(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-22
(45)【発行日】2023-01-05
(54)【発明の名称】プラズマ均一性を径方向制御及び方位角制御するためのシステム
(51)【国際特許分類】
H05H 1/46 20060101AFI20221223BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20221223BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20221223BHJP
【FI】
H05H1/46 B
H01L21/302 101D
H01L21/31 C
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021072360
(22)【出願日】2021-04-22
(62)【分割の表示】P 2019541788の分割
【原出願日】2018-01-31
【審査請求日】2021-05-20
(32)【優先日】2017-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】M/S 1269,3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】小林 理
(72)【発明者】
【氏名】菅井 秀郎
(72)【発明者】
【氏名】カルニン, ニコライ
(72)【発明者】
【氏名】パク, スナム
(72)【発明者】
【氏名】トラン, トゥアン
(72)【発明者】
【氏名】ルボミルスキー, ドミトリー
【審査官】藤本 加代子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2007/020810(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0270105(US,A1)
【文献】特開平06-236799(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0034815(US,A1)
【文献】特開2008-244274(JP,A)
【文献】特開平08-106993(JP,A)
【文献】実開平06-029099(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2016/0284519(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05H 1/00-1/54
H01L 21/3065
H01L 21/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ生成システムであって、
処理チャンバと導波管空洞を規定するハウジングであって、前記導波管空洞は、前記処理チャンバに隣接して配置されており、且つ前記導波管空洞からの電磁放射を前記処理チャンバ内へと伝播するように構成されている、ハウジングと、
前記ハウジング内に位置決めされ、且つ前記導波管空洞を少なくとも部分的に規定する、第1の導電性プレートと、
前記ハウジング内に位置決めされ、且つ前記導波管空洞内で伝播する電磁放射のモードに影響するように前記導波管空洞を少なくとも部分的に規定する、第2の導電性プレートと、
前記処理チャンバ内で送達された少なくとも1つの処理ガス
からプラズマを発生させるために、前記電磁放射を前記導波管空洞内へと伝送するように構成された1つ以上の電子機器セットと
、
前記第1の導電性プレートと平行に前記ハウジング内に位置決めされる誘電体プレートであって、前記誘電体プレートと前記第1の導電性プレートとの間に間隙を形成する、誘電体プレートと、
前記間隙内に配置された、液体誘電体を含む調整可能な誘電体層と、
前記間隙内にある前記液体誘電体の一部を追加または除去するように構成されたコントローラと、
を備えるシステム。
【請求項2】
前記1つ以上の電子機器セットの
うちの所定のそれぞれが、前記1つ以上の電子機器セットのうちの所定の1つの電子機器セットの駆動インピーダンスを、前記導波管空洞によって前記
1つ以上の電子機器セットのうちの前記所定の1つ
の電子機器セットに提示されるインピーダンスに整合させる、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
信号生成器をさらに備え、前記信号生成器は、
第1のマイクロ波信号を前記1つ以上の電子機器セットのうちの第1の電子機器セットに、且つ
第2のマイクロ波信号を前記1つ以上の電子機器セットのうちの第2の電子機器セットに提供し、
前記第1のマイクロ波信号及び前記第2のマイクロ波信号が共通の周波数を有し、
前記第1の電子機器セットと前記第2の電子機器セットが、前記第1のマイクロ波信号と前記第2のマイクロ波信号とをそれぞれ増幅して、前記電磁放射を提供する、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記処理チャンバが排気されるとき前記導波管空洞が排気されないように、
前記誘電体プレートが前記処理チャンバを前記導波管空洞から封止
し、
前記信号生成器が、前記誘電体プレート内で固有モードをサポートするために前記共通の周波数を調整するように構成されている、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
少なくとも2つのモニタ用アンテナと、
信号コントローラであって、
前記少なくとも2つのモニタ用アンテナのそれぞれからのアナログ信号を受信し、
前記少なくとも2つのモニタ用アンテナからの前記アナログ信号に少なくとも基づくデジタル補正信号を、前記信号生成器に伝送する、信号コントローラと
をさらに備えるシステムであって、
前記信号生成器が、前記デジタル補正信号に応じて前記第1のマイクロ波信号及び前記第2のマイクロ波信号の位相と振幅のうちの少なくとも1つを調整する、
請求項3に記載のシステム。
【請求項6】
前記第1の電子機器セットが、
前記第1の電子機器セットの駆動インピーダンスを前記導波管空洞が提示するインピーダンスに整合させるように構成されたチューナーと、
ダミー負荷と、
前記導波管空洞から前記第1の電子機器セットに向けて反射され、前記ダミー負荷へと戻される全ての電力をシャントするサーキュレータと、
を含むシステムであって、
前記信号生成器が、前記第1のマイクロ波信号及び前記第2のマイクロ波信号の、前記位相と前記振幅のうちの少なくとも1つを調整するように構成され、前記チューナーが互いに同時に前記駆動インピーダンスを整合させるように構成されている、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
第1の導電性プレートが、前記電磁放射が前記処理チャンバへと伝播するのを可能にするための複数の開口を規定する、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記処理チャンバが排気されるとき前記導波管空洞が排気されないように、
前記誘電体プレートが前記処理チャンバを前記導波管空洞から封止
し、前記第1の導電性プレートが、前記誘電体プレートに隣接し且つ直接接触している、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記誘電体プレートが、前記導波管空洞を排気することなく前記処理チャンバが排気できるように前記導波管空洞を前記処理チャンバから封止
し、
前記調整可能な誘電体層が、前記間隙と当該調整可能な誘電体層と前記誘電体プレートとによって形成された空洞内で固有モード条件を調整するように構成さ
れており、
前記コントローラが、前記調整可能な誘電体層の厚さを調整するために前記液体誘電体の一部を追加または除去するように構成さ
れている、請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
前記第2の導電性プレートの位置が固有モード位置に調整されたとき、且つ前記1つ以上の電子機器セットが前記導波管空洞内に電磁放射を伝送しているときに、前記導波管空洞が固有モードをサポートするように構成されている、請求項7に記載のシステム。
【請求項11】
前記第2の導電性プレートおよび前記ハウジングと連結する1つ以上の調整デバイス
をさらに備え、
当該1つ以上の調整デバイスは、少なくとも前記第2の導電性プレートの位置をある位置範囲内において調整するように動作可能である、請求項7に記載のシステム。
【請求項12】
前記1つ以上の調整デバイスが、3つの調整デバイスからなり、前記3つの調整デバイスを調整することで、前記位置範囲内における前記第2の導電性プレートの前記位置と、前記ハウジングに対する前記第2の導電性プレートの傾きとの両方が調整される、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記1つ以上の調整デバイスに対して1対1の対応で、1つ以上の導電性ベローズをさらに備えるシステムであって、前記1つ以上の導電性ベローズのそれぞれが、対応する各調整デバイスを取り囲んでおり、前記第2の導電性プレートを前記ハウジングに電気的に接続している、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記1つ以上の調整デバイスの各々が、前記第
2の導電性プレートに連結されたネジ付きロッド、ギア付きデバイス、磁気式アクチュエータ、ステッパモータ、または圧電アクチュエータを備える、請求項11に記載のシステム。
【請求項15】
前記第2の導電性プレートと電気的に接続され、且つ前記第2の導電性プレートと前記ハウジングとの間の間隙を通るマイクロ波の漏出を低減するように構成された、RFチョークをさらに備え、当該RFチョークが、
前記第2の導電性プレートの、前記第1の導電性プレートから遠い側において、前記第2の導電性プレートの外周の周囲に配置された導電性ホルダと、
前記導電性ホルダによって前記第2の導電性プレートに当てて固定されている誘電体材料であって、横方向の寸法L1=(mλ)/(2√(ε1))を有し、式中、ε1が前記誘電体材料の誘電率であり、λが前記電磁放射の波長であり、mが0よりも大きい任意の整数である、誘電体材料と、
をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
プラズマ生成システムであって、
処理チャンバと導波管空洞を規定するハウジングであって、前記導波管空洞は、前記処理チャンバに隣接して配置されており、且つ前記導波管空洞からの電磁放射を前記処理チャンバ内へと伝播するように構成されている、ハウジングと、
前記ハウジング内に位置決めされ、且つ前記導波管空洞を少なくとも部分的に規定する、第1の導電性プレートと、
前記ハウジング内に位置決めされ、且つ前記導波管空洞内で伝播する電磁放射のモードに影響するように前記導波管空洞を少なくとも部分的に規定する、第2の導電性プレートと、
前記処理チャンバ内で送達された少なくとも1つの処理ガスからプラズマを発生させるために、前記電磁放射を前記導波管空洞内へと伝送するように構成された1つ以上の電子機器セットと
を備え、
前記ハウジングが上側ハウジングと下側ハウジングを備え、前記システムがさらに、
前記導波管空洞を排気することなく前記処理チャンバが排気できるように前記導波管空洞を前記処理チャンバから封止する誘電体プレートと、
前記下側ハウジングに対する前記上側ハウジングの位置を調整するように動作可能なアクチュエータと、
を備え、
前記下側ハウジングに対する前記上側ハウジングの前記位置は、前記第1の導電性プレートと前記誘電体プレートの間の間隙の幅を決定する
、システム。
【請求項17】
プラズマ処理システムであって、
処理チャンバと導波管空洞を規定するハウジングであって、前記導波管空洞は、前記処理チャンバに隣接して配置されており、且つ前記導波管空洞からの電磁放射を前記処理チャンバ内へと伝播するように構成されている、ハウジングと、
前記ハウジング内に位置決めされ、且つ前記導波管空洞を少なくとも部分的に規定する、第1の導電性プレートと、
1つ以上の処理ガスを前記処理チャンバ内に導入するように構成された1つ以上の処理ガス供給と、
前記ハウジング内に位置決めされ、且つ前記導波管空洞を少なくとも部分的に規定する、第2の導電性プレートと、
前記第2の導電性プレートおよび前記ハウジングと連結する1つ以上の調整デバイスであって、当該1つ以上の調整デバイスは、前記導波管空洞内で伝播する電磁放射のモードに影響するように前記第1の導電性プレートと前記第2の導電性プレートの間の距離を調整するように動作可能な、1つ以上の調整デバイスと、
前記電磁放射を前記導波管空洞内へと伝送するように動作可能な1つ以上の電子機器セットであって、前記1つ以上の電子機器セットの
うちの所定のそれぞれが、前記1つ以上の電子機器セットのうちの所定の1つの電子機器セットの駆動インピーダンスを、前記導波管空洞によって前記
1つ以上の電子機器セットのうちの前記所定の1つ
の電子機器セットに提示されるインピーダンスに整合させるように、且つ前記1つ以上の処理ガスからプラズマを発生させるように構成されている、1つ以上の電子機器セットと、
前記第1の導電性プレートと平行に前記ハウジング内に位置決めされる誘電体プレートであって、前記誘電体プレートと前記第1の導電性プレートとの間に間隙を形成する、誘電体プレートと、
前記間隙内に配置された、液体誘電体を含む調整可能な誘電体層と、
前記間隙内にある前記液体誘電体の一部を追加または除去するように構成されたコントローラと、
を備えるプラズマ処理システム。
【請求項18】
第1のマイクロ波信号を前記1つ以上の電子機器セットのうちの第1の電子機器セットに、および、第2のマイクロ波信号を前記1つ以上の電子機器セットのうちの第2の電子機器セットに提供するように構成された信号生成器をさらに備え、
前記信号生成器が、共通の周波数で前記第1のマイクロ波信号及び前記第2のマイクロ波信号を提供し、
前記第1の電子機器セットと前記第2の電子機器セットが、前記第1のマイクロ波信号と前記第2のマイクロ波信号とをそれぞれ増幅して、前記電磁放射を提供する、請求項17に記載のプラズマ処理システム。
【請求項19】
前記導波管空洞が、
前記処理チャンバが排気されたとき前記導波管空洞が排気されないように、前記処理チャンバを前記導波管空洞から封止する誘電体プレート
と接しており、
前記第2の導電性プレートの位置が固有モード位置に調整されたとき、前記導波管空洞が固有モードをサポートすることができる、請求項17に記載のプラズマ処理システム。
【請求項20】
前記1つ以上の調整デバイスが、少なくとも前記第2の導電性プレートの位置を、前記固有モード位置を含む、ある位置範囲内において調整するように動作可能である、請求項19に記載のプラズマ処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電磁放射の分野に関する。具体的には、処理チャンバ内でプラズマの径方向制御及び/または方位角制御を提供するための、導波管及び関連する制御システムを利用する実施形態が開示される。
【背景技術】
【0002】
半導体の処理では、半導体ウエハ自体との、または他の処理関連材料(例えばフォトレジスト)との相互作用のために、しばしばプラズマが生成されて、イオン化種及び/またはエネルギー励起種が作り出される。プラズマを作り出す及び/または維持するために、通常、1つ以上の高周波(RF)発振器及び/またはマイクロ波発振器が使用されて、発振電場及び/または発振磁場が生成される。イオン化種及び/またはエネルギー励起種を処理中の半導体ウエハに向けるためにも、これらの「場」(field)が、及び/または直流電場が、利用され得る。これらの場は、様々な方法でプラズマが生成されているチャンバ内に向けて生成され得る、及び/または連結され得る。電源(RF生成器)のインピーダンスを負荷(プラズマ)に整合させ、それによってRF発振器からの電力が、多くが反射してRF発振器に戻ることなしにプラズマに送達されるようにするため、様々な既知の方法がしばしば利用されている。これは、エネルギー効率のためであるのと同時に、RF発振器の電気部品を損傷から保護するためでもある。具体的には、マイクロ波エネルギーが利用されているときには、反射された電力は通常、ダミー負荷に向けられ、そこで熱として消失する。この熱は、除去されなければならない。このように、反射した電力は、結果的に二重にエネルギーの浪費となる。即ち、発電のために利用されるエネルギーと、廃熱を除去するために利用されるエネルギーである。
【発明の概要】
【0003】
一実施形態では、システムが、処理チャンバ、導波管空洞を規定するハウジング、及びこのハウジング内の第1の導電性プレートを含んでいる。第1の導電性プレートは、導波管空洞を隔てて、処理チャンバに面している。システムは、少なくとも第1の導電性プレートの位置を調整することができる1つ以上の調整デバイス、及び導波管空洞と処理チャンバの間でハウジングと連結されている第2の導電性プレートも、また含む。導波管空洞から、第2の導電性プレート内の開口を通って、処理チャンバ内へと、電磁放射が伝播することができる。システムは、処理チャンバが排気されているときに導波管空洞が排気されないように、導波管空洞から処理チャンバを封止する、誘電体プレートもまた含む。システムは、電磁放射を導波管空洞内に伝送する、1つ以上の電子機器セットをさらに含む。チャンバ内に少なくとも1つの処理ガスがあり、且つ電磁放射が導波管空洞から処理チャンバ内へと伝播するときに、プラズマが形成される。
【0004】
一実施形態では、プラズマ処理システムは、排気するように動作が可能な処理チャンバ、この処理チャンバ内に1つ以上の処理ガスを導入するための1つ以上の処理ガス供給、導波管空洞を規定するハウジング、及びこの導波管空洞内に電磁放射を伝送することが可能な1つ以上の電子機器セットを含む。1つ以上の電子機器セットのそれぞれは、自体の駆動インピーダンスを、導波管空洞によって電磁放射に提示されるインピーダンスに整合させている。ハウジング内の、処理チャンバから見た導波管空洞の遠位側には、第1の導電性プレートがある。少なくとも3つの調整デバイスが、第1の導電性プレートとハウジングに連結されている。調整デバイスは、少なくとも、第1の導電性プレートのある位置範囲内における位置と、ハウジングに対する第1の導電性プレートの傾きとを、調整することができる。ハウジングに、第2の導電性プレートが連結されており、導波管空洞と処理チャンバの間に置かれている。第2の導電性プレートには、内部に複数の開口が形成されており、それによって、導波管空洞内の電磁放射が、この開口を通って処理チャンバ内へと伝播することができる。処理チャンバが排気されているときに導波管空洞が排気されないように、誘電体プレートが、導波管空洞から処理チャンバを封止する。導波管空洞は、第1の導電性プレートが上記の位置範囲内において固有モード位置に調整され、且つ1つ以上の電子機器セットが導波管空洞内に電磁放射を伝送しているときに、第1の導電性プレートと第2の導電性プレートの間の固有モードをサポートすることができる。プラズマは、チャンバ内に処理ガスのうちの少なくとも1つがあり、且つ電磁放射が導波管空洞から処理チャンバ内へと伝播するときに、形成される。
【0005】
一実施形態では、ワークピースを処理するためのプラズマの生成方法は、1つ以上の処理ガスを処理チャンバ内に導入することを含む。処理チャンバは、処理チャンバの排気に相当する圧力差を保つことが可能な誘電体プレートで、少なくとも部分的に封止されている。この方法は、処理チャンバに隣接して配置されている導波管空洞内に電磁放射を伝播させることもまた含む。導波管空洞は、第1の導電性プレートと第2の導電性プレートに少なくとも部分的に接している。第1の導電性プレートは、処理チャンバに面しており且つ処理チャンバから見て導波管空洞の向こう側にある。第2の導電性プレートは、導波管空洞と誘電体プレートの間にある。第2の導電性プレートには開口が形成されており、この開口によって、電磁放射が第2の導電性プレート内を通り、誘電体プレートを通って処理チャンバ内へと、伝播することができる。この方法は、処理ガスからプラズマを発生させることと、第2の導電性プレートの開口を通じて処理チャンバ内へと伝播する電磁放射によって供給される電力でプラズマを持続させることと、をさらに含む。
【0006】
一実施形態では、処理チャンバ内のプラズマに電力供給するために電磁放射を提供する方法は、処理チャンバ内に1つ以上の処理ガスを導入することと、少なくとも2つの箇所P及びQから、処理チャンバに隣接して配置されている導波管空洞内へと、電磁放射を伝播させることと、を含む。導波管空洞を排気することなしに処理チャンバが排気され得るように、導波管空洞は、処理チャンバから分離されている。しかし、導波管空洞内の電磁放射は、処理チャンバ内へと伝播し得る。箇所P及びQは、導波管空洞の外周上の、それぞれの角度θp及びθqに配置されている。電磁放射は、導波管空洞内で、マイクロ波周波数ω、回転周波数Ωで提供される。この方法は、処理ガスからプラズマを発生させることと、導波管空洞から処理チャンバ内へと伝播する電磁放射によって供給される電力でプラズマを持続させることと、をさらに含む。
【0007】
一実施形態では、プラズマを生成するシステムは、排気することが可能な処理チャンバと、この処理チャンバに隣接して配置された導波管空洞とを含む。導波管空洞は、導波管空洞内の電磁放射が処理チャンバ内へと伝播するのをブロックすることなしに、処理チャンバから分離されている。このシステムは、処理チャンバ内に1つ以上の処理ガスを導入するための1つ以上の処理ガス供給、並びに第1の電子機器セット及び第2の電子機器セットもまた含む。第1の電子機器セット及び第2の電子機器セットのそれぞれは、導波管空洞内に電磁放射を伝送する。システムは、第1の電子機器セットと第2の電子機器セットのそれぞれに、それぞれ第1の入力波形及び第2の入力波形を提供する、コントローラをさらに含む。第1の入力波形と第2の入力波形のそれぞれはマイクロ波周波数ωを有しており、第1の入力波形と第2の入力波形はそれぞれ、電子機器セットによって増幅されると導波管空洞内で回転周波数Ωの電磁放射を発生させる、振幅を有している。プラズマは、チャンバ内に1つ以上の処理ガスのうちの少なくとも1つがあり、且つ電磁放射が導波管空洞から処理チャンバ内へと伝播するときに、形成される。
【0008】
一実施形態では、処理チャンバ内におけるプラズマ処理のための方法は、1つ以上の処理ガスを処理チャンバ内に導入することを含む。処理チャンバは導波管空洞に隣接して配置されており、導波管空洞は、導波管空洞内の電磁放射が処理チャンバ内へと伝播するのをブロックすることなしに、処理チャンバから分離されている。方法は、導波管空洞内に電磁放射を伝播させることもまた含む。電磁放射は、マイクロ波周波数ωで提供される。導波管空洞内で供給される電力の第1の部分は、導波管空洞内でTEモードで共振する電磁放射の一部分によって供給される。導波管空洞内で供給される電力の第2の部分は、導波管空洞内で第2のTEモードで共振する電磁放射の一部分によって供給される。この方法は、処理ガスからプラズマを発生させることと、導波管空洞から処理チャンバ内へと伝播する電磁放射によって供給される電力でプラズマを持続させることと、をさらに含む。
【0009】
一実施形態では、処理チャンバ内でワークピースを処理するための方法は、ワークピースを処理チャンバ内に置くことを含む。処理チャンバは、導波管空洞に隣接して配置されている。導波管空洞は、導波管空洞内の電磁放射が処理チャンバ内へと伝播するのをブロックすることなしに、処理チャンバから分離されている。この方法は、ワークピースを第1のプラズマで処理することと、ワークピースを第2のプラズマで処理することと、もまた含む。第1のプラズマと第2のプラズマのそれぞれは、処理チャンバ内に1つ以上の処理ガスを導入し、導波管空洞内に電磁放射を伝播させ、処理ガスからプラズマを発生させ、導波管空洞から処理チャンバ内へと伝播した電磁放射によって供給される電力によって、プラズマを持続させることによって生成される。第1のプラズマ用の電力の少なくとも一部は、導波管空洞内で第1のTEモードで共振している電磁放射によって供給され、第2のプラズマ用の電力の少なくとも一部は、導波管空洞内で第2のTEモードで共振している電磁放射によって供給される。第1のTEモードは、第2のTEモードとは次数(order)が異なっている。
【0010】
さらなる実施形態と特徴は、一部は以下の記載において説明されており、また一部は、本明細書を検討することで当業者に明らかになるか、または本発明を実施することによって習得され得る。本発明の特徴及び利点は、本明細書に記載された手段、組合せ、及び方法によって、実現され、達成され得る。本開示を読んで理解した当業者は、具体的に記載されたコンセプトを実施できるであろうのみならず、全て本開示の範囲内である、代替例、均等例、修正例、及び開示された特徴の中間的な組み合わせを、容易に認識するであろう。
【0011】
本開示は、以下で簡潔に記載されている図面と併せて下記の詳細説明を参照することによって、理解され得る。図面では、類似の構成要素を表すのに、いくつかの図面を通じて類似の参照番号が使用されている。説明を明確にするために、図面中のある種の要素は縮尺どおりに描かれていない可能性があることに、留意されたい。あるアイテムの具体的な例は、括弧内番号(例えば、モニタ用アンテナ211(1)、211(2)など)を使用することによって表されてよく、その一方で、括弧のない番号は、かかるアイテムの全て(例えば、モニタ用アンテナ211)を表す。あるアイテムの複数の例が図示されている場合には、図を分かりやすくするために、その例の一部のみに表示が付けられることがある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】一実施形態によるプラズマ処理システムの主要な要素を概略的に示す。
【
図2A】一実施形態によるプラズマ処理システムの一部を示す、概略等角図である。
【
図2B】
図2Aのプラズマ処理システムの一部を形成する導電性プレートを示す、概略上面図である。
【
図3】一実施形態による、導波管を利用してプラズマチャンバ内にマイクロ波を提供するシステムの主要構成要素を示す概略図である。
【
図4】一実施形態による、導波管空洞内における可動プレートの位置を調整するプラズマ処理システムの一部分を示す、概略断面図である。
【
図5A】一実施形態による、可動プレートとハウジングの間におけるマイクロ波の漏出を低減するRFガスケットを示す、
図4の一領域の概略図である。
【
図5B】一実施形態による、可動プレートとハウジングの間におけるマイクロ波の漏出を低減する第1のRFチョークを示す、
図4の一領域の概略図である。
【
図5C】一実施形態による、可動プレートとハウジングの間におけるマイクロ波の漏出を低減する第2のRFチョークを示す、
図4の一領域の概略図である。
【
図5D】一実施形態による、可動プレートとハウジングの間におけるマイクロ波の漏出を低減する第3のRFチョークを示す、
図4の一領域の概略図である。
【
図6】一実施形態による、
図4のプラズマ処理システムの特徴のほとんどを含むプラズマ処理システムの一部分を示す、概略断面図である。
【
図7】一実施形態による、
図6のプラズマ処理システムの特徴のほとんどを含むプラズマ処理システムの一部分を示す、概略断面図である。
【
図8】一実施形態による、
図7のプラズマ処理システムの特徴のほとんどを含むプラズマ処理システムの一部分を示す、概略断面図である。
【
図9】一実施形態による、
図7のプラズマ処理システムと同様の特徴を含むプラズマ処理システムの一部分を示す、概略断面図である。
【
図10】一実施形態による、
図4及び
図7のプラズマ処理システムの特徴及び動作コンセプトのほとんどを含むプラズマ処理システムの一部分を示す、概略断面図である。
【
図11】一実施形態による、
図10のプラズマ処理システムの特徴及び動作コンセプトのほとんどを含むプラズマ処理システムの一部分を示す、概略断面図である。
【
図12】一実施形態による、
図10のプラズマ処理システムの特徴及び動作コンセプトのほとんどを含む別のプラズマ処理システムの一部分を示す、概略断面図である。
【
図13】ワークピースに対する処理のバラつきの、例示的なパターンを示す。
【
図14】一実施形態による、ワークピースの処理に対する回転波処理の効果を示す。
【
図15】一実施形態による、チャンバ壁を有するチャンバ内で励起され得る、特定の径方向固有モードを示す。
【
図16】
図15に示す固有モードのそれぞれに相当するピーク電場強度の箇所を示す。
【
図17】一実施形態による、ワークピースを処理するためのプラズマを生成する方法のフロー図である。
【
図18】一実施形態による、処理チャンバ内でプラズマに電力供給するための電磁放射を提供する方法のフロー図である。
【
図19】一実施形態による、処理チャンバ内でのプラズマ処理の方法のフロー図である。
【
図20】一実施形態による、処理チャンバ内でワークピースを処理するための方法630のフロー図である。
【
図21A】一実施形態による、外側領域と内側領域とで異なる結果を生じさせる、計画どおりの(nominal)プラズマ処理で処理した後の、ワークピースを示す。
【
図21B】一実施形態による、第1の処理セグメントが計画どおりの電力で進行し、その後に第2の処理セグメントが追加の時間増分を通じて続く、という処理方針を実装するプログラムを概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、一実施形態による、プラズマ処理システム100の主要な要素を概略的に示している。システム100は単一ウエハ・半導体ウエハ用処理システムとして描かれているが、本明細書の技法及び原理が、任意のタイプのワークピース(例えば、必ずしもウエハまたは半導体ではない物品)用のプラズマ処理システムに適用可能であることは、当業者には明らであろう。処理システム100は、ウエハインターフェース115、ユーザインターフェース120、処理チャンバ130、コントローラ140、及び、1つ以上の電源150のための、外側ハウジング110を含む。処理チャンバ130は、1つ以上のペデスタル135を含む。このペデスタル135上には、ウエハインターフェース115が、ワークピース50(例えばウエハであるが、別のタイプのワークピースでもあり得る)を処理のために置くことができる。真空160(例えば、1つ以上の真空ポンプ)が、処理チャンバ130を排気するように動作可能になっており、処理チャンバ130内に処理ガスを導入するために、1つ以上のガス供給155を接続することが可能である。処理チャンバ130内にプラズマを発生させるため、1つ以上の高周波またはマイクロ波発振器(RF Gen)165が、1つ以上の高周波またはマイクロ波周波で電力を供給する。(本明細書の実施形態で提供されている電磁放射は、この放射が電磁スペクトルのマイクロ波の範囲内か、高周波の範囲内か、または他の部分の範囲内にあるかに関わらず、本開示においては「マイクロ波」と呼ばれてよい。)RF Gen 165は、システム100の外部にあっても内部にあってもよく、以下でさらに記載されるように、1つ以上の電子機器セットの形態であってよい。RF Gen 165は、処理チャンバ130の上方または下方に配置されていてよい導波管空洞167内に、マイクロ波を伝送する。導波管空洞167は、
図1及び
図2Aでは、チャンバ130の上方にあるとして示されている。導波管空洞167は円筒形の空洞であり得るが、このことは厳密に必要とされてはいない。処理チャンバ130は、導波管空洞167の近傍にあり、導波管空洞167に近接して、少なくともプレート169と接している。このプレート169は誘電体材料から形成されており、この誘電体材料はマイクロ波は透過するが、空気または処理チャンバ130内で使用される処理ガスは透過しない。したがって、誘電体プレート169は、チャンバ130が排気されているときに導波管空洞167とチャンバ130との間の圧力差を保つことができる一方で、導波管空洞167内のマイクロ波がチャンバ130内へと伝播するのを可能にする。誘電体プレート169は、例えば、二酸化ケイ素や窒化ケイ素や中間体の酸窒化ケイ素の化合物といった耐熱性材料、アルミナやイットリアなどといったセラミックス、プラスチック、及び/またはポリマーから形成されていてよい。ある実施形態では、誘電体プレート169の下側表面の上に、複数の中空領域が形成されている。これは、誘電体169の下側表面に形成され得るプラズマ表面モードを妨害するのに役立つことによって、特に比較的高圧(例えば約1Torr以上)または低電力の条件下でプラズマを発生させるのに役立ち得る。導波管空洞167と処理チャンバ130の間には、以下で検討するとおり、他の構造物もまた存在していてよい。
【0014】
システム100の一部として示されている諸要素は、例として挙げられているものであり、網羅的なものではない。ガス及び/または真空の配管や、圧力及び/または流量コントローラや、電極や、磁心及び/または他の電磁気装置や、機械式、圧力、温度、化学、光学、及び/または電子式のセンサや、観察用、及び/またはその他のアクセスポートなどといった、多くの他のあり得る要素もまた含まれていてよいが、説明を明快にするため図示されていない。システム100内に示される要素間の、内部接続及び協働についても、図を分かりやすくするために図示していない。RF発生装置165に加えて、ガス供給155、真空160、及び/または汎用電力170といった他のユーティリティも、システム100に接続され得る。システム100内に示されている要素と同様に、システム100に接続されているとして示されている諸ユーティリティも、網羅的ではなく例示的であることが意図されている。加熱流体または冷却流体、加圧空気、ネットワーク機能、廃棄物処理システムなどといった、他の種類のユーティリティもまたシステム100に接続されていてよいが、説明を明快にするために図示していない。
【0015】
図2Aは、導波管空洞167、導波管空洞167内にマイクロ波を伝送する導波管入力166、処理チャンバ130、及びその内部のワークピース50を含む、プラズマ処理システム200の一部分を示す概略等角図である。破線2B-2B’は、
図2Bに示す断面図の面を表す。システム200では、ハウジング105が、導波管空洞167と処理チャンバ130の両方を規定している。処理チャンバ130は、導波管空洞167と共通の軸を中心にして、径方向にほぼ対称である。マイクロ波は、マイクロ波入力166からマイクロ波入力開口162を通って導波管空洞167内へ、続いて導電性プレート137のスロット168を通って処理チャンバ130内へと伝播し、プラズマ60の発生及び/または維持のためのエネルギーを提供する。導電性プレート137は、例えば金属から形成されていてよいが、他の導電性材料、または部分的にもしくは完全に、(必ずしも導電性でなくてよい)保護材料に覆われている導電性材料から形成されていることもできる。
図2A及び
図2Bに示す実施形態では、導波管空洞167は、誘電体プレート169に隣接している。誘電体プレート169は、導電性プレート137に面しており、導電性プレート137と接触していてよい。誘電体プレート169は、例えば、二酸化ケイ素や窒化ケイ素や中間体化合物(例えば酸窒化ケイ素)といった耐熱性材料、アルミナやイットリアなどといったセラミックス、プラスチック、及び/またはポリマーから形成されていてよい。導電性プレート137には、マイクロ波が誘電体プレート169を通って処理チャンバ130内へと伝播するのを可能にする、スロット168が形成されている。スロット168は、例えば、ラジアルラインスロットアンテナを形成し得る。ペデスタル135は、処理のためにワークピース50をプラズマ60に提示するように構成されている。処理チャンバ130は、ワークピース50の挿入及び/または取り出し、プラズマ60を形成するためのガスの導入、プラズマ及びガス反応生成物の除去、センサ、観察などのための、ポート及び/または機械的開口(図示せず)を含み得る。導電性プレート137は、プラズマ60によって、及び誘電体プレート169内の変位電流によって生成された熱を除去するのに役立つ、良好な熱伝導体であり得るという点で、有利であり得る。
図2Bは、導電性プレート137を示す概略上面図であり、スロット168を通じて露出している誘電体プレート169を示している。
【0016】
図2A、
図4、及び
図6-
図10に示す処理チャンバや導波管空洞などの配向は典型的なものであるが、本明細書のシステムの動作の要件ではない。例えば、
図2Aは、ウエハであり得るワークピース50を示す。ワークピース50はウエハチャックであり得るペデスタル135上に配置されており、少なくとも移送作業中にワークピースを所定の場所に保持するために、重力が用いられ得る。したがって、以下の記載において「高さ」という用語が使用される際、この用語は、位置または距離を意味するものとして解釈すべきであるが、必ずしも垂直方向におけるものではない。「垂直」及び「頂部」のような類似の用語は、実施形態を示されている配向に限定するものではなく、実施形態が行われてよい他の配向にしたがって、修正されて理解されるべきである。
【0017】
システム200の壁と導電性プレート137とが等電位面であることから、導波管空洞167は、固有モード即ちマイクロ波伝播モードをサポートし得る。このモードでは、例えば、導波管空洞167の高さd1は、導波管空洞167内のマイクロ波の軸方向半波長の倍数であり、それによって、導波管空洞167が、対応するマイクロ波の周波数で共振する。即ち、d1=m2π/kzであるとき、導波管空洞167の共振周波数において、固有モードが形成される。ここでは、軸方向の波数であるkzは、(ω/c)2=κ2+kz
2として定義される。式中、ωは角周波数(ω=2πf)であり、fはマイクロ波の周波数であり、mは正の整数であり、cは光の速度である。また、κは径方向の波数であって、空洞の半径Rに関して空洞の側壁の境界条件が満足される、径方向波数である。(即ち、J’m(y’mn)=0及びκ=y’mn/Rである。式中、J’mは次数mの第1種ベッセル関数であり、y’mnは次数mの第2種ベッセル関数である。)
【0018】
例えば、システム200では、典型的なマイクロ波周波数2.45GHzが使用されるとき、d1の1つの値は約62mmであろうが、この値は、導電性プレート137上のスロットの形状及びパターン、材料の微細なバラつき、マイクロ波入力開口162の厳密な形状寸法などによって変わり得る。導波管空洞167に固有モードをサポートさせるd1の値は、本明細書では「固有モード位置」と呼ばれてよい。導波管空洞167内の固有モードは、有利には、電子機器セットからプラズマ60への電力の送達を最大化し、電子機器セットへと反射して戻る電力を最小化する。(以下で検討されるように、誘電体プレート169の厚さ、及び処理チャンバ130の高さもまた、同じマイクロ波周波数における処理チャンバ130の固有モードの動作をサポートするように設計されることができる。)
【0019】
誘電体プレート169に、導波管空洞167内の固有モードをサポートするのと同じ周波数における、誘電体プレート169内での共振をサポートするための厚さ及び誘電率を与えることも、また役に立ち得る。これは、d2=m2π/kdzという条件式で表すことができる。式中、軸方向の波数kdzは((ω√(εd))/c)2=κ2+kdz
2で定義され、εdは誘電体プレート169の誘電率(または、誘電体プレート169が複数の材料から形成されている場合は実効誘電率)であり、mは任意の正の整数、径方向の波数κは上記で定義したとおりである。この条件が役に立つ理由は、プラズマ60を発生させるためには、誘電体プレート169のすぐ下に高い電場強度を設けることが役に立つからである。プラズマ60は、処理チャンバ130内の誘電体プレート169の最も近く(プレート137を通じて連結されている場が最強であるところ)に形成及び/または凝縮される傾向があり得る。さらに、チャンバ130の全体的な実効高は重要ではないかもしれないが、処理チャンバ130の固有モードの動作をサポートするために、チャンバ130の全体的な実効高選択することもまた可能である。この条件は、処理チャンバ130全体の電磁場強度を最大にするために使用されるマイクロ波の半波長の倍数である、正味の「電気的な高さ」(net electical height)として表され得る。即ち、d3+d2√(εd)≡m(λ/2)である。また、導波管空洞167に関して上記したのと同じ理由により、導電性プレート137、誘電体プレート169、及び処理チャンバ130が固定構造であるときに、固有モード条件を確保することは困難であり得る。
【0020】
ハウジング105の寸法のバラつき、材料のバラつきなど、導電性プレート137内におけるスロット168の正確な構成、誘電体プレート169の下のプラズマ60の分布、及び/または、導波管空洞167に関連づけられたセンサ、ファスナ、アクセスポートなどといった非対称な特徴によって、全体的にまたは各場所ごとに、導波管空洞167の固有モード位置の実効値が変化し得る。したがって、ハウジング105と導電性プレート137は、d1が固有モード位置を規定するという意図で製造されていてよいが、d1の実際の値は、意図されたような固有モード位置ではないかもしれない。d1、並びに本明細書の空洞及びチャンバの他の寸法を調整するための装置及び方法は、
図4-
図6及び
図10-
図12に関連して開示される。
【0021】
誘電体プレート169の最適な厚さは、コスト、サイズ、重量、機械的強度、及び処理チャンバ130に対して真空封止を維持する性能といった、他の要件によってもまた影響され得る。処理チャンバ130は、直径が300mmまたは450mmまでのワークピース50(例えば、公称直径が約12インチまたは約18インチのウエハ)を収容するようにサイズ決めされていてよい。したがって、誘電体プレート169は、約0.15m2から0.25m2の面積にわたって真空圧力差を保ち、標準大気圧下で約22~40ポンドの正味の力(net force)を及ぼすことを必要とされ得る。誘電体プレート169が誘電率約4の耐熱性材料または誘電率約10のセラミックから形成されているときには、約10mm未満の厚さでは脆弱過ぎである可能性があるが、その一方で約80mm超の厚さではコストがかかり過ぎ、大き過ぎ、重過ぎであり得る。この例示的な範囲内であれば、使用される正確な厚さは、上記で検討されたとおり、使用されるマイクロ波放射の波長及び使用される材料の実際の誘電率に従って、最適化され得る。
【0022】
図3は、導波管を利用してプラズマチャンバにマイクロ波を提供するシステム300の主要構成要素を示す概略図である。システム300の導波管210は、例えば
図1及び
図2Aの導波管空洞167であり得る。概して、システム300は、
図3でP及びQと記載されている2つの箇所において、導波管210に電力供給する。典型的には、箇所P及びQは、共通の周波数で(以下に記載される電子機器セット225(1)、225(2)によって)、導波管210の外周上のPとQの間の角度オフセットに相当し得る位相オフセットで、駆動される。導波管210内に、座標参照系が示されている。軸方向zは、導波管210と同心である円柱軸に沿った距離を表す。即ち、方向zは
図3の平面の中及び外である。径方向rは、円柱軸からの距離を表す。方位角方向θは、円柱軸を中心とした角度位置を表す。箇所Pは、示されるとおり、θ方向の原点として取られている。
【0023】
このように、導波管210は、二重駆動の導波管であると考えられ、二重駆動モードの動作によって、2倍の出力で稼働している1セットの駆動用電子機器ではなく、2セットの駆動用電子機器に由来する、高密度のマイクロ波エネルギーが提供される。それぞれがより低い出力で稼働している2セットの(またはそれよりも多い)駆動用電子機器を使用することは、高出力の1セットの駆動用電子機器よりも、有利であり得る。より高い出力で稼働している電子機器セットは、より高い電圧、電流、または放熱性評価を有する構成要素を必要とし得る。これらはより低出力のセットよりもはるかに高価であるか、または入手が困難であり得る。例えば、低コスト・高品質のマイクロ波電場効果トランジスタ(FET)が、本明細書の電子機器セット225用として、最近入手可能になったが、こうしたFETの高電圧、高電流、及び/または高電力損失バージョンは、まだ高価であるか、または入手が困難なままであり得る。
【0024】
システム300の動作は、2つのマイクロ波信号220(1)及び220(2)を提供する信号生成器215で開始されるとして、最もよく理解される。これらのマイクロ波は、同じ周波数であるが、互いに対して、駆動する箇所間の機械的オフセットに相当する位相オフセットを有していてよい。例えば、箇所Pと箇所Qが導波管210の外周上で互いに90°離れて位置している場合、公称位相オフセットは、π/2であろう。位相オフセットに対する補正の特定及び制御について、すぐ次に検討する。ある実施形態では、信号生成器215は、信号320の周波数及び/または振幅、並びにその位相もまた制御し得る。制御用周波数を適用するのは、導波管210及び隣接する処理チャンバ内に固有モード条件が確立され得るように、システム300を調節するためである。これは、導波管及びチャンバの寸法、材料、非対称のチャンバの特徴などにおける制御困難な不規則性を電子的に補正するために行うことができるが、機械的なアプローチを取ることもまた可能である(例えば、以下の
図4-
図6及び
図10-
図12を参照)。制御用振幅の適用は、以下でさらに検討されるとおり、生成されたプラズマ内の局所的な不規則性が平滑化され得るように、回転モードを制御するためのものである(例えば、
図13、14を参照)。
【0025】
マイクロ波信号220(1)、220(2)は、第1の電子機器セット225(1)及び第2の電子機器セット225(2)と呼ばれる回路を駆動する。各電子機器セット225(1)、225(2)は、各マイクロ波信号220(1)、220(2)の出力を増大させて増幅されたマイクロ波信号235(1)、235(2)を生成する、ソリッドステートアンプ230で始まる。ソリッドステートアンプ230は、上記のとおり、1つ以上のマイクロ波FETを含んでいてよい。各増幅されたマイクロ波信号235(1)、235(2)は、導波管210からの電力の反射から各ソリッドステートアンプ230を保護する役割を果たす、サーキュレータ240の中に入り、その中を通る。このため、サーキュレータ240は、ソリッドステートアンプ230からの入力電力を各チューナー250内に通す一方、反射してダミー負荷245へと戻される全ての電力をシャントする。
【0026】
チューナー250は、増幅されたマイクロ波信号235(1)、235(2)が受けるインピーダンスを調整し、それによって、同軸導波管変換器265、導波管210、及び隣接する処理チャンバ(例えば
図1の処理チャンバ130、
図3には図示せず)といった構成要素によって提示されるインピーダンスに整合させる。チューナー250は、例えば、三極のスタブチューナーであってよい。増幅され、調節された信号は、次に、各同軸導波管変換機265を通って、放射用開口270が付いた各導波管のところで、導波管210内に入る(この放射用開口270は、
図2Aの、マイクロ波入力開口162のところで終端している、概略的に示されているマイクロ波入力166に相当する)。
【0027】
容認可能なインピーダンス整合を達成するために必要な調節の一部として、チューナー250は、導波管210に向かって通過する信号の位相を変更することができる。そのため、これらの信号は導波管210の外周上で機械的な位相オフセットを有している位置において供給されたものではあるが、これらの信号自体は、もはや同じ電気的位相オフセットを有していないかもしれない。例えば、PとQとが90°で機械的にオフセットされている場合、チューナーは、PとQにおけるマイクロ波間の位相オフセットを、π/2以外の値へと変更してよい。こうして、導波管210内で、対称で円状に回転しているモードが励起される代わりに、非対称で、楕円状または直線的に回転しているモードが励起され得る。次に、マイクロ波の構成がこうして非対称であることによって、隣接する処理チャンバ(例えば、プラズマが導波管210内のマイクロ波によって電力供給されている、
図1及び
図2Aの処理チャンバ130)内における処理の異常(aberrations)につながり得る。例えば、マイクロ波の構成が非対称であることは、それに対応した非対称なプラズマにつながり得る。その結果、プラズマエッチングの深さが局所的に歪むことにつながり得る。
【0028】
上記されたタイプの非対称性に対処する1つのアプローチは、マイクロ波信号220(1)と220(2)の間、したがって増幅されたマイクロ波信号235(1)と235(2)の間の、位相の遅れを電気的に補正することである。例えば、二相式信号生成器215は、信号220(1)、220(2)の調整のための情報を提供する信号コントローラ312からの、補正信号313を受信し得る。例えば、補正信号313は、マイクロ波信号220(1)、220(2)間の、補正されたまたは目標とされた位相オフセットを提供するよう、二相式信号生成器215に指示を出し得る。こうして、地点PとQの間の機械的オフセットがπ/2であるシステム300において、マイクロ波信号220(1)及び220(2)は、π/2で、またはπ/2±目標とする位相差で、互いに位相がずれていてよく、それによって、以下で検討されるように、地点PとQにおける測定された位相差が、意図されたとおりになる。別の例では、補正信号313は、マイクロ波信号320(1)、320(2)の一方または両方を増幅及び/または減衰させるように、二相式信号生成器215に指示を出してよい。このことは、有利には、マイクロ波フィールドの円状の回転を保持するのに役立つ。
【0029】
モニタ用アンテナ211(1)及び211(2)は、地点P及びQからそれぞれ導波管210を180°隔てた箇所に配置されていてよく、それぞれの接続318(1)及び318(2)を通って、信号コントローラ312にアナログ信号を提供してよい。導波管210自体の中におけるこれらの測定値は、チューナー250によって導入されたあらゆる位相及び/または振幅のオフセットを捕捉するであろう。モニタ用アンテナ211は、導波管210内のマイクロ波の、電場または磁場どちらかの成分をモニタし得る。モニタ用アンテナ211(1)及び211(2)の箇所が、地点P及びQから導波管210を隔てて180°である(または、少なくとも各アンテナ211がPとQのどちらかから少なくとも30°離れている)ことによって、信号コントローラ312に戻った信号が、地点P及びQに置かれたモニタ用アンテナによっては容易にモニタされない導波管210の効果を含むことが可能になってよい。信号コントローラ312は、モニタ用アンテナ211(1)及び211(2)からの信号を、これらの各接続318(1)及び318(2)を通じて受信してよく、地点P及びQにおける信号の振幅、並びにこれらの信号間の位相オフセットを決定してよい。例えば、信号コントローラ312は、モニタ用アンテナ211(1)及び211(2)からの信号の振幅と位相オフセットとを測定するために、同相及び直交位相の復調(IQ復調)を実施してよい。次に、信号コントローラ312は、測定された位相オフセット及び/または振幅を利用して、対応するデジタル補正信号313を計算し、二相式信号生成器215に提供してよい。デジタル補正信号313は、所望の位相オフセット(例えば値π/2)か、または仮定の所望の位相差からのオフセット(例えば、所望の位相差が得られたときにゼロである補正係数)であるようにして、選択されてよい。代わりに、デジタル補正信号は、マイクロ波信号320(1)、320(2)のうちの一方または両方の振幅を調整するために選択されてよい。次に、二相式信号生成器315は、マイクロ波信号がシステムを通って伝播していくときに、地点PとQの間の位相オフセットが所望の位相差へと動かされる、及び/または地点P及びQで測定される振幅が所望のものになるような位相オフセット及び/または振幅で、マイクロ波信号320(1)及び320(2)を提供する。
【0030】
オプションで、ユーザ入力デバイス314が1つ以上の目標パラメータ316を信号コントローラ312に提供してもよい。ユーザ入力デバイス314は、信号コントローラ312によって直接受信される出力を提供する物理的なスイッチによって、またはユーザインターフェース(例えばキーボード、他のボタン、またはグラフィカルユーザインターフェース(GUI))から目標パラメータを取得するシステム管理ハードウェア及びソフトウェアの一部として、といった様々な方法で実装され得る。目標パラメータ316は、例えば、モニタ用アンテナ211(1)及び211(2)で測定された所望の位相差、または導波管210内に送られるマイクロ波のうちの一方または両方に対する振幅調整を含み得る。目標パラメータ316は、デジタル補正信号313を生成するために、モニタ用アンテナ211(1)及び211(2)からのアナログ信号と共に、信号コントローラ312によって使用され得る。例えば、目標位相差が利用される場合、デジタル補正信号313は、まずモニタ用アンテナ211(1)及び312(1)からの信号に基づいて生成されてよく、その後で、目標パラメータ316を加算または減算することによって、デジタル補正信号313が調整されてよい。デジタル補正信号313が伝送されると、地点PとQの間の位相オフセットが目標パラメータに従って動かされるまで、及びデジタル補正信号313が目標値もしくはゼロへと動かされるまで、二相式信号生成器315は、対応するオフセットを持つ信号320(1)及び320(2)を提供してよい。別の実施例では、目標振幅の調整が利用される場合、二相式信号生成器215は、信号に応じて、信号320(1)、320(2)の一方または両方の振幅を調整し得る。
【0031】
こうして、オプションのユーザ入力デバイス314が、本明細書で開示するシステム300または同様の性能を有する他のシステムを含む半導体処理システムを最適化するための、有用な、独立した自由度を提供し得る。例えば、相当するある半導体処理システムが、ウエハを処理(例えばエッチング)することによって最適化されてよい。各ウエハは、ユーザ入力デバイス314に入力された異なる目標パラメータ以外は同一の処理パラメータで、処理され得る。システムの性能は、エッチングシステムの性能を表すウエハの測定値(例えばエッチング速度、選択性、エッチングによるライン幅の変化など)と、システムモニタ(例えば、システム安定化時間、終点検出パラメータなど)によって評価され得る。次に、ウエハの測定値、システムモニタ、及び/またはこれらの組み合わせに基づいて、最適化された目標パラメータ値が選択され得る。
【0032】
マイクロ波信号320(1)及び320(2)の位相を調整するために信号コントローラ312が二相式信号生成器215と協働する一方、チューナー250もまた、反射される電力を最小化するためにインピーダンス整合を調整し続けるということは、当業者に理解されるであろう。このように、システム300は、インピーダンス整合を犠牲にすることなく、むしろ電子機器セット255(1)及び255(2)に対して位相及び/または振幅調整のさらなる性能を提供して、導波管210に隣接する処理チャンバ内のプラズマ対称性を最適化するのである。即ち、実施形態においては、信号生成器315が位相オフセットを調整し、チューナー250がインピーダンス整合をもたらす。この2つは、システム300の稼働中に互いに同時に行われる。他の実施形態においては、信号生成器315が振幅を調整し、チューナー250がインピーダンス整合をもたらす。この2つは、システム300の稼働中に互いに同時に行われる。
【0033】
本明細書の実施形態では、ウエハのサイズが大きくなるのにつれて、及び半導体製造において作り出される形状寸法が小さくなるのにつれて、ウエハを取り巻く処理環境のあらゆる側面の均一性を制御する必要性が増大すると認識されている。したがって、本明細書の実施形態では、ウエハの周囲に生成されるプラズマの対称性が向上するように、インピーダンス整合のためだけではなく、インピーダンスが整合された後の位相及び/または振幅の調整のためにも、プラズマを生成するマイクロ波構成が調整される。処理チャンバや、処理チャンバ内のウエハの配置など、対称性に対して細心の注意が払われているときでさえ、多くの理由によって、プラズマに非対称性が生じ得る(例えば、機械的に非対称な、ガスまたはプラズマの流入ポート、出口、センサ、ウエハの配置、ウエハのフラット、配線長、上記構成要素のいずれかの材料のバラつきなど)。これらの原因を修正するために、インピーダンス整合に加え、さらなる制御度(degrees of control)によって、プラズマ処理における均一性を向上させるための追加の有用なツールが与えられ得る。システム300によって、振幅と位相の電子的調整を通じた何らかの制御が与えられるが、その一方で、以下に記載するさらなる機械的及び電気的な調整もまた有用である。
【0034】
図4は、導波管空洞467内における可動導電性プレート420の高さd1を調整するプラズマ処理システム400の一部分を示す、概略断面図である。システム400では、ハウジング405に連結された導電性プレート437が導波管空洞467の下側境界を形成している。誘電体プレート469は、導電性プレート437に隣接しており、直接接触している。
図2Aに関連する上記の考察と同様に、d1及びd2は、固有モードをサポートするための、それぞれ導波管空洞467及び誘電体プレート469の性能に影響する。これらの設備のうちの一方または他方を調整して固有モードをサポートするために、周波数の調整が用いられ得るが、周波数の調整は、導波管467と誘電体プレート469の両方に同時には、固有モード条件を作り出さないかもしれない。即ち、調整の際には、さらなる自由度が有用であるかもしれない。
【0035】
システム400は、ハウジング405と可動導電性プレート420に連結されている1つ以上の調整デバイス410を含んでいる。可動導電性プレート420は、マイクロ波空洞467を隔てて処理チャンバ430と面している。即ち、プレート420は、処理チャンバ430からみて導波管空洞467の遠位側にある。調整デバイス410は、
図4ではネジ付きロッドであるとして示されているが、以下で検討されるように、多くの他のタイプの調整デバイスが使用され得る。
図4に示す実施形態では、デバイス410は、ハウジング405の天井プレート415内の開口412を通って延びている。各デバイス410の高さ、及び対応する可動導電性プレート420のハウジング405内における高さは、対応するナット411によって調整され得る。このさらなる自由度によって、例えば、プレート469内の固有モード条件をサポートするために、まずマイクロ波の周波数を調節し、次に、可動導電性プレート420が導波管467内の固有モード位置に来るようにして、d1を調節することが可能になる。これらの構造物のそれぞれを調節してこれらそれぞれの固有モードをサポートすることによって、誘電体プレート469の下側表面の効率的な連結と高いフィールド強度(例えば、プラズマを発生させるための)が提供される。d3は、処理チャンバ430の床表面を超える誘電体プレート469の高さを表し、少なくともいくらかは、ワークピースホルダとワークピース自体のためのクリアランスを設ける必要によって制約を受ける(例えば、
図2Aのペデスタル135及びワークピース50)。
【0036】
上記の導電性プレート137と同様に、導電性プレート437及び420は、例えば金属から形成されていてよいが、他の導電性材料、または部分的にもしくは完全に、(例えば、必ずしも導電性でなくてよい)保護材料に覆われている導電性材料から形成されていることもできる。
【0037】
ロッドの調整デバイス及びナットは、調整デバイス410のコンセプトを説明するために示されているが、任意のタイプの機械式または電磁式アクチュエータが、示されているロッドとナットの組み合わせに代替し得ることは、当業者には明らかであるだろう。例えば、ギア付きデバイス、ばね荷重式デバイス、磁気アクチュエータ、ステッパモータ、圧電アクチュエータ、または他の電磁気デバイスが、代替し得る。本開示を読んで理解した当業者は、調整デバイスまたはアクチュエータとして用いられ得る、代替例、均等物、変更例、及び中間的な組み合わせを、容易に認識するであろう。ある実施形態では、
図1で誘電体プレート169に関連して検討されたように、プラズマの発生を容易にするため、誘電体プレート469の下側表面上に、複数の中空領域が形成されている。
【0038】
ある実施形態では、導波管空洞467にわたってd1を調整するために、単一のデバイス410が利用されるが、その一方、他の実施形態では、可動導電性プレート420によって形成された面をプレート437に対して調整するために、3つのデバイス410が使用される。可動導電性プレート420に対するデバイス410の接続は、可動導電性プレート420がデバイス410に対して傾くのを可能にする、可撓性の材料または継手を含んでいてよい。さらに他の実施形態では、可動導電性プレート420またはその下にあるプレート437の平面性とは関わりなく、d1及び導波管空洞467内のマイクロ波に対してPTP制御(point to point control)を行うため、変形可能な導電性プレート420を伴ったより多くのデバイス410が用いられ得る。オプションの例では、各デバイス410は、機械的に及び電気的に天井プレート415と連結している導電性ベローズ413によって、可動導電性プレート420の上方で取り囲まれている。こうして、ベローズ413によって、可動導電性プレート420がハウジング405と同じ電位であることが確保され、デバイス410が天井プレート415を通過してナット411と係合するところに生じ得るあらゆる粒子を封じ込めることが可能になる。
【0039】
システム400では、導電性プレート420が自由に動けることを確保するため、可動導電性プレート420とハウジング405の側部との間に、小さな間隙が必要であってよい。このことは、この間隙を通るいくらかのマイクロ波の伝播を可能にすることによって、導波管空洞467内のマイクロ波の伝播に負の影響を与え、それによって固有モード条件を阻害し得る。
図4でAで表されている領域は、
図5Aから
図5Dでは、この効果に対処するためのオプション付きで示されている。
図5Aで示されているRFガスケット、または
図5Bで示されているRFチョークのうちの1つは、可動導電性プレート420の周囲に設置されていてよく、したがって領域A’と共に領域Aにも存在しているであろう(例えば、AとA’とは、ハウジング405の外周上で互いに180°の位置である)。
【0040】
図5Aは、可動導電性プレート420とハウジング405との間に挿入された、RFガスケット440を示す。RFガスケット440は、概して効果的にマイクロ波の漏出を低減するが、可動導電性プレート420とハウジング405のうちの一方または両方を擦って傷つける可能性がある。これによって、金属粒子が生じる可能性がある。金属粒子は、マイクロ波に応答して、導波管空洞467に望ましくない影響を与え、導波管空洞467の周囲を移動する可能性がある。
【0041】
図5Bは、可動導電性プレート420に連結された導電性ホルダ442を含むRFチョーク431と、ホルダ442によって、可動導電性プレート420の頂表面に当てて保持されている誘電体材料444とを示す。有利には、誘電体材料444は、横方向の寸法L1=(mλ)/(2√(ε
1))を有する。式中、ε
1は材料444の誘電率であり、λはマイクロ波の波長であり、mは0よりも大きい任意の整数である。
【0042】
図5Cは、RFチョーク431の特徴を含み、第2の誘電体材料445が加えられている、RFチョーク432を示す。有利には、誘電体材料444は、寸法L2=(pλ)/(2√(ε
2))を有する。式中、ε
2は材料445の誘電率であり、λはマイクロ波の波長であり、pは0よりも大きい任意の整数である。ハウジング405が誘電体によって擦れるという事実は考慮されるべきであり、ポリテトラフルオロエチレン(例えばテフロン(登録商標))またはポリエーテルエーテルケトン(PEEK)といった、軟質で及び/または剥がれ落ちない誘電体が、材料445として有用であり得る。
【0043】
図5Dは、第2の誘電体材料445のみを含むRFチョーク433を示している。この実施形態では、誘電体材料445は、有利には、横方向の寸法L3=(nλ)/(4√(ε
2))を有する。式中、ε
2は材料445の誘電率であり、λはマイクロ波の波長であり、nは0よりも大きい任意の奇数の整数である。L3は、誘電体で充填された間隙内における電磁波の励起を防止し、それによってこの間隙を通るマイクロ波の漏洩を低減するようにして、選択される。
【0044】
本明細書のある実施形態は、信号生成器、増幅用電子機器、及び/または他の構成要素(例えば、
図3の電子機器セット225)が十分に広い調節範囲を提供できないとき、または多岐にわたる共振モードが望まれているときといった状況に、対処することができる。これに対する1つのアプローチは、導波管空洞(例えば空洞167または467)に接している導電性プレートを取り除き、それによってハウジング(例えばハウジング405)が単一の空洞を規定するようにすることである。
【0045】
図6は、
図4のプラズマ処理システム400の特徴のほとんどを含むプラズマ処理システム470の一部分を示す、概略断面図である。しかし、システム470は、空洞467の底部においては導電性プレートを含んでいない。システム470で使用されている構成要素がシステム400のものと同じであるため、こうした構成要素に対して同じ参照番号が使用されているが、電気的挙動は異なっているため、いくつかの寸法は別々に記されている。ここで、d21は、空洞467の空隙の高さを表している一方、d22は、誘電体プレート469の厚さを表している。
【0046】
電気的には、システム470は、ハウジング405と、dpの厚さを有する可動の導電性プレート420によって囲まれた、単一の空洞である。しかし、誘電体プレート469の厚さ及び誘電率、並びに示されている寸法d21は、固有モード条件に対する影響も含め、マイクロ波がどのように空洞内を伝播するかに対して、依然として影響する。したがって、ここで再び調整デバイス410及びナット411として示されている、可動導電性プレート420の高さを調整するための機構は、空洞467内のマイクロ波条件を調節するのに、依然として有用なツールである。もちろん、示されているロッドとナットの組み合わせは、任意のタイプの機械式または電磁式アクチュエータによって代替されてよく、システム400に関連するこれらの特徴に関する考察の全てがシステム470にも同様に適用可能であることは、当業者にとって明らかである。こうした高さ調整デバイスが所定の場所にあるので、d21は、0を最小値としd21maxを最大値とする変数であると考えることができる。d21maxのとき、可動導電性プレート420は、天井プレート415に当接している(可動の導電性プレート420の下側表面は、可動のプレートの厚さdpの分、天井プレート415より下にある)であろう。実際には、0とd21maxという限界値は、可動プレート機構の行程の限界によって、さらに制限される可能性がある。
【0047】
システム470は、有利には、空洞475として指定されているハウジング405の一部分内の少なくとも1つの固有モードをサポートするために、調整可能である。これによって、「場」を、「場」が結合されてプラズマ60になる場所である、誘電体プレート469の下側表面と、効率的に結合することが可能になる。d21が最小値であるときには固有モードは最高周波数fmaxを有し、d21が最大値であるときには固有モードは最低周波数fminを有するであろう。有利には、マイクロ波入力466を駆動している電子機器セットは、fminからfmaxの全周波数をサポートしており、それによって、可動導電性プレート420のあらゆる物理的設定に関して、固有モードがサポートされ得る。電子機器セットが利用可能な任意の周波数に関して、典型的には、可動導電性プレート420が利用可能な1つの固有モード位置が存在するであろう。しかし、d21が十分に大きい場合、利用可能な固有モード位置は1つよりも多く存在し得る。
【0048】
図7は、
図6のプラズマ処理システム470の特徴のほとんどを含むプラズマ処理システム480の一部分を示す、概略断面図である。しかしシステム480は、可動天井プレートを含んでいない。ハウジング405の特性、その中の構成要素の特性、並びに寸法d21及びd22が周知である、及び/または制御されているときには、誘電体プレート469が中で真空封止された、単一のハウジングを提供することが可能になるであろう。ここでは、
図6のシステム470の空洞475と同様、空洞485によって固有モードがサポートされるように、寸法が調節される。さらに、マイクロ波入力466を駆動する電子機器セットが周波数調整をサポートしている場合、d21及びd22が固定されているという事実にも関わらず、空洞485内で固有モードをサポートするために、マイクロ波の周波数を調節することが可能になり得る。代わりに、ハウジング405を封止する前はd21が調整可能である場合(例えば、システム480を電力のもとに特徴づけることによって、後で外し得る、誘電体プレート469の高さを調整するための一時的な機構で)、完成されたシステム480を、アクティブな部品または調整がより少ない、よりコンパクトな形態で提供することが可能である。
図4のシステム400と同様に、寸法d21及びd22を選択するために、サイズ、重量、コスト、使用する材料などの検討事項が用いられ得る。具体的には、d22は、処理チャンバ430が排気される際、誘電体プレート469全体の大気圧の力を持ちこたえるのに、十分厚い必要がある。しかし、d22が非常に高いときには、誘電体プレート469は重く、且つ高コストになる可能性がある。
【0049】
図8は、
図7のプラズマ処理システム480の特徴のほとんどを含むプラズマ処理システム490の一部を示す、概略断面図である。しかし、システム490は、
図4、
図6、及び
図7のシステム400、470、及び480に示す側部注入式のマイクロ波入力466である代わりに、頂部注入式のマイクロ波入力468から電力供給される。理論上は、他の実施形態では、入力468と同様に頂部注入式のマイクロ波入力を使用することができるが、こうした実施形態の可動プレートにこうした入力を組み込むことは困難であり得る。システム490は、特に、1つ以上の側部注入型マイクロ波入力466を組み込むことが問題である用途においては、システム480と同様、コンパクトな形態で設けられ得る。
【0050】
実施形態では、
図7及び
図8の設計は、d21をゼロにすることによってさらに変更され得る。
図9は、
図7のプラズマ処理システム480と同様の特徴を含むプラズマ処理システム495の一部分を示す、概略断面図であり、d21はゼロに設定されている。即ち、空洞467は取り除かれている。システム495は、システム480及び490と同様、コンパクトな形態で設けられ得る。システム495の代わりの実施形態では、側部注入型のマイクロ波入力466は、
図8のシステム490の、頂部注入型のマイクロ波入力468で代替することが可能である。
【0051】
図10は、
図4のプラズマ処理システム400、及び
図7のプラズマ処理システム480の、特徴と動作コンセプトのほとんどを含むプラズマ処理システム500の一部を示す、概略断面図である。システム500では、プレート437と誘電体プレート520との間に間隙510が設けられている。誘電体プレート520は、誘電体プレート469と同様に、間隙510及び空洞467から処理チャンバ430を封止しており、それによって、処理チャンバ430が排気されているときに、これらの領域は排気されない。間隙510及び誘電体プレート520を含むものとして、空洞505を規定することができる。次に、
図7の処理システム480と同様に、マイクロ波入力466を駆動する電子機器セットが周波数調整をサポートしている場合、d21及びd22が固定されているという事実にも関わらず、空洞505内で固有モードをサポートするために、マイクロ波の周波数を調節することが可能になり得る。即ち、周波数調整は、別の1つの固有モードをサポートするために空洞505を調節するのに使用され得るが、その一方、可動導電性プレート420は、別の固有モードか、場合によっては同様の固有モードをサポートするために空洞467を調節するのに使用され得る(例えば、空洞505内でTE
112が励起される場合、有利には、TE
111は、空洞467内で励起される)。
【0052】
図11は、
図10のプラズマ処理システム500の特徴と動作コンセプトのほとんどを含むプラズマ処理システム550の一部分を示す、概略断面図である。システム550では、高さが制御可能である、調整可能な誘電体層530が導入される。調整可能な誘電体層530は、例えば、マイクロ波の周波数において多量のエネルギーを吸収しない、液体誘電体の層(または液体誘電体が充填された嚢(bladder)であってよい。調整可能な誘電体層530に適切な材料は、ペルフルオロポリエーテル(PFPE)である。PFPEの誘電率はε=1.94であり、損失正接は、δ=2x10
-4である。間隙510、調整可能な誘電体層530、及び誘電体プレート520を含むものとして、空洞505を規定することができる。空洞505内の高さd21は、間隙510の高さd211と調整可能な誘電体層530の高さd212との電気的長さの和として規定することができる。即ち、d21=d211+√(ε
liquid)d212である。式中、ε
liquidは、誘電体層530の誘電率である。コントローラ540は、流体接続を通じて液体誘電体の一部を追加または除去することができる。こうして、空洞505内で固有モード条件を作り出すかまたは維持するため、調整可能な誘電体層530を機械的に調節し得る。これによって、マイクロ波入力466を通って供給されるマイクロ波の周波数を調節する必要なしに、空洞467を最適化するために可動導電性プレート420を使用することができ、且つ空洞505を最適化するために調整可能な誘電体層530を使用することができるという点で、システム550の動作を最適化するための、追加の自由度が与えられる。したがって、マイクロ波入力466に電力供給している電子機器セットが調節可能である場合、この調節可能性は、他の特徴を最適化する(例えば、処理チャンバ430内で固有モードを作り出すかまたは維持する)ために留保しておくことが可能である。コスト削減のため、代わりに調節不能な電子機器セットを使用することもできる。
【0053】
図12は、
図10のプラズマ処理システム500の特徴と動作コンセプトのほとんどを含むプラズマ処理システム560の一部分を示す、概略断面図である。システム560には、マイクロ波空洞467を含む上側ハウジング515、及び処理チャンバ430を含む下側ハウジング517が導入されている。上側ハウジング515と下側ハウジング517との相対的な位置は、アクチュエータ570を通じて調整される。アクチュエータ570は、調整デバイス410と同様、機械式、磁気式、電磁式、圧電式などであってよい。上側ハウジング515と下側ハウジング517との相対的な位置を調整することによって、間隙510の高さが、それぞれ増大または減少する。間隙510及び誘電体プレート520を含んでいるとして、空洞507を規定することができる。したがって、調整可能な誘電体層530がシステム550(
図11)の空洞505を調節するのと同様に、空洞507を調節するのに、アクチュエータ570の拡張または収縮を用いることができる。
図5Aで示されているRFガスケット、または
図5Bで示されているRFチョークのうちの1つは、上側ハウジング515と下側ハウジング517の間の界面に設置されていてよく、したがって領域B’と共に領域Bにも存在しているであろう(例えば、BとB’とは、ハウジング515、517の外周上で互いに180°の位置である)。
【0054】
ここで検討する方法は、処理中の不均一性の局所的な影響を緩和する方法を提供する。寸法のバラつき、材料の不均一性、装置の非対称性などによって、処理チャンバの特定の領域が、他のエリアよりも高強度のプラズマ作用を持つようにさせることができる。これらの影響は、システム内で局所化されていても一般化されていてもよい。即ち、処理の不均一性のうちのいくつかが、事前予測困難な個々の箇所に影響し得る一方、他の不均一性は、導波管210の円筒状の形状に対して、径方向または方位角方向にあると予測され得る。これらの影響が生じるとき、プラズマによって処理されるワークピース50の該当エリアは、不均一的に処理されてよい。
【0055】
図13は、ワークピース50(例えば半導体ウエハ)に対する処理のバラつきの、例示的なパターンを示す。領域580が計画どおりの(nominal)結果で処理されている一方、領域588は劣化した結果で処理されている。これは、ガス分配の不均一性、電場の不均一性、処理チャンバの材料のバラつき、及び/または、処理チャンバに関連付けられているセンサ、アクセスポート、ワークピース取扱機器などの非対称性の存在といった、1つ以上のパラメータに小さなバラつきがあったからである。領域580と588の間で外見が著しく異なっているのは、説明のためだけである。即ち、領域588は、領域580で受けた処理とは何パーセントかだけ異なっていてよい処理(例えばエッチングまたは堆積)を受け得るが、それでもなお、可能な限りそのパーセンテージを減らすことが望ましい。
【0056】
実施形態では、ワークピース50自体は静止したまま、領域588の効果を、純粋に電気的な手段によって、ワークピース50の周囲に回転させ得る。
図14は、ワークピース50の処理に対する低速回転波処理の効果を示す。「低速回転」または「低速で回転する」という用語は、本明細書では、電磁放射の伝播周波数よりもずっと低い(例えば1/1000を超えない)速度または周波数で経時的に変化する波形を意味するものとして使用されている。例えば、本明細書の計画どおりのマイクロ波周波数は、約2.5GHzであってよいが、低速回転モードでは、周波数は1MHz未満、しばしば10KHz未満であるだろう。
【0057】
588’と表されている領域588の破線の輪郭は、示されているように、ワークピース50上で反時計回りに回転することができる(同様に、時計回りに回転することもできる)。領域588’の回転は、領域588内に当初存在していた効果を均す、または不鮮明にし、それによって当初の領域588と同程度に影響されている部分がワークピース50内に存在しないようにするものと理解されてよい。示される実施例では、領域588’の回転は、たまたまワークピース50の内側領域と外側領域には及んでおらず、したがってこれらの領域は、領域580’として表されたままである。領域588’のうち、ワークピースの内側領域及び外側領域付近の帯582上で回転する部分はわずかであるが、一方、領域588’のうち、帯582間にある帯584上で回転する部分は大きい。(ワークピース50が、帯付きで示されているのは説明目的のみによるものであり、処理結果は、帯582及び/または584の両端において階段関数的な変化をするのではなく、徐々に互いにフェーディングするだろうことは、理解すべきである。)したがって、当初の領域588内に存在する処理結果は、より大きなエリアに広がることができ、当初の領域588内のこうした処理結果の濃縮度と比べると、帯582及び584全体にわたって低減されるであろう。
【0058】
プラズマ処理の経過中に多くの「場」の回転が生じるようにしてΩを選択することによって、該当するプラズマ不均一性を回転することが可能になり、それによって、ワークピース上の不均一性によって生じた、(例えば領域588のような)「ホット」または「コールド」な処理スポットの効果が平滑化される。Ωは、測定された処理の均一性の結果にしたがって、ユーザによって経験的に調整されてもよい。
【0059】
隣接する処理チャンバ内で生成されたプラズマに対する、導波管空洞内で回転する波形パターンの影響もまた、回転速度に応じて種々であり得る。Ωが約100Hz未満である場合、プラズマの発生は、「場」の回転を密接に追尾し得る。その結果、「場」のみならずプラズマも、回転周波数Ωで回転する。Ωが約1000Hzを上回っているとき、プラズマは「場」を追尾することができない。しかし、それでもなお電場強度の全体的な分布に対して敏感であり、径方向に対称で均一なプラズマ分布を生み出す。約100Hzと1000Hzの間の中間値においては、回転対称なプラズマ分布と径方向に対称なプラズマ分布とがブレンドされた効果になる。ランダムな要因による局所的プラズマ効果と回転周波数との間の相互作用もまた、存在し得る。そのため、時には、回転周波数Ωを調節することによって、局所的な処理の不均一性が増大または減少する。これらの相互作用は、様々な回転周波数Ωにわたって処理性能を特性評価し、ベストな均一性が得られるΩの値を選択することによって、突き止めることができる。有利には、これらの効果は、例えば単にユーザに所望の値を入力させ、処理機器(例えば信号生成器215)のコントローラに、以下の考察に従って適切なマイクロ波信号を計算させることによって、純粋に電子的に実装することができる。即ち、機械的な機器の変更は全く必要ない。
【0060】
ここで、
図3のシステム300と共に示されている座標系の文脈で、上記のシステム200、300、400、470、480、495、500、550、及び560のうちのいずれかの構成を検討する。検討される実施形態のうちのいくつかでは、一般化されたTE及びTMモード(例えば、TE
mnl/TM
mnl)に関して、回転角周波数Ω(Ω/2π~0.1-1000Hz)の低速波回転が、処理中の不均一性の局所的効果を軽減する手段として提供される。
【0061】
マイクロ波が、
図3のシステム300内のマイクロ波入力P及びQから、キャリア周波数ωで、それぞれcos(Ωt)及びcos(Ω+φ)に比例する時変振幅で注入されると仮定する。ここでは、φは、以下で規定される時間位相遅延を表し、tは時間を表す。マイクロ波入力Pからの注入によって励起された円筒状空洞内のTE
mnl/TM
mnlモードは、以下で表され得る。
A
p=a cosΩt[cos(ωt-mθ)+cos(ωt+mθ)] 等式(1)
式中、径方向(r)座標及び軸方向(z)座標に依存する項は、係数a内に含まれており、mは正の整数である。
【0062】
等式(1)は、複素数形式でも表すことができる。
Ap=(a/2)ejΩt{ej(ωt-mθ)+ej(ωt+mθ)+e-j(ωt-mθ)+e-j(ωt+mθ)} 等式(2)
【0063】
同様に、マイクロ波入力Qからの注入によって励起されたTEmnl/TMmnlモードは、複素数形式では、以下で表される。
Aq=(a/2)ejΩtejφ{ej(ωt-m(θ-θ_q))+ej(ωt+m(θ-θ_q))+e-j(ωt-m(θ-θ_q))+e-j(ωt+m(θ-θ_q)) 等式(3)
【0064】
等式(2)及び(3)を書き換えると以下である。
Ap=(a/2)ejΩt[ejωt{e-jmθ+ejmθ}+e-jωt{ejmθ+e-jmθ}]=2aejΩtcos(mθ)cos(ωt) 等式(4)
Aq=(a/2)ejΩt[ejωt{e-jmθej(mθ_q+φ)+ejmθej(-mθ_q+φ)}+e-jωt{ejmθej(-mθ_q+φ)+e-jmθej(mθ_q+φ)}] 等式(5)
【0065】
したがって、結果として空洞内に生じる波形は、以下によって与えられる。
As=Ap+Aq=a/2ejΩt・{ejωt[e-jmθ{1+ej(mθ_q+φ)}+ejmθ{1+ej(-mθ_q+φ)}]+e-jωt[ejmθ{1+ej(-mθ_q+φ)}+e-jmθ{1+ej(mθ_q+φ)}]} 等式(6)
【0066】
反時計回りの回転を与えるためには、以下の条件が満足されなければならない。
ej(mθ_q+φ)=1 等式(7)
ej(-mθ_q+φ)=-1 等式(8)
即ち、言い換えれば、
mθq+φ=2rπ 等式(9)
-mθq+φ=(2s+1) 等式(10)
式中、r及びsは、任意の整数である。
【0067】
等式(9)と(10)を連立して解くと、反時計回りの回転用の条件は、以下で表される。
φant=((2r+2s+1)/2)π 等式(11)
θq=((2r-(2s+1))/2m)π 等式(12)
【0068】
同様に、時計回りの回転に関しては、等式(7)及び(8)は以下になり、
ej(mθ_q+φ)=-1 等式(13)
ej(-mθ_q+φ)=1 等式(14)
等式(9)及び(10)は以下になる。
mθq+φ=(2r+1)π 等式(15)
-mθq+φ=(2s+2)π 等式(16)
【0069】
等式(15)と(16)を連立して解くと、時計回りの回転用の条件は、以下で表される。
φclk=((2r+2s+1)/2)π+π 等式(17)
θq=((2r-(2s+1))/2m)π 等式(18)
【0070】
等式(11)及び(12)を(17)及び(18)と比較すると、ポートQの角度θqは同一の形態を有しているが、その一方で、反時計回りの回転と時計回りの回転とで、時間位相遅延(φantとφclk)は、πの差で異なっている。
【0071】
明示的に、等式(11)及び(12)、(17)及び(18)は、以下のように解くことができる。
【0072】
第1の場合:r=1,s=0
φant=3π/2≡-π/2
φclk≡π/2
θq=(1/2m)π 等式(19)
【0073】
第2の場合:r=2,s=0
φant=5π/2≡π/2
φclk≡-π/2
θq=(3/2m)π 等式(20)
【0074】
反時計回りのケースに戻ると、結果として生じる等式(6)の「場」は、複素数形式では以下のとおりに表されてよく、
As=aej(Ωt-mθ)[ejωt+e(-jωt)]=2ej(Ωt-mθ)cos(ωt) 等式(21)
実数形式では以下のとおりに表されてよい。
As=2a cos(Ωt-mθ)cos(ωt) 等式(22)
このことは、結果として生じる波が、角周波数Ω/mで、反時計回り方向に低速回転することを意味している。
【0075】
等式(4)及び(5)は、反時計回り回転では、以下のように表すことができる。
Ap=2a ejΩtcos(mθ)cos(ωt)
Aq=-2ja ejΩtsin(mθ)cos(ωt) 等式(23)
【0076】
実数形式では以下のとおりである。
Ap=2a cos(Ωt)cos(mθ) cos(ωt)
Aq=2a sin(Ωt)sin(mθ) cos(ωt) 等式(24)
【0077】
ポートP及びQにおける入力波形を導き出すには、以下のとおり、P及びQの座標がθに代入されなければならない。
Ap(θ=θp)=2a cos(Ωt)cos(mθp)cos(ωt)
Aq(θ=θq)=2a sin(Ωt)sin(mθq)cos(ωt) 等式(25-1)
【0078】
等式(25-1)は、φant≡π/2(反時計回りの回転)の場合の、ポートP及びQにおける入力波形の一般形式を与える。
【0079】
等式(20)即ちθp=0、且つ等式(7)即ちθq=(3/2m)πの場合、等式(25-1)は、以下のとおりである。
Ap(θ=θp)=2a cos(Ωt)cos(ωt)
Aq(θ=θq)=-2a sin(Ωt)cos(ωt) 等式(25-2)
【0080】
等式(25-2)は、φant≡π/2(反時計回りの回転)且つθq=(3/2m)πの場合の、ポートP及びQにおける入力波形を与える。
【0081】
等式(21)から(25-2)に対応する時計回り回転用の等式が、それぞれ以下のとおり示されている。
As=aej(Ωt+mθ)[ejωt+e(-jωt)]=2ej(Ωt+mθ)cos(ωt) 等式(26)
As=2a cos(Ωt+mθ)cos(ωt) 等式(27)
Ap=2a ejΩtcos(mθ)cos(ωt)
Aq=2ja ejΩtsin(mθ)cos(ωt) 等式(28)
Ap=2a cos(Ωt)cos(mθ)cos(ωt)
Aq=-2a sin(Ωt)sin(mθ)cos(ωt) 等式(29)
Ap(θ=θp)=2a cos(Ωt)cos(mθp)cos(ωt)
Aq(θ=θq)=-2a sin(Ωt)sin(mθq)cos(ωt) 等式(30-1)
【0082】
等式(30-1)は、φant≡-π/2(時計回りの回転)の場合の、ポートP及びQにおける入力波形の一般形式を与える。
【0083】
等式(20)即ちθp=0、且つ等式(7)θq=(3/2m)πの場合、以下のとおりである。
Ap(θ=θp)=2a cos(Ωt)cos(ωt)
Aq(θ=θq)=2a sin(Ωt)cos(ωt) 等式(30-2)
【0084】
等式(30-2)は、φclk≡-π/2(時計回りの回転)且つθq=(3/2m)πの場合の、ポートP及びQにおける入力波形を与える。
【0085】
上記の導出は、電子機器セットに対して入力を提供するための根拠として使用することができ、それによって、マイクロ波空洞内の所与の波形パターンが、経時的に回転され得る。例えば、周波数ωのマイクロ波を伝送し、その結果生じる波形パターンを角周波数Ωで回転することが、望ましくあり得る。
図3を参照すると、電磁放射が電子機器セット225(1)及び225(2)から送達される相対位置P及びQは、既知である。信号生成器215が、ω及び/またはΩを選択するようにあらかじめプログラミングされていてよいか、またはω及び/またはΩは、ユーザの嗜好の問題として、ユーザ入力デバイス314を使用して、入力されてよい。これらのパラメータが全て既知のとき、信号生成器215は、回転が反時計回り方向であれば等式25-2に従って、また回転が時計回り方向であれば等式30-2に従って、Ap及びAqを計算し、計算されたA
p及びA
qにしたがって入力信号220(1)及び220(2)を提供する。
【0086】
ある均一性の問題は、径方向のプラズマ特性を変更するため、上記で検討された垂直の固有モードではなく、マイクロ波空洞内の種々の径方向の固有モードを励起することによっても、対処され得る。例えば、特性評価によって、
図13の領域588のような領域が存在することが発見されたと仮定する。領域588はワークピース50内で中心合わせされておらず、多少なりとも中心と端部の間にある。通常のマイクロ波源によって、領域588を生じさせる不均一性を除去するのは困難である。
【0087】
不均一性を除去するための新たな提案は、
図15に示すとおり、非対称な、立ち上がりの(edge-high)輪郭を有する電場590を用いて、プラズマ60を生成することである。プラズマ60の分布は、所与の部位における電場の二乗によって規定されるであろう。
図15に示す「場」は、TE
111モード591といった第1のTEモードを、
図16に示すTE
011モード591といった、異なる次数の第2のTEモード上に重ねることによって、作られ得る。電場E
θの方位角方向の成分のみが考慮に入れられる。これは、TE
011モード591の径方向成分が常に0だからである。これは、TE
111モード591とTE
011モード593の共振周波数がわずかに異なることにつながり得る。例えば、直径約400mmのある空洞に関して、TE
111モード593の共振周波数=ω
111/2π=2.431GHzであるが、その一方で同じ空洞に関して、TE
011モード591の共振周波数=ω
011/2π=2.467GHzである。したがって、時間の経過と共に、結果として生じる「場」590(
図15)は変化するであろう。これを回避するためには、電磁放射周波数ω
111とω
011との間の位相差を、定期的に0にリセットしなければならない。
【0088】
上記で検討されたとおり、低速回転に対して、異なる次数のTEモードもまた、供給され得る。例えば、TE
111モード591の入力電力は、地点P及びQ(
図3)において、反時計回りの回転を生み出す
A
p=2a cos[Ω(t)t]cosω
111t
A
q=2a sin[Ω(t)t]cosω
111t 等式(31)
の形態で注入され得る。
この時間依存性の低速回転角周波数Ωは、不均一性を軽減するために割り当てられ得る。しかしTE
011モード593用の電力注入は、自由度を有している。なぜならば、TE
011モード593は、方位角方向に対称だからである。TE
011モード593用に入力電力を供給する1つの代表的な形式は、以下の形式を用いることである。
B
p=2b cosω
011 t
B
q=2b cosω
011 t 等式(32)
【0089】
Ωの時間依存性の割当ては、信号生成器215によって実装され得る。概して、(x=1または2として)TE11XとTE01Xといった、異なる次数のモード間の周波数の差異は、電力供給されているチャンバのサイズに応じて、約30から140MHzの幅であってよい。こうしたモードの互いに関する時間位相を決定してリセットするために、マイクロプロセッサまたはFPGAといった、機能を有するコンピュータ処理ハードウェアを、信号生成器215内に実装することができる。
【0090】
すぐ上で検討した方針は、機器の機能または他の処理上の制約によって、単純な径方向の処理の不均一性が生じている場合にもまた、適用可能である。例えば、
図21Aは、外側領域710と内側領域720とで異なる結果を生じさせる、計画どおりの(nominal)プラズマ処理で処理した後の、ワークピース50を示す。エッチング処理の場合、領域720は計画どおりのエッチングを受け得るが、一方、領域710は軽減されたエッチングを受ける。しかし、このシナリオは逆にすることもできるし、別の処理タイプ(例えば堆積処理)に適用することもできる。計画どおりの処理が、エッチング時間t1でTE
011モードによって励起されたプラズマでもたらされた場合には、この処理に、追加のエッチング時間t2を加えることができる。この追加のエッチング時間t2では、TE
211といった立ち上がり(edge-high)モードによって励起されたプラズマでエッチングがもたらされる。上記の処理方針と同様に、これは、電子的な手段のみを通じて容易に実装される。即ち、信号生成器215は、TE
011、TE
211、及び/または他のモードを提供するために、適切な周波数、位相、及び/または振幅のバリエーションを提供することができる。機械的な機器の変更は、まったく必要とされない。
図21Bは、この方針を実装するプログラムを概略的に示す。ここでは、第1の処理セグメント730(例えば、TE
011モードを用いた計画どおりのエッチング処理)が、t1の時点まで、計画どおりの電力で進行し、その後、第2の処理セグメント740(例えば、TE
211及び/または他のモードを用いた、カスタムの立ち上がりのエッチング処理)が時間増分t2を通して継続する。セグメント740では、セグメント730と比べてプラズマ出力が低減しているとして示されているが、これは必ずしもそうでなくてよく、セグメント740における出力はセグメント730と比べて同等のまたはより大きいものであり得る。さらなる処理セグメントもまた、追加され得る。当業者は、この技法の代替例、均等物、修正例、拡張例、及び中間的な組み合わせを、容易に認識するであろう。
【0091】
チャンバの形状寸法、及び/または構成もまた、特に同一の周波数が2つの異なる空洞内で共振しなければならないときに(例えば、
図10、11、及び12のシステム500、550、及び560において)、低速回転及び/または複次のTEモードの実装を困難なものにし得る。この困難に対処する1つの方法は、共振用空洞のうちの一方または両方を低い品質係数で設計し、それによって共振ピークが、振幅の点ではより不明確になり、周波数の点ではより幅広くなるようにすることである。
【0092】
図17は、ワークピースを処理するためのプラズマを生成する方法600のフロー図である。方法600は、本明細書で開示されているシステム100、400、500、550、及び560のうちの1つ以上を用いて実装され得る。方法600の第1のステップ602は、処理チャンバ(例えば処理チャンバ130または430)内に1つ以上の処理ガスを導入する。処理チャンバは、処理チャンバの排気に相当する圧力差を保つことが可能な誘電体プレート(例えば誘電体プレート169、469、520)で、少なくとも部分的に封止されている。方法600の第2のステップ604は、(例えば電子機器セット225(2)、225(2)から)、処理チャンバに隣接して配置されている導波管空洞(例えば空洞167または467)へと、電磁放射を伝播させる。導波管空洞には、第1の導電性プレート(例えば導電性プレート420)が、少なくとも部分的に接している。第1の導電性プレートは処理チャンバに面しており、処理チャンバから導波管空洞を隔てて配置されている。空洞には、第2の導電性プレート(例えば導電性プレート437)もまた、少なくとも部分的に接している。第2の導電性プレートは、導波管空洞と誘電体プレートの間に配置されている。第2の導電性プレートには複数の開口(例えばスロット168)が形成されており、この複数の開口によって、電磁放射が第2の導電性プレートを通り、誘電体プレートを通って処理チャンバ内へと、伝播することができる。第3のステップ606は、処理ガスからプラズマを発生させる。第4のステップ608は、第2の導電性プレートの開口を通って処理チャンバ内へと伝播する電磁放射によって供給される電力で、プラズマを持続させる。
【0093】
方法600は、本明細書で開示されている機器のバリエーションのうちのどれをも使用するように、様々であってよい。本明細書では、機器のバリエーションは、列挙されているステップ602からステップ608までの全てに対応している。本開示を読んで理解した当業者は、具体的に列挙された方法600を実施できるであろうのみならず、全て本明細書で開示されたコンセプト及び機器の性能に基づいて、代替例、均等例、修正例、拡張例、及び開示されたステップの中間的な組み合わせを、容易に認識するであろう。
【0094】
図18は、処理チャンバ内でプラズマに電力供給するための電磁放射を提供する方法610のフロー図である。方法610は、本明細書で開示されているシステム100、400、470、480、490、500、550、及び560のうちの1つ以上を用いて実装され得る。方法600の第1のステップ612は、処理チャンバ(例えば処理チャンバ130または430)内に1つ以上の処理ガスを導入する。方法610の第2のステップ614は、少なくとも2つの箇所P及びQ(
図4)から(例えば電子機器セット225(2)、225(2)から)処理チャンバに隣接して配置されている導波管空洞(例えば空洞167または467)へと、電磁放射を伝播させる。導波管空洞を排気することなしに処理チャンバが排気され得るように、導波管空洞は、(例えば、誘電体プレート169、469、520といった誘電体プレートによって)処理チャンバから分離されている。しかし、導波管空洞内の電磁放射は、処理チャンバ内へと伝播し得る。箇所P及びQは、導波管空洞の外周上の、それぞれの角度θ
p及びθ
qに配置されており(
図4)、電磁放射は、導波管空洞内で、マイクロ波周波数ω、回転周波数Ωで提供される(等式1-32)。第3のステップ616は、処理ガスからプラズマを発生させる。第4のステップ618は、導波管から処理チャンバ内へと伝播する電磁放射によって供給される電力で、プラズマを持続させる。
【0095】
方法610は、本明細書で開示されている機器のバリエーションのうちのどれをも使用するように、様々であってよい。本明細書では、機器のバリエーションは、列挙されているステップ612からステップ618までの全てに対応している。本開示を読んで理解した当業者は、具体的に列挙された方法610を実施できるであろうのみならず、全て本明細書で開示されたコンセプト及び機器の性能に基づいて、代替例、均等例、修正例、拡張例、及び開示されたステップの中間的な組み合わせを、容易に認識するであろう。
【0096】
図19は、処理チャンバ内でのプラズマ処理の方法620のフロー図である。方法620は、本明細書で開示されているシステム100、400、470、480、490、500、550、及び560のうちの1つ以上を用いて実施され得る。方法620の第1のステップ622は、処理チャンバ(例えば処理チャンバ130または430)内に1つ以上の処理ガスを導入する。処理チャンバは導波管空洞(例えば空洞167、467)に隣接して配置されており、導波管空洞は、導波管空洞内の電磁放射が処理チャンバ内へと伝播するのをブロックすることなしに、(例えば誘電体プレート169、469、520といった誘電体プレートによって)処理チャンバから分離されている。方法620の第2のステップ624は、導波管空洞内に電磁放射を伝播させる(例えば、電子機器セット225(2)、225(2)から)。電磁放射は、マイクロ波周波数ωで提供される。導波管空洞内で供給される電力の第1の部分は、導波管空洞内で第1のTEモードで共振している電磁放射の一部によって供給され、導波管空洞内で供給される電力の第2の部分は、導波管空洞内で第2のTEモードで共振している電磁放射の一部によって供給される(
図15、
図16)。第3のステップ626は、処理ガスからプラズマを発生させる。第4のステップ628は、導波管から処理チャンバ内へと伝播する電磁放射によって供給される電力で、プラズマを持続させる。
【0097】
方法620は、本明細書で開示されている機器のバリエーションのうちのどれをも使用するように、様々であってよい。本明細書では、機器のバリエーションは、列挙されているステップ622からステップ628までの全てに対応している。本開示を読んで理解した当業者は、具体的に列挙された方法620を実施できるであろうのみならず、全て本明細書で開示されたコンセプト及び機器の性能に基づいて、代替例、均等例、修正例、拡張例、及び開示されたステップの中間的な組み合わせを、容易に認識するであろう。
【0098】
図20は、処理チャンバ内でワークピースを処理するための方法630のフロー図である。方法630は、本明細書で開示されているシステム100、400、470、480、490、500、550、及び560のうちの1つ以上を用いて実施され得る。方法630の第1のステップ632は、処理チャンバ(例えば処理チャンバ130または430)内にワークピースを置く。処理チャンバは導波管空洞(例えば、空洞167または467)に隣接して配置されており、導波管空洞は、導波管空洞内の電磁放射が処理チャンバ内へと伝播するのをブロックすることなしに、処理チャンバから分離されている。方法630の第2のステップ634は、処理チャンバ内で、ワークピースを第1のプラズマ(例えばプラズマ60)で処理する。ステップ634は、1つ以上の処理ガスを処理チャンバ内に導入することと、(例えば電子機器セット225(2)、225(2)から)電磁放射を導波管空洞内に伝播させることと、処理ガスからプラズマを発生させることと、導波管空洞から処理チャンバ内へと伝播する電磁放射によって供給された電力で、プラズマを持続させることと、を含む。少なくとも、第1のプラズマ用の電力の一部分は、導波管空洞内で第1のTEモードで共振している電磁放射によって供給される。方法630の第3のステップ636は、処理チャンバ内で、ワークピースを第2のプラズマ(例えばプラズマ60)で処理する。ステップ636は、1つ以上の処理ガスを処理チャンバ内に導入することと、(例えば電子機器セット225(2)、225(2)から)電磁放射を導波管空洞内に伝播させることと、処理ガスからプラズマを発生させることと、導波管空洞から処理チャンバ内へと伝播する電磁放射によって供給された電力で、プラズマを持続させることと、を含む。第1のプラズマ用の電力の少なくとも一部分は、導波管空洞内で第2のTEモードで共振する電磁放射によって供給される。第1のTEモードは、第2のTEモードとは次数が異なっている。
【0099】
方法630は、本明細書で開示されている機器のバリエーションのうちのどれをも使用するように、様々であってよい。本明細書では、機器のバリエーションは、列挙されているステップ632からステップ636までの全てに対応している。本開示を読んで理解した当業者は、具体的に列挙された方法630を実施できるであろうのみならず、全て本明細書で開示されたコンセプト及び機器の性能に基づいて、代替例、均等例、修正例、拡張例、及び開示されたステップの中間的な組み合わせを、容易に認識するであろう。
【0100】
いくつかの実施形態を説明したが、本発明の本質から逸脱することなく、様々な修正例、代替構造、及び均等物が使用され得ることが、当業者には認識されよう。加えて、本発明を不必要に分かりにくくすることを避けるために、いくつかの周知のプロセス及び要素については説明しなかった。したがって、上記の説明は、本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではない。
【0101】
ある範囲の値が与えられている場合、文脈が別様に明示していない限り、その範囲の上限と下限との間の各介在値も、下限の値の1の位の10分の1に至るまで、具体的に開示されていると理解される。ある規定された範囲内の任意の規定値または中間値と、この規定された範囲内の他の任意の規定値または中間値との間の、より狭い範囲の各々が、包含されている。これらのより狭い範囲の上限と下限は、個別に範囲内に含まれることも、除外されることもあり、この「より狭い範囲」に、限界値のいずれかが含まれる場合、限界値のいずれもが含まれない場合、または両方の限界値が含まれる場合において、前記規定された範囲内に具体的に除外された限界値がない限り、それぞれの範囲もまた、本発明の範囲に包含される。前記規定された範囲が限界値の一方または両方を含んでいる場合、これら含まれている限界値の一方または両方を除外した範囲もまた含まれている。
【0102】
本書及び付随する特許請求の範囲において、単数形の「1つの(a、an)」及び「その(the)」は、文脈上別様に明示されていない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「1つの処理(a process)」に言及する場合には、複数のこうしたプロセスが含まれるし、「その電極(the electrode)」に言及する場合には、1つ以上の電極、及び、当業者に既知であるその均等物への言及が含まれる。同様に、「備える(comprise/comprising)」、及び「含む(include/including/includes)」という語も、この明細書及び以下の特許請求の範囲において使用する場合、規定された特徴、整数値、構成要素、またはステップの存在を明示するためのものであるが、1つ以上の他の特徴、整数値、構成要素、ステップ、作用、またはグループの存在または追加を排除するものではない。