(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】カメラ装置
(51)【国際特許分類】
G02B 7/04 20210101AFI20221220BHJP
G02B 7/02 20210101ALI20221220BHJP
G03B 17/02 20210101ALI20221220BHJP
G03B 17/04 20210101ALI20221220BHJP
【FI】
G02B7/04 Z
G02B7/02 D
G03B17/02
G03B17/04
(21)【出願番号】P 2021565509
(86)(22)【出願日】2020-12-09
(86)【国際出願番号】 JP2020045801
(87)【国際公開番号】W WO2021125003
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-06-16
(31)【優先権主張番号】P 2019228954
(32)【優先日】2019-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001225
【氏名又は名称】日本電産コパル株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109896
【氏名又は名称】森 友宏
(72)【発明者】
【氏名】若山 富裕
(72)【発明者】
【氏名】小澤 雄一
(72)【発明者】
【氏名】村山 美樹
(72)【発明者】
【氏名】桐原 武久
(72)【発明者】
【氏名】田坂 恒
【審査官】殿岡 雅仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-233381(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0140712(KR,A)
【文献】特開2002-350954(JP,A)
【文献】特開平08-304903(JP,A)
【文献】特開2002-196209(JP,A)
【文献】特開2002-162677(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/02 - 7/16
G03B 17/02 - 17/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
写真フィルムが収容されるフィルム収容部と、前記フィルム収容部から光軸方向に延びるバレル部とを含むフレームと、
前記バレル部の内側で前記光軸方向に沿って移動可能なレンズ鏡筒であって、
前記バレル部の半径方向内側に収容された状態から前記バレル部に対して前方に移動可能な後方鏡筒ユニットと、
前記後方鏡筒ユニットの半径方向内側に収容された状態から前記後方鏡筒ユニットに対して前方に移動可能な前方鏡筒ユニットであって、内部に少なくとも1つのレンズが収容される前方鏡筒ユニットと、
を含むレンズ鏡筒と、
前記フレームと前記後方鏡筒ユニットとの間を連結する後方ベローズと、
前記後方鏡筒ユニットと前記前方鏡筒ユニットとの間を連結する前方ベローズと
を備え、
前記レンズ鏡筒は、
前記後方鏡筒ユニットが前記バレル部の半径方向内側に収容され、前記前方鏡筒ユニットが前記後方鏡筒ユニットの半径方向内側に収容された沈胴状態と、
前記後方鏡筒ユニットが前記バレル部に対して前方に繰り出し、前記前方鏡筒ユニットが前記後方鏡筒ユニットの半径方向内側に収容された第1の撮影状態と、
前記後方鏡筒ユニットが前記バレル部に対して前方に繰り出し、前記前方鏡筒ユニットが前記後方鏡筒ユニットに対して前方に繰り出した第2の撮影状態と
を実現可能に構成され、
前記第1の撮影状態では、前記後方ベローズは、伸びた状態であり、前記少なくとも1つのレンズから前記写真フィルムに投影される光線の外側に位置し、前記前方ベローズは、少なくとも部分的に縮んだ状態であるが、前記少なくとも1つのレンズから前記写真フィルムに投影される光線の外側に位置する、
カメラ装置。
【請求項2】
前記沈胴状態では、前記前方ベローズ及び前記後方ベローズの双方が少なくとも部分的に縮んだ状態である、請求項1に記載のカメラ装置。
【請求項3】
前記後方鏡筒ユニットは、
第1の筒部と、
前記第1の筒部の半径方向内側に収容された状態から前記第1の筒部に対して前方に移動可能な第2の筒部と
を含む、請求項1又は2に記載のカメラ装置。
【請求項4】
前記前方鏡筒ユニットは、
前記第1の撮影状態では前記後方鏡筒ユニットの前記第2の筒部の半径方向内側に収容され、
前記第2の撮影状態では前記後方鏡筒ユニットの前記第2の筒部に対して前方に繰り出す
ように構成される第3の筒部を含む、
請求項3に記載のカメラ装置。
【請求項5】
前記後方鏡筒ユニットは、前記後方ベローズ及び前記前方ベローズが連結される第1の連結フランジを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のカメラ装置。
【請求項6】
前記前方鏡筒ユニットは、前記前方ベローズが連結される第2の連結フランジを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載のカメラ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラ装置に係り、特に伸縮自在のベローズを用いてレンズ鏡筒を繰り出すカメラ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来からレンズ鏡筒を光軸方向に沿って前方に繰り出す鏡筒繰出機構を有するカメラが知られている。このようなカメラにおいては、レンズ鏡筒を繰り出す際の遮光と防塵のために、レンズ鏡筒とカメラ本体とを伸縮自在のベローズで連結することが一般的である(例えば、特許文献1参照)。ここで、通常の撮影に加えて近距離での撮影(マクロ撮影)を行うためには、通常の撮影時からさらにレンズ鏡筒を繰り出す必要があるが、レンズ鏡筒の繰り出し距離が長くなると、上述したベローズの伸縮の程度も大きくなるため、縮んだベローズが写真フィルムに投影される像に映り込んでケラレが生じることが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、遮光と防塵を図りつつ、ケラレを生じさせることなく、レンズの位置が異なる2種類の撮影を行うことができるカメラ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、遮光と防塵を図りつつ、ケラレを生じさせることなく、レンズの位置が異なる2種類の撮影を行うことができるカメラ装置が提供される。このカメラ装置は、写真フィルムが収容されるフィルム収容部と、上記フィルム収容部から光軸方向に延びるバレル部とを含むフレームと、上記バレル部の内側で上記光軸方向に沿って移動可能なレンズ鏡筒とを備える。上記レンズ鏡筒は、上記バレル部の半径方向内側に収容された状態から上記バレル部に対して前方に移動可能な後方鏡筒ユニットと、上記後方鏡筒ユニットの半径方向内側に収容された状態から上記後方鏡筒ユニットに対して前方に移動可能な前方鏡筒ユニットとを含む。上記前方鏡筒ユニットの内部には少なくとも1つのレンズが収容される。上記カメラ装置は、上記フレームと上記後方鏡筒ユニットとの間を連結する後方ベローズと、上記後方鏡筒ユニットと上記前方鏡筒ユニットとの間を連結する前方ベローズとをさらに備える。上記レンズ鏡筒は、上記後方鏡筒ユニットが上記バレル部の半径方向内側に収容され、上記前方鏡筒ユニットが上記後方鏡筒ユニットの半径方向内側に収容された沈胴状態と、上記後方鏡筒ユニットが上記バレル部に対して前方に繰り出し、上記前方鏡筒ユニットが上記後方鏡筒ユニットの半径方向内側に収容された第1の撮影状態と、上記後方鏡筒ユニットが上記バレル部に対して前方に繰り出し、上記前方鏡筒ユニットが上記後方鏡筒ユニットに対して前方に繰り出した第2の撮影状態とを実現可能に構成される。上記第1の撮影状態では、上記後方ベローズは、伸びた状態であり、上記少なくとも1つのレンズから上記写真フィルムに投影される光線の外側に位置し、上記前方ベローズは、少なくとも部分的に縮んだ状態であるが、上記少なくとも1つのレンズから上記写真フィルムに投影される光線の外側に位置する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態におけるカメラ装置を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示すカメラ装置のフロントカバー、リアカバー、及びトップカバーにより形成される内部空間に収容される構成要素の一部を示す分解斜視図である。
【
図3】
図3は、
図2に示すレンズ鏡筒が+X方向に最大限伸びた状態を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、
図1に示すカメラ装置の第1の撮影状態を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、
図1に示すカメラ装置の第2の撮影状態を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、
図1に示す沈胴状態におけるカメラ装置の部分縦断面図である。
【
図7】
図7は、
図2に示す後方ベローズの取付状態を説明するための分解斜視図である。
【
図8】
図8は、
図6に示す前方ベローズの取付状態を説明するための分解斜視図である。
【
図9】
図9は、
図4に示す第1の撮影状態におけるカメラ装置の部分縦断面図である。
【
図10】
図10は、
図5に示す第2の撮影状態におけるカメラ装置の部分縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明に係るカメラ装置の実施形態について
図1から
図10を参照して詳細に説明する。なお、
図1から
図10において、同一又は相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。また、
図1から
図10においては、各構成要素の縮尺や寸法が誇張されて示されている場合や一部の構成要素が省略されている場合がある。
【0008】
図1は、本発明の一実施形態におけるカメラ装置1を示す斜視図である。本実施形態におけるカメラ装置1は、撮影後に自動的に現像が行われる写真フィルムを用いるカメラ(インスタントカメラ)であるが、本発明はこのようなインスタントカメラ以外にも適用できることは言うまでもない。なお、本実施形態では、便宜的に、
図1における+X方向を「前」又は「前方」といい、-X方向を「後」又は「後方」ということとする。
【0009】
図1に示すように、カメラ装置1は、フロントカバー2と、フロントカバー2の後方に装着されるリアカバー3と、フロントカバー2とリアカバー3とに挟まれるトップカバー4と、フロントカバー2の筒状部2Aの内側に収容されるレンズ鏡筒10とを備えている。フロントカバー2にはファインダ窓5が形成されており、このファインダ窓5に隣接してフラッシュ窓6が配置されている。また、ファインダ窓5の-Z方向側にはレリーズボタン7が配置されている。トップカバー4には、Y方向に延びる排出スリット4Aが形成されており、この排出スリット4Aから撮影後に現像された写真フィルムが排出されるようになっている。
【0010】
図2は、フロントカバー2、リアカバー3、及びトップカバー4により形成される内部空間に収容される構成要素の一部を示す分解斜視図である。
図2に示すように、カメラ装置1は、内部に写真フィルムが収容される収容空間Sが形成されたフィルム収容部21と、フィルム収容部21の前方(+X方向)に取り付けられる筒状のバレル部22とを含むフレーム20を備えている。バレル部22にはネジ孔22Aが形成されており、フィルム収容部21にもネジ孔21Aが形成されている。これらのネジ孔22A,21Aにネジ(図示せず)を螺合させることにより、バレル部22がフィルム収容部21に取り付けられてフレーム20が構成される。バレル部22がフィルム収容部21に取り付けられた状態では、バレル部22は、フィルム収容部21から前方(+X方向)に延びており、このバレル部22の内部にレンズ鏡筒10が保持される。
【0011】
本実施形態におけるレンズ鏡筒10は、+X方向に伸長可能な構造となっている。
図3は、+X方向に最大限伸長した状態のレンズ鏡筒10を示す斜視図である。
図3に示すように、レンズ鏡筒10は、第1の筒部11と第2の筒部12と第3の筒部13とを含んでいる。第1の筒部11はフレーム20のバレル部22に対してX方向に移動可能であり、第2の筒部12は第1の筒部11に対してX方向に移動可能となっている。また、第3の筒部13は第2の筒部12に対してX方向に移動可能となっている。本実施形態では、第1の筒部11及び第2の筒部12は1つの鏡筒ユニット(後方鏡筒ユニット)を構成しており、第3の筒部13はもう1つの鏡筒ユニット(前方鏡筒ユニット)を構成している。
【0012】
図3に示すように、レンズ鏡筒10の第1の筒部11の後端部には半径方向外側に突出する2つの係合突起14が形成されている。それぞれの係合突起14に対応して、フレーム20のバレル部22には、
図2に示すように、光軸Pの方向(X方向)に沿って延びる2つのガイド溝24が形成されている。レンズ鏡筒10のそれぞれの係合突起14は、バレル部22のガイド溝24の内部に収容され、ガイド溝24に係合するようになっている。ガイド溝24のZ方向の幅は、係合突起14のZ方向の幅よりわずかに大きい程度となっている。したがって、係合突起14はガイド溝24にガイドされつつ、ガイド溝24の内部で光軸Pの方向(X方向)に移動するようになっている。
【0013】
図2に示すように、フレーム20のバレル部22には、操作ボタン8が+X方向に付勢された状態で設けられている。この操作ボタン8は、
図1に示すように、フロントカバー2の筒状部2Aの近傍でフロントカバー2から+X方向に突出しており、ユーザが操作ボタン8を-X方向に押し込めるようになっている。ユーザが操作ボタン8を-X方向に押し込むと、バレル部22に取り付けられた鏡筒繰出機構9によってレンズ鏡筒10の係合突起14が+X方向に押し出され、
図4に示すように、レンズ鏡筒10が+X方向に繰り出されるようになっている。このようにレンズ鏡筒10がバレル部22から+X方向に飛び出すと、図示しないスイッチ機構によりカメラ装置1の電源が入る。なお、鏡筒繰出機構9は特定のものに限られるものではなく、レンズ鏡筒10を+X方向に繰り出すことができるのであればどのような構造のものであってもよい。
【0014】
本実施形態では、第1の筒部11がバレル部22に対して+X方向に移動する際に、図示しない移動機構により第2の筒部12が第1の筒部11に対して+X方向に移動するようになっている。このため、
図4に示すように、第2の筒部12が第1の筒部11から+X方向に繰り出した状態となる。この状態でユーザは通常の撮影を行うことができる。以下、この状態を「第1の撮影状態」ということとする。
【0015】
また、本実施形態では、
図4に示す状態においてユーザが手で第3の筒部13を第2の筒部12からさらに+X方向に引き出すことができるようになっている。第3の筒部13を第2の筒部12からさらに+X方向に引き出すと、
図5に示すように、第3の筒部13が第2の筒部12から+X方向に繰り出した状態となる。この状態でユーザは例えば近距離のマクロ撮影を行うことができる。以下、この状態を「第2の撮影状態」ということとする。
【0016】
図1は、レンズ鏡筒10がフレーム20のバレル部22に収容された状態を示しており、この状態ではレンズ鏡筒10がX方向に最も短くなっている。以下、この状態を「沈胴状態」ということとする。
図6は、この沈胴状態におけるカメラ装置1の部分縦断面図である。
図6に示すように、第3の筒部13の内部には、被写体側(+X方向側)から順番に、バリア131、第1レンズ132、絞り133、及び第2レンズ134が順番に収容されている。なお、フィルム収容部21の収容空間Sの所定の位置には写真フィルムFが配置される。
【0017】
図6に示すように、レンズ鏡筒10の第1の筒部11とフレーム20のフィルム収容部21との間には後方ベローズ50が設けられている。この後方ベローズ50は、例えばゴムなどの柔軟性のある材料から構成され、バレル部22に対する第1の筒部11の移動に伴い伸縮するように構成されている。
図2に示すように、後方ベローズ50の内側には、矩形状の開口部Tが形成されており、この開口部Tは、第1の筒部11からフレーム20に向かうにつれて次第に大きくなるような形状を有している。後方ベローズ50の後端部には、外側に広がる矩形状の後側連結部51が形成されており、この後側連結部51は、
図6に示すように、フィルム収容部21とバレル部22との間に挟み込まれて保持されるようになっている。
【0018】
図7は、後方ベローズ50の取付状態を説明するための分解斜視図である。
図2及び
図7に示すように、後方ベローズ50の前端部には、内側に延びる矩形状の前側連結部52が形成されており、この前側連結部52には複数のネジ孔52Aが形成されている。
図7に示すように、レンズ鏡筒10の第1の筒部11は、その後端部に矩形枠状の連結フランジ41(第1の連結フランジ)を有しており、この連結フランジ41には、後方ベローズ50の前側連結部52のネジ孔52Aに対応してネジ孔41Aが形成されている。後方ベローズ50の前側連結部52の後方(-X方向側)には、矩形枠状の取付プレート55が配置されている。この取付プレート55にも後方ベローズ50の前側連結部52のネジ孔52Aに対応してネジ孔55Aが形成されている。取付プレート55のネジ孔55A、後方ベローズ50の前側連結部52のネジ孔52A、及び第1の筒部11の連結フランジ41のネジ孔41Aにネジ56を螺合することにより、後方ベローズ50の前側連結部52が取付プレート55と第1の筒部11の連結フランジ41との間に挟み込まれて保持される。
【0019】
図6に示すように、レンズ鏡筒10の第1の筒部11と第3の筒部13との間には前方ベローズ60が設けられている。この前方ベローズ60は、例えばゴムなどの柔軟性のある材料から構成され、第1の筒部11に対する第3の筒部13の移動に伴い伸縮するように構成されている。
【0020】
図8は、前方ベローズ60の取付状態を説明するための分解斜視図である。
図8に示すように、前方ベローズ60の内側には、矩形状の開口部Uが形成されており、この開口部Uは、第3の筒部13から第1の筒部11に向かうにつれて次第に大きくなるような形状を有している。
図8に示すように、前方ベローズ60の後端部には、外側に広がる矩形状の後側連結部61が形成されている。この前方ベローズ60の後側連結部61の前方(+X方向側)には、矩形枠状の取付プレート65が配置されている。この取付プレート65には複数のネジ孔65Aが形成されている。上述した第1の筒部11の連結フランジ41には、この取付プレート65のネジ孔65Aに対応してネジ孔42Aが形成されている。連結フランジ41の第3の筒部13側から、取付プレート65のネジ孔65A及び第1の筒部11の連結フランジ41のネジ孔42Aにネジ66を螺合することにより、前方ベローズ60の後側連結部61が取付プレート65と第1の筒部11の連結フランジ41との間に挟み込まれて保持される。
【0021】
図8に示すように、前方ベローズ60の前端部には、内側に延びる矩形状の前側連結部62が形成されており、この前側連結部62には複数のネジ孔62Aが形成されている。また、レンズ鏡筒10の第3の筒部13は、その後端部に矩形枠状の連結フランジ31(第2の連結フランジ)を有しており、この連結フランジ31には、前方ベローズ60の前側連結部62のネジ孔62Aに対応してネジ孔31Aが形成されている。この連結フランジ31は、第3の筒部13と一体に形成されていてもよいし、第3の筒部13とは別部材であってもよい。
【0022】
前方ベローズ60の前側連結部62の後方(-X方向側)には、矩形枠状の取付プレート67が配置されている。この取付プレート67にも前方ベローズ60の前側連結部62のネジ孔62Aに対応してネジ孔67Aが形成されている。取付プレート67のネジ孔67A、前方ベローズ60の前側連結部62のネジ孔62A、及び第3の筒部13の連結フランジ31のネジ孔31Aにネジ68を螺合することにより、前方ベローズ60の前側連結部62が取付プレート67と第3の筒部13の連結フランジ31との間に挟み込まれて保持される。
【0023】
図6に示す沈胴状態では、レンズ鏡筒10の第1の筒部11及び第2の筒部12がバレル部22の半径方向内側に収容され、第3の筒部13が第2の筒部12の半径方向内側に収容されている。第1の筒部11は最も-X方向側に位置しており、後方ベローズ50はX方向に縮んだ状態となっている。また、第3の筒部13はX方向において第1の筒部11に最も近接した状態となっており、前方ベローズ60はX方向に縮んだ状態となっている。この状態は、カメラ装置1の電源が入っていない状態であり、カメラ装置1による撮影は行われない。
【0024】
図9は、
図4に示す第1の撮影状態におけるカメラ装置1の部分縦断面図である。上述したように、
図6に示す沈胴状態からユーザが操作ボタン8を押し込むと、レンズ鏡筒10の第1の筒部11がバレル部22に対して+X方向に繰り出すとともに、第2の筒部12が図示しない移動機構により第1の筒部11に対して+X方向に繰り出し、
図9に示す第1の撮影状態となる。この第1の撮影状態においては、レンズ鏡筒10の第3の筒部13は、第2の筒部12の半径方向内側に収容されている。
【0025】
この第1の撮影状態では、レンズ鏡筒10の第1の筒部11がバレル部22に対して+X方向に繰り出しているため、後方ベローズ50は伸びた状態となっている。このため、後方ベローズ50は、第2レンズ134から写真フィルムFに投影される光線B1の外側に位置し、写真フィルムFに投影される像には映り込まない。また、本実施形態では、第1の撮影状態では、レンズ鏡筒10の第2の筒部12が第1の筒部11に対して+X方向に繰り出しているため、前方ベローズ60は、
図6に示す沈胴状態よりも少し伸びた状態となる。このため、前方ベローズ60は、第2レンズ134から写真フィルムFに投影される光線B1の外側に位置し、写真フィルムFに投影される像には映り込まない。このように、第1の撮影状態では、後方ベローズ50及び前方ベローズ60のいずれも第2レンズ134から写真フィルムFに投影される光線B1の外側に位置しており、写真フィルムFに投影される像には映り込まないようになっている。
【0026】
図10は、
図5に示す第2の撮影状態におけるカメラ装置1の部分縦断面図である。
図9に示す第1の撮影状態からユーザが手で第3の筒部13を第2の筒部12から+X方向に引き出すと、
図10に示す第2の撮影状態となる。この第2の撮影状態では、上述した第1の撮影状態から、レンズ鏡筒10の第3の筒部13が第2の筒部12に対して+X方向に繰り出しているため、前方ベローズ60は、
図9に示す第1の撮影状態からさらに伸びた状態となる。このため、前方ベローズ60は、第2レンズ134から写真フィルムFに投影される光線B2の外側に位置し、写真フィルムFに投影される像には映り込まない。このように、第2の撮影状態においても、後方ベローズ50及び前方ベローズ60のいずれも第2レンズ134から写真フィルムFに投影される光線B2の外側に位置しており、写真フィルムFに投影される像には映り込まないようになっている。
【0027】
このように、本実施形態によれば、フレーム20とレンズ鏡筒10の第1の筒部11との間を連結する後方ベローズ50と、レンズ鏡筒10の第1の筒部11と第3の筒部13との間を連結する前方ベローズ60とを設けたため、
図9に示す第1の撮影状態及び
図10に示す第2の撮影状態のいずれにおいても、後方ベローズ50及び前方ベローズ60が第2レンズ134から写真フィルムFに投影される光線B1,B2の外側に位置し、写真フィルムFに投影される像には映り込まない。したがって、レンズ132,134の位置を変化させた場合においても、後方ベローズ50と前方ベローズ60とにより遮光と防塵を図りつつ、ケラレの生じない撮影を実現することができ、レンズ132,134の位置の異なる2種類の撮影(例えば、通常撮影とマクロ撮影)を行うことが可能となる。
【0028】
また、上述した実施形態では、レンズ鏡筒10の第1の筒部11の後端部に設けられた1つの連結フランジ41に後方ベローズ50及び前方ベローズ60の双方を連結しているため、部品点数の減少によるコスト低減と、カメラ装置1のコンパクト化を図ることができる。
【0029】
上述した実施形態では、レンズ鏡筒10の第1の筒部11と第2の筒部12とにより後方鏡筒ユニットを構成した例を説明したが、後方鏡筒ユニットは、1つの筒部により構成されていてもよく、あるいは3つ以上の筒部により構成されていてもよい。本実施形態のように、レンズ鏡筒10の第1の筒部11と第2の筒部12とにより後方鏡筒ユニットを構成する場合には、沈胴状態において第2の筒部12が第1の筒部11の半径方向内側に収容されるため、カメラ装置1の光軸方向の厚さを薄くすることができる。また、上述した実施形態では、レンズ鏡筒10の第3の筒部13により前方鏡筒ユニットを構成した例を説明したが、前方鏡筒ユニットが2つ以上の筒部により構成されていてもよい。
【0030】
なお、本明細書において使用した用語「前」、「前方」、「後」、「後方」、「上」、「上方」、「下」、「下方」、その他の位置関係を示す用語は、図示した実施形態との関連において使用されているのであり、装置の相対的な位置関係によって変化するものである。
【0031】
これまで本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。
【0032】
以上述べたように、本発明の一態様によれば、遮光と防塵を図りつつ、ケラレを生じさせることなく、レンズの位置が異なる2種類の撮影を行うことができるカメラ装置が提供される。このカメラ装置は、写真フィルムが収容されるフィルム収容部と、上記フィルム収容部から光軸方向に延びるバレル部とを含むフレームと、上記バレル部の内側で上記光軸方向に沿って移動可能なレンズ鏡筒とを備える。上記レンズ鏡筒は、上記バレル部の半径方向内側に収容された状態から上記バレル部に対して前方に移動可能な後方鏡筒ユニットと、上記後方鏡筒ユニットの半径方向内側に収容された状態から上記後方鏡筒ユニットに対して前方に移動可能な前方鏡筒ユニットとを含む。上記前方鏡筒ユニットの内部には少なくとも1つのレンズが収容される。上記カメラ装置は、上記フレームと上記後方鏡筒ユニットとの間を連結する後方ベローズと、上記後方鏡筒ユニットと上記前方鏡筒ユニットとの間を連結する前方ベローズとをさらに備える。上記レンズ鏡筒は、上記後方鏡筒ユニットが上記バレル部の半径方向内側に収容され、上記前方鏡筒ユニットが上記後方鏡筒ユニットの半径方向内側に収容された沈胴状態と、上記後方鏡筒ユニットが上記バレル部に対して前方に繰り出し、上記前方鏡筒ユニットが上記後方鏡筒ユニットの半径方向内側に収容された第1の撮影状態と、上記後方鏡筒ユニットが上記バレル部に対して前方に繰り出し、上記前方鏡筒ユニットが上記後方鏡筒ユニットに対して前方に繰り出した第2の撮影状態とを実現可能に構成される。上記第1の撮影状態では、上記後方ベローズは、伸びた状態であり、上記少なくとも1つのレンズから上記写真フィルムに投影される光線の外側に位置し、上記前方ベローズは、少なくとも部分的に縮んだ状態であるが、上記少なくとも1つのレンズから上記写真フィルムに投影される光線の外側に位置する。上記沈胴状態では、上記前方ベローズ及び上記後方ベローズの双方が少なくとも部分的に縮んだ状態であってもよい。
【0033】
このような構成によれば、フレームと後方鏡筒ユニットとの間を連結する後方ベローズと、後方鏡筒ユニットと前方鏡筒ユニットとの間を連結する前方ベローズとを設けたため、第1の撮影状態及び第2の撮影状態のいずれにおいても、後方ベローズ及び前方ベローズがレンズから写真フィルムに投影される光線の外側に位置し、写真フィルムに投影される像には映り込まない。したがって、レンズの位置を変化させた場合においても、後方ベローズと前方ベローズとにより遮光と防塵を図りつつ、ケラレの生じない撮影を実現することができる。これにより、ケラレを生じさせることなく、レンズの位置の異なる2種類の撮影(例えば、通常撮影とマクロ撮影)を行うことが可能となる。
【0034】
上記後方鏡筒ユニットは、第1の筒部と、上記第1の筒部の半径方向内側に収容された状態から上記第1の筒部に対して前方に移動可能な第2の筒部とを含んでいてもよい。この場合において、上記前方鏡筒ユニットは、上記第1の撮影状態では上記後方鏡筒ユニットの上記第2の筒部の半径方向内側に収容され、上記第2の撮影状態では上記後方鏡筒ユニットの上記第2の筒部に対して前方に繰り出すように構成される第2の筒部を含むことが好ましい。このように構成することで、沈胴状態におけるカメラ装置の光軸方向の厚さを薄くすることができる。
【0035】
上記後方鏡筒ユニットは、上記後方ベローズ及び上記前方ベローズが連結される第1の連結フランジを含んでいることが好ましい。このように、1つの連結フランジに後方ベローズ及び前方ベローズを連結することにより、部品点数の減少によるコスト低減と、カメラ装置のコンパクト化を図ることができる。また、上記前方鏡筒ユニットは、上記前方ベローズが連結される第2の連結フランジを含んでいることが好ましい。
【0036】
本発明の一態様によれば、フレームと後方鏡筒ユニットとの間を連結する後方ベローズと、後方鏡筒ユニットと前方鏡筒ユニットとの間を連結する前方ベローズとを設けたため、第1の撮影状態及び第2の撮影状態のいずれにおいても、後方ベローズ及び前方ベローズがレンズから写真フィルムに投影される光線の外側に位置し、写真フィルムに投影される像には映り込まない。したがって、レンズの位置を変化させた場合においても、後方ベローズと前方ベローズとにより遮光と防塵を図りつつ、ケラレの生じない撮影を実現することができる。これにより、ケラレを生じさせることなく、レンズの位置の異なる2種類の撮影(例えば、通常撮影とマクロ撮影)を行うことが可能となる。
【0037】
本出願は、2019年12月19日に提出された日本国特許出願特願2019-228954号に基づくものであり、当該出願の優先権を主張するものである。当該出願の開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、伸縮自在のベローズを用いてレンズ鏡筒を繰り出すカメラ装置に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0039】
1 カメラ装置
2 フロントカバー
3 リアカバー
4 トップカバー
5 ファインダ窓
6 フラッシュ窓
7 レリーズボタン
8 操作ボタン
9 鏡筒繰出機構
10 レンズ鏡筒
11 第1の筒部
12 第2の筒部
13 第3の筒部
14 係合突起
20 フレーム
21 フィルム収容部
22 バレル部
24 ガイド溝
31 連結フランジ(第2の連結フランジ)
41 連結フランジ(第1の連結フランジ)
50 後方ベローズ
51 後側連結部
52 前側連結部
55 取付プレート
60 前方ベローズ
61 後側連結部
62 前側連結部
65 取付プレート
67 取付プレート
131 バリア
132 第1レンズ
133 絞り
134 第2レンズ
F 写真フィルム
P 光軸