(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-26
(45)【発行日】2023-01-10
(54)【発明の名称】2成分型室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の混合状態の評価方法
(51)【国際特許分類】
C08L 83/06 20060101AFI20221227BHJP
C08K 3/26 20060101ALI20221227BHJP
C08K 3/013 20180101ALI20221227BHJP
C08K 5/5415 20060101ALI20221227BHJP
C08K 5/00 20060101ALI20221227BHJP
C08K 9/06 20060101ALI20221227BHJP
【FI】
C08L83/06
C08K3/26
C08K3/013
C08K5/5415
C08K5/00
C08K9/06
(21)【出願番号】P 2018029925
(22)【出願日】2018-02-22
【審査請求日】2021-02-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000002060
【氏名又は名称】信越化学工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】516272870
【氏名又は名称】韓国信越シリコーン株式会社
【氏名又は名称原語表記】SHIN-ETSU SILICONE KOREA Co.,LTD.
【住所又は居所原語表記】411, Seocho-daero, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110002240
【氏名又は名称】弁理士法人英明国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 功
(72)【発明者】
【氏名】坂本 隆文
(72)【発明者】
【氏名】パク ジャリョン
(72)【発明者】
【氏名】ユン ドンソプ
【審査官】三宅 澄也
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-216716(JP,A)
【文献】特開平05-098163(JP,A)
【文献】特開2013-069823(JP,A)
【文献】特表2014-502644(JP,A)
【文献】特表平10-502352(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08K 3/00- 13/08
C08L 1/00-101/14
C08J 3/00- 3/28
C08J99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)分子鎖両末端がヒドロキシシリル基で封鎖された25℃における粘度が20~1,000,000mPa・sであるジオルガノポリシロキサン
100質量部、
(B)炭酸カルシウム 10~300質量部、
(C)少なくとも一分子内に1つのアルコキシシリル基を有する有機ケイ素化合物
0.5~20質量部、
(D)硬化触媒 0.001~10質量部、
(E)蛍光増白剤 0.005~10質量部、
(F)
乾式法シリカ、湿式法シリカ、石英微粉末、二酸化チタン粉末、ケイソウ土粉末、水酸化アルミニウム粉末、水酸化マグネシウム粉末、微粒子状アルミナ、マグネシア粉末、酸化亜鉛粉末、炭酸亜鉛粉末、硫酸バリウム粉末及びこれらの表面処理微粉末から選択される少なくとも1種である炭酸カルシウム以外の
白色無機質充填剤 1~400質量部
を含んでなる室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物において、少なくとも(A)成分及び(B)成分を含むと共に(E)成分を含まない主剤と、少なくとも(C)成分、(D)成分、(E)成分及び(F)成分を含む硬化剤とに分けて包装され、L
*a
*b
*表色系における主剤と硬化剤の色差(△E)が20以下であり、主剤のL
*値、硬化剤のL
*値、及び主剤と硬化剤を100:1~100:100の質量比で混合した後の組成物を硬化してなる硬化物のL
*値がいずれも80以上である2成分型室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物において、上記主剤と硬化剤とを混合して組成物を調製したとき、ASTM C1401-14のAPPENDIXESのX5に記載のBUTTERFLY TESTに準ずる方法で、シート上に上記混合した組成物をビード状に塗り、この組成物のビード部分が谷折りになるようにシートを2つに折り、該シートの上からビード部分の厚さを均した後、シートを折り戻して組成物を露出させる操作を行い、この露出した組成物に紫外線を照射した状態で該組成物の外観を目視で観察して組成物の混合状態を判定する工程を有し、上記露出した組成物の表面に紫外線を照射した状態で該組成物表面全体で発光が均一に観察された場合に、組成物の混合状態が良好であると判定することを特徴とする2成分型室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の混合状態を評価する方法。
【請求項2】
照射する紫外線の波長が280~400nmである請求項1に記載の2成分型室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の混合状態を評価する方法。
【請求項3】
上記表面処理微粉末が、シラン類、シラザン類又は低重合度ポリシロキサン類で表面処理した微粉末である請求項1又は2に記載の2成分型室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の混合状態を評価する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主剤と硬化剤の2つの梱包成分に分かれており、主剤と硬化剤を混合することで室温で硬化してシリコーンゴムとなる2成分型室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物に係り、更に詳しくは、主剤及び硬化剤の両方の色彩が近く且つ混合後の色調が白色や白色に近い淡色である室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の混合状態を容易且つ確実に確認するための2成分型室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の混合状態の評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、分子鎖末端にシラノール基やアルコキシシリル基を有するジオルガノポリシロキサン、アルコキシシラン、アミノアルキル基含有アルコキシシラン及び硬化触媒などからなる室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物は知られており、建築、土木、電機、自動車など、さまざまな工業分野で利用されている(特許第5817626号公報、特開2015-098557号公報(特許文献1、2))。
【0003】
室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物は、その梱包形態から、1成分型と多成分型(2成分型、3成分型など)に分類されている。このうち、1成分型はカートリッジ、ペール缶などの荷姿に包装され、ハンドガン、エアーガン、ポンプを用いた吐出装置などから使用部位に吐出され、組成物が空気中に晒されることで空気中の湿気と反応し、空気との接触表面から深部方向に向かって硬化物を形成する。1成分型組成物は使用方法が簡便という長所があるものの、深部まで硬化するのに時間を要し、硬化途上に動きが生じた場合には所望の性能が得られないため、長い静置養生時間を要するという短所がある。
【0004】
多成分型では、2成分型、3成分型が代表的で、2成分型は主剤と硬化剤、3成分型は主剤と硬化剤と深部硬化剤などの包装に分割梱包されており、使用前に主剤と硬化剤及びその他を均一に混合することで硬化反応が開始され、表面と深部の硬化するまでの時間の差は1成分型と比較して小さく、深部硬化までの時間が短い。このため、施工後の静置養生時間を短くしたい場合や、施工後の静置が困難な場合には主に2成分型の組成物が用いられている。
【0005】
2成分型、3成分型の組成物の混合は、ドラム回転式混合機などを使用して、主剤と硬化剤などを混合し、混合後の組成物をピストンつきのシーリングガンで吸引、充填し、使用部位に吐出するバッチ形式の他に、自動計量混合吐出機による連続混合吐出形式がある。後者の形式は2成分型組成物で多く用いられている。自動計量混合吐出機では、主剤と硬化剤がポンプにより計量シリンダー部に送られ、その後、ダイナミックミキサーやスタティックミキサーからなる混合部を通過することで主剤と硬化剤が均一に混合された組成物が供給される。混合部を通過した組成物の混合状態はASTM C1401-14のAPPENDIXESのX5に記載のBUTTERFLY TESTに準ずる方法で、吐出された組成物の外観が均一であるかどうかを目視観察することにより確認される。混合状態が悪化した際にはミキサーの故障や、主剤、硬化剤の計量部からの供給が正常でないことを示唆しているため、品質確保の観点から日常的に確認することが必要である。
【0006】
しかしながら、混合後の外観により混合状態が均一であるかどうかを判定するためには、2成分型の組成物の主剤と硬化剤は性状が異なるか又は色調が異なるなどの明らかに目視で確認できる外観上の違いがあることが必要である。そのため、多くの場合には、白色の主剤と黒色、灰色などの有色の硬化剤という組み合わせで構成される。よって、これらの混合後の組成物の色調は必然的に黒色や灰色などの有色となる。しかしながら、近年、混合後の組成物が白色に近い淡色の色調のものの要求が高まっており、均一に混合されているかどうかの確認が困難で、施工後の組成物が硬化不良を起こしたり、所望の性能が発現したりしないなどの問題が起こっていた。このような背景から、白色や淡色の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の場合でも簡便に確実に混合状態を確認できる評価方法が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特許第5817626号公報
【文献】特開2015-098557号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、少なくとも主剤と硬化剤の2つの梱包形態に分かれており、主剤組成物と硬化剤組成物を質量比で100:1から100:100の割合で混合することで室温で硬化してシリコーンゴムとなる2成分型室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物において、主剤と硬化剤の色彩が近く色差が小さい場合で、混合後の色調が白色や白色に近い淡色である場合にも混合状態を容易に確認できる評価方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、本発明に到達したものであり、本発明は下記の2成分型室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の混合状態の評価方法を提供する。
1. (A)分子鎖両末端がヒドロキシシリル基で封鎖された25℃における粘度が20~1,000,000mPa・sであるジオルガノポリシロキサン
100質量部、
(B)炭酸カルシウム 10~300質量部、
(C)少なくとも一分子内に1つのアルコキシシリル基を有する有機ケイ素化合物
0.5~20質量部、
(D)硬化触媒 0.001~10質量部、
(E)蛍光増白剤 0.005~10質量部、
(F)乾式法シリカ、湿式法シリカ、石英微粉末、二酸化チタン粉末、ケイソウ土粉末、水酸化アルミニウム粉末、水酸化マグネシウム粉末、微粒子状アルミナ、マグネシア粉末、酸化亜鉛粉末、炭酸亜鉛粉末、硫酸バリウム粉末及びこれらの表面処理微粉末から選択される少なくとも1種である炭酸カルシウム以外の白色無機質充填剤 1~400質量部
を含んでなる室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物において、少なくとも(A)成分及び(B)成分を含むと共に(E)成分を含まない主剤と、少なくとも(C)成分、(D)成分、(E)成分及び(F)成分を含む硬化剤とに分けて包装され、L*a*b*表色系における主剤と硬化剤の色差(△E)が20以下であり、主剤のL*値、硬化剤のL*値、及び主剤と硬化剤を100:1~100:100の質量比で混合した後の組成物を硬化してなる硬化物のL*値がいずれも80以上である2成分型室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物において、上記主剤と硬化剤とを混合して組成物を調製したとき、ASTM C1401-14のAPPENDIXESのX5に記載のBUTTERFLY TESTに準ずる方法で、シート上に上記混合した組成物をビード状に塗り、この組成物のビード部分が谷折りになるようにシートを2つに折り、該シートの上からビード部分の厚さを均した後、シートを折り戻して組成物を露出させる操作を行い、この露出した組成物に紫外線を照射した状態で該組成物の外観を目視で観察して組成物の混合状態を判定する工程を有し、上記露出した組成物の表面に紫外線を照射した状態で該組成物表面全体で発光が均一に観察された場合に、組成物の混合状態が良好であると判定することを特徴とする2成分型室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の混合状態を評価する方法。
2. 照射する紫外線の波長が280~400nmである1に記載の2成分型室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の混合状態を評価する方法。
3.上記表面処理微粉末が、シラン類、シラザン類又は低重合度ポリシロキサン類で表面処理した微粉末である1又は2に記載の2成分型室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の混合状態を評価する方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明の評価方法によれば、混合後に白色の外観となる2成分型組成物の場合においても、紫外線照射下で混合状態を目視で正確に確認でき、混合不良による不具合の発生を未然に防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明に係る2成分型室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の混合状態を評価する方法におけるバタフライテストの要領を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る2成分型室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の混合状態を評価する方法の実施形態について説明する。
本発明の2成分型室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の混合状態の評価方法は、(A)分子鎖両末端がヒドロキシシリル基で封鎖された25℃における粘度が20~1,000,000mPa・sであるジオルガノポリシロキサン
100質量部、
(B)炭酸カルシウム 10~300質量部、
(C)少なくとも一分子内に1つのアルコキシシリル基を有する有機ケイ素化合物
0.5~20質量部、
(D)硬化触媒 0.001~10質量部、
(E)蛍光増白剤 0.005~10質量部
を含んでなる室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物において、少なくとも(A)成分及び(B)成分を含むと共に(E)成分を含まない主剤と、少なくとも(C)成分、(D)成分及び(E)成分を含む硬化剤とに分けて包装され、L*a*b*表色系における主剤と硬化剤の色差(△E)が20以下であり、主剤のL*値、硬化剤のL*値、及び主剤と硬化剤を100:1~100:100の質量比で混合した後の組成物を硬化してなる硬化物のL*値がいずれも80以上である2成分型の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を評価対象とするものである。なお、L*a*b*表色系は国際照明委員会(CIE)が定めるL*a*b*表色系である。
【0013】
(A)成分のジオルガノポリシロキサンは、本組成物の主成分(ベースポリマー)であり、これは分子鎖両末端がヒドロキシシリル基(ヒドロキシジオルガノシリル基)で封鎖されたジオルガノポリシロキサンである。また、その粘度は低すぎると硬化後の硬化物(シリコーンゴム硬化物)のゴム弾性が乏しくなり、高すぎると作業性が低下するので、25℃における粘度が20~1,000,000mPa・sの範囲内にあることが必要であり、100~100,000mPa・sの範囲内にあることが好ましい。このオルガノポリシロキサンの分子構造は、実質的に直鎖状であるが、硬化物がゴム弾性を損なわれない範囲で分子鎖の一部が分岐していてもよい。なお、この粘度は回転粘度計(例えば、BL型、BH型、BS型、コーンプレート型、レオメータ等)による測定値である。
【0014】
好ましい(A)成分は、下記一般式(1):
【化1】
で表される分子鎖両末端ヒドロキシジオルガノシリル基封鎖の直鎖状ジオルガノポリシロキサンである。
【0015】
式中、R1は非置換一価炭化水素基、ハロゲン化一価炭化水素基及びシアノアルキル基から選ばれる炭素原子数1~10の非置換又は置換一価炭化水素基であり、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ヘキシル基、2-エチルヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基;トリフルオロプロピル基、クロロプロピル基等のハロゲン化一価炭化水素基;β-シアノエチル基、γ-シアノプロピル基等のシアノアルキル基が例示される。中でもメチル基等のアルキル基であることが好ましい。
【0016】
nは25℃において回転粘度計で測定した粘度が20~1,000,000mPa・sとなるような数であり、通常、10~2,000の整数、好ましくは20~1,500の整数、より好ましくは50~1,000程度の整数であればよい。本発明において、重合度(ジオルガノシロキサン単位の繰り返し数であるn値)あるいは分子量は、例えば、トルエン等を展開溶媒としてゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)分析におけるポリスチレン換算での数平均重合度(又は数平均分子量)等として求めることができる。
(A)成分は周知の方法により製造することができる。
【0017】
(B)成分の炭酸カルシウムは、従来公知の炭酸カルシウムから選択されればよく、特に制限されるものでない。例えば、炭酸カルシウムには、天然炭酸カルシウム(重質炭酸カルシウム)及び合成炭酸カルシウム(軽質(コロイダル)炭酸カルシウム)がある。
【0018】
本発明において、炭酸カルシウムは、平均粒子径10nm以上、好ましくは20~20,000nm、さらに好ましくは30~10,000nmを有するのがよい。炭酸カルシウムの平均粒子径が上記下限値未満であると粒子の擬凝集が起こる場合がある。
【0019】
なお、本発明において、炭酸カルシウムの「平均粒子径」とは、重質炭酸カルシウムの場合は、表面処理の有無に関わらず、空気透過法により測定して算出された比表面積からの計算値である。また、コロイダル炭酸カルシウムの場合は、表面処理の有無に関わらず、電子顕微鏡観察により測定した平均一次粒子径を意味する。
【0020】
また、炭酸カルシウムは、表面を処理剤で処理されたものであってもよい。炭酸カルシウムの表面処理剤としては、例えば、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、樹脂酸、又はそれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、脂肪酸エステル、又は第四級アンモニウム塩が挙げられるが、これらに限定されるものでない。樹脂酸としては、ロジン酸、アビエチン酸、デヒドロアビエチン酸、デキストロピマール酸、レボピマール酸、パルストリン酸、及びサンダラコピマール酸等が挙げられる。脂肪酸としては、炭素数12以上のものが好ましく、例えば、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、及びラウリン酸等が挙げられる。中でも、飽和脂肪酸や不飽和脂肪酸、及び、ロジン酸が好ましい。
【0021】
処理される炭酸カルシウムとしては、平均一次粒子径が0.1μm以下、好ましくは0.03~0.1μmを有するコロイダル炭酸カルシウム、及び0.1μmより大きい平均粒子径を有する重質炭酸カルシウムが好ましい。表面処理された炭酸カルシウムは単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0022】
また、炭酸カルシウムの表面処理量は、炭酸カルシウムに対して3.0質量%以下、好ましくは0.5~2.5質量%であるのがよい。炭酸カルシウムの表面処理量が上記上限値より多いと、得られる組成物の接着性が損なわれるおそれがあるため好ましくない。表面処理量は、例えば、示差熱分析装置(SSC5200、セイコー電子工業株式会社製)によって測定することができる。
【0023】
無処理の炭酸カルシウム及び表面処理された炭酸カルシウムは市販されており、本発明ではそれらを用いることができる。無処理の炭酸カルシウムの市販品としては、ソフトン3200、ソフトン1000、BF-100、BF-300(以上、白石工業(株)製商品名)等が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。表面処理された炭酸カルシウムの市販品としては、Viscolite-OS、白艶華T-DD(以上、白石工業(株)製商品名)等が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0024】
無処理の炭酸カルシウム及び表面処理された炭酸カルシウムは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、表面処理された炭酸カルシウムを無処理の重質炭酸カルシウムと併用することにより、より優れた強靭性付与効果及びより高い作業性が発現されるため好ましい。
【0025】
(B)成分の量は、(A)成分100質量部に対して10~300質量部、好ましくは30~200質量部である。炭酸カルシウムの量が上記下限値未満では、目的とする、硬化物(シリコーンゴム硬化物)の補強性が得られない。また、上記上限値を超えると、組成物を調製する時の混練が困難となるのに加え、硬化物のゴム弾性が硬くなり、目的とするゴム弾性を有する硬化物(シリコーンゴム硬化物)を得ることができないおそれがあるため好ましくない。
【0026】
(C)成分である少なくとも一分子内に1つのアルコキシシリル基を有する有機ケイ素化合物は、本発明の組成物を硬化(架橋)させるための硬化剤(又は架橋剤)であって、一分子中に、架橋反応((A)成分の末端シラノール基との加水分解縮合反応)を可能にするアルコキシシリル基を少なくとも1個、部分構造として分子中に有することが必要とされる他には特に制限はないが、好適には該アルコキシシリル基は炭素原子数1~10、特には炭素原子数1~3のアルコキシ基が1~3個ケイ素原子に結合したものであることが好ましく、また該アルコキシシリル基としてはジアルコキシシリル基、トリアルコキシシリル基等の複数(2個又は3個)のアルコキシ基がケイ素原子に結合したアルコキシシリル基であることが好ましい。また、ケイ素原子には加水分解可能な基(アルコキシ基)以外の基(例えば、アルキル基、アルケニル基、アリール基等の1価炭化水素基など)が結合していてもよく、更に、その分子構造はシラン又はシロキサン構造のいずれであってもよい。特に、シロキサン構造のものにあっては直鎖状、分岐鎖状又は環状のいずれであってもよい。(C)成分としては、好ましくは、アルコキシシリル基含有オルガノシラン化合物やアルコキシシリル基含有オルガノポリシロキサン化合物等のほかテトラアルコキシシラン化合物やその部分加水分解縮合物などが挙げられる。なお、この(C)成分は、後述するシランカップリング剤を含まない。
【0027】
本発明の(C)成分の具体例としては、例えば、エチルシリケート、プロピルシリケート、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、メチルトリス(メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリス(メトキシエトキシ)シラン等の(オルガノ)アルコキシシラン又は(オルガノ)アルコキシアルコキシシラン及びこれらの部分加水分解縮合物(即ち、複数の残存アルコキシ基を有するオルガノシロキサンオリゴマー)が挙げられる。また、1,3-ビス[(トリメトキシシリル)エチル]-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、1,3-ビス[(トリエトキシシリル)エチル]-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、1,3-ビス[(メチルジメトキシシリル)エチル]-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、1-[(トリメトキシシリル)エチル]-3-[(トリエトキシシリル)エチル]-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、1-[(メチルジメトキシシリル)エチル]-3-[(トリメトキシシリル)エチル]-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン等のビスアルコキシシリルアルキルジシロキサン化合物や、1,6-ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、1,8-ビス(トリメトキシシリル)オクタン、1,4-ビス(トリメトキシシリル)ブタン、1,10-ビス(トリメトキシシリル)デカン、1,6-ビス(ジメトキシシリル)ヘキサン等のビスシリルアルカン化合物が例示される。
これらは1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
【0028】
(C)成分の配合量は、(A)成分100質量部に対して、0.5~20質量部、好ましくは1~10質量部である。
【0029】
(D)成分の硬化促進触媒(硬化触媒)としては、加水分解縮合反応を促進する作用を奏するものであれば、特に制限されるものではないが、例えば、錫、チタン、ジルコニウム、鉄、アンチモン、ビスマス、マンガン等の金属の有機カルボン酸塩、アルコキサイド;有機チタン酸エステル、有機チタンキレート化合物が例示され、より具体的には、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオクトエート、ジオクチル錫ジラウレート、ジブチル錫マレートエステル、ジメチル錫ジネオデカノエート、ジブチル錫ジメトキサイド、ジオクチル錫ジネオデカノエート、スタナスオクトエート等の錫化合物;テトラブチルチタネート、ジイソプロポキシビス(アセチルアセトネート)チタン、ジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)等のチタン化合物、ジブチルアミン、ラウリルアミン、テトラメチルグアニジン、テトラメチルグアニジルプロピルトリメトキシシラン等のアミン化合物及びその塩などが例示される。1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。本発明組成物の速硬化性や深部硬化性等の硬化特性が優れることから、有機錫化合物を添加することが好ましく、中でも、ジアルキル錫ジアルコキサイド、ジアルキル錫ジカルボン酸塩であることが好ましく、更に、安全性の面からジメチル錫ジカルボン酸塩、ジオクチル錫ジカルボン酸塩等であることが好ましい。その添加量は、(A)成分100質量部に対して、0.001~10質量部であり、0.005~5質量部の範囲が好ましい。
【0030】
(E)成分の蛍光増白剤は本願の発明の組成物で最も特徴となる成分である。蛍光増白剤は、ブラックライト等の紫外線照射時に蛍光を発する有機化合物であり、440nmより短い波長の光を吸収し、青ないしは紫の蛍光を発する無色の化合物が好ましい。例えば、特開平5-230238号公報に開示されているような、ベンゾオキサゾール誘導体、スチルベン誘導体、イミダゾール誘導体、クマリン誘導体などの一般的に知られている蛍光増白剤を使用し得る。具体的な市販品としては、日化(株)製のニッカフローRP.conc.(商品名)、住友化学(株)製のWhitex(商品名)、住化カラー(株)製のホワイト・フラウワB(商品名)、三井化学(株)製のMikephor BN conc.(商品名)、日本曹達(株)製のKaycoll(商品名)、日本化薬(株)製のKayaphor、Du Pont社製のPontamine White(商品名)、BASF社製のUvitex(商品名)が挙げられる。この中でも2,5-ビス(5-tert-ブチル-2-ベンゾオキサゾリル)チオフェンを主成分とするBASF社製のUvitex OB(商品名)が好適に用いられる。
【0031】
(E)成分の添加量は、(A)成分100質量部に対して、0.005~10質量部であり、0.01~1質量部の範囲が好ましい。添加量が少なすぎると本発明の2成分型組成物の主剤と硬化剤を混合した組成物に300~400nmの紫外線を照射した場合の蛍光が十分でなく、混合状態を目視確認することが出来なくなる。
【0032】
本発明組成物には、前記した(A)~(E)成分に加えて、シランカップリング剤(即ち、1分子中に、窒素、酸素、硫黄等のヘテロ原子を含有する官能性基を有する1価炭化水素基と複数(2個又は3個)のアルコキシ基等の加水分解性基とを有する官能性基含有加水分解性シラン化合物(いわゆるカーボンファンクショナルシラン化合物)及び/又はその部分加水分解縮合物)を配合することが、本発明組成物の硬化速度や各種被着体への接着性を更に向上させる点から好ましい。シランカップリング剤としては、上記(C)成分以外の当該技術分野で公知のもの、特にエポキシ基、アミノ基を有するものが好適に使用される。特には加水分解性基として、アルコキシシリル基又はアルケノキシシリル基を有するものが好ましく、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、N-β-(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-(N-アミノメチルベンジルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、N,N’-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、N,N-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]アミン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリイソプロペノキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジイソプロペノキシシラン、1,3,5-トリス(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、(メタ)アクリルシランとアミノシランの反応物、エポキシシランとアミノシランの反応物等、アミノシランとハロゲン化アルキル基含有シランとの反応物等が例示される。特にはアミノ基を分子内に少なくとも1つ含むシランカップリング剤の使用が好ましい。
【0033】
このシランカップリング剤の配合量は、(A)成分100質量部当たり0.1~20質量部、好ましくは0.5~10質量部使用される。0.1質量部未満では十分な接着性が得られず、20質量部を超えると価格的に不利となるばかりか変色など意匠上の不具合を招く場合がある。
【0034】
[その他の成分]
また、本発明の効果を阻害しない限りにおいて、前記した成分以外に一般に知られている添加剤を使用しても差し支えない。添加剤としては、乾式法シリカ、湿式法シリカ、石英微粉末、二酸化チタン粉末、ケイソウ土粉末、水酸化アルミニウム粉末、水酸化マグネシウム粉末、微粒子状アルミナ、マグネシア粉末、酸化亜鉛粉末、炭酸亜鉛粉末、硫酸バリウム粉末及びこれらをシラン類、シラザン類、低重合度ポリシロキサン類等で表面処理した微粉末状の炭酸カルシウム以外の無機質充填剤(特には白色無機質充填剤)が挙げられる。このような無機質充填剤の添加量は(A)成分100質量部に対して1~400質量部であり、好ましくは5~200質量部である。
【0035】
また、その他の添加剤としては、両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、イソパラフィン等、難燃剤としての白金化合物、炭酸亜鉛粉末、必要に応じてチクソ性調整剤としてのポリエーテル、蛍光増白剤以外の顔料、染料等の着色剤、ベンガラ及び酸化セリウム等の耐熱性向上剤、耐寒性向上剤、防錆剤、防かび剤、抗菌剤などが挙げられる。また、トルエン、キシレン、溶剤揮発油、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、低沸点イソパラフィン等の溶剤も添加され得る。
【0036】
なお、本発明の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物は、上述した成分を混合することにより調製し得るが、この場合、少なくとも(A)成分及び(B)成分を含んでなる主剤と、少なくとも(C)成分、(D)成分及び(E)成分を含んでなる硬化剤に分けて包袋し、使用時にこれら主剤と硬化剤を混合して適用される。この場合、(E)成分は硬化剤のみに配合され、主剤に配合されてはいけない。尚、シランカップリング剤は硬化剤組成物に配合することが好ましい。それ以外の成分は、主剤や硬化剤に配合することができる。
【0037】
ここで、L*a*b*表色系における主剤と硬化剤の色差(△E)が20以下である。
L*a*b*表色系における主剤と硬化剤の色差(△E)は、主剤のL*a*b*表色系の各値をL*(b)値、a*(b)値、b*(b)値とし、硬化剤のL*a*b*表色系の各値をL*(c)値、a*(c)値、b*(c)値とした場合、次式(1)で求められる。
△E={(L*(b)-L*(c))2+(a*(b)-a*(c))2+(b*(b)-b*(c))2}1/2 (1)
【0038】
また、主剤のL*値、硬化剤のL*値、及び主剤と硬化剤を100:1~100:100の質量比で混合した後の組成物を硬化してなる硬化物のL*値がいずれも80以上である。
【0039】
なお、主剤と硬化剤が共に白色や白色に近い淡色である場合に、両者の色差(△E)が20以下となり、上記各L*値がいずれも80以上となる。
【0040】
本発明の2成分型室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の混合状態の評価方法が評価対象とする室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物は、加熱も冷却も必要としない室温(常温)で硬化させればよく、通常0~50℃、好ましくは5~40℃である。硬化時間は、通常1時間~2週間程度、好ましくは3時間~1週間程度である。
【0041】
本発明の2成分型室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の混合状態の評価方法は、上述した室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を調製する段階と、ASTM C1401-14のAPPENDIXESのX5に記載のBUTTERFLY TEST(バタフライテスト)に準ずる方法で、調製した組成物を用いて試料を作成し、該試料の外観観察時に組成物表面に紫外線照射装置により波長280~400nm、好ましくは340~380nm、特に好ましくは350~370nmの紫外線を照射した状態で組成物の外観を目視観察し混合状態を目視で確認する段階とからなる。
【0042】
本発明の評価方法で行うバタフライテストの方法を図式化したものを
図1に示す。この方法は一辺が20~30cm角のシート1、シーリングガン2、室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物、紫外線照射装置(図示せず)を少なくとも用いて以下のように行う。
【0043】
まず、シーリングガン2を用いてシート1の中央付近に評価対象の混合後の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物をビード状に打接(塗布)する(
図1(a))。シート1は、ビード状に塗布した組成物を保持可能で、後述するように180°に2つ折りし、再度折り戻して平坦にできるものであればよく、例えば折り曲げ、折り戻し可能な紙のシートやプラスチックフィルム又はシートがよい。また、シート1は、塗布した組成物とシート1とを目視で識別できる程度に異なる色(例えば、黒色)であることが好ましく、紫外線照射時に組成物の発光状態の観察を阻害しないように蛍光を発しないものがよい。シーリングガン2は施工時に実際に用いるものを使うとよい。また、ビード状に塗布した組成物であるビード部分3は、直径(又は幅)が7~15mm程度、長さが15~20cm程度のものとすればよい。
【0044】
次に、組成物のビード部分3が谷折りになるようにして、シート1を二つに折る(
図1(b))。このとき、シート1に挟まれた組成物のビード部分3が2mm以下の厚みになるようにシート1の上から押しつぶし、均すことを行う。
【0045】
その後、シート1を折り戻すように展開し、組成物を露出させる。露出した組成物の表面を太陽光や蛍光灯の明かりなどの可視光の下で目視観察後、紫外線照射装置(図示せず)により組成物の表面に紫外線を照射し、紫外線を照射している間の組成物の外観を目視観察する。組成物には蛍光増白剤が含有されているため、紫外線照射により発光する(
図1(c)、(d))。このとき、暗室内など太陽光などの可視光の照射をできるだけ遮断した状況で紫外線を照射するとよい。なお、紫外線照射装置としては、市販のブラックライト等を用いることができる。卓上型のものから、ペンライト型のものまで広く販売されており、容易に入手することができる。
【0046】
ここで、組成物表面3a全体でその発光が不均一に観察された場合は組成物の混合状態が不十分(NG)と判定する(
図1(c))。また、その発光が組成物表面3b全体で均一に観察された場合は組成物の混合状態が良好(OK)と判定する(
図1(d))。なお、
図1(c)、(d)の組成物表面3a、3bにおける白色部分が紫外線照射時の発光部分であり、
図1(c)の組成物表面3aにおける筋状の暗色部分が紫外線照射時の非発光又は発光の弱い部分である。
図1(c)は、組成物表面3aの大部分で発光しているが、筋状に発光していない部分(暗色部分)が数本観察される様子を示している。
図1(d)では、組成物表面3b全体で均一に発光している様子を示している。
なお、発光が不均一に観察された場合とは、
図1(c)の状態だけではなく、
図1(d)の場合を除いて、組成物表面3aのいずれかの箇所に非発光又は発光の弱い部分(暗色部分)が観察される場合である。
【0047】
以上のような本発明の2成分形室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の混合状態の評価方法は、建築土木用途での防水シール材や構造接着構法に用いられる構造シーラント、複層ガラス封着部の2次シール材など、高い信頼性を求められる用途において、混合不良による不具合を確実に防止できるため、好適に使用することができる。
【実施例】
【0048】
以下、本発明の実施例と比較例を説明するが、本発明にかかる代表的な実施の形態を示すものであり、本発明は以下の実施例により限定されるものではない。実施例中の粘度は25℃におけるB型回転粘度計による測定値であり、部はいずれも質量部を意味する。また、本発明の評価方法の評価対象とする組成物及び硬化物の色彩値(L*a*b*表色系)はコニカミノルタ(株)製色彩色差計「CR-400 HEAD」で測定した値である。
【0049】
主剤及び硬化剤を以下の条件で調製した。
【0050】
[主剤1の調製]
粘度5,000mPa・sの両末端水酸基封鎖ポリジメチルシロキサン100質量部に表面処理炭酸カルシウム(白石工業(株)製「Viscolite-OS」)50質量部及び表面処理炭酸カルシウム(韓国DONGHO社製「OKYUMHWA TCR」)50質量部を加えて3本ロールを用いて均一に混合し、主剤1とした。主剤1のL*a*b*表色系での色彩値は、L*=90.14、a*=1.01、b*=3.88であった。
【0051】
[主剤2の調製]
粘度5,000mPa・sの両末端水酸基封鎖ポリジメチルシロキサン100質量部に表面処理炭酸カルシウム(白石工業(株)製「Viscolite-OS」)50質量部及び表面処理炭酸カルシウム(韓国DONGHO社製「OKYUMHWA TCR」)50質量部、蛍光増白剤(BASF社製「Tinopal OB」)0.1質量部を加えて3本ロールを用いて均一に混合し、主剤2とした。主剤2のL*a*b*表色系での色彩値は、L*=90.28、a*=0.42、b*=4.53であった。
【0052】
[硬化剤1の調製]
粘度5,000mPa・sの両末端トリメチルシロキシ基封鎖ポリジメチルシロキサン52質量部に酸化チタンを25質量部、乾式法煙霧質シリカを4質量部、蛍光増白剤(BASF社製「Tinopal OB」)0.5質量部、メチルトリメトキシシラン15質量部、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン8質量部、ジメチル錫ジネオデカノエート0.12質量部を混合し、これを硬化剤1とした。硬化剤1のL*a*b*表色系での色彩値は、L*=94.91、a*=0.61、b*=0.43であった。
【0053】
[硬化剤2の調製]
蛍光増白剤(BASF社製「Tinopal OB」)0.5質量部を添加しないこと以外は硬化剤1と同様に調製し、これを硬化剤2とした。硬化剤2のL*a*b*表色系での色彩値は、L*=94.89、a*=0.72、b*=-0.09であった。
【0054】
[硬化剤3の調製]
粘度5,000mPa・sの両末端トリメチルシロキシ基封鎖ポリジメチルシロキサン67質量部にカーボンブラックを10質量部、メチルトリメトキシシラン15質量部、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン8質量部、ジメチル錫ジネオデカノエート0.12質量部を混合し、これを硬化剤3とした。硬化剤3のL*a*b*表色系での色彩値は、L*=19.42、a*=3.51、b*=1.62であった。
【0055】
[硬化剤4の調製]
粘度5,000mPa・sの両末端トリメチルシロキシ基封鎖ポリジメチルシロキサン46質量部に酸化チタンを25質量部、カーボンブラックを0.8質量部、乾式法煙霧質シリカを5質量部、メチルトリメトキシシラン15質量部、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン8質量部、ジメチル錫ジネオデカノエート0.12質量部を混合し、これを硬化剤4とした。硬化剤4のL*a*b*表色系での色彩値は、L*=64.28、a*=0.40、b*=-5.41であった。
【0056】
[実施例1]
主剤1と硬化剤1を質量比100:10の割合で混合し、室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を調製し、その混合状態を評価した。詳しくは、下記に示す混合条件1、2の条件ごとに主剤と硬化剤を混合し、それぞれの混合した組成物とその硬化物について下記に示す2つの混合状態の評価方法に従ってその混合状態を判定した。
【0057】
[混合条件1]
主剤200gと硬化剤20gを樹脂性カップに採取し、自転・公転真空ミキサー((株)シンキー製「あわとり練太郎 ARV-310」)にて100mmHgの減圧下にて20秒間混合した。この条件では、硬化後の条件から判断すると、主剤と硬化剤の混合は十分でなく、不均一である。
【0058】
[混合条件2]
混合条件1の混合時間を30秒から120秒に変更した以外は混合条件1と同様に混合した。
【0059】
[太陽光下での混合状態の評価方法]
ASTM C1401-14のAPPENDIXESのX5に記載のBUTTERFLY TESTに準ずる方法で、即ちシート上に混合した組成物をビード状に塗り、この組成物のビード部分が谷折りになるようにシートを2つに折り、該シートの上からビード部分の厚さを均した後、シートを折り戻して組成物を露出させることを行い、蛍光灯下でこの露出した組成物の外観を目視観察し、混合状態を確認した。均一に混合されている場合は「○」、不均一である場合には「×」と判定した。ここで、均一とは、組成物表面全体が白色(又は白色系の淡い色)の単色で観察される場合をいい、不均一とは、組成物表面において白色(又は白色系の淡い色)とその色と異なる色の色むらが観察される場合をいう。
【0060】
[紫外線照射下での混合状態の評価方法]
ASTM C1401-14のAPPENDIXESのX5に記載のBUTTERFLY TESTに準ずる方法で、即ち
図1及び上述したバタフライテストの方法に従い、シート上に混合した組成物をビード状に塗り、この組成物のビード部分が谷折りになるようにシートを2つに折り、該シートの上からビード部分の厚さを均した後、シートを折り戻して組成物を露出させることを行い、この露出した組成物表面にブラックライトにより波長365nmの紫外線を照射した状態で組成物の外観を目視観察し混合状態を確認した。外観が均一であった場合は「○」、不均一である場合には「×」と判定した。ここで、均一とは、組成物表面全体で発光が均一に観察される場合をいい、不均一とは、組成物表面全体で発光が不均一に観察される場合をいう。
【0061】
次に、混合条件1、2で混合した組成物それぞれについて以下の条件で硬化させ、その硬化物を評価した。
【0062】
[硬化物の評価方法]
平らなスレート板上にポリエチレンシートを皺無く張り、縦50mm、横50mm、深さ10mmの空間が形成されるようにポリエチレン製バックアップ材で枠をつくり、混合後の組成物を流し込み、表面をスクィーズして平らにならし、23℃、50%RH環境で7日間養生して、組成物を硬化させた。得られた硬化物の硬さをJIS K 6253に準拠してTYPE-Aデュロメーターにより硬さを5点測定し、硬化物の状態として最大値と最小値の差が3以下の場合は「○」、4以上の場合には「×」と判定した。
また、混合条件2で混合した組成物を硬化させた硬化物の色調(白色、灰色、黒色)を太陽光下又は蛍光灯で目視で判定した。更に、硬化物の色彩値(L*値、a*値、b*値)を測定した。
【0063】
[比較例1]
実施例1における主剤及び硬化剤の組み合わせを主剤1と硬化剤2に代え、それ以外は実施例1と同様にして評価した。
【0064】
[比較例2]
実施例1における主剤及び硬化剤の組み合わせを主剤1と硬化剤3に代え、それ以外は実施例1と同様にして評価した。
【0065】
[比較例3]
実施例1における主剤及び硬化剤の組み合わせを主剤1と硬化剤4に代え、それ以外は実施例1と同様にして評価した。
【0066】
[比較例4]
実施例1における主剤及び硬化剤の組み合わせを主剤2と硬化剤1に代え、それ以外は実施例1と同様にして評価した。
【0067】
[比較例5]
実施例1における主剤及び硬化剤の組み合わせを主剤2と硬化剤2に代え、それ以外は実施例1と同様にして評価した。
以上の結果を表1に示す。なお、主剤と硬化剤の色差△Eは上記式(1)に基づいて求めた。
【0068】
【0069】
表1に示す結果から分かるように、本発明の評価方法は評価対象の主剤と硬化剤の混合後の組成物の外観が白色などの淡色の場合においても、紫外線を照射することにより主剤と硬化剤の混合不良を検出でき、硬化不良などの不具合を未然に防止することができる。
【0070】
なお、これまで本発明を上記実施形態をもって説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、変更、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0071】
1 シート
2 シーリングガン
3 ビード部分
3a、3b 組成物