体400の内部に位置しても良いが、例えば工具によって操作可能な位置に設けられる。
【0036】
ネジ112aは、一方向に回転させられることにより+Y方向に移動し、他方向に回転させられることにより-Y方向に移動する。このように、ネジ112aは、回転操作によりY方向に進退可能である。ネジ112aが操作されていない場合、ネジ112aは、例えば摩擦により同一位置に保持される。
【0037】
第1の調整部材112は、ネジ112aを上面62aに設けられた導電層66に接触させて、-Y方向にライトトンネル6を支持する。これにより、ネジ112aと導電層66とが電気的に接続される。なお、第1の調整部材112は、
図4に二点鎖線で示すように、ライトトンネル6から離間することも可能である。
【0038】
第1の調整部材112は、-Y方向にライトトンネル6を押す。これにより、ライトトンネル6が、第1の弾性部材111に押し付けられる。第1の弾性部材111は、ライトトンネル6と筐体400との間で弾性変形し、弾性力によってライトトンネル6を+Y方向に支持する。第1の調整部材112は、ライトトンネル6を介して第1の弾性部材111の弾性力を受け、ライトトンネル6が+Y方向に移動することを制限する。これにより、第1の弾性部材111と第1の調整部材112との間で、ライトトンネル6がY方向に保持される。
【0039】
ネジ112aは、-Y方向に移動させられることで、ライトトンネル6を-Y方向に移動させる。一方、ネジ112aが+Y方向に移動させられると、第1の弾性部材111が、弾性力によってライトトンネル6を+Y方向に移動させる。従って、ネジ112aを操作により回転させることで、Y方向におけるライトトンネル6の位置を調整することが可能である。
【0040】
第1の電源部113は、電源113aと、スイッチ113bとを有する。電源113aは、配線のような種々の導電体を介して、板バネ111aと、ネジ112aとに電気的に接続される。
図4の例では、電源113aは、配線を介して、筐体400に設けられた導電体401,402に接続される。導電体401,402が板バネ111a及びネジ112aに接触することで、電源113aが板バネ111a及びネジ112aに電気的に接続される。なお、筐体400は、例えば絶縁体により作られることで、導電体401,402を電気的に接続しない。また、配線が直接的に板バネ111a及びネジ112aに接続されても良い。
【0041】
電源113aは、板バネ111aと、ネジ112aとに、電圧を印加することが可能である。なお、電源113aは、直流電源でも良いし、交流電源でも良い。スイッチ113bは、電源113aによる板バネ111a及びネジ112aへの電圧の印加をオンオフする。
【0042】
第1の検知部114は、電源113aと、板バネ111a又はネジ112aと、の間の電気経路上に設けられる。第1の検知部114は、例えば、電流計である。なお、第1の検知部114は、電圧計やランプのような他の装置、部品、電気回路であっても良い。
【0043】
第1の検知部114は、ライトトンネル6の導電層66を通じた板バネ111aとネジ112aとの間の通電を検知する。具体的には、第1の検知部114は、導電層66、板バネ111a、ネジ112a、電源113a、及びスイッチ113bを含む電気回路に流れる電流を検知することで、導電層66を通じた板バネ111aとネジ112aとの間の通電を検知する。
【0044】
スイッチ113bがオンにされ、板バネ111a及びネジ112aが導電層66に接触していれば、導電層66を通じ、板バネ111aとネジ112aとの間で電流が流れる。第1の検知部114は、当該電流を検知することで、導電層66を通じた板バネ111aとネジ112aとの間の通電を検知する。一方、スイッチ113bがオフにされ、又は板バネ111a及びネジ112aの少なくとも一方が導電層66から離間していれば、板バネ111aとネジ112aとの間で流れる電流は実質的にゼロになる。
【0045】
第2の保持機構102は、X方向にライトトンネル6を保持する。第2の保持機構102は、第2の弾性部材121と、第2の調整部材122と、第2の電源部123と、第2の検知部124とを有する。
【0046】
第2の弾性部材121は、例えば、金属製の板バネ121aにより構成される。第1の弾性部材111の板バネ111aと同じく、板バネ121aは、第2の導電部の一例である。
【0047】
板バネ121aの一方の端部は、ライトトンネル6の左側面62dに設けられた導電層66に接触する。これにより、板バネ121aと導電層66とが、電気的に接続される。板バネ121aの他方の端部は、筐体400に固定される。板バネ121aは、左側面62dと筐体400との間で、少なくともX方向に弾性変形可能である。
【0048】
第2の調整部材122は、例えば、金属製のネジ122aにより構成される。ネジ122aは、第1の調整部材112のネジ112aと同じく、第3の導電部の一例であるネジ122aは、筐体400に設けられたネジ穴に取り付けられる。ネジ122aの先端は、ライトトンネル6の右側面62cに向く。また、ネジ122aの頭は、筐体400の外部に位置する。
【0049】
ネジ122aは、一方向に回転させられることにより+X方向に移動し、他方向に回転させられることにより-X方向に移動する。このように、ネジ122aは、回転操作によりX方向に進退可能である。ネジ122aが操作されていない場合、ネジ122aは、例えば摩擦により同一位置に保持される。
【0050】
第2の調整部材122は、ネジ122aを右側面62cに設けられた導電層66に接触させて、-X方向にライトトンネル6を支持する。これにより、ネジ122aと導電層66とが電気的に接続される。なお、第2の調整部材122は、
図4に二点鎖線で示すように、ライトトンネル6から離間することも可能である。
【0051】
第2の調整部材122は、-X方向にライトトンネル6を押す。これにより、ライトトンネル6が、第2の弾性部材121に押し付けられる。第2の弾性部材121は、ライトトンネル6と筐体400との間で弾性変形し、弾性力によってライトトンネル6を+X方向に支持する。第2の調整部材122は、ライトトンネル6を介して第2の弾性部材121の弾性力を受け、ライトトンネル6が+X方向に移動することを制限する。これにより、第2の弾性部材121と第2の調整部材122との間で、ライトトンネル6がX方向に保持される。
【0052】
ネジ122aは、-X方向に移動させられることで、ライトトンネル6を-X方向に移動させる。一方、ネジ122aが+X方向に移動させられると、第2の弾性部材121が、弾性力によってライトトンネル6を+X方向に移動させる。従って、ネジ122aを操作により回転させることで、X方向におけるライトトンネル6の位置を調整することが可能である。
【0053】
第2の電源部123は、電源123aと、スイッチ123bとを有する。電源123aは、配線のような種々の導電体を介して、板バネ121aと、ネジ122aとに電気的に接続される。
図4の例では、電源123aは、配線を介して、筐体400に設けられた導電体403,404に接続される。導電体403,404が板バネ121a及びネジ122aに接触することで、電源123aが板バネ121a及びネジ122aに電気的に接続される。なお、配線が直接的に板バネ121a及びネジ122aに接続されても良い。
【0054】
電源123aは、板バネ121aと、ネジ122aとに、電圧を印加することが可能である。なお、電源123aは、直流電源でも良いし、交流電源でも良い。また、第1の電源部113の電源113aと、第2の電源部123の電源123aとが、共通の電源から得られても良い。スイッチ123bは、電源123aによる板バネ121a及びネジ122aへの電圧の印加をオンオフする。
【0055】
第2の検知部124は、電源123aと、板バネ121a又はネジ122aと、の間の電気経路上に設けられる。第2の検知部124は、例えば、電流計である。なお、第2の検知部124は、電圧計やランプのような他の装置、部品、電気回路であっても良い。
【0056】
第2の検知部124は、ライトトンネル6の導電層66を通じた板バネ121aとネジ122aとの間の通電を検知する。具体的には、第2の検知部124は、導電層66、板バネ121a、ネジ122a、電源123a、及びスイッチ123bを含む電気回路に流れる電流を検知することで、導電層66を通じた板バネ121aとネジ122aとの間の通電を検知する。
【0057】
スイッチ123bがオンにされ、板バネ121a及びネジ122aが導電層66に接触していれば、導電層66を通じ、板バネ121aとネジ122aとの間で電流が流れる。第2の検知部124は、当該電流を検知することで、導電層66を通じた板バネ121aとネジ122aとの間の通電を検知する。一方、スイッチ123bがオフにされ、又は板バネ121a及びネジ122aの少なくとも一方が導電層66から離間していれば、板バネ121aとネジ122aとの間で流れる電流は実質的にゼロになる。
【0058】
制御装置200は、
図4においては機能的に表現される。制御装置200は、計時部201と、検知制御部202と、通知制御部203とを備える。計時部201、検知制御部202、及び通知制御部203は、CPU(Central Processing Unit)上で動作する検知プログラムにより実現する。具体的に、CPUは、ROM(Read Only Memory)又はHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)のようなストレージから検知プログラムを読み出して実行することにより、計時部201、検知制御部202、及び通知制御部203を実現する。なお、この実現方法は一例であり、この例に限られない。例えば、計時部201、検知制御部202、及び通知制御部203の、一部又は全てを、互いに協働して動作するハードウェア回路により構成しても良い。また、計時部201、検知制御部202、及び通知制御部203に限らず、その他のブロックも検知プログラムにより実現しても良い。
【0059】
計時部201は、例えばタイマーであり、時間を計測する。検知制御部202は、スイッチ113b,123bをオンオフ制御するとともに、第1の検知部114及び第2の検知部124から電流値を取得する。通知制御部203は、通知装置300を制御する。
【0060】
通知装置300は、例えば、ランプ、スピーカ、又はディスプレイである。通知装置300において、通知制御部203の制御に基づき、ランプが点灯し、スピーカが音を発し、又はディスプレイが画像又は文字を表示する。
【0061】
以下、本実施形態におけるライトトンネル6のY方向の保持状態の検知方法の一例について説明する。例えば、+Y方向へのネジ112aの移動、振動、又は経時的変化により、第1の調整部材112がライトトンネル6から離間することがある。この場合、ライトトンネル6が第1の弾性部材111及び第1の調整部材112の少なくとも一方から支持されなくなり、Y方向に移動可能になってしまう。
【0062】
ライトトンネル6が移動すると、画像形成部11に照射される光の位置も移動し、映像光にケラレが発生する虞がある。このため、以下のように、第1の弾性部材111及び第1の調整部材112の両方がライトトンネル6を保持しているかを検知することで、映像光にケラレが発生することを抑制することができる。
【0063】
図5は、ライトトンネル6の保持状態の検知方法の一例を示すフローチャートである。
図5に示すように、まず、検知制御部202は、計時部201の計測に基づき、所定の時間が経過したか否かを判定する(S1)。
【0064】
所定の時間が経過していない場合(S1:No)、当該所定の時間が経過するまで待機する。一方、検知制御部202は、所定の時間が経過した場合(S1:Yes)、スイッチ113bをオンにし(S2)、第1の検知部114がライトトンネル6の導電層66を通じた板バネ111aとネジ112aとの間の通電を検知したか否かを判定する(S3)。例えば、検知制御部202は、第1の検知部114が検出した電流値が所定の閾値を越えたか否かを判定する。
【0065】
板バネ111a及びネジ112aの少なくとも一方がライトトンネル6の導電層66から離間している場合、板バネ111aとネジ112aとの間において、電流は実質的に流れない。すなわち、第1の検知部114は、ライトトンネル6の導電層66を通じた板バネ111aとネジ112aとの間の通電を検知しない(S3:No)。この場合、通知制御部203が通知装置300をオンにし(S4)、第1の弾性部材111及び第1の調整部材112の少なくとも一方がライトトンネル6を支持していないことが通知される。通知装置300がオンにされると、スイッチ113bがオフにされ(S5)、検知制御部202が再び所定の時間待機する(S1)。
【0066】
通知装置300の通知により、例えば、プロジェクタ1のユーザ又は製造者が、第1の弾性部材111及び第1の調整部材112の少なくとも一方がライトトンネル6を支持していないことを認識できる。ユーザ又は製造者は、例えば、ネジ112aを操作によりライトトンネル6に向かって移動させ、ライトトンネル6の導電層66に接触させる。これにより、ライトトンネル6が第1の弾性部材111及び第1の調整部材112の両方に保持される。さらに、映像光にケラレが発生しないよう、ネジ112aによりライトトンネル6の位置が調整される。
【0067】
一方、板バネ111a及びネジ112aの両方がライトトンネル6の導電層66に接触している場合、ライトトンネル6の導電層66を通じて、板バネ111aとネジ112aとの間に電流が流れる。すなわち、第1の検知部114は、ライトトンネル6の導電層66を通じた板バネ111aとネジ112aとの間の通電を検知する(S3:Yes)。この場合、スイッチ113bがオフにされ(S5)、検知制御部202が再び所定の時間待機する(S1)。
【0068】
以上のように、制御装置200は、定期的に、第1の電源部113によって板バネ111aとネジ112aとに電流を印加するとともに、第1の検知部114によって導電層66を通じた板バネ111aとネジ112aとの間の通電を検知する。検知が行われる間隔は、任意に設定され得る。検知が行われる間隔が長ければ、電力消費が抑制される。検知が行われる間隔が短ければ、第1の弾性部材111及び第1の調整部材112の少なくとも一方がライトトンネル6を支持していないことが速やかに検知される。
【0069】
以上、ライトトンネル6のY方向の保持状態の検知方法の一例について説明したが、ライトトンネル6のX方向の保持状態の検知は、板バネ121a及びネジ122aを用いて同様に行うことが可能である。例えば、検知制御部202は、所定の時間が経過した場合(S1:Yes)、スイッチ123bをオンにし(S2)、第2の検知部124がライトトンネル6の導電層66を通じた板バネ121aとネジ122aとの間の通電を検知したか否かを判定する(S3)。その他の手順は、ライトトンネル6のY方向の保持状態を検知する場合と同様に行われる。
【0070】
検知制御部202は、スイッチ113b,123bのうち一方をオンにすることで、ライトトンネル6のY方向の保持状態と、ライトトンネル6のX方向の保持状態とを個別に検知することができる。一方で、例えば、導電層66が、板バネ111a及びネジ112aに接続される部分と、板バネ121a及びネジ122aに接続される部分と、に分けられている場合、検知制御部202は、ライトトンネル6のY方向及びX方向の保持状態を同時に検知することができる。
【0071】
以上説明された第1の実施形態のプロジェクタ1及び照明光学ユニット3aによれば、例えば、ライトトンネル6は、第1の弾性部材111によって+Y方向に支持されるとともに、第1の調整部材112によって-Y方向に支持される。しかし、第1の調整部材112は、ライトトンネル6から離間することが可能である。本実施形態では、ライトトンネル6の導電層66に、第1の弾性部材111の板バネ111aと、第1の調整部材112のネジ112aとが接触する。導電層66を通じた板バネ111aとネジ112aとの間の通電を検知することにより、ライトトンネル6が第1の弾性部材111及び第1の調整部材112の両方に支持されているか否かを検知することができる。従って、本実施形態のプロジェクタ1及び照明光学ユニット3aによれば、ライトトンネル6が第1の弾性部材111及び第1の調整部材112の少なくとも一方から離間することが抑制され、これにより、映像光にライトトンネル6の位置変化によるケラレが発生することが抑制される。
【0072】
第1の検知部114は、導電層66を通じた板バネ111aとネジ112aとの間の通電を検知する。第1の検知部114の検知結果により、ライトトンネル6が第1の弾性部材111及び第1の調整部材112の両方に支持されているか否かを検知することができるため、ライトトンネル6が第1の弾性部材111及び第1の調整部材112の少なくとも一方から離間することが抑制される。従って、映像光にライトトンネル6の位置変化によるケラレが発生することが抑制される。
【0073】
さらに、プロジェクタ1ではなく、照明光学ユニット3aの第1の検知部114が、導電層66を通じた板バネ111aとネジ112aとの間の通電を検知する。これにより、照明光学ユニット3aをプロジェクタ1に搭載する前に、ライトトンネル6が第1の弾性部材111及び第1の調整部材112の両方に支持されているか否かを検知することができるため、プロジェクタ1の完成後に映像光にケラレが発生する可能性を予め察知することができる。
【0074】
制御装置200は、定期的に、第1の電源部113によって板バネ111aとネジ112aとに電圧を印加するとともに、第1の検知部114によって導電層66を通じた板バネ111aとネジ112aとの間の通電を検知する。これにより、照明光学ユニット3aの完成後も、振動や経時的変化によりライトトンネル6が第1の弾性部材111及び第1の調整部材112の少なくとも一方から離間したことを速やかに検知することが可能となる。
【0075】
なお、制御装置200は、例えば、ユーザ若しくは製造者に操作された場合、又は製造時に、第1の電源部113によって板バネ111aとネジ112aとに電圧を印加するとともに、第1の検知部114によって導電層66を通じた板バネ111aとネジ112aとの間の通電を検知しても良い。これにより、定時的に検知が行われる場合に比べ、電力消費が抑制される。
【0076】
また、制御装置200の代わりに、例えば、ユーザ又は製造者が、板バネ111a及びネジ112aに電圧を印加し、例えば電流計によって導電層66を通じた板バネ111aとネジ112aとの間の通電を測定しても良い。ライトトンネル6に導電層66が設けられ、板バネ111a及びネジ112aが当該導電層66に電気的に接続可能であるため、このようなユーザ又は製造者による手動での検知が可能となる。これにより、第1の電源部113や第1の検知部114が不要となり、部品点数の増加が抑制される。
【0077】
(第2の実施形態)
以下、本発明が適用される投影機としてのプロジェクタの第2の実施形態について説明する。第2の実施形態では、プロジェクタ1が、ライトトンネル保持装置100と、制御装置200と、通知装置300とを有する。すなわち、第2の実施形態では、ライトトンネル保持装置100、制御装置200、及び通知装置300が、照明光学ユニット3aとは別に設けられても良い。
【0078】
第2の実施形態の制御装置200は、プロジェクタ1全体を制御する。すなわち、第1の実施形態における制御装置200は照明光学ユニット3aの制御装置であるが、第2の実施形態における制御装置200はプロジェクタ1の制御装置である。
【0079】
制御装置200は、第1の実施形態と同じく、第1の電源部113によって板バネ111aとネジ112aとに電流を印加するとともに、第1の検知部114によって導電層66を通じた板バネ111aとネジ112aとの間の通電を検知する。さらに、制御装置200は、投射光学ユニット3b、光源装置4、画像形成部11、及びプロジェクタ1の各部を制御する。
【0080】
以上説明された第2の実施形態のプロジェクタ1によれば、例えば、プロジェクタ1の第1の検知部114が、導電層66を通じた板バネ111aとネジ112aとの間の通電を検知する。これにより、プロジェクタ1の完成後に、プロジェクタ1を分解することなく、ライトトンネル6が第1の弾性部材111及び第1の調整部材112の両方に支持されているか否かを検知することが可能となる。
【0081】
プロジェクタ1の制御装置200が、定期的に、第1の電源部113によって板バネ111aとネジ112aとに電圧を印加するとともに、第1の検知部114によって導電層66を通じた板バネ111aとネジ112aとの間の通電を検知する。これにより、プロジェクタ1の完成後も、プロジェクタ1を分解することなく、振動や経時的変化によりライトトンネル6が第1の弾性部材111及び第1の調整部材112の少なくとも一方から離間したことを検知することが可能となる。
【0082】
上述の本発明の実施形態は、発明の範囲を限定するものではなく、発明の範囲に含まれる一例に過ぎない。本発明のある実施形態は、上述の実施形態に対して、例えば、具体的な用途、構造、形状、作用、及び効果の少なくとも一部について、発明の要旨を逸脱しない範囲において変更、省略、及び追加がされたものであっても良い。
【符号の説明】
【0083】
1 プロジェクタ
3 光学装置
3a 照明光学ユニット
6 ライトトンネル
62 外面
66 導電層
111 第1の弾性部材
111a 板バネ
112 第1の調整部材
112a ネジ
113 第1の電源部
114 第1の検知部
121 第2の弾性部材
121a 板バネ
122 第2の調整部材
122a ネジ
123 第2の電源部
124 第2の検知部
200 制御装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0084】