(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-26
(45)【発行日】2023-01-10
(54)【発明の名称】質量流量制御装置、その方法、及びその動作を実行させる非一時的なコンピュータ可読媒体
(51)【国際特許分類】
G05D 7/06 20060101AFI20221227BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20221227BHJP
H05H 1/46 20060101ALI20221227BHJP
【FI】
G05D7/06 Z
H01L21/302 101G
H05H1/46 A
(21)【出願番号】P 2022503912
(86)(22)【出願日】2020-07-24
(86)【国際出願番号】 US2020043447
(87)【国際公開番号】W WO2021016538
(87)【国際公開日】2021-01-28
【審査請求日】2022-04-08
(32)【優先日】2019-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】M/S 1269,3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】シュイ, ミン
(72)【発明者】
【氏名】ル, ケネス
(72)【発明者】
【氏名】オカダ, アシュレー エム.
【審査官】影山 直洋
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-509641(JP,A)
【文献】特表2019-511119(JP,A)
【文献】特表2019-520576(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 7/06
H01L 21/3065
H05H 1/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスの流量を制限するように構成された流量制限要素、
前記流量制限要素の入口に結合された圧力調整器であって、前記圧力調整器と前記流量制限要素との間の前記ガスの圧力を制御するように構成された圧力調整器、
前記流量制限要素の出口に結合された流量計であって、前記流量制限要素の出口における前記ガスの前記流量を測定するように構成された流量計、
前記圧力調整器及び前記流量計に結合された1以上のバイパス流れ要素であって、各バイパス流れ要素は、前記流量制限要素と並列に前記ガスの前記流量を制御するように構成さ
れ、前記圧力が閾値圧力を超えたか又は前記流量が閾値流量を超えたうちの少なくとも一方であることに応じて、開くように構成された弁を備える、1以上のバイパス流れ要素、並びに、
前記圧力調整器及び前記流量計に動作可能に結合されたコントローラであって、前記流量計による前記流量の測定値を受け取り、目標流量に関連付けられた圧力設定を決定し、前記圧力調整器が前記圧力設定を有するようにさせるコントローラ
を備える、質量流量制御装置。
【請求項2】
前記流量制限要素及び前記1以上のバイパス流れ要素は、速度制御弁の構成要素である、請求項1に記載の質量流量制御装置。
【請求項3】
前記圧力調整器は、電空式圧力調整器を含む、請求項1に記載の質量流量制御装置。
【請求項4】
前記質量流量制御装置は、約10標準リットル/分(slm)と約500slmとの間の動作範囲を有する、請求項1に記載の質量流量制御装置。
【請求項5】
前記圧力調整器は、約0kPaから約750kPaの間の動作圧力制御範囲を有する、請求項1に記載の質量流量制御装置。
【請求項6】
前記流量制限要素は、ニードル弁、電動弁、又は圧電弁のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の質量流量制御装置。
【請求項7】
前記コントローラは、圧力設定を流量にマッピングする較正データを備え、前記較正データは、前記目標流量を実現し得る前記圧力設定を決定するために使用される、請求項1に記載の質量流量制御装置。
【請求項8】
前記較正データは、少なくとも、前記質量流量制御装置の初期化中又は前記質量流量制御装置の初期化後に生成される、請求項
7に記載の質量流量制御装置。
【請求項9】
質量流量制御装置の流量計から、ガスの流量の測定値を受け取ることであって、前記流量計は、前記質量流量制御装置の流量制限要素の出口と1以上のバイパス流れ要素の出口とに結合され、前記流量計は、前記流量制限要素の前記出口と前記1以上のバイパス流れ要素の前記出口とにおける前記ガスの前記流量を測定するように構成されている、測定値を受け取ること、
前記ガスの測定された流量と前記ガスの目標流量との間の差に基づいて、前記ガスの前記流量を変更することを決定すること、
前記目標流量に対応する前記ガスの目標圧力を決定すること、及び
前記流量制限要素の入口と前記1以上のバイパス流れ要素の入口とに結合された前記質量流量制御装置の圧力調整器に、前記ガスの前記目標圧力に対応する圧力設定を送信すること
を含み、前記圧力調整器は、前記圧力設定を考慮して、前記圧力調整器と前記流量制限要素との間、又は前記圧力調整器と前記1以上のバイパス流れ要素との間の少なくとも一方の前記ガスの圧力を制御するように構成さ
れ、
各バイパス流れ要素は、前記圧力が閾値圧力を超えたか又は前記流量が閾値流量を超えたうちの少なくとも一方であることに応じて、開くように構成された弁を備える、方法。
【請求項10】
前記目標流量に対応する前記ガスの前記目標圧力を決定することは、
前記ガスの前記目標流量の指示を受け取ること、及び
圧力設定を流量にマッピングする較正データから、前記目標流量に対応する前記ガスの前記目標圧力を特定すること
を含む、請求項
9に記載の方法。
【請求項11】
前記圧力調整器に、前記ガスの前記圧力を複数のテスト圧力のうちのテスト圧力と合うように修正するための指示命令を送信すること、
前記流量計から、前記テスト圧力に対応する流量の測定値の指示を受け取ること、及び
較正データにおける前記テスト圧力と前記流量の測定値との間の関連を更新すること
を更に含む、請求項
9に記載の方法。
【請求項12】
前記流量制限要素及び前記1以上のバイパス流れ要素は、速度制御弁の構成要素である、請求項
9に記載の方法。
【請求項13】
前記圧力調整器は、電空式圧力調整器を含む、請求項
9に記載の方法。
【請求項14】
前記質量流量制御装置は、約10標準リットル/分(slm)と約500slmとの間の動作範囲を有する、請求項
9に記載の方法。
【請求項15】
前記流量制限要素は、ニードル弁、電動弁、又は圧電弁のうちの少なくとも1つを含む、請求項
9に記載の方法。
【請求項16】
指示命令を備えた非一時的なコンピュータ可読媒体であって、前記指示命令は、処理デバイスによって実行されたときに、前記処理デバイスに、
質量流量制御装置の流量計から、ガスの流量の測定値を受け取ることであって、前記流量計は、前記質量流量制御装置の流量制限要素の出口と1以上のバイパス流れ要素の出口とに結合され、前記流量計は、前記流量制限要素の前記出口と前記1以上のバイパス流れ要素の前記出口とにおける前記ガスの前記流量を測定するように構成されている、測定値を受け取ること、
前記ガスの測定された流量と前記ガスの目標流量との間の差に基づいて、前記ガスの前記流量を変更することを決定すること、
前記目標流量に対応する前記ガスの目標圧力を決定すること、及び
前記流量制限要素の入口と前記1以上のバイパス流れ要素の入口とに結合された前記質量流量制御装置の圧力調整器に、前記ガスの前記目標圧力に対応する圧力設定を送信すること
を含む動作を実行させ、前記圧力調整器は、前記圧力設定を考慮して、前記圧力調整器と前記流量制限要素との間、又は前記圧力調整器と前記1以上のバイパス流れ要素との間の少なくとも一方の前記ガスの圧力を制御するように構成さ
れ、各バイパス流れ要素は、前記圧力が閾値圧力を超えたか又は前記流量が閾値流量を超えたうちの少なくとも一方であることに応じて、開くように構成された弁を備える、非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項17】
前記目標流量に対応する前記ガスの前記目標圧力を決定するために、前記処理デバイスは、
前記ガスの前記目標流量の指示を受け取ること、及び
圧力設定を流量にマッピングする較正データから、前記目標流量に対応する前記ガスの前記目標圧力を特定すること
を含む動作を実行する、請求項
16に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項18】
前記処理デバイスは、
前記圧力調整器に、前記ガスの前記圧力を複数のテスト圧力のうちの1つのテスト圧力と合うように修正するための第1の指示を送信すること、
前記流量計から、前記テスト圧力に対応する流量の測定値の第2の指示を受け取ること、及び
較正データにおける前記テスト圧力と前記流量の測定値との間の関連を更新すること
を更に含む動作を実行する、請求項
16に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本開示の実施形態は、広くは、ガスの圧力を調整することによってガスの流量を制御するための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] ガスの流量を制御することは、電子デバイス製造システムにおいて共通の課題を提示する。幾つかの電子デバイス製造システムでは、プロセスガス(すなわち、電子デバイスの製造中に使用されるガス)並びに/又は洗浄ガス(すなわち、製造された電子デバイス及び/若しくは電子デバイスの製造において使用されるチャンバを洗浄するために使用されるガス)が、高い質量流量(すなわち、500標準リットル/分(slms)以上)を有する正確な供給目標、ならびに低い流量(すなわち、10slms以下)を正確に制御する能力を有し得る。従来の電子デバイス製造システムは、しばしば、プロセスガスの質量流量を測定し制御するために、1以上の質量流量コントローラ(MFC)を使用する。MFCは、熱ベースMFC、圧力ベースMFC、又は減衰速度(rate-of-decay)MFCなどを含んでよい。
【0003】
[0003] 各種類のMFCは、MFCが使用される用途に応じて、1以上の制限を課すことがあり、したがって、MFCを、ガスの流量を測定し制御することにおいて、非効率で高価な選択肢にする。例えば、ガス流量が2.0slms未満である限られた用途では、減衰速度MFCが使用されてよい。圧力ベースMFCは、正確な測定値及び制御の精度を得るために、プロセスガスの下流の(すなわち、圧力ベースMFCの出口における)圧力が約400torr以下に維持される場合、その用途で使用されてよい。熱ベースMFCは、ガス流量が500slmsもの高さである用途で使用されてよい。しかし、熱ベースMFCは、1以上の加熱要素及び/又は熱ベースセンサを使用して、ガスの温度を上昇させることによってガス流量を測定する。熱ベースMFCによって測定されるガスの化学的性質に応じて、温度の上昇は、熱ベースMFCの1以上の構成要素を腐食させるか、又はガスを分解させることがある。更に、熱ベースMFCに使用されるセンサは、特定の閾値を超える流量の測定値を捕捉することができない場合があり、したがって、広範囲の流量の測定値は、熱ベースのMFCを使用して取得することができない。熱ベースMFC、圧力ベースMFC、及び減衰速度MFCの各々によって提示される制限は、ガス供給システムの費用を引き上げる。
【発明の概要】
【0004】
[0004] 説明される実施形態の幾つかは、ガスの流量を制限するように構成された流量制限要素を含む質量流量制御装置をカバーする。質量流量制御装置は、流量制限要素の入口に結合された圧力調整器を更に含む。その場合、圧力調整器は、圧力調整器と流量制限要素との間のガスの圧力を制御するように構成されている。質量流量制御装置は、流量制限要素の出口に結合された流量計を更に含む。流量計は、流量制限要素の出口におけるガスの流量を測定するように構成されている。質量流量制御装置は、圧力調整器及び流量計に動作可能に結合されたコントローラを更に含む。コントローラは、流量計による流量の測定値を受け取り、目標流量に関連付けられた圧力設定を決定し、圧力調整器が圧力設定を有するようにさせる。
【0005】
[0005] 幾つかの実施形態では、方法が、質量流量制御装置の流量計から、ガスの流量の測定値を受け取ることを含む。流量計は、質量流量制御装置の流量制限要素の出口に結合され、流量制限要素の出口におけるガスの流量を測定するように構成されている。該方法は、ガスの測定された流量とガスの目標流量との間の差に基づいて、ガスの流量を変更することを決定することを更に含む。ガスの流量を変更することを決定したことに応じて、目標流量に対応するガスの目標圧力が決定されてよい。該方法は、流量制限要素の入口に結合された質量流量制御装置の圧力調整器に、ガスの目標圧力に対応する圧力設定を送信することを更に含む。その場合、圧力調整器は、圧力設定を考慮して、圧力調整器と流量制限要素との間のガスの圧力を制御するように構成されている。
【0006】
[0006] 幾つかの実施形態では、非一時的なコンピュータ可読媒体が指示命令を含む。該指示命令は、処理デバイスによって実行されたときに、処理デバイスに、質量流量制御装置の流量計から、ガスの流量の測定値を受け取ることを含む動作を実行させる。その場合、流量計は、質量流量制御装置の流量制限要素の出口に結合され、流量計は、流量制限要素の出口におけるガスの流量を測定するように構成されている。該動作は、ガスの測定された流量とガスの目標流量との間の差に基づいて、ガスの流量を変更することを決定することを更に含む。該動作は、目標流量に対応するガスの目標圧力を決定することを更に含む。該動作は、流量制限要素の入口に結合された質量流量制御装置の圧力調整器に、ガスの目標圧力に対応する圧力設定を送信することを更に含む。その場合、圧力調整器は、圧力設定を考慮して、圧力調整器と流量制限要素との間のガスの圧力を制御するように構成されている。
【0007】
[0007] 本開示は、実施例として示されており、限定するものではなく、添付の図面においては同様の参照番号が類似の要素を示している。本開示における「1つの(an)」又は「1つの(one)」実施形態に対する異なる言及は、必ずしも同じ実施形態に対するものではなく、そのような言及は少なくとも1つを意味することに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】[0008] 本開示の実施形態による処理チャンバの断面図を描く。
【
図2】[0009] 本開示の実施形態による圧力調整流量コントローラの断面図を描く。
【
図3】[0010] 本開示の実施形態によるガスの圧力に基づいてガスの流量を制御するための方法を示す。
【
図4】[0011] 本開示の実施形態によるガスの流量を制御することにおいて使用される較正データを生成するための方法を示す。
【
図5】[0012] 特定の実施形態によるコンピュータシステムを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[0013] 本明細書で説明される実施形態は、ガスの圧力を調整することによって、電子デバイス製造システムのガスの流量を制御するための装置及び方法に関する。圧力調整流量コントローラは、流量制限要素、流量制限要素の入口に結合された圧力調整器、流量制限要素の出口に結合された流量計、及びシステムコントローラを含んでよい。システムコントローラは、圧力調整器及び流量計に動作可能に連結されてよい。幾つかの実施形態では、圧力調整器が、電空式(electro-pneumatic)圧力調整器であってよい。幾つかの実施形態では、流量制限要素が、ニードル弁、電動弁、又は圧電弁(piezo valve)のうちの少なくとも1つを含む。
【0010】
[0014] ガスの流量は、流量計によって測定されてよく、この流量計は、流量制限要素の出口におけるガスの流量を測定するように構成されてよい。流量計がガスの流量を測定したことに応じて、測定された流量は、システムコントローラに送信されてよい。測定された流量及びガスに対する目標流量に基づいて、システムコントローラは、ガスの流量を目標流量に合わせるために、ガスの圧力設定を変更するかどうかを判定してよい。システムコントローラは、圧力調整器用の圧力設定を決定してよい。その場合、圧力設定は、目標流量に関連付けられる。システムコントローラは、圧力設定を流量にマッピングする、コントローラによって保持されている較正データに基づいて、圧力設定を決定してよい。目標流量に関連付けられた圧力設定を決定した後で、コントローラは、その圧力設定を圧力調整器に送信してよい。圧力調整器は、受け取った圧力設定を考慮して、ガスの圧力を制御してよい。受け取った圧力設定を考慮してガスの圧力を制御することによって、圧力調整器は、ガスの目標流量を実現するために、流量制限要素を通って流れるガスの流量を間接的に増減させてよい。幾つかの実施形態では、圧力調整流量コントローラが、約0標準リットル/分(slms)と約1200slmsとの間の動作範囲を有してよい。他の実施形態では、圧力調整流量コントローラが、約0slmsと約500slmsとの間の動作範囲を有してよい。
【0011】
[0015] 幾つかの実施形態では、圧力調整流量コントローラが、流量制限要素と並列に圧力調整器及び流量計に結合されたバイパス流れ要素を更に含んでよい。バイパス流れ要素は、圧力調整器を出るガスの圧力が機械的な若しくは所定のソフトウェア制御閾値を超えるか、又は圧力調整器を出るガスの流量が閾値を超えたことに応じて、開くように構成された弁を含んでよい。幾つかの実施形態では、流量制限要素及びバイパス流れ要素が、ニードル弁の構成要素であってよい。幾つかの実施形態では、圧力調整流量コントローラが、圧力調整器及び流量計に結合された複数のバイパス流れ要素を含んでよい。そのような実施形態では、複数のバイパス流れ要素が、高い流量(すなわち、約500slmsを超える流量)を促進するように、共に並列に結合されてよい。
【0012】
[0016] 上述されたように、システムコントローラは、圧力設定を流量にマッピングする較正データを保持してよい。較正データは、目標流量を実現し得る圧力設定を決定するために、システムコントローラによって使用されてよい。幾つかの実施形態では、圧力設定が、目標流量に関連付けられた目標圧力を含んでよい。他の実施形態では、圧力設定が、目標圧力とガスの測定された流量に関連付けられたガスの圧力との間の差、及び、その差に従ってガスの圧力を増減させるための指示命令を含んでよい。較正データは、電子デバイス製造システムの初期化中又は初期化後に生成されてよい。幾つかの実施形態では、ガスの圧力を一組のテスト圧力のうちのテスト圧力と合うように修正するために、システムコントローラが指示を圧力調整器に送信することによって、較正データが生成される。システムコントローラは、流量計から、テスト圧力に対応する流量の測定値を受け取ってよい。システムコントローラは、テスト圧力と流量の測定値との間の関連を更新してよい。その場合、その関連は、目標流量を実現し得る圧力設定を決定するために使用される。
【0013】
[0017] 一般に、製造プロセスをより良好に制御するために、電子製造プロセスにおいて使用されるプロセスガスの流量を精密に制御することが有利であろう。本明細書で説明されるように、流量制限要素、圧力調整器、流量計、及びシステムコントローラから構成されるMFCを使用して、プロセスガスを測定及び制御することによって、約0slmsと約500slmsとの間の流量が実現されてよい。圧力調整流量コントローラが1以上のバイパス流れ要素を含む幾つかの実施形態では、500slmsを超える流量が実現されてよい。実施形態で説明されるMFCは測定されているガスの温度を調整しないため、流量制限要素、圧力調整器、流量計、及びコントローラから構成されるMFCを使用して、プロセスガスを測定及び制御することが更に有利であろう。熱ベースの構成要素を使用してガスの温度を上昇させないことによって、ガスは、圧力調整流量コントローラの構成要素を腐食させず、又は圧力調整流量コントローラ内のガスを分解させないだろう。
【0014】
[0018] 実施形態は、電子デバイス製造システムにおいて使用されるガスの流量を制限するために使用されるMFCに関して説明される。しかし、本明細書で説明される実施形態は、他の製造システムで使用されるガスの流量を制限するなど、他の目的に使用されるMFCにも適用されることを理解されたい。
【0015】
[0019]
図1は、本開示の実施形態による処理チャンバ100の断面図を描いている。処理チャンバ100は、腐食性プラズマ環境が提供されるプロセス向けに使用されてよい。例えば、処理チャンバ100は、プラズマエッチャー(plasma etcher)又はプラズマエッチングリアクタ、プラズマ洗浄器などのためのチャンバであってよい。代替的な実施形態では、他の処理チャンバが使用されてよい。それらは、腐食性プラズマ環境に曝露されてもされなくてもよい。チャンバ構成要素の幾つかの例には、化学気相堆積(CVD)チャンバ、物理的気相堆積チャンバ(PVD)チャンバ、原子層堆積(ALD)チャンバ、イオンアシスト堆積(IAD)チャンバ、エッチングチャンバ、及び他の種類の処理チャンバが含まれる。幾つかの実施形態では、処理チャンバ100が、電子デバイス製造システムで使用される任意のチャンバであってよい。
【0016】
[0020] 一実施形態では、処理チャンバ100が、内部空間106を囲むチャンバ本体102及びシャワーヘッド130を含む。シャワーヘッド130は、シャワーヘッドベース及びシャワーヘッドガス供給プレートを含んでよい。代替的に、幾つかの実施形態では、シャワーヘッド130が、リッド及びノズルによって置き替えられてよく、又は他の実施形態では、複数のパイ形状のシャワーヘッド区画及びプラズマ生成ユニットによって置き替えられてよい。チャンバ本体102は、アルミニウム、ステンレス鋼、又はチタン(Ti)のような他の適切な材料から製造されてよい。チャンバ本体102は、一般に、側壁108及び底部110を含む。
【0017】
[0021] チャンバ本体102を保護するために、外側ライナ116が側壁108に隣接して配置されてよい。外側ライナ116は、1以上の開口を含むように製造されてよい。一実施形態では、外側ライナ116が、酸化アルミニウムから製造される。
【0018】
[0022] 排気ポート126が、チャンバ本体102内に画定されてよく、内部空間106をポンプシステム128に結合してよい。ポンプシステム128は、処理チャンバ100の内部空間106を排気し、内部空間106の圧力を調整するために利用される、1以上のポンプ及びスロットルバルブを含んでよい。
【0019】
[0023] ガスパネル158が処理チャンバ100に結合されてよく、供給ライン112を介してシャワーヘッド130を通して内部空間106にプロセスガス及び/又は洗浄ガスを提供する。圧力調整流量コントローラ160が、ガスパネル158及び処理チャンバ100に結合されてよい。圧力調整流量コントローラ160を使用して、ガスパネル158から内部空間106へのガスの流れを測定及び制御することができる。圧力調整流量コントローラ160は、少なくとも、流量制限要素、流量制限要素の入口に結合された圧力調整器、及び流量制限要素の出口に結合された流量計を含んでよい。圧力調整器及び流量計は、システムコントローラと動作可能に結合されてよく、システムコントローラは、目標流量に関連付けられた圧力設定を決定し、圧力調整器が圧力設定を有するようにさせる。圧力調整流量コントローラに関する更なる詳細は、
図2に関連して提供される。幾つかの実施形態では、1以上のガスパネル158を処理チャンバ100に結合してよく、シャワーヘッド130を通して内部空間106にガスを提供する。そのような実施形態では、1以上の圧力調整流量コントローラ160が、各ガスパネル158及び処理チャンバ100に結合されてよい。
【0020】
[0024] シャワーヘッド130は、チャンバ本体102の側壁108上に支持されてよい。シャワーヘッド130(又はリッド)は、処理チャンバ100の内部空間106へのアクセスを可能にするために開放されてよく、閉じられたときに処理チャンバ100用のシールを提供してよい。ガスパネル158は、シャワーヘッド130又はリッド及びノズルを通して(例えば、シャワーヘッド又はリッド及びノズルの開孔を通して)内部空間106へプロセスガス及び/又は洗浄ガスを提供するために、処理チャンバ100に結合されてよい。シャワーヘッド130は、誘電体エッチング(誘電材料のエッチング)向けに使用されるプロセスチャンバ用に使用されてよい。シャワーヘッド130は、ガス供給プレート(GDP)を含んでよく、GDPを貫通する複数のガス供給孔132(チャネルとも称される)を有してよい。本明細書で説明されるように、シャワーヘッド130は、多層保護コーティングによる保護を有する金属又は合金プレートによって形成され得る。金属又は合金プレートは、アルミニウム、アルミニウム合金、又は他の金属若しくは金属合金で構成されてよい。シャワーヘッド130は、アルミニウムベース又は陽極酸化アルミニウムベースに接合されたGDPで形成されてよい。GDPは、Si又はSiCから作製されてよく、又はY2O3、Al2O3、Y3Al5O12(YAG)などのセラミックであってもよい。
【0021】
[0025] 導体エッチング(導電性材料のエッチング)に使用される処理チャンバのでは、シャワーヘッドではなくリッドが使用されてよい。リッドは、リッドの中央孔の中にフィットする中央ノズルを含んでよい。リッドは、Al2O3、Y2O3、YAGなどのセラミック、又はY4Al2O9及びY2O3-ZrO2の固溶体を含むセラミック化合物であってよい。ノズルもまた、Y2O3、YAGなどのセラミック、又はY4Al2O9及びY2O3-ZrO2の固溶体を含むセラミック化合物であってよい。
【0022】
[0026] 処理チャンバ100内で基板を処理するために使用することができる処理ガスの例には、とりわけ、C2F6、SF6、SiCl4、HBr、NF3、CF4、CHF3、CH2F3、F、NF3、Cl2、CCl4、BCl3、及びSiF4などのハロゲン含有ガス、並びにO2又はN2Oなどの他のガスが含まれる。これらのガスのいずれかの流量は、圧力調整流量コントローラ160を用いて測定されてよい。遠隔プラズマは、これら及び/又は他の処理ガスのいずれかから生成され、次いで、圧力調整流量コントローラ160を通って、供給ライン112を通って、チャンバ100に供給されてよい。したがって、遠隔プラズマは、とりわけ、C2F6、SF6、SiCl4、HBr、NF3、CF4、CHF3、CH2F3、F、NF3、Cl2、CCl4、BCl3、及びSiF4、並びにO2又はN2Oなどの他のガスで構成されてよい。キャリアガスの例としては、N2、He、Ar、及びプロセスガスに対して不活性な他のガス(例えば、非反応性ガス)が挙げられる。
【0023】
[0027] 基板支持アセンブリ148が、シャワーヘッド130の下方の処理チャンバ100の内部空間106内に配置されている。基板支持アセンブリ148は、処理中に基板144を保持する。リング(例えば、単一のリング)が、静電チャック150の一部分をカバーしてよく、処理中にプラズマへの曝露からカバーされた一部分を保護してよい。一実施形態では、リングが、シリコン又は石英であってよい。
【0024】
[0028] 内側ライナが、基板支持アセンブリ148の周囲にコーティングされてよい。内側ライナは、外側ライナ116に言及しながら説明されたようなハロゲン含有ガスレジスト材料であってよい。一実施形態では、内側ライナは、外側ライナ116と同じ材料から製造されてよい。
【0025】
[0029] 一実施形態では、基板支持アセンブリ148が、静電チャック150を支持するペデスタル152を含む。一実施形態では、静電チャック150が、熱伝導性ベース、及びボンドによって熱伝導ベースに接合された静電パックを更に含む。ボンドは、シリコーンボンドであってよい。静電チャック150の熱伝導性ベース及び/又は静電パックは、基板支持アセンブリ148の側方温度プロファイルを制御するために、1以上の任意選択的な埋め込み素子、埋め込み断熱材、及び/又は導管を含んでよい。静電パックは、静電パックの上面に形成され得る溝、メサ、及び他の表面特徴などのような複数のガス通路を更に含んでよい。ガス通路は、静電パック内に穿たれた孔を介して、Heなどの熱伝達(又は裏側)ガスの供給源に流体結合されてよい。動作では、静電パックと支持されている基板144との間の熱伝達を高めるために、裏側ガスが、ガス通路の中に制御された圧力で提供されてよい。静電チャック150は、チャッキング電源によって制御される少なくとも1つのクランプ電極を含んでよい。
【0026】
[0030]
図2は、本開示の実施形態による、圧力調整流量コントローラ200の断面図を描いている。圧力調整流量コントローラ200は、電子デバイス製造システムで使用されるプロセスガス及び/又は洗浄ガスの質量流量を測定及び制御するように構成されてよく、したがって、一種のMFCとみなされてよい。幾つかの実施形態では、圧力調整流量コントローラ200が、
図1の圧力調整流量コントローラ160に対応してよく、圧力調整流量制コントローラ200は、供給ライン204を介してガス供給源202に結合されてよい。ガス供給源202及び供給ライン204は、
図1のガスパネル158及び供給ライン112にそれぞれ対応してよい。
【0027】
[0031] 前述のように、圧力調整流量コントローラ200は、少なくとも、圧力調整器206、流量制限要素(流量制限器)208、及び流量計210を含んでよい。圧力調整器206は、流量制限要素208用の入口に結合されてよく、流量計210は、流量制限要素208用の出口に結合されてよい。圧力調整流量コントローラ200は、圧力調整器206及び流量計210に動作可能に結合されたシステムコントローラ230を更に含んでよい。流量計210の出口は、供給ライン212を介して、電子デバイス製造システム(これもまた図示せず)又は他のシステムの処理チャンバの入口に結合されてよい。
【0028】
[0032] 圧力調整器206は、圧力調整器206と流量制限要素208との間のガスの圧力を制御するように構成されてよい。幾つかの実施形態では、圧力調整器206が、電空式圧力調整器(e-レギュレータ)であってよい。圧力調整器206は、約0kPaから約750kPaの間の動作圧力制御範囲を有してよい。幾つかの実施形態では、圧力調整器206が、約0kPaから約500kPaの間の動作圧力制御範囲を有してよい。他の実施形態では、圧力調整器206が、約100kPaから約400kPaの間の動作圧力制御範囲を有してよい。幾つかの実施形態では、圧力調整器206が、約100kPaの最低作動圧力及び約700kPaの最高作動圧力を有してよい。幾つかの実施形態では、圧力調整器206が、約0slmから約1500slmsの間のガス流量容量を有してよい。他の実施形態では、圧力調整器206が、約10slmsから約500slmsの間のガス流量容量を有してよい。
【0029】
[0033] 幾つかの実施形態では、圧力調整器206が、コントローラ構成要素を更に含んでよい。コントローラ構成要素は、中央処理装置(CPU)、マイクロコントローラ、又は他の適切なコンピュータ処理デバイス、メモリ、及びサポート回路を含んでよい。コントローラ構成要素は、圧力調整器206の動作に関するプログラミング指示命令を実行するように構成されてよい。例えば、圧力調整器206は、圧力調整器206の出口におけるガスの圧力を増減させることに関する指示命令を実行してよい。コントローラ構成要素は、システムコントローラへ指示命令を送信し及び/又はシステムコントローラから指示命令を受信するように構成された入力/出力(I/O)構成要素を更に含んでよい。前述のように、圧力調整器206は、システムコントローラ230と動作可能に結合されてよい。システムコントローラ230は、圧力調整器206に1以上の圧力設定を送信してよく、圧力調整器に、(1以上の)送信された圧力設定を考慮してガスの圧力を変更することを実行させる。
【0030】
[0034] 流量制限要素208は、ガスの流量を制限するように構成されてよい。流量制限要素208は、約0slmsから約1200slmsの間の動作流量範囲を有してよい。幾つかの実施形態では、流量制限要素208が、約10slmsから約500slmsの動作流量範囲を有してよい。幾つかの実施形態では、流量制限要素208が、ニードル弁、電動弁、圧電弁などであってよい。
【0031】
[0035] 幾つかの実施形態では、圧力調整流量コントローラ200が、バイパス流れ要素214を更に含んでよい。バイパス流れ要素214は、バイパス流路及びバイパス弁を含んでよい。バイパス弁は、ガスの圧力が閾値圧力を超えたこと又はガスの流量が閾値流量を超えたことのいずれかに応じて開くように構成されてよい。バイパス流れ要素214は、バイパス流れ要素214なしで可能なものよりも高いガス流量を促進してよい。幾つかの実施形態では、バイパス流れ要素214が、流量制限要素208と並列に結合されてよい。幾つかの実施形態では、バイパス弁が、機械的なスロットルバルブ(絞り弁)であってよい。
【0032】
[0036] 幾つかの実施形態では、流量制限要素208及びバイパス流れ要素214が、単一の流量制限構成要素218の構成要素であってよい。例えば、幾つかの実施形態では、流量制限要素208及びバイパス流れ要素214は、速度制御弁の構成要素であってよい。このような実施形態では、流量制限要素208が、約0slmsから約1200slmsの間の動作流量範囲を有してよい。他の実施形態では、流量制限要素が、約10slmsから約500slmsの間の動作流量範囲を有してよい。流量制限要素208は、流量制限要素208を通るガスの流れを増減させるために、流量制限要素208内で(例えば、手動で又は自動的に)動かすことができる1以上の機械的な構成要素を含んでよい。幾つかの実施形態では、流量制限要素208内の1以上の機械的な構成要素が、ガスが流量制限要素208を通って流れるときに移動しないこともある。そのような実施形態では、ガスが流量制限要素208を通って流れる前に、ガスの流量が、ガスの圧力に基づいて制御されてよい。前述のように、ガスの圧力は、流量制限要素208の入口に結合されている圧力調整器206によって制御されてよい。
【0033】
[0037] 流量計210は、流量制限要素208の出口におけるガスの流量を測定するように構成されてよい。流量計210は、熱ベース流量計や圧力ベース流量計などのうちの少なくとも1つであってよい。幾つかの実施形態では、流量計210が、約0slmから約2000slmの間の動作流量範囲を有してよい。他の実施形態では、流量計210が、約10slmsから約500slmsの動作流量範囲を有してよい。
【0034】
[0038] 幾つかの実施形態では、流量計210が、コントローラ構成要素を更に含んでよい。コントローラ構成要素は、中央処理装置(CPU)、マイクロコントローラ、又は他の適切なコンピュータ処理デバイス、メモリ、及びサポート回路を含んでよい。コントローラ構成要素は、流量計210の動作に関するプログラミング指示命令を実行するように構成されてよい。例えば、流量計210は、流量計210を通って流れるガスの流量を測定することに関する指示命令を実行してよい。コントローラ構成要素は、システムコントローラ230へ指示命令を送信し及び/又はシステムコントローラ230から指示命令を受信するように構成された入力/出力(I/O)構成要素を更に含んでよい。
【0035】
[0039] 前述のように、流量計210は、システムコントローラ230と動作可能に結合されてよい。システムコントローラ230は、流量計210から流量制限要素208の出口におけるガスの流量の測定値を受け取ってよい。幾つかの実施形態では、流量計210が、流量制限要素208の出口におけるガスの流量を一貫して(例えば、継続的に)測定し、測定値が生成されたときに、流量の測定値をシステムコントローラ230に送信するように構成されてよい。他の実施形態では、流量計210が、ガスの流量を周期的に測定し、測定値が生成されたときに、測定値をシステムコントローラ230に送信するように構成されてよい。そのような実施形態では、流量計210がガスの流量を測定する期間は、圧力調整流量コントローラ200のユーザによって、又は圧力調整流量コントローラの1以上の構成要素に関連付けられた1以上の動作状態に基づいて規定されてよい。
【0036】
[0040] システムコントローラ230は、電子デバイス製造システムの1以上の構成要素に結合され及び/又はそれらを制御するように構成された任意の適切な計算デバイスであってよい。幾つかの実施形態では、システムコントローラ230が、圧力調整流量コントローラ200の1以上の構成要素を制御するように構成されてよいが、製造システムの他の構成要素を制御するように構成されているとは限らない。システムコントローラ230は、中央処理装置、マイクロコントローラ、又は他の適切なコンピュータ処理デバイス、メモリ、及びサポート回路を含んでよい。システムコントローラ230は、圧力調整流量コントローラ200の動作に関するプログラミング指示命令を実行するように構成されてよい。幾つかの実施形態では、システムコントローラ230が、プログラム可能な論理制御装置(PLC)、システムオンチップSoC、サーバコンピュータ、又は他の種類の計算デバイスであってよい。
【0037】
[0041] システムコントローラ230は、流量計210による流量の測定値を受け取るように構成されてよい。流量の測定値を受け取ったことに応じて、システムコントローラ230は、測定された流量とガスの目標流量との間の差に基づいて、ガスの流量を変更することを決定してよい。システムコントローラ230は、目標流量に対応する目標圧力を決定し、ガスの目標圧力に対応する圧力設定を圧力調整器に送信してよい。圧力設定は、圧力設定を流量にマッピングする較正データ232に基づいて決定されてよい。異なる較正データ232が、異なるガスについての較正中に決定されてよい。幾つかの実施形態では、圧力設定が、目標流量に関連付けられた目標圧力を含んでよい。他の実施形態では、圧力設定が、目標圧力とガスの測定された流量に関連付けられたガスの圧力との間の差、及び、その差に従ってガスの圧力を増減させるための圧力調整器への指示命令を含んでよい。較正データに基づいて圧力設定を決定したことに応じて、システムコントローラ230は、圧力設定を圧力調整器206に送信してよい。システムコントローラ230から圧力設定を受け取ったことに応じて、圧力調整器206は、受け取った圧力設定を考慮して、ガスの圧力を変更してよい。圧力設定の決定及び較正データ232の生成に関する更なる詳細は、
図3及び
図4に関連して提供される。
【0038】
[0042]
図3は、本開示の実施形態によるガスの圧力に基づいてガスの流量を制御するための方法300を示している。方法300の動作は、例えば、圧力調整流量コントローラのシステムコントローラ(例えば、計算デバイス)によって実行されてよい。ブロック310では、ガスの流量の測定値が受け取られてよい。幾つかの実施形態では、ガスの流量の測定値が、
図1の圧力調整流量コントローラ160又は
図2の圧力調整流量コントローラ200などのような圧力調整流量コントローラのシステムコントローラによって受け取られてよい。幾つかの実施形態では、ガスの流量の測定値が、
図2の流量計210のような圧力調整流量コントローラの流量計から受け取られてよい。
【0039】
[0043] ブロック320では、測定された流量と目標流量との間の差が決定される。システムコントローラは、ガスの測定された流量とガスの目標流量との間の差に基づいて、ガスの流量を変更することを決定してよい。幾つかの実施形態では、ガスの目標流量がまた、システムコントローラによって受け取られてよい。目標流量は、プロセスレシピの設定によって規定されてもよい。プロセスレシピは、システムコントローラに提供されてよい。更に又は代替的に、目標流量は、圧力調整流量コントローラの1以上の構成要素の動作状態に基づいて規定されてもよい。
【0040】
[0044] ブロック330では、システムコントローラが、差が差閾値を超えるかどうかを判定してよい。幾つかの実施形態では、閾値差は、一定の設定であるか又は構成可能な設定であってよい。他の実施形態では、閾値差が、圧力調整流量コントローラの1以上の構成要素の動作状態又は動作閾値に基づいて規定されてよい。幾つかの実施形態では、閾値差が0slmsである。したがって、現在の流量と目標流量との間のいかなる差も、圧力の変更を誘発してよい。差が差閾値を超える場合、該方法はブロック340に進んでよい。差が差閾値を超えない場合、該方法はブロック360に進んでよい。
【0041】
[0045] ブロック340では、目標流量に対応するガスの目標圧力、及び測定された流量に対応するガスの圧力が決定されてよい。幾つかの実施形態では、ガスの目標圧力が、システムコントローラによって保持されている較正データから目標圧力を特定することによって決定される。較正データは、圧力調整器によって制御されるガスの圧力を、流量計によって測定された流量にマッピングしてよい。較正データの生成に関する更なる詳細は、本明細書の
図4に関連して提供される。コントローラは、ガスの目標流量及びガスの測定された流量を決定することができる。目標流量と測定された流量とに基づいて、コントローラは、較正データから、目標流量に関連付けられた目標圧力、及び測定された流量に関連付けられたガスの圧力を特定してよい。システムコントローラはまた、圧力調整器の現在の圧力設定を決定してもよい。
【0042】
[0046] 幾つかの実施形態では、システムコントローラが、目標流量に関連付けられた目標圧力を決定するために、1以上のシステム誤差(すなわち、ガスの予想外の温度上昇など)を考慮に入れてよい。そのような実施形態では、システムコントローラが、比例制御利得(すなわち、目標流量と測定された流量との間の比例関係を示す項又は値)、積分制御利得(すなわち、目標流量と測定された流量との間の過去の差を考慮する項又は値)、及び微分制御利得(すなわち、目標流量と測定された流量との間の誤差が変化している速度を表す項又は値)のうちの少なくとも1つを使用して、1以上のシステム誤差を考慮に入れてよい。比例制御利得、積分制御利得、及び微分制御利得は、ブロック320で決定された、システムコントローラから受け取った目標流量と測定された流量との間の差と共に使用されてよく、ガスの調整された目標流量を決定する。幾つかの実施形態では、調整された目標流量が、受け取った目標流量よりもわずかに高くても、又はわずかに低くてもよい(すなわち、±10%の差)。システム用の目標圧力は、受け取った目標流量ではなく、調整された目標流量に基づいて較正データから特定されてよい。調整された目標流量に基づいて目標圧力を特定することによって、目標圧力はより正確に特定されてよい。というのも、調整された目標流量は、1以上のシステム誤差を考慮に入れているからである。その誤差は、目標圧力が受け取った目標流量に基づいて特定される場合、考慮されないだろう。更に、調整された目標流量は、目標流量と測定された流量との間の以前の差を考慮するので、システムコントローラは、ガスの目標圧力をより迅速に特定してよい。
【0043】
[0047] ブロック350では、圧力設定が圧力調整器に送信される。圧力設定は、圧力調整器に、ガスの圧力を目標圧力と合うように変更することを実行させる。幾つかの実施形態では、圧力設定が、ガスの目標圧力を含んでよい。そのような実施形態では、圧力調整器のコントローラ構成要素が、一連の1以上の指示命令を実行してよい。それらの指示命令は、圧力設定の目標圧力を考慮して、ガスの圧力を増減させる。他の実施形態では、圧力設定が、目標圧力とガスの圧力との間の差を含んでよい。そのような実施形態では、圧力調整器のコントローラ構成要素が、一連の1以上の指示命令を実行してよい。それらの指示命令は、圧力設定の圧力差に従って、ガスの圧力を増減させる。
【0044】
[0048] ブロック360では、ガスが圧力調整流量コントローラを通って未だ流れているかどうかが判定されてよい。ガスが未だ流れているかどうかの判定は、流量計によって測定されたガスの流量が閾値流量を超えているかどうかに基づいてよい。例えば、閾値流量は、1.0slmであってよい。システムコントローラが、ガスの流量が1.0slm未満であることを示す測定値を流量計から受け取った場合、ガスがもはや圧力調整流量コントローラを通って流れていないと判定されてよい。ガスがもはや圧力調整流量コントローラを通って流れていないと判定された場合、方法300は終了してよい。
【0045】
[0049] ガスが依然として圧力調整流量コントローラを通って流れていると判定された場合、方法300は、ブロック310に戻ってよい。その場合、方法300は、ガスが流れている間、継続的に繰り返されてよい。したがって、コントローラは、ガスの流量の第2の測定値を受け取ってよい。第2の測定値は、圧力調整器が、圧力設定を考慮してガスの圧力を変更した後で受け取られてよい。コントローラは、ガスの測定された流量とガスの目標流量との間の差に基づいて、前述の実施形態に従ってガスの流量を変更するかどうかを判定してよい。幾つかの実施形態では、流量を目標流量に迅速に調整するために、圧力のより大きな変更が最初に実行されてよく、その後に、圧力のより小さな変更が行われる。
【0046】
[0050]
図4は、本開示の実施形態によるガスの流量を制御することにおいて使用される構成データを生成するための方法400を示している。方法400の動作は、例えば、圧力調整流量コントローラのシステムコントローラ(例えば、計算デバイス)によって実行されてよい。ガスの圧力とガスの流量との間の関係は、非線形関係であってもよい(すなわち、ガスの圧力の一定の変化は、ガスの流量の一定の変化に必ずしも対応しなくてもよく、逆も同様である)。したがって、較正データは、ガスの目標流量に対応する圧力調整器の圧力設定を決定することにおいて、システムコントローラによって使用されるために生成されてよい。幾つかの実施形態では、較正データが、圧力調整流量コントローラの初期化時に生成されてよい。他の実施形態では、較正データが、圧力調整流量コントローラが初期化された後に、圧力調整流量コントローラを再較正するためのユーザリクエストに応じて生成されてもよい。幾つかの実施形態では、較正データが、特定のガスに適用される。したがって、複数のガスが圧力調整流量コントローラによってモニタ及び制御され得る場合、異なるガスについて異なる較正が実行されてよい。
【0047】
[0051] ブロック410では、ガスの圧力を一組のテスト圧力のうちのテスト圧力と合うように修正するために、第1の指示が圧力調整器に送信される。圧力調整器は、前述の実施形態による圧力調整流量コントローラの圧力調整器であってよい。幾つかの実施形態では、一組のテスト圧力が、圧力調整流量コントローラのユーザによって、又は較正レシピによって提供される。他の実施形態では、一組のテスト圧力が、圧力調整流量コントローラの1以上の構成要素に関連付けられた1以上の動作状態に基づいて規定される。例えば、一組のテスト圧力は、圧力調整器の最低動作圧力及び圧力調整器の最高動作圧力に基づいて規定されてよい。
【0048】
[0052] ブロック420では、テスト圧力に対応する流量の測定値を含む第2の指示が、流量計から受け取られる。流量計は、前述の実施形態による圧力調整流量コントローラの流量計であってよい。
【0049】
[0053] ブロック430では、テスト圧力と流量の測定値との間の関連が更新されてよい。幾つかの実施形態では、圧力調整流量コントローラが、圧力調整流量コントローラの初期化中に較正されてよい。そのような実施形態では、テスト圧力と流量の測定値との間の関連が生成されてよい。他の実施形態では、較正データが、電子デバイス製造システムの初期化後に、圧力調整流量コントローラを再較正するリクエストに応じて生成されてもよい。このような実施形態では、圧力調整流量コントローラが最後に較正されてから、テスト圧力と流量の測定値との間の関連が変化したかどうかが判定されてよい。関連が変化したと判定したことに応じて、テスト圧力と流量測定との関連が、圧力調整流量コントローラの最新の較正を反映するように更新されてよい。ブロック440では、一組のテスト圧力の各々が較正されたかどうかが判定される。一組のテスト圧力の各々が較正されていないと判定したことに応じて、方法400は、ブロック410に戻ってよい。その場合、一組のテスト圧力のうちの異なるテスト圧力が、以前に開示された実施形態に従って選択され、較正されてよい。一組のテスト圧力の各々が較正されたと判定したことに応じて、方法400は終了してよい。
【0050】
[0054]
図5は、特定の実施形態によるコンピュータシステム500を示すブロック図である。幾つかの実施形態では、コンピュータシステム500が、システムコントローラ230(例えば、
図2参照)であってよい。他の実施形態では、コンピュータシステム500が、圧力調整器206のコントローラ構成要素、又は流量計210のコントローラ構成要素であってもよい。
【0051】
[0055] 幾つかの実施形態では、コンピュータシステム500が、他のコンピュータシステムに(例えば、ローカルエリアネットワーク(LAN)、イントラネット、エクストラネット、又はインターネットなどのようなネットワークを介して)接続されてもよい。コンピュータシステム500は、クライアントサーバネットワーク環境内でサーバ又はクライアントマシンの役割で、或いは、ピアツーピア(又は分散)ネットワーク環境内でピアマシンとして動作してよい。コンピュータシステム500は、パーソナルコンピュータ(PC:personal computer)、タブレットPC、セットトップボックス(STB:set-top box)、パーソナルデジタルアシスタント(PDA:Personal Digital Assistant)、携帯電話、ウェブアプライアンス、サーバ、ネットワークルータ、スイッチ若しくはブリッジ、又は、そのマシンによって行われる動作を特定する(連続した又は別様な)一組の指示命令を実行可能な任意のマシンであってよい。更に、「コンピュータ」という用語は、本明細書で説明される方法のうちの任意の1以上を実行するために、一組(又は複数の組)の指示命令を個別に又は共同で実行するコンピュータの任意の集合を含むものとする。
【0052】
[0056] 更なる態様では、コンピュータシステム500が、処理デバイス502、揮発性メモリ504(例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM))、不揮発性メモリ506(例えば、読み出し専用メモリ(ROM)又は電気的消去可能プログラマブルROM (EEPROM))、及びバス508を介して互いに通信することができるデータ記憶デバイス516を含んでよい。
【0053】
[0057] 処理デバイス502は、汎用プロセッサ(例えば、CISC(complex instruction set computing)マイクロプロセッサ、縮小命令セットコンピューティング(RISC)マイクロプロセッサ、非常に長い命令ワード(VLIW)マイクロプロセッサ、他の種類の命令セットの組み合わせを実装するマイクロプロセッサ、又は特殊なプロセッサ(例えば、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、ネットワークプロセッサ)など)などの1以上のプロセッサによって提供されてもよい。
【0054】
[0058] コンピュータシステム500は、ネットワークインターフェースデバイス522(例えば、ネットワーク574を介して通信する)を更に含んでもよい。コンピュータシステム500はまた、ビデオディスプレイユニット510(例えば、LCD)、英数字入力デバイス512(例えば、キーボード)、カーソル制御デバイス514(例えば、マウス)、及び信号生成デバイス520を含んでもよい。
【0055】
[0059] 幾つかの実装形態では、データ記憶デバイス516が、本明細書で説明される方法を実装するための指示命令(例えば、
図3及び
図4の方法300又は400を実行する)を含む、本明細書で説明される方法又は機能のうちの任意の1以上を符号化する指示命令526を格納することができる非一時的なコンピュータ可読記憶媒体524を含んでよい。
【0056】
[0060] 指示命令526はまた、コンピュータシステム500による実行中に、揮発性メモリ504内及び/又は処理デバイス502内に、完全に又は部分的に存在してもよく、したがって、揮発性メモリ504及び処理デバイス502はまた、機械可読記憶媒体を構成してもよい。
【0057】
[0061] コンピュータ可読記憶媒体524は、単一媒体として実施例に示されているが、「非一時的なコンピュータ可読記憶媒体」という用語は、1以上の組の実行可能な指示命令を記憶する単一媒体又は複数の媒体(例えば、集中型または分散型データベース、並びに/又は関連するキャッシュ及びサーバ)を含むものとする。用語「非一時的なコンピュータ可読記憶媒体」はまた、コンピュータに、本明細書で説明される方法のうちの任意の1以上を実行させる、コンピュータによる実行のための一組の指示命令を記憶又は符号化することが可能な任意の有形媒体を含むものとする。用語「非一時的なコンピュータ可読記憶媒体」は、ソリッドステートメモリ、光学媒体、及び磁気媒体を含むが、これらに限定されない。
【0058】
[0062] 本明細書で説明される方法、構成要素、及び特徴は、個別のハードウェア構成要素によって実装されてもよく、又はASICS、FPGA、DSP、若しくは同様のデバイスなどの他のハードウェア構成要素の機能に統合されてもよい。更に、方法、構成要素、及び特徴は、ハードウェアデバイス内のファームウェアモジュール又は機能回路によって実装され得る。更に、方法、構成要素、及び特徴は、ハードウェア装置及びコンピュータプログラム構成要素の任意の組み合わせで、又はコンピュータプログラムで実施することができる。
【0059】
[0063] 特に明記しない限り、「スキャニング」、「移動」、「引き起こす」、「実行する」、「除去する」、「配置する」、「指示する」、「決定する」、「配置する」、「作動させる」、「配置する」などの用語は、コンピュータシステムレジスタ及びメモリ内の物理(電子)量として表されるデータを、コンピュータシステムメモリ又はレジスタ内の物理量として同様に表される他のデータ、又は他のそのような情報記憶、伝送、又は表示デバイスに操作及び変換するコンピュータシステムによって実行又は実装されるアクション及びプロセスを指す。また、本明細書で使用される用語「第1の」、「第2の」、「第3の」、「第4の」などは、異なる要素間を区別するためのラベルとして意味され、それらの数字の指定に従って順序的な意味を有さないことがある。
【0060】
[0064] 本明細書で説明される実施例は、本明細書で説明される方法を実行するための装置にも関する。この装置は、本明細書に記載された方法を実行するために特別に構成されてもよく、又はコンピュータシステムに記憶されたコンピュータプログラムによって選択的にプログラムされた汎用コンピュータシステムを含んでもよい。このようなコンピュータプログラムは、コンピュータ読み取り可能な有形記憶媒体に記憶することができる。
【0061】
[0065] 本明細書で説明される方法及び例示的な実施例は、本質的に、任意の特定のコンピュータ又は他の装置に関連するものではない。様々な汎用システムが、本明細書で説明される教示に従って使用されてもよく、或いは、本明細書で説明される方法、及び/又はそれらの個々の機能、ルーチン、サブルーチン、又は動作のそれぞれを実行するために、より特殊化された装置を構築することが便利であることが分かる場合がある。様々なこれらのシステムのための構造の実施例は、上記の説明に記載されている。
【0062】
[0066] 前述の説明は、本開示の幾つかの実施形態の良好な理解を提供するために、特定のシステム、構成要素、方法などの実施例などのような多数の特定の詳細を記載する。しかし、本開示の少なくとも幾つかの実施形態は、これらの特定の詳細なしに実施され得ることが、当業者には明らかであろう。他の例では、本開示を不必要に曖昧にすることを回避するために、周知の構成要素又は方法は、詳細に説明されないか、又は単純なブロック図形式で提示される。したがって、記載された特定の詳細は、単に例示的なものである。特定の実施態様は、これらの例示的な詳細とは異なり、なおも本開示の範囲内にあると考えられ得る。
【0063】
[0067] 本明細書全体を通して、「1つの実施形態」又は「実施形態」の参照は、実施形態に関連して説明された特定の特徴、構造、又は特性が、少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体の様々な場所における「1つの実施形態では」又は「実施形態では」という語句が現れても、必ずしも全てが同じ実施形態を参照しているわけではない。加えて、「又は」という用語は、排他的な「又は」ではなく、包括的な「又は」を意味することを意図している。「約」又は「およそ」という用語が本明細書で使用される場合、これは、提示される公称値が±10%以内で正確であることを意味することが意図される。
【0064】
[0068] 本明細書の方法の工程は、特定の順序で図示され説明されるが、特定の工程が逆の順序で実行され、特定の工程が他の工程と同時に少なくとも部分的に実行されるように、各方法の工程の順序が変更されてもよい。別の実施形態では、別個の工程の命令又はサブ工程は、断続的及び/又は交互であり得る。
【0065】
[0069] 上記の説明は、例示を意図したものであり、限定を意図したものではないと理解すべきである。上記の説明を読み理解すれば、多くの他の実施形態が当業者に明らかになるだろう。したがって、開示の範囲は、添付の特許請求の範囲を参照し、そのような特許請求の範囲が権利を有する均等物の全範囲と共に決定されるべきである。