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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】重合性化合物及び液晶組成物
(51)【国際特許分類】
   C07C 69/54 20060101AFI20221220BHJP
   C09K 19/56 20060101ALI20221220BHJP
   C09K 19/54 20060101ALI20221220BHJP
   C09K 19/38 20060101ALI20221220BHJP
   C07D 319/06 20060101ALI20221220BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
C07C69/54 Z CSP
C09K19/56
C09K19/54 Z
C09K19/38
C07D319/06
G02F1/13 500
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020137886
(22)【出願日】2020-08-18
(62)【分割の表示】P 2019525278の分割
【原出願日】2018-05-29
(65)【公開番号】P2021001172
(43)【公開日】2021-01-07
【審査請求日】2021-03-25
(31)【優先権主張番号】P 2017115118
(32)【優先日】2017-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177471
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 眞治
(74)【代理人】
【識別番号】100163290
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 明洋
(74)【代理人】
【識別番号】100149445
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 孝幸
(72)【発明者】
【氏名】細野 礼貴
(72)【発明者】
【氏名】林 正直
【審査官】中島 芳人
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/114093(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 69/54
C09K 19/56
C09K 19/54
C09K 19/38
C07D 319/06
G02F 1/13
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(i)で表される化合物。
【化1】
(式中、
i1は、水素原子、炭素原子数1~40の直鎖又は分岐のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、又はPi1-Spi1-を表し、
該アルキル基中の-CH-は酸素原子が直接隣接しないように-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-NH-、-COO-又は-OCO-で置換されてもよく、
i1は1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキシレン基から選択される環構造を表し、
これらの環構造中の水素原子は炭素原子数1~12のアルキル基、炭素原子数1~12のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1~12のアルコキシ基、炭素原子数1~12のハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基若しくはPi1-Spi1-で置換されていてもよく、
i1は、単結合又は炭素原子数2~10のアルキレン基を表し、
このアルキレン基中の1個又は隣接しない2個以上の-CH-は-O-、-COO-又は-OCO-で置換されてもよく、
i1は一般式(K-1’)~(K-2’)
【化2】
で表される基を表し、
、S、S及びSは炭素数1~6のアルキレン基又は単結合を表すが、
ここでS及びSのうち少なくとも一つは炭素数1~6のアルキレン基を表し、
はC又はSiを表し、
P及びPi1は以下の式(P-1)~式(P-2)
【化3】
で表される基を表し、
Spi1はスペーサー基又は単結合を表し、
i1は、2~4の整数を表し、
一般式(i)中にAi1、Zi1、Pi1及びSpi1が複数存在する場合、それらは同一であっても異なっていても良い。)
【請求項2】
一般式(i)記載のKi1が(K-1’)である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の化合物、重合性化合物及び非重合性液晶化合物を含有する液晶組成物。
【請求項4】
前記重合性化合物として、一般式(P):
【化4】
(式中、
p1は、フッ素原子、シアノ基、水素原子、水素原子がハロゲン原子に置換されていてもよい炭素原子数1~15のアルキル基、水素原子がハロゲン原子に置換されていてもよい炭素原子数1~15のアルコキシ基、水素原子がハロゲン原子に置換されていてもよい炭素原子数1~15のアルケニル基、水素原子がハロゲン原子に置換されていてもよい炭素原子数1~15のアルケニルオキシ基又は-Spp2-Rp2を表し、
p1及びRp2は、以下の式(R-I)~式(R-VIII):
【化5】
(式中、
*でSpp1と結合し、
~Rは、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1~5個のアルキル基又は炭素原子数1~5個のハロゲン化アルキル基を表し、
Wは、単結合、-O-又はメチレン基を表し、
Tは、単結合又は-COO-を表し、
p、t及びqは、それぞれ独立して、0、1又は2を表す。)
のいずれかを表し、
Spp1及びSpp2はスペーサー基を表し、
p1及びLp2は、それぞれ独立して、単結合、-O-、-S-、-CH-、-OCH-、-CHO-、-CO-、-C-、-COO-、-OCO-、-OCOOCH-、-CHOCOO-、-OCHCHO-、-CO-NR-、-NR-CO-、-SCH-、-CHS-、-CH=CR-COO-、-CH=CR-OCO-、-COO-CR=CH-、-OCO-CR=CH-、-COO-CR=CH-COO-、-COO-CR=CH-OCO-、-OCO-CR=CH-COO-、-OCO-CR=CH-OCO-、-(CH-C(=O)-O-、-(CH-O-(C=O)-、-O-(C=O)-(CH-、-(C=O)-O-(CH-、-CH=CH-、-CF=CF-、-CF=CH-、-CH=CF-、-CF-、-CFO-、-OCF-、-CFCH-、-CHCF-、-CFCF-又は-C≡C-(式中、Rはそれぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1~4のアルキル基を表し、zは1~4の整数を表す。)を表し、
p2は、1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキシレン基、アントラセン-2,6-ジイル基、フェナントレン-2,7-ジイル基、ピリジン-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基、インダン-2,5-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、1,3-ジオキサン-2,5-ジイル基又は単結合を表すが、
p2は無置換であるか又は炭素原子数1~12のアルキル基、炭素原子数1~12のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1~12のアルコキシ基、炭素原子数1~12のハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基若しくは-Rp1で置換されていてもよく、
p1は、以下の式(i-11)~(ix-11):
【化6】
(式中、
*でSpp1と結合し、
**でLp1、Lp2又はZp1と結合する。)
のいずれかを表し、
p3は、以下の式(i-13)~(ix-13):
【化7】
(式中、
*でZp1と結合し、
**でLp2と結合する。)
のいずれかを表し、
p2~mp4は、それぞれ独立して0、1、2又は3を表し、
p1及びmp5は、それぞれ独立して1、2又は3を表し、
p1が複数存在する場合にはそれらは互いに同一であっても異なっていてもよく、
p1が複数存在する場合にはそれらは互いに同一であっても異なっていてもよく、
p2が複数存在する場合にはそれらは互いに同一であっても異なっていてもよく、
Spp1が複数存在する場合にはそれらは互いに同一であっても異なっていてもよく、
Spp2が複数存在する場合にはそれらは互いに同一であっても異なっていてもよく、
p1が複数存在する場合にはそれらは互いに同一であっても異なっていてもよく、
p2が複数存在する場合にはそれらは互いに同一であっても異なっていてもよい。)
で表される化合物を1種又は2種以上含有する、請求項3に記載の液晶組成物。
【請求項5】
請求項3又は4記載の液晶組成物を用いた二つの基板のうち少なくとも一方の基板が配向膜を有さない液晶表示素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重合性化合物、液晶組成物、及び液晶表示素子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、VA方式の液晶ディスプレイでは、電圧無印加時に液晶分子の垂直配向を誘起し、電圧印加時に液晶分子の水平配向を実現するために、電極上にポリイミド配向膜(PI)層が設けられている。しかし、PI層の製膜には多大なコストを要するため、近年では、PI層を省きつつも、液晶分子の配向を実現するための方法が検討されている。
【0003】
例えば特許文献1には、負の誘電異方性を有する極性化合物の混合物を基礎とし、少なくとも1種類の自発配向性添加剤を含有することを特徴とする液晶媒体が開示され、この液晶媒体が配向層を一切含有しないディスプレイにおける使用に高度に適している旨が記載されている。そして、特許文献1では、自発配向性添加剤として、水酸基を有する特定の化合物が用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特表2014-524951号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、本発明者らの検討によれば、特許文献1に記載されている自己配向性添加剤を用いた場合、液晶分子を垂直に配向させる配向規制力及び配向ムラ等の電気光学特性において未だ十分ではなく、また、該自発配向性添加剤を含有した液晶組成物の保存性の点で改善の余地があることが判明した。
【0006】
そこで、本発明の目的は、液晶組成物に添加した際に保存性を確保でき、PI層を設けなくとも液晶分子の配向を可能にすることができる極性基を有する重合性化合物を提供することにある。また、本発明の他の目的は、保存性に優れ、PI層を設けなくとも液晶分子の垂直配向が可能な液晶組成物、及び該液晶組成物を用いた液晶表示素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、一般式(i)で表される化合物を提供する。
【0008】
【化1】
【0009】
(式中、
i1はそれぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1~40の直鎖又は分岐のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、又はPi1-Spi1-を表し、該アルキル基中の-CH-は酸素原子が直接隣接しないように-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-NH-、-COO-又は-OCO-で置換されてもよく、Ai1は、単結合、2価の6員環芳香族基、2価の6員環複素芳香族基、2価の6員環脂肪族基、又は2価の6員環複素脂肪族基を表し、これらの環構造中の水素原子はハロゲン原子、Pi1-Spi1-、Ki1で表される置換基を有する1価の有機基、Ki1又はRi1で置換されていてもよく、Zi1は、単結合、-CH=CH-、-CF=CF-、-C≡C-、-COO-、-OCO-、-OCOO-、-OOCO-、-CFO-、-OCF-、-CH=CHCOO-、-OCOCH=CH-、-CH=C(CH)COO-、-OCOC(CH)=CH-、-CH-CH(CH)COO-、-OCOCH(CH)―CH-、-OCHCHO-、又は炭素原子数2~20のアルキレン基を表し、このアルキレン基中の1個又は隣接しない2個以上の-CH-は-O-、-COO-又は-OCO-で置換されてもよく、Ki1は一般式(K-1)~(K-3)で表される基を表し、XK1及びYK1は、それぞれ独立して、-CH-、酸素原子又は硫黄原子を表し、ZK1は、酸素原子又は硫黄原子を表し、S、S3、S及びSは炭素数1~6のアルキル基及び、単結合であり、S2はC、N、及びSiを表し、X及びXは、OH、NH、NHRil、CHO、COOH、SH、Ri1又はPを表すが少なくとも何れか一つはOH、NH、NHRil、CHO、COOH、SHを表し、P及びPi1は重合性基を表し、Spi1はスペーサー基又は単結合を表し、mi1は、1~4の整数を表し、nは0又は1を表し、一般式(i)中にRi1、Ai1、Zi1、Ki1、XK1、YK1、ZK1、S、S2、S3、S4、S、Pi1、Spi1及びnが複数存在する場合、それらは同一であっても異なっていても良いが、ただしSが単結合を表し且つXがOHを表す場合は、nは1である。)
【0010】
【化2】
【0011】
また、本発明は、一般式(i)で表される化合物を1種又は2種以上含有する液晶組成物を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、保存性に優れ、PI層を設けなくとも液晶分子の均一な垂直配向を可能な重合性化合物、液晶組成物、及び該液晶組成物を用いた液晶表示素子の提供が可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本実施形態の重合性化合物は、一般式(i)で表される化合物である。
【0014】
【化3】
【0015】
一般式(i)中のKi1は、以下の一般式(K-1)~(K-3)で表される基を表す。
【0016】
【化4】
【0017】
一般式(i)で表される化合物は、特に一般式(K-1)~(K-3)で表される部分構造を有するため、液晶組成物に用いられた際に、液晶組成物(液晶層)を挟持する基板に配向し、液晶分子を垂直方向に配向させた状態で保持することができる。したがって、本実施形態の重合性化合物を用いた液晶組成物によれば、PI層を設けなくとも液晶分子を配向させる(電圧無印加時に液晶分子の垂直配向を誘起し、電圧印加時に液晶分子の水平配向を実現する)ことが可能となる。このように、化合物(i)は、液晶組成物における液晶分子の垂直配向を助けるために好適に使用される。
【0018】
加えて、本発明者らは、本実施形態の式(i)で表される重合性化合物が一般式(K-1)~(K-3)で表される部分構造を有することにより、液晶分子の配向のみならず、液晶組成物の保存性安定性を確保できることを見出した。
【0019】
以上の観点から、本実施形態の重合性化合物は、分子の末端、好ましくは分子の主鎖の末端に、一般式(K-1)~(K-3)で表される部分構造を有していればよく、一般式(K-1)~(K-3)で表される部分構造が結合する結合先の化学構造は、液晶組成物の機能を阻害しない範囲であれば特に制限されない。
【0020】
式(i)中のKi1は液晶組成物を垂直配向させるために重要な構造であり、極性基と重合基が隣接していることにより良好な配向性が得られ、また液晶組成物への良好な溶解性を示す。また、信頼性を重視する場合は、Ail部に重合基を導入することで容易に多官能化が図れ、強固なポリマーを構築することができる。液晶の配向性を重要視する場合は、一般式(K-1)が好ましく、液晶化合物への溶解性を重要視する場合は、一般式(K-2)及び一般式(K-3)が好ましい。S、S3、S及びSは炭素数1~3のアルキル基及び、単結合が好ましく、Sは炭素が好ましく、XK1及びYK1は、酸素原子が好ましい。ZK1は、酸素原子又は硫黄原子を表すがVHRの観点から、酸素原子が好ましく、X及びXは、-OH、-CHO、-COOH、-SH、及び-Pが好ましいが、特にOHがより好ましい。nは0又は1を表すが、1を表すことが好ましい。nが0を表し且つS2がC又はSiを表す場合、S2はCH又はSiHを表す。
【0021】
一般式(K-1)~(K-3)の好ましい例としては以下の(K-1-1)~(K-1-10)が挙げられるが、配向性や反応性の点から、式(K-1-1)、(K-2-1)、(K-1-2)~(K-1-4)、(K-3-1)及び(K-1-10)が好ましく、特に好ましくは式(K-1-1)、(K-2-1)、(K-1-3)、及び(K-1-4)が挙げられる。
【0022】
【化5】
【0023】
式(i)中、P及びPi1はそれぞれ独立して以下の一般式(P-1)~一般式(P-14)で表される群より選ばれる置換基を表すことが好ましい。取り扱いの簡便性、反応性の点から、式(P-1)、(P-2)が、さらに好ましい。
【0024】
【化6】
【0025】
(式中、右端の黒点は結合手を表す。)
式(i)中、Spi1は、好ましくは炭素原子数1~18の直鎖状アルキレン基又は単結合を表し、より好ましくは炭素原子数2~15の直鎖状アルキレン基又は単結合を表し、更に好ましくは炭素原子数2~8の直鎖状アルキレン基又は単結合を表す。
【0026】
式(i)中、Zi1は、好ましくは、単結合、-CH=CH-、-C≡C-、-COO-、-OCO-、-OCOO-、-OOCO-、-CH=CHCOO-、-OCOCH=CH-、-CH=C(CH)COO-、-OCOC(CH)=CH-、-CH-CH(CH)COO-、-OCOCH(CH)―CH-、-OCHCHO-、炭素原子数1~40の直鎖状又は分岐状のアルキレン基、又は該アルキレン基中の1個又は隣接しない2個以上の-CH-が-O-で置換された基を表し、より好ましくは、単結合、-COO-、-OCO-、-CH=CHCOO-、-OCOCH=CH-、-CH=C(CH)COO-、-OCOC(CH)=CH-、-CH-CH(CH)COO-、-OCOCH(CH)―CH-、-OCHCHO-、炭素原子数1~10の直鎖状又は分岐状のアルキレン基、又は該アルキレン基中の1個又は隣接しない2個以上の-CH-が-O-で置換された基を表し、より好ましくは、単結合、炭素原子数2~15の直鎖状のアルキレン基、又は該アルキレン基中の1個又は隣接しない2個以上の-CH-が-O-で置換された基を表し、更に好ましくは、単結合、-COO-、-OCO-、-OCOO-、-OOCO-、-OCHCHO-、又は炭素原子数2のアルキレン基(エチレン基(-CHCH-))若しくはエチレン基中の-CH-の1個が-O-で置換された基(-CHO-、-OCH-)、若しくはエチレン基中の-CH-の1個が-COO-、-OCO-で置換された基(-CH-CHCOO-、-OCOCH-CH-)である。
【0027】
i1は、好ましくは水素原子、炭素原子数1~20の直鎖又は分岐のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、又はP-Sp-を表し、該アルキル基中の-CH-は、-O-、-OCO-、又は-COO-、-C=C-で置換されることが良く(ただし-O-は連続にはならない)、より好ましくは、炭素原子数1~18の直鎖又は分岐のアルキル基、又はPi1-Spi1-を表し、該アルキル基中の-CH-は、-O-、-OCO-で置換(ただし-O-は連続にはならない)されても良い。
【0028】
i1は、単結合、又は1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキシレン基、アントラセン-2,6-ジイル基、フェナントレン-2,7-ジイル基、ピリジン-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基、インダン-2,5-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基及び1,3-ジオキサン-2,5-ジイル基から選択される環構造を表し、該環構造は無置換であるか又は炭素原子数1~12のアルキル基、炭素原子数1~12のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1~12のアルコキシ基、炭素原子数1~12のハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基若しくはPi1-Spi1-で置換されていてもよい基を表すことが好ましい。好ましくは、2価の6員環芳香族基又は2価の6員環脂肪族基を表すが、2価の無置換の6員環芳香族基、2価の無置換の6員環脂肪族基、又はこれらの環構造中の水素原子が炭素原子数1~6のアルキル基、炭素原子数1~6のアルコキシ基、ハロゲン原子又はP-Sp-で置換された基であることが好ましく、2価の無置換の6員環芳香族基若しくはこの環構造中の水素原子がフッ素原子で置換された基、又は2価の無置換の6員環脂肪族基が好ましく、置換基上の水素原子がハロゲン原子、アルキル基又はアルコキシ基、P-Sp-によって置換されていても良い1,4-フェニレン基、2,6-ナフタレン基又は1,4-シクロヘキシル基がより好ましい。mi1は、好ましくは2~5の整数を表し、更に好ましくは2~3の整数を表す。
【0029】
Pは重合性基を表し、また重合性基であるPは、(P-1)~(P-3)、(P-13)、(P-14)のいずれかの置換基が好ましい。
【0030】
一般式(i)において、Zi1とKi1中のSとの連結部分である「-Zi1-S-」は、-O-(CH)n-、-(CH)n-O-(CH)m-、-COO-(CH)n-、-OCO-(CH)n-を表すことが好ましい(n及びmは、1~6の整数を表す。)
一般式(i)のより具体的な例としては、下記式(R-1-1)~(R-1-25)に表すがこれに限られたものではない。
【0031】
【化7】
【0032】
【化8】
【0033】
【化9】
【0034】
【化10】
【0035】
一般式(i)で表される化合物のより具体的な化合物の例として、下記(P-1-1)から(P-1-27)を以下に示す。
【0036】
【化11】
【0037】
【化12】
【0038】
【化13】
【0039】
【化14】
【0040】
【化15】
【0041】

【0042】
(製法1)一般式(P-1-1)及び(P-1-12)に表される化合物の製造
3-フルオロ-4-(オクチルオキシ)フェニルホウ酸と4-ブロモサリチルアルデヒドとのパラジウム触媒を用いた鈴木カップリング反応を行い(S-1)を得る。次いで、5-(ブロモメチル)-2,2-ジメチル-1,3-ジオキサン-5-イル)メタノールとのエーテル化反応及び、水素化ホウ素ナトリウムでの還元反応によりアルコール誘導体(S-3)を得る。更に塩化メタクリルとのエステル化反応、塩酸による脱ケタール反応により、本発明の重合基を有するジオール化合物(P-1-12)を得る。更にクロロギ酸エチルによるカーボネート化反応により目的物(P-1-1)を得ることができる。
【0043】
【化16】
【0044】
(製法2)一般式(P-1-5)に表される化合物の製造
4-(オクチルオキシ)フェニルホウ酸と4-(4-ブロモ-2-フルオロ)フェニルフェノールとの鈴木カップリング反応を行い(S-4)を得る。次いで、臭素による臭素化、及び5-(ブロモメチル)-2,2-ジメチル-1,3-ジオキサン-5-イル)メタノールとのエーテル化反応によりアルコール誘導体(S-5)を得る。更にプロパルギルアルコールとの園頭反応によりアルコール誘導体(S-6)を得る。次いで塩化メタクリルとのエステル化反応、塩酸による脱ケタール反応した後、クロロギ酸エチルによるカーボネート化反応により目的物(P-1-5)を得ることができる。
【0045】
【化17】
【0046】
(製法3)一般式(P-1-6)に表される化合物の製造
3-フルオロ-4-(オクチルオキシ)フェニルホウ酸と4-ブロモフェノールとの鈴木カップリング反応を行い(S-7)を得る。次いで、臭素による臭素化、及び5-(ブロモメチル)-2,2-ジメチル-1,3-ジオキサン-5-イル)メタノールとのエーテル化反応によりアルコール誘導体(S-8)を得る。更にプロパルギルアルコールとの園頭反応によりアルコール誘導体(S-6)を得る。次いで塩化メタクリルとのエステル化反応した後、塩酸による脱ケタール反応を行い目的物(P-1-6)を得ることができる。
【0047】
【化18】
【0048】
(製法4)一般式(P-1-9)に表される化合物の製造
3-ブロモ-4-(3‘-フルオロ-4’-(オクチルオキシ)フェニル)フェノールとび(5-ヒドロキシメチル-2,2-ジメチル-1,3,5-ジオキサシラン-5-イル)メタンスルホン酸とのエーテル化反応によりアルコール誘導体(S-10)を得る。更にプロパルギルアルコールとの園頭反応によりアルコール誘導体(S-11)を得る。次いで塩化メタクリルとのエステル化反応した後、塩酸による脱ケタール反応を行い目的物(P-1-9)を得ることができる。
【0049】
【化19】
【0050】
(液晶組成物)
本実施形態の液晶組成物は、上記一般式(i)で表される化合物を1種又は2種以上含有する。この液晶組成物は、負の誘電率異方性(Δε)を有することが好ましい。なお、液晶組成物に含有される一般式(i)で表される化合物は、式(R-1-1)~(R-1-25)に示される化合物を含めて、上記の化合物(i)と同じであるため、ここでは説明を省略する。
【0051】
一般式(i)で表される化合物の含有量は、好ましくは0.01~50質量%であるが、その下限値は、液晶分子を更に好適に配向させられる観点から、液晶組成物全量を基準として、好ましくは、0.01質量%以上、0.1質量%以上、0.5質量%以上、0.7質量%以上、又は1質量%以上である。化合物(i)の含有量の上限値は、応答特性に優れる観点から、液晶組成物全量を基準として、好ましくは、50質量%以下、30質量%以下、10質量%以下であり、7質量%以下、5質量%以下、4質量%以下、又は3質量%以下である。
【0052】
液晶組成物は、一般式(N-1)、(N-2)及び(N-3):
【0053】
【化20】
【0054】
のいずれかで表される化合物群から選ばれる化合物を更に含有してもよい。
【0055】
式(N-1)、(N-2)及び(N-3)中、
N11、RN12、RN21、RN22、RN31及びRN32は、それぞれ独立して炭素原子数1~8のアルキル基を表し、該アルキル基中の1個又は隣接していない2個以上の-CH-は、それぞれ独立して、-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-CO-、-COO-又は-OCO-によって置換されていてもよく、
N11、AN12、AN21、AN22、AN31及びAN32は、それぞれ独立して、
(a) 1,4-シクロヘキシレン基(この基中に存在する1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-は-O-に置換されてもよい。)、
(b) 1,4-フェニレン基(この基中に存在する1個の-CH=又は隣接していない2個以上の-CH=は-N=に置換されてもよい。)、
(c) ナフタレン-2,6-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基又はデカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基(ナフタレン-2,6-ジイル基又は1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基中に存在する1個の-CH=又は隣接していない2個以上の-CH=は-N=に置換されてもよい。)、及び
(d) 1,4-シクロヘキセニレン基
からなる群より選ばれる基を表し、前記の基(a)、基(b)、基(c)及び基(d)は、それぞれ独立して、シアノ基、フッ素原子又は塩素原子で置換されていてもよく、
N11、ZN12、ZN21、ZN22、ZN31及びZN32は、それぞれ独立して、単結合、-CHCH-、-(CH-、-OCH-、-CHO-、-COO-、-OCO-、-OCF-、-CFO-、-CH=N-N=CH-、-CH=CH-、-CF=CF-又は-C≡C-を表し、
N21は、水素原子又はフッ素原子を表し、
N31は、-CH-又は酸素原子を表し、
N11、nN12、nN21、nN22、nN31及びnN32は、それぞれ独立して0~3の整数を表すが、nN11+nN12、nN21+nN22及びnN31+nN32は、それぞれ独立して1、2又は3であり、
N11~AN32、ZN11~ZN32がそれぞれ複数存在する場合は、それぞれは互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0056】
一般式(N-1)、(N-2)及び(N-3)のいずれかで表される化合物は、Δεが負でその絶対値が3よりも大きな化合物であることが好ましい。
【0057】
一般式(N-1)、(N-2)及び(N-3)中、RN11、RN12、RN21、RN22、RN31及びRN32はそれぞれ独立して、炭素原子数1~8のアルキル基、炭素原子数1~8のアルコキシ基、炭素原子数2~8のアルケニル基又は炭素原子数2~8のアルケニルオキシ基が好ましく、炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数1~5のアルコキシ基、炭素原子数2~5のアルケニル基又は炭素原子数2~5のアルケニルオキシ基が好ましく、炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数2~5のアルケニル基が更に好ましく、炭素原子数2~5のアルキル基又は炭素原子数2~3のアルケニル基が更に好ましく、炭素原子数3のアルケニル基(プロペニル基)が特に好ましい。
【0058】
また、それが結合する環構造がフェニル基(芳香族)である場合には、直鎖状の炭素原子数1~5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1~4のアルコキシ基及び炭素原子数4~5のアルケニル基が好ましく、それが結合する環構造がシクロヘキサン、ピラン及びジオキサンなどの飽和した環構造の場合には、直鎖状の炭素原子数1~5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1~4のアルコキシ基及び直鎖状の炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましい。ネマチック相を安定化させるためには炭素原子及び存在する場合酸素原子の合計が5以下であることが好ましく、直鎖状であることが好ましい。
【0059】
アルケニル基としては、式(R1)から式(R5)のいずれかで表される基から選ばれることが好ましい(各式中の黒点は結合手を表す。)。
【0060】
【化21】
【0061】
N11、AN12、AN21、AN22、AN31及びAN32はそれぞれ独立してΔnを大きくすることが求められる場合には芳香族であることが好ましく、応答速度を改善するためには脂肪族であることが好ましく、トランス-1,4-シクロへキシレン基、1,4-フェニレン基、2-フルオロ-1,4-フェニレン基、3-フルオロ-1,4-フェニレン基、3,5-ジフルオロ-1,4-フェニレン基、2,3-ジフルオロ-1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキセニレン基、1,4-ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ピペリジン-1,4-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基又は1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基を表すことが好ましく、下記の構造:
【0062】
【化22】
【0063】
を表すことがより好ましく、トランス-1,4-シクロへキシレン基、1,4-シクロヘキセニレン基又は1,4-フェニレン基を表すことがより好ましい。
【0064】
N11、ZN12、ZN21、ZN22、ZN31及びZN32はそれぞれ独立して-CHO-、-CFO-、-CHCH-、-CFCF-又は単結合を表すことが好ましく、-CHO-、-CHCH-又は単結合が更に好ましく、-CHO-又は単結合が特に好ましい。
【0065】
N21はフッ素原子が好ましい。
【0066】
N31は酸素原子が好ましい。
【0067】
N11+nN12、nN21+nN22及びnN31+nN32は1又は2が好ましく、nN11が1でありnN12が0である組み合わせ、nN11が2でありnN12が0である組み合わせ、nN11が1でありnN12が1である組み合わせ、nN11が2でありnN12が1である組み合わせ、nN21が1でありnN22が0である組み合わせ、nN21が2でありnN22が0である組み合わせ、nN31が1でありnN32が0である組み合わせ、nN31が2でありnN32が0である組み合わせ、が好ましい。
【0068】
本実施形態の組成物の総量に対しての式(N-1)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1質量%以上であり、10質量%以上であり、20質量%以上であり、30質量%以上であり、40質量%以上であり、50質量%以上であり、55質量%以上であり、60質量%以上であり、65質量%以上であり、70質量%以上であり、75質量%以上であり、80質量%以上である。好ましい含有量の上限値は、95質量%以下であり、85質量%以下であり、75質量%以下であり、65質量%以下であり、55質量%以下であり、45質量%以下であり、35質量%以下であり、25質量%以下であり、20質量%以下である。
【0069】
本実施形態の組成物の総量に対しての式(N-2)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1質量%以上であり、10質量%以上であり、20質量%以上であり、30質量%以上であり、40質量%以上であり、50質量%以上であり、55質量%以上であり、60質量%以上であり、65質量%以上であり、70質量%以上であり、75質量%以上であり、80質量%以上である。好ましい含有量の上限値は、95質量%以下であり、85質量%以下であり、75質量%以下であり、65質量%以下であり、55質量%以下であり、45質量%以下であり、35質量%以下であり、25質量%以下であり、20質量%以下である。
【0070】
本実施形態の組成物の総量に対しての式(N-3)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1質量%以上であり、10質量%以上であり、20質量%以上であり、30質量%以上であり、40質量%以上であり、50質量%以上であり、55質量%以上であり、60質量%以上であり、65質量%以上であり、70質量%以上であり、75質量%以上であり、80質量%以上である。好ましい含有量の上限値は、95質量%以下であり、85質量%以下であり、75質量%以下であり、65質量%以下であり、55質量%以下であり、45質量%以下であり、35質量%以下であり、25質量%以下であり、20質量%以下である。
【0071】
本実施形態の組成物の粘度を低く保ち、応答速度が速い組成物が必要な場合は上記の下限値が低く上限値が低いことが好ましい。さらに、本実施形態の組成物のTniを高く保ち、温度安定性の良い組成物が必要な場合は上記の下限値が低く上限値が低いことが好ましい。また、駆動電圧を低く保つために誘電率異方性を大きくしたいときは、上記の下限値を高く上限値が高いことが好ましい。
【0072】
一般式(N-1)で表される化合物として、下記の一般式(N-1a)~(N-1g)で表される化合物群を挙げることができる。
【0073】
【化23】
【0074】
(式中、RN11及びRN12は一般式(N-1)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表し、nNa11は0又は1を表し、nNb11は0又は1を表し、nNc11は0又は1を表し、nNd11は0又は1を表し、nNe11は1又は2を表し、nNf11は1又は2を表し、nNg11は1又は2を表し、ANe11はトランス-1,4-シクロへキシレン基又は1,4-フェニレン基を表し、ANg11はトランス-1,4-シクロへキシレン基、1,4-シクロヘキセニレン基又は1,4-フェニレン基を表すが少なくとも1つは1,4-シクロヘキセニレン基を表し、ZNe 11は単結合又はエチレンを表すが少なくとも1つはエチレンを表す。)
より具体的には、一般式(N-1)で表される化合物は、一般式(N-1-1)~(N-1-21)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
【0075】
一般式(N-1-1)で表される化合物は下記の化合物である。
【0076】
【化24】
【0077】
(式中、RN111及びRN112はそれぞれ独立して、一般式(N)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表す。)
N111は炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましく、プロピル基、ペンチル基又はビニル基が好ましい。RN112は炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数4~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基が好ましく、エトキシ基又はブトキシ基が好ましい。
【0078】
一般式(N-1-1)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0079】
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を多めに設定すると効果が高く、TNIを重視する場合は含有量を少なめに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0080】
本実施形態の組成物の総量に対しての式(N-1-1)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、5質量%以上であり、10質量%以上であり、13質量%以上であり、15質量%以上であり、17質量%以上であり、20質量%以上であり、23質量%以上であり、25質量%以上であり、27質量%以上であり、30質量%以上であり、33質量%以上であり、35質量%以上である。好ましい含有量の上限値は、本実施形態の組成物の総量に対して、50質量%以下であり、40質量%以下であり、38質量%以下であり、35質量%以下であり、33質量%以下であり、30質量%以下であり、28質量%以下であり、25質量%以下であり、23質量%以下であり、20質量%以下であり、18質量%以下であり、15質量%以下であり、13質量%以下であり、10質量%以下であり、8質量%以下であり、7質量%以下であり、6質量%以下であり、5質量%以下であり、3質量%以下である。
【0081】
さらに、一般式(N-1-1)で表される化合物は、式(N-1-1.1)から式(N-1-1.23)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(N-1-1.1)~(N-1-1.4)で表される化合物であることが好ましく、式(N-1-1.1)及び式(N-1-1.3)で表される化合物が好ましい。
【0082】
【化25】
【0083】
式(N-1-1.1)~(N-1-1.22)で表される化合物は単独で使用することも、組み合わせて使用することも可能であるが、本実施形態の組成物の総量に対しての単独又はこれら化合物の好ましい含有量の下限値は、5質量%以上であり、上限値は、本実施形態の組成物の総量に対して、50質量%以下である。
【0084】
また本発明の液晶組成物は、重合性化合物を更に含有してもよい。重合性化合物は、液晶組成物に用いられる公知の重合性化合物であってよい。重合性化合物の例としては、一般式(P):
【0085】
【化26】
【0086】
で表される化合物が挙げられる。
【0087】
式(P)中、
p1は、フッ素原子、シアノ基、水素原子、水素原子がハロゲン原子に置換されていてもよい炭素原子数1~15のアルキル基、水素原子がハロゲン原子に置換されていてもよい炭素原子数1~15のアルコキシ基、水素原子がハロゲン原子に置換されていてもよい炭素原子数1~15のアルケニル基、水素原子がハロゲン原子に置換されていてもよい炭素原子数1~15のアルケニルオキシ基又は-Spp2-Rp2を表し、
p1及びRp2は、以下の式(R-I)~式(R-VIII):
【0088】
【化27】
【0089】
(式中、
*でSpp1と結合し、
~Rは、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1~5個のアルキル基又は炭素原子数1~5個のハロゲン化アルキル基を表し、
Wは、単結合、-O-又はメチレン基を表し、
Tは、単結合又は-COO-を表し、
p、t及びqは、それぞれ独立して、0、1又は2を表す。)
のいずれかを表し、
Spp1及びSpp2はスペーサー基を表し、
p1及びLp2は、それぞれ独立して、単結合、-O-、-S-、-CH-、-OCH-、-CHO-、-CO-、-C-、-COO-、-OCO-、-OCOOCH-、-CHOCOO-、-OCHCHO-、-CO-NR-、-NR-CO-、-SCH-、-CHS-、-CH=CR-COO-、-CH=CR-OCO-、-COO-CR=CH-、-OCO-CR=CH-、-COO-CR=CH-COO-、-COO-CR=CH-OCO-、-OCO-CR=CH-COO-、-OCO-CR=CH-OCO-、-(CH-C(=O)-O-、-(CH-O-(C=O)-、-O-(C=O)-(CH-、-(C=O)-O-(CH-、-CH=CH-、-CF=CF-、-CF=CH-、-CH=CF-、-CF-、-CFO-、-OCF-、-CFCH-、-CHCF-、-CFCF-又は-C≡C-(式中、Rはそれぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1~4のアルキル基を表し、zは1~4の整数を表す。)を表し、
p2は、1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキシレン基、アントラセン-2,6-ジイル基、フェナントレン-2,7-ジイル基、ピリジン-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基、インダン-2,5-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、1,3-ジオキサン-2,5-ジイル基又は単結合を表すが、Mp2は無置換であるか又は炭素原子数1~12のアルキル基、炭素原子数1~12のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1~12のアルコキシ基、炭素原子数1~12のハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基若しくは-Rp1で置換されていてもよく、
p1は、以下の式(i-11)~(ix-11):
【0090】
【化28】
【0091】
(式中、*でSpp1と結合し、**でLp1、Lp2又はZp1と結合する。)
のいずれかを表し、
p1上の任意の水素原子は炭素原子数1~12のアルキル基、炭素原子数1~12のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1~12のアルコキシ基、炭素原子数1~12のハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基若しくは-Rp1で置換されていてもよく、
p3は、以下の式(i-13)~(ix-13):
【0092】
【化29】
【0093】
(式中、*でZp1と結合し、**でLp2と結合する。)
のいずれかを表し、
p3上の任意の水素原子は炭素原子数1~12のアルキル基、炭素原子数1~12のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1~12のアルコキシ基、炭素原子数1~12のハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基若しくは-Rp1で置換されていてもよく、
p2~mp4は、それぞれ独立して0、1、2又は3を表し、
p1及びmp5は、それぞれ独立して1、2又は3を表し、
p1が複数存在する場合にはそれらは互いに同一であっても異なっていてもよく、Rp1が複数存在する場合にはそれらは互いに同一であっても異なっていてもよく、Rp2が複数存在する場合にはそれらは互いに同一であっても異なっていてもよく、Spp1が複数存在する場合にはそれらは互いに同一であっても異なっていてもよく、Spp2が複数存在する場合にはそれらは互いに同一であっても異なっていてもよく、Lp1が複数存在する場合にはそれらは互いに同一であっても異なっていてもよく、Mp2が複数存在する場合にはそれらは互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0094】
本実施形態の液晶組成物が化合物(i)に加えて一般式(P)で表される重合性化合物を更に含有する場合、液晶分子のプレチルト角を好適に形成できる。一般式(P)で表される重合性化合物の具体的な例として(P-2-1)~(P-2-20)に表す。
【0095】
【化30】
【0096】
【化31】
【0097】
また、本発明の液晶組成物は、一般式(i)で表される化合物の他に、更に公知の液晶組成物用自発配向助剤を更に含有してもよい。
(液晶表示素子)
本実施形態の液晶組成物は、液晶表示素子に適用される。液晶表示素子は、アクティブマトリックス駆動用液晶表示素子であってよい。液晶表示素子1は、PSA型、PSVA型、VA型、IPS型、FFS型又はECB型の液晶表示素子であってよく、好ましくはPSA型の液晶表示素子である。
【0098】
本実施形態の液晶表示素子では、一般式(i)で表される化合物を含有する液晶組成物が用いられているため、第一基板及び第二基板の液晶層側にポリイミド配向膜等の配向膜が設けられている必要がない。すなわち、本実施形態の液晶表示素子は、二つの基板のうち少なくとも一方の基板がポリイミド配向膜等の配向膜を有さない構成をとることができる。
【実施例
【0099】
以下、実施例に基づき本発明を更に具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。(実施例1)
撹拌装置、冷却器、及び温度計を備えた反応容器に3-フルオロ-4-(1-デシルオキシオキシ)フェニルホウ酸10g、ブロモフェノール 5.3g、炭酸カリウム 8.5g、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム 100mg、エタノール100mlを仕込み、90℃で5時間反応させた。反応終了後、冷却し、酸エチル200mlを加え有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、溶媒を留去、トルエンで再結晶を行い(1)で表される化合物 9gを得た。
【0100】
【化32】
【0101】
次いで、化合物(1)9g、5-(ブロモメチル)-2,2-ジメチル-1,3-ジオキサン-5-イル)メタノール 10g、炭酸カリウム 8g、N,N-ジメチルホルムアミド 50mlを仕込み、90℃で5時間反応させた。反応終了後、冷却し、酢酸エチル200mlを加え有機層を水、飽和食塩水で洗浄し溶媒を留去した。その後、トルエンによる分散洗浄、アルミナカラムによる精製を行い式(2)で表される化合物 11gを得た。
【0102】
【化33】
【0103】
次いで、撹拌装置、冷却器、及び温度計を備えた反応容器に上記の化合物(3)42g、トリエチルアミン2.5g、ジクロロメタン50mlを仕込み、反応容器を10℃以下に冷却する。その後、塩化メタクリロイル 2.5gをゆっくり滴下した。滴下終了後、反応容器を室温に戻し、3時間反応させた。反応終了後、水をゆっくり加え、ジクロロメタン100ml、水、飽和食塩水で洗浄する。溶媒を留去した後、アルミナカラムによる精製により(3)で表される化合物12gを得た。
【0104】
【化34】
【0105】
その後、撹拌装置、及び温度計を備えた反応容器に上記の化合物(4)、THF 100mlを加え、10%塩酸 20mlをゆっくり滴下した。反応終了後、冷却し、酢酸エチルにより目的物を抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、溶媒を留去した。その後、トルエンによる分散洗浄、アルミナカラムによる精製を行い式(4)で表される目的化合物 8gを得た。
【0106】
【化35】
【0107】
(物性値)
融点 79℃
H-NMR(溶媒:重クロロホルム):δ: 0.88(t,3H),1.29-1.31(m,12H),1.44-1.49(m,2H),1.83(m,2H),1.97(s,3H),2.55(s,2H),3.77-3.86(m,4H),4.05(t,4H),4.38(s,2H),5.60(s,1H),6.14(s,1H),6.95(m,3H),7.20-7.27(m,2H),7.46(d,2H)
13C-NMR(溶媒:重クロロホルム):δ:14.1,17.3,22.7,25.9,27.9,29.6,31.8,45.3,62.5,64.0,68.7,114.7,122.3,125.2,128.4,135.5,138.6,146.7,152.7,158.3,166.0
(実施例2)
撹拌装置、冷却器、及び温度計を備えた反応容器に2-フルオロ-4-(トランスー4-ペンチルシクヘキシル)フェニルホウ酸 13g、ブロモフェノール 12g、炭酸カリウム 10g、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム 150mg、エタノール150mlを仕込み、90℃で5時間反応させた。反応終了後、冷却し、酢酸エチル200mlを加え有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、溶媒を留去、トルエンで再結晶を行い(5)で表される化合物13.5gを得た。
【0108】
【化36】
【0109】
次いで、化合物(5)13.5g、5-(ブロモメチル)-2,2-ジメチル-1,3-ジオキサン-5-イル)メタノール 12g、炭酸カリウム 4.5g、N,N-ジメチルホルムアミド 100mlを仕込み、90℃で5時間反応させた。反応終了後、冷却し、酢酸エチル250mlを加え有機層を水、飽和食塩水で洗浄し溶媒を留去した。その後、トルエンによる分散洗浄、アルミナカラムによる精製を行い式(2)で表される化合物 11gを得た。
【0110】
【化37】
【0111】
次いで、撹拌装置、冷却器、及び温度計を備えた反応容器に上記の化合物(6)11g、トリエチルアミン2.4g、ジクロロメタン100mlを仕込み、反応容器を10℃以下に冷却する。その後、塩化メタクリロイル 3.4gをゆっくり滴下した。滴下終了後、反応容器を室温に戻し、3時間反応させた。反応終了後、水をゆっくり加え、ジクロロメタン100ml、水、飽和食塩水で洗浄する。溶媒を留去した後、アルミナカラムによる精製により(7)で表される化合物12gを得た。
【0112】
【化38】
【0113】
その後、撹拌装置、及び温度計を備えた反応容器に上記の化合物(4)、THF 100mlを加え、10%塩酸 20mlをゆっくり滴下した。反応終了後、冷却し、酢酸エチルにより目的物を抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、溶媒を留去した。その後、トルエンによる分散洗浄、アルミナカラムによる精製を行い式(8)で表される目的化合物 8gを得た。
【0114】
【化39】
【0115】
(物性値)
融点 113℃
H-NMR(溶媒:重クロロホルム):δ: 0.88(t,3H),1.28-1.31(m,8H),1.34-1.38(m,4H)1.49(m,1H),1.83-1.86(m,4H),1.97(s,3H),2.55(s,2H),2.72(m,1H),3.77-3.86(m,4H),4.05(m,2H),4.38(s,2H),5.60(s,1H),6.14(d,2H),6.95(m,2H),7.20-7.27(m,3H)
13C-NMR(溶媒:重クロロホルム):δ:14.1,17.3,22.7,25.9,27.9,29.6,31.8,37.1,31.0,31.1,45.3,62.5,64.5,68.7,114.0,114.9,125.3,129.1,129.7,135.5,136.0,138.6,158.3,166.0
(実施例3)
撹拌装置、冷却器、及び温度計を備えた反応容器に次いで、化合物(5)13.5gをジクロロメタン 100mlに溶解させる。反応容器を40℃に加熱しながら臭素 7gを溶解させたジクロロメタン溶液20mlをゆっくり滴下した。滴下終了後、40℃で4時間反応させた。反応終了後、亜硫酸水素ナトリウムで過剰の臭素を分解させた後、ジクロロメタン200mlを加え有機層を水、飽和食塩水で洗浄し溶媒を留去した。トルエンで再結晶を行い式(9)であらわされる化合物15gを得た。
【0116】
【化40】
【0117】
次いで、化合物(9)15g、5-(ブロモメチル)-2,2-ジメチル-1,3-ジオキサン-5-イル)メタノール 13g、炭酸カリウム 8g、N,N-ジメチルホルムアミド 150mlを仕込み、90℃で5時間反応させた。反応終了後、冷却し、酢酸エチル250mlを加え有機層を水、飽和食塩水で洗浄し溶媒を留去した。その後、トルエンによる分散洗浄、アルミナカラムによる精製を行い式(10)で表される化合物 16gを得た。
【0118】
【化41】
【0119】
撹拌装置、冷却器、及び温度計を備えた反応容器に上記の化合物(10)16g、トリエチルアミン 50ml、ヨウ化銅0.5gを仕込み、60℃に加熱する。次いで、プロパルギルアルコール2.0gをゆっくり滴下する。滴下終了後、1時間反応させた。反応終了後、冷却し、テトラヒドロフラン100ml、酢酸エチル250mlを加え有機層を水、飽和食塩水で洗浄し溶媒を留去した。その後、トルエンによる分散洗浄、アルミナカラムによる精製を行い式(11)で表される化合物 11gを得た。
【0120】
【化42】
【0121】
300mlのオートクレーブに化合物(11)11g、5%パラジウムカーボン(含水品)500mg、テトラヒドロフラン100mlを加え、0.5kPaの水素圧で接触水素還元を行った。反応終了後、パラジウムカーボンをろ過した後、トルエンによる分散洗浄、アルミナカラムによる精製を行い式(12)で表される化合物 10gを得た。
【0122】
【化43】
【0123】
次いで、撹拌装置、冷却器、及び温度計を備えた反応容器に上記の化合物(12)11g、トリエチルアミン2.0g、ジクロロメタン100mlを仕込み、反応容器を10℃以下に冷却する。その後、塩化メタクリロイル 2.2gをゆっくり滴下した。滴下終了後、反応容器を室温に戻し、3時間反応させた。反応終了後、水をゆっくり加え、ジクロロメタン100ml、水、飽和食塩水で洗浄する。溶媒を留去した後、アルミナカラムによる精製により(13)で表される化合物11gを得た。
【0124】
【化44】
【0125】
その後、撹拌装置、及び温度計を備えた反応容器に上記の化合物(13)11g、THF 100mlを加え、10%塩酸 20mlをゆっくり滴下した。反応終了後、冷却し、酢酸エチルにより目的物を抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、溶媒を留去した。その後、トルエンによる分散洗浄、アルミナカラムによる精製を行い式(14)で表される目的化合物 9gを得た。
【0126】
【化45】
【0127】
(物性値)
油状
H-NMR(溶媒:重クロロホルム):δ: 0.88(t,3H),1.28-1.31(m,8H),1.34-1.38(m,4H)1.49(m,1H),1.83-1.86(m,6H),1.97(s,6H),2.55(s,2H),2.63(t,2H),2.72(m,1H),3.77-3.86(m,4H),4.05(m,2H),4.20(t,2H),4.38(s,2H),5.60(s,1H),6.14(d,2H),6.95(m,2H),7.20-7.27(m,1H),7.82(m,1H)
13C-NMR(溶媒:重クロロホルム):δ:14.1,17.3,22.7,25.9,26.3,27.9,29.6,30.6,31.8,37.1,31.0,31.1,45.3,62.5,64.5,68.7,114.0,114.9,125.3,129.1,129.7,135.5,136.0,138.6,158.3,166.0
(実施例4)
撹拌装置、冷却器、及び温度計を備えた反応容器に実施例3の化合物(14)9g
ジクロロメタン 100mlを加え10℃以下に冷却する。次いで、クロロギ酸エチル 3.5gをゆっくり滴下する。滴下終了後、30分攪拌する。次いでトリエチトリエチルアミン 3.6gを滴下する。反応終了後。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、溶媒を留去した。その後、シリカカラムによる精製を行い化合物(15)で表される目的化合物 8gを得た。
【0128】
【化46】
【0129】
(物性値)
融点 42℃
H-NMR(溶媒:重クロロホルム):δ: 0.88(t,3H),1.28-1.31(m,8H),1.34-1.38(m,4H)1.49(m,1H),1.83-1.86(m,6H),1.97(s,6H),2.63(m,1H),2.72(m,2H),3.77-3.89(m,4H),4.05(m,2H),4.20(t,2H),4.38(s,2H),5.55(s,1H),5.60(s,1H),6.14(d,2H),6.83(d,1H),6.95(m,2H),6.90-7.09(m,2H),7.30-7.34(m,1H),7.36-7.48(m,2H)
13C-NMR(溶媒:重クロロホルム):δ:14.1,17.3,22.7,25.9,26.3,27.9,29.6,30.6,31.8,37.1,31.0,31.1,45.3,62.5,64.5,68.7,74.1,114.0,114.9,125.3,129.1,129.7,135.5,136.0,138.6,158.3,157.2,166.0
(実施例5)
実施例3に用いた化合物(5)13.5gの代わりに化合物(16)15.5を用いた以外は、実施例3と同様な手法により化合物(17)で表される目的化合物7gを得た。
【0130】
【化47】
【0131】
【化48】
【0132】
(物性値)
融点 85℃
H-NMR(溶媒:重クロロホルム):δ: 0.88(t,3H),1.07-1.09(m,5H),1.24-1.33(m,10H),1.49(m,1H),1.87-1.96(m,12H),2.63(m,3H),2.69(m,2H),4.10(s,2H),4.17(t,2H),4.38(s,2H),4.45-4.56(m,4H),5.55(s,1H),5.60(s,1H),6.14(d,2H),6.74(s,1H),6.93-7.01(m,3H),7.25(t,1H)
13C-NMR(溶媒:重クロロホルム):δ:14.1,17.3,22.7,25.9,26.3,27.9,28.4,29.6,30.4,30.6,31.8,37.1,31.0,31.1,45.3,62.5,64.5,68.7,74.1,114.0,114.9,125.3,129.1,129.7,135.5,136.0,138.6,158.3,157.2,166.0
得られた化合物を用いて、以下のように液晶組成物を調整し、評価試験を行った。評価試験は以下のとおりである。
(低温保存性の評価試験)
液晶組成物をメンブレンフィルター(Agilent Technologies社製、PTFE 13mm-0.2μm)にてろ過を行い、真空減圧条件にて15分間静置し溶存空気の除去を行った。これをアセトンにて洗浄し十分に乾燥させたバイアル瓶に0.5g秤量し、-15℃の環境下に7日間静置した。その後、目視にて析出の有無を観察した。
【0133】
(垂直配向性の試験)
配向膜を有さない透明電極基板に、液晶組成物を滴下し、もう一方の透明電極基板と狭持した後、シール材を硬化させ、セルギャップ3.2μmの液晶表示素子を得た。このときの垂直配向性を目視観察にて、以下の4段階で判定した。
レベルA:均一に垂直配向
レベルB:ごく僅かに配向欠陥が有るも許容できるレベル
レベルC:配向欠陥が有り許容できないレベル
レベルD:配向不良がかなり劣悪
(実施例6)液晶組成物の調整
以下の物性値を示すホスト液晶(H)を調製した。値はいずれも実測値である。
【0134】
n-i(ネマチック相-等方性液体相転移温度):73.8℃
Δε(25℃における誘電率異方性) :-2.79
Δn(25℃における屈折率異方性) :0.101
γ (25℃における回転粘性係数):118
この母体液晶(H)を100重量%としたときに、下記の重合性化合物(P-2-8)を0.3重量%添加した組成物をLC-1とした。
【0135】
【化49】
【0136】
さらに、実施例1で合成した化合物(4)を液晶組成物(LC-1)100重量%に対して0.5重量%添加し、液晶組成物(LC-1M1)を調製した。
【0137】
【化50】
【0138】
この液晶組成物(LC-1M1)を配向膜を有していないガラスセルにを注入し、120℃で1時間加熱後、配向性を観察したところ均一に垂直配向を示した(レベルA)。更に低温保存安定性を調べた結果、-15℃で1週間保管しても析出は見られず、保存安定性に優れていた。
(実施例7)液晶組成物の調整
液晶組成物をLC-1に実施例5で合成した化合物(17)を液晶組成物(LC-1)100重量%に対して0.5重量%添加し、液晶組成物(LC-1M2)を調製した。
【0139】
この液晶組成物(LC-1M2)を配向膜を有していないガラスセルにを注入し、120℃で1時間加熱後、配向性を観察したところ均一に垂直配向を示した(レベルA)。更に低温保存安定性を調べた結果、-15℃で1週間保管しても析出は見られず、保存安定性に優れていた。
(比較例1)
液晶組成物(LC-1)100重量%に対して下記の式(16)に表される化合物0.5重量%添加し、液晶組成物(LC-1M3)を調製した。
【0140】
【化51】
【0141】
この液晶組成物(LC-1M3)を配向膜を有していないガラスセルに注入し、120℃で1時間加熱後、配向性を観察したところ垂直配向を示した(レベルB)。更に(LC-1M2)の保存安定性を調べた結果、-15℃で2日目に析出しており不十分な結果であった。
(比較例2)
液晶組成物(LC-1)100重量%に対して下記の式(17)に表される化合物0.5重量%添加し、液晶組成物(LC-1M4)を調製した。
【0142】
【化52】
【0143】
この液晶組成物(LC-1M4)を配向膜を有していないガラスセルに注入し、120℃で1時間加熱後、配向性を観察したところ配向欠陥が有り許容できないレベルの配向(レベルC)であった。更にLC-1M2の保存安定性を調べた結果、-15℃で1週間保管しても析出は見られなかった。
【0144】
以上のように本発明の化合物は、配向性と保存安定性を兼ね備えており、優れた液晶組成物を提供することができる。