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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-26
(45)【発行日】2023-01-10
(54)【発明の名称】アクリル気化器
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/22 20060101AFI20221227BHJP
   C23C 14/12 20060101ALI20221227BHJP
   B01J 7/02 20060101ALI20221227BHJP
   C08J 7/04 20200101ALI20221227BHJP
【FI】
C23C14/22
C23C14/12
B01J7/02 Z
C08J7/04 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018169332
(22)【出願日】2018-09-11
(65)【公開番号】P2020040017
(43)【公開日】2020-03-19
【審査請求日】2021-08-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000231464
【氏名又は名称】株式会社アルバック
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】512225287
【氏名又は名称】堺ディスプレイプロダクト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100104215
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100196575
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 満
(74)【代理人】
【識別番号】100168181
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 哲平
(74)【代理人】
【識別番号】100144211
【弁理士】
【氏名又は名称】日比野 幸信
(72)【発明者】
【氏名】加藤 裕子
(72)【発明者】
【氏名】岡山 智彦
(72)【発明者】
【氏名】岡野 秀一
(72)【発明者】
【氏名】矢島 貴浩
(72)【発明者】
【氏名】越智 貴志
(72)【発明者】
【氏名】平瀬 剛
(72)【発明者】
【氏名】千崎 剛史
(72)【発明者】
【氏名】加藤 拓司
(72)【発明者】
【氏名】岸本 克彦
(72)【発明者】
【氏名】増野 徹
【審査官】中村 泰三
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-268552(JP,A)
【文献】特表2014-521839(JP,A)
【文献】特開2002-327261(JP,A)
【文献】特開昭63-072107(JP,A)
【文献】特開2005-026599(JP,A)
【文献】国際公開第2012/043382(WO,A1)
【文献】特開2012-251224(JP,A)
【文献】特開平10-092800(JP,A)
【文献】特開平09-049072(JP,A)
【文献】特開平05-171415(JP,A)
【文献】特開平06-181177(JP,A)
【文献】特開2011-084773(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 7/02
C07B 61/00
C07C 57/00
C08F 2/00
C08J 7/04-18
C23C 14/24、16/448-452
H01L 21/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体マスフローコントローラで流量制御されたアクリル樹脂膜の原料液が流れる原料液導入路と、
キャリアガスが流れるキャリアガス導入路と、
前記原料液導入路に流れた前記原料液と前記キャリアガス導入路に流れた前記キャリアガスが合流する噴出口を有し、前記噴出口に到達した原料液を前記噴出口に到達したキャリアガスで吹き飛ばすノズル装置と、
前記原料液導入路に配置され、前記原料液に対する前記原料液導入路のコンダクタンスを低下させる棒状の抵抗体と、
前記噴出口から前記原料液の小滴と前記キャリアガスとが噴出される内部空間を有する密閉容器と、
前記内部空間に配置され、前記原料液の小滴が接触する気化板と、
前記気化板を加熱する加熱装置と、
前記加熱装置によって加熱された前記気化板に前記小滴が接触して生成された前記原料液の気体である原料ガスが流れる原料ガス供給配管と、
を有するアクリル気化器。
【請求項2】
前記密閉容器は、原料液導入配管を有し
前記ノズル装置は、前記密閉容器の前記内部空間側の壁面に設けられ
前記原料液導入路は、前記原料液導入配管に設けられた第一の液導入孔と、前記密閉容器の天井に設けられた第二の液導入孔と、前記ノズル装置に設けられた第三の液導入孔とが連通して形成され、
前記抵抗体は、前記第一~第三の液導入孔のいずれか一個または複数個の内部に配置された請求項1記載のアクリル気化器。
【請求項3】
記抵抗体の外径、前記原料液導入路の内径より小さい請求項2記載のアクリル気化器。
【請求項4】
前記抵抗体は前記原料液導入路の内部に設けられた支持部上に配置された請求項3記載のアクリル気化器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクリル樹脂原料を気化させる技術に係り、特に、アクリル樹脂原料のガス発生速度を安定させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
水分あるいは酸素等により劣化しやすい性質を有する化合物を含む素子として、例えば有機EL(Electro Luminescence)素子等が知られている。このような素子については、当該化合物を含む層を被覆する保護層との積層構造を形成することによって、素子内への水分等の侵入を抑制する試みがなされている。例えば下記特許文献1には、上部電極層の上に、無機膜と有機膜との積層膜で構成された保護膜を有する発光素子が記載されている。
【0003】
アクリル樹脂薄膜を形成する際には、アクリル樹脂の原料液をアクリル気化器で気化させて原料ガスを生成し、成膜対象物の表面に供給して付着させ、加熱してアクリル樹脂原料を重合させてアクリル樹脂膜を形成する。
【0004】
アクリル樹脂薄膜の成膜レートを安定させるためには、原料ガスの供給速度を安定させる必要があり、そのため、アクリル気化器と原料タンクとの間に液体マスフローコントローラを設け、液体マスフローコントローラ(MFC)で流量制御した原料液をアクリル気化器に供給させる。
【0005】
しかしながら、液体マスフローコントローラから供給されるアクリル樹脂原料の量が瞬間的に変動することがあり、短時間の成膜などの場合に問題となる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2013-73880号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
液体マスフローコントローラからアクリル気化器に供給される液体のアクリル樹脂原料を観察したところ、アクリル樹脂原料で圧力差によるキャビテーションが発生していることが分かり、液体マスフローコントローラから供給されるアクリル樹脂原料の量が瞬間的に変動する理由はキャビテーションにあることが確認された。
【0008】
キャビテーションは、原料タンクから原料液を送出するために用いられる押圧ガスが原料液中に溶解されることが一因と考えられるので、押圧ガスに難溶解性のガスを用いることが考えられる。
また、液体マスフローコントローラと原料タンクとの間に真空脱気装置を設け、原料液中に溶解したガスを除去することが考えられる。
【0009】
しかし、これらの対策は高価であり、また、管理する手間も増加するので望ましくない。
【0010】
本発明の課題は、液体マスフローコントローラから供給される液体のアクリル樹脂原料にキャビテーションを発生させない安価で確実な技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明は、液体マスフローコントローラで流量制御されたアクリル樹脂膜の原料液が流れる原料液導入路と、前記原料液導入路に流れた前記原料液が到達する噴出口と、前記噴出口にキャリアガスを供給するキャリアガス導入路と、前記噴出口から前記原料液の小滴と前記キャリアガスとが噴出される内部空間を有する密閉容器と、前記内部空間に配置され、前記原料液の小滴が接触する気化板と、前記気化板を加熱する加熱装置と、前記加熱装置によって前記加熱された前記気化板に前記小滴が接触して生成された前記原料液の気体である原料ガスが流れる原料ガス供給配管と、を有し、前記原料液導入路には棒状の抵抗体が配置され、前記原料液に対する前記原料液導入路のコンダクタンスが低下されたアクリル気化器である。
また、本発明は、前記密閉容器に設けられた原料液導入配管と、前記密閉容器の前記内部空間側の壁面に設けられたノズル装置と、を有し、前記原料液導入路は、前記原料液導入配管に設けられた第一の液導入孔と、前記密閉容器の天井に設けられた第二の液導入孔と、前記ノズル装置に設けられた第三の液導入孔とが連通して形成され、前記抵抗体は、前記第一~第三の液導入孔のいずれか一個または複数個の内部に配置されたアクリル気化器である。
また、本発明は棒状の前記抵抗体の外径が、前記原料液導入路の内径より小さいアクリル気化器である。
また、本発明は前記抵抗体は前記原料液導入路の内部に設けられた支持部上に配置されたアクリル気化器である。
【発明の効果】
【0012】
キャビテーションの発生を防止できるので、アクリル樹脂膜の原料ガスの生成速度をより安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明のアクリル気化器が用いられるアクリル樹脂膜製造装置を説明するためのブロック図
図2】本発明のアクリル気化器
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、アクリル樹脂膜を形成するアクリル樹脂膜製造装置10を説明するためのブロック図であり、処理対象物の表面にアクリル樹脂膜を形成するための原料には、本発明では、液体のモノマーであって、重合すると高分子のアクリル樹脂が得られる原料液が用いられている。
【0015】
この原料液は原料タンク52に蓄液されている。
まず、アクリル樹脂膜製造装置10の動作の概要を説明すると、原料タンク52は、液体マスフローコントローラ53を介して、アクリル気化器2に接続されており、原料タンク52に蓄液された原料液が、液体マスフローコントローラ53によって流量制御された状態でアクリル気化器2に供給されると、アクリル気化器2の内部で液体の原料液が気化され、アクリル樹脂の原料である気体の原料ガスが生成される。
【0016】
成膜装置56の内部には、成膜対象物が配置されており、真空排気装置57によって成膜装置56の内部は真空排気されている。
【0017】
アクリル気化器2で生成された原料ガスは成膜装置56に供給され、成膜対象物に付着し、成膜対象物の加熱や成膜対象物への紫外線照射等の硬化手段によって重合され、成膜対象物の表面にアクリル樹脂膜が形成される。
【0018】
次に、アクリル気化器2の動作を説明すると、図2を参照し、アクリル気化器2は密閉容器11を有しており、密閉容器11の外部には、原料液導入配管31とキャリアガス輸送配管34と原料ガス供給配管37とが配置されている。
【0019】
原料液導入配管31の内部には第一の液導入孔13が形成されており、密閉容器11の壁には第二の液導入孔14と第一のガス導入孔26と原料ガス供給孔27とが形成されている。密閉容器11の壁には、側壁の他、天井と底板も含まれる。ここでは第二の液導入孔14と第一のガス導入孔26とは天井に設けられ、原料ガス供給孔27は側壁に設けられているがそれに限定されるものではない。
【0020】
そして第二の液導入孔14には原料液導入配管31が、第一の液導入孔13と第二の液導入孔14とが連通するように一端が密閉容器11に固定され、他端は接続部32に接続されている。接続部32には、一端が液体マスフローコントローラ53に接続された原料液輸送配管33の他端が接続されており、原料液輸送配管33の内部の液用一般配管孔35と原料液導入配管31の第一の液導入孔13とは、接続部32に於いて連通されている。
【0021】
なお、接続部32の中では、原料液導入配管31の上記他端に形成されたフランジ61と原料液輸送配管33の上記他端に形成されたフランジ62とが、メタルガスケット64を介して密着されており、二個のフランジ61、62にはネジ付きキャップ63が装着され、二個のフランジ61、62がキャップ63によって互いに押圧されるようになっている。この構造によって接続部32での液漏れは無い。
【0022】
なお、原料液導入配管31は密閉容器11に固定されており、原料液輸送配管33からアクリル気化器2を取り外す際には接続部32のキャップ63をゆるめ、密閉容器11に原料液導入配管31が固定されたままで、原料液導入配管31を原料液輸送配管33から分離させる。
【0023】
キャリアガス輸送配管34の内部にはガス配管孔38が形成されており、キャリアガス輸送配管34は、ガス配管孔38と第一のガス導入孔26とが連通するように、一端が密閉容器11に固定されている。キャリアガス輸送配管34の他端はキャリアガス源54に接続されており、キャリアガス源54が供給するキャリアガスはガス配管孔38を通って第一のガス導入孔26に到達する。
【0024】
原料ガス供給配管37には、原料ガス導入孔39が配置されており、原料ガス供給配管37は、原料ガス導入孔39と原料ガス供給孔27とが連通するように、一端が密閉容器11に固定されている。原料ガス供給配管37の他端は成膜装置56に接続されており、原料ガスが、原料ガス導入孔39を通って成膜装置56に供給されるようになっている。
【0025】
次に、原料液の輸送について説明する。
原料タンク52には、押圧ガス源51が接続されており押圧ガス源51から押圧ガスが原料タンク52に供給されると、原料タンク52に蓄液された原料液が押圧され、原料液は配管を流れて液体マスフローコントローラ53に到達する。
【0026】
液体マスフローコントローラ53は、内部を流れる液体の流量を制御するように構成されており、液体マスフローコントローラ53に到達した原料液は、液体マスフローコントローラ53の内部で流量制御され、単位時間あたり一定量の原料液が液体マスフローコントローラ53を通過する。
【0027】
液体マスフローコントローラ53によって流量制御された原料液は原料液輸送配管33の内部の液用一般配管孔35の中に導入され、接続部32の中で液用一般配管孔35から原料液導入配管31の内部の第一の液導入孔13に導入され、第一の液導入孔13を流れて第二の液導入孔14に移行する。
【0028】
密閉容器11の内部には内部空間19が形成されており、密閉容器11の内部空間19側の壁面には、ノズル装置12が固定されている。ここではノズル装置12は、密閉容器11の天井の壁面に設けられている。
【0029】
ノズル装置12の内部には、第三の液導入孔15と第二のガス導入孔24とが形成されており、第三の液導入孔15は第二の液導入孔14と連通する位置に配置され、第二のガス導入孔24は第一のガス導入孔26と連通する位置に配置されている。
【0030】
第一のガス導入孔26に到達したキャリアガスは、第一のガス導入孔26から第二のガス導入孔24内に移動する。
【0031】
第二のガス導入孔24の下端には、噴出口25が配置されており、第二のガス導入孔24内を流れたキャリアガスは噴出口25に到達し、内部空間19に噴出される。
【0032】
噴出口25の位置は、第三の液導入孔15の下端でもあり、第二の液導入孔14を流れた原料液は第三の液導入孔15に移行して第三の液導入孔15を流れ、噴出口25に到達すると、噴出口25に到達したキャリアガスによって吹き飛ばされ、原料液の微少液滴が形成される。この微小液滴は、霧状になってキャリアガスと共に噴出口25から密閉容器11の内部空間19に噴出される。
【0033】
次に、原料液の気化について説明すると、内部空間19の下方には、気化板8が配置されている。気化板8には通電によって発熱する加熱装置5が内蔵されており、加熱装置5が発熱すると気化板8が加熱される。気化板8の表面側はノズル装置12と対面し、裏面側には貯留部21が設けられており、余分な原料液等が滴下する。
【0034】
噴出口25から内部空間19に噴出された霧状の原料液の小滴は内部空間19の中を気化板8方向に飛行し、気化板8に到達する。原料液の小滴は気化板8に接触すると昇温して気化し、原料液の蒸気である原料ガスが生成される。
【0035】
第一のガス導入孔26と第二のガス導入孔24とは、キャリアガス輸送配管34から噴出孔25までの間で、一個のキャリアガス導入路9として機能している。
【0036】
第一~第三の液導入孔13~15については、一直線に配置されており、アクリル気化器2で原料ガスが生成されるときには、原料液が原料液輸送配管33から噴出口25に到達するまでに、原料液はアクリル気化器2が有する第一~第三の液導入孔13~15を通路として移動する。従って、アクリル気化器2の内部では、第一~第三の液導入孔13~15が一個の原料液導入路6として機能する。
【0037】
そして、この原料液導入路6の内部には、棒状の抵抗体7が配置されている。
ここでは、抵抗体7は、第一の液導入孔13と第二の液導入孔14と第三の液導入孔15とにそれぞれ配置された棒状の第一~第三の柱体で構成することができる。
【0038】
ここで、第一~第三の柱体については、図2のように、第一の柱体と第二の柱体とを接合した一本の接合柱体16で構成することもできる。その場合は接合柱体16は、第一の液導入孔13から第二の液導入孔14に亘って配置され、第三の液導入孔15には、第三の柱体17が配置される。第一~第三の液導入孔13~15には、分離された第一~第三の柱体をそれぞれ配置することもでき、第一~第三の液導入孔13~15のうち、いずれか一個または複数個の液導入孔に配置した柱体を抵抗体7として用いることもできる。
【0039】
原料液導入路6の断面形状は円形であり、第一~第三の柱体は円柱形形状であり、第一~第三の柱体の底面の直径は、各柱体が配置された第一~第三の液導入孔13~15の直径よりも小さくされており、従って、第一~第三の柱体の側面と、各柱体が配置された第一~第三の液導入孔13~15の内周面との間には隙間が形成される。
【0040】
抵抗体7の円形の断面形状は、原料液導入路6の円形の断面形状よりも小さい形状になっている。従って、原料液導入路6を構成する第一~第三の液導入孔13~15のうち、第一の液導入孔13の壁面を構成する原料液導入配管31の内周側面と、第二の液導入孔14の壁面を構成する密閉容器11の天井の部材と、第三の液導入孔15の壁面を構成するノズル装置12を構成する部材とは、抵抗体7の側面と対面したときに、抵抗体7の側面との間には隙間が形成されており、原料液はその隙間を通って移動する。
【0041】
原料液が原料液導入路6を移動する際に、原料液導入路6に抵抗体7が配置されていないときと、抵抗体7が配置されたときとを比較すると、抵抗体7が配置されたときは、配置されていないときよりも移動しにくいから、原料液の移動に対する原料液導入路6のコンダクタンスは抵抗体7が配置されていないときよりも小さくなっている。なお抵抗体7の断面形状は原料液導入路6の断面形状より小さければよく、円形には限られない。
【0042】
抵抗体7は、原料液導入路6に挿入できればよく、棒状の抵抗体7の外径が、原料液導入路6の内径より小さければよい。
【0043】
また、原料液導入路6の一部分の内径を抵抗体7の外径よりも小さく形成したときには、内径を小さく形成した部分を支持部として支持部上に抵抗体7を配置し、抵抗体7が落下しないようにしてもよい。また、原料液導入路6の一部分の内周面に凸状部を設けたときには、凸状部を支持部として支持部上に抵抗体7を配置して抵抗体7が落下しないようにしてもよい。図2の符号22は凸状部から成る支持部であり、凸状部や内径を小さく形成した部分は、抵抗体7が配置された状態で、原料液の流路を確保する構造である。
【0044】
抵抗体7を原料液導入路6の内部に配置することで液体マスフローコントローラ53と原料液輸送配管33との接続部分の圧力は、抵抗体7が配置されると配置されていないときよりも高くなり、液体マスフローコントローラ53の両端の圧力差が小さくなる。従ってキャビテーションの発生が防止され、アクリル気化器2の内部に気泡が侵入しなくなるので、原料液から原料ガスを生成する生成速度がより安定する。
【0045】
安定した生成速度で気化された原料ガスは、原料ガス供給配管37の原料ガス供給孔27を通って成膜装置56に供給され、成膜対象物に付着して加熱等の硬化手段によって重合され、アクリル樹脂膜が形成される。
【0046】
本発明の実施例のように、抵抗体7を挿入可能な構造とすることで、抵抗体7の長さや径を容易に変更することができる。すなわち、抵抗体7を異なる形状(断面積もしくは長さの少なくともいづれかを含む)に変更することで、液体マスフローコントローラ53と原料液輸送配管33との接続部分の圧力を容易に調整することができる。
【符号の説明】
【0047】
2……アクリル気化器
5……加熱装置
6……原料液導入路
7……抵抗体
8……気化板
9……キャリアガス導入路
12……ノズル装置
13……第一の液導入孔
14……第二の液導入孔
15……第三の液導入孔
21……貯留部
22……支持部
24……第二のガス導入孔
25……噴出口
26……第一のガス導入孔
37……原料ガス供給配管
53……液体マスフローコントローラ
図1
図2