(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-05
(45)【発行日】2023-01-16
(54)【発明の名称】燃料油用添加剤、それを含有する燃料油組成物及び燃料油の摩耗特性の改善方法
(51)【国際特許分類】
C10L 1/26 20060101AFI20230106BHJP
C10L 1/232 20060101ALI20230106BHJP
C10L 1/19 20060101ALI20230106BHJP
C10L 1/224 20060101ALI20230106BHJP
【FI】
C10L1/26
C10L1/232
C10L1/19
C10L1/224
(21)【出願番号】P 2020511715
(86)(22)【出願日】2019-03-27
(86)【国際出願番号】 JP2019013165
(87)【国際公開番号】W WO2019194038
(87)【国際公開日】2019-10-10
【審査請求日】2022-03-14
(31)【優先権主張番号】P 2018074024
(32)【優先日】2018-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000387
【氏名又は名称】株式会社ADEKA
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【氏名又は名称】大宅 一宏
(72)【発明者】
【氏名】小田切 慶一
(72)【発明者】
【氏名】古小高 明洋
(72)【発明者】
【氏名】勝野 瑛自
(72)【発明者】
【氏名】謝 宜芳
【審査官】上坊寺 宏枝
(56)【参考文献】
【文献】特開平5-194559(JP,A)
【文献】特開平9-111262(JP,A)
【文献】特開2012-107108(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10L 1/19、1/224、1/232、1/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の一般式(1)で表わされる化合物からなる(A)成分、ヒンダードエステル、芳香族エステル、及びこれらの混合物からなる群から選択される(B)成分並びに、コハク酸イミド化合物からなる(C)成分を含有する燃料油用添加剤。
【化1】
(式中、R
1~R
8は、それぞれ独立して水素原子、又は炭素数1~20のアルキル基を表わし、Xは、以下の一般式(2)、一般式(3)又は一般式(4)で表される基を表わし、nは、1~10の数を表わす。)
【化2】
【請求項2】
(A)成分、(B)成分及び(C)成分の配合量の質量比(A):(B):(C)が、5~40:40~90:0.5~30(質量比の合計は100)である、請求項1記載の燃料油用添加剤。
【請求項3】
前記一般式(1)のR
1~R
8が、水素原子である、請求項1又は2に記載の燃料油用添加剤。
【請求項4】
燃料油100質量部に対して、請求項1~3のいずれか一項に記載の燃料油用添加剤を0.001~10質量部含有する、燃料油組成物。
【請求項5】
前記燃料油が、ガソリン、軽油又は重油である、請求項4に記載の燃料油組成物。
【請求項6】
硫黄元素含有量が0.5質量%以下である、請求項4又は5に記載の燃料油組成物。
【請求項7】
前記燃料油組成物は、船舶用の燃料油組成物である、請求項4~6のいずれか1項に記載の燃料油組成物。
【請求項8】
下記の一般式(1)で表わされる化合物からなる(A)成分、ヒンダードエステル、芳香族エステル及びこれらの混合物からなる群から選択される(B)成分並びに、コハク酸イミド化合物からなる(C)成分を燃料油に添加することを含む、燃料油の摩耗特性の改善方法。
【化3】
(式中、R
1~R
8は、それぞれ独立して水素原子、又は炭素数1~20のアルキル基を表わし、Xは、以下の一般式(2)、一般式(3)又は一般式(4)で表される基を表わし、nは、1~10の数を表わす。)
【化4】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、優れた耐摩耗特性及び燃焼特性を有し、燃料油への高い溶解性を有する燃料油用添加剤、それを含有する燃料油組成物及び燃料油の摩耗特性の改善方法に関する。
【背景技術】
【0002】
船舶、航空機、自動車等では、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン等の内燃機関を動かす動力源として、ガソリン、軽油、重油等の燃料油を燃焼して用いている。近年ではこのような燃料油に対しても環境汚染対策の策定が進められており、例えば船舶用燃料油においては、使用する燃料油中の硫黄分濃度が規制され、低硫黄燃料油を使用することが求められ始めている。この規制は、停泊中の船舶に限らず、国内外の特定の海域内を運航している船舶に対しても適用されることが想定されている。しかし低硫黄燃料油は、使用可能な添加剤の種類及び配合が制限されるため、耐摩耗剤等によりその摩耗特性を向上させることが困難となり、燃料噴射ポンプ等の金属部品の摩耗を防ぐ新たな対策が必要な状況となっている。
【0003】
このような課題に対し、例えば特許文献1には、燃料油の防カビ性及び潤滑性を向上させることのできる組成物として、カチオン系界面活性剤と、脂肪酸と、有機溶媒とを含む組成物が記載されている。また特許文献2には、脂肪酸、曇点降下剤及び酸化防止剤を含有してなる燃料油用潤滑性向上剤が記載されている。しかしながら、特許文献1や2に記載されている添加剤は、その潤滑性の向上、すなわち耐摩耗性の向上効果が十分ではなく、燃料油においてはさらなる摩耗特性の改善が必要とされている。
【0004】
ところで、押出加工機などの油圧機器等に用いる作動油やギヤ油においては、各種のリン酸エステル系化合物を耐摩耗剤として添加することが行われている。例えば特許文献3には、炭化水素油、合成エステル及び油脂から選ばれる基油と、エポキシ化合物及び/又はカルボジイミド化合物と、硫黄含有リン酸エステル、酸性リン酸エステル、酸性リン酸エステルアミン塩及び亜リン酸エステルから選ばれる少なくとも一種類の摩耗防止剤とを含有する難燃性油圧作動油組成物が記載されている。また特許文献4には、縮合リン酸エステルを20質量%以上含有する基油と、硫黄を含有する極圧剤とを含有する難燃性ギヤ油組成物が記載されている。
【0005】
このように、リン酸エステル系化合物は摩耗防止性能を有する化合物として知られている。しかしながら、このリン酸エステル系化合物は高い難燃性及び自己消火性を示すことから、高温などの環境下で使用中に変質したり燃焼したりしないことを要する使用態様(例えば、機械用作動油、内燃機関用潤滑油、金属加工油、電気絶縁油など)にのみ専ら使用されている。そのため、燃料油等の燃焼特性が必要な用途へは事実上適さないと考えられていた。またリン酸エステル系化合物は他の油類との相溶性・溶解性に乏しいため、添加剤や混合基油として使用する場合、適用可能な基油が限られることも知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2016-098330号公報
【文献】特開2015-172186号公報
【文献】再公表特許WO2010/064347号公報
【文献】特開2010-031180号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明の目的は、リン酸エステル系化合物を用いて、ガソリン、軽油、重油、灯油等の各種燃料油に適用可能な、優れた保存安定性、耐摩耗性、燃焼特性を有し、燃料油への高い溶解性を有する燃料油用添加剤並びに、船舶、航空機、自動車等の燃料油として幅広く使用可能な耐摩耗性に優れた燃料油組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記の一般式(1)で表わされる化合物からなる(A)成分、ヒンダードエステル、芳香族エステル及びこれらの混合物からなる群から選択される(B)成分並びに、コハク酸イミド化合物からなる(C)成分を含有する燃料油用添加剤を提供する。
【0009】
【0010】
(式中、R1~R8は、それぞれ独立して水素原子、又は炭素数1~20のアルキル基を表わし、Xは、以下の一般式(2)、一般式(3)又は一般式(4)で表される基を表わし、nは、1~10の数を表わす。)
【0011】
【発明の効果】
【0012】
本発明は、ガソリン、軽油、重油、灯油等の各種燃料油に適用可能な、優れた保存安定性、耐摩耗性、燃焼特性を有し、燃料油への高い溶解性を有する燃料油用添加剤及び、船舶、航空機、自動車等の燃料油として幅広く使用可能な燃料油組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の燃料油用添加剤に使用する(A)成分について説明する。
(A)成分は、下記の一般式(1)で表わされる化合物である。
【0014】
【0015】
一般式(1)において、R1~R8は、それぞれ独立して水素原子、又は炭素数1~20のアルキル基を表す。こうしたアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、セカンダリーブチル基、ターシャリーブチル基、ペンチル基、アミル基、イソアミル基、ヘキシル基、ヘプチル基、イソヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、2-エチルヘキシル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、ドデシル(ラウリル)基、トリデシル基、テトラデシル(ミリスチル)基、ペンタデシル基、ヘキサデシル(パルミチル)基、へプタデシル基、オクタデシル基(ステアリル)基、ノナデシル基、イコシル基等が挙げられる。特に耐摩耗性に優れることから、R1~R8は水素原子又はメチル基であることが好ましく、水素原子であることがより好ましい。
【0016】
一般式(1)において、Xは、以下の一般式(2)、一般式(3)又は一般式(4)で表される基を表わす。
また、(A)成分は、一般式(1)のXが、一般式(2)で表される基である化合物、一般式(3)である化合物、一般式(4)である化合物のいずれか2種または3種の混合物であってもよい。
一般式(2)で表わされる基の場合、結合する箇所によってオルト体、メタ体及びパラ体の3つの構造になるが、いずれの構造であってもよい。
前記Xは、一般式(2)又は一般式(3)のいずれかで表わされる基が好ましく、一般式(2)で表わされる基が更に好ましい。
【0017】
【0018】
一般式(1)において、nは重合度を表わす。(A)成分において、本発明の燃料油用添加剤の耐摩耗性を十分に発揮させるためには、nが1~10の数であり、好ましくは1~5の数である。(A)成分には、一般式(1)で表わされる化合物のnがゼロである化合物、又はnが11以上の化合物が不純物として混入することもあるが、これらの含有量は(A)成分100質量部に対して10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましく、2質量部以下が更に好ましい。10質量部を超えると、本発明の燃料油用添加剤の耐摩耗性が低くなったり、燃焼性が悪化したりする恐れがあるために好ましくない。なお、nの値は高速液体クロマトグラフィーの測定結果から測定される。
【0019】
また、nの平均、即ち、平均重合度は、一般式(1)で表わされる化合物のnの値及びそれらのモル比から計算され、例えば、n=1の化合物が50.0モル%、n=2の化合物が50.0モル%の組成ならば、平均重合度は1.50となる。(A)成分において、nの平均値、即ち平均重合度は、特に限定はないが、耐摩耗性を高める観点からは、1.00~4.00であることが好ましく、1.05~2.00であることがより好ましい。4.00を超える場合は、本発明の燃料油用添加剤の燃料油への溶解が困難になる場合や耐摩耗性が低くなる場合がある。
【0020】
方法1
一般式(1)で表わされる化合物を製造する方法としては、特に限定されるものではなく、公知の方法を使用してもよく、例えば、以下の方法により目的物を得ることができる。
例えば、一般式(1)においてXが一般式(2)で表わされ、R1~R8が全て水素原子、nの値が1~5の化合物を製造する場合には、1モルの1,3-ベンゼンジオールと2モルのオキシ塩化リンとを反応させた後に、4モルのフェノールを反応させればよい。この場合、各原料のモル比を変えることによってnの値の異なった化合物を製造することができるが、通常いずれのモル比で合成しても、精製を行わなければnの値が異なった化合物の混合物が得られる。
【0021】
方法2
例えば、一般式(1)においてXが一般式(2)で表わされ、R1~R8が全て水素原子、nの値が1の化合物を製造する場合には、1モルの1,3-ベンゼンジオールと2モルのクロロリン酸ジフェニルとを反応させることにより得られる。
【0022】
方法3
例えば、一般式(1)においてXが一般式(3)で表され、R1~R8が全て水素原子である化合物を製造する場合には、4,4’-(プロパン-2,2-ジイル)ジフェノールとクロロリン酸ジフェニルとを反応させることにより得られる。
【0023】
本発明の燃料油用添加剤に使用する(B)成分について説明する。
(B)成分は、ヒンダードエステル及び芳香族エステルの少なくとも一方を含む。ヒンダードエステルとしては任意のモノカルボン酸とネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール等のヒンダードアルコールから得られるエステルが挙げられる。これらの中でも燃料油への溶解性の観点から、モノカルボン酸の炭素数は3~20が好ましく、5~15がより好ましく、5~10が更に好ましい。ヒンダードアルコールとしてはペンタエリスリトールが好ましい。ヒンダードエステルのエステル化率は特に限定されないが、燃料油への溶解性の観点から、60~100%エステル化されていることが好ましく、70~100%がより好ましい。なお、ヒンダードエステルのエステル化率は、ヒンダードアルコールの分子内の全てのOH基がエステル化されている場合のエステル化率を100%とし、OH基が全てエステル化されていない場合のエステル化率を0%とする。
【0024】
前述した芳香族エステルとしては、芳香族多価カルボン酸とモノアルコールのエステルであれば特に限定されないが燃料油への溶解性の観点から、ピロメリット酸又はトリメリット酸と炭素数3~15の飽和アルコールのエステルが好ましく、ピロメリット酸又はトリメリット酸と炭素数5~10の飽和アルコールのエステルがより好ましく、トリメリット酸と炭素数5~10の飽和アルコールのエステルがさらに好ましい。具体的に、トリメリット酸トリ2-エチルヘキシルを使用することができる。
芳香族エステルのエステル化率は特に限定されないが、燃料油への高い溶解性の観点から、80~100%エステル化されていることが好ましく、90~100%がより好ましい。なお、芳香族エステルのエステル化率は芳香族多価カルボン酸分子内の全てのCOOH基がエステル化されている場合のエステル化率を100%とし、COOH基が全てエステル化されていない場合のエステル化率を0%とする。
【0025】
ヒンダードエステル、芳香族エステルの動粘度はいずれも特に限定されるものではないが、溶解性改善効果が高いため、100℃動粘度が1~50mm2/秒であることが好ましく、2~30mm2/秒がより好ましい。(B)成分としては、燃料油用添加剤の燃料油への溶解性や保存安定性、燃焼性の観点から、芳香族エステルを含んでなることが好ましい。なお本発明において、動粘度及び粘度指数は、JIS K 2283に記載の方法により測定して得られる値である。
【0026】
次に、本発明の燃料油用添加剤に使用する(C)成分について説明する。
(C)成分の化合物は、コハク酸イミド化合物であり、例えば下記一般式(I)で表されるモノタイプのコハク酸イミド化合物、ビスタイプのコハク酸イミド化合物等が挙げられる。
【0027】
【0028】
(式中、R11は、数平均分子量500~3000のアルケニル基又はアルキル基を表わし、R12及びR14は、炭素数2~10のアルキレン基を表わし、R13は水素又は炭素数1~4のアルキル基を表わし、rは0~10の数を表わし、Wは-NH2又は下記の一般式(II)を表す。但しWが一般式(II)の場合は、rは1~10を表わし、少なくとも1つのR13は、水素である。)
【0029】
【0030】
(式中、R15は、数平均分子量500~3000のアルケニル基又はアルキル基を表わす。)
【0031】
上記の一般式(I)のコハク酸イミド化合物は一般にアルキレンポリアミンとアルケニルまたはアルキル無水コハク酸との反応から作られる。この反応に使われるアルキレンポリアミン類は一般に一般式(III)によって表される。
【0032】
【0033】
(式中、R16及びR18は、炭素数が2~10のアルキレン基を表し、R17は、水素または炭素数1~4のアルキル基であり、sは、0~10の数を表す。)
【0034】
一般式(I)におけるR11及び、(II)におけるR15は、それぞれ数平均分子量500~3000のアルケニル基又はアルキル基であり、R11及びR15は、同一でも異なっていてもよい。R11及びR15の数平均分子量は、燃料油用添加剤の燃料油への溶解性、保存安定性の観点から好ましくは1000~3000である。
【0035】
一般式(I)、(III)の、R12、R14、R16及びR18としては、例えば、エチレン基、プロピレン基、メチルエチレン基、ブチレン基、1-メチルプロピレン基、2-メチルプロピレン基、1,2-ジメチルプロピレン基、1,3-ジメチルプロピレン基、1-メチルブチレン基、2-メチルブチレン基、3-メチルブチレン基、4-メチルブチレン基、2,4-ジメチルブチレン基、1,3-ジメチルブチレン基、ペンチレン基、へキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基等が挙げられる。これらの中でも、炭素数が2~8のものが好ましく、2~6がより好ましく、2~5が更に好ましく、2又は3が最も好ましい。また、R13及びR17は、好ましくは水素原子であり、r及びsは、燃料油用添加剤の燃料油への溶解性、保存安定性の観点から、好ましくは2~9の数であり、より好ましくは3~8である。
【0036】
一般式(III)で表される化合物としては、例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、テトラエチレンペンタアミン、ペンタエチレンヘキサアミン、ヘキサエチレンヘプタアミン、プロピレンジアミン、ジプロピレントリアミン、トリプロピレンテトラアミン、テトラプロピレンペンタアミン、ペンタプロピレンヘキサアミン、ヘキサプロピレンヘプタアミン及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0037】
上記のコハク酸イミド化合物は、通常、ポリオレフィンと無水マレイン酸との反応で得られるアルケニルコハク酸無水物、又はそれを水添して得られるアルキルコハク酸無水物を、ポリアミンと反応させることによって製造することができる。
【0038】
この反応に使用できるポリオレフィンとしては、炭素数2~5のモノオレフィン、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン及びペンテン等が挙げられる。さらにポリイソブチレンのようなホモポリマー並びに、エチレンとプロピレン、ブチレン、及びイソブチレン等とのコポリマーのような2つ又はそれ以上のオレフィン類のコポリマー類も含む。その他のコポリマーには、少量のコポリマーモノマー、例えば、1~20モル%が炭素数4~8の非共役ジオレフィンであるもの、例えば、イソブチレンとブタジエンとのコポリマー又はエチレン、プロピレンと、1,4-ヘキサジエン等とのコポリマーも含む。
【0039】
また、本発明の(C)成分で表されるコハク酸イミド化合物としては、単独又は2種以上のコハク酸イミド化合物を組み合わせて用いてもよい。
具体的に、(C)成分としてポリブテニルコハク酸モノイミドを使用することができる。
【0040】
(C)成分としては、上記のコハク酸イミド化合物の他に、そのホウ素誘導体、及び/又はこれらを有機酸で変性したものを用いてもよい。コハク酸イミド化合物のホウ素誘導体は、常法により製造したものを使用することができる。
【0041】
本発明の燃料油用添加剤は、難燃性を有し他の油類との相溶性・溶解性に乏しい(A)成分と、(B)成分及び(C)成分とを併用することで、耐摩耗性に加え、燃料油への高い溶解性や優れた燃焼特性を発揮することができ、このような特性によって、優れた燃料油用添加剤として使用可能であることを見出したことを特徴とする。
【0042】
本発明の燃料油用添加剤における(A)成分の配合量は特に限定されないが、前記(A)成分と、(B)成分及び(C)成分の合計量100質量部に対して5~40質量部であることが好ましく、5~30質量部であることがより好ましい。(A)成分の配合量がこの範囲であると、保存安定性及び耐摩耗性に特に優れた燃料油用添加剤を得ることができる。
【0043】
本発明の燃料油用添加剤における(B)成分の配合量は特に限定されないが、前記(A)成分と、(B)成分及び(C)成分の合計量100質量部に対して40~90質量部であることが好ましく、50~90質量部であることがより好ましい。(B)成分の配合量がこの範囲であると、燃料油への溶解性及び燃焼特性に特に優れた燃料油用添加剤を得ることができる。
【0044】
(A)成分の配合量と(B)成分の配合量との質量比(A):(B)は特に制限されないが、例えば5~50:100であることが好ましく、10~40:100であることがより好ましい。(A):(B)をこの範囲とすることで、保存安定性、耐摩耗性、燃料油への溶解性及び燃焼特性に特に優れた燃料油用添加剤を得ることができる。
【0045】
本発明の燃料油用添加剤における(C)成分の配合量は特に限定されないが、前記(A)成分と、(B)成分及び(C)成分の合計量100質量部に対して0.5~30質量部であることが好ましく、0.5~25質量部であることがより好ましい。(C)成分の配合量がこの範囲であると、保存安定性、燃料油への溶解性及び燃焼特性に特に優れた燃料油用添加剤を得ることができる。
【0046】
(A)成分の配合量と(C)成分の配合量との質量比(A):(C)は特に限定されないが、例えば100:1~200であることが好ましく、100:5~150であることがより好ましい。(A):(C)をこの範囲とすることで、保存安定性、耐摩耗性、燃料油への溶解性及び燃焼特性に特に優れた燃料油用添加剤を得ることができる。
【0047】
(B)成分の配合量と(C)成分の配合量との質量比(B):(C)は特に限定されないが、例えば100:1~50であることが好ましく、100:3~40であることがより好ましい。(B):(C)がこの範囲であることで、保存安定性、燃料油への溶解性及び燃焼特性に特に優れた燃料油用添加剤を得ることができる。
【0048】
本発明の燃料油用添加剤における(A)成分、(B)成分及び(C)成分の配合量の質量比(A):(B):(C)は特に限定されないが、例えば5~40:40~90:0.5~30(質量比の合計は100)であることが好ましい。燃料油用添加剤の保存安定性、耐摩耗性、燃焼特性、燃料油への溶解性の観点から、(A):(B):(C)は5~30:50~90:0.5~25(質量比の合計は100)であることがより好ましい。
【0049】
本発明の燃料油用添加剤は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分からなる添加剤であってもよい。また、本発明の効果を損なわない範囲であれば、目的に応じて公知の添加剤を含有していてもよく、例えば、オクタン価向上剤、セタン価向上剤、表面着火剤、燃焼促進剤、堆積物改良剤、酸化防止剤、金属不活性化剤、清浄剤、分散剤、氷結防止剤、腐食防止剤、微生物殺菌剤、防錆剤、帯電防止剤、流動性向上剤、染料等が挙げられる。
【0050】
本発明の燃料油用添加剤は、燃料油として使用できる液体の燃料油、例えば、ガソリン、軽油(特1号軽油、1号軽油、2号軽油、3号軽油、特3号軽油等)、重油(A重油、B重油、C重油等)、灯油(1号灯油、2号灯油等)、MGO(Marine Gas Oil)、MDO(Marine Diesel Oil)、VLSFO(Very Low Sulfur Fuel Oil)、ULSFO(Ultla Low Sulfur Fuel Oil)、バイオ燃料等に添加して用いることができる。またその燃料油が使用される装置や機械の種類も制限されず、例えば、乗用車やトラック等の自動車用燃料油、旅客船や貨物船等の船舶用燃料油、飛行機やヘリコプター等の航空機用の燃料油、ディーゼル機関車等の鉄道車両用燃料油、農業機械用燃料油、建築機械用燃料油等が挙げられる。また本発明の燃料油添加剤は、従来の耐摩耗剤の多くに含まれていた硫黄元素を実質的に含有しないことから、低硫黄燃料用添加剤としても好ましく用いることができ、例えば、硫黄元素含有量が0.5質量%以下の船舶用の低硫黄含有燃料油用添加剤としても用いることができる。
【0051】
本発明の燃料油組成物は、前述した一般式(1)で表わされる化合物からなる(A)成分、ヒンダードエステル、芳香族エステル及びこれらの混合物からなる群から選択される(B)成分並びに、コハク酸イミド化合物からなる(C)成分を含有する燃料油用添加剤と、燃料油を含有する燃料油組成物である。
【0052】
本発明の燃料油組成物に使用できる燃料油としては、一般的に燃料油として使用できる液体の燃料油であればいずれでもよく、例えば、ガソリン、軽油、重油、灯油、バイオ燃料等が挙げられる。このような構成により、耐摩耗性や安定性、燃焼特性に優れた燃料油組成物を得ることができる。
【0053】
また近年では環境負荷の面から、使用される態様や地域によっては、燃料油組成物の硫黄含量を一定量以下とする等の制限が設けられている場合がある。硫黄元素は一般的に耐摩耗剤を構成する元素として含まれていることが多く、実質的にそのような耐摩耗剤の添加量が制限されることで、対策が不十分な低硫黄燃料を使用すると燃料噴射ポンプやエンジン内部の摩耗が十分に低減できない可能性がある。前述した燃料油添加剤を燃料に添加した本発明の燃料油組成物は、硫黄元素を含有する従来の耐摩耗剤を添加した場合と同等以上の耐摩耗性を発揮し、燃料噴射ポンプやエンジン内部の摩耗を防ぎつつ燃料として使用することができるので、低硫黄燃料に設定されている硫黄元素量の制限等に関係なく幅広い場面での実用性を有する燃料油組成物を得ることができる。本発明の燃料油組成物は、燃料油組成物の諸特性の観点から、硫黄元素含有量が0.5質量%以下の燃料油組成物であることが好ましい。
【0054】
本発明の燃料油組成物は、前述した(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計質量を、燃料油組成物全量に対して0.0010~10質量%含有することが好ましく、0.0020~2.0質量%がより好ましく、0.0050~1.0質量%が更に好ましい。前記合計質量が0.0010質量%未満になると、添加量が少なすぎて耐摩耗性の効果が現れない場合があり、前記合計質量が10質量%を超えると、燃料油へ均一に溶解することが困難な場合や燃料油の燃焼性に悪影響を与える可能性があるために好ましくない。
【0055】
本発明の燃料油組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲内でその他の添加剤を含有してもよい。その他の添加剤としては、例えば、テトラエチル鉛、テトラメチル鉛、ビスシクロペンタジフェニル鉄等のアンチノック剤;エタノール、メチルターシャリブチルエーテル、エチルターシャリブチルエーテル、メチルターシャリアミルエーテル等のオクタン価向上剤;硝酸ヘプチル、硝酸オクチル、硝酸シクロヘキシル等のセタン価向上剤;2-エチルヘキシルボロネート、ブチルジイソブチルボロネート等の表面着火剤;ポリブデン、ポリプロピレン等の堆積物改良剤;N,N’-ジイソプロピル-p-フェニレンジアミン、N,N’-ジオクチル-p-フェニレンジアミン、2,6-ジターシャリブチルフェノール、2,6-ジターシャリブチル-4-メチルフェノール、2,4-ジメチル-6-ターシャリブチルフェノール等の酸化防止剤;エチレンジアミン、N,N’-ジサリチリデン-1,2-ジアミノプロパン、N,N’-ジサリチリデン-2-シクロヘキサンジアミン、N,N’-ジサリチリデンエチレンジアミン、N,N’-ビス(ジメチルサリチリデン)エチレンジアミン、N,N’-ビス(ジメチルサリチリデン)エチレンテトラミン、サリチルアルドキシム等の金属不活性化剤;リン酸アミド、アミノアルカン類、ポリエーテルアミン、ポリブテニルアミン等の清浄剤;氷結防止剤、腐食防止剤、微生物殺菌剤、帯電防止剤、流動性向上剤、染料等を適宜添加することができる。
【0056】
これらの各添加剤の配合量はそれぞれ燃料油組成物中に0.001~10質量%であることが好ましい。なお、これらのその他の添加剤は、1種または2種以上を適宜併用して配合することができる。但し、上記のようなその他の添加剤を添加する場合には、燃料油の使用目的にもよるが、金属元素を含有した添加剤の使用を避けることが好ましい。
【0057】
本発明の燃料油組成物は、液体の燃料油を用いる態様であれば、いずれの態様にも制限なく使用でき、具体的に、乗用車やトラック等の自動車用燃料油、旅客船や貨物船等の船舶用燃料油、飛行機やヘリコプター等の航空機用の燃料油、ディーゼル機関車等の鉄道車両用燃料油、農業機械用燃料油、建築機械用燃料油等として使用できる。
【0058】
本発明の燃料油の摩耗特性の改善方法は、一般式(1)で表わされる化合物からなる(A)成分、ヒンダードエステル、芳香族エステル及びこれらの混合物からなる群から選択される(B)成分並びに、コハク酸イミド化合物からなる(C)成分を燃料油に添加することを含む。
【0059】
【0060】
(式中、R1~R8は、それぞれ独立して水素原子、又は炭素数1~20のアルキル基を表わし、Xは、以下の一般式(2)、一般式(3)又は一般式(4)で表される基を表わし、nは、1~10の数を表わす。)
【0061】
【0062】
本発明の燃料油の摩耗特性の改善方法において、用いる(A)~(C)成分の各構成、化合物の構造並びに含有比率は、前述の内容を適用することができる。
【0063】
本発明の燃料油の摩耗特性の改善方法は、このような成分をガソリン、軽油、重油、灯油、バイオ燃料等の燃料油に添加することで、沈殿や白濁の発生といった溶解安定性の悪化や燃料油を燃焼する際の燃焼残渣の増大化といった問題が生じるリスクを低減しつつ、その耐摩耗性を顕著に改善することを特徴とする。
【実施例】
【0064】
以下、本発明を実施例により、具体的に説明する。尚、以下の実施例等において「%」は、特に記載が無い限り質量基準である。
以下に、本発明品及び比較品を示す。なお粘度指数および動粘度の測定には、Anton Paar社製の粘度計「SVM 3000」を用い、JIS K 2283に記載の方法により測定した。
【0065】
(A)成分
以下に、(A)成分の合成例を示す:
合成例1<A-1>
攪拌機、温度計、窒素導入管を備えた1000mlの4つ口フラスコに、水スクラバーを連結したコンデンサーを取り付け、1,3-ベンゼンジオール1.0mol(110g)、オキシ塩化リン3.0mol(460g)及び塩化マグネシウム0.005mol(0.5g)を仕込み、反応装置内の雰囲気を窒素で置換後、温度を徐々に100℃まで5時間かけて昇温させた。同温度にて2時間熟成後、減圧の上130℃に昇温し、上記反応において消費されなかった過剰のオキシ塩化リンを留去した。この反応液にフェノール4.0mol(376g)を添加して熟成させ、反応を終了した。その後、常法により触媒を除去し、140℃にて減圧乾燥することで、一般式(1)で表わされ、R1~R8が水素原子であり、Xが一般式(2)で表される基のメタ体構造であり、nが下記表1で表されるA-1を得た。
【0066】
【0067】
(B)成分
B-1:トリメリット酸トリ2-エチルヘキシル[粘度指数:79、100℃における動粘度:9.6mm2/秒、エステル化度99.9%]
【0068】
(C)成分
C-1:ポリブテニルコハク酸モノイミド[ポリブテニル基の数平均分子量2000、窒素含有量3.4質量%]
【0069】
(D)成分(比較添加剤成分)
D-1:炭素数16~20の脂肪酸の混合物
【0070】
燃料油(基油)
燃料油1:標準軽油[40℃動粘度1.93cSt、硫黄含有量0.03%以下]
【0071】
[燃料油用添加剤の調製]
表2に記載の質量比で(A)成分、(B)成分及び(C)成分を配合し、25℃で1時間攪拌することで、本発明の燃料油用添加剤(実施例1~3)並びに比較用の燃料油用添加剤(比較例1~3)を製造した。製造した燃料油用添加剤の保存安定性及び燃料油への溶解性を下記の試験方法により評価した。
【0072】
<保存安定性試験>
実施例1~3並びに比較例1~3の燃料油用添加剤をそれぞれ長さ10cmのフタ付きガラス瓶に入れ、-5℃、5℃、50℃の恒温槽にそれぞれ静置した。6日後にそれぞれ燃料油用添加剤中の白濁及びガラス瓶の底部への各成分の沈殿の有無を目視で観察し、以下の基準で判定した。結果を表2に示す。
保存安定性評価基準
○:いずれの条件でも沈殿及び白濁なし
×:いずれかの条件で沈殿又は白濁が見られる
【0073】
<燃料油への溶解性試験>
実施例1~3並びに比較例1~3の燃料油用添加剤を用いて、燃料油用添加剤の含量が0.5質量%になるように燃料油に添加し、長さ10cmのフタ付きガラス瓶に入れ10回手振り振とうした後、30分間静置後の燃料油中の白濁及びガラス瓶の底部への添加剤の沈殿の有無を目視で観察し、以下の基準で判定した。結果を表2に示す。
溶解性評価基準
○:沈殿及び白濁なし
×:沈殿又は白濁が見られる
【0074】
<燃焼性試験:400℃重量減少率測定>
実施例1及び比較例1~3の燃料油用添加剤について、示差熱熱重量同時測定装置(エスエスアイ・ナノテクノロジー社製、型式:EXSTAR TG/DTA6300J)を用い、下記条件での燃焼開始前(50℃)及び燃焼後(400℃到達時)の重量を測定し、燃焼後における燃焼開始前からの重量減少率を算出・評価した。結果を表2に示す。
試験条件
測定雰囲気; 空気中(流量:150ml/min)
昇温開始温度:50℃
昇温速度:2℃・/min
昇温終了温度:400℃
【0075】
燃焼特性評価基準
◎:重量減少率が90%以上
○:重量減少率が80%以上90%未満
△:重量減少率が50%以上80%未満
×:重量減少率が50%未満
【0076】
【0077】
表2より、本発明品の燃料油用添加剤は各種温度での保存安定性に優れることが分かり、また燃料油への溶解性に優れていることが示された。さらに、燃焼性にも優れていることが示され、本発明の燃料油用添加剤を燃料油に添加した際にも燃焼残渣の増大化等の問題を引き起こさずに使用できることが示唆された。
【0078】
[燃料油組成物の調製]
実施例1で調製した燃料油用添加剤と燃料油基油を表3に記載の質量比で配合し、25℃で1時間攪拌することで、燃料油組成物1を調製した。また、化合物A-1のみからなる比較例2の燃料油用添加剤または添加剤として(D)成分を用いた燃料油組成物2~3及び、燃料油基油のみからなる燃料油組成物4を調製した。調製した燃料油組成物の溶解安定性及び耐摩耗性を下記の試験方法によりそれぞれ評価した。
【0079】
<溶解安定性試験>
燃料油組成物1~4をそれぞれ長さ10cmのフタ付きガラス瓶に入れ10回手振り振とうした後、30分間静置後の燃料油組成物中の白濁及びガラス瓶の底部への添加剤の沈殿の有無を目視で観察し、以下の基準で判定した。結果を表3に示す。
溶解性評価基準
○:沈殿及び白濁なし
×:沈殿又は白濁が見られる
【0080】
<耐摩耗性試験>
HFRR試験機(PCSインスツルメンツ社製)を用い、下記の条件下で、燃料油組成物1~4にそれぞれ浸漬させた試験円板と試験鋼球とを接触させた際の振動している試験鋼球に生じる磨耗痕径を測定し、下記評価基準により評価した。結果を表3に示す。
試験条件
試験温度:60℃
荷重:200gf
周波数:50Hz
ストローク長さ:1mm
試料量:0.2cm3
【0081】
耐摩耗性評価基準
◎:摩耗痕径が250μm未満
○:摩耗痕径が250μm以上400μm未満
×:摩耗痕径が450μm以上
【0082】
【0083】
表3より、本発明品の燃料油組成物は、添加剤の溶解安定性に優れ、かつ優れた耐摩耗性を発揮できることが分かった。このとき本発明品の燃料油組成物は、燃焼特性に優れる燃料油用添加剤を添加剤として用いていることから、その燃焼特性も優れた燃料油組成物であると考えられる。また本発明品の燃料油組成物は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分を含有する燃料油用添加剤の添加により優れた耐摩耗性を発揮したことから、燃料油用添加剤が優れた耐摩耗性を有することが示されたと言える。またこれらの結果から、(A)成分、(B)成分及び(C)成分を燃料油に添加することで、沈殿や白濁の発生といった溶解安定性の悪化や燃料油を燃焼する際の燃焼残渣の増大化といった問題が生じるリスクを低減しつつ、燃料油の耐摩耗性を顕著に改善できることが示されたといえる。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明の燃料油用添加剤及び燃料油組成物は、燃料油が使用できる態様であればいずれの態様にも使用できる。具体的に、本発明は、乗用車やトラック等の自動車用燃料油、旅客船や貨物船等の船舶用燃料油、飛行機やヘリコプター等の航空機用の燃料油、ディーゼル機関車等の鉄道車両用燃料油、農業機械用燃料油、建築機械用燃料油等の燃料油として、または、これらの添加剤として使用できる。