(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-26
(45)【発行日】2023-01-10
(54)【発明の名称】フェースアップ式の研磨装置のための研磨ヘッド、当該研磨ヘッドを備える研磨装置および当該研磨装置を用いた研磨方法
(51)【国際特許分類】
B24B 57/02 20060101AFI20221227BHJP
B24B 37/12 20120101ALI20221227BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20221227BHJP
【FI】
B24B57/02
B24B37/12 D
H01L21/304 622E
H01L21/304 622F
(21)【出願番号】P 2018000729
(22)【出願日】2018-01-05
【審査請求日】2020-10-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100146710
【氏名又は名称】鐘ヶ江 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【氏名又は名称】渡邊 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100203611
【氏名又は名称】奈良 大地
(72)【発明者】
【氏名】小林 賢一
(72)【発明者】
【氏名】戸川 哲二
【審査官】山内 康明
(56)【参考文献】
【文献】特許第5172457(JP,B2)
【文献】特公平04-042138(JP,B2)
【文献】特開平10-015823(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 57/02
B24B 37/12
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の研磨面が上向きとなるように前記基板を保持し、液体の存在下で基板を研磨する研磨装置のための回転可能な研磨ヘッドであって、
前記研磨ヘッドの回転軸の周囲に設けられた、液体を受けるための液体リザーバ部と、
前記研磨ヘッドの下面に設けられた、前記液体リザーバ部により受けられた液体を排出するための液体排出口と、
を備え、
前記研磨ヘッドの上部に、前記研磨ヘッドの回転軸を中心とした環状の開口が形成されており、
前記液体リザーバ部が、前記開口を介して前記研磨ヘッドの外部の空間と連通する、研磨ヘッド。
【請求項2】
請求項1に記載の研磨ヘッドであって、前記液体リザーバ部の底面がすり鉢状に傾斜している、研磨ヘッド。
【請求項3】
請求項1または2に記載の研磨ヘッドであって、前記液体リザーバ部の外壁および/または底面に設けられたオーバーハング部であって、前記開口の径方向内側に向かって延びるオーバーハング部をさらに備える、研磨ヘッド。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の研磨ヘッドであって、前記液体リザーバ部と前記液体排出口を繋ぐ流路が設けられている、研磨ヘッド。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の研磨ヘッドであって、前記液体排出口は前記研磨ヘッドの下面の中心に設けられている、研磨ヘッド。
【請求項6】
上面に基板を着脱可能に支持するための定盤と、
前記定盤に対向するように設けられた、請求項1から5のいずれか一項に記載の研磨ヘッドと、
前記研磨ヘッドの前記開口を介して前記液体リザーバ
部に液体を供給するための液体供給ノズルと、
を備える、研磨装置。
【請求項7】
請求項6に記載の研磨装置を用いた研磨方法であって、
(a)前記研磨ヘッドの下面に取り付けられた研磨パッドを前記基板に接触させるステップと、
(b)前記液体供給ノズルから前記液体リザーバ部に研磨液を供給しながら、前記研磨ヘッドを回転させるステップと、
(c)前記液体供給ノズルから前記液体リザーバ部に洗浄液を供給しながら、前記研磨ヘッドを回転させるステップと、
(d)前記研磨パッドを前記基板から引き離すステップと、
を含む、研磨方法。
【請求項8】
請求項7に記載の研磨方法であって、
前記研磨装置は、前記研磨ヘッドを回転させるための回転機構をさらに備え、
前記ステップ(b)および前記ステップ(c)における前記研磨ヘッドの回転は、前記回転機構により行われる、研磨方法。
【請求項9】
請求項7または8に記載の研磨方法であって、
前記研磨装置は、前記研磨ヘッドを上下動させるための上下動機構をさらに備え、
前記ステップ(a)における前記研磨パッドを前記基板に接触させることおよび前記ステップ(d)における前記研磨パッドを前記基板から引き離すことは、前記上下動機構により行われる、研磨方法。
【請求項10】
請求項7から9のいずれか一項に記載の研磨方法であって、前記ステップ(b)における前記研磨液の単位時間あたりの供給量は、前記研磨液の前記液体排出口からの単位時間あたりの排出量と同一である、研磨方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェースアップ式の研磨装置のための研磨ヘッド、当該研磨ヘッドを備える研磨装置および当該研磨装置を用いた研磨方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体加工工程において用いられる基板研磨装置の一種にCMP(Chemical Mechanical Polishing、化学的機械研磨)装置が存在する。CMP装置は、基板の研磨面が向いている方向によって「フェースアップ式(基板の研磨面が上向きの方式)」と「フェースダウン式(基板の研磨面が下向きの方式)」に大別され得る。
【0003】
特許文献1(特開平10-15823号公報、特に
図4、段落0005および段落0006を参照)には、フェースアップ式のCMP装置において基板上に研磨液を供給する場合、研磨パッドの中央部には研磨液が充分に行きわたらない旨が記載されている。特許文献1にはさらに、フェースアップ式のCMP装置において基板上に研磨液を供給した場合、研磨に本来必要な量以上の量の研磨液を供給することが必要である旨が記載されている。そこで特許文献1(特に
図1(a)を参照)は、フェースアップ式のCMP装置であって、自転可能な研磨ヘッドに設けられた貫通孔を介して研磨面に研磨液を供給するCMP装置を開示している。特許文献1のCMP装置はさらに、研磨ヘッドに設けられた貫通孔を介して研磨面から研磨液を吸引するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1には、スラリー供給源と研磨ヘッドの接続について、および、スラリー吸引源と研磨ヘッドの接続についての具体的な構成は明示されていない。しかし、回転体である研磨ヘッドに設けられた貫通孔に研磨液を供給するため、および、貫通孔から研磨液を吸引するためには、ロータリジョイント(またはロータリジョイントと同等の機能を有する部品または部分:以下では単にロータリジョイントという。)を設ける必要があると考えられる。
【0006】
研磨液がロータリジョイント内を通過すると、研磨液との化学反応によってロータリジョイントの内部の部品が変質し得る。さらに、研磨液がロータリジョイント内を通過すると、研磨液に含まれる砥粒によってロータリジョイントの内部の部品が摩耗し得る。ロータリジョイントの変質および/または摩耗は、研磨液の供給を不安定にさせ得るほか、研磨液の漏れを引き起こし得る。したがって、ロータリジョイントは定期的に交換されることが好ましい。しかし、ロータリジョイントを交換するためには費用(材料費および人件費など)が必要である。また、部品交換作業中は装置の稼働を停止する必要があるので、部品交換作業によって装置のスループットが低下し得る。
【0007】
なお、CMP装置のための研磨液には砥粒を含まないもの(砥粒レス研磨液)も存在する。この場合、砥粒による部品の摩耗は起こらないと考えられる。しかし、砥粒レス研磨液を用いる場合であっても研磨液との反応による部品の変質は起こり得る。
【0008】
上記の課題は、CMP装置に限らず、ロータリジョイントを介して研磨液を供給するフェースアップ式の研磨装置であれば生じ得る課題である。そこで本願は、フェースアップ式の研磨装置において、ロータリジョイントを介さずに研磨液を供給することを一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願は、一実施形態として、下面に研磨パッドを取り付けて用いられる、フェースアップ式の研磨装置のための研磨ヘッドであって、研磨ヘッドの回転軸の周囲に設けられた、液体を受けるための液体リザーバ部と、研磨ヘッドの下面に設けられた、液体リザーバ部により受けられた液体を排出するための液体排出口と、を備え、研磨ヘッドの上部に、研磨ヘッドの回転軸を中心とした環状の開口が形成されており、液体リザーバ部が、開口を介して研磨ヘッドの外部の空間と連通する、研磨ヘッドを開示する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】一実施形態にかかる研磨装置の正面図である。
【
図2A】一実施形態にかかる研磨ヘッドおよび液体供給ノズルの上面図である。
【
図2B】一実施形態にかかる研磨ヘッドの正面断面図である。
【
図3A】液体リザーバ部の底面にオーバーハング部が設けられた研磨ヘッドの正面断面図である。
【
図4】一実施形態にかかる研磨方法を説明するフローチャートである。
【
図5】研磨ヘッドを複数備える、一実施形態にかかる研磨装置の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下では、図面を参照しながら本発明の一実施形態について説明する。ただし、用いられる図面は模式図である。したがって、図示された部品の大きさ、位置および形状などは、実際の装置における大きさ、位置および形状などとは異なり得る。
図1は一実施形態にかかる研磨装置100の正面図である。以下では、
図1における左右方向をX方向(紙面右側を正)、紙面に垂直な方向をY方向(紙面手前側を正)、上下方向をZ方向(紙面上側を正)とする。
【0012】
図1の研磨装置100はフェースアップ式のCMP装置である。ただし、研磨液を用いるフェースアップ式の研磨装置であれば、研磨装置100はCMP装置でなくともよい。ここで、フェースアップ式の研磨装置とは、基板の研磨面が上向きとなるように基板を保持する研磨装置であって、研磨パッドを用いて基板を研磨する研磨装置である。研磨装置100は、定盤110、研磨ヘッド120および液体供給ノズル130を備える。研磨装置100はさらに、研磨装置100の各構成要素を制御するための制御部140を備える。
【0013】
定盤110は、研磨されるべき基板111を支持するために設けられている。定盤110の上面には基板111が着脱可能に支持されている。
図1の例では、定盤110は基本的に移動しない物体である。しかし、たとえば定盤110を移動および/または回転させる機構が定盤110に接続されていてもよい。基板111は円形であっても角形であっても、その他の形状であってもよい。
【0014】
研磨ヘッド120は定盤110に対向して設けられている。研磨ヘッド120の下面には研磨パッド121が着脱可能に取り付けられている。研磨装置100はさらに回転機構122を備える。回転機構122は、シャフト123を中心に研磨ヘッド120を回転させることが可能である。ここで、研磨ヘッド120の回転軸はZ方向である。なお、本明細書における「シャフト」とは「回転によって動力を伝達する機械的な部品(実際に存在
する部品)」を指す用語であり、「回転軸」とは「回転運動の中心となる直線(数学的または仮想的な直線)」を指す用語である。研磨装置100はさらに研磨ヘッド120をZ方向に移動させるための上下動機構124を備える。上下動機構124により研磨ヘッド120を下降させることによって、研磨パッド121の下面が基板111の上面に押し付けられる。研磨パッド121が基板111に押し付けられた状態で研磨ヘッド120を回転させることにより、基板111が研磨される。
【0015】
好ましくは、研磨装置100はさらに研磨ヘッド120を水平移動させるための水平移動機構125を備える。基板111の研磨中に、水平移動機構125により研磨ヘッド120を移動させることにより、基板111の広い領域を研磨することが可能になる。なお、
図1の水平移動機構125は研磨ヘッド120をX方向に移動させるように構成されている。しかし、水平移動機構125は研磨ヘッド120をX方向および/またはY方向に移動させる機構であってよい。
【0016】
研磨ヘッド120の下面には、研磨パッド121と基板111との間の押圧力を調整するためのエアバッグ(図示せず)が設けられていてもよい。
図1の例では、研磨パッド121より基板111の方が大きく図示されている。しかし、基板111より研磨パッド121の方が大きい構成を採用することも可能である。研磨ヘッド120は定盤110より大きくてもよく、小さくてもよい。ここで、基板111、研磨パッド121、研磨ヘッド120および定盤110の大きさとは、それらを上方または下方から見た場合における面積、すなわちXY平面上の投影面積を指す。
【0017】
研磨ヘッド120には液体リザーバ部126が設けられている。さらに、研磨ヘッド120には液体リザーバ部126と連通し、液体リザーバ部126により受けられた液体を排出するための液体排出口127が設けられている。換言すれば、液体排出口127は研磨ヘッド120の下面と液体リザーバ部126とを接続する。研磨パッド121には、液体排出口127の位置に対応するようにパッド孔128が設けられている。液体供給ノズル130から供給され、液体リザーバ部126により受けられた液体は、重力に従って液体排出口127に流れこむ。液体排出口127に流れ込んだ液体は、パッド孔128を通って研磨パッド121の研磨面に達する。
【0018】
基板111を研磨している間、研磨ヘッド120は回転する。研磨ヘッド120の回転により、研磨パッド121の研磨面に達した液体は研磨ヘッド120の径方向外側に向かって力を受ける。したがって、基板111の研磨中に研磨ヘッド120の径方向外側に液体が移動し得る。液体が径方向外側に移動することによって、研磨ヘッド120の中心付近において液体が不足する可能性がある。そこで好ましくは、液体排出口127は研磨ヘッド120の下面の中心付近に設けられている。液体排出口127を研磨ヘッド120の下面の中心に設けることにより、研磨パッド121の中心に十分な量の液体を供給することが可能となる。ただし、液体排出口127を研磨ヘッド120の下面の中心以外の部分に設けることも可能である。また、液体排出口127の個数は限定されない。液体リザーバ部126の詳細は、
図2を用いて後述される。
【0019】
液体供給ノズル130は、液体源131に保持された研磨液、薬液および/または洗浄液などの液体を研磨装置100に供給するために設けられている。より詳細には、液体供給ノズル130は、研磨ヘッド120の上部から液体リザーバ部126に液体を滴下または流下するように設けられている。液体源131は研磨装置100の一部を構成する要素であってよい。追加または代替として、研磨装置100と別個独立した液体源131を用いることも可能である。好ましくは、研磨装置100は、液体供給ノズル130から供給される液体の量を調整するための流量調整機構132を備える。流量調整機構132は制御部140によって制御されてもよい。
図1では、1つの液体源131が1つの液体供給
ノズル130に接続されている。代替として、複数の液体源131を1つの液体供給ノズル130に接続してもよい。複数の液体源131を1つの液体供給ノズル130に接続した場合、1つの液体供給ノズル130から複数の種類の液体を供給することが可能になる。さらに、液体供給ノズル130の数は1つに限らない。液体供給ノズル130を複数設ける場合、それぞれの液体供給ノズル130に1つまたは複数の別個独立した液体源131を接続してもよい。一方で、液体供給ノズル130を複数設ける場合、1つの液体源131を複数の液体供給ノズル130に接続してもよい。
【0020】
液体供給ノズル130は回転機構122により回転させられない。換言すれば、回転機構122が研磨ヘッド120を回転させている間であっても、液体供給ノズル130は回転機構122によって回転させられない。したがって、液体源131から液体リザーバ部126に液体を供給する際に、液体は回転する部品の内部を通過する必要がない。よって、
図1の構成によれば、研磨装置100にロータリジョイントを設ける必要がない。ただし、
図1の構成にロータリジョイント(たとえば洗浄水を供給するために設けられたロータリジョイント)を加えた構成が排除されるわけではない。
【0021】
液体供給ノズル130は上下動機構124および/または水平移動機構125により移動させられるように構成されていてもよい。液体供給ノズル130が上下動機構124および/または水平移動機構125によって移動させられるように構成することで、液体供給ノズル130を研磨ヘッド120の平行移動に追従させることが容易になる。一方で、液体供給ノズル130は上下動機構124および/または水平移動機構125によって移動させられないように構成されていてもよい。液体供給ノズル130と上下動機構124および/または水平移動機構125を互いに独立させることで、装置の設計自由度が向上し、かつ、液体源131の交換が容易になると考えられる。なお、上下動機構124および水平移動機構125とは別個独立して、液体供給ノズル130を移動させるための移動機構をさらに設けることも可能である。
【0022】
次に、液体リザーバ部126の詳細について
図2を用いて説明する。
図2Aは研磨ヘッド120の上面図である。
図2Bは研磨ヘッド120の正面断面図である。なお、
図2Aおよび
図2Bには液体供給ノズル130もあわせて図示されている。さらに、
図2Bには研磨パッド121もあわせて図示されている。
【0023】
研磨ヘッド120の上部かつシャフト123の周囲、すなわち研磨ヘッド120の上部かつ研磨ヘッド120の回転軸の周囲には、上部から見て環状の凹みが形成されている。この凹みにより画定される空間が、液体供給ノズル130から供給される液体を受けるための液体リザーバ部126として働く。なお、凹みにより液体リザーバ部126を形成することに代え、他の部材、たとえば研磨ヘッド120の上面に設けられた円筒状の部材、などにより液体リザーバ部126を形成してもよい。
【0024】
研磨ヘッド120の上部かつシャフト123の周囲、すなわち研磨ヘッド120の上部かつ研磨ヘッド120の回転軸の周囲には、環状の開口200が形成される。
図2の例では、後述するオーバーハング部220が開口200を画定している。後述するオーバーハング部220が設けられていない場合、研磨ヘッド120の上部に形成された凹みが環状の開口200を画定し得る。液体リザーバ部126は開口200を介して研磨ヘッド120の外部の空間と連通している。したがって、研磨ヘッド120が回転している間にも、液体供給ノズル130から供給された液体は、開口200を介して液体リザーバ部126に達することができる。
【0025】
図2から把握されるように、液体リザーバ部126は液体排出口127より研磨ヘッド120の上部に位置する。したがって、液体リザーバ部126に受けられた液体は、重力
に従って下降し、液体排出口127から排出される。
【0026】
基板111の研磨中は、液体リザーバ部126に供給された液体は遠心力に曝される。すなわち、液体は、研磨パッド121の中心から離れる方向の力を受ける。遠心力に逆らって液体を研磨パッド121の中心に供給するために、
図2の液体リザーバ部126の底面はすり鉢状に傾斜していることが好ましい。液体リザーバ部126の底面を傾斜させることで、液体を、重力によって研磨ヘッド120の中心に向かって流すことが可能になる。液体リザーバ部126の底面の傾斜角度θ
1は、研磨ヘッド120の回転速度、研磨ヘッド120の寸法、液体供給ノズル130から供給される液体の性質、および、研磨パッド121の研磨面に供給すべき液体の量などの種々のパラメータを考慮して決定されてよい。たとえば、θ
1は5°より大きく85°より小さい値である。
【0027】
研磨ヘッド120にはさらに、液体リザーバ部126と液体排出口127を繋ぐ流路210が設けられている。流路210を設けることにより、液体リザーバ部126と液体排出口127との接続を容易にすることが可能である。ただし、液体リザーバ部126と液体排出口127とが直接接続されている構成を採用することもできる。好ましくは、流路210は、液体リザーバ部126のうちもっとも下部に位置する部分と、液体排出口127を繋ぐよう構成される。
図2の例では、60°ごとに設けられた6つの流路210が図示されている。ただし、流路210の構成は
図2に示された例に限らない。流路210の具体的な構成は、液体供給ノズル130から供給される液体の性質、および、研磨パッド121の研磨面に供給すべき液体の量などの種々のパラメータを考慮して決定されてよい。また、液体リザーバ部126の底面同様、流路210も傾けられていてよい。流路210の傾斜角度θ
2はθ
1より大きくても小さくてもよい。θ
2は、研磨ヘッド120の回転速度、研磨ヘッド120の寸法、液体供給ノズル130から供給される液体の性質、および、研磨パッド121の研磨面に供給すべき液体の量などの種々のパラメータを考慮して決定されてよい。たとえば、θ
2は5°より大きく85°より小さい値であって、θ
1より大きい値である。
【0028】
図2の液体リザーバ部126は密閉されていない。したがって、
図2に示された研磨パッド121を用いる場合、液体リザーバ部126から液体が飛び出し得る。液体リザーバ部126の内部の液体は遠心力を受け得るので、液体リザーバ部126の外周部から液体が特に飛び出しやすいと考えられる。
【0029】
そこで
図2の研磨ヘッド120は、液体リザーバ部126から液体が飛び出ることを防ぐためのオーバーハング部220を備える。
図2に示されたオーバーハング部220は、液体リザーバ部126の外壁から研磨ヘッド120の回転軸に向かって延びるように設けられている。すなわち、オーバーハング部220は、開口200の径方向内側に向かって延びている。オーバーハング部220は、ねずみ返し状の部分であると表現することもできる。
図2では、オーバーハング部220は、研磨ヘッド120の他の部分と一体に形成されているように図示されている。代替として、オーバーハング部220は、研磨ヘッド120の他の部分と独立した部品から構成されてもよい。
【0030】
液体リザーバ部126から飛び出ようとする液体は、オーバーハング部220により受け止められる。したがって、オーバーハング部220を設けることにより、液体リザーバ部126から液体が飛び出すことを防止することができる。なお、オーバーハング部220が設けられた場合、オーバーハング部220が開口200を画定し得る。オーバーハング部220の張り出し量が大きい場合、液体の飛び出しをより効果的に防止できる。一方で、オーバーハング部220の張り出し量が大きい場合、開口200の大きさを小さくすることとなり得る。開口200の大きさが小さくなると、液体供給ノズル130からの液体の供給を困難にすると考えられる。オーバーハング部220の張り出し量は、研磨ヘッ
ド120の回転速度、研磨ヘッド120の寸法、液体供給ノズル130から供給される液体の性質、および、液体供給ノズル130からの液体の供給のしやすさなどの種々のパラメータを考慮して決定されてよい。
図2のオーバーハング部220の上部および/または下部に、追加のオーバーハング部を設けてもよい。
【0031】
図2とは異なり、オーバーハング部220は液体リザーバ部126の底面に設けられてもよい。
図3Aは、液体リザーバ部126の底面にオーバーハング部220が設けられた研磨ヘッド120の正面断面図である。
図3Aの例では2つのオーバーハング部220が示されているが、オーバーハング部220の個数は1個でもよく、3つ以上でもよい。なお、
図3Aのオーバーハング部220のそれぞれは、研磨ヘッド120の他の部分から独立した部品である。ただし、オーバーハング部220は研磨ヘッド120の他の部分と一体に形成されていてもよい。
【0032】
オーバーハング部220を液体リザーバ部126の底面に設ける場合、液体リザーバ部126の底面は、少なくとも2段(
図3Aの例では3段)の階段状に構成されることが好ましい(ここでは底面の分割数(階段の「角」の数に1を足した数)を段数とする)。オーバーハング部220は、液体リザーバ部126の階段状に隆起した部分から研磨ヘッド120の回転軸に向かって延びるように構成されることが好ましい。すなわち、
図3Aの例であっても、
図2の例同様に、オーバーハング部220は開口200の径方向内側に向かって延びている。オーバーハング部220は、液体リザーバ部126を複数の領域に区分けする。液体リザーバ部126の領域のうち少なくとも1つの領域の径は、液体リザーバ部126全体の径より小さい。なお、たとえば断面L字状のオーバーハング部220を用いる場合、液体リザーバ部126の底面は階段状でなくともよい。液体リザーバ部126の底面は傾斜していることが好ましい。しかし、液体リザーバ部126の底面は傾斜していなくともよい。液体リザーバ部126の底面が階段状に形成されている場合、それぞれの段の傾斜角度はすべて同一でもよく、段ごとに異なっていてもよい。
【0033】
液体リザーバ部126内部の液体の液面より高い位置にある
図3Aのオーバーハング部220は、液体の飛び出しを防止することができる。また、液面より高い位置に少なくとも1つのオーバーハング部220が存在する場合、遠心力を受けた液体は、液体リザーバ部126の外壁に達する前にオーバーハング部220により止められる。したがって、
図3Aのオーバーハング部220は、液体が液体リザーバ部126の最外周に達することを防止することが可能であり、その結果液体を液体排出口127から排出することを容易にし得る。
【0034】
図3Aのオーバーハング部220は液体リザーバ部126の底面に設けられているので、液体リザーバ部126に比較的多量の液体が存在する場合、
図3Aのオーバーハング部220のいくつかまたはすべては液体に浸漬され得る。液体に浸漬されているオーバーハング部220は、液体リザーバ部126の内部の液体の流れを細分化する。液体の流れについて、
図3Bを用いて説明する。
【0035】
図3Bは、
図3Aのオーバーハング部220周辺の拡大図である。ただし、図示の便宜のため、
図3Aの縦横比と
図3Bの縦横比は異なる。
図3Bでは、すべてのオーバーハング部220が液体に浸漬されている。また、研磨ヘッド120は回転中である。したがって、液体リザーバ部126中の液体は遠心力を受けている。遠心力を受けている結果、液面は傾き得る。
【0036】
液体リザーバ部126の底面にオーバーハング部220が設けられていない構成(
図2参照)では、遠心力により、液体リザーバ部126の内壁から外壁に向けた液体の流れが発生し得、すべての液体が液体リザーバ部126の外壁に達し得る。一方で、
図3B内に
矢印で示されているとおり、液体リザーバ部126の底面にオーバーハング部220が設けられている場合は、液体の流れはオーバーハング部220により阻害される。その結果、液体リザーバ部126内の液体のうち少なくとも一部は液体リザーバ部126の外壁に達せず、液体排出口127にから排出されやすくなり得る。
【0037】
図2のオーバーハング部220は水平に設けられている。また、
図3のオーバーハング部220は下向きに傾斜するよう設けられている。
図2および
図3に示したオーバーハング部とは異なり、上向きに傾斜したオーバーハング部220を用いてもよい。すなわち、液体リザーバ部126内部の液体の飛び出しを防止できること、および/または、液体リザーバ部126内部の液体の流れを中心方向に向けることが可能である限り、オーバーハング部220の傾斜角度に限定はない。
【0038】
図2および
図3に示した構成とは異なり、オーバーハング部220を備えない研磨ヘッド120を用いることも可能である。研磨ヘッド120にオーバーハング部220が設けられていない場合、液体リザーバ部126の深さを深く(液体リザーバ部126の高さを高く)することで、液体の飛び出しを防止することが好ましい。
【0039】
これまで説明した研磨ヘッド120のいずれかを用いて基板111を研磨する際のフローチャートを
図4に示す。説明の便宜のため、フローチャートの開始時には基板111と研磨パッド121は接触しておらず、かつ、液体リザーバ部126には研磨液が実質的に存在していないものとする。
【0040】
ステップ400: 制御部140が上下動機構124および/または水平移動機構125を制御し、研磨パッド121を基板111に接触させる。なお、研磨装置100が上下動機構124および水平移動機構125以外の移動機構を備える場合は、それらの移動機構も制御部140によって制御されてよい。
【0041】
ステップ410: 制御部140が液体源131(または液体源131に接続されているポンプなど)を制御し、液体供給ノズル130から液体リザーバ部126に研磨液を供給させる。流量調整機構132が備えられている場合、流量調整機構132も制御部140によって制御されてよい。さらに、制御部140は、液体供給ノズル130から研磨液を供給しながら回転機構122を制御して、研磨ヘッド120を回転させる。ステップ400により基板111と研磨パッド121が接触させられているので、研磨ヘッド120の回転により基板111の研磨が行われる。
【0042】
ステップ410において、研磨液の供給を開始するタイミングと、研磨ヘッド120の回転を開始するタイミングは同一であってもよい。ただし、研磨液の供給を開始するタイミングと、研磨ヘッド120の回転を開始するタイミングは同一である必要はない。たとえば、研磨ヘッド120の回転に先立ち研磨液を供給し、研磨液が研磨パッド121の研磨面に達するまで待機した後に研磨ヘッド120の回転を開始してもよい。逆に、研磨ヘッド120の回転を開始してから研磨液を液体リザーバ部126に供給してもよい。また、ステップ410では、単位時間あたりに液体排出口127から排出される研磨液の量とおよそ同一の量の研磨液が単位時間あたりに供給されることが好ましい。すなわち、研磨液の排出レートと供給レートは同程度であることが好ましい。「液体排出口127から排出される研磨液の量」は、「研磨加工の間に消費される研磨液の量」と表現することも可能である。研磨液の排出量(消費量)と供給量をおよそ同一とすることで、研磨パッド121の研磨面に研磨液が不足することを防止しつつ、液体リザーバ部126から研磨液が溢れ出ることを防止することができる。さらに、研磨液の排出量と供給量をおよそ同一とすることで、研磨パッド121の研磨面の近傍に存在する研磨液の量を安定させることが可能となる。研磨面の近傍に存在する研磨液の量を安定させることは、安定した研磨加工
を導き得る。
【0043】
ステップ420: ステップ410における研磨の終了後、制御部140が液体源131を制御し、液体供給ノズル130から液体リザーバ部126に洗浄液を供給させる。流量調整機構132が備えられている場合、流量調整機構132も制御部140によって制御されてよい。さらに、制御部140は、液体供給ノズル130から洗浄液を供給しながら回転機構122を制御して、研磨ヘッド120を回転させる。ステップ400により基板111と研磨パッド121が接触させられているので、研磨ヘッド120の回転により基板111の洗浄が行われる。基板111の洗浄と同時に、液体リザーバ部126、パッド孔128および流路210なども洗浄される。
【0044】
ステップ410からステップ420に移行する際に、制御部140は、研磨ヘッド120の回転をいったん停止させてもよい。他の例として、制御部140は、研磨ヘッド120の回転を継続したままステップ410からステップ420に移行してもよい。また、ステップ410とステップ420の間に、図示しないセンサなどによって研磨の終了を判定するステップを追加してもよい。ステップ410および/またはステップ420において研磨ヘッド120を回転している最中に、水平移動機構125により研磨ヘッド120を水平移動させてもよい。
【0045】
ステップ430: 制御部140が上下動機構124および/または水平移動機構125を制御し、研磨パッド121を基板111から引き離す。なお、「引き離す」とは「対象物を非接触にさせる、対象物を分離させるまたは対象物を非結合の状態にする」などを指す用語である。「引き離す」とは、「対象物を引っ張って他の部材から離す」という動作に限定される用語ではない。
【0046】
図2および
図3から把握されるように、一実施形態にかかる研磨ヘッド120には、パッド孔128を閉じるための蓋が設けられていない。したがって、一実施形態にかかる研磨ヘッド120において研磨パッド121が基板111と接触していない場合、換言すれば研磨ヘッド120が持ち上げられている場合、パッド孔128から液体が漏れ出る可能性がある。
図4のフローチャートでは、基板111と研磨パッド121とを接触させたのちに液体リザーバ部126に研磨液を供給するので、研磨液がパッド孔128から意図せず漏れ出ることを防止することができる。また、
図4のフローチャートでは、基板111の研磨後に液体リザーバ部126、パッド孔128および流路210などが洗浄される。洗浄後に研磨パッド121が基板111から引き離された場合、パッド孔128から液体が漏れ出たとしても、漏れ出る液体のほとんどは洗浄液である。したがって、
図4のフローチャートに従って基板111の研磨を実行することで、パッド孔128から研磨液が漏れ出ることを防止することができる。
【0047】
図4のフローチャートにステップを追加すること、
図4のフローチャートに示されたステップを別のステップで代替すること、および、
図4のフローチャートに示されたステップを削除することが可能である。たとえば、液体供給ノズル130を移動させるための移動機構が設けられている場合、研磨パッド121の移動に先立って、研磨パッド121の移動と同時に、または研磨パッド121の移動の後に、液体供給ノズル130を開口200の上部に移動させるステップが追加されてもよい。他の例として、ステップ440の後に研磨パッド121をドレッサ(図示せず)によりドレッシングするステップが追加されてもよい。さらなる他の例として、ステップ410および/またはステップ430に代え、液体供給ノズル130から十分な量の液体(研磨液または洗浄液)を液体リザーバ部126に供給したのち、液体の供給を停止して、その後に研磨ヘッド120を回転させるステップを採用することができる。また、制御部140ではなくユーザが手動で各要素を制御してもよい。研磨ヘッド120の上下動、水平移動および/または回転は、必ずしも上
下動機構124、水平移動機構125および/または回転機構122により行われる必要はない。研磨装置100が、定盤110を上下動および/または水平移動させるための移動機構を備える場合、ステップ400およびステップ440は定盤110のための移動機構により実行されてもよい。例えば、研磨ヘッド120は、研磨装置100とは独立したアクチュエータなどにより移動または回転させられてもよい。極端な例では、ユーザが研磨ヘッド120を移動または回転させてもよい。
図4のフローチャートに示された手法以外の手法に従って研磨を実行してもよい。
【0048】
研磨装置100の変形例として、研磨ヘッド120を複数備える研磨装置100を用いることも可能である。
図5は、研磨ヘッド120を複数備える研磨装置100の正面図である。研磨ヘッド120を複数備えることで、基板111の研磨効率が向上し、研磨装置100のスループットが向上すると考えられる。したがって、
図5の研磨装置100は比較的大型の基板111を研磨する際に有利である。また、研磨ヘッド120を複数備えることで、複雑な形状の基板111(円形ではない基板)を容易に研磨することが可能になり得る。
【0049】
以上、いくつかの本発明の実施形態について説明してきたが、上記した発明の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、特許請求の範囲および明細書に記載された各構成要素の任意の組み合わせ、または、省略が可能である。
【0050】
本願は、一実施形態として、下面に研磨パッドを取り付けて用いられる、フェースアップ式の研磨装置のための研磨ヘッドであって、研磨ヘッドの回転軸の周囲に設けられた、液体を受けるための液体リザーバ部と、研磨ヘッドの下面に設けられた、液体リザーバ部により受けられた液体を排出するための液体排出口と、を備え、研磨ヘッドの上部に、研磨ヘッドの回転軸を中心とした環状の開口が形成されており、液体リザーバ部が、開口を介して研磨ヘッドの外部の空間と連通する、研磨ヘッドを開示する。
【0051】
この研磨ヘッドは、ロータリジョイントを介さずに研磨液を供給することができるという効果を一例として奏する。
【0052】
さらに本願は、一実施形態として、液体リザーバ部の底面がすり鉢状に傾斜している、研磨ヘッドを開示する。
【0053】
この研磨ヘッドは、液体を、重力によって研磨ヘッドの中心に向かって流すことが可能になるという効果を一例として奏する。
【0054】
さらに本願は、一実施形態として、液体リザーバ部の外縁から研磨ヘッドの回転軸に向かって延びるオーバーハング部をさらに備える、研磨ヘッドを開示する。
【0055】
この研磨ヘッドは、液体リザーバ部から液体が飛び出すことを防止することができるという効果を一例として奏する。
【0056】
さらに本願は、一実施形態として、液体リザーバ部と液体排出口を繋ぐ流路が設けられている、研磨ヘッドを開示する。
【0057】
この研磨ヘッドは、容易に液体リザーバ部と液体排出口とを接続可能であるという効果を一例として奏する。
【0058】
さらに本願は、一実施形態として、液体排出口は研磨ヘッドの下面の中心に設けられている、研磨ヘッドを開示する。
【0059】
この研磨ヘッドは、研磨パッド121の中心に十分な量の液体を供給し得るという効果を一例として奏する。
【0060】
さらに本願は、一実施形態として、上面に基板を着脱可能に支持するための定盤と、定盤に対向するように設けられた、請求項1から5のいずれか一項に記載の研磨ヘッドと、研磨ヘッドの開口を介して液体リザーバに液体を供給するための液体供給ノズルと、を備える、研磨装置を開示する。
【0061】
この開示内容により、いずれかの実施形態にかかる研磨ヘッドが適用される装置が明らかになる。
【0062】
さらに本願は、一実施形態として、一実施形態にかかる研磨装置を用いた研磨方法であって、(a)研磨パッドを基板に接触させるステップと、(b)液体供給ノズルから液体リザーバ部に研磨液を供給しながら、研磨ヘッドを回転させるステップと、(c)液体供給ノズルから液体リザーバ部に洗浄液を供給しながら、研磨ヘッドを回転させるステップと、(d)研磨パッドを基板から引き離すステップと、を含む、研磨方法を開示する。
【0063】
この研磨方法は、パッド孔から研磨液が漏れ出ることを防止することができるという効果を一例として奏する。
【0064】
さらに本願は、一実施形態として、研磨装置は、研磨ヘッドを回転させるための回転機構をさらに備え、ステップ(b)およびステップ(c)における研磨ヘッドの回転は、回転機構により行われる、研磨方法を開示する。さらに本願は、一実施形態として、研磨装置は、研磨ヘッドを上下動させるための上下動機構をさらに備え、ステップ(a)における研磨パッドを基板に接触させることおよびステップ(d)における研磨パッドを基板から引き離すことは、上下動機構により行われる、研磨方法を開示する。
【0065】
これらの開示内容により、研磨方法を実行するための研磨装置の詳細が明らかになる。
【0066】
さらに本願は、一実施形態として、ステップ(b)における研磨液の単位時間あたりの供給量は、研磨液の液体排出口からの単位時間あたりの排出量と同一である、研磨方法を開示する。
【0067】
この研磨方法は、研磨パッドの研磨面に研磨液が不足することを防止しつつ、液体リザーバ部から研磨液が溢れ出ることを防止することができるという効果を一例として奏する。
【符号の説明】
【0068】
100…研磨装置
110…定盤
111…基板
120…研磨ヘッド
121…研磨パッド
122…回転機構
123…シャフト
124…上下動機構
125…水平移動機構
126…液体リザーバ部
127…液体排出口
128…パッド孔
130…液体供給ノズル
131…液体源
132…流量調整機構
140…制御部
200…開口
210…流路
220…オーバーハング部