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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】撮影システム
(51)【国際特許分類】
   G03B 15/05 20210101AFI20221220BHJP
   G03B 15/02 20210101ALI20221220BHJP
   G03B 15/03 20210101ALI20221220BHJP
   H04N 5/225 20060101ALI20221220BHJP
   H04N 5/232 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
G03B15/05
G03B15/02 G
G03B15/03
H04N5/225 600
H04N5/232 030
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021073293
(22)【出願日】2021-04-23
(62)【分割の表示】P 2019182230の分割
【原出願日】2015-09-28
(65)【公開番号】P2021120749
(43)【公開日】2021-08-19
【審査請求日】2021-04-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(72)【発明者】
【氏名】土屋 慶子
(72)【発明者】
【氏名】細井 一磨
【審査官】藏田 敦之
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-207821(JP,A)
【文献】特開2015-040977(JP,A)
【文献】特開2013-115731(JP,A)
【文献】特開2009-288657(JP,A)
【文献】特開2007-336355(JP,A)
【文献】特開2015-041053(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 15/02 - 15/05
H04N 5/232
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体に対して光を発光する第1の発光装置と、
前記被写体に対して光を発光する第2の発光装置と、
前記第1の発光装置及び前記第2の発光装置のそれぞれに対して、光を用いた通信または電波を用いた通信が可能な撮像装置と、を備え、
前記撮像装置は前記第1の発光装置に対して、光を用いた通信を行い、
前記撮像装置は前記第2の発光装置に対して、電波を用いた通信を行い、
前記第1の発光装置が電波を用いた通信が可能な場合は、前記撮像装置は前記第1の発光装置に対して、前記光を用いた通信よりも優先して前記電波を用いた通信を行う、
撮影システム。
【請求項2】
前記撮像装置が、前記第2の発光装置に電波を用いた通信を複数回繰り返し行う、請求項1に記載の撮影システム。
【請求項3】
前記撮像装置は光学系により結像される前記被写体の像を撮像する撮像素子を有する、
請求項1または2に記載の撮影システム。
【請求項4】
前記撮像装置は前記被写体に対して光を発光する発光部を有する、請求項1からの何れか一項に記載の撮影システム。
【請求項5】
前記第1の発光装置と前記第2の発光装置は同時に発光する請求項1からの何れか一項に記載の撮影システム。
【請求項6】
前記撮像装置は前記第2の発光装置を自動で検出し、前記電波を用いた通信を行う、
請求項1からの何れか一項に記載の撮影システム。
【請求項7】
前記撮像装置は、
前記第1の発光装置に対して前記光を用いた通信を行ったのちに、
前記第2の発光装置に対して前記電波を用いた通信を行う、請求項1からの何れか一項に記載の撮影システム。
【請求項8】
前記第1の発光装置と前記第2の発光装置は、光を用いた通信と電波を用いた通信が可能であり、
前記撮像装置は光を用いた通信を行うか電波を用いた通信を行うか設定する設定部を有する、請求項1からの何れか一項に記載の撮影システム。
【請求項9】
ユーザーが前記第1の発光装置と前記第2の発光装置に対して光を用いた通信を行うか電波を用いた通信を行うか設定する前記設定部を有する、請求項に記載の撮影システム。
【請求項10】
前記第1の発光装置と前記第2の発光装置の発光量に関する情報と前記第1の発光装置及び前記第2の発光装置の発光タイミングに関する情報を含む制御情報を、撮影条件に基づいて、前記第1の発光装置と前記第2の発光装置に送信する請求項またはに記載の撮影システム。
【請求項11】
前記撮像装置は、
前記第2の発光装置へ前記電波を用いた通信を発信する発信部をさらに備え、
前記設定部から前記発信部へ前記制御情報を通信する頻度と、前記発信部から前記第2の発光装置へ前記制御情報を通信する頻度の回数は等しい、
請求項10に記載の撮影システム。
【請求項12】
前記被写体に対して発光する第3の発光装置を備え、
前記撮像装置は、前記第3の発光装置に対して、光を用いた通信または電波を用いた通信を行うことが可能な、請求項10または11に記載の撮影システム。
【請求項13】
前記第3の発光装置が光を用いた通信を行う場合、
前記撮像装置は前記第3の発光装置を前記第1の発光装置と同じグループに設定し、前記制御情報を指示する、
請求項12に記載の撮影システム。
【請求項14】
前記第3の発光装置が電波を用いた通信を行う場合、
前記撮像装置は前記第3の発光装置を前記第2の発光装置と同じグループに設定し、前記制御情報を指示する、
請求項12に記載の撮影システム。
【請求項15】
前記撮像装置が、前記第1の発光装置と前記第3の発光装置のうち電波を用いた通信を受信する発光装置を検出した時、検出された前記発光装置に対して電波を用いた通信を行うことを特徴とする、
請求項12から14の何れか一項に記載の撮影システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影システムに関する。
【背景技術】
【0002】
無線制御によりストロボ装置を発光させて撮影するフラッシュ撮影システムが知られている(特許文献1参照)。特許文献1では、カメラからストロボ装置へ光量設定通信により発光量が伝えられ、発光トリガ通信により発光タイミングが伝えられる。特許文献1の課題は、無線通信システムにおいて、ユーザーの操作に対するレスポンスを確保することと、複数の機器が正確な時間で同期動作を行うことと、外乱があっても確実に同期動作を行うことを両立するのは技術的なハードルが高く難しいということである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-185961号公報
【発明の概要】
【0004】
本発明の態様による撮影システムは、被写体に対して光を発光する第1の発光装置と、前記被写体に対して光を発光する第2の発光装置と、前記第1の発光装置及び前記第2の発光装置のそれぞれに対して、光を用いた通信または電波を用いた通信が可能な撮像装置と、を備え、前記撮像装置は前記第1の発光装置に対して、光を用いた通信を行い、前記撮像装置は前記第2の発光装置に対して、電波を用いた通信を行前記第1の発光装置が電波を用いた通信が可能な場合は、前記撮像装置は前記第1の発光装置に対して、前記光を用いた通信よりも優先して前記電波を用いた通信を行う
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】第1の実施の形態による撮影システムの構成を例示する図である。
図2】カメラ、マスター無線アダプタ、リモート無線アダプタ、および電子閃光装置の構成を例示するブロック図である。
図3】電波通信を説明する図である。
図4】多灯撮影時の発光タイミングを例示する図である。
図5】通信パケットを例示する図である。
図6】モニタ発光起動パケットにおけるデータの詳細を例示する図である。
図7】本発光起動パケットにおけるデータの詳細を例示する図である。
図8】発光ゲインパケットにおけるデータの詳細を例示する図である。
図9】発光タイミングパケットにおけるデータの詳細を例示する図である。
図10】撮影処理の流れを例示するフローチャートである。
図11】多灯撮影時の発光タイミングを例示する図である。
図12】撮影処理の流れを例示するフローチャートである。
図13】第2の実施の形態による撮影システムの構成を例示する図である。
図14】カメラ、マスター無線アダプタ、リモート光アダプタ、および電子閃光装置の構成を例示するブロック図である。
図15】多灯撮影時の発光タイミングを例示する図である。
図16】第2の実施の形態による撮影処理の流れを説明するフローチャートである。
図17】第3の実施の形態によるカメラ処理の流れを説明するフローチャートである。
図18】第3の実施の形態によるカメラ処理の流れを説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0006】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態による撮影システムの構成を例示する図である。図1の撮影システムは、マスター無線アダプタ10および電子閃光装置20の双方が装着されたカメラ30と、リモート無線アダプタ10Aが装着された電子閃光装置20Aと、リモート無線アダプタ10Bが装着された電子閃光装置20Bと、リモート無線アダプタ10Cが装着された電子閃光装置20Cと、リモート無線アダプタ10Dが装着された電子閃光装置20Dと、によって構成された多灯フラッシュ撮影システムである。
【0007】
電子閃光装置20、および電子閃光装置20A~電子閃光装置20Dは、それぞれがカメラ30のアクセサリシューと嵌合するカメラ取り付け脚を有する。図1の例では、電子閃光装置20がカメラ取り付け脚によって直接カメラ30に装着され、電子閃光装置20A~20Dは、カメラ取り付け脚によってリモート無線アダプタ10A~10Dにそれぞれ装着される。
なお、リモート無線アダプタ10A~10Dは、電子閃光装置20A~20Dの内部に内蔵させてもよいし、マスター無線アダプタ10は、カメラ30の内部に内蔵させてもよいし、電子閃光装置20に内蔵させてもよい。また、カメラ30、電子閃光装置20、20A~20Dの少なくとも1つは、後述する光アダプタの機能を有していてもよい。
【0008】
マスター無線アダプタ10は、例えば、カメラ30の側面の接続端子(不図示)に装着される。リモート無線アダプタ10A~10Dは、それぞれ上記電子閃光装置20A~20Dのカメラ取り付け脚と嵌合するアクセサリシューを有する。リモート無線アダプタ10A~10Dのアクセサリシューに、電子閃光装置20A~20Dが装着される。
【0009】
カメラ30に装着された電子閃光装置20は、アクセサリシューに備えられる不図示の端子を介してカメラ30との間で有線通信する。カメラ30の側面に装着されたマスター無線アダプタ10は、不図示の接続端子を介してカメラ30との間で有線通信する。
【0010】
マスター無線アダプタ10は、リモート無線アダプタ10A、リモート無線アダプタ10B、リモート無線アダプタ10C、およびリモート無線アダプタ10D、との間で電波による無線通信を行う。
【0011】
リモート無線アダプタ10Aと電子閃光装置20Aとは、リモート無線アダプタ10Aのアクセサリシューに備えられる不図示の端子を介して有線通信する。リモート無線アダプタ10Bと電子閃光装置20Bとは、リモート無線アダプタ10Bのアクセサリシューに備えられる不図示の端子を介して有線通信する。リモート無線アダプタ10Cと電子閃光装置20Cとは、リモート無線アダプタ10Cのアクセサリシューに備えられる不図示の端子を介して有線通信する。リモート無線アダプタ10Dと電子閃光装置20Dとは、リモート無線アダプタ10Dのアクセサリシューに備えられる不図示の端子を介して有線通信する。
【0012】
なお、図1の構成は、1台のカメラ30と5台の電子閃光装置20、20A~20Dで構成する多灯フラッシュ撮影システムであって、電子閃光装置20および電子閃光装置20AをグループAとし、電子閃光装置20BをグループBとし、電子閃光装置20CをグループCとし、電子閃光装置20DをグループDとする場合を例示する。電子閃光装置の総数は5台でなくてもよく、1台でもよいし複数台でもよい。また、各グループを構成する電子閃光装置の数や、グループの数も、適宜変更して構わない。
さらにまた、カメラ30のアクセサリシューに直接接続する電子閃光装置20を撮影補助光源として使わずに、電波通信を行う電子閃光装置20A~20Dを撮影補助光源として用いる多灯フラッシュ撮影システムを構成してもよい。
【0013】
図2は、カメラ30、マスター無線アダプタ10、電子閃光装置20、リモート無線アダプタ10A、および電子閃光装置20Aの構成を例示するブロック図である。第1の実施の形態では、マスター無線アダプタ10およびリモート無線アダプタ10Aを同一の回路構成にしたため、両無線アダプタ間で共通するブロックに対して同一符号を付して説明する。
【0014】
また、図2において図示を省略しているが、リモート無線アダプタ10Bおよび電子閃光装置20Bの構成と、リモート無線アダプタ10Cおよび電子閃光装置20Cの構成と、リモート無線アダプタ10Dおよび電子閃光装置20Dの構成は、それぞれリモート無線アダプタ10Aおよび電子閃光装置20Aの構成と同様である。
【0015】
<電子閃光装置>
図2において、電子閃光装置20および電子閃光装置20Aはそれぞれ、キセノン管などの発光管201と、発光制御回路202と、CPU203と、温度検出部204と、電池残量検出部205と、を含む。CPU203は、接続されている外部機器のCPU(リモート無線アダプタ10AのCPU105、またはカメラ30のCPU306)との間で有線通信を行いながら、発光管201の発光を制御する。
【0016】
発光制御回路202は高電圧充電回路を含み、放電発光に必要なエネルギーを蓄積する。発光制御回路202は、CPU203からの指示に基づいて蓄積エネルギーの放電時間を制御することにより、発光管201を所定の発光量(目標発光量)で放電発光させる。目標発光量は、外部機器からCPU203へ伝達される。
【0017】
発光制御回路202は、蓄積エネルギーが所定値に達している場合に、CPU203へレディ情報を送出する。発光制御回路202は、蓄積エネルギーが所定値未満の場合には、レディ情報を送出しない。一般に、レディ情報を送出するための所定値は、エネルギーの最大蓄積容量より少ない値である。
【0018】
電池残量検出部204は、電子閃光装置20(20A)に設けられた不図示の電池の電圧を検出し、電池残量が発光管201を放電発光させるために必要な残量より少ない場合(電池電圧が所定電圧値以下)に、CPU203へ電池警告情報を送出する。電池残量検出部205は、電池残量が上記必要な残量を上回っている場合は、電池警告情報を送出しない。
【0019】
<無線アダプタ>
マスター無線アダプタ10およびリモート無線アダプタ10Aは、それぞれ、アンテナ101と、通信回路102と、CPU105とを含む。CPU105は、接続されている外部機器のCPU(電子閃光装置20AのCPU203、またはカメラ30のCPU306)との間で有線通信を行う他、他の無線アダプタとの間で行う電波通信の制御とを行う。
【0020】
通信回路102は、CPU105からの指示に応じて、アンテナ101を介して他の無線アダプタとの間で電波通信を行う。
【0021】
<カメラ>
カメラ30は、撮影レンズ301と、シャッタ302と、撮像素子303と、測光センサ304と、シャッタ駆動装置305と、CPU306と、操作部材(レリーズスイッチ含む)307と、メモリ308と、表示部309と、を備える。
【0022】
撮影レンズ301は、被写体像を撮像素子303の撮像面に結像させる。シャッタ302は、シャッタ駆動装置305によって開閉制御される。測光センサ304は、入射光の強さに応じた測光信号を出力する。CPU306は、測光信号に基づいて所定の露出演算を行うことにより、撮像素子303の感度、シャッタ302の開時間、および不図示の絞りの絞り値を制御する。また、CPU306は、上記測光センサ304からの出力信号に基づいて、電子閃光装置20、20A~20Dに対する調光制御も行う。
【0023】
操作部材307は、レリーズスイッチやメニュースイッチ、操作ダイヤルなどを含み、各種操作に応じた操作信号をCPU306へ送出する。撮像素子303は、被写体像を光電変換して画像信号を出力する。撮像素子303から出力された画像信号は、CPU306によって所定の画像処理が施される。画像処理には、輪郭強調処理、補間処理、ホワイトバランス調整処理などが含まれる。画像処理後の画像信号は、メモリカードなどの記録媒体350に記録される。
【0024】
メモリ308は、カメラ30と組み合わせて使用される電子閃光装置から送信された情報(例えば、最小発光量のガイドナンバーや、最大発光量のガイドナンバーなど)を記憶する。
【0025】
表示部309は、例えば、カメラ30のボディ背面に設けた液晶表示器によって構成され、撮影画像や、操作メニュー画面、情報表示画面などを表示する。
【0026】
<多灯撮影>
多灯フラッシュ撮影を行う場合、カメラ30のCPU306は、撮影者によるレリーズスイッチ(操作部材307)の押下操作(撮影指示)を検出してレリーズシーケンス処理を開始させる。そして、有線通信を介してマスター無線アダプタ10および電子閃光装置20へ発光指示を送出する。
【0027】
なお、撮影指示に先立って、マスター無線アダプタ10とリモート無線アダプタ10A~10D(すなわち電子閃光装置20A~20D)との間で電波通信が確立されているものとする。例えば、マスター無線アダプタ10が、無線接続を要求するリモート無線アダプタ10A~10Dを自動検出して個別に無線接続を行い、個々のリモート無線アダプタを認識するためのIDを付与することによって、マスター無線アダプタ10と、各リモート無線アダプタ10A~10Dとの間で電波通信を確立させる。
【0028】
また、電子閃光装置20、および電波通信を確立したリモート無線アダプタ10A~10Dに対応する電子閃光装置20A~20Dのうち、発光対象にする電子閃光装置が、撮影者による操作によってあらかじめ指定されているものとする。また、電子閃光装置20、および電子閃光装置20A~20Dのグループ割も、撮影者による操作によってあらかじめ指定されているものとする。
【0029】
―カメラとマスター無線アダプタ間の有線通信―
カメラ30(CPU306)と、マスター無線アダプタ10(CPU105)との間の通信は、有線通信である。この有線通信は、カメラ30が主導して必要に応じて適宜行う。
【0030】
カメラ30とマスター無線アダプタ10との間の通信は、通常、カメラ30がマスター無線アダプタ10へコマンドおよびデータを送信し、これを受信したマスター無線アダプタ10がカメラ30へ返信(ack)する。コマンドには、電子閃光装置20Aに対するもの、電子閃光装置20Bに対するもの、電子閃光装置20Cに対するもの、電子閃光装置20Dに対するものが含まれる。
【0031】
―カメラと電子閃光装置間の有線通信―
また、カメラ30(CPU306)と、電子閃光装置20(CPU203)との間の通信も有線通信である。この有線通信も、カメラ30が主導して必要に応じて適宜行う。
【0032】
カメラ30と電子閃光装置20との間の通信は、通常、カメラ30が電子閃光装置20へコマンドおよびデータを送信し、これを受信した電子閃光装置20がカメラ30へ返信(ack)する。コマンドには、電子閃光装置20に対するものが含まれる。
【0033】
-マスター無線アダプタとリモート無線アダプタ間の通信-
マスター無線アダプタ10とリモート無線アダプタ10A、マスター無線アダプタ10とリモート無線アダプタ10B、マスター無線アダプタ10とリモート無線アダプタ10C、およびマスター無線アダプタ10とリモート無線アダプタ10Dとの間の通信は、それぞれ電波通信である。図3は、マスター無線アダプタ10がリモート無線アダプタ10A(リモート無線アダプタ10B、リモート無線アダプタ10C、またはリモート無線アダプタ10D)との間で行う電波通信を説明する図である。
【0034】
リモート無線アダプタ1台当たりの電波通信の発生頻度は、カメラ30とマスター無線アダプタ10との間の通信の発生頻度と同じである。すなわち、カメラ30とマスター無線アダプタ10との間の有線通信の後、遅滞なくマスター無線アダプタ10と各リモート無線アダプタとの間で電波通信が行われる。
【0035】
マスター無線アダプタ10とリモート無線アダプタ10A(10B、10Cまたは10D)との間の通信は、通常、マスター無線アダプタ10がリモート無線アダプタ10A(10B、10Cまたは10D)へ上記コマンドおよびデータを送信し、これを受信したリモート無線アダプタ10A(10B、10Cまたは10D)がマスター無線アダプタ10へ返信(ack)する。コマンドには、通信相手のリモート無線アダプタ10A(10B、10Cまたは10D)に装着されている電子閃光装置20A(20B、20Cまたは20D)に対するものが含まれる。
【0036】
-リモート無線アダプタと電子閃光装置間の通信-
各リモート無線アダプタ10A(10B、10Cまたは10D)と、電子閃光装置20A(20B、20Cまたは20D)との間の通信は、有線通信である。この有線通信は、各リモート無線アダプタ10A(10B、10Cまたは10D)がマスター無線アダプタ10との電波通信の後、対応する電子閃光装置との間で直ちに行う。
【0037】
リモート無線アダプタ10A(10B、10Cまたは10D)と電子閃光装置20A(20B、20Cまたは20D)との間の通信は、通常、リモート無線アダプタ10A(10B、10Cまたは10D)が対応する電子閃光装置20A(20B、20Cまたは20D)へ上記コマンドおよびデータを送信し、これを受信した電子閃光装置20A(20B、20Cまたは20D)がリモート無線アダプタ10A(10B、10Cまたは10D)へ返信(ack)する。コマンドには、リモート無線アダプタ10A(10B、10Cまたは10D)に装着されている電子閃光装置20A(20B、20Cまたは20D)に対するものが含まれる。
【0038】
<多灯撮影時の発光タイミング(その1)>
各電子閃光装置20および20A~20Dの発光タイミングについて、図4を参照して説明する。図4は、電子閃光装置20および20A~20Dから撮影補助光を発光させる多灯フラッシュ撮影において、TTL(through the lens)調光制御を行う場合のタイミングを例示する図である。
【0039】
発光の大まかなタイムスケジュールを説明する。レリーズスイッチ(操作部材307)の押下操作(撮影指示)が行われると、時刻t0において、カメラ30のCPU306がレリーズシーケンス処理を開始させる。
【0040】
第1の実施の形態におけるTTL調光制御時のレリーズシーケンス処理では、CPU306から指示を受けたシャッタ駆動装置305がシャッタ302を開駆動する前(本撮影露光前)に、カメラ30(CPU306)が各電子閃光装置20および20A~20Dに対して、時刻t1、t3、t5、t7において上記グループ単位で順番に4回のモニタ発光(本発光前の予備発光)を行わせる。モニタ発光では、電子閃光装置20および20A~20Dが、それぞれのモニタ発光時の目標発光量(目標モニタ発光量)で発光する。
【0041】
カメラ30の測光センサ304は、上記4回のモニタ発光のタイミングに合わせて、それぞれ被写体からの反射光を受光するように制御される(測光)。CPU306は、測光センサ304から出力された測光信号に基づいて演算処理を行うことにより、電子閃光装置20および20A~20Dの本発光時の目標発光量(目標本発光量)を演算する。
【0042】
目標本発光量の演算例は、以下の通りである。電子閃光装置20および20A~20Dをいずれも発光させない状態で測光センサ304から出力された測光信号と、グループAを構成する電子閃光装置(本例では、電子閃光装置20および電子閃光装置20A)にモニタ発光させた状態で測光センサ304から出力された測光信号と、の差分に基づいてグループAの目標本発光量を演算する。
【0043】
同様に、グループB、グループC、およびグループDについても、それぞれ電子閃光装置20および20A~20Dを発光させない状態で測光センサ304から出力された測光信号と、各グループを構成する電子閃光装置(本例では、電子閃光装置20B、または電子閃光装置20C、または電子閃光装置20D)にモニタ発光させた状態で測光センサ304から出力された測光信号と、の差分に基づいて各グループの目標本発光量を演算する。
【0044】
CPU306は、シャッタ302が全開する時刻t10において、電子閃光装置20および20A~20Dを略同時に本発光させる(本撮影露光)。本発光では、電子閃光装置20および20A~20Dが、それぞれの目標本発光量で発光する。
【0045】
以下、各電子閃光装置20および20A~20Dの発光タイミングを詳細に説明する。<全グループに対するモニタ発光の指示>
時刻t0にレリーズシーケンス処理を開始させたカメラ30(CPU306)は、マスター無線アダプタ10を介して全てのリモート無線アダプタ10A~リモート無線アダプタ10Dへ、モニタ発光起動コマンドを電波通信でブロードキャスト送信する。レリーズシーケンス処理中の電波通信は、各リモート無線アダプタ10A~10Dからの返信(ack)を要求しない一方方向の送信を複数回(例えば10回)繰り返す。
【0046】
複数回繰り返す理由は、通信状態が悪い環境(例えば、電磁雑音が多い環境や、他の通信機器が発信する電波との干渉が大きい環境など)が想定される電波通信の場合、送信する度に返信(ack)を待って、受信側において受信されたか否かを確認するよりも、送信を複数回繰り返すことによって、受信側において受信される確率を高める方が好ましいという考え方に基づく。
カメラ30(CPU306)はさらに、グループAの電子閃光装置20へモニタ発光起動コマンドを有線通信で送信する。
【0047】
第1の実施の形態におけるモニタ発光起動コマンドには、モニタ発光対象であるグループおよびその発光順と、1番目にモニタ発光するグループのモニタ発光タイミング(発光開始時間)と、グループ間のモニタ発光間隔T(インターバル時間)と、各電子閃光装置20および20A~20Dの目標モニタ発光量と、が含められる。目標モニタ発光量は、あらかじめ決められた所定値(本発光量に比べて数百分の1程度)である。
【0048】
<グループAのモニタ発光>
モニタ発光起動コマンドを受信したグループAのリモート無線アダプタ10Aは、接続される電子閃光装置20Aへモニタ発光起動コマンドを有線通信で送信する。本例の電子閃光装置20Aは、1番目にモニタ発光するグループAである。このため、電子閃光装置20Aは、上記モニタ発光タイミング(発光開始時間=td1)に対応する時刻t1におい
て、目標モニタ発光量でモニタ発光を行う。
【0049】
一方、モニタ発光起動コマンドを受信したグループAの電子閃光装置20は、上記モニタ発光タイミング(発光開始時間=td1)に対応する時刻t1において、目標モニタ発光量でモニタ発光を行う。
【0050】
カメラ30(CPU306)は、時刻t1からモニタ発光が行われる間に測光処理を行い、モニタ発光後にグループAを対象とする上記演算処理を行わせる(Gr.A演算処理)。この演算処理により、電子閃光装置20および20Aの目標本発光量が算出される。
測光処理のタイミングとモニタ発光のタイミングとを合わせるように、モニタ発光起動コマンドに含める発光開始時間が決められている。
【0051】
<グループBのモニタ発光>
モニタ発光起動コマンドを受信したグループBのリモート無線アダプタ10Bは、接続される電子閃光装置20Bへモニタ発光起動コマンドを有線通信で送信する。本例の電子閃光装置20Bは、2番目にモニタ発光するグループBである。このため、電子閃光装置20Bは、上記モニタ発光タイミング(発光開始時間=td1)に対応する時刻t1から上記グループ間のモニタ発光間隔T(インターバル時間)が経過した時刻t3において、目標モニタ発光量でモニタ発光を行う。
【0052】
カメラ30(CPU306)は、時刻t3からモニタ発光が行われる間に測光処理を行い、モニタ発光後にグループBを対象とする上記演算処理を行わせる(Gr.B演算処理)。この演算処理により、電子閃光装置20Bの目標本発光量が算出される。
測光処理のタイミングとモニタ発光のタイミングとを合わせるように、モニタ発光起動コマンドに含める発光開始時間およびモニタ発光間隔Tが決められている。
【0053】
<グループCのモニタ発光>
モニタ発光起動コマンドを受信したグループCのリモート無線アダプタ10Cは、接続される電子閃光装置20Cへモニタ発光起動コマンドを有線通信で送信する。本例の電子閃光装置20Cは、3番目にモニタ発光するグループCである。このため、電子閃光装置20Cは、上記モニタ発光タイミング(発光開始時間=td1)に対応する時刻t1から上記グループ間のモニタ発光間隔T(インターバル時間)×2が経過した時刻t5において、目標モニタ発光量でモニタ発光を行う。
【0054】
カメラ30(CPU306)は、時刻t5からモニタ発光が行われる間に測光処理を行い、モニタ発光後にグループCを対象とする上記演算処理を行わせる(Gr.C演算処理)。この演算処理により、電子閃光装置20Cの目標本発光量が算出される。
測光処理のタイミングとモニタ発光のタイミングとを合わせるように、モニタ発光起動コマンドに含める発光開始時間およびモニタ発光間隔Tが決められている。
【0055】
<グループDのモニタ発光>
モニタ発光起動コマンドを受信したグループDのリモート無線アダプタ10Dは、接続される電子閃光装置20Dへモニタ発光起動コマンドを有線通信で送信する。本例の電子閃光装置20Dは、4番目にモニタ発光するグループDである。このため、電子閃光装置20Dは、上記モニタ発光タイミング(発光開始時間=td1)に対応する時刻t1から上記グループ間のモニタ発光間隔T(インターバル時間)×3が経過した時刻t7において、目標モニタ発光量でモニタ発光を行う。
【0056】
カメラ30(CPU306)は、時刻t7からモニタ発光が行われる間に測光処理を行い、モニタ発光後にグループDを対象とする上記演算処理を行わせる(Gr.D演算処理)。この演算処理により、電子閃光装置20Dの目標本発光量が算出される。
測光処理のタイミングとモニタ発光のタイミングとを合わせるように、モニタ発光起動コマンドに含める発光開始時間およびモニタ発光間隔Tが決められている。
【0057】
カメラ30(CPU306)は、上記グループDを対象とする演算処理に続いて、時刻t8において本撮影露光に備えて所定の総合演算処理を行う。
【0058】
<全グループに対する本発光の指示>
総合演算処理後の時刻t9において、カメラ30(CPU306)は、マスター無線アダプタ10を介して全てのリモート無線アダプタ10A~リモート無線アダプタ10Dへ、本発光起動コマンドを電波通信でブロードキャスト送信する。レリーズシーケンス処理中の電波通信であるので、各リモート無線アダプタ10A~10Dからの返信(ack)を要求しない一方方向の送信を複数回(例えば10回)繰り返す。
カメラ30(CPU306)はさらに、グループAの電子閃光装置20へ本発光起動コマンドを有線通信で送信する。
【0059】
第1の実施の形態における本発光起動コマンドには、本発光タイミング(発光開始時間=td2)と、各電子閃光装置20および20A~20Dの目標本発光量と、が含められる。
【0060】
本発光起動コマンドを受信したリモート無線アダプタ10A~10Dは、それぞれ接続される電子閃光装置20A~20Dへ本発光起動コマンドを有線通信で送信する。
【0061】
<全グループA~Dの本発光>
上記本発光起動コマンドを受信した電子閃光装置20A~20D、および電子閃光装置20は、上記本発光タイミング(発光開始時間=td2)に対応する時刻t10において、それぞれ目標本発光量で本発光を行う。シャッタ302が全開するタイミング(本撮影露光開始)と、本発光のタイミングとを合わせるように、本発光起動コマンドに含める発光開始時間=td2が決められている。
【0062】
<通信パケット>
第1の実施の形態では、上述した通信において以下のような通信パケットが生成、送信される。図5は、通信パケットを例示する図であり、デジタル通信のフォーマットに則したものである。図5において、「preamble」4aは、通信の最初に送信する助走部分に相当するデータであり、受信側の無線アダプタ(例えば、リモート無線アダプタ10A~リモート無線アダプタ10D)においてキャリア検出やAGC、位相基準の検出のために用いられる。受信側の無線アダプタは、「preamble」4aを検出すると、以降の信号の受信を可能にする。「preamble」4aは、例えば0 , 0 , 0 , 0・・・のような固定ビットパターンが設定される。
【0063】
「SFD(Start of Frame Delimiter)」4bは、「preamble」4aに続くパケットの先頭部分に付加される同期用データであり、「SYNC」とも呼ばれる。「SFD」4bは、パケットの開始を検出するためのパターンであり、通常は1バイト(2バイトでもよい)である。通信方式によってあらかじめ標準となる「SFD」4bが定められているので、所定の受信期間内に受信側の無線アダプタが受信デコードした信号が当該標準の「SFD」4bと一致する場合にのみ、受信側の無線アダプタにおいて以降の受信が有効になる。
【0064】
「Flame length」4cは、通信データ容量(バイト数)を示すデータであり、パケットの情報量を意味する。受信側の無線アダプタは、「SFD」4bを検出後に「Flame length」4cで示されたデータ数をデコードして1回の受信を終了する。
【0065】
「コマンド」4fは、処理を起動するための制御コマンドを表すデータである。例えば、マスター無線アダプタ10が上述した本発光起動コマンドを送信する通信パケット(本発光起動パケットと呼ぶ)には、「コマンド」4fとして本発光起動コマンドを表すデータが付加される。また、マスター無線アダプタ10が上述したモニタ発光起動コマンドを送信する通信パケット(モニタ発光起動パケットと呼ぶ)には、「コマンド」4fとしてモニタ発光起動コマンドを表すデータが付加される。
【0066】
第1の実施の形態では、モニタ発光起動パケットや本発光起動パケットの他に、サーチ起動パケット、発光ゲインパケット、発光タイミングパケット、発光確認パケットが用意されている。サーチ起動パケットは、マスター無線アダプタ10が、リモート無線アダプタ10A~リモート無線アダプタ10Dからの無線接続要求を求めるためのコマンド(接続要求問い合わせコマンド)を送信する通信パケットである。発光ゲインパケットは、マスター無線アダプタ10が、モニタ発光や本発光における目標発光量を指示するためのコマンドを送信する通信パケットである。発光ゲインパケットには発光タイミング(発光開始時間)の情報が含まれない。
【0067】
発光タイミングパケットは、マスター無線アダプタ10が、モニタ発光や本発光における発光タイミング(発光開始時間)を指示するためのコマンドを送信する通信パケットである。発光タイミングパケットには目標発光量の情報が含まれない。発光確認パケットは、マスター無線アダプタ10が、発光後情報を求めるためのコマンド(発光後情報問い合わせコマンド)をリモート無線アダプタ10A~リモート無線アダプタ10Dへ送信する通信パケットである。
【0068】
制御コマンドを送信しない通信パケットの場合、「コマンド」4fは省略される。例えば、リモート無線アダプタ10A~リモート無線アダプタ10Dが発光後情報としての報告データをマスター無線アダプタ10へ送信するための報告パケットでは、「コマンド」4fが省略される。報告データには、例えば、本発光がいわゆるフル発光であったか否かを示すデータが含まれる。フル発光は、蓄積エネルギーの全てを放電して発光することをいう。
【0069】
「相手先ID」4gは、「コマンド」4fで定義したコマンドの実行対象となるリモート無線アダプタ10A~リモート無線アダプタ10DのID、または報告パケットの送信先となるマスター無線アダプタ10のIDが含まれる。
【0070】
ここで、マスター無線アダプタ10、リモート無線アダプタ10A~リモート無線アダプタ10Dには個別にIDが付与されており(例えば、M,A,B,C,D)、この個別IDによって無線アダプタを一意に識別することができる。
同じグループ内に複数の機器が存在する場合、例えばA1,A2,…と個別IDを付与する。また、個別IDに代えて、全ての機器を指定するためのID(全装置IDと呼び、例えば0(ゼロ))を指定してもよい。全装置IDは、例えばリモート無線アダプタ10A~リモート無線アダプタ10Dの全てを「コマンド」4fの実行対象として指定する際に好適である。
【0071】
通信パケットを受信する側の無線アダプタは、「相手先ID」4gに自己の個別IDが含まれている場合、または全装置IDが含まれている場合に、「コマンド」4fで定義した制御コマンドの実行対象が自分であること、または報告データの送信先が自分であることを認識する。
【0072】
「データ」4hには、「コマンド」4fに対応するデータとして、例えばグループ情報、モード情報、時間情報、および発光量情報等を含めることができる。グループ情報は、上記グループA~グループDに関する情報である。モード情報は、動作モードを示す情報である。
【0073】
時間情報は、同期信号が出力されてから処理開始までの時間を示す情報である。上述したように、第1の実施の形態では「SFD」4bを同期用データとして用いる。そして、電子閃光装置20およびカメラ30が処理を開始するタイミングと、電子閃光装置20A~20Dが処理を開始するタイミングと、の間で以下のように同期がとられる。
【0074】
送信側であるカメラ30のCPU306は、生成した上記通信パケットをマスター無線アダプタ10のCPU105へ送出する。マスター無線アダプタ10のCPU105は、通信回路102による上記通信パケットの無線送信と並行して、上記通信パケットを先頭から読み込んで解析し、同期データとしての「SFD」4bの読み込みが完了したことを検出した時点を基準に、上記時間情報で指定された時間を計時する。CPU105は、指定された時間を計時した時点で、カメラ30(CPU306)へ処理の開始を示す信号を出力する。
【0075】
受信側であるリモート無線アダプタ10AのCPU105は、通信回路102で受信された通信パケットを先頭から読み込んで解析し、同期データとしての「SFD」4bの読み込みが完了したことを検出した時点を基準に、上記時間情報で指定された時間を計時する。CPU105は、指定された時間を計時した時点で電子閃光装置20A(CPU203)へ処理の開始を示す信号を出力する。
【0076】
これにより、上記通信パケットの「SFD」4bの読み込み完了を時間的基準として、電子閃光装置20およびカメラ30が処理を開始するタイミングと、電子閃光装置20A~20Dが処理を開始するタイミングと、の間で同期をとることができる。さらに、複数の電子閃光装置20A~20Dが存在する場合でも、各電子閃光装置20A~20DのCPU203は、同じタイミングで処理を開始することができるため、各電子閃光装置20A~20D間での処理開始タイミングの同期も精度高くとることができる。
【0077】
なお、返信(ack)を要求しない一方方向の送信を複数回繰り返した場合において、受信側が、同じコマンドに対応する処理を繰り返さないようにしている。また、受信側が、1回目の送信を受信してコマンド処理を開始する場合と、2回目以降の送信を受信してコマンド処理を開始する場合とで、受信側が行う処理のタイミングに差が生じないように、送信回数が増える毎に「データ」4hに含める時間情報を異ならせている。
【0078】
発光量情報は、グループごとの目標発光量を示す情報である。
【0079】
図6は、モニタ発光起動パケットにおける「データ」4hの詳細を例示する図である。グループ情報61は、モニタ発光対象であるグループと、グループの発光順を示す。本例の場合、グループA、グループB、グループC、グループDの順である。時間情報62は、1番目にモニタ発光するグループのモニタ発光タイミング(発光開始時間=td1)であり、上述した「SFD」4bの読み込み完了時点を基準とする時間で表される。時間情報63は、グループ間のモニタ発光間隔T(インターバル時間)を示す。
【0080】
発光量情報64は、グループAの目標モニタ発光量、グループBの目標モニタ発光量、グループCの目標モニタ発光量、グループDの目標モニタ発光量を示す。グループAに複数の電子閃光装置が存在する場合は、グループAの目標モニタ発光量として、A1の目標モニタ発光量、A2の目標モニタ発光量、…というように、同グループ内の電子閃光装置の目標モニタ発光量を個別IDの順番に続ける。
【0081】
図7は、本発光起動パケットにおける「データ」4hの詳細を例示する図である。グループ情報71は、本発光対象のグループを示す。時間情報72は、本発光タイミング(発光開始時間=td2)であり、上述した「SFD」4bの読み込み完了時点を基準とする時間で表される。モード情報73は、上記説明したTTL調光制御方式によって発光量を決定するTTLモードであるか、固定発光量で発光するマニュアル発光モードであるかを示す。
【0082】
発光量情報74は、グループAの目標本発光量、グループBの目標本発光量、グループCの目標本発光量、グループDの目標本発光量を示す。グループAに複数の電子閃光装置が存在する場合は、グループAの目標本発光量として、A1の目標本発光量、A2の目標本発光量、…というように、同グループ内の電子閃光装置の目標本発光量が個別IDの順番に続く。
【0083】
図8は、発光ゲインパケットにおける「データ」4hの詳細を例示する図である。グループ情報81は、グループ情報71と同様に、本発光対象のグループを示す。モード情報82は、モード情報73と同様に、発光モードを示す。発光量情報83は、発光量情報74と同様に、各電子閃光装置20および20A~20Dの目標本発光量を示す。
【0084】
図9は、発光タイミングパケットにおける「データ」4hの詳細を例示する図である。グループ情報91は、グループ情報71と同様に、本発光対象のグループを示す。時間情報92は、時間情報72と同様の発光タイミング(発光開始時間=td2)であって、上述した「SFD」4bの読み込み完了時点を基準とする時間で表される。
【0085】
<フローチャートの説明>
図10は、カメラ30のCPU306が、撮影者によるレリーズスイッチ(操作部材307)の押下操作(撮影指示)を検出して開始させる撮影処理の流れを例示するフローチャートである。図10のステップS10において、CPU306は、マスター無線アダプタ10からモニタ発光起動コマンドを送信させるとともに、電子閃光装置20へモニタ発光起動コマンド(モニタ発光起動パケット)を送信してステップS20へ進む(図4の時刻t0)。
【0086】
上記モニタ発光起動パケットに基づき、電子閃光装置20A~20Dおよび電子閃光装置20により、上述した時間情報で指定された時間の経過後にモニタ発光の処理が開始される。
【0087】
ステップS20において、CPU306は、上述した時間情報で指定された時間の経過後に測光処理を開始してステップS30へ進む。ステップS30において、CPU306は、目標本発光量の演算処理を開始してステップS40へ進む。ステップS40において、CPU306は、モニタ発光が終了したか否かを判定する。CPU306は、モニタ発光起動パケットにおける「データ」4hに基づいて、モニタ発光の対象であるグループの全てにおいてモニタ発光を終了している場合、ステップS40を肯定判定してステップS50へ進む。CPU306は、モニタ発光の対象であるグループの全てにおいてモニタ発光を終了していない場合、ステップS40を否定判定してステップS20へ戻る。ステップS20へ戻る場合のCPU306は、残りのグループのモニタ発光に合わせて測光処理を開始させる。
【0088】
ステップS50において、CPU306は、総合演算処理を開始してステップS60へ進む(図4の時刻t8)。ステップS60において、CPU306は、露光シーケンスを開始させる。具体的には、シャッタ駆動装置305によりシャッタ302の先幕走行を開始させて、ステップS70へ進む。
【0089】
ステップS70において、CPU306は、マスター無線アダプタ10から本発光起動コマンドを送信させるとともに、電子閃光装置20へ本発光起動コマンドを送信してステップS80へ進む(図4の時刻t9)。本発光起動コマンドは、いわゆるXオンタイミングに合わせて送信される。
【0090】
電子閃光装置20A~20Dおよび電子閃光装置20により、上述した時間情報で指定された時間の経過後に本発光の処理が開始される。シャッタ302が全開する図4の時刻t10において本発光が行われる。
【0091】
ステップS80において、CPU306は、シャッタ駆動装置305によるシャッタ302の後幕走行が開始するタイミング(図4の時刻t11)で、撮像素子303から画像信号を読み出して所定の画像処理を行い、ステップS90へ進む。
【0092】
ステップS90において、CPU306は、画像処理後の画像信号をメモリカードなどの記録媒体350に記録し、一連の撮影処理を終了する。
【0093】
<多灯撮影時の発光タイミング(その2)>
上述した多灯撮影時のタイミング(その1)は、シャッタ302の先幕の走行終了(Xオンタイミング)に合わせて本発光起動コマンドを送信する場合、いわゆる先幕シンクロを例に説明した。
多灯撮影時のタイミング(その2)では、バルブ撮影やタイム撮影など、撮影者の操作に基づいてシャッタ302の後幕の走行を開始させる場合であって、かつシャッタ302を開いている露光時間が上記所定時間(例えば0.1秒から1秒)より長く、かつ後幕の走行開始前に本発光を行うように本発光起動コマンドを送信する、いわゆる後幕シンクロの場合を例に説明する。
なお、バルブ撮影やタイム撮影であっても、シャッタ302を開いている露光時間が予め所定時間(例えば0.1秒から1秒)より短く決められており、シャッタ302の先幕の走行終了に合わせて本発光起動コマンドを送信する場合は、多灯撮影時のタイミング(その1)のように、本発光タイミング(発光開始時間=td2)と、各電子閃光装置20および20A~20Dの目標本発光量と、を含めた本発光起動コマンドを用いる。
【0094】
図11は、電子閃光装置20および20A~20Dから撮影補助光を発光させる多灯フラッシュ撮影において、TTL(through the lens)調光制御を行う場合のタイミングを例示する図である。時刻t0から時刻t8までは、図4の場合と同様であるので説明を省略する。
【0095】
<全グループに対する目標発光量の指示>
総合演算処理後の時刻t9において、カメラ30(CPU306)は、マスター無線アダプタ10を介して全てのリモート無線アダプタ10A~リモート無線アダプタ10Dへ、発光ゲインパケットを電波通信でブロードキャスト送信する。レリーズシーケンス処理中の電波通信であるので、各リモート無線アダプタ10A~10Dからの返信(ack)を要求しない一方方向の送信を複数回(例えば10回)繰り返す。
カメラ30(CPU306)はさらに、グループAの電子閃光装置20へ発光ゲインパケットを有線通信で送信する。
【0096】
上記発光ゲインパケットには、各電子閃光装置20および20A~20Dの目標本発光量が含められる。発光ゲインパケットを受信したリモート無線アダプタ10A~10Dは、それぞれ接続される電子閃光装置20A~20Dへ発光ゲインパケットを有線通信で送信する。
【0097】
上記発光ゲインパケットを受信した電子閃光装置20A~20D、および電子閃光装置20は、それぞれ目標本発光量をセットして発光タイミングパケットを待つ。
発光ゲインパケットには発光タイミング(発光開始時間)の情報が含まれないので、本発光起動パケットに比べて情報量が少ない。このため、送信時間の長さが本発光起動パケットに比べて短い。図11の例では、シャッタ302が全開する時刻t10aに、本撮影露光が開始される。
【0098】
<全グループに対する発光指示>
撮影者によるレリーズスイッチ(操作部材307)の押下操作の解除を検出すると、カメラ30(CPU306)は、時刻t10bにおいて、マスター無線アダプタ10を介して全てのリモート無線アダプタ10A~リモート無線アダプタ10Dへ発光タイミングパケットを電波通信でブロードキャスト送信する。レリーズシーケンス処理中の電波通信であるので、各リモート無線アダプタ10A~10Dからの返信(ack)を要求しない一方方向の送信を複数回(例えば10回)繰り返す。
カメラ30(CPU306)はさらに、グループAの電子閃光装置20へ発光タイミングパケットを有線通信で送信する。また、CPU306は、シャッタ駆動装置305へシャッタ302の後幕走行の開始を指示する。
【0099】
発光タイミングパケットを受信したリモート無線アダプタ10A~10Dは、それぞれ接続される電子閃光装置20A~20Dへ発光タイミングパケットを有線通信で送信する。
【0100】
上記発光タイミングパケットを受信した電子閃光装置20A~20D、および電子閃光装置20は、発光タイミング(発光開始時間=td3)に対応する時刻t10cにおいて、それぞれ目標本発光量で本発光を行う。
発光タイミングパケットには目標発光量の情報が含まれないので、本発光起動パケットに比べて情報量が少ない。このため、送信時間の長さが本発光起動パケットに比べて短いことから、時刻t10bにおいて本発光起動パケットを送信する場合に比べて、撮影者によるレリーズスイッチ(操作部材307)の押下操作の解除から、シャッタ302の後幕走行開始(本撮影露光終了)までの時間を短縮できる。
【0101】
シャッタ駆動装置305は、本発光後の時刻t11において、シャッタ302の後幕走行を開始させる。
【0102】
<フローチャートの説明>
図12は、カメラ30のCPU306が、撮影者によるレリーズスイッチ(操作部材307)の押下操作(撮影指示)を検出して開始させる撮影処理の流れを例示するフローチャートである。
ステップS10からステップS60までは、図10の場合と同様であるので説明を省略する。
【0103】
図12のステップS60において、CPU306は、露光シーケンスを開始させる。具体的には、シャッタ駆動装置305によりシャッタ302の先幕走行を開始させて、ステップS70Aへ進む。
【0104】
ステップS70Aにおいて、CPU306は、マスター無線アダプタ10から発光ゲインパケットを送信させるとともに、電子閃光装置20へ発光ゲインパケットを送信してステップS70Bへ進む(図11の時刻t9)。
【0105】
ステップS70Bにおいて、CPU306は、撮影者によるレリーズスイッチ(操作部材307)の押下操作が解除されたか否かを判定する。CPU306は、押下操作が解除された場合にステップS70Bを肯定判定してステップS70Cへ進み、押下操作が解除されていない場合は、ステップS70Bを否定判定して当該判定処理を繰り返す。
なお、タイム撮影の場合、レリーズスイッチ(操作部材307)の押下操作の解除を判定する代わりに、レリーズスイッチ(操作部材307)の再度の押下操作を判定する。
【0106】
ステップS70Cにおいて、CPU306は、マスター無線アダプタ10から発光タイミングパケットを送信させるとともに、電子閃光装置20へ発光タイミングパケットを送信してステップS80へ進む(図11の時刻t10b)。
【0107】
電子閃光装置20A~20Dおよび電子閃光装置20により、上述した時間情報で指定された発光開始時間=td3の経過後、すなわち、図11の時刻t10cにおいて本発光が行われる。
【0108】
図12のステップS80において、CPU306は、シャッタ駆動装置305によるシャッタ302の後幕走行が開始するタイミング(図11の時刻t11)で、撮像素子303から画像信号を読み出して所定の画像処理を行い、ステップS90へ進む。ステップS90以降の処理は、図10の場合と同様であるので説明を省略する。
【0109】
上述した第1の実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)発光制御装置として機能する撮影システムは、電子閃光装置20A~20Dの発光量に関する情報と電子閃光装置20A~20Dの発光タイミングに関する情報とを含む本発光起動パケット、電子閃光装置20A~20Dの発光量に関する情報を含み電子閃光装置20A~20Dの発光タイミングに関する情報を含まない発光ゲインパケット、および、電子閃光装置20A~20Dの発光タイミングに関する情報を含み電子閃光装置20A~20Dの発光量に関する情報を含まない発光タイミングパケットの少なくとも1つを電子閃光装置20A~20Dに送信するマスター無線アダプタ10と、撮影条件に応じて、本発光起動パケット、発光ゲインパケットおよび発光タイミングパケットの少なくとも1つを電子閃光装置20A~20Dに送信するようにマスター無線アダプタ10を制御するCPU306とを有する。例えば、目標本発光量74と本発光タイミング72とを1度に送信することに適した撮影条件か否かにより、通信回数の削減に有効な本発光起動パケットの送信と、発光ゲインパケットと発光タイミングパケットとを分けて送る送信とを適切に使い分けるので、通信回数を減らすことができる。通信回数が減れば、消費電力の軽減も図れる。
【0110】
(2)カメラ30のCPU306は、先幕シンクロ撮影の場合、および後幕シンクロ撮影かつ露光時間が予め決められており、かつ露光時間が所定時間より短い場合(例えばシャッタ302を開いている露光時間の計時をカメラ30側で行える場合)に、本発光起動パケットを送信させるので、通信回数を減らすことができる。
【0111】
(3)カメラ30のCPU306は、後幕シンクロ撮影かつ露光時間が所定時間より長い場合、および、後幕シンクロ撮影かつ撮影者による操作に基づき露光の終期を決定する場合(例えば、バルブ撮影、タイム撮影)に、発光ゲインパケットと発光タイミングパケットとを分けて送信させる。分けて送信する撮影条件を限定的にしたので、発光ゲインパケットと発光タイミングパケットとを常に分けて送信する場合と比べて、通信回数を減らすことができる。
また、撮影者による操作があってから目標本発光量74および本発光タイミング72の双方を制御情報として含む本発光起動パケットを送って電子閃光装置20A~20Dが本発光するまでの時間よりも、撮影者による操作があってから本発光タイミング92を制御情報として含む発光タイミングパケットを送って電子閃光装置20A~20Dが本発光するまでの時間の方が短くなる。発光タイミングパケット(図9参照)の方が、本発光起動パケット(図7参照)よりデータ量が少ないからである。
【0112】
(4)カメラ30のCPU306は、発光タイミングを制御情報として含む発光タイミングパケットに、電子閃光装置20および20A~20Dが発光処理を開始する時間と、開始する時間の基準となる同期データとしての「SFD」4bと、を含める。CPU306は、例えば、上記発光タイミングパケットの同期データを基準にシャッタ302の後幕走行を開始する時間を決定することにより、本発光処理と露光の終期とのタイミングを同期させることができる。
【0113】
(5)カメラ30は、発光タイミングパケットから同期データとしての「SFD」4bを読み込んだときを基準にして露光の終了時間を決めるCPU306を備えるので、本発光処理と露光の終期と、のタイミングを精度よく同期させることができる。具体的には、同期データとして「SFD」4bの読み込みを完了したマスター無線アダプタ10のCPU105から信号が出力されると、この信号を基準としてCPU306がシャッタ302の後幕走行を開始させる。
【0114】
(6)電子閃光装置20および20A~20Dは、照明光を発する発光管201と、制御情報を受信するリモート無線アダプタ10A~10Dと、目標発光量および本発光タイミングの双方を制御情報として含む本発光起動パケットがリモート無線アダプタ10A~10Dで受信される場合と、目標本発光量を制御情報として含む発光ゲインパケットと本発光タイミングを制御情報として含む発光タイミングパケットとがリモート無線アダプタ10A~10Dで受信される場合とに、それぞれ発光管201を発光させるCPU203とを備えるので、いずれの方式でも適切に本発光を行える。こうして、通信回数の削減に寄与する。
【0115】
次のような変形も発明の範囲内であり、変形例の一つ、もしくは複数を上述の実施の形態と組み合わせることも可能である。
(変形例1-1)
上述した説明では、モニタ発光を各グループで1回ずつ行う例を説明したが、モニタ発光を2回以上繰り返すようにしてもよい。カメラ30のCPU306は、モニタ発光後の演算処理において、測光センサ304による測光量が少なく測光値を示すデータのS/N比が悪いと判断したグループを対象に、総合演算処理を行う前に、発光量情報64(図6)で指定する目標モニタ発光量を前回よりも大きくして再度モニタ発光起動パケットを生成、送信させる。すなわち、CPU306は、マスター無線アダプタ10から2回目のモニタ発光起動コマンドを送信させるとともに、電子閃光装置20へ2回目のモニタ発光起動コマンドを送信する。
【0116】
また、カメラ30のCPU306は、モニタ発光後の演算処理において、測光センサ304による測光量が大きく、測光レンジをオーバーフローしたグループを対象に、総合演算処理を行う前に、発光量情報64(図6)で指定する目標モニタ発光量を前回より小さくして再度モニタ発光起動パケットを生成、送信させる。すなわち、CPU306は、マスター無線アダプタ10から2回目のモニタ発光起動コマンドを送信させるとともに、電子閃光装置20へ2回目のモニタ発光起動コマンドを送信する。
【0117】
CPU306は、1回目のモニタ発光時に適正な測光結果が得られなかったグループについてのみモニタ発光を繰り返すことによって、全てのグループについて適正な測光結果が得られたと判断した場合に、上述した総合演算処理へ進む。
【0118】
このとき、従来技術のように、グループごとに個別に送信することも考えられるが、この場合には、マスター無線アダプタ10側でその都度「preamble」4aから通信を行う必要があり、時間的なロスが生じる。しかしながら、変形例1-1では、図6に示すように1つのモニタ発光起動パケットで、発光をさせるグループの順番、開始時間、インターバル時間、発光量情報をまとめて指定することで、時間的なロスが発生することを防止している。
【0119】
変形例1-1によれば、2回目のモニタ発光時においても、処理の開始時間がそれぞれ異なる制御情報を送るようにしたので、処理の開始時間ごとの送信が不要になる。これにより、通信回数を減らすことができる。
【0120】
(変形例1-2)
多灯撮影時の発光タイミング(その2)として、バルブ撮影やタイム撮影において、後幕の走行開始前に本発光を行う後幕シンクロを例に説明した。図11図12による制御は、バルブ撮影やタイム撮影に限らず、長秒時露光を中止させる場合にも適用できる。長秒時露光は、例えば、30秒や1分、あるいはそれ以上の露光である。撮影者は、あらかじめ所定の本撮影露光時間による撮影を開始させたものの、本撮影露光時間の満了前に当該撮影を中止させるために所定の操作(例えば不図示の中止スイッチを操作する)を行う。
【0121】
CPU306は、長秒時露光の中止操作を検出すると、図11の時刻t10bにおいて、シャッタ駆動装置305へシャッタ302の後幕走行の開始を指示するとともに、全ての電子閃光装置に対する発光タイミングパケットを送信させる。
このように、例えば30秒以上の長秒時露光を開始後に露光途中で強制終了させる場合においても、上述した第2の指示方式へ切り替えて、後幕シンクロ撮影を適切に行うことができる。
【0122】
(変形例1-3)
上述した説明では、同期用データとして「SFD」4bを用いることにより、カメラ30および電子閃光装置20が処理を開始するタイミングと、電子閃光装置20A~20Dが処理を開始するタイミングとを合わせる(同期をとる)ようにした。すなわち、受信側であるリモート無線アダプタ10AのCPU105は、送信側であるマスター無線アダプタ10から受信した通信パケットを解析し、上記「SFD」4bの読み込み完了を検出した時点を基準に、処理開始までの時間を計時する。この代わりに、送信側であるマスター無線アダプタ10から通信パケットを受信した時点を基準にしてもよい。
【0123】
すなわち、変形例1-3において、受信側であるリモート無線アダプタ10AのCPU105は、マスター無線アダプタ10から通信パケットを受け取った時点から計時を開始し、上記時間情報で指定された時間が経過したときに処理を開始させる。変形例1-3の構成でも、カメラ30および電子閃光装置20が処理を開始するタイミングと、電子閃光装置20A~20Dが処理を開始するタイミングとを合わせる(同期をとる)ことができる。
また、上述した実施例では、カメラ30に備えられたCPU306と、カメラ30に備えられたマスター無線アダプタ10とを用いて電子閃光装置20A~20Eの制御をする例を説明したがこれに限定されるものではない。例えば、CPU306の機能とマスター無線アダプタ10の機能とが電子閃光装置20に備えられていてもよい。この場合、電子閃光装置20が電子閃光装置20A~20Dの制御をすることができる。例えば、電子閃光装置20が、電子閃光装置20A~20Dの発光量に関する情報と電子閃光装置20A~20Dの発光タイミングに関する情報とを含む本発光起動パケット、電子閃光装置20A~20Dの発光量に関する情報を含み電子閃光装置20A~20Dの発光タイミングに関する情報を含まない発光ゲインパケット、および、電子閃光装置20A~20Dの発光タイミングに関する情報を含み電子閃光装置20A~20Dの発光量に関する情報を含まない発光タイミングパケットの少なくとも1つを電子閃光装置20A~20Dに送信することができる。
【0124】
(変形例1-4)
上述した説明では、撮像素子303とは別に設けた測光センサ304によって、入射光の強さに応じた測光信号を出力させる例を説明した。しかしながら、カメラ30は、必ずしも撮像素子303と別に測光センサ304を備える必要はない。専用の測光センサを設けないカメラの場合には、撮像素子303によって入射光の強さに応じた測光信号を出力させる。第2の実施の形態や、第3の実施の形態についても同様である。
【0125】
(第2の実施の形態)
図13は、第2の実施の形態による撮影システムの構成を例示する図である。第2の実施の形態では、電波通信を行う無線アダプタ(マスター無線アダプタ10、リモート無線アダプタ10D、リモート無線アダプタ10E)と、無線で光通信を行う光アダプタ(リモート光アダプタ110A、リモート光アダプタ110B)とが混在する。異なる通信方式が存在する多灯フラッシュ撮影システムでは、電波通信により発光指示が行われる場合と、光通信により発光指示が行われる場合とで発光開始のタイミングがずれない発光制御が必要である。
このような場合の発光制御について、以下に説明する。
【0126】
図13における多灯フラッシュ撮影システムは、マスター無線アダプタ10および電子閃光装置20の双方が装着されたカメラ30と、リモート光アダプタ110Aが装着された電子閃光装置20Aと、リモート光アダプタ110Bが装着された電子閃光装置20Bと、リモート無線アダプタ10Dが装着された電子閃光装置20Dと、リモート無線アダプタ10Eが装着された電子閃光装置20Eと、によって構成される。
【0127】
電子閃光装置20、および電子閃光装置20A、20B、20D、20Eは、それぞれがカメラ30のアクセサリシューと嵌合するカメラ取り付け脚を有する。図13の例では、電子閃光装置20がカメラ取り付け脚によって直接カメラ30に装着され、電子閃光装置20A、20Bは、カメラ取り付け脚によってリモート光アダプタ110A、110Bにそれぞれ装着される。また、電子閃光装置20D、20Eは、カメラ取り付け脚によってリモート無線アダプタ10D、10Eにそれぞれ装着される。
【0128】
上述した第1の実施の形態及び第2の実施の形態において、電子閃光装置20には、マスター光アダプタ(図示せず)が内蔵されていてもよい。マスター光アダプタは、例えば、受光センサ(図示せず)と、検出回路(図示せず)と、CPU(図示せず)とを含む。このCPUは、電子閃光装置20のCPU203との間で有線通信を行う他、リモート光アダプタ110A、110Bとの間で光による無線通信を行うことができる。
上述した第1の実施の形態及び第2の実施の形態において、カメラ30、電子閃光装置20、20A~20D(電子閃光装置20、20A~20E)の少なくとも1つは、マスター光アダプタとしての機能と、リモート光アダプタとの機能とを有する光アダプタを有していてもよい。
上述した第1の実施の形態及び第2の実施の形態において、カメラ30、電子閃光装置20、20A~20D(電子閃光装置20、20A~20E)の少なくとも1つは、マスター無線アダプタとしての機能と、リモート無線アダプタとの機能とを有する無線アダプタを有していてもよい。
上述した第1の実施の形態及び第2の実施の形態において、カメラ30、電子閃光装置20、20A~20D(電子閃光装置20、20A~20E)の少なくとも1つには、光アダプタ(マスター光アダプタ及びリモート光アダプタの少なくとも一方)及び無線アダプタ(マスター無線アダプタ及びリモート無線アダプタの少なくとも一方)が設けられていてもよい。
上述した第1の実施の形態及び第2の実施の形態において、光アダプタ(マスター光アダプタ及びリモート光アダプタの少なくとも一方)及び無線アダプタ(マスター無線アダプタ及びリモート無線アダプタの少なくとも一方)は、カメラ30、電子閃光装置20、20A~20D(電子閃光装置20、20A~20E)の少なくとも1つに内蔵されていてもよいし、カメラ30、電子閃光装置20、20A~20D(電子閃光装置20、20A~20E)の少なくとも1つから着脱可能に備えられていてもよい。
【0129】
マスター無線アダプタ10は、第1の実施の形態の場合と同様に、カメラ30の側面の接続端子(不図示)に装着される。リモート光アダプタ110A、110Bおよびリモート無線アダプタ10D、10Eは、それぞれ上記電子閃光装置20A、20B、20D、20Eのカメラ取り付け脚と嵌合するアクセサリシューを有する。そして、リモート光アダプタ110A、110Bのアクセサリシューに、電子閃光装置20A、20Bが装着されており、リモート無線アダプタ10D、10Eのアクセサリシューに、電子閃光装置20D、20Eが装着されている。
【0130】
カメラ30に装着された電子閃光装置20は、アクセサリシューに備えられる不図示の端子を介してカメラ30との間で有線通信する。カメラ30の側面に装着されたマスター無線アダプタ10は、不図示の接続端子を介してカメラ30との間で有線通信する。
【0131】
マスター無線アダプタ10は、リモート無線アダプタ10D、およびリモート無線アダプタ10Eとの間で電波による無線通信を行う。
【0132】
リモート光アダプタ110Aと電子閃光装置20Aとは、リモート光アダプタ110Aのアクセサリシューに備えられる不図示の端子を介して有線通信する。リモート光アダプタ110Bと電子閃光装置20Bとは、リモート光アダプタ110Bのアクセサリシューに備えられる不図示の端子を介して有線通信する。
【0133】
リモート無線アダプタ10Dと電子閃光装置20Dとは、リモート無線アダプタ10Dのアクセサリシューに備えられる不図示の端子を介して有線通信する。リモート無線アダプタ10Eと電子閃光装置20Eとは、リモート無線アダプタ10Eのアクセサリシューに備えられる不図示の端子を介して有線通信する。
【0134】
なお、図13の構成は、1台のカメラ30と5台の電子閃光装置20、20A、20B、20D、20Eで構成する多灯フラッシュ撮影システムであって、電子閃光装置20および電子閃光装置20AをグループAとし、電子閃光装置20BをグループBとし、電子閃光装置20DをグループDとし、電子閃光装置20EをグループEとする場合を例示する。
【0135】
多灯フラッシュ撮影システムは、例えば、光通信を行うリモート光アダプタのグループとして3つのグループ(グループA、グループB、グループC)を設けることが可能に構成される。本例ではグループAおよびグループBを使用する。
【0136】
また、多灯フラッシュ撮影システムは、例えば、電波通信を行うリモート無線アダプタのグループとして3つのグループ(グループD、グループE、グループF)を設けることが可能に構成される。このうち、本例ではグループDおよびグループEを使用する。
【0137】
電子閃光装置の総数は5台でなくてもよく、1台でも2台以上でもよい。また、各グループを構成する電子閃光装置の数や、グループの数も、適宜変更して構わない。
【0138】
第2の実施の形態では、電子閃光装置20をリモート光アダプタ110A、110Bへ信号を送る光通信用の光源として使用し、撮影用(すなわち撮影補助光源)として使用しない例を説明する。
なお、電子閃光装置20を、リモート光アダプタ110A、110Bへ信号を送る光通信用の光源として使用するとともに、撮影用(すなわち撮影補助光源)としても使用するようにしてもよい。
【0139】
図14は、図3に例示した構成のうちのカメラ30、マスター無線アダプタ10、電子閃光装置20、リモート光アダプタ110A、および電子閃光装置20Aの構成を例示するブロック図である。第2の実施の形態では、リモート光アダプタ110Aの構成が第1の実施の形態で説明した図3と異なるので、リモート光アダプタ110Aを中心に説明する。
【0140】
なお、図14のカメラ30、マスター無線アダプタ10、電子閃光装置20、および電子閃光装置20Aの構成については、図3と同様であるので説明を省略する。
また、図13の電子閃光装置20B、電子閃光装置20Dおよび電子閃光装置20Eは、いずれも電子閃光装置20Aと同様の構成であるので説明を省略する。さらに、リモート無線アダプタ10Dおよびリモート無線アダプタ10Eは、いずれも上述したリモート無線アダプタ10Aと同様の構成であるので説明を省略する。
【0141】
<リモート光アダプタ>
図14のリモート光アダプタ110Aは、受光センサ103と、検出回路104と、CPU105とを含む。CPU105は、接続されている外部機器のCPU(電子閃光装置20AのCPU203)との間で有線通信を行う他、カメラ30側の電子閃光装置20と光通信を行う。
【0142】
上記光通信は、電子閃光装置20Aを所定のタイミングで発光させるように、カメラ30側の電子閃光装置20から光によって発光指示が送られる通信をいう。
【0143】
受光センサ103は、電子閃光装置20から発光指示として送信される変調光(光パルス列)を受光し、光電変換信号を検出回路104へ送出する。検出回路104は、光電変換されたパルス列をデコードしてCPU105へ送る。CPU105は、検出回路104によって検出された発光指示を、電子閃光装置のCPU203へ送る。
【0144】
<多灯撮影>
多灯フラッシュ撮影を行う場合、カメラ30のCPU306は、撮影者によるレリーズスイッチ(操作部材307)の押下操作(撮影指示)を検出してレリーズシーケンス処理を開始させる。そして、有線通信を介してマスター無線アダプタ10および電子閃光装置20へ発光指示を送出する。
【0145】
撮影指示に先立って、マスター無線アダプタ10とリモート無線アダプタ10D、10E(すなわち電子閃光装置20D、20E)との間で電波通信が確立されているものとする。例えば、撮影者による操作によって、カメラ30のCPU306は、発光対象であるリモート無線アダプタのグループとして、グループDにリモート無線アダプタ10Dを割り当てるとともに、グループEにリモート無線アダプタ10Eを割り当てる。マスター無線アダプタ10は、リモート無線アダプタ10D、10Eとの間でそれぞれ無線接続を行い、マスター無線アダプタ10と、リモート無線アダプタ10D、10Eとの間の電波通信を確立させる。
【0146】
同様に、撮影者による操作によって、カメラ30のCPU306は、発光対象であるリモート光アダプタのグループとして、グループAにリモート光アダプタ110Aを割り当てるとともに、グループBにリモート光アダプタ110Bを割り当てる。このように、発光対象にする電子閃光装置と、そのグループ割が、あらかじめ指定されているものとする。
【0147】
上記のように指定されたグループのうち、マスター無線アダプタ10が電波通信するグループD、グループEとの間の通信は、第1の実施の形態の場合と同様である。このため、電子閃光装置20とグループA、グループBとの間の光通信を中心に説明する。
【0148】
-リモート光アダプタの通信-
電子閃光装置20は、以下のようにリモート光アダプタ110A、リモート光アダプタ110Bと光通信を行う。電子閃光装置20は、例えば発光管201を点滅させることにより、変調光をリモート光アダプタ110A、リモート光アダプタ110Bに向けて発する。変調光のパルス列には、例えば、発光指示としてのグループ情報、発光種別情報、および発光量情報が含められる。
【0149】
グループ情報は、発光対象のグループを示す情報である。本例の場合、光通信におけるグループAまたはグループBを示す情報が含まれる。発光種別情報は、モニタ発光または本発光を示す情報である。発光量情報は、発光量を示す情報である。
【0150】
光通信の発生頻度は、カメラ30が発する発光指示の発生頻度と同じである。すなわち、モニタ発光や本発光の度に、カメラ30側の電子閃光装置20から各リモート光アダプタへ光通信が行われる。
【0151】
<多灯撮影時の発光タイミング>
各電子閃光装置20および20A、20B、20D、20Eの発光タイミングについて、図15を参照して説明する。図15は、第2の実施の形態による多灯フラッシュ撮影システムにおいて、TTL調光制御を行う場合のタイミングを例示する図である。
【0152】
発光の大まかなタイムスケジュールを説明する。レリーズスイッチ(操作部材307)の押下操作(撮影指示)が行われると、時刻t0において、カメラ30のCPU306がレリーズシーケンス処理を開始させる。
【0153】
第2の実施の形態におけるTTL調光制御時のレリーズシーケンス処理では、CPU306から指示を受けたシャッタ駆動装置305がシャッタ302を開駆動する前(本撮影露光前)に、カメラ30(CPU306)が各電子閃光装置20A、20B、20D、20Eに対して、時刻t1、t3、t5、t7において上記グループ単位で順番に4回のモニタ発光(本発光前の予備発光)を行わせる。モニタ発光では、電子閃光装置20および20A、20B、20D、20Eが、それぞれのモニタ発光時の目標発光量(目標モニタ発光量)で発光する。
【0154】
カメラ30の測光センサ304は、上記4回のモニタ発光のタイミングに合わせて、それぞれ被写体からの反射光を受光するように制御される(測光)。CPU306は、測光センサ304から出力された測光信号に基づいて演算処理を行うことにより、電子閃光装置20A、20B、20D、20Eの本発光時の目標発光量(目標本発光量)を演算する。目標本発光量の演算は、第1の実施の形態の場合と同様である。
【0155】
CPU306は、シャッタ302が全開する時刻t10において、電子閃光装置20A、20B、20D、20Eを略同時に本発光させる(本撮影露光)。本発光では、電子閃光装置20A、20B、20D、20Eが、それぞれの目標本発光量で発光する。
【0156】
以下、各電子閃光装置20および20A、20B、20D、20Eの発光タイミングを詳細に説明する。
<光通信を行うグループAに対するモニタ発光の指示>
時刻t0にレリーズシーケンス処理を開始させたカメラ30(CPU306)は、電子閃光装置20を介してグループAのリモート光アダプタ110Aへ、モニタ発光指示を光通信で送信する。
【0157】
グループAに対するモニタ発光指示には、グループAに対する指示であること、モニタ発光であること、および目標モニタ発光量が含められる。上述したように、目標モニタ発光量は、あらかじめ決められた所定値(本発光量に比べて数百分の1程度)である。
【0158】
<グループAのモニタ発光>
モニタ発光指示を受信したグループAのリモート光アダプタ110Aは、接続される電子閃光装置20Aへモニタ発光指示を有線通信で送信する。モニタ発光指示を受けた電子閃光装置20Aは、時刻t1において、目標モニタ発光量でモニタ発光を行う。電子閃光装置20Aがモニタ発光指示を受けた時刻t0からモニタ発光する時刻t1までの時間を発光開始時間(=td1)と呼ぶ。
【0159】
カメラ30(CPU306)は、時刻t1からモニタ発光が行われる間に測光処理を行い、モニタ発光後にグループAを対象とする上記演算処理を行わせる(Gr.A演算処理)。この演算処理により、電子閃光装置20Aの目標本発光量が算出される。
カメラ30(CPU306)が測光処理を開始するタイミングは、グループAに対するモニタ発光指示を送信してから上記発光開始時間(td1)の経過後である。
【0160】
<光通信を行うグループBに対するモニタ発光の指示>
カメラ30(CPU306)は、時刻t2において、電子閃光装置20を介してグループBのリモート光アダプタ110Bへ、モニタ発光指示を光通信で送信する。時刻t2は、時刻t1からグループ間のモニタ発光間隔T(上記インターバル時間)が経過する時刻t3より、上記発光開始時間(td1)だけ遡った時刻である。
【0161】
グループBに対するモニタ発光指示には、グループBに対する指示であること、モニタ発光であること、および目標モニタ発光量が含められる。上述したように、目標モニタ発光量は、あらかじめ決められた所定値(本発光量に比べて数百分の1程度)である。
【0162】
<グループBのモニタ発光>
モニタ発光指示を受信したグループBのリモート光アダプタ110Bは、接続される電子閃光装置20Bへモニタ発光指示を有線通信で送信する。モニタ発光指示を受けた電子閃光装置20Bは、時刻t3において、目標モニタ発光量でモニタ発光を行う。
【0163】
カメラ30(CPU306)は、時刻t3からモニタ発光が行われる間に測光処理を行い、モニタ発光後にグループBを対象とする上記演算処理を行わせる(Gr.B演算処理)。この演算処理により、電子閃光装置20Bの目標本発光量が算出される。
カメラ30(CPU306)が測光処理を開始するタイミングは、グループBに対するモニタ発光指示を送信してから上記発光開始時間(td1)の経過後である。
【0164】
<電波通信を行うグループD、グループEに対するモニタ発光の指示>
一方、時刻t0にレリーズシーケンス処理を開始させたカメラ30(CPU306)は、時刻t0においてマスター無線アダプタ10を介してリモート無線アダプタ10D、リモート無線アダプタ10Eへ、モニタ発光起動コマンドを電波通信でブロードキャスト送信する。レリーズシーケンス処理中の電波通信は、各リモート無線アダプタ10D、10Eからの返信(ack)を要求しない一方方向の送信を複数回(例えば10回)繰り返す。
【0165】
<グループDのモニタ発光>
電波通信を行うグループDのリモート無線アダプタ10Dのモニタ発光は、第1の実施の形態の場合と同様である。すなわち、モニタ発光起動コマンドを受信したリモート無線アダプタ10Dは、接続される電子閃光装置20Dへモニタ発光起動コマンドを有線通信で送信する。本例の電子閃光装置20Dは、3番目にモニタ発光するグループDである。このため、電子閃光装置20Dは、1番目の電子閃光装置10Aの発光タイミングに対応する時刻t1から上記グループ間のモニタ発光間隔T(インターバル時間)×2が経過した時刻t5において、目標モニタ発光量でモニタ発光を行う。
【0166】
カメラ30(CPU306)は、時刻t5からモニタ発光が行われる間に測光処理を行い、モニタ発光後にグループDを対象とする上記演算処理を行わせる(Gr.D演算処理)。この演算処理により、電子閃光装置20Dの目標本発光量が算出される。
なお、測光処理のタイミングとモニタ発光のタイミングとを合わせるように、モニタ発光起動コマンドに含める発光開始時間およびモニタ発光間隔Tが決められている。
【0167】
<グループEのモニタ発光>
電波通信を行うグループEのリモート無線アダプタ10Eのモニタ発光も、第1の実施の形態の場合と同様である。すなわち、モニタ発光起動コマンドを受信したリモート無線アダプタ10Eは、接続される電子閃光装置20Eへモニタ発光起動コマンドを有線通信で送信する。本例の電子閃光装置20Eは、4番目にモニタ発光するグループEである。このため、電子閃光装置20Eは、時刻t1から上記グループ間のモニタ発光間隔T(インターバル時間)×3が経過した時刻t7において、目標モニタ発光量でモニタ発光を行う。
【0168】
カメラ30(CPU306)は、時刻t7からモニタ発光が行われる間に測光処理を行い、モニタ発光後にグループEを対象とする上記演算処理を行わせる(Gr.E演算処理)。この演算処理により、電子閃光装置20Eの目標本発光量が算出される。
測光処理のタイミングとモニタ発光のタイミングとを合わせるように、モニタ発光起動コマンドに含める発光開始時間およびモニタ発光間隔Tが決められている。
【0169】
カメラ30(CPU306)は、上記グループEを対象とする演算処理に続いて、時刻t8において本撮影露光に備えて所定の総合演算処理を行う。
【0170】
<光通信を行うグループA、グループBに対する本発光の指示>
総合演算処理後の時刻t9において、カメラ30(CPU306)は、電子閃光装置20を介してグループAのリモート光アダプタ110A、およびグループBのリモート光アダプタ110Bへそれぞれ、本発光指示を光通信で送信する。
【0171】
本発光指示には、グループA、グループBに対する指示であること、本発光であること、および各目標本発光量が含められる。
【0172】
<グループA、グループBの本発光>
本発光指示を受信したグループAのリモート光アダプタ110Aは、接続される電子閃光装置20Aへ本発光指示を有線通信で送信する。また、本発光指示を受信したグループBのリモート光アダプタ110Bは、接続される電子閃光装置20Bへ本発光指示を有線通信で送信する。
【0173】
本発光指示を受けた電子閃光装置20Aおよび電子閃光装置20Bは、発光制御回路202において放電発光に必要なエネルギーを蓄積し、本発光トリガを待つ。時刻t10において、カメラ30(CPU306)は、電子閃光装置20を介して本発光トリガをグループAのリモート光アダプタ110A、およびグループBのリモート光アダプタ110Bへ光通信で送信する。本発光トリガは、例えば、発光管201を小光量(例えば、本発光量に比べて数百分の1程度)で1回パルス発光させる。
【0174】
本発光トリガを受信したグループAのリモート光アダプタ110Aは、接続される電子閃光装置20Aへ本発光トリガを有線通信で送信する。また、本発光トリガを受信したグループBのリモート光アダプタ110Bは、接続される電子閃光装置20Bへ本発光トリガを有線通信で送信する。
【0175】
本発光トリガを受けた電子閃光装置20Aおよび電子閃光装置20Bは、それぞれの目標本発光量で本発光を行う。
【0176】
<電波通信を行うグループD、グループEに対する本発光の指示>
一方、総合演算処理後の時刻t9において、カメラ30(CPU306)はさらに、マスター無線アダプタ10を介してリモート無線アダプタ10D、リモート無線アダプタ10Eへ、本発光起動コマンドを電波通信でブロードキャスト送信する。レリーズシーケンス処理中の電波通信であるので、各リモート無線アダプタ10D、10Eからの返信(ack)を要求しない一方方向の送信を複数回(例えば10回)繰り返す。
【0177】
本発光起動コマンドには、本発光タイミング(時刻t9から時刻t10までの発光開始時間=td2)と、各電子閃光装置20D、20Eの目標本発光量と、が含められる。
【0178】
本発光起動コマンドを受信したリモート無線アダプタ10D。10Eは、それぞれ接続される電子閃光装置20D、20Eへ本発光起動コマンドを有線通信で送信する。
【0179】
<グループD、グループEの本発光>
上記本発光起動コマンドを受信した電子閃光装置20D、および電子閃光装置20Eは、上記本発光タイミング(発光開始時間=td2)に対応する時刻t10において、それぞれ目標本発光量で本発光を行う。シャッタ302が全開するタイミング(本撮影露光開始)と、本発光のタイミングとを合わせるように、本発光起動コマンドに含める発光開始時間=td2が決められている。
なお、カメラ30(CPU306)が電子閃光装置20を介して送信する上記本発光トリガのタイミングは、本発光起動コマンドに含める発光開始時間=td2に対応させるように決められている。これにより、光通信により発光指示が行われるグループA、グループBの本発光タイミングと、電波通信により発光指示が行われるグループD、グループEの本発光タイミングとが揃う。
【0180】
<フローチャートの説明>
図16は、第2の実施の形態による撮影処理の流れを説明するフローチャートである。カメラ30のCPU306は、撮影者によるレリーズスイッチ(操作部材307)の押下操作(撮影指示)を検出すると、図16のフローチャートによる処理を開始させる。
【0181】
図16のステップS1において、CPU306は、通信方式が混在するか否かを判定する。CPU306は、撮影システムに、電波通信を行う無線アダプタと、光通信を行う無線アダプタとが存在する場合にステップS1を肯定判定してステップS2へ進む。CPU306は、撮影システムに光通信を行う無線アダプタが存在しない場合は、ステップS1を否定判定して図10のステップS10へ進み、電波通信を行う無線アダプタのみが存在する第1の実施の形態と同様の処理を行う。
なお、撮影システムに光通信を行う無線アダプタのみが存在する場合、CPU306は後述するステップS3以降の処理を行う。
【0182】
ステップS2において、CPU306は、電波通信処理としてマスター無線アダプタ10からモニタ発光起動コマンド(モニタ発光起動パケット)を送信させてステップS3へ進む(図15の時刻t0)。
【0183】
上記モニタ発光起動パケットに基づき、電子閃光装置20Dおよび20Eにより、上述した時間情報で指定された時間の経過後(本例では後述するステップS7の処理時)にモニタ発光の処理が開始される。
【0184】
ステップS3において、CPU306は、光通信処理として電子閃光装置20へモニタ発光起動コマンドを送信してステップS4へ進む(図15の時刻t0)。電子閃光装置20は、上記モニタ発光起動コマンドに基づき、モニタ発光指示をのせた変調光を発光管201から発する。
上記モニタ発光指示に基づき、電子閃光装置20Aおよび20Bによってモニタ発光の処理が開始される。
【0185】
ステップS4において、CPU306は、測光処理を開始してステップS5へ進む。ステップS5において、CPU306は、目標本発光量の演算処理を開始してステップS6へ進む。ステップS6において、CPU306は、光通信によるモニタ発光が終了したか否かを判定する。CPU306は、モニタ発光の対象であるグループA、グループBにおいてモニタ発光を終了している場合、ステップS6を肯定判定してステップS7へ進む。CPU306は、モニタ発光の対象であるグループA、グループBにおいてモニタ発光を終了していない場合、ステップS6を否定判定してステップS3へ戻る。ステップS3へ戻る場合のCPU306は、残りのグループのモニタ発光に合わせて測光処理を繰り返す。
【0186】
ステップS7において、CPU306は、上述した時間情報で指定された時間の経過後に測光処理を開始してステップS8へ進む。ステップS8において、CPU306は、目標本発光量の演算処理を開始してステップS9へ進む。ステップS9において、CPU306は、電波通信によるモニタ発光が終了したか否かを判定する。CPU306は、モニタ発光の対象であるグループD、グループEにおいてモニタ発光を終了している場合、ステップS9を肯定判定して図10のステップS50へ進む。
【0187】
一方、CPU306は、モニタ発光の対象であるグループD、グループEにおいてモニタ発光を終了していない場合、ステップS9を否定判定してステップS7へ戻る。ステップS7へ戻る場合のCPU306は、残りのグループのモニタ発光に合わせて測光処理を繰り返す。
【0188】
なお、図10のステップS50へ進んだ場合、CPU306は図10を参照して説明した処理を行うが、ステップS70においては以下の処理を行う。すなわち、CPU306は、光通信処理として電子閃光装置20へ本発光起動コマンドを送信するとともに、電波通信処理としてマスター無線アダプタ10を介してリモート無線アダプタ10D、10Eへ、本発光起動コマンドをブロードキャスト送信する(図15の時刻t9)。
これにより、電子閃光装置20は、上記本発光起動コマンドに基づき、本発光指示をのせた変調光を発光管201から発する。
【0189】
さらに、CPU306は、光通信処理として電子閃光装置20へ本発光トリガを送信する(図15の時刻t10)。電子閃光装置20は、上記本発光トリガに基づき、発光管201を小光量でパルス発光させる。
【0190】
上述した処理により、電子閃光装置20A、20B、20Dおよび20Eにより、シャッタ302が全開する図15の時刻t10において本発光が行われる。
【0191】
上述した第2の実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)発光制御装置として機能する撮影システムは、少なくとも1つの電子閃光装置を含む複数の電子閃光装置20A、20B、20D、20Eグループのそれぞれに対して、光を用いた光通信を行うか、電波を用いた電波通信を行うかを決定するCPU306と、CPU306により光を用いた光通信を行うことが決定されたグループに対して、光を用いた光通信を行うように制御を行い、CPU306により電波を用いた電波通信を行うことが決定されたグループに対して、電波を用いた電波通信を行うように制御を行うCPU306とを有する。これにより、電波通信を行うグループと、光通信を行うグループとが混在する場合に、電子閃光装置20A、20B、20D、20Eに対する制御情報を適切に送信させることができる。
【0192】
(2)撮影システムは、CPU306により光を用いた光通信を行うことが決定されたグループに対して、光を用いた光通信で第1制御情報を送信する電子閃光装置20と、CPU306により電波を用いた電波通信を行うことが決定されたグループに対して、電波を用いた電波通信で第2制御情報を送信するマスター無線アダプタ10とを有するので、電波通信を行うグループと、光通信を行うグループとが混在する場合に、電子閃光装置20A、20B、20D、20Eに対する制御情報を適切に送信させることができる。
【0193】
(3)上記第1制御情報および第2制御情報は、電子閃光装置20A、20B、20D、20Eに対する撮影補助光の発光指示を含み、カメラ30のCPU306は、撮影指示を受けてから、電子閃光装置20からの第1制御情報の送信と、マスター無線アダプタ10からの第2制御情報の送信とを行わせる。これにより、光通信を行うグループと、電波通信を行うグループとが混在する場合に、電子閃光装置20A、20B、20D、20Eに対する発光指示を適切に送信することができる。
【0194】
(4)カメラ30のCPU306は、電子閃光装置20からモニタ発光を指示する第1制御情報を送信させた後に、マスター無線アダプタ10からモニタ発光を指示する第2制御情報を送信させる。光通信で通信するグループへ先に第1制御情報を送信することで、モニタ発光から本発光までの時間を空けることができる。これにより、例えば、第1制御情報を送信する電子閃光装置20から本発光させる場合には、上記空けた時間を、電子閃光装置20の発光制御回路202において本発光に必要なエネルギーの蓄積時間に使えて好都合である。
【0195】
(5)上記マスター無線アダプタ10は、電波通信による第2制御情報を複数回(例えば10回)繰り返し送信するようにした。通信状態が悪い環境(例えば、電磁雑音が多い環境や、他の通信機器が発信する電波との干渉が大きい環境など)のもとで、受信側において制御情報が受信される確率を高めることができる。また、通信状態を判断する判断部を有し、通信状態が所定の閾値よりも悪い(所定の閾値よりも環境ノイズが多い)と判断されたとき、通信状態が所定の閾値よりも悪いと判断されなかったときよりも第2制御情報の送信回数を増やしてもよい。
【0196】
(6)カメラ30のCPU306は、電子閃光装置20A、20B、20D、20Eの中からマスター無線アダプタ10による通信を受け付ける電子閃光装置20D、20Eを検出し、検出した電子閃光装置20D、20Eを電波を用いた通信を行うグループとする。これにより、撮影者が全ての設定を手作業で行う場合に比べて、設定作業を少なくすることができる。
また、CPU306は、光通信のみが可能な電子閃光装置を有するグループと、電波通信のみが可能な電子閃光装置を有するグループと、光通信及び電波通信が可能な電子閃光装置を有する(光通信のみが可能な電子閃光装置または電波通信のみが可能な電子閃光装置を有しない)グループとがある場合において、光通信のみが可能な電子閃光装置を有するグループを光を用いた通信を行うグループとして決定し、電波通信のみが可能な電子閃光装置を有するグループを電波を用いた通信を行うグループとして決定した後、光通信及び電波通信が可能な電子閃光装置を有するグループを、光を用いた通信を行うグループ又は電波を用いた通信を行うグループとして決定してもよい。
また、CPU306は、撮影者により光通信のみが可能な電子閃光装置と電波通信のみが可能な電子閃光装置とが同一のグループに設定されたことを検出し、警告表示をしてもよい。
【0197】
次のような変形も発明の範囲内であり、変形例の一つ、もしくは複数を上述の実施の形態と組み合わせることも可能である。
(変形例2-1)
第2の実施の形態では、電波通信により発光指示が行われる電子閃光装置が、撮影者による操作によって決定される例を説明した。上記の決定を、カメラ30のCPU306が自動で行うようにしてもよい。電子閃光装置のCPU203は、例えば電源オン時に、リモート無線アダプタを介してマスター無線アダプタ10へ無線接続を要求する。この要求には、自己(電子閃光装置)の存在と、設定されているグループを示す情報を含める。なお、グループについてはあらかじめ撮影者による操作によって決定されている。
【0198】
カメラ30のCPU306は、無線接続を要求した電子閃光装置(リモート無線アダプタ)については電波通信可能なグループであると認識し、このグループに対する発光指示を電波通信により行い、光通信による発光指示をしないこととする。
一方、CPU306は、撮影者による操作によって光通信により発光指示を行う決定をしている電子閃光装置(リモート光アダプタ)のグループに対しては、発光指示を光通信により行い、電波通信による発光指示をしないこととする。
【0199】
(変形例2-2)
リモート無線アダプタの電波通信機能と、リモート光アダプタの光通信機能の両方を備えたリモート両対応アダプタを設け、このリモート両対応アダプタに電子閃光装置を装着してもよい。リモート両対応アダプタに装着された電子閃光装置は、電波通信による発光指示と、光通信による発光指示の双方を受け付け可能になる。変形例2-2において、カメラ30のCPU306は、リモート両対応アダプタに装着された電子閃光装置に対する発光指示を、通常、電波通信によって行う。
【0200】
すなわち、変形例2-2による電子閃光装置は、撮影補助光を発する発光管201と、撮影補助光の発光指示を含む制御情報を、光通信による通信方式で通信するリモート両対応アダプタ、および電波通信による通信方式で通信するリモート両対応アダプタでそれぞれ受信させるCPU203と、電波通信による発光指示がリモート両対応アダプタで受信された場合に発光管201を発光させる場合でも、光通信による発光指示がリモート両対応アダプタで受信された場合には発光管201を発光させるCPU203とを備える。
【0201】
例えば、電波が混信するなどして通信環境が悪く、電波通信による発光指示をリモート両対応アダプタが正しく受信できない可能性がある。しかしながら、変形例2-2によれば、発光指示を電波通信によって受け取ることになっていても、他の電子閃光装置による発光をトリガにして発光することが可能になる。つまり、リモート両対応アダプタが他の電子閃光装置で発せられた光を受光し、これを発光トリガとして電子閃光装置へ送信する。これにより、電波通信による発光指示が正常に伝わらない場合でも発光を行わせることができる。
【0202】
上記と逆に、発光指示を光通信によって受け取ることになっていても、電波通信による発光指示を受け取った場合に発光するようにしてもよい。これにより、光通信のパルス光が届かないなど発光指示が正常に伝わらない場合でも発光を行わせることができる。
また、上述した実施例では、カメラ30に備えられたCPU306と、カメラ30に備えられたマスター無線アダプタ10とを用いて電子閃光装置20A~20Eの制御をする例を説明したがこれに限定されるものではない。例えば、CPU306の機能とマスター無線アダプタ10の機能とが電子閃光装置20に備えられていてもよい。この場合、電子閃光装置20が電子閃光装置20A~20Eの制御をすることができる。例えば、電子閃光装置20が光を用いた光通信を行うことが決定されたグループに対して光を用いた光通信を行うように制御を行い、電波を用いた電波通信を行うことが決定されたグループに対して電波を用いた電波通信を行うことができる。
【0203】
(第3の実施の形態)
第3の実施形態では、カメラ30のCPU306が行う目標本発光量の演算例について説明する。上述したように、CPU306は、測光センサ304から出力された測光信号に基づいて、電子閃光装置の本発光時の目標発光量(目標本発光量)を演算する。
【0204】
説明をわかりやすくするために、図1の撮影システムのうち、カメラ30に装着された電子閃光装置20を使用する場合を説明する。
【0205】
例えば、撮影場面は以下の通りである。撮影者は、主要被写体(例えば人物)より明るい夜の背景(例えば月、イルミネーション等)のもとで、上記主要被写体を撮影する。このとき、撮影補助光として、電子閃光装置20を発光させる。ここで、主要被写体とは、電子閃光装置20が発する照明光の光束が届く範囲の被写体、すなわち、撮影補助光によって露出制御を行い得る被写体をいう。背景は、電子閃光装置20が発する光束が届かない被写体、すなわち、撮影補助光による露出制御を行うことができない被写体をいう。
【0206】
カメラ30は、主要被写体を適正露出に制御するだけでなく、できるだけ背景も適正露出に近づける第1露出モードと、専ら主要被写体を適正露出に制御する第2露出モード(例えば、第1撮影モードに設定された場合と比較して背景が適正露出になるモード)とが切り替え可能に構成されている。第3の実施の形態では、例えば、操作部材307を構成する露出モード切り替えスイッチにより、第1露出モードと第2露出モードとが切り替えられる。
【0207】
<フローチャートの説明>
図17図18は、カメラ30のCPU306が、撮影者によるメインスイッチ(307)のオン操作など(レリーズスイッチ(操作部材307)の半押し操作、アイコンのタップ操作でもよい)を検出して開始させるカメラ処理の流れを例示するフローチャートである。CPU306は、オン状態の場合に図17図18による処理を繰り返し行う。図17のステップS210において、CPU306は、撮影準備動作を開始し、測光処理を行ってステップS220へ進む。具体的には、電子閃光装置20を発光させない状態でエリアセンサ304に蓄積処理を行わせる。
【0208】
ステップS220において、CPU306は、以下のように演算処理を行う。すなわち、ステップS210で得たエリアセンサ304からの出力信号に基づき、次式(1)を用いて背景光による被写界輝度BVを算出する。
BV=Log2(Vo)+BvConst ……(1)
上式(1)において、Log2()は、2を底とした引数の対数値を返す関数である。Voは、ステップS210におけるエリアセンサ304の出力をA/D変換した値であり、光量に比例した値である。Voは、例えば0~1023の値をとる。BvConstは、輝度値を算出するための定数項である。
【0209】
ステップS230において、CPU306は、第1露出モードか否かを判定する。CPU306は、第1露出モードに切り替えられている場合はステップS230を肯定判定してステップS240へ進み、第2露出モードに切り替えられている場合はステップS230を否定判定してステップS290へ進む。
【0210】
ステップS240において、CPU306は、第1の撮像感度の決定を行ってステップS250へ進む。第1の撮像感度SVPre1は、次式(2)により算出する。
SVPre1=AV+TV-BV-SvOfs ……(2)
上式(2)において、AVは撮影時の絞り値であり、単位系はAPEXである。また、TVは撮影時のシャッタ秒時設定であり、単位系はAPEXである。さらに、BVは上式(1)により算出した背景光による被写界輝度BVであり、単位系はAPEXである。SvOfsは電子閃光装置を使用して撮影する際に撮像感度に加味する値であり、固定値または、ユーザーが設定した撮影モード設定やシンクロモード、初期設定感度、使用する閃光装置に依存して決定する。
【0211】
ステップS290において、CPU306は、第2の撮像感度の決定を行ってステップS250へ進む。第2の撮像感度SVPre2は、次式(3)により算出する。
SVPre2=SVConst ……(3)
上式(3)において、SVConstは固定値または撮影者が事前に設定した値であり、被写界輝度BVには依存しない。
【0212】
ステップS250において、CPU306は、撮影指示の有無を判定する。CPU306は、レリーズスイッチ(操作部材307)の押下操作(撮影指示)を検出した場合にステップS250を肯定判定してステップS260へ進み、レリーズスイッチ(操作部材307)の押下操作(撮影指示)を検出しない場合には、ステップS250を否定判定して処理を終了する。
【0213】
ステップS260において、CPU306は、電子閃光装置20へモニタ発光指示を送信してステップS270へ進む。モニタ発光指示として、例えば、上述したモニタ発光起動パケットを送る。これにより、電子閃光装置20が上述した時間情報で指定された時間の経過後にモニタ発光を開始する。
【0214】
ステップS270において、CPU306は、測光処理を行ってステップS280へ進む。具体的には、上述した時間情報で指定された時間の経過後にエリアセンサ304に蓄積処理を行わせる。これにより、エリアセンサ304がモニタ発光のタイミングに合わせて被写体からの反射光を受光する。
【0215】
ステップS280において、CPU306は以下のように演算処理を行い、暫定本発光量GNTempを決定する。すなわち、ステップS270で得たエリアセンサ304からの出力信号に基づき、次式(4)により算出する。
GNTemp=-Log2(PreVo)-SV+GNConst …(4)
上式(4)において、GNTempはガイドナンバーを対数化したAPEX単位系である。PreVoは、ステップS270におけるモニタ発光を行った際のエリアセンサ304の出力をA/D変換した値である。SVは、ステップS240またはS290で決定した撮像感度である。GNConstは、エリアセンサ304や撮影レンズ301に依存した発光量を算出するための定数である。
【0216】
図18のステップS300において、CPU306は、第1露出モードか否かを判定する。CPU306は、第1露出モードに切り替えられている場合はステップS300を肯定判定してステップS310へ進み、第2露出モードに切り替えられている場合はステップS300を否定判定してステップS370へ進む。
【0217】
ステップS310において、CPU306は、第1の撮像感度の変更制御を行う。CPU306は、初めに、撮像感度の変更量が背景光露出をオーバーしないように、次式(5)により撮像感度の上げ幅の最大値ΔSVMaxを算出する。
ΔSVMax=AV+TV-BV-SVPre1 ……(5)
上式(5)において、AVは撮影時の絞り値であり、TVは撮影時のシャッタ秒時設定であり、いずれも単位系はAPEXである。BVは上式(1)により算出した背景光による被写界輝度BVであり、単位系はAPEXである。また、SVPre1は、上式(2)により算出した第1の撮像感度であり、単位系はAPEXである。
【0218】
次に、CPU306は、撮像感度の変更量ΔSVを次式(6)により決定する。
ΔSV=GNMin-GNTemp ……(6)
上式(6)において、GNMinは、電子閃光装置20の最小発光量であり、ガイドナンバーを対数化したAPEX単位系である。最小発光量のガイドナンバーは、あらかじめ電子閃光装置20からCPU306へ有線通信で送信されている。GNTempは、上式(4)により算出された暫定本発光量である。
【0219】
CPU306は、上式(6)により算出されたΔSVが上式(5)により算出されたΔSVMaxよりも大きい場合には、ΔSVをΔSVMaxに置換する。CPU306はさらに、撮影に用いる撮像感度SVを次式(7)により算出し、ステップS320へ進む。SV=SVPre1+ΔSV ……(7)
上式(7)において、SVPre1は、上式(2)により算出した第1の撮像感度であり、単位系はAPEXである。
【0220】
上式(7)により算出された撮像感度SVは、例えば、背景光の露出を適正にするように、撮影準備状態における感度を上げて、電子閃光装置20の本発光量を可能な限り制御範囲内で最小にするような撮像感度である。例えば、夜景を背景とする人物の撮影であれば、電子閃光装置20が発する光束が到達しない背景の夜景と、電子閃光装置20が発する光束が到達する人物の両方を適正露出に近づける制御を行うことができる。
【0221】
上述したステップS300を否定判定して進むステップS370において、CPU306は、第2の撮像感度の変更制御を行う。CPU306は、暫定本発光量GNTempが次式(8)を満たす場合には、撮像感度を上げるように感度の変更量ΔSVを次式(9)により算出する。
GNTemp>GNMax ……(8)
ΔSV=GNMax-GNTemp ……(9)
上式(8)、(9)において、GNMaxは、電子閃光装置20の最大発光量であり、ガイドナンバーを対数化したAPEX単位系である。最大発光量のガイドナンバーは、あらかじめ電子閃光装置20からCPU306へ有線通信で送信されている。
【0222】
CPU306は、撮像感度の変更量が背景光露出をオーバーしないように、次式(10)により撮像感度の上げ幅の最大値ΔSVMaxを算出する。
ΔSVMax=AV+TV-BV-SVPre2 …(10)
上式(10)において、AVは撮影時の絞り値であり、TVは撮影時のシャッタ秒時設定であり、いずれも単位系はAPEXである。BVは上式(1)により算出した背景光による被写界輝度BVであり、単位系はAPEXである。また、SVPre2は、上式(3)により算出した第2の撮像感度であり、単位系はAPEXである。
【0223】
CPU306は、上式(9)により算出されたΔSVが上式(10)により算出されたΔSVMaxよりも大きい場合には、ΔSVをΔSVMaxに置換する。
【0224】
一方、CPU306は、暫定本発光量GNTempが次式(11)を満たしている場合には、撮像感度を下げるように感度の変更量ΔSVを次式(12)により算出する。
GNTemp<GNMin ……(11)
ΔSV=GNMin-GNTemp ……(12)
上式(11)、(12)において、GNMinは、電子閃光装置20の最小発光量である。上述したように、最小発光量のガイドナンバーはあらかじめ電子閃光装置20からCPU306へ有線通信で送信されている。
【0225】
CPU306は、撮像感度を上げる場合も、下げる場合も、撮影に用いる撮像感度SVを次式(13)により算出し、ステップS320へ進む。
SV=SVPre2+ΔSV ……(13)
上式(13)により算出された撮像感度SVは、例えば、電子閃光装置20の本発光量を可能な限り制御範囲内で最大にするような撮像感度であり、背景光の露出は考慮しない。このため、上式(13)により算出される撮像感度SVは、上式(7)により算出される撮像感度SVに比べて低い。例えば、夜景を背景とする人物の撮影であれば、電子閃光装置20が発する光束が到達する人物は適正露出に制御し得るが、電子閃光装置20が発する光束が到達しない背景は露出アンダーとなる場合がある。
【0226】
ステップS320において、CPU306は以下のように演算処理を行い、暫定本発光量GNTempを変更する。すなわち、ステップS310またはステップS370で算出変更された撮像感度の変更量ΔSVに対応させて撮影時の本発光量ガイドナンバーGNを次式(14)により算出する。
GN=Power√2(GNTemp-ΔSV) ……(14)
上式(14)において、Power√2()は、√2の引数乗を返す関数である。
【0227】
ステップS330において、CPU306は、露光シーケンスを開始させる。具体的には、シャッタ駆動装置305によりシャッタ302の先幕走行を開始させて、ステップS340へ進む。
【0228】
ステップS340において、CPU306は、電子閃光装置20へ本発光指示を送信してステップS350へ進む。本発光指示として、例えば、上述した本発光起動パケットを送る。これにより、電子閃光装置20が上述した時間情報で指定された時間の経過後に本発光を開始する。
【0229】
ステップS350において、CPU306は、シャッタ駆動装置305によるシャッタ302の後幕走行が開始すると、撮像素子303から画像信号を読み出して所定の画像処理を行い、ステップS360へ進む。
【0230】
ステップS360において、CPU306は、画像処理後の画像信号をメモリカードなどの記録媒体350に記録し、一連の撮影処理を終了する。
【0231】
上述した第3の実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)カメラ30は、第1露出モードおよび第2露出モードの少なくとも1つを設定可能なCPU306と、CPU306が第1露出モードに設定されているとき、第1露出制御で撮影補助光を用いた撮影の露出の制御を行い、CPU306が第2露出モードに設定されているとき、第1露出制御とは異なる第2露出制御で撮影補助光を用いた撮影の露出の制御を行うCPU306とを有する。これにより、自由度の高いカメラの露出制御が可能となる。例えば、第1露出制御では、CPU306が第1の感度を設定して露出を制御し、第2露出モードでは、CPU306が第1の感度と異なる第2の感度を設定して露出を制御する。これにより、複数通りの露出で撮影を行うことができる。
【0232】
(2)カメラ30のCPU306は、第1露出モードに設定されているとき、第2露出モードに設定されているときよりも、主要被写体および背景が適正露出に近くなるように露出の制御を行う。これにより、複数通りの露出で撮影を行うことができる。なお。CPU306は、第2露出モードに設定されているとき、第1露出モードに設定されているときよりも、背景が適正露出に近くならないように露出の制御を行ってもよい。
【0233】
(3)カメラ30のCPU306は、撮影者による操作に基づき第1露出モードおよび第2露出モードの少なくとも1つを設定する。撮影者の意図に合わせて複数通りの露出で撮影を行うことができる。
【0234】
(4)カメラ30のCPU306は、第1露出モードにおいて、撮影補助光を発する電子閃光装置20が本発光する前にモニタ発光した場合の反射光量に基づき本発光時の本発光量を決定する際に第1の感度を設定することにより、本発光量を制御範囲において最小にする。本発光量を最小に抑えることによって第1の感度を高く上げることができるので、撮影補助光が届かない背景を適正露出に近づけることができる。また、第1露出モードにおいては、第2露出モードに設定された場合と比較して本発光量を小さくし、第2露出モードに設定された場合と比較して感度を高くしてもよい。第2露出モードに設定された場合と比較して撮影補助光が届かない背景を適正露出に近づけることができるからである。
【0235】
(5)カメラ30のCPU306は、第2露出モードにおいて、撮影補助光を発する電子閃光装置20が本発光する前にモニタ発光した場合の反射光量に基づき本発光時の本発光量を決定する際に第2の感度を設定することにより、本発光量を制御範囲において最大にする。本発光量を最大にすることによって、撮影補助光が届く主要被写体を適正露出に近づけることができる。例えば、第1露出モードにおいて、電子閃光装置20がモニタ発光した場合の反射光量に基づいて本発光時の第1本発光量と第1の感度が決定され、第2露出モードにおいて、電子閃光装置20がモニタ発光した場合の反射光量に基づいて本発光時の第2本発光量と第2の感度が決定される場合において、第1本発光量は第2本発光量よりも低いことが好ましい。また、第1の感度は第2の感度よりも高いことが好ましい。
【0236】
(6)カメラ30のCPU306は、電子閃光装置20から制御範囲の情報(最小発光量のガイドナンバー、最大発光量のガイドナンバー)を取得して第1の感度または第2の感度を決めるので、電子閃光装置20の能力に合わせて適切に制御を行うことができる。
【0237】
(7)カメラ30のCPU306は、第1露出モードにおいて、第1の感度を撮影準備状態における感度よりも高い感度にした。これにより、撮影補助光が届かない背景をより適正露出に近づけることができる。
また、例えば、第2撮影モードは、第1撮影モードに設定された場合と比較して背景が適正露出になるモードであってもよいし、第2撮影モードは、第1撮影モードに設定された場合と比較して主要被写体が適正露出にならなくてもよいし、第2撮影モードは、第1撮影モードに設定された場合と同様に主要被写体が適正露出になってもよい。
また、例えば、第2撮影モードは、風景を撮影する風景撮影モードと比較して背景が適正露出にならなくてもよいし、風景撮影モードと比較して主要被写体が適正露出になってもよいし、人物を撮影するポートレートモードと比較して背景が適正露出になってもよいし、ポートレートモードと比較して主要被写体がならなくてもよい。
【0238】
次のような変形も発明の範囲内であり、変形例の一つ、もしくは複数を上述の実施の形態と組み合わせることも可能である。
(変形例3-1)
第3の実施の形態では、主要被写体を適正露出に制御するだけでなく、なるべく背景も適正露出に近づける第1露出モードと、専ら主要被写体を適正露出に制御する第2露出モードとの切り替えを、操作部材307を構成する露出モード切り替えスイッチの操作によって切り替えるようにした。この代わりに、第1露出モードと第2露出モードとの切り替えを、撮影シーンモードと連動させてCPU306が自動で切り替えるようにしてもよい。
【0239】
CPU306は、撮影シーンモードとして夜景ポートレートモードが選択された場合に、第1露出モードに切り替える。夜景ポートレートモードでは、人物及び背景を適正露出に制御することが好ましいという考え方に基づき、上記切り替えを行う。また、撮影シーンモードとしてポートレートモードが選択された場合に、第2露出モードに切り替える。ポートレートモードでは、人物を適正露出に制御することが好ましいからである。
【0240】
また、CPU306は、撮影シーンモードとしてスローシンクロモードが選択された場合に、第1露出モードに切り替える。スローシンクロモードでは、背景も適正露出に近づけることが好ましいという考え方に基づき、上記切り替えを行う。
【0241】
さらにまた、CPU306は、撮影シーンモードとして通常シンクロモードが選択された場合に、第2露出モードに切り替える。通常シンクロモードでは、背景露出は考慮しないという考え方に基づき、上記切り替えを行う。
【0242】
(変形例3-2)
第1露出モードと第2露出モードとの切り替えを、カメラ内蔵の電子閃光装置を発光させる場合と、上述したようにカメラ30に対して外付け可能に構成した電子閃光装置20を発光させる場合とで切り替えるようにしてもよい。CPU306は、例えばカメラ内蔵の電子閃光装置を発光させる場合に第1露出モードに切り替え、外付けの電子閃光装置20(電波通信や光通信によってリモート発光制御する場合を含む)を発光させる場合に第2露出モードに切り替える。
【0243】
一般に、カメラ内蔵の電子閃光装置は、発光量ガイドナンバーが小さいので、撮像感度を上げる感度の変更をしても構わないという考え方に基づき、上記切り替えを行う。
【0244】
(変形例3-3)
第1露出モードと第2露出モードとの切り替えを、多灯フラッシュ撮影システムで撮影する場合と、1灯(単灯)で撮影する場合とで切り替えるようにしてもよい。CPU306は、例えば多灯フラッシュ撮影システムで撮影する場合に第2露出モードに切り替え、1灯で撮影する場合に第1露出モードに切り替える。
【0245】
一般に、複数の電子閃光装置が発する照明光によって露出を制御する多灯フラッシュ撮影システムの場合は、カメラにより勝手に撮像感度が変更されて欲しくないという考え方に基づき、上記切り替えを行う。
【0246】
(変形例3-4)
第1露出モードと第2露出モードとの切り替えを、画像認識結果を用いて切り替えるようにしてもよい。CPU306は、例えば、主要被写体の背景にイルミネーション等を検出した場合に第1露出モードに切り替え、背景にイルミネーション等を検出しない場合に第2露出モードに切り替える。背景にイルミネーションがある場合は、背景も適正露出に近づけることが好ましいという考え方に基づき、上記切り替えを行う。
【0247】
主要被写体の背景からイルミネーション等を検出する画像認識は、例えば、測光センサ304によって得られる画像に基づいて行うことができる。なお、カメラ30に、撮像素子303と別の測光センサ304を備えていない場合は、撮像素子303によって得られる撮影前のプレビュー画像に基づいて、背景からイルミネーション等を検出してよい。
【0248】
(変形例3-5)
第1露出モードと第2露出モードとの切り替えを、画像認識結果を用いて切り替える場合において、主要被写体が画面に占める割合によって切り替えを行うようにしてもよい。CPU306は、例えば、主要被写体の人物が画面に占める面積比率が小さい場合に第2露出モードに切り替え、主要被写体の人物が画面に占める面積比率が小さくない場合には第1露出モードに切り替える。一般に、人物が小さい(背景が広い)場合は、撮影者が背景も撮りたい意図を有しているので、背景も適正露出に近づけることが好ましいという考え方に基づき、上記切り替えを行う。
【0249】
上述したように、カメラ30のCPU306は、設定されている撮影シーンモードによって第1露出モードと第2露出モードとを切り替える、スローシンクロモードに設定されているか否かによって第1露出モードと第2露出モードとを切り替える、撮影補助光をカメラ内蔵の電子閃光装置から発するか外付けの電子閃光装置20から発するかによって第1露出モードと第2露出モードとを切り替える、多灯撮影モードに設定されているか否かによって第1露出モードと第2露出モードとを切り替える、主要被写体の背景における対象物の認識結果に基づいて第1露出モードと第2露出モードとを切り替える、および、主要被写体が画面に占める割合に基づいて第1露出モードと第2露出モードとを切り替える、の少なくとも1つによって切り替えを行うことで、カメラ30の使い勝手を向上させることができる。
【0250】
上記では、種々の実施の形態および変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0251】
10…マスター無線アダプタ
10A、10B、10C、10D、10E…リモート無線アダプタ
20、20A、20B、20C、20D、20E…電子閃光装置
30…カメラ
72、92…本発光タイミング
74、83…目標本発光量
101…アンテナ
102…通信回路
105、203、306…CPU
110A,110B…リモート光アダプタ
201…発光管
202…発光制御回路
302…シャッタ
307…操作部材
308…メモリ
309…表示部
350…記録媒体
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