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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】撮像素子及び撮像装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/3745 20110101AFI20221220BHJP
   H04N 5/341 20110101ALI20221220BHJP
   H04N 5/369 20110101ALI20221220BHJP
   H04N 5/374 20110101ALI20221220BHJP
   H01L 27/146 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
H04N5/3745
H04N5/341
H04N5/369
H04N5/374
H01L27/146 A
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021006726
(22)【出願日】2021-01-19
(62)【分割の表示】P 2018508836の分割
【原出願日】2017-02-28
(65)【公開番号】P2021093730
(43)【公開日】2021-06-17
【審査請求日】2021-01-21
(31)【優先権主張番号】P 2016069737
(32)【優先日】2016-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(72)【発明者】
【氏名】駒井 敦
【審査官】橘 高志
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-271280(JP,A)
【文献】特開2008-048313(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/30 - 5/378
H01L 27/146
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
行方向に複数設けられ、光電変換回路で生成された電荷に基づく信号を出力する第1回路と、
複数の前記第1回路が接続され、複数の前記第1回路から信号を出力させる第1信号を出力する第1制御回路と、
前記第1回路から出力される信号を読み出すための読出回路と、
前記行方向に複数設けられ、前記第1制御回路と接続される複数の第2回路と、
複数の前記第2回路と接続され、前記読出回路による信号の読み出しを制御する第2制御回路と、を備え、
前記第1制御回路は、前記第1信号とともに複数の前記第2回路に第2信号を出力し、
前記第2制御回路は、前記第2信号に基づいて制御信号を生成し、前記読出回路による信号の読み出しを前記制御信号に基づいて制御する撮像素子。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像素子において、
前記第1制御回路と接続され、行方向に設けられた複数の前記第1回路に前記第1信号を出力するための第1制御信号線と、
前記第1制御回路と接続され、行方向に設けられた複数の前記第2回路に前記第2信号を出力するための第2制御信号線と、
を備える撮像素子。
【請求項3】
請求項2に記載の撮像素子において、
前記第2制御回路は、前記第2制御信号線と接続される撮像素子。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第2制御回路は、複数の前記第2回路の間に設けられる撮像素子。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の撮像素子において、
行方向に設けられた前記第2回路の数は、行方向に設けられた前記第1回路の数と同じである撮像素子。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第1回路と前記第2回路とは、同じ構成を有する回路または同じ抵抗値を有する回路である撮像素子。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第1回路は、列方向に複数設けられ、
前記第1制御回路は、列方向に設けられた複数の前記第1回路に前記第1信号を順次出力する度に、行方向に設けられた複数の前記第2回路に前記第2信号を出力する撮像素子。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記読出回路は、行方向に複数設けられ、
複数の前記読出回路は、行方向に設けられる複数の前記第1回路から出力される信号をそれぞれ読み出す撮像素子。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第2制御回路は、前記第2信号に基づいて、行方向に設けられる複数の前記読出回路を制御する撮像素子。
【請求項10】
請求項9に記載の撮像素子において、
前記第2制御回路は、前記第2信号に基づいて、行方向に設けられる複数の前記読出回路による信号の読み出しのタイミングを制御する撮像素子。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第1回路から出力される信号を増幅する増幅回路と、
前記増幅回路による信号の増幅を制御する第3制御回路と、
を備え、
前記第1制御回路は、前記第1信号とともに複数の前記増幅回路に第3信号を出力し、
前記第3制御回路は、前記第3信号に基づいて、前記増幅回路による信号の増幅を制御する撮像素子。
【請求項12】
請求項11に記載の撮像素子において、
前記増幅回路は、行方向に複数設けられ、
複数の前記増幅回路は、行方向に設けられる複数の前記第1回路から出力される信号をそれぞれ増幅する撮像素子。
【請求項13】
請求項11または12に記載の撮像素子において、
前記第3制御回路は、前記第3信号に基づいて、行方向に設けられる前記増幅回路による信号の増幅のタイミングを制御する撮像素子。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第1回路は、前記光電変換回路で生成された電荷に基づくアナログ信号をデジタル信号に変換するAD変換回路である撮像素子。
【請求項15】
請求項1から13のいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第1回路は、前記光電変換回路で生成された電荷に基づく信号を記憶する記憶回路である撮像素子。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記光電変換回路を有する第1基板と、
前記第1回路と前記第2回路と前記読出回路とを有し、前記第1基板に積層される第2基板と、
を備える撮像素子。
【請求項17】
請求項1から15のいずれか一項に記載の撮像素子と、
前記撮像素子から出力された信号に基づいて画像データを生成する生成部と、
を備える撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像素子及び撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画素が形成されたチップと、画素を駆動する画素駆動回路が形成されたチップとが積層された撮像素子が知られている(例えば特許文献1)。このような撮像素子は、画素数を多くすると、画素の信号の読み出し速度を高速化できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】日本国特開2010-225927号公報
【発明の概要】
【0004】
第1の態様によると、撮像素子は、行方向に複数設けられ、光電変換回路で生成された電荷に基づく信号を出力する第1回路と、複数の前記第1回路が接続され、複数の前記第1回路から信号を出力させる第1信号を出力する第1制御回路と、前記第1回路から出力される信号を読み出すための読出回路と、前記行方向に複数設けられ、前記第1制御回路と接続される複数の第2回路と、複数の前記第2回路と接続され、前記読出回路による信号の読み出しを制御する第2制御回路と、を備え、前記第1制御回路は、前記第1信号とともに複数の前記第2回路に第2信号を出力し、前記第2制御回路は、前記第2信号に基づいて制御信号を生成し、前記読出回路による信号の読み出しを前記制御信号に基づいて制御する。
第2の態様によると、撮像装置は、上述の撮像素子と、前記撮像素子から出力された信号に基づいて画像データを生成する生成部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】撮像装置の構成を模式的に示す断面図
図2】撮像素子の断面図
図3】撮像素子の構成を模式的に示す平面図
図4】画素部の構成を模式的に示す回路図
図5】ダミー画素部の構成を模式的に示す回路図
図6】最下行以外の位置に配置された1つの画素ブロックの構成を模式的に示す回路図
図7】最下行に配置された1つの画素ブロックの構成を模式的に示す回路図
図8】行選択信号線および中継信号線の構成を模式的に示す回路図
図9】1つの画素ブロックの回路レイアウトを模式的に示す図
図10】撮像素子の動作タイミングを示すタイミングチャート
図11】1つの画素ブロックの動作タイミングを示すタイミングチャート
【発明を実施するための形態】
【0006】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態に係る撮像素子を用いた撮像装置の構成を模式的に示す断面図である。撮像装置1は、撮像光学系2、撮像素子3、制御部4、レンズ駆動部5、および表示部6を備える。
【0007】
撮像光学系2は、撮像素子3の撮像面に被写体像を結像させる。撮像光学系2は、レンズ2a、フォーカシングレンズ2b、およびレンズ2cから成る。フォーカシングレンズ2bは、撮像光学系2の焦点調節を行うためのレンズである。フォーカシングレンズ2bは、光軸O方向に駆動可能に構成されている。
【0008】
レンズ駆動部5は、不図示のアクチュエータを有する。レンズ駆動部5は、このアクチュエータにより、フォーカシングレンズ2bを光軸O方向に所望の量だけ駆動する。撮像素子3は、被写体像を撮像して画像を出力する。制御部4は、撮像素子3等の各部を制御する。制御部4は、撮像素子3により出力された画像信号に対して画像処理等を施して、不図示の記録媒体に記録したり、表示部6に画像を表示したりする。表示部6は、例えば液晶パネル等の表示部材を有する表示装置である。
【0009】
図2は、撮像素子3の断面図である。なお図2では、撮像素子3の全体のうち、一部の断面のみを示している。撮像素子3は、いわゆる裏面照射型の撮像素子である。撮像素子3は、紙面上方向側(-Z方向側)からの入射光を光電変換した電荷に基づく信号を出力する。撮像素子3は、第1半導体基板7と、第2半導体基板8とを備える。撮像素子3は、-Z方向側から第1半導体基板7と第2半導体基板8とが積層される。
【0010】
第1半導体基板7は、少なくともPD(フォトダイオード)層71と、配線層72とを備える。第1半導体基板7は、-Z方向側からPD層71と配線層72とが配置される。PD層71には、複数のフォトダイオード31が二次元状に配置される。第2半導体基板8には、フォトダイオード31で生成された電荷に基づく信号を変換したり記憶したりするための各種回路(後述)が配置される。
【0011】
PD層71における入射光の入射側(-Z方向側)には、複数のフォトダイオード31の各々に対応する複数のカラーフィルタ73が設けられる。カラーフィルタ73には、例えば赤(R)、緑(G)、青(B)にそれぞれ対応する波長領域を透過する複数の種類が存在する。カラーフィルタ73は、例えば赤(R)、緑(G)、青(B)に対応する3種類が、ベイヤー配列を為すように配列される。
【0012】
カラーフィルタ73における入射光の入射側には、複数のカラーフィルタ73の各々に対応する複数のマイクロレンズ74が設けられる。マイクロレンズ74は、対応するフォトダイオード31に向けて入射光を集光する。マイクロレンズ74を通過した入射光は、カラーフィルタ73により一部の波長領域のみが透過され、フォトダイオード31に入射する。フォトダイオード31は、入射光を光電変換して電荷を生成する。
【0013】
配線層72の表面には複数の接合パッド75が配置される。第2半導体基板8の、配線層72に対向する面には、複数の接合パッド75に対応する複数の接合パッド76が配置される。複数の接合パッド75と複数の接合パッド76とは互いに接合されている。複数の接合パッド75と複数の接合パッド76とを介して、第1半導体基板7と第2半導体基板8とが電気的に接続される。
【0014】
詳細は後述するが、撮像素子3は複数の画素部30を有している。1つの画素部30は、第1半導体基板7に設けられた第1画素部30xと、第2半導体基板8に設けられた第2画素部30yとを含む。1つの第1画素部30xには、1つのマイクロレンズ74、1つのカラーフィルタ73、1つのフォトダイオード31等が含まれる。第1画素部30xにはこの他に、第1半導体基板7に設けられた種々の回路(後述)が含まれる。第2画素部30yには、第2半導体基板8に設けられた種々の回路(後述)が含まれる。
撮像素子3の画素部30の数が増えると、画像部30の信号を高速で読み出すことが難しくなる。画素部30の数が増えると、画素部30の信号を読み出す回数が多くなる。そのため、画素部30からの信号の読み出しを制御する制御信号(後述の行選択信号)の周波数は高くなる。周波数が高い制御信号は、画素部30を含む種々の回路等、制御線や信号線等の影響を大きく受ける。例えば、画素部30を含む種々の回路の抵抗、制御線や信号線の配線抵抗により制御信号の遅延が発生する。制御信号の遅延が発生すると、画素の信号を精確に読み出すことができない。本実施の形態では、制御信号の遅延が発生しても、画素からの信号を高速かつ精確に読み出すことができる撮像素子について説明する。
【0015】
図3は、撮像素子3の構成を模式的に示す回路図である。なお図3に示す回路図は、第1半導体基板7に設けられた回路と、第2半導体基板8に設けられた回路と、の両方を含んでいる。撮像素子3は、行選択回路40と、水平方向(x方向)に配列されたn個(複数)の画素ブロック列33を有する。各々の画素ブロック列33は、垂直方向(y方向)に配列されたm個(複数)の画素ブロック32を有する。つまり、撮像素子3は、計m×n個の画素ブロック32を有する。
【0016】
画素ブロック32は、Ma行Na列に配列された、計Ma×Na個の画素部30を有する。前述の通り、画素ブロック32は全部でm×n個存在するので、画素部30は全部でm×n×Ma×Na個が存在する。なお、図3では画素部30が正方配列されているが、画素部30を正方とは異なる態様で配列してもよい。
【0017】
画素ブロック32は、Na個のダミー画素部30a、Ma+1個の中継バッファ34、Na個の中継アンプ回路35、および1つの中継アンプ制御回路36を備える。Na個のダミー画素部30aは、画素ブロック32の最下行の次行に、画素ブロック32の1行と同様に配列される。
【0018】
行選択回路40は、Ma×m個(複数)の行選択信号出力部41と、m個(複数)の中継信号出力部42とを有する。行選択信号出力部41は、水平方向(x方向)に配列されたn×Na個の画像部30それぞれから信号を出力させる行選択信号を出力する。中継信号出力部42は、行選択信号出力部41から行選択信号が出力される度に、水平方向(x方向)に配列されたn×Na個にダミー画素部30aに中継信号を出力する。行選択信号と中継信号については後述する。行選択信号出力部41の個数は、画素部30の行数と同一であり、中継信号出力部42の個数は、ダミー画素部30aの行数と同一である。行選択信号出力部41は一列に配列され、Ma個ごとに中継信号出力部42が配置される。すなわち、Ma個の行選択信号出力部41および1つの中継信号出力部42の並びが、m回繰り返される。
【0019】
撮像素子3は、Ma×m本(複数)の行選択信号線51と、m本(複数)の中継信号線52とを有する。つまり行選択信号線51の本数は、画素部30の行数と同一であり、中継信号線52の本数は、ダミー画素部30aの行数と同一である。
【0020】
行選択信号線51は、行選択信号出力部41と、n×Na個の画素部30とを接続する。n×Na個の画素部30とは、水平方向に隣接する画素ブロック32がそれぞれ有する、同一行に配列された複数の画素部30である。行選択信号出力部41と複数の画素部30との間には、中継バッファ34が設けられる。行選択信号出力部41と複数の画素部30との間に設けられた中継バッファ34には行選択信号が入力される。中継バッファ34は、入力された行選択信号をラッチ(記憶)または行選択信号のレベルを増幅する。水平方向に隣接する画素ブロック32がそれぞれ有する、同一行に配列された複数の画素部30同士の間にも、中継バッファ34が設けられる。
【0021】
中継信号線52は、中継信号出力部42と、n×Na個のダミー画素部30aとを接続する。n×Na個のダミー画素部30aとは、水平方向に隣接する画素ブロック32がそれぞれ有する、同一行に配列された複数のダミー画素部30aである。中継信号出力部42と複数のダミー画素部30aとの間には、中継バッファ34が設けられる。中継信号出力部42と複数のダミー画素部30aとの間に設けられた中継バッファ34には中継信号が入力される。中継バッファ34は、入力された中継信号をラッチ(記憶)または中継信号のレベルを増幅する。水平方向に隣接する画素ブロック32がそれぞれ有する、同一行に配列された複数のダミー画素部30a同士の間にも、中継バッファ34が設けられる。
【0022】
画素ブロック32内において、中継信号線52には、中継アンプ制御回路36が接続される。中継アンプ制御回路36は、中継アンプ制御線SEによって、画素ブロック32内の一行に配列されたNa個の中継アンプ回路35とそれぞれ接続される。
【0023】
m×n個の画素ブロック32のうち、最下行の画素ブロック32は、中継アンプ制御回路36の代わりに出力アンプ制御回路36aを、中継アンプ回路35の代わりに出力アンプ回路35aを、中継アンプ制御線SEの代わりに出力アンプ制御線SEaを、それぞれ有する。
【0024】
撮像素子3は、n×Na個の出力信号線54(垂直信号線)を有する。つまり出力信号線54の個数は、画素部30の列数と同一である。出力信号線54は、m×Ma個の画素部30を接続する。m×Ma個の画素部30とは、画素ブロック列33内の画素ブロック32(垂直方向に配列された画素ブロック32)がそれぞれ有する、同一列に配列された複数の画素部30である。垂直方向に隣接する画素ブロック32がそれぞれ有する、同一列に配列された複数の画素部30同士の間には、中継アンプ回路35が設けられる。最下行に配列された画素ブロック32は、中継アンプ回路35の代わりに出力アンプ回路35aを有している。出力アンプ回路35aは、中継アンプ回路35と同様に出力信号線54に接続される。
【0025】
なお、図3では、行選択信号線51、中継信号線52、中継アンプ制御線SE、および出力信号線54を、便宜上それぞれ1本の直線により図示している。実際には、これらの信号線は、それぞれ複数の信号線により構成されている(後述)。
【0026】
出力アンプ回路35aの先には、不図示のフレームメモリが接続されている。中継アンプ回路35が紙面上方向から入力された出力信号を紙面下方向の画素ブロック32に出力(中継)するのに対して、出力アンプ回路35aは、紙面上方向から入力された出力信号を不図示のフレームメモリに出力する。
【0027】
不図示のフレームメモリは、1画面分の画像データ(出力信号)を記憶可能なメモリである。出力アンプ回路35aから出力された各画素部30からの光電変換信号は、画素部30の位置に対応するフレームメモリ内の所定アドレスに記憶される。全ての画素部30から光電変換信号の読み出しが完了したとき、フレームメモリ内には1画面分の画像データが保持されている。
【0028】
なお、不図示のフレームメモリは第2半導体基板8に設けてもよいし、第1半導体基板7や第2半導体基板8とは異なる半導体基板に設けてもよい。その半導体基板は、第1半導体基板7および第2半導体基板8と積層されていてもよいし、別の位置に設けられていてもよい。
【0029】
図4は、画素部30の構成を模式的に示す回路図である。画素部30は、第1半導体基板7に設けられた第1画素部30xと、第2半導体基板8に設けられた第2画素部30yとを含む。第1画素部30xおよび第2画素部30yは、接合パッド75、76により電気的に接続される。
【0030】
第1画素部30xは、フォトダイオード31、転送トランジスタ62、リセットトランジスタ63、増幅トランジスタ64、および定電流源65を備える。フォトダイオード31は、入射光を光電変換して信号電荷を生成する。フォトダイオード31により生成された信号電荷は、転送トランジスタ62によって、転送トランジスタ62とリセットトランジスタ63と増幅トランジスタ64との間に設けられたフローティングディフュージョンFDに転送される。増幅トランジスタ64は、フローティングディフュージョンFDに蓄積されている信号電荷の量に応じた信号電圧を、接合パッド75、76を介して第2画素部30yに出力する。リセットトランジスタ63は、フローティングディフュージョンFDおよびフォトダイオード31に蓄積されている信号電荷をリセットする。
【0031】
第2画素部30yは、A/D変換部67および記憶部38を備える。接合パッド75、76を介して第1画素部30xから出力された信号電圧は、A/D変換部67によりデジタル値に変換される。A/D変換部67は、Kビットのデジタル信号を、K本の信号線により記憶部38に出力する。
【0032】
記憶部38は、K個の記憶回路68と、選択スイッチ69とを備える。記憶回路68は、例えばフリップフロップ等の、1ビットのデジタル値を記憶する回路である。記憶部38は、K個の記憶回路68により、A/D変換部67が出力したKビットのデジタル信号(デジタル値)を記憶する。
【0033】
出力信号線54は、出力信号としてKビットのデジタル値の相補信号を伝達できるように、K×2本の信号線から構成されている。選択スイッチ69は、行選択信号出力部41から行選択信号線51に出力された行選択信号に応じて、K個の記憶回路68により記憶されているKビットのデジタル信号を、出力信号線54に出力する。行選択信号線51は、2本の信号線SEL、/SELにより構成される。行選択信号は相補信号であり、信号線/SELには、信号線SELのH(High)レベル・L(Low)レベルを反転させた信号が出力される。
【0034】
図5は、ダミー画素部30aの構成を模式的に示す回路図である。ダミー画素部30aは、画素部30の第2画素部30yに相当する、第2半導体基板8に設けられた第2ダミー画素部30zを有する。ダミー画素部30aは、画素部30の第1画素部30xに相当する構成を有していなくてもよい。ダミー画素部30aは、第2画素部30yに相当する構成を有する回路、または第2画素部30yに相当する抵抗値を有する回路であってもよい。第2ダミー画素部30zは、第2画素部30yと同様に構成されているが、出力信号線54とは接続しない。なお、第2ダミー画素部30zがA/D変換部67を有していなくてもよい。
【0035】
図6は、最下行以外の位置に配置された1つの画素ブロック32の構成を模式的に示す回路図である。なお、図6では記憶部38が有するK個の記憶回路68のうち、1つの記憶回路68に関する部分のみを図示している。つまり、図6には、1ビット分の出力に関する部分のみを図示している。実際には、図6に図示した各部(中継アンプ制御回路36を除く)がKセット存在する。
【0036】
記憶回路68から出力される相補信号Q、/Qは、出力信号線54が有する正論理信号線54pと負論理信号線54nにそれぞれ出力される。中継アンプ制御回路には、プリチャージ信号線/PREを介してプリチャージ回路71が接続される。プリチャージ回路71は、正論理信号線54pと負論理信号線54nに対して後述するプリチャージ動作を行う。プリチャージ動作後、相補信号Q、/Qを読み出し、中継アンプ回路35を介して次の画素ブロック32に出力する。図6に示す回路の動作については後に詳述する。
【0037】
図7は、最下行に配置された1つの画素ブロック32の構成を模式的に示す回路図である。最下行に配置された画素ブロック32は、中継アンプ制御回路36の代わりに出力アンプ制御回路36aを、中継アンプ回路35の代わりに出力アンプ回路35aをそれぞれ有している点を除き、図6に図示した最下行以外の位置に配置されている画素ブロック32と同一の構成を有している。
【0038】
図8は、行選択信号線51および中継信号線52の構成を模式的に示す回路図である。中継バッファ34は、一対の反転バッファ72a、72bを有している。行選択信号および中継信号は、一対の反転バッファ72a、72bにより真偽が反転されると共に、中継バッファ34の後段で互いに転置される。
【0039】
図9は、1つの画素ブロック32の回路レイアウトを模式的に示す図である。図9(a)は、第1半導体基板7の平面図であり、図9(b)は、第2半導体基板8の平面図であり、図9(c)は第1半導体基板7および第2半導体基板8の関係を示す断面図である。
【0040】
第1半導体基板7には、1つの画素ブロック32に含まれる画素部30の第1画素部30xが、二次元状に配列される。第2半導体基板8には、1つの画素ブロック32に含まれる画素部30の第2画素部30yが、二次元状に配列される。第1画素部30xが占有する領域の面積はA×Aの大きさであるのに対し、第2画素部30yが占有する領域の面積は、A×Aよりも小さいB×Bの大きさとなっている。第1画素部30xは、第1半導体基板7に間隔Aで配置される。一方、第2画素部30yは、第2半導体基板8に間隔Aより狭い間隔Bで配置される。従って、同数の第1画素部30xと第2画素部30yとを配列した場合、第2半導体基板8には、第2画素部30yにより占有されない空き領域(図9(b)および図9(c)で斜線で示した領域)が生じる。
【0041】
第2画素部30yにより占有されない第2半導体基板8の空き領域に、ダミー画素部30a、中継バッファ34、中継アンプ回路35、中継アンプ制御回路36、出力アンプ回路35a、出力アンプ制御回路36a等の少なくとも1つが配置される。
【0042】
図9(a)に示すように、第1画素部30xの右上隅には、接合パッド75が設けられる。図9(b)に示すように、第2画素部30yの左上隅には、入力端子84が設けられる。入力端子84から水平方向に向かって、第2画素部30y全体を横断する水平配線85が設けられる。水平配線85から垂直方向に向かって、第2画素部30y全体を横断する垂直配線86が設けられる。垂直配線86が設けられる位置は、画素ブロック32内の相対位置に応じて少しずつ異なっている。具体的には、画素ブロック32内の右端に位置する第2画素部30yにおいては、第2画素部30yの右端に垂直配線86が設けられる。画素ブロック32内の左端に位置する第2画素部30yにおいては、第2画素部30yの左端に垂直配線86が設けられる。垂直配線86上には、接合パッド76が設けられる。接合パッド76が設けられる位置は、画素ブロック32内の相対位置に応じて少しずつ異なっている。具体的には、画素ブロック32内の上端に位置する第2画素部30yにおいては、第2画素部30yの上端に接合パッド76が設けられる。画素ブロック32内の下端に位置する第2画素部30yにおいては、第2画素部30yの下端に接合パッド76が設けられる。以上のように配置された第1画素部30xの接合パッド75と第2画素部30yの接合パッド76は、図9(c)に示すように、接合面88において電気的に接続される。
【0043】
図10は、撮像素子3の動作タイミングを示すタイミングチャートである。行選択回路40は、所定周期T1ごとに、各行の行選択信号線51に順番に行選択信号を出力する。例えば図10では、時刻t1に1行目の行選択信号線SEL<1>にH(High)レベルの行選択信号を出力し、時刻t1から周期T1だけ後の時刻t2に2行目の行選択信号線SEL<2>にHレベルの行選択信号を出力する。行選択回路40は、この動作をM行目(最後の行)の行選択信号線SEL<M>まで繰り返し実行する。
【0044】
行選択回路40は、いずれかの行の行選択信号線51に行選択信号を出力する度に、同時に、全ての中継信号線52に、Hレベルの中継信号を出力する。ただし、行選択回路40は、すでに読み出しが完了した画素ブロック32に接続されている中継信号線52には、中継信号を出力しない。中継信号は、中継アンプ回路35に対して、上の行からの出力信号を中継するよう指示する信号である。読み出しは上から順に行われるので、すでに読み出しが完了した画素ブロック32に対して、中継信号を出力する必要はない。
【0045】
すなわち行選択回路40は、読み出し対象となる行の行選択信号線51に対して行選択信号を出力することで、その行に属する各画素部30から、光電変換信号を出力させ、更にその行より下に存在する中継アンプ回路35に接続されている中継信号線52に対して中継信号を出力することで、その光電変換信号を最下部に位置する出力アンプ回路35aまで中継させる。行選択回路40は、この動作をM行目(最後の行)の行選択信号線SEL<M>まで繰り返し実行することで、各行の画素部30からの出力信号を、出力アンプ回路35aに出力させる。
【0046】
例えば図10において、行選択回路40は、時刻t1に1行目の行選択信号線SEL<1>にHレベルの行選択信号を出力すると共に、同時に1行目の中継信号線SELd<1>~m行目(最後の行)の中継信号線SELd<m>に対して中継信号を出力している。一方、時刻t9にMa+1行目の行選択信号線SEL<Ma+1>に行選択信号を出力する際には、1行目の中継信号線SELd<1>には中継信号を出力していない。これは、1行目の中継信号線SELd<1>が接続されている画素ブロック32に含まれている画素部30は、すべて読み出し済みであるため、その画素ブロック32内の中継アンプ回路35は出力信号を中継する必要がないためである。
【0047】
中継信号線52に出力された中継信号は、中継アンプ制御回路36に入力される。中継アンプ制御回路36は、この中継信号に応じて、プリチャージ信号線/PREにプリチャージ信号を出力する。プリチャージ信号を出力してから所定の待ち時間(後述)が経過した後、中継アンプ制御回路36は、中継アンプ制御線SEに中継アンプ制御信号を出力する。中継アンプ制御回路36に接続されている全ての中継アンプ回路35は、この中継アンプ制御信号に応じて、出力信号線54に出力されている出力信号をラッチ(記憶)し、次の画素ブロック32(下方向に隣接する画素ブロック32)に向けて出力信号を出力する(中継する)。出力アンプ制御回路36aおよび出力アンプ回路35aについても同様であるが、次の画素ブロック32の代わりに、不図示のフレームメモリに対して出力信号を出力する。
【0048】
図11は、1つの画素ブロック32の動作タイミングを示すタイミングチャートである。図11では、対象となる画素ブロック32に接続されている複数の行選択信号線51のうち、1行目の行選択信号線51を信号線SEL<1>および信号線/SEL<1>、2行目の行選択信号線51を信号線SEL<2>および信号線/SEL<2>、3行目の行選択信号線51を信号線SEL<3>および信号線/SEL<3>と表記している。また、出力信号線54を信号線Qおよび信号線/Q、中継アンプ回路35内の出力信号を信号線Rおよび信号線/Rと表記している(図6参照)。
【0049】
時刻t31までは、プリチャージ信号線/PREの信号レベルをLレベルにして信号線Qおよび信号線/Q共にHレベルにする(プリチャージ動作)。
時刻t31において、行選択回路40は、1行目の行選択信号線51に行選択信号を出力すると共に、中継信号線52に中継信号を出力する。中継アンプ制御回路36は、この中継信号に応じて、プリチャージ信号線/PREにプリチャージ信号を停止する。すなわち、プリチャージ信号線/PREの信号レベルをHレベルにする。このとき、中継アンプ制御線SEの信号レベルはLレベルであるため、中継アンプ回路35内の信号線Rおよび信号線/Rの信号レベルには、信号線Qおよび信号線/Qの変化が反映される。すなわち、中継アンプ回路35内の信号線Rおよび信号線/Rの信号レベルは、いずれもHレベルになる。
【0050】
その後、1行目の画素部30において、選択スイッチ69がオンされ、出力信号線54に出力信号が出力される。前述の通り、出力信号は相補信号であり、信号線Qおよび信号線/Qの一方にはHレベルの信号が出力され、他方にはLレベルの信号が出力される。プリチャージ動作により信号線Qおよび信号線/Qの信号レベルがいずれもHレベルにされていたところに、このような出力信号が出力されることで、信号線Qおよび信号線/Qの一方の信号レベルはHレベルのままとなり、他方の信号レベルは徐々にLレベルに近づいていく(電位が低下していく)。出力信号線54は行方向(図6の紙面縦方向)に一定の距離があるため、中継アンプ回路35までLレベルの信号はすぐに伝達しない。中継アンプ制御線SEの信号レベルは時刻t31からLレベルのままであるため、中継アンプ回路35内の信号線Rおよび信号線/Rの信号レベルには、信号線Qおよび信号線/Qの変化が反映される(一方がHレベルのままとなり、他方が徐々にLレベルに近づいていく)。
【0051】
時刻t31から待ち時間T2が経過した後の時刻t32において、中継アンプ制御回路36は、中継アンプ制御線SEに中継アンプ制御信号を出力する。これにより、中継アンプ制御線SEの信号レベルは、LレベルからHレベルに変化(増幅)する。中継アンプ制御線SEの信号レベルがHレベルになると、中継アンプ回路35内の信号線Rおよび信号線/Rが信号線Qおよび信号線/Qから切り離されると共に、中継アンプ回路35が活性化される。すなわち、信号線Qおよび信号線/Qの信号レベルがラッチされると共に、そのラッチされた信号レベルに応じてHレベルかLレベルの信号が中継アンプ回路35から出力される。 以上の動作を行ごとに行うことで、各行に属する画素部30からの出力信号が中継アンプ回路35により中継される。
【0052】
図10を参照して、プリチャージ信号を出力してからの待ち時間について説明する。図10では、最上部の画素ブロック32における待ち時間をΔt1、その1つ下の画素ブロック32における待ち時間をΔt2、最下部の画素ブロック32における待ち時間をΔtmと表記している。
【0053】
最上部の画素ブロック32における待ち時間Δt1は、その画素ブロック32内における出力信号線54の時定数に応じて決定される。すなわち、図11で説明したように、信号線Qおよび信号線/Qの一方の信号レベルは、時刻t31から徐々にLレベルに近づいていく。待ち時間Δt1が短いと、その信号レベルが十分に下がる前に出力信号がラッチされてしまい、中継アンプ回路35からLレベルの信号を出力することができない。従って、待ち時間Δt1はその信号レベルがLレベルに十分に近づく時間とする。
【0054】
その1つ下の画素ブロック32における待ち時間Δt2は、同様に、最上部の画素ブロック32の中継アンプ回路35によって出力された出力信号が、「その1つ下の画素ブロック32」内の中継アンプ回路35に十分に伝わる時間とする。つまり、Δt2>Δt1である。それ以降の画素ブロック32における待ち時間も同様に、最下部に近づくにつれて徐々に長くなる。換言すると、画素ブロック32における待ち時間は、最上部に近づくにつれて徐々に短くなる。最終的に、最下部の画素ブロック32における待ち時間Δtmは、最も大きな待ち時間となる。
【0055】
行選択信号および中継信号において、信号レベルがHレベルである期間の長さは、この最大の待ち時間Δtmを考慮して決定する必要がある。つまり、図10に示すように、行選択信号および中継信号において、信号レベルがHレベルである期間の長さは、少なくともΔtmよりも長くなければならない。
【0056】
上述した実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)行選択回路40は、中継信号線52と複数の行選択信号線51とが接続され、複数の行選択信号線51に対して行選択信号を順次出力し、複数の行選択信号線51に対して行選択信号を出力する度に中継信号線52に対して中継信号を出力する。中継アンプ制御回路36は、中継信号線52と複数の出力信号線54とが接続され、中継信号線52に中継信号が出力される度に、画素部30から複数の出力信号線54に出力されている出力信号を読み出して次の画素ブロック32に接続されている複数の出力信号線54に出力する。このようにしたので、画素部30同士の距離に起因する信号遅延を抑止することができ、高画素数と高速な読み出し速度とを両立することが可能になる。
【0057】
(2)デジタル値を記憶可能な複数の記憶部38のうち、ダミー画素部30a内の記憶部38は、中継信号線52に接続され、複数の記憶部38のうちの画素部30内の記憶部38は、複数の行選択信号線51の各々にそれぞれ複数ずつ接続される。それら画素部30内の記憶部38は、行選択信号が入力されると、記憶しているデジタル値による出力信号を、複数の出力信号線54に出力する。このように、中継信号を受け取るためのダミー画素部30aが、通常の画素部30と同様に記憶部38等を有するようにしたので、回路構成の違いに起因する行選択信号と中継信号との遅延差を抑止することができる。
【0058】
(3)複数の記憶部38と、中継アンプ回路35と、を含む複数の画素ブロック32のうち、終端の画素ブロック32を除く他の画素ブロック32において、複数の出力信号線54は、別の画素ブロック32の複数の出力信号線54に接続されている。このようにすることで、中継アンプ回路35により画素ブロック32間の信号が中継されるので、画素部30同士の距離の違いに起因する信号遅延や信号の立ち下がりの遅れ、波形の乱れ等の問題を回避することができ、画素部30が多数存在する場合にも高速な読み出し速度を達成することができる。
【0059】
(4)複数の画素ブロック32をそれぞれ含む複数の画素ブロック列33は、互いに複数の行選択信号線51を介して接続されており、複数の画素ブロック列33間には、行選択信号を中継する中継バッファ34が設けられる。このようにしたので、行選択信号出力部41から遠く離れた画素部30においても、信号遅延等が行選択信号に与える影響を最小化することができる。
【0060】
(5)中継アンプ回路35は、中継信号が入力された後、終端の画素ブロック32からの距離が大きいほど短い所定の待機時間が経過したときに、複数の出力信号線54に出力されている出力信号を読み出して次の画素ブロック32に接続されている複数の出力信号線54に出力する。このようにしたので、画素ブロック32が多数存在する場合であっても、出力信号を正しく読み出すことができる。
【0061】
(6)他の記憶部38の各々に対応する複数のフォトダイオード31を更に備え、他の記憶部38は、複数のフォトダイオード31により出力された光電変換信号のデジタル値を記憶する。このようにしたので、画素部30ごとにデジタル信号を出力することができ、アナログ信号に比べて出力信号の伝達が容易になる。
【0062】
(7)第1半導体基板7には、複数のフォトダイオード31が設けられる。複数の記憶部38および中継アンプ回路35は、第1半導体基板7とは異なる場所に設けられる。このようにしたので、複数の記憶部38や中継アンプ回路35によってフォトダイオード31の開口面積が圧迫されない。
【0063】
(8)第2半導体基板8には、複数の記憶部38および中継アンプ回路35が設けられる。第1半導体基板7において、複数のフォトダイオード31は第1のピッチで配列され、第2半導体基板8において、複数の記憶部38は第1のピッチよりも狭い第2のピッチで配列され、残りのスペースに中継アンプ回路35等が配置される。このようにしたので、フォトダイオード31の受光面積を保ったまま、それらの回路を設置することができる。
【0064】
(9)図8に示すように、反転バッファ72a、72bを用いることで、非反転バッファを用いる場合に比べて省スペース化および省電力化を達成することができる。また、画素ブロック32ごとに信号線SELと信号線/SELとが入れ替わっているため、それら2つの信号線同士の信号遅延誤差が緩和される。
【0065】
(10)図9(b)に示すように、水平配線85および垂直配線86の配線長を全ての画素部30において同一とした。このようにしたので、水平配線85および垂直配線86による寄生容量が画素部30ごとに揃い、画素部30ごとの信号遅延等のばらつきを抑止することができる。
【0066】
(11)記憶部38は、水平方向に複数設けられ、フォトダイオード31を有する画素部30から出力された信号を記憶する。行選択回路40は、複数の記憶部38に記憶された信号を出力させる行選択信号を出力する。出力アンプ回路35aは、記憶部38から出力される信号を読み出す。複数のダミー画素部30aは、行選択回路40と接続される。出力アンプ制御回路36aは、出力アンプ回路35aによる信号の読み出しを制御する。行選択回路40は、行選択信号とともに複数のダミー画素部30aに中継信号を出力する。出力アンプ制御回路36aは、中継信号に基づいて、出力アンプ回路35aによる信号の読み出しを制御する。このようにしたので、画素部30同士の距離に起因する信号遅延を抑止することができ、高画素数と高速な読み出し速度とを両立することが可能になる。
【0067】
(12)複数設けられた出力アンプ回路35aは、複数の記憶部38から出力される信号をそれぞれ読み出す。このようにしたので、多数の記憶部38からの出力信号を正しく読み出すことができる。
【0068】
(13)行選択回路40は、水平方向に設けられた複数の記憶部38に行選択信号を出力するとともに、水平方向に設けられた複数のダミー画素部30aに中継信号を出力する。このようにしたので、回路構成の違いに起因する信号遅延の差を抑止することができる。
【0069】
(14)水平方向に設けられた複数の記憶部38は、水平方向と交差する方向に複数設けられる。行選択回路40は、水平方向と交差する方向に設けられた複数の記憶部38に行選択信号を順次出力するとともに、水平方向に設けられた複数のダミー画素部30aに中継信号を出力する。このようにしたので、多数の記憶部38からの出力信号を正しく読み出すことができる。
【0070】
(15)出力アンプ制御回路36aは、中継信号に基づいて、水平方向に設けられた複数の出力アンプ回路35aを制御する。このようにしたので、多数の記憶部38からの出力信号を正しく読み出すことができる。
【0071】
(16)出力アンプ制御回路36aは、中継信号に基づいて、出力アンプ回路35aによる信号の読み出しのタイミングを制御する。このようにしたので、多数の記憶部38からの出力信号を正しく読み出すことができる。
【0072】
(17)出力アンプ制御回路36aは、中継信号を受信してから所定時間経過後に、出力アンプ回路35aによる信号の読み出しを行う。このようにしたので、多数の記憶部38からの出力信号を正しく読み出すことができる。
【0073】
(18)出力アンプ制御回路36aは、記憶部38と出力アンプ回路35aとの間隔に基づいて、中継信号を受信してから出力アンプ回路35aによる信号の読み出しを行うまでの所定時間を変更する。このようにしたので、遠く離れた記憶部38からの出力信号も、近くにある記憶部38からの出力信号も、正しく読み出すことができる。
【0074】
(19)出力アンプ制御回路36aは、記憶部38と出力アンプ回路35aとの間隔が大きいほど、中継信号を受信してから出力アンプ回路35aによる信号の読み出しを行うまでの所定時間を短くする。このようにしたので、遠く離れた記憶部38からの出力信号も、近くにある記憶部38からの出力信号も、正しく読み出すことができる。
【0075】
(20)出力アンプ制御回路36aは、水平方向に複数設けられる。このようにしたので、多数の記憶部38からの出力信号を正しく読み出すことができる。
【0076】
(21)中継アンプ回路35は、記憶部38から出力される信号を増幅する。中継アンプ制御回路36は、中継アンプ回路35による信号の増幅を制御する。行選択回路40は、行選択信号とともに複数のダミー画素部30aに中継信号を出力する。中継アンプ制御回路36は、中継信号に基づいて、中継アンプ回路35による信号の増幅を制御する。このようにしたので、行選択回路40から離れた場所にあるダミー画素部30aを正しく動作させることができる。
【0077】
(22)複数設けられた中継アンプ回路35は、複数の記憶部38から出力される信号をそれぞれ増幅する。このようにしたので、記憶部38が多数存在する場合であっても、出力信号を正しく読み出すことができる。
【0078】
(23)中継アンプ制御回路36は、中継信号に基づいて、水平方向に設けられた複数の中継アンプ回路35を制御する。このようにしたので、中継アンプ回路35が多数存在する場合であっても、出力信号を正しく読み出すことができる。
【0079】
(24)中継アンプ制御回路36は、中継信号に基づいて、中継アンプ回路35による信号の増幅のタイミングを制御する。このようにしたので、多数の記憶部38からの出力信号を正しく読み出すことができる。。
【0080】
(25)中継アンプ制御回路36は、中継信号が入力されてから所定時間経過後に、中継アンプ回路35による信号の増幅を行う。このようにしたので、多数の記憶部38からの出力信号を正しく読み出すことができる。
【0081】
(26)中継アンプ制御回路36は、記憶部38と中継アンプ回路35との間隔に基づいて、中継信号が入力されてから中継アンプ回路35による信号の増幅を行うまでの所定時間を変更する。このようにしたので、遠く離れた記憶部38からの出力信号も、近くにある記憶部38からの出力信号も、正しく読み出すことができる。
【0082】
(27)中継アンプ制御回路36は、記憶部38と中継アンプ回路35との間隔が大きいほど、中継信号が入力されてから中継アンプ回路35による信号の増幅を行うまでの所定時間を短くする。このようにしたので、遠く離れた記憶部38からの出力信号も、近くにある記憶部38からの出力信号も、正しく読み出すことができる。
【0083】
(28)中継アンプ制御回路36は、水平方向と交差する方向に複数設けられる。このようにしたので、記憶部38が多数存在する場合であっても、出力信号を正しく読み出すことができる。
【0084】
(29)出力アンプ回路35aは、中継アンプ回路35で増幅された信号を読み出す。このようにしたので、多数の記憶部38からの出力信号を正しく読み出すことができる。
【0085】
(30)中継バッファ34は、水平方向に設けられた複数のうちの少なくとも1つの記憶部38と行選択回路40との間に設けられ、行選択信号が入力される。このようにしたので、行選択信号出力部41から遠く離れた画素部30においても、信号遅延等が行選択信号に与える影響を最小化することができる。
【0086】
(31)中継バッファ34は、複数のうちの少なくとも1つの記憶部38と行選択回路40との間に複数設けられる。このようにしたので、多数の記憶部38からの出力信号を正しく読み出すことができる。
【0087】
(32)中継バッファ34は、入力された行選択信号を少なくとも記憶または増幅する。このようにしたので、行選択信号出力部41から遠く離れた画素部30においても、信号遅延等が行選択信号に与える影響を最小化することができる。
【0088】
(33)中継バッファ34は、水平方向に設けられた複数のうちの少なくとも1つのダミー画素部30aと行選択回路40との間に設けられ、中継信号が入力される。このようにしたので、回路構成の違いに起因する信号遅延の差を抑止することができる。
【0089】
(34)中継バッファ34は、複数のうちの少なくとも1つのダミー画素部30aと行選択回路40との間に複数設けられる。このようにしたので、多数の記憶部38からの出力信号を正しく読み出すことができる。
【0090】
(35)中継バッファ34は、入力された中継信号を少なくとも記憶または増幅する。このようにしたので、行選択信号出力部41から遠く離れた画素部30においても、信号遅延等が行選択信号に与える影響を最小化することができる。
【0091】
(36)第1半導体基板7には、複数のフォトダイオード31が設けられる。第2半導体基板8には、複数の記憶部38と複数のダミー画素部30aと出力アンプ回路35aと出力アンプ制御回路36aとのうち少なくとも1つが設けられる。第1半導体基板7と第2半導体基板8は、光が入射する側から設けられる。このようにしたので、複数の記憶部38や出力アンプ回路35aなどによってフォトダイオード31の開口面積が圧迫されない。
【0092】
(37)複数のフォトダイオード31は、第1半導体基板7において第1間隔で設けられる。複数の記憶部38は、第2半導体基板8において第1間隔より小さい第2間隔で設けられる。複数のダミー画素部30aは、第2半導体基板8において第2間隔で設けられる。このようにしたので、フォトダイオード31の受光面積を保ったまま、それらの回路を設置することができる。
【0093】
(38)複数の記憶部38は、フォトダイオード31を有する画素部30から出力された信号を記憶する。行選択回路40は、複数の記憶部38に記憶された信号を出力させる行選択信号を出力する。中継アンプ回路35は、記憶部38から出力される信号を増幅する。複数のダミー画素部30aは、行選択回路40と接続される。中継アンプ制御回路36は、中継アンプ回路35による信号の増幅を制御する。行選択回路40は、行選択信号とともに複数のダミー画素部30aに中継信号を出力する。中継アンプ制御回路36は、中継信号に基づいて、中継アンプ回路35による信号の増幅を制御する。このようにしたので、画素部30同士の距離に起因する信号遅延を抑止することができ、高画素数と高速な読み出し速度とを両立することが可能になる。
【0094】
(39)制御部4は、撮像素子3からの信号に基づいて画像データを生成する。このようにしたので、高画素数の画像を高速に作成することができる。
【0095】
次のような変形も本発明の範囲内であり、変形例の一つ、もしくは複数を上述の実施形態と組み合わせることも可能である。
(変形例1)
画素ブロック列33は、複数の画素ブロック32ではなく、1つの画素ブロック32を含むように構成してもよい。すなわち、中継アンプ回路35、中継アンプ制御回路36、中継信号出力部42などは設けなくてもよい。
【0096】
上記では、種々の実施の形態および変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
【0097】
次の優先権基礎出願の開示内容は引用文としてここに組み込まれる。
日本国特許出願2016年第69737号(2016年3月30日出願)
【符号の説明】
【0098】
1…撮像装置、2…撮像光学系、3…撮像素子、30…画素部、31…フォトダイオード、32…画素ブロック、33…画素ブロック列、34…中継バッファ、35…中継アンプ回路、35a…出力アンプ回路、36…中継アンプ制御回路、36a…出力アンプ制御回路、38…記憶部、40…行選択回路、41…行選択信号出力部、42…中継信号出力部、51…行選択信号線、52…中継信号線、54…出力信号線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11