(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-23
(45)【発行日】2023-01-06
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H03F 3/34 20060101AFI20221226BHJP
H03F 1/52 20060101ALI20221226BHJP
【FI】
H03F3/34
H03F1/52
(21)【出願番号】P 2018099404
(22)【出願日】2018-05-24
【審査請求日】2021-03-31
(73)【特許権者】
【識別番号】308033711
【氏名又は名称】ラピスセミコンダクタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】樋口 鋼児
【審査官】竹内 亨
(56)【参考文献】
【文献】特開昭60-055277(JP,A)
【文献】特開2010-050563(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0053020(US,A1)
【文献】特開昭63-288514(JP,A)
【文献】特開2000-201040(JP,A)
【文献】特開2006-187002(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03F 1/00-3/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力信号に基づいて表示装置を駆動する駆動信号を出力する
複数の出力アンプと、
入力が前記出力アンプの出力部に接続されるとともに前記出力アンプの発振が検知された場合に、前記出力アンプの動作を停止させる停止信号を前記出力アンプに出力する
1つまたは複数の発振防止回路と、を含み、
前記発振防止回路は、前記出力アンプの出力部に接続されるとともに、前記出力アンプの発振を検知するか否かを切り替えるディスエーブル回路が前記出力アンプの発振を検知するように設定された期間に前記出力アンプの発振を検知する発振検知回路、前記発振検知回路に接続されるとともに前記発振検知回路が発振を検知している場合に、予め定められた測定期間内の該発振によるパルス数を計数するパルスカウンタ、前記パルスカウンタに接続されるとともに前記パルスカウンタによるパルスの計数値が予め定められた個数以上であった場合に前記停止信号を生成するラッチ回路を備え
、
予め定められた個数の前記出力アンプの1つまたは複数のグループごとに前記発振防止回路の少なくとも一部が共用化され、
前記共用化されている回路が前記グループごとに設けられた1つまたは複数の前記発振検知回路および前記パルスカウンタであり、
前記出力アンプの出力部と前記グループごとの前記発振検知回路の入力部との間に接続された1つまたは複数の第1のスイッチと、
前記グループごとの前記パルスカウンタの出力部と前記ラッチ回路の入力部との間に配置された1つまたは複数の第2のスイッチと、をさらに含み、
前記グループごとに前記停止信号が前記出力アンプに出力されるように前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチを制御する
半導体装置。
【請求項2】
前記駆動信号を出力する出力端子と、
前記出力アンプの出力部と前記出力端子との間に接続された抵抗と、
前記発振検知回路に含まれ、一方の端子が前記出力アンプの出力部に接続された容量と、をさらに含む
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記発振防止回路は、前記停止信号によって前記出力アンプの電流を遮断することにより、前記出力アンプの動作を停止させる
請求項1または請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記発振検知回路は、前記出力アンプの出力部に接続されるとともにバイアス電位を生成する自己バイアス生成回路、および前記自己バイアス生成回路に接続されるとともに前記自己バイアス生成回路の出力をバッファリングする電流制御型のバッファ回路を備える 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記バッファ回路は、同じ構成のバッファ回路が複数直列に接続されている
請求項4に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置、特に液晶等のディスプレイのドライバ回路を含む半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ディスプレイドライバの出力回路に関連する文献として、特許文献1が知られている。特許文献1には、液晶表示装置における液晶を駆動するための液晶表示装置のVref電圧生成回路であって、ドライバICの入力インピーダンスの変動による電圧波形の歪を補正する為の回路を設けたことを特徴とする液晶表示装置のVref電圧生成回路が開示されている。すなわち、特許文献1は高画質化を目的とした液晶ドライバに関する発明であり、駆動信号の振動を抑制するためにOPアンプの出力端にダンピング抵抗を設ける構成が開示されている。このように、ディスプレイドライバの出力回路において、高抵抗値からなるダンピング抵抗を用い信号の安定化を図ることが、従来知られている。
【0003】
図5に示す比較例に係るディスプレイドライバ50を参照し、ディスプレイドライバの出力回路についてより詳細に説明する。
図5(a)に示すように、ディスプレイドライバ50は、デジタルアナログ変換回路12、出力アンプ14、抵抗22を含んで構成されている。ディスプレイドライバの出力アンプ14には一般にヴォルテージフォロアタイプのオペアンプが用いられ、発振防止用のダンピング抵抗である抵抗22を介して出力端子outに接続される。
【0004】
出力端子outに接続される負荷として、例えばディスプレイパネル(図示省略)のデータラインが接続される。
図5(a)では、該負荷を抵抗R、コンデンサCで表しており、抵抗Rは例えばディスプレイの電極の抵抗の等価回路を表し、コンデンサCはディスプレイの負荷容量の等価回路を表している。一般にディスプレイドライバの出力端子outの数はデータラインの数より多くなっており、余った出力端子outは、
図5(b)に示すように何も接続されない状態となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、昨今のディスプレイパネルの大型化に伴い駆動時間が短くなってきており(駆動速度が上昇してきており)、その結果ダンピング抵抗(抵抗22)の値を小さくする必要が生じてきている。ダンピング抵抗を減少させると出力アンプ14の発振に対する安定性が低下し、特にディスプレイパネルのデータラインに接続されていない出力アンプ14は発振する可能性が高くなる。無負荷の出力アンプ14が発振すると、発振ノイズが発振していない正常動作の出力アンプ14に混入される恐れがある。そのため、データラインが接続されない状態でも発振しないように出力アンプ14の待機電流を増やす必要があった。しかしながら、この対策ではディスプレイドライバの消費電流が増大してしまう。
【0007】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、回路の安定性を損なうことなく消費電流の削減が可能な半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る半導体装置は、入力信号に基づいて表示装置を駆動する駆動信号を出力する複数の出力アンプと、入力が前記出力アンプの出力部に接続されるとともに前記出力アンプの発振が検知された場合に、前記出力アンプの動作を停止させる停止信号を前記出力アンプに出力する1つまたは複数の発振防止回路と、を含み、前記発振防止回路は、前記出力アンプの出力部に接続されるとともに、前記出力アンプの発振を検知するか否かを切り替えるディスエーブル回路が前記出力アンプの発振を検知するように設定された期間に前記出力アンプの発振を検知する発振検知回路、前記発振検知回路に接続されるとともに前記発振検知回路が発振を検知している場合に、予め定められた測定期間内の該発振によるパルス数を計数するパルスカウンタ、前記パルスカウンタに接続されるとともに前記パルスカウンタによるパルスの計数値が予め定められた個数以上であった場合に前記停止信号を生成するラッチ回路を備え、予め定められた個数の前記出力アンプの1つまたは複数のグループごとに前記発振防止回路の少なくとも一部が共用化され、前記共用化されている回路が前記グループごとに設けられた1つまたは複数の前記発振検知回路および前記パルスカウンタであり、前記出力アンプの出力部と前記グループごとの前記発振検知回路の入力部との間に接続された1つまたは複数の第1のスイッチと、前記グループごとの前記パルスカウンタの出力部と前記ラッチ回路の入力部との間に配置された1つまたは複数の第2のスイッチと、をさらに含み、前記グループごとに前記停止信号が前記出力アンプに出力されるように前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチを制御する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、回路の安定性を損なうことなく消費電流が削減可能な半導体装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1の実施の形態に係るディスプレイドライバ回路の構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】(a)は第1の実施の形態に係る発振検知回路の構成の一例を示す回路図、(b)は発振検知回路の入力、出力を示す図である。
【
図3】第2の実施の形態に係る発振検知回路の構成の一例を示す回路図である。
【
図4】第3の実施の形態に係るディスプレイドライバの構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】(a)、(b)は比較例に係るディスプレイドライバの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照し、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。以下の説明では、本発明に係る半導体装置の一例として、液晶等のディスプレイのドライバ回路(以下、「ディスプレイドライバ回路」)を含む半導体装置を例示して説明する。本実施の形態に係るディスプレイドライバ回路は、ディスプレイの複数のチャンネルに対応して複数設けられている。本実施の形態に係るディスプレイドライバ回路では、出力アンプの出力が発振しているか否かに応じて出力アンプの電流量を調整することで消費電流の低減を図っている。このことにより、本実施の形態に係るディスプレイドライバ回路は出力アンプの待機電流を減らすことが可能となっている。
【0012】
[第1の実施の形態]
図1および
図2を参照して、本実施の形態に係るディスプレイドライバ回路10について説明する。
図1に示すように、ディスプレイドライバ回路10は、デジタルアナログ変換回路12(
図1では「DAC」と表記)、出力アンプ14(
図1では「output amp」と表記)、抵抗22、および発振防止回路24を含んで構成されている。ディスプレイドライバ回路10は液晶等の表示装置(ディスプレイ)を駆動する回路であり、デジタルアナログ変換回路12に図示しないディスプレイを駆動するための駆動信号が入力され、
図1に示す出力端子outにディスプレイの各チャンネルが接続され、出力端子outから出力される駆動信号によってディスプレイが駆動される。
【0013】
デジタルアナログ変換回路12は、図示しない信号源からデジタル信号としてのディスプレイの駆動信号を受け取り、アナログ信号に変換する。出力アンプ14は、負荷として接続されたディスプレイに対するバッファ回路であり、本実施の形態ではヴォルテージフォロワ型のアンプ回路とされている。しかしながらこれに限られず、出力アンプ14は利得を有していてもよい。抵抗22は上述したダンピング抵抗である。
【0014】
発振防止回路24は出力アンプ14の出力と抵抗22との間のノードAから分岐して接続され、発振防止回路24の出力は出力アンプ14に帰還(フィードバック)されている。
図1に示すように、発振防止回路24は、発振検知回路16、パルスカウンタ18、およびラッチ回路20(
図1では「ラッチ」と表記)を備えている。
【0015】
発振検知回路16は、出力アンプ14の出力に接続され、ディスプレイドライバ回路10の状態を監視し、発振を検知した場合は該発振の状態に応じた信号(以下、「発振信号」)を出力する。パルスカウンタ18は発振検知回路16の出力を受け(ノードB)、該出力が発振信号である場合には該発振信号に基づいてパルス数を計数する。ラッチ回路20はパルスカウンタ18の出力を受け(ノードC)、予め定められた条件に応じて発振状態が検知された場合には、検知されたことを保持する。ラッチ回路20での発振が検知されたことの信号(以下、「ラッチ信号」)は出力アンプ14の図示しない制御回路に帰還され(ノードD)、該ラッチ信号によって出力アンプ14の電流を制御する回路が制御されることにより出力アンプ14の動作が制御される。
【0016】
図2を参照して、本実施の形態に係る発振検知回路16についてより詳細に説明する。
図2(a)に示すように、発振検知回路16は、自己バイアス生成回路26、および電流制御バッファ28を含んで構成され、発振検知回路16の入力はノードAに接続され、発振検知回路16の出力はノードBに接続されている。
図2(a)に示す容量30はカップリング容量である。一方、N型のMOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタ(以下、「NMOSトランジスタ」)N7はゲートがディスエーブル端子DEに接続され、発振検知回路16の動作、非動作を切り替えるディスエーブル回路の機能を有している。本実施の形態では、ディスエーブル端子DEに入力されるディスエーブル信号がロウレベル(以下、「L」)で動作(イネーブル)、ハイレベル(以下、「H」)で非動作(ディスエーブル)である。なお、本実施の形態では、ノードAを境にして発振検知回路16側が低電圧(LV)回路、発振検知回路16の接続元(すなわち出力端子out)が高電圧(HV)回路となっている。以下では、HVの高電位側を「VDDH」、低電位側を「VSSH」、LVの高電位側を「VDDI」、低電位側を「VSSI」と表記する。
図2(a)に示すように、本実施の形態に係る発振検知回路16は、VDDIとVSSIとの間に接続されている。
【0017】
自己バイアス生成回路26は容量30に接続され、P型のMOSトランジスタ(以下、「PMOSトランジスタ」)P1、P2、NMOSトランジスタN1、N2を含んで構成されている。PMOSトランジスタP2およびNMOSトランジスタN1はダイオード接続され、PMOSトランジスタP1のゲートはバイアス電圧が供給されるバイアス端子pbに接続され、NMOSトランジスタN2のゲートはバイアス電圧が供給されるバイアス端子nbに接続されている。
【0018】
電流制御バッファ28は、PMOSトランジスタP3、P4、P5、P6、NMOSトランジスタN3、N4、N5、N6を含んで構成され、前段、後段の2段構成となっている。前段バッファは、PMOSトランジスタP3、P4、NMOSトランジスタN3、N4を備えており、PMOSトランジスタP4のゲート、およびNMOSトランジスタN3のゲートは各々自己バイアス生成回路26の出力に接続され、PMOSトランジスタP3のゲートにはバイアス端子pbが、NMOSトランジスタN4のゲートにはバイアス端子nbが接続されている。
【0019】
一方、後段バッファは、PMOSトランジスタP5、P6、NMOSトランジスタN5、N6を備え、PMOSトランジスタP3、P4、NMOSトランジスタN3、N4から構成される前段バッファと同じ回路構成となっている。すなわち、PMOSトランジスタP6のゲート、およびNMOSトランジスタN5のゲートは各々前段バッファの出力に接続され、PMOSトランジスタP5のゲートにはバイアス端子pbが、NMOSトランジスタN6のゲートにはバイアス端子nbが接続されている。本実施の形態に係る電流制御バッファ28は、同サイズの前段バッファ、後段バッファを直列に接続することで微小発振をパルス状に増幅することが可能となっている。なお、電流制御バッファ28を構成するバッファの段数は、発振の検知感度等に応じて1段であってもよいし、3段以上であってもよい。
【0020】
次に、
図2(b)を参照して、発振検知回路16の動作について説明する。
図2(b)は、発振検知回路16の各部(出力端子out、ノードE、ノードB)の波形のシミュレーション結果を示している。ディスプレイドライバ回路10の発振の有無を検出する場合には、ディスエーブル端子DEをLにして、ディスエーブル回路(NMOSトランジスタN7)をオフにする。このとき、発振検知回路16の内部の
図2(a)に示すノードEは、自己バイアス生成回路26によりインバータのスレッショルド電圧と等しくなる。
【0021】
そして、出力アンプ14が発振している場合、ディスプレイドライバ回路10の出力端子outは、
図2(b)に示すように、該発振に応じた周波数で振動している。この出力端子outの振動は、容量30を介してノードEの電位を細かく上下させる。その結果、後段バッファ(PMOSトランジスタP5、P6、NMOSトランジスタN5、N6)は、スレッショルド電圧を挟んで入力が上下しているので、発振検知回路16の出力であるノードBの出力はLVレベルのパルス状の信号に変換される。パルスカウンタ18には予め発振を検知するための期間である発振測定期間MTが設定されており、パルスカウンタ18は該発振測定期間MT内におけるパルスカウンタ18からのパルス状信号のパルス数をカウント(計数)する。
【0022】
パルスカウンタ18で係数されたパルス数が予め定められた数(以下、「発振閾値」)以上の場合には出力アンプ14が発振しているとみなし、パルスカウンタ18はノードCにHを出力する。パルスカウンタ18から出力されたHを受け、ラッチ回路20は発振測定期間MTが終了後もHを保持し、該Hを出力アンプ14に帰還させる。Hを受けた出力アンプ14は、出力アンプ14の電流をカット(遮断)して出力アンプを非動作(ディスエーブル)にする。
【0023】
以上詳述したように、本実施の形態に係るディスプレイドライバ回路によれば、データラインが接続されてない出力アンプ14は電流がカットされ、他のデータラインが接続されている出力に影響を与えることがない。その結果、無負荷状態で発振する程度まで待機電流を減らすことが可能になる。
【0024】
[第2の実施の形態]
図3を参照して、本実施の形態に係るディスプレイドライバ回路について説明する。本実施の形態に係るディスプレイドライバ回路は、上記実施の形態に係るディスプレイドライバ回路の発振検知回路16を発振検知回路16Aに置き換えたものである。従って、ディスプレイドライバ回路は必要に応じ
図1を参照することとし、図示を省略する。また、発振検知回路16Aにおいて発振検知回路16と同様の機能を有する構成には同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0025】
ディスプレイドライバ回路10の出力端子outはHVであるところ、上記実施の形態では、出力端子outがHVで発振しているのを、発振検知回路16ではLVに変換して検知していた。本実施の形態は、出力端子outのHVをLVに変換せず、HVのまま検知している。このように、本実施の形態では、出力端子outのHVをLVに変換しなくともHVのまま検知することが可能である
【0026】
図3を参照して、本実施の形態に係る発振検知回路16Aの動作について説明する。
図3に示すように、発振検知回路16Aは、自己バイアス生成回路26A、電流制御バッファ28Aを備え、電源VDDHとVSSHとの間に接続されている。本実施の形態に係る自己バイアス生成回路26Aおよび電流制御バッファ28Aの回路構成は、各々上記実施の形態に係る自己バイアス生成回路26、電流制御バッファ28の回路構成と同様であり、電源のみ異なる。発振検知回路16Aにおいて、ディスエーブル端子DEをLにして、ディスエーブル回路(NMOSトランジスタN7)をオフにすると、ノードEの電位は、HVの電源VDDHとVSSHとの間のHVインバータ(自己バイアス生成回路26A)のスレッショルド電圧に等しくなる。その状態で出力アンプ14が発振すると、ノードEの電位はHVインバータのスレッショルド電圧を挟んで上下するようになる。これをバッファリングするとノードBにHVのパルス状の出力が得られ、このパルス数をカウントすることで発振の有無を判別が可能となる。以降の動作は上記実施の形態と同様なので、詳細な説明を省略する。
【0027】
上記実施の形態と同様に、本実施の形態に係るディスプレイドライバ回路によれば、データラインが接続されてない出力アンプ14は電流がカットされ、他のデータラインが接続されている出力に影響を与えることはない。そのため、無負荷状態で発振する程度まで待機電流を減らすことが可能となる。
【0028】
[第3の実施の形態]
図4を参照して、本実施の形態に係るディスプレイドライバ回路10Aについて説明する。ディスプレイドライバ回路10Aは、上記各実施の形態に係るディスプレイドライバ回路10の発振防止回路24の一部を、予め定められた複数のチャンネルごとに共有するようにしたものである。従って、ディスプレイドライバ回路10Aにおいてディスプレイドライバ回路10と同様の機能を有する構成には同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0029】
図4に示すように、本実施の形態に係るディスプレイドライバ回路10Aはチャンネル数分だけ設けられ、さらに複数のディスプレイドライバ回路10Aごとに設けられた共用回路32を含んで構成されている。ディスプレイドライバ回路10Aは、デジタルアナログ変換回路12、出力アンプ14、抵抗22、ラッチ回路20、およびスイッチSW1、SW2を備えている。共用回路32は、発振検知回路16およびパルスカウンタ18を備えている。すなわち、上記各実施の形態では、各チャンネルごとに発振検知回路16(16A)を備えていたが、本実施の形態では、発振検知回路16(16A)およびパルスカウンタ18を、予め定められた複数のチャンネルごとに1個ずつとしている(複数のチャンネルで共有している)。そして、スイッチSW1およびSW2によって、共用回路32に接続される出力アンプ14を時分割で切り替えて発振を検知する。
【0030】
本実施の形態に係るディスプレイドライバ回路10Aについて、具体例を用いて説明する。例えばチャンネル数が一例として30であり、この30のチャンネルが10チャンネルごとに3つにグルーピングされているものとする。この場合、共用回路32はチャンネル1~10の共用回路32-1、チャンネル11~20の共用回路32-2、チャンネル21~30の共用回路32-3の3つとなる。例えば、チャンネル1~10のディスプレイドライバ回路10Aは、各々10連のスイッチSW1、SW2を介して共用回路32-1に接続される。そして、チャンネル1の発振を検知する場合にはスイッチSW1、SW2によりチャンネル1の出力アンプ14に共用回路32-1を接続し、チャンネル2の発振を検知する場合にはスイッチSW1、SW2によりチャンネル2の出力アンプ14に共用回路32-1を接続する。チャンネル3~10についても同様であり、また他のチャンネルグループについても同様である。
【0031】
なお、本実施の形態ではディスプレイの複数のチャンネルを複数にグループ分けして、各グループごとに発振検知回路を配置する形態を例示して説明したが、これに限られず、全チャンネルに対して1つの発振検知回路を配置し、接続する出力アンプ14を切り換える形態としてもよい。またグループ分けするチャンネルの数は等しくとも、異なっていてもよい。
【0032】
以上のように、本実施の形態に係るディスプレイドライバ回路10Aによれば、発振検知回路16の少なくとも一部を、時分割制御により複数のディスプレイドライバ回路10Aのグループで共用化することにより、発振検知回路16の回路規模をおよそグループ数分の1に抑制することが可能となる。
【符号の説明】
【0033】
10、10A ディスプレイドライバ回路
12 デジタルアナログ変換回路
14 出力アンプ
16、16A 発振検知回路
18 パルスカウンタ
20 ラッチ回路
22 抵抗
24 発振防止回路
26、26A 自己バイアス生成回路
28、28A 電流制御バッファ
30 容量
32 共用回路
MT 発振測定期間
out 出力端子
P1~P6 PMOSトランジスタ
N1~N7 NMOSトランジスタ
pb、nb バイアス端子
SW1、SW2 スイッチ