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特許7197015帯域共用通信システム、回線制御方法、回線制御装置および回線制御プログラム
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  • 特許-帯域共用通信システム、回線制御方法、回線制御装置および回線制御プログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】帯域共用通信システム、回線制御方法、回線制御装置および回線制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 16/14 20090101AFI20221220BHJP
   H04W 72/04 20090101ALI20221220BHJP
   H04W 76/36 20180101ALI20221220BHJP
【FI】
H04W16/14
H04W72/04 132
H04W76/36
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021534499
(86)(22)【出願日】2019-07-24
(86)【国際出願番号】 JP2019029099
(87)【国際公開番号】W WO2021014628
(87)【国際公開日】2021-01-28
【審査請求日】2021-11-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】五藤 大介
(72)【発明者】
【氏名】山下 史洋
(72)【発明者】
【氏名】松井 宗大
(72)【発明者】
【氏名】柴山 大樹
(72)【発明者】
【氏名】今泉 豊
(72)【発明者】
【氏名】原田 耕一
(72)【発明者】
【氏名】浦田 泉
(72)【発明者】
【氏名】嶋 正樹
【審査官】大濱 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-229158(JP,A)
【文献】特開2004-228905(JP,A)
【文献】特開2011-041084(JP,A)
【文献】特開2014-068234(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 16/14
H04W 72/04
H04W 76/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信の優先度が高い順に一次システム、二次システムがあり、各システムが周波数帯域を共用し、基地局または回線制御装置が各システムの端末局の要求帯域の割り当てを行う帯域共用通信システムにおいて、
前記基地局または前記回線制御装置は、
前記一次システムが占有する周波数帯域(以下、一次占有帯域という)と、該一次占有帯域に隣接し前記二次システムが占有する周波数帯域(以下、二次占有帯域という)とを設定する占有帯域設定手段と、
前記一次システムの端末局(以下、一次端末局という)の要求帯域に対して前記一次占有帯域の空き帯域を割り当て、前記二次システムの端末局(以下、二次端末局という)の要求帯域に対して前記二次占有帯域の空き帯域を割り当てる帯域割当手段と、
前記一次端末局の要求帯域に対して前記一次占有帯域に空き帯域がない場合に、前記二次占有帯域に該要求帯域分の空き帯域が前記一次占有帯域に隣接して存在すれば、該空き帯域を前記二次占有帯域から前記一次占有帯域に移管して前記一次端末局に割り当て、前記一次占有帯域に隣接する前記二次占有帯域の該要求帯域分の帯域が通信中であれば、通信中の前記二次端末局に対して停波要求を行って得られた空き帯域を前記二次占有帯域から前記一次占有帯域に移管して前記一次端末局に割り当てる帯域移管手段と
を備えたことを特徴とする帯域共用通信システム。
【請求項2】
請求項1に記載の帯域共用通信システムにおいて、
前記帯域移管手段は、前記停波要求を行った前記二次端末局の通信を前記二次占有帯域の空き帯域を用いて再接続処理を行う構成である
ことを特徴とする帯域共用通信システム。
【請求項3】
通信の優先度が高い順に一次システム、二次システムがあり、各システムが周波数帯域を共用し、各システムの端末局の要求帯域の割り当てを行う帯域共用通信システムの回線制御方法において、
前記一次システムが占有する周波数帯域(以下、一次占有帯域という)と、該一次占有帯域に隣接し前記二次システムが占有する周波数帯域(以下、二次占有帯域という)とを設定する占有帯域設定ステップと、
前記一次システムの端末局(以下、一次端末局という)の要求帯域に対して前記一次占有帯域の空き帯域を割り当て、前記二次システムの端末局(以下、二次端末局という)の要求帯域に対して前記二次占有帯域の空き帯域を割り当てる帯域割当ステップと、
前記一次端末局の要求帯域に対して前記一次占有帯域に空き帯域がない場合に、前記二次占有帯域に該要求帯域分の空き帯域が前記一次占有帯域に隣接して存在すれば、該空き帯域を前記二次占有帯域から前記一次占有帯域に移管して前記一次端末局に割り当て、前記一次占有帯域に隣接する前記二次占有帯域の該要求帯域分の帯域が通信中であれば、通信中の前記二次端末局に対して停波要求を行って得られた空き帯域を前記二次占有帯域から前記一次占有帯域に移管して前記一次端末局に割り当てる帯域移管ステップと
を有することを特徴とする回線制御方法。
【請求項4】
通信の優先度が高い順に一次システム、二次システムがあり、各システムが周波数帯域を共用し、各システムの端末局の要求帯域の割り当てを行う帯域共用通信システムの回線制御装置において、
前記一次システムが占有する周波数帯域(以下、一次占有帯域という)と、該一次占有帯域に隣接し前記二次システムが占有する周波数帯域(以下、二次占有帯域という)とを設定する占有帯域設定手段と、
前記一次システムの端末局(以下、一次端末局という)の要求帯域に対して前記一次占有帯域の空き帯域を割り当て、前記二次システムの端末局(以下、二次端末局という)の要求帯域に対して前記二次占有帯域の空き帯域を割り当てる帯域割当手段と、
前記一次端末局の要求帯域に対して前記一次占有帯域に空き帯域がない場合に、前記二次占有帯域に該要求帯域分の空き帯域が前記一次占有帯域に隣接して存在すれば、該空き帯域を前記二次占有帯域から前記一次占有帯域に移管して前記一次端末局に割り当て、前記一次占有帯域に隣接する前記二次占有帯域の該要求帯域分の帯域が通信中であれば、通信中の前記二次端末局に対して停波要求を行って得られた空き帯域を前記二次占有帯域から前記一次占有帯域に移管して前記一次端末局に割り当てる帯域移管手段と
を備えたことを特徴とする回線制御装置。
【請求項5】
請求項4に記載の回線制御装置が実行する処理をコンピュータに実行させ、各次占有帯域の設定、各次端末局の要求帯域に対して各次占有帯域の空き帯域の割り当ておよび前記二次占有帯域から前記一次占有帯域への移管処理を行うことを特徴とする回線制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信の優先度が高い順に一次システム、二次システムが周波数帯域を共用する帯域共用通信システム、回線制御方法、回線制御装置および回線制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
FDMA(Frequency Division Multiple Access 、周波数分割多元接続) 方式は、複数のユーザで周波数帯域を共用して通信する。例えば、高優先度の一次システムの一次端末局Aと、低優先度の二次システムの二次端末局Bには、共通の基地局の制御によりそれぞれ周波数帯域が割り当てられる。なお、一次システムと二次システムが独立し、システムごとに独立した基地局があり、共通の回線制御装置が一次システムおよび二次システムの周波数帯域を割り当てる場合でも同様である。
【0003】
このとき、空き帯域を限りなく低減することで周波数利用効率を上げることが求められている。例えば、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing、直交周波数分割多重)方式は、狭帯域のサブキャリアを多重する方式であり、周波数スペクトラムを急峻にすることができ、スペクトラムの遷移域を低減して周波数利用効率を高めることができる。また、衛星通信では、シングルキャリア方式においても、ロールオフ率0.02といった方式が標準化規格として採用され、周波数利用効率の向上の需要がますます拡大している。
【0004】
このような背景のもと、複数の通信サービスで、限りなく空き帯域を利用することにより、周波数帯域の有効利用を図る方式が検討されている。
【0005】
例えば、非特許文献1では、空き帯域に対してシングルキャリアの帯域を分割することで、周波数の有効利用を図るスペクトラム分割伝送が提案されている。これにより、実信号の帯域がどのようなキャリアでも、狭帯域に分割した帯域で空き帯域を埋めることが可能になる。
【0006】
非特許文献2では、LTEシステムのダウンリンクで用いられているOFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access) において、時間-周波数のリソースブロック割当におけるアプリケーションに応じた最適な優先制御を用いることで、周波数を有効利用する方法である。
【0007】
このように基地局(または回線制御装置)が動的に帯域を管理し、最適なリソース配置を端末局に割り当てる方式では、時間-周波数幅の自由度が高い通信方式を用いることで、柔軟な優先制御を図ることができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【文献】J. Abe, F. Yamashita and K. Kobayashi,“Direct spectrum division transmission for highly efficient satellite communications.”, 2010 5th Advanced Satellite Multimedia Systems Conference and the 11th Signal Processing for Space Communications Workshop., pp.401-406, 2010.
【文献】T. Erpek, A. Abdelhadi and T. C. Clancy,“An optimal application-aware resource block scheduling in LTE ”, 2015 International Conference on Computing, Networking and Communications (ICNC), pp.275-279, 2015.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ここで、定められた周波数帯域を以下のような制約の中で効率的に共用する場合について検討する。
(1) 複数のシステムで帯域を共用する。
(2) システム間には優先度が存在する。
(3) 各システムは独立しており、基本的にFDMA方式により異なる周波数ですみ分ける。
(4) 各システムの局が送信するキャリアの帯域幅は固定的であり、例えば空き帯域に応じて帯域幅を変更したり、非特許文献1のスペクトラム分割伝送技術やOFDMAのようにサブキャリアで分割配置するといった柔軟な配置ができない。
(5) 基地局が各端末局に動的にリソースを割り当てる機能を持たない。
【0010】
以上の制約がある場合、リソースブロックは周波数軸に分けざるを得ず、さらに連続的な割り当てでなければならない。
この場合、非特許文献1のように周波数領域で分散配置したり、非特許文献2のように時間領域で割り当てることで、空き帯域を有効利用することができない。
【0011】
さらに、動的に柔軟な帯域割当ができないため、ある定められた指針に従って帯域を割り当てなければならず、従来方式を利用することができない。
【0012】
本発明は、帯域占有の優先度が異なるシステムにおいて帯域全体の利用状況を把握し、帯域割当および回線切断のみによって効率よく帯域共用を実現することができる帯域共用通信システム、回線制御方法、回線制御装置および回線制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
第1の発明は、通信の優先度が高い順に一次システム、二次システムがあり、各システムが周波数帯域を共用し、基地局または回線制御装置が各システムの端末局の要求帯域の割り当てを行う帯域共用通信システムにおいて、基地局または回線制御装置は、一次占有帯域と、該一次占有帯域に隣接する二次占有帯域とを設定する占有帯域設定手段と、一次端末局の要求帯域に対して一次占有帯域の空き帯域を割り当て、二次端末局の要求帯域に対して二次占有帯域の空き帯域を割り当てる帯域割当手段と、一次端末局の要求帯域に対して一次占有帯域に空き帯域がない場合に、二次占有帯域に該要求帯域分の空き帯域が一次占有帯域に隣接して存在すれば、該空き帯域を二次占有帯域から一次占有帯域に移管して一次端末局に割り当て、一次占有帯域に隣接する二次占有帯域の該要求帯域分の帯域が通信中であれば、通信中の二次端末局に対して停波要求を行って得られた空き帯域を二次占有帯域から一次占有帯域に移管して一次端末局に割り当てる帯域移管手段とを備える。
【0014】
第2の発明は、通信の優先度が高い順に一次システム、二次システムがあり、各システムが周波数帯域を共用し、各システムの端末局の要求帯域の割り当てを行う帯域共用通信システムの回線制御方法において、一次占有帯域と、該一次占有帯域に隣接する二次占有帯域とを設定する占有帯域設定ステップと、一次端末局の要求帯域に対して一次占有帯域の空き帯域を割り当て、二次端末局の要求帯域に対して二次占有帯域の空き帯域を割り当てる帯域割当ステップと、一次端末局の要求帯域に対して一次占有帯域に空き帯域がない場合に、二次占有帯域に該要求帯域分の空き帯域が一次占有帯域に隣接して存在すれば、該空き帯域を二次占有帯域から一次占有帯域に移管して一次端末局に割り当て、一次占有帯域に隣接する二次占有帯域の該要求帯域分の帯域が通信中であれば、通信中の二次端末局に対して停波要求を行って得られた空き帯域を二次占有帯域から一次占有帯域に移管して一次端末局に割り当てる帯域移管ステップとを有する。
【0015】
第3の発明は、通信の優先度が高い順に一次システム、二次システムがあり、各システムが周波数帯域を共用し、各システムの端末局の要求帯域の割り当てを行う帯域共用通信システムの回線制御装置において、一次占有帯域と、該一次占有帯域に隣接する二次占有帯域とを設定する占有帯域設定手段と、一次端末局の要求帯域に対して一次占有帯域の空き帯域を割り当て、二次端末局の要求帯域に対して二次占有帯域の空き帯域を割り当てる帯域割当手段と、一次端末局の要求帯域に対して一次占有帯域に空き帯域がない場合に、二次占有帯域に該要求帯域分の空き帯域が一次占有帯域に隣接して存在すれば、該空き帯域を二次占有帯域から一次占有帯域に移管して一次端末局に割り当て、一次占有帯域に隣接する二次占有帯域の該要求帯域分の帯域が通信中であれば、通信中の二次端末局に対して停波要求を行って得られた空き帯域を二次占有帯域から一次占有帯域に移管して一次端末局に割り当てる帯域移管手段とを備える。
【0016】
第4の発明は、回線制御プログラムにおいて、第3の発明の回線制御装置が実行する処理をコンピュータに実行させ、各次占有帯域の設定、各次端末局の要求帯域に対して各次占有帯域の空き帯域の割り当ておよび二次占有帯域から一次占有帯域への移管処理を行う。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、帯域占有に対して高優先度の一次システムと低優先度の二次システムの利用帯域が競合したときに、二次システム側の回線を切断して一次システムに移管することにより一次システムの占有帯域を拡大し、二次システムの占有帯域を縮小することにより、効率よく帯域共用を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の帯域共用通信システムにおける帯域共用例を示す図である。
図2】本発明の帯域共用通信システムの一次端末局と基地局との間における帯域割当手順を示すフローチャートである。
図3】本発明の帯域共用通信システムの二次端末局と基地局との間における帯域割当手順を示すフローチャートである。
図4】一次占有帯域と二次占有帯域の帯域割当例を示す図である。
図5】一次占有帯域の拡大を説明する図である。
図6】一次システムの停波による一次占有帯域の縮小を説明する図である。
図7】一次システムの停波による一次占有帯域の縮小を説明する図である。
図8】二次システムの停波による二次占有帯域の不変を説明する図である。
図9】基地局または回線制御装置の構成例を示す図である。
図10】端末局の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、図1に示すように、システム帯域をセグメントに分け、セグメント単位で高優先度の一次システムと低優先度の二次システムがそれぞれ連続した周波数帯域を占有するものとする。例えば、システム帯域に対して、低周波数帯域側を一次システムが占有する周波数帯域(以下、一次占有帯域)としたとき、残りの高周波数帯域側を二次システムが占有する周波数帯域(以下、二次占有帯域)とする。ここでは、システム帯域を20セグメントとしたとき、初期設定の例として、一次占有帯域にセグメント1~10を割り当て、二次占有帯域にセグメント11~20を割り当てる。一次システムの端末局(以下、一次端末局という)および二次システムの端末局(以下、二次端末局)がそれぞれ個別に使用する帯域幅は、1セグメントおよび2セグメントとする。
【0020】
基地局または基地局に接続される回線制御装置は、一次端末局および二次端末局からの帯域占有要求に対して、一次占有帯域および二次占有帯域のそれぞれ反対方向から空きセグメントを割り当てる。例えば、一次端末局には低周波数域側(セグメント1)から空きセグメントを割り当て、二次端末局には高周波数域側(セグメント20)から空きセグメントを割り当てる。それぞれ割り当てられたセグメントは、制御信号により一次端末局および二次端末局に通知される。一次端末局および二次端末局は、割り当てられたセグメントを占有し、通信を開始する。
【0021】
本発明の特徴は、図1(2),(3) に示すように、一次システムが一次占有帯域の全てを占有している状態で、さらに新規の一次端末局から帯域占有要求があったときに、一次占有帯域に隣接する二次占有帯域をセグメント単位で一次占有帯域に移管して一次占有帯域を拡大し、一次端末局の帯域占有要求に対応するところにある。このとき、二次占有帯域から一次占有帯域に移管するセグメントが空きであれば、そのまま二次占有帯域を縮小する。また、二次端末局が当該セグメントで通信中であれば、基地局は当該セグメントで通信中の二次端末局に対して停波を指示し、二次占有帯域を縮小する(詳しくは後述する)。一方、二次端末局が二次占有帯域を全てを占有している状態で、さらに新規の二次端末局から帯域占有要求があっても二次占有帯域の拡大は行わず、帯域割当不能とする。
【0022】
図2は、本発明の帯域共用通信システムの一次端末局と基地局との間における帯域割当手順を示す。
図3は、本発明の帯域共用通信システムの二次端末局と基地局との間における帯域割当手順を示す。
【0023】
図2および図3において、基地局では、一次占有帯域と二次占有帯域を初期設定する(S1)。なお、一次占有帯域と二次占有帯域は、後述する一次占有帯域の拡大/縮小および二次占有帯域の縮小/拡大に伴って更新される。
【0024】
図2において、一次端末局が帯域要求信号を基地局に送信し(S11)、基地局が帯域要求信号を受信すると(S12)、一次占有帯域に空きセグメントが存在するか否かを判定する(S13)。ここで、一次占有帯域に空きセグメントがあれば、当該空きセグメントを1セグメントずつ割り当て(S14)、一次端末局に割り当てたセグメントを通知する(S15)。このとき、図1に示す例では、一次占有帯域の下限のセグメント1から上限のセグメント10まで空きセグメントを順次割り当てる。一次端末局は、割り当てられたセグメントを占有し(S16)、通信を開始する(S17)。一次占有帯域の上限のセグメント10が占有されるまでは、以上の処理を繰り返す。
【0025】
図3において、二次端末局が帯域要求信号を基地局に送信し(S31)、基地局が帯域要求信号を受信すると(S32)、二次占有帯域に空きセグメントが存在するか否かを判定する(S33)。ここで、二次占有帯域に空きセグメントがあれば、当該空きセグメントを2セグメントずつ割り当て(S34)、二次端末局に割り当てたセグメントを通知する(S35)。なお、二次占有帯域に空きセグメントがなければ、二次端末局に帯域割当不能を通知する(S36)。このとき、図1に示す例では、二次占有帯域の上限のセグメント20から下限のセグメント11まで空きセグメントを順次割り当てる。二次端末局は、割り当てられたセグメントを占有し(S37)、通信を開始する(S38)。二次占有帯域の下限のセグメント11が占有されるまでは、以上の処理を繰り返す。
【0026】
ここで、一次システムが一次占有帯域のセグメント1~10を占有し、二次システムが二次占有帯域のセグメント20~11を占有した状態を図4に示す。この状態で新規の一次端末局が帯域占有要求を基地局に送信したときの処理手順について説明する。
【0027】
図2において、ステップS13で一次占有帯域に空きセグメントがなければ、二次占有帯域に所要セグメント(ここでは1セグメント)が存在するか否かを判定する(S18)。二次占有帯域に所要セグメントがなければ、一次端末局に帯域割当不能を通知する(S22)。二次占有帯域に所要セグメントがあれば、所要セグメント分を二次占有帯域から一次占有帯域に移管する(S19)。
【0028】
次に、二次占有帯域から一次占有帯域に移管するセグメントが使用中か空きかを判定する(S20)。当該セグメントが空きであれば、二次占有帯域から移管されたセグメントを一次占有帯域の空きセグメントとして割り当て(S14)、一次端末局に割り当てたセグメントを通知する(S15)。このとき、一次占有帯域を拡大するとともに二次占有帯域を縮小する更新処理を行う(S1)。一次端末局は、割り当てられたセグメントを占有し(S16)、通信を開始する(S17)。
【0029】
一方、二次占有帯域から一次占有帯域に移管するセグメントが使用中であれば、二次端末局に対して、当該セグメントの停波要求信号を送信し(S21)、ステップS20に戻る。二次端末局が通信継続中に(図3のS38)、二次占有帯域から一次占有帯域に移管するセグメントの停波要求信号を基地局から受信すると(図3のS39)、当該セグメントを停波する(図3のS40)。これにより、ステップS20では、二次占有帯域から移管するセグメントが空き状態となり、一次端末局では二次占有帯域から一次占有帯域に移管されたセグメントでの通信が可能になり(S14~S17)、実質的に一次占有帯域の拡大と二次占有帯域の縮小が完了する。この状態を図5に示す。
【0030】
ここで、二次端末局が基地局からの停波要求に対して停波したセグメントの通信については、二次占有帯域に空きセグメントがあれば再接続を行い、空きセグメントがなければそのまま通信を切断する。
【0031】
(一次占有帯域および二次占有帯域に空きセグメントが生じた場合)
一次端末局の通信が終了し、一次占有帯域に空きセグメントが生じた場合、一次占有帯域と二次占有帯域が隣接するセグメントを含むか否かで対応が異なる。一次占有帯域において、二次占有帯域と隣接するセグメントが空きになった場合には、図6(1),(2) に示すように、当該セグメント14から連続する空きセグメント14,13を一次占有帯域から二次占有帯域に移管し、一次占有帯域を縮小するとともに二次占有帯域を拡大する更新処理を行う。これは、一次システムでは、二次占有帯域から一次占有帯域へのセグメントの強制的な移管により一次占有帯域の拡大が可能であるが、二次占有帯域は強制的な拡大が不可であるため、二次占有帯域に隣接する一次占有帯域の空いたセグメントを二次占有帯域に組み入れることにより、一次システムと二次システムの調整を図っている。二次システムでは、空きセグメント13, 14を新規な二次端末局に割り当てることが可能となる。
【0032】
一方、一次占有帯域において、二次占有帯域と隣接するセグメント以外のセグメントが空きになった場合には、図6(3) に示すように、当該空きセグメントをそのまま残し、一次占有帯域および二次占有帯域の更新処理は行わない。ただし、このままでは、一次占有帯域の空きセグメントは二次システムでは使用できないため、周波数利用効率が低下する。そのため、図7(1) に示すように、二次占有帯域に隣接する一次占有帯域の使用中セグメントを一旦切断し、空きセグメントに再接続する処理を行うようにしてもよい。これにより、図7(2) に示すように、連続する空きセグメント11~14が一次占有帯域から二次占有帯域に移管可能となり、一次占有帯域を縮小するとともに二次占有帯域を拡大する更新処理を行うことができる。
【0033】
また、二次端末局の通信が終了し、二次占有帯域に空きセグメントが生じた場合には、図8に示すように、一次占有帯域と二次占有帯域が隣接するセグメントを含むか否かに拘らず、二次占有帯域の空きセグメントを一次占有帯域に移管することはせず、二次占有帯域を維持する。
【0034】
図9は、基地局または回線制御装置の構成例を示す。ここでは、本発明に関係する部分のみを示す。
図9において、基地局または回線制御装置は、一次端末局および二次端末局からの帯域要求信号を受信する信号受信部51、図2および図3に示す一次占有帯域および二次占有帯域の設定および更新処理を行う一次・二次占有帯域設定部52、一次端末局および二次端末局に割り当てたセグメントまたは帯域割当不能を通知する割当通知生成部53、二次端末局に対して停波要求を通知する停波通知生成部54、割当セグメント、帯域割当不能、停波要求を通知する制御信号を生成する制御信号生成部55、制御信号を一次端末局および二次端末局に送信する信号送信部56により構成される。
【0035】
図10は、一次端末局および二次端末局の構成例を示す。ここでは、本発明に関係する部分のみを示す。
図10において、一次端末局および二次端末局は、帯域要求信号等の制御信号を生成する制御信号生成部61、データ信号を生成するデータ信号生成部62、制御信号およびデータ信号を基地局へ送信する信号送信部63、基地局から割当セグメントおよび停波通知を受信する信号受信部64、受信信号から割当セグメントを検出してデータ信号生成部62に出力する割当セグメント検出部65、受信信号から停波通知を検出してデータ信号生成部62に出力する停波検出部66により構成される。
【符号の説明】
【0036】
51 信号受信部
52 一次・二次占有帯域設定部
53 割当通知生成部
54 停波通知生成部
55 制御信号生成部
56 信号送信部
61 制御信号生成部
62 データ信号生成部
63 信号送信部
64 信号受信部
65 割当セグメント検出部
66 停波検出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10