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特許7197446ジアルコキシアルカジエンイン化合物及びその製造方法並びにジエンイナール化合物の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】ジアルコキシアルカジエンイン化合物及びその製造方法並びにジエンイナール化合物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 45/42 20060101AFI20221220BHJP
   C07C 47/20 20060101ALI20221220BHJP
   C07C 41/48 20060101ALI20221220BHJP
   C07C 43/303 20060101ALI20221220BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20221220BHJP
【FI】
C07C45/42
C07C47/20
C07C41/48
C07C43/303 CSP
C07B61/00 300
【請求項の数】 24
(21)【出願番号】P 2019160884
(22)【出願日】2019-09-04
(65)【公開番号】P2021038173
(43)【公開日】2021-03-11
【審査請求日】2021-08-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000002060
【氏名又は名称】信越化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085545
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 光夫
(74)【代理人】
【識別番号】100118599
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100160738
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 由加里
(74)【代理人】
【識別番号】100114591
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 英文
(72)【発明者】
【氏名】三宅 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】金生 剛
(72)【発明者】
【氏名】小松 稜
【審査官】三木 寛
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第101108840(CN,A)
【文献】Millar, Jocelyn G.; Hoddle, Mark; McElfresh, J. Stephen; Zou, Yunfan; Hoddle, Christina,(9Z)-9,13-Tetradecadien-11-ynal, the sex pheromone of the avocado seed moth, Stenoma catenifer,Tetrahedron Letters,2008年,Vol.49(33),p.4820-4823
【文献】Loreau, O.; Chardigny, J. M.; Sebedio, J. L.; Noel, J. P.,Stereoselective synthesis of (6Z,10E,12Z)-octadeca-6,10,12-trienoic acid, (8Z,12E,14Z)-eicosa-8,12,14-trienoic acid, and their [1-14C]-radiolabeled analogs,Chemistry and Physics of Lipids,2003年,Vol.124(2),p.135-145
【文献】Comanita, Bogdan M.; Heuft, Matthew A.; Rietveld, Tanya; Fallis, Alex G.,A mild route to α-alkoxyacetylenes mediated by Lewis acids and synthetic routes to 10-, 11-, and 12-membered ring enediyne carbocycles,Israel Journal of Chemistry ,2000年,Vol.40(3-4),p.241-253
【文献】Trost, Barry M.; Biannic, Berenger; Brindle, Cheyenne S.; O'Keefe, B. Michael; Hunter, Thomas J.; Ngai, Ming-Yu,A Highly Convergent Total Synthesis of Leustroducsin B,Journal of the American Chemical Society,2015年,Vol.137(36),p.11594-11597
【文献】Veliev, M. G.; Shatirova, M. I.; Ishchenko, N. Ya.; Guseinova, Z. N.; Ibragimova, A. I.,Synthesis and modification of ED-20 epoxy-4,4'-isopropylidenediphenol resin with highly unsaturated esters,Russian Journal of Applied Chemistry ,2008年,Vol.81(6),p.1015-1018
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
C07B
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)
CH=CHC≡CCH=CH(CHCH(OR)(OR) (1)
(式中、R及びRは、それぞれ独立して炭素数1~15の一価の炭化水素基又はRとRが互いに結合してR-Rとして炭素数2~10の二価の炭化水素基を表し、nは0~11の整数を表す。)
で表されるジアルコキシアルカジエンイン化合物の加水分解反応により、下記一般式(2)
CH=CHC≡CCH=CH(CHCHO (2)
(式中、nは0~11の整数を表す。)
で表されるジエンイナール化合物を得る工程
を少なくとも含む、前記ジエンイナール化合物(2)の製造方法。
【請求項2】
及びR は、それぞれ独立して炭素数1~15の一価の炭化水素基を表す、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
とR が互いに結合してR -R として炭素数2~10の二価の炭化水素基を表す、請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
前記二価の炭化水素基が、直鎖状若しくは分岐状の飽和炭化水素基、直鎖状若しくは分岐状の不飽和炭化水素基、及び環状炭化水素基からなる群から選択される、請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】
前記二価の炭化水素基が、直鎖状又は分岐状の飽和炭化水素基である、請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
前記二価の炭化水素基が、直鎖状又は分岐状の不飽和炭化水素基である、請求項4に記載の製造方法。
【請求項7】
前記二価の炭化水素基が、環状炭化水素基である、請求項4に記載の製造方法。
【請求項8】
下記式(3)
CH=CHC≡CCHO (3)
で表される4-ペンテン-2-イナールと、下記一般式(4)
ArH(CHCH(OR)(OR) (4)
(式中、Arは互いに同じであっても異なっていてもよいアリール基を表し、R及びRは、上記で定義した通りであり、nは0~11の整数を表す。)
で表されるトリアリールホスホニウム=ジアルコキシアルキリド化合物とのウィッティヒ反応により、上記の一般式(1)で表されるジアルコキシアルカジエンイン化合物を得る工程
を更に含む、請求項1~7のいずれか1項に記載のジエンイナール化合物(2)の製造方法。
【請求項9】
下記一般式(5)
CH=CHC≡CCH(OR)(OR) (5)
(式中、R及びRは、それぞれ独立して炭素数1~15の一価の炭化水素基又はRとRが互いに結合してR-Rとして炭素数2~10の二価の炭化水素基を表す。)
で表される5,5-ジアルコキシ-1-ペンテン-3-イン化合物の加水分解反応により、上記の式(3)で表される4-ペンテン-2-イナールを得る工程
を更に含む、請求項に記載のジエンイナール化合物(2)の製造方法。
【請求項10】
及びR は、それぞれ独立して炭素数1~15の一価の炭化水素基を表する、請求項9に記載の製造方法。
【請求項11】
及びR が互いに結合してR -R として炭素数2~10の二価の炭化水素基を表す、請求項9に記載の製造方法。
【請求項12】
前記二価の炭化水素基が、直鎖状若しくは分岐状の飽和炭化水素基、直鎖状若しくは分岐状の不飽和炭化水素基、及び環状炭化水素基からなる群から選択される、請求項11に記載の製造方法。
【請求項13】
前記二価の炭化水素基が、直鎖状又は分岐状の飽和炭化水素基である、請求項12に記載の製造方法。
【請求項14】
前記二価の炭化水素基が、直鎖状又は分岐状の不飽和炭化水素基である、請求項12に記載の製造方法。
【請求項15】
前記二価の炭化水素基が、環状炭化水素基である、請求項12に記載の製造方法。
【請求項16】
下記一般式(6)
Z(CHC≡CCH(OR)(OR) (6)
(式中、R及びRは、上記で定義した通りであり、Zは、炭素数1~12のアルコキシ基、炭素数1~10のアシルオキシ基、炭素数3~20のシリルオキシ基、炭素数1~10のアルカンスルホニルオキシ基、炭素数6~20のアレーンスルホニルオキシ基、又はハロゲン原子である脱離基を表す。)
で表される2-イナール=アセタール化合物の上記脱離基を、塩基の存在下で脱離させることにより、上記の一般式(5)で表される5,5-ジアルコキシ-1-ペンテン-3-イン化合物を得る工程
を更に含む、請求項9~15のいずれか1項に記載のジエンイナール化合物(2)の製造方法。
【請求項17】
下記式(3)
CH=CHC≡CCHO (3)
で表される4-ペンテン-2-イナールと、下記一般式(4)
ArH(CHCH(OR)(OR) (4)
(式中、Arは互いに同じであっても異なっていてもよいアリール基を表し、R及びRは、それぞれ独立して炭素数1~15の一価の炭化水素基又はRとRが互いに結合してR-Rとして炭素数2~10の二価の炭化水素基を表し、nは0~11の整数を表す。)
で表されるトリアリールホスホニウム=ジアルコキシアルキリド化合物とのウィッティヒ反応により、下記一般式(1)
CH=CHC≡CCH=CH(CHCH(OR)(OR) (1)
(式中、R及びR並びにnは上記で定義した通りである。)
で表されるジアルコキシアルカジエンイン化合物を得る工程
を少なくとも含む、前記ジアルコキシアルカジエンイン化合物(1)の製造方法。
【請求項18】
及びR は、それぞれ独立して炭素数1~15の一価の炭化水素基を表する、請求項17に記載の製造方法。
【請求項19】
とR が互いに結合してR -R として炭素数2~10の二価の炭化水素基を表す、請求項17に記載の製造方法。
【請求項20】
前記二価の炭化水素基が、直鎖状若しくは分岐状の飽和炭化水素基、直鎖状若しくは分岐状の不飽和炭化水素基、及び環状炭化水素基からなる群から選択される、請求項19に記載の製造方法。
【請求項21】
前記二価の炭化水素基が、直鎖状又は分岐状の飽和炭化水素基である、請求項20に記載の製造方法。
【請求項22】
前記二価の炭化水素基が、直鎖状又は分岐状の不飽和炭化水素基である、請求項20に記載の製造方法。
【請求項23】
前記二価の炭化水素基が、環状炭化水素基である、請求項20に記載の製造方法。
【請求項24】
下記一般式(1)
CH=CHC≡CCH=CH(CHCH(OR)(OR) (1)
(式中、R及びRは、それぞれ独立して炭素数1~15の一価の炭化水素基又はRとRが互いに結合してR-Rとして炭素数2~10の二価の炭化水素基を表し、nは0~11の整数を表す。)
で表されるジアルコキシアルカジエンイン化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジアルコキシアルカジエンイン化合物及びその製造方法並びにジエンイナール化合物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
Avocado seed moth(Stenoma catenifer)は、メキシコ、グアテマラ、ペルー、エクアドル、ブラジル等の中南米におけるアボカドの最重要害虫であり、果実を加害するために大きな問題となっている。例えば、南米のある地域では1シーズンに7~11回も農薬散布しているが60%の果実が加害されていると言われている。その理由の一つとして、本害虫の幼虫は果肉内に侵入するために殺虫剤による防除が困難であることが挙げられる。この様な理由から、生物学的防除方法が注目されつつあり、その一つとして性フェロモン物質の利用が期待されている。
【0003】
Stenoma cateniferの性フェロモンは、ジエンイナール化合物の一つである(9Z)-9,13-テトラデカジエン-11-イナールであることが報告されている(下記の非特許文献1、2)。
【0004】
この性フェロモンの合成方法としては、例えば、9-デシン-1-オールを出発原料とし、ピナコールボランによるヒドロホウ素化、引き続きヨウ素化、水酸基のTHP保護、パラジウム触媒による2-プロピン-1-オールとのカップリング反応、二酸化マンガンによる水酸基の酸化、ウィッティヒ(Wittig)反応による末端オレフィンの導入、THP保護基の脱保護により(9Z)-9,13-テトラデカジエン-11-イン-1-オールを合成し、そして合成した(9Z)-9,13-テトラデカジエン-11-イン-1-オールの水酸基をクロロクロム酸ピリジニウム(PCC)酸化することにより合成できることが報告されている(非特許文献1)。また、2-(9-デシン-1-イロキシ)テトラヒドロ-2H-ピランを出発原料とし、アルキン末端のノルマルブチルリチウムによる脱プロトン化、引き続きヨウ素化、ジシクロヘキシルボランによるヒドロホウ素化、引き続きプロトン化、パラジウム触媒による1-ブテン-3-インとのカップリング反応、THP保護基の脱保護により(9Z)-9,13-テトラデカジエン-11-イン-1-オールを合成し、そして合成した(9Z)-9,13-テトラデカジエン-11-イン-1-オールの水酸基をクロロクロム酸ピリジニウム(PCC)酸化することにより合成できることが報告されている(下記の非特許文献2、3)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【文献】Jocelyn G. Millar et al,2008,Tetrahedron Letters.49:4820-4823.
【文献】Mark S. Hoddle et al,2009,Ecology and Behavior.102(4):1460-1467.
【文献】Jocelyn G. Millar et al,2010,Tetrahedron Letters.51:1336-1337.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、非特許文献1において報告されている合成方法は、高価なピナコールボラン及びパラジウム触媒を用いている。また、環境負荷の極めて大きい二酸化マンガン及びクロム化合物であるPCCを用いた酸化反応を用いており、更に酸化反応は爆発の危険を伴うことが多いために、工業スケールでの実施が難しく、総収率も7%と極めて低い。
また、非特許文献2及び3において報告されている合成方法は、工業的に入手困難な1-ブテン-3-イン及び高価なパラジウム触媒を用いている。さらに、環境負荷の極めて大きいクロム化合物であるPCCを用いた酸化反応を用いており、更に酸化反応は爆発の危険を伴うことが多いために、工業スケールでの実施が難しく、総収率も25%と低い。
さらに、非特許文献1、2及び3において報告されている合成方法は、前駆体として(9Z)-9,13-テトラデカジエン-11-イン-1-オールを用いている。しかしながら、このアルコールはStenoma cateniferの誘引数を低下させることが分かっているために、合成した(9Z)-9,13-テトラデカジエン-11-イナールに混入しないことが好ましく、残存の可能性を排除するために中間体及び前駆体として使用しないことが望ましい(非特許文献2)。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、中間体として有用なジアルコキシアルカジエンイン化合物及びその製造方法、並びに該中間体を使用した、ジエンイナール化合物の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、ジアルコキシアルカジエンイン化合物がジエンイナール化合物の製造において有用な中間体であることを見出し、そして該ジアルコキシアルカジエンイン化合物を用いることにより、ジエンイナール化合物を短工程で収率良く、且つ誘引阻害物質であるジエンイノール化合物(例えば、上記の(9Z)-9,13-テトラデカジエン-11-イン-1-オール)を含有せずに製造できることを見出し、本発明を為すに至った。
【0009】
本発明の一つの態様によれば、下記一般式(1)
CH=CHC≡CCH=CH(CHCH(OR)(OR) (1)
(式中、R及びRは、それぞれ独立して炭素数1~15の一価の炭化水素基又はRとRが互いに結合してR-Rとして炭素数2~10の二価の炭化水素基を表し、nは0~11の整数を表す。)
で表されるジアルコキシアルカジエンイン化合物の加水分解反応により、下記一般式(2)
CH=CHC≡CCH=CH(CHCHO (2)
(式中、nは0~11の整数を表す。)
で表されるジエンイナール化合物を得る工程
を少なくとも含む、ジエンイナール化合物の製造方法が提供される。
【0010】
また、本発明の他の態様によれば、下記式(3)
CH=CHC≡CCHO (3)
で表される4-ペンテン-2-イナールと、下記一般式(4)
ArH(CHCH(OR)(OR) (4)
(式中、Arは互いに同じであっても異なっていてもよいアリール基を表し、R及びRは、それぞれ独立して炭素数1~15の一価の炭化水素基又はRとRが互いに結合してR-Rとして炭素数2~10の二価の炭化水素基を表し、nは0~11の整数を表す。)
で表されるトリアリールホスホニウム=ジアルコキシアルキリド化合物とのウィッティヒ反応により、下記一般式(1)
CH=CHC≡CCH=CH(CHCH(OR)(OR) (1)
(式中、R及びR並びにnは上記で定義した通りである。)
で表されるジアルコキシアルカジエンイン化合物を得る工程を少なくとも含む、ジアルコキシアルカジエンイン化合物の製造方法が提供される。
【0011】
更に、本発明の他の態様によれば、下記一般式(1)
CH=CHC≡CCH=CH(CHCH(OR)(OR) (1)
(式中、R及びRは、それぞれ独立して炭素数1~15の一価の炭化水素基又はRとRが互いに結合してR-Rとして炭素数2~10の二価の炭化水素基を表し、nは0~11の整数を表す。)
で表されるジアルコキシアルカジエンイン化合物が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明に従うジアルコキシアルカジエンイン化合物は、ジエンイナール化合物の製造において有用である。
また、本発明によれば、酸化反応を用いることなくジエンイナール化合物を短工程で収率良く製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<ジアルコキシアルカジエンイン化合物(1)について>
まず、下記一般式(1)で表されるジアルコキシアルカジエンイン化合物について説明する。
CH=CHC≡CCH=CH(CHCH(OR)(OR) (1)
ジアルコキシアルカジエンイン化合物(1)におけるR及びRは、それぞれ独立して炭素数1~15の一価の炭化水素基又はRとRが互いに結合してR-Rとして炭素数2~10の二価の炭化水素基を表す。
【0014】
一価の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基等の直鎖状の飽和炭化水素基、イソプロピル基、2-メチルプロピル基、2-メチルブチル基等の分岐状の飽和炭化水素基、2-プロペニル基等の直鎖状の不飽和炭化水素基、2-メチル-2-プロペニル基等の分岐状の不飽和炭化水素基、シクロプロピル基等の環状の飽和炭化水素基等が挙げられ、これらと異性体の関係にある炭化水素基でもよい。また、これらの炭化水素基の水素原子中の一部がメチル基、エチル基等で置換されていてもよい。
一価の炭化水素基としては、取扱いの観点から、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基が好ましい。
【0015】
二価の炭化水素基としては、エチレン基、1,3-プロピレン基、1,4-ブチレン基等の直鎖状の飽和炭化水素基、1,2-プロピレン基、2,2-ジメチル-1,3-プロピレン基、1,2-ブチレン基、1,3-ブチレン基、2,3-ブチレン基、2,3-ジメチル-2,3-ブチレン基等の分岐状の飽和炭化水素基、1-ビニルエチレン基等の直鎖状の不飽和炭化水素基、2-メチレン-1,3-プロピレン基等の分岐状の不飽和炭化水素基、1,2-シクロプロピレン基、1,2-シクロブチレン基等の環状炭化水素基等が挙げられ、これらと異性体の関係にある炭化水素基でもよい。また、これらの炭化水素基の水素原子中の一部がメチル基、エチル基等で置換されていてもよい。
二価の炭化水素基は、脱保護における反応性又は精製の容易さ、入手の容易さを考慮すると、反応性が高く、脱保護により生成する副生物が水洗又は濃縮によって容易に除去可能な低級(好ましくは炭素数2~4)の炭化水素基が好ましい。
これらを考慮すると、二価の炭化水素基の特に好ましい例として、エチレン基、1,2-プロピレン基、1,3-プロピレン基、1,2-ブチレン基、1,3-ブチレン基、2,3-ジメチル-2,3-ブチレン基等が挙げられる。
【0016】
ジアルコキシアルカジエンイン化合物(1)におけるnは0~11、好ましくは2~9の整数を表す。
【0017】
ジアルコキシアルカジエンイン化合物(1)における幾何異性体としては、下記一般式(1-Z)で表される(Z)-ジアルコキシアルカジエンイン化合物、下記一般式(1-E)で表される(E)-ジアルコキシアルカジエンイン化合物及びこれらの混合物が挙げられる。
【0018】
【化1】
【0019】
ジアルコキシアルカジエンイン化合物(1)としては、7,7-ジアルコキシ-1,5-ヘプタジエン-3-イン化合物(n=0)、8,8-ジアルコキシ-1,5-オクタジエン-3-イン化合物(n=1)、9,9-ジアルコキシ-1,5-ノナジエン-3-イン化合物(n=2)、10,10-ジアルコキシ-1,5-デカジエン-3-イン化合物(n=3)、11,11-ジアルコキシ-1,5-ウンデカジエン-3-イン化合物(n=4)、12,12-ジアルコキシ-1,5-ドデカジエン-3-イン化合物(n=5)、13,13-ジアルコキシ-1,5-トリデカジエン-3-イン化合物(n=6)、14,14-ジアルコキシ-1,5-テトラデカジエン-3-イン化合物(n=7)、15,15-ジアルコキシ-1,5-ペンタデカジエン-3-イン化合物(n=8)、16,16-ジアルコキシ-1,5-ヘキサデカジエン-3-イン化合物(n=9)、17,17-ジアルコキシ-1,5-ヘプタデカジエン-3-イン化合物(n=10)、18,18-ジアルコキシ-1,5-オクタデカジエン-3-イン化合物(n=11)が挙げられる。
7,7-ジアルコキシ-1,5-ヘプタジエン-3-イン化合物(n=0)の具体例としては、7,7-ジエトキシ-(5Z)-1,5-ヘプタジエン-3-イン等の7,7-ジアルコキシ-(5Z)-1,5-ヘプタジエン-3-イン化合物、7,7-ジエトキシ-(5E)-1,5-ヘプタジエン-3-イン等の7,7-ジアルコキシ-(5E)-1,5-ヘプタジエン-3-イン化合物等が挙げられる。
8,8-ジアルコキシ-1,5-オクタジエン-3-イン化合物(n=1)の具体例としては、8,8-ジエトキシ-(5Z)-1,5-オクタジエン-3-イン等の8,8-ジアルコキシ-(5Z)-1,5-オクタジエン-3-イン化合物、8,8-ジエトキシ-(5E)-1,5-オクタジエン-3-イン等の8,8-ジアルコキシ-(5E)-1,5-オクタジエン-3-イン化合物等が挙げられる。
9,9-ジアルコキシ-1,5-ノナジエン-3-イン化合物(n=2)の具体例としては、9,9-ジメトキシ-(5Z)-1,5-ノナジエン-3-イン、9,9-ジエトキシ-(5Z)-1,5-ノナジエン-3-イン、9,9-ジプロポキシ-(5Z)-1,5-ノナジエン-3-イン、9,9-ジブトキシ-(5Z)-1,5-ノナジエン-3-イン、9,9-ジペントキシ-(5Z)-1,5-ノナジエン-3-イン、9,9-ジヘキソキシ-(5Z)-1,5-ノナジエン-3-イン、9,9-ジヘプトキシ-(5Z)-1,5-ノナジエン-3-イン、9,9-ジオクトキシ-(5Z)-1,5-ノナジエン-3-イン等の9,9-ジアルコキシ-(5Z)-1,5-ノナジエン-3-イン化合物、9,9-ジメトキシ-(5E)-1,5-ノナジエン-3-イン、9,9-ジエトキシ-(5E)-1,5-ノナジエン-3-イン、9,9-ジプロポキシ-(5E)-1,5-ノナジエン-3-イン、9,9-ジブトキシ-(5E)-1,5-ノナジエン-3-イン、9,9-ジペントキシ-(5E)-1,5-ノナジエン-3-イン、9,9-ジヘキソキシ-(5E)-1,5-ノナジエン-3-イン、9,9-ジヘプトキシ-(5E)-1,5-ノナジエン-3-イン、9,9-ジオクトキシ-(5E)-1,5-ノナジエン-3-イン等の9,9-ジアルコキシ-(5E)-1,5-ノナジエン-3-イン化合物等が挙げられる。
10,10-ジアルコキシ-1,5-デカジエン-3-イン化合物(n=3)の具体例としては、10,10-ジエトキシ-(5Z)-1,5-デカジエン-3-イン等の10,10-ジアルコキシ-(5Z)-1,5-デカジエン-3-イン化合物、10,10-ジエトキシ-(5E)-1,5-デカジエン-3-イン等の10,10-ジアルコキシ-(5E)-1,5-デカジエン-3-イン化合物等が挙げられる。
11,11-ジアルコキシ-1,5-ウンデカジエン-3-イン化合物(n=4)の具体例としては、11,11-ジメトキシ-(5Z)-1,5-ウンデカジエン-3-イン、11,11-ジエトキシ-(5Z)-1,5-ウンデカジエン-3-イン、11,11-ジプロポキシ-(5Z)-1,5-ウンデカジエン-3-イン、11,11-ジブトキシ-(5Z)-1,5-ウンデカジエン-3-イン、11,11-ジペントキシ-(5Z)-1,5-ウンデカジエン-3-イン、11,11-ジヘキソキシ-(5Z)-1,5-ウンデカジエン-3-イン、11,11-ジヘプトキシ-(5Z)-1,5-ウンデカジエン-3-イン、11,11-ジオクトキシ-(5Z)-1,5-ウンデカジエン-3-イン等の11,11-ジアルコキシ-(5Z)-1,5-ウンデカジエン-3-イン化合物、11,11-ジメトキシ-(5E)-1,5-ウンデカジエン-3-イン、11,11-ジエトキシ-(5E)-1,5-ウンデカジエン-3-イン、11,11-ジプロポキシ-(5E)-1,5-ウンデカジエン-3-イン、11,11-ジブトキシ-(5E)-1,5-ウンデカジエン-3-イン、11,11-ジペントキシ-(5E)-1,5-ウンデカジエン-3-イン、11,11-ジヘキソキシ-(5E)-1,5-ウンデカジエン-3-イン、11,11-ジヘプトキシ-(5E)-1,5-ウンデカジエン-3-イン、11,11-ジオクトキシ-(5E)-1,5-ウンデカジエン-3-イン等の11,11-ジアルコキシ-(5E)-1,5-ウンデカジエン-3-イン化合物等が挙げられる。
12,12-ジアルコキシ-1,5-ドデカジエン-3-イン化合物(n=5)の具体例としては、12,12-ジエトキシ-(5Z)-1,5-ドデカジエン-3-イン等の12,12-ジアルコキシ-(5Z)-1,5-ドデカジエン-3-イン化合物、12,12-ジエトキシ-(5E)-1,5-ドデカジエン-3-イン等の12,12-ジアルコキシ-(5E)-1,5-ドデカジエン-3-イン化合物等が挙げられる。
13,13-ジアルコキシ-1,5-トリデカジエン-3-イン化合物(n=6)の具体例としては、13,13-ジエトキシ-(5Z)-1,5-トリデカジエン-3-イン等の13,13-ジアルコキシ-(5Z)-1,5-トリデカジエン-3-イン化合物、13,13-ジエトキシ-(5E)-1,5-トリデカジエン-3-イン等の13,13-ジアルコキシ-(5E)-1,5-トリデカジエン-3-イン化合物等が挙げられる。
14,14-ジアルコキシ-1,5-テトラデカジエン-3-イン化合物(n=7)の具体例としては、14,14-ジメトキシ-(5Z)-1,5-テトラデカジエン-3-イン、14,14-ジエトキシ-(5Z)-1,5-テトラデカジエン-3-イン、14,14-ジプロポキシ-(5Z)-1,5-テトラデカジエン-3-イン、14,14-ジブトキシ-(5Z)-1,5-テトラデカジエン-3-イン、14,14-ジペントキシ-(5Z)-1,5-テトラデカジエン-3-イン、14,14-ジヘキソキシ-(5Z)-1,5-テトラデカジエン-3-イン、14,14-ジヘプトキシ-(5Z)-1,5-テトラデカジエン-3-イン、14,14-ジオクトキシ-(5Z)-1,5-テトラデカジエン-3-イン等の14,14-ジアルコキシ-(5Z)-1,5-テトラデカジエン-3-イン化合物、14,14-ジメトキシ-(5E)-1,5-テトラデカジエン-3-イン、14,14-ジエトキシ-(5E)-1,5-テトラデカジエン-3-イン、14,14-ジプロポキシ-(5E)-1,5-テトラデカジエン-3-イン、14,14-ジブトキシ-(5E)-1,5-テトラデカジエン-3-イン、14,14-ジペントキシ-(5E)-1,5-テトラデカジエン-3-イン、14,14-ジヘキソキシ-(5E)-1,5-テトラデカジエン-3-イン、14,14-ジヘプトキシ-(5E)-1,5-テトラデカジエン-3-イン、14,14-ジオクトキシ-(5E)-1,5-テトラデカジエン-3-イン等の14,14-ジアルコキシ-(5E)-1,5-テトラデカジエン-3-イン化合物等が挙げられる。
15,15-ジアルコキシ-1,5-ペンタデカジエン-3-イン化合物(n=8)の具体例としては、15,15-ジエトキシ-(5Z)-1,5-ペンタデカジエン-3-イン等の15,15-ジアルコキシ-(5Z)-1,5-ペンタデカジエン-3-イン化合物、15,15-ジエトキシ-(5E)-1,5-ペンタデカジエン-3-イン等の15,15-ジアルコキシ-(5E)-1,5-ペンタデカジエン-3-イン化合物等が挙げられる。
16,16-ジアルコキシ-1,5-ヘキサデカジエン-3-イン化合物(n=9)の具体例としては、16,16-ジエトキシ-(5Z)-1,5-ヘキサデカジエン-3-イン等の16,16-ジアルコキシ-(5Z)-1,5-ヘキサデカジエン-3-イン化合物、16,16-ジエトキシ-(5E)-1,5-ヘキサデカジエン-3-イン等の16,16-ジアルコキシ-(5E)-1,5-ヘキサデカジエン-3-イン化合物等が挙げられる。
17,17-ジアルコキシ-1,5-ヘプタデカジエン-3-イン化合物(n=10)の具体例としては、17,17-ジエトキシ-(5Z)-1,5-ヘプタデカジエン-3-イン等の17,17-ジアルコキシ-(5Z)-1,5-ヘプタデカジエン-3-イン化合物、17,17-ジエトキシ-(5E)-1,5-ヘプタデカジエン-3-イン等の17,17-ジアルコキシ-(5E)-1,5-ヘプタデカジエン-3-イン化合物等が挙げられる。
18,18-ジアルコキシ-1,5-オクタデカジエン-3-イン化合物(n=11)の具体例としては、18,18-ジエトキシ-(5Z)-1,5-オクタデカジエン-3-イン等の18,18-ジアルコキシ-(5Z)-1,5-オクタデカジエン-3-イン化合物、18,18-ジエトキシ-(5E)-1,5-オクタデカジエン-3-イン等の18,18-ジアルコキシ-(5E)-1,5-オクタデカジエン-3-イン化合物等が挙げられる。
【0020】
<ウィッティヒ反応によるジアルコキシアルカジエンイン化合物(1)の製造>
ジアルコキシアルカジエンイン化合物(1)は、下記の化学反応式に示される通り、下記式(3)で表される4-ペンテン-2-イナールと、下記一般式(4)で表されるトリアリールホスホニウム=ジアルコキシアルキリド化合物とのウィッティヒ反応により、ジアルコキシアルカジエンイン化合物(1)を得る工程により製造することができる。
【0021】
【化2】
【0022】
<4-ペンテン-2-イナール(3)について>
4-ペンテン-2-イナール(3)は例えば、下記の化学反応式に示される通り、下記一般式(5)で表される5,5-ジアルコキシ-1-ペンテン-3-イン化合物の加水分解反応により、4-ペンテン-2-イナール(3)を得る工程により製造することができる。
【0023】
【化3】
【0024】
及びRは、それぞれ独立して炭素数1~15の一価の炭化水素基又はRとRが互いに結合してR-Rとして炭素数2~10の二価の炭化水素基を表す。
及びRが一価の炭化水素基及び二価の炭化水素基である場合の具体例はそれぞれ、ジアルコキシアルカジエンイン化合物(1)におけるR及びRが一価の炭化水素基及び二価の炭化水素基である場合の具体例と同じである。
5,5-ジアルコキシ-1-ペンテン-3-イン化合物(5)の具体例としては、5,5-ジメトキシ-1-ペンテン-3-イン、5,5-ジエトキシ-1-ペンテン-3-イン、5,5-ジプロポキシ-1-ペンテン-3-イン、5,5-ジブトキシ-1-ペンテン-3-イン、5,5-エトキシメトキシ-1-ペンテン-3-イン、1-ペンテン-3-イン-1,3-ジオキソラン、1-ペンテン-3-イン-1,3-ジオキサン等が挙げられ、汎用性の観点から、5,5-ジメトキシ-1-ペンテン-3-イン、5,5-ジエトキシ-1-ペンテン-3-イン、5,5-ジプロポキシ-1-ペンテン-3-イン、5,5-ジブトキシ-1-ペンテン-3-インが好ましい。
【0025】
5,5-ジアルコキシ-1-ペンテン-3-イン化合物(5)は、下記の化学反応式に示される通り、下記一般式(6)で表される2-イナール=アセタール化合物の5位の脱離基Zを、塩基の存在下で脱離させることにより、5,5-ジアルコキシ-1-ペンテン-3-イン化合物(5)を得る工程により製造することができる。
【0026】
【化4】
【0027】
2-イナール=アセタール化合物(6)におけるR及びRは、それぞれ独立して炭素数1~15の一価の炭化水素基又はR及びRが互いに結合してR-Rとして炭素数2~10の二価の炭化水素基を表す。
2-イナール=アセタール化合物(6)におけるR及びRが一価の炭化水素基及び二価の炭化水素基である場合の具体例はそれぞれ、ジアルコキシアルカジエンイン化合物(1)におけるR及びRが一価の炭化水素基及び二価の炭化水素基である場合の具体例と同じである。
【0028】
2-イナール=アセタール化合物(6)におけるZは、炭素数1~12のアルコキシ基、炭素数1~10のアシルオキシ基、炭素数3~20のシリルオキシ基、炭素数1~10のアルカンスルホニルオキシ基、炭素数6~20のアレーンスルホニルオキシ基、又はハロゲン原子である脱離基を表す。
上述のアルコキシ基の炭素数は1~12、好ましくは炭素数1~9である。
該アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、n-ブトキシ基、n-ペンチルオキシ基等の直鎖状の飽和アルコキシ基、イソプロポキシ基、t-ブトキシ基等の分岐状の飽和アルコキシ基、2-プロペニルオキシ基、2-プロピニルオキシ基等の直鎖状の不飽和アルコキシ基、2-メチル-2-プロペニルオキシ基等の分岐状の不飽和アルコキシ基、シクロプロピルオキシ基、2-メチルシクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基等の環状アルコキシ基、ベンジルオキシ基、パラメトキシベンジルオキシ基等の芳香環を含有するアルコキシ基、メトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基、2-メトキシエトキシメトキシ基、ベンジルオキシメトキシ基、パラメトキシベンジルオキシメトキシ基、1-エトキシエトキシ基、テトラヒドロピラン-2-イルオキシ基等のアルコキシアルコキシ基、2,2,2-トリクロロエトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基等のハロゲン化アルコキシ基等が挙げられ、これらと異性体の関係にあるアルコキシ基でもよい。また、これらのアルコキシ基の水素原子中の一部がメチル基、エチル基等で置換されていてもよい。
該アルコキシ基としては、入手の容易さ、脱離により生成する副生物が水洗又は濃縮によって容易に除去可能であること等の観点から特に好ましい例として、メトキシ基、エトキシ基、2-プロペニルオキシ基、メトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基、1-エトキシエトキシ基等が挙げられる。
上述のアシルオキシ基の炭素数は1~10、好ましくは1~7である。
該アシルオキシ基としては、例えば、ホルミルオキシ基、アセトキシ基、プロパノイルオキシ基、ブタノイルオキシ基、クロトニルオキシ基等の直鎖状の脂肪族アシルオキシ基、2-メチルプロパノイルオキシ基、ピバロイルオキシ基等の分岐状の脂肪族アシルオキシ基、トリクロロアセトキシ基、トリフルオロアセトキシ基等のハロゲン化アシルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等の芳香族アシルオキシ基等が挙げられ、これらと異性体の関係にあるアシルオキシ基でもよい。また、これらのアシルオキシ基の水素原子中の一部がメチル基、エチル基等で置換されていてもよい。
該アシルオキシ基としては、入手の容易さの観点から特に好ましい例として、アセトキシ基、プロパノイルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等が挙げられる。
上述のシリルオキシ基の炭素数は3~20、好ましくは3~16、より好ましくは3~10である。
該シリルオキシ基としては、例えば、トリメチルシリルオキシ基、トリエチルシリルオキシ基、トリイソプロピルシリルオキシ基、t-ブチルジメチルシリルオキシ基等のトリアルキルシリルオキシ基、t-ブチルジフェニルシリルオキシ基等のモノアルキルジアリールシリルオキシ基等が挙げられ、これらと異性体の関係にあるシリルオキシ基でもよい。また、これらのシリルオキシ基の水素原子中の一部がメチル基、エチル基等で置換されていてもよい。
該シリルオキシ基としては、入手の容易さ、脱離により生成する副生物が濃縮によって容易に除去可能であること等の観点から特に好ましい例として、トリメチルシリルオキシ基、トリエチルシリルオキシ基等が挙げられる。
上述のアルカンスルホニルオキシ基の炭素数は1~10、好ましくは1~7である。
該アルカンスルホニルオキシ基としては、例えば、メタンスルホニルオキシ基、エタンスルホニルオキシ基、1-ブタンスルホニルオキシ基、1-オクタンスルホニルオキシ基、アリルスルホニルオキシ基、10-カンファースルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基、ベンジルスルホニルオキシ基が挙げられ、これらと異性体の関係にあるアルカンスルホニルオキシ基でもよい。また、これらのアルカンスルホニルオキシ基の水素原子中の一部がメチル基、エチル基等で置換されていてもよい。
該アルカンスルホニルオキシ基としては、入手の容易さの観点から特に好ましい例として、メタンスルホニルオキシ基、エタンスルホニルオキシ基等が挙げられる。
上述のアレーンスルホニルオキシ基の炭素数は6~20、好ましくは6~15、より好ましくは6~7である。
該アレーンスルホニルオキシ基としては、例えば、ベンゼンスルホニルオキシ基、4-クロロベンゼンスルホニルオキシ基、4-メトキシベンゼンスルホニルオキシ基、2-ニトロベンゼンスルホニルオキシ基、2,4,6-トリメチルベンゼンスルホニルオキシ基、パラトルエンスルホニルオキシ基、1-ナフタレンスルホニルオキシ基、2-ナフタレンスルホニルオキシ基が挙げられ、これらと異性体の関係にあるアレーンスルホニルオキシ基でもよい。また、これらのアレーンスルホニルオキシ基の水素原子中の一部がメチル基、エチル基等で置換されていてもよい。
該アレーンスルホニルオキシ基としては、入手の容易さの観点から特に好ましい例として、ベンゼンスルホニルオキシ基、パラトルエンスルホニルオキシ基等が挙げられる。
上述のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
該ハロゲン原子としては、入手の容易さの観点から特に好ましい例として、塩素原子、臭素原子が挙げられる。
【0029】
Zが炭素数1~12のアルコキシ基である場合に、2-イナール=アセタール化合物(6)の具体例としては、1,1-ジメトキシ-5-(メトキシメトキシ)-2-ペンチン、1,1-ジエトキシ-5-(メトキシメトキシ)-2-ペンチン等の1,1-ジアルコキシ-5-(メトキシメトキシ)-2-ペンチン化合物、1,1-ジメトキシ-5-(メトキシエトキシ)-2-ペンチン、1,1-ジエトキシ-5-(メトキシエトキシ)-2-ペンチン等の1,1-ジアルコキシ-5-(メトキシエトキシ)-2-ペンチン化合物、1,1-ジメトキシ-5-メトキシ-2-ペンチン、1,1-ジエトキシ-5-メトキシ-2-ペンチン等の1,1-ジアルコキシ-5-メトキシ-2-ペンチン化合物、1,1-ジメトキシ-5-エトキシ-2-ペンチン、1,1-ジエトキシ-5-エトキシ-2-ペンチン等の1,1-ジアルコキシ-5-エトキシ-2-ペンチン化合物等が挙げられる。
Zが炭素数1~10のアシルオキシ基である場合に、2-イナール=アセタール化合物(6)の具体例としては、1,1-ジメトキシ-5-アセチルオキシ-2-ペンチン、1,1-ジエトキシ-5-アセチルオキシ-2-ペンチン等の1,1-ジアルコキシ-5-アセチルオキシ-2-ペンチン化合物等が挙げられる。
Zが炭素数3~20のシリルオキシ基である場合に、2-イナール=アセタール化合物(6)の具体例としては、1,1-ジメトキシ-5-トリメチルシリルオキシ-2-ペンチン、1,1-ジエトキシ-5-トリメチルシリルオキシ-2-ペンチン等の1,1-ジアルコキシ-5-トリメチルシリルオキシ-2-ペンチン化合物、1,1-ジメトキシ-5-トリエチルシリルオキシ-2-ペンチン、1,1-ジエトキシ-5-トリエチルシリルオキシ-2-ペンチン等の1,1-ジアルコキシ-5-トリエチルシリルオキシ-2-ペンチン化合物等が挙げられる。
Zが炭素数1~10のアルカンスルホニルオキシ基である場合に、2-イナール=アセタール化合物(6)の具体例としては、1,1-ジメトキシ-5-メタンスルホニルオキシ-2-ペンチン、1,1-ジエトキシ-5-メタンスルホニルオキシ-2-ペンチン等の1,1-ジアルコキシ-5-メタンスルホニルオキシ-2-ペンチン化合物等が挙げられる。
Zが炭素数6~20のアレーンスルホニルオキシ基である場合に、2-イナール=アセタール化合物(6)の具体例としては、1,1-ジメトキシ-5-(p-トルエンスルホニルオキシ)-2-ペンチン、1,1-ジエトキシ-5-(p-トルエンスルホニルオキシ)-2-ペンチン等の1,1-ジアルコキシ-5-(p-トルエンスルホニルオキシ)-2-ペンチン化合物等が挙げられる。
Zがハロゲン原子である場合に、2-イナール=アセタール化合物(6)の具体例としては、1,1-ジメトキシ-5-クロロ-2-ペンチン、1,1-ジエトキシ-5-クロロ-2-ペンチン等の1,1-ジアルコキシ-5-クロロ-2-ペンチン化合物、1,1-ジメトキシ-5-ブロモ-2-ペンチン、1,1-ジエトキシ-5-ブロモ-2-ペンチン等の1,1-ジアルコキシ-5-ブロモ-2-ペンチン化合物等が挙げられる。
【0030】
2-イナール=アセタール化合物(6)においては、アセタール基と三重結合の電子的影響で4位の酸性度が非常に高まるために、脱離基Zが脱離能の高いアルカンスルホニルオキシ基、アレーンスルホニルオキシ基、ハロゲン原子の場合のみならず、脱離能の低いアルコキシ基、アシルオキシ基、シリルオキシ基等の場合であっても、高い脱離能を有する別の脱離基への変換を要せず、そのまま脱離基Zの脱離反応を行うことができる。
脱離基Zが脱離能の低いアルコキシ基、アシルオキシ基、シリルオキシ基である場合の利点としては、アルカンスルホニルオキシ基、アレーンスルホニルオキシ基、ハロゲン原子に比べ、2-イナール=アセタール化合物(6)の熱安定性が高いために、工業的に有利な蒸留による精製が容易であること等が挙げられる。
一方、アセタール基の代わりに炭化水素基を有する化合物では、4位の酸性度が高まらないために、脱離能の低いアルコキシ基、アシルオキシ基、シリルオキシ基では脱離反応が効率的に進行しない。
【0031】
脱離基Zの脱離反応に用いる塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等の水酸化物類、ナトリウム=メトキシド、ナトリウム=エトキシド、ナトリウム=t-ブトキシド、ナトリウム=t-アミロキシド、リチウム=メトキシド、リチウム=エトキシド、リチウム=t-ブトキシド、リチウム=t-アミロキシド、カリウム=メトキシド、カリウム=エトキシド、カリウム=t-ブトキシド、カリウム=t-アミロキシド等の金属アルコキシド類、メチルリチウム、エチルリチウム、n-ブチルリチウム、塩化メチルマグネシウム、ジムシルナトリウム、ナトリウムアセチリド、カリウムアセチリド等の有機金属試薬類、ナトリウム=アミド、リチウム=アミド、リチウム=ジイソプロピルアミド、リチウム=ヘキサメチルジシラジド、ナトリウム=ヘキサメチルジシラジド、カリウム=ヘキサメチルジシラジド、リチウム=ジシクロヘキシルアミド等の金属アミド類、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化カルシウム等の水素化金属類、トリエチルアミン、ピペリジン、ピロリジン、ピリジン、4-ジメチルアミノピリジン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン(DBU)等のアミン類等を挙げることができる。
該塩基としては、アレン化合物の生成を抑えて、不純物の副生を抑制し、4-ペンテン-2-イナール(3)を収率良く得る観点から、ナトリウム=メトキシド、ナトリウム=エトキシド、カリウム=t-ブトキシド等の金属アルコキシド類が好ましい。
該塩基は、1種類又は必要に応じて、2種類以上を使用してもよい。また、該塩基は、市販されているものを用いることができる。
該塩基の使用量は、収率及び経済性の観点から、2-イナール=アセタール化合物(6)1molに対して、好ましくは0.6~3.0mol、より好ましくは0.7~2.0mol、更に好ましくは0.8~1.5molである。
【0032】
上記の脱離反応には、必要に応じて、溶媒を用いてもよい。
該溶媒としては、例えば、ジエチル=エーテル、ジブチル=エーテル、テトラヒドロフラン(THF)、4-メチルテトラヒドロピラン、シクロペンチルメチルエーテル、1,4-ジオキサン等のエーテル類、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン等の炭化水素類、塩化メチレン、クロロホルム、トリクロロエチレン等の塩素系溶媒類、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、ジメチル=スルホキシド、γ-ブチロラクトン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、ヘキサメチルホスホリック=トリアミド等の非プロトン性極性溶媒類、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類、酢酸エチル、酢酸n-ブチル等のエステル類、メタノール、エタノール、t-ブチルアルコール等のアルコール類が挙げられる。
該溶媒は、1種類又は必要に応じて、2種類以上を使用してもよい。また、該溶媒は、市販されているものを用いることができる。
該溶媒の使用量は、2-イナール=アセタール化合物(6)1molに対して、好ましくは0~10000g、より好ましくは0~5000gである。
【0033】
塩基として金属アルコキシド類、有機金属試薬類、金属アミド類、水素化金属類を用いる場合における脱離反応の反応温度は、収率の観点から、好ましくは-78~70℃、より好ましくは-50~40℃、更に好ましくは-30~30℃である。
塩基としてアミン類を用いる場合における脱離反応の反応温度は、収率の観点から、好ましくは0~180℃、より好ましくは10~150℃、更に好ましくは20~130℃である。
上記の脱離反応の反応時間は、用いる溶媒又は反応スケールにより異なるが、反応性の観点から、好ましくは0.5~55時間である。
【0034】
5,5-ジアルコキシ-1-ペンテン-3-イン化合物(5)の加水分解反応は、例えば、酸又は水を用いて行うことができる。
上述の酸としては、塩酸、臭化水素酸等の無機酸類、p-トルエンスルホン酸(p-TsOH)、ベンゼンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、酢酸、蟻酸、しゅう酸、ヨードトリメチルシラン、四塩化チタン等が挙げられるが、反応性の観点から、p-トルエンスルホン酸又はしゅう酸が好ましい。
該酸は、1種類又は必要に応じて、2種類以上を使用してもよい。また、該酸は、市販されているものを用いることができる。
該酸の使用量は、反応完結の観点から、5,5-ジアルコキシ-1-ペンテン-3-イン化合物(5)1molに対して、好ましくは0.001~10.0molである。
上述の水の使用量は、反応性の観点から、5,5-ジアルコキシ-1-ペンテン-3-イン化合物(5)1molに対して、好ましくは18~3000gである。
【0035】
加水分解反応には、上述の酸又は水とともに、必要に応じて溶媒を用いてもよい。
該溶媒としては、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、クメン等の炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、ジエチル=エーテル、ジブチル=エーテル、4-メチルテトラヒドロピラン、シクロペンチルメチルエーテル、1,4-ジオキサン等のエーテル系溶媒、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、ジメチル=スルホキシド、アセトニトリル、アセトン、γ―ブチロラクトン、ジクロロメタン、クロロホルム等の極性溶媒、メタノール、エタノール等のアルコール系溶媒等が挙げられる。
該溶媒は、1種類又は必要に応じて、2種類以上を使用してもよい。また、該溶媒は、市販されているものを用いることができる。
用いる酸により最適な溶媒は異なるが、例えば、酸として、p-トルエンスルホン酸を用いる場合は、反応性の観点からテトラヒドロフランが好ましい。
該溶媒の使用量は、5,5-ジアルコキシ-1-ペンテン-3-イン化合物(5)1molに対して、反応性の観点から、好ましくは0~3000gである。
【0036】
加水分解反応には、上述の酸又は水とともに、必要に応じて、抗酸化剤を用いてもよい。
該抗酸化剤としては、ジブチルヒドロキシルトルエン(BHT)、ビタミンA,ビタミンC、ビタミンE、尿酸、グルタチオン、メラドニン等が挙げられる。
該抗酸化剤は、5,5-ジアルコキシ-1-ペンテン-3-イン化合物(5)1molに対して、収率の観点から、好ましくは0.001~1000gである。
該抗酸化剤は、1種類又は必要に応じて、2種類以上を使用してもよい。また、該抗酸化剤は、市販されているものを用いることができる。
【0037】
加水分解反応における反応温度は、用いる酸又は溶媒により異なるが、反応性の観点から、好ましくは5~180℃である。
加水分解反応における反応時間は、用いる溶媒又は反応スケールにより異なるが、反応性の観点から、好ましくは0.5~55時間である。
【0038】
<トリアリールホスホニウム=ジアルコキシアルキリド化合物(4)について>
トリアリールホスホニウム=ジアルコキシアルキリド化合物は、下記一般式(4)で表される。
ArH(CHCH(OR)(OR) (4)
トリアリールホスホニウム=ジアルコキシアルキリド化合物(4)におけるR及びRは、それぞれ独立して炭素数1~15の一価の炭化水素基又はRとRが互いに結合してR-Rとして炭素数2~10の二価の炭化水素基を表す。
及びRが一価の炭化水素基及び二価の炭化水素基である場合の具体例はそれぞれ、ジアルコキシアルカジエンイン化合物(1)におけるR及びRが一価の炭化水素基及び二価の炭化水素基である場合の具体例と同じである。
トリアリールホスホニウム=ジアルコキシアルキリド化合物(4)におけるnは0~11、好ましくは2~9の整数を表す。
トリアリールホスホニウム=ジアルコキシアルキリド化合物(4)におけるArは互いに同じであっても異なっていてもよいアリール基を表す。アリール基の炭素数は、好ましくは6~7である。
アリール基としては、例としてフェニル基(Ph基)、トリル基が挙げられるが、合成のしやすさの観点から、フェニル基が好ましく、三つのアリール基が全てフェニル基であることがより好ましい。
【0039】
トリアリールホスホニウム=ジアルコキシアルキリド化合物(4)としては、トリアリールホスホニウム=2,2-ジアルコキシエチリド化合物(n=0)、トリアリールホスホニウム=3,3-ジアルコキシプロピリド化合物(n=1)、トリアリールホスホニウム=4,4-ジアルコキシブチリド化合物(n=2)、トリアリールホスホニウム=5,5-ジアルコキシペンチリド化合物(n=3)、トリアリールホスホニウム=6,6-ジアルコキシヘキシリド化合物(n=4)、トリアリールホスホニウム=7,7-ジアルコキシヘプチリド化合物(n=5)、トリアリールホスホニウム=8,8-ジアルコキシオクチリド化合物(n=6)、トリアリールホスホニウム=9,9-ジアルコキシノニリド化合物(n=7)、トリアリールホスホニウム=10,10-ジアルコキシデリド化合物(n=8)、トリアリールホスホニウム=11,11-ジアルコキシウンデリド化合物(n=9)、トリアリールホスホニウム=12,12-ジアルコキシドデリド化合物(n=10)、トリアリールホスホニウム=13,13-ジアルコキシトリデリド化合物(n=11)が挙げられる。
トリアリールホスホニウム=2,2-ジアルコキシエチリド化合物(n=0)の具体例としては、トリフェニルホスホニウム=2,2-ジメトキシエチリド、トリフェニルホスホニウム=2,2-ジエトキシエチリド等のトリフェニルホスホニウム=2,2-ジアルコキシドエチリド化合物等が挙げられる。
トリアリールホスホニウム=3,3-ジアルコキシプロピリド化合物(n=1)の具体例としては、トリフェニルホスホニウム=3,3-ジメトキシプロピリド、3,3-トリフェニルホスホニウム=ジエトキシプロピリド等のトリフェニルホスホニウム=3,3-ジアルコキシプロピリド化合物等が挙げられる。
トリアリールホスホニウム=ジアルコキシブチリド化合物(n=2)の具体例としては、トリフェニルホスホニウム=4,4-ジメトキシブチリド、トリフェニルホスホニウム=4,4-ジエトキシブチリド、トリフェニルホスホニウム=4,4-ジプロキシブチリド、トリフェニルホスホニウム=4,4-ジブトキシブチリド等のトリフェニルホスホニウム=4,4-ジアルコキシブチリド化合物、トリトリルホスホニウム=4,4-ジメトキシブチリド、トリトリルホスホニウム=4,4-ジエトキシブチリド、トリトリルホスホニウム=4,4-ジプロキシブチリド、トリトリルホスホニウム=4,4-ジブトキシブチリド等のトリトリルホスホニウム=4,4-ジアルコキシブチリド化合物等が挙げられる。
トリアリールホスホニウム=5,5-ジアルコキシペンチリド化合物(n=3)の具体例としては、トリフェニルホスホニウム=5,5-ジメトキシペンテリド、トリフェニルホスホニウム=5,5-ジエトキシペンテリド等のトリフェニルホスホニウム=5,5-ジアルコキシペンテリド化合物が挙げられる。
トリアリールホスホニウム=6,6-ジアルコキシヘキシリド化合物(n=4)の具体例としては、トリフェニルホスホニウム=6,6-ジメトキシヘキシリド、トリフェニルホスホニウム=6,6-ジエトキシヘキシリド、トリフェニルホスホニウム=6,6-ジプロキシヘキシリド、トリフェニルホスホニウム=6,6-ジブトキシヘキシリド等のトリフェニルホスホニウム=6,6-ジアルコキシヘキシリド化合物、トリトリルホスホニウム=6,6-ジメトキシヘキシリド、トリトリルホスホニウム=6,6-ジエトキシヘキシリド、トリトリルホスホニウム=ジプロキシヘキシリド、トリトリルホスホニウム=6,6-ジブトキシヘキセリド等のトリトリルホスホニウム=6,6-ジアルコキシヘキシリド化合物等が挙げられる。
トリアリールホスホニウム=7,7-ジアルコキシヘプチリド化合物(n=5)の具体例としては、トリフェニルホスホニウム=7,7-ジメトキシヘプチリド、トリフェニルホスホニウム=7,7-ジエトキシヘプチリド等のトリフェニルホスホニウム=7,7-ジアルコキシヘプチリド化合物等が挙げられる。
トリアリールホスホニウム=8,8-ジアルコキシオクチリド化合物(n=6)の具体例としては、トリフェニルホスホニウム=8,8-ジメトキシオクチリド、トリフェニルホスホニウム=8,8-ジエトキシオクチリド等のトリフェニルホスホニウム=8,8-ジアルコキシオクチリド化合物が挙げられる。
トリアリールホスホニウム=9,9-ジアルコキシノニリド化合物(n=7)の具体例としては、トリフェニルホスホニウム=9,9-ジメトキシノニリド、トリフェニルホスホニウム=9,9-ジエトキシノニリド、トリフェニルホスホニウム=9,9-ジプロキシノニリド、トリフェニルホスホニウム=9,9-ジブトキシノニリド等のトリフェニルホスホニウム=9,9-ジアルコキシノニリド化合物、トリトリルホスホニウム=9,9-ジメトキシノニリド、トリトリルホスホニウム=9,9-ジエトキシノニリド、トリトリルホスホニウム=9,9-ジプロキシノニリド、トリトリルホスホニウム=9,9-ジブトキシノニリド等のトリトリルホスホニウム=9,9-ジアルコキシノニリド化合物等が挙げられる。
トリアリールホスホニウム=10,10-ジアルコキシデリド化合物(n=8)の具体例としては、トリフェニルホスホニウム=10,10-ジメトキシデリド、トリフェニルホスホニウム=10,10-ジエトキシデリド等のトリフェニルホスホニウム=10,10-ジアルコキシデリド化合物等が挙げられる。
トリアリールホスホニウム=11,11-ジアルコキシウンデリド化合物(n=9)の具体例としては、トリフェニルホスホニウム=11,11-ジメトキシウンデリド、トリフェニルホスホニウム=11,11-ジエトキシウンデリド等のトリフェニルホスホニウム=11,11-ジアルコキシウンデリド化合物等が挙げられる。
トリアリールホスホニウム=12,12-ジアルコキシドデリド化合物(n=10)の具体例としては、トリフェニルホスホニウム=12,12-ジメトキシドデリド、トリフェニルホスホニウム=12,12-ジエトキシドデリド等のトリフェニルホスホニウム=12,12-ジアルコキシドデリド化合物等が挙げられる。
トリアリールホスホニウム=13,13-ジアルコキシトリデリド化合物(n=11)の具体例としては、トリフェニルホスホニウム=13,13-ジメトキシトリデリド、トリフェニルホスホニウム=13,13-ジエトキシトリデリド等のトリフェニルホスホニウム=13,13-ジアルコキシトリデリド化合物等が挙げられる。
【0040】
トリアリールホスホニウム=ジアルコキシアルキリド化合物(4)は、1種類又は必要に応じて、2種以上を用いてもよい。また、トリアリールホスホニウム=ジアルコキシアルキリド化合物(4)は、市販されているものであっても良く、また独自に合成したものであってもよい。
【0041】
例えば、トリアリールホスホニウム=9,9-ジアルコキシノニリド化合物(4:n=7)は、下記の化学反応式に示される通り、下記一般式(7)で表される9-ハロ-1,1-ジアルコキシノナン化合物と、下記一般式(8)で表されるリン化合物とを反応させることにより、下記一般式(9)で表される9,9-ジアルコキシノニルトリアリールホスホニウム=ハライド化合物を得る工程と、この9,9-ジアルコキシノニルトリアリールホスホニウム=ハライド化合物(9)を、塩基の存在下で脱プロトン化に付すことにより、トリアリールホスホニウム=9,9-ジアルコキシノニリド化合物(4:n=7)を得る工程により調製することができる。
【0042】
【化5】
【0043】
9-ハロ-1,1-ジアルコキシノナン化合物(7)におけるR及びRは、それぞれ独立して炭素数1~15の一価の炭化水素基又はRとRが互いに結合してR-Rとして炭素数2~10の二価の炭化水素基を表す。
及びRが一価の炭化水素基及び二価の炭化水素基である場合の具体例は、ジアルコキシアルカジエンイン化合物(1)におけるR及びRが一価の炭化水素基及び二価の炭化水素基である場合の具体例と同じである。
9-ハロ-1,1-ジアルコキシノナン化合物(7)におけるXはハロゲン原子を表し、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子等が挙げられるが、汎用性の観点から、塩素原子及び臭素原子が好ましい。
9-ハロ-1,1-ジアルコキシノナン化合物(7)の具体例としては、9-クロロ-1,1-ジメトキシノナン、9-クロロ-1,1-ジエトキシノナン、9-クロロ-1,1-ジプロポキシノナン、9-クロロ-1,1-ジブトキシノナン、9-クロロ-1,1-ジペントキシノナン、9-クロロ-1,1-ジヘキソキシノナン、9-クロロ-1,1-ジヘプトキシノナン、9-クロロ-1,1-ジオクトキシノナン等の9-クロロ-1,1-ジアルコキシノナン化合物、9-ブロモ-1,1-ジメトキシノナン、9-ブロモ-1,1-ジエトキシノナン、9-ブロモ-1,1-ジプロポキシノナン、9-ブロモ-1,1-ジブトキシノナン、9-ブロモ-1,1-ジペントキシノナン、9-ブロモ-1,1-ジヘキソキシノナン、9-ブロモ-1,1-ジヘプトキシノナン、9-ブロモ-1,1-ジオクトキシノナン等の9-ブロモ-1,1-ジアルコキシノナン化合物、9-ヨード-1,1-ジメトキシノナン、9-ヨード-1,1-ジエトキシノナン、9-ヨード-1,1-ジプロポキシノナン、9-ヨード-1,1-ジブトキシノナン、9-ヨード-1,1-ジペントキシノナン、9-ヨード-1,1-ジヘキソキシノナン、9-ヨード-1,1-ジヘプトキシノナン、9-ヨード-1,1-ジオクトキシノナン等の9-ヨード-1,1-ジアルコキシノナン化合物等が挙げられる。
【0044】
リン化合物(8)におけるArは互いに同じであっても異なっていてもよいアリール基を表す。アリール基の炭素数は、好ましくは6~7である。
アリール基としては、例としてフェニル基、トリル基が挙げられるが、合成のしやすさの観点から、フェニル基が好ましく、三つのアリール基が全てフェニル基であることがより好ましい。
リン化合物(8)としては、トリフェニルホスフィン、トリトリルホスフィン等のトリアリールホスフィン化合物が挙げられ、反応性の観点から、トリフェニルホスフィンが好ましい。
リン化合物(8)の使用量は、反応性の観点から、9-ハロ-1,1-ジアルコキシノナン化合物(7)1molに対して、好ましくは0.8~5.0molである。
【0045】
9,9-ジアルコキシノニルトリアリールホスホニウム=ハライド化合物(9)の調製には、必要に応じて、ハロゲン化物を用いてもよい。
該ハロゲン化物としては、例えば、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム等が挙げられ、反応性の観点から、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム等のヨウ化物が好ましい。
該ハロゲン化物は、1種類又は必要に応じて、2種類以上を使用してもよい。また、該ハロゲン化物は、市販されているものを用いることができる。
該ハロゲン化物の使用量は、反応性の観点から、9-ハロ-1,1-ジアルコキシノナン化合物(7)1molに対して、好ましくは0.1~5.0molである。
【0046】
9,9-ジアルコキシノニルトリアリールホスホニウム=ハライド化合物(9)の調製には、必要に応じて、塩基を加えてもよい。
該塩基としては、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等のアルカリ金属炭酸塩、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等のアルカリ土類金属炭酸塩等、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリブチルアミン、N,N-ジエチルアニリン、ピリジン等のアミン等が挙げられ、取扱いの観点から、アルカリ金属炭酸塩が好ましい。
該塩基は、1種類又は必要に応じて、2種類以上を使用してもよい。また、該塩基は、市販されているものを用いることができる。
該塩基の使用量は、反応性の観点から、9-ハロ-1,1-ジアルコキシノナン化合物(7)1molに対して、好ましくは0.001~1.0molである。
【0047】
9,9-ジアルコキシノニルトリアリールホスホニウム=ハライド化合物(9)調製時の反応温度は、用いる溶媒により至適温度は異なるが、好ましくは60~180℃である。
9,9-ジアルコキシノニルトリアリールホスホニウム=ハライド化合物(9)調製時の反応時間は、用いる溶媒又は反応スケールにより異なるが、好ましくは3~55時間である。
【0048】
9,9-ジアルコキシノニルトリアリールホスホニウム=ハライド化合物(9)におけるR及びRは、それぞれ独立して炭素数1~15の一価の炭化水素基又RとRが互いに結合してR-Rとして炭素数2~10の二価の炭化水素基を表す。
及びRが一価の炭化水素基及び二価の炭化水素基である場合の具体例はそれぞれ、ジアルコキシアルカジエンイン化合物(1)におけるR及びRが一価の炭化水素基及び二価の炭化水素基である場合の具体例と同じである。
9,9-ジアルコキシノニルトリアリールホスホニウム=ハライド化合物(9)におけるYは、ハロゲン原子を表し、例として塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
9,9-ジアルコキシノニルトリアリールホスホニウム=ハライド化合物(9)調製時に、ハロゲン化物を用いないときにはYはXと同じハロゲン原子であり、ハロゲン化物としてヨウ化物を用いるときにはYはXと同じハロゲン原子又はヨウ素原子である。
9,9-ジアルコキシノニルトリアリールホスホニウム=ハライド化合物(9)におけるArはアリール基を表す。Arは、リン化合物(8)において定義した通りである。
9,9-ジアルコキシノニルトリアリールホスホニウム=ハライド化合物(9)の具体例としては、9,9-ジメトキシノニルトリフェニルホスホニウム=クロリド、9,9-ジエトキシノニルトリフェニルホスホニウム=クロリド、9,9-ジプロポキシノニルトリフェニルホスホニウム=クロリド、9,9-ジブトキシノニルトリフェニルホスホニウム=クロリド等の9,9-ジアルコキシノニルトリフェニルホスホニウム=クロリド化合物、9,9-ジメトキシノニルトリフェニルホスホニウム=ブロミド、9,9-ジエトキシノニルトリフェニルホスホニウム=ブロミド、9,9-ジプロポキシノニルトリフェニルホスホニウム=ブロミド、9,9-ジブトキシノニルトリフェニルホスホニウム=ブロミド等の9,9-ジアルコキシノニルトリフェニルホスホニウム=ブロミド化合物、9,9-ジメトキシノニルトリフェニルホスホニウム=ヨージド、9,9-ジエトキシノニルトリフェニルホスホニウム=ヨージド、9,9-ジプロポキシノニルトリフェニルホスホニウム=ヨージド、9,9-ジブトキシノニルトリフェニルホスホニウム=ヨージド等の9,9-ジアルコキシノニルトリフェニルホスホニウム=ヨージド化合物、9,9-ジメトキシノニルトリトリルホスホニウム=クロリド、9,9-ジエトキシノニルトリトリルホスホニウム=クロリド、9,9-ジプロポキシノニルトリトリルホスホニウム=クロリド、9,9-ジブトキシノニルトリトリルホスホニウム=クロリド等の9,9-ジアルコキシノニルトリトリルホスホニウム=クロリド化合物、9,9-ジメトキシノニルトリトリルホスホニウム=ブロミド、9,9-ジエトキシノニルトリトリルホスホニウム=ブロミド、9,9-ジプロポキシノニルトリフトリルホスホニウム=ブロミド、9,9-ジブトキシノニルトリトリルホスホニウム=ブロミド等の9,9-ジアルコキシノニルトリトリルホスホニウム=ブロミド化合物、9,9-ジメトキシノニルトリトリルホスホニウム=ヨージド、9,9-ジエトキシノニルトリトリルホスホニウム=ヨージド、9,9-ジプロポキシノニルトリトリルホスホニウム=ヨージド、9,9-ジブトキシノニルトリトリルホスホニウム=ヨージド等の9,9-ジアルコキシノニルトリトリルホスホニウム=ヨージド化合物等が挙げられる。
【0049】
トリアリールホスホニウム=9,9-ジアルコキシノニリド化合物(4:n=7)は、調製した9,9-ジアルコキシノニルトリアリールホスホニウム=ハライド化合物(9)を塩基の存在下で脱プロトン化することにより得られる。
トリアリールホスホニウム=9,9-ジアルコキシノニリド化合物(4:n=7)は、9,9-ジアルコキシノニルトリアリールホスホニウム=ハライド(9)調製時と同じ反応系中で塩基を加えてトリアリールホスホニウム=9,9-ジアルコキシアルキリド化合物(4:n=7)に直接導いてもよいし、単離精製してから塩基と反応させてトリアリールホスホニウム=9,9-ジアルコキシノニリド化合物(4:n=7)に導いてもよい。
トリアリールホスホニウム=9,9-ジアルコキシノニリド化合物(4:n=7)調製時に用いる塩基としては、例えば、n-ブチルリチウム、tert-ブチルリチウム等のアルキルリチウム、カリウム=tert-ブトキシド、ナトリウム=tert-ブトキシド、カリウム=メトキシド、ナトリウム=メトキシド、カリウム=エトキシド、ナトリウム=エトキシド等の金属アルコキシド、リチウム=ジイソプロピルアミド、ナトリウム=ビス(トリメチルシリル)アミド等の金属アミド等が挙げられ、反応性の観点から、金属アルコキシドが好ましく、カリウム=tert-ブトキシド、ナトリウム=メトキシド、ナトリウム=エトキシドがより好ましい。
該塩基の使用量は、反応性の観点から、9-ハロ-1,1-ジアルコキシノナン化合物(7)1molに対して、好ましくは0.7~5.0molである。
【0050】
トリアリールホスホニウム=9,9-ジアルコキシノニリド化合物(4:n=7)調製時の反応温度は、用いる溶媒又は塩基により至適温度は異なるが、好ましくは-78~25℃である。
トリアリールホスホニウム=9,9-ジアルコキシノニリド化合物(4:n=7)調製時の反応時間は、用いる溶媒又は反応スケールにより異なるが、好ましくは0.5~50時間である。
【0051】
9,9-ジアルコキシノニルトリアリールホスホニウム=ハライド化合物(9)及びトリアリールホスホニウム=9,9-ジアルコキシノニリド化合物(4:n=7)の調製時には、必要に応じて、溶媒を用いてもよい。
該溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジエチル=エーテル、ジブチル=エーテル、4-メチルテトラヒドロピラン、シクロペンチルメチルエーテル、1,4-ジオキサン等のエーテル系溶媒、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン等の炭化水素系溶媒、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、ジメチル=スルホキシド、γ-ブチロラクトン、アセトニトリル、ジクロロメタン、クロロホルム等の極性溶媒等が挙げられ、反応性の観点から、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒及びアセトニトリル、N,N-ジメチルアセトアミド等の極性溶媒が好ましい。
該溶媒は、1種類又は必要に応じて、2種類以上を使用してもよい。また、該溶媒は、市販されているものを用いることができる。
該溶媒の使用量は、反応性の観点から、9-ハロ-1,1-ジアルコキシノナン化合物(7)又は9,9-ジアルコキシノニルトリアリールホスホニウム=ハライド化合物(9)1molに対して、好ましくは50~5000gである。
【0052】
<ウィッティヒ反応について>
トリアリールホスホニウム=ジアルコキシアルキリド化合物(4)の使用量は、反応性の観点から、4-ペンテン-2-イナール(3)1molに対して、好ましくは1.0~4.0mol、より好ましくは1.0~2.0molである。
ウィッティヒ反応には、必要に応じて、溶媒を用いてもよい。
該溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジエチル=エーテル、ジブチル=エーテル、4-メチルテトラヒドロピラン、シクロペンチルメチルエーテル、1,4-ジオキサン等のエーテル系溶媒、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン等の炭化水素系溶媒、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、ジメチル=スルホキシド、γ-ブチロラクトン、アセトニトリル、ジクロロメタン、クロロホルム等の極性溶媒等が挙げられ、反応性の観点から、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒及びアセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド等の極性溶媒が好ましい。
該溶媒は、1種類又は必要に応じて、2種類以上を使用してもよい。また、該溶媒は、市販されているものを用いることができる。
該溶媒の使用量は、反応性の観点から、4-ペンテン-2-イナール(3)1molに対して、好ましくは50~5000gである。
【0053】
ウィッティヒ反応における反応温度は、用いる溶媒により最適温度は異なるが、好ましくは-78~40℃である。ウィッティヒ反応をZ選択的に行う場合は、-78~10℃で反応させることが好ましく、ウィッティヒ反応をE選択的に行う場合は、-78~-40℃で反応させた後、生じる中間体をフェニルリチウム等の強塩基で処理することによるシュロッサー(Schlosser)変法等の条件下で反応させることが好ましい。
ウィッティヒ反応における反応時間は、反応スケールにより異なるが、好ましくは0~50時間である。
【0054】
<アセタール交換反応によるによるジアルコキシアルカジエンイン化合物(1-1)の製造>
下記一般式(1-1)で表されるジアルコキシアルカジエンイン化合物は、下記の化学反応式に示される通り、上述のジアルコキシアルカジエンイン化合物(1)のアセタール交換反応により、ジアルコキシアルカジエンイン化合物(1-1)を得る工程により製造することができる。
【0055】
【化6】
【0056】
アセタール交換反応は、例えば、酸及びアルコール類を用いて行うことができる。
該酸としては、塩酸、臭化水素酸等の無機酸類、p-トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、酢酸、蟻酸、しゅう酸、ヨードトリメチルシラン、四塩化チタン等が挙げられるが、反応性の観点から、p-トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸が好ましい。
該酸は、1種類又は必要に応じて、2種類以上を使用してもよい。また、該酸は、市販されているものを用いることができる。
該酸の使用量は、ジアルコキシアルカジエンイン化合物(1)1molに対して、好ましくは0.001~10.0molである。
該アルコール類は、下記一般式(10)で表される。
-OH (10)
は、炭素数1~15、好ましくは炭素数1~5の一価の炭化水素基を表す。
炭素数1~15の一価の炭化水素基の具体例は、ジアルコキシアルカジエンイン化合物(1)におけるR及びRが一価の炭化水素基である場合の具体例と同じである。
該アルコール類の具体例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、1-ブタノール等の直鎖上飽和アルコール、イソプロパノール、2-メチルプロパノール、2-メチルブタノール等の分岐状の飽和アルコール、2-プロペノール等の直鎖状不飽和アルコール、2-メチル-2-プロペノール等の分岐状不飽和アルコール、シクロヘキサノール等の環状飽和アルコール等が挙げられ、これらと異性体の関係にあるアルコールでもよい。また、これらの炭化水素基の水素原子中の一部がメチル基、エチル基等で置換されていてもよい。
該アルコール類は、1種類又は必要に応じて、2種類以上を使用してもよい。また、該アルコール類は、市販されているものを用いることができる。
該アルコール類の使用量は、ジアルコキシアルカジエンイン化合物(1)1molに対して、好ましくは2.0~500molである。
【0057】
アセタール交換反応における反応温度は、反応性の観点から、好ましくは0~180℃、より好ましくは30~80℃である。
アセタール交換反応における反応時間は、用いる溶媒又は反応スケールにより異なるが、反応性の観点から、好ましくは1~55時間である。
【0058】
アセタール交換反応後のジアルコキシアルカジエンイン化合物(1-1)におけるR’及びR’は、それぞれ独立して炭素数1~15の一価の炭化水素基又はR’とR’が互いに結合してR’-R’として炭素数2~10の二価の炭化水素基を表し、nは0~11の整数を表す。ジアルコキシアルカジエンイン化合物(1-1)の特定の基R’は、アセタール交換反応前のジアルコキシアルカジエンイン化合物(1)の特定の基Rと同じであってもよく又はアセタール交換反応後の基Rであってもよく、且つジアルコキシアルカジエンイン化合物(1-1)の特定の基R’は、アセタール交換反応前のジアルコキシアルカジエンイン化合物(1)の特定の基Rと同じであってもよく又はアセタール交換反応後の基Rであってもよい。但し、特定の基R’及び特定の基R’の両方が同時にアセタール交換反応前の特定の基R及び特定の基Rと同じ場合を除く。すなわち、アセタール交換反応が行われる場合、その交換後の特定の基R’及び特定の基R’の組み合わせとして(特定の基R≠特定の基R’(すなわち、R’はRである)且つ特定の基R≠特定の基R’(すなわち、R’はRである))、(特定の基R≠特定の基R’(すなわち、R’はRである)且つ特定の基R=特定の基R’)、又は(特定の基R=特定の基R且つ特定の基R≠特定の基R’(すなわち、R’はRである))のいずれかである(“=”は、特定の基が互いに同じであることを表し、“≠”は、特定の基が互いに異なることを表す)。ジアルコキシアルカジエンイン化合物(1-1)の特定の数nは、アセタール交換反応前のジアルコキシアルカジエンイン化合物(1)の特定の数nと同じである。
【0059】
<アセタール化によるによるジアルコキシアルカジエンイン化合物(1-2)の製造>
下記一般式(1-2)で表されるジアルコキシアルカジエンイン化合物は、下記の化学反応式に示される通り、下記一般式(2)で表されるジエンイナール化合物(2)のアセタール化反応により、ジアルコキシアルカジエンイン化合物(1-2)を得る工程により製造することができる。
【0060】
【化7】
【0061】
アセタール化反応は、例えば、酸及びアルコール類を用いて行うことができる。
該酸としては、塩酸、臭化水素酸等の無機酸類、p-トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、酢酸、蟻酸、しゅう酸、ヨードトリメチルシラン、四塩化チタン等が挙げられるが、反応性の観点から、p-トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸が好ましい。
該酸は、1種類又は必要に応じて、2種類以上を使用してもよい。また、該酸は、市販されているものを用いることができる。
該酸の使用量は、ジエンイナール化合物(2)1molに対して、好ましくは0.0001~10.0molである。
該アルコール類は、上記の<アセタール交換反応によるによるジアルコキシアルカジエンイン化合物(1-1)の製造>において定義されたアルコール類と同じであり、上述の一般式(10)で表される。
該アルコール類の具体例はまた、上記の<アセタール交換反応によるによるジアルコキシアルカジエンイン化合物(1-1)の製造>において定義されたアルコール類の具体例と同じである。
該アルコール類は、1種類又は必要に応じて、2種類以上を使用してもよい。また、該アルコール類は、市販されているものを用いることができる。
該アルコール類の使用量は、ジエンイナール化合物(2)1molに対して、好ましくは2.0~500molである。
アセタール化反応において、必要に応じて、生成する水を除去するためにオルトギ酸エステル化合物を用いてもよい。
該オルトギ酸エステル化合物としては、オルトギ酸メチル、オルトギ酸エチル、オルトギ酸プロピル、オルトギ酸ブチル、オルトギ酸ペンチル等が挙げられる。
該オルトギ酸エステル化合物は、1種類又は必要に応じて、2種類以上を使用してもよい。また、オルトギ酸エステル化合物は、市販されているものを用いることができる。
【0062】
アセタール化反応における反応温度は、反応性の観点から、好ましくは-20~180℃、より好ましくは0~80℃である。
アセタール化反応における反応時間は、用いる溶媒又は反応スケールにより異なるが、反応性の観点から、好ましくは1~55時間である。
【0063】
次に、上述のジエンイナール化合物(2)は、下記の化学反応式に示される通り、上述のジアルコキシアルカジエンイン化合物(1)の加水分解反応により、ジエンイナール化合物(2)を得る工程により製造することができる。
【0064】
【化8】
【0065】
上記加水分解反応において、ジアルコキシアルカジエンイン化合物(1)は、1種類又は必要に応じて、2種類以上を使用してもよい。
例えば、14,14-ジアルコキシ-(5Z)-1,5-テトラデカジエン-3-イン化合物と14,14-ジアルコキシ-(5E)-1,5-テトラデカジエン-3-イン化合物との混合物を用いることにより、(9Z)-9,13-テトラデカジエン-11-イナールと(9E)-9,13-テトラデカジエン-11-イナールとの混合物を得ることができる。
加水分解反応は、例えば、酸又は水を用いて行うことができる。
上述の酸としては、塩酸、臭化水素酸等の無機酸類、p-トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、酢酸、蟻酸、しゅう酸、ヨードトリメチルシラン、四塩化チタン等が挙げられるが、反応性の観点から、酢酸、ギ酸又はしゅう酸が好ましい。
該酸は、1種類又は必要に応じて、2種類以上を使用してもよい。また、該酸は、市販されているものを用いることができる。
該酸の使用量は、ジアルコキシアルカジエンイン化合物(1)1molに対して、好ましくは0.01~10.0molである。
上述の水の使用量は、ジアルコキシアルカジエンイン化合物(1)1molに対して、反応性の観点から、好ましくは18~3000gである。
【0066】
加水分解反応には、上述の酸又は水とともに、必要に応じて溶媒を更に用いてもよい。
該溶媒としては、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、クメン等の炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、ジエチル=エーテルジブチル=エーテル、4-メチルテトラヒドロピラン、シクロペンチルメチルエーテル、1,4-ジオキサン等のエーテル系溶媒、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、ジメチル=スルホキシド、アセトニトリル、アセトン、γ―ブチロラクトン、ジクロロメタン、クロロホルム等の極性溶媒、メタノール、エタノール等のアルコール系溶媒等が挙げられる。
該溶媒は、1種類又は必要に応じて、2種類以上を使用してもよい。また、該溶媒は、市販されているものを用いることができる。
用いる酸により最適な溶媒は異なるが、例えば、酸として、しゅう酸を用いる場合は、反応性の観点から、テトラヒドロフラン、アセトン、γ―ブチロラクトンが好ましい。
該溶媒の使用量は、ジアルコキシアルカジエンイン化合物(1)1molに対して、反応性の観点から、好ましくは0~3000gである。
【0067】
加水分解反応における反応温度は、用いる酸又は溶媒により異なるが、反応性の観点から、好ましくは5~180℃である。
加水分解反応における反応時間は、用いる酸、溶媒又は反応スケールにより異なるが、反応性の観点から、好ましくは1~55時間である。
【0068】
ジエンイナール化合物(2)におけるnは、0~11、好ましくは2~9の整数を表す。
ジエンイナール化合物(2)としては、下記一般式(2-Z)で表される(Z)-ジエンイナール化合物、下記一般式(2-E)で表される(E)-ジエンイナール化合物及びこれらの混合物が挙げられる。
【0069】
【化9】
【0070】
ジエンイナール化合物(2)としては、2,6-ヘプタジエン-4-イナール(n=0)、3,7-オクタジエン-5-イナール(n=1)、4,8-ノナジエン-6-イナール(n=2)、5,9-デカジエン-7-イナール(n=3)、6,10-ウンデカジエン-8-イナール(n=4)、7,11-ドデカジエン-9-イナール(n=5)、8,12-デカジエン-10-イナール(n=6)、9,13-テトラデカジエン-11-イナール(n=7)、10,14-ペンタデカジエン-12-イナール(n=8)、11,15-ヘキサデカジエン-13-イナール(n=9)、12,16-ヘキサデカジエン-14-イナール(n=10)、13,17-ヘキサデカジエン-15-イナール(n=11)が挙げられる。
2,6-ヘプタジエン-4-イナール(n=0)の具体例としては、(2Z)-2,6-ヘプタジエン-4-イナール、(2E)-2,6-ヘプタジエン-4-イナール等が挙げられる。
3,7-オクタジエン-5-イナール(n=1)の具体例としては、(3Z)-3,7-オクタジエン-5-イナール、(3E)-3,7-オクタジエン-5-イナール等が挙げられる。
4,8-ノナジエン-6-イナール(n=2)の具体例としては、(4Z)-4,8-ノナジエン-6-イナール、(4E)-4,8-ノナジエン-6-イナールが挙げられる。
5,9-デカジエン-7-イナール(n=3)の具体例としては、(5Z)-5,9-デカジエン-7-イナール、(5E)-5,9-デカジエン-7-イナールが挙げられる。
6,10-ウンデカジエン-8-イナール(n=4)の具体例としては、(6Z)-6,10-ウンデカジエン-8-イナール、(6E)-6,10-ウンデカジエン-8-イナールが挙げられる。
7,11-ドデカジエン-9-イナール(n=5)の具体例としては、(7Z)-7,11-ドデカジエン-9-イナール、(7E)-7,11-ドデカジエン-9-イナールが挙げられる。
8,12-デカジエン-10-イナール(n=6)の具体例としては、(8Z)-8,12-トリデカジエン-10-イナール、(8E)-8,12-デカジエン-10-イナールが挙げられる。
9,13-テトラデカジエン-11-イナール(n=7)の具体例としては、(9Z)-9,13-テトラデカジエン-11-イナール、(9E)-9,13-テトラデカジエン-11-イナールが挙げられる。
10,14-ペンタデカジエン-12-イナール(n=8)の具体例としては、(10Z)-10,14-ペンタデカジエン-12-イナール、(10E)-10,14-ペンタデカジエン-12-イナールが挙げられる。
11,15-ヘキサデカジエン-13-イナール(n=9)の具体例としては、(11Z)-11,15-ヘキサデカジエン-13-イナール、(11E)-11,15-ヘキサデカジエン-13-イナールが挙げられる。
12,16-ヘキサデカジエン-14-イナール(n=10)の具体例としては、(12Z)-12,16-ヘキサデカジエン-14-イナール、(12E)-12,16-ヘキサデカジエン-14-イナールが挙げられる。
13,17-ヘキサデカジエン-15-イナール(n=11)の具体例としては、(13Z)-13,17-ヘキサデカジエン-15-イナール、(13E)-13,17-ヘキサデカジエン-15-イナールが挙げられる。
【実施例
【0071】
以下、実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
なお、以下において、「純度」は、特に明記しない限り、ガスクロマトグラフィー(GC)分析によって得られた面積百分率を示し、「生成比」はGC分析によって得られた面積百分率の相対比を示す。また「収率」はGC分析によって得られた面積百分率を基に算出した収率を示す。
各実施例において、反応のモニタリング及び収率の算出は、次のGC条件に従って行った。
GC条件:GC:島津製作所 キャピラリガスクロマトグラフ GC-2014,カラム:DB-5,0.25mmx0.25mmφx30m,キャリアーガス:He(1.55mL/分)、検出器:FID,カラム温度:150℃ 5℃/分昇温 230℃。
収率は、原料及び生成物の純度(%GC)を考慮して、以下の式に従い計算した。
収率(%)={[(反応によって得られた生成物の重量×%GC)/生成物の分子量]
÷[(反応における出発原料の重量×%GC)/出発原料の分子量]}×100
【0072】
実施例1
<5,5-ジエトキシ-1-ペンテン-3-イン(5:R=Et,R=Et)の製造>
【0073】
【化10】
【0074】
室温で、反応器にカリウム=t-ブトキシド(tBuOK)(402.39g、3.59mol)、テトラヒドロフラン(THF)(1856.64g)を加えて、10~15℃で28分間撹拌した。次に、該反応器に1,1-ジエトキシ-5-(メトキシメトキシ)-2-ペンチン(6:R=Et,R=Et;Z=CHOCHO)(704.18g、3.26mol、純度100%)を10~15℃にて滴下し、滴下終了後、10~20℃にて5.5時間撹拌した。次に、反応液に水(1953.60g)を加えて分液し、そして水層を除去して、有機層を得た。そして、有機層を減圧下濃縮し、残留物を減圧蒸留(51.3~57.9℃/3.0mmHg)することにより、5,5-ジエトキシ-1-ペンテン-3-イン(5:R=Et,R=Et)(436.26g、2.78mol、純度98.41%)が収率85.52%で得られた。
【0075】
上記で得られた5,5-ジエトキシ-1-ペンテン-3-イン(5:R=Et,R=Et)のスペクトルデータを以下に示す。
〔核磁気共鳴スペクトル〕H-NMR(500MHz,CDCl):δ1.22(6H,t,7.1Hz),3.58(2H,dq,J=6.9Hz,7.8Hz),3.73(2H,dq,J=6.9Hz,7.9Hz),5.36(1H,d,J=1.6Hz),5.52(1H,dd,J=11.0Hz,2.3Hz),5.69(1H,dd,J=17.6Hz,2.3Hz),5.81(1H,ddd,J=17.8Hz,10.9Hz,1.5Hz);13C-NMR(125MHz,CDCl):δ15.01,60.81,83.76,84.89,91.57,116.04,128.48
〔マススペクトル〕EI-マススペクトル(70eV):m/z 153(M-1),125,109,81,63,53
〔赤外吸収スペクトル〕(NaCl):νmax 2977,2886,1355,1328,1162,1091,1054,1012
【0076】
実施例2
<5,5-ジエトキシ-1-ペンテン-3-イン(5:R=Et,R=Et)の製造>
【0077】
【化11】
【0078】
室温で、反応器にカリウム=t-ブトキシド(17.08g、0.15mol)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)(78.92g)を加えて、10~15℃で40分撹拌した。次に、該反応器に1,1-ジエトキシ-5-(メトキシメトキシ)-2-ペンチン(6:R=Et,R=Et;Z=CHOCHO)(30.00g、0.14mol、純度99.80%)を10~15℃にて滴下し、滴下終了後、10~20℃にて3時間撹拌した。次に、反応液に水(83.04g)を加えて分液し、そして水層を除去して、有機層を得た。そして、有機層を減圧下濃縮し、残留物を減圧蒸留(51.3~57.9℃/3.0mmHg)することにより、5,5-ジエトキシ-1-ペンテン-3-イン(5:R=Et,R=Et)(15.42g、0.072mol、純度70.41%)が収率50.87%で得られた。
【0079】
上記で得られた5,5-ジエトキシ-1-ペンテン-3-イン(5:R=Et,R=Et)のスペクトルデータは、上記実施例1で得られたスペクトルデータと同じであった。
【0080】
実施例3
<5,5-ジエトキシ-1-ペンテン-3-イン(5:R=Et,R=Et)の製造>
【0081】
【化12】
【0082】
室温で、反応器にナトリウムアセチリド(7.31g、0.15mol)、N,N-ジメチルホルムアミド(78.92g)を加えて、10~15℃で40分撹拌した。次に、該反応器に1,1-ジエトキシ-5-(メトキシメトキシ)-2-ペンチン(6:R=Et,R=Et;Z=CHOCHO)(30.00g、0.14mol、純度99.80%)を10~15℃にて滴下し、滴下終了後、10~20℃にて3時間撹拌し、さらに60℃で2.5時間撹拌した。次に、反応液に水(83.04g)を加えて分液し、そして水層を除去して、有機層を得た。そして、有機層を減圧下濃縮し、残留物を減圧蒸留(51.3~57.9℃/3.0mmHg)することにより、5,5-ジエトキシ-1-ペンテン-3-イン(5:R=Et,R=Et)(36.21g、0.026mol、純度10.89%)が収率18.48%で得られた。
【0083】
上記で得られた5,5-ジエトキシ-1-ペンテン-3-イン(5:R=Et,R=Et)のスペクトルデータは、実施例1で得られたスペクトルデータと同じであった。
【0084】
実施例4
<5,5-ジメトキシ-1-ペンテン-3-イン(5:R=Me,R=Me)の製造>
【0085】
【化13】
【0086】
室温で、反応器にカリウム=t-ブトキシド(23.19g、0.21mol)、テトラヒドロフラン(107.14g)を加えて、10~15℃で25分間撹拌した。次に、該反応器に1,1-ジメトキシ-5-アセチルオキシ-2-ペンチン(6:R=Me,R=Me;Z=CHC(=O)-O)(34.99g、0.19mol)を10~15℃にて滴下し、滴下終了後、10~20℃にて1時間撹拌した。次に、反応液に水(112.74g)を加えて分液し、そして水層を除去して、有機層を得た。そして、有機層を減圧下濃縮し、残留物を減圧蒸留(69.2~71.1℃/25.0mmHg)することにより、5,5-ジメトキシ-1-ペンテン-3-イン(5:R=Me,R=Me)(20.73g、0.16mol)が収率87.44%で得られた。
【0087】
上記で得られた5,5-ジメトキシ-1-ペンテン-3-イン(5:R=Me,R=Me)のスペクトルデータのスペクトルデータを以下に示す。
〔核磁気共鳴スペクトル〕H-NMR(500MHz,CDCl):δ3.37(6H,s),5.24(1H,d,J=1.1Hz),5.55(1H,dd,J=2.3Hz,11.1Hz),5.71(1H,dd,J=2.3Hz,17.7Hz),5.82(1H,ddd,J=1.2Hz,10.9Hz,17.9Hz);13C-NMR(125MHz,CDCl):δ52.42,83.96,84.30,93.30,115.82,128.75
〔マススペクトル〕EI-マススペクトル(70eV):m/z 125(M-1),111,95,80,65,52
〔赤外吸収スペクトル〕(NaCl):νmax 2938,2905,2831,2230,1603,1358,1343,1192,1162,1099,1056,963,901
【0088】
実施例5
<5,5-ジメトキシ-1-ペンテン-3-イン(5:R=Me,R=Me)の製造>
【0089】
【化14】
【0090】
室温で、反応器にカリウム=t-ブトキシド(23.61g、0.21mol)、テトラヒドロフラン(109.08g)を加えて、10~15℃で17分間撹拌した。次に、該反応器に1,1-ジメトキシ-5-トリメチルシリルオキシ-2-ペンチン(6:R=Me,R=Me;Z=(CHSiO)(41.39g、0.19mol)を10~15℃にて滴下し、滴下終了後、10~20℃にて1.5時間撹拌した。次に、反応液に水(114.78g)を加えて分液し、そして水層を除去して、有機層を得た。そして、有機層を減圧下濃縮し、残留物を減圧蒸留(69.2~71.1℃/25.0mmHg)することにより、5,5-ジメトキシ-1-ペンテン-3-イン(5:R=Me,R=Me)(13.02g、0.10mol)が収率53.93%で得られた。
【0091】
上記で得られた5,5-ジメトキシ-1-ペンテン-3-イン(5:R=Me,R=Me)のスペクトルデータは、実施例4で得られたスペクトルデータと同じであった。
【0092】
実施例6
<5,5-ジメトキシ-1-ペンテン-3-イン(5:R=Me,R=Me)の製造>
【0093】
【化15】
【0094】
室温で、反応器にカリウム=t-ブトキシド(23.96g、0.21mol)、テトラヒドロフラン(110.68g)を加えて、10~15℃で21分間撹拌した。次に、該反応器に1,1-ジメトキシ-5-メタンスルホニルオキシ-2-ペンチン(6:R=Me,R=Me;Z=OMs(すなわち、OSOCH))(43.14g、0.19mol)を10~15℃にて滴下し、滴下終了後、10~20℃にて1.5時間撹拌した。次に、反応液に水(116.46g)を加えて分液し、そして水層を除去して、有機層を得た。そして、有機層を減圧下濃縮し、残留物を減圧蒸留(69.2~71.1℃/25.0mmHg)することにより、5,5-ジメトキシ-1-ペンテン-3-イン(5:R=Me,R=Me)(14.22g、0.11mol)が収率58.05%で得られた。
【0095】
上記で得られた5,5-ジメトキシ-1-ペンテン-3-イン(5:R=Me,R=Me)のスペクトルデータは、実施例4で得られたスペクトルデータと同じであった。
【0096】
実施例7
<4-ペンテン-2-イナール(3)の製造>
【0097】
【化16】
【0098】
室温で、反応器に、上記実施例1とは別途に調製し、精製した5,5-ジエトキシ-1-ペンテン-3-イン(5:R=Et,R=Et)(46.26g、0.30mol)、ビタミンE(0.20g)、ジブチルヒドロキシルトルエン(BHT)(0.20g)、テトラヒドロフラン(150.00g)、水(150.00g)を加えて、20~30℃で5分間撹拌した。次に、該反応器に、p-トルエンスルホン酸・一水和物(p-TsOH・HO)(2.91g、0.015mol)を20~30℃にて投入し、60~65℃にて3時間撹拌した。次に、反応液に炭酸水素ナトリウム(2.52g)とトルエン(272.31g:容器を移す際の洗い込みの為の40gのトルエンの量を含む)を加えて分液し、そして水層を除去して、有機層を得た。そして、有機層を減圧下濃縮することにより、4-ペンテン-2-イナール(3)(17.93g、0.22mol)が、トルエン(234.36g)及びテトラヒドロフラン(93.53g)の混合液中に収率74.63%で得られた。上記混合液中のトルエン及びテトラヒドロフランの量は、GC分析及びNMR分析を行うことにより得られた。
【0099】
上記で得られた4-ペンテン-2-イナール(3)のスペクトルデータを以下に示す。
〔核磁気共鳴スペクトル〕H-NMR(500MHz,CDCl):δ9.35(1H,d,J=0.7Hz),6.08(1H,dd,J=17.2Hz,2.3Hz),6.01(1H,ddd,J=17.4Hz,10.9Hz,0.7Hz),5.91(1H,dd,J=10.9Hz,2.3Hz);13C-NMR(125MHz,CDCl):δ88.28,93.02,114.75,134.25,176.70
〔マススペクトル〕EI-マススペクトル(70eV):m/z 80(M),61,52
〔赤外吸収スペクトル〕(NaCl):νmax 2977,2873,2210,2172,1664,1162,1080,1035,972,947,798
【0100】
実施例8
<14,14-ジエトキシ-1,5-テトラデカジエン-3-イン(1:R=Et,R=Et;n=7)の製造>
【0101】
【化17】
【0102】
室温で、反応器に9-クロロ-1,1-ジエトキシノナン(7:X=Cl;R=Et,R=Et)(67.72g、0.27mol)、トリフェニルホスフィン(8:Ar=Ph)(63.74g、0.27mol)、ヨウ化ナトリウム(40.47g、0.30mol)、炭酸カリウム(2.07、0.015mol)、アセトニトリル(173.20g)を加えて、75~85℃で15時間撹拌することにより、9,9-ジエトキシノニルトリフェニルホスホニウム=ヨージド(9:Y=I;Ar=Ph;R=Et,R=Et)を調製した。次に、テトラヒドロフラン(311.53g)を30~40℃にて滴下し、滴下終了後、反応液を-5~10℃に冷却し、カリウム=t-ブトキシド(27.27g、0.24mol)を加えた後、1時間撹拌することでトリフェニルホスホニウム=9,9-ジエトキシノニリド(4:Ar=Ph;R=Et,R=Et)を調製した。
【0103】
その後、該反応器に上記実施例7とは別途に調製した4-ペンテン-2-イナール(3)(16.14g、0.20mol)のトルエン(220.99g)及びテトラヒドロフラン(78.56g)との混合液を-5~5℃で滴下し、滴下終了後、20~30℃において2.5時間撹拌した。その後、反応液に食塩(45.47g)及び水(454.65g)の混合液を加えて分液し、そして水層を除去して、有機層を得た。そして、有機層を減圧下濃縮することにより、14,14-ジエトキシ-1,5-テトラデカジエン-3-イン(1:R=Et,R=Et;n=7)の粗生成物(65.39g、0.18mol、純度77.92%、E/Z=24/76)が粗収率83.18%で得られた。14,14-ジエトキシ-1,5-テトラデカジエン-3-イン(1:R=Et,R=Et;n=7)の粗生成物には、不純物としてトルエン、トリフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィンオキシドが含まれていた。
【0104】
上記で得られた14,14-ジエトキシ-1,5-テトラデカジエン-3-イン(1:R=Et,R=Et;n=7)のスペクトルデータを以下に示す。
〔核磁気共鳴スペクトル〕H-NMR(500MHz,CDCl):δ1.19(6H,t,J=7.1Hz),1.25-1.44(10H,m),1.56-1.62(2H,m),2.30(2H,ddt,J=1.1Hz,7.3Hz,7.3Hz),3.47(2H,dq,J=6.9Hz,7.8Hz),3.62(2H,dq,J=6.9Hz,7.8Hz),4.46(1H,t,J=5.9Hz),5.44(1H,dd,J=11.1Hz,2.3Hz),5.53-5.57(1H,m),5.60(1H,dd,J=17.6Hz,2.3Hz),5.87-5.97(2H,m);13C-NMR(125MHz,CDCl):δ15.32,24.70,28.75,29.01,29.31,29.37,30.22,33.55,60.77,87.02,92.12,102.92,108.79,117.39,125.98,144.35
〔マススペクトル〕EI-マススペクトル(70eV):m/z 278(M),233,189,175,161,145,131,117,103,75,57
【0105】
実施例9
<9,13-テトラデカジエン-11-イナール(2:n=7)の製造>
【0106】
【化18】
【0107】
室温で、反応器に、上記実施例8で得られた14,14-ジエトキシ-1,5-テトラデカジエン-3-イン(1:R=Et,R=Et;n=7)の粗生成物(65.39g、0.18mol、純度77.92%、E/Z=24/76)、しゅう酸二水和物(69.21g、0.55mol)、テトラヒドロフラン(183.00g)、純水(183.00g)を加えて、60~65℃にて3.5時間撹拌した。そして、反応液を50℃に冷却し、ヘキサン(53.82g)を加えて、30分間撹拌した。撹拌終了後、反応液を静置して分液し、そして水層を除去して、有機層を得た。そして、有機層を減圧下濃縮し、残留物を減圧蒸留(125.1~133.1℃/3.0mmHg)することにより、9,13-テトラデカジエン-11-イナール(2:n=7)(28.97g、0.13mol、純度93.52%、E/Z=24/76)が、実施例8に記載の工程と本実施例9に記載の2工程の収率として収率66.30%で得られた。
【0108】
上記で得られた9,13-テトラデカジエン-11-イナール(2:n=7)のスペクトルデータを以下に示す。
〔核磁気共鳴スペクトル〕H-NMR(500MHz,CDCl):1.27-1.35(6H,m),1.40(2H,br.quint,J=6.5Hz),1.61(2H,br.quint,J=6.9Hz),2.30(2H,ddt,J=1.5Hz,7.3Hz,7.3Hz),2.40(2H,dt,J=1.9Hz,7.3Hz),5.44(1H,dd,J=11.2Hz,1.9Hz),5.55(1H,br.dd,J=10.7Hz,1.9Hz),5.60(1H,dd,J=17.6Hz,1.9Hz),5.86-5.97(2H,m),9.75(1H,t,J=1.9Hz);13C-NMR(125MHz,CDCl):δ21.99,28.63,28.80,29.01,29.05,30.14,43.84,86.98,92.16,108.91,117.36,126.03,144.18,202.80
〔マススペクトル〕EI-マススペクトル(70eV):m/z 204(M),175,161,147,133,119,105,91,78,65,53
〔赤外吸収スペクトル〕(NaCl):νmax 2929,2856,1725,1464,1413,1392,972,918,739
【0109】
実施例10
<9,13-テトラデカジエン-11-イナール(2:n=7)の製造>
【0110】
【化19】
【0111】
室温で、反応器に9-クロロ-1,1-ジエトキシノナン(7:X=Cl;R=Et,R=Et)(90.29g、0.36mol)、トリフェニルホスフィン(8:Ar=Ph)(94.65g、0.36mol)、ヨウ化ナトリウム(58.46g、0.39mol)、炭酸カリウム(2.90、0.021mol)、アセトニトリル(192.45g)を加えて、75~85℃で15時間撹拌することにより、9,9-ジエトキシノニルトリフェニルホスホニウム=ヨージド(9:Y=I;Ar=Ph、;R=Et,R=Et)を調製した。次に、該反応器にテトラヒドロフラン(346.14g)を30~40℃にて滴下し、滴下終了後、反応液を-5~10℃に冷却し、カリウム=t-ブトキシド(38.71g、0.35mol)を加えた後、1時間撹拌することでトリフェニルホスホニウム=9,9-ジエトキシノニリド(4:Ar=Ph;R=Et,R=Et)を調製した。
【0112】
その後、上記実施例7とは別途に調製した4-ペンテン-2-イナール(3)(16.14g、0.20mol)のトルエン(220.99g)及びテトラヒドロフラン(78.56g)の混合液を-5~5℃で滴下し、滴下終了後、20~30℃において2時間撹拌した。その後、反応液に食塩(45.47g)及び水(454.65g)の混合液を加えて分液し、そして水層を除去して、有機層を得た。そして、有機層を減圧下濃縮することにより、14,14-ジエトキシ-1,5-テトラデカジエン-3-イン(1:R=Et,R=Et;n=7)の粗生成物(74.22g、0.18mol、純度68.06%、E/Z=26/74)が粗収率90.02%で得られた。14,14-ジエトキシ-1,5-テトラデカジエン-3-イン(1:R=Et,R=Et;n=7)の粗生成物には、不純物としてトルエン、トリフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィンオキシドが含まれていた。
【0113】
続いて、反応器に、上記で得られた14,14-ジエトキシ-1,5-テトラデカジエン-3-イン(1:R=Et,R=Et;n=7)の粗生成物(74.22g、0.18mol、純度68.06%、E/Z=26/74)、しゅう酸二水和物(68.61g、0.54mol)、テトラヒドロフラン(181.40g)、純水(181.40g)を加えて、60~65℃にて4時間撹拌した。そして、反応液を50℃に冷却し、ヘキサン(53.35g)を加えて、30分間撹拌した。撹拌終了後、反応液を静置して分液し、そして水層を除去して、有機層を得た。そして、有機層を減圧下濃縮し、残留物を減圧蒸留(125.1~133.1℃/3.0mmHg)することにより、9,13-テトラデカジエン-11-イナール(2:n=7)(31.40g、0.15mol、純度96.03%、E/Z=25/75)が2工程の収率として収率73.25%で得られた。
【0114】
上記で得られた9,13-テトラデカジエン-11-イナール(2:n=7)のスペクトルデータは、実施例9で得られたスペクトルデータと同じであった。
【0115】
実施例11
<9,13-テトラデカジエン-11-イナール(2:n=7)の製造>
【0116】
【化20】
【0117】
室温で、反応器に、上記実施例8とは別途に調製し、精製した14,14-ジエトキシ-1,5-テトラデカジエン-3-イン(1:R=Et,R=Et;n=7)(16.08g、0.058mol、E/Z=1/99)、しゅう酸二水和物(21.85g、0.17mol)、テトラヒドロフラン(57.76g)、純水(57.76g)を加えて、60~65℃にて4時間撹拌した。そして、反応液を50℃に冷却し、ヘキサン(53.82g)を加えて、30分間撹拌した。撹拌終了後、反応液を静置して分液し、そして水層を除去して、有機層を得た。そして、有機層を減圧下濃縮し、残留物を減圧蒸留(125.1~133.1℃/3.0mmHg)することにより、9,13-テトラデカジエン-11-イナール(2:n=7)(11.43g、0.056mol、E/Z=1/99)が収率96.82%で得られた。
【0118】
上記で得られた9,13-テトラデカジエン-11-イナール(2:n=7)のスペクトルデータは、実施例9で得られたスペクトルデータと同じであった。
【0119】
実施例12
<9,9-ジメトキシ-1,5-ノナジエン-3-イン(1:R=Me,R=Me;n=2)の製造>
【0120】
【化21】
【0121】
室温で、反応器に4-クロロ-1,1-ジメトキシ-ブタン(54.94g、0.36mol)、トリフェニルホスフィン(PPh)(95.44g、0.36mol)、ヨウ化ナトリウム(54.41g、0.36mol)、炭酸カリウム(2.90g、0.021mol)、アセトニトリル(192.45g)を加えて、75~85℃で15時間撹拌することにより、4,4-ジメトキシブチルトリフェニルホスホニウム=ヨージドを調製した。次に、該反応器にテトラヒドロフラン(346.14g)を30~40℃にて滴下し、滴下終了後、反応液を-5~10℃に冷却し、カリウム=t-ブトキシド(38.71g、0.35mol)を加えた後、1時間撹拌することでトリフェニルホスホニウム=4,4-ジメトキシブチリド(4:Ar=Ph;R=Me,R=Me)を調製した。
【0122】
その後、上記実施例7とは別途に調製し、精製した4-ペンテン-2-イナール(3)(16.96g、0.21mol)のトルエン(361.59g)及びテトラヒドロフラン(109.22g)の混合液を-5~5℃で滴下し、滴下終了後、20~30℃において2時間撹拌した。その後、反応液に食塩(45.47g)及び水(454.65g)の混合液を加えて分液し、そして水層を除去して、有機層を得た。そして、有機層を減圧下濃縮し、残留物を減圧蒸留(95.2~107.1℃/8.0mmHg)することにより、9,9-ジメトキシ-1,5-ノナジエン-3-イン(1:R=Me,R=Me;n=2)(37.89g、0.16mol、純度74.11%、E/Z=23/77)が収率73.56%で得られた。
【0123】
上記で得られた9,9-ジメトキシ-1,5-ノナジエン-3-イン(1:R=Me,R=Me;n=2)のスペクトルデータを以下に示す。
〔核磁気共鳴スペクトル〕H-NMR(500MHz,CDCl):δ1.68-1.74(2H,q-like),2.37(2H,ddt,J=1.1Hz,8.0Hz,8.0Hz),3.32(6H,s),4.36(1H,t,J=5.7Hz),5.45(1H,dd,J=2.3Hz,11.1Hz),5.56-5.61(1H,m),5.61(1H,dd,J=2.3Hz,17.2Hz),5.88-5.97(2H,m);13C-NMR(125MHz,CDCl):δ25.56,31.63,52.80,86.62,92.57,103.97,109.56,117.31,126.21,142.88
〔マススペクトル〕EI-マススペクトル(70eV):m/z 180(M),165,147,133,117,105,91,75,65
〔赤外吸収スペクトル〕(NaCl):νmax 2951,2830,1598,1445,1415,1385,1365,1178,1159,1127,1066,972,921,742
【0124】
実施例13
<4,8-ノナジエン-6-イナール(2:n=2)の製造>
【0125】
【化22】
【0126】
室温で、反応器に、上記実施例12で得られた9,9-ジメトキシ-1,5-ノナジエン-3-イン(1:R=Me,R=Me;n=2)(33.80g、0.14mol、純度74.11%、E/Z=23/77)、しゅう酸二水和物(52.57g、0.42mol)、テトラヒドロフラン(139.00g)、純水(139.00g)を加えて、60~65℃にて3.5時間撹拌した。そして、反応液を50℃に冷却し、ヘキサン(40.88g)を加えて、30分間撹拌した。撹拌終了後、反応液を静置して分液し、そして水層を除去して、有機層を得た。そして、有機層を減圧下濃縮し、残留物を減圧蒸留(70.0~97.1℃/11.0mmHg)することにより、4,8-ノナジエン-6-イナール(2;n=2)(16.60g、0.12mol、純度95.85%、E/Z=23/77)が収率85.33%で得られた。
【0127】
上記で得られた4,8-ノナジエン-6-イナール(2:n=2)のスペクトルデータを以下に示す。
〔核磁気共鳴スペクトル〕H-NMR(500MHz,CDCl):δ2.53-2.66(4H,m),5.47(1H,dd,J=1.9Hz,11.2Hz),5.62(1H,dd,J=1.9Hz,17.6Hz),5.60-5.65(1H,m),5.87-5.97(2H,m),9.77(1H,t,J=1.5Hz);13C-NMR(125MHz,CDCl):δ22.95,42.79,86.11,93.29,110.54,117.08,126.61,140.97,201.39
〔マススペクトル〕EI-マススペクトル(70eV):m/z 133(M-1),115,105,91,78,65,51
〔赤外吸収スペクトル〕(NaCl):νmax 2895,2826,2726,1724,1591,1413,1390,1159,973,922,738
【0128】
実施例14
<14,14-ジメトキシ-1,5-テトラデカジエン-3-イン(1:R=Me,R=Me;n=7)の製造>
【0129】
【化23】
【0130】
室温で、反応器に、上記実施例8とは別途に調製し、精製した14,14-ジエトキシ-1,5-テトラデカジエン-3-イン(1:R=Et,R=Et;n=7)(4.66g、0.016mol、純度95.79%、E/Z=1/99)、p-トルエンスルホン酸一水和物(0.031g、0.00016mol)、メタノール(154.08g、4.81mol)を加えて、60~65℃にて2時間撹拌した。そして、反応液を50℃に冷却し、25重量%水酸化ナトリウム水溶液(1.0g)、水(80.00g)、ヘキサン(80.00g)を加えて、30分間撹拌した。その後、反応液に25重量%の水酸化ナトリウム水溶液(1.0g)、そして水(80.00g)を順次加えて分液し、そして水層を除去して、有機層を得た。そして、有機層を減圧下濃縮し、残留物をシリカゲルカラムクロマト(ヘキサン/酢酸エチル(V/V)=90/1~50/1)で精製することにより、14,14-ジメトキシ-1,5-テトラデカジエン-3-イン(1:R=Me,R=Me;n=7)(3.67g、0.015mol、純度99.54%、E/Z=1/99)が収率90.97%で得られた。
【0131】
上記で得られた14,14-ジメトキシ-1,5-テトラデカジエン-3-イン(1:R=Me,R=Me;n=7)のスペクトルデータを以下に示す。
〔核磁気共鳴スペクトル〕H-NMR(500MHz,CDCl):δ1.25-1.36(8H,br.s),1.36-1.44(2H,quintt-like),1.54-1.61(2H,q-like),2.30(2H,ddt,J=1.1Hz,7.4Hz,7.4Hz),3.30(6H,s),4.34(1H,t,J=5.7Hz),5.44(1H,dd,J=1.9Hz,11.3Hz),5.53-5.58(1H,m),5.60(1H,dd,J=1.9Hz,17.6Hz),5.87-5.97(2H,m);13C-NMR(125MHz,CDCl):δ24.54,28.74,28.99,29.29,29.36,30.22,32.44,52.52,87.02,92.13,104.51,108.81,117.39,125.99,144.33
〔マススペクトル〕EI-マススペクトル(70eV):m/z 250(M),219,187,145,131,117,104,91,75,65
〔赤外吸収スペクトル〕(NaCl):νmax 2928,2855,2829,1599,1464,1414,1386,1364,1192,1127,1055,969,915,738
【0132】
実施例15
<9,9-ジエトキシ-1,5-ノナジエン-3-イン(1:R=Et,R=Et;n=2)の製造>
【0133】
【化24】
【0134】
室温で、反応器に、上記実施例12とは別途に調製し、精製した9,9-ジメトキシ-1,5-ノナジエン-3-イン(1:R=Me,R=Me)(1.45g、0.0080mol、純度99.85%、E/Z=0/100)、p-トルエンスルホン酸一水和物(0.016g、0.000084mol)、エタノール(111.02g、2.41mol)を加えて、60~65℃にて2時間撹拌した。そして、反応液を50℃に冷却し、25重量%水酸化ナトリウム水溶液(1.0g)、水(80.00g)、ヘキサン(80.00g)を加えて、30分間撹拌した。その後、反応液に25重量%の水酸化ナトリウム水溶液(1.0g)、そして水(80.00g)を順次加えて分液し、そして水層を除去して、有機層を得た。そして、有機層を減圧下濃縮し、残留物をシリカゲルカラムクロマト(ヘキサン/酢酸エチル(V/V)=90/1)で精製することにより、9,9-ジエトキシ-1,5-ノナジエン-3-イン(1:R=Et,R=Et;n=2)(1.35g、0.0065mol、純度99.61%、E/Z=0/100)が収率80.52%で得られた。
【0135】
上記で得られた9,9-ジエトキシ-1,5-ノナジエン-3-イン(1:R=Et,R=Et;n=2)のスペクトルデータを以下に示す。
〔核磁気共鳴スペクトル〕H-NMR(500MHz,CDCl):δ1.20(6H,t,J=7.1Hz),1.72(2H,ddt,J=1.5Hz,6.9Hz,6.9Hz),2.39(2H,ddt,J=1.2Hz,7.6Hz,7.6Hz),3.49(2H,dq,J=6.9Hz,7.9Hz),3.65(2H,dq,J=6.9Hz,7.8Hz),4.48(1H,t,J=5.8Hz),5.44(1H,dd,J=1.9Hz,11.1Hz),5.55-5.60(1H,m),5.60(1H,dd,J=1.9Hz,17.6Hz),5.89-5.97(2H,m);13C-NMR(125MHz,CDCl):δ15.31,25.76,32.70,61.14,86.71,92.49,102.31,109.40,117.31,126.13,143.16
〔マススペクトル〕EI-マススペクトル(70eV):m/z 207(M-1),179,162,133,117,105,91,75,64
〔赤外吸収スペクトル〕(NaCl):νmax 2975,2929,2879,1599,1444,1414,1373,1347,1160,1130,1063,972,918,741
【0136】
実施例16
<9,9-ジメトキシ-1,5-ノナジエン-3-イン(1:R=Me,R=Me;n=2)の製造>
【0137】
【化25】
【0138】
室温で、反応器に、上記実施例13とは別途に調製し、精製した4,8-ノナジエン-6-イナール(2:n=2)(3.26g、0.023mol、純度94.20%、E/Z=0/100)、p-トルエンスルホン酸一水和物(0.0031g、0.000016mol)、オルトギ酸メチル(3.62g、0.034mol)、メタノール(34.08)を加え、20~30℃にて2時間撹拌した。そして、水(34.00g)、ヘキサン(34.00g)を加えて、30分間撹拌した。その後、反応液に水(34.00g)を加えて分液し、そして水層を除去して、有機層を得た。そして、有機層を減圧下濃縮し、残留物をシリカゲルカラムクロマト(ヘキサン/酢酸エチル(V/V)=90/1)で精製することにより、9,9-ジメトキシ-1,5-ノナジエン-3-イン(1:R=Me,R=Me;n=2)(3.51g、0.019mol、純度99.85%、E/Z=0/100)が収率84.93%で得られた。
【0139】
上記で得られた9,9-ジメトキシ-1,5-ノナジエン-3-イン(1:R=Me,R=Me;n=2)のスペクトルデータは、上記実施例12で得られたスペクトルデータと同じであった。