(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-21
(45)【発行日】2023-01-04
(54)【発明の名称】電磁誘導式エンコーダの送信部及び受信部
(51)【国際特許分類】
G01D 5/245 20060101AFI20221222BHJP
G01B 7/00 20060101ALI20221222BHJP
G01D 5/20 20060101ALI20221222BHJP
【FI】
G01D5/245 110Q
G01B7/00 101E
G01D5/20 110E
(21)【出願番号】P 2019052816
(22)【出願日】2019-03-20
【審査請求日】2022-02-16
(32)【優先日】2018-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000137694
【氏名又は名称】株式会社ミツトヨ
(74)【代理人】
【識別番号】100166545
【氏名又は名称】折坂 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】テッド ステイトン クック
【審査官】榮永 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-31777(JP,A)
【文献】特開2009-192546(JP,A)
【文献】特開2009-186348(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/00 - 5/252
G01B 7/00 - 7/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
X軸方向と一致する測定軸方向に沿って2つの要素の相対的位置を測定するために使用可能である電子式エンコーダであって、
前記測定軸方向に沿って延在し、前記X軸方向に垂直であるY軸方向に沿ってトラック幅寸法を有する少なくとも第1のパターントラックを含む信号変調スケールパターンを含み、各パターントラックは、前記X軸方向に沿った位置の周期関数として変化する空間的変化特徴を提供するように配置される信号変調要素を含む、スケールと、
前記少なくとも第1のパターントラックに近接して取り付けられ、前記少なくとも第1のパターントラックに対して前記測定軸方向に沿って移動するように構成され、多層プリント回路基板(PCB)を含む検出部と、
コイル駆動信号を提供するように前記検出部に動作可能に接続され、前記検出部から入力される検出信号に基づいて、前記検出部と前記信号変調スケールパターンとの前記相対的位置を決定する信号処理部と、
を含み、
前記検出部は、
前記第1のパターントラックと位置合わせされる第1の内部領域を取り囲み、前記X軸方向に沿って公称第1内部領域長さ寸法及び前記Y軸方向に沿って公称第1内部領域幅寸法を有し、前記コイル駆動信号に応えて、前記第1の内部領域内に第1トラック磁束変化を発生させる第1トラック磁場発生コイル部を含む前記PCB上に固定される磁場発生コイル部と、
前記X軸方向に沿って配置され、前記PCB上に固定され、前記第1の内部領域と位置合わせされる対応する導電性受信ループを含む複数の検知要素と、
を含み、
前記複数の検知要素は、前記信号変調スケールパターンの隣接する信号変調要素によって提供される前記第1トラック磁束変化への局所的影響に応じた検出信号を提供するように構成され、
前記磁場発生コイル部は、
前記信号処理部からの前記コイル駆動信号を前記磁場発生コイル部に接続する少なくとも2つの接続部を含む入力部と、
前記第1の内部領域に隣接して前記X軸方向に沿って延在し、前記Y軸方向に沿って公称第1トラック磁場発生トレース幅寸法をそれぞれ有する第1トラックの第1伸長部及び第2伸長部と、
前記第1の内部領域の終端付近において、前記第1トラックの前記第1伸長部と前記第2伸長部との間に接続を提供するように、前記第1トラックの前記第1伸長部と前記第2伸長部との間のY軸方向の距離間隔に亘る少なくとも第1トラック終端部と、
を含み、
前記磁場発生コイル部は、前記公称第1トラック磁場発生トレース幅寸法が、前記公称第1内部領域幅寸法の少なくとも0.1倍であるように構成され、
前記第1トラックの前記第1伸長部及び前記第2伸長部は、前記PCBの少なくとも第1の内部銅層を含む伸長部銅層のセットを使用して作成され、前記導電性受信ループは、前記第1の内部銅層よりも前記信号変調スケールパターンに対向する前記検出部の前面に近い少なくとも1つの銅層を含む前記PCBの受信ループ銅層のセットを使用して作成される、電子式エンコーダ。
【請求項2】
前記導電性受信ループは、前記受信ループ銅層のセットに含まれる各層内に形成される平面トレース部と、前記平面トレース部を前記各層間で接続するめっき孔を含むフィードスルー部とを含み、
前記平面トレース部の少なくとも半分以上が、前記第1の内部銅層よりも前記検出部の前記前面に近い各層内に作成される、請求項1に記載の電子式エンコーダ。
【請求項3】
前記導電性受信ループのすべての前記平面トレース部が、前記第1の内部銅層よりも前記検出部の前記前面に近い各層内に作成される、請求項2に記載の電子式エンコーダ。
【請求項4】
前記導電性受信ループの前記平面トレース部の少なくとも一部が、前記検出部の前記前面上にある銅層であるか、又は、前記検出部の前記前面に最も近い対応する層内に作成される、請求項2に記載の電子式エンコーダ。
【請求項5】
各公称第1トラック磁場発生トレース幅寸法は、前記公称第1内部領域幅寸法の少なくとも0.15倍である、請求項1から4のいずれか1項に記載の電子式エンコーダ。
【請求項6】
各公称第1トラック磁場発生トレース幅寸法は、前記公称第1内部領域幅寸法の少なくとも0.25倍である、請求項5に記載の電子式エンコーダ。
【請求項7】
各公称第1トラック磁場発生トレース幅寸法は、前記第1トラック磁束変化に応じて生じる前記検出信号に対応する、規定された公称動作周波数における前記第1伸長部及び前記第2伸長部の表皮深さの少なくとも25倍である、請求項1から6のいずれか1項に記載の電子式エンコーダ。
【請求項8】
前記各導電性受信ループの少なくとも半分以上が、前記第1の内部領域に亘る前記Y軸方向に沿った公称検知要素幅寸法を有する、請求項1から7のいずれか1項に記載の電子式エンコーダ。
【請求項9】
前記第1トラックの前記第1伸長部及び前記第2伸長部は、前記導電性受信ループから絶縁され、
前記公称検知要素幅寸法は、前記第1トラックの前記第1伸長部及び前記第2伸長部の内側エッジ間の前記第1の内部領域の寸法よりも大きく、
前記導電性受信ループの少なくとも半分以上が、対応するオーバーラップ寸法の付近において、前記公称第1トラック磁場発生トレース幅寸法よりも小さい前記対応するオーバーラップ寸法だけ、前記Y軸方向に沿って前記第1トラックの前記第1伸長部又は前記第2伸長部の少なくとも一方に重なる、請求項8に記載の電子式エンコーダ。
【請求項10】
前記導電性受信ループの少なくとも半分以上が、対応するオーバーラップ寸法の付近において、前記公称第1トラック磁場発生トレース幅寸法よりも小さい前記対応するオーバーラップ寸法だけ、前記Y軸方向に沿って前記第1トラックの前記第1伸長部及び前記第2伸長部の両方に重なる、請求項9に記載の電子式エンコーダ。
【請求項11】
前記信号変調スケールパターンは、前記第1のパターントラックと平行に配置される第2のパターントラックを含み、前記第1のパターントラック及び前記第2のパターントラックはそれぞれ、前記X軸方向に沿って前記信号変調要素を含み、
前記磁場発生コイル部は、前記第2のパターントラックと位置合わせされる第2の内部領域を取り囲み、前記X軸方向に沿って公称第2内部領域長さ寸法及び前記Y軸方向に沿って公称第2内部領域幅寸法を有し、前記コイル駆動信号に応えて、前記第2の内部領域内に第2トラック磁束変化を発生させる第2トラック磁場発生コイル部を含み、
前記複数の検知要素は、前記第1の内部領域及び前記第2の内部領域と位置合わせされ、
前記磁場発生コイル部は、前記第2の内部領域に隣接して前記X軸方向に沿って延在し、前記Y軸方向に沿って公称第2トラック磁場発生トレース幅寸法をそれぞれ有する第2トラックの第1伸長部及び第2伸長部を含み、
前記公称第2トラック磁場発生トレース幅寸法は、前記公称第2内部領域幅寸法の少なくとも0.1倍であり、
前記磁場発生コイル部は、前記第2の内部領域の終端付近において、前記第2トラックの前記第1伸長部と前記第2伸長部との間に接続を提供するように、前記第2トラックの前記第1伸長部と前記第2伸長部との間のY軸方向の距離間隔に亘る第2トラック終端部を含み、
前記第2トラックの前記第1伸長部及び前記第2伸長部は、前記PCBの少なくとも第2の内部銅層を含む伸長部銅層のセットを使用して作成され、前記導電性受信ループは、前記第2の内部銅層よりも前記信号変調スケールパターンに対向する前記検出部の前記前面に近い少なくとも1つの銅層を含む前記PCBの受信ループ銅層のセットを使用して作成される、請求項1から10のいずれか1項に記載の電子式エンコーダ。
【請求項12】
前記第1のパターントラック及び前記第2のパターントラックはそれぞれ、前記第1のパターントラック及び前記第2のパターントラック内に、前記X軸方向に沿って同じ空間的周期又は波長Wに従って配置される同じタイプの信号変調要素を含み、前記第2のパターントラック内の前記信号変調要素は、前記第1のパターントラック内の前記信号変調要素に対して、約W/2の公称スケールトラックオフセットだけ、前記測定軸方向に沿ってオフセットされ、
前記磁場発生コイル部は、前記第1の内部領域内に、第1の極性を有する前記第1トラック磁束変化を発生させ、前記第2の内部領域内に、前記第1の極性とは反対の第2の極性を有する前記第2トラック磁束変化を発生させるように構成され、
各導電性受信ループの少なくとも半分以上が、前記Y軸方向に沿って前記第1の内部領域及び前記第2の内部領域に亘り、前記第1の内部領域及び前記第2の内部領域内に同じ検知ループ極性を提供する、請求項11に記載の電子式エンコーダ。
【請求項13】
前記第1のパターントラック及び前記第2のパターントラックはそれぞれ、前記第1のパターントラック及び前記第2のパターントラック内に、前記X軸方向に沿って同じ空間的周期又は波長Wに従って配置される同じタイプの信号変調要素を含み、前記第2のパターントラック内の前記信号変調要素は、前記第1のパターントラック内の前記信号変調要素に対して、約W/2の公称スケールトラックオフセットだけ、前記測定軸方向に沿ってオフセットされ、
前記磁場発生コイル部は、前記第1の内部領域内に、第1の極性を有する前記第1トラック磁束変化を発生させ、前記第2の内部領域内に、前記第1の極性と同じ第2の極性を有する前記第2トラック磁束変化を発生させるように構成され、
各導電性受信ループの少なくとも半分以上が、前記Y軸方向に沿って前記第1の内部領域及び前記第2の内部領域に亘り、前記第1の内部領域及び前記第2の内部領域内に相反する検知ループ極性を提供するように前記導電性受信ループの導電性トレースの交差又はツイストを含む、請求項11に記載の電子式エンコーダ。
【請求項14】
前記導電性受信ループの少なくとも半分以上について、前記導電性受信ループの前記導電性トレースの前記交差又は前記ツイストは、前記第1の内部領域と前記第2の内部領域との間の前記第1トラックの前記第1伸長部及び前記第2トラックの前記第1伸長部を含む領域内にある、請求項13に記載の電子式エンコーダ。
【請求項15】
前記第1トラック磁場発生コイル部及び前記第2トラック磁場発生コイル部はそれぞれ、前記第1トラック磁場発生コイル部及び前記第2トラック磁場発生コイル部の内部領域を取り囲む単一の巻回を含む、請求項11から14のいずれか1項に記載の電子式エンコーダ。
【請求項16】
前記磁場発生コイル部は、前記Y軸方向に沿って延在し、前記X軸方向及び前記Y軸方向に垂直であるZ軸方向に沿って、前記信号変調スケールパターンに対向する前記検出部の前記前面から伸長部z距離にある少なくとも1つの伸長部に接続する少なくとも1つのシールド終端部を含み、
前記シールド終端部は、
前記検出部の前記前面からシールド終端セクションz距離にあるシールド終端セクションを含み、
前記シールド終端セクションz距離は、前記伸長部z距離よりも大きく、
前記検出部は更に、前記X軸方向及び前記Y軸方向に沿って延在し、前記前面からシールド領域z距離にある導電性シールド領域を含み、
前記シールド領域z距離は、前記シールド終端セクションz距離よりも小さく、
前記導電性シールド領域は、前記シールド終端セクションの少なくとも一部と前記検出部の前記前面との間にある、請求項11から15のいずれか1項に記載の電子式エンコーダ。
【請求項17】
前記少なくとも1つのシールド終端部は、前記第1トラックの前記第1伸長部及び前記第2伸長部を接続する前記第1トラック終端部と、前記第2トラックの前記第1伸長部及び前記第2伸長部を接続する前記第2トラック終端部と、を含む、請求項16に記載の電子式エンコーダ。
【請求項18】
前記第2トラックの前記第1伸長部及び前記第2伸長部を作成するために使用される前記PCBの前記第2の内部銅層は、前記第1トラックの前記第1伸長部及び前記第2伸長部を作成するために使用される前記PCBの前記第1の内部銅層と同じであり、前記第2の内部銅層及び前記第1の内部銅層は、集合的に伸長部層を形成し、
前記シールド終端セクションは、前記PCBの第3の層内に作成され、前記導電性シールド領域は、前記PCBの前記第3の層よりも前記検出部の前記前面に近い前記PCBの第4の層内に作成される、請求項16に記載の電子式エンコーダ。
【請求項19】
前記導電性シールド領域は、前記伸長部層と前記第3の層との間にある前記PCBの前記第4の層内に作成される、請求項18に記載の電子式エンコーダ。
【請求項20】
伸長部と前記シールド終端セクションとの接続は、前記Z軸方向に沿って延在するプリント回路基板フィードスルーを含む、請求項16から19のいずれか1項に記載の電子式エンコーダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、測定器に関し、より具体的には、精密測定器において使用できる電磁誘導式エンコーダに関する。
【背景技術】
【0002】
様々なエンコーダ構成には、様々なタイプの光学式、静電容量式、磁気式、電磁誘導式、移動及び/又は位置トランスデューサが含まれうる。これらのトランスデューサは、読取ヘッド内の送信器及び受信器の様々な幾何学的構成を使用して、読取ヘッドとスケールとの間の移動を測定する。磁気式及び電磁誘導式トランスデューサは、汚れに対して比較的ロバストではあるが、完璧にそうあるわけではない。
【0003】
特許文献1は、高精度用途に使用可能である電磁誘導式トランスデューサについて説明している。特許文献2及び特許文献3は、信号生成及び処理回路を含む電磁誘導式インクリメンタル型ノギス及びリニアスケールについて説明している。特許文献4、特許文献5及び特許文献6は、電磁誘導式トランスデューサを使用する電磁誘導式アブソリュート型ノギス及び電子式巻き尺について説明している。特許文献7は、高精度用途に使用可能である電磁誘導式トランスデューサについて説明しており、2つの平行の半分部と送信コイル及び受信コイルの複数のセットとを有するスケールが、特定の信号オフセット成分を軽減する。当該成分は、軽減されなければ、電磁誘導式トランスデューサにおいて誤差を生じさせる場合がある。これらの特許に説明されるように、電磁誘導式トランスデューサは、プリント回路基板技術を使用して製造されてよく、汚れにほとんど影響されない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許第6011389号明細書
【文献】米国特許第5973494号明細書
【文献】米国特許第6002250号明細書
【文献】米国特許第5886519号明細書
【文献】米国特許第5841274号明細書
【文献】米国特許第5894678号明細書
【文献】米国特許第7906958号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、これらのシステムは、例えば信号強度、小型サイズ、高分解能、価格、位置ずれ及び汚れに対するロバスト性等の組み合わせといったユーザによって望まれる特徴の特定の組み合わせを提供する能力に限界がある場合がある。改良された組み合わせを提供するエンコーダの構成が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この概要は、以下の詳細な説明において更に説明される概念のセレクションを、簡略形式で紹介するために提供される。この概要は、請求項に係る主題の重要な特徴を特定することを意図しておらず、また、請求項に係る主題の範囲を決定する助けとして使用されることも意図していない。
【0007】
X軸方向と一致する測定軸方向に沿って2つの要素の相対的位置を測定するために使用可能である電子式エンコーダが提供される。様々な実施態様において、電子式エンコーダは、スケールと、検出部と、信号処理部とを含む。スケールは、測定軸方向に沿って延在し、X軸方向に垂直であるY軸方向に沿ってトラック幅寸法を有する少なくとも第1のパターントラックを含む信号変調スケールパターンを含む。幾つかの実施形態では、信号変調スケールパターンは、第1のパターントラックと、第1のパターントラックと平行にX軸方向に延在する第2のパターントラックとを含む。各パターントラックは、X軸方向に沿った位置の周期関数として変化する空間的変化特徴を提供するように配置される信号変調要素を含む。
【0008】
検出部は、少なくとも第1のパターントラックに近接して取り付けられ、少なくとも第1のパターントラックに対して測定軸方向に沿って移動するように構成される。
【0009】
様々な実施態様では、検出部は、多層プリント回路基板(PCB)を含む。検出部は、PCB上に固定された磁場発生コイル部(送信器)を含む。磁場発生コイル部は、第1のパターントラックと位置合わせされる第1の内部領域を取り囲む第1トラック磁場発生コイル部を含む。第1トラック磁場発生コイル部は、X軸方向に沿って公称第1内部領域長さ寸法及びY軸方向に沿って公称第1内部領域幅寸法を有し、コイル駆動信号に応えて、第1の内部領域内に第1トラックの第1の磁束変化を発生させる。
【0010】
検出部は、X軸方向に沿って配置され、PCB上に固定され、第1の内部領域と位置合わせされる対応する導電性受信ループを含む複数の検知要素(受信器)を含む。複数の検知要素は、信号変調スケールパターンの隣接する信号変調要素によって提供される第1トラック磁束変化への局所的影響に応じた検出信号を提供するように構成される。
【0011】
信号処理部は、コイル駆動信号を提供するように検出部に動作可能に接続されてよく、検出部から入力される検出信号に基づいて、検出部と信号変調スケールパターンとの相対的位置を決定する。
【0012】
様々な実施態様では、磁場発生コイル部(又はその中に含まれる第1トラック磁場発生コイル部)は、入力部と、第1トラックの第1伸長部及び第2伸長部と、第1トラック終端部とを含む。入力部は、信号処理部からのコイル駆動信号を磁場発生コイル部に接続する少なくとも2つの接続部を含む。第1トラックの第1伸長部及び第2伸長部はそれぞれ、第1の内部領域に隣接してX軸方向に沿って延在する。第1トラックの第1伸長部及び第2伸長部はそれぞれ、Y軸方向に沿って公称第1トラック磁場発生トレース幅寸法(同じであっても、互いに異なっていてもよい)を有する。様々な実施態様では、公称第1トラック磁場発生トレース幅寸法は、公称第1内部領域幅寸法の少なくとも0.1倍である。第1トラック終端部は、第1の内部領域の終端付近において、第1トラックの第1伸長部と第2伸長部との間に接続を提供するように、第1トラックの第1伸長部と第2伸長部との間のY軸方向の距離間隔に亘る。
【0013】
幾つかの実施態様では、公称第1トラック磁場発生トレース幅寸法は、公称第1内部領域幅寸法の少なくとも0.15倍、又は、少なくとも0.25倍である。幾つかの実施態様では、公称第1トラック磁場発生トレース幅寸法は、磁束変化に応じて生じる検出信号に対応する、規定された公称動作周波数における伸長部の表皮深さの少なくとも25倍である。
【0014】
様々な実施態様では、第1トラックの第1伸長部及び第2伸長部は、PCBの少なくとも第1の内部銅層を含む伸長部銅層のセットを使用して作成され、導電性受信ループは、第1の内部銅層よりも信号変調スケールパターンに対向する検出部の前面に近い少なくとも1つの銅層を含むPCBの受信ループ銅層のセットを使用して作成される。
【0015】
幾つかの実施態様では、導電性受信ループは、受信ループ銅層のセットに含まれる各層内に形成される平面トレース部と、平面トレース部をそれらの各層間で接続するめっき孔を含むフィードスルー部とを含む。平面トレース部の少なくとも半分以上が、第1の内部銅層よりも検出部の前面に近い各層内に作成される。
【0016】
更なる実施態様では、導電性受信ループのすべての平面トレース部が、第1の内部銅層よりも検出部の前面に近い各層内に作成される。
【0017】
更なる実施態様では、導電性受信ループの平面トレース部の少なくとも一部が、検出部の前面上にあるか、又は、検出部の前面に最も近い銅層である対応する層内に作成される。
【0018】
更なる実施態様では、各導電性受信ループの少なくとも半分以上が、第1の内部領域に亘るY軸方向に沿った公称検知要素幅寸法を有する。幾つかの実施態様では、第1トラックの第1伸長部及び第2伸長部は、導電性受信ループから絶縁され、公称検知要素幅寸法は、第1トラックの第1伸長部及び第2伸長部の内側エッジ間の第1の内部領域の寸法よりも大きい。導電性受信ループの少なくとも半分以上が、対応するオーバーラップ寸法の付近において、公称磁場発生トレース幅寸法よりも小さい対応するオーバーラップ寸法だけ、Y軸方向に沿って第1トラックの第1伸長部又は第2伸長部の少なくとも一方に重なる。
【0019】
信号変調スケールパターンが第1のパターントラックと平行に配置される第2のパターントラックを含む電子式エンコーダの実施態様において、第1のパターントラック及び第2のパターントラックはそれぞれ、X軸方向に沿って信号変調要素を含む。これらの実施態様では、磁場発生コイル部は、第2のパターントラックと位置合わせされる第2の内部領域を取り囲む第2トラック磁場発生コイル部を含む。第2トラック磁場発生コイル部は、X軸方向に沿って公称第2内部領域長さ寸法及びY軸方向に沿って公称第2内部領域幅寸法を有し、コイル駆動信号に応えて、第2の内部領域内に第2トラック磁束変化を発生させる。磁場発生コイル部(又はその中に含まれる第2トラック磁場発生コイル部)は、第2の内部領域に隣接してX軸方向に沿って延在する第2トラックの第1伸長部及び第2伸長部と、第2の内部領域の終端付近において、第2トラックの第1伸長部と第2伸長部との間に接続を提供するように、第2トラックの第1伸長部と第2伸長部との間のY軸方向の距離間隔に亘る第2トラック終端部とを含む。第2トラックの第1伸長部及び第2伸長部はそれぞれ、Y軸方向に沿って公称第2トラック磁場発生トレース幅寸法を有し、これは、公称第2内部領域幅寸法の少なくとも0.1倍である。第2トラックの第1伸長部及び第2伸長部は、PCBの少なくとも第2の内部銅層を含む伸長部銅層のセットを使用して作成され、導電性受信ループは、第2の内部銅層よりも信号変調スケールパターンに対向する検出部の前面に近い少なくとも1つの銅層を含むPCBの受信ループ銅層のセットを使用して作成される。
【0020】
様々な実施態様では、第2トラックの第1伸長部及び第2伸長部を作成するために使用されるPCBの第2の内部銅層は、第1トラックの第1伸長部及び第2伸長部を作成するために使用されるPCBの第1の内部銅層と同じであり、第2の内部銅層及び第1の内部銅層は、集合的に伸長部層を形成する。これらの実施態様では、導電性受信ループは、PCBの上記伸長部層よりも信号変調スケールパターンに対向する検出部の前面に近いPCBの少なくとも1つの銅層を使用して作成される。
【0021】
幾つかの実施態様では、第1のパターントラック及び第2のパターントラックはそれぞれ、第1のパターントラック及び第2のパターントラック内に、X軸方向に沿って同じ空間的周期又は波長Wに従って配置される同じタイプの信号変調要素を含む。第2のパターントラック内の信号変調要素は、第1のパターントラック内の信号変調要素に対して、約W/2の公称スケールトラックオフセットだけ、測定軸方向に沿ってオフセットされる。
【0022】
幾つかのそのような実施態様では、磁場発生コイル部は、第1の内部領域内に、第1の極性を有する第1トラック磁束変化を発生させ、第2の内部領域内に、第1の極性とは反対の第2の極性を有する第2トラック磁束変化を発生させるように構成され、各導電性受信ループの少なくとも半分以上が、Y軸方向に沿って第1の内部領域及び第2の内部領域に亘り、第1の内部領域及び第2の内部領域内に同じ検知ループ極性を提供する。他のそのような実施形態では、磁場発生コイル部は、第1の内部領域内に、第1の極性を有する第1トラック磁束変化を発生させ、第2の内部領域内に、第1の極性と同じ第2の極性を有する第2トラック磁束変化を発生させるように構成され、各導電性受信ループの少なくとも半分以上が、Y軸方向に沿って第1の内部領域及び第2の内部領域に亘り、第1の内部領域及び第2の内部領域内に相反する検知ループ極性を提供するように、導電性受信ループの導電性トレースの交差又はツイストを含む。幾つかのそのような実施態様では、導電性受信ループの少なくとも半分以上について、不所望の信号外乱を回避するために、導電性受信ループの導電性トレースの交差又はツイストは、第1の内部領域と第2の内部領域との間の第1トラックの第1伸長部及び第2トラックの第1伸長部を含む領域内にある。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、検出部及びスケールを含む電子式エンコーダを使用するハンドツールタイプのノギスの組立分解等角図である。
【
図2】
図2は、電子式エンコーダに使用可能である検出部の第1の例示的な実施態様を示す平面図である。
【
図3】
図3は、電子式エンコーダに使用可能である検出部の第2の例示的な実施態様を示す平面図である。
【
図4】
図4は、検出部内の磁場発生伸長部及び導電性受信ループの相対的配置がより明瞭に示される検出部の磁場発生コイル部の端部の第1の例示的な実施態様を示す等角図である。
【
図5】
図5は、検出部内の磁場発生伸長部及び導電性受信ループの相対的配置がより明瞭に示される検出部の磁場発生コイル部の端部の第2の例示的な実施態様を示す等角図である。
【
図6】
図6は、電子式エンコーダを含む測定システムのコンポーネントの1つの例示的な実施態様を示すブロック図である。
【
図7A】
図7Aは、電子式エンコーダに使用可能である検出部及び互換信号変調スケールパターンの第3の例示的な実施態様を示す平面図である。
【
図7B】
図7Bは、検出部内の磁場発生伸長部及び導電性受信ループの相対的配置がより明瞭に示される
図7Aにほぼ一致する第3の例示的な実施態様を示す斜視図である。
【
図8】
図8は、電子式エンコーダに使用可能である検出部及び互換信号変調スケールパターンの第4の例示的な実施態様を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、スケール170を含む略長方形の横断面の本尺を有するスケール部材102と、スライダアセンブリ120とを含むハンドツールタイプのノギス100の組立分解等角図である。様々な実施態様において、スケール170は、(例えばX軸方向に相当する)測定軸方向MAに沿って延在してよく、また、信号変調スケールパターンを含んでよい。既知のタイプのカバー層172(例えば100μmの厚さ)が、スケール170を覆ってよい。スケール部材102の第1の端の近くのジョー108及び110と、スライダアセンブリ120上の可動ジョー116及び118とが、既知の方法で、物体の寸法を測定するために使用される。スライダアセンブリ120は、端止め具154によって、スケール部材102の下のデプスバー溝152内に収められるデプスバー126を含んでもよい。デプスバー測定端128を穴の中に延ばして、その深さを測定することができる。スライダアセンブリ120のカバー139が、オン/オフスイッチ134と、ゼロ設定スイッチ136と、測定結果ディスプレイ138とを含んでよい。スライダアセンブリ120のベース140は、スケール部材102のサイドエッジ146に接触するガイドエッジ142を含み、ネジ147によって弾性圧力バー148をスケール部材102の対向するエッジに付勢することで、測定、及び、スケール170に対する読取ヘッド部164の移動に適切な位置合わせを保証する。
【0025】
ベース140上にはピックオフアセンブリ160が設けられている。このピックオフアセンブリ160は、読取ヘッド部164を保持している。読取ヘッド部164は、本実施態様では、磁場発生コイル部及び測定軸方向MAに沿って配置された検知要素群(例えば集合的に磁場発生及び検知巻線部)を含む検出部167と、信号処理部(例えば制御回路)166とを搭載した多層プリント回路基板(PCB)162を含んでいる。回路及び接続部の汚染を防止するように、弾性シール163が、カバー139とPCB162との間で圧縮されるとよい。検出部167は、絶縁コーティングによって覆われてよい。
【0026】
1つの特定の例示的な例では、検出部167は、スケール170と平行にかつスケール170に対向して配置され、また、スケール170に対向する検出部167の前面は、深さ(Z)方向に沿って、約0.5mmの間隙によって、スケール170(及び/又は信号変調スケールパターン180)から離間されてよい。読取ヘッド部164とスケール170とを合わせて、電子式エンコーダの一部としてのトランスデューサが形成されうる。一実施態様では、トランスデューサは、変化する磁場を発生させることによって動作する渦電流トランスデューサであってよい。以下により詳細に説明されるように、変化する磁場は、当該変化する磁場内に置かれた信号変調スケールパターン180の信号変調要素の幾つかにおいて、エディカレントと知られる渦電流を誘導する。当然ながら、
図1に示されるノギス100は、小型サイズ、(例えば長い電池寿命のための)低電力動作、高分解能及び高精度測定、低価格、汚れに対するロバスト性等の比較的最適化された組み合わせを提供するように、長年にわたって進化してきた電子式エンコーダを通常実装する様々な応用のうちの1つである。これらの要素の何れかにおける小さい改良でも、非常に望ましいことであるが、特に、様々な応用における商業上の成功を達成するために課される設計上の制約を鑑みると、達成することは困難である。以下の説明に開示される原理は、これらの要素のうちの幾つか、特に費用効果及び小型化の点で、改良を提供する。
【0027】
図2は、
図1等に示される電子式エンコーダに使用可能である検出部167及び信号変調スケールパターン180を示す第1の例示的な実施態様の平面図である。
図2は、部分的に具象的、部分的に概略的であるとみなされてよい。
図2の下部に、検出部167及び信号変調スケールパターン180の拡大部分が示される。
図2では、以下に説明される様々な要素は、その形状又は外形によって表され、また、互いに重ね合わされて、特定の幾何学的関係を強調するように示される。当然ながら、以下の説明に基づいて当業者には明らかであるように及び/又は以下に
図4を参照してより詳細に説明されるように、各種要素は、必要に応じて、様々な動作間隙及び/又は絶縁層を提供するように、Z軸方向に沿って異なる平面にある異なる作成層にあってよい。具体的には、例示的な実施形態によれば、磁場発生伸長部EP1及びEP2は、PCBの少なくとも第1の内部銅層を含む伸長部銅層のセットを使用して作成され、導電性受信ループSEN1~SEN24は、上記第1の内部銅層よりも信号変調スケールパターン180に対向する(即ち、
図2の紙面に向く)検出部の前面に近い少なくとも1つの銅層を含むPCBの受信ループ銅層のセットを使用して作成される。この主題を参照して、
図2の検出部167の拡大部分は、導電性受信ループの方が、伸長部よりも検出部の前面に近いことを示すために、伸長部EP1及びEP2と重なる導電性受信ループSEN14~SEN16のそれぞれの2つの端部を破線で示している(
図4も参照されたい。)。その一方で、
図2の検出部167のメインビューでは、各導電性受信ループSEN1~SEN24の2つの縁は、説明を容易にすることだけのために実線で示されている。本開示の全図面を通して、当然ながら、1つ以上の要素のX軸、Y軸及び/又はZ軸寸法は、明確にするために拡大されている場合がある。
【0028】
信号変調スケールパターン180の図示される部分は、破線の外形で示される信号変調要素SMEを含み、信号変調要素は、(
図1に示される)スケール170上に配置される。
図2に示される実施形態では、信号変調要素SMEの大部分のY軸方向の端は、第1伸長部EP1及び第2伸長部EP2の下に隠れている。
図1において見られるように、当然ながら、信号変調スケールパターン180は、動作中、検出部167に対して移動する。
【0029】
図2の例では、信号変調スケールパターン180は、X軸に垂直であるY軸に沿って、公称スケールパターン幅寸法NSPWDを有し、また、(例えばX軸方向に相当する)測定軸方向MAに沿って周期的に配置される個別の信号変調要素SMEを含む。しかし、より一般的には、信号変調スケールパターン180は、パターンがX軸方向に沿った位置の関数として変化する空間特性を有し、これにより、既知の方法に従って、検出部167の検知要素SEN(例えばSEN14)に生じる位置依存検出信号(幾つかの実施形態では、検出信号成分とも呼ばれる)を提供するならば、個別の要素又は1つ以上の連続パターン要素を含む様々な代替空間変調パターンを含んでよい。
【0030】
様々な実施態様では、検出部167は、信号変調スケールパターン180に近接して取り付けられ、信号変調スケールパターン180に対して測定軸方向MAに沿って移動するように構成される。検出部は、磁場発生コイル部FGCと複数の検知要素とを含み、これらは、当業者には理解されるように、様々な実施形態において、多種多様の対応する信号処理スキームと組み合わせて使用される様々な代替構成を取りうる。
図2は、検知要素SEN1~SEN24の単一の代表セットを示す。検知要素SEN1~SEN24は、この特定の実施形態では、直列に接続される導電性受信ループ(或いは、検知ループ要素、検知コイル要素又は検知巻線要素とも呼ばれる)を含む。この実施形態では、隣接するループ要素は、反対の巻線極性を有するように、既知の方法に従って、フィードスルーによって接続されるPCBの様々な層上の導体の構成によって接続される。つまり、第1のループが、正の極性の検出信号寄与を有する変化する磁場に反応する場合、隣接するループは、負の極性の検出信号寄与で反応する。この特定の実施形態では、検知要素は、それらの検出信号又は信号寄与が合計され、「合計」検出信号が、検出信号出力接続部SDS1及びSDS2において、信号処理部(図示せず)へと出力されるように、直列に接続される。
図2は、視覚的な混乱を避けるために、検知要素の単一セットを示すが、当然ながら、当業者には理解されるように、幾つかの実施形態では、(例えば直交信号を提供するために)異なる空間位相位置において、検知要素の1つ以上の追加のセットを提供するように、検出部を構成することが有利である。しかし、当然ながら、本明細書において説明される検知要素の構成は、例示に過ぎず、限定ではない。一例として、個々の検知要素ループは、幾つかの実施形態では、例えば同一出願人による米国特許出願公開第2018/003524号に開示されるように、対応する信号処理部に個別の信号を出力してもよい。より一般的には、様々な実施形態において、様々な既知の検知要素構成が、様々な既知の信号変調スケールパターン及び信号処理スキームと組み合わせた使用のために、本明細書において開示され、請求項に係る原理と組み合わせて使用されてよい。
【0031】
様々な検知要素及び磁場発生コイル部FGCは、基板(例えば
図1のPCB162)上に固定されてよい。磁場発生コイル部FGCは、X軸方向に沿って公称コイル領域長さ寸法NCALDと、Y軸方向に沿って約YSEPの公称コイル領域幅寸法とを有する内部領域INTAを取り囲むものとして説明されてよい。様々な実施態様において、磁場発生コイル部FGCは、内部領域INTAを取り囲む単一の巻回を含んでよい。動作中、磁場発生コイル部FGCは、コイル駆動信号に応えて、内部領域INTA内に磁束変化を発生させる。
【0032】
様々な実施態様において、磁場発生コイル部FGCは、(例えば
図4及び/又は
図5を参照して開示されるように実現される)入力部INPと、第1伸長部EP1及び第2伸長部EP2と、終端部EDPとを含んでよい。入力部INPは、信号処理部(例えば
図1の信号処理部166又は
図6の信号処理部766等)からのコイル駆動信号を、磁場発生コイル部FGCにつなげる第1接続部CP1及び第2接続部CP2を含む。第1接続部CP1及び第2接続部CP2は、プリント回路基板フィードスルー等を介して、信号処理部に接続されてよく、当該接続は、幾つかの実施形態では、終端部EDPを参照して以下に開示される原理と同様の原理を使用してシールドされてもよい。第1伸長部EP1及び第2伸長部EP2それぞれは、内部領域INTAの側面に隣接してX軸方向に沿って延在し、Y軸方向に沿って公称磁場発生トレース幅寸法NGTWDを有する。図示される実施形態では、公称磁場発生トレース幅寸法NGTWDは、第1伸長部EP1及び第2伸長部EP2について同じであるが、これは、すべての実施形態で必須というわけではない。(例えば異なるトレース幅寸法を有する2つの伸長部FTIEP及びFTOEPが1つの対を形成するように設けられている
図7Bを参照されたい。)(例えば
図4及び/又は
図5を参照して開示されるように実現される)終端部EDPは、第1伸長部EP1及び第2伸長部EP2間の公称コイル領域幅寸法YSEPに相当するY軸方向の距離間隔に亘り、内部領域INTAの終端の近くおいて、第1伸長部EP1及び第2伸長部EP2間の接続を提供する。本明細書に開示される原理による様々な実施態様では、磁場発生コイル部FGCは、各公称磁場発生トレース幅寸法NGTWDが、公称コイル領域幅寸法YSEPの少なくとも0.1倍である設計比率を使用して構成されることが有利である。幾つかの実施態様では、磁場発生コイル部FGCは、各公称磁場発生トレース幅寸法NGTWDが、公称コイル領域幅寸法YSEPの少なくとも0.15倍、又は、少なくとも0.25倍であるように構成されてよい。幾つかの実施態様では、磁場発生コイル部FGCは、各公称磁場発生トレース幅寸法NGTWDが、磁束変化に応じて生じる検出信号に対応して、規定された公称動作周波数における伸長部EP1及びEP2の表皮深さの少なくとも25倍であるように構成されてよい。
【0033】
検知要素SEN1~SEN24は、(例えば測定軸方向MAに相当する)X軸方向に沿って配置され、基板(例えば
図1のPCB162)上に固定される。
図2の例では、各検知要素SENは、Y軸方向に沿って公称検知要素幅寸法NSEWDを有する。
図2の例では、各検知要素SENは、Y軸方向に沿って公称検知要素幅寸法NSEWDを有する。公称検知要素幅寸法NSEWDの少なくとも半分以上は、Y軸方向に沿った公称コイル領域幅寸法YSEPに含まれる。検知要素SENは、スケール170の(例えば1つ以上の信号変調要素SMEである)信号変調スケールパターン180の隣接する信号変調部によって提供される磁束変化への局所的影響に応じた検出信号を提供するように構成される。信号処理部(例えば
図1の信号処理部166又は
図6の信号処理部766等)は、検出部167から入力された検出信号に基づいて、スケール170に対する複数の検知要素SEN1~SEN24の位置を決定するように構成されてよい。一般に、磁場発生コイル部FGC及び検知要素SEN1~SEN24等は、先行技術文献に記載の各特許文献において説明されるような(例えば電磁誘導式エンコーダの)既知の原理に従って動作してよい。
【0034】
様々な実施態様では、磁場発生コイル部FGCと検知要素SENとは、(例えばPCBの異なる層内に配置されること等によって)互いから絶縁されている。具体的には、例示的な実施形態によれば、磁場発生コイル部FGCの伸長部EP1及びEP2は、PCBの少なくとも第1の内部銅層を含む伸長部銅層のセットを使用して作成され、検知要素(導電性受信ループ)SENは、上記第1の内部銅層よりも信号変調スケールパターン180に対向する検出部の前面に近い少なくとも1つの銅層を含むPCBの受信ループ銅層のセットを使用して作成される。1つのそのような実施態様では、少なくとも1つの検知要素SENの公称検知要素幅寸法NSEWDは、伸長部EP1と伸長部EP2との間の公称コイル領域幅寸法YSEPよりも大きく、伸長部の少なくとも1つの伸長部EP1又はEP2の内側エッジIEを、オーバーラップ寸法ODとして規定される量だけ超えて延在することが有利である。更に、様々な実施形態において、磁場発生コイル部FGCは、各公称磁場発生トレース幅寸法NGTWDが、対応するオーバーラップ寸法ODよりも大きいように構成されることが有利でありうる。様々な実施態様において、伸長部EP1及びEP2は、PCBの第1の内部銅層上に作成され、検知要素SENは、少なくともオーバーラップ寸法ODの付近において、上記第1の内部銅層よりも検出部の前面に近い少なくとも1つの銅層を含むPCBの受信ループ銅層のセット内に作成される導電性受信ループを含む。
【0035】
様々な実施態様において、磁場発生コイル部FGCは、PCB162の少なくとも第1の内部銅層を含む伸長部銅層のセットを使用して作成された(例えば伸長部EP1及びEP2を含む)導電性トレースを含んでよい。様々な実施態様において、検知要素SENは、第1の内部銅層よりも信号変調スケールパターン180に対向する検出部の前面に近い少なくとも1つの銅層を含むPCBの受信ループ銅層のセットを使用して作成された導電性トレースによって形成される導電性受信ループ、即ち、磁束検知ループを含む。
図1に関して上記されたように、様々な実施態様において、検出部167は、様々なタイプの測定器(例えばノギス、マイクロメータ、ゲージ、リニアスケール等)内に含まれてよい。例えば検出部167は、スライド部材に固定されてよく、信号変調スケールパターン180は、X軸方向と一致する測定軸を有するはり部材に固定されてよい。このような構成において、スライド部材は、はり部材に移動可動に取り付けられ、X軸方向及びY軸方向に沿って延在する平面(Z軸方向は、当該平面に対して直交する)内で測定軸方向MAに沿って移動可能である。
【0036】
図3は、
図1等に示される電子式エンコーダにおいて検出部167として使用可能である検出部367の第2の例示的な実施態様を示す平面図である。検出部367は、
図2の検出部167と同様の特徴及びコンポーネントを有し、その設計及び動作は、本明細書に開示され、請求項に記載される様々な設計原理を満たすように構成されている。具体的には、
図3において「プライム記号(’)の付いた」参照符号によって指定される要素は、
図2における対応する同様の「プライム記号の付いていない」参照符号を有する要素に類似し、以下に示される点を除き、同様に動作すると理解されてよい。
【0037】
図3及び
図2の実施形態の主な相違点は、公称スケールパターン幅寸法NSPWDが公称検知要素幅寸法NSEWD’及び検出部367の他のY軸寸法よりも有意に大きいように、検出部367が、Y軸方向に沿って、検出部167よりも狭い(例えば伸長部EP1’及びEP2’がY軸方向に沿って互いにより近い)点である。例えば1つの特定の実施態様において、公称検知要素幅寸法NSEWD’は、公称スケールパターン幅寸法NSPWDの約2/3以下であってよい。様々な実施態様において、このような構成は、信号変調スケールパターン180に対する検出部367の側方移動に関してより大きい側方オフセット許容範囲をもたらしうる。
【0038】
この相違点にも関わらず、検出部367の他の特徴は、検出部167の他の特徴に類似する。例えば伸長部EP1’及びEP2’は、プリント回路基板(PCB)の少なくとも第1の内部銅層を含む伸長部銅層のセットを使用して作成され、導電性受信ループSEN1’~SEN24’は、上記第1の内部銅層よりも信号変調スケールパターン180に対向する(即ち、
図3の紙面に向く)検出部の前面に近い少なくとも1つの銅層を含むPCBの受信ループ銅層のセットを使用して作成される。これに関連して、
図3の検出部367の拡大部分は、導電性受信ループの方が、伸長部よりも検出部の前面に近いことを示すために、伸長部EP1’及びEP2’と重なる導電性受信ループSEN14’~SEN16’のそれぞれの2つの端部を破線で示している。その一方で、
図3の検出部367のメインビューでは、各導電性受信ループSEN1’~SEN24’の2つのエッジは、説明を容易にすることだけのために実線で示されている。
【0039】
図2の検出部167の特徴と更に同様に、
図3の検出部367の各検知要素SEN’は、Y軸方向に沿って公称検知要素幅寸法NSEWD’を有してよく、公称検知要素幅寸法NSEWD’の少なくとも半分以上は、Y軸方向に沿った公称コイル領域幅寸法YSEP’に含まれる。様々な実施態様において、磁場発生コイル部FGC’は、(例えば
図4及び/又は
図5を参照して開示されるように実現される)第1伸長部EP1’及び第2伸長部EP2’と、終端部EDP’とを含み、これらはすべて、検出部167の対応する要素に類似した構成を有してよい。幾つかの実施態様では、磁場発生コイル部FGC’は、公称磁場発生トレース幅寸法NGTWD’が、公称コイル領域幅寸法YSEP’の少なくとも0.10倍、又は、少なくとも0.15倍、又は、少なくとも0.25倍であるように構成されてよい。他の特徴及び/又は設計関係も、必要に応じて、
図2を参照して説明された特徴及び/又は設計関係に類似するようにされてよい。
【0040】
上記検出部167及び367の例示的な構成に関して、当然ながら、幾つかの従前のシステムは、磁場発生コイル部に、比較的狭いトレース幅及び/又は比較的大きい内部領域(例えばより大きい内部領域INTA及び/又は公称コイル領域幅寸法YSEP)を利用していた。より具体的には、幾つかの従前のシステムでは、一般に、システムが比較的長い期間の間、共振するように十分に高いQ値を有するように、関連の検出部要素が、比較的高いインダクタンスを有することが望ましいと考えられていた。これは、使用された信号処理及び測定方法に関して、有利であると考えられていたからである。対照的に、本明細書に開示される原理によれば、(例えば特定の応用によって課される検出部全体のY軸寸法制限について、INTA及び/又はYSEPを犠牲にして)より広いトレース幅が使用される。これは、比較的小さいインダクタンスと、更に、より小さい全体のインピーダンスとをもたらし、これに対し、より大きい量の電流が、比較的短い期間に流れることが可能となる(例えばより強い信号を生成できる)。また、測定の所望の長さの時間について、共振が依然として達成可能である。検出部167及び367に関して上記されたように、様々な実施態様において、各公称磁場発生トレース幅寸法NGTWDは、公称コイル領域幅寸法YSEPの少なくとも0.10倍、又は、少なくとも0.15倍、又は、少なくとも0.25倍である。幾つかの実施態様において、幾つかの特定の例示的な値として、公称コイル領域幅寸法YSEPは、約2.0mm、又は、8.0mm、又は、10mmであってよく、また、各公称磁場発生トレース幅寸法NGTWDは、少なくとも約0.25mm、又は、0.50mm、又は、1.00mm又はそれ以上であってよい。これらは、約0.10mmであった幾つかの従前のシステムにおけるトレース幅と比較されうる。本明細書に開示されるような構成は、幾つかの事例では、同等の駆動信号を磁場発生コイル部に入力した際に、同等の従来技術の構成の信号レベルを、1.5倍以上、また、幾つかの事例では、3倍以上で超える検出信号レベルを達成することが分かっている。
【0041】
検出部167及び367等の例示的な構成に関して、様々な実施態様において、検知要素SEN(例えば
図2及び
図3に示されるように領域を取り囲むループ又はコイル要素)は、本明細書に開示される最大信号利得設計原理に従って構成される場合に、より従来型の検知要素に優る幾つかの利点(例えは増加された利得等)を提供しうる。磁場発生コイル部FGCに一致する又は磁場発生コイル部FGC内(例えばINTA内)に置かれる検知要素の磁場受信領域の量は、相対的に最大化されるべきである一方で、(例えばY軸方向に沿った)磁場発生コイル部FGCを形成する導体の外側にある検知要素の磁場受信領域の量は、相対的に最小化されるべきである。当然ながら、
図2及び
図3に示される検知要素SENは、この原理に一致する上記設計関係を有するオーバーラップ寸法ODを示す。例えば各公称磁場発生トレース幅寸法NGTWDは、対応するオーバーラップ寸法ODよりも大きいようにされる。
【0042】
図4は、本明細書に開示され、請求項に係る原理に従った検出部467内に含まれる磁場発生コイル部FGCの終端部EDPの第1の例示的な実施態様を示す等角図の「ワイヤフレーム」図である。
図4は、検出部におけるZ軸方向に沿った伸長部EP1及びEP2及び導電性受信ループ(SEN17~SEN24)の相対的配置を、平面図である
図2及び
図3よりも明瞭に示す概略斜視図である。当然ながら、検出部467の要素は、
図2の検出部167の同様の参照符号が付けられた要素と同様に設計され、機能してよく、一般に、それらとの類似性によって理解されるものとする。検出部467は、磁場発生コイル部FGCと、複数の検知要素SEN1~SEN24(
図4には、導電性受信ループを含む代表検知要素SEN17~SEN24が示されている)とを含む。磁場発生コイル部FGCは、第1伸長部EP1及び第2伸長部EP2と、終端部EDPとを含み、PCB162(
図1)上に固定され、内部領域INTAを取り囲む。
【0043】
様々な実施態様において、磁場発生コイル部FGCと検知要素SENとは、例えばプリント回路基板の様々な層内に配置されることによって、互いから絶縁される。具体的には、例示的な実施形態によれば、磁場発生コイル部FGCの伸長部EP1及びEP2は、PCBの(
図4内のZ座標Zepにおける)第1の内部銅層を少なくとも含む伸長部銅層のセットを使用して作成され、導電性受信ループSEN1~SEN24は、(Zepにおける)上記第1の内部銅層よりも信号変調スケールパターン180に対向する(即ち、
図4の紙面に向く)(Z座標Zfsにおける)検出部の前面に近い(Z座標ZseL1又はZseL2における)少なくとも1つの銅層を含むPCBの受信ループ銅層のセットを使用して作成される。
図4において、様々なラベル付けされたZ座標が、様々なPCB層の各表面と一致する又は各表面を特定すると理解されるものとする。しかし、別の作成方法が使用されてもよい。信号変調スケールパターン180の信号変調要素SMEは、Z座標Zsmeにある(
図1に示される)スケール170の表面上にある。当然ながら、スケール170は、検出部467の要素を担持するPCBと離間している。
【0044】
前述の通り、PCB(検出部467)は、Z座標Zfsにある前面(例えば絶縁コーティングの前面)を有する。動作間隙が、スケール表面のZ座標Zsmeと、前面のZ座標Zfsとの間に存在する。磁場発生コイル部FGCの伸長部EP1及びEP2は、Z座標Zepにおける第1の内部銅層を少なくとも含む伸長部銅層のセットを使用して作成され、また、絶縁コーティングによって覆われてよい。検知要素SENは、Z座標ZseL1又はZseL2における少なくとも1つの銅層を含むPCBの受信ループ銅層のセットを使用して作成される相互接続された導電性受信ループを含む。導電性受信ループは、以下により詳しく説明されるように、導電性受信ループが互いに交差する一方で、検知要素の信号寄与を直列に接続し、各信号寄与極性を提供するように、フィードスルーを使用して、(Z座標ZseL1及びZseL2における)層間で接続されてよい。
【0045】
様々な実施形態によれば、伸長部EP1及びEP2は、PCBの(Zepにおける)第1の内部銅層を少なくとも含む伸長部銅層のセットを使用して作成され、導電性受信ループ(SEN)は、(Zepにおける)上記第1の内部銅層よりも信号変調スケールパターン180に対向する(Zfsにおける)検出部の前面に近い(ZseL1又はZseL2における少なくとも1つの銅層を含むPCBの受信ループ銅層のセットを使用して作成される。
【0046】
同様の検出部の従来技術の構成では、磁場発生コイル部の伸長部及び導電性受信ループは、ほぼ反対の関係に配置される。例えば同等の従来技術の構成の検出部は、PCBの少なくとも内部銅層を使用して作成される導電性受信ループを含み、磁場発生コイル部の伸長部は、(導電性受信ループを作成するために使用される)内部銅層よりも信号変調スケールパターンに対向する検出部の表面に近い少なくとも1つの銅層を使用して作成される。このような従来技術の構成の技術的な理由は、磁場発生コイル部の抵抗を減少させることである。これは、(検出部の前面により近いか又は最も近い)PCBの外側層が、通常、より厚い銅メッキを含むからである。典型的なPCB製作には、「ブランク」の銅被覆基板をエッチングし、それらの間にスペーサを追加し、同じ(小さい)厚さをそれぞれ有する薄い内部銅層を作成するように互いに接着することが伴う。次に穴が開けられ、PCBは、めっき浴の中に入れられ、(フィードスルーを作成するために)各穴の中と、両外層上とに銅層を成長させる。通常、両外層は、同じ厚さを有し、各内部銅層よりも大きい(厚い)。
【0047】
本発明者は、上記磁場発生コイル部の伸長部を構成するために「幅広の」トレースを使用することによって、その抵抗が減少され、磁場発生コイル部をPCBの(厚い)外層内に置く技術的動機付けが減少されることが分かった。具体的には、それぞれY軸方向に沿って公称第1内部領域幅寸法の少なくとも0.1倍の公称磁場発生トレース幅寸法であり、それにより銅層厚さが非常に薄くても低抵抗である伸長部を使用することによって、磁場発生コイル部を、PCBの(厚い)外層内に置くことが技術的にあまり必要でなくなる。本発明者は更に、代わりに、導電性受信ループを(検出部の前面により近いか又は最も近い)外層に置くと、エンコーダトランスデューサの利得(信号強度)の顕著な増加が予想外に実現されることが分かった。磁場発生コイル部をPCBの内部銅層を使用して作成し、導電性受信ループを上記内部銅層よりも検出部の前面に近い少なくとも1つの銅層を使用して作成することは、時には、同等の駆動信号を磁場発生コイル部に入力した場合に、従来技術の構成の信号レベルを、1.5倍以上に超える検出信号レベルを達成することが分かった。
【0048】
信号強度の顕著な増加は、信号強度が、伸長部及び信号変調スケールパターン180を含む磁場発生コイル部FGC間の送信間隙よりも、導電性受信ループと信号変調スケールパターン180との間の受信間隙により敏感であることに起因しうる。導電性受信ループを、検出部の前面のより近くに又は最も近くに置くことによって、導電性受信ループが信号変調スケールパターン180に対向する前面から比較的離れたところに置かれる場合に比べて、受信間隙のより正確な制御及び定義が可能となる。
【0049】
図4を依然として参照するに、第1伸長部EP1及び第2伸長部EP2のそれぞれは、X軸方向に沿って延在し、X軸方向及びY軸方向に垂直であるZ軸方向に沿って、信号変調スケールパターン180に対向する検出部467のPCBの前面(Zfs)から、伸長部のz距離EPZD=(Zep-Zfs)に、名目上位置する。様々な実施形態では、EPZDは、伸長部EP1及びEP2が、前面(Zfs)のより近くに又は最も近くに配置される場合に、最小にされる。幾つかの実施態様では、導電性受信ループは、(ZseL1及びZseL2における)受信ループ銅層のセットに含まれる各層内に形成される平面トレース部と、平面トレース部をそれらの対応する層間で接続するめっき孔を含むフィードスルー部とを含む。平面トレース部の少なくとも半分以上が、(Zepにおける)第1の内部銅層よりも検出部の(Zfsにおける)前面に近い(ZseL1及びZseL2における)各層内に作成されてよい。更なる実施態様では、導電性受信ループのすべての平面トレース部が、(Zepにおける)第1の内部銅層よりも検出部の(Zfsにおける)前面に近い(ZseL1及びZseL2における)各層内に作成される。幾つかの実施態様では、導電性受信ループの平面トレース部の少なくとも一部が、検出部の(Zfsにおける)前面上にある銅層であるか、又は、検出部の前面に最も近い(ZseL1又はZseL2における)対応する層内に作成される。
【0050】
上記されたように、終端部EDPは、第1伸長部EP1と第2伸長部EP2との間の公称コイル領域幅寸法YSEPに相当するY軸方向の距離間隔に亘り、内部領域INTAの終端の付近において、それらの間に接続を提供する導電性経路を含む。
図4に示される実施形態では、終端部EDPは、検出部467のPCBの前面(Zfs)から、シールドされた終端セクションのz距離SESZD=(Zses-Zfs)に名目上位置しているZ座標Zsesを有する対応するPCB層の表面上にあるシールドされた終端セクションSESを含む。シールドされた終端セクションのz距離SESZDは、伸長部のz距離EPZDよりも大きい。第1接続部CNP1(例えばPCBフィードスルー)は、第1伸長部EP1を、シールドされた終端セクションSESの第1の端に接続し、第2接続部CNP2(例えばPCBフィードスルー)は、第2伸長部EP2を、シールドされた終端セクションSESの第2の端に接続する。
【0051】
図4に示される実施態様では、検出部467は更に、X軸方向及びY軸方向に沿って延在し、Z座標Zcsrを有する対応するPCB層の表面上に名目上位置し、また、検出部467のPCBの前面から、シールド領域のz距離SRZD=(Zcsr-Zfs)に名目上位置する導電性シールド領域CSR(例えば
図4において、幾分任意に配置された破線の「縁」線によって表される導電性の平面領域)を含む。様々な実施態様において、シールド領域のz距離SRZDは、シールドされた終端セクションのz距離SESZDよりも小さく、導電性シールド領域CSRは、シールドされた終端セクションSESの少なくとも一部と、検出部467のPCBの前面(Zfs)との間に配置される。導電性シールド領域CSRは、検出部467のPCBにおける広いグランドプレーン層の一部を含んでもよいし、又は、幾つかの実施形態では、個別の領域を含んでもよい。導電性シールド領域CSRは、第1接続部CNP1及び第2接続部CNP2(例えばPCBフィードスルー)が、導電性シールド領域CSRから分離又は絶縁されるように、クリアランスホールを含んでもよい。
【0052】
一般に、磁場発生コイル部の終端部(例えばY軸方向に沿って延在する終端部)の以前から知られている構成によって発生される磁場成分は、終端部に最も近い検知要素の検出信号にエラー成分を生じさせる(いわゆる「終端効果(end effect)」)。検出部内に「テーパされた終端構成」を使用して、及び/又は、終端部を終端検知要素から遠くに離すことによって、この終端効果を軽減する試みがなされてきている。しかし、これらのアプローチは、望ましくなく信号強度を低下させるか、検出部のX軸寸法を増加させるか、又は、その両方を生じさせる。対照的に、上記シールド構成は、終端部によって生成される磁場成分を減少させる、及び/又は、それが、信号変調要素SEMに達しないようにする傾向がある。したがって、最も近い検知要素に結合される磁場成分は、より小さいか、及び/又は、スケール位置に関係なく、略一定であり、したがって、任意の終端効果が実質的に軽減される。
【0053】
上記されたように、様々な実施態様において、伸長部EP1及びEP2は、PCBの第1の内部銅層上に作成されてよく、シールドされる終端セクションSESは、PCBの(Zsesにおける)異なる(例えば「第3の」)層内に作成されてよく、導電性シールド領域CSRは、PCBの第3の層よりも検出部の前面(Zfs)(例えば検出部のPCBの前面)に近いPCBの層(例えばZcsrにおける「第4の」層)上に作成される。1つのそのような実施態様では、導電性シールド領域CSRは、(Zepにおける)第1の内部銅層と(Zsesにおける)第3の層との間に配置されるPCBの(Zcsrにおける)第4の層内に作成されてよい。このような構成では、導電性シールド領域CSRは、PCBのグランドプレーン層の少なくとも一部を含んでよく、グランドプレーン層は、Zepにおける第1の内部銅層とZsesにおける第3の層との間に配置される。1つの実施態様において、伸長部EP1又はEP2と、シールドされた終端セクションSESとの間の(例えば第1接続部CNP1又は第2接続部CNP2の一部としての)接続は、Z軸方向に沿って延在するプリント回路基板フィードスルーを含んでよい。1つのこのような構成において、導電性シールド領域CSRは、Zepにおける第1の内部銅層とZsesにおける第3の層との間に配置されるプリント回路基板の(第4の)層上に作成されてよく、プリント回路基板のフィードスルーは、導電性シールド領域CSR内に作成される開口を貫通してよい。
【0054】
図5は、本明細書に開示され、請求項に係る原理に従って、検出部567内に含まれる磁場発生コイル部FGC’’の終端部EDP’’の第2の例示的な実施態様を示す等角図の「ワイヤフレーム」図である。
図5は、検出部におけるZ軸方向に沿った伸長部EP1及びEP2及び導電性受信ループ(SEN17~SEN24)の相対的配置を、平面図である
図2及び
図3よりもより明瞭に示す概略斜視図である。当然ながら、検出部567の要素は、
図2の検出部167及び/又は
図4の検出部467の同様の参照符号が付けられた要素と同様に設計され、操作されてよく、一般に、それらとの類似性によって理解されるものとする。
【0055】
図5では、
図4にあるように、様々なラベル付けされたZ座標が、様々なPCB層の各表面と一致する又は各表面を特定すると理解されるものとする。しかし、別の作成方法を使用してもよい。信号変調スケールパターン180の信号変調要素SMEは、Z座標Zsmeにある(
図1に示される)スケール170の表面上にある。検出部567は、Z座標Zfsにある前面(例えば検出部567のPCB上の絶縁コーティングの前面)を有する。動作間隙が、スケール表面のZ座標Zsmeと、前面のZ座標Zfsとの間に存在する。伸長部EP1及びEP2は、Z座標Zepにおける第1の内部銅層を少なくとも含む伸長部銅層のセットを使用して作成され、また、絶縁コーティングによって覆われてよい。検知要素SENは、Z座標ZseL1又はZseL2における少なくとも1つの銅層を含むPCBの受信ループ銅層のセットを使用して作成される相互接続された導電性受信ループを含み、これらは、検出部467を参照して上で述べたように接続される。
【0056】
第1伸長部EP1及び第2伸長部EP2は、信号変調スケールパターン180に対向する検出部567の前面(Zfs)から、伸長部のz距離EPZD=(Zep-Zfs)に、名目上位置している。検出部467にあるように、終端部EDP’’は、第1伸長部EP1と第2伸長部EP2との間の公称コイル領域幅寸法YSEPに相当するY軸方向の距離間隔に亘り、内部領域INTAの終端の付近において、それらの間に接続を提供する導電性経路を含む。
図5に示される実施形態では、終端部EDP’’は、Z座標Zses’’を有する対応するPCB層の表面上にあるシールドされた終端セクションSES’’を含む。終端セクションSES’’は、検出部567の前面(Zfs)から、シールドされた終端セクションのz距離SESZD’’=(Zses’’-Zfs)に名目上位置する。シールドされた終端セクションのz距離SESZD’’は、伸長部のz距離EPZDよりも大きい。(例えばPCBフィードスルーCNP1A及び導電性トレースCNP1Bを含む)第1接続部CNP1は、第1伸長部EP1を、シールドされた終端セクションSESの第1の端に接続し、(例えばPCBフィードスルーCNP2A及び導電性トレースCNP2Bを含む)第2接続部CNP2は、第2伸長部EP2を、シールドされた終端セクションSESの第2の端に接続する。
【0057】
図5に示される実施態様では、検出部567は更に、導電性シールド領域CSR’’(例えば
図5において、破線の縁線によって表される導電性の平面領域)を含む。導電性シールド領域CSR’’は、X軸及びY軸方向に沿って延在し、Z座標Zcsr’’を有する対応するPCB層の表面上に名目上位置し、また、検出部567のPCBの前面から、シールド領域のz距離SRZD’’=(Zcsr’’-Zfs)に名目上位置する。様々な実施態様において、シールド領域のz距離SRZD’’は、シールドされた終端セクションのz距離SESZD’’よりも小さく、導電性シールド領域CSR’’は、シールドされた終端セクションSES’’の少なくとも一部と、検出部567のPCBの前面との間に配置される。
図5に示される実施形態について、当然ながら、幾つかの実施態様では、シールド領域CSR’’は、必要に応じて、検知要素SENに使用されたのと同じ表面上に配置されてもよい(つまり、必要に応じて、Zcsr’’=ZseL1又はZcsr’’=ZseL2である)。更に、1つのこのような実施態様において、必要に応じて、シールドされた終端セクションSES’’及び導電性トレースCNP1B及びCNP2Bは、伸長部EP1及びEP2に使用されたのと同じ表面上に配置されてよい(つまり、必要に応じて、Zses’’=Zep及びEPZD=SESZD’’等である)。このような実施態様では、検出部567のPCBが、検出部467よりも、少ない層を含んでも、及び/又は、Z軸方向に沿ってより薄くてもよい。いずれの場合でも、検出部567における終端部EDP’’のシールドされた構成は、検出部467における終端部EDPを参照して上で述べた様態と同様の様態で、終端効果を軽減する。
【0058】
上記例示的な検出部467及び567に関して、当然ながら、導電性シールド領域CSR(CSR’’)は、磁場発生コイル部FGCの伸長部EP1及びEP2の第1の内部銅層の位置に比べて、(例えば異なるPCB層等の上に配置された)シールドされた終端セクションSESの相対的な層の位置に少なくとも部分的に基づいて、検知要素SENへのシールドされた終端セクションSESの(例えば磁束変化に関連する)影響を減少させることができる。このような構成は、導電性シールド領域CSR(CSR’’)の利用を可能にし、磁場発生コイル部FGCに、より短い全体のX軸寸法を可能にする(例えばこれに対し、終端部EDPは、磁束変化等に応じて生じる検出信号に影響を及ぼすことを回避するために、検知要素SENから遠く離れて配置される必要がない)。
【0059】
図6は、電子式エンコーダ710を含む測定システム700のコンポーネントの1つの例示的な実施態様を示すブロック図である。当然ながら、
図6の幾つかの番号が付けられたコンポーネント7XXは、以下に示される点を除き、
図1の同様に番号が付けられたコンポーネント1XXに対応するか、及び/又は、同様の動作を有する。電子式エンコーダ710は、信号処理部766と、合わされるとトランスデューサを形成するスケール770及び検出部767とを含む。様々な実施態様では、検出部767は、
図2乃至
図6に関して説明された構成の何れか又は他の構成を含んでよい。測定システム700は更に、ディスプレイ738及びユーザによって操作可能なスイッチ734、736といったユーザインターフェースを含み、また、電源765を追加的に含んでもよい。様々な実施態様では、外部データインターフェース732が含まれてもよい。これらの要素はすべて、信号プロセッサとして具体化されうる信号処理部766(又は信号処理及び制御回路)に結合される。信号処理部766は、検出部767から入力される検出信号に基づいて、スケール770に対する検出部767の検知要素の位置を決定する。
【0060】
様々な実施態様において、
図6の信号処理部766(及び/又は
図1の信号処理部166)は、本明細書に説明される機能を行うように、ソフトウェアを実行する1つ以上のプロセッサを含んでも又はそれらから構成されてもよい。プロセッサは、プログラマブル汎用又は特殊用途向けマイクロプロセッサ、プログラマブルコントローラ、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブル論理デバイス(PLD)等又はこのようなデバイスの組み合わせを含む。ソフトウェアは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ等、又は、このようなコンポーネントの組み合わせといったメモリに記憶されてよい。ソフトウェアは更に、光学ベースのディスク、フラッシュメモリデバイス又はデータを記憶する任意の他のタイプの不揮発性記憶媒体といった1つ以上の記憶デバイスに記憶されてもよい。ソフトウェアは、特定のタスクを行う又は特定のアブストラクトデータタイプを実現するルーティン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造等を含む1つ以上のプログラムモジュールを含んでよい。分散型コンピュータ環境では、プログラムモジュールの機能は、組み合わされても、複数のコンピュータシステム又はデバイスにわたって分散され、有線又は無線構成のサービスコールを介してアクセスされてよい。
【0061】
図7Aは、
図1等に示される電子式エンコーダにおける検出部167及び信号変調スケールパターン180としてそれぞれ使用可能である検出部767及び互換信号変調スケールパターン780の第3の例示的な実施態様を示す平面図である。
図7Bは、
図7Aとほぼ一致する第3の例示的な実施態様を示す斜視図である。
図7Bは、検出部におけるZ軸方向に沿った伸長部(FTOEP、FTIEP、STOEP、STIEP)及び導電性受信ループ(SEN1~SEN24)の相対的配置を、平面図である
図7Aよりも明瞭に示す概略斜視図である。検出部767は、
図2の検出部167と同様の特徴及びコンポーネントを有し、その設計及び動作は、本明細書に開示され、請求項に記載される様々な設計原理を満たすように構成されている。具体的には、
図2又は本明細書における他の図面における参照符号又はラベルと同様又は同一の
図7Aにおける参照符号又はラベル(例えば7XX及び2XXのように同様の「XX」との接尾語)によって指定される要素は、類似の要素を指定し、以下に示される点を除き、同様に動作すると理解されてよい。したがって、検出部767及び信号変調スケールパターン780の重要な相違点についてのみ、以下に説明する。検出部767及び互換信号変調スケールパターン780は、以下により詳細に説明されるように、上記実施態様と比べてよりロバストな信号精度及び/又は信号強度を提供する点で、追加の利点を提供する。
【0062】
図7A/
図7B及び
図2の実施形態の主な相違点は、信号変調スケールパターン780が、互いに平行に配置された第1のパターントラックFPT及び第2のパターントラックSPTを含む点である。第1のパターントラックFPTは、もう1つのパターントラックに最も近い第1トラック内部境界FTIBと、もう1つのパターントラックから最も遠い第1トラック外部境界FTEBとの間のY軸方向に沿った公称第1パターントラック幅寸法FPTWDを有する。第2のパターントラックSPTは、もう1つのパターントラックに最も近い第2トラック内部境界STIBと、もう1つのパターントラックから最も遠い第2トラック外部境界STEBとの間のY軸方向に沿った公称第2パターントラック幅寸法SPTWDを有する。第1のパターントラックFPT及び第2のパターントラックSPTそれぞれは、X軸方向に沿った位置の周期関数として変化する空間的変化特徴を提供するように配置される信号変調要素SMEを含む。
【0063】
別の主な相違点は、検出部767が、信号変調スケールパターン780との互換動作のために構成される点である。検出部767は、磁場発生コイル部FGCを含み、当該磁場発生コイル部FGCは、PCB上に固定されていてよく、また、第1トラック磁場発生コイル部FTFGCPと第2トラック磁場発生コイル部STFGCPとを含む。磁場発生コイル部FGCは、信号処理部からのコイル駆動信号を磁場発生コイル部FGCに接続する少なくとも2つの接続部(例えばCP1及びCP2)を含む入力部INPを含んでよい。磁場発生コイル部FGCにおいて、第1トラック磁場発生コイル部FTFGCPは、第1のパターントラックFPTと位置合わせされた第1の内部領域FINTAを取り囲み、X軸方向に沿って公称第1内部領域長さ寸法FIALDと、Y軸方向に沿って公称第1内部領域幅寸法YSEP1とを有し、コイル駆動信号に応えて、第1の内部領域FINTA内に第1の磁束変化を発生させる。同様に、第2トラック磁場発生コイル部STFGCPは、第2のパターントラックSPTと位置合わせされた第2の内部領域SINTAを取り囲み、X軸方向に沿って公称第2内部領域長さ寸法SIALDと、Y軸方向に沿って公称第2内部領域幅寸法YSEP2とを有し、コイル駆動信号に応えて、第2の内部領域SNTA内に第2の磁束変化を発生させる。
【0064】
検出部767は更に、X軸方向に沿って配置され、PCB上に固定される複数の検知要素SEN(例えばSEN1、SEN14)を含む。各検知要素SENは、第1の内部領域FINTA及び第2の内部領域SINTAに亘るY軸方向に沿った公称検知要素幅寸法NSEWDを有する。複数の検知要素は、信号変調スケールパターン780の隣接する信号変調要素SMEによって提供される磁束変化への局所的影響に応じた検出信号を提供するように構成される。様々な実施態様において、複数の検知要素SENは、プリント回路基板上に作成される導電性トレース及びフィードスルーによって形成される導電性受信ループを含む。
【0065】
(例えば
図7Aに示されるような)様々な実施態様において、(例えば第1の方向における電流を生成するために第1の極性の磁束変化に応じる)第1の検知ループ極性を提供するように構成される導電性受信ループは、X軸方向に沿って、(例えば同じ方向における電流を生成するために第1の極性とは反対の磁束変化に応じる)第1の検知ループ極性とは反対の第2検知ループ極性を提供するように構成される導電性受信ループと交互配置される。信号処理部が、コイル駆動信号を提供するために、検出部に動作可能に接続されてよく、既知の方法に従って、検出部767の図示される検知要素SENから(及び既知の原理に従って他の空間位相位置に提供される他の図示されていない検知要素SENから)の検出信号入力に基づいて、検出部と信号変調スケールパターンとの相対位置を決定する。
【0066】
図7Aに示されるように、磁場発生コイル部FGC及び検知要素SENは、本明細書において前に開示される原理に従って有利に構成される。磁場発生コイル部FGCは、終端部EDPの1つ以上について、シールド構成を実現するために、図示されるフィードスルーの1つ以上を含んでよい。当然ながら、特定の実施態様において不要である又は所望されない図示されるフィードスルーは、省略されてよい。
【0067】
図7A及び
図7Bに示される実施態様では、第1トラックの第1(例えば内側)伸長部FTIEP及び第1トラックの第2(例えば外側)伸長部FTOEPそれぞれは、第1の内部領域FINTAに隣接してX軸方向に沿って延在する。第1トラック内側伸長部FTIEPは、第1トラック内部境界FTIBに隣接して位置付けられ、第1トラック外側伸長部FTOEPは、第1トラック外部境界FTEBに隣接して位置付けられる。第1トラック内側伸長部FTIEPは、Y軸方向に沿って公称第1トラック内側磁場発生トレース幅寸法NFTIGTWDを有する。第1トラック外側伸長部FTOEPは、Y軸方向に沿って公称第1トラック外側磁場発生トレース幅寸法NFTOGTWDを有する。本明細書に開示される原理によれば、公称第1トラック磁場発生トレース幅寸法NFTIGTWD及びNFTOGTWD(同じであっても互いに異なっていてもよい)それぞれは、公称第1内部領域幅寸法YSEP1の少なくとも0.1倍である。幾つかの実施態様では、第1トラック磁場発生トレース幅寸法NFTIGTWD及びNFTOGTWDが、公称第1内部領域幅寸法YSEP1の少なくとも0.15倍、又は、少なくとも0.25倍であることが有利でありうる。
【0068】
第2トラックの第1(例えば内側)伸長部STIEP及び第2トラックの第2(例えば外側)伸長部STOEPそれぞれは、第2の内部領域SINTAに隣接してX軸方向に沿って延在する。第2トラック内側伸長部STIEPは、第2トラック内部境界STIBに隣接して位置付けられ、第2トラック外側伸長部STOEPは、第2トラック外部境界STEBに隣接して位置付けられる。第2トラック内側伸長部STIEPは、Y軸方向に沿って公称第2トラック内側磁場発生トレース幅寸法NSTIGTWDを有する。第2トラック外側伸長部STOEPは、Y軸方向に沿って公称第2トラック外側磁場発生トレース幅寸法NSTOGTWDを有する。本明細書に開示される原理によれば、公称第2トラック磁場発生トレース幅寸法NSTIGTWD及びNSTOGTWD(同じであっても互いに異なっていてもよい)それぞれは、公称第2内部領域幅寸法YSEP2の少なくとも0.1倍である。幾つかの実施態様では、第2トラック磁場発生トレース幅寸法NFTIGTWD及びNFTOGTWDが、公称第2内部領域幅寸法YSEP2の少なくとも0.15倍、又は、少なくとも0.25倍であることが有利でありうる。他の特徴及び/又は設計関係も、必要に応じて、
図2を参照して説明された特徴及び/又は設計関係と類似するようにされてよい。
【0069】
第1トラックの第1(例えば内側)伸長部FTIEP及び第1トラックの第2(例えば外側)伸長部FTOEPは、PCBの第1の内部銅層を少なくとも含む伸長部銅層のセットを使用して作成され、導電性受信ループ(SEN1~SEN24)は、上記第1の内部銅層よりも信号変調スケールパターン180に対向する検出部の前面に近い少なくとも1つの銅層を含むPCBの受信ループ銅層のセットを使用して作成される。同様に、第2トラックの第1伸長部STIEP及び第2トラックの第2伸長部STOEPも、PCBの第2の内部銅層を少なくとも含む伸長部銅層のセットを使用して作成され、導電性受信ループ(SEN1~SEN24)は、上記第2の内部銅層よりも信号変調スケールパターン180に対向する検出部の前面に近い少なくとも1つの銅層を含むPCBの受信ループ銅層のセットを使用して作成される。様々な実施態様では、第2トラックの第1伸長部STIEP及び第2伸長部STOEPを作成するために使用するPCBの第2の内部銅層は、第1トラックの第1伸長部FTIEP及び第2伸長部FTOEPを作成するために使用する第1の内部銅層と同じであり、集合的に、内部伸長部層を形成する。
【0070】
様々な実施態様において、上記特徴と組み合わせて、公称検知要素幅寸法NSEWDの少なくとも半分以上が、第1トラック外側伸長部FTOEPと第2トラック外側伸長部STOEPとの間に含まれる。幾つかの実施態様では、公称検知要素幅寸法NSEWDの少なくとも半分以上が、第1の内部領域FINTA及び第2の内部領域SINTA内に含まれる。様々な実施態様において、磁場発生コイル部FGC及び検知要素SENは、互いから絶縁される。
図7Aに示されるように、少なくとも1つの検知要素SENの公称検知要素幅寸法NSEWDは、第1トラック外側伸長部FTOEPと第2トラック外側伸長部STOEPとの間に亘る全体内部領域幅寸法OIAWDよりも大きく、第1トラック外側伸長部FTOEP及び第2トラック外側伸長部STOEPの少なくとも一方の内側エッジIEを、オーバーラップ寸法(例えば第1トラックオーバーラップ寸法FTOD及び/又は第2トラックオーバーラップ寸法STOD)と規定される量だけ越えて延在する。様々な実施態様では、磁場発生コイル部FGCは、各公称外側磁場発生トレース幅寸法(NFTOGTWD及びNSTOGTWD)が、その関連付けられるオーバーラップ寸法よりも大きいように構成される。様々な実施態様では、すべての伸長部(FTIEP、FTOEP、STIEP及びSTOEP)は、前述の通り、PCBの内部伸長部層内に作成され、検知要素SENは、少なくともオーバーラップ寸法の付近において、内部伸長部層よりも検出部の前面に近い少なくとも1つの銅層を含むPCBの1つ以上の受信ループ銅層内に作成される導電性受信ループを含む。
【0071】
図7A及び
図7Bに示される特定の実施態様では、第1のパターントラックFPT及び第2のパターントラックSPTそれぞれは、第1のパターントラックFPT及び第2のパターントラックSPTにおいて、X軸方向に沿って同じ空間的周期又は波長Wに従って配置される同じタイプの信号変調要素SMEを含んでよい。第2のパターントラックSPTにおける信号変調要素SMEは、第1のパターントラックにおける信号変調要素に対して約W/2の公称スケールトラックオフセットSTOだけ、測定軸方向(X軸方向)に沿ってオフセットされている。
図7Aにおける電流の流れの矢印によって示されるように、磁場発生コイル部FGCは、第1の内部領域FINTA内に、第1の極性を有する第1トラック磁束変化を発生させ、また、第2の内部領域SINTA内に、第1の極性とは反対の第2の極性を有する第2トラック磁束変化を発生させるように構成される。上記されたように、複数の検知要素SENは、PCB上に作成される導電性トレースによって形成される(X軸方向に沿って検知ループ極性が交互に変わる)導電性受信ループを含む。各導電性受信ループの少なくとも半分以上が、Y軸方向に沿って第1の内部領域FINTA及び第2の内部領域SINTAに亘り、各検知要素SENにおいて、第1の内部領域FINTA及び第2の内部領域SINTA内で同じ検知ループ極性を提供する。第1の内部領域FINTAにおける発生磁束の極性は、第2の内部領域SINTAにおける発生磁束の極性とは反対であるので、これは、第1のパターントラックFPT及び第2のパターントラックSPTにおいて約W/2のスケールトラックオフセットSTOを有する信号変調要素SMEと相互作用して、各検知要素SENにおいて、強化信号寄与が生成される。
【0072】
図8は、
図1等に示される電子式エンコーダにおける検出部167及び信号変調スケールパターン180としてそれぞれ使用可能である検出部867及び互換信号変調スケールパターン780の第4の例示的な実施態様を示す平面図である。
図8に示される信号変調スケールパターン780は、
図7Aに示される信号変調スケールパターン780と同様又は同一であってよく、検出部867とのその動作に関すること以外、以下に詳細には説明しない。検出部867は、
図7Aの検出部767の特徴及びコンポーネントに類似する特徴及びコンポーネントを有し、その設計及び動作は、本明細書に開示され、請求項に記載される同様の設計原理を満たすように構成されており、また、同様の利点を提供する。
図7A又は本明細書における他の図面における参照符号又はラベルと同様又は同一の
図8における参照符号又はラベル(例えば8XX及び7XXのように同様の「XX」との接尾語)によって指定される要素は、類似の要素を指定し、以下に示される点を除き、同様に動作すると理解されてよい。したがって、検出部867及び検出部767の重要な相違点についてのみ、以下に詳述する。
【0073】
検出部767と同様に、検出部867は、信号変調スケールパターン780との互換動作のために構成される。第1トラック磁場発生コイル部FTFGCPは、第1のパターントラックFPTと位置合わせされた第1の内部領域FINTAを取り囲み、X軸方向に沿って公称第1内部領域長さ寸法FIALDと、Y軸方向に沿って公称第1内部領域幅寸法YSEP1とを有し、コイル駆動信号に応えて、第1の内部領域FINTA内に第1の磁束変化を発生させる。同様に、第2トラック磁場発生コイル部STFGCPは、第2のパターントラックSPTと位置合わせされた第2の内部領域SINTAを取り囲み、X軸方向に沿って公称第2内部領域長さ寸法SIALDと、Y軸方向に沿って公称第2内部領域幅寸法YSEP2とを有し、コイル駆動信号に応えて、第2の内部領域SNTA内に第2の磁束変化を発生させる。
【0074】
検出部867と検出部767との1つの重要な相違点は、
図8における電流の流れの矢印によって示されるように、磁場発生コイル部FGCが、第1の内部領域FINTA内に第1の極性を有する第1トラック磁束変化を発生させ、また、第2の内部領域SINTA内に第1の極性と同じである第2の極性を有する第2トラック磁束変化を発生させるように構成される点である。これに関連して、以下に説明されるように、複数の検知要素SEN(例えばSEN1、SEN14)において、第2の重要な相違点がある。
【0075】
検出部767と同様に、検出部867において、複数の検知要素SENは、第1の内部領域FINTA及び第2の内部領域SINTAに亘るY軸方向に沿った公称検知要素幅寸法NSEWDを有し、また、複数の検知要素SENは、信号変調スケールパターン780の隣接する信号変調要素SMEによって提供される磁束変化への局所的影響に応じた検出信号を提供するように構成される。複数の検知要素SENは、PCBの1つ以上の受信ループ銅層内に作成される導電性受信ループを含む。各導電性受信ループの少なくとも半分以上が、Y軸方向に沿って第1の内部領域FINTA及び第2の内部領域SINTAに亘る。しかし、検出部767とは対照的に、検出部867内に示される導電性受信ループそれぞれは、第1の内部領域FINTA及び第2の内部領域SINTA内に、相反する検知ループ極性を提供するように、それらの導電性トレースの交差又はツイストを含む。様々な実施形態では、導電性受信ループの少なくとも半分以上について、それらの導電性トレースの交差又はツイストは、不所望の信号外乱を作成しないように、第1の内部領域FINTAと第2の内部領域SINTAとの間の第1トラック内側伸長部FTIEP及び第2トラック内側伸長部STIEPを含む「非アクティブ」中心領域内又は上に位置付けられる。
【0076】
図8に示されるように、検知要素SENの導電性受信ループは更に、(例えば
図8の下部に拡大図で示される1つの例示的な検知ループ導体図及び関連の電流の流れの矢印によって概略的に示されるように)、X軸方向に沿って交互配置される相反する検知ループ極性を有するように構成される。
【0077】
上記説明によれば、第1の内部領域FINTAにおける発生磁束の極性は、第2の内部領域SINTAにおける発生磁束の極性と同じであるので、これは、第1のパターントラックFPT及び第2のパターントラックSPTにおいて約W/2のスケールトラックオフセットSTOを有する信号変調要素SMEと相互作用し、「ツイストした」検知要素SENのそれぞれにおいて、強化信号寄与が生成される。信号処理部が、コイル駆動信号を提供するために、検出部に動作可能に接続されてよく、既知の方法に従って、検出部867の図示される検知要素SENから(及び既知の原理に従って他の空間位相位置に提供される他の図示されていない検知要素SENから)の検出信号入力に基づいて、検出部と信号変調スケールパターンとの相対位置を決定する。
【0078】
図8に示されるように、磁場発生コイル部FGC及び検知要素SENは、本明細書において前に開示される原理に従って有利に構成される。磁場発生コイル部FGCは、終端部EDPの1つ以上について、シールド構成を実現するために、図示されるフィードスルーの1つ以上を含んでよい。当然ながら、特定の実施態様において不要である又は所望されない図示されるフィードスルーは、省略されてよい。本明細書に開示される原理によれば、公称第1トラック磁場発生トレース幅寸法NFTIGTWD及びNFTOGTWDそれぞれは、公称第1内部領域幅寸法YSEP1の少なくとも0.1倍である。幾つかの実施態様では、第1トラック磁場発生トレース幅寸法NFTIGTWD及びNFTOGTWDが、公称第1内部領域幅寸法YSEP1の少なくとも0.15倍、又は、少なくとも0.25倍であることが有利でありうる。本明細書に開示される原理によれば、公称第2トラック磁場発生トレース幅寸法NSTIGTWD及びNSTOGTWDそれぞれは、公称第2内部領域幅寸法YSEP2の少なくとも0.1倍である。幾つかの実施態様では、第2トラック磁場発生トレース幅寸法NSTIGTWD及びNSTOGTWDが、公称第2内部領域幅寸法YSEP2の少なくとも0.15倍、又は、少なくとも0.25倍であることが有利でありうる。
【0079】
検出部867において使用される他の特徴及び/又は設計関係も、必要に応じて、検出部767を参照して説明された互換性のある特徴及び/又は設計関係に類似するようにされてよい。
【0080】
図7A及び
図7B並びに
図8を参照して上記されたものと同様の磁場発生極性及び検知要素極性と組み合わせて使用される2トラック信号変調スケールパターンは、米国特許第7906958号特許において、詳細な作成又はレイアウトの配慮点に言及することなく開示されたように、単一トラック信号変調スケールパターン構成において生じうる特定の信号オフセット成分を低減又は排除するのに役立ちうる。本明細書においてすでに述べたように、従前のシステム(例えば米国特許第7906958号において言及されるシステム)は、磁場発生コイル部に、比較的細いトレース及び/又は比較的大きい内部領域(例えば大きい内部領域FINTA及び/若しくはSINTA並びに/又は公称コイル領域幅寸法YSEP1及び/若しくはYSEP2)を使用する。幾つかの従前のシステムでは、検出部の検知要素に、磁場発生コイル内部領域内の磁束変化を受け取るために比較的大きい領域が結合されていることが望ましいと、通常考えられていた。これは、電流の流れ及び信号強度に関して有利であると考えられていたことによる。対照的に、本明細書に開示される原理によれば、(例えば特定の応用によって課される検出部全体のY軸寸法制限について、内部領域FINTA及び/若しくはSINTA並びに/又はYSEP1及び/若しくはYSEP2を犠牲にして)より広いトレース幅が使用され、これは、磁場発生コイル部FGCに比較的小さい全体のインピーダンスをもたらし、これにより、より多くの量の電流が、比較的短時間の間に流れる(例えばより強い信号を生成する)ことが可能となり、また、測定のために望ましい長さの時間について、共振も依然として達成可能である。これは、実施上の配慮点(例えばこれまでに使用されてきた単一トラックエンコーダと同じ空間に収まるようにすること)によって比較的小さい第1トラックパターン幅及び第2トラックパターン幅に制限されうる2トラック信号変調スケールパターンにとって特に有益である。本明細書に開示される原理に従って構成される2トラック構成は、同等の駆動信号を磁場発生コイル部に入力した場合に、同等の従来技術の構成の信号レベルを、時には、1.5倍以上、更には、3倍以上に超える検出信号レベルを達成することが分かっている。
【0081】
本開示の好適な実施態様が図示及び説明されたが、本開示に基づけば当業者には、図示及び説明された特徴の配置及び動作の順序における多数の変形態様が明らかであろう。本明細書に開示される原理を実現するために、様々な代替形態が使用されてもよい。
【0082】
一例として、
図2、
図3、
図7A及び
図8に示され、
図2、
図3、
図7A及び
図8を参照して説明された実施形態は、非ゼロであるオーバーラップ寸法ODを使用するが、これは、すべての実施形態における必要条件ではない。別の例として、
図7A、
図7B及び
図8に示される検知要素SENの特定の構成及びスケールトラックオフセットSTOは、例示に過ぎず、限定ではない。上記説明及び開示された原理に基づいて、当業者には理解できるように、他のスケールトラックオフセットSTOを、特定のスケールトラックオフセット量に対応するように検知要素SENの形状の適切な適応と組み合わせて使用してもよい。別の例として、当然ながら、信号変調要素SMEは、様々な実施態様において、ループ要素若しくはプレート要素、又は、材料特性変化を含んでもよく、及び/又は、様々な実施態様において、所望の周期信号プロファイルを生成するために、W/2又はW/2よりも大きい若しくは小さいX軸方向に沿った寸法を有してもよい。別の例として、当然ながら、本明細書に開示される様々な特徴及び原理は、回転式エンコーダに適用されてもよく、その場合、円形測定軸方向及び半径方向が、上記説明において言及されるX軸方向及びY軸方向と同様となる。
【0083】
上記様々な実施態様及び特徴は、更なる実施態様を提供するために、組み合わされてもよい。本明細書において参照されたすべての米国特許及び米国特許出願は、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる。必要に応じて、実施態様の態様は、更なる実施態様を提供するために、様々な特許及び出願の概念を採用するように、変更されてもよい。
【0084】
上記詳細な説明に照らせば、これらの及び他の変更を実施態様に行うことができる。一般に、次の請求項において使用される用語は、請求項を、本明細書及び請求項に開示される特定の実施態様に限定すると解釈されるべきではなく、むしろ、当該請求項の等価物の全範囲内のあらゆる可能な実施態様を含むと解釈されるべきである。