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特許7197470アビラテロン酢酸エステル-糖質コルチコイド抵抗性又はアビラテロン酢酸エステル-糖質コルチコイド感受性の転移性去勢抵抗性前立腺癌の診断及び治療方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】アビラテロン酢酸エステル-糖質コルチコイド抵抗性又はアビラテロン酢酸エステル-糖質コルチコイド感受性の転移性去勢抵抗性前立腺癌の診断及び治療方法
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/68 20180101AFI20221220BHJP
   G01N 33/50 20060101ALI20221220BHJP
   C12Q 1/04 20060101ALI20221220BHJP
   C12Q 1/6851 20180101ALN20221220BHJP
【FI】
C12Q1/68
G01N33/50 P
C12Q1/04
C12Q1/6851 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019517244
(86)(22)【出願日】2017-09-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-10-24
(86)【国際出願番号】 US2017054286
(87)【国際公開番号】W WO2018064470
(87)【国際公開日】2018-04-05
【審査請求日】2020-09-24
(31)【優先権主張番号】62/402,196
(32)【優先日】2016-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】397060175
【氏名又は名称】ヤンセン ファーマシューティカ エヌ.ベー.
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100093676
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149010
【弁理士】
【氏名又は名称】星川 亮
(72)【発明者】
【氏名】リ,ウェイミン
(72)【発明者】
【氏名】河口 和寛
(72)【発明者】
【氏名】小山 亮
(72)【発明者】
【氏名】パテル,ジャヤマラ
(72)【発明者】
【氏名】シミルノフ,デニス
(72)【発明者】
【氏名】デボラ,リッチ
【審査官】山本 晋也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0011198(US,A1)
【文献】特表2017-515479(JP,A)
【文献】RICHARD J. AUCHUS et al.,The Oncologist,2014年,vol. 19,p. 1231-1240
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12Q
G01N
A61K
A61P
C12N
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者におけるアビラテロン酢酸エステル-糖質コルチコイド抵抗性転移性去勢抵抗性前立腺癌の診断を補助する方法であって、
アビラテロン酢酸エステル及び糖質コルチコイド治療を受けた患者において、該患者の生体サンプル中のPSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせのレベルを検出することと、
PSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせのレベルを対照と比較することと、ここで、前記対照が、前記患者からのPSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせの以前のレベルを含む、
を含み、
患者の生体サンプルにおいてPSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせのレベルが上昇していることが、該患者がアビラテロン酢酸エステル-糖質コルチコイド抵抗性転移性去勢抵抗性前立腺癌を有することと、該患者がアビラテロン酢酸エステル及び糖質コルチコイド以外の治療薬で、又はアビラテロン酢酸エステル及び糖質コルチコイドに加えて追加の治療薬を組み合わせて、治療されるべきであることと、を示す、方法。
【請求項2】
患者におけるアビラテロン酢酸エステル-糖質コルチコイド感受性転移性去勢抵抗性前立腺癌の診断を補助する方法であって、
アビラテロン酢酸エステル及び糖質コルチコイド治療を受けた患者において、該患者の生体サンプル中のPSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせのレベルを検出することと、
PSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせのレベルを対照と比較することと、ここで、前記対照が、前記患者からのPSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせの以前のレベルを含む、
を含み、
患者の生体サンプルにおいてPSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせのレベルが上昇していないことが、該患者がアビラテロン酢酸エステル-糖質コルチコイド感受性転移性去勢抵抗性前立腺癌を有することと、該患者がアビラテロン酢酸エステル及び糖質コルチコイドで治療されるべきであることと、を示す、方法。
【請求項3】
前記生体サンプルが循環腫瘍細胞を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
PSMA、ACADL、NPY、又はUBE2Cのレベルが、PSMA、ACADL、NPY、又はUBE2C mRNAのレベルである、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記対照が、転移性去勢抵抗性前立腺癌を有さない患者又は患者集団からのPSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせのレベルを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
転移性去勢抵抗性前立腺癌を有する患者におけるアビラテロン酢酸エステル及び糖質コルチコイド治療に対する抵抗性又は感受性を検出する方法であって、該方法は、
アビラテロン酢酸エステル及び糖質コルチコイド治療を受けた該患者からの生体サンプル中のPSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせのレベルを判定することを含み、
前記患者が、対照と比較して、PSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせのレベル上昇を有するか、又は上昇を有さず、
前記対照が、前記患者からのPSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせの以前のレベルを含み、
PSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせのレベルの上昇は、アビラテロン酢酸エステル-糖質コルチコイド治療に対する抵抗性の獲得を示し、
PSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせのレベルの非上昇は、アビラテロン酢酸エステル-糖質コルチコイド治療に対する感受性を示す、方法。
【請求項7】
PSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせのレベルが、PSMA、ACADL、NPY、又はUBE2C mRNAのレベルである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記対照が、転移性去勢抵抗性前立腺癌を有さない患者又は患者集団におけるPSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせのレベルを含む、請求項6に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2016年9月30日出願の米国仮出願第62/402,196号の優先権を主張し、参照によりその開示の全体が本書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本明細書では、患者におけるアビラテロン酢酸エステル-糖質コルチコイド治療抵抗性及びアビラテロン酢酸エステル-糖質コルチコイド治療感受性の転移性去勢抵抗性前立腺癌の診断及び治療の方法、並びに、アビラテロン酢酸エステル-糖質コルチコイド治療に対する抵抗性を患者が獲得したことを診断するためのバイオマーカーが提供される。
【背景技術】
【0003】
前立腺癌は、米国の男性にとって2番目に最も一般的な癌である。前立腺癌はまた、全人種及びヒスパニック系出身の集団の男性の癌による死亡の主要原因の1つである。2010年には、米国において196,038人の男性が前立腺癌であると診断され、米国において28,560人の男性が前立腺癌により死亡した。人口の高齢化や、食事の西洋化、及び高度な診断技術によって、日本における前立腺癌患者の数は近年増加している。
【0004】
転移性去勢抵抗性前立腺癌(mCRPC)患者に使用するために、多数の治療薬がFDAによって承認されている。これらの治療選択肢には、ドセタキセル、アビラテロン酢酸エステル、カバジタキセル、エンザルタミド、ミトキサントロン、ラジウム223、及びシプロイセル-Tが挙げられる。結果として、臨床医及び患者は、多数の治療選択肢及びこれらの薬剤の潜在的なシークエンシングに直面し、臨床的意思決定がより複雑なものになっている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書において開示されるのは、患者におけるアビラテロン酢酸エステル-糖質コルチコイド治療抵抗性転移性去勢抵抗性前立腺癌を診断及び治療する方法であり、この方法は、アビラテロン酢酸エステル及び糖質コルチコイドで治療された患者において、患者の生体サンプル中のPSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせのレベルが上昇したときに、この患者がアビラテロン酢酸エステル-糖質コルチコイド治療抵抗性転移性去勢抵抗性前立腺癌を有すると診断することと、この診断された患者を、アビラテロン酢酸エステル及び糖質コルチコイド以外の治療薬で、又はアビラテロン酢酸エステル及び糖質コルチコイドと共に追加の治療薬を組み合わせて、治療することと、を含むか、これらからなるか、及び/又はこれらから本質的になる。
【0006】
更に、患者におけるアビラテロン酢酸エステル-糖質コルチコイド感受性転移性去勢抵抗性前立腺癌を診断及び治療する方法も提供され、この方法は、アビラテロン酢酸エステル及び糖質コルチコイドで治療された患者において、患者の生体サンプル中のPSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせのレベルが上昇していないときに、この患者がアビラテロン酢酸エステル-糖質コルチコイド治療感受性転移性去勢抵抗性前立腺癌を有すると診断することと、この診断された患者を、治療有効量のアビラテロン酢酸エステル及び治療有効量の糖質コルチコイドで治療することと、を含むか、これらからなるか、及び/又はこれらから本質的になる。
【0007】
転移性去勢抵抗性前立腺癌を有する患者におけるアビラテロン酢酸エステル-糖質コルチコイド治療に対する抵抗性又は感受性を検出する方法も提供され、この方法は、アビラテロン酢酸エステル及び糖質コルチコイド治療を受けた患者からの生体サンプル中のPSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせのレベルを判定することを含むか、これらからなるか、及び/又はこれらから本質的になり、PSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせのレベルの上昇は、アビラテロン酢酸エステル及び糖質コルチコイド治療に対する抵抗性の獲得を示し、PSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせのレベルの非上昇は、アビラテロン酢酸エステル及び糖質コルチコイド治療に対する感受性を示す。
【0008】
患者における転移性去勢抵抗性前立腺癌を治療する方法が開示され、この方法は、治療有効量のアビラテロン酢酸エステル及び治療有効量の糖質コルチコイドを患者に投与することを含むか、これらからなるか、及び/又はこれらから本質的になり、この患者は、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせのレベルの上昇を有さない。
【0009】
転移性去勢抵抗性前立腺癌を有する患者におけるアビラテロン酢酸エステル及び糖質コルチコイド治療に対する感受性又は抵抗性獲得を予測する際の、PSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせの使用も、更に開示される。
【0010】
開示される方法及び使用において、糖質コルチコイドは、プレドニゾン、プレドニゾロン、ヒドロコルチゾン、デキサメタゾン、コルチゾン、又はメチルプレドニゾロンであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
発明の概要、並びに以下の発明を実施するための形態は、添付の図面と併せて読むことで、更に理解される。開示の方法を説明する目的で、図面には、本開示の例示的実施形態が示されている。ただし、本方法は、ここに開示されている特定の実施形態に限定されるものではない。図面は、以下のとおりである。
図1A】PSMAのベースライン及びEOTにおける遺伝子発現を示す。
図1B】全長アンドロゲン受容体(AR)及びアンドロゲン受容体変異体(ARV)についてのベースライン及びEOTにおける遺伝子発現を示す。発現(%)は、30人の健康な被験者対照と比較して示される。
図2A】ベースライン及びEOS/TでのPSMA遺伝子発現、及びセカンダリーエンドポイントとの相関を示す。
図2B】ベースライン及びEOS/TでのAR及びARV遺伝子発現、及びセカンダリーエンドポイントとの相関を示す。アスタリスクは統計的有意性を示す(p<0.05)。
図3A】ベースライン及びEOS/TにおけるCTC数によるARたんぱく質の発現(AR+CTC数)を示す。
図3B】ベースライン及びEOS/TにおけるCTC数によるARたんぱく質の発現(AR-CTC数)を示す。接続された線は、組となるサンプルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
開示される方法は、本開示の一部を形成する、添付の図面に関連してなされる以下の詳細な説明を参照することにより、より容易に理解することができる。開示される方法は、本明細書に記載及び/又は図示の特定の方法に限定されないこと、更に、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を例によって説明することのみを目的とし、請求項に記載の方法に限定することを意図しないことを理解されたい。
【0013】
特別な記述がない限り、動作に関する可能なメカニズム又は形態、あるいは改善の理由についての説明は、説明のみを意図したものである。本開示の方法は、提案されている動作に関するメカニズム又は形態、あるいは改善の理由の是非によって制限されない。
【0014】
数値の範囲が本明細書で列挙又は確立される場合、この範囲は、その端点、並びにその範囲内の全ての個々の整数及び有理数を含み、更に、これらの端点及び内部整数及び有理数の全ての様々な可能な組み合わせによって形成される、その中のより狭い範囲のそれぞれを含み、それらのより狭い範囲のそれぞれが明示的に列挙されたかのように、記載の範囲内の値のより大きい群の小群を形成する。数値の範囲が、本明細書において記載される値よりも大きいと本明細書に記載される場合、その範囲は有限であり、本明細書に記載される本発明の文脈内で動作可能である値によって、その上限が画定される。数値の範囲が、本明細書において記載される値よりも小さいと本明細書に記載される場合、その範囲は、それにもかかわらず、ゼロでない値によって、その下限が画定される。
【0015】
範囲はいずれも包括的であり、組み合わせが可能である。値が、先行詞「約」を用いて近似値として表現される場合、その特定の値は、別の実施形態を形成することが理解される。特定の数値に関する言及は、文脈上他に明記されない限り、少なくともその特定の値を含むものとする。
【0016】
本明細書において、明確性のために、別々の実施形態の文脈において記載される、開示された方法の複数の特徴はまた、単一の実施形態において組み合わせて提供されてもよいことを理解されたい。逆に、簡潔のために単一の実施形態として記載された開示される方法の様々な特徴はまた、別個に、又は任意の下位の組み合わせで提供されてもよい。
【0017】
以下の略語が、本開示全体を通して使用される:アビラテロン酢酸エステル(AA)、アビラテロン酢酸エステル+低用量プレドニゾン(AA+P)、循環腫瘍細胞(CTC)、治療終了(EOT)、試験終了(EOS)、治療/試験終了(EOT/S)、転移性去勢抵抗性前立腺癌(mCRPC)、全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)、及びX線撮影PFS(rPFS)。
【0018】
本明細書で使用するとき、単数形「a」、「an」、及び「the」は複数を含むものとする。
【0019】
本明細書及び特許請求の範囲を通して本明細書の諸態様に関する様々な用語が使用される。別途記載のない限り、そのような用語には、当該技術分野におけるそれらの通常の意味が与えられるものとする。その他の具体的に定義される用語は、本明細書に提供される定義と一致する様式で解釈されるものとする。
【0020】
アビラテロン酢酸エステル(「AA」)又はZYTIGAブランドのアビラテロン酢酸エステルは、睾丸、副腎、及び前立腺腫瘍におけるアンドロゲン合成を遮断する17a-ヒドロキシラーゼ/C17,20-リアーゼ(CYP17)阻害剤である。
【0021】
用語「含む(comprising)」は、用語「から本質的になる(consisting essentially of)」及び「からなる(consisting of)」という用語に包含される例を包含することを意図する。同様に、用語「から本質的になる」は、用語「からなる」によって包含される例を含むことを意図する。
【0022】
治療終了(EOT)、試験終了(EOS)、及び治療/試験終了(EOT/S)は、本明細書において互換的に使用される。
【0023】
本明細書で使用するとき、「治療有効量」とは、患者において任意の治療応答を生成するために決定される治療薬の量を意味する。
【0024】
本明細書で使用するとき、「治療する」とは、前立腺癌を含む癌の治癒又は寛解のための治療薬の使用を意味する。
【0025】
開示される方法は、アビラテロン酢酸エステル及び糖質コルチコイド治療を受けた患者における、アビラテロン酢酸エステル-糖質コルチコイド抵抗性、又はアビラテロン酢酸エステル-糖質コルチコイド感受性の、転移性去勢抵抗性前立腺癌(mCRPC)を診断及び/又は治療するために、PSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせのmRNAレベルを利用することができるという発見に基づく。潜在する前立腺癌の診断及び治療におけるこれらのバイオマーカーの使用は、非日常的かつ非従来的である。
【0026】
アビラテロン酢酸エステル及び糖質コルチコイド治療を受けた患者における、アビラテロン酢酸エステル-糖質コルチコイド抵抗性、又はアビラテロン酢酸エステル-糖質コルチコイド感受性のmCRPCを診断する方法は、
アビラテロン酢酸エステル及び糖質コルチコイド治療を受けた患者において、患者の生体サンプル中のPSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせのレベルが上昇したときに、この患者がアビラテロン酢酸エステル-糖質コルチコイド抵抗性mCRPCを有すると診断すること、又は
患者の生体サンプル中のPSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせのレベルが上昇していないときに、この患者がアビラテロン酢酸エステル-糖質コルチコイド感受性mCRPCを有すると診断すること、を含む。
【0027】
いくつかの実施形態では、この糖質コルチコイドはプレドニゾンである。いくつかの実施形態では、この糖質コルチコイドはプレドニゾロンである。いくつかの実施形態では、この糖質コルチコイドはヒドロコルチゾンである。いくつかの実施形態では、この糖質コルチコイドはデキサメタゾンである。いくつかの実施形態では、この糖質コルチコイドはコルチゾンである。いくつかの実施形態では、この糖質コルチコイドはメチルプレドニゾロンである。
【0028】
いくつかの実施形態では、本方法は更に、診断の前に、患者の生体サンプル中のPSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせのレベルを検出することを含む。
【0029】
また、患者における転移性去勢抵抗性前立腺癌の治療方法も開示される。いくつかの実施形態では、本方法は、治療有効量のアビラテロン酢酸エステル及び治療有効量の糖質コルチコイドを患者に投与することを含み、この患者は、PSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせのレベルの上昇を有さない。したがって、本方法を使用して、アビラテロン酢酸エステル-糖質コルチコイド感受性mCRPCを有する患者を治療することができる。いくつかの実施形態では、患者における転移性去勢抵抗性前立腺癌の治療方法は、アビラテロン酢酸エステル及び/若しくは糖質コルチコイド以外の治療薬を投与すること、又は、アビラテロン酢酸エステル及び糖質コルチコイドに加え追加の治療薬を患者に投与することを含み、この患者は、PSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせのレベル上昇を有する。したがって、本方法を使用して、アビラテロン酢酸エステル-糖質コルチコイド抵抗性mCRPCを有する患者を治療することができる。
【0030】
本治療方法のいくつかの実施形態では、患者は、アビラテロン酢酸エステル及び糖質コルチコイドの治療を受けている。したがって、mCRPCを治療する本方法は、治療有効量のアビラテロン酢酸エステル及び治療有効量の糖質コルチコイドを、アビラテロン酢酸エステル及び糖質コルチコイド治療を受けた患者に投与することを含み得、この患者は、PSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせのレベル上昇を有さない。
【0031】
本治療方法のいくつかの実施形態では、この糖質コルチコイドはプレドニゾンである。いくつかの実施形態では、この糖質コルチコイドはプレドニゾロンである。いくつかの実施形態では、この糖質コルチコイドはヒドロコルチゾンである。いくつかの実施形態では、この糖質コルチコイドはデキサメタゾンである。いくつかの実施形態では、この糖質コルチコイドはコルチゾンである。いくつかの実施形態では、この糖質コルチコイドはメチルプレドニゾロンである。
【0032】
本治療方法のいくつかの実施形態では、PSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせのレベルとは、PSMA、ACADL、NPY、又はUBE2C mRNAのレベルである。したがって、本方法は、治療有効量のアビラテロン酢酸エステル及び治療有効量の糖質コルチコイドを患者に投与することを含み、この患者は、PSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせのmRNAレベルの上昇を有さない。PSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせのレベルを、対照と比較することができる。したがって、一部の態様では、患者は、対照と比較して、PSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせのレベル上昇を有さない。好適な対照としては、その患者のPSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせの以前のレベル、あるいは、転移性去勢抵抗性前立腺癌を有さない患者又は患者集団におけるPSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせのレベルが挙げられる。いくつかの態様では、対照レベル(その患者のPSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせの以前のレベル、あるいは、mCRPCを有さない患者又は患者集団のレベル)は、血液サンプルから得られる。
【0033】
診断及び治療の方法を組み合わせて、アビラテロン酢酸エステル-糖質コルチコイド抵抗性、又はアビラテロン酢酸エステル-糖質コルチコイド感受性のmCRPCを診断及び治療する方法を提供することができる。この方法は、アビラテロン酢酸エステル及び糖質コルチコイド治療を受けた患者に対して行うことができる。患者におけるアビラテロン酢酸エステル-糖質コルチコイド感受性転移性去勢抵抗性前立腺癌を診断及び治療する方法は、
アビラテロン酢酸エステル及び糖質コルチコイド治療を受けた患者において、患者の生体サンプル中のPSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせのレベルが上昇していないときに、この患者がアビラテロン酢酸エステル-糖質コルチコイド感受性転移性去勢抵抗性前立腺癌を有すると診断することと、
この診断された患者を、治療有効量のアビラテロン酢酸エステル及び治療有効量の糖質コルチコイドで治療することと、を含む。
【0034】
更に、患者におけるアビラテロン酢酸エステル-糖質コルチコイド抵抗性転移性去勢抵抗性前立腺癌を診断及び治療する方法は、
アビラテロン酢酸エステル及び糖質コルチコイド治療を受けた患者において、患者の生体サンプル中のPSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせのレベルが上昇しているときに、この患者がアビラテロン酢酸エステル-糖質コルチコイド抵抗性転移性去勢抵抗性前立腺癌を有すると診断することと、
この診断された患者を、アビラテロン酢酸エステル及び糖質コルチコイド以外の治療薬で、又はアビラテロン酢酸エステル及び糖質コルチコイドに加えて追加の治療薬を組み合わせて、治療することと、を含む。
【0035】
いくつかの実施形態では、アビラテロン酢酸エステル-糖質コルチコイド感受性又はアビラテロン酢酸エステル-糖質コルチコイド抵抗性の転移性去勢抵抗性前立腺癌を診断及び治療する方法は、診断前に、患者の生体サンプル中のPSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせのレベルを検出することを更に含む。「生体サンプル」とは、PSMA、ACADL、NPY、又はUBE2Cのうちの1つ又は2つ以上を含有するか、又はそれを含有し得る、患者からの任意のサンプルを含む。いくつかの実施形態では、この生体サンプルは、循環腫瘍細胞(CTC)を含む。CTC上のバイオマーカーの特性付けにより、腫瘍細胞動態の「リアルタイム」での非侵襲性評価が可能になり、これは、新鮮腫瘍生検の採取が標準的ケアの一部ではないため、mCRPCの評価に望ましいものとなり得る。
【0036】
いくつかの実施形態では、PSMA、ACADL、NPY、又はUBE2Cのレベルは、PSMA、ACADL、NPY、又はUBE2C mRNAのレベルである。
【0037】
開示される診断方法、又は、診断及び治療の方法は、診断の前に、PSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせのレベルを対照と比較することを更に含み得る。いくつかの実施形態では、例えば、アビラテロン酢酸エステル及び糖質コルチコイド治療を受けた患者における、アビラテロン酢酸エステル-糖質コルチコイド抵抗性、又はアビラテロン酢酸エステル-糖質コルチコイド感受性のmCRPCを診断する方法は、
アビラテロン酢酸エステル及び糖質コルチコイド治療を受けた患者からの生体サンプル中のPSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせのレベルを、対照と比較すること、
患者の生体サンプル中のPSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせのレベルが上昇しているときに、この患者がアビラテロン酢酸エステル-糖質コルチコイド抵抗性mCRPCを有すると診断すること、あるいは、
患者の生体サンプル中のPSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせのレベルが上昇していないときに、この患者がアビラテロン酢酸エステル-糖質コルチコイド感受性mCRPCを有すると診断すること、を含む。
【0038】
この診断方法は更に、診断の前に、アビラテロン酢酸エステル及び糖質コルチコイド治療を受けた患者からの生体サンプル中のPSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせのレベルを検出することを含み得る。
【0039】
本開示の方法において、患者の生体サンプル中のPSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせのmRNAレベルが上昇しているときに、この患者は、アビラテロン酢酸エステル-糖質コルチコイド抵抗性mCRPCを有すると診断することができる。本開示の方法において、患者の生体サンプル中のPSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせのmRNAレベルが上昇していないときに、この患者は、アビラテロン酢酸エステル感受性mCRPCを有すると診断することができる。
【0040】
いくつかの実施形態では、患者におけるアビラテロン酢酸エステル-糖質コルチコイド感受性mCRPCを診断及び治療する方法は、
アビラテロン酢酸エステル及び糖質コルチコイド治療を受けていた患者からの生体サンプル中のPSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせのレベルを、対照と比較することと、
患者の生体サンプル中のPSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせのレベルが上昇していないときに、この患者がアビラテロン酢酸エステル-糖質コルチコイド感受性mCRPCを有すると診断することと、
この診断された患者を、治療有効量のアビラテロン酢酸エステル及び治療有効量の糖質コルチコイドで治療することと、を含む。
【0041】
他の実施形態では、患者におけるアビラテロン酢酸エステル-糖質コルチコイド抵抗性mCRPCを診断及び治療する方法は、
アビラテロン酢酸エステル及び糖質コルチコイド治療を受けた患者からの生体サンプル中のPSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせのレベルを、対照と比較することと、
患者の生体サンプル中のPSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせのレベルが上昇しているときに、この患者がアビラテロン酢酸エステル-糖質コルチコイド抵抗性mCRPCを有すると診断することと、
この診断された患者を、アビラテロン酢酸エステル及び/又は糖質コルチコイド以外の治療薬で、又はアビラテロン酢酸エステル及び糖質コルチコイドに加えて追加の治療薬を組み合わせて、治療することと、を含む。
【0042】
この診断及び治療方法は更に、比較の前に、アビラテロン酢酸エステル及び糖質コルチコイド治療を受けた患者からの生体サンプル中のPSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせのレベルを検出することを含み得る。
【0043】
この対照は、その患者のPSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせの以前のレベルを含み得る。いくつかの態様では、PSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせの以前のレベルは、アビラテロン酢酸エステル及び糖質コルチコイドで治療する前の患者のものである。いくつかの態様では、PSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせの以前のレベルは、アビラテロン酢酸エステル及び糖質コルチコイドでの治療中の患者のものである。
【0044】
この対照は、mCRPCを有さない患者又は患者集団からのPSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせのレベルを含み得る。
【0045】
診断された患者を、治療有効量のアビラテロン酢酸エステル及び治療有効量の糖質コルチコイドで治療することには、アビラテロン酢酸エステル及び糖質コルチコイドの同時投与又は逐次投与が含まれ得る。いくつかの実施形態では、アビラテロン酢酸エステル及び糖質コルチコイドは、同時投与される。いくつかの実施形態では、アビラテロン酢酸エステル及び糖質コルチコイドは、いずれかの順序で逐次投与される。
【0046】
診断された患者を、アビラテロン酢酸エステル及び糖質コルチコイド以外の治療薬で、又はアビラテロン酢酸エステル及び糖質コルチコイドに加えて追加の治療薬を組み合わせて、治療することには、アビラテロン酢酸エステル及び糖質コルチコイドの代わりに、又はそれらに加えて、既知のmCRPC療法で患者を治療することを含み得る。
【0047】
更に、mCRPCを有する患者におけるアビラテロン酢酸エステル及び糖質コルチコイド治療に対する抵抗性又は感受性を検出する方法が開示され、この方法は、
アビラテロン酢酸エステル及び糖質コルチコイド治療を受けた患者からの生体サンプル中のPSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせのレベルを判定することを含み、
PSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせのレベルの上昇は、アビラテロン酢酸エステル-糖質コルチコイド治療に対する抵抗性の獲得を示し、
PSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせのレベルの非上昇は、アビラテロン酢酸エステル-糖質コルチコイド治療に対する感受性を示す。
【0048】
いくつかの実施形態では、PSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせのレベルとは、PSMA、ACADL、NPY、又はUBE2C mRNAのレベルである。
【0049】
抵抗性又は感受性を検出する方法のいくつかの実施形態では、この糖質コルチコイドはプレドニゾンである。いくつかの実施形態では、この糖質コルチコイドはプレドニゾロンである。いくつかの実施形態では、この糖質コルチコイドはヒドロコルチゾンである。いくつかの実施形態では、この糖質コルチコイドはデキサメタゾンである。いくつかの実施形態では、この糖質コルチコイドはコルチゾンである。いくつかの実施形態では、この糖質コルチコイドはメチルプレドニゾロンである。
【0050】
いくつかの実施形態では、患者は、対照と比較して、PSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせのレベル上昇を有するか、又は上昇を有さない。この対照は、その患者のPSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせの以前のレベルを含み得る。いくつかの態様では、PSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせの以前のレベルは、アビラテロン酢酸エステル及び糖質コルチコイドで治療する前の患者のものである。いくつかの態様では、PSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせの以前のレベルは、アビラテロン酢酸エステル及び糖質コルチコイドでの治療中の患者のものである。この対照は、mCRPCを有さない患者又は患者集団からのPSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせのレベルを含み得る。
【0051】
mCRPCを有する患者におけるアビラテロン酢酸エステル-糖質コルチコイド療法に対する感受性又は抵抗性獲得を予測する際の、PSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせの使用も、更に開示される。更に、転移性去勢抵抗性前立腺癌を有する患者におけるアビラテロン酢酸エステル-糖質コルチコイド治療に対する感受性又は抵抗性獲得を予測する際に使用するための、PSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせも、提供される。
【0052】
本開示の使用のいくつかの実施形態では、この糖質コルチコイドはプレドニゾンである。いくつかの実施形態では、この糖質コルチコイドはプレドニゾロンである。いくつかの実施形態では、この糖質コルチコイドはヒドロコルチゾンである。いくつかの実施形態では、この糖質コルチコイドはデキサメタゾンである。いくつかの実施形態では、この糖質コルチコイドはコルチゾンである。いくつかの実施形態では、この糖質コルチコイドはメチルプレドニゾロンである。
【0053】
いくつかの実施形態では、PSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせは、患者からの生体サンプルから得られるmRNAであり、この患者は、アビラテロン酢酸エステル及び糖質コルチコイドの投与を受けている。
【0054】
患者に投与されるアビラテロン酢酸エステルの量は、約250~約1500mg/日、約500~約1000mg/日、約500mg/日、約750mg/日又は約1000mg/日であり得る。
【0055】
患者に投与される糖質コルチコイドの量は、約2.5~約15mg/日、約5~約10mg/日、約5mg/日、約7.5mg/日、約10mg/日、又は約12.5mg/日であり得る。いくつかの実施形態では、例えば、糖質コルチコイドはプレドニゾンであり、投与されるプレドニゾンの量は、約2.5~約15mg/日、約5~約10mg/日、約5mg/日、約7.5mg/日、約10mg日、又は約12.5mg/日である。
【0056】
いくつかの実施形態では、この糖質コルチコイドは、プレドニゾロン、ヒドロコルチゾン、デキサメタゾン、コルチゾン、及びメチルプレドニゾロンであってもよい。プレドニゾロン、ヒドロコルチゾン、デキサメタゾン、コルチゾン、及びメチルプレドニゾロンの量は、約2~約10mg/日、3~6mg/日、4mg/日又は5mg/日であり得る。
【実施例
【0057】
本明細書に開示した実施形態のいくつかを更に説明するために、以下の実施例を提供する。これらの実施例は、例示を目的とするものであって、本開示の実施形態を制限するものではない。
【0058】
試験計画及び治療
JPN-201及びJPN-202と呼ばれる2つの第II相試験を、日本で実施した。JPN-201及びJPN-202は、化学療法未経験(JPN-201)及び化学療法前治療済み(JPN-202)のmCRPCを有する日本人患者における、1日に1000mgアビラテロン酢酸エステル+10mgプレドニゾン(AA)投与の、非盲検多施設単群第II相試験であった。患者には毎日、食事の少なくとも1時間前でかつ食事の少なくとも2時間後の、10pmまでの任意の時間に、アビラテロン酢酸エステル(1日1回1000mg)を経口投与した。加えて、5mgの経口プレドニゾロンを1日2回、併用投与した。疾患の進行又は容認できない毒性が観察されない限り、28日の投与サイクルを継続した。
【0059】
プライマリーエンドポイントは、Prostate-Specific Antigen Working Group(PSAWG)基準に従って、12週間の治療によりPSA応答(すなわち、PSAのベースラインからの低下が50%以上)を達成する患者の割合であった。セカンダリーエンドポイントには以下のものが含められた:
-治療期間中のPSA奏功率(確認又は未確認)、
-全生存期間(OS)、
-PSAWG基準に従って定義された進行に基づくPSA-PFS、
-RECISTバージョン1.0によって定義された進行に基づくX線撮影PFS(rPFS)、及び
-PFSの変化。
【0060】
患者は、PSAレベルが5ng/mL以上、かつ、Eastern Cooperative Oncology Group機能状態(ECOG PS)スコアが0又は1であることが求められた。患者は、試験治療が臨床的利益を引き続きもたらすと治験責任医師が判断した場合を除き、疾患の進行又は容認できない毒性が生じるまで、試験治療を受けた。全ての試験参加施設で審査委員会が試験を承認し、ヘルシンキ宣言に従って試験が実施された。患者は全員、試験に参加する旨のインフォームドコンセントを書面で提供した。
【0061】
バイオマーカー分析
探索的バイオマーカー分析を、JPN-201及びJPN-202の患者データに対して行って、2つの試験の間のPSA応答と生存率測定を比較し、mCRPCを有する日本人患者集団合計におけるアビラテロン抵抗性の分子機序を探索することによって、有効性の潜在的な差を探索した。アビラテロンの作用機序、又は前立腺癌の発達及び進行に関連するいくつかのバイオマーカーを、この分析で評価した(表1)。
【0062】
【表1】
CTCは5以上又は5未満に階級化された。
AR核たんぱく質発現はCTC 10%未満又は10%以上に二分化した。
ARたんぱく質発現の決定は、ARたんぱく質発現検出用のフィコエリスリン標識モノクローナル抗体を有するCellSearch(登録商標)CXCキットを用いて行われた。
評価された追加のmRNAバイオマーカー(AR FL、ARスプライス変異体、KLK3(PSA)、PSMA、CYP17、IFIH1、CDH1を含む)は、正常な健常患者から確立されたカットオフ値に基づいて、陽性又は陰性発現として二分化した(正常な健常患者からの血液サンプルにおける最大発現をカットオフとした)。
ベースラインはC1D1として定義される。
AR(アンドロゲン受容体);CTC(循環腫瘍細胞);C2D1(サイクル2、1日目);EOT(治療終了)。
【0063】
ベースライン及び試験終了又は進行時に得られた臨床的転帰と共にバイオマーカーの同定及び関連付けを、各試験において評価し、試験にわたって比較した。臨床的エンドポイントを伴うバイオマーカーの相関分析を、最初に試験プライマリーエンドポイントで行った。正の相関関係が見つかった場合、セカンダリーエンドポイントの更なる相関分析を実施した。アビラテロン治療に応答しなかった患者のサブセットの分子特性を、良好な応答を有する患者と比較して評価し、アビラテロン治療に対する抵抗性と相関するバイオマーカープロファイルを特定した。
【0064】
表1に示す様々な時点で、試験患者からサンプルを採取した。サイクル1の1日目(ベースライン)からサイクル4及び治療終了(EOT)までにわたって、CTC計数のために血液サンプル(10mL)を採取した。サイクル1の1日目(ベースライン)及び治療終了(EOT)に、ARたんぱく質発現の判定のために、追加の血液サンプルを採取した。RNAの分析のため、ベースライン及びEOTに、EDTA血液サンプルを採取した。
【0065】
CTC計数
CTC計数は、Clinical Research Solutions(CRS)検査機関(Janssen Diagnostics,LLC,Huntingdon Valley,PA)で行った。CTC数は、製造業者の指示に従って、CellSearch(登録商標)CTCキット(カタログ番号7900001)を使用して決定した。サンプルはCellTracks(登録商標)AutoPrep(登録商標)システムで処理し、CellTracks(登録商標)Analyzer IIで分析した。
【0066】
ARたんぱく質発現
ARたんぱく質発現分析(CTC核染色)は、製造業者の指示に従って、CellSearch(登録商標)CXCキット(カタログ番号7900017)を用いてCRS検査機関で行った。ARたんぱく質発現を検出するために、フィコエリスリン標識モノクローナル抗体でCTCを染色した。ARマーカー試薬なしで処理されたLNCaP細胞でスパイクした正常血液(バックグラウンド対照)と、ARマーカー試薬を含む正常血液(陽性対照)を使用して、それぞれ、フィコエリスリンチャネル内のバックグラウンドシグナルと、試薬の対照とを確立した。
【0067】
遺伝子発現分析
所定のRNA群からのmRNAバイオマーカーの遺伝子発現アッセイパネルを、定量的RT-PCRを使用して開発した。バイオマーカー分析を、単一マーカー分析として実施した。正常ドナー血液にスパイクされた前立腺モデル細胞株(LNCaP)(細胞0、10、50、100個)を用いて、AR完全長(AR FL)及びリガンド結合ドメインが欠落しているARスプライシング変異体(ARV1、ARV7、及びARV567)、GAPDH及びRPL19(ユニバーサル対照)、PSMA、CDH1、IFIH1、NPY、UBE2C、及びACADLを検出するための、アッセイが開発された。
【0068】
臨床試験患者からの血液サンプルを採取し、RNAサンプル調製のために、ヤンセンファーマ株式会社(日本)の契約施設に輸送した。RNAは、製造業者の指示に従って、Qiagen RNeasy(登録商標)Plus Microキット(カタログ番号74034)を使用して臨床試験患者からの冷凍細胞可溶化サンプルから抽出した後、製造業者の指示に従って、RNAアーゼ阻害剤と共に高容量cDNA逆転写キット(Thermo Fisher Scientific、カタログ番号4368814)を使用して、cDNA合成を行った。製造業者の指示に従って、Taqman Pre-ampマスターミックス(Thermo Fisher Scientific、カタログ番号4391128)を使用して事前増幅を行った後、ABI(Applied Biosystems)Taqmanプライマー/プローブ対を使用してPCR分析を行った。RPL19(ハウスキーピング遺伝子、NCBI遺伝子ID:6143)を用いてRNAサンプルを分析及び正規化し、遺伝子発現陽性は、健常対照(59サンプル)において観察される最大発現よりも高い遺伝子発現を有するものとして定義された(すなわち、非mCRPCの患者において観察された最大発現よりも高いmRNA発現が、遺伝子発現陽性と見なされた)。
【0069】
患者
患者95人(JPN-201において化学療法未経験者48人、及びJPN-202において化学療法前治療済み47人)が試験に参加し、両方の試験で治療された。バイオマーカー分析には、臨床的エンドポイントの少なくとも1つのデータを有し、かつ評価可能なバイオマーカーデータを有する、試験で治療を受けた全ての患者が含まれた(表2)。JPN-201及びJPN-202の全ての患者が、バイオマーカー分析データセットについて適格であった。バイオマーカーは、以下の計画された基準に基づいて分析から除外された:
-CTCたんぱく質発現で、CTCサンプルについて評価可能なCTCが3つ未満であるものは、評価不能であると見なされ、分析から除外された。
-全てのCTC mRNAバイオマーカーについて、GAPDH又はPSA測定値のいずれかが陰性である場合、サンプルは、試験した全てのmRNAバイオマーカーについて評価不能であると見なされ、分析から除外された。
【0070】
【表2】
更に59人の健常な患者対照サンプルも、mRNAバイオマーカー分析に利用可能であった。
【0071】
治療の中止をもたらした重篤な有害事象が生じた患者のデータは、分析から除去した。以下に、治療に留まった患者の分析が提供される。
【0072】
二群対応マクネマー検定を使用して、ベースラインからEOTへの二分化分類されたバイオマーカーの変化の相関を評価し、二群対応ウィルコクソン順位和検定を使用して、ベースラインからEOTへの連続的なバイオマーカーの変化を評価した。JPN-201及びJPN-202試験において、バイオマーカーと、臨床的応答によるバイオマーカーの変化の相関分析を、組み合わせて分析し、並びにそれぞれの試験で個別に分析した。ロジスティック回帰又はフィッシャーの正確確率検定を使用して、ベースライン又はEOTにおけるバイオマーカーレベルと臨床的エンドポイントとの相関を評価し、又は、ベースラインからのEOTにおけるバイオマーカーレベルの変化とPSA応答との相関を評価した。CTC数は、患者間のCTCの変動を補正するために、臨床的転帰との遺伝子発現相関分析に含められた。CTC数補正を伴うコックス比例ハザードモデルを使用して、事象エンドポイント、全生存期間、rPFS、及びPSAベースのPFSに対する経時的なバイオマーカーレベルの相関を評価した。CTCの補正を用いて、事象エンドポイントに対する経時的な生存分析を実施した。全ての分析について、未調整のP値が報告された。
【0073】
治療効果、バイオマーカー発現のEOT対ベースラインを、以下の表3に示す。
【0074】
【表3】
遺伝子発現は、健常対照において観察された最大レベルを使用して、二分化した。
行中にベースレベル、列中にEOTレベル。p値は、未調整p値である。
【0075】
ベースラインからEOT/EOSへの遺伝子発現の変化を分析し、関心対象遺伝子の結果を図1A図1B、及び表3に示す。PSMA発現を有する患者の割合は、総合試験分析においてEOTでベースラインよりも高かった(69%対48%、P=0.003、図1A)。AR FL発現を有する患者の割合は、ベースラインからの有意な変化は観察されなかった(52%対50%、P=1.0)。ARV1発現及びARV7発現を有する患者は、EOTでベースラインよりも高かった(それぞれ40%対10%、及び48%対26%、P<0.01)(図1B)。ARV567のベースライン及びEOT発現は、患者サンプルの大部分において検出できなかった(データは図示せず)。
【0076】
ベースラインのバイオマーカーと臨床的応答及び抵抗性との相関を評価した。表4は、ベースラインにおける主要有効性結果(PSA応答)を示し、表5はEOTにおけるPSA応答を示す。
【0077】
【表4】
PSA応答は、12週間でPSAの50%以上の低下として定義される。
遺伝子発現は、含まれるCTC数に関係なく、全てのRNAサンプルが、健常対照において観察された最大レベルを使用して遺伝子ごとに二分化された。
列方向にパーセンテージとして頻度が示されている。
P値は、フィッシャーの正確確率検定に基づく。
【0078】
【表5】
PSA応答は、12週間でPSAの50%以上の低下として定義される。
遺伝子発現は、含まれるCTC数に関係なく、全てのRNAサンプルが、健常対照において観察された最大レベルを使用して遺伝子ごとに二分化された。
全AR発現は、ARV1、ARV7、又はARV567のいずれか1つの発現陽性として定義される。
列方向にパーセンテージとして頻度が示されている。
P値は、フィッシャーの正確確率検定に基づく。
【0079】
プライマリーエンドポイントとの遺伝子発現の相関に関して、ベースライン及びEOTのPSMA発現は、より低いPSA応答率に相関する(ベースライン:PSMA+で30%、PSMA-で63%、P=0.01、EOT:PSMA+で31%、PSMA-で75%、P=0.01)。ベースライン及びEOTのAR FL発現は、PSA応答に有意な影響を及ぼさなかった(それぞれ、AR FL+で37%、AR FL-で58%、P=0.10、並びに、AR FL+で43%、AR FL-で48%、P=0.79)。ベースラインARV1又はARV7発現は、PSA応答に有意な影響を及ぼさなかった(ARV1+で40%、ARV1-で48%、P=0.74、ARV7+で44%、ARV7-で47%、P=1.0)。EOTのARV7発現は、より低いPSA応答に相関していた(ARV7+で29%、ARV7-で62%、P≦0.02)。陽性EOT NPY発現は、より低いPSA応答率に相関していた(応答者22%対非応答者59%、p=0.011)。
【0080】
バイオマーカー分析のために採取されたベースライン患者サンプルのうち、44%は、CTCが5以上であった(表6)。ベースラインCTCが5以上の患者のうち、34%~54%が治療時においてCTCが5未満に変わり、20%がEOT/EOSにおいてCTCが5未満を維持した。ベースラインCTCが5未満のサンプルの多くは(ベースラインで56%)、治療時に5未満を維持し(89~94%)、これは進行まで維持された(EOT/EOSに41%)。
【0081】
【表6】
【0082】
セカンダリーエンドポイントとの遺伝子発現相関に関して(図2A及び図2B)、ベースラインPSMA発現は、より短いrPFS、PFS、及びOSに相関していた(HR、2.3、3.2、及び4.9、それぞれP<0.05)(図2A)。EOTのPSMA発現は、より短いPFSに相関していた(HR、3.1、P=0.04)(図2A)。ベースラインのAR FL発現は、より短いPFSに相関し(HR、2.5、P=0.004)、より短いrPFSに相関していた(HR、1.77、P=0.048、図2B)。EOTのAR FL発現とrPFS、PFS、又はOSとの間の有意な相関のエビデンスはないことが観察された(HR、1.46、P=0.25;HR、1.90、P=0.06;及びHR、0.63、P=0.32)(図2B)。ベースラインのARV7発現は、rPFS、PFS、又はOSとの有意な相関を示さず、一方、EOTのARV7発現は、より短いPFSのみと有意な相関を示した(HR、2.7、P=0.01、図2B)。CDH1のEOT発現は、より短いPFS(HR、2.32、P=0.04)と相関し、またIFIH1は、より短いrPFSと相関していた(HR、4.54、P=0.06)(表7)。UBE2C(増殖マーカー)の陽性EOT発現は、より短いOS(HR、3.70、P=0.03)と相関し、ACADL(アンドロゲン関連脂肪酸β-酸化酵素)は、より短いPFS(HR、2.48、P=0.02)と相関していた(表7)。
【0083】
【表7】
評価された遺伝子は、正常な健常被験者から確立されたカットオフに基づいて、陽性又は陰性発現として二分化された。
P値は、フィッシャーの正確確率検定に基づく。
【0084】
総合試験分析において、EOT対ベースラインで、ARたんぱく質発現の有意な変化は観察されなかった(表8)。また、AR+及びAR-CTCの絶対値計数において、有意な変化はなかった(ベースライン対EOT)。AR FL+遺伝子発現とAR+たんぱく質発現(表9)との間の不一致が観察された。AR+CTCを有する18人の患者サンプルのうち16人(89%)が、AR FL+であり、AR-CTCを有する12人の患者サンプルのうち10人(83%)が、AR FL+であった。陽性ベースライン及びEOT AR発現は、PSA応答に有意な影響を及ぼさなかった(それぞれ、AR+で37%、AR-で36%、P=1.0、AR+で36%、AR-で37%、P=1.0)(表9)。ベースラインとEOTのいずれのAR発現も、臨床的セカンダリーエンドポイントとの有意な相関はなかった(P>0.05)。しかしながら、ベースラインAR発現の、AA+プレドニゾン治療患者におけるrPFSの改善との相関の傾向が観察された(HR、0.56、P=0.17、表10)。
【0085】
【表8】
ARたんぱく質発現は、CTCが10%未満(陰性)又は10%以上(陽性)として二分化した。対になっていない発現データが含まれる。
P値は、二群対応ウィルコクソン順位和検定に基づく。
【0086】
【表9】
評価された遺伝子は、正常な健常被験者から確立されたカットオフに基づいて、陽性又は陰性発現として二分化された。
ARたんぱく質発現は、CTCが10%未満(陰性)又は10%以上(陽性)として二分化した。CTCが5未満の患者は分析から除去した。
【0087】
【表10】
ARたんぱく質発現はCTC 10%未満又は10%以上に二分化した。CTCが5を超える患者は分析から除去した。
P値は、CTCを共変数としたコックス比例ハザードに基づく。
【0088】
考察
バイオマーカーを用いる戦略の全体的な目標は、日本人患者のmCRPCにおけるAA+プレドニゾンに対する感受性又は抵抗性に相関するバイオマーカープロファイルを特定することであった。AA+プレドニゾン抵抗性が生じた後の治療選択は困難であるが、この分析は、バイオマーカーガイドを提供して、その分子プロファイルに基づいて特定の患者に対する最適な治療を選択することができる。このバイオマーカー分析はまた、包括的なAR軸中心のCTCバイオマーカー試験を実施するための実現可能なアプローチを提供し、CTCにおけるAR及びそのスプライス変異体を評価するための方法を初めて確立するという点で、臨床診療においてより広範な影響を有する。
【0089】
ベースライン及びEOTのPSMA発現が、mCRPC患者における転帰不良に相関する潜在的バイオマーカーとして特定された。組み合わせたmCRPC患者集団と化学療法未経験患者の非応答者において、陽性PSMA発現がより高頻度で検出された。加えて、陽性ベースラインPSMA発現とより短いPFS及びrPFSとの間の相関が、化学療法未経験患者で観察された。バイオマーカーとしてのPSMA発現は、AA+プレドニゾン後の治療意思決定に関連性があり、mCRPCを有する患者、特に、化学療法を受けたことのない患者に関する治療戦略の設計に関連性がある。
【0090】
EOT ARV7発現は、より低いPSA応答に相関しており(ARV7+で29%、ARV7-で62%、P≦0.02)、またより短いPFSに相関しているが(HR、2.7、P=0.01)、ARV7のベースライン発現は臨床的転帰との相関を示さなかった。CTCにおける陽性AR核染色、又は野生型AR若しくはARスプライス変異体の発現は、PSA応答との相関を示さず、このことは、AA及びARシグナル伝達経路の不均一性に対する一次的抵抗性メカニズムの存在を示唆した。これらの結果は、去勢抵抗性前立腺癌患者のARV7発現が、アビラテロンに対する抵抗性に相関し得ることを報告した最近の報告と矛盾する(Antonarakis E.S.、et al.AR-V7 and resistance to enzalutamide and abiraterone in prostate cancer.N Engl J Med 2014;371:1028~1038;Qu F、et al.Association of AR-V7 and prostate specific antigen RNA levels in blood with efficacy of abiraterone acetate and enzalutamide treatment in men with prostate cancer.CIin Cancer Res 2017;23:726~34;Del Re M.、et al.The detection of androgen receptor splice variant 7 in plasma-derived exosomal RNA strongly predicts resistance to hormonal therapy in metastatic prostate cancer patients.Eur Urol 2017;71:680~7;and Todenhofer T、et al.AR-V7 transcripts in whole blood RNA of patients with metastatic castration resistant prostate cancer correlate with response to abiraterone acetate.J Urol 2017;197:135~42)。アビラテロン酢酸エステルの投与を受けている患者の中で、ARV7陽性患者は、ARV7陰性患者よりも低いPSA応答率(0%対68%、p=0.004)、より短いPSA-PFS(中央値、1.3か月対未到達、p<0.001)、臨床的又はX線撮影の進行がない生存(中央値、2.3か月対未到達、p<0.001)、並びに全生存期間(中央値、10.6か月対未到達、p=0.006)を有していた。血液中のベースラインの高いARV7発現も、mCRPCを有するAA治療患者において不良なOS転帰を予測することが報告された。血漿由来エクソソームからの新しいRNA抽出方法を評価した試験では、ARV7+参加者のベースラインでのOSは、AA又はエンザルタミドで治療を受けたCRPCのARV7-患者に比べて、有意に短かった(8か月対未到達、P<0.001)。しかしながら、CRPC患者の特定のサブグループは、CTTCのARV7スプライス変異体の検出にもかかわらず、AA+プレドニゾン及び/又はエンザルタミドから利益を得ることができることも示されている(Bernemann C、et al.Expression of AR-V7 in circulating tumour cells does not preclude response to next generation androgen deprivation therapy in patients with castration resistant prostate cancer.Eur Urol 2017;71:1~3)。2つの試験を組み合わせた場合に、PSA応答者よりもPSA非応答者において、陽性PSMA発現を有する患者のより高い頻度が観察された。
【0091】
mRNAとたんぱく質AR発現との間の不一致が観察され、これらのバイオマーカーと臨床的転帰との間の相関分析が観察された。この分析では、mRNAアッセイは、たんぱく質アッセイよりも高い感度を有すると見られる。ベースラインAR FL発現は、臨床的転帰の悪化と相関していた。特に、AA+プレドニゾン治療患者におけるより短いPFSと有意な相関を示した(HR、2.5、P=0.004)。一方、ベースラインARたんぱく質発現は、改善された臨床的転帰の傾向を示し、具体的には改善されたrPFSの傾向を示した(HR、0.56、P=0.17)。この分析における患者におけるAR FLの発現は、AR発現とは相関しなかったため、これらの結果における不一致は、AA+プレドニゾンの臨床的利益に対するAR発現の依存性によるものであり得る。AAは、遺伝子(例えば、IFIH1、CDH1)の発現を抑制し、典型的には、ドセタキセル抵抗性腫瘍において減少した。これらの遺伝子は、2つのCRPC細胞株(22)におけるドセタキセルに対する抵抗性についての探索的マイクロアレイ分析によって特定された。上皮細胞接着分子CDH1は、上皮間葉移行プロセスに関連し、一方、IFIH1は、抗ウイルス細胞応答(22)に関連している。
【0092】
結論
ベースライン及びEOTのPSMAの頻度が高いことは、より不良な転帰(すなわち、mCRPC患者、特に化学療法未経験患者について、AAに対する抵抗バイオマーカー)に相関していた。ベースライン及びEOTのARV7は、転帰との弱い相関を示した。NPY、UBE2C、及びACADLのEOT発現は、不良な転帰と相関していた。AAは、遺伝子IFIH1及びCDH1の発現を抑制し、典型的には、ドセタキセル抵抗性腫瘍において減少した。
【0093】
当業者であれば、本発明の好ましい実施形態に対して、多数の変更及び修正を加えることができ、そのような変更及び修正を、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で行うことができることを理解するであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の趣旨及び範囲に含まれる、そのような等価的な変形の全てを網羅することが意図されている。
【0094】
本明細書に引用又は記載されている各特許、特許出願、及び刊行物の開示は、その全文において本明細書に参考として組み込まれる。
【0095】
実施形態
以下の実施形態のリストは、前述の明細書に置き換え又は取って代わるものではなく、補完することを意図している。
【0096】
実施形態1.患者におけるアビラテロン酢酸エステル-糖質コルチコイド抵抗性転移性去勢抵抗性前立腺癌を診断及び治療する方法であって、
アビラテロン酢酸エステル及び糖質コルチコイド治療を受けた患者において、患者の生体サンプル中のPSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせのレベルが上昇しているときに、患者がアビラテロン酢酸エステル-糖質コルチコイド抵抗性転移性去勢抵抗性前立腺癌を有すると診断することと、
診断された患者を、アビラテロン酢酸エステル及び糖質コルチコイド以外の治療薬の治療有効量で、又はアビラテロン酢酸エステル及び糖質コルチコイドに加えて追加の治療薬の治療有効量を組み合わせて、治療することと、を含む、方法。
【0097】
実施形態2.患者におけるアビラテロン酢酸エステル-糖質コルチコイド感受性転移性去勢抵抗性前立腺癌を診断及び治療する方法であって、
アビラテロン酢酸エステル及び糖質コルチコイド治療を受けた患者において、患者の生体サンプル中のPSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせのレベルが上昇していないときに、患者がアビラテロン酢酸エステル-糖質コルチコイド感受性転移性去勢抵抗性前立腺癌を有すると診断することと、
診断された患者を、治療有効量のアビラテロン酢酸エステル及び糖質コルチコイドで治療することと、を含む、方法。
【0098】
実施形態3.診断の前に、患者の生体サンプル中のPSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせのレベルを検出することを更に含む、実施形態1又は2に記載の方法。
【0099】
実施形態4.生体サンプルが循環腫瘍細胞を含む、実施形態3に記載の方法。
【0100】
実施形態5.PSMA、ACADL、NPY、又はUBE2Cのレベルが、PSMA、ACADL、NPY、又はUBE2C mRNAのレベルである、実施形態1~4のいずれか一つに記載の方法。
【0101】
実施形態6.診断の前に、PSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせのレベルを対照と比較することを更に含む、実施形態1~5のいずれか一つに記載の方法。
【0102】
実施形態7.対照が、患者からのPSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせの以前のレベルを含む、実施形態6に記載の方法。
【0103】
実施形態8.対照が、転移性去勢抵抗性前立腺癌を有さない患者又は患者集団からのPSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせのレベルを含む、実施形態6に記載の方法。
【0104】
実施形態9.転移性去勢抵抗性前立腺癌を有する患者におけるアビラテロン酢酸エステル及び糖質コルチコイド治療に対する抵抗性又は感受性を検出する方法であって、方法は、
アビラテロン酢酸エステル及び糖質コルチコイド治療を受けた患者からの生体サンプル中のPSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせのレベルを判定することを含み、
PSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせのレベルの上昇は、アビラテロン酢酸エステル-糖質コルチコイド治療に対する抵抗性の獲得を示し、
PSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせのレベルの非上昇は、アビラテロン酢酸エステル-糖質コルチコイド治療に対する感受性を示す、方法。
【0105】
実施形態10.PSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせのレベルが、PSMA、ACADL、NPY、又はUBE2C mRNAのレベルである、実施形態9に記載の方法。
【0106】
実施形態11.患者が、対照と比較して、PSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせのレベル上昇を有するか、又は上昇を有さない、実施形態9又は10に記載の方法。
【0107】
実施形態12.対照が、患者からのPSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせの以前のレベルを含む、実施形態11に記載の方法。
【0108】
実施形態13.対照が、転移性去勢抵抗性前立腺癌を有さない患者又は患者集団におけるPSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせのレベルを含む、実施形態11に記載の方法。
【0109】
実施形態14.転移性去勢抵抗性前立腺癌を治療する方法であって、
治療有効量のアビラテロン酢酸エステル及び治療有効量の糖質コルチコイドを、mCRPC患者に投与することを含み、患者は、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせのレベルの上昇を有さない、方法。
【0110】
実施形態15.患者が、アビラテロン酢酸エステル及び糖質コルチコイド治療を受けていた、実施形態14に記載の方法。
【0111】
実施形態16.患者が、PSMAのレベル上昇を有さない、実施形態15に記載の方法。
【0112】
実施形態17.アビラテロン酢酸エステル及び糖質コルチコイドが、同時投与又は逐次投与される、実施形態14~16のいずれか一つに記載の方法。
【0113】
実施形態18.PSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせのレベルが、PSMA、ACADL、NPY、又はUBE2C mRNAのレベルである、実施形態14~17のいずれか一つに記載の方法。
【0114】
実施形態19.患者が、対照と比較して、PSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせのレベル上昇を有さない、実施形態14~18のいずれか一つに記載の方法。
【0115】
実施形態20.対照が、患者からのPSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせの以前のレベルを含む、実施形態19に記載の方法。
【0116】
実施形態21.対照が、転移性去勢抵抗性前立腺癌を有さない患者又は患者集団におけるPSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせのレベルを含む、実施形態20に記載の方法。
【0117】
実施形態22.転移性去勢抵抗性前立腺癌を治療する方法であって、
治療有効量のアビラテロン酢酸エステル及び治療有効量の糖質コルチコイドを、アビラテロン酢酸エステル及び糖質コルチコイド治療を受けた患者に投与することを含み、患者は、PSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせのレベル上昇を有さない、方法。
【0118】
実施形態23.アビラテロン酢酸エステル及び糖質コルチコイドが、同時投与又は逐次投与される、実施形態22に記載の方法。
【0119】
実施形態24.PSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせのレベルが、PSMA、ACADL、NPY、又はUBE2C mRNAのレベルである、実施形態22又は23に記載の方法。
【0120】
実施形態25.患者が、対照と比較して、PSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせのレベル上昇を有さない、実施形態22~24のいずれか一つに記載の方法。
【0121】
実施形態26.対照が、患者からのPSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせの以前のレベルを含む、実施形態25に記載の方法。
【0122】
実施形態27.対照が、転移性去勢抵抗性前立腺癌を有さない患者又は患者集団におけるPSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせのレベルを含む、実施形態25に記載の方法。
【0123】
実施形態28.転移性去勢抵抗性前立腺癌を治療する方法であって、
ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせのレベル上昇を有さない患者に、治療有効量のアビラテロン酢酸エステル及び治療有効量の糖質コルチコイドを投与して、転移性去勢抵抗性前立腺癌を治療する、方法。
【0124】
実施形態29.患者が、アビラテロン酢酸エステル及び糖質コルチコイド治療を受けていた、実施形態28に記載の方法。
【0125】
実施形態30.患者が、PSMAのレベル上昇を有さない、実施形態29に記載の方法。
【0126】
実施形態31.アビラテロン酢酸エステル及び糖質コルチコイドが、同時投与又は逐次投与される、実施形態28~30のいずれか一つに記載の方法。
【0127】
実施形態32.PSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせのレベルが、PSMA、ACADL、NPY、又はUBE2C mRNAのレベルである、実施形態28~31のいずれか一つに記載の方法。
【0128】
実施形態33.患者が、対照と比較して、PSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせのレベル上昇を有さない、実施形態28~32のいずれか一つに記載の方法。
【0129】
実施形態34.対照が、患者からのPSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせの以前のレベルを含む、実施形態33に記載の方法。
【0130】
実施形態35.対照が、転移性去勢抵抗性前立腺癌を有さない患者又は患者集団におけるPSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせのレベルを含む、実施形態34に記載の方法。
【0131】
実施形態36.転移性去勢抵抗性前立腺癌を治療する方法であって、
PSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせのレベル上昇を有さない患者に、治療有効量のアビラテロン酢酸エステル及び治療有効量の糖質コルチコイドを投与して、転移性去勢抵抗性前立腺癌を治療する、方法。
【0132】
実施形態37.アビラテロン酢酸エステル及び糖質コルチコイドが、同時投与又は逐次投与される、実施形態36に記載の方法。
【0133】
実施形態38.PSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせのレベルが、PSMA、ACADL、NPY、又はUBE2C mRNAのレベルである、実施形態36又は37に記載の方法。
【0134】
実施形態39.患者が、対照と比較して、PSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせのレベル上昇を有さない、実施形態36~38のいずれか一つに記載の方法。
【0135】
実施形態40.対照が、患者からのPSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせの以前のレベルを含む、実施形態39に記載の方法。
【0136】
実施形態41.対照が、転移性去勢抵抗性前立腺癌を有さない患者又は患者集団におけるPSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせのレベルを含む、実施形態40に記載の方法。
【0137】
実施形態42.転移性去勢抵抗性前立腺癌を有する患者におけるアビラテロン酢酸エステル-糖質コルチコイド治療に対する感受性又は抵抗性獲得を予測する際の、PSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせの使用。
【0138】
実施形態43.転移性去勢抵抗性前立腺癌を有する患者におけるアビラテロン酢酸エステル-糖質コルチコイド治療に対する感受性又は抵抗性獲得を予測する際に使用するための、PSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせ。
【0139】
実施形態44.PSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせは、患者からの生体サンプルから得られるmRNAであり、患者は、アビラテロン酢酸エステル及び糖質コルチコイド治療を受けていた、実施形態42又は43に記載の使用。
【0140】
実施形態45.糖質コルチコイドが、プレドニゾン、プレドニゾロン、ヒドロコルチゾン、デキサメタゾン、コルチゾン、又はメチルプレドニゾロンである、実施形態1~41のいずれか一つに記載の方法、又は実施形態42~44のいずれか一つに記載の使用。

以下の態様を包含し得る。
[1] 患者におけるアビラテロン酢酸エステル-糖質コルチコイド抵抗性転移性去勢抵抗性前立腺癌を診断及び治療する方法であって、
アビラテロン酢酸エステル及び糖質コルチコイド治療を受けた患者において、該患者の生体サンプル中のPSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせのレベルが上昇しているときに、該患者がアビラテロン酢酸エステル-糖質コルチコイド抵抗性転移性去勢抵抗性前立腺癌を有すると診断することと、
該診断された患者を、アビラテロン酢酸エステル及び糖質コルチコイド以外の治療薬で、又はアビラテロン酢酸エステル及び糖質コルチコイドに加えて追加の治療薬を組み合わせて、治療することと、を含む、方法。
[2] 患者におけるアビラテロン酢酸エステル-糖質コルチコイド感受性転移性去勢抵抗性前立腺癌を診断及び治療する方法であって、
アビラテロン酢酸エステル及び糖質コルチコイド治療を受けた患者において、該患者の生体サンプル中のPSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせのレベルが上昇していないときに、該患者がアビラテロン酢酸エステル-糖質コルチコイド感受性転移性去勢抵抗性前立腺癌を有すると診断することと、
該診断された患者を、アビラテロン酢酸エステル及び糖質コルチコイドで治療することと、を含む、方法。
[3] 前記診断の前に、前記患者の生体サンプル中のPSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせのレベルを検出することを更に含む、上記[1]又は[2]に記載の方法。
[4] 前記生体サンプルが循環腫瘍細胞を含む、上記[3]に記載の方法。
[5] PSMA、ACADL、NPY、又はUBE2Cのレベルが、PSMA、ACADL、NPY、又はUBE2C mRNAのレベルである、上記[1]~[4]のいずれか一項に記載の方法。
[6] 前記診断の前に、PSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせの前記レベルを対照と比較することを更に含む、上記[1]~[5]のいずれか一項に記載の方法。
[7] 前記対照が、前記患者からのPSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせの以前のレベルを含む、上記[6]に記載の方法。
[8] 前記対照が、転移性去勢抵抗性前立腺癌を有さない患者又は患者集団からのPSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせのレベルを含む、上記[6]に記載の方法。
[9] 転移性去勢抵抗性前立腺癌を有する患者におけるアビラテロン酢酸エステル及び糖質コルチコイド治療に対する抵抗性又は感受性を検出する方法であって、該方法は、
アビラテロン酢酸エステル及び糖質コルチコイド治療を受けた該患者からの生体サンプル中のPSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせのレベルを判定することを含み、
PSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせのレベルの上昇は、アビラテロン酢酸エステル-糖質コルチコイド治療に対する抵抗性の獲得を示し、
PSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせのレベルの非上昇は、アビラテロン酢酸エステル-糖質コルチコイド治療に対する感受性を示す、方法。
[10] PSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせのレベルが、PSMA、ACADL、NPY、又はUBE2C mRNAのレベルである、上記[9]に記載の方法。
[11] 前記患者が、対照と比較して、PSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせのレベル上昇を有するか、又は上昇を有さない、上記[9]又は[10]に記載の方法。
[12] 前記対照が、前記患者からのPSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせの以前のレベルを含む、上記[11]に記載の方法。
[13] 前記対照が、転移性去勢抵抗性前立腺癌を有さない患者又は患者集団におけるPSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせのレベルを含む、上記[11]に記載の方法。
[14] 患者における転移性去勢抵抗性前立腺癌を治療する方法であって、
転移性去勢抵抗性前立腺癌を治療するために該患者に対してアビラテロン酢酸エステル及び糖質コルチコイドを投与することを含み、該患者はACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせのレベル上昇を有さない、方法。
[15] 前記患者が、アビラテロン酢酸エステル及び糖質コルチコイド治療を受けていた、上記[14]に記載の方法。
[16] 前記患者が、PSMAのレベル上昇を有さない、上記[15]に記載の方法。
[17] アビラテロン酢酸エステル及び糖質コルチコイドが、同時投与又は逐次投与される、上記[14]~[16]のいずれか一項に記載の方法。
[18] PSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせのレベルが、PSMA、ACADL、NPY、又はUBE2C mRNAのレベルである、上記[14]~[17]のいずれか一項に記載の方法。
[19] 前記患者が、対照と比較して、PSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせのレベル上昇を有さない、上記[14]~[18]のいずれか一項に記載の方法。
[20] 前記対照が、前記患者からのPSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせの以前のレベルを含む、上記[19]に記載の方法。
[21] 前記対照が、転移性去勢抵抗性前立腺癌を有さない患者又は患者集団におけるPSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせのレベルを含む、上記[19]に記載の方法。
[22] 患者における転移性去勢抵抗性前立腺癌を治療する方法であって、
転移性去勢抵抗性前立腺癌を治療するために該患者に対してアビラテロン酢酸エステル及び糖質コルチコイドを投与することを含み、該患者はアビラテロン酢酸エステル及び糖質コルチコイド治療を受けたことがあり、かつ、該患者はPSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせのレベル上昇を有さない、方法。
[23] アビラテロン酢酸エステル及び糖質コルチコイドが、同時投与又は逐次投与される、上記[22]に記載の方法。
[24] PSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせのレベルが、PSMA、ACADL、NPY、又はUBE2C mRNAのレベルである、上記[22]又は[23]に記載の方法。
[25] 前記患者が、対照と比較して、PSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせのレベル上昇を有さない、上記[22]~[24]のいずれか一項に記載の方法。
[26] 前記対照が、前記患者からのPSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせの以前のレベルを含む、上記[25]に記載の方法。
[27] 前記対照が、転移性去勢抵抗性前立腺癌を有さない患者又は患者集団におけるPSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせのレベルを含む、上記[25]に記載の方法。
[28] 転移性去勢抵抗性前立腺癌を有する患者におけるアビラテロン酢酸エステル-糖質コルチコイド治療に対する感受性又は抵抗性獲得を予測する際の、PSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせの使用。
[29] 転移性去勢抵抗性前立腺癌を有する患者におけるアビラテロン酢酸エステル-糖質コルチコイド治療に対する感受性又は抵抗性獲得を予測する際に使用するための、PSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせ。
[30] 前記PSMA、ACADL、NPY、UBE2C、又はこれらの任意の組み合わせは、前記患者からの生体サンプルから得られるmRNAであり、該患者は、アビラテロン酢酸エステル及び糖質コルチコイド治療を受けていた、上記[28]又は[29]に記載の使用。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B