(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】有機性排水の嫌気処理装置
(51)【国際特許分類】
C02F 3/28 20060101AFI20221220BHJP
C02F 11/12 20190101ALI20221220BHJP
B01D 63/06 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
C02F3/28 A
C02F11/12
B01D63/06
(21)【出願番号】P 2020163642
(22)【出願日】2020-09-29
【審査請求日】2021-08-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000001063
【氏名又は名称】栗田工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086911
【氏名又は名称】重野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100144967
【氏名又は名称】重野 隆之
(72)【発明者】
【氏名】小松 和也
(72)【発明者】
【氏名】菅原 拓哉
【審査官】片山 真紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-207762(JP,A)
【文献】特開2001-170631(JP,A)
【文献】特開平08-290044(JP,A)
【文献】特開平11-169875(JP,A)
【文献】特開2015-188777(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0295625(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/44、3/00-34、11/00-20
B01D 61/00-71/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機性排水を円筒型発酵槽にて嫌気処理し、該発酵槽と該発酵槽外に設置された膜分離装置との間で汚泥を循環させ、該膜分離装置での膜濾過によって処理水を得る有機性排水の嫌気処理装置において、
該膜分離装置は、複数本のチューブラを有した管状膜モジュールであり、
該発酵槽から汚泥を膜分離装置に送泥する
、複数本の送泥配管
、各送泥配管が連なる集合送泥配管及び
該集合送泥配管に設けられたポンプを備えており、
各送泥配管
の先端が該発酵槽
に接続され
、各送泥配管の後端が該集合送泥配管の一端に接続され、該集合送泥配管の後端が該膜分離装置の一次側入口に接続されており、
膜分離装置から濃縮汚泥を発酵槽内に返送する
、集合返送配管及び複数本の返送配管
を備えており、
該集合返送配管の一端が該膜分離装置の一次側出口に接続され、該集合返送配管の他端に各返送配管の後端が接続され、各返送配管の先端が該発酵槽
に接続されており、
該発酵槽の平面視において、各送泥配管の周方向位置が異なり、各返送配管の周方向位置が異なっており、
該発酵槽内から汚泥を流出させる送泥配管を切り替える送泥配管切り替え手段と、該発酵槽内に濃縮汚泥を流入させる返送配管を切り替える返送配管切り替え手段とが設けられている
ことを特徴とする有機性排水の嫌気処理装置。
【請求項2】
前記送泥配管及び返送配管は、前記発酵槽の外周面に対し放射方向となるように接続されている、請求項1の有機性排水の嫌気処理装置。
【請求項3】
前記発酵槽の平面視において、周方向に隣り合う送泥配管同士の交角及び返送配管同士の交角がそれぞれ45°以上である、請求項2の有機性排水の嫌気処理装置。
【請求項4】
前記送泥配管切り替え手段は、発酵槽から汚泥を送り出す1本の送泥配管を選択するように送泥配管を切り替えるものである、請求項2又は3の有機性排水の嫌気処理装置。
【請求項5】
前記返送配管切り替え手段は、膜分離装置から濃縮汚泥を返送する1本の返送配管を選択するように返送配管を切り替えるものであり、発酵槽の平面視において、同時に通泥する送泥配管と返送配管の位置は同じである、請求項4の有機性排水の嫌気処理装置。
【請求項6】
前記送泥配管は、発酵槽の上下方向中間部付近に接続され、返送配管は発酵槽の上部に接続されている、請求項1~5のいずれかの有機性排水の嫌気処理装置。
【請求項7】
前記発酵槽の下部に、余剰汚泥の取出部が設けられている、請求項1~6のいずれかの有機性排水の嫌気処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機性排水の嫌気処理装置に関するものであり、特に、有機性排水を嫌気処理した後、膜分離によって処理水を得る装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、有機性排水を発酵槽にて嫌気処理し、発酵槽と槽外に設置された膜分離装置との間で汚泥を循環させて膜濾過によって処理水を得る嫌気性処理方法において、発酵槽の中層部から汚泥を引き抜き、膜分離装置に循環するとともに、低層部から余剰汚泥を引き抜くことが記載されている。
【0003】
この処理方法によると、発酵槽内に蓄積する比重の大きい無機性固形物や夾雑物などが膜分離装置に供給されることが抑制されるので、膜閉塞が抑制されるとともに、それらを余剰汚泥として優先的に排出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の嫌気性処理方法では発酵槽内の汚泥濃度を高めることによって、高負荷、高効率の処理が可能となるが、汚泥濃度が高くなると汚泥の粘性が高まり、発酵槽内の撹拌混合が不充分となって処理効率が低下する問題があった。特に、汚泥は流れが強くなるほど流動し易くなる非ニュートン流体(擬塑性流体)であるため、内圧式管状膜に汚泥を大流量で循環してクロスフロー濾過する場合では、発酵槽内から膜分離装置への汚泥の引抜き部や戻り部での流速が著しく高くなって粘性が低下する一方、そこから遠く、循環水の流入水流が届かない領域では流動しにくく粘性が高まって汚泥同士が固着してゲル状になり、通水が行き届かなくなりデッドスペースとなり、発酵槽内で偏流が生じる問題があった。このデッドスペースにより反応槽のみかけ容積は低下する。
【0006】
撹拌機により発酵槽内全体を混合するように撹拌すると、比重の大きい無機性固形物や夾雑物も膜分離装置に供給され易くなる。
【0007】
本発明は、発酵槽内の撹拌を効率よく行うことができ、高い処理効率を得ることができる有機性排水の嫌気処理装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の有機性排水の嫌気処理装置は、有機性排水を円筒型発酵槽にて嫌気処理し、該発酵槽と該発酵槽外に設置された膜分離装置との間で汚泥を循環させ、該膜分離装置での膜濾過によって処理水を得る有機性排水の嫌気処理装置において、該発酵槽から汚泥を膜分離装置に送泥する送泥配管が該発酵槽に複数本接続されており、膜分離装置から濃縮汚泥を発酵槽内に返送する返送配管が該発酵槽に複数本接続されており、該発酵槽の平面視において、各送泥配管の周方向位置が異なり、各返送配管の周方向位置が異なっており、該発酵槽内から汚泥を流出させる送泥配管を切り替える送泥配管切り替え手段と、該発酵槽内に濃縮汚泥を流入させる返送配管を切り替える返送配管切り替え手段とが設けられていることを特徴とする。
【0009】
本発明の一態様では、前記送泥配管及び返送配管は、前記発酵槽の外周面に対し放射方向となるように接続されている。
【0010】
本発明の一態様では、前記発酵槽の平面視において、周方向に隣り合う送泥配管同士の交角及び返送配管同士の交角がそれぞれ45°以上である。
【0011】
本発明の一態様では、前記送泥配管切り替え手段は、発酵槽から汚泥を送り出す1本の送泥配管を選択するように送泥配管を切り替えるものである。
【0012】
本発明の一態様では、前記返送配管切り替え手段は、発酵槽に濃縮汚泥を返送する1本の送泥配管を選択するように返送配管を切り替えるものである。
【0013】
本発明の一態様では、前記送泥配管は、発酵槽の上下方向中間部付近に接続され、返送配管は発酵槽の上部に接続されている。
【0014】
本発明の一態様では、前記発酵槽の下部に、余剰汚泥の取出部が設けられている。
【発明の効果】
【0015】
本発明の有機性排水の嫌気処理装置では、発酵槽から汚泥を流出させる送泥配管及び膜分離装置からの濃縮汚泥を該発酵槽に流入させる返送配管をそれぞれ周方向位置を異ならせて複数設けている。そして、送泥に用いる送泥配管及び発酵槽内への濃縮汚泥返送に用いる返送配管を切り替え手段で切り替えることにより、発酵槽内からの汚泥の取り出し位置を切り替え、また膜分離装置からの濃縮汚泥の発酵槽内への流入位置を切り替えることができる。この結果、発酵槽内の局所的な汚泥滞留が防止され、発酵槽内の全体で効率よく嫌気処理が行われる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施の形態に係る有機性排水の嫌気処理装置の構成図である。
【
図2】(A)は
図1のA-A線断面図、(B)は
図1のB-B線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、
図1,2を参照して実施の形態に係る有機性排水の嫌気処理装置の構成について説明する。なお、
図1では、発酵槽を縦断面としている。
【0018】
有機性排水(原水)は、原水ポンプP1を有する原水配管1を通って撹拌機2を備えた発酵槽3内に導入される。
【0019】
発酵槽3の上下方向の中間付近(発酵槽3の有効水深を100%とした場合、下から15%以上70%以下の中位範囲)に2本の送泥配管4,5の先端が接続されている。各配管4,5に弁4a,5aが設けられている。送泥配管4,5の後端は集合配管6の一端に接続されている。集合配管6に循環ポンプP2が設けられている。集合配管6の他端は、膜分離装置としての内圧式管状膜モジュール(以下、内圧式管状膜という。)7の一次側の入口部に接続されている。
【0020】
内圧式管状膜7内には、複数本のチューブラ7aが設置されており、汚泥はチューブラ7a内を流通する。チューブラ7aを透過しなかった濃縮汚泥を発酵槽3に返送するために、集合返送配管8及び返送配管9,10が設けられている。返送配管9,10に弁9a,10aが設けられている。
【0021】
集合返送配管8の一端は、内圧式管状膜7の一次側出口部に接続されており、他端に返送配管9,10の後端が接続されている。返送配管9,10の先端は、発酵槽3の上部(前記の中位範囲よりも上側の有効水深の範囲)に接続されている。
【0022】
チューブラ7aを透過した透過水は、配管11を通って処理水槽12に流入し、配管13を通って取り出される。処理水槽12内の処理水で内圧式管状膜7を逆洗するように逆洗配管14及び逆洗ポンプP3が設けられている。
【0023】
発酵槽3の下部(前記中位範囲よりも下側)に余剰汚泥の引抜配管15が設けられ、該配管15に余剰汚泥ポンプP4が設けられている。
【0024】
この実施の形態では、送泥配管4,5は略同一高さに設けられ、返送配管9,10は略同一高さに設けられている。送泥配管4,5及び返送配管9,10の先端側は、それぞれ発酵槽3の外周壁面に対し放射方向となるように接続されている。従って、該配管4,5,9,10の先端側の延長線は、発酵槽3のほぼ中心を通る。
【0025】
この実施の形態では、発酵槽3の平面視における送泥配管4,5の交角θ1及び返送配管9,10の交角θ2(各々の上記延長線の交角)は、それぞれ45°以上、好ましくは60°以上である。
【0026】
交角θ1,θ2は180°であってもよい。即ち、送泥配管4,5は発酵槽3の中心を挟んで反対側に位置してもよく、返送配管9,10は発酵槽3の中心を挟んで反対側に位置してもよい。
【0027】
この実施の形態では、各弁4a,5a,9a,10aの開閉を切り替えるための制御器(図示略)が設けられているが、手動にて各弁の開閉操作を行ってもよい。
【0028】
弁4a,5aは、一方が開となっているときは他方が閉とされる。弁9a,10aは、一方が開となっているときは他方が閉とされる。即ち、常に1本の送泥配管4又は5によって送泥され、1本の返送配管9又は10によって返送される。弁4a,5a及び弁9a,10aはそれぞれ定期的に、好ましくは1~24時間毎に、特に好ましくは2~6時間毎に、開閉が切り替えられる。
【0029】
この実施の形態では、上記交角θ1,θ2は等しく、返送配管9の下方に送泥配管4が位置し、返送配管10の下方に送泥配管5が位置している。そして、弁4a、9aの開閉を同期させ、弁5a、10aの開閉を同期させる。すなわち、弁4aを開とするときには弁9aを開とし、弁5aを開とするときには弁10aを開とする。また、弁4aを閉とするときには弁9aを閉とし、弁5aを閉とするときには弁10aを閉とする。このように発酵槽3からの汚泥流出部位と返送濃縮汚泥の流入部位とを平面視において揃えることにより、発酵槽3内に旋回流が形成され易くなる。
【0030】
以下に、発酵槽、膜分離装置及び好適な運転条件等について説明する。
【0031】
<発酵槽>
発酵槽3は、CODcr槽負荷5~20kg/m3/d(特に6~12kg/m3/d)であり、槽内汚泥(膜に供給する汚泥)の濃度は10,000~50,000mgSS/L、特に20,000~30,000mg/Lであることが、有機物除去と膜濾過性のバランスがよい点で好ましい。発酵槽3は、25~40℃、好ましくは30~38℃の中温発酵、45~60℃、好ましくは50~58℃の高温発酵のいずれでもよい。
槽内pHは6.5~8.0、特に6.8~7.4であることが好ましく、必要に応じて槽外膜(内圧式管状膜7)への汚泥循環ライン(特に集合返送配管8又は返送配管9,10)にNaOH、NaHCO3などのアルカリ剤やHClなどの酸剤を添加してpH調整を行う。
【0032】
発酵槽の断面形状は円形であり、高さは5~20m、好ましくは8~15mであり、内径と高さ(有効水深)との比は1:0.5~1:5、特に1:1.5~1:3であることが好ましい。なお、発酵槽3は、上部及び下部を窄めるような構造でもよい。
【0033】
発酵槽にセンターレイアウトのインペラ式、側面設置のスクリュー式のような撹拌機を設けてもよい。
【0034】
発酵槽の底部から0~2m、好ましくは0.3~1.5mの高さに余剰汚泥の引抜配管16を設けることが好ましい。引抜きは発酵槽側面から行ってもよいが、内部配管を槽中央部付近まで延ばして引き抜くことが好ましい。
【0035】
<膜分離装置>
膜分離装置(この実施の形態では内圧式管状膜)は、直径3mm~10mmのチューブラが内部に複数(例えば100~1000本)充填された膜モジュールであり、汚泥は各チューブラの内部を流れる。透過水がチューブラ外に浸み出し、各チューブラから浸み出した透過水が集められ、膜モジュールから処理水として排出される。膜の細孔径は0.01~1μm、特に0.03~0.1μmが好ましい。
【0036】
嫌気反応槽から汚泥をチューブラ内の流速0.5~2m/sec、好ましくは0.8~1.5m/secとなる流量で流すことが好ましい。
【0037】
処理水の膜透過流束(フラックス)は0.1~0.8m/d、特に0.2~0.5m/d程度が好ましい。
【0038】
10~60分の濾過に対し、5~30秒間の頻度で、フラックス4~10m/dで処理水による逆洗を行うことが好ましい。また、1~8時間毎に膜モジュールの通泥方向を反転することで、反応槽内に流入したり、無機分の析出や膜面からの剥離などにより槽内で生成した粗大な固形粒子が膜入口に蓄積し、流路を閉塞させることを防止し、安定した濾過性能を保つことができる。膜モジュールを複数用いる際は、モジュールを直列、並列のいずれ、または両方の配置で用いてよいが、直列に配置する際はモジュール間に粗大な固形粒子が蓄積しないように、通泥方向を反転する際に、モジュール間の接続配管中の汚泥がモジュールを介さずに嫌気反応槽に返送されるような構成とするのが好ましい。
【0039】
<送泥配管及び返送配管>
送泥配管及び返送配管は、それぞれ2~5本、特に2~3本設けることが好ましい。送泥配管及び返送配管をそれぞれ3本以上設ける場合、発酵槽の平面視において、周方向に隣り合う送泥配管同士の交角及び返送配管同士の交角がそれぞれ45°以上であることが好ましい。
【0040】
送泥配管同士の高さ及び返送配管同士の高さは同じでも、異なっていてもよい。
送泥配管及び返送配管は、汚泥循環による発酵槽の撹拌効果を高めるため、同時に通泥する配管は1本ずつとすることが好ましい。また、発酵槽の平面視において、同時に通泥する送泥配管と返送配管の位置は異なっていてもよいが、発酵槽内で旋回流を形成させる点で同じことが好ましい。
【0041】
前述の通り1~24時間、好ましくは2~6時間ごとに通泥する配管を変更することが好ましい。
【実施例】
【0042】
[実施例1~3、比較例1]
図1,2に示した発酵槽3と槽外に設置された膜分離装置(内圧式管状膜7)からなる嫌気処理装置において、交角θ1,θ2を表1のように変えて、また弁4a,5a及び弁9a,10aの開閉を4時間ごとに切り替えるようにして運転を行い、処理性能を1ヶ月間ずつ比較評価した。なお、弁4aの開閉と弁9aの開閉を同期させ、弁5aの開閉と弁10aの開閉を同期させた。
【0043】
LiClを原水配管から投入してトレーサー試験を行い、発酵槽内のデッドスペース率を求めた。デッドスペースが大きいほど反応槽のみかけ容積は小さくなるため、定量するためにトレーサー物質を入れて、所定時間だけ攪拌し、汚泥循環配管から取り出した汚泥中のトレーサー物質の濃度を測り、トレーサー物質の希釈の程度によってデッドスペース率を計算した。
【0044】
原水、発酵槽及び内圧式管状膜として下記のものを用いた。
【0045】
<原水>
電子部品製造工場の高濃度排液(CODcr濃度40,000mg/L)に栄養塩類として窒素、リン、および、鉄、コバルト、ニッケルなどの微量金属類を添加したもの
水量40m3/d
【0046】
<発酵槽>
内径:5m
高さ(有効水深):10m
実容量:200m3
余剰汚泥引抜配管15の高さ:0.5m
送泥配管4,5の高さ:2m
返送配管9,10の高さ:0.5m
温度:35℃
槽内汚泥濃度:25,000~30,000mg/L
槽内pH:7.2~7.5
余剰汚泥引抜量:平均1.8m3/d(SRT110日)、引き抜いた汚泥は脱水処理
【0047】
<内圧式管状膜>
内径5mmのPVDF製チューブラが約700本充填された長さ3mの内圧式管状膜モジュール6本(並列3本が直列に並んだ構成)からなる膜ユニット
膜面積:198m2
汚泥循環量:161m3/hr
膜の平均フラックス0.20m/d
【0048】
[比較例2]
送泥配管5及び返送配管10を省略し、送泥配管4及び返送配管9のみを設置したこと以外は上記実施例と同一条件で運転を行った。
【0049】
それぞれの期間中のCODcr除去率の平均値、および、トレーサー試験により求めた発酵槽内のデッドスペースの比率を表1に示す。
【0050】
【0051】
[考察]
比較例1、2ではデッドスペース率が約20%に達し、CODcr除去率が約90%に留まったのに対し、実施例1~3ではデッドスペースが10%以下に低減され、発酵槽がより有効に利用された結果、97%以上のCODcr除去率を得ることができた。
【0052】
以上の実施例及び比較例より、本発明によると、発酵槽外に設置された内圧式管状膜に汚泥を循環してクロスフロー濾過する嫌気処理装置において、膜への循環流を利用した発酵槽内の撹拌を効率よく行うことができ、高い処理効率が得られるようになることが認められた。
【符号の説明】
【0053】
3 発酵槽
4,5 送泥配管
7 内圧式管状膜
9,10 返送配管