(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-26
(45)【発行日】2023-01-10
(54)【発明の名称】油脂加工澱粉、これを用いた揚げ物用衣材、食品およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
A23L 7/157 20160101AFI20221227BHJP
A23L 5/10 20160101ALI20221227BHJP
【FI】
A23L7/157
A23L5/10 E
(21)【出願番号】P 2019530967
(86)(22)【出願日】2018-07-09
(86)【国際出願番号】 JP2018025817
(87)【国際公開番号】W WO2019017223
(87)【国際公開日】2019-01-24
【審査請求日】2021-06-22
(31)【優先権主張番号】P 2017142097
(32)【優先日】2017-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】302042678
【氏名又は名称】株式会社J-オイルミルズ
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】河合 正悟
(72)【発明者】
【氏名】井上 雅博
(72)【発明者】
【氏名】ジャンナラム シリパット
(72)【発明者】
【氏名】ワンワロトーン ウィラヌット
(72)【発明者】
【氏名】アラムワッタナノン チッタプン
(72)【発明者】
【氏名】スップート ナッタナン
【審査官】手島 理
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/049076(WO,A1)
【文献】特開2007-029021(JP,A)
【文献】特開昭63-173539(JP,A)
【文献】特開平06-269255(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 7/157
A23L 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の成分(A)~(D)を含む組成物を油脂加工してなる油脂加工澱粉であって、
前記組成物中の前記成分(A)の配合量に対する前記成分(B)の配合量が、質量比で、((B)/(A))=1/99~99/1であ
り、
前記組成物中の前記成分(A)および前記成分(B)の合計量が、前記組成物全体に対して80質量%以上99.9質量%以下であり、
前記組成物中の前記成分(D)の配合量が、原料澱粉の合計100質量部に対して0.1質量部以上20質量部以下である、油脂加工澱粉。
(A)とうもろこし澱粉
(B)タピオカ澱粉
(C)食用油脂
(D)
大豆タンパク
質
【請求項2】
請求項
1に記載の油脂加工澱粉を含む、揚げ物用衣材。
【請求項3】
当該揚げ物用衣材が打ち粉である、請求項
2に記載の揚げ物用衣材。
【請求項4】
当該揚げ物用衣材がバッターである、請求項
2に記載の揚げ物用衣材。
【請求項5】
請求項
2乃至
4いずれか一項に記載の揚げ物用衣材を用いて得られる食品。
【請求項6】
請求項
2乃至
4いずれか一項に記載の揚げ物用衣材を種物の外側に付着させる工程を含む、食品の製造方法。
【請求項7】
請求項
3に記載の揚げ物用衣材を種物の外側に付着させる工程と、前記工程の後に、請求項
4に記載の揚げ物用衣材を付着させる工程と、を含む、食品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油脂加工澱粉、これを用いた揚げ物用衣材、食品およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
揚げ物等の食品の衣材としては、グルテンの少ない小麦粉が主体として用いられてきたが、揚げた後の種物と衣との結着性が充分でないためこれらが剥がれ易く、見た目の悪化と食感悪化により、商品価値の低下につながることがあった。
【0003】
これらの点を解決するために、油脂加工澱粉を衣材として用いることが提案されている。油脂加工澱粉は、澱粉と油脂もしくは油脂類縁物質を混合した後、乾燥もしくは加熱して得られる澱粉である。
【0004】
特許文献1(特開昭62-14756号公報)には、揚げ物用の衣材に、粳種澱粉と糯種澱粉との混合物又は糯種澱粉単独に食用油脂あるいはその類縁物質を添加、処理して得られ、特定のスラリー粘度を有する油脂加工澱粉を用いる技術が記載されており、これにより、高濃度で、適度な粘性を有し、かつ均一なクリーム状のバッターを得る事ができるとされている。また、同文献には、このバッターは、種への付着が程良く均一になり、更にパン粉の付着も良好であること、又油であげた場合に衣と種の結着性が良好であること、食感が著しく改良された柔らかい衣を得ることができることが記載されている。
【0005】
また、特許文献2(特開2012-165724号公報)には、タピオカ澱粉を酢酸ビニルでアセチル化してなるアセチル化タピオカ澱粉に、油脂加工を施してなる、油脂加工されたアセチル化タピオカ澱粉を揚げ物用の衣材に用いることが記載されており、これにより、衣の食感に優れ、具のジューシー感が良好な揚げ物を形成することができるとされている。
【0006】
さらに、特許文献3(特開2002-218920号公報)には、澱粉に油脂及びタンパク質を加水することなく配合してなる混合物を加熱し得られる加工澱粉を揚げ物用衣材に用いることが記載されており、作業性及び衣と種物の結着性に優れ、揚げ物にソフトでクリスピーな衣の食感を付与し得るとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開昭62-14756号公報
【文献】特開2012-165724号公報
【文献】特開2002-218920号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上述した各特許文献に記載の材料を衣材として用いた場合でも、衣材を取り扱う際の作業性、衣と種物との結着性、および、衣の種物との接触層の食感の好ましさの3つのバランスを向上させるという点でなお改善の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、
以下の成分(A)~(D)を含む組成物を油脂加工してなる油脂加工澱粉であって、前記組成物中の前記成分(A)の配合量に対する前記成分(B)の配合量が、質量比で、((B)/(A))=1/99~99/1である、油脂加工澱粉が提供される。
(A)とうもろこし澱粉
(B)タピオカ澱粉
(C)食用油脂
(D)タンパク質素材
【0010】
また、本発明によれば、前記本発明における油脂加工澱粉を含む、揚げ物用衣材が提供される。
【0011】
また、本発明によれば、前記本発明における揚げ物用衣材を用いて得られる食品が提供される。
【0012】
また、本発明によれば、前記本発明における揚げ物用衣材を種物の外側に付着させる工程を含む、食品の製造方法が提供される。
【0013】
なお、これらの各構成の任意の組み合わせや、本発明の表現を方法、装置などの間で変換したものもまた本発明の態様として有効である。
たとえば、本発明によれば、前記成分(A)~(D)を含む組成物を油脂加工して油脂加工澱粉を得る工程と、
前記油脂加工澱粉を配合した、打ち粉またはバッターである揚げ物用衣材を得る工程と、
を含む揚げ物用衣材の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、衣材を取り扱う際の作業性、衣と種物との結着性、および、衣の種物との接触層の食感の好ましさの3つのバランスに優れた揚げ物用衣材に好適な油脂加工澱粉を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、具体例を挙げて説明する。なお、各成分はいずれも単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0016】
本実施形態において、油脂加工澱粉とは、原料澱粉に食用油脂を添加した後、混合、加熱する操作を備えた工程を経て生産される澱粉質素材を指す。
また、本実施形態において、衣の種物との接触層の食感の好ましさとは、衣の種物との接触層に硬さやヌメリが感じられず、衣の種物との非接触層のサクサク感や種物のジューシー感を邪魔しない状態のことをいう。
【0017】
本実施形態において、油脂加工澱粉は以下の成分(A)~(D)を含む組成物を油脂加工してなる。
(A)とうもろこし澱粉
(B)タピオカ澱粉
(C)食用油脂
(D)タンパク質素材
本実施形態の油脂加工澱粉においては、組成物中の原料澱粉が特定の成分(A)および(B)を特定の割合で含むとともに、組成物がさらに(D)を含む。これらの特定の原料澱粉を成分(C)の食用油脂とともに用いて得られる油脂加工澱粉を用いることにより、本実施形態によれば、揚げ物用衣材(以下、単に「衣材」とも呼ぶ)を取り扱う際の作業性、衣と種物との結着性、および、衣の種物との接触層の食感の好ましさの3つのバランスを向上させることができる。
【0018】
また、本実施形態における油脂加工澱粉は、成分(A)~(D)を含む組成物を油脂加工してなるものであるため、適度な凝集性を有しており、打ち粉として取り扱う場合は種物への付着性に優れ、また、バッターとして取り扱う場合はバッター粘度が適度に高いため種物への付着性に優れており、作業性が良い。
また、衣材が打ち粉である場合、たとえば打ち粉の種物への付着性および種物と衣との結着性を向上させることができる。また、たとえば、種物の食感のパサツキや過度の硬化を抑制することができる。
また、衣材がバッターである場合にも、バッターの粘度を適度に上昇させ、種物への付着性および種物と衣との結着性を向上させることができる。また、たとえば、種物の食感のパサツキや過度の硬化を抑制することができる。
以下、油脂加工澱粉に配合される各成分について説明する。
【0019】
成分(A)のとうもろこし澱粉としては、具体的には、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、ハイアミロースコーンスターチ、およびこれらの加工澱粉が挙げられ、好ましくはコーンスターチである。
成分(B)のタピオカ澱粉としては、具体的には、タピオカ澱粉およびその加工澱粉が挙げられ、好ましくはタピオカ澱粉である。
組成物中の成分(A)の配合量に対する成分(B)の配合量の質量比((B)/(A))は、衣の種物との接触層の食感の好ましさを高める観点から、1/99以上であり、好ましくは10/90以上、より好ましくは20/80以上、さらに好ましくは35/65以上である。また、同様の観点から、上記質量比((B)/(A))は、99/1以下であり、好ましくは97/3以下、より好ましくは95/5以下、さらに好ましくは80/20以下、さらにより好ましくは70/30以下、よりいっそう好ましくは60/30以下である。
【0020】
組成物中の成分(A)および(B)を含む原料澱粉の合計配合量は、衣と種物との結着性をより一層安定的に得る観点から、組成物全体に対して、好ましくは80質量%以上であり、より好ましくは84質量%以上、さらに好ましくは87質量%以上、さらにより好ましくは90質量%以上である。また、同様の観点から、組成物中の成分(A)および(B)を含む原料澱粉の合計配合量は、組成物全体に対して、好ましくは99.9質量%以下であり、より好ましくは99.5質量%以下、さらに好ましくは99質量%以下である。
また、組成物中の原料澱粉は、好ましくは成分(A)および(B)からなる。そして、このとき、組成物中の成分(A)および(B)の合計量が組成物全体に対して上記範囲にあることがより好ましい。
【0021】
成分(C)の食用油脂の具体例としては、大豆油、ハイリノールサフラワー油等のサフラワー油、コーン油、ナタネ油、エゴマ油、アマニ油、ヒマワリ油、落花生油、綿実油、オリーブ油、コメ油、パーム油が挙げられる。作業性の観点からは、食用油脂として液油が好ましく用いられ、大豆油、ナタネ油、コーン油、ハイリノールサフラワー油、アマニ油、エゴマ油からなる群から選択される1または2以上の液油がさらに好ましい。
また、食用油脂として、ヨウ素価が100以上の油脂を用いることがより好ましく、さらに135以上の油脂を用いることが好ましい。このようなヨウ素価の高い油脂は加熱による酸化を受けやすく、原料澱粉の改質効果が高く、衣材に配合されたときの種物に対する結着性向上効果がより一層期待できる。ヨウ素価が135以上の油脂として、具体的には、ハイリノールサフラワー油、アマニ油、エゴマ油が挙げられる。食用油脂のヨウ素価の上限はないが、たとえば、250以下である。
【0022】
組成物中の成分(C)の配合量は、原料澱粉の改質効果をより確実に得る観点から、成分(A)および(B)を含む原料澱粉の合計を100質量部としたとき、好ましくは0.005質量部以上であり、より好ましくは0.01質量部以上、さらに好ましくは0.02質量部以上、さらにより好ましくは0.05質量部以上である。また、衣と種物との結着性をより一層安定的に得る観点から、成分(C)の配合量は、上記原料澱粉の合計を100質量部としたとき、好ましくは5質量部以下であり、より好ましくは4質量部以下、さらに好ましくは2質量部以下、さらにより好ましくは1質量部以下である。
【0023】
成分(D)のタンパク質素材としては、たとえば、植物タンパク質、動物タンパク質等を高含有する天然タンパク質素材、天然タンパク質素材に由来する粗精製タンパク質、精製タンパク質等が挙げられる。植物タンパク質としては、小麦タンパク質、大豆タンパク質、とうもろこしタンパク質等の種子タンパク質等があげられる。動物タンパク質としては、卵白タンパク質、卵黄タンパク質等の卵タンパク質、ホエータンパク質、カゼイン等の乳タンパク質、血漿タンパク質、血球タンパク質等の血液タンパク質、食肉タンパク質、魚肉タンパク質等の筋肉タンパク質等が挙げられる。
【0024】
衣材を取り扱う際の作業性、衣と種物との結着性、および、衣の種物との接触層の食感の好ましさの各効果の3つのバランスをさらに高める観点から、成分(D)は、好ましくは大豆タンパク質、小麦タンパク質等の植物タンパク質;および乳タンパク質や卵タンパク質、ゼラチン等の動物タンパク質からなる群から選択される1種または2種以上を含み、より好ましくは大豆タンパク質を含む。なお、大豆タンパク質としては、脱脂大豆粉、全脂大豆粉、濃縮大豆タンパク質、分離大豆タンパク質等が挙げられ、好ましくは脱脂大豆粉である。
【0025】
組成物中の成分(D)の配合量は、原料澱粉の改質効果をより確実に得る観点から、成分(A)および(B)を含む原料澱粉の合計を100質量部としたとき、好ましくは0.1質量部以上であり、より好ましくは0.5質量部以上、さらに好ましくは1質量部以上である。また、衣材と種物との結着性をより一層安定的に得る観点から、成分(D)の配合量は、上記原料澱粉の合計を100質量部としたとき、好ましくは20質量部以下であり、より好ましくは15質量部以下、さらに好ましくは10質量部以下である。
【0026】
次に、本実施形態における油脂加工澱粉の製造方法を説明する。
油脂加工澱粉は、上述した成分(A)~(D)および適宜他の成分を用いて、たとえば、以下の工程を含む製造方法により得られる。
(第一工程)成分(A)~(D)を混合してこれらを含む組成物を調製する工程、ならびに
(第二工程)第一工程で得られた組成物を加熱処理する工程。
【0027】
第一工程において、成分の混合順序に制限はないが、好ましくは成分(C)以外の成分を混合した後、成分(C)を添加してさらに混合する。
【0028】
第二工程において、第一工程で得られた組成物を加熱することにより油脂加工澱粉が得られる。
加熱処理については、衣と種物との結着性をより一層安定的に得る観点から、好ましくは130℃以下、より好ましくは120℃以下でおこない、さらに好ましくは105℃以下、さらにより好ましくは90℃以下でおこなう。なお、加熱温度の下限に制限はないが、熟成日数を適度に短縮して生産性を向上させる観点から、たとえば40℃以上、好ましくは45℃以上、より好ましくは55℃以上とする。
【0029】
加熱処理の期間は、得られる油脂加工澱粉の状態および加熱温度に応じて適宜設定される。加熱期間は、衣と種物との結着性をより一層安定的に得る観点から、たとえば0.5時間以上、好ましくは5時間以上であり、より好ましくは6時間以上、さらにより好ましくは24時間以上である。また、加熱期間の上限は、同様の観点から、たとえば25日以下、好ましくは20日以下であり、より好ましくは18日以下である。
【0030】
以上の手順により、油脂加工澱粉が得られる。得られる油脂加工澱粉は、打ち粉、バッター、ブレッダー等の揚げ物用衣材として好適であり、殊に打ち粉またはバッターとして好適である。
【0031】
打ち粉とは、バッターと併用する衣材である。たとえば、バッターを付着させる前の種物に打ち粉を使用する。衣と種物が剥がれやすい種物に対して、たとえば加熱処理した食肉や水産製品などに対して、打ち粉を使用することで、より効果的に衣と種物との剥がれを抑制することができる。
本実施形態において、打ち粉中の油脂加工澱粉の含有量は、打ち粉の取り扱い時の作業性を向上させる観点、衣と種物との結着性を高める観点、および、衣の種物との接触層の食感を向上させる観点から、打ち粉全体に対して好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは80質量%以上であり、また、上限はなく、たとえば100質量%以下である。
【0032】
また、バッターは、液状の衣材であり、種物に直接バッターを付着させることもあれば、打ち粉した種物にバッターを付着させることもある。
本実施形態において、バッター中の油脂加工澱粉の含有量は、バッターの取り扱い時の作業性を向上させる観点、衣と種物との結着性を高める観点、および、衣と種物との間の部分の食感を向上させる観点から、バッター中の固形分に対して好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは70質量%以上であり、また、上限はなく、たとえば100質量%以下である。
【0033】
また、ブレッダーとは、粉体状の衣材であり、揚げ物の最外層を形成するものである。たとえば、種物に直接ブレッダーを付着させることもあれば、種物にバッターを付着させた後にブレッダーを付着させることもあり、さらに種物に打ち粉してからバッターを付着させた後にブレッダーを付着させることもある。
【0034】
なお、衣材には、本実施形態における油脂加工澱粉以外の成分を含んでもよい。他の成分として、たとえばコーンスターチ等、本実施形態における油脂加工澱粉以外の澱粉類;キサンタンガム等の上記以外の多糖類やその他の粘度調整剤;小麦粉、米粉、コーンフラワー等の穀粉;大豆タンパク質、乳蛋白、卵白、卵黄等の蛋白質;みりん、しょうゆ、食塩、香辛料等の調味料;動植物油脂、粉末油脂等の油脂類;レシチン、グリセリン脂肪酸エステル等の乳化剤;およびベーキングパウダー等の膨張剤が挙げられる。
【0035】
本実施形態における食品は、本実施形態における揚げ物用衣材を含むもの、または本実施形態における揚げ物用衣材を用いてなるものであり、さらに具体的には、種物に本実施形態における揚げ物用衣材を付着させて得られるものである。すなわち、本実施形態における食品は、具体的には揚げ物(様)食品である。
【0036】
食品中の衣材の種類は1種であっても2種以上であってもよい。たとえば衣材として、打ち粉およびバッターからなる群から選択される1種以上を含む食品とすることができる。
1種または2種以上の衣材の例として、打ち粉およびバッターの組み合わせ;打ち粉、バッターおよびパン粉の組み合わせ;打ち粉、バッターおよびブレッダーの組み合わせ;バッター;バッターおよびパン粉の組み合わせ;バッターおよびブレッダーの組み合わせが挙げられる。
複数の衣材を併用するとき、本実施形態における特定の油脂加工澱粉を含む衣材を複数組み合わせて用いてもよい。
たとえば衣材として打ち粉およびバッターを含む食品において、打ち粉およびバッターのいずれか一方を上記特定の油脂加工澱粉を含む衣材とすることができる。種物との結着性をより一層安定的に向上させる観点からは、打ち粉およびバッターの両方を特定の油脂加工澱粉を含む本実施形態の衣材とすることが好ましい。
【0037】
また、特定の油脂加工澱粉を含む衣材と他の衣材とを組み合わせて用いることが好ましく、特定の油脂加工澱粉を含む衣材を種物に付着させた後に、他の衣材を付着させることがより好ましい。ここで、他の衣材とは、特定の油脂加工澱粉を含まない衣材を意味し、バッター、ブレッダー、パン粉等の形態があり得る。
【0038】
本実施形態における食品の製造方法は、たとえば前述の打ち粉を種物の外側に付着させる工程を含む。また、本実施形態における食品の製造方法は、たとえば前述のバッターを種物の外側に付着させる工程を含む。本実施形態はまた、前述の打ち粉および前述のバッターの両方を使用する製造方法も含む。その場合、前述の打ち粉を種物の外側に付着させる工程と、かかる工程の後に、前述のバッターを種物の外側に付着させる工程とを含むことが好ましい。
【0039】
加熱調理する際の調理方法に制限はなく、たとえば本実施形態の衣材を揚げることにより得られる揚げ物食品に用いることもできるし、いわゆるノンフライ食品すなわち揚げ物様食品に用いることもできる。揚げ物様食品の具体例として、オーブンでの焼成やスチーム加熱して得られる食品が挙げられる。
【0040】
本実施形態における食品として、たとえば、パン粉衣を有するフライ類;
唐揚げ、竜田揚げ等の唐揚げ類;
天ぷら、かき揚げ等の天ぷら類;および
フリッター類が挙げられる。
このうち、パン粉衣を有するフライ類として、さらに具体的には、ポテトコロッケ、クリームコロッケ等のコロッケ類、豚カツ、メンチカツ、ビーフカツ、チキンカツ、ハムカツ;エビフライ、イカフライ等の水産物のフライが挙げられる。
【0041】
また、揚げ物用衣材を付着させる種物の具体例として、豚肉、鶏肉、牛肉等の肉類、および食肉加工品;
エビ、イカ、牡蠣、帆立貝等の貝類、アジ等の魚類、その他の魚介類、および水産練り製品等の水産加工品;ならびに
野菜類等の青果物が挙げられる。
実際の食品の製造では、衛生上の観点から肉類を加熱処理(たとえばスチーム処理)することがおこなわれており、加熱処理した肉と衣の結着性は生肉と比べて著しく劣るにもかかわらず、本実施形態の衣材によれば、たとえば加熱処理した肉であっても、充分な結着性を得ることも可能となる。
【実施例】
【0042】
(実施例1)
とうもろこし澱粉(コーンスターチY、株式会社J-オイルミルズ製)95質量部およびタピオカ澱粉(株式会社J-オイルミルズ製)5質量部にハイリノールサフラワー油(ヨウ素価150)0.1質量部、脱脂大豆粉(ニッカミルキーS、株式会社J-オイルミルズ製)1部を混合機(スーパーミキサー、株式会社カワタ製)で2000rpm、3分間均一に混合し、混合物(水分含量12.5質量%)を得た。この混合物を棚段式乾燥機にて、70℃14日間加熱し、油脂加工澱粉を得た。表1に油脂加工澱粉の調製条件を示す。
得られた油脂加工澱粉の粉体特性および種物への付着性を以下の方法で評価した。評価結果を表1にあわせて示す。
【0043】
(粉体特性)
粉体特性評価装置(製品名:パウダテスタPT-E、ホソカワミクロン株式会社製)を用いて凝集性(%)を評価した。基本的な操作方法は、上記装置の取り扱い説明書に従った。凝集性の数値が高いと、打ち粉として使用した場合は種物への付着性が良いという指標となる。また、バッターとして使用した場合には適度に粘度を上げることができるため、種物への付着性が良いという指標となる。本実施例においては、凝集性が21%以上を合格とした。
【0044】
(実施例2~5、比較例1~3)
表1に示す配合および条件に変えたこと以外は、実施例1と同じ方法で各例の油脂加工澱粉からなる衣材を作製し、実施例1と同じ方法で粉体特性を評価した。評価結果を表1にあわせて示す。
なお、ワキシーコーンスターチについては、ワキシーコーンスターチY(株式会社J-オイルミルズ製)を用いた。
【0045】
【0046】
表1において、実施例1~5の油脂加工澱粉はいずれも凝集性が高かった。
一方、原料澱粉としてとうもろこし澱粉のみを用いて作製した比較例1、タピオカ澱粉のみを用いて作製した比較例2の油脂加工澱粉は、いずれも、凝集性が低かった。また、とうもろこし澱粉としてコーンスターチおよびワキシーコーンスターチを混合し、脱脂大豆粉を加えずに作製した比較例3の油脂加工澱粉も、凝集性が低かった。
【0047】
以下の例では、実施例1~5および比較例1~3で得られた油脂加工澱粉を衣材に用いて揚げ物食品を作製し、評価した。
なお、以下において、食感の評価は、いずれも、衣と種物の結着性を評価した後の各揚げ物の各切片すべてについて喫食し、その衣の種物との接着層の食感および種物の食感について、専門パネラー3人の合議により、平均的評価で表した。
【0048】
(実施例2-1~2-5、比較例2-1~2-3)
本例では、実施例1~5および比較例1~3で得られた油脂加工澱粉からなる打ち粉を用いて豚カツを作製し、評価した。
冷凍豚肉(約80g)に打ち粉として、各例で得られた油脂加工澱粉の試料を豚肉100質量部に対して約4質量部まぶした後に、バッター(薄力粉100質量部に氷冷水200質量部を混合した液)を付け、さらにパン粉を付け、その後一晩凍結保存した後、キャノーラ油で170℃、5分間揚げて豚カツを得た。得られた豚カツの結着性および食感を評価した。評価結果を表2に示す。
【0049】
(打ち粉付着性)
冷凍豚肉(約80g)に打ち粉として、各例で得られた油脂加工澱粉の試料を豚肉100質量部に対し約4質量部まぶし、打ち粉の付着しやすさについて、専門パネラー3人の合議により、平均的評価で表した。評価基準を以下に示す。以下において、△以上を合格とした。
◎:種物への付着性がとても良い
〇:種物への付着性が良い
△:種物への付着性がやや良い
×:種物への付着性が悪い
(結着性)
以下の手順で衣と種物との結着性を評価した。
すなわち、揚げてから1分後に5等分にカットし、その4つの切断面について、衣と種物の間に剥離がないものを1点、一部に剥離があるものを0.5点、全部が剥離しているものを0点とした。豚カツ(打ち粉あり)2枚、計8切断面について評価した(8点満点)。
8切断面の評価の合計点/8点×100(%)
を算出し、60%以上を合格とした。
【0050】
(食感)
豚カツにおける衣の肉との接触層の食感を以下の基準で評価し、△以上を合格とした。
〇:ヌメリや硬さが感じられない
△:ややヌメリまたは硬さが感じられる
×:ヌメリまたは硬さが感じられる
また、豚カツにおける肉部の食感を以下の基準で評価し、△以上を合格とした。
〇:適度に柔らかくジューシー
△:やや柔らかくジューシー
×:硬くパサパサ
【0051】
【0052】
表2のように、実施例1~5で得られた油脂加工澱粉を打ち粉として豚カツに使用して得られた実施例2-1~2-5では、打ち粉の種物への付着性は良く、結着性が良好であった。中でもコーンスターチとタピオカ澱粉を質量比50:50で加えた実施例2-3が最も結着性が良好であった。また、実施例2-2および実施例2-3は、豚カツの衣の肉との接触層にヌメリや硬さが感じられずパン粉と肉の食感を邪魔せず良好であり、豚カツの肉部の食感もジューシーで柔らかであった。
一方、比較例1で得られた油脂加工澱粉を打ち粉として豚カツに使用して得られた比較例2-1では、打ち粉の種物への付着性が悪く、結着性も低く、豚カツの衣の肉との接触層に硬さが感じられパン粉と肉の食感を邪魔しており、豚カツの肉部の食感も硬くパサパサで劣っていた。また、比較例2、3で得られた油脂加工澱粉を打ち粉として豚カツに使用して得られた比較例2-2、2-3は、打ち粉の種物への付着性が悪く、結着性も低く、豚カツの衣の肉との接触層にヌメリが感じられパン粉と肉の食感を邪魔しており、豚カツの肉部の食感も硬くパサパサで劣っていた。
【0053】
(実施例3-1~3-5、比較例3-1~3-3)
本例では、実施例1~5および比較例1~3で得られた油脂加工澱粉を含むバッターを用いて豚カツを作製し、評価した。
各例で得られた油脂加工澱粉の試料90g、とうもろこし澱粉9.6g、キサンタンガム(エコーガムF、DSP五協フード&ケミカル株式会社製)0.4gをよく混合した後、氷冷水190gを加えてよく混合し、これをバッターとした。冷凍豚肉(約80g)にバッターを付け、さらにパン粉を付け、その後一晩凍結保存した後、キャノーラ油で170℃、5分間揚げて豚カツを得た。評価結果を表3に示す。
【0054】
(バッター付着性)
冷凍豚肉(約80g)に各例で得られた油脂加工澱粉を含むバッターを付着させる際に付着しやすさについて、専門パネラー3人の合議により、平均的評価で表した。評価基準を以下に示す。以下において、△以上を合格とした。
◎:種物への付着性がとても良い
〇:種物への付着性が良い
△:種物への付着性がやや良い
×:種物への付着性が悪い
【0055】
(結着性)
以下の手順で衣と種物との結着性を評価した。
揚げてから1分後に5等分にカットし、その4つの切断面について、衣と種物の間に剥離がないものを1点、一部に剥離があるものを0.5点、全部が剥離しているものを0点とした。豚カツ1枚、計4切断面について評価した(4点満点)。
4切断面の評価の合計点/4点×100(%)
を算出し、60%以上を合格とした。
【0056】
(食感)
豚カツにおける衣の肉との接触層の食感を以下の基準で評価し、△以上を合格とした。
〇:ヌメリや硬さが感じられない
△:ややヌメリまたは硬さが感じられる
×:ヌメリや硬さが感じられる
また、豚カツにおける肉部の食感を以下の基準で評価し、△以上を合格とした。
〇:適度に柔らかくジューシー
△:やや柔らかくジューシー
×:硬くパサパサ
【0057】
【0058】
表3のように、実施例1~5で得られた油脂加工澱粉をバッターとして豚カツに使用して得られた実施例3-1~3-5では、バッター付着性が良く、結着性が良好であった。中でもコーンスターチとタピオカ澱粉を質量比50:50で加えた実施例3-3が最も結着性が良好であった。また、実施例3-2および実施例3-3は、豚カツの衣の肉との接触層にヌメリや硬さが感じられず、豚カツの肉部の食感もジューシーで柔らかであった。
一方、比較例1で得られた油脂加工澱粉をバッターとして豚カツに使用して得られた比較例3-1は、バッター付着性が悪く、豚カツの衣の肉との接触層に硬さが感じられ、豚カツの肉部の食感も硬く劣っていた。また、比較例2および3で得られた油脂加工澱粉をそれぞれバッターとして豚カツに使用して得られた比較例3-2および3-3は、バッター付着性が悪く、豚カツの衣の肉との接触層にヌメリが感じられ、豚カツの肉部の食感も硬く劣っていた。
【0059】
(実施例4-1、比較例4-1~4-2)
本例では、実施例3および比較例1~2で得られた油脂加工澱粉からなる打ち粉を用いてエビフライを作製し、評価した。
解凍した尾付きのばしエビ(約11g/1尾)に打ち粉として、各例で得られた油脂加工澱粉の試料をエビ100質量部に対し約5質量部まぶした後に、バッター(薄力粉100質量部に氷冷水150質量部を混合した液)を付け、更にパン粉を付け、その後一晩凍結保存した後、キャノーラ油で170℃、2分間揚げてエビフライを得た。得られたエビフライの結着性および食感を評価した。評価結果を表4に示す。
【0060】
(結着性)
以下の手順で衣と種物との結着性を評価した。
揚げてから1分後に尾側と頭側に沿って縦半分にカットし、その切断面について、衣と種物の間に剥離がないものを1点、一部に剥離があるものを0.5点、全部が剥離しているものを0点とした。エビフライ3尾、計3切断面について評価した(3点満点)。
3切断面の評価の合計点/3点×100(%)
を算出し、60%以上を合格とした。
【0061】
(食感)
エビフライにおける衣のエビとの接触層の食感を以下の基準で評価し、△以上を合格とした。
〇:硬さやヌメリが感じられない
△:ややヌメリまたは硬さが感じられる
×:ヌメリや硬さが感じられる
また、エビフライにおけるエビ部の食感を以下の基準で評価し、△以上を合格とした。
〇:しっとりとしてジューシー
△:ややしっとりとしてジューシー
×:パサパサ
【0062】
【0063】
表4のように、実施例3で得られた油脂加工澱粉を打ち粉としてエビフライに使用して得られた実施例4-1では、結着性が良好であり、エビフライの衣のエビとの接触層に硬さやヌメリが感じられず、エビフライのエビ部の食感もしっとりとジューシーであった。
一方、比較例1で得られた油脂加工澱粉を打ち粉としてエビフライに使用して得られた比較例4-1は、結着性が低く、エビフライの衣のエビとの接触層に硬さが感じられパン粉とエビの食感を邪魔しており、エビフライのエビ部の食感も実施例4-1よりしっとりさが劣っていた。また、比較例2で得られた油脂加工澱粉を打ち粉としてエビフライに使用して得られた比較例4-2は、結着性が低く、エビフライの衣のエビとの接触層にヌメリが感じられパン粉とエビの食感を邪魔しており、エビフライのエビ部の食感も実施例4-1よりしっとりさが劣っていた。
【0064】
(実施例5-1、比較例5-1)
本例では、実施例4および比較例2で得られた油脂加工澱粉からなる打ち粉を用いて唐揚げを作製し、評価した。
鶏モモ肉(皮なし、約20g)に打ち粉として、各例で得られた油脂加工澱粉の試料を肉100質量部に対し約10質量部まぶした後に、バッター(薄力粉100質量部、食塩2質量部、砂糖2質量部および氷冷水150質量部を混合した液)を付け、キャノーラ油で170℃、4分間揚げて唐揚げを得た。評価結果を表5に示す。
【0065】
(結着性)
以下の手順で衣と種物との結着性を評価した。
揚げてから1分後に半分にカットし、その切断面について、衣と種物の間に剥離がないものを1点、一部に剥離があるものを0.5点、全部が剥離しているものを0点とした。唐揚げ3個、計3切断面について評価した(3点満点)。
3切断面の評価の合計点/3点×100(%)
を算出し、60%以上を合格とした。
【0066】
(食感)
唐揚げにおける衣の肉との接触層の食感を以下の基準で評価し、△以上を合格とした。
〇:ヌメリが感じられない
△:ややヌメリが感じられる
×:ヌメリが感じられる
また、唐揚げにおける肉部の食感を以下の基準で評価し、△以上を合格とした。
〇:適度に柔らかくジューシー
△:やや柔らかくジューシー
×:硬くパサパサ
【0067】
【0068】
表5のように、実施例4で得られた油脂加工澱粉を打ち粉として唐揚げに使用して得られた実施例5-1では、結着性が良好であり、唐揚げの衣の肉との接触層にヌメリが感じられず、唐揚げの肉部の食感も柔らかくジューシーであった。
一方、比較例2で得られた油脂加工澱粉を打ち粉として唐揚げに使用して得られた比較例5-1では、結着性が低く、唐揚げの衣の肉との接触層にヌメリが感じられ、唐揚げの肉部の食感も硬くパサパサで劣っていた。
【0069】
(実施例6-1、比較例6-1)
本例では、実施例4および比較例2で得られた油脂加工澱粉からなる打ち粉を用いてチキンカツを作製し、評価した。
実施例2-1の作製手順のうち、冷凍豚肉(約80g)の代わりに、鶏モモ肉(皮なし、約100g)を用いた以外は、実施例2-1の作製手順に従い、チキンカツを作製した。評価結果を表6に示す。
【0070】
(結着性)
以下の手順で衣と種物との結着性を評価した。
揚げてから1分後に5等分にカットし、その4つの切断面について、衣と種物の間に剥離がないものを1点、一部に剥離があるものを0.5点、全部が剥離しているものを0点とした。チキンカツ1枚、計4切断面について評価した(4点満点)。
4切断面の評価の合計点/4点×100(%)
を算出し、60%以上を合格とした。
【0071】
(食感)
チキンカツにおける衣の肉との接触層の食感を以下の基準で評価し、△以上を合格とした。
○:ヌメリが感じられない
△:ややヌメリが感じられる
×:ヌメリが感じられる
また、チキンカツにおける肉部の食感を以下の基準で評価し、△以上を合格とした。
〇:適度に柔らかくジューシー
△:やや柔らかくジューシー
×:硬くパサパサ
【0072】
【0073】
表6のように、実施例4で得られた油脂加工澱粉を打ち粉としてチキンカツに使用して得られた実施例6-1では、結着性が良好であり、チキンカツの衣の肉との接触層にヌメリが感じられず、チキンカツの肉部の食感も適度に柔らかくジューシーであった。
一方、比較例2で得られた油脂加工澱粉を打ち粉としてチキンカツに使用して得られた比較例6-1では、結着性が低く、チキンカツの衣の肉との接触層にヌメリが感じられ、チキンカツの肉部の食感もパサパサで劣っていた。
【0074】
この出願は、2017年7月21日に出願された日本出願特願2017-142097号を基礎とする優先権を主張し、その開示のすべてをここに取り込む。
以下、参考形態の例を付記する。
1. 以下の成分(A)~(D)を含む組成物を油脂加工してなる油脂加工澱粉であって、前記組成物中の前記成分(A)の配合量に対する前記成分(B)の配合量が、質量比で、((B)/(A))=1/99~99/1である、油脂加工澱粉。
(A)とうもろこし澱粉
(B)タピオカ澱粉
(C)食用油脂
(D)タンパク質素材
2. 前記成分(D)が、大豆タンパク質を含む、1.に記載の油脂加工澱粉。
3. 前記組成物中の前記成分(A)および前記成分(B)の合計量が、前記組成物全体に対して80質量%以上99.9質量%以下である、1.または2.に記載の油脂加工澱粉。
4. 1.乃至3.いずれか一つに記載の油脂加工澱粉を含む、揚げ物用衣材。
5. 当該揚げ物用衣材が打ち粉である、4.に記載の揚げ物用衣材。
6. 当該揚げ物用衣材がバッターである、4.に記載の揚げ物用衣材。
7. 4.乃至6.いずれか一つに記載の揚げ物用衣材を用いて得られる食品。
8. 4.乃至6.いずれか一つに記載の揚げ物用衣材を種物の外側に付着させる工程を含む、食品の製造方法。
9. 5.に記載の揚げ物用衣材を種物の外側に付着させる工程と、前記工程の後に、6.に記載の揚げ物用衣材を付着させる工程と、を含む、食品の製造方法。