(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-22
(45)【発行日】2023-01-05
(54)【発明の名称】冷媒システムの冷媒の供給を制御する方法及び冷凍器システム
(51)【国際特許分類】
F25B 9/00 20060101AFI20221223BHJP
F25B 49/00 20060101ALI20221223BHJP
【FI】
F25B9/00 A
F25B49/00 A
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021014153
(22)【出願日】2021-02-01
(62)【分割の表示】P 2019060809の分割
【原出願日】2012-03-05
【審査請求日】2021-03-03
(32)【優先日】2011-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】517316096
【氏名又は名称】エドワーズ バキューム リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100171675
【氏名又は名称】丹澤 一成
(72)【発明者】
【氏名】デューマ・オリバー・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ブオンペイン・マウリーン・シー
(72)【発明者】
【氏名】ボール-ディファジオ・ドリーン・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】モリス・エヌ・ロナルド
(72)【発明者】
【氏名】バートレット・アレン・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ロランジャー・レナード・エイ
(72)【発明者】
【氏名】チョピー・ジョセフ・ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】サリバン・ロバート・ピー
(72)【発明者】
【氏名】ヴァローネ・ジョン・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】アマンドセン・ポール・イー
【審査官】西山 真二
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2009/028450(WO,A1)
【文献】特開2005-226863(JP,A)
【文献】特開2000-154969(JP,A)
【文献】特開平05-018617(JP,A)
【文献】特開2004-085048(JP,A)
【文献】特開2003-113779(JP,A)
【文献】特開2008-82654(JP,A)
【文献】特開平5-18617(JP,A)
【文献】特開2007-17075(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 9/00 - 9/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒システムにおいて冷媒の供給を制御する方法であって、
複数の冷凍器に、可変速度コンプレッサーを含む複数のコンプレッサーを通して、冷媒を供給し、
制御器において、供給圧と戻り圧との間の差圧に基づいて、前記可変速度コンプレッサーの速度を制御し、前記複数のコンプレッサーの少なくとも1つを起動又は停止し、
前記差圧が閾値未満であることの検出に応じて、前記冷凍器が規定の温度を維持しているか否かを判定するために冷凍器の温度をチェックし、
前記冷凍器が規定の温度を維持している場合、圧力センサーに障害が生じている又は前記システムの要素間での伝達損失と判定し、前記可変速度コンプレッサーの速度を最大速度に設定する、方法。
【請求項2】
前記複数のコンプレッサーは固定速度コンプレッサーを含み、前記方法はさらに、前記差圧に基づいて、
前記固定速度コンプレッサーを停止させ、前記可変速度コンプレッサーの速度を調整する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数のコンプレッサーは固定速度コンプレッサーを含み、前記方法はさらに、前記差圧に基づいて、前記可変速度コンプレッサーを作動させ続けながら、前記固定速度コンプレッサーを停止させる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記方法はさらに、前記圧力センサーの障害又は前記システムの要素間での伝達損失を検出すると、現在停止状態の前記複数のコンプレッサーの少なくとも1つを起動する、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記方法はさらに、前記複数のコンプレッサーの2つ以上が作動して同じ冷媒回路を共有しており、前記複数のコンプレッサーの1つが停止するときに前記差圧が閾値未満に下落する場合、前記コンプレッサーを起動し直す、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記冷凍器システムは、極低温システムであり、前記冷媒はヘリウムを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
冷媒システムにおいて冷媒の供給を制御する冷凍器システムであって、
可変速度コンプレッサーを含む複数のコンプレッサーの任意の組合せである、複数のコンプレッサーと、
供給圧と戻り圧との間の差圧に基づいて、前記可変速度コンプレッサーの速度を制御し、前記複数のコンプレッサーの少なくとも1つを起動又は停止するように構成された、制御器と、を備え、
前記制御器はさらに、前記差圧が閾値未満であること及び冷凍器の温度が規定の温度に維持されていることの検出に応じて、圧力センサーの障害又は前記システムの要素間での伝達損失が生じていると判定し、前記可変速度コンプレッサーの速度を最大速度に設定するように構成されている、冷凍器システム。
【請求項8】
前記複数のコンプレッサーの2つ以上が作動して同じ冷媒回路を共有しており、前記複数のコンプレッサーの1つが停止するときに前記差圧が閾値未満に下落する場合、前記制御器は前記コンプレッサーを起動し直すように構成されている、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記冷凍器システムは、極低温システムであり、前記冷媒はヘリウムを含む、請求項7または8に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2011年3月4日に出願された米国仮出願第61/449,502号に基づいて得られる権利を主張する。この出願による教示は、援用することによりすべて本明細書に組み入れられるものとする。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェハの製造、蒸着プロセス、電子顕微鏡検査、ガスクロマトグラフィー等のような作業に真空環境を提供するため、製造業において真空プロセスチャンバーがしばしば使用されている。典型的には、そのようなチャンバーは、密閉された設備において、真空プロセスチャンバーに真空ポンプを取り付けることによって達成される。真空ポンプは、真空プロセスチャンバーから実質的にすべての分子を取り除き、それによって真空環境を作り出すよう作動する。
【0003】
真空ポンプの一つの種類がクライオポンプであり、例えば、本出願の譲受人に譲渡された1999年1月26日に発行の米国特許第5,862,671号に開示されているようなものであり、それは、援用することによってすべてがここに組み入れられる。クライオポンプは、表面を冷却して温度を絶対零度に近づけることによって真空プロセスチャンバーから分子を取り除く。そのような温度では、極低温アレイと呼ばれる冷却された表面で、気体(ガス)が凝縮(凝結)したり吸収されたりするので、それによって真空プロセスチャンバーから分子を取り除く。
【0004】
他の種類のクライオポンプも、絶対零度よりも高い温度で作動するよう設計される。これらのクライオポンプは、水蒸気、炭化水素、プロセス副産物、放出ガス種(outgas species)、プロセスガスのような特定のガスをチャンバーから取り除く。米国特許第5,483,803号に記述されているような水ポンプが、そのようなクライオポンプの一例である。米国特許第5,211,022号に記述されているような他のクライオポンプでは、ガスがすべて除去されるのではなく、真空プロセスチャンバーにおいて、プロセスガスが低圧力に保持される。
【0005】
型的に、クライオポンプは、冷凍器を用いて要求される極低温を達成する。要求される冷凍器の種類は、ポンプで取り除かれる種について要求される温度、および、熱負荷や振動といった他のパラメータに依存する。典型的には、スターリング、ギフォード・マクマホンおよびパルス管(pulse tube)冷凍器が、極低温真空ポンプに用いられる。これらの冷凍器では、コンプレッサーから圧縮されたガスを供給して、クライオポンプの極低温冷凍器に冷媒を流すことが必要である。絶対零度近くの温度を必要とするクライオポンプは、圧縮されるガスとして、ヘリウムを用いる。極低温アレイが、冷凍器の冷端(cold end)と熱的に繋がって、それで冷却される。冷凍器の内側では、変位器(displacer )が、その変位器を往復運動させる変位器駆動部によって駆動され、使用されるヘリウムの量を調整する。ヘリウムのような冷媒ガスが冷凍器で膨張することによって冷却が行われ、極低温アレイから熱を奪い取って、極低温アレイでガスを凝縮するのに必要な極低温を作り出す。
【0006】
代替案では、パルス管変位器は動くものではなく、代わりに圧力波を用いている。クライオポンプは、モーター駆動の設計で記述されているが、空気駆動システム(pneumatic driven systems)で設計されてもよい。
【0007】
極低温冷凍器に利用可能なヘリウム冷媒の量によって、冷却が行われる速度が決まる。ヘリウムの供給を増やすことで、冷凍器がより多くのヘリウムを消費することが可能となり、さらなる冷凍が行われる。それによって、冷却に必要な時間、すなわちクライオポンプの動作温度を得るのに必要な時間が短くなり、真空チャンバーにおける様々なプロセス条件による要求があっても、動作温度で、冷凍器がさらなる冷凍を行うことが可能となる。また、ヘリウムの供給が増すことで、冷凍器の動作寿命の間に冷凍器の効率の通常の低下があっても、冷凍能力を維持するために消費を増やすことが可能となる。また、ヘリウムを消費する速度は、極低温冷凍器の温度によっても変わる。極低温冷凍器が冷たくなるにつれて、冷却プロセスを維持するのに、ヘリウムの供給を増やすことが必要となる。クライオポンプによる真空プロセスチャンバーにおいて、停止時間(動作不能時間、downtime)があれば、結果として、製造時間が失われることで、実質的な経済上の影響が及ぼされることになる。したがって、クライオポンプの動作温度を迅速に得てそれを維持する能力は有益である。
【0008】
従来技術によるヘリウムの供給方法が、1997年1月2日に出願された「共通のコンプレッサーで供給される複数の極低温冷凍器の高度な冷却」というタイトルの米国特許第5,775,109号に記載されており、本出願の譲受人に譲渡されているが、援用することによってその全体がここに組み入れられる。この特許により、複数のクライオポンプのそれぞれの温度を個々にモニターして、クライオポンプが、引き金となる温度を達成する時に、各変位器駆動モーターの速度を制御することが示唆されている。クライオポンプの冷凍器は、その時点で行われている動作に応じて、様々な量のヘリウムを必要とするので、駆動モーターの速度を調整することで、ヘリウムの供給を低減または増加できる。このシステムにおいて、各クライオポンプは、温度をモニターして、駆動モーターの速度を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】米国特許第5862671号明細書
【文献】米国特許第5483803号明細書
【文献】米国特許第5211022号明細書
【文献】米国特許第5775109号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、複数のクライオポンプに供給を行う共通ヘリウム供給多岐管(manifold)は、しばしば、クライオポンプすべてが必要とするよりも多くのヘリウムを供給することができる。適切な冷凍を維持するために冷凍器が必要としない過剰なヘリウムは、電力および、ヘリウム冷媒の供給を維持するのに必要な他の資源の浪費となり得る。反対に、ヘリウムが不十分であると、その結果、冷凍器による冷凍が不適切となって、クライオポンプによる真空性能が失われてしまうことになりかねない。
【0011】
前述の問題は、クライオポンプと同様、極低温冷凍器にも当てはまることに注意する。これらの冷凍器は、高温超伝導体(HTS)、半導体製造、生体サンプルの処理および貯蔵、MRI画像ならびに計器冷却等を含むが、これらに限定されない、広い種類の冷却アプリケーションにおいて用いられる。
【0012】
ここに提供されるのは、必要な冷却条件を達成するために、冷凍器が必要とする量の冷媒ガスを供給する技術およびシステムである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
方法および対応する冷凍システムは、冷媒の供給の制御に関係している。コンプレッサーが構成されて、高圧供給管路を通して冷媒を供給し、その冷媒は、低圧戻り管路を通してコンプレッサーに戻される。複数の冷凍器がコンプレッサーに結合されて、供給管路から冷媒を受け取り、冷媒を戻り管路に返す。さらには、電子制御器が構成されて、複数の冷凍器からの伝達に基づいて冷媒の需要の総計を求める。その電子制御器は、さらに、冷媒補正測定基準(refrigerant correction metric )によって補正された冷媒の需要の総計に基づいて、コンプレッサーの速度を制御するように構成される。
【0014】
コンプレッサーは、複数の可変速度コンプレッサーの1つであるか、可変速度コンプレッサーおよび固定速度コンプレッサーの組合せであってよい。電子制御器は、さらに、低圧戻り管路からの戻り圧、高圧供給管路からの供給圧フィードバックループおよび、供給圧と戻り圧との間の圧力差の1つ以上に基づいてコンプレッサーの速度を制御するように構成される。加えて、電子制御器は、さらに、冷媒の供給を増加するか低減するかを決定し、需要の総計の増加または低減を戻り圧設定値計算器に通知する。電子制御器は、同時に作動するように構成された1つ以上の制御器ユニットであってよく、1つの制御器にいくつかの機能があり、別の制御器に他の機能がある。
【0015】
戻り圧設定値計算器は、冷媒の供給を増やすか減らすかの決定に基づいて、戻り圧設定値を決定するように構成される。冷媒供給補正制御器は、戻り圧設定値と戻り圧との誤差を決定するように構成される。さらには、冷媒供給補正制御器は、戻り圧設定値と戻り圧との誤差に基づいて、冷媒供給の補正を計算するように構成される。冷媒供給補正制御器は、また、冷媒供給の補正と複数の冷凍器からの冷媒の需要の総計との比較に基づいて、複数の冷凍器に供給されるべき冷媒の量を決定するように構成される。
【0016】
代替案では、冷凍器は、流量は要求せず、冷凍の必要性を満たすためにのみ冷媒を消費し、その一方、主要制御器が、冷凍器の動作変数をモニターして、冷凍器が必要とする冷媒の流量を決定する。
【0017】
コンプレッサーは、複数の可変速度コンプレッサーの1つである。コンプレッサーモーター制御器は、複数の冷凍器に供給される決定された冷媒の量に基づいて、複数の可変速度コンプレッサーの一部(部分集合、subset)を起動または停止するように構成される。コンプレッサーモーター制御器は、さらに、複数の冷凍器に供給される冷媒の決定された量および複数の起動される可変速度コンプレッサーの一部の関数として、起動される複数の可変速度コンプレッサーの一部の速度を決定し、また、起動された複数の可変速度コンプレッサーの一部に指令を送って、それが決定された速度で作動するように構成される。例えば、需要を満たすよう異なる速度で作動する複数の可変速度コンプレッサーがある。また、システムで作動する固定速度コンプレッサーがあり、それら固定速度コンプレッサーの一部は、冷媒の需要を満たすよう起動または停止する。
【0018】
電子制御器はまた、コンプレッサーが冷媒の需要の総計を複数の冷凍器に供給できるか否かを決定するように構成される。コンプレッサーが、冷媒の需要の総計を複数の冷凍器に供給できない場合、制御器は、複数の冷凍器内で冷凍器の速度を調整するか、または、冷媒の冷凍器への割り当てを低減して、冷凍器の制御器が冷凍器の速度を調整する。
【0019】
加えて、電子制御器は、複数の極低温冷凍器からの冷媒の需要の総計を求めるように構成される。さらには、極低温冷凍器は、クライオポンプに含まれていてもよい。
【0020】
冷媒の供給を制御する方法が、制御器において、複数の冷凍器からの伝達に基づいて、冷媒の需要の総計を求めるステップを備える。制御器でもって、その方法は、冷媒の需要の総計に基づいて、複数の冷凍器に冷媒を供給する(送出する、deliver )コンプレッサーの速度を制御する。
【0021】
冷媒の供給を制御する冷凍システムが、高圧供給管路と低圧戻り管路を含む複数の可変速度コンプレッサーを備える。複数の可変速度コンプレッサーは、冷媒を複数の冷凍器に供給するように構成される。コンプレッサー制御器は、冷媒の要件に基づいて、複数の可変速度コンプレッサーの一部を選択的に起動または停止する。
【0022】
複数のコンプレッサーは、可変速度コンプレッサー2台だけからなってよい。その2台の可変速度コンプレッサーのいずれかに障害状態がある場合、コンプレッサー制御システムは、障害状態のない可変速度コンプレッサーの速度を調整して、最大モーター速度とする。
【0023】
さらには、2台の可変速度コンプレッサーが双方とも起動している場合、コンプレッサー制御器は、二台可変速度コンプレッサー動作状態から単一可変速度コンプレッサー動作状態に切り換えるか否かを判定するように構成されている。コンプレッサー制御器はさらに、複数の冷凍器に供給する冷媒の量を計算するように構成されている。複数の冷凍器に供給される計算された冷媒の量が、単一のコンプレッサーの冷媒出力閾値未満である場合、コンプレッサー制御値は、2つの可変速度コンプレッサーの1つを選択して停止させる。
【0024】
加えて、コンプレッサー制御器は、複数の冷凍器に計算された量の冷媒を供給できる速度に留めておかれるべき可変速度コンプレッサーの速度を増大した後、2台の可変速度コンプレッサーのうち1台を停止させる。コンプレッサー制御器はさらに、複数の冷凍器に供給される計算された量の冷媒が、ある期間単一コンプレッサーの冷媒出力閾値未満である場合、2台の可変速度コンプレッサーのうち1台を停止させるように構成されている。
【0025】
コンプレッサー制御器は、停止の履歴に基づいて2台の可変速度コンプレッサーのうち1台を選択して停止させる。コンプレッサー制御器はまた、供給圧と戻り圧との差圧に、所定の閾値を超える下落(collapse)があるか否かを判定するように構成されている。差圧に所定の閾値を超える下落がある場合、コンプレッサー制御器は、単一可変速度コンプレッサー動作状態から二台可変速度コンプレッサー動作状態に切り換える。
【0026】
さらには、二台可変速度コンプレッサーの一方が停止する場合、コンプレッサー制御器は、複数の冷凍器に供給される冷媒の量を計算するように構成される。加えて、複数の冷凍器に供給する計算された冷媒の量が、単一コンプレッサーの冷媒出力閾値よりも大きい場合、コンプレッサー制御器は、二台可変速度コンプレッサー動作状態に切り換える。
【0027】
コンプレッサー制御器は、複数の冷凍器に供給する計算された冷媒の量が、ある期間単一コンプレッサーの冷媒出力閾値よりも大きい場合、二台可変速度コンプレッサー動作状態に切り換え、2つの可変速度コンプレッサーの一方を起動するように構成されている。
【0028】
コンプレッサー制御器は、二台可変速度動作状態に切り換え、2つの可変速度コンプレッサーの速度を調節して、冷媒の需要の総計を冷凍器に供給する。
【0029】
コンプレッサー制御器は、二台可変速度動作状態に切り換えるに際し、単一可変速度動作状態において動作中の可変速度コンプレッサーの速度を低減させる前に、起動されている可変速度コンプレッサーの速度を増加する。
【0030】
冷媒の供給を制御する方法は、冷媒を複数の可変速度コンプレッサーから複数の冷凍器に供給して、冷媒の要件に基づいて、複数のコンプレッサーの一部を選択的に起動または停止するステップを備える。
【0031】
冷媒の供給を制御する冷媒システムは、別々の可変速度コンプレッサーを備える。加えて、その冷媒システムは、別々の可変速度コンプレッサーを、別の固定速度コンプレッサーとともに備える。代替案では、2つ以上のコンプレッサーポンプが単一のコンプレッサー構造体の中に構成されており、それらポンプの少なくとも1つが可変速度であって、各ポンプは、それが別のコンプレッサーであるかのように制御される。
【0032】
本発明による1つの実施形態において、真空構成要素の真空性能特性を診断する方法が提供される。その方法は、真空構成要素が作動している間に、真空構成要素の真空性能特性に基づいて電子信号を自動的に検出し、真空構成要素が作動している間に真空構成要素と通信しているデータネットワーク上で検出された電子信号に基づいて、データ記録を自動的に伝達するステップを備える。真空性能特性は、伝達されたデータ記録に基づいて自動的に診断される。真空構成要素は、極低温真空ポンプか、コンプレッサーか、ターボ分子ポンプか、粗挽きポンプか、水ポンプか、冷却装置か、弁か、計器か、その他の真空構成要素である。データ記録には、検出された電子信号に関連付けられた時刻に基づいたタイムスタンプが含まれる。
【0033】
関連する実施形態において、検出された電子信号は、極低温真空ポンプの冷凍器モーター速度の上昇に基づく信号である。電子信号を自動的に検出するステップには、冷凍器モーター速度の上昇を検出し、冷凍器モーター速度の上昇の前に極低温真空ポンプの冷凍器段の温度上昇を検出し、冷凍器段の温度が上昇している間に冷凍器段のヒーターが作動していないことを検出するステップが含まれている。
【0034】
方法とそれに対応する冷凍システムは、冷媒の供給の制御に関係している。制御器は、少なくとも1つのコンプレッサーを含む冷媒システムの障害を検出するが、ここで、その少なくとも1つのコンプレッサーは、固定速度コンプレッサーおよび可変速度コンプレッサーを任意に組み合わせたものでよい。障害を検出すると、制御器は、障害を回復させる手順を開始する。
【0035】
さらに制御器は、冷媒システムの要素間での伝達損失(communication loss)を検出するように構成されている。伝達損失を測定すると、制御器は、少なくとも1つのコンプレッサーの速度を上昇させる。検出された障害によって電流が所定の閾値を超えていることが指示される場合、制御器は、警告信号を発して、その少なくとも1つのコンプレッサーの速度を次第に低減する。電流が所定の閾値を超え続け、その少なくとも1つのコンプレッサーの速度が最小の閾値である場合、制御器は、その少なくとも1つのコンプレッサーを停止させる。
【0036】
制御器はまた、障害が存在してコンプレッサー速度の低減がその障害からの回復に用いられるとき、速度制御アルゴリズムに優先する。コンプレッサーモーター速度を低減して障害を解消する(取り除く)とき、供給管路と戻り管路との差圧または圧力の差は、速度制御に用いられる設定値を下回ることが可能である。障害を解消する障害回復プロセスは、定義された差圧を維持する通常の制御に優先する。加えて、制御器はさらに、モーターが最高温度閾値よりも高い温度に到達したか否かを判定し、モーターの温度が前記閾値よりも高い場合、制御器は、必要であれば、最小速度閾値に到達するまでモーターの速度を低減するように構成されている。加えて、制御器は、モーターが最高閾値よりも温度が高いままである場合、そのモーターを停止させる。
【0037】
また、制御器はさらに、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)のような駆動トランジスタが、最高閾値よりも高い温度に達したか否かを判定するように構成されており、駆動トランジスタの温度が前記閾値よりも高い場合、制御器は、最小速度閾値に到達するまで駆動トランジスタに結合されたコンプレッサーの速度を低減する。制御器はまた、駆動トランジスタが最高閾値よりも高い温度に留まる場合、コンプレッサーを停止させる。
【0038】
制御器はまた、注入口または排出口の水温が閾値を超えたか否かを判定し、その水温が前記閾値を超えている場合、制御器は警告を発する。さらには、制御器は、少なくとも1つの熱交換器の温度が温度閾値を超えるか否かを判定し、その少なくとも1つの熱交換器の温度が温度閾値を超える場合、制御器は警告を発する。制御器はまた、少なくとも1つの熱交換器に結合されたコンプレッサーを停止させるように構成されている。
【0039】
電子機器を含む領域の内部環境温度が閾値温度よりも高い場合、制御器は警告を発する。さらには、別の実施形態において、2台以上のコンプレッサーが、ヘリウム回路を共有する。そのようなシナリオにおいて、ヘリウム回路のコンプレッサーの1台が停止された時点で差圧が閾値を下回っていると、制御器は、コンプレッサーを起動し直し(turns the compressor back on)、逆止弁障害警告が発せられ、制御器は、その装置が修理されるまで、通常の冷媒制御プロセスの一部としてコンプレッサーの停止を行わない。
【0040】
圧力センサーの損失もしくは障害、またはそのセンサーへのもしくはそのセンサーからの伝達の損失の検出に応じて(応答して)、制御器は、障害の警告を発し、コンプレッサーを最大速度で作動させる。加えて、制御器は、差圧測定基準(pressure differential metric)が閾値未満であるか否かを判定するように構成されており、差圧測定基準の値が閾値未満である場合、制御器は、コンプレッサーを最大速度に設定する。
【0041】
制御器はまた、差圧測定基準が、所定時間、閾値を下回り続ける場合、冷凍器への冷媒の割り当てを低減する。無効な圧力センサーの検出に応じて、制御器は、コンプレッサーを最大速度に設定する。制御器はまた、送風機の故障の検出に応じて警告を発する。
【0042】
差圧または供給圧と戻り圧との差が閾値未満であることの検出に応じて、制御器は、冷凍器の温度をチェックし、その冷凍器が規定の温度を維持しているか否かを判定する。冷凍器が規定の温度を維持している場合、制御器は、圧力センサーに障害が生じていると判定し、コンプレッサーを最大速度に設定する。
【0043】
さらに、制御器は、複数の圧力センサーの2つ以上が高圧の供給管路を測定し、圧力センサーの一部に障害が検出される場合、複数の圧力センサーのうち少なくとも1つの作動している圧力センサーをセンサーのフィードバックとして用いる。代替案では、2つ以上の圧力センサーが低圧の戻り管路を測定し、センサーの一部に障害が検出される場合、制御器は、少なくとも1つの作動しているセンサーを制御システムへのセンサー入力として用いる。
【0044】
検出された障害に応じてコンプレッサーが停止される場合、制御器は、コンプレッサーを起動し直し、システムが通常の制御で作動できるようにする。検出された障害に応じてコンプレッサーが再度停止する場合、警告が発せられ、コンプレッサーを起動し直して再度作動できるようにする。所定期間内に所定回数停止すると、コンプレッサーは、再起動できなくなって警告が発せられる。
【0045】
換言すると、問題があって、コンプレッサーの速度を遅らせるというような障害回復策によってもその障害を修復できない場合、制御器は、コンプレッサーを停止させて、それからコンプレッサーを再起動する。この再起動の手順は繰り返される。例えば、制御器は、停止させて起動させるという一連の操作(例えば、再起動)によっても障害を修復できない場合、コンプレッサーを停止させる。これは、設定時間内に3回まで繰り返される。障害が修復されない場合、コンプレッサーは停止されたままである。あらゆる種類の障害に対する警告が、コンプレッサーの内部に蓄積されていて、コンプレッサーに表示され、冷凍器システムの制御器に伝達され、ホストツールに伝達され、および/または、その他のシステム監視ツールもしくは冷凍システムに伝達される。
【0046】
コンプレッサーもしくはコンプレッサーのグループの排出口の冷却水回路またはコンプレッサー内の個別の冷却回路内に配置されたサーモスタット弁(thermostatic valve)によって、装置による冷却水の流量の総計が低減される。弁の温度設定値によって、冷却される品目が性能と信頼性のために安全なレベルに維持される。これらの弁は、冷媒や潤滑液のような流体を冷却する逆流形熱交換器、ならびにコンプレッサーポンプおよび電子機器冷却板(electronics cooling plate )に取り付けられた熱交換器を冷却する回路に配置される。加えて、電子機器冷却板への入口または出口でサーモスタット弁を用いるのは、電子機器の冷却板を閾値よりも高く維持して凝縮を防止するためである。熱的に絶縁された(断熱された、thermally isolated)サーモスタット流量制御弁(thermostatic flow control valve )が、冷却水回路に結合されて、流量を温度設定値近くに調整し、それによって、モーターの巻線の温度を動作仕様内に維持するのに必要な冷却水の量を最小に維持する。
【0047】
制御器はまた、供給管路(例えば、供給圧)と戻り管路(例えば、戻り圧)との差圧に基づいて、複数の極低温冷凍器に冷媒を供給する少なくとも1つの可変速度コンプレッサーの速度を制御するように構成されている。制御器はまた、極低温冷凍システムにおいて障害を検出するように構成されている。障害の検出に応じて、制御器は、障害回復手順を開始する。
【0048】
極低温冷凍システムの別の実施形態には、少なくとも1つのコンプレッサーが含まれており、その少なくとも1つのコンプレッサーには、可変速度コンプレッサーおよび固定速度コンプレッサーの任意の組合せが含まれる。システムにはまた、制御器が含まれていて、それは、供給管路と戻り管路との差圧をモニターするように構成されている。差圧が設定値よりも大きいと考えられる値である(例えば、過剰な量の冷媒が供給されている状態である)と、制御器は、少なくとも1つのコンプレッサーの動作状態を調整する。
【0049】
1つのシナリオにおいて、少なくとも1つのコンプレッサーには、1つの可変速度コンプレッサーと1つの固定速度コンプレッサーが含まれ、過剰な冷媒供給があると、結果として、通常よりも高い差圧や、システムの閾値よりも高い差圧を生じる。差圧が通常の動作条件であると考えられる値となるようにシステムを調整するために(例えば、差圧を閾値よりも低くなるまで下げるために)、制御器は、固定速度コンプレッサーを停止して、可変速度コンプレッサーの速度を、冷媒の極低温冷凍器への供給を適切に保つ速度に調整する。もう一つのシナリオにおいて、可変速度コンプレッサーが最小限の速度で作動していて、制御器は、可変速度コンプレッサーの速度を最大速度に増大して、そして、固定速度コンプレッサーを停止するように構成されている。
【0050】
差圧の閾値は、冷媒システムの要素の構成に基づいている。制御器は、閾値を事前に記憶しておくように構成される。代替案では、制御器は、発見伝達メッセージを介して冷媒システムの要素の構成を発見し、それに基づいて閾値を決定する。
【図面の簡単な説明】
【0051】
以上の記載は、以下の、本発明の実施形態のより詳細な説明から明らかであって、添付した図面に示されるとおりであるが、それらの図面においては、参照記号が同様であれば、図が異なっても同じ部分を指示している。これらの図面は、必ずしも縮尺が正しくはなく、本発明の実施形態を分かりやすく示すことが強調されている。
【
図1A】従来技術による典型的な極低温冷凍器の概略図である。
【
図1B】
図1Aの極低温冷凍器を含む従来技術による典型的なクライオポンプの断面図である。
【
図2】複数のクライオポンプおよびコンプレッサーに接続された極低温冷凍システム主制御器のブロック図である。
【
図3】冷媒の供給を制御する冷凍システムのブロック図である。
【
図4】複数の可変速度コンプレッサーを作動させる決定をする方法のフロー図である。
【
図5A】作動するモーターが1つか2つかで切り換わるときの典型的な冷媒(ヘリウム(He))流量対要求されるHe流量を示すグラフである。
【
図5B】作動するモーターが1つか2つかで切り換わるときの典型的な冷媒(ヘリウム(He))流量対要求されるHe流量を示す別のグラフである。
【
図5C】作動するモーターが1つか2つかで切り換わるときの典型的な冷媒(ヘリウム(He))流量対要求されるHe流量を示すさらに別のグラフである。
【
図5D】作動するモーターが1つか2つかで切り換わるときの典型的な冷媒(ヘリウム(He))流量対要求されるHe流量を示すさらに別のグラフである。
【
図6】作動するコンプレッサーの速度を決定する方法のフロー図である。
【
図7】冷媒の供給を制御する冷凍システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
本発明の実施形態を以下に記述する。
ここに引用されているすべての特許、公開された出願および参考文献の教示は、援用することによってその全体がここに組み入れられる。
ヘリウム管理制御について議論をするに先立ち、クライオポンプの動作について議論することが有益であろう。
【0053】
クライオポンプのような真空ポンプを用いて、真空プロセスチャンバーの圧力をほぼゼロにする10-6から10-9トルという桁の、または、それ以下のゼロに近い圧力は、真空プロセスチャンバーから実質的にすべての分子を取り除くことによって達成される。分子は、クライオポンプの極低温冷凍器を介して真空プロセスチャンバーから取り除かれる。極低温冷凍器の一部を絶対零度近く、典型的には、10K~20Kに冷却して、そのプロセスチャンバーの分子を実質的にすべて、極低温冷凍器で冷却された極低温アレイ上で凝縮させる。極低温アレイは、典型的には、ルーバー(羽根板)とバッフルの集合であって、小さな容量の中に表面積を提供する。したがって、凝縮したガスは、蒸気圧の低い固体になって、真空に近い状態となる。さらには、極低温アレイには、木炭のような吸収剤が含まれていて、水素、ヘリウムおよびネオンのような凝縮しない分子を吸収する。極低温冷凍器は、絶対零度に近い温度を達成することのできる、例えば、ヘリウムガスのような冷媒として作動する流体によって作動している。
【0054】
クライオポンプは、その時点の動作に応じて、様々な量のヘリウムを消費する。一連のクライオポンプが、1つ以上のコンプレッサーである共通のコンプレッサー列に接続されて、利用できるヘリウムの供給を最大にしている。クライオポンプによるヘリウムの消費は、制御器によってモニターされ調整される。各クライオポンプの様々な動作パラメータをモニターすることによって、適切な量のヘリウムが各クライオポンプに供給される。過剰なヘリウムは、方向が変えられて、それを使うことのできるクライオポンプの利益になるようにする。乏しいヘリウムは、動作を維持して不利益な影響が最小となるよう分配される。
【0055】
典型的なクライオポンプの冷凍器において、作動流体が圧縮され;圧縮熱は、空冷熱交換器によって取り除かれ;流体は、再生式熱交換マトリックス(regenerative heat exchange matrix )においてさらに冷却され;そして、ガスが膨張して環境温度未満に冷却が行われる。クライオポンプは、20K未満で有効に作動し、真空プロセスチャンバーからガス分子を取り除かなければならない。この低温を達成するには、効率の高い熱交換器と絶対零度近くの温度でも気体であり続けるヘリウムのような作動流体を用いることが必要である。
【0056】
図1Aには、極低温冷凍器10の内部の図が示されている。
図1Aの装置において、ヘリウムは、高圧弁46から冷凍器のコールドフィンガー(cold finger )に入って、低圧弁48を通ってそこから出る。変位器駆動モーター216が、第一段および第二段極低温冷凍器の変位器207および209をそれぞれ駆動する。第一段変位器207には、第一の再生器(regenerator )211が含まれており、第二段変位器209には、第二の再生器213が含まれている。クライオポンプ放射シールドおよび前面アレイのような第一段熱負荷203、および10K~20Kクライオパネルのような第二段負荷205から熱が放出される。
【0057】
クライオポンプの極低温冷凍器において、圧縮されたガス冷媒の流れは循環する。
図1Aに示される極低温冷凍器の最も基本的な形において、圧縮されたガスの源、すなわちコンプレッサーは、入口弁46を通してシリンダー44の第一端に接続されている。その第一端から、排出管路の排出弁48がコンプレッサーの低圧注入口に通じている。再生器211を含む変位器207がシリンダーの第二の冷端に位置しており、かつ、排出弁が閉じていて入口弁が開いていると、シリンダーは圧縮されたガスで充満する。入口弁がなおも開いていると、変位器が第一端まで動いて、圧縮されたガスを、再生器を通して第二端に押し込み、そのガスは、再生器を通るとき冷却される。入口弁を閉じて排出弁を開けると、ガスは、低圧排出管路に入って膨張し、さらに冷却される。その結果生じる、第二端でのシリンダー壁の温度勾配によって、負荷からシリンダー内のガスに熱が流れる。排出弁を開けて入口弁を閉じると、変位器が第二端に動き、再生器を通してガスを元のところに変位させるが、それによって、熱が冷たいガスに戻り、そして再生器を冷却し、サイクルが完了する。典型的なクライオポンプにおいて、シリンダーは、コールドフィンガーと呼ばれ、第一段および第二段を有する。
【0058】
クライオポンプを使用するのに必要とされる低温を得るために、注入されるガスは、膨張に先立って冷却されなければならない。再生器は、注入されるガスから熱を引き出して、それを蓄積し、そしてそれを排出流に放出する。再生器は、逆流形熱交換器(reversing-flow heat exchanger )であり、それを通って、ヘリウムが、方向を交互に変えて流れる。再生器は、広い表面積、大きい比熱および低い熱伝導率の材料を備える。そして、再生器は、ヘリウムの温度が高い場合、ヘリウムから熱を受け取る。ヘリウムの温度が低い場合、再生器は、ヘリウムに熱を放出する。代替案では、コールドフィンガーは単一の段しか有しておらず、または、3つ以上の段を有している。
【0059】
図1Bは、極低温冷凍器を含むクライオポンプの断面図を示す。
図1Bに示されているように、クライオポンプは、ほとんど通常通りである。
図1Bにおいては、クライオポンプ筐体が取り除かれていて、変位器駆動部40とクロスヘッド組立体42が露出している。クロスヘッドは、モーター40の回転運動を往復運動に変換して、二段コールドフィンガー44内で変位器を駆動する。各サイクルで、管路47を通して、圧力下、コールドフィンガーに導入されるヘリウムガスが膨張され、そして冷却されて、コールドフィンガーを極低温に維持する。そして、変位器の熱交換マトリックスで暖められたヘリウムは、管路49を通して排出される。
【0060】
第一段ヒートステーション50が、冷凍器の第一段52の冷端に載置される。同様に、ヒートステーション54が、第二段56の冷端に載置される。適切な温度センサー素子58および60が、ヒートステーション50および54の後部に載置される。
【0061】
一次ポンプ動作面は、ヒートシンク54に載置される極低温アレイ62である。このアレイは、援用することによって全体がここに組み入れられる米国特許第4,555,907号に開示されるような複数の円板を備えている。低温吸収剤が、アレイ62の保護された表面に載置されて、凝縮されないガスを吸収する。
【0062】
カップの形をした放射シールド64が、第一段ヒートステーション50に載置されている。コールドフィンガーの第二段が、その放射シールドの開口を通って延びている。この放射シールド64は、一次クライオパネルアレイを側面および背面まで囲んでおり、一次クライオパネルアレイの放射による加熱を最小とする。放射シールドの温度は、低いところでは、ヒートシンク50の40Kから、高いところでは、真空チャンバーの開口68に面しての130Kまでの範囲にわたる。前面クライオパネルアレイ70は、一次クライオパネルアレイの放射シールドとしても、水蒸気のようなより高沸点のガスのためのクライオポンプ動作面としても働く。このパネルは、スポーク状の板74で結合された同心円状のルーバーおよびシェブロン(矢羽根、chevrons)72の円形のアレイを備えている。このクライオパネル70の構造は、円形で、同心円の構成要素に限定される必要はないが、それは、放射熱シールドおよび高温クライオポンプ動作パネルとして振る舞い、同時に、低沸点ガスの、一次クライオパネルへの経路を提供するように配置されるべきである。
【0063】
クライオポンプは、駆動モーターと往復運動する変位器とを用いて記述されているが、空気またはパルス管冷凍器のような代替の冷凍システムが用いられてもよい。
【0064】
図2には、クライオポンプにおける一連の冷凍器に冷媒を供給するのに用いられるコンプレッサーの列が示されている。
図2を参照すると、共通のコンプレッサー列16には、コンプレッサー16a~16nが含まれており、それらは、ヘリウム冷媒を多岐管18に供給する。多岐管18は、冷凍器制御器215a~215nで、一連のクライオポンプ10a~10nに接続されている。従属制御器はそれぞれ、冷媒ガスが膨張するときコールドフィンガーにおいて往復運動する変位器を駆動する、変位器駆動部216を制御する。変位器駆動部216は、供給される冷媒の量に応じて、ポンプの冷却速度を調整するのに用いられる。極低温冷凍システム制御器12(制御器)は、変位器駆動部216を制御する冷凍器制御器215a~215nのそれぞれに接続され、冷凍器/クライオポンプ10に供給される冷媒の量を増やしたり減らしたりするのに用いられる。制御器12は、個々のコンプレッサーおよび極低温装置と通信するように構成されるハードウェア電気回路であり、さらに、グループ再生およびヘリウム管理のようなグループ冷凍システム活動を管理するように構成されている。代替案では、制御器12は、クライオポンプ内またはコンプレッサー内のような、冷凍システムのいずれかの要素内に存在するロジックとして用いられる。冷凍器/クライオポンプ10のそれぞれは、制御器12にフィードバックを行う1つ以上のセンサー14a~14nを有している。したがって、制御器12は、それに接続されるすべてのクライオポンプ10を調整し、それは、センサー14から信号を受け取って、センサー14から送られる信号に基づいて、多岐管から利用できるヘリウムの総計から、各ポンプ10に要求されるヘリウムの量を計算することによるものであるが、さらなる詳細が以下に記述される。代替案では、需要が、クライオポンプ10で計算され、その需要は、制御器12に送られる。加えて、制御器12は、コンプレッサー列16のコンプレッサー16a~16nのそれぞれに接続されている。システム制御器12は、コンプレッサー16a~16nのそれぞれから供給圧および戻り圧のフィードバックを受け取り、その情報を使って、制御器12は、状態(例えば、起動か停止か)と、コンプレッサー16a~16nのそれぞれがヘリウムを出力する速度を制御する。
【0065】
冷凍制御システムが、クライオポンプの極低温冷凍器の一例とともに記述されることに注意する。冷凍制御システムは、単数および複数段の装置を含む種々の極低温冷凍器のための冷媒供給とともに用いられる。ここに記述されるクライオポンプは、例えば、単一段極低温冷凍器によって冷却される水ポンプであり、そのようなものが「薄型列形極低温水ポンプ(Low Profile In Line Cryogenic Water Pump)」というタイトルの米国特許第5,887,438号に開示されており、それは、援用することによってその全体がここに組み入れられ、本出願の譲受人に譲渡されている。または、ここに記述されるクライオポンプは、その他の、ヘリウム駆動の極低温装置である。代替案では、スターリング、ギフォード・マクマホンおよびパルス管のような極低温冷凍器が用いられる。
【0066】
クライオポンプの冷凍器における冷却動作状態および冷却の要求に応じて、様々な冷媒消費率が生じる。冷却動作によって、クライオポンプの温度は、環境状態から極低温にまで下げられるが、冷凍器に最も多くの冷媒が必要とされる。一度、極低温動作温度が達成されると、通常の動作モードでその温度が維持されるが、ヘリウムの流量が全般的に安定していることが必要となる。再生動作によって、クライオポンプが暖められて、蓄積され凝縮されたガスが放出されるが、暖機中およびクライオポンプが暖かい間は、冷媒はほとんどまたはまったく必要とされない。他の要因も、冷媒消費率に影響を及ぼし得る。冷却の間、クライオポンプは、次第に、より多くのヘリウムを消費するようになり、冷却が進むにつれて通常の動作温度に近づく。通常の動作温度では、取り付けられた真空プロセスチャンバーで行われている真空プロセス活動によって熱が生じて、熱負荷と、適切な動作温度を維持するのに必要な冷凍とが増大する。
【0067】
共通の冷媒供給に接続されるクライオポンプにおいて、すべての冷凍器の冷媒消費率の総計を用いて、冷媒の需要の総計を決定できる。同様に、共通の冷媒供給に貢献している一台または複数のコンプレッサーの冷媒の利用可能性を用いて、システムの冷媒の利用可能性を決定できる。上に示されたとおり、各クライオポンプの実際の消費率は、種々の要因に応じて異なっている。ある特定の時点で、システムの冷媒利用可能性は、冷媒の需要の総計を超えるかも知れず、それは、システムにおける過剰の冷媒を示している。同様に、多くのクライオポンプが冷媒消費の高い期間を経験している場合、冷媒の需要の総計は、利用可能な冷媒を超えており、それは、冷媒が乏しいことを示している。
【0068】
より高い効率に対する需要が増えると、可変速度コンプレッサーの動作を効率的に制御することが有用である。極低温真空システムでは、最適な解決策は、極低温冷凍器に、冷凍器が第一段および第二段温度を維持するのに必要な量だけ冷媒(ヘリウム)を提供することである。1つの解決策は、冷凍器が消費している冷媒の全体流量(mass flow)のみを供給するために、コンプレッサーに、その速度を変えさせることである。そのような操作の結果、コンプレッサーを作動させる費用が大きく節約される。
【0069】
図3は、クライオポンプの冷凍器への冷媒の供給を制御する冷凍システムのブロック図である。冷媒を必要とする複数の冷凍器275が、コンプレッサー260aおよび260bならびにクライオポンプ冷凍器流量需要推定器210a~210nに結合されている。各クライオポンプ流量推定器210a~210nは、冷凍器275a~275nから測定基準(metrics )を受け取り、それは、冷凍器275a~275nが要求する冷媒の量を推定するのに用いられる。クライオポンプ冷凍器流量需要推定器210a~210nは、直接の有線通信または無線通信を介して、冷凍器から測定基準を受け取る。
図3がクライオポンプシステムを描写しているが、代替案の実施形態では、クライオポンプは単一または多段の冷凍器で置き換えられている。
【0070】
代替案では、クライオポンプ冷凍器流量需要推定器210a~210nは、冷凍器275a~275nをモニターするように冷凍器275a~275nに組み込まれたプロセッサーである。複数のクライオポンプ冷凍器流量需要推定器210a~210nが描写されているが、複数の冷凍器275a~275nは、単一のポンプ流量推定器に測定基準を伝達するものであることに注意する。
【0071】
冷凍器275a~275nは、測定基準を記録して探知する(追跡する、track )センサーを使用する。そして、センサーは、測定基準を、クライオポンプ冷凍器流量需要推定器210a~210nに送る。クライオポンプ冷凍器流量需要推定器210a~210nによって受け取られる測定基準には、P供給、P戻り、T1およびT2、冷凍器循環速度(refrigerator cycling speed)、冷凍器特有パラメータ(refrigerator specific parameters)ならびに各冷凍器275a~275nのそれぞれと関連する潜在的な他の操作パラメータが含まれる。クライオポンプ冷凍器流量需要推定器210a~210nは、測定基準を用いて、各冷凍器について推定される冷媒の需要を、個々にまたは総計ベースで計算する。
【0072】
冷媒管理システム220は、ポンプ流量推定器210a~210nに結合されて、クライオポンプ冷凍器流量需要推定器210a~210nのそれぞれからの冷媒の需要の推定を含む伝達を受け取る。そして、225では、冷媒管理器220が、クライオポンプ冷凍器流量推定器210a~210nからの伝達に基づいて、冷媒の需要の総計(全体流量要求)を計算する。
【0073】
計算された冷媒の需要の総計は、それに伴う誤差を含む推定である。例えば、その誤差は、0~20%内のいずれかの範囲にある。そのような誤差の可能性があるので、冷媒管理システム220は、計算された需要の総計を冷媒供給補正制御器240に送り、複数の冷凍器275a~275nに供給される冷媒の量を決定する。この決定は、計算された需要の総計と冷媒供給補正(全体流量補正)を加算することによって行われる。冷媒供給補正制御器240は、以下に記述されるように冷媒供給補正を計算する。
【0074】
冷媒ロジック281を用いて、冷媒管理システム220は、冷凍システムの状態を決定する。例えば、冷凍システムは、以下の状態のうちの1つである:温度制御、冷却または停止。冷凍システムの状態は、冷媒システム全体のセンサーを用いて決定される。制御器は、独自の数値をメッセージに割り当てるが、それによって、冷凍システムの構成要素が、障害を含むがそれには限定されないシステムの状態、および作動モードを知ることができる。冷媒供給補正制御器240は、225においてシステムの状態に基づく所定の要因によって、需要の総計を調整する。
【0075】
冷媒管理システム220はまた、コンプレッサー260aおよび260bからのフィードバックループを介して、低圧戻り管路および高圧供給管路から戻り圧(P戻り)および供給圧(P供給)測定基準を受け取り、戻り圧設定値を補正するための方向を決定する。冷媒管理システム220は、P戻りおよびP供給測定基準を、戻り圧および供給圧をモニターするセンサー280aおよび280bからそれぞれ受け取る。センサー280aおよび280bは、P戻り管路およびP供給管路にそれぞれ結合されている。
【0076】
前述のとおり、戻り圧設定値計算器282は、戻り圧設定値を計算するが、それには、冷凍システムの状態に関係する冷媒ロジック281からの情報および、冷媒の、その時点の供給を増やすべきか減らすべきかの情報を用いる。冷媒ロジック281を用いる冷媒管理システム220は、冷媒の、その時点の供給を増やすべきか減らすべきかを決定するが、それは、コンプレッサーの供給圧と戻り圧との差圧を計算することによるものである。差圧は、単純に供給圧と戻り圧との差である。冷媒管理システム220は、フィードバックループ247と248を介してP供給およびP戻り測定基準を受け取る。冷媒ロジック281は、ある期間にわたって供給圧と戻り圧との差圧平均を計算する。例えば、冷媒ロジックは、2分間にわたっての差圧平均を得る。
【0077】
一般に、極低温冷凍システムによっては、供給圧が400psiで戻り圧が200のとき、通常の、または静的な条件となる。そのような条件では、冷媒管理システム220は、冷媒の供給が変らぬままであるか、静的であって、増えたり減ったりすべきではないと判定する。
【0078】
しかしながら、差圧が低い方の差圧閾値、例えば、190psi(すなわち通常の差圧マイナス設定可能なオフセット)未満であると判定される場合、冷媒管理システム220は、差圧が大きく低減して所望の動作範囲の外であると判定する。そのような大きな低減があると、冷媒管理システム220には、冷凍器275a~275nが受け取っている冷媒の供給が不適切であり、冷媒の供給を増やすべきであるということが指示される。反対に、差圧が高い方の差圧閾値、例えば、210psi(通常の差圧プラス設定可能なオフセット)よりも大きいと判定される場合、冷媒管理システムは、差圧が所望の動作範囲の外まで増大していると判定する。差圧がそのように増大すると、冷媒管理システム220には、コンプレッサーが供給している冷媒が多すぎて、バイパス弁(図示されていない)を通して冷媒が浪費されており、冷媒の供給を減らすべきであると指示される。典型的なシステム動作(クライオポンプが温度制御されている)によって、上下の差圧閾値内での動作が維持される。しかしながら、負荷が急速に変化している場合は、全体流量需要推定が大きな誤差を有し、または、結果的に、コンプレッサーやクライオポンプの減少や増加といった障害が生じており、これを補正する機構は、ポンプが必要とする流量をコンプレッサーが供給するまで、分単位の期間をかけて適応する。
【0079】
一度、冷媒管理システム220が、冷媒の供給を静的(そのまま)にし続けるか、増やすか、減らすかを決定すると、冷媒管理システム220は、冷媒ロジック281を使って、戻り圧設定値を上げるか下げるかを決定する。戻り圧設定値計算器282は、戻り圧設定値を上げるか下げるかする必要があるか否かを指示するメッセージを冷媒ロジックから受け取る。このメッセージを受け取ると、戻り圧設定値計算器282は、戻り圧設定値を調整し、低圧戻り管路において戻り圧を制御する。
【0080】
一般に、戻り圧の変動が、供給圧と戻り圧との差圧が下落または上昇する原因を支配するという事実があるので、供給圧ではなく戻り圧が制御される。これは、供給圧の変動は、一般的にわずかであって差圧に最小の影響しか与えないが、戻り圧の変動は、相当大きいという事実による。代替案の実施形態においては、戻り圧ではなく供給圧をモニターして制御する。
【0081】
冷凍供給補正制御器240は、P戻り設定値計算器282を介して、一定幅の値ずつ設定値を上げるか下げるかすることによって、戻り圧(P戻り)設定値を計算する。P戻り設定値は、新しい状態への移行に際して初期化され、そして、冷凍供給補正制御器において徐々に増大されて更新される。一度、戻り圧設定値が計算されると、冷媒供給補正制御器240は、戻り圧誤差を計算するが、それは、戻り圧設定値と231での戻り圧との差を計算することによる。冷媒供給補正制御器240は、戻り圧フィードバックループ247を介して戻り圧測定基準を受け取る。そして、冷媒補正制御器240は、冷媒補正制御ロジック245および、冷媒管理システム220からの冷媒の需要の総計を用いて、冷媒供給補正を計算する。冷媒供給補正は、戻り圧誤差を入力とする制御法則の出力(すなわち、制御法則差分方程式(control law difference equation )での戻り圧誤差信号の畳み込み合計(convolution sum ))として計算される。この場合おいて、制御ロジック245により、比例制御ロジックが用いられ、冷媒供給補正が以下の式を用いて計算される:戻り圧比例定数*戻り圧誤差。そして、冷媒供給補正制御器240は、冷媒管理システム220からの需要の総計および、計算された冷媒供給補正、とりわけ232でのこれらの信号の合計、に基づいて、冷凍器に供給する冷媒の量を決定する。また、システムの状態が冷却である場合、補正ループは、開放スイッチ246で図示されるように無効(使用不能)とされる。
【0082】
冷媒供給補正制御器240は、冷凍器275に供給する冷媒の量をコンプレッサー制御器270に通知する。この通知に基づいて、コンプレッサーモーターロジック250は、複数のコンプレッサー260aおよび260bの動作状態を決定する。コンプレッサー制御器270は、単一のコンプレッサーまたは、複数のコンプレッサーに別々に結合された複数のポンプの動作状態を制御する。コンプレッサーの動作状態によって、起動および停止されるべきコンプレッサーの数を決定する。1つの実施形態において、複数のコンプレッサー260aおよび260bはコンプレッサー2台のみからなる。そのような実施形態において、モーターロジック250は、双方のコンプレッサーが作動しているべきか、コンプレッサー1つだけが作動しているべきかを決定する。
【0083】
コンプレッサー260aおよび260bは、コンプレッサー260aおよび260bを駆動するコンプレッサーポンプモーター230aおよび230bに結合されている。モーター230aおよび230bが作動し、回転ポンプ、ピストンポンプ、スクロールポンプまたはその他の適切な駆動手段を介して、コンプレッサー260aおよび260bを駆動する。
【0084】
コンプレッサー260aおよび260bは、可変速度コンプレッサーであって、モーター230aおよび230bが駆動する速度を調整することによって、様々な速度で冷凍器に冷媒を供給することができる。流量から周波数への計算器255によって、起動されると決定されたコンプレッサー260aおよび260bのコンプレッサーモーター230aおよび230bの速度が決定される。コンプレッサーモーター230aおよび230bの速度は、冷凍器に供給される計算された冷媒の量および戻り圧の関数として決定される。具体的には、周波数=全体流量/(K*戻り圧)である。
【0085】
上の記述では、機能が、制御器として記述される項目に分離されている。これらの機能は、単一の制御器または複数の制御器の組合せにグループ分けされ、別個に、またはクライオポンプ/極低温冷凍器システムの1つ以上の構成要素に配置される。
【0086】
代替案では、冷凍器に供給される冷媒の量が最大出力で作動しているすべてのコンプレッサーの能力を超える場合、冷媒管理制御器220は、複数の冷凍器のうち少なくとも1つの冷凍器の速度を調整する。
【0087】
以前のアプローチと違って、現在の冷媒供給制御ループは、一次フィードバック機構について、差圧には依存しない。むしろこの方法では、戻り圧制御によって補助されるフィードフォワード流量制御(冷媒の需要の総計)が用いられる。差圧は、単に、それが変動して(drift )所望の作動範囲の外に出るとき、冷媒の供給を調整して適応させるのに用いられる。このような変動の原因に帰せられるのは、冷媒の需要またはコンプレッサーによる供給の推定が悪いこと、冷凍システムにおける冷凍器またはコンプレッサーの減少もしくは増加、または結果として急速な冷媒需要の変化を生じる大きな負荷の変動である。
【0088】
前述のように、可変速度コンプレッサーを使うことによって、冷媒を供給する効率を高めることができる。冷凍器に供給する、計算された冷媒の量に基づいて、単一のコンプレッサーか2台のコンプレッサーかからの冷媒を供給する能力を加えることによって、より高いレベルの効率が得られる。2台の可変速度コンプレッサーの動作状態から単一の可変速度コンプレッサーの動作状態への移行またはその反対の移行は、供給圧と戻り圧との差圧に大きな影響を及ぼすことなく行わなければならない。加えて、動作状態間での切り換えは、コンプレッサーからの信頼性を高いレベルで維持するように行わなければならない。
【0089】
図4は、作動すべき可変速度コンプレッサーの数を決定する方法400のフロー図を示す。
図3を参照すると、方法400は、モーターロジック250で行われる。方法を開始するのに先立って、可変速度コンプレッサーの双方が同時に作動する最大出力に対して測定が行われる。ステップ410で、方法400を開始する。ステップ415で、コンプレッサー制御器270が指令を受け取って、ある量の冷媒を供給する。
【0090】
ステップ420で、コンプレッサーモーターロジック250を用いて、単一の可変速度コンプレッサーが作動する動作とするか、可変速度コンプレッサー双方が作動する動作とするかが決定される。この決定がなされるのは、ある量の冷媒を供給する指令が、単一の可変速度コンプレッサーの最大出力よりも大きいかそれ未満であるかを判定することによって計算される移行閾値を決定することによる。単一の可変速度コンプレッサーの最大出力は、可変速度コンプレッサーの双方を同時に作動するときの最大出力の半分として計算される。この値は推定であって、単一の可変速度コンプレッサーの最大出力は、双方のコンプレッサーが作動するときの最大出力の半分よりもわずかに大きく、それは、同時に2つのコンプレッサーを動かすことでDCバス電圧が低下するという事実によるものであることに注意する。
【0091】
ステップ425で、モーターロジック250は、冷凍システムが、二台可変速度コンプレッサー動作状態から単一可変速度コンプレッサー動作状態に移行するべきであると判定する。換言すれば、2台の可変速度コンプレッサーのうち一方が停止されるべきであると判定する。前述のとおり、ある量の冷媒を供給する指令が、単一可変速度コンプレッサーの最大出力(閾値)未満である場合、この判定がなされる。流量推定におけるノイズのレベルによる、移行における不確実性を考慮して、供給する必要のある冷媒の量が、単一可変速度コンプレッサーの最大出力から所定のヒステリシス値を差し引いた値よりも小さい場合、その判定がなされる。例えば、そのヒステリシス値は、毎分10標準立方フィート(SCFM)である。不確実性を考慮するのに、ヒステリシス値を用いることに加え、所定の期間またはデバウンス期間(debounce period )、需要が、最大出力からヒステリシス値を差し引いた値よりも小さいことが必要とされる。ヒステリシスは、コンプレッサーの信頼性に悪い影響を及ぼしかねないモーターの頻繁なオン/オフの繰返しを除去するのに用いられる。デバウンス遅延(debounce delay)は、モーターを停止するときにのみ適用され、モーターを起動するときは、ごくわずかの遅延しか適用されないことに注意する。
【0092】
ステップ435で、2台のコンプレッサーの動作状態から単一のコンプレッサーの動作状態に切り換える決定をすると、モーターロジック250は、2台のコンプレッサーのうちいずれを停止するか選択する。この選択は、各モーターの停止の履歴に基づく。例えば、モーターロジック250は、単一のコンプレッサーの動作状態に切り換える決定をするごとに、2台のコンプレッサーを交替させ、モーターも所定期間でまたはその他のパターンを用いて交替させる。コンプレッサーの間で、起動と停止を繰り返す方法によって、2台のコンプレッサーの間で、オン/オフの繰返しが均等になり、それによって、コンプレッサーの起動と停止を繰り返しながらも高度の信頼性を確実に維持している。
【0093】
ステップ440で、選択されたコンプレッサーを停止するのに先立ち、必要とされる冷媒を供給するのに必要な速度以上に、選択されていないモーターの速度を上昇または徐々に上昇させる(is increased or ramped up )。速度の上昇は、冷媒の適切な供給を確実にするのに必要である。ステップ445では、選択されたコンプレッサーを停止する。
【0094】
ステップ420および425で、冷凍システムが、単一可変速度コンプレッサーの動作状態から二台可変速度コンプレッサー動作状態に移行すべきであると判定される場合、第二のコンプレッサーが起動される。前述のとおり、ある量の冷媒を供給する指令が、単一の可変速度コンプレッサーの最大出力(閾値)よりも大きい場合、この判定がなされる。移行における不確実性を考慮して、冷媒の量が、単一可変速度コンプレッサーの最大出力よりも大きい場合、決定がなされる。加えて、冷媒の量が、非常に短い所定の期間、閾値を超えさえすれば、冷凍器への冷媒の適切な供給を確実にするために、単一コンプレッサー状態から二台コンプレッサー状態に切り換える決定がなされる。
【0095】
ステップ450で、単一コンプレッサーの動作に切り換える決定がなされると、コンプレッサー制御器270は、第二の可変速度コンプレッサーを起動する。ステップ455で、起動されたコンプレッサーの速度を、方法400によって徐々に上げて、起動されたモーターを安定させる。ステップ460で、方法400が終了する。
【0096】
利点として、方法400によって、単一のコンプレッサーが最小の速度で作動するところから、2台以上のコンプレッサーが全速で作動するところまで、コンプレッサーが作動することが可能となり、例えば、35Hzの単一のコンプレッサーから70Hzで作動する2台のコンプレッサーまでである。これによって、用途がより広くなり、また冷媒を冷凍器に供給する範囲を広くすることができる。方法400はまた、固定および可変速度コンプレッサーをどのように組み合わせても用いることができる。加えて、冷媒需要が少なくとも1台の可変速度コンプレッサーによって供給されるときは、少なくとも1台の固定速度コンプレッサーを停止させてもよい。
【0097】
代替案では、これと同じ操作方法が、単一コンプレッサー構造における1台以上のコンプレッサーポンプに適用される。需要が低いとき、すべてのコンプレッサーポンプを動かす代わりに、その構造内の1台のコンプレッサーポンプの動作を維持できる。需要が低い期間、ヘリウムの需要を満たすために、構造内の1台以上のポンプを停止させ、その他のポンプを1台以上動作させ続けておく能力によって、エネルギーの効率が大きく向上する。
【0098】
図5A~
図5Dは、
図4を参照する、前述のような1台および2台のコンプレッサーまたはコンプレッサーポンプの動作の間で切り換えを行うときの典型的な冷媒の流量対要求される流量を示すグラフである。
図5Aは、動作周波数範囲を拡大するシナリオでの高電圧または低電圧についてのグラフを示す。
図5Bおよび
図5Cは、低電圧(範囲は拡大されない)のシナリオについてのグラフを示す。これらの例において、第二のモーターが起動される/停止される時点での、要求された流量対実際の流量の線形関数の中断がある。
図5A~
図5Cにおける線形関数の中断は、単一コンプレッサーの最大出力が2台のコンプレッサーの最小出力未満であるという事実による。線形関数の中断は、
図5Bおよび
図5Cにおけるより、
図5Aにおける方が小さいが、これは、
図5Aの単一コンプレッサーの最大動作速度が、結果としてより大きくなる、異なる電圧供給およびコンプレッサーモーター駆動回路による。
図5Dは、
図5Cの各参照点での冷凍システムの状態を示す表である。
【0099】
前述のとおり、
図5Aには、高電圧のシナリオについてのグラフが示される。このグラフでは、y軸の実際の流量対、x軸の要求された流量で点が打たれている。加えて、グラフの各ポイントにおいて、2つの可変速度コンプレッサーのそれぞれの速度または周波数が示されている。ポイントAおよびBは、2つの可変速度コンプレッサーのうち、1台だけが起動されて作動している冷凍システムの状態を示している。これは、第二の周波数が0であることによって示されている。ポイントCは、2つの可変速度コンプレッサー状態に移行がなされる必要のあるポイントを示す。1台から2台のコンプレッサーへの移行で示されるように、4.8SCFMのヒステリシスによって、要求された流量が100SCFMよりも大きいときのみに移行が起こることが確実にされた。反対に、ポイントDで、2台のコンプレッサー状態から単一コンプレッサー状態に移る決定がなされる。ここで、ヒステリシスによって、要求された流量が100SCFM未満である時に限り移行が起こることが確実にされる。ポイントEおよびFでは、コンプレッサーが、2台のコンプレッサー状態で動いているシナリオが示されている。ポイントEは、2台のコンプレッサーが双方とも最小出力で動いているシナリオを示し、一方、ポイントFは、2台のコンプレッサーが双方とも最大出力で動いているシナリオを示している。
【0100】
図5Bは、208VACでの低電圧(周波数範囲が拡大されない)のシナリオについてのグラフを示す。このグラフには、y軸の実際の流量対、x軸の要求された流量の点が打たれている。加えて、グラフの選択ポイントで、2つの可変速度コンプレッサーのそれぞれの速度または周波数が示されている。
図5Bは、
図5Aに類似するが、1台から2台のコンプレッサーへの移行および、2台から1台へのコンプレサーの移行の状態は、異なる要求された流量で起こり、これは、単一のコンプレッサーの最高出力が2台のコンプレッサーの最小出力未満であって、この差は、拡大した周波数範囲回路のない低電圧のシナリオにおいて、より大きいという事実による。
【0101】
図5Cは、
図5Bに類似しており、180VACで低電圧のシナリオに対するグラフを示す。このグラフには、y軸の実際の流量対、x軸の要求された流量の点が打たれている。加えて、グラフの選択されたポイントでは、2つの可変速度モーターのそれぞれの速度または周波数が示されている。グラフのポイントA~ポイントFは、冷媒の要求された流量と実際の流量に基づいて冷凍システムの状態を示す。加えて、グラフは、システムにおける各コンプレッサーの状態を示す。表5Dは、
図5Cの各ポイントA~Fに言及するもので、要求された流量の値、実際の流量および各コンプレッサーの周波数を示している。
【0102】
図6は、作動するコンプレッサーの速度を決定する方法600のフロー図を示す。
図3を参照すると、方法600は、流量から周波数への計算器255によって実行される。ステップ605で、方法が開始される。ステップ610で、流量から周波数への計算器255が、動くコンプレッサーの数と冷凍器に供給される冷媒の量に関する情報を含む、コンプレッサーモーターロジックからの指令を受ける。加えて、ステップ615で、流量から周波数への計算器255が、戻り圧フィードバックループを介して戻り圧測定基準を受け取る。
【0103】
ステップ620で、流量から周波数への計算器255は、ステップ610および615で受け取られる情報に基づいて、2つのコンプレッサーが作動するべき速度を計算する。この計算には、理想気体の法則:PV=nRTと、体積流量(排気速度)についての式:V=コンプレッサー容積効率定数(K)*コンプレッサーの速度(周波数(F))との組合せが用いられる。2つの式を組み合わせて、周波数について解くことで、式F=全体流量/(K*戻り圧)が得られる。
【0104】
しかしながら、コンプレッサーに周波数Fで作動するように単純に要求しても、実際に‘F’という速度は得られない。これは、コンプレッサーに使用されるモーターの種類による。例えば、コンプレッサーに、同期ACモーターを用いる場合、この式はそのままで正しい。しかしながら、AC誘導モーターが用いられると、前記の周波数について解く式は、モーターのスリップについて補償する必要がある。そうすると、周波数への計算器は、コンプレッサーに、上で計算されるものよりも高い周波数で作動するよう指令しなければならない。モーターのスリップは、業界で知られているいずれの周知の方法を用いて推定してもよい。ステップ625では、流量から周波数への計算器255によって、コンプレッサーポンプ(単数または複数)に駆動信号が送られ、用いられるモーターの種類に基づいて調整され、計算された周波数(速度)でモーターが駆動される。ステップ630で、方法は終了する。
【0105】
コンプレッサー(複数)は、同じ速度で動いても異なる速度で動いてもよいということに注意する。コンプレッサーのモーター(複数)は、同じ速度で作動すると、異なる周波数でのうなり(beating )という問題を解消し、機械的な振動や耳障りなノイズが低減される。コンプレッサーポンプ(複数)が、同じフレームの中にあれば、動作周波数が同じになって異なる周波数でのうなりが解消され得る。しかしながら、離れた別々のコンプレッサー(複数)は、異なる速度で動かされ得る。別々のコンプレッサーについて、動作周波数を確立するとき、周波数の選択もまた、個々のコンプレッサーの動作効率特性に依存する。また、緩衝装置を用いて、うなりの影響を最小にできる。
【0106】
加えて、流量から周波数への計算器255は、単一コンプレッサーシステム内の多数の機械的圧縮ポンプの速度を計算するように構成されている。例えば、別々のコンプレッサーが作動する速度を決定するよりもむしろ、流量から周波数への計算器255は、単一コンプレッサーシステム内の複数の機械的ポンプの速度を決定する。代替案では、別々のコンプレッサーを多数有する冷凍器システムについて、流量から周波数への計算器255は、多数の別々のコンプレッサーの速度を決定するように構成される。多数の別々のコンプレッサーは、複数の可変速度コンプレッサーであるか、または、可変速度コンプレッサーと固定速度コンプレッサーの組合せである。
【0107】
前述のように、コンプレッサー速度を変えて、極低温真空ポンプシステムおよび極低温冷凍システムの高いエネルギー効率を達成する方法は、冷媒流量需要およびシステムの戻り圧の組合せに応じて、コンプレッサーの要求される冷媒供給を確立する。コンプレッサーとコンプレッサーポンプの速度および動作状態は、極低温冷凍/クライオポンプの、補正された流量需要の総計によって決定される。加えて、小さめのシステムでは、戻り圧を補正する必要はない。
【0108】
コンプレッサー速度を変える代替の方法には、冷媒管理ロジックによって定義される全体の冷媒要件を用いることが含まれている。補正されていない冷媒の需要の総計に正確に合致するように、コンプレッサー速度を変えてもよい。この制御方法が十分に効果を発揮するのは、作動条件の範囲内で、システムにおける冷凍器の冷媒需要要件が正確に分かっているときである。この情報をコンプレッサー速度制御に用いるためにアルゴリズムが実行される。
【0109】
直接、戻り圧の測定値にのみ基づいて、冷媒の供給を制御することが一台以上のコンプレッサー/コンプレッサーポンプからの冷媒を制御する手段として実行される。コンプレッサー/コンプレッサーポンプの作動速度または状態は、測定された戻り圧に基づいて増やすか減らすかする。さらには、制御ループにおいて、参照表または出力アルゴリズムを用いる。冷媒全体流量は、戻りガス密度(圧力)に直接関係しているので、不十分な流量は、戻り圧の上昇によって示され、過剰な流量は、戻り圧の下落によって示される。戻り圧を特定の範囲内に維持するようにコンプレッサー速度を制御して、冷媒の需要が可変である環境内で、適切な冷媒が確実に供給されるようにする。
【0110】
もう1つの方法の例においては、バイパス弁を備えたバイパスループにおいて、冷媒の流量を直接測定する。バイパスループにおける過剰な冷媒の流量によって、システム全体への過剰な流量供給が示される。測定によって、そのような過剰が示される場合、コンプレッサー速度を調整してバイパスループ内での冷媒の流量を少しだけ過剰に維持する。
【0111】
加えて、バネの力で駆動される弁の代わりに、モーターで駆動されるバイパス弁を導入してもよい。さらには、流量調整部材を弁に配置することで、バイパスループにおける冷媒の流量を間接的に決定できる。そして、コンプレッサー速度を弁位置(バイパス流速(流量))に基づいて調整し、バイパス流量を最小にする。
【0112】
加えて、最大速度で戻り圧を超える際の、これらの解決策のいずれについても、冷媒管理ロジックは、利用可能なヘリウムを再度割り当て、それによって戻り圧を受け入れ可能なレベルまで低下させる。
【0113】
[全体流量制御を備えるコンプレッサーの多用性]
方法および対応する冷凍システムは、全体流量制御を備えるコンプレッサーシステムが、ヘリウムのような冷媒を用いるあらゆるシステムとの整合(連動)が可能になることと関係している。これには、オンボード(OnBoard)(登録商標)およびオンボードISクライオポンプおよび冷凍器のような現存するCTI極低温システムからの冷媒流量制御、ならびに、1台以上のコンプレッサーおよび他の製造業者によるコンプレッサーと冷凍器/クライオポンプを制御するという柔軟性も含まれる。固定速度コンプレッサーおよび可変速度コンプレッサーの双方を組み合わせて、少なくとも1台の可変コンプレッサーが存在する限りにおいて、どのような組合せにでもすることができる。複数のコンプレッサーが組み合わされると、可変速度性能を備えるコンプレッサーの速度および動作状態を変えることに加えて、要求に基づいて固定速度コンプレッサーを起動または停止することが可能である。
【0114】
戻り圧と差圧を用いることによって、コンプレッサーをどのような冷媒システムに接続しても、そのシステムからデータを受け取ることなく冷媒の全体流量を制御することが可能である。制御アルゴリズムは、冷媒需要のフィードフォワードほど迅速に応答しないが、冷凍システムからの伝達を受け取る必要がないのでより柔軟である。フィードフォワードでは、SCFMという単位で、または、冷媒全体流量の消費を推定するのに用いることができる冷凍器変数という形で、冷媒の消費が直接提供される。加えて、冷凍の消費/需要のフィードフォワードは、単独でまたは、戻り圧もしくは差圧とともに用いられる。
【0115】
コンプレッサーとクライオポンプ/冷凍器との間のインターフェースは、2つの部分、すなわち物理的インターフェースとデータインターフェースからなる。柔軟性については、以下の物理的インターフェースの少なくとも1つを使用する:RS-232シリアル、年代物のBrooks製品と適合するBitbus、Ethernet(登録商標)およびDeviceNet。電子アーキテクチャーは、必要に応じて、新しいインターフェースの追加にただちに対応できる(例えば、ドーターカード(daughter card ))。データインターフェースについては、コンプレッサーは、システムがどれだけの冷媒を消費しているのかを知る必要がある。これは、クライオポンプにおける冷凍器に関しては、冷媒流量推定器210A-nによって推定することができるが、それは、モーター速度、T1、T2、T環境、P供給、P戻りおよび特定のクライオポンプ冷凍器について定義される複数の定数の組合せに基づくものである。代替案では、全体流量制御アルゴリズムによって、クライオポンプ冷凍器から帰還するデータに基づいて冷媒の消費が推定される。一例として、コンプレッサーは、オンボードISの冷凍器への直接の冷媒の供給を制御することが可能である。また、オンボードおよびP300クライオポンプ冷凍器も、ゴールドリンク、ネットワーク・インターフェース・ターミナル(NIT)またはその他の手段を介してT1およびT2温度にアクセスすることによって制御される。その他の冷凍器と冷凍器/クライオポンプの通信について定められた特徴を用いても、通信を可能とし、冷凍器定数を確立し、モーター速度、T1、T2および圧力といった必要な作動パラメータを獲得できる。加えて、さらにコンプレッサーは、Ethernet(登録商標)ネットワークを介してクライオポンプを制御することができる。ユーザープログラム設定可能マップを用いて、未知の、もしくは連絡を取り合わないコンプレッサーとクライオポンプ/冷凍器を位置づけ(map )、ホストもしくはその他の性能監視システムから冷凍器の作動パラメータを確立するか獲得するかし、またはそのマップが、デフォルト値を有していてもよい。
【0116】
図7は、前述のような冷媒の供給を制御する冷媒システムのブロック図を示す。例えば、
図7は、前述のように、全体流量制御を備えるコンプレッサーが、ヘリウムのような気相の冷媒を用いるどのようなシステムとも整合することを可能とする方法および対応する冷媒システムを示す。
【0117】
[可変速度コンプレッサーの適応性ある電力管理]
コンプレッサーの最大速度は、過剰電流状態での作動からコンプレッサーを保護するように確立される。現存する典型的な過剰電流保護は、第一に、短期の過剰電流状態に対しての保護である。過剰電流保護の第一のレベルは、交差伝導型電流スパイク(cross-conduction type current spikes)、すなわち数マイクロ秒間非常に大きな電流が流れることから保護を行う電流グリッチ回路(current glitch circuit)である(この場合おいて、検出と回路の遮断が双方ともハードウェアにおいて行われる)。この電流レベルは、通常、電力装置の最大パルス電流によって決定される。過剰電流保護の次のレベルは、過剰電流によって誘発される熱障害に対して保護を行うソフトウェアで達せられる。これは、グリッチよりも遅いが、それでもなお、かなり速い。しかし、この短期の熱過剰電流と継続的に流れている電流との間には、なおも大きな相違がある。継続的に流れている電流には制限が掛かっているが、それは、DCバス電圧にのみ基づいて、モーターが作動することのできる最大速度を単純に推定することによるものである。代替案では、電流のフィードバックを用いて、コンプレッサーが電流制限を超えないように速度を制限する。コンプレッサーが、DCバス電圧のみに基づいて最大速度の推定に依存するとき、それは、システムについての標準作動供給および戻り圧を用いる。高圧ギフォード・マクマホン冷凍システムにおいて、圧力は、供給が400psigで、戻りが200psigである。しかしながら、それらの値は、ユーザーによってプログラムが可能なものであってもよい。標準作動供給および戻り圧の使用は、一般に、閉ループ(能動)モードで作動しているときは適切な措置である。しかしながら、これは、固定速度モードで作動しているときは妥当な措置ではない。代替の制御方法においては、差圧、コンプレッサー特性および上限閾値に基づく最大作動速度の計算を用いてモーター速度を下げ、コンプレッサーを過剰電流状態から保護する。電流を制限する追加の制御方法には、最大許容速度のみの計算において、または、差圧の計算であって、それよりも上では、作動速度を低減してコンプレッサーの電流を低減するという計算との組合せにおいて、戻り圧を用いることが含まれている。
【0118】
電流フィードバックによる補正が閾値(例えば、5Hz)を超える場合、警告フラッグが設定されて「過剰電流による過剰な速度低減」を示す。それで、コンプレッサーは、速度を低減して作動し続けるが、過剰電流状態を避けるために速度が低減されたと示す警告を発する。
【0119】
方法が関係しているのは、コンプレッサーのモーターの巻線において最大の電力の散逸(電力損、power dissipation )を制御すること、および駆動回路によって許容される最大の電流を制限することである。最大の電力および電流の制御は、モーターの過熱を防ぐためにまた、駆動回路とコネクターへの損傷を防止するために重要である。この電力管理は、適応性がなければならず、それによって、作動圧およびDCバス電圧における変化、ならびにモーター電流における変化を補償できる。
【0120】
電流と電力は、モーター速度の関数であるので、モーター速度を用いて電流と電力を制限する。それゆえ、コンプレッサーモーターの最大速度は、継続的に流れる最大の許容電流およびコンプレッサーで散逸される最大電力に基づいて決定される。固定速度モードで作動している間、最大モーター速度は、DCバス電圧、差圧および戻り圧に基づいて推定される。DCバス電圧が高い場合、最大モーター速度も高くなり、一方、差圧が高い場合、または、戻り圧が高い場合、最大速度が低下する。戻り圧または差圧が高くて高電流へ上昇しないようにする(to eliminate ramping to a high current)場合は、コンプレッサー制御器は、最大速度をただちに低減しなければならない。能動モードにおいては、最大速度は、DCバス電圧に基づいて決定されるが、閉ループ応答によって、大きな圧力の相殺(プレッシャリターン、pressure offsets)の処理が行われることが期待される。そして最後に、能動モードであっても速度固定モードであっても、2つのモーターの最大電流が、持続的に流れる最大の電流を超えるときはいつでも、過剰電流状況が是正されるまで、0.6Hz/分というような遅い速度に最大速度を低減する。モーター電流は直接測定される。「モーターの過剰電流による最大速度の補正」が、5Hzというような予め設定された値の総計を超える場合、警告が発せられて、過剰電流状態に適応するように大きな速度低減があったということをホストに通知する。常に、ハードウェアの過剰電流障害が機能していて、ピーク電流が電力装置の最大パルス電流を超えた場合は、モーターを停止させる。
【0121】
したがって、モーター速度は、モーター電流が過剰であるときはいつでも低減される。同様に、モーターの最大速度は、モーターが最大速度で作動するように指令されており、かつ同時に2つのモーターの最大電流が閾値未満であるときはいつでも増大される。そして、モーターの最大速度は、低電流の状態が修復されるまで、0.6Hz/分というような遅い速度で増大される。そして最後に、モーターの過電流による最大速度補正がゼロよりも大きいときはいつでも、モーターの最大速度が再度補正され、それは、推定されたモーターの最大速度が過電流によって低減されたことを意味する。この場合、過電流保護がゼロになるまで、0.03Hz/分というような非常に緩やかなドリフトが常にモーターの最大速度にかかっている。これによって、長時間にわたって起動時の変動(startup transients)が積み重なることで最大速度が低下するのが防がれる。
【0122】
加えて、受動的および能動的電力要因の補正を、三相可変速度コンプレッサーに用いてもよい。
【0123】
[低周波振動を最小にするコンプレッサー制御戦略]
真空システムの設計において、とりわけコンプレッサーについては、振動と音の制御が非常に重要である。振動は、結果として、コンプレッサーの構成要素および環境の双方に対して悪い影響を及ぼす。過剰な振動によって、コンプレッサーシステム内の部品が時期尚早に疲労してしまうと、信頼性に問題が生じてしまう。振動は、環境に対して、第一に、耳障りなノイズとして、第二に、床や外部との管接続等の物理的な接続を通して伝達される振動として、二通りの影響を及ぼしている。あらゆる回転機器は、その回転周波数の高調波を生成し、その基本波が飛び抜けて最強の構成要素であり、これらの高調波から生じる振動は制御しなければならないが、これは、基本周波数未満の振動について心配しなくてもよいことを意味する。しかしながら、複数の圧縮ポンプを組み合わせて1つのコンプレッサーシステムにすると、様々なポンプの唸り周波数(差周波数の半分)によって、しばしば、不快で、減衰させるのがはるかに困難である低調波振動が生じる。以下でこの問題を扱う。
【0124】
多数の機械的な圧縮ポンプを有する単一コンプレッサーシステムにおいて、その多数のポンプは、単一の装置として作動するように制御される。回転周波数が同じ値でない場合、低調波唸り周波数の振動が引き起こされ、そのとき周波数の範囲が大きく拡張されるが、それについて振動を制御しなければならなくなる。この困難を乗り切るために、個々のポンプを制御してすべてのポンプが同じ入力周波数で作動する(モーターごとにスリップに違いがあるため、実際の作動周波数はわずかに異なっている)ようにしなければならない。制御機構によって、すべてのポンプが確実に同じPWM周波数で作動するようになるが、それは、同じPWM信号をシステム内のすべてのポンプに提供することによる。
【0125】
[可変速度コンプレッサーのための可変冷却]
可変速度コンプレッサーによって、作動速度の範囲全体にわたって様々な熱量が生成される。作動速度が速いほど、より多くの熱が生成され、より多くの冷却が必要となる。高速での作動という高い要求を満たすために、水流を冷却すると、結果的には、低速の動作状態で冷却水を浪費してしまう。方法および対応する冷凍システムは、冷却回路においてサーモスタットの弁を用いて、コンプレッサーが使用する冷却水を最小とすることに関係している。
【0126】
コンプレッサーまたはコンプレッサー群の排出口にある冷却水回路、またはコンプレッサー内の個々の冷却回路に配置されるサーモスタット弁によって、装置による冷却水循環量の総計が低減される。弁の温度設定値によって、各品目を、性能および信頼性について安全なレベルで冷却されるように維持する。これらの弁は、冷媒や潤滑液のような冷却液のための逆流形熱交換器、およびコンプレッサーポンプや電子冷却板に取り付けられる熱交換器を冷却する回路に配置される。加えて、電子冷却板への入口または出口にサーモスタット弁を用いることで、電子機器のための冷却板が閾値よりも高く維持され、凝縮が防止される。熱的に絶縁されたサーモスタットの流量制御弁は、冷却水回路に結合されて、流量を温度設定値近くに調整し、それによって、モーターの巻線の温度を作動仕様内に維持するのに必要な冷却水の量を最小に保つ。サーモスタット弁は、適切な閾値に設定された受動ワックス弁(passive wax valve )である。代替案の実施形態は、本質的に信頼性を低減し、エネルギー消費を増大し、費用を削減する能動的な電子機械制御方法に依存している。これらに含まれるのは、水流を動的に制御するための、律動的な(pulsed)ソレノイド弁の使用である。水フィルターが、入力で利用されている。
【0127】
[障害の検出および回復]
方法および対応する冷凍システムは、障害の検出および回復に関係している。例えば、前述のような冷凍システムを改修して、コンプレッサーの最大モーター電流の傾向をモニターしてモーターの故障の始まりを予測するのに役立つようにし、加速度計をコンプレッサーとポンプモーターに加えてベアリングの損傷を特徴付けるのに役立つようにし、第二段加熱器データの傾向をモニターして第二段の摩滅を特徴付け、かつ冷却データをモニターして漏れといったポンプの問題を予測するのに役立つようにする。
【0128】
真空システム(コンプレッサーおよびポンプ)を停止させてしまう故障は、システム処理に干渉し得るものであって、結果として、半導体製造装置の停止時間が高くついてしまう。障害の許容(fault tolerance )やシステムの診断を実施することによって、またシステムの回復を自動化することによって、コンプレッサーは、それ自体を損傷から保護し、故障の危険を低減し、計画外の停止時間が生じないように構成されている。
【0129】
本発明の実施形態によって、コンプレッサーやクライオポンプが、電流、電圧、圧力、水温、第一および第二段ポンプ温度、コンプレッサー速度およびクライオポンプ速度等を含む複数の入力信号を絶えずモニターして、作動条件が好ましくないことを報告することが可能となる。望んでいない状況が生じるときは、システム全体で対策(処置、actions )を調整して、不快な状況の影響を最小にする。そこで行われる対策は、性能に損失がない状態でのユーザーへの警告メッセージから、コンプレッサーのモーターが1つ失われて、処理を終えるために出力を下げてシステムを強制的に動かすことまでの範囲のいずれでもあり得る。しかしながら、コンプレッサーまたはクライオポンプの停止は、絶対的に最後の手段と考えられており、他の選択が不可能なときのみに行われる。
【0130】
低い差圧や、低いAC入力電圧のような望ましくない状態について、ユーザーに注意を喚起するために警告が用いられる。この状態において、システムは最大出力に近い所で機能し続けている。警告が一時的なものであるなら、それによって、ユーザーは、入力電力のような設備に問題が起こっているかもしれないことを知ることができる。原因が分からないまま、警告が持続する場合、ユーザーは、故障が生じる前にメンテナンスを予定に入れるべきであると理解する。
【0131】
故障はより深刻で、一般には、結果として、ポンプまたはクライオモーターを停止することとなって、システムの性能が失われてしまう。例えば、コンプレッサーポンプを2台備えるコンプレッサーについて、モーターが1台故障すると、第二のモーターがその最大速度まで徐々に速度を増して、補償のためにできるだけ多くの冷媒を提供する。そして、ヘリウム管理器220が、減少するヘリウムの割り当てにシステムを適応させようとする。システムの最大能力が半分にカットされるが、多くの場合、これで、メンテナンスが予定に入れられるまでの処理を終わらせるのに十分である。
【0132】
故障の回復は、起こった故障に対して最善を尽くす手段である。故障の回復の最も低いレベルでは、故障によってモーターが停止してしまった後、その故障をモニターし続けて、それが解消されると、その故障は移行状態によって引き起こされたものであって、繰り返されることはなさそうであるという望みのもとで、モーターが再起動される。故障と再度の試みとが持続的に繰り返されることを防止するために、一定の期間内に故障が特定数回起こると、モーターを永続的に動かない状態とする。より高いレベルでの故障の回復の例は、ヘリウム管理器220が行う対策で、より少ないヘリウムでシステムが作動できるようにクライオポンプの速度を調整して下げるというものである。
【0133】
警告や故障のたびに、それを捉えて記録するのに、システムログが用いられ、それによって、さらなる診断能力および事後故障分析が提供される。
【0134】
本発明の実施形態では、冷凍システムのアーキテクチャーにおける様々なレベルで、故障が検出され、対策がなされるという階層的なアプローチが用いられる。故障は、広く2つの分野に分けられるが、それらは、単一の構成要素(コンプレッサーまたはクライオポンプ)に関係するものと、真空システム全体に関係するものである。例えば、コンプレッサーまたはクライオポンプ冷凍モーターでの、過電流または、温度が高すぎての故障は、そのモーターのみに影響を及ぼし、結果として、その構成要素の損失となる。他方、ヘリウムの差圧の損失は、結果として、システム全体の機能性の損失となりかねない故障である。故障は、さらに故障と警告に分けられるが、警告は、ただちに対策を必要としない潜在的な問題を通知するのに用いられる。故障が検出されて、対策がなされる様々なレベルによって、制御階層のどこにいるのかが指示される。より緊急性の高い故障(more time critical faults )は、通常、直接のおよび即座の応答が重要となる、より低いレベルで取り扱われる。
【0135】
故障検出レベルの例を以下に示す。
レベル0:ハードウェアレベル、ハードウェアが直接故障に応じ、故障情報をプロセッサーに提供する(例えば、gfi故障、モーター過電流故障)。
レベル1:埋め込まれたマイクロ制御器/DSPレベル、DSPが故障(例えば、モーター熱故障)を検出し、それに応じる。大部分のコンプレッサーおよびクライオの問題は、このレベルで検出され、ある程度の故障の回復がこのレベルで試みられる。
レベル2:アプリケーションおよび通信プロセッサーレベル(例えば、ARM9)故障は、通常、メモリーの問題から多くの通信インターフェースの1つにおける問題までの範囲にわたり得る基板のハードウェアの故障を意味する。コンプレッサーとクライオの故障の回復は、しばしばこのレベルで行われるが、プロセッサーは、ときには、単に再試行を行うことによって、レベル0またはレベル1の故障からの回復を試みる。
レベル3:これは、システム制御器プロセスレベルであり、このプロセスを利用して、故障の回復における補助をするためのシステムの知識を完全なものとする。例えば、圧力センサーの1つが故障して、差圧が50psiを下回るまで下落したことを示す場合、レベル2で、システムは停止するように命じられるが、しかしながら、レベル3で、ポンプが温度を維持しているということが示される場合、停止する理由はないので、非常に高く付く停止は、単に圧力センサーを取り換えるためのメンテナンス視察に切り換えられる。
【0136】
以下の表1には、コンプレッサーについての、階層状の故障の検出と回復のアプローチの例が示されている。表への記載事項には、特定の故障の種類および故障対策レベルに応じた様々な故障対策が列挙されている。対策は、検出から回復の試みまでの範囲にわたっている。
【0137】
【0138】
代替の実施形態において、最高温度閾値(例えば、高すぎる温度)状態に到達するモーターの故障の種類を検出することによって、制御器は、そのモーター(例えば、コンプレッサー)が最小速度閾値に到達するまで、そのモーターの速度を徐々に低減することになる。故障は、故障検出装置内に蓄積されるか、他のシステム構成要素への警告として発せられるかする。
【0139】
以下の表2には、階層状の故障の検出およびクライオポンプの回復のアプローチの例が示されている。この表の記載項目は、特定の故障の種類や故障対策レベルに応じた様々な故障対策を列挙している。対策は、検出から回復の試みまでの範囲にわたっている。
【0140】
【0141】
表1および表2は、冷凍器システムについて、特定の故障の種類および故障対策レベルに応じた様々な故障対策を列挙している。対策は、検出から回復の試みまでの範囲にわたっている。あるシナリオにおいては、冷凍システムにおける故障によって、そのシステムの伝達損失が引き起こされる。そして、冷媒の供給が不適切となるというシナリオを防止するために、本発明の実施形態では、すべてのコンプレッサーを起動して、すべてのコンプレッサーの速度を最大速度に設定する。
【0142】
本発明は、その実施形態を参照して、詳細に示され記述されるが、添付の特許請求の範囲に包含される発明の範囲から逸脱することなく、形状および細部に様々な変更を加えてもよいことが当業者には理解される。
なお、本発明は、実施の態様として以下の内容を含む。
[態様1]
冷媒の供給を制御する方法であって、
制御器において、複数の冷凍器からの伝達に基づいて冷媒の需要の総計を求め、
前記制御器で、冷凍補正測定基準によって補正された前記冷媒の需要の総計に基づいて、前記複数の冷凍器に冷媒を供給するコンプレッサーの速度を制御する方法。
[態様2]
冷媒の供給を制御する方法であって、
複数の可変速度コンプレッサーからの冷媒を複数の冷凍器に供給し、
冷媒補正測定基準によって補正された冷媒の需要の総計に基づいて、前記複数のコンプレッサーの一部を選択的に起動または停止する方法。
[態様3]
冷媒の供給を制御する方法であって、
複数の可変速度コンプレッサーからの冷媒を複数の冷凍器に供給し、
冷媒の需要の総計および前記複数のコンプレッサーの起動と停止の履歴に基づいて、前記複数のコンプレッサーの一部を選択的に起動または停止する方法。
[態様4]
冷媒の供給を制御する方法であって、
複数の可変速度コンプレッサーからの冷媒を複数の冷凍器に供給し、
冷媒の需要の総計に基づいて、前記複数のコンプレッサーの一部を選択的に起動または停止する方法。
[態様5]
冷媒の供給を制御する方法であって、
バイパスループにおける冷媒流量の直接測定に基づいて、コンプレッサーの速度を制御する方法。
[態様6]
さらに、DCバス電圧のみを用いてモーターの最大速度を推定することによって電流制限を決定する態様1から5のいずれか一態様に記載の方法。
[態様7]
モーター電流フィードバックに基づいて、前記コンプレッサーの速度を制御する態様1から6のいずれか一態様に記載の方法。
[態様8]
さらに、前記コンプレッサーにおいて散逸する最大電流および最大電力に基づいて、前記コンプレッサーの最大速度を決定する態様1から7のいずれか一態様に記載の方法。
[態様9]
前記コンプレッサーが、少なくとも1つの固定速度コンプレッサーおよび少なくとも1つの可変速度コンプレッサーを含む態様1から8のいずれか一態様に記載の方法。
[態様10]
前記冷媒がヘリウムである態様1から9のいずれか一態様に記載の方法。
[態様11]
冷媒についての要件が、複数の冷凍器からの伝達に基づく冷媒の需要の総計に基づいている態様1から10のいずれか一態様に記載の方法。
[態様12]
冷媒についての要件が、供給圧、戻り圧および差圧の少なくとも1つに基づいている態様1から11のいずれか一態様に記載の方法。
[態様13]
前記コンプレッサーが、複数のコンプレッサーの1つである態様1から12のいずれか一態様に記載の方法。
[態様14]
さらに、複数の可変速度コンプレッサーを備える態様1から13のいずれか一態様に記載の方法。
[態様15]
冷凍補正測定基準が、供給圧と戻り圧の少なくとも一方に基づいて計算される態様1から14のいずれか一態様に記載の方法。
[態様16]
前記コンプレッサーの速度を制御する際に、戻り圧設定値を決定する態様1から15のいずれか一態様に記載の方法。
[態様17]
さらに、戻り圧設定値と戻り圧との比較に基づいて、戻り圧誤差を決定する態様1から16のいずれか一態様に記載の方法。
[態様18]
さらに、戻り圧誤差に基づいて、冷媒の需要の総計についての補正を計算する態様1から17のいずれか一態様に記載の方法。
[態様19]
さらに、冷媒の補正による、需要の総計の調整に基づいて、複数の冷凍器に供給する冷媒の量を決定する態様1から18のいずれか一態様に記載の方法。
[態様20]
前記コンプレッサーが、複数の可変速度コンプレッサーおよび複数の固定速度コンプレッサーを含む態様1から19のいずれか一態様に記載の方法。
[態様21]
さらに、複数の冷凍器に供給する補正された冷媒の量に基づいて、複数のコンプレッサーの一部を起動または停止する態様1から20のいずれか一態様に記載の方法。
[態様22]
さらに、起動された複数の可変速度コンプレッサーの一部の速度を、複数の冷凍器および、起動された前記複数の可変速度コンプレッサーの一部に供給する補正された冷媒の量の関数として決定し、
起動された前記複数の可変速度コンプレッサーの一部に、前記決定された速度で作動するように指令を送り、前記決定されたコンプレッサーの速度は、前記複数のコンプレッサーが単一のコンプレッサーとして一体化された場合の速度である態様1から21のいずれか一態様に記載の方法。
[態様23]
さらに、前記コンプレッサーが複数の冷凍器に冷媒の需要の総計を供給できるか否かを判定し、
前記コンプレッサーが前記複数の冷凍器に前記冷媒の需要の総計を供給できない場合、前記複数の冷凍器のうち1つの冷凍器の速度を調整する態様1から22のいずれか一態様に記載の方法。
[態様24]
冷媒の供給を制御する際に、極低温冷凍器の冷媒の供給を制御する態様1から23のいずれか一態様に記載の方法。
[態様25]
さらに、極低温冷凍器がクライオポンプに含まれている態様1から24のいずれか一態様に記載の方法。
[態様26]
さらに、複数のコンプレッサーを備え、その複数のコンプレッサーが、コンプレッサー2台のみであって、その2台のコンプレッサーが可変速度コンプレッサーである態様1から25のいずれか一態様に記載の方法。
[態様27]
さらに、2台の可変速度コンプレッサーが動作中である場合、単一可変速度コンプレッサー動作状態に切り換えるか否かを判定する態様1から26のいずれか一態様に記載の方法。
[態様28]
2台の可変速度コンプレッサーのうち1台に障害状態がある場合、障害状態のない可変速度コンプレッサーの速度を最大モーター速度に調整する態様1から27のいずれか一態様に記載の方法。
[態様29]
複数のコンプレッサーの一部を選択的に起動または停止する際に、(i)低減された冷媒の割り当て、および(ii)低減された冷媒の需要の少なくとも一方を含む条件への適合に基づいている態様1から28のいずれか一態様に記載の方法。
[態様30]
コンプレッサーにおける障害状態を解消する場合、そのコンプレッサーに結合されたモーターを再起動する態様1から29のいずれか一態様に記載の方法。
[態様31]
さらに、複数の冷凍器に供給する冷媒の量を計算し、
計算された冷媒の供給が閾値未満である場合、2台の可変速度コンプレッサーのうち1台を選択して停止する態様1から30のいずれか一態様に記載の方法。
[態様32]
さらに、2台の可変速度コンプレッサーのうち1台を停止する前に、起動したままとされる可変速度コンプレッサーの速度を、複数の冷凍器への計算された冷媒の供給を可能とする速度に上げることによって、選択された可変速度コンプレッサーを停止する態様1から31のいずれか一態様に記載の方法。
[態様33]
さらに、複数の冷凍器への計算された冷媒の供給が、ある期間、単一のコンプレッサーの冷媒出力閾値未満である場合、2台の可変速度コンプレッサーのうち1台を停止することによって、2台の可変速度コンプレッサーのうち1台を停止する態様1から32のいずれか一態様に記載の方法。
[態様34]
さらに、停止の履歴に基づいて、2台の可変速度コンプレッサーのうち1台を選択して停止する態様1から33のいずれか一態様に記載の方法。
[態様35]
さらに、2台の可変速度コンプレッサーのうち1台を停止すると供給圧と戻り圧との差圧が所定の閾値を超えて下落するか否かを判定し、前記差圧が前記所定の閾値を超えて下落する場合、単一可変速度コンプレッサー動作状態から二台可変速度コンプレッサー動作状態に切り換える態様1から34のいずれか一態様に記載の方法。
[態様36]
2台の可変速度コンプレッサーのうち1台が停止している場合、
複数の冷凍器に供給する冷媒の量を計算し、かつ
計算された冷媒の量が単一のコンプレッサーの冷媒出力閾値よりも大きい場合、二台可変速度コンプレッサー動作状態に切り換える態様1から35のいずれか一態様に記載の方法。
[態様37]
さらに、計算された冷媒の量が、ある期間、単一のコンプレッサーの冷媒出力閾値よりも大きい場合、2台の可変速度コンプレッサーのうち1台を起動して、二台可変速度コンプレッサー動作状態に切り換える態様1から36のいずれか一態様に記載の方法。
[態様38]
さらに、2台の可変速度コンプレッサーの速度を調整して、冷凍器に計算された量の冷媒を供給することによって、二台可変速度動作状態に切り換える態様1から37のいずれか一態様に記載の方法。
[態様39]
さらに、単一可変速度動作状態の間に動作中の可変速度コンプレッサーの速度を下げる前に、動作中の可変速度コンプレッサーの速度を上げる態様1から38のいずれか一態様に記載の方法。
[態様40]
冷媒の供給を制御する冷凍システムであって、
高圧供給管路および低圧戻り管路を含み、冷媒を供給するコンプレッサーと、
そのコンプレッサーに結合され、前記供給管路から冷媒を受け取って、前記戻り管路に返す複数の冷凍器と、
その複数の冷凍器からの伝達に基づいて冷媒の需要の総計を求め、さらに、冷凍補正測定基準によって補正された前記冷媒の需要の総計に基づいて、前記コンプレッサーの速度を制御する電子制御器であって、前記需要の総計が、冷媒流量測定基準をモニターすることによって決定される電子制御器とを備えるシステム。
[態様41]
冷媒の供給を制御する冷凍システムであって、
高圧供給管路および低圧戻り管路を含み、冷媒を複数の冷凍器に供給する複数の可変速度コンプレッサーと、
冷凍補正測定基準によって補正された冷媒の需要の総計に基づいて、前記複数の可変速度コンプレッサーの一部を選択的に起動または停止するコンプレッサー制御器とを備えるシステム。
[態様42]
冷媒の供給を制御する冷凍システムであって、
高圧供給管路および低圧戻り管路を含み、冷媒を複数の冷凍器に供給する複数の可変速度コンプレッサーと、
冷媒の需要の総計および前記複数の可変速度コンプレッサーの起動と停止の履歴に基づいて、前記複数の可変速度コンプレッサーの一部を選択的に起動または停止するコンプレッサー制御器とを備えるシステム。
[態様43]
冷媒の供給を制御する冷凍システムであって、
高圧供給管路および低圧戻り管路を含み、冷媒を複数の冷凍器に供給する複数の可変速度コンプレッサーと、
冷媒の需要の総計に基づいて、前記複数の可変速度コンプレッサーの一部を選択的に起動または停止するコンプレッサー制御器とを備えるシステム。
[態様44]
冷媒の供給を制御する冷凍システムであって、
バイパスループにおける冷媒流量の直接測定に基づいて、コンプレッサーの速度を制御するコンプレッサー制御器を備えるシステム。
[態様45]
冷媒についての要件が、複数の冷凍器からの伝達に基づく冷媒の需要の総計に基づいている態様40から44のいずれか一態様に記載のシステム。
[態様46]
冷媒についての要件が、高圧供給フィードバックループからの供給圧および低圧戻りフィードバックループからの戻り圧の少なくとも一方に基づいている態様40から45のいずれか一態様に記載のシステム。
[態様47]
複数の可変速度コンプレッサーをさらに備える態様40から46のいずれか一態様に記載のシステム。
[態様48]
少なくとも1つの可変速度コンプレッサーおよび少なくとも1つの固定速度コンプレッサーをさらに備える態様40から47のいずれか一態様に記載のシステム。
[態様49]
電子制御器が、さらに、高圧供給管路からの供給圧フィードバックループおよび低圧戻り管路からの戻り圧フィードバックループの少なくとも一方に基づいて、前記コンプレッサーの速度を制御する態様40から48のいずれか一態様に記載のシステム。
[態様50]
電子制御器が、さらに、冷媒の供給を増加させるか減少させるかを判定し、需要の総計の増加または減少を戻り圧設定値計算器に通知する態様40から49のいずれか一態様に記載のシステム。
[態様51]
冷媒の供給を増加させるか減少させるかの判定に基づいて、戻り圧設定値を決定する戻り圧設定値計算器をさらに備える態様40から50のいずれか一態様に記載のシステム。
[態様52]
戻り圧設定値と戻り圧との誤差を決定する冷媒供給補正制御器をさらに備え、冷媒需要補正制御器が、さらに、前記戻り圧設定値と戻り圧との誤差に基づいて、冷媒需要補正を計算する態様40から51のいずれか一態様に記載のシステム。
[態様53]
複数の冷凍器からの冷媒の需要の総計の調整に基づいて、前記複数の冷凍器に供給する冷媒の量を決定する冷媒供給補正制御器をさらに備える態様40から52のいずれか一態様に記載のシステム。
[態様54]
複数の可変速度コンプレッサーをさらに備える態様40から53のいずれか一態様に記載のシステム。
[態様55]
少なくとも1つの固定速度コンプレッサーおよび少なくとも1つの可変速度コンプレッサーをさらに備える態様40から54のいずれか一態様に記載のシステム。
[態様56]
複数の冷凍器に供給する補正された冷媒の量に基づいて、複数の可変速度コンプレッサーの一部を起動または停止するコンプレッサーモーター制御器をさらに備える態様40から55のいずれか一態様に記載のシステム。
[態様57]
コンプレッサーモーター制御器が、さらに、
複数の冷凍器および起動された複数の可変速度コンプレッサーの一部に供給する補正された冷媒の量の関数として、起動された前記複数の可変速度コンプレッサーの一部の速度を決定し、
起動された前記複数の可変速度コンプレッサーの一部が前記決定された速度で作動するように指令を送る態様40から56のいずれか一態様に記載のシステム。
[態様58]
前記制御器が、さらに、
前記コンプレッサーが複数の冷凍器に冷媒の需要の総計を供給できるか否かを判定し、 前記コンプレッサーが、前記複数の冷凍器に補正された前記冷媒の需要の総計を供給できない場合、(i)前記複数の冷凍器のうち1つの冷凍器の速度を調整し、または(ii)前記複数の冷凍器への冷媒の割り当てを低減する態様40から57のいずれか一態様に記載のシステム。
[態様59]
電子制御器が、複数の極低温冷凍器からの冷媒の需要の総計を求める態様40から58のいずれか一態様に記載のシステム。
[態様60]
それぞれのクライオポンプに結合された極低温冷凍器をさらに備える態様40から59のいずれか一態様に記載のシステム。
[態様61]
複数のコンプレッサーをさらに備え、その複数のコンプレッサーには、可変速度コンプレッサーが2台のみ含まれている態様40から60のいずれか一態様に記載のシステム。
[態様62]
さらに、コンプレッサー制御システムが、2台の可変速度コンプレッサーのうち1台に障害状態がある場合、障害状態のない可変速度コンプレッサーの速度を最大モーター速度に調整する態様40から61のいずれか一態様に記載のシステム。
[態様63]
コンプレッサー制御器が、2台の可変速度コンプレッサーの双方が動作中である場合、二台可変速度コンプレッサー動作状態から単一可動速度コンプレッサー動作状態に切り換えるか否かを判定する態様40から62のいずれか一態様に記載のシステム。
[態様64]
さらに、コンプレッサー制御器が、
複数の冷凍器に供給する冷媒の量を計算し、
前記複数の冷凍器に供給される計算された冷媒の量が、単一のコンプレッサーの冷媒出力閾値未満である場合、2台の可変速度コンプレッサーのうち1台を選択して停止する態様40から63のいずれか一態様に記載のシステム。
[態様65]
コンプレッサー制御器が、2台の可変速度コンプレッサーのうち1台を停止する前に、起動されたままとされる可変速度コンプレッサーの速度を、複数の冷凍器への計算された量の冷媒の供給を可能とする速度に上げることによって、選択された可変速度コンプレッサーを停止する態様40から64のいずれか一態様に記載のシステム。
[態様66]
コンプレッサー制御器が、さらに、複数の冷凍器に供給される計算された冷媒の量が、ある期間、単一のコンプレッサーの冷媒出力閾値未満である場合、2台の可変速度コンプレッサーのうち1台を停止することによって、前記2台の可変速度コンプレッサーのうち1台を停止する態様40から65のいずれか一態様に記載のシステム。
[態様67]
コンプレッサー制御器が、さらに、停止の履歴に基づいて、2台の可変速度コンプレッサーのうち1台を選択して停止する態様40から66のいずれか一態様に記載のシステム。
[態様68]
コンプレッサー制御器が、さらに、2台の可変速度コンプレッサーのうち1台を停止すると供給圧と戻り圧との差圧が所定の閾値を超えて下落するか否かを判定し、前記差圧が前記所定の閾値を超えて下落する場合、単一可変速度コンプレッサー動作状態から二台可変速度コンプレッサー動作状態に切り換える態様40から67のいずれか一態様に記載のシステム。
[態様69]
コンプレッサー制御器が、2台の可変速度コンプレッサーのうち1台が停止している場合、
複数の冷凍器に供給する冷媒の量を計算し、かつ
計算された冷媒の量が単一のコンプレッサーの冷媒出力閾値よりも大きい場合、二台可変速度コンプレッサー動作状態に切り換える態様40から68のいずれか一態様に記載のシステム。
[態様70]
コンプレッサー制御器が、さらに、計算された冷媒の量が、ある期間、単一のコンプレッサーの冷媒出力閾値よりも大きい場合、2台の可変速度コンプレッサーのうち1台を起動することによって、二台可変速度コンプレッサー動作状態に切り換える態様40から69のいずれか一態様に記載のシステム。
[態様71]
コンプレッサー制御器が、さらに、2台の可変速度コンプレッサーの速度を調整して、冷凍器に計算された量の冷媒を供給することによって、二台可変速度動作状態に切り換える態様40から70のいずれか一態様に記載のシステム。
[態様72]
前記コンプレッサー制御器が、さらに、単一可変速度動作状態の間に動作中の可変速度コンプレッサーの速度を下げる前に、動作中の可変速度コンプレッサーの速度を上げることによって、二台可変速度動作状態に切り換える態様40から71のいずれか一態様に記載のシステム。
[態様73]
冷媒の供給を制御する方法であって、
制御器において、供給圧と戻り圧との差圧に基づいて、可変速度コンプレッサーの速度を制御し、複数の冷凍器に冷媒を供給する固定速度コンプレッサーを選択的に起動または停止する方法。
[態様74]
さらに、差圧に基づいて、冷媒が単一のコンプレッサーによって供給されるまで、可変速度コンプレッサーの速度を下げる態様73に記載の方法。
[態様75]
さらに、差圧に基づいて、可変速度コンプレッサーを作動させ続けながら、固定速度コンプレッサーを停止させる態様73または74に記載の方法。
[態様76]
冷媒の供給を制御する冷凍器システムであって、
可変速度コンプレッサーと固定速度コンプレッサーの任意の順列であるコンプレッサーと、
供給圧と戻り圧との差圧に基づいて、可変速度コンプレッサーの速度を制御し、固定速度コンプレッサーを選択的に起動または停止する制御器とを備えるシステム。
[態様77]
冷媒の供給を制御する方法であって、
制御器において、少なくとも1つのコンプレッサーを含む冷媒システムにおいて障害を検出し、前記少なくとも1つのコンプレッサーが固定速度コンプレッサーと可変速度コンプレッサーの任意の組合せであり、
前記障害を検出すると障害回復手順を開始する方法。
[態様78]
さらに、冷媒システムの要素間での伝達損失を検出し、
伝達損失を測定すると少なくとも1つのコンプレッサーの速度を上げる態様1から39、73から75、77および124のいずれか一態様に記載の方法。
[態様79]
検出された障害によって、電流が所定の閾値を超えていると指示される場合、少なくも1つのコンプレッサーの速度を徐々に下げる態様1から39、73から75、77、78および124のいずれか一態様に記載の方法。
[態様80]
電流が所定の閾値を超え続け、少なくとも1つのコンプレッサーの速度が最小の閾値である場合、前記少なくとも1つのコンプレッサーを停止する態様1から39、73から75、77から79および124のいずれか一態様に記載の方法。
[態様81]
さらに、障害回復手順によって指示される、少なくとも1つのコンプレッサーに設定する速度が、需要の総計、冷凍補正測定基準によって補正された需要の総計および差圧測定基準の少なくとも1つによって指示される、前記少なくとも1つのコンプレッサーに設定する決定した速度よりも低いか否かを判定し、
前記少なくとも1つのコンプレッサーの速度を前記障害回復手順によって指示される速度に設定する態様1から39、73から75、77から80および124のいずれか一態様に記載の方法。
[態様82]
障害を検出する際に、モーターが最高温度閾値よりも高い温度に到達したか否かを判定し、前記モーターの温度が前記閾値よりも高い場合、前記モーターの速度を下げる態様1から39、73から75、77から81および124のいずれか一態様に記載の方法。
[態様83]
さらに、モーターが最高閾値よりも高い温度に留まり、コンプレッサーが最小速度閾値にある場合、前記モーターを停止する態様1から39、73から75、77から82および124のいずれか一態様に記載の方法。
[態様84]
さらに、駆動トランジスタが最高閾値よりも高い温度に到達したか否かを判定し、前記駆動トランジスタの温度が前記閾値よりも高い場合、前記駆動トランジスタに結合されたコンプレッサーの速度を下げる態様1から39、73から75、77から83および124のいずれか一態様に記載の方法。
[態様85]
さらに、駆動トランジスタが最高閾値よりも高い温度に留まり、前記コンプレッサーが最小速度閾値にある場合、前記コンプレッサーを停止する態様1から39、73から75、77から84および124のいずれか一態様に記載の方法。
[態様86]
さらに、注入口または排出口の水温が閾値を超えているか否かおよび前記水温が前記閾値を超えているか否かを判定する態様1から39、73から75、77から85および124のいずれか一態様に記載の方法。
[態様87]
さらに、少なくとも1つの熱交換器の温度が温度閾値を超えているか否かを判定する態様1から39、73から75、77から87および124のいずれか一態様に記載の方法。
[態様88]
さらに、少なくとも1つの熱交換器に結合されたコンプレッサーを停止する態様1から39、73から75、77から87および124のいずれか一態様に記載の方法。
[態様89]
さらに、電子機器を含む領域の内部環境温度が温度閾値よりも高いか否かを判定する態様1から39、73から75、77から88および124のいずれか一態様に記載の方法。
[態様90]
2つ以上のコンプレッサーが作動して同じヘリウム回路を共有しており、前記コンプレッサーの1つが停止するときに差圧が閾値未満に下落する場合、前記コンプレッサーを起動し直す態様1から39、73から75、77から89および124のいずれか一態様に記載の方法。
[態様91]
さらに、前記コンプレッサーが起動し直される場合、障害は、故障した逆止弁であると判定する態様1から39、73から75、77から90および124のいずれか一態様に記載の方法。
[態様92]
さらに、圧力センサーの損失もしくは障害、または前記センサーへのもしくは前記センサーからの伝達の損失を検出すると、コンプレッサーを最大速度で動かす態様1から39、73から75、77から91および124のいずれか一態様に記載の方法。
[態様93]
さらに、差圧測定基準が閾値未満であるか否かを判定し、前記差圧測定基準の値が前記閾値未満である場合、コンプレッサーを最大速度に設定する態様1から39、73から75、77から92および124のいずれか一態様に記載の方法。
[態様94]
さらに、差圧測定基準が、所定時間、閾値未満に留まる場合、冷凍器への冷媒の割り当てを低減する態様1から39、73から75、77から93および124のいずれか一態様に記載の方法。
[態様95]
さらに、無効な圧力センサーの検出に応じて、コンプレッサーを最大速度に設定し、
送風機の故障を検出する態様1から39、73から75、77から94および124のいずれか一態様に記載の方法。
[態様96]
さらに、差圧または供給圧と戻り圧との差圧が閾値未満であるとの検出に応じて、冷凍器の温度をチェックして前記冷凍器が規定の温度を保っているか否かを判定し、
前記冷凍器が前記規定の温度を保っている場合、圧力センサーが故障していると判定してコンプレッサーを最大速度に設定する態様1から39、73から75、77から95および124のいずれか一態様に記載の方法。
[態様97]
真空部品の真空性能特性を診断する方法であって、
真空ポンプの冷凍器モーター速度の上昇に基づく電子信号を検出し、
(i)前記冷凍器モーター速度の上昇を検出し、(ii)前記冷凍器モーター速度の上昇の前に、極低温真空ポンプの冷凍器段の温度の上昇を検出し、かつ(iii)前記冷凍器段の温度が上昇している間に、前記冷凍器段のヒーターが作動していないことを検出する方法。
[態様98]
冷媒の供給を制御する冷凍システムであって、
少なくとも1つのコンプレッサーを含む冷媒ネットワークの、少なくとも1つの要素における障害を検出する制御器を備え、前記少なくとも1つのコンプレッサーが固定速度コンプレッサーと可変速度コンプレッサーの任意の組合せであり、
前記制御器が、前記障害を検出すると障害回復手順を開始するシステム。
[態様99]
前記制御器が、さらに、
前記冷媒システムの要素間での伝達損失を検出し、
前記伝達損失を検出すると少なくとも1つのコンプレッサーの速度を上げる態様40から72、76、98および125のいずれか一態様に記載のシステム。
[態様100]
検出された障害によって、電流が所定の閾値を超えていると指示される場合、前記制御器が、少なくとも1つのコンプレッサーの速度を徐々に下げる態様40から72、76、98、99および125のいずれか一態様に記載のシステム。
[態様101]
電流が所定の閾値を超え続け、かつ少なくとも1つのコンプレッサーの速度が最小閾値である場合、前記制御器が、前記少なくとも1つのコンプレッサーを停止する態様40から72、76、98から100および125のいずれか一態様に記載のシステム。
[態様102]
前記制御器が、さらに、
障害回復手順によって指示される、少なくとも1つのコンプレッサーに設定する速度が、需要の総計、冷凍補正測定基準によって補正された需要の総計および差圧測定基準の少なくとも1つによって指示される、前記少なくとも1つのコンプレッサーに設定する決定した速度よりも低いか否かを判定し、
前記少なくとも1つのコンプレッサーの速度を前記障害回復手順によって指示される速度に設定する態様40から72、76、98から101および125のいずれか一態様に記載のシステム。
[態様103]
前記制御器が、さらに、モーターが最高温度閾値よりも高い温度に到達したか否かを判定し、前記モーターの温度が前記閾値よりも高い場合、前記モーターの速度を下げる態様40から72、76、98から102および125のいずれか一態様に記載のシステム。
[態様104]
前記制御器が、さらに、モーターが最高閾値よりも高い温度に留まり、コンプレッサーが最小速度閾値にある場合、前記モーターを停止する態様40から72、76、98から103および125のいずれか一態様に記載のシステム。
[態様105]
前記制御器が、さらに、駆動トランジスタが最高閾値よりも高い温度に到達したか否かを判定し、前記駆動トランジスタの温度が前記閾値よりも高い場合、前記駆動トランジスタに結合されたコンプレッサーの速度を最小速度閾値に到達するまで下げる態様40から72、76、98から104および125のいずれか一態様に記載のシステム。
[態様106]
前記制御器が、さらに、駆動トランジスタが最高閾値よりも高い温度に留まり、コンプレッサーが最小速度閾値にある場合、前記駆動トランジスタを停止する態様40から72、76、98から105および125のいずれか一態様に記載のシステム。
[態様107]
前記制御器が、さらに、注入口または排出口の水温が閾値を超えているか否かおよび前記水温が前記閾値を超えているか否かを判定する態様40から72、76、98から106および125のいずれか一態様に記載のシステム。
[態様108]
前記制御器が、さらに、少なくとも1つの熱交換器の温度が温度閾値を超えているか否かおよび前記温度が前記温度閾値を超えているか否かを判定する態様40から72、76、98から107および125のいずれか一態様に記載のシステム。
[態様109]
前記制御器が、さらに、少なくとも1つの熱交換器に結合されたコンプレッサーを停止する態様40から72、76、98から108および125のいずれか一態様に記載のシステム。
[態様110]
前記制御器が、さらに、電子機器を含む領域の内部環境温度が温度閾値よりも高いか否かを判定する態様40から72、76、98から109および125のいずれか一態様に記載のシステム。
[態様111]
2つ以上のコンプレッサーが作動して同じヘリウム回路を共有しており、前記コンプレッサーの1つが停止するときに差圧が閾値未満に下落する場合、前記制御器が、前記コンプレッサーを起動し直す態様40から72、76、98から110および125のいずれか一態様に記載のシステム。
[態様112]
前記コンプレッサーが起動し直される場合、前記制御器が、さらに、障害は故障した逆止弁であると判定する態様40から72、76、98から111および125のいずれか一態様に記載のシステム。
[態様113]
前記制御器が、圧力センサーの損失もしくは障害、または前記センサーへのもしくは前記センサーからの伝達の損失を検出すると、コンプレッサーの速度を最大速度にまで上げる態様40から72、76、98から112および125のいずれか一態様に記載のシステム。
[態様114]
前記制御器が、さらに、差圧測定基準が閾値未満であるか否かを判定し、前記差圧測定基準の値が前記閾値未満である場合、コンプレッサーを最大速度に設定する態様40から72、76、98から113および125のいずれか一態様に記載のシステム。
[態様115]
前記制御器が、さらに、差圧測定基準が、所定時間、閾値未満に留まる場合、冷凍器への冷媒の割り当てを低減する態様40から72、76、98から114および125のいずれか一態様に記載のシステム。
[態様116]
前記制御器が、さらに、
無効な圧力センサーの検出に応じて、コンプレッサーを最大速度に設定し、
送風機の故障を検出する態様40から72、76、98から115および125のいずれか一態様に記載のシステム。
[態様117]
前記制御器が、さらに、
差圧または供給圧と戻り圧との差圧が閾値未満であるとの検出に応じて、冷凍器の温度をチェックして前記冷凍器が規定の温度を保っているか否かを判定し、
前記冷凍器が前記規定の温度を保っている場合、圧力センサーが故障していると判定してコンプレッサーを最大速度に設定する態様40から72、76、98から116および125のいずれか一態様に記載のシステム。
[態様118]
制御器が、
差圧に基づいて、冷媒が単一のコンプレッサーによって供給されるまで可変速度コンプレッサーの速度を上げて、そして、固定速度コンプレッサーを停止する態様40から72、76、98から117および125のいずれか一態様に記載のシステム。
[態様119]
制御器が、
差圧に基づいて、可変速度コンプレッサーを作動させ続けながら、固定速度コンプレッサーを停止させる態様40から72、76、98から118および125のいずれか一態様に記載のシステム。
[態様120]
さらに、障害の検出に応じて、警告信号を発する態様1から39、73から75、77から97および124のいずれか一態様に記載の方法。
[態様121]
前記制御器が、さらに、障害の検出に応じて、警告信号を発する態様40から72、76、98から119および125のいずれか一態様に記載のシステム。
[態様122]
冷媒の供給を制御する方法であって、
制御器において、供給圧と戻り圧との差圧に基づいて、複数の極低温冷凍器に冷媒を供給する少なくとも1つの可変速度コンプレッサーの速度を制御し、
冷却水回路に結合されたサーモスタット流量制御弁において、流量を温度設定値近くに調整し、前記少なくとも1つの可変速度コンプレッサーの動作仕様内にモーターの巻線の温度を保つのに必要な冷却水の最小量を維持する方法。
[態様123]
冷媒の供給を制御するシステムであって、
供給圧と戻り圧との差圧に基づいて、複数の極低温冷凍器に冷媒を供給する少なくとも1つの可変速度コンプレッサーの速度を制御する制御器と、
流量を温度設定値近くに調整し、前記少なくとも1つの可変速度コンプレッサーの動作仕様内にモーターの巻線の温度を保つのに必要な冷却水の最小量を維持し、冷却水回路に結合されたサーモスタット流量制御弁とを備えるシステム。
[態様124]
極低温冷媒システムへの冷媒の供給を制御する方法であって、
制御器において、供給圧と戻り圧との差圧に基づいて、複数の極低温冷凍器に冷媒を供給する少なくとも1つの可変速度コンプレッサーの速度を制御し、
前記極低温冷媒システムにおける障害を検出し、
前記障害を検出すると障害回復手順を開始する方法。
[態様125]
冷媒の供給を制御するシステムであって、
制御器が、
供給圧と戻り圧との差圧に基づいて、複数の極低温冷凍器に冷媒を供給する少なくとも1つの可変速度コンプレッサーの速度を制御し、
前記極低温冷媒システムにおける障害を検出し、
前記障害を検出すると障害回復手順を開始するシステム。
[態様126]
さらに、複数の圧力センサーのうち少なくとも1つの動作中の圧力センサーを、前記複数の圧力センサーの一部における障害の検出に応じて、センサーフィードバックとして用い、前記複数の圧力センサーのうち少なくとも1つが高圧供給管路を測定している態様1から39、73から75、77から97および125のいずれか一態様に記載の方法。
[態様127]
さらに、複数の圧力センサーのうち少なくとも1つの動作中のセンサーを、前記複数のセンサーの一部における障害の検出に応じて、制御システムへの入力センサーとして用い、前記複数のセンサーのうち少なくとも1つが低圧戻り管路を測定している態様1から39、73から75、77から97、125および126のいずれか一態様に記載の方法。
[態様128]
前記制御器が、さらに、複数の圧力センサーのうち少なくとも1つの動作中の圧力センサーを、前記複数の圧力センサーの一部における障害の検出に応じて、センサーフィードバックとして用い、前記複数の圧力センサーのうち少なくとも1つが高圧供給管路を測定している態様40から72、76、98から119および125のいずれか一態様に記載のシステム。
[態様129]
前記制御器が、さらに、複数の圧力センサーのうち少なくとも1つの動作中のセンサーを、前記複数のセンサーの一部における障害の検出に応じて、制御システムへの入力センサーとして用い、前記複数のセンサーのうち少なくとも1つが低圧戻り管路を測定している態様40から72、76、98から119、125および128のいずれか一態様に記載のシステム。