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特許7198878磁気トンネル接合を堆積するための超平滑底部電極面の形成方法
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  • 特許-磁気トンネル接合を堆積するための超平滑底部電極面の形成方法 図1
  • 特許-磁気トンネル接合を堆積するための超平滑底部電極面の形成方法 図2
  • 特許-磁気トンネル接合を堆積するための超平滑底部電極面の形成方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-21
(45)【発行日】2023-01-04
(54)【発明の名称】磁気トンネル接合を堆積するための超平滑底部電極面の形成方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20221222BHJP
   H10B 61/00 20230101ALI20221222BHJP
   H10N 50/10 20230101ALI20221222BHJP
   H01L 21/28 20060101ALI20221222BHJP
   H01L 29/41 20060101ALI20221222BHJP
【FI】
H01L21/304 622X
H01L27/105 447
H01L43/08 Z
H01L21/28 301R
H01L29/44 P
【請求項の数】 22
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021112126
(22)【出願日】2021-07-06
(62)【分割の表示】P 2019520034の分割
【原出願日】2017-09-25
(65)【公開番号】P2021177563
(43)【公開日】2021-11-11
【審査請求日】2021-08-04
(31)【優先権主張番号】62/408,309
(32)【優先日】2016-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】M/S 1269,3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】シュエ, リン
(72)【発明者】
【氏名】ハッサン, サジャッド アミン
(72)【発明者】
【氏名】パカラ, マヘンドラ
(72)【発明者】
【氏名】アン, ジェス
【審査官】小山 満
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0341801(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0129946(US,A1)
【文献】国際公開第2010/051010(WO,A1)
【文献】特表2013-512585(JP,A)
【文献】特開2005-109477(JP,A)
【文献】国際公開第2015/167718(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
H01L 21/8239
H01L 43/08
H01L 21/28
H01L 29/41
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部に複数の導電性ビアを有する基板と、
前記複数の導電性ビアの上に配置された複数の底部電極パッドと、
前記複数の底部電極パッドの間に配置された誘電体材料と、
前記複数の底部電極パッド及び前記誘電体材料の上に配置された底部電極バフ層と、
前記複数の底部電極パッドの一又は複数の上に配置された複数の磁気トンネル接合(MTJ)構造と、
を備え、前記複数のMTJ構造のうちの少なくとも1つのMTJ構造のサイズは前記複数の底部電極パッドのうちの少なくとも1つの底部電極パッドのサイズより小さく、前記複数のMTJ構造のうちの少なくとも1つのMTJ構造のサイズは前記複数の底部電極パッドのうちの少なくとも1つの底部電極パッドのサイズより大きい、構造。
【請求項2】
前記底部電極バフ層の表面粗さは、約0.2nm未満である、請求項1に記載の構造。
【請求項3】
前記底部電極バフ層の厚さは、約2nmから約10nmまでである、請求項1に記載の構造。
【請求項4】
前記底部電極バフ層は窒化タンタルを含む、請求項1に記載の構造。
【請求項5】
前記底部電極バフ層の前記窒化タンタルは約6オーム/スクウェアから約7オーム/スクウェアの抵抗を有する、請求項4に記載の構造。
【請求項6】
前記複数の底部電極パッドのうちの少なくとも1つの底部電極パッドのサイズは、前記複数の導電性ビアのうちの少なくとも1つの導電性ビアのサイズより小さいか、等しいか、大きい、請求項1に記載の構造。
【請求項7】
前記複数の底部電極パッドは、タンタル、窒化タンタル、タングステン、窒化タングステン、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の構造。
【請求項8】
上部に複数の導電性ビアを有する基板と、
前記複数の導電性ビアのうちの少なくとも1つの導電性ビアの上に配置された第1の底部電極パッドと、
前記複数の導電性ビアのうちの少なくとも1つの導電性ビアの上に配置された第2の底部電極パッドと、
前記第1の底部電極パッドと前記第2の底部電極パッドの間に配置された誘電体材料と、
前記第1の底部電極パッド、前記第2の底部電極パッド及び前記誘電体材料の上に配置された底部電極バフ層と、
前記第1の底部電極パッドの上に配置された第1の磁気トンネル接合(MTJ)構造であって、前記第1の底部電極パッドのサイズより大きいサイズの第1のMTJ構造と、
前記第2の底部電極パッドの上に配置された第2の磁気トンネル接合(MTJ)構造であって、前記第2の底部電極パッドのサイズより小さいサイズの第2のMTJ構造と、
を備える、構造。
【請求項9】
前記底部電極バフ層の表面粗さは、約0.2nm未満である、請求項に記載の構造。
【請求項10】
前記底部電極バフ層の厚さは、約2nmから約10nmまでである、請求項に記載の構造。
【請求項11】
前記底部電極バフ層は窒化タンタルを含む、請求項に記載の構造。
【請求項12】
前記底部電極バフ層の前記窒化タンタルは約6オーム/スクウェアから約7オーム/スクウェアの抵抗を有する、請求項11に記載の構造。
【請求項13】
前記第1の底部電極パッドまたは前記第2の底部電極パッドの少なくとも一方の前記サイズは、前記複数の導電性ビアのうちの少なくとも1つの導電性ビアのサイズより小さいか、等しいか、大きい、請求項に記載の構造。
【請求項14】
前記第1の底部電極パッド及び前記第2の底部電極パッドのそれぞれ独立に、タンタル、窒化タンタル、タングステン、窒化タングステン、又はこれらの組み合わせを含む、請求項に記載の構造。
【請求項15】
上部に複数の導電性ビアを有する基板と、
前記複数の導電性ビアの上に配置された複数の底部電極パッドと、
前記複数の底部電極パッドの間に配置された誘電体材料と、
前記複数の底部電極パッド及び前記誘電体材料の上に配置された窒化タンタルを含む底部電極バフ層と、
前記複数の底部電極パッドの一又は複数の上に配置された複数の磁気トンネル接合(MTJ)構造とを備える、構造。
【請求項16】
前記底部電極バフ層の表面粗さは、約0.2nm未満である、請求項15に記載の構造。
【請求項17】
前記底部電極バフ層の厚さは、約2nmから約10nmまでである、請求項15に記載の構造。
【請求項18】
前記複数のMTJ構造のうちの少なくとも1つのMTJ構造のサイズは、前記複数の底部電極パッドのうちの少なくとも1つの底部電極パッドのサイズより小さい、請求項15に記載の構造。
【請求項19】
前記複数のMTJ構造のうちの少なくとも1つのMTJ構造のサイズは、前記複数の底部電極パッドのうちの少なくとも1つの底部電極パッドのサイズより大きい、請求項15に記載の構造。
【請求項20】
前記複数のMTJ構造のうちの少なくとも1つのMTJ構造のサイズは、前記複数の底部電極パッドのうちの少なくとも1つの底部電極パッドのサイズと等しい、請求項15に記載の構造。
【請求項21】
前記複数の底部電極パッドは、タンタル、窒化タンタル、タングステン、窒化タングステン、チタン、窒化チタン、又はこれらの組み合わせを含む、請求項15に記載の構造。
【請求項22】
前記複数の底部電極パッドの少なくとも1つの底部電極パッドのサイズは、前記複数の導電性ビアのうちの少なくとも1つの導電性ビアのサイズより小さいか、等しいか、大きい、請求項15に記載の構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本書に記載の実施形態は磁気トンネル接合の形成に関し、より具体的には、上部に磁気トンネル接合を堆積するための超平滑底部電極面の形成に関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術の記載
[0002] 磁気トンネル接合(MTJ)スタックは、一般的に底部電極の上に堆積される。従来のシーケンスは、ダマシン処理を用いて底部ビアの上に底部電極を形成することを含む。酸化物は底部ビアの上に堆積され、次に底部電極用の開口部を形成するためパターニングされる。次に、底部電極を形成するため、開口部に金属が堆積される。底部電極の上面を研磨して、酸化物の上面に戻すため、化学機械研磨(CMP)が用いられる。底部電極のタッチアップ層は次に底部電極と酸化物の上に堆積され、研磨される。
【0003】
[0003] ダマシン処理の1つの問題点は、CMPを用いて底部電極材料を研磨する際に、段差が形成されることである。酸化物と底部電極との界面でのこの段差は、MTJの性能に弊害をもたらす。加えて、底部電極タッチアップ層は、当該層のCMPを制御する際の難しさに対処するため、所望よりも厚めに堆積させなければならない。この底部電極タッチアップ層の厚さが増すと、MJTの形成に用いられるエッチング処理にさらに悪影響を及ぼす。さらには、底部電極タッチアップ層の厚さが増すと、MTJエッチング中の底部電極材料の過剰な露出を避けるためには、MTJサイズを底部電極パッドよりも大きくすることが必要になる。
【0004】
[0004] したがって、上部にMJTを堆積させるためには、超平滑底部電極面を形成するプロセスが必要になる。
【発明の概要】
【0005】
[0005] 上部に磁気トンネル接合を堆積するための超平滑(0.2ナノメートル(nm)以下)底部電極面をもたらすための処理シーケンスが提供される。一実施形態では、シーケンスは、バルク層堆積によって底部電極パッドを形成した後にパターニングとエッチングを行うことを含む。次に酸化物は、形成された底部電極パッドの上に堆積され、また、底部電極パッドを露出するまで研磨される。次に、その上に底部電極バフ層が上部に堆積され、予洗浄操作が続く。底部電極バフ層は次に、表面粗度を改善するため、CMP処理にさらされる。次に、MTJ堆積が底部電極バフ層の上で行われる。
【0006】
[0006] 別の実施形態では、MJT構造のサイズが底部電極パッドのサイズよりも小さい、等しい、或いは大きい、MTJ構造を形成する方法が開示される。
【0007】
[0007] さらに別の実施形態では、上部に複数の導電性ビアを有する基板と、複数の導電性ビアの上に配置された複数の底部電極パッドと、複数の底部電極パッドの間に配置された誘電体材料と、複数の底部電極パッド及び誘電体材料の上に配置された底部電極バフ層と、複数の底部電極パッドの一又は複数の上に配置された複数のMTJ構造とを含む構造が開示される。
【0008】
[0008] 上述の本開示の特徴を詳細に理解しうるように、上記で簡単に要約された本開示のより具体的な説明が、実施形態を参照することによって得られ、一部の実施形態は、付随する図面に例示されている。しかしながら、添付図面は例示的な実施形態を示しているにすぎず、したがって、本開示の範囲を限定すると見なすべきではなく、その他の等しく有効な態様も許容されうることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】MTJ堆積のための底部電極形成の処理フローである。
図2】MTJ堆積のための底部電極形成の別の処理フローである。
図3】本書で開示された処理シーケンスの一実施形態により形成された構造の断面図である。
【0010】
[0012] 理解を容易にするために、可能な場合には、図に共通する同一の要素を指し示すのに同一の参照番号を使用した。一態様の要素及び特徴は、さらなる記述がなくとも、他の実施形態に有益に組み込まれうると想定される。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[0013] 上部に磁気トンネル接合を堆積するための超平滑(0.2nm以下)底部電極面をもたらすための処理シーケンスが提供される。一実施形態では、シーケンスは、バルク層堆積によって底部電極パッドを形成した後にパターニングとエッチングを行うことを含む。次に酸化物は、形成された底部電極パッドの上に堆積され、また、底部電極パッドを露出するまで研磨される。次に、その上に底部電極バフ層が上部に堆積され、予洗浄操作が続く。底部電極バフ層は次に、表面粗度を改善するため、CMP処理にさらされる。次に、MTJ堆積が底部電極バフ層の上で行われる。
【0012】
[0014] 一実施形態では、超平滑底部電極面を有する底部電極を形成するための処理フロー100が提供され、図1に示される。処理フロー100は、操作110で、上部に形成された導電性ビアを有する基板上に高融点金属のブランケット層を堆積することから始まる。次に、操作120は、一又は複数の底部電極パッドを形成するための高融点金属層のパターニングとエッチングを含む。誘電体材料は次に、操作130で、一又は複数の底部電極パッドの上に堆積される。誘電体材料は、操作140で、一又は複数の底部電極パッドを露出するため、化学機械的に研磨される。操作150で、底部電極バフ層は、誘電体材料並びに露出した一又は複数の底部電極パッドの上に堆積される。最後に、操作160で、底部電極バフ層は化学機械的に研磨される。
【0013】
[0015] 別の実施形態では、超平滑底部電極面を有する底部電極を形成するための処理フロー200が提供され、図2に示される。操作210では、上部に銅又は他の導電性材料のビアを有する搬入基板が処理フローに導入される。高融点金属又は金属窒化物などの導電性材料のブランケット堆積は、操作220で、銅ビアの上に形成される。高融点金属又は金属窒化物は、タンタル、窒化タンタル、タングステン、窒化タングステン、又はこれらの組み合わせから選択されうる。チタン、窒化チタンなどの他の金属又は金属窒化物が堆積可能で、高融点金属又は金属窒化物によってキャップされうる。操作230では、ブランケット層は、底部電極パッドを形成するため、パターニングされ、エッチングされる。酸化物、又は他の誘電体材料は次に、操作240で、底部電極の上に堆積される。操作250では、酸化物堆積後に、底部電極上で停止するように、酸化物はCMPを用いて研磨される。高融点金属又は金属窒化物などの導電性材料の底部電極バフ層は次に、露出した底部電極パッド及び酸化物の上に堆積され、その後、操作260で予洗浄操作が行われる。高融点金属又は金属窒化物は、タンタル、窒化タンタル、タングステン、窒化タングステン、又はこれらの組み合わせから選択されうる。次に、操作270で、底部電極パッド面全体にわたって均一性を高め、構造の底部に由来する凹凸を低減するため、底部電極バフ層はCMPを用いて研磨される。次に、操作280で、上部にMTJスタックを形成するため、MTJ堆積シーケンスが実行される。
【0014】
[0016] 本書に開示した磁気トンネル接合(MTJ)構造の形成方法は、MJTサイズが底部電極パッドのサイズよりも小さい、等しい、或いは大きい、MTJ構造を形成するために提供される。
【0015】
[0017] 図3は、本書に開示した処理シーケンスの実施形態にしたがって形成されたメモリ部分314と論理部分316を有するメモリデバイスなどの構造300を示す断面図である。本開示の処理シーケンスの一実施例は、上部に導電性材料のビア302を有する基板の上に、底部電極パッド304及び底部電極バフ層308として堆積された窒化タンタルを含む。窒化タンタルは、物理的気相堆積を用いて堆積されることが望ましい。窒素ガス流は、1:1に近づく化学量論を実現するように調整可能である。この所望の化学量論は、例えば、物理的気相堆積中の窒素の流れを高めることによって、実現可能である。一実施例として、窒化タンタル層は、窒素ガス流を用いたタンタルターゲットの反応性スパッタリングによって堆積可能である。使用可能な例示的な堆積システムは、カリフォルニア州サンタクララのApplied Materials, Inc.から入手可能なEndura(登録商標)処理プラットフォーム上のEnCoRe II Ta(N)チャンバである。堆積した表面粗さは、化学量論が1:1に近づくにつれて改善することが示された。例えば、堆積時に約0.75nm未満の表面粗さは、化学量論が1:1に近づくにつれて改善可能となる。窒化タンタル層の表面粗さは、弱い下向きの力のCMP処理を用いて改善可能である。例えば、0.2nm未満の表面粗さは、約1ポンド/平方インチ(psi)の下向きの力が加えられるCMP処理を受けて実現されうる。約1psiの弱い下向きの力から最大で約3psiまでの強い下向きの力でCMP処理することによって、良い結果を実現することができる。本書に開示の態様によるCMP処理は、カリフォルニア州サンタクララのApplied Materials, Inc.から入手可能なReflexion(登録商標)LK Prime処理システムでセリア(Ceria)ベースのスラリを用いて実行可能である。
【0016】
[0018] さらに、1:1にほぼ近い化学量論を有する窒化タンタルの抵抗は、約6~7オーム/スクウェアの低い抵抗値を示す。さらに、窒化タンタル層の上に堆積したMTJスタック310は、低い化学量論比を有する窒化タンタル層の上に堆積したMTJスタックよりも、高いトンネル磁気抵抗を示す。
【0017】
[0019] 図2に示したシーケンスでは、ブランケット窒化タンタル層が堆積され、次のパターニング及びエッチングが行われて底部電極パッド304を形成する。窒化タンタルエッチングは、カリフォルニア州サンタクララのApplied Materials, Inc.から入手可能なCentura(登録商標)プラットフォーム上のAdvantEdge Mesaチャンバでの塩素(Cl)ベースの化学エッチングを用いて実行可能である。酸化ケイ素などの酸化物306、又は別の誘電体材料は次に、形成された底部電極パッド304上に堆積され、強い下向きの力(例えば、約3psi)のCMP処理を用いて研磨される。酸化ケイ素は、カリフォルニア州サンタクララのApplied Materials, Inc.から入手可能なProducer(登録商標)PECVDシステム上で、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)ベースの、又はシランベースの化合物を用いて堆積することができる。100:1を超える酸化物対窒化タンタルの選択性(selectivity)が、セリアベースのスラリを用いた、強い下向きの力のCMP処理と弱い下向きの力のCMP処理の両方で実現される。スループットを改善するため、3psi程度の強い下向きの力を用いて、酸化物306を研磨して底部電極パッド304まで戻すことができる。選択性は、底部電極パッド上に予測可能な停止位置をもたらし、結果的にディッシング又はステップ形成を少なくすることができる。酸化物の除去には、0.1psiから5psiまでの下向き圧力の研磨ヘッドを使用することができる。スループットを改善するためには、1500Å/min以上の除去速度が望ましい。
【0018】
[0020] 過剰な酸化物を除去し、底部電極パッド304を露出するCMP処理に続いて、窒化タンタル底部電極バフ層308が堆積され、その後、予洗浄操作が行われる。アルゴン(Ar)ベースのプラズマ処理などの予洗浄操作は、カリフォルニア州サンタクララのApplied Materials, Inc.から入手可能なEndura(登録商標)プラットフォーム上のPC XTチャンバで実行可能である。底部電極バフ層308は、約2nmから約10nmまでの厚さで堆積可能である。底部電極バフ層308が堆積されると、底部電極バフ層はその表面上の凹凸(尖った特徴又はその他の不連続部分)を取り除くため、CMP処理が施される。CMP処理は、Reflexion(登録商標)LK Prime処理システム上でセリアベースのスラリを用いて行われる、約1psi以下の弱い下向きの力のCMP処理であることが望ましい。非対称なパフォーマンスと平坦化を実現するため、約10RPMから約300RPMまでのヘッド回転、及び約10RPMから約300RPMまでのプラテン回転が使用可能である。2lbsから11lbsで安定した速度と良好なディフェクト(スクラッチ)性能を提供するため、パッド調整が実行されうる。消耗品のコスト(CoC)のため、また初速度を高めるため、約50ml/minから約500ml/minのスラリ流量が使用されうる。ディフェクトを低減するため、パッド/ウエハのすすぎは、約10秒から約120秒の間、実行されうる。次に、MTJスタック310は底部電極パッド304と底部電極バフ層308の上に堆積され、底部電極パッド304の上に一又は複数のMTJデバイス(312A、312Bとして2つを示す)を形成するために更に処理される。
【0019】
[0021] したがって、構造300は、図3に示したように、上部に複数の導電性ビア302を有する基板と、複数の導電性ビア302の上に配置された複数の底部電極パッド304と、複数の底部電極パッド304の間に配置された酸化物306又は他の誘電体材料と、複数の底部電極パッド304及び酸化物306の上に配置された底部電極バフ層308と、複数の底部電極パッド304の一又は複数の上に配置された複数のMTJ構造312A、312Bとを含む。各MTJ構造のサイズは、底部電極パッド304よりも大きい、等しい、或いは小さいことがありうる。図3に示したように、第1のMTJ構造312Aは底部電極パッド304よりも大きく、第2のMTJ構造312Bは底部電極パッド304よりも小さい。
【0020】
[0022] 底部電極バフ層で実施された弱い下向きの力のCMP処理は、0.2nm以下の表面粗さの改善をもたらすことが明らかになった。弱い下向きの力のCMP処理の除去速度は毎分500オングストローム(Å/min)以下であることが望ましい。弱い下向きの力のCMP処理を用いて研磨された底部電極バフ層に形成されたMTJデバイスは、本書で開示した底部電極バフ層上でのCMP処理を用いずに形成されたデバイスよりも、75%高い保磁力(Oe)と比較的高いトンネル磁気抵抗(TMR)を有する。さらに、改善されたMTJ膜の平滑性により、デバイス性能の向上が認められた。MTJ膜の平滑性は、本書で開示しているように、底部電極バフ層の低い表面粗さに由来する。さらに、10nm未満の薄い底部電極バフ層を堆積する能力により、底部電極パッドサイズよりも小さい、大きい、或いは等しいMTJサイズの形成が可能になる。
【0021】
[0023] 上記の説明は本開示の実施形態を対象としているが、本開示の基本的な範囲を逸脱しなければ、本開示の他の実施形態及び更なる実施形態が考案されてよく、本開示の範囲は以下の特許請求の範囲によって決まる。
図1
図2
図3