(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-23
(45)【発行日】2023-01-06
(54)【発明の名称】半導体製造装置ツールにおけるニューラルネットワークを用いたチャンバ整合化
(51)【国際特許分類】
H01L 21/02 20060101AFI20221226BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20221226BHJP
C23C 16/52 20060101ALI20221226BHJP
C23C 14/54 20060101ALI20221226BHJP
G03F 7/20 20060101ALI20221226BHJP
H01L 21/027 20060101ALI20221226BHJP
G06N 3/02 20060101ALI20221226BHJP
【FI】
H01L21/02 Z
H01L21/302 101Z
H01L21/302 101M
C23C16/52
C23C14/54
G03F7/20 521
H01L21/30 564Z
H01L21/30 569F
G06N3/02
(21)【出願番号】P 2021544211
(86)(22)【出願日】2020-01-06
(86)【国際出願番号】 US2020012416
(87)【国際公開番号】W WO2020159673
(87)【国際公開日】2020-08-06
【審査請求日】2021-07-28
(32)【優先日】2019-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】M/S 1269,3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100176418
【氏名又は名称】工藤 嘉晃
(72)【発明者】
【氏名】ハオ ヘン
(72)【発明者】
【氏名】リャオ ティアンチン
(72)【発明者】
【氏名】ディダリ シマ
(72)【発明者】
【氏名】ラヤゴパル ハリクリシュナン
【審査官】小池 英敏
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0082826(US,A1)
【文献】特表2014-519182(JP,A)
【文献】特開2018-112863(JP,A)
【文献】特開2018-147172(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1094598(KR,B1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0030632(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/02
H01L 21/3065
C23C 16/52
C23C 14/54
G03F 7/20
H01L 21/027
G06N 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板を処理する処理チャンバを整合させる方法であって、前記方法が、
仕様の範囲内にある第1の処理チャンバの1つまたは複数のセンサの入力時系列データの第1のセットを
ディープオートエンコーダ型ニューラルネットワークに供給して、出力時系列データの対応する第1のセットを生成することにより、前記
ディープオートエンコーダ型ニューラルネットワークを訓練すること、
入力時系列データの前記第1のセットと出力時系列データの前記対応する第1のセットとの間の第1の誤差を計算すること、
試験下の第2の処理チャンバに関連付けられた対応する1つまたは複数のセンサからの入力時系列データの第2のセットを訓練された前記
ディープオートエンコーダ型ニューラルネットワークに供給して、出力時系列データの対応する第2のセットを生成すること、
入力時系列データの前記第2のセットと出力時系列データの前記対応する第2のセットとの間の第2の誤差を計算すること、および
前記第2の誤差と前記第1の誤差の差が、しきい量に等しいかまたは前記しきい量よりも大きいことに応答して、試験下の前記第2の処理チャンバは仕様の範囲内にある前記第1の処理チャンバと整合していないと宣言すること
を含む方法。
【請求項2】
前記第2の誤差と前記第1の誤差の前記差が前記しきい量よりも小さいことに応答して、試験下の前記第2の処理チャンバは仕様の範囲内にある前記第1の処理チャンバと整合していると宣言する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の処理チャンバおよび前記第2の処理チャンバが第1のタイプの処理チャンバであり、前記第1のタイプの試験下の第3の処理チャンバをさらに含み、前記方法が、
試験下の前記第3の処理チャンバに関連付けられた対応する1つまたは複数のセンサからの入力時系列データの第3のセットを訓練された前記
ディープオートエンコーダ型ニューラルネットワークに供給して、出力時系列データの対応する第3のセットを生成すること、
入力時系列データの前記第3のセットと出力時系列データの前記対応する第3のセットとの間の第3の誤差を計算すること、ならびに
前記第2の誤差と前記第3の誤差の和と前記第1の誤差との差が、
2倍の前記しきい量に等しいかまたは
2倍の前記
しきい量よりも大きいことに応答して、試験下の前記第2の処理チャンバおよび試験下の前記第3の処理チャンバは、仕様の範囲内にある前記第1の処理チャンバと整合していないと宣言すること
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第2の誤差
の重み付けされた和と前記第1の誤差との前記差が前記
しきい量よりも小さいことに応答して、試験下の前記第2の処理チャンバおよび試験下の前記第3の処理チャンバは、仕様の範囲内にある前記第1の処理チャンバと整合していると宣言する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の処理チャンバおよび前記第2の処理チャンバが第1のタイプの
仕様の範囲内にある処理チャンバであり、第2のタイプの処理チャンバである
試験下の第3の処理チャンバ、および前記第2のタイプの処理チャンバである試験下の第4の処理チャンバをさらに含み、前記方法が、
仕様の範囲内にある前記第3の処理チャンバの1つまたは複数のセンサの入力時系列データの第3のセットを前記
ディープオートエンコーダ型ニューラルネットワークに供給して、訓練後の出力時系列データの対応する第3のセットを生成すること、
入力時系列データの前記第3のセットと訓練後の出力時系列データの前記対応する第3のセットとの間の第3の誤差を計算すること、
試験下の前記第4の処理チャンバに関連付けられた対応する1つまたは複数のセンサからの入力時系列データの第4のセットを訓練された前記
ディープオートエンコーダ型ニューラルネットワークに供給して、出力時系列データの対応する第4のセットを生成すること、
入力時系列データの前記第4のセットと出力時系列データの前記対応する第4のセットとの間の第4の誤差を計算すること、ならびに
前記第2の誤差と前記第4の誤差の第1の和と前記第1の誤差と前記第3の誤差の第2の和との差が、第2のしきい量に等しいかまたは前記第2のしきい量よりも大きいことに応答して、試験下の前記第2の処理チャンバおよび試験下の前記第4の処理チャンバは、仕様の範囲内にある前記第1の処理チャンバおよび仕様の範囲内にある前記第3の処理チャンバと整合していないと宣言すること
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第2の誤差と前記第4の誤差の前記第1の和と前記第1の誤差と前記第3の誤差の前記第2の和との差が、前記第2のしきい量よりも小さいことに応答して、試験下の前記第2の処理チャンバおよび試験下の前記第4の処理チャンバはそれぞれ、仕様の範囲内にある前記第1の処理チャンバおよび仕様の範囲内にある前記第3の処理チャンバと整合していると宣言する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
チャンバの不整合の宣言に応答して補正処置をとらせることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記
ディープオートエンコーダ型ニューラルネットワークが再構成誤差を最小化する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の誤差および前記第2の誤差が平均2乗誤差である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
再構成誤差を最小化することが、前記
ディープオートエンコーダ型ニューラルネットワークに供給された入力時系列データのセットと前記
ディープオートエンコーダ型ニューラルネットワークによって出力された時系列データの対応するセットとの間の平均2乗誤差を最小化する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
メモリと、
半導体基板を処理する処理チャンバを整合させる方法を実行するように構成されたプロセッサと
を備え、前記方法が、
仕様の範囲内にある第1の処理チャンバの1つまたは複数のセンサの入力時系列データの第1のセットを
ディープオートエンコーダ型ニューラルネットワークに供給して、出力時系列データの対応する第1のセットを生成することにより、前記
ディープオートエンコーダ型ニューラルネットワークを訓練すること、
入力時系列データの前記第1のセットと出力時系列データの前記対応する第1のセットとの間の第1の誤差を計算すること、
試験下の第2の処理チャンバに関連付けられた対応する1つまたは複数のセンサからの入力時系列データの第2のセットを訓練された前記
ディープオートエンコーダ型ニューラルネットワークに供給して、出力時系列データの対応する第2のセットを生成すること、
入力時系列データの前記第2のセットと出力時系列データの前記対応する第2のセットとの間の第2の誤差を計算すること、および
前記第2の誤差と前記第1の誤差の差が、しきい量に等しいかまたは前記しきい量よりも大きいことに応答して、試験下の前記第2の処理チャンバは仕様の範囲内にある前記第1の処理チャンバと整合していないと宣言すること
を含む、コンピュータシステム。
【請求項12】
前記第2の誤差と前記第1の誤差の前記差が前記しきい量よりも小さいことに応答して、試験下の前記第2の処理チャンバは仕様の範囲内にある前記第1の処理チャンバと整合していると宣言する、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記第1の処理チャンバおよび前記第2の処理チャンバが第1のタイプの処理チャンバであり、前記第1のタイプの試験下の第3の処理チャンバをさらに含み、前記方法が、
試験下の前記第3の処理チャンバに関連付けられた対応する1つまたは複数のセンサからの入力時系列データの第3のセットを訓練された前記
ディープオートエンコーダ型ニューラルネットワークに供給して、出力時系列データの対応する第3のセットを生成すること、
入力時系列データの前記第3のセットと出力時系列データの前記対応する第3のセットとの間の第3の誤差を計算すること、ならびに
前記第2の誤差と前記第3の誤差の和と前記第1の誤差との差が、
2倍の前記しきい量に等しいかまたは
2倍の前記
しきい量よりも大きいことに応答して、試験下の前記第2の処理チャンバおよび試験下の前記第3の処理チャンバは、仕様の範囲内にある前記第1の処理チャンバと整合していないと宣言すること
をさらに含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記第1の処理チャンバおよび前記第2の処理チャンバが第1のタイプの
仕様の範囲内にある処理チャンバであり、第2のタイプの処理チャンバである
試験下の第3の処理チャンバ、および前記第2のタイプの処理チャンバである試験下の第4の処理チャンバをさらに含み、前記方法が、
仕様の範囲内にある前記第3の処理チャンバの1つまたは複数のセンサの入力時系列データの第3のセットを前記
ディープオートエンコーダ型ニューラルネットワークに供給して、訓練後の出力時系列データの対応する第3のセットを生成すること、
入力時系列データの前記第3のセットと訓練後の出力時系列データの前記対応する第3のセットとの間の第3の誤差を計算すること、
試験下の前記第4の処理チャンバに関連付けられた対応する1つまたは複数のセンサからの入力時系列データの第4のセットを訓練された前記
ディープオートエンコーダ型ニューラルネットワークに供給して、出力時系列データの対応する第4のセットを生成すること、
入力時系列データの前記第4のセットと出力時系列データの前記対応する第4のセットとの間の第4の誤差を計算すること、ならびに
前記第2の誤差と前記第4の誤差の第1の和と前記第1の誤差と前記第3の誤差の第2の和との差が、第2のしきい量に等しいかまたは前記第2のしきい量よりも大きいことに応答して、試験下の前記第2の処理チャンバおよび試験下の前記第4の処理チャンバは、仕様の範囲内にある前記第1の処理チャンバおよび仕様の範囲内にある前記第3の処理チャンバと整合していないと宣言すること
をさらに含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項15】
前記第2の誤差と前記第4の誤差の前記第1の和と前記第1の誤差と前記第3の誤差の前記第2の和との差が、前記第2のしきい量よりも小さいことに応答して、試験下の前記第2の処理チャンバおよび試験下の前記第4の処理チャンバはそれぞれ、仕様の範囲内にある前記第1の処理チャンバおよび仕様の範囲内にある前記第3の処理チャンバと整合していると宣言する、請求項14に記載の
システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載された実施態様は一般に、時系列トレース(time-series trace)を解析して、試験下の半導体処理チャンバと仕様(specifications)の範囲内にあることが分かっている対応する半導体処理チャンバとの間の不整合を検出することに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体産業では、以前から、改良されたプロセス再現性および制御が求められている。新世代の集積回路は、以前の世代で企図された特徴サイズよりも小さな特徴サイズを使用するため、集積回路製造プロセスに対する要求はより大きくなる。プラズマ環境での半導体基板の1つまたは複数の層の堆積およびエッチングは、集積回路製造における最も一般的なステップのうちの2つのステップである。正しい量および質の膜が堆積することまたはエッチングされることを保証するため、生産基板処理前、処理中および処理後に、プロセスチャンバのプラズマ状態を包括的にモニタリングする必要がある。生産基板処理前の包括的なチャンバモニタリングは、適正なチャンバ資格認定(chamber qualification)がなされることを可能にする。生産基板処理中の包括的なチャンバモニタリングは、正しい終点および欠陥の検出を可能にする。生産基板処理後の包括的なチャンバモニタリングは、基板処理中に欠陥が検出された場合の欠陥源の診断を可能にする。
【0003】
正しい量および質の膜が堆積することまたはエッチングされることを保証するため、プロセスチャンバをモニタリングし、「基準」チャンバ(「良(good)」チャンバまたは「ゴールデン(golden)」チャンバ)と比較する必要がある。チャンバを比較するために使用される手順は、時に、チャンバ整合化(chamber matching)と呼ばれる。チャンバ整合化は、1つまたは複数の処理チャンバの出力が、生産されるデバイスの特性に関して、仕様の範囲内に正確に整合されている状態である。半導体製造では、使用される生産処理装置の変量がある動作限度内にとどまるように、その生産処理装置が制御される。これらの限度は、非常に幅が狭くなることがあり、通常は、プロセスの異なるステップ、ステージまたはフェーズを通して変動する。処理の間、これらの動作限度内にとどまることに失敗すると、処理されているデバイスおよび/またはウエハの損失または損傷が容易に引き起こされうる。
【0004】
チャンバ整合化手順は、チャンバの使用中のさまざまな時点で使用される。プロセスチャンバが新たに製造されたときには、チャンバの資格を認定する必要があり、これは通常、整合化を含む。チャンバを整合させた後、次いで、チャンバを半導体製造施設に出荷することができる。チャンバが半導体製造施設に到着した後、生産材料を処理する前に、チャンバを再び組み立て、再び「資格認定する」。さらに、半導体製造施設において、プラズマ堆積またはエッチングチャンバを潜在的に使用して、異なる基板に対する異なるプロセス手順(process recipe)をランすることができる。プロセス手順を変更する前に、通常は、チャンバを再び「整合させて」、プロセス手順の変更が実施される前にチャンバが正常に動作していることを保証する必要がある。最後に、生産チャンバは、正規の保守または洗浄を経なければならない。保守またはチャンバ洗浄の後、生産ウエハをランする前に、チャンバを再び「整合させる」必要がある。新世代の半導体製造に関しては、プロセス再現性および制御を保証するために、包括的なプラズマモニタリングを利用する厳しいチャンバ整合化技法が必要とされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
現行のチャンバ整合化技法の大部分は、マルチバリアントセンサデータに対して複雑な特徴エンジニアリングを実行することができるように、チャンバの深い理解を必要とし、したがって、あまりに手順依存であること、スケールアップがあまりにゆっくりであること、ならびに開発および保守があまりに高額であることという欠点を有する。さらに、現行の技法の大部分は、マルチチャンバ整合化を同時に取り扱うことができない。
【0006】
したがって、より正確なチャンバ整合化手法を提供する方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
半導体基板を処理する処理チャンバを整合させる方法が開示される。一実施態様では、この方法が、仕様の範囲内にある第1の処理チャンバの1つまたは複数のセンサの入力時系列データの第1のセットをニューラルネットワークに供給して、出力時系列データの対応する第1のセットを生成することにより、ニューラルネットワークを訓練することを含む。この方法は、入力時系列データの第1のセットと出力時系列データの対応する第1のセットとの間の第1の誤差を計算することをさらに含む。この方法は、試験下の第2の処理チャンバに関連付けられた対応する1つまたは複数のセンサからの入力時系列データの第2のセットを訓練されたニューラルネットワークに供給して、出力時系列データの対応する第2のセットを生成することをさらに含む。この方法は、入力時系列データの第2のセットと出力時系列データの対応する第2のセットとの間の第2の誤差を計算することをさらに含む。この方法は、第2の誤差と第1の誤差の差が、しきい量(threshold amount)に等しいかまたはしきい量よりも大きいことに応答して、試験下の第2の処理チャンバは仕様の範囲内にある第1の処理チャンバと整合していないと宣言することをさらに含む。
【0008】
別の実施態様では、コンピュータシステムが提供され、このコンピュータシステムは、メモリと、半導体基板を処理する処理チャンバを整合させる方法を実行するように構成されたプロセッサとを備える。このコンピュータシステムは、仕様の範囲内にある第1の処理チャンバの1つまたは複数のセンサの入力時系列データの第1のセットをニューラルネットワークに供給して、出力時系列データの対応する第1のセットを生成することにより、ニューラルネットワークを訓練する。このコンピュータシステムは、入力時系列データの第1のセットと出力時系列データの対応する第1のセットとの間の第1の誤差を計算する。このコンピュータシステムは、試験下の第2の処理チャンバに関連付けられた対応する1つまたは複数のセンサからの入力時系列データの第2のセットを訓練されたニューラルネットワークに供給して、出力時系列データの対応する第2のセットを生成する。このコンピュータシステムは、入力時系列データの第2のセットと出力時系列データの対応する第2のセットとの間の第2の誤差を計算する。第2の誤差と第1の誤差の差が、しきい量に等しいかまたはしきい量よりも大きいことに応答して、このコンピュータシステムは、試験下の第2の処理チャンバは仕様の範囲内にある第1の処理チャンバと整合していないと宣言する。
【0009】
別の実施態様では、非一過性コンピュータ可読媒体が提供され、この非一過性コンピュータ可読媒体は、半導体基板を処理する処理チャンバを整合させる方法を実行するための命令を含む。この方法は、仕様の範囲内にある第1の処理チャンバの1つまたは複数のセンサの入力時系列データの第1のセットをニューラルネットワークに供給して、出力時系列データの対応する第1のセットを生成することにより、ニューラルネットワークを訓練することを含む。この方法は、入力時系列データの第1のセットと出力時系列データの対応する第1のセットとの間の第1の誤差を計算することをさらに含む。この方法は、試験下の第2の処理チャンバに関連付けられた対応する1つまたは複数のセンサからの入力時系列データの第2のセットを訓練されたニューラルネットワークに供給して、出力時系列データの対応する第2のセットを生成することをさらに含む。この方法は、入力時系列データの第2のセットと出力時系列データの対応する第2のセットとの間の第2の誤差を計算することをさらに含む。この方法は、第2の誤差と第1の誤差の差が、しきい量に等しいかまたはしきい量よりも大きいことに応答して、試験下の第2の処理チャンバは仕様の範囲内にある第1のチャンバと整合していないと宣言することをさらに含む。
【0010】
上に挙げた本開示の特徴を詳細に理解することができるように、上に概要を簡単に示した実施態様が、そのうちのいくつかが添付図面に示されている実施態様を参照することにより、より具体的に説明されていることがある。しかしながら、添付図面は、本開示の典型的な実施態様だけを示しており、したがって、添付図面を、本開示の範囲を限定するものとみなすべきではないことに留意すべきである。これは、本開示が、等しく有効な他の実施態様を受け入れる可能性があるためである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の一実施形態による、基板処理用の複数の製造ツールを概略的に示す図である。
【
図2】本開示の実施形態を実施することができるネットワーク環境を示す図である。
【
図3】本開示の実施形態で使用されるディープオートエンコーダ(deep auto-encoder)を示す図である。
【
図4】ディープオートエンコーダのアーキテクチャをモジュール方式で示す図である。
【
図5】本開示の実施形態による、チャンバ整合化解析エンジンの構成要素を示す図である。
【
図6】1つのゴールデンチャンバおよびゴールデンチャンバと同じタイプの試験下の1つの処理チャンバについて、半導体製造ツールのプロセスチャンバ間の不整合を検出する方法の一実施形態を示す図である。
【
図7】1つのゴールデンチャンバおよびゴールデンチャンバと同じタイプの試験下の複数の処理チャンバについて、半導体製造ツールのプロセスチャンバ間の不整合を検出する方法の一実施形態を示す図である。
【
図8】異なるタイプの複数のゴールデンチャンバおよびゴールデンチャンバとは異なる対応するタイプの試験の下の複数の処理チャンバについて、半導体製造ツールのプロセスチャンバ間の不整合を検出する方法の一実施形態を示す図である。
【
図9】本開示の実施形態を実施することができる例示的なコンピュータシステムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
理解を容易にするため、可能な場合には、図に共通する同一の要素を示すために、同一の参照符号を使用した。特段の言及なしに、1つの実施態様の要素および特徴を別の実施態様に有益に組み込み得ることが企図される。
【0013】
以下の開示は、製造ツールの複数のセンサから受け取った時系列データの異常(anomaly)を検出する方法を説明する。以下の説明および
図1~7には、本開示のさまざまな実施態様の完全な理解を提供するためのある詳細が記載されている。さまざまな実施態様の説明を不必要に不明瞭にすることを避けるため、以下の開示には、プラズマエッチングにしばしば関連するよく知られた構造およびシステムを記述する他の詳細が記載されていない。
【0014】
図に示された詳細、寸法、構成要素およびその他の特徴の多くは、特定の実施態様の例に過ぎない。したがって、他の実施態様は、本開示の趣旨または範囲から逸脱することなく、他の詳細、構成要素、寸法、角度および特徴を有することができる。さらに、下に記載された詳細のうちのいくつかの詳細がなくても、本開示のさらなる実施態様を実施することができる。
【0015】
生産装置の適正な動作を達成することは通常、処理前の装置の初期設定および構成と、処理中の装置のモニタリングおよび制御の両方を含む。プロセスチャンバに関して、この初期設定はチャンバ整合化を含みうる。上述のとおり、チャンバ整合化は、依頼されているチャンバの性能が知られている一組の良チャンバからのデータと比較される方法である。プロセスチャンバのモニタリングおよび制御に関しては、通常、欠陥検出法が使用される。チャンバ欠陥検出では、データをモニタリングおよび解析して、チャンバの知られている良(正常)動作からの振る舞い偏差(behavioral deviation)を識別する。
【0016】
チャンバ整合化によってプロセス装置(process equipment)の性能が確認(および補正)された後、プロセスをモニタリングおよび制御する方法を使用してチャンバを動作させることができる。このような方法は欠陥検出を含み、この欠陥検出では、データが、プロセスツールからモニタリングされ、振る舞い偏差に関して解析される。最も単純な手法の1つは、統計的プロセス制御(statistical process control)、つまりSPCを使用するものであり、このSPCでは、ある量が、上および下制御限界に対してモニタリングされる。このような制御限界は、単純な固定値から複雑な定義を有する値までの範囲に及びうる。1つの量がある限界を超えた場合、そのチャンバは「不良(faulted)」とされ、処理は停止される。この手法は、基板が誤って処理されないことを保証し、そのため、この手法は、スクラップ損を低減させ、チャンバ操作者にこの問題を直ちに知らせる。基板処理のための手順を実行する場合、このSPC手法は制限される。これは、基板を処理する間、処理チャンバは、その動作空間の異なる一連の領域で動作するためである。単純なSPC法を用いて手順実行(および振る舞い)の動態を追跡することは難しい。
【0017】
製造環境において、プロセス手順は通常、限界寸法(critical dimension)(CD)およびエッチング速度(etch rate)(ER)などの計測値(metrology value)を整合させるように調整されている。しかしながら、この手法では、少なくとも、試験および計測のために、処理された基板をプロセスラインから取り出す必要があり、その結果、生産性が失われる。さらに、本来、いくつかの計測技法は破壊的であり、その結果、エッチング速度(ER)を検証するため、よりいっそう重要には限界寸法(CD)を検証するために基板が破壊されることにより、収益が失われる。処理された基板を計測ステーションに送る時間消費的な輸送、またはよりいっそうコストがかかる破壊的な計測技法なしでチャンバ整合化およびプロセス調整を確認することを可能にするであろう診断が求められている。そのような新規の診断は、プラズマ処理チャンバ上の既存のセンサから集められたデータを、チャンバ整合化ならびに仕様の範囲内の限界寸法(CD)およびエッチング速度(ER)を保証する目的に活用するであろう。
【0018】
先行技術のチャンバ整合化では、モジュールレベルのセンサ値を整合させること、例えば整合ネットワーク上のキャパシタンス位置を整合させることが、デバイス生産中のプラズマパラメータの整合化、したがって生産されるデバイスの特性を保証しない。通常、センサ間変動が、センサ値の直接整合化を有用にするのを妨げる。さらに、統計学的欠陥検出システムの使用は、正常状態と異常状態の間、例えば正常プラズマ状態と異常プラズマ状態の間に、処理されたデバイスから取得されたCD計測データによって定義されるユーザ定義の境界を定義することを要求する。(制御および測定された)パラメータと限界寸法(CD)との間の直接リンクは存在しないため、そのようなシステムは欠陥を過剰診断する傾向がある。言い換えると、実際に、生産されたデバイスが依然として仕様の範囲内にあるときの欠陥検出の頻度が増大する可能性がある。例えば、パラメータのある良性の変動が偽の欠陥検出を引き起こしうる。あるいは、チャンバ整合化、保守後シーズニングなどの用途に関して、生産されたデバイスの特性に有害でないあるパラメータのわずかな不整合によって、保守担当者が、そのチャンバを長期間、生産に復帰させないことが起こる可能性があり、このことが、不必要な収益損につながる可能性がある。上記の短所に対処するため、本明細書に記載された実施形態は、正常状態と不良なまたは整合していないチャンバ状態との間のより信頼性の高い境界を確立する。
【0019】
シリコン基板上での集積回路の製造は、複数の処理チャンバを含む単一の処理システムまたは「ツール」内で実行することができる異なる一連の処理操作を含む。さらに、これらの多数のシリコン基板処理操作は、1つの時間にわたって実行される。プロセスは、第1の操作から第2の操作への遷移を含むことがある。時系列トレースデータは、遷移(例えば時系列遷移)を含む1つの時間にわたって集められたデータである。試験下のチャンバの限界寸法および製造処理、例えばエッチング速度の測定に関連したセンサの時系列トレースデータは、「ゴールデン」チャンバ、つまり仕様の範囲内にあることが分かっているチャンバの対応する時系列データと比較するための代理の役目を果たすことができる。
【0020】
時系列トレースデータ解析は、チャンバ整合化で使用するプロセスセンサ時系列トレースデータの時系列異常をモニタリングする能力を提供する。時系列トレースデータ解析は、従来の方法によっては検出できない稀な、奇妙なおよび/または予期しないシーケンス(例えば、時系列トレースデータの曲線(サンプルに対してプロットされた値)の形状、振幅、位置など)を検出することができる。一実施形態では、ディープオートエンコーダ型のニューラルネットワークが、訓練時系列トレースデータの再構成誤差を最小化するように訓練される。サーバが、仕様の範囲内にあることが分かっている第1の処理チャンバの1つまたは複数のセンサの入力時系列データの第1のセットをニューラルネットワークに供給して、訓練後の出力時系列データ(trained output time-series data)の対応する第1のセットを生成するように構成される。このサーバはさらに、入力時系列データの第1のセットと訓練後の出力時系列データの対応する第1のセットとの間の第1の誤差を計算するように構成される。このサーバはさらに、試験下の第2の処理チャンバに関連付けられた対応する1つまたは複数のセンサからの入力時系列データの第2のセットを、訓練されたニューラルネットワークに供給して、出力時系列データの対応する第2のセットを生成するように構成される。このサーバはさらに、入力時系列データの第2のセットと出力時系列データの対応する第2のセットとの間の第2の誤差を計算するように構成される。第2の誤差と第1の誤差の差が、しきい量に等しいかまたはしきい量よりも大きい場合、このサーバは、試験下の第2の処理チャンバは仕様の範囲内にある第1の処理チャンバと整合していないと宣言する。
【0021】
図1は、本開示の一実施形態による、チャンバ整合化を含む基板処理用の製造ツール101を概略的に示している。プロセスシーケンスを実行するように構成された他のツールで、本明細書に記載された方法を実施することも企図される。例えば、
図1に具体的に示された製造ツール101は、米カリフォルニア州Santa ClaraのApplied Materials,Inc.から販売されているENDURA(登録商標)クラスタツールである。
【0022】
製造ツール101は、そこからデータを取得することができる1つまたは複数のツールを代表している。製造ツール101は、真空密構造(vacuum-tight)の一組の処理チャンバおよびファクトリインターフェース102を含む。複数の処理チャンバ108、110、114、112、116、118は個々の処理ステップを実行する。ファクトリインターフェース102は、ロードロックチャンバ120によって移送チャンバ104に結合されている。
【0023】
一実施形態では、ファクトリインターフェース202が、少なくとも1つのドッキングステーション、少なくとも1つの基板移送エンドエフェクタ138、および少なくとも1つの基板アライナ(aligner)140を備える。ドッキングステーションは、フロントオープニングユニファイドポッド(front opening unified pod)(FOUP)128を受け入れるように構成されている。
図1の実施形態には2つのFOUP128A、128Bが示されている。基板移送エンドエフェクタ138は、ファクトリインターフェース102からロードロックチャンバ120に基板を移送するように構成されている。
【0024】
ロードロックチャンバ120は、ファクトリインターフェース102に結合された第1のポートおよび第1の移送チャンバ104に結合された第2のポートを有する。ロードロックチャンバ120は圧力制御システムに結合されており、圧力制御システムは、移送チャンバ104の真空環境とファクトリインターフェース102の実質的な周囲環境(例えば大気環境)との間で基板を移送することを容易にするために、必要に応じてチャンバ120を減圧し、チャンバ120に通気する。
【0025】
第1の移送チャンバ104内および第2の移送チャンバ103内にはそれぞれ、第1のエンドエフェクタ107および第2のエンドエフェクタ105が配されている。エンドエフェクタ105、107間での基板の移送を容易にするために、移送チャンバ104には2つの基板移送プラットホーム106Aは、106Bが配されている。それぞれの移送チャンバ103、104内において異なる動作圧力を維持することを可能にするために、プラットホーム106A、106Bは、移送チャンバ103、104に対して開くこともでき、または移送チャンバ103、104から選択的に分離する(すなわち封鎖する)こともできる。
【0026】
第1の移送チャンバ104内に配されたエンドエフェクタ107は、ロードロックチャンバ120、処理チャンバ116、118および基板移送プラットホーム106A、106B間で基板を移送することができる。第2の移送チャンバ103内に配されたエンドエフェクタ105は、基板移送プラットホーム106A、106Bと処理チャンバ112、114、110、108との間で基板を移送することができる。
【0027】
一実施形態では、処理チャンバ108、110、114、112、118、116のうちの1つまたは複数の処理チャンバ(例えば110)を、1つまたは複数の「ゴールデンチャンバ」として指定されることができ、一方、残りのチャンバ108、114、112、118、116は、ゴールデンチャンバに対して整合させる試験下の処理チャンバである。別の実施形態では、全ての処理チャンバ108、110、114、112、118、116を試験下の処理チャンバとして指定することができる。処理チャンバ108、110、114、112、118、116のうちの1つまたは複数の処理チャンバを試験するために、1つまたは複数の別個のゴールデンチャンバ(図示せず)を提供することができる。別の実施形態では、サーバ(図示せず)が処理チャンバ108、110、114、112、118、116から取得されたトレースデータと比較するために、1つまたは複数のタイプの1つまたは複数のゴールデンチャンバから取得されたトレースデータをデータベースに記憶することができ、本明細書において後に論じるニューラルネットワークを使用したサーバによるチャンバ整合化のために処理することができる。
【0028】
いくつかの実施形態では、製造ツール101が、製造実行システム(manufacturing execution system)(MES)に関連付けられている。このデータは、例えば、さまざまなセンサの時系列トレースを含むことができる。サーバなどの中央位置でこのデータを集計および解析することができ、このデータを使用して、チャンバの整合または不整合を、時系列トレースデータに基づいてリアルタイムで検出することができる。
【0029】
時系列トレースデータの異常が検出された結果として識別された問題に関して必要に応じて補正処置(corrective action)をとることができるように、このトレースデータを、サーバから、解析することができるMESに提供することができる。この異常の検出は、チャンバ間の不整合の宣言に帰着する。サーバはさらに、データの解析に基づいて(例えばセンサの時系列トレースデータと基板のパラメータを測定する他のセンサから取得された計測データとの間の相関を識別することに基づいて)、とるべき適切な補正処置を決定することができ、補正処置を実行するための命令を提供することができる。いくつかの実施形態では、MESが、予測情報に基づいて、補正処置(例えばリソグラフィツールのパラメータを再較正または調整すること、基板に対する製造プロセスを部分的にやり直すこと、または他の適当なコンピューティングデバイス)を自動的にとることができる。ある種の実施形態では、予測情報が、基板の1つまたは複数のパラメータに関する問題を識別した場合に、基板を(例えば計測ツールを使用して)解析することによって、その問題を検証することができる。基板を解析することによって問題が確認された場合には、補正処置を(例えば手動でまたはMESによって自動的に)とることができる。
【0030】
図2は、本開示の実施形態を実施することができるネットワーク環境200を示している。示されているとおり、ネットワーク環境200は、ネットワーク210を介して別のサーバ230に接続されたサーバ220を含み、サーバ230は、1つまたは複数の製造ツール101に接続されている。ネットワーク210は例えばインターネットを含むことができる。別の実施形態ではさらに、製造ツール101がサーバ220に直接に接続されている。
【0031】
サーバ220は、ラックサーバ、デスクトップもしくはラップトップコンピュータ、移動電話、タブレットまたは他の適当なコンピューティングデバイスなどのコンピューティングデバイスを含むことができる。示されているとおり、サーバ220は、チャンバ整合化解析エンジン222を含み、チャンバ整合化解析エンジン222は、チャンバを整合させることに関する決定および予測を実施することに関係した本明細書に記載された操作を実行することができる。チャンバ整合化解析エンジン222は、データ源206A~N(例えばセンサ)を識別する。データ源206A~N(例えばセンサ)は、システムを定義し、かつ/または製造ツール101などのシステムをモニタリングするために使用される。
【0032】
例えば、チャンバ整合化解析エンジン222は、チャンバの整合または不整合を検出、解析および検証するために、MES232から受け取った時系列センサデータまたは製造ツール101から直接に受け取った時系列センサデータを解析することができる。
【0033】
例えば、チャンバ整合化解析エンジン222は、1つまたは複数の処理チャンバのセンサトレースデータと、データベース240に記憶された対応するゴールデンチャンバの対応するセンサトレースデータとの不整合を検出するために、MES232から受け取ったプロセスおよび基板センサ情報、または製造ツール101内に適用されたセンサから直接に受け取ったプロセスおよび基板センサ情報を解析することができる。いくつかの実施形態では、サーバ220およびデータベース240が製造ツール101から分離している。他の実施形態では、サーバ220およびデータベース240を製造ツール101の部分とすることができ、またはオフラインサーバとすることができる。
【0034】
例えば、チャンバ整合化解析エンジン222は、シリコン基板を処理するように構成された製造ツール101に関連付けられた複数のセンサから集められた、温度、ガス流量またはRF電源電流などを表す、MES232からの時系列センサトレースデータを受け取ることができる。チャンバ整合化解析エンジン222は、入力訓練時系列データの再構成誤差を最小化するように訓練されたディープオートエンコーダ型のニューラルネットワークを使用することができる。
【0035】
チャンバ整合化解析エンジン222は、製造ツール101のゴールデンチャンバから直接に取得された、またはゴールデンチャンバのトレースを記憶したデータベース240から取得された、仕様の範囲内にあることが分かっている第1の処理チャンバ(例えばゴールデンチャンバ)の1つまたは複数のセンサの入力時系列データの第1のセットを、ニューラルネットワークに供給して、訓練後の出力時系列データの対応する第1のセットを生成することができる。チャンバ整合化解析エンジン222はさらに、入力時系列データの第1のセットと訓練後の出力時系列データの対応する第1のセットとの間の第1の誤差を計算するように構成されている。チャンバ整合化解析エンジン222はさらに、試験下の第2の処理チャンバに関連付けられた対応する1つまたは複数のセンサからの入力時系列データの第2のセットを、訓練されたニューラルネットワークに供給して、出力時系列データの対応する第2のセットを生成するように構成されている。チャンバ整合化解析エンジン222はさらに、入力時系列データの第2のセットと出力時系列データの対応する第2のセットとの間の第2の誤差を計算するように構成されている。第2の誤差と第1の誤差の差が、しきい量に等しいかまたはしきい量よりも大きい場合、チャンバ整合化解析エンジン222は、試験下の第2の処理チャンバは仕様の範囲内にある第1の処理チャンバと整合していないと宣言する。第2の誤差と第1の誤差の差がしきい量よりも小さい場合、チャンバ整合化解析エンジン222は、試験下の第2の処理チャンバは仕様の範囲内にある第1の処理チャンバと整合していると宣言する。
【0036】
一例では、計算された誤差が、チャンバのトレースデータの全分布の計算された平均2乗誤差である。しきい量は、カットオフ(cutoff)として、この平均2乗誤差に訓練再構成平均2乗誤差の3シグマを加えたものに設定することができる。チャンバ整合化解析エンジン222は、不整合の原因となった、試験下のチャンバの1つまたは複数の時系列トレースデータの異常の源を除去するための補正処置をとるように、製造システム(MES)232に命令することができる。
【0037】
チャンバ整合化解析エンジン222は、センサデータの将来の異常に関する予測情報をMES232に提供することができる。いくつかの実施形態では、チャンバ整合化解析エンジン222がさらに、このデータに基づいて、プロセスまたは個々の基板に関してとるべき補正処置を決定することができる。例えば、チャンバ整合化解析エンジン222は、ある種の基板パラメータ問題に相関した、温度センサに関連した測定された異常と、ツールパラメータとの間の相関を識別すること、およびそのツールパラメータをある量だけ調整すべきであると判定することができる。さらに、チャンバ整合化解析エンジン222は、予測される1つまたは複数のパラメータを許容範囲に入れるために基板上で実行すべき処置(例えばオーバレイマークの補正、基板のストリッピングおよび再コーティングなど)を決定することができる。
【0038】
基板品質に関するパラメータについての予測情報は、担当者またはMES232が製造プロセスを改良することを可能にすることができる(例えば、予測可能な特性を達成するためにリソグラフィ、エッチング、堆積および平坦化を改良することができる)。
【0039】
サーバ230は、ラックサーバ、デスクトップもしくはラップトップコンピュータ、移動電話、タブレットまたは他の適当なコンピューティングデバイスなどのコンピューティングデバイスを含むことができる。示されているとおり、サーバ220はMES232を含み、MES232は、シリコン基板の製造を管理することに関係した本明細書に記載された操作を実行することができる。例えば、MES232は、製造ツール101によって実行されるプロセスを調整することができ、製造ツール101からのデータ(例えばツールパラメータ、厚さ、光学反射率、吸収率、強度、オーバレイおよびアライメントデータ、基板を横切る限界寸法の変動など)、ならびに製造ツール101によって使用されるセンサからの時間トレースを集めることができる。いくつかの実施形態では、このデータを、製造プロセスが実行されたときの時間の経過に伴うセンサの振る舞いを表す時系列トレースとすることができる。MES232は、この情報を、チャンバ整合化解析エンジン222に(例えばネットワーク210を介して)提供することができ、チャンバ整合化解析エンジン222は、この情報を解析すること、および不整合の検出の検証を提供することができる。いくつかの実施形態では、チャンバ整合化解析エンジン222が、個々の欠陥、製造ツール101または製造プロセスのその他の態様に対してとるべき補正処置に関する命令をMES232に提供することができる。ある種の実施形態では、ある種のタスクを実行するように製造ツール101内の個々のチャンバの個々のセンサに命令すること(例えば、アライメント欠陥を補正するために基板のストリッピングおよび再コーティングを実行するようにリソグラフィツールに命令すること、または1つもしくは複数のパラメータを変更するように堆積ツールに命令すること)などにより、MES232が補正処置を自動的にとる。
【0040】
製造ツール101は、シリコン基板を製造することに関係したプロセスを実行する1つまたは複数のチャンバを含むことができる。例えば、製造ツール101は、リソグラフィチャンバ、エッチングチャンバ、堆積チャンバおよび平坦化チャンバを含むことができる。製造ツール101は、命令を受け取るため、および特定のチャンバ内のセンサからのデータ(例えば、製造中にセンサによって経時的に捕捉され、1つまたは複数のセンサによって出力された、基板のパラメータに関連した値を表す時系列データ)を提供するために、MES232と通信することができる。
【0041】
本開示の実施形態は、ディープオートエンコーダとして知られている人工ニューラルネットワークアーキテクチャを使用する。人工ニューラルネットワークは、人間の脳の神経回路網の動作原理から発想を得た機械学習モデルであり、分類および機能近似の問題に広範囲に適用されている。ディープラーニングは、タスク特定のアルゴリズムとは対照的な、データ表現を学習することに基づくより幅広い一群の機械学習法の部分である。ディープラーニングは、非線形処理ユニットの多数の層のカスケードを使用して入力データの特徴抽出および変形を実行する、機械学習アルゴリズムの一種である。それらの多数の層の連続するそれぞれの層は、直前の層からの出力を入力として使用する。次いで、それらの多数の層は、通常は教師なし(例えばパターン解析)方式で次元を低減させるために、一組の入力データの表現(エンコーディング)を学習するように訓練される。
【0042】
ディープオートエンコーダは、隠れノード(hidden node)の1つまたは複数の層を有するディープラーニングフィードフォワードニューラルネットワークの一型であり、隠れノードのうち、連続層のノードの数は通常、エンコーディング側半分の入力ノードよりも少なく、デコーディング側半分は通常、エンコーディング側半分に対して鏡面対称である構造を有する。ディープオートエンコーダのこの構造は、埋め込まれたニューラルネットワークが、ゴールデンチャンバまたは仕様の範囲内にあるチャンバの非異常入力センサトレースから導き出された一組の訓練データに対応する入力データの最良の表現を学習すること、および入力データを、入力センサトレースに対応する出力データとして再構成することを手助けする。一実施形態では、ディープオートエンコーダが、非異常センサトレースデータのランを用いて、ディープオートエンコーダの出力において入力センサトレースデータを再現するのに必要な、再構成誤差を最小化する最小限の一組の特徴を学習するように訓練される。より詳細には、この学習は、学習問題を解決しているときに性能が最大化されるような層間の接続重みを決定するプロセスである。この表現は、それぞれのセンサトレースのノーマルシグネチャ(normal signature)である。それに応じて、オートエンコーダは、入力と全く同じ出力を生成する。
【0043】
図3は、本開示の実施形態で使用されるディープオートエンコーダ300を示している。ディープオートエンコーダ300への入力データ302は、製造ツール101に関連付けられた複数のセンサの複数の時系列トレースデータの行列表現から、またはデータベース240に記憶された1つもしくは複数のゴールデンチャンバから導き出されたセンサトレースのタイムスライスを含む。ディープオートエンコーダ300は、入力層304、1つまたは複数の隠れ層(hidden layer)306、中央ボトルネック層308、出力層310、およびこれらの層間の完全な一組の接続312を含むことができる。隠れ層306の構造はボトルネック層308に関して対称であり、ボトルネック層308は、最も少数のノードを有する。ボトルネック層308は、ニューラルネットワーク300が、入力データ302を表す限られた数の特徴を抽出することによって、出力データ314に再構成される入力データ302の最小限の表現を見つけるのを助けるために使用される。設計者は、ディープオートエンコーダ300内の層の数、およびそれぞれの層にいくつのノードを配するのかを定義するだけでよい。ディープオートエンコーダ300は、ゴールデンチャンバからの異常を含まないトレースデータ例を用いて訓練される。ディープオートエンコーダ300は、入力データ302に対応する複数のトレースの再構成物である出力データ314を生成するように構成されており、出力データ314は、入力トレースに対する最小化された再構成誤差(例えば平均2乗誤差(mean squared error)ないしMSE)を有する。一例では、再構成誤差を最小化することが、ニューラルネットワーク300に供給された訓練時系列トレースデータとニューラルネットワーク300の出力トレースデータとの間の平均2乗誤差を最小化する。再構成誤差は、入力センサトレースを再現するのに必要な、訓練中にディープオートエンコーダ300によって学習された大域および時間不変特徴(global and time invariant features)の最小セットに関して最小化される。
【0044】
再構成誤差の最小化は、例えば入力トレースに対応する入力データ302の大域および時間不変特徴をどのように識別するのかを学習することによって、ディープオートエンコーダ300が次元低減に関与することを強制する。ディープオートエンコーダ300は、入力層304からのデータを圧縮して短いコードにし、次いでそのコードの圧縮を解いて、元の入力データ302と密接に整合するデータにするように学習する。
【0045】
ディープオートエンコーダ300は、実データに対して使用する前に訓練される。ディープオートエンコーダの訓練アルゴリズムは、次のように要約することができる:それぞれの入力について、フィードフォワードパスを実行し、全ての隠れ層、次いで出力層におけるアクティベーション(activation)を計算して、出力を得、再構成誤差を最小化する入力からの偏差(例えば平均2乗誤差)を測定する。次いで、ディープオートエンコーダ300のノードを通して誤差をバックプロパゲートし、重み更新を実行する。これに応じて、隠れ層306の隠れノードが、再構成誤差を最小化することによって、出力において入力を再構成するように訓練される。その結果として、隠れノードは、入力トレースを再現するのに必要な入力トレースの大域および時間不変特徴を学習する。再構成誤差(例えば平均2乗誤差ないしMSE)の最小化は、対応するセンサ信号を出力するディープオートエンコーダ300を与える。
【0046】
図4は、ディープオートエンコーダ300のアーキテクチャ400をモジュール方式で示している。ディープオートエンコーダ300を訓練するのに必要な、または実際のトレースランを試験するのに必要な多数のセンサ時系列トレースデータは、チャンバ整合化解析エンジン222に含まれるディープオートエンコーダ300に供給される前に、チャンバ整合化解析エンジン222によって前処理される。前処理は、それぞれの時系列トレースデータを[0,1]の範囲に正規化することを含む(最小-最大正規化(min-max normalization)、(x-最小値)/(最大値-最小値))。この方法の展開では、最小最大値が、訓練ランだけに由来するものである。前処理はさらに、複数のタイムスタンプにおけるそれぞれの入力時系列トレースデータの複数のローリング時間窓(rolling time window)404(部分行列)を、全てのセンサからの全てのタイムスタンプに対する入力時系列トレースデータの値/タイムスタンプ対を含む行列402から抽出すること、および値/タイムスタンプデータV
ijの複数のローリング時間窓404を、入力データとしてディープオートエンコーダ300に供給することを含む。
【0047】
行列402の次元は、ローリング時間窓404の長さ(w)およびステップサイズによって決まる。この長さおよびステップサイズは、ディープラーニングモデルのハイパーパラメータである。
【0048】
複数のローリング時間窓404から、値Vli-Vw1からVln-Vwnの行が、チャンバ整合化解析エンジン222によってディープオートエンコーダ300に供給される。ディープオートエンコーダ300によって、バックプロパゲーションおよび訓練(無欠陥)データに基づく確率的勾配降下法により、入力トレースデータ302の最小の大域および時間不変特徴セットが学習される。ディープオートエンコーダのノード304、306、308は、ローリング窓データ404をエンコードし、ローリング窓データ404を圧縮し、層308~312においてローリング窓データをデコード/圧縮解除して、再構成された入力トレース値の出力行をタイムスタンプごとの出力トレース値408(Oli-O(w1からOln-Own))として生成する。試験の間、層304~310内のノード406の鎖全体が、フィードフォワード方式でリアルタイムで操作され、時間窓に対するRMS再構成誤差を提供する。
【0049】
一実施形態では、ディープオートエンコーダ300が、オプティマイザ(optimizer)を使用したゴールデンチャンバの正常なランを用いて訓練される。そのような1つのオプティマイザは、適応モーメント推定(adaptive moment estimation)(Adam)オプティマイザである。Adamオプティマイザは、より低次のモーメントの適応推定に基づく、確率的目的関数の1次勾配ベースの最適化のためのアルゴリズムである。全てのセンサにわたる時間窓の平均再構成誤差(例えば平均2乗誤差)は、時間窓が公称状態からどれくらい離れているかを表し、異常の指標として使用される。
【0050】
他の実施形態では、層数、それぞれの層にいくつのノードがあるか、ローリング窓サイズ、ニューラルネットワークのアクティブ化機能などに基づく他のネットワーク構造ハイパーパラメータを使用することができる。
【0051】
最小特徴セットを学習した後、時系列トレースデータの実際の一組のランがディープオートエンコーダ300に供給され、ディープオートエンコーダ300は次いで、同じローリング窓技法およびディープオートエンコーダ300圧縮/圧縮解除技法を使用して、入力データ302の最小再構成誤差バージョンに対応する出力データ314を生成する。チャンバ整合化解析エンジン222は次いで、製造ツール101またはゴールデンチャンバに対する複数のセンサのセンサごとに、入力時系列トレースに対応する再構成された入力データを表す出力データ408(Oli-Ow1からOln-Own)と、元の時系列トレースに対応する入力データ302(Vli-Vw1からVln-Vwn)との間の平均2乗誤差を計算する。チャンバ整合化解析エンジン222は次いで、入力時系列トレースに対応する再構成された入力データを表す出力データ(Oli-Ow1からOln-Own)と、試験の下の製造ツール101の入力データ302(Vli-Vw1からVln-Vwn)との間の平均2乗誤差、および入力時系列トレースに対応する再構成された入力データを表す出力データ(Oli-Ow1からOln-Own)と、データベース240から取得されたゴールデンチャンバの入力データ302(Vli-Vw1からVln-Vwn)との間の対応する平均2乗誤差を計算する。製造ツール101のチャンバの平均2乗誤差が、ゴールデンチャンバの平均2乗誤差よりも所定のしきい値だけ大きい場合、チャンバ整合化解析エンジン222は、ゴールデンチャンバと選択された1つのチャンバとの間の不整合を宣言する。
【0052】
個々の平均2乗誤差タイムスタンプ値MSEij(410)は、平均2乗誤差計算の全体に寄与する。入力時系列データがv1、v2、...、vtであるとすると、訓練されたニューラルネットワークモデルにデータが当てはめられた後、再構成された出力は、同じ大きさの時系列o1、o2、...、otを有する。次いで、2乗再構成誤差MSE=Σ(oij-vij)2が計算される。それぞれのタイムスタンプは2乗誤差値を有する。異常スコアとして、窓内の2乗誤差の平均が取得される。
【0053】
次いで、タイムスタンプごとのラン当たり(またはステップ当たり)の2乗誤差の平均を集計することができる。このラン当たり(またはステップ当たり)の平均2乗誤差があるしきい値よりも大きい場合、そのラン(またはステップ)は、所与のセンサにおいて異常であると宣言される。
【0054】
図5は、本開示の実施形態による、チャンバ整合化解析エンジン222の構成要素を示している。示されているとおり、チャンバ整合化解析エンジン222はデータ取得モジュール510を含み、データ取得モジュール510は、MES232から(例えばネットワーク210を介して)データを取得すること、またはデータベース240からデータを取得することができる。代替実施形態では、データ取得モジュール510が、製造ツール101のチャンバ内のセンサから直接に時系列トレースデータを取得し、またはゴールデンチャンバを表すデータベース240から間接的に時系列トレースデータを取得する。チャンバ整合化解析エンジン222はさらにデータ前処理モジュール520を含み、データ前処理モジュール520は、
図6に記載された方法に従って、時系列トレースを前処理すること、それらのトレースをタイムスライスすること、およびそれらのタイムスライスをディープオートエンコーダ300に供給することができる。チャンバ整合化解析エンジン222はさらに不整合検証モジュール530を含み、不整合検証モジュール530は、ディープオートエンコーダ300を使用して、製造ツール101の試験下のチャンバとデータベース240に記憶されたゴールデンチャンバデータとの間に不整合があるかどうかを判定する。試験下のチャンバの再構成された出力時系列トレースと対応する入力時系列トレースとの間の平均2乗誤差の差が、ゴールデンチャンバの再構成された出力時系列トレースと対応する入力時系列トレースとの間の平均2乗誤差の差よりも、所定のしきい量だけ大きいかどうかに基づいて、試験下のチャンバとゴールデンチャンバの間の不整合が宣言される。チャンバ整合化解析エンジン222はさらに送信モジュール540を含み、送信モジュール540は、センサ情報および補正命令などのデータを、MES232に(例えばネットワーク210を介して)送信すること、または他の送信先に送信することができる。
【0055】
別の実施形態では、
図7に関して後に説明するように、チャンバ整合化解析エンジン222が、1つのゴールデンチャンバに関する半導体製造ツール101のプロセスチャンバとそのゴールデンチャンバと同じタイプの試験下の複数の処理チャンバとの間の不整合を検出することができる。別の実施形態では、
図8に関して後に説明するように、チャンバ整合化解析エンジン222が、複数のタイプの複数のゴールデンチャンバに関する半導体製造ツール101のプロセスチャンバとそのゴールデンチャンバとは異なる複数のタイプの試験下の複数の処理チャンバとの間の不整合を検出することができる。
【0056】
図6は、1つのゴールデンチャンバおよびゴールデンチャンバと同じタイプの試験下の1つの処理チャンバについて、半導体製造ツール101のプロセスチャンバ間の不整合を検出する方法600の一実施形態を示している。方法600は、ハードウェア(例えば回路、専用論理、プログラム可能論理、マイクロコードなど)、ソフトウェア(例えば処理デバイス上でランされる命令)またはこれらの組合せを含むことができる処理論理によって実行することができる。一実施形態では、方法600が、
図2のチャンバ整合化解析エンジン222によって実行される。
【0057】
ブロック605で、チャンバ整合化解析エンジン222は、仕様の範囲内にある第1の処理チャンバ(例えばゴールデンチャンバ)の1つまたは複数のセンサの入力時系列データの第1のセットをニューラルネットワーク300に供給して、出力時系列データの対応する第1のセットを生成することにより、ニューラルネットワーク300を訓練する。ブロック610で、チャンバ整合化解析エンジン222は、入力時系列データの第1のセットと出力時系列データの対応する第1のセットとの間の第1の誤差を計算する。一例では、第1の誤差が平均2乗誤差である。
【0058】
ブロック615で、チャンバ整合化解析エンジン222は、試験下の(例えば製造ツール101の)第2の処理チャンバに関連付けられた対応する1つまたは複数のセンサからの入力時系列データの第2のセットを訓練されたニューラルネットワーク300に供給して、出力時系列データの対応する第2のセットを生成する。
【0059】
それぞれの入力時系列トレースデータは最小-最大正規化されている。前処理はさらに、全てのセンサからの入力時系列トレースの全ての瞬間のタイムスライスを含む行列から、それぞれの入力時系列トレースの1つの瞬間の入力タイムスライスを抽出すること、およびそのタイムスライスを入力データとしてディープオートエンコーダ300に供給することを含む。チャンバ整合化解析エンジン222はさらに、全てのセンサからの入力時系列トレースのタイムスライスを含む行列から1つの入力ベクトルを抽出し、そのタイムスライスを入力データとしてニューラルネットワーク300に供給する。
【0060】
ブロック620で、チャンバ整合化解析エンジン222は、入力時系列データの第2のセットと出力時系列データの対応する第2のセットとの間の第2の誤差を計算する。一実施形態では、この誤差が平均2乗誤差である。ブロック625で、第2の誤差と第1の誤差の差が、しきい量に等しいかまたはしきい量よりも大きい場合、ブロック630で、チャンバ整合化解析エンジン222は、試験下の第2の処理チャンバは仕様の範囲内にある第1の処理チャンバと整合していないと宣言する。ブロック635で、チャンバ整合化解析エンジン222は、不整合の宣言に応答して補正処置をとらせる。補正処置は例えば、警報を表示すること、可聴警報を発すること、ツールがさらなる処理を実行することを停止すること、または宣言された不整合の原因を除去するための補正処置をとるよう製造システムに命令することを含むことができる。
【0061】
ブロック625で、第2の誤差と第1の誤差の差がしきい量よりも小さい場合、ブロック640で、チャンバ整合化解析エンジン222は、試験下の第2の処理チャンバは仕様の範囲内にある第1の処理チャンバと整合していると宣言する。一例では、このしきい量を、カットオフとして、平均2乗誤差に訓練再構成平均2乗誤差の3シグマを加えたものに設定することができる。
【0062】
図7は、1つのゴールデンチャンバおよびゴールデンチャンバと同じタイプの試験下の複数の処理チャンバについて、半導体製造ツール101のプロセスチャンバ間の不整合を検出する方法700の一実施形態を示している。方法700は、ハードウェア(例えば回路、専用論理、プログラム可能論理、マイクロコードなど)、ソフトウェア(例えば処理デバイス上でランされる命令)またはこれらの組合せを含むことができる処理論理によって実行することができる。一実施形態では、方法700が、
図2のチャンバ整合化解析エンジン222によって実行される。
【0063】
ブロック705で、チャンバ整合化解析エンジン222は、仕様の範囲内にある、半導体基板を処理する第1の処理チャンバ(例えばゴールデンチャンバ)の1つまたは複数のセンサの入力時系列データの第1のセットをニューラルネットワーク300に供給して、出力時系列データの対応する第1のセットを生成することにより、ニューラルネットワーク300を訓練する。ブロック710で、チャンバ整合化解析エンジン222は、入力時系列データの第1のセットと出力時系列データの対応する第1のセットとの間の第1の誤差を計算する。一例では、第1の誤差が平均2乗誤差である。
【0064】
ブロック715で、チャンバ整合化解析エンジン222は、仕様の範囲内にある第1の処理チャンバと同じタイプの試験下の(例えば製造ツール101の)複数の第2の処理チャンバに関連付けられた対応する1つまたは複数のセンサからの入力時系列データの第2のセットを、訓練されたニューラルネットワークに供給して、出力時系列データの対応する複数の第2のセットを生成する。
【0065】
ブロック720で、チャンバ整合化解析エンジン222は、入力時系列データの複数の第2のセットと出力時系列データの対応する複数の第2のセットとの間の複数の第2の誤差を計算する。一実施形態では、これらの誤差が平均2乗誤差である。ブロック725で、複数の第2の誤差の和と第1の誤差との差が、しきい量に等しいかまたはしきい量よりも大きい場合、ブロック730で、チャンバ整合化解析エンジン222は、試験下の第2の複数の処理チャンバは仕様の範囲内にある第1の処理チャンバと整合していないと宣言する。ブロック735で、チャンバ整合化解析エンジン222は、試験下の1つまたは複数のチャンバを不良(failure)の源として識別する。ブロック740で、チャンバ整合化解析エンジン222は、不整合の宣言に応答して補正処置をとらせる。補正処置は例えば、警報を表示すること、可聴警報を発すること、ツールがさらなる処理を実行することを停止すること、または宣言された不整合の原因を除去するための補正処置をとるよう製造システムに命令することを含むことができる。
【0066】
ブロック725で、複数の第2の誤差の重み付けされた和と第1の誤差との差がしきい量よりも小さい場合、ブロック745で、チャンバ整合化解析エンジン222は、試験下の複数のそれぞれの第2の処理チャンバは仕様の範囲内にある第1の処理チャンバと整合していると宣言する。一例では、このしきい量を、カットオフとして、平均2乗誤差に訓練再構成平均2乗誤差の3シグマを加えたものに設定することができる。
【0067】
図8は、異なるタイプの複数のゴールデンチャンバおよびゴールデンチャンバとは異なる対応するタイプの試験の下の複数の処理チャンバについて、半導体製造ツール101のプロセスチャンバ間の不整合を検出する方法800の一実施形態を示している。方法800は、ハードウェア(例えば回路、専用論理、プログラム可能論理、マイクロコードなど)、ソフトウェア(例えば処理デバイス上でランされる命令)またはこれらの組合せを含むことができる処理論理によって実行することができる。一実施形態では、方法800が、
図2のチャンバ整合化解析エンジン222によって実行される。
【0068】
ブロック805で、チャンバ整合化解析エンジン222は、仕様の範囲内にある、半導体基板を処理する複数の第1の処理チャンバ(例えば複数のゴールデンチャンバ)の1つまたは複数のセンサの入力時系列データの複数の第1のセットをニューラルネットワーク300に供給して、出力時系列データの対応する複数の第1のセットを生成することにより、ニューラルネットワーク300を訓練する。ブロック810で、チャンバ整合化解析エンジン222は、第1の入力時系列データの複数のセットと出力時系列データの対応する複数の第1のセットとの間の複数の第1の誤差を計算する。一例では、第1の誤差が平均2乗誤差である。
【0069】
ブロック815で、チャンバ整合化解析エンジン222は、仕様の範囲内にある第1の複数の処理チャンバとは異なるタイプの試験下の(例えば製造ツール101の)複数の第2の処理チャンバに関連付けられた対応する1つまたは複数のセンサからの入力時系列データの複数の第2のセットを、訓練されたニューラルネットワークに供給して、出力時系列データの対応する複数の第2のセットを生成する。
【0070】
ブロック820で、チャンバ整合化解析エンジン222は、入力時系列データの複数の第2のセットと出力時系列データの対応する複数の第2のセットとの間の複数の第2の誤差を計算する。一実施形態では、これらの誤差が平均2乗誤差である。ブロック825で、複数の第2の誤差の和と複数の第1の誤差の和との差が、しきい量に等しいかまたはしきい量よりも大きい場合、ブロック830で、チャンバ整合化解析エンジン222は、試験下の第2の複数の処理チャンバは仕様の範囲内にある第1の複数の処理チャンバと整合していないと宣言する。ブロック835で、チャンバ整合化解析エンジン222は、試験下の1つまたは複数のチャンバを不良の源として識別する。ブロック840で、チャンバ整合化解析エンジン222は、不整合の宣言に応答して補正処置をとらせる。補正処置は例えば、警報を表示すること、可聴警報を発すること、ツールがさらなる処理を実行することを停止すること、または宣言された不整合の原因を除去するための補正処置をとるよう製造システムに命令することを含むことができる。
【0071】
ブロック825で、複数の第2の誤差の和と第1の誤の和との差がしきい量よりも小さい場合、ブロック845で、チャンバ整合化解析エンジン222は、試験下の複数のそれぞれの第2の処理チャンバは仕様の範囲内にある複数のそれぞれの第1の処理チャンバと整合していると宣言する。一例では、このしきい量を、カットオフとして、平均2乗誤差に訓練再構成平均2乗誤差の3シグマを加えたものに設定することができる。
【0072】
図9は、本開示のいくつかの実施形態による、異常を検出および解析するために使用される例示的なコンピューティングシステム900を示している。ある種の実施形態では、コンピュータシステム900がサーバ220を表す。コンピュータシステム900の態様が、本明細書に記載された技法を実行するために使用される他のデバイス(例えばサーバ230)を表すこともある。例えば、コンピューティングシステム900は、パーソナルコンピュータ、産業用プロセッサ、パーソナルディジタルアシスタント、移動電話、モバイルデバイス、または本発明の1つもしくは複数の実施形態を実施するのに適した他の任意のデバイスであることができる。
【0073】
システム900は、中央処理ユニット(CPU)902およびシステムメモリ904を含み、これらはバス経路を介して通信し、バス経路は、メモリブリッジ905を含むことができる。CPU902は1つまたは複数の処理コアを含み、動作において、CPU902はシステム900のマスタプロセッサであり、他のシステム構成要素の動作を制御および調整する。システムメモリ904は、CPU902が使用するためのソフトウェアアプリケーション906およびデータを記憶している。CPU902は、ソフトウェアアプリケーションをランし、オペレーティングシステムをランしてもよい。
【0074】
例として、システムメモリ904はチャンバ整合化解析エンジン980を含み、チャンバ整合化解析エンジン980は、本明細書に記載された技法に従ってチャンバ不整合の検出に関係した操作を実行するチャンバ整合化解析エンジン222に対応してもよい。例えば、チャンバ整合化解析エンジン980は、
図2のチャンバ整合化解析エンジン222と等価のチャンバ整合化解析エンジンであってもよく、ディープオートエンコーダ型のニューラルネットワーク300を使用してもよい。ディープオートエンコーダ型のニューラルネットワーク300は、訓練時系列トレースの再構成誤差を最小化するモデルに基づいて、1つまたは複数の入力時系列トレースを、対応する1つまたは複数の出力時系列トレースとして再構成し、そのセットに基づいて、処理チャンバの整合または不整合および製造プロセスの他の態様を識別する。
【0075】
例えばNorthbridgeチップとすることができるメモリブリッジ905は、バスまたは他の通信経路(例えばHyperTransportリンク)を介してI/O(入力/出力)ブリッジ907に接続されている。例えばSouthbridgeチップとすることができるI/Oブリッジ907は、1つまたは複数のユーザ入力デバイス908(例えばキーボード、マウス、ジョイスティック、ディジタイザタブレット、タッチパッド、タッチスクリーン、スチルもしくはビデオカメラ、モーションセンサおよび/またはマイクロホン)からユーザ入力を受け取り、その入力をメモリブリッジ705を介してCPU702に転送する。
【0076】
メモリブリッジ985には、バスまたは他の通信経路(例えばPCI Express、Accelerated Graphics PortまたはHyperTransportリンク)を介してディスプレイプロセッサ912が結合されており、一実施形態では、ディスプレイプロセッサ912が、少なくとも1つのグラフィックス処理ユニット(GPU)およびグラフィックスメモリを含むグラフィックスサブシステムである。グラフィックスメモリは、出力画像のそれぞれのピクセルのピクセル素データを記憶する目的に使用されるディスプレイメモリ(例えば、フレームバッファ)を含む。グラフィックスメモリは、GPUと同じデバイスに組み込むこと、別個のデバイスとしてGPUに接続すること、および/またはシステムメモリ904内に実装することができる。
【0077】
ディスプレイプロセッサ912は、ダッシュボードのピクセルを、ディスプレイデバイス910(例えばスクリーンもしくは従来のCRT、プラズマ、OLED、SEDまたはLCDベースのモニタまたはテレビジョン)に定期的に送達する。さらに、ディスプレイプロセッサ912は、コンピュータが生成した画像を写真フィルム上に再現するように適合されたフィルムレコーダにピクセルを出力することもできる。ディスプレイプロセッサ912は、ディスプレイデバイス910にアナログまたはディジタル信号を供給することができる。
【0078】
I/Oブリッジ907にはさらに永続性ストレージ920が接続されており、永続性ストレージ920は、CPU902およびディスプレイプロセッサ912が使用するためのコンテンツならびにデータベースライブラリ915などのアプリケーションおよびデータを記憶するように構成されていてもよい。永続性ストレージ920は、アプリケーションおよびデータのための不揮発性ストレージを提供し、永続性ストレージ920は、固定もしくは取外し可能ハードディスクドライブ、フラッシュメモリデバイス、およびCD-ROM、DVD-ROM、Blu-ray、HD-DVDまたは他の磁気、光学もしくは固体状態ストレージデバイスを含むことができる。
【0079】
例として、永続性ストレージ920は製造データ990を含み、製造データ990は、チャンバ整合化解析エンジン222によって取得された情報を含むことができる。製造データ990は例えば、製造プロセス中に基板およびツールから経時的に測定値を取得するさまざまなセンサに関係する、製造ツール101によって集められ、MES232から受け取った情報を含むことができる。
【0080】
スイッチ916は、I/Oブリッジ907と他の構成要素との間の接続、例えばI/Oブリッジ907とネットワークアダプタ918およびさまざまなアドインカード920、921との間の接続を提供する。ネットワークアダプタ918は、電子通信ネットワークを介してシステム900が他のシステムと通信することを可能にし、ネットワークアダプタ918は、ローカルエリアネットワーク940およびインターネットなどのワイドエリアネットワークを介した有線または無線通信を含むことができる。
【0081】
USBもしくは他のポート接続、フィルムレコーディングデバイスまたは他の適当なコンピューティングデバイスを含む他の構成要素(図示せず)がI/Oブリッジ907に接続されていてもよい。例えば、CPU902、システムメモリ904または永続性ストレージ920によって提供された命令および/またはデータによって、プロセス装置970が動作してもよい。
図9のさまざまな構成要素を相互接続する通信経路は、PCI(Peripheral Component Interconnect)、PCI Express(PCIE)、AGP(Accelerated Graphics Port)、HyperTransportまたは他のバスもしくはポイントツーポイント通信プロトコルなどの適当なプロトコルを使用して実装することができ、異なるデバイス間の接続は、当技術分野で知られている異なるプロトコルを使用することができる。
【0082】
プロセス装置970を、プラズマ化学気相堆積(PECVD)または他のプラズマ処理チャンバなどの1つまたは複数の半導体製造チャンバ、例えば製造ツール101に含まれる処理ツールとすることができる。例えば、プロセス装置970を、単独の、または1つもしくは複数の他のチャンバと組み合わされた、エッチングチャンバ、化学気相堆積チャンバ、物理的気相堆積チャンバ、注入チャンバ、プラズマ処理チャンバまたは他のプラズマプロセスチャンバとすることができる。
【0083】
一実施形態では、ディスプレイプロセッサ912が、数値演算の実行に関して最適化された、例えば数値演算コプロセッサを含む回路を含み、ディスプレイプロセッサ912がさらに、グラフィックス処理ユニット(GPU)を構成することができる。別の実施形態では、ディスプレイプロセッサ912が、汎用処理に関して最適化された回路を含む。別の実施形態では、ディスプレイプロセッサ912が、メモリブリッジ905、CPU702およびI/Oブリッジ907などの1つまたは複数の他のシステム要素と統合されて、システムオンチップ(system on chip)(SoC)を形成していてもよい。別の実施形態では、ディスプレイプロセッサ912が省かれており、CPU902によって実行されるソフトウェアがディスプレイプロセッサ912の機能を実行する。
【0084】
CPU902からディスプレイプロセッサ912にピクセルデータを直接に提供することができる。いくつかの実施形態では、異常検証解析を表す命令および/またはデータが、それぞれがシステム900に類似した一組のサーバコンピュータに、ネットワークアダプタ918またはシステムディスク914を介して供給される。これらのサーバは、解析のための提供された命令を使用して、それらのデータのサブセットに対する演算を実行することができる。これらの演算による結果は、コンピュータ可読媒体上にディジタルフォーマットで記憶することができ、さらなる解析または表示のためにシステム900に返してもよい。同様に、データを、表示のために他のシステムに出力すること、システムディスク914上のデータベースライブラリ915に記憶すること、またはコンピュータ可読媒体上にディジタルフォーマットで記憶することもできる。
【0085】
あるいは、CPU902は、所望の出力画像を定義するデータおよび/または命令をディスプレイプロセッサ912に供給し、ディスプレイプロセッサ912は、そのデータおよび/または命令から1つまたは複数の出力画像のピクセルデータを生成する。このピクセルデータの生成は、ステレオ画像対間のオフセットの特徴付けおよび/または調整を含む。所望の出力画像を定義するデータおよび/または命令は、システムメモリ904またはディスプレイプロセッサ912内のグラフィックスメモリに記憶することができる。CPU902および/またはディスプレイプロセッサ912は、当技術分野で知られている任意の数学的機能または技法を使用して、供給されたデータおよび命令から1つまたは複数の結果を生成することができる。この1つまたは複数の結果の生成は、モデルをランすること、およびセンサからのデータを比較してチャンバ構成要素の運用寿命を追跡することを含む。
【0086】
本明細書に示されたシステムは例示のためのものであること、および変形および変更が可能であることが理解されるであろう。要望に応じて、ブリッジの数および配置を含む接続トポロジを変更することができる。例えば、いくつかの実施形態では、システムメモリ904が、ブリッジを通すことなくCPU902に直接に接続されており、他のデバイスが、メモリブリッジ905およびCPU902を介してシステムメモリ904と通信する。他の代替トポロジでは、ディスプレイプロセッサ912がI/Oブリッジ907に接続されており、または、ディスプレイプロセッサ912が、メモリブリッジ905ではなしにCPU902に直接に接続されている。他の実施形態では、I/Oブリッジ907とメモリブリッジ905が単一のチップに統合されるであろう。本明細書に示された特定の構成要素は任意であり、例えば、任意の数のアドインカードまたは周辺デバイスがサポートされるであろう。いくつかの実施形態では、I/Oブリッジ907にプロセス装置970を直接に接続することができる。いくつかの実施形態では、スイッチ916が除かれており、ネットワークアダプタ918およびアドインカード920、921がI/Oブリッジ907に直接に接続している。
【0087】
本発明のさまざまな実施形態は、コンピュータシステムとともに使用するプログラム製品として実施することができる。このプログラム製品のソフトウェアルーチンは、(本明細書に記載された方法を含む)実施形態の機能を定義し、このプログラム製品のソフトウェアルーチンは、さまざまなコンピュータ可読ストレージ媒体上に含めることができる。例示的なコンピュータ可読ストレージ媒体は、限定はされないが、(i)情報が永続的に記憶された非書き込み可能ストレージ媒体(例えば、CD-ROMドライブによって読出し可能なCD-ROMディスク、フラッシュメモリ、ROMチップまたは任意のタイプの固体状態不揮発性半導体メモリなどの、コンピュータ内のリードオンリーメモリデバイス)、および(ii)変更可能な情報が記憶された書き込み可能ストレージ媒体(例えば、ディスケットドライブ内のフロッピーディスクもしくはハードディスクドライブ、または任意のタイプの固体状態ランダムアクセス半導体メモリ)を含む。
【0088】
1つまたは複数のコンピュータ可読媒体の任意の組合せを利用してプログラム製品を記憶することができ、このプログラム製品は、プログラム製品が実行されたときに、チャンバ構成要素の運用寿命を決定する方法を実行するように構成されている。コンピュータ可読ストレージ媒体は、例えば、限定はされないが、電子、磁気、光学、電磁気、赤外線もしくは半導体システム、装置もしくはデバイス、またはこれらの適当な組合せとすることができる。コンピュータ可読ストレージ媒体のより具体的な例(非網羅的なリスト)は以下のものを含むであろう:ポータブルコンピュータディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、消去可能なプログラマブルリードオンリーメモリ(EPROMもしくはフラッシュメモリ)、光ファイバ、ポータブルコンパクトディスク-リードオンリーメモリ(CD-ROM)、光学ストレージデバイス、磁気ストレージデバイス、またはこれらの適当な組合せ。本明細書の文脈では、コンピュータ可読ストレージ媒体が、命令実行システム、装置もしくはデバイスによって使用されるプログラム、または命令実行システム、装置もしくはデバイスとともに使用されるプログラムを含むことまたは記憶することができる、任意の有形媒体であることがある。
【0089】
本発明の態様のための演算を実行するためのコンピュータプログラムコードは、JAVA(商標)、SmallTalk(商標)、C++などのオブジェクト指向プログラミング言語、および「C」プログラミング言語または同種のプログラミング言語などの従来の手続き型プログラミング言語を含む、1つまたは複数のプログラミング言語の任意の組合せで書くことができる。プログラムコードは、全体をユーザのコンピュータ上で実行することができ、一部をユーザのコンピュータ上で実行することができ、独立型ソフトウェアパッケージとして実行することができ、一部をユーザのコンピュータ上で実行し、一部を遠隔コンピュータ上で実行することができ、または全体を遠隔コンピュータもしくはサーバ上で実行することができる。上記の最後のシナリオにおいて、遠隔コンピュータは、ローカルエリアネットワーク(LAN)もしくはワイドエリアネットワーク(WAN)を含む任意のタイプのネットワークを介してユーザのコンピュータに接続されていてもよく、またはこの接続は、外部コンピュータに対して(例えばインターネットサービスプロバイダを使用してインターネットを介して)実施されてもよい。
【0090】
これらのコンピュータプログラム命令は、コンピュータ、他のプログラム可能装置または他のデバイス上で一連の演算を実行させて、コンピュータによって実施されるプロセスを生み出すために、このコンピュータ、他のプログラム可能データ処理装置または他のデバイス上に、このコンピュータまたは他のプログラム可能装置上で実行される命令が、流れ図および/またはブロック図の1つまたは複数のブロックに指定された機能/動作を実施するためのプロセスを提供するような態様で、ロードすることもできる。
【0091】
本発明の実施形態は、クラウドコンピューティングインフラストラクチャを通してエンドユーザに提供することができる。クラウドコンピューティングは、スケーラブルなコンピューティングリソースをネットワークを介してサービスとして提供することを指す。より正式には、クラウドコンピューティングは、コンピューティングリソースとその基礎をなす技術的アーキテクチャ(例えばサーバ、ストレージ、ネットワーク)との間の抽象化を提供するコンピューティング機能であって、最小限の管理労力またはサービスのプロバイダの最小限のインタラクションで迅速に供給およびリリースすることができる構成可能なコンピューティングリソースの共用プールへの便利なオンデマンドネットワークアクセスを可能にするコンピューティング機能と定義することができる。したがって、クラウドコンピューティングは、コンピューティングリソースを提供するために使用される基礎をなす物理システム(またはそれらのシステムの位置)に関わらず、ユーザが、「クラウド」内の仮想コンピューティングリソース(例えばストレージ、データ、アプリケーションおよび仮想化されたコンピューティングシステム全体)にアクセスすることを可能にする。
【0092】
有利には、本明細書に提示された技法は、リアルタイム異常検出、オフライン問題診断およびチャンバ整合化を可能にする。リアルタイム異常検出に関して、実施形態は、モデルを前もって訓練し、良トレースからの大きな偏差があるかどうか、およびそれに応じて補正を実施するかどうかをリアルタイムで検出する。オフライン問題診断に関して、実施形態は、長時間のラン中にある種の問題が起こったときに、良ランを使用してモデルを訓練し、良ランと比較したときの不良ラン(bad run)の差を調べる。これによって、この差に最も寄与しているセンサを決定して、何がハードウェアまたはプロセス自体(例えばフローバルブ、電力ストライキ遅延など)の実際の問題であるのかの診断に役立てる。チャンバ整合化に関して、実施形態は、1つの/多数の良チャンバからの多数のランを用いてモデルを訓練すること、および不良チャンバから来たデータを除いた良チャンバからの出力データの差を調べることを可能にする。上述のとおり、オートエンコーダは、良チャンバ間の基本的な差異を無視し、より重要な差異(例えばパターン、プロセスなど)を見つけることに重点を置く。この方法は、同じ/同様の手順をランするチャンバ整合化のための従来の方法よりも効率的である。
【0093】
これらの技法は、製造データに基づく基板品質の知的予測を可能にし、また、個々の基板に対してとられる補正処置および製造プロセスの他の態様に関して効率的な判断がなされることを可能にする。本開示の実施形態の使用は、コストを低減させ、効率を向上させ、製造プロセスに関するより良好な戦略的計画を可能にすることができる。
【0094】
当業者には理解されることだが、本発明の態様は、システム、方法またはコンピュータプログラム製品として実施することができる。それに応じて、本発明の態様は、全体がハードウェアの実施形態、(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含む)全体がソフトウェアの実施形態、または、本明細書では「回路」、「モジュール」もしくは「システム」と呼ぶことがあるソフトウェア態様とハードウェア態様とを組み合わせた実施形態、の形態をとることができる。さらに、本発明の態様は、その上にコンピュータ可読プログラムコードが実装された1つまたは複数のコンピュータ可読媒体内に実装されたコンピュータプログラム製品の形態をとることもできる。
【0095】
以上では、本開示に提示された実施形態を参照した。しかしながら、本開示の範囲は、記載された特定の実施形態に限定されない。その代わりに、異なる実施形態に関係するか否かに関わらず、企図された実施形態を実装および実施するために、以下の特徴および要素の任意の組合せが企図される。さらに、本明細書に開示された実施形態は、他の可能な解決策または先行技術にはない利点を達成することができるが、所与の実施形態によって特定の利点が達成されるか否かは、本開示の範囲を限定しない。したがって、以下の態様、特徴、実施形態および利点は単なる例であり、それらは、特許請求項に明示的に記載されている場合を除き、添付の特許請求項の要素または限界とはみなされない。同様に、「本発明」への言及は、本明細書に開示された本発明の主題の一般化とはみなされず、特許請求項に明示的に記載されている場合を除き、添付の特許請求項の要素または限界であるとはみなされない。
【0096】
以上の内容は、本開示の実施形態を対象としているが、その基本的範囲を逸脱しない範囲で、本開示の他の追加の実施形態が考案される可能性があり、その範囲は、続く特許請求項によって決定される。