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特許7205152ネマチック液晶組成物及びこれを用いた液晶表示素子
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  • 特許-ネマチック液晶組成物及びこれを用いた液晶表示素子 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-06
(45)【発行日】2023-01-17
(54)【発明の名称】ネマチック液晶組成物及びこれを用いた液晶表示素子
(51)【国際特許分類】
   C09K 19/54 20060101AFI20230110BHJP
   C09K 19/38 20060101ALI20230110BHJP
   C09K 19/12 20060101ALI20230110BHJP
   C09K 19/14 20060101ALI20230110BHJP
   C09K 19/16 20060101ALI20230110BHJP
   C09K 19/18 20060101ALI20230110BHJP
   C09K 19/20 20060101ALI20230110BHJP
   C09K 19/24 20060101ALI20230110BHJP
   C09K 19/30 20060101ALI20230110BHJP
   C09K 19/34 20060101ALI20230110BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20230110BHJP
【FI】
C09K19/54 B
C09K19/54 C
C09K19/38
C09K19/12
C09K19/14
C09K19/16
C09K19/18
C09K19/20
C09K19/24
C09K19/30
C09K19/34
C09K19/54 Z
G02F1/13 500
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018194307
(22)【出願日】2018-10-15
(65)【公開番号】P2020063324
(43)【公開日】2020-04-23
【審査請求日】2021-08-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177471
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 眞治
(74)【代理人】
【識別番号】100163290
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 明洋
(74)【代理人】
【識別番号】100149445
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 孝幸
(72)【発明者】
【氏名】小坂 翔太
(72)【発明者】
【氏名】車 孝福
(72)【発明者】
【氏名】神田 僚
【審査官】黒川 美陶
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-064995(JP,A)
【文献】国際公開第2014/065293(WO,A1)
【文献】国際公開第2011/025054(WO,A1)
【文献】特開2018-016589(JP,A)
【文献】特開2016-166190(JP,A)
【文献】特開2017-025007(JP,A)
【文献】特開2015-063516(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 19/
Japio-GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピッチを誘起するキラル剤として、一般式(Ch-I)
【化1】
(式中、
100及びR101はそれぞれ独立して、水素原子、-CN、-NO、ハロゲン原子、-OCN、-SCN、-SF、炭素原子数1~30個のキラル又はアキラルなアルキル基、重合性基、又は環構造を含むキラルな基を表し、
11が0のとき、R100及びR101の少なくとも1つは、キラルなアルキル基であり、
100及びZ101はそれぞれ独立して、-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-O-COO-、-CO-N(R105)-、-N(R105)-CO-、-OCH-、-CHO-、-SCH-、-CHS-、-CFO-、-OCF-、-CFS-、-SCF-、-CHCH-、-CFCH-、-CHCF-、-CFCF-、-CH=CH-、-CF=CH-、-CH=CF-、-CF=CF-、-C≡C-、-CH=CH-COO-、-OCO-CH=CH-又は単結合を表し、
100及びA101はそれぞれ独立して、
(a’) トランス-1,4-シクロへキシレン基(当該基中に存在する1個のメチレン基又は隣接していない2個以上のメチレン基は、酸素原子又は硫黄原子に置換されていてもよい。)、
(b’) 1,4-フェニレン基(この基中に存在する1個の-CH=又は隣接していない2個以上の-CH=は、窒素原子に置換されていてもよい。)、又は
(c’) 1,4-シクロヘキセニレン基、1,4-ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、インダン-2,5-ジイル、ナフタレン-2,6-ジイル基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基及び1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基(これらの基中に存在する1個のメチレン基又は隣接していない2個以上のメチレン基は、酸素原子又は硫黄原子に置換されていてもよく、これらの基中に存在する1個の-CH=又は隣接していない2個以上の-CH=は、窒素原子に置換されていてもよい。)
を表し、
100又はA101が複数存在する場合には、それらは同一でもよく、異なっていてもよく、
11は0又は1を表し、
11が0を表すとき、m12は0を表し、かつm11は0、1、2、3、4又は5を表し、
11が1を表すとき、m11とm12はそれぞれ独立して0、1、2、3、4又は5を表し、
Dは、下記式(D1)~(D4)で表される2価の基
【化2】
(式(D1)~(D4)中、
黒丸を付した部位において、Z101(若しくは、R100)又はZ101(若しくは、R100)に、それぞれ結合する。)
を表す。)
で表される化合物および
信頼性を向上させるため添加剤として下記の構造
【化3】
(式中、
*で他の構造と結合する。)
を有する化合物を1種又は2種以上含有する誘電率異方性(Δε)が負の液晶組成物であって、
重合性化合物として一般式(P)
【化4】
(上記一般式(P)中、
p1は、水素原子、フッ素原子、シアノ基、水素原子、水素原子がハロゲン原子に置換されていてもよい炭素原子数1~15のアルキル基、水素原子がハロゲン原子に置換されていてもよい炭素原子数1~15のアルコキシ基、水素原子がハロゲン原子に置換されていてもよい炭素原子数1~15のアルケニル基、水素原子がハロゲン原子に置換されていてもよい炭素原子数1~15のアルケニルオキシ基又は-Spp2-Pp2を表し、
p1及びPp2はそれぞれ独立して、一般式(Pp1-1)~式(Pp1-9)
【化5】
(式中、
p11及びRp12はそれぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数1~5のハロゲン化アルキル基を表し、
p11は単結合、-O-、-COO-又はメチレン基を表し、
p11は、0、1又は2を表すが、
分子内にRp11、Rp12、Wp11及び/又はtp11が複数存在する場合、それらは同一であっても異なっていても良い。)
のいずれかを表し、
Spp1及びSpp2はそれぞれ独立して、単結合又はスペーサー基を表し、
p1及びZp2はそれぞれ独立して、単結合、-O-、-S-、-CH-、-OCH-、-CHO-、-CO-、-C-、-COO-、-OCO-、-OCOOCH-、-CHOCOO-、-OCHCHO-、-CO-NRZP1-、-NRZP1-CO-、-SCH-、-CHS-、-CH=CRZP1-COO-、-CH=CRZP1-OCO-、-COO-CRZP1=CH-、-OCO-CRZP1=CH-、-COO-CRZP1=CH-COO-、-COO-CRZP1=CH-OCO-、-OCO-CRZP1=CH-COO-、-OCO-CRZP1=CH-OCO-、-(CH-COO-、-(CH-OCO-、-OCO-(CH-、-(C=O)-O-(CH-、-CH=CH-、-CF=CF-、-CF=CH-、-CH=CF-、-CF-、-CFO-、-OCF-、-CFCH-、-CHCF-、-CFCF-又は-C≡C-(式中、RZP1はそれぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1~4のアルキル基を表すが、分子内にRZP1が複数存在する場合、それらは同一であっても異なっていても良い。)
を表し、
p2は、1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキシレン基、アントラセン-2,6-ジイル基、フェナントレン-2,7-ジイル基、ピリジン-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基、インダン-2,5-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基又は1,3-ジオキサン-2,5-ジイル基を表すが、
p2は無置換であるか又は炭素原子数1~12のアルキル基、炭素原子数1~12のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1~12のアルコキシ基、炭素原子数1~12のハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基又は-Spp2-Pp2で置換されていても良く、
p1は(Ap1-11)~(Ap1-19)
【化6】
(式中、
★でSpp1又はZp1と結合し、
★★でZp1と結合し、構造中の1又は2以上の水素原子は炭素原子数1~12のアルキル基、炭素原子数1~12のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1~12のアルコキシ基、炭素原子数1~12のハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基又は-Spp2-Pp2によって置換されていても良い。)
で表される基を表し、
p3は(Ap3-11)~(Ap3-19)
【化7】
(式中、
★でZp2と結合し、
★★でRp1又はZp2と結合し、
構造中の1又は2以上の水素原子は炭素原子数1~12のアルキル基、炭素原子数1~12のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1~12のアルコキシ基、炭素原子数1~12のハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基又は-Spp2-Pp2によって置換されていても良い。)
で表される基を表し、
p2及びmp3はそれぞれ独立して、0、1、2又は3を表し、
p1及びmp4はそれぞれ独立して1、2又は3を表すが、
分子内にPp1、Spp1、Ap1、Zp1、Zp2、Ap3及び/又はRp1が複数存在する場合、それらは同一であっても異なっていても良い。)
で表される化合物を1種又は2種以上含有し、
前記一般式(P)で表される化合物の含有量が0.05から1質量%であり、
一般式(N-1a)~(N-1g)
【化8】
(式中、
N11及びRN12はそれぞれ独立して炭素原子数1~8のアルキル基を表し、
該アルキル基中の1個又は非隣接の2個以上の-CH-はそれぞれ独立して-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-CO-、-COO-又は-OCO-によって置換されていてもよく、
Na11は0又は1を表し、
Nb11は1又は2を表し、
Nc11は0又は1を表し、
Nd11は1又は2を表し、
Ne11は1又は2を表し、
Nf12は1又は2を表し、
Ng11は1又は2を表し、
Ne11はトランス-1,4-シクロへキシレン基又は1,4-フェニレン基を表し、
Ng11はトランス-1,4-シクロへキシレン基、1,4-シクロヘキセニレン基又は1,4-フェニレン基を表すが、少なくとも1つは1,4-シクロヘキセニレン基を表し、
Ne11は単結合又はエチレンを表すが、分子内に存在する少なくとも1つはエチレンを表し、
分子内に複数存在するANe11、ZNe11、及び/又はANg11は同一であっても異なっていても良い。)
で表される化合物からなる群から選ばれる化合物の1種又は2種以上を含有する液晶組成物。
【請求項2】
前記キラルなアルキル基が、下記一般式(Ra)~(Rk)
【化9】
(式中、
アステリスク(*)は、キラルな炭素原子を表し、
103及びR104は、それぞれ独立して、炭素原子数1~12の直鎖状若しくは分枝鎖状のアルキル基又は水素原子を表すが、
一般式(Ra)、(Rb)、(Rd)、(Re)、(Rf)、(Rg)、(Ri)、(Rj)においては、R103は炭素原子数1~10の直鎖状若しくは分枝状のアルキル基を表し、
当該アルキル基の1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子又は硫黄原子が相互に直接結合しないものとして-O-、-S-、-NH-、-N(CH)-、-CO-、-CO-O-、-O-CO-、-O-CO-O-、-S-CO-、-CO-S-、-O-SO-、-SO-O-、-CH=CH-、-C≡C-、シクロプロピレン基又は-Si(CH-で置換されていてもよく、
さらにアルキル基の1個又はそれ以上の水素原子が、ハロゲン原子、シアノ基、ビニル基、アリル基又は(メタ)アクリロイル基で置換されていてもよく、
12は、0~20の整数を表し、
13は、0又は1の整数を表し、
14は、0~5の整数を表し、
101及びX102は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、シアノ基、フェニル基(当該フェニル基の1個又は2個以上の任意の水素原子はハロゲン原子、メチル基、メトキシ基、トリフルオロメチル基(-CF)、トリフルオロメトキシ基(-OCF)で置換されていてもよい。)、炭素原子数1~6のアルキル基、炭素原子数1~6のアルコキシ基、トリフルオロメチル基又はトリフルオロメトキシ基を表すが、
101とR103は、互いに異なる基を表し、
101とX102は、互いに異なる基を表し、
Qは二価の炭化水素基を表す。)
で表される基からなる群から選ばれる基である請求項1に記載の液晶組成物。
【請求項3】
ネマチック相-等方性液体相転移温度(Tni)が60℃から120℃以上である請求項1又は2のいずれか一項に記載の液晶組成物。
【請求項4】
キラル剤の含有量が0.01質量%から5質量%である請求項1からのいずれか一項に記載の液晶組成物。
【請求項5】
信頼性を向上させるため添加剤の含有量が0.01質量%から5質量%である請求項1からのいずれか一項に記載の液晶組成物。
【請求項6】
請求項1からのいずれか1項に記載の液晶組成物を用いたアクティブマトリックス駆動用液晶表示素子。
【請求項7】
請求項1からのいずれか1項に記載の液晶組成物を用いたPSモード、PSAモード、PSVAモード、PS-IPSモード又はPS-FFSモードの液晶表示素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液晶組成物及びこれを使用した液晶表示素子に関する。
【背景技術】
【0002】
PSA(Polymer Sustained Alignment)型液晶表示装置は、液晶分子のプレチルト角を制御するためにセル内にポリマー構造物を形成した構造を有するものであり、高速応答性や高いコントラストから液晶表示素子として開発が進められている。
【0003】
PSA型等の表示方式に用いられるネマチック液晶組成物には、屈折率異方性(Δn)とセルギャップ(d)との積であるΔn×dの設定から、応答速度改良のための小さいセルギャップに合わせて、液晶材料のΔnを大きな範囲に調節する必要がある。すなわち、小さいセルギャップには屈折率異方性(Δn)の高い液晶組成物が要求される。
【0004】
さらに液晶パネルのシール材硬化工程は高温環境であるため、ネマチック液晶組成物の電圧保持率(VHR)が低下する。そのため高温となるシール材硬化工程に耐えることができる、耐熱性が高い液晶組成物が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】WO2016/017569号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、広い温度範囲の液晶相を有し、屈折率異方性が高く、誘電率異方性の絶対値が高く、粘度又は回転粘性が小さく、低温での溶解性が良好で、比抵抗や電圧保持率が高く、熱や光に対して安定なΔεが負の液晶組成物を提供し、更にこれを用いることで表示品位に優れ、滴下痕や線残像等の表示不良の発生し難いVA型やPSVA型等の高速応答の液晶表示素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、種々の液晶化合物及び種々の化学物質を検討し、特定の化合物を組み合わせることにより前記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
一般式(Ch‐I)
【0009】
【化1】
【0010】
(式中、R100及びR101はそれぞれ独立して、水素原子、-CN、-NO、ハロゲン原子、-OCN、-SCN、-SF、炭素原子数1~30個のキラル又はアキラルなアルキル基、重合性基、又は環構造を含むキラルな基を表し、n11が0のとき、R100及びR101の少なくとも1つは、キラルなアルキル基であり、
100及びZ101はそれぞれ独立して、-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-O-COO-、-CO-N(R105)-、-N(R105)-CO-、-OCH-、-CHO-、-SCH-、-CHS-、-CFO-、-OCF-、-CFS-、-SCF-、-CHCH-、-CFCH-、-CHCF-、-CFCF-、-CH=CH-、-CF=CH-、-CH=CF-、-CF=CF-、-C≡C-、-CH=CH-COO-、-OCO-CH=CH-又は単結合を表し、
100及びA101はそれぞれ独立して、
(a’) トランス-1,4-シクロへキシレン基(当該基中に存在する1個のメチレン基又は隣接していない2個以上のメチレン基は、酸素原子又は硫黄原子に置換されていてもよい。)、
(b’) 1,4-フェニレン基(この基中に存在する1個の-CH=又は隣接していない2個以上の-CH=は、窒素原子に置換されていてもよい。)、又は
(c’) 1,4-シクロヘキセニレン基、1,4-ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、インダン-2,5-ジイル、ナフタレン-2,6-ジイル基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基及び1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基(これらの基中に存在する1個のメチレン基又は隣接していない2個以上のメチレン基は、酸素原子又は硫黄原子に置換されていてもよく、これらの基中に存在する1個の-CH=又は隣接していない2個以上の-CH=は、窒素原子に置換されていてもよい。)を表し、
100又はA101が複数存在する場合には、それらは同一でもよく、異なっていてもよく、
11は0又は1を表し、n11が0を表すとき、m12は0を表し、かつm11は0、1、2、3、4又は5を表し、n11が1を表すとき、m11とm12はそれぞれ独立して0、1、2、3、4又は5を表し、
Dは、下記式(D1)~(D4)で表される2価の基
【0011】
【化2】
【0012】
(式(D1)~(D4)中、黒丸を付した部位において、Z101(若しくは、R100)又はZ101(若しくは、R100)に、それぞれ結合する。)を表す。)で表される化合物を含有し、さらに信頼性を向上させるための添加剤として下記の部分構造を有する化合物
【0013】
【化3】
【0014】
(式中、Rは水酸基、水素原子、炭素原子数1から22の直鎖アルキル基又は分岐鎖アルキル基を表し、該アルキル基中の1つ又は2つ以上のCH基は、酸素原子が直接隣接しないように、-O-、-CH=CH-、-CO-、-OCO-、-COO-、-C≡C-、-CFO-、-OCF-で置換されてよく、*で他の構造と結合する。)
は炭素原子数1から22の直鎖アルキル基又は分岐鎖アルキル基を表し、該アルキル基中の1つ又は2つ以上のCH基は、酸素原子が直接隣接しないように、-O-、-CH=CH-、-CO-、-OCO-、-COO-、-C≡C-、-CFO-、-OCF-で置換されてよく、Mはトランス-1,4-シクロへキシレン基、1,4-フェニレン基又は単結合で表す)で表される酸化防止剤を1種又は2種以上含有し、重合性化合物を1種又は2種以上含有することを特徴とし、20℃で絶対値が2から8の負の誘電率異方性を有するネマチック液晶組成物を提供し、更に、これを用いた液晶表示素子を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の液晶組成物は広い温度範囲の液晶相を有し、非常に低い粘度又は回転粘性を得ることができ、低温での溶解性が良好で、比抵抗や電圧保持率が高く、熱や光に対して安定なため、製品の実用性が高く、これを用いたVA型やPSVA型等の液晶表示素子は高速応答を達成でき、滴下痕や線残像等の表示不良が抑制され、非常に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】液晶表示素子の一実施形態を模式的に示す図である。
図2図1におけるI線で囲まれた領域を拡大した平面図である。ss
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明における液晶組成物は、ピッチを誘起するキラル剤として、TNモード又はSTNモードに用いられるキラル剤を転用しても良い。
【0018】
ピッチの温度依存性を改良又は調整するために、キラル剤を複数種混合して用いても良い。
【0019】
ピッチを誘起するキラル剤としては不斉原子をもつ化合物を用いても、軸不斉化合物を用いても、これらを混合して用いてもよい。
【0020】
不斉原子をもつ化合物としては、具体的には、一般式(Ch-I)で表される化合物が好ましい。
【0021】
【化4】
【0022】
(一般式(Ch-I)中、R100及びR101はそれぞれ独立して、水素原子、-CN、-NO、ハロゲン原子、-OCN、-SCN、-SF、炭素原子数1~30個のキラル又はアキラルなアルキル基、重合性基、又は環構造を含むキラルな基を表し、n11が0のとき、R100及びR101の少なくとも1つは、キラルなアルキル基であり、
100及びZ101はそれぞれ独立して、-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-O-COO-、-CO-N(R105)-、-N(R105)-CO-、-OCH-、-CHO-、-SCH-、-CHS-、-CFO-、-OCF-、-CFS-、-SCF-、-CHCH-、-CFCH-、-CHCF-、-CFCF-、-CH=CH-、-CF=CH-、-CH=CF-、-CF=CF-、-C≡C-、-CH=CH-COO-、-OCO-CH=CH-又は単結合を表し、
100及びA101はそれぞれ独立して、
(a’) トランス-1,4-シクロへキシレン基(当該基中に存在する1個のメチレン基又は隣接していない2個以上のメチレン基は、酸素原子又は硫黄原子に置換されていてもよい。)、
(b’) 1,4-フェニレン基(この基中に存在する1個の-CH=又は隣接していない2個以上の-CH=は、窒素原子に置換されていてもよい。)、又は
(c’) 1,4-シクロヘキセニレン基、1,4-ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、インダン-2,5-ジイル、ナフタレン-2,6-ジイル基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基及び1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基(これらの基中に存在する1個のメチレン基又は隣接していない2個以上のメチレン基は、酸素原子又は硫黄原子に置換されていてもよく、これらの基中に存在する1個の-CH=又は隣接していない2個以上の-CH=は、窒素原子に置換されていてもよい。)を表し、
100又はA101が複数存在する場合には、それらは同一でもよく、異なっていてもよく、
11は0又は1を表し、n11が0を表すとき、m12は0を表し、かつm11は0、1、2、3、4又は5を表し、n11が1を表すとき、m11とm12はそれぞれ独立して0、1、2、3、4又は5を表し、
Dは、下記式(D1)~(D4)で表される2価の基(式(D1)~(D4)中、黒丸を付した部位において、Z101(若しくは、R100)又はZ101(若しくは、R100)に、それぞれ結合する。)を表す。)
【0023】
【化5】
【0024】
一般式(Ch-I)中、R100及びR101はそれぞれ独立して、水素原子、-CN、-NO、ハロゲン原子、-OCN、-SCN、-SF、炭素原子数1~30個のキラル又はアキラルなアルキル基、重合性基、又は環構造を含むキラルな基を表す。n11が0のとき、R100及びR101の少なくとも1つは、キラルなアルキル基である。
【0025】
一般式(Ch-I)中のR100又はR101が炭素原子数1~30個のキラル又はアキラルなアルキル基である場合、当該アルキル基中の1個又は2個以上の隣接していないメチレン基(-CH-)は、酸素原子又は硫黄原子が相互に直接結合しないものとして-O-、-S-、-NH-、-N(CH)-、-CO-、-COO-、-OCO-、-OCO-O-、-S-CO-、-CO-S-、-CH=CH-、-CF-、-CF=CH-、-CH=CF-、-CF=CF-又はC≡C-により置換されていてもよく、該アルキル基中の1個又は2個以上の水素原子は、ハロゲン原子又はシアノ基によって置換されていてもよい。また、当該アルキル基は、直鎖状の基であってもよく、分岐鎖状の基であってもよく、環構造を含んでいる基であってもよい。
【0026】
キラルなアルキル基としては、以下の一般式(Ra)~(Rk)で表される基が好ましい。一般式(Ra)~(Rk)中、アステリスク(*)は、キラルな炭素原子を表す。R100又はR101がこれらの基の場合、左端で、A100(若しくは、D、Z101)又はA101(若しくは、D、Z100)に、それぞれ結合する。
【0027】
【化6】
【0028】
一般式(Ra)~(Rk)中、R103及びR104は、それぞれ独立して、炭素原子数1~12の直鎖状若しくは分枝鎖状のアルキル基、又は水素原子を表す。但し、一般式(Ra)、(Rb)、(Rd)、(Re)、(Rf)、(Rg)、(Ri)、(Rj)においては、R103が結合する炭素原子(*を付した位置)が不斉原子となるように、R103は炭素原子数1~10の直鎖状若しくは分枝状のアルキル基である。当該アルキル基の1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子又は硫黄原子が相互に直接結合しないものとして-O-、-S-、-NH-、-N(CH)-、-CO-、-CO-O-、-O-CO-、-O-CO-O-、-S-CO-、-CO-S-、-O-SO-、-SO-O-、-CH=CH-、-C≡C-、シクロプロピレン基又は-Si(CH-で置換されていてもよく、さらにアルキル基の1個又はそれ以上の水素原子が、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子)又はシアノ基で置換されていてもよい。また、当該アルキル基は、重合性基をもっていてもよい。当該重合性基としては、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリロイル基などが挙げられる。
【0029】
一般式(Ra)~(Rj)中のR103としては、メチレン基や水素原子が他の基等に置換されていない(すなわち、無置換の)炭素原子数1~12の直鎖状若しくは分枝状のアルキル基であることが好ましく、無置換の炭素原子数1~8の直鎖状若しくは分枝状のアルキル基であることがより好ましく、無置換の炭素原子数1~6の直鎖状のアルキル基であることがさらに好ましい。
【0030】
一般式(Rd)又は(Ri)中のR104としては、水素原子又は無置換の炭素原子数1~5の直鎖状若しくは分枝状のアルキル基であることが好ましく、無置換の炭素原子数1~3の直鎖状のアルキル基であることがより好ましく、水素原子又はメチル基であることがさらに好ましい。
【0031】
一般式(Ra)~(Rk)中、n12は0~20の整数であり、0~10の整数が好ましく、0~5の整数がより好ましく、0がさらに好ましい。
【0032】
一般式(Ra)~(Rk)中、n13は0又は1である。
【0033】
また、一般式(Rk)中、n14は0~5の整数である。
【0034】
一般式(Ra)~(Rk)中、X101及びX102は、それぞれ独立して、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、ブロム原子、ヨウ素原子)、シアノ基、フェニル基(当該フェニル基の1個又は2個以上の任意の水素原子はハロゲン原子、メチル基、メトキシ基、トリフルオロメチル基(-CF)、トリフルオロメトキシ基(-OCF)で置換されていてもよい。)、炭素原子数1~6のアルキル基、炭素原子数1~6のアルコキシ基、トリフルオロメチル基又はトリフルオロメトキシ基である。但し、一般式(Ra)、(Rb)、(Rc)、(Rf)、(Rg)、(Rh)においては、X101が結合する炭素原子(*を付した位置)が不斉原子となるように、X101とR103は互いに異なる基である。また、一般式(Rc)及び(Re)において、X101が結合する炭素原子(*を付した位置)が不斉原子となるように、X101とX102は、互いに異なる基である。
【0035】
一般式(Ra)、(Rb)、(Rc)、(Rf)、(Rg)、(Rh)、(Rk)中のX101及びX102としては、それぞれ独立して、ハロゲン原子、フェニル基(当該フェニル基の1個又は2個以上の任意の水素原子はハロゲン原子、メチル基、メトキシ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基で置換されていてもよい。)、メチル基、メトキシ基、トリフルオロメチル基、又はトリフルオロメトキシ基が好ましい。中でも、一般式(Ra)、(Rb)、(Rc)、(Rf)、(Rg)、(Rh)中のX101及びX102としては、それぞれ独立して、フェニル基(当該フェニル基の1個又は2個以上の任意の水素原子はハロゲン原子、メチル基、メトキシ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基で置換されていてもよい。)がより好ましく、無置換のフェニル基がさらに好ましい。また、一般式(Rk)中のX101としては、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基、トリフルオロメチル基、又はトリフルオロメトキシ基がより好ましく、ハロゲン原子、メチル基、トリフルオロメチル基、又はトリフルオロメトキシ基がさらに好ましい。
【0036】
一般式(Re)及び(Rj)中、Qは二価の炭化水素基である。当該二価の炭化水素基としては、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよく、環状構造を有する基であってもよい。また、当該二価の炭化水素基の炭素原子数は、1~16が好ましく、1~10がより好ましく、1~6がさらに好ましい。当該二価の炭化水素基としては、1個の炭素原子において、一般式(Re)及び(Rj)中の2個の酸素原子とそれぞれ単結合する基が好ましい。この場合、一般式(Re)及び(Rj)において、アスタリスクが付された2個の炭素原子と、それらとそれぞれ結合する2個の酸素原子と、Q中の1の炭素原子が、5員環を形成している。具体的には、無置換の、又は1若しくは2個の水素原子が炭化水素基によって置換されたメチレン基、シクロプロピリデン基、シクロブチリデン基、シクロペンチリデン基、シクロヘキシリデン基等が挙げられ、メチレン基、イソプロピリデン基、シクロヘキシリデン基がより好ましい。
【0037】
一般式(Ra)~(Rk)で表される基としては、一般式(Ra)又は一般式(Rf)で表される基が好ましい。一般式(Ra)で表される基としては、一般式(Ra)中、n12が0~5の整数であり、X101がフェニル基(当該フェニル基の1個又は2個以上の任意の水素原子はハロゲン原子、メチル基、メトキシ基、トリフルオロメチル基、又はトリフルオロメトキシ基で置換されていてもよい。)であり、R103が無置換の炭素原子数1~6の直鎖状若しくは分枝状のアルキル基である基が好ましく、n12が0~5の整数であり、X101が無置換のフェニル基であり、R103が無置換の炭素原子数1~6の直鎖状若しくは分枝状のアルキル基である基がより好ましい。一般式(Rf)で表される基としては、一般式(Rf)中、n12が0~5の整数であり、n13が0又は1であり、X103がハロゲン原子、メチル基、又はトリフルオロメチル基であり、R103が無置換の炭素原子数2~12の直鎖状のアルキル基である基が好ましい。
【0038】
一般式(Ch-I)で表される化合物のR100又はR101としては、特に、下記式(Ra-1)~(Ra-3)又は一般式(Rf-1)~(Rf-3)で表される基が好ましい。R100又はR101がこれらの基の場合、左端が、A100(若しくは、D、Z101)又はA101(若しくは、D、Z100)に、それぞれ結合する。また、アステリスクは、キラルな炭素原子を表す。
【0039】
【化7】
【0040】
一般式(Rf-1)~(Rf-3)中、n13は0又は1を表す。また、一般式(Ra-1)~(Ra-3)、(Rf-1)~(Rf-3)中、nは2~12の整数を表す。一般式(Ra-1)~(Ra-3)、(Rf-1)~(Rf-3)においては、nは3~8の整数が好ましく、4、5又は6がより好ましい。
【0041】
一般式(Ch-I)中のR100又はR101が重合性基である場合、当該重合性基としては、下記の式(R-1)~(R-16)のいずれかで表される構造からなる基が好ましい。式(R-1)~(R-14)、(R-16)で表される基は右端が、式(R-15)で表される基は左端が、A100(若しくは、D、Z101)又はA101(若しくは、D、Z100)に、それぞれ結合する。
【0042】
【化8】
【0043】
これらの重合性基は、ラジカル重合、ラジカル付加重合、カチオン重合、又はアニオン重合により硬化する。特に重合方法として紫外線重合を行う場合には、式(R-1)、式(R-2)、式(R-4)、式(R-5)、式(R-7)、式(R-11)、式(R-13)、式(R-15)又は式(R-16)で表される基が好ましく、式(R-1)、式(R-2)、式(R-7)、式(R-11)、式(R-13)又は式(R-16)で表される基がより好ましく、式(R-1)、式(R-2)又は式(R-16)で表される基がさらに好ましい。
【0044】
一般式(Ch-I)中のR100又はR101が環構造を含むキラルな基である場合、当該基が含む環構造は、芳香族であってもよく、脂肪族であってもよい。アルキル基が取り得る環構造としては、単環構造、縮合環構造又はスピロ(spirocyclic)環構造が挙げられ、また、1個又は2個以上のヘテロ原子を含むことができる。
【0045】
一般式(Ch-I)中、Z100及びZ101はそれぞれ独立して、-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-O-COO-、-CO-N(R105)-、-N(R105)-CO-、-OCH-、-CHO-、-SCH-、-CHS-、-CFO-、-OCF-、-CFS-、-SCF-、-CHCH-、-CFCH-、-CHCF-、-CFCF-、-CH=CH-、-CF=CH-、-CH=CF-、-CF=CF-、-C≡C-、-CH=CH-COO-、-OCO-CH=CH-又は単結合を表す。ここで、R105は、炭素原子数1~12の直鎖状若しくは分枝状のアルキル基を表し、炭素原子数1~6の直鎖状若しくは分枝状のアルキル基が好ましく、炭素原子数1~3の直鎖状のアルキル基がより好ましい。m11が2以上の整数であり、一分子中にZ100が複数存在する場合には、それらは同一でもよく、異なっていてもよい。同様に、m12が2以上の整数であり、一分子中にZ101が複数存在する場合には、それらは同一でもよく、異なっていてもよい。一般式(Ch-I)で表される化合物としては、Z100及びZ101はそれぞれ独立して、-CFO-、-OCF-、-CFCF-、-CF=CF-、-COO-、-OCO-、-CH-CH-、-C≡C-又は単結合が好ましい。
【0046】
一般式(Ch-I)中、A100及びA101はそれぞれ独立して、下記(a’)基、(b’)基、又は(c’)基である。m11が2以上の整数であり、一分子中にA100が複数存在する場合には、それらは同一でもよく、異なっていてもよい。同様に、m12が2以上の整数であり、一分子中にA101が複数存在する場合には、それらは同一でもよく、異なっていてもよい。
(a’) トランス-1,4-シクロへキシレン基(当該基中に存在する1個のメチレン基又は隣接していない2個以上のメチレン基は、酸素原子又は硫黄原子に置換されていてもよい。)。
(b’) 1,4-フェニレン基(この基中に存在する1個の-CH=又は隣接していない2個以上の-CH=は、窒素原子に置換されていてもよい。)。
(c’) 1,4-シクロヘキセニレン基、1,4-ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、インダン-2,5-ジイル、ナフタレン-2,6-ジイル基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基及び1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基(これらの基中に存在する1個のメチレン基又は隣接していない2個以上のメチレン基は、酸素原子又は硫黄原子に置換されていてもよく、これらの基中に存在する1個の-CH=又は隣接していない2個以上の-CH=は、窒素原子に置換されていてもよい。)。
【0047】
前記(a’)基、(b’)基、及び(c’)基は、いずれも無置換であってもよく、当該基中の1個又は2個以上の水素原子が、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1~7のアルキル基(当該アルキル基中の1個又は2個以上の水素原子は、フッ素原子又は塩素原子により置換されていてもよい。)、炭素原子数1~7のアルコキシ基(当該アルコキシ基中の1個又は2個以上の水素原子は、フッ素原子又は塩素原子により置換されていてもよい。)、炭素原子数1~7のアルキルカルボニル基(当該アルキルカルボニル基中の1個又は2個以上の水素原子は、フッ素原子又は塩素原子により置換されていてもよい。)、又は炭素原子数1~7のアルコキシカルボニル基(当該アルコキシカルボニル基中の1個又は2個以上の水素原子は、フッ素原子又は塩素原子により置換されていてもよい。)によって置換されていてもよい。
【0048】
一般式(Ch-I)で表される化合物のA100及びA101としては、前記(a’)基又は前記(b’)基が好ましく、無置換のトランス-1,4-シクロへキシレン基、無置換の1,4-フェニレン基、1個若しくは2個以上の水素原子がフッ素原子、塩素原子、シアノ基、炭素原子数1~4のアルキル基、炭素原子数1~4のアルコキシ基、炭素原子数1~4のアルキルカルボニル基、若しくは炭素原子数1~4のアルコキシカルボニル基によって置換されているトランス-1,4-シクロへキシレン基、又は、1個若しくは2個以上の水素原子がフッ素原子、塩素原子、シアノ基、炭素原子数1~4のアルキル基、炭素原子数1~4のアルコキシ基、炭素原子数1~4のアルキルカルボニル基、若しくは炭素原子数1~4のアルコキシカルボニル基によって置換されている1,4-フェニレン基がより好ましく、無置換のトランス-1,4-シクロへキシレン基又は無置換の1,4-フェニレン基がさらに好ましく、無置換の1,4-フェニレン基がよりさらに好ましい。
【0049】
一般式(Ch-I)中、n11は0又は1を表す。
【0050】
11が0のとき、m12は0であり、かつm11は0、1、2、3、4又は5である。n11及びm12が0のとき、m11は、1、2、3、又は4が好ましく、1、2又は3がより好ましい。
【0051】
11が1のとき、m11とm12はそれぞれ独立して0、1、2、3、4又は5、好ましくは1、2、3、又は4、より好ましくは1、2又は3である。n11が1のとき、m11とm12は、互いに異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。
【0052】
一般式(Ch-I)中、Dは、前記式(D1)~(D4)で表される2価の基である。式(D1)~(D4)中、黒丸を付した部位において、Z101(若しくは、R100)又はZ101(若しくは、R100)に、それぞれ結合する。
【0053】
前記(D1)又は(D3)で表される基中、ベンゼン環の任意の1個又は2個以上の任意の水素原子は、それぞれ独立してハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、炭素原子数1~20のアルキル基、又は炭素原子数1~20のアルコキシ基で置換されていてもよい。ベンゼン環中の水素原子の置換基となる炭素原子数1~20のアルキル基又はアルコキシ基は、当該基中の1個又は2個以上の水素原子は、フッ素原子に置換されていてもよく、当該基中の1個又は2個以上のメチレン基は、-O-、-S-、-COO-、-OCO-、-CF-、-CF=CH-、-CH=CF-、-CF=CF-又は-C≡C-により、酸素原子又は硫黄原子が互いに直接結合しないように置換されていてもよい。
【0054】
一般式(Ch-I)で表される化合物のうち、n11が0である化合物としては、当該化合物の両端のR100及びR101を除いた残りの部分構造が、下記一般式(b1)~(b13)で表される構造であることが好ましい。一般式(b1)~(b13)で表される構造は、両端のいずれか一方がR100と結合し、残る他方がR101と結合する。但し、これらの構造を有する化合物では、R100及びR101の少なくとも一方は、キラルなアルキル基である。
【0055】
【化9】
【0056】
一般式(b1)~(b13)中、Z102は、一般式(Ch-I)中のZ100及びZ101と同様である。
【0057】
また、一般式(b1)~(b13)中、A102は、1,4-フェニレン基(当該基中に存在する1個の-CH=又は隣接していない2個以上の-CH=は、窒素原子に置換されていてもよく、当該基中に存在する1個又は2個以上の任意の水素原子は、ハロゲン原子、メチル基、メトキシ基、トリフルオロメチル基、又はトリフルオロメトキシ基によって置換されていてもよい。)である。1,4-フェニレン基中の-CH=や水素原子を置換することにより、当該化合物を含む液晶組成物について、結晶性の低下及び誘電異方性の向きや大きさを制御することができる。
【0058】
信頼性の面では、A102中の環構造がピリジン環、ピリミジン環等の複素環である化合物(すなわち、1,4-フェニレン基中に存在する1個の-CH=又は隣接していない2個以上の-CH=が窒素原子に置換された基である化合物)よりも、ベンゼン環である化合物(すなわち、1,4-フェニレン基中に存在する-CH=が窒素原子に置換されていない基である化合物)のほうが好ましい。一方で、誘電率異方性を大きくするという面では、A102中の環構造がベンゼン環である化合物よりも、ピリジン環、ピリミジン環等の複素環である化合物のほうが好ましい。ベンゼン環やシクロヘキサン環等の炭化水素環を有する化合物は、当該化合物の持つ分極性が比較的小さいが、ピリジン環、ピリミジン環等の複素環を有する化合物は、当該化合物の持つ分極性が比較的大きく、結晶性を低下させ液晶性を安定化するために好ましい。
【0059】
一般式(Ch-I)で表される化合物のうち、n11及びm12が0である化合物としては、下記一般式(Ch-I-1)~(Ch-I-30)が好ましい。一般式(Ch-I-1)~(Ch-I-30)中、R100、R101及びZ100は、一般式(Ch-I)におけるR100、R101及びZ100と同じ意味を表し、R100及びR101の少なくとも一つはキラルなアルキル基を表し、L100~L105はそれぞれ独立して水素原子又はフッ素原子を表し、L100~L105はそれぞれ独立して水素原子又はフッ素原子を表す。
【0060】
【化10】
【0061】
【化11】
【0062】
【化12】
【0063】
【化13】
【0064】

【0065】
【化14】
【0066】
一般式(Ch-I-1)~(Ch-I-30)で表される化合物としては、R100及びR101の一方又は両方が一般式(Ra)~(Rk)のいずれかで表される基である化合物が好ましく、R100及びR101の一方又は両方が、前記式(Ra-1)~(Ra-3)又は一般式(Rf-1)~(Rf-3)で表される基である化合物がより好ましい。R100及びR101のいずれか一方のみが一般式(Ra)~(Rk)のいずれかで表される基である化合物としては、R100及びR101の残りの一方が、炭素原子数1~30個のアキラルなアルキル基(当該アルキル基中の1個又は2個以上の隣接していないメチレン基は、-O-、-S-、-NH-、-N(CH)-、-CO-、-COO-、-OCO-、-OCO-O-、-S-CO-、-CO-S-、-CH=CH-、-CF-、-CF=CH-、-CH=CF-、-CF=CF-又はC≡C-により置換されていてもよく、該アルキル基中の1個又は2個以上の水素原子は、ハロゲン原子又はシアノ基によって置換されていてもよい。)である化合物が好ましく、炭素原子数1~16のアルキル基、炭素原子数1~16のアルコキシ基、炭素原子数2~16のアルケニル基又は炭素原子数2~16のアルケニルオキシ基である化合物より好ましい。
【0067】
本発明の液晶組成物としては、一般式(Ch-I-1)~(Ch-I-30)のいずれかで表される化合物を少なくとも1種類は含んでいることが好ましく、一般式(Ch-I-30)で表される化合物を含んでいることがより好ましい。一般式(Ch-I-30)で表される化合物としては、具体的には、下記一般式(Ch-I-30-1)~(Ch-I-30-6)(式中、n13は0又は1を表し、nは2~12の整数を表し、R102は炭素原子数1~16のアルキル基、炭素原子数1~16のアルコキシ基、炭素原子数2~16のアルケニル基又は炭素原子数2~16のアルケニルオキシ基を表す。)で表される化合物が挙げられる。一般式(Ch-I-30-1)~(Ch-I-30-6)中、R102は炭素原子数1~6のアルキル基、炭素原子数1~6のアルコキシ基、炭素原子数2~6のアルケニル基又は炭素原子数2~6のアルケニルオキシ基が好ましい。
【0068】
【化15】
【0069】
11が1の場合、一般式(Ch-I)で表される化合物は、環構造部分に不斉炭素を持つ構造となる。この場合、一般式(Ch-I)で表される化合物としては、Dが前記式(D2)又は(D4)である化合物が好ましく、Dが式(D4)である化合物がより好ましい。Dが式(D2)である化合物としては、下記一般式(K2-1)~(K2-8)で表される化合物が好ましく、Dが式(D4)である化合物としては、下記一般式(K3-1)~(K3-6)で表される化合物が好ましい。
【0070】
【化16】
【0071】
【化17】
【0072】
【化18】
【0073】
一般式(K2-1)~(K2-8)、(K3-1)~(K3-6)中、Rはそれぞれ独立して、一般式(Ch-I)におけるR100及びR101と同じ意味を表す。本発明の液晶組成物に用いられるHTP(-)キラル化合物としては、一般式(K2-1)~(K2-8)又は(K3-1)~(K3-6)で表される化合物の中でも、Rがそれぞれ独立して、炭素原子数1~30個のキラル又はアキラルなアルキル基(当該アルキル基中の1個又は2個以上の隣接していないメチレン基は、-O-、-S-、-NH-、-N(CH)-、-CO-、-COO-、-OCO-、-OCO-O-、-S-CO-、-CO-S-、-CH=CH-、-CF-、-CF=CH-、-CH=CF-、-CF=CF-又はC≡C-により置換されていてもよく、該アルキル基中の1個又は2個以上の水素原子は、ハロゲン原子又はシアノ基によって置換されていてもよい。)である化合物が好ましく、炭素原子数1~16のアルキル基、炭素原子数1~16のアルコキシ基、炭素原子数2~16のアルケニル基又は炭素原子数2~16のアルケニルオキシ基である化合物がより好ましく、炭素原子数3~10のアルキル基、炭素原子数3~9のアルコキシ基、炭素原子数3~10のアルケニル基又は炭素原子数3~9のアルケニルオキシ基である化合物がさらに好ましい。
【0074】
更に詳述すると、例えば、式(c01)
【0075】
【化19】
【0076】
で表される化合物が好ましい。また、式(c02)
【0077】
【化20】
【0078】
で表されるキラル剤が更に好ましい。
【0079】
軸不斉化合物としては、具体的には、一般式(IV-1)、(IV-2)、(IV-3)又は(IV-4)で表される化合物が好ましい。
【0080】
【化21】
【0081】
一般式(IV-1)及び(IV-2)中、R71及びR72は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、イソシアネート基、イソチオシナネート基、又は炭素原子数1~20のアルキル基を表す。当該アルキル基中の任意の1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子及び硫黄原子が相互に直接結合しないものとして、-O-、-S-、-COO-、-OCO-、-CH=CH-、-CF=CF-、又は-C≡C-で置換されていてもよい。さらに、当該アルキル基中の任意の1個又は2個以上の水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。一般式(IV-1)又は(IV-2)で表される化合物としては、R71及びR72は、それぞれ独立して、無置換の、又は置換基を有していてもよい炭素原子数1~20のアルキル基であることが好ましく、炭素原子数1~20の無置換のアルキル基であることがより好ましく、炭素原子数1~6の無置換のアルキル基であることがさらに好ましい。
【0082】
一般式(IV-1)及び(IV-2)中、A71及びA72は、それぞれ独立して、芳香族性若しくは非芳香族性の3、6ないし8員環、又は、炭素原子数9以上の縮合環を表す。これらの環構造中の任意の1個又は2個以上の水素原子は、ハロゲン原子、炭素原子数1~3のアルキル基、又は炭素原子数1~3のハロアルキル基で置換されていてもよい。また、当該環構造中の任意の1個又は互いに隣接していない2個以上のメチレン基は、-O-、-S-、又は-NH-で置換されていてもよく、当該環構造中の任意の1個又は互いに隣接していない2個以上の-CH=は、-N=で置換されていてもよい。m71が2以上であり、一分子中にA71が複数存在する場合、それらは互いに同じであってもよく、異なっていてもよい。同様に、m72が2以上であり、一分子中にA72が複数存在する場合、それらは互いに同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0083】
一般式(IV-1)又は(IV-2)で表される化合物としては、A71及びA72は、それぞれ独立して、1,4-フェニレン基、トランス-1,4-シクロヘキシレン基、ピリジン-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基が好ましい。これらの基中の1個若しくは2個以上の水素原子が、ハロゲン原子、炭素原子数1~3のアルキル基、又は炭素原子数1~3のハロアルキル基で置換された基も好ましい。中でも、1個若しくは2個以上の水素原子がフッ素原子により置換されていてもよい1,4-フェニレン基、又はトランス-1,4-シクロヘキシレン基がより好ましく、無置換の1,4-フェニレン基又は無置換のトランス-1,4-シクロヘキシレン基がさらに好ましい。
【0084】
一般式(IV-1)及び(IV-2)中、Z71及びZ72は、それぞれ独立して、単結合又は炭素原子数1~8のアルキレン基を表す。当該アルキレン基中の任意の1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子及び硫黄原子が相互に直接結合しないものとして、-O-、-S-、-COO-、-OCO-、-CSO-、-OCS-、-N=N-、-CH=N-、-N=CH-、-N(O)=N-、-N=N(O)-、-CH=CH-、-CF=CF-、又は-C≡C-で置換されていてもよい。また、当該アルキレン基中の任意の1個又は2個以上の水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。m71が2以上であり、一分子中にZ71が複数存在する場合、それらは互いに同じであってもよく、異なっていてもよい。同様に、m72が2以上であり、一分子中にZ72が複数存在する場合、それらは互いに同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0085】
一般式(IV-1)又は(IV-2)で表される化合物としては、Z71及びZ72はそれぞれ独立して、単結合、炭素原子数1~4の無置換のアルキレン基、-COO-、-OCO-、-CH=CH-、又は-C≡C-が好ましく、単結合、-CH-、-CHCH-、-COO-、-OCO-、-CH=CH-、又は-C≡C-がより好ましく、単結合、-COO-、又は-OCO-がさらに好ましい。
【0086】
一般式(IV-1)及び(IV-2)中、X71及びX72は、それぞれ独立して、単結合、-COO-、-OCO-、-CHO-、-OCH-、-CFO-、-OCF-、又は-CHCH-を表す。一般式(IV-1)又は(IV-2)で表される化合物としては、X71及びX72は、それぞれ独立して、単結合、-COO-、-OCO-、-CHO-、-OCH-、又は-CHCH-が好ましく、単結合、-COO-、又は-OCO-がより好ましい。
【0087】
一般式(IV-2)中、R73は、水素原子、ハロゲン原子、又は-X71-(A71-Z71)m71-R71を表す。
【0088】
一般式(IV-1)及び(IV-2)中、m71及びm72は、それぞれ独立して、1~4の整数を表す。但し、一般式(IV-2)において、R73が-X71-(A71-Z71)m71-R71である場合には、2個のm71のうち、いずれか一方は0でもよい。一般式(IV-1)又は(IV-2)で表される化合物としては、m71及びm72は、それぞれ独立して、2又は3が好ましく、2がより好ましい。
なお、キラル剤は右巻きであっても左巻きであっても良く、液晶表示素子の構成によって適宜使い分ければ良い。
本発明における液晶組成物は、信頼性を向上させるため添加剤として化合物(Q)を1種又は2種以上含有することができる。化合物(Q)は下記の構造を有することが好ましい。
【0089】
【化22】
【0090】
(式中、Rは水酸基、水素原子、炭素原子数1から22の直鎖アルキル基又は分岐鎖アルキル基を表し、該アルキル基中の1つ又は2つ以上のCH基は、酸素原子が直接隣接しないように、-O-、-CH=CH-、-CO-、-OCO-、-COO-、-C≡C-、-CFO-、-OCF-で置換されてよく、*で他の構造と結合する。)
は炭素原子数1から22の直鎖アルキル基又は分岐鎖アルキル基を表し、該アルキル基中の1つ又は2つ以上のCH基は、酸素原子が直接隣接しないように、-O-、-CH=CH-、-CO-、-OCO-、-COO-、-C≡C-、-CFO-、-OCF-で置換されてよいが、炭素原子数1から10の直鎖アルキル基、直鎖アルコキシ基、1つのCH基が-OCO-又は-COO-に置換された直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基、分岐アルコキシ基、1つのCH基が-OCO-又は-COO-に置換された分岐鎖アルキル基が好ましく、炭素原子数1から20の直鎖アルキル基、1つのCH基が-OCO-又は-COO-に置換された直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基、分岐アルコキシ基、1つのCH基が-OCO-又は-COO-に置換された分岐鎖アルキル基が更に好ましい。Mはトランス-1,4-シクロへキシレン基、1,4-フェニレン基又は単結合を表すが、トランス-1,4-シクロへキシレン基又は1,4-フェニレン基が好ましい。
【0091】
化合物(Q)は、より具体的には、下記の一般式(Q-a)から一般式(Q-d)で表される化合物が好ましい。
【0092】
【化23】
【0093】
式中、RQ1は炭素原子数1から10の直鎖アルキル基又は分岐鎖アルキル基が好ましく、RQ2は炭素原子数1から20の直鎖アルキル基又は分岐鎖アルキル基が好ましく、RQ3は炭素原子数1から8の直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基、直鎖アルコキシ基又は分岐鎖アルコキシ基が好ましく、Lは炭素原子数1から8の直鎖アルキレン基又は分岐鎖アルキレン基が好ましい。一般式(Q-a)から一般式(Q-d)で表される化合物中、一般式(Q-c)及び一般式(Q-d)で表される化合物が更に好ましい。
【0094】
本願発明の組成物において、一般式(Q)で表される化合物を1種又は2種を含有することが好ましく、1種から5種含有することが更に好ましく、その含有量は0.001から1%であることが好ましく、0.001から0.1%が更に好ましく、0.001から0.05%が特に好ましい。
【0095】
また、本発明に使用できる酸化防止剤又は光安定剤としてより具体的には以下の(Q-1)~(Q-44)で表される化合物が好ましい。
【0096】
【化24】
【0097】
【化25】
【0098】
【化26】
【0099】
【化27】
【0100】
【化28】
【0101】
(式中、nは0から20の整数を表す。)
本発明における液晶組成物は、重合性化合物を1種又は2種以上含有することができる。重合性化合物は、以下の一般式(P)
【0102】
【化29】
【0103】
(上記一般式(P)中、Rp1は、水素原子、フッ素原子、シアノ基、水素原子、水素原子がハロゲン原子に置換されていてもよい炭素原子数1~15のアルキル基、水素原子がハロゲン原子に置換されていてもよい炭素原子数1~15のアルコキシ基、水素原子がハロゲン原子に置換されていてもよい炭素原子数1~15のアルケニル基、水素原子がハロゲン原子に置換されていてもよい炭素原子数1~15のアルケニルオキシ基又は-Spp2-Pp2を表し、
p1及びPp2はそれぞれ独立して、一般式(Pp1-1)~式(Pp1-9)
【0104】
【化30】
【0105】
(式中、Rp11及びRp12はそれぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数1~5のハロゲン化アルキル基を表し、Wp11は単結合、-O-、-COO-又はメチレン基を表し、tp11は、0、1又は2を表すが、分子内にRp11、Rp12、Wp11及び/又はtp11が複数存在する場合、それらは同一であっても異なっていても良い。)
のいずれかを表し、
Spp1及びSpp2はそれぞれ独立して、単結合又はスペーサー基を表し、
p1及びZp2はそれぞれ独立して、単結合、-O-、-S-、-CH-、-OCH-、-CHO-、-CO-、-C-、-COO-、-OCO-、-OCOOCH-、-CHOCOO-、-OCHCHO-、-CO-NRZP1-、-NRZP1-CO-、-SCH-、-CHS-、-CH=CRZP1-COO-、-CH=CRZP1-OCO-、-COO-CRZP1=CH-、-OCO-CRZP1=CH-、-COO-CRZP1=CH-COO-、-COO-CRZP1=CH-OCO-、-OCO-CRZP1=CH-COO-、-OCO-CRZP1=CH-OCO-、-(CH-COO-、-(CH-OCO-、-OCO-(CH-、-(C=O)-O-(CH-、-CH=CH-、-CF=CF-、-CF=CH-、-CH=CF-、-CF-、-CFO-、-OCF-、-CFCH-、-CHCF-、-CFCF-又は-C≡C-(式中、RZP1はそれぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1~4のアルキル基を表すが、分子内にRZP1が複数存在する場合、それらは同一であっても異なっていても良い。)
を表し、
p2は、1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキシレン基、アントラセン-2,6-ジイル基、フェナントレン-2,7-ジイル基、ピリジン-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基、インダン-2,5-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基又は1,3-ジオキサン-2,5-ジイル基を表すが、Ap2は無置換であるか又は炭素原子数1~12のアルキル基、炭素原子数1~12のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1~12のアルコキシ基、炭素原子数1~12のハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基又は-Spp2-Pp2で置換されていても良く、
p1は(Ap1-11)~(Ap1-19)
【0106】
【化31】
【0107】
(式中、★でSpp1又はZp1と結合し、★★でZp1と結合し、構造中の1又は2以上の水素原子は炭素原子数1~12のアルキル基、炭素原子数1~12のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1~12のアルコキシ基、炭素原子数1~12のハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基又は-Spp2-Pp2によって置換されていても良い。)で表される基を表し、
p3は(Ap3-11)~(Ap3-19)
【0108】
【化32】
【0109】
(式中、★でZp2と結合し、★★でRp1又はZp2と結合し、構造中の1又は2以上の水素原子は炭素原子数1~12のアルキル基、炭素原子数1~12のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1~12のアルコキシ基、炭素原子数1~12のハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基又は-Spp2-Pp2によって置換されていても良い。)で表される基を表し、
p2及びmp3はそれぞれ独立して、0、1、2又は3を表し、mp1及びmp4はそれぞれ独立して1、2又は3を表すが、分子内にPp1、Spp1、Ap1、Zp1、Zp2、Ap3及び/又はRp1が複数存在する場合、それらは同一であっても異なっていても良い。)
で表される化合物が好ましい。また、当該重合性モノマーは1種又は2種以上含有することが好ましい。
【0110】
本発明に係る一般式(P)において、Rp1は-Spp2-Pp2であることが好ましい。
【0111】
p1及びPp2はそれぞれ独立して式(Pp1-1)~式(Pp1-3)のいずれかであることが好ましく、(Pp1-1)であることが好ましい。
【0112】
p11及びRp12はそれぞれ独立して、水素原子又はメチル基であることが好ましい。
【0113】
p1+mp4は2以上であることが好ましく、2又は3が好ましい。
【0114】
p1及びZp2はそれぞれ独立して、単結合、-OCH-、-CHO-、-CO-、-C-、-COO-、-OCO-、-COOC-、-OCOC-、-COCO-、-CCOO-、-CH=CH-、-CF-、-CFO-、-(CH-COO-、-(CH-OCO-、-OCO-(CH-、-CH=CH-COO-、-COO-CH=CH-、-OCOCH=CH-、-COO-(CH-、-OCF-又は-C≡C-が好ましく、単結合、-OCH-、-CHO-、-C-、-COO-、-OCO-、-COOC-、-OCOC-、-COCO-、-CCOO-、-CH=CH-、-(CH-COO-、-(CH-OCO-、-OCO-(CH-、-CH=CH-COO-、-COO-CH=CH-、-OCOCH=CH-、-COO-(CH-又は-C≡C-が好ましく、分子内に存在する1つのみが-OCH-、-CHO-、-C-、-COO-、-OCO-、-COOC-、-OCOC-、-COCO-、-CCOO-、-CH=CH-、-(CH-COO-、-(CH-OCO-、-OCO-(CH-、-CH=CH-COO-、-COO-CH=CH-、-OCOCH=CH-、-COO-(CH-又は-C≡C-であり、他がすべて単結合であることが好ましく、分子内に存在する1つのみが、-OCH-、-CHO-、-C-、-COO-又は-OCO-であり、他がすべて単結合であることが好ましく、すべてが単結合であることが好ましい。
【0115】
また、分子内に存在するZp1及びZp2の1つのみが、-CH=CH-COO-、-COO-CH=CH-、-(CH-COO-、-(CH-OCO-、-O-CO-(CH-、-COO-(CH-からなる群から選択される連結基であり、他は単結合であることが好ましい。
【0116】
Spp1及びSpp2はそれぞれ独立して、単結合又は炭素原子数1~30のアルキレン基を表し、該アルキレン基中の-CH-は酸素原子同士が直接連結しない限りにおいて-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CH=CH-又は-C≡C-で置換されていてもよく、該アルキレン基中の水素原子はハロゲン原子で置換されていても良いが、直鎖の炭素原子数1~10のアルキレン基又は単結合が好ましい。
【0117】
p2は、1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキシレン基、アントラセン-2,6-ジイル基、フェナントレン-2,7-ジイル基又はナフタレン-2,6-ジイル基が好ましく、1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキシレン基、フェナントレン-2,7-ジイル基又はナフタレン-2,6-ジイル基が好ましく、mp2+mp3が0の時にはフェナントレン-2,7-ジイル基が好ましく、mp2+mp3が1、2又は3の時には1,4-フェニレン基又は1,4-シクロヘキシレン基が好ましい。Ap2は、液晶化合物との相溶性を改善するために、その構造中の1又は2以上の水素原子がメチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基又はフッ素原子に置換されていても良い。
【0118】
p1は式(Ap1-15)、(Ap1-16)、(Ap1-17)又は(Ap1-18)が好ましい。Ap1は、液晶化合物との相溶性を改善するために、その構造中の1又は2以上の水素原子がメチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基又はフッ素原子に置換されていても良い。
【0119】
p3は式(Ap1-14)、(Ap1-15)、(Ap1-16)、(Ap1-17)又は(Ap1-18)が好ましい。Ap3は、液晶化合物との相溶性を改善するために、その構造中の1又は2以上の水素原子がメチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基又はフッ素原子に置換されていても良い。
【0120】
p2+mp3は0、1、2又は3が好ましく、1又は2が好ましい。
【0121】
一般式(P)で表される化合物の合計の含有量は、本願の一般式(P)で表される化合物を含む組成物に対して、0.05~10%含んでいることが好ましく、0.1~8%含んでいることが好ましく、0.1~5%含んでいることが好ましく、0.1~3%含んでいることが好ましく、0.2~2%含んでいることが好ましく、0.2~1.3%含んでいることが好ましく、0.2~1%含んでいることが好ましく、0.2~0.56%含んでいることが好ましい。
【0122】
一般式(P)で表される化合物の合計の含有量の好ましい下限値は、本願の一般式(P)で表される化合物を含む組成物に対して、0.01%であり、0.03%であり、0.05%であり、0.08%であり、0.1%であり、0.15%であり、0.2%であり、0.25%であり、0.3%である。
【0123】
一般式(P)で表される化合物の合計の含有量の好ましい上限値は、本願の一般式(P)で表される化合物を含む組成物に対して、10%であり、8%であり、5%であり、3%であり、1.5%であり、1.2%であり、1%であり、0.8%であり、0.5%である。
【0124】
含有量が少ないと一般式(P)で表される化合物を加える効果が現れにくく、液晶組成物の配向規制力が弱い又は経時的に弱くなってしまうなどの問題が発生し、多すぎると硬化後に残存する量が多くなる、硬化に時間がかかる、液晶の信頼性が低下する等の問題が生じる。このため、これらのバランスを考慮し含有量を設定する。
【0125】
一般式(P)で表される化合物は、一般式(P-1)、一般式(P-2)、一般式(P-3)及び一般式(P-4)で表される化合物が好ましい。
【0126】
【化33】
【0127】
(式中、Pp11、Pp12、Pp21、Pp22、Pp31、Pp32、Pp41及びPp42はそれぞれ独立して、一般式(P)におけるPp1と同じ意味を表し、
Spp11、Spp12、Spp21、Spp22、Spp31及びSpp32、Spp41及びSpp42はそれぞれ独立して、一般式(P)におけるSpp1と同じ意味を表し、
p11、Ap12、Ap13、Ap21、Ap22、Ap23、Ap32及びAp42はそれぞれ独立して、1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキシレン基、アントラセン-2,6-ジイル基、フェナントレン-2,7-ジイル基、ピリジン-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基、インダン-2,5-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基又は1,3-ジオキサン-2,5-ジイル基を表すが、Ap11、Ap12、Ap13、Ap21、Ap22、Ap23、Ap32及びAp42はそれぞれ独立して、無置換であるか又は炭素原子数1~12のアルキル基、炭素原子数1~12のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1~12のアルコキシ基、炭素原子数1~12のハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基又は一般式(P)における-Spp2-Pp2で置換されていても良く、
p41は、一般式(P)のAp1と同じ意味を表し、
p43は、一般式(P)のAp3と同じ意味を表し、
p21、Zp22、Zp41及びZp42は、単結合、-O-、-S-、-CH-、-OCH-、-CHO-、-CO-、-C-、-COO-、-OCO-、-OCOOCH-、-CHOCOO-、-OCHCHO-、-CO-NRZP1-、-NRZP1-CO-、-SCH-、-CHS-、-CH=CRZP1-COO-、-CH=CRZP1-OCO-、-COO-CRZP1=CH-、-OCO-CRZP1=CH-、-COO-CRZP1=CH-COO-、-COO-CRZP1=CH-OCO-、-OCO-CRZP1=CH-COO-、-OCO-CRZP1=CH-OCO-、-(CH-COO-、-(CH-OCO-、-OCO-(CH-、-(C=O)-O-(CH-、-CH=CH-、-CF=CF-、-CF=CH-、-CH=CF-、-CF-、-CFO-、-OCF-、-CFCH-、-CHCF-、-CFCF-又は-C≡C-(式中、RZP1はそれぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1~4のアルキル基を表すが、分子内にRZP1が複数存在する場合、それらは同一であっても異なっていても良い。)を表すが、分子内に存在するZp21及びZp22の少なくとも1つは、単結合以外を表す。)
p11、Pp12、Pp21、Pp22、Pp31、Pp32、Pp41及びPp42は、それぞれ独立して一般式(P)におけるPp1と同様に式(Pp1-1)~式(Pp1-3)のいずれかであることが好ましく、(Pp1-1)であることが好ましく、Rp11及びRp12はそれぞれ独立して、水素原子又はメチル基であることが好ましい。
【0128】
Spp11、Spp12、Spp21、Spp22、Spp31及びSpp32、Spp41及びSpp42はそれぞれ独立して、単結合又は炭素原子数1~30のアルキレン基を表し、該アルキレン基中の-CH-は酸素原子同士が直接連結しない限りにおいて-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CH=CH-又は-C≡C-で置換されていてもよく、該アルキレン基中の水素原子はハロゲン原子で置換されていても良いが、直鎖の炭素原子数1~10のアルキレン基又は単結合が好ましい。
【0129】
p11、Ap12、Ap13、Ap21、Ap22、Ap23、Ap32及びAp42はそれぞれ独立して、1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキシレン基、アントラセン-2,6-ジイル基、フェナントレン-2,7-ジイル基又はナフタレン-2,6-ジイル基が好ましく、1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキシレン基、フェナントレン-2,7-ジイル基又はナフタレン-2,6-ジイル基が好ましい。一般式(P-1)及び(P-2)においてはそれぞれ独立して1,4-フェニレン基又は1,4-シクロヘキシレン基が好ましく、液晶化合物との相溶性を改善するために、その構造中の1又は2以上の水素原子がメチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基又はフッ素原子に置換されていても良い。一般式(P-3)においてはフェナントレン-2,7-ジイル基が好ましく、液晶化合物との相溶性を改善するために、その構造中の1又は2以上の水素原子がメチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基又はフッ素原子に置換されていても良い。
【0130】
p21は、単結合、-OCH-、-CHO-、-CO-、-C-、-COO-、-OCO-、-COOC-、-OCOC-、-COCO-、-CCOO-、-CH=CH-、-CF-、-CFO-、-(CH-COO-、-(CH-OCO-、-OCO-(CH-、-CH=CH-COO-、-COO-CH=CH-、-OCOCH=CH-、-COO-(CH-、-OCF-又は-C≡C-が好ましく、単結合、-OCH-、-CHO-、-C-、-COO-、-OCO-、-COOC-、-OCOC-、-COCO-、-CCOO-、-CH=CH-、-(CH-COO-、-(CH-OCO-、-OCO-(CH-、-CH=CH-COO-、-COO-CH=CH-、-OCOCH=CH-、-COO-(CH-又は-C≡C-が好ましく、分子内に存在する1つのみが-OCH-、-CHO-、-C-、-COO-、-OCO-、-COOC-、-OCOC-、-COCO-、-CCOO-、-CH=CH-、-(CH-COO-、-(CH-OCO-、-OCO-(CH-、-CH=CH-COO-、-COO-CH=CH-、-OCOCH=CH-、-COO-(CH-又は-C≡C-であり、他がすべて単結合であることが好ましく、分子内に存在する1つのみが、-OCH-、-CHO-、-C-、-COO-又は-OCO-であり、他がすべて単結合であることが好ましく、すべてが単結合であることが好ましい。
【0131】
また、分子内に存在するZp21の1つのみが、-(CH-COO-、-(CH-OCO-、-O-CO-(CH-、-COO-(CH-からなる群から選択される連結基であり、他は単結合であることが好ましい。
【0132】
本発明に係る一般式(P-1)で表される化合物の好ましい例として、下記式(P-1-1)~式(P-1-46)で表される重合性化合物が挙げられる。
【0133】
【化34】
【0134】
【化35】
【0135】
【化36】
【0136】
【化37】
【0137】
【化38】
【0138】
(式中、Pp11、Pp12、Spp11及びSpp12は、一般式(P-1)におけるPp11、Pp12、Spp11及びSpp12と同じ意味を表す。)
本発明に係る一般式(P-2)で表される化合物の好ましい例として、下記式(P-2-1)~式(P-2-12)で表される重合性化合物が挙げられる。
【0139】
【化39】
【0140】
(式中、Pp21、Pp22、Spp21及びSpp22は、一般式(P-2)におけるPp21、Pp22、Spp21及びSpp22と同じ意味を表す。)
本発明に係る一般式(P-3)で表される化合物の好ましい例として、下記式(P-3-1)~式(P-3-15)で表される重合性化合物が挙げられる。
【0141】
【化40】
【0142】
【化41】
【0143】
(式中、Pp31、Pp32、Spp31及びSpp32は、一般式(P-3)におけるPp31、Pp32、Spp31及びSpp32と同じ意味を表す。)
本発明に係る一般式(P-4)で表される化合物の好ましい例として、下記式(P-4-1)~式(P-4-15)で表される重合性化合物が挙げられる。
【0144】
【化42】
【0145】
【化43】
【0146】
【化44】
【0147】
【化45】
【0148】
(式中、Pp41、Pp42、Spp41及びSpp42は、一般式(P-4)におけるPp41、Pp42、Spp41及びSpp42と同じ意味を表す。)
本発明の液晶組成物は、負の誘電率異方性を有し、誘電率異方性の絶対値が1.5以上であり、下記一般式(N-1)で表される化合物群から選ばれる化合物を1種類又は2種類以上含有する。
【0149】
一般式(N-1)で表される化合物は誘電的に負の化合物(Δεの符号が負で、その絶対値が2より大きい。)に該当する。
【0150】
一般式(N-1)で表される化合物は、Δεが負でその絶対値が3よりも大きな化合物であることが好ましい。
【0151】
一般式(N-1)中、RN11及びRN12はそれぞれ独立して、炭素原子数1~8のアルキル基、炭素原子数1~8のアルコキシ基、炭素原子数2~8のアルケニル基又は炭素原子数2~8のアルケニルオキシ基が好ましく、炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数1~5のアルコキシ基、炭素原子数2~5のアルケニル基又は炭素原子数2~5のアルケニルオキシ基が好ましく、炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数2~5のアルケニル基が更に好ましく、炭素原子数2~5のアルキル基又は炭素原子数2~3のアルケニル基が更に好ましく、炭素原子数3のアルケニル基(プロペニル基)が特に好ましい。
【0152】
また、それが結合する環構造がフェニル基(芳香族)である場合には、直鎖状の炭素原子数1~5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1~4のアルコキシ基及び炭素原子数4~5のアルケニル基が好ましく、それが結合する環構造がシクロヘキサン、ピラン及びジオキサンなどの飽和した環構造の場合には、直鎖状の炭素原子数1~5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1~4のアルコキシ基及び直鎖状の炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましい。ネマチック相を安定化させるためには炭素原子及び存在する場合酸素原子の合計が5以下であることが好ましく、直鎖状であることが好ましい。
【0153】
アルケニル基としては、式(R1)から式(R5)のいずれかで表される基から選ばれることが好ましい。(各式中の黒点は環構造中の炭素原子を表す。)
【0154】
【化46】
【0155】
N11及びAN12はそれぞれ独立してΔnを大きくすることが求められる場合には芳香族であることが好ましく、応答速度を改善するためには脂肪族であることが好ましく、トランス-1,4-シクロへキシレン基、1,4-フェニレン基、2-フルオロ-1,4-フェニレン基、3-フルオロ-1,4-フェニレン基、3,5-ジフルオロ-1,4-フェニレン基、2,3-ジフルオロ-1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキセニレン基、1,4-ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ピペリジン-1,4-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基又は1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基を表すことが好ましく、下記の構造を表すことがより好ましく、
【0156】
【化47】
【0157】
トランス-1,4-シクロへキシレン基、1,4-シクロヘキセニレン基又は1,4-フェニレン基を表すことがより好ましい。
【0158】
N11及びZN12はそれぞれ独立して-CHO-、-CFO-、-CHCH-、-CFCF-又は単結合を表すことが好ましく、-CHO-、-CHCH-又は単結合が更に好ましく、-CHO-又は単結合が特に好ましい。
【0159】
N11+nN12は1又は2が好ましく、nN11が1でありnN12が0である組み合わせ、nN11が2でありnN12が0である組み合わせ、nN11が1でありnN12が1である組み合わせ、nN11が2でありnN12が1である組み合わせが好ましい。
【0160】
本願において%は特別な記載がない場合には、質量%を意味する。
【0161】
本発明の組成物の総量に対しての式(N-1)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1%であり、10%であり、20%であり、30%であり、40%であり、50%であり、55%であり、60%であり、65%であり、70%であり、75%であり、80%である。好ましい含有量の上限値は、95%であり、85%であり、75%であり、65%であり、55%であり、45%であり、35%であり、25%であり、20%である。
【0162】
本発明の組成物の粘度を低く保ち、応答速度が速い組成物が必要な場合は上記の下限値が低く上限値が低いことが好ましい。さらに、本発明の組成物のTniを高く保ち、温度安定性の良い組成物が必要な場合は上記の下限値が低く上限値が低いことが好ましい。また、駆動電圧を低く保つために誘電率異方性を大きくしたいときは、上記の下限値を高く上限値が高いことが好ましい。
【0163】
一般式(N-1)で表される化合物として、下記の一般式(N-1a)~(N-1g)で表される化合物群を挙げることができる。
【0164】
【化48】
【0165】
(式中、RN11及びRN12は一般式(N-1)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表し、nNa11は0又は1を表し、nNb11は1又は2を表し、nNc11は0又は1を表し、nNd11は1又は2を表し、nNe11は1又は2を表し、nNf12は1又は2を表し、nNg11は1又は2を表し、ANe11はトランス-1,4-シクロへキシレン基又は1,4-フェニレン基を表し、ANg11はトランス-1,4-シクロへキシレン基、1,4-シクロヘキセニレン基又は1,4-フェニレン基を表すが少なくとも1つは1,4-シクロヘキセニレン基を表し、ZNe11は単結合又はエチレンを表すが分子内に存在する少なくとも1つはエチレンを表し、分子内に複数存在するANe11、ZNe11、及び/又はANg11は同一であっても異なっていても良い。)
より具体的には、一般式(N-1)で表される化合物は一般式(N-1-1)~(N-1-21)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
【0166】
一般式(N-1-1)で表される化合物は下記の化合物である。
【0167】
【化49】
【0168】
(式中、RN111及びRN112はそれぞれ独立して、一般式(N-1)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表す。)
N111は炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましく、プロピル基、ペンチル基又はビニル基が好ましい。RN112は炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数4~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基が好ましく、エトキシ基又はブトキシ基が好ましい。
【0169】
一般式(N-1-1)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0170】
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高く、TNIを重視する場合は含有量を低めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0171】
本発明の組成物の総量に対しての式(N-1-1)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、5%であり、10%であり、13%であり、15%であり、17%であり、20%であり、23%であり、25%であり、27%であり、30%であり、33%であり、35%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の組成物の総量に対して、50%であり、40%であり、38%であり、35%であり、33%であり、30%であり、28%であり、25%であり、23%であり、20%であり、18%であり、15%であり、13%であり、10%であり、8%であり、7%であり、6%であり、5%であり、3%である。
【0172】
さらに、一般式(N-1-1)で表される化合物は、式(N-1-1.1)から式(N-1-1.23)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(N-1-1.1)~(N-1-1.4)で表される化合物であることが好ましく、式(N-1-1.1)及び式(N-1-1.3)で表される化合物が好ましい。
【0173】
【化50】
【0174】
式(N-1-1.1)~(N-1-1.22)で表される化合物は単独で使用することも、組み合わせて使用することも可能であるが、本発明の組成物の総量に対しての単独又はこれら化合物の好ましい含有量の下限値は、5%であり、10%であり、13%であり、15%であり、17%であり、20%であり、23%であり、25%であり、27%であり、30%であり、33%であり、35%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の組成物の総量に対して、50%であり、40%であり、38%であり、35%であり、33%であり、30%であり、28%であり、25%であり、23%であり、20%であり、18%であり、15%であり、13%であり、10%であり、8%であり、7%であり、6%であり、5%であり、3%である。
【0175】
一般式(N-1-2)で表される化合物は下記の化合物である。
【0176】
【化51】
【0177】
(式中、RN121及びRN122はそれぞれ独立して、一般式(N-1)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表す。)
N121は炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましく、エチル基、プロピル基、ブチル基又はペンチル基が好ましい。RN122は炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数4~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基が好ましく、メチル基、プロピル基、メトキシ基、エトキシ基又はプロポキシ基が好ましい。
【0178】
一般式(N-1-2)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0179】
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を低めに設定すると効果が高く、TNIを重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0180】
本発明の組成物の総量に対しての式(N-1-2)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、5%であり、7%であり、10%であり、13%であり、15%であり、17%であり、20%であり、23%であり、25%であり、27%であり、30%であり、33%であり、35%であり、37%であり、40%であり、42%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の組成物の総量に対して、50%であり、48%であり、45%であり、43%であり、40%であり、38%であり、35%であり、33%であり、30%であり、28%であり、25%であり、23%であり、20%であり、18%であり、15%であり、13%であり、10%であり、8%であり、7%であり、6%であり、5%である。
【0181】
さらに、一般式(N-1-2)で表される化合物は、式(N-1-2.1)から式(N-1-2.22)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(N-1-2.3)から式(N-1-2.7)、式(N-1-2.10)、式(N-1-2.11)、式(N-1-2.13)及び式(N-1-2.20)で表される化合物であることが好ましく、Δεの改良を重視する場合には式(N-1-2.3)から式(N-1-2.7)で表される化合物が好ましく、TNIの改良を重視する場合には式(N-1-2.10)、式(N-1-2.11)及び式(N-1-2.13)で表される化合物であることが好ましく、応答速度の改良を重視する場合には式(N-1-2.20)で表される化合物であることが好ましい。
【0182】
【化52】
【0183】
式(N-1-2.1)から式(N-1-2.22)で表される化合物は単独で使用することも、組み合わせて使用することも可能であるが、本発明の組成物の総量に対しての単独又はこれら化合物の好ましい含有量の下限値は、5%であり、10%であり、13%であり、15%であり、17%であり、20%であり、23%であり、25%であり、27%であり、30%であり、33%であり、35%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の組成物の総量に対して、50%であり、40%であり、38%であり、35%であり、33%であり、30%であり、28%であり、25%であり、23%であり、20%であり、18%であり、15%であり、13%であり、10%であり、8%であり、7%であり、6%であり、5%であり、3%である。
【0184】
一般式(N-1-3)で表される化合物は下記の化合物である。
【0185】
【化53】
【0186】
(式中、RN131及びRN132はそれぞれ独立して、一般式(N-1)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表す。)
N131は炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましく、エチル基、プロピル基又はブチル基が好ましい。RN132は炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数3~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基が好ましく、1-プロペニル基、エトキシ基、プロポキシ基又はブトキシ基が好ましい。
【0187】
一般式(N-1-3)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0188】
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高く、TNIを重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0189】
本発明の組成物の総量に対しての式(N-1-3)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、5%であり、10%であり、13%であり、15%であり、17%であり、20%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の組成物の総量に対して、35%であり、30%であり、28%であり、25%であり、23%であり、20%であり、18%であり、15%であり、13%である。
【0190】
さらに、一般式(N-1-3)で表される化合物は、式(N-1-3.1)から式(N-1-3.21)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(N-1-3.1)~(N-1-3.7)及び式(N-1-3.21)で表される化合物であることが好ましく、式(N-1-3.1)、式(N-1-3.2)、式(N-1-3.3)、式(N-1-3.4)及び式(N-1-3.6)で表される化合物が好ましい。
【0191】
【化54】
【0192】
式(N-1-3.1)~式(N-1-3.4)、式(N-1-3.6)及び式(N-1-3.21)で表される化合物は単独で使用することも、組み合わせて使用することも可能であるが、式(N-1-3.1)及び式(N-1-3.2)の組み合わせ、式(N-1-3.3)、式(N-1-3.4)及び式(N-1-3.6)から選ばれる2種又は3種の組み合わせが好ましい。本発明の組成物の総量に対しての単独又はこれら化合物の好ましい含有量の下限値は、5%であり、10%であり、13%であり、15%であり、17%であり、20%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の組成物の総量に対して、35%であり、30%であり、28%であり、25%であり、23%であり、20%であり、18%であり、15%であり、13%である。
【0193】
一般式(N-1-4)で表される化合物は下記の化合物である。
【0194】
【化55】
【0195】
(式中、RN141及びRN142はそれぞれ独立して、一般式(N-1)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表す。)
N141及びRN142はそれぞれ独立して、炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数4~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基が好ましく、メチル基、プロピル基、エトキシ基又はブトキシ基が好ましい。
【0196】
一般式(N-1-4)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0197】
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高く、TNIを重視する場合は含有量を低めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0198】
本発明の組成物の総量に対しての式(N-1-4)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、3%であり、5%であり、7%であり、10%であり、13%であり、15%であり、17%であり、20%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の組成物の総量に対して、35%であり、30%であり、28%であり、25%であり、23%であり、20%であり、18%であり、15%であり、13%であり、11%であり、10%であり、8%である。
【0199】
さらに、一般式(N-1-4)で表される化合物は、式(N-1-4.1)から式(N-1-4.14)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(N-1-4.1)~(N-1-4.4)で表される化合物であることが好ましく、式(N-1-4.1)、式(N-1-4.2)及び式(N-1-4.4)で表される化合物が好ましい。
【0200】
【化56】
【0201】
式(N-1-4.1)~(N-1-4.14)で表される化合物は単独で使用することも、組み合わせて使用することも可能であるが、本発明の組成物の総量に対しての単独又はこれら化合物の好ましい含有量の下限値は、3%であり、5%であり、7%であり、10%であり、13%であり、15%であり、17%であり、20%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の組成物の総量に対して、35%であり、30%であり、28%であり、25%であり、23%であり、20%であり、18%であり、15%であり、13%であり、11%であり、10%であり、8%である。
【0202】
一般式(N-1-5)で表される化合物は下記の化合物である。
【0203】
【化57】
【0204】
(式中、RN151及びRN152はそれぞれ独立して、一般式(N-1)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表す。)
N151及びRN152はそれぞれ独立して、炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数4~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基が好ましくエチル基、プロピル基又はブチル基が好ましい。
【0205】
一般式(N-1-5)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0206】
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を低めに設定すると効果が高く、TNIを重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0207】
本発明の組成物の総量に対しての式(N-1-5)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、5%であり、8%であり、10%であり、13%であり、15%であり、17%であり、20%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の組成物の総量に対して、35%であり、33%であり、30%であり、28%であり、25%であり、23%であり、20%であり、18%であり、15%であり、13%である。
【0208】
さらに、一般式(N-1-5)で表される化合物は、式(N-1-5.1)から式(N-1-5.6)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(N-1-5.1)、式(N-1-5.2)及び式(N-1-5.4)で表される化合物が好ましい。
【0209】
【化58】
【0210】
式(N-1-5.1)、式(N-1-5.2)及び式(N-1-5.4)で表される化合物は単独で使用することも、組み合わせて使用することも可能であるが、本発明の組成物の総量に対しての単独又はこれら化合物の好ましい含有量の下限値は、5%であり、8%であり、10%であり、13%であり、15%であり、17%であり、20%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の組成物の総量に対して、35%であり、33%であり、30%であり、28%であり、25%であり、23%であり、20%であり、18%であり、15%であり、13%である。
【0211】
一般式(N-1-10)で表される化合物は下記の化合物である。
【0212】
【化59】
【0213】
(式中、RN1101及びRN1102はそれぞれ独立して、一般式(N-1)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表す。)
N1101は炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましく、エチル基、プロピル基、ブチル基、ビニル基又は1-プロペニル基が好ましい。RN1102は炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数4~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基が好ましく、エトキシ基、プロポキシ基又はブトキシ基が好ましい。
【0214】
一般式(N-1-10)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0215】
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高く、TNIを重視する場合は含有量を低めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0216】
本発明の組成物の総量に対しての式(N-1-10)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、5%であり、10%であり、13%であり、15%であり、17%であり、20%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の組成物の総量に対して、35%であり、30%であり、28%であり、25%であり、23%であり、20%であり、18%であり、15%であり、13%である。
【0217】
さらに、一般式(N-1-10)で表される化合物は、式(N-1-10.1)から式(N-1-10.14)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(N-1-10.1)~(N-1-10.5)で表される化合物であることが好ましく、式(N-1-10.1)及び式(N-1-10.2)で表される化合物が好ましい。
【0218】
【化60】
【0219】
(N-1-10.1)及び式(N-1-10.2)で表される化合物は単独で使用することも、組み合わせて使用することも可能であるが、本発明の組成物の総量に対しての単独又はこれら化合物の好ましい含有量の下限値は、5%であり、10%であり、13%であり、15%であり、17%であり、20%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の組成物の総量に対して、35%であり、30%であり、28%であり、25%であり、23%であり、20%であり、18%であり、15%であり、13%である。
【0220】
一般式(N-1-11)で表される化合物は下記の化合物である。
【0221】
【化61】
【0222】
(式中、RN1111及びRN1112はそれぞれ独立して、一般式(N-1)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表す。)
N1111は炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましく、エチル基、プロピル基、ブチル基、ビニル基又は1-プロペニル基が好ましい。RN1112は炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数4~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基が好ましく、エトキシ基、プロポキシ基又はブトキシ基が好ましい。
【0223】
一般式(N-1-11)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0224】
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を低めに設定すると効果が高く、TNIを重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0225】
本発明の組成物の総量に対しての式(N-1-11)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、5%であり、10%であり、13%であり、15%であり、17%であり、20%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の組成物の総量に対して、35%であり、30%であり、28%であり、25%であり、23%であり、20%であり、18%であり、15%であり、13%である。
【0226】
さらに、一般式(N-1-11)で表される化合物は、式(N-1-11.1)から式(N-1-11.14)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(N-1-11.1)~(N-1-11.14)で表される化合物であることが好ましく、式(N-1-11.2及び式(N-1-11.4)で表される化合物が好ましい。
【0227】
【化62】
【0228】
式(N-1-11.2)及び式(N-1-11.4)で表される化合物は単独で使用することも、組み合わせて使用することも可能であるが、本発明の組成物の総量に対しての単独又はこれら化合物の好ましい含有量の下限値は、5%であり、10%であり、13%であり、15%であり、17%であり、20%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の組成物の総量に対して、35%であり、30%であり、28%であり、25%であり、23%であり、20%であり、18%であり、15%であり、13%である。
【0229】
一般式(N-1-12)で表される化合物は下記の化合物である。
【0230】
【化63】
【0231】
(式中、RN1121及びRN1122はそれぞれ独立して、一般式(N-1)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表す。)
N1121は炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましく、エチル基、プロピル基又はブチル基が好ましい。RN1122は炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数4~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基が好ましく、エトキシ基、プロポキシ基又はブトキシ基が好ましい。
【0232】
一般式(N-1-12)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0233】
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高く、TNIを重視する場合は含有量を低めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0234】
本発明の組成物の総量に対しての式(N-1-12)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、5%であり、10%であり、13%であり、15%であり、17%であり、20%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の組成物の総量に対して、35%であり、30%であり、28%であり、25%であり、23%であり、20%であり、18%であり、15%であり、13%である。
【0235】
一般式(N-1-13)で表される化合物は下記の化合物である。
【0236】
【化64】
【0237】
(式中、RN1131及びRN1132はそれぞれ独立して、一般式(N-1)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表す。)
N1131は炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましく、エチル基、プロピル基又はブチル基が好ましい。RN1132は炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数4~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基が好ましく、エトキシ基、プロポキシ基又はブトキシ基が好ましい。
【0238】
一般式(N-1-13)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0239】
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高く、TNIを重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0240】
本発明の組成物の総量に対しての式(N-1-13)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、5%であり、10%であり、13%であり、15%であり、17%であり、20%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の組成物の総量に対して、35%であり、30%であり、28%であり、25%であり、23%であり、20%であり、18%であり、15%であり、13%である。
【0241】
一般式(N-1-14)で表される化合物は下記の化合物である。
【0242】
【化65】
【0243】
(式中、RN1141及びRN1142はそれぞれ独立して、一般式(N-1)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表す。)
N1141は炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましく、エチル基、プロピル基又はブチル基が好ましい。RN1142は炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数4~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基が好ましく、エトキシ基、プロポキシ基又はブトキシ基が好ましい。
【0244】
一般式(N-1-14)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0245】
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高く、TNIを重視する場合は含有量を低めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0246】
本発明の組成物の総量に対しての式(N-1-14)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、5%であり、10%であり、13%であり、15%であり、17%であり、20%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の組成物の総量に対して、35%であり、30%であり、28%であり、25%であり、23%であり、20%であり、18%であり、15%であり、13%である。
【0247】
一般式(N-1-15)で表される化合物は下記の化合物である。
【0248】
【化66】
【0249】
(式中、RN1151及びRN1152はそれぞれ独立して、一般式(N-1)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表す。)
N1151は炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましく、エチル基、プロピル基又はブチル基が好ましい。RN1152は炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数4~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基が好ましく、エトキシ基、プロポキシ基又はブトキシ基が好ましい。
【0250】
一般式(N-1-15)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0251】
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高く、TNIを重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0252】
本発明の組成物の総量に対しての式(N-1-15)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、5%であり、10%であり、13%であり、15%であり、17%であり、20%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の組成物の総量に対して、35%であり、30%であり、28%であり、25%であり、23%であり、20%であり、18%であり、15%であり、13%である。
【0253】
一般式(N-1-16)で表される化合物は下記の化合物である。
【0254】
【化67】
【0255】
(式中、RN1161及びRN1162はそれぞれ独立して、一般式(N-1)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表す。)
N1161は炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましく、エチル基、プロピル基又はブチル基が好ましい。RN1162は炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数4~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基が好ましく、エトキシ基、プロポキシ基又はブトキシ基が好ましい。
【0256】
一般式(N-1-16)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0257】
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高く、TNIを重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0258】
本発明の組成物の総量に対しての式(N-1-16)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、5%であり、10%であり、13%であり、15%であり、17%であり、20%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の組成物の総量に対して、35%であり、30%であり、28%であり、25%であり、23%であり、20%であり、18%であり、15%であり、13%である。
【0259】
一般式(N-1-17)で表される化合物は下記の化合物である。
【0260】
【化68】
【0261】
(式中、RN1171及びRN1172はそれぞれ独立して、一般式(N-1)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表す。)
N1171は炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましく、エチル基、プロピル基又はブチル基が好ましい。RN1172は炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数4~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基が好ましく、エトキシ基、プロポキシ基又はブトキシ基が好ましい。
【0262】
一般式(N-1-17)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0263】
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高く、TNIを重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0264】
本発明の組成物の総量に対しての式(N-1-17)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、5%であり、10%であり、13%であり、15%であり、17%であり、20%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の組成物の総量に対して、35%であり、30%であり、28%であり、25%であり、23%であり、20%であり、18%であり、15%であり、13%である。
【0265】
一般式(N-1-18)で表される化合物は下記の化合物である。
【0266】
【化69】
【0267】
(式中、RN1181及びRN1182はそれぞれ独立して、一般式(N-1)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表す。)
N1181は炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基が好ましい。RN1182は炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数4~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基が好ましく、エトキシ基、プロポキシ基又はブトキシ基が好ましい。
【0268】
一般式(N-1-18)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0269】
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高く、TNIを重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0270】
本発明の組成物の総量に対しての式(N-1-18)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、5%であり、10%であり、13%であり、15%であり、17%であり、20%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の組成物の総量に対して、35%であり、30%であり、28%であり、25%であり、23%であり、20%であり、18%であり、15%であり、13%である。
【0271】
さらに、一般式(N-1-18)で表される化合物は、式(N-1-18.1)から式(N-1-18.5)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(N-1-18.1)~(N-1-18.3)で表される化合物であることが好ましく、式(N-1-18.2)及び式(N-1-18.3)で表される化合物が好ましい。
【0272】
【化70】
【0273】
一般式(N-1-20)で表される化合物は下記の化合物である。
【0274】
【化71】
【0275】
(式中、RN1201及びRN1202はそれぞれ独立して、一般式(N-1)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表す。)
N1201及びRN1202はそれぞれ独立して、炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましく、エチル基、プロピル基又はブチル基が好ましい。
【0276】
一般式(N-1-20)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0277】
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高く、TNIを重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0278】
本発明の組成物の総量に対しての式(N-1-20)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、5%であり、10%であり、13%であり、15%であり、17%であり、20%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の組成物の総量に対して、35%であり、30%であり、28%であり、25%であり、23%であり、20%であり、18%であり、15%であり、13%である。
【0279】
一般式(N-1-21)で表される化合物は下記の化合物である。
【0280】
【化72】
【0281】
(式中、RN1211及びRN1212はそれぞれ独立して、一般式(N-1)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表す。)
N1211及びRN1212はそれぞれ独立して、炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましく、エチル基、プロピル基又はブチル基が好ましい。
【0282】
一般式(N-1-21)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0283】
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高く、TNIを重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0284】
本発明の組成物の総量に対しての式(N-1-21)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、5%であり、10%であり、13%であり、15%であり、17%であり、20%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の組成物の総量に対して、35%であり、30%であり、28%であり、25%であり、23%であり、20%であり、18%であり、15%であり、13%である。
【0285】
一般式(N-1-22)で表される化合物は下記の化合物である。
【0286】
【化73】
【0287】
(式中、RN1221及びRN1222はそれぞれ独立して、一般式(N-1)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表す。)
N1221及びRN1222はそれぞれ独立して、炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましく、エチル基、プロピル基又はブチル基が好ましい。
【0288】
一般式(N-1-22)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0289】
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高く、TNIを重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0290】
本発明の組成物の総量に対しての式(N-1-21)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1%であり、5%であり、10%であり、13%であり、15%であり、17%であり20%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の組成物の総量に対して、35%であり、30%であり、28%であり、25%であり、23%であり、20%であり、18%であり、15%であり、13%であり、10%であり、5%である。
【0291】
さらに、一般式(N-1-22)で表される化合物は、式(N-1-22.1)から式(N-1-22.12)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(N-1-22.1)~(N-1-22.5)で表される化合物であることが好ましく、式(N-1-22.1)~(N-1-22.4)で表される化合物が好ましい。
【0292】
【化74】
【0293】
上記含有量を調整することにより、本願発明の液晶組成物を用いて液晶表示素子を作成した際に、
本発明の液晶組成物は、一般式(L)で表される化合物を1種類又は2種類以上含有することが好ましい。一般式(L)で表される化合物は誘電的にほぼ中性の化合物(Δεの値が-2~2)に該当する。このため、分子内に有する、ハロゲン等の極性基の個数を2個以下とした方が好ましく、1個以下とした方が好ましく、有さない方が好ましい。
【0294】
【化75】
【0295】
(式中、RL1及びRL2はそれぞれ独立して炭素原子数1~8のアルキル基を表し、該アルキル基中の1個又は非隣接の2個以上の-CH-はそれぞれ独立して-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-CO-、-COO-又は-OCO-によって置換されていてもよく、
L1は0、1、2又は3を表し、
L1、AL2及びAL3はそれぞれ独立して
(a) 1,4-シクロヘキシレン基(この基中に存在する1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-は-O-に置き換えられてもよい。)及び
(b) 1,4-フェニレン基(この基中に存在する1個の-CH=又は隣接していない2個以上の-CH=は-N=に置き換えられてもよい。)
(c) ナフタレン-2,6-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基又はデカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基(ナフタレン-2,6-ジイル基又は1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基中に存在する1個の-CH=又は隣接していない2個以上の-CH=は-N=に置き換えられても良い。)
からなる群より選ばれる基を表し、上記の基(a)、基(b)及び基(c)はそれぞれ独立してシアノ基、フッ素原子又は塩素原子で置換されていても良く、
L1及びZL2はそれぞれ独立して単結合、-CHCH-、-(CH-、-OCH-、-CHO-、-COO-、-OCO-、-OCF-、-CFO-、-CH=N-N=CH-、-CH=CH-、-CF=CF-又は-C≡C-を表し、
L1が2又は3であってAL2が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていても良く、nL1が2又は3であってZL3が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていても良いが、一般式(N-1)、(N-2)及び(N-3)で表される化合物を除く。)
一般式(L)で表される化合物は単独で用いてもよいが、組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの所望の性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類である。あるいは本発明の別の実施形態では2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類であり、6種類であり、7種類であり、8種類であり、9種類であり、10種類以上である。
【0296】
本発明の組成物において、一般式(L)で表される化合物の含有量は、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率、プロセス適合性、滴下痕、焼き付き、誘電率異方性などの求められる性能に応じて適宜調整する必要がある。
【0297】
本発明の組成物の総量に対しての式(L)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1%であり、10%であり、20%であり、30%であり、40%であり、50%であり、55%であり、60%であり、65%であり、70%であり、75%であり、80%である。好ましい含有量の上限値は、95%であり、85%であり、75%であり、65%であり、55%であり、45%であり、35%であり、25%である。
【0298】
本発明の組成物の粘度を低く保ち、応答速度が速い組成物が必要な場合は上記の下限値が高く上限値が高いことが好ましい。さらに、本発明の組成物のTniを高く保ち、温度安定性の良い組成物が必要な場合は上記の下限値が高く上限値が高いことが好ましい。また、駆動電圧を低く保つために誘電率異方性を大きくしたいときは、上記の下限値を低く上限値が低いことが好ましい。
【0299】
信頼性を重視する場合にはRL1及びRL2はともにアルキル基であることが好ましく、化合物の揮発性を低減させることを重視する場合にはアルコキシ基であることが好ましく、粘性の低下を重視する場合には少なくとも一方はアルケニル基であることが好ましい。
【0300】
分子内に存在するハロゲン原子は0、1、2又は3個が好ましく、0又は1が好ましく、他の液晶分子との相溶性を重視する場合には1が好ましい。
【0301】
L1及びRL2は、それが結合する環構造がフェニル基(芳香族)である場合には、直鎖状の炭素原子数1~5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1~4のアルコキシ基及び炭素原子数4~5のアルケニル基が好ましく、それが結合する環構造がシクロヘキサン、ピラン及びジオキサンなどの飽和した環構造の場合には、直鎖状の炭素原子数1~5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1~4のアルコキシ基及び直鎖状の炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましい。ネマチック相を安定化させるためには炭素原子及び存在する場合酸素原子の合計が5以下であることが好ましく、直鎖状であることが好ましい。
【0302】
アルケニル基としては、式(R1)から式(R5)のいずれかで表される基から選ばれることが好ましい。(各式中の黒点は環構造中の炭素原子を表す。)
【0303】
【化76】
【0304】
L1は応答速度を重視する場合には0が好ましく、ネマチック相の上限温度を改善するためには2又は3が好ましく、これらのバランスをとるためには1が好ましい。また、組成物として求められる特性を満たすためには異なる値の化合物を組み合わせることが好ましい。
【0305】
L1、AL2及びAL3はΔnを大きくすることが求められる場合には芳香族であることが好ましく、応答速度を改善するためには脂肪族であることが好ましく、それぞれ独立してトランス-1,4-シクロへキシレン基、1,4-フェニレン基、2-フルオロ-1,4-フェニレン基、3-フルオロ-1,4-フェニレン基、3,5-ジフルオロ-1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキセニレン基、1,4-ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ピペリジン-1,4-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基又は1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基を表すことが好ましく、下記の構造を表すことがより好ましく、
【0306】
【化77】
【0307】
トランス-1,4-シクロへキシレン基又は1,4-フェニレン基を表すことがより好ましい。
【0308】
L1及びZL2は応答速度を重視する場合には単結合であることが好ましい。
【0309】
一般式(L)で表される化合物は分子内のハロゲン原子数が0個又は1個であることが好ましい。
【0310】
一般式(L)で表される化合物は一般式(L-1)~(L-7)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
【0311】
一般式(L-1)で表される化合物は下記の化合物である。
【0312】
【化78】
【0313】
(式中、RL11及びRL12はそれぞれ独立して、一般式(L)におけるRL1及びRL2と同じ意味を表す。)
L11及びRL12は、直鎖状の炭素原子数1~5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1~4のアルコキシ基及び直鎖状の炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましい。
【0314】
一般式(L-1)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0315】
好ましい含有量の下限値は、本発明の組成物の総量に対して、1%であり、2%であり、3%であり、5%であり、7%であり、10%であり、15%であり、20%であり、25%であり、30%であり、35%であり、40%であり、45%であり、50%であり、55%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の組成物の総量に対して、95%であり、90%であり、85%であり、80%であり、75%であり、70%であり、65%であり、60%であり、55%であり、50%であり、45%であり、40%であり、35%であり、30%であり、25%である。
【0316】
本発明の組成物の粘度を低く保ち、応答速度が速い組成物が必要な場合は上記の下限値が高く上限値が高いことが好ましい。さらに、本発明の組成物のTniを高く保ち、温度安定性の良い組成物が必要な場合は上記の下限値が中庸で上限値が中庸であることが好ましい。また、駆動電圧を低く保つために誘電率異方性を大きくしたいときは、上記の下限値が低く上限値が低いことが好ましい。
【0317】
一般式(L-1)で表される化合物は一般式(L-1-1)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
【0318】
【化79】
【0319】
(式中RL12は一般式(L-1)における意味と同じ意味を表す。)
一般式(L-1-1)で表される化合物は、式(L-1-1.1)から式(L-1-1.3)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(L-1-1.2)又は式(L-1-1.3)で表される化合物であることが好ましく、特に、式(L-1-1.3)で表される化合物であることが好ましい。
【0320】
【化80】
【0321】
本発明の組成物の総量に対しての式(L-1-1.3)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1%であり、2%であり、3%であり、5%であり、7%であり、10%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の組成物の総量に対して、20%であり、15%であり、13%であり、10%であり、8%であり、7%であり、6%であり、5%であり、3%である。
【0322】
一般式(L-1)で表される化合物は一般式(L-1-2)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
【0323】
【化81】
【0324】
(式中RL12は一般式(L-1)における意味と同じ意味を表す。)
本発明の組成物の総量に対しての式(L-1-2)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1%であり、5%であり、10%であり、15%であり、17%であり、20%であり、23%であり、25%であり、27%であり、30%であり、35%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の組成物の総量に対して、60%であり、55%であり、50%であり、45%であり、42%であり、40%であり、38%であり、35%であり、33%であり、30%である。
【0325】
さらに、一般式(L-1-2)で表される化合物は、式(L-1-2.1)から式(L-1-2.4)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(L-1-2.2)から式(L-1-2.4)で表される化合物であることが好ましい。特に、式(L-1-2.2)で表される化合物は本発明の組成物の応答速度を特に改善するため好ましい。また、応答速度よりも高いTniを求めるときは、式(L-1-2.3)又は式(L-1-2.4)で表される化合物を用いることが好ましい。式(L-1-2.3)及び式(L-1-2.4)で表される化合物の含有量は、低温での溶解度を良くするために30%以上にすることは好ましくない。
【0326】
【化82】
【0327】
本発明の組成物の総量に対しての式(L-1-2.2)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、10%であり、15%であり、18%であり、20%であり、23%であり、25%であり、27%であり、30%であり、33%であり、35%であり、38%であり、40%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の組成物の総量に対して、60%であり、55%であり、50%であり、45%であり、43%であり、40%であり、38%であり、35%であり、32%であり、30%であり、27%であり、25%であり、22%である。
【0328】
本発明の組成物の総量に対しての式(L-1-1.3)で表される化合物及び式(L-1-2.2)で表される化合物の合計の好ましい含有量の下限値は、10%であり、15%であり、20%であり、25%であり、27%であり、30%であり、35%であり、40%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の組成物の総量に対して、60%であり、55%であり、50%であり、45%であり、43%であり、40%であり、38%であり、35%であり、32%であり、30%であり、27%であり、25%であり、22%である。
【0329】
一般式(L-1)で表される化合物は一般式(L-1-3)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
【0330】
【化83】
【0331】
(式中RL13及びRL14はそれぞれ独立して炭素原子数1~8のアルキル基又は炭素原子数1~8のアルコキシ基を表す。)
L13及びRL14は、直鎖状の炭素原子数1~5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1~4のアルコキシ基及び直鎖状の炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましい。
【0332】
本発明の組成物の総量に対しての式(L-1-3)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1%であり、5%であり、10%であり、13%であり、15%であり、17%であり、20%であり、23%であり、25%であり、30%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の組成物の総量に対して、60%であり、55%であり、50%であり、45%であり、40%であり、37%であり、35%であり、33%であり、30%であり、27%であり、25%であり、23%であり、20%であり、17%であり、15%であり、13%であり、10%である。
さらに、一般式(L-1-3)で表される化合物は、式(L-1-3.1)から式(L-1-3.13)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(L-1-3.1)、式(L-1-3.3)又は式(L-1-3.4)で表される化合物であることが好ましい。特に、式(L-1-3.1)で表される化合物は本発明の組成物の応答速度を特に改善するため好ましい。また、応答速度よりも高いTniを求めるときは、式(L-1-3.3)、式(L-1-3.4)、式(L-1-3.11)及び式(L-1-3.12)で表される化合物を用いることが好ましい。式(L-1-3.3)、式(L-1-3.4)、式(L-1-3.11)及び式(L-1-3.13)で表される化合物の合計の含有量は、低温での溶解度を良くするために20%以上にすることは好ましくない。
【0333】
【化84】
【0334】
本発明の組成物の総量に対しての式(L-1-3.1)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1%であり、2%であり、3%であり、5%であり、7%であり、10%であり、13%であり、15%であり、18%であり、20%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の組成物の総量に対して、20%であり、17%であり、15%であり、13%であり、10%であり、8%であり、7%であり、6%である。
【0335】
一般式(L-1)で表される化合物は一般式(L-1-4)及び/又は(L-1-5)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
【0336】
【化85】
【0337】
(式中RL15及びRL16はそれぞれ独立して炭素原子数1~8のアルキル基又は炭素原子数1~8のアルコキシ基を表す。)
L15及びRL16は、直鎖状の炭素原子数1~5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1~4のアルコキシ基及び直鎖状の炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましい。
【0338】
本発明の組成物の総量に対しての式(L-1-4)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1%であり、5%であり、10%であり、13%であり、15%であり、17%であり、20%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の組成物の総量に対して、25%であり、23%であり、20%であり、17%であり、15%であり、13%であり、10%である。
【0339】
本発明の組成物の総量に対しての式(L-1-5)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1%であり、5%であり、10%であり、13%であり、15%であり、17%であり、20%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の組成物の総量に対して、25%であり、23%であり、20%であり、17%であり、15%であり、13%であり、10%である。
【0340】
さらに、一般式(L-1-4)及び(L-1-5)で表される化合物は、式(L-1-4.1)から式(L-1-5.3)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(L-1-4.2)又は式(L-1-5.2)で表される化合物であることが好ましい。
【0341】
【化86】
【0342】
本発明の組成物の総量に対しての式(L-1-4.2)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1%であり、2%であり、3%であり、5%であり、7%であり、10%であり、13%であり、15%であり、18%であり、20%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の組成物の総量に対して、20%であり、17%であり、15%であり、13%であり、10%であり、8%であり、7%であり、6%である。
【0343】
式(L-1-1.3)、式(L-1-2.2)、式(L-1-3.1)、式(L-1-3.3)、式(L-1-3.4)、式(L-1-3.11)及び式(L-1-3.12)で表される化合物から選ばれる2種以上の化合物を組み合わせることが好ましく、式(L-1-1.3)、式(L-1-2.2)、式(L-1-3.1)、式(L-1-3.3)、式(L-1-3.4)及び式(L-1-4.2)で表される化合物から選ばれる2種以上の化合物を組み合わせることが好ましく、これら化合物の合計の含有量の好ましい含有量の下限値は、本発明の組成物の総量に対して、1%であり、2%であり、3%であり、5%であり、7%であり、10%であり、13%であり、15%であり、18%であり、20%であり、23%であり、25%であり、27%であり、30%であり、33%であり、35%であり、上限値は、本発明の組成物の総量に対して、80%であり、70%であり、60%であり、50%であり、45%であり、40%であり、37%であり、35%であり、33%であり、30%であり、28%であり、25%であり、23%であり、20%である。組成物の信頼性を重視する場合には、式(L-1-3.1)、式(L-1-3.3)及び式(L-1-3.4))で表される化合物から選ばれる2種以上の化合物を組み合わせることが好ましく、組成物の応答速度を重視する場合には、式(L-1-1.3)、式(L-1-2.2)で表される化合物から選ばれる2種以上の化合物を組み合わせることが好ましい。
一般式(L-1)で表される化合物は一般式(L-1-6)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
【0344】
【化87】
【0345】
(式中RL17及びRL18はそれぞれ独立してメチル基又は水素原子を表す。)
本発明の組成物の総量に対しての式(L-1-6)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1%であり、5%であり、10%であり、15%であり、17%であり、20%であり、23%であり、25%であり、27%であり、30%であり、35%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の組成物の総量に対して、60%であり、55%であり、50%であり、45%であり、42%であり、40%であり、38%であり、35%であり、33%であり、30%である。
【0346】
さらに、一般式(L-1-6)で表される化合物は、式(L-1-6.1)から式(L-1-6.3)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
【0347】
【化88】
【0348】
一般式(L-2)で表される化合物は下記の化合物である。
【0349】
【化89】
【0350】
(式中、RL21及びRL22はそれぞれ独立して、一般式(L)におけるRL1及びRL2と同じ意味を表す。)
L21は炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましく、RL22は炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数4~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基が好ましい。
【0351】
一般式(L-2)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0352】
低温での溶解性を重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高く、反対に、応答速度を重視する場合は含有量を低めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0353】
本発明の組成物の総量に対しての式(L-2)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1%であり、2%であり、3%であり、5%であり、7%であり、10%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の組成物の総量に対して、20%であり、15%であり、13%であり、10%であり、8%であり、7%であり、6%であり、5%であり、3%である。
【0354】
さらに、一般式(L-2)で表される化合物は、式(L-2.1)から式(L-2.6)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(L-2.1)、式(L-2.3)、式(L-2.4)及び式(L-2.6)で表される化合物であることが好ましい。
【0355】
【化90】
【0356】
一般式(L-3)で表される化合物は下記の化合物である。
【0357】
【化91】
【0358】
(式中、RL31及びRL32はそれぞれ独立して、一般式(L)におけるRL1及びRL2と同じ意味を表す。)
L31及びRL32はそれぞれ独立して炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数4~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基が好ましい。
【0359】
一般式(L-3)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0360】
本発明の組成物の総量に対しての式(L-3)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1%であり、2%であり、3%であり、5%であり、7%であり、10%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の組成物の総量に対して、20%であり、15%であり、13%であり、10%であり、8%であり、7%であり、6%であり、5%であり、3%である。
【0361】
高い複屈折率を得る場合は含有量を高めに設定すると効果が高く、反対に、高いTniを重視する場合は含有量を低めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0362】
さらに、一般式(L-3)で表される化合物は、式(L-3.1)から式(L-3.7)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(L-3.2)から式(L-3.5)で表される化合物であることが好ましい。
【0363】
【化92】
【0364】
一般式(L-4)で表される化合物は下記の化合物である。
【0365】
【化93】
【0366】
(式中、RL41及びRL42はそれぞれ独立して、一般式(L)におけるRL1及びRL2と同じ意味を表す。)
L41は炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましく、RL42は炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数4~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基が好ましい。)
一般式(L-4)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0367】
本発明の組成物において、一般式(L-4)で表される化合物の含有量は、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率、プロセス適合性、滴下痕、焼き付き、誘電率異方性などの求められる性能に応じて適宜調整する必要がある。
【0368】
本発明の組成物の総量に対しての式(L-4)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1%であり、2%であり、3%であり、5%であり、7%であり、10%であり、14%であり、16%であり、20%であり、23%であり、26%であり、30%であり、35%であり、40%である。本発明の組成物の総量に対しての式(L-4)で表される化合物の好ましい含有量の上限値は、50%であり、40%であり、35%であり、30%であり、20%であり、15%であり、10%であり、5%である。
【0369】
一般式(L-4)で表される化合物は、例えば式(L-4.1)から式(L-4.3)で表される化合物であることが好ましい。
【0370】
【化94】
【0371】
低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて、式(L-4.1)で表される化合物を含有していても、式(L-4.2)で表される化合物を含有していても、式(L-4.1)で表される化合物と式(L-4.2)で表される化合物との両方を含有していても良いし、式(L-4.1)から式(L-4.3)で表される化合物を全て含んでいても良い。本発明の組成物の総量に対しての式(L-4.1)又は式(L-4.2)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、3%であり、5%であり、7%であり、9%であり、11%であり、12%であり、13%であり、18%であり、21%であり、好ましい上限値は、45であり、40%であり、35%であり、30%であり、25%であり、23%であり、20%であり、18%であり、15%であり、13%であり、10%であり、8%である。
【0372】
式(L-4.1)で表される化合物と式(L-4.2)で表される化合物との両方を含有する場合は、本発明の組成物の総量に対しての両化合物の好ましい含有量の下限値は、15%であり、19%であり、24%であり、30%であり、好ましい上限値は、45であり、40%であり、35%であり、30%であり、25%であり、23%であり、20%であり、18%であり、15%であり、13%である。
【0373】
一般式(L-4)で表される化合物は、例えば式(L-4.4)から式(L-4.6)で表される化合物であることが好ましく、式(L-4.4)で表される化合物であることが好ましい。
【0374】
【化95】
【0375】
低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて、式(L-4.4)で表される化合物を含有していても、式(L-4.5)で表される化合物を含有していても、式(L-4.4)で表される化合物と式(L-4.5)で表される化合物との両方を含有していても良い。
【0376】
本発明の組成物の総量に対しての式(L-4.4)又は式(L-4.5)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、3%であり、5%であり、7%であり、9%であり、11%であり、12%であり、13%であり、18%であり、21%である。好ましい上限値は、45であり、40%であり、35%であり、30%であり、25%であり、23%であり、20%であり、18%であり、15%であり、13%であり、10%であり、8%である。
【0377】
式(L-4.4)で表される化合物と式(L-4.5)で表される化合物との両方を含有する場合は、本発明の組成物の総量に対しての両化合物の好ましい含有量の下限値は、15%であり、19%であり、24%であり、30%であり、好ましい上限値は、45であり、40%であり、35%であり、30%であり、25%であり、23%であり、20%であり、18%であり、15%であり、13%である。
【0378】
一般式(L-4)で表される化合物は、式(L-4.7)から式(L-4.10)で表される化合物であることが好ましく、特に、式(L-4.9)で表される化合物が好ましい。
【0379】
【化96】
【0380】
一般式(L-5)で表される化合物は下記の化合物である。
【0381】
【化97】
【0382】
(式中、RL51及びRL52はそれぞれ独立して、一般式(L)におけるRL1及びRL2と同じ意味を表す。)
L51は炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましく、RL52は炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数4~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基が好ましい。
【0383】
一般式(L-5)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0384】
本発明の組成物において、一般式(L-5)で表される化合物の含有量は、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率、プロセス適合性、滴下痕、焼き付き、誘電率異方性などの求められる性能に応じて適宜調整する必要がある。
【0385】
本発明の組成物の総量に対しての式(L-5)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1%であり、2%であり、3%であり、5%であり、7%であり、10%であり、14%であり、16%であり、20%であり、23%であり、26%であり、30%であり、35%であり、40%である。本発明の組成物の総量に対しての式(L-5)で表される化合物の好ましい含有量の上限値は、50%であり、40%であり、35%であり、30%であり、20%であり、15%であり、10%であり、5%である
一般式(L-5)で表される化合物は、式(L-5.1)又は式(L-5.2)で表される化合物であることが好ましく、特に、式(L-5.1)で表される化合物であることが好ましい。
【0386】
本発明の組成物の総量に対してのこれら化合物の好ましい含有量の下限値は、1%であり、2%であり、3%であり、5%であり、7%である。これら化合物の好ましい含有量の上限値は、20%であり、15%であり、13%であり、10%であり、9%である。
【0387】
【化98】
【0388】
一般式(L-5)で表される化合物は、式(L-5.3)又は式(L-5.4)で表される化合物であることが好ましい。
【0389】
本発明の組成物の総量に対してのこれら化合物の好ましい含有量の下限値は、1%であり、2%であり、3%であり、5%であり、7%である。これら化合物の好ましい含有量の上限値は、20%であり、15%であり、13%であり、10%であり、9%である。
【0390】
【化99】
【0391】
一般式(L-5)で表される化合物は、式(L-5.5)から式(L-5.7)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、特に式(L-5.7)で表される化合物であることが好ましい。
【0392】
本発明の組成物の総量に対してのこれら化合物の好ましい含有量の下限値は、1%であり、2%であり、3%であり、5%であり、7%である。これら化合物の好ましい含有量の上限値は、20%であり、15%であり、13%であり、10%であり、9%である。
【0393】
【化100】
【0394】
一般式(L-6)で表される化合物は下記の化合物である。
【0395】
【化101】
【0396】
(式中、RL61及びRL62はそれぞれ独立して、一般式(L)におけるRL1及びRL2と同じ意味を表し、XL61及びXL62はそれぞれ独立して水素原子又はフッ素原子を表す。)
L61及びRL62はそれぞれ独立して炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましく、XL61及びXL62のうち一方がフッ素原子他方が水素原子であることが好ましい。
【0397】
一般式(L-6)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0398】
本発明の組成物の総量に対しての式(L-6)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1%であり、2%であり、3%であり、5%であり、7%であり、10%であり、14%であり、16%であり、20%であり、23%であり、26%であり、30%であり、35%であり、40%である。本発明の組成物の総量に対しての式(L-6)で表される化合物の好ましい含有量の上限値は、50%であり、40%であり、35%であり、30%であり、20%であり、15%であり、10%であり、5%である。Δnを大きくすることに重点を置く場合には含有量を多くした方が好ましく、低温での析出に重点を置いた場合には含有量は少ない方が好ましい。
【0399】
一般式(L-6)で表される化合物は、式(L-6.1)から式(L-6.9)で表される化合物であることが好ましい。
【0400】
【化102】
【0401】
組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、これらの化合物の中から1種~3種類含有することが好ましく、1種~4種類含有することがさらに好ましい。また、選ぶ化合物の分子量分布が広いことも溶解性に有効であるため、例えば、式(L-6.1)又は(L-6.2)で表される化合物から1種類、式(L-6.4)又は(L-6.5)で表される化合物から1種類、式(L-6.6)又は式(L-6.7)で表される化合物から1種類、式(L-6.8)又は(L-6.9)で表される化合物から1種類の化合物を選び、これらを適宜組み合わせることが好ましい。その中でも、式(L-6.1)、式(L-6.3)式(L-6.4)、式(L-6.6)及び式(L-6.9)で表される化合物を含むことが好ましい。
【0402】
さらに、一般式(L-6)で表される化合物は、例えば式(L-6.10)から式(L-6.17)で表される化合物であることが好ましく、その中でも、式(L-6.11)で表される化合物であることが好ましい。
【0403】
【化103】
【0404】
本発明の組成物の総量に対してのこれら化合物の好ましい含有量の下限値は、1%であり、2%であり、3%であり、5%であり、7%である。これら化合物の好ましい含有量の上限値は、20%であり、15%であり、13%であり、10%であり、9%である。
【0405】
一般式(L-7)で表される化合物は下記の化合物である。
【0406】
【化104】
【0407】
(式中、RL71及びRL72はそれぞれ独立して一般式(L)におけるRL1及びRL2と同じ意味を表し、AL71及びAL72はそれぞれ独立して一般式(L)におけるAL2及びAL3と同じ意味を表すが、AL71及びAL72上の水素原子はそれぞれ独立してフッ素原子によって置換されていてもよく、ZL71は一般式(L)におけるZL2と同じ意味を表し、XL71及びXL72はそれぞれ独立してフッ素原子又は水素原子を表す。)
式中、RL71及びRL72はそれぞれ独立して炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数2~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基が好ましく、AL71及びAL72はそれぞれ独立して1,4-シクロヘキシレン基又は1,4-フェニレン基が好ましく、AL71及びAL72上の水素原子はそれぞれ独立してフッ素原子によって置換されていてもよく、ZL71は単結合又はCOO-が好ましく、単結合が好ましく、XL71及びXL72は水素原子が好ましい。
【0408】
組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて組み合わせる。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類である。
【0409】
本発明の組成物において、一般式(L-7)で表される化合物の含有量は、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率、プロセス適合性、滴下痕、焼き付き、誘電率異方性などの求められる性能に応じて適宜調整する必要がある。
【0410】
本発明の組成物の総量に対しての式(L-7)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1%であり、2%であり、3%であり、5%であり、7%であり、10%であり、14%であり、16%であり、20%である。本発明の組成物の総量に対しての式(L-7)で表される化合物の好ましい含有量の上限値は、30%であり、25%であり、23%であり、20%であり、18%であり、15%であり、10%であり、5%である。
【0411】
本発明の組成物が高いTniの実施形態が望まれる場合は式(L-7)で表される化合物の含有量を多めにすることが好ましく、低粘度の実施形態が望まれる場合は含有量を少なめにすることが好ましい。
【0412】
さらに、一般式(L-7)で表される化合物は、式(L-7.1)から式(L-7.4)で表される化合物であることが好ましく、式(L-7.2)で表される化合物であることが好ましい。
【0413】
【化105】
【0414】
さらに、一般式(L-7)で表される化合物は、式(L-7.11)から式(L-7.13)で表される化合物であることが好ましく、式(L-7.11)で表される化合物であることが好ましい。
【0415】
【化106】
【0416】
さらに、一般式(L-7)で表される化合物は、式(L-7.21)から式(L-7.23)で表される化合物である。式(L-7.21)で表される化合物であることが好ましい。
【0417】
【化107】
【0418】
さらに、一般式(L-7)で表される化合物は、式(L-7.31)から式(L-7.34)で表される化合物であることが好ましく、式(L-7.31)又は/及び式(L-7.32)で表される化合物であることが好ましい。
【0419】
【化108】
【0420】
さらに、一般式(L-7)で表される化合物は、式(L-7.41)から式(L-7.44)で表される化合物であることが好ましく、式(L-7.41)又は/及び式(L-7.42)で表される化合物であることが好ましい。
【0421】
【化109】
【0422】
さらに、一般式(L-7)で表される化合物は、式(L-7.51)から式(L-7.53)で表される化合物であることが好ましい。
【0423】
【化110】
【0424】
本願発明の組成物は、分子内に過酸(-CO-OO-)構造等の酸素原子同士が結合した構造を持つ化合物を含有しないことが好ましい。
【0425】
組成物の信頼性及び長期安定性を重視する場合にはカルボニル基を有する化合物の含有量を前記組成物の総質量に対して5%以下とすることが好ましく、3%以下とすることがより好ましく、1%以下とすることが更に好ましく、実質的に含有しないことが最も好ましい。
【0426】
UV照射による安定性を重視する場合、塩素原子が置換している化合物の含有量を前記組成物の総質量に対して15%以下とすることが好ましく、10%以下とすることが好ましく、8%以下とすることが好ましく、5%以下とすることがより好ましく、3%以下とすることが好ましく、実質的に含有しないことが更に好ましい。
【0427】
分子内の環構造がすべて6員環である化合物の含有量を多くすることが好ましく、分子内の環構造がすべて6員環である化合物の含有量を前記組成物の総質量に対して80%以上とすることが好ましく、90%以上とすることがより好ましく、95%以上とすることが更に好ましく、実質的に分子内の環構造がすべて6員環である化合物のみで組成物を構成することが最も好ましい。
【0428】
組成物の酸化による劣化を抑えるためには、環構造としてシクロヘキセニレン基を有する化合物の含有量を少なくすることが好ましく、シクロヘキセニレン基を有する化合物の含有量を前記組成物の総質量に対して10%以下とすることが好ましく、8%以下とすることが好ましく、5%以下とすることがより好ましく、3%以下とすることが好ましく、実質的に含有しないことが更に好ましい。
【0429】
粘度の改善及びTniの改善を重視する場合には、水素原子がハロゲンに置換されていてもよい2-メチルベンゼン-1,4-ジイル基を分子内に持つ化合物の含有量を少なくすることが好ましく、前記2-メチルベンゼン-1,4-ジイル基を分子内に持つ化合物の含有量を前記組成物の総質量に対して10%以下とすることが好ましく、8%以下とすることが好ましく、5%以下とすることがより好ましく、3%以下とすることが好ましく、実質的に含有しないことが更に好ましい。
【0430】
本願において実質的に含有しないとは、意図せずに含有する物を除いて含有しないという意味である。
【0431】
本発明の第一実施形態の組成物に含有される化合物が、側鎖としてアルケニル基を有する場合、前記アルケニル基がシクロヘキサンに結合している場合には当該アルケニル基の炭素原子数は2~5であることが好ましく、前記アルケニル基がベンゼンに結合している場合には当該アルケニル基の炭素原子数は4~5であることが好ましく、前記アルケニル基の不飽和結合とベンゼンは直接結合していないことが好ましい。
本発明に使用される液晶組成物の平均弾性定数(KAVG)は10から25が好ましいが、その下限値としては、10が好ましく、10.5が好ましく、11が好ましく、11.5が好ましく、12が好ましく、12.3が好ましく、12.5が好ましく、12.8が好ましく、13が好ましく、13.3が好ましく、13.5が好ましく、13.8が好ましく、14が好ましく、14.3が好ましく、14.5が好ましく、14.8が好ましく、15が好ましく、15.3が好ましく、15.5が好ましく、15.8が好ましく、16が好ましく、16.3が好ましく、16.5が好ましく、16.8が好ましく、17が好ましく、17.3が好ましく、17.5が好ましく、17.8が好ましく、18が好ましく、その上限値としては、25が好ましく、24.5が好ましく、24が好ましく、23.5が好ましく、23が好ましく、22.8が好ましく、22.5が好ましく、22.3が好ましく、22が好ましく、21.8が好ましく、21.5が好ましく、21.3が好ましく、21が好ましく、20.8が好ましく、20.5が好ましく、20.3が好ましく、20が好ましく、19.8が好ましく、19.5が好ましく、19.3が好ましく、19が好ましく、18.8が好ましく、18.5が好ましく、18.3が好ましく、18が好ましく、17.8が好ましく、17.5が好ましく、17.3が好ましく、17が好ましい。消費電力削減を重視する場合にはバックライトの光量を抑えることが有効であり、液晶表示素子は光の透過率を向上させることが好ましく、そのためにはKAVGの値を低めに設定することが好ましい。応答速度の改善を重視する場合にはKAVGの値を高めに設定することが好ましい。
本実施形態の液晶組成物は、液晶表示素子に適用される。以下、図1,2を適宜参照しながら、本実施形態に係る液晶表示素子の例を説明する。
【0432】
図1は、液晶表示素子の構成を模式的に示す図である。図1では、説明のために便宜上、各構成要素を離間させて示している。本実施形態に係る液晶表示素子1は、図1に示すように、対向するように配置された第一基板2及び第二基板3と、第一基板2と第二基板3との間に設けられた液晶層4とを備えており、液晶層4は前述した本実施形態の液晶組成物により構成される。
【0433】
第一基板2には、液晶層4側の面に画素電極層5が形成されている。第二基板3には、液晶層4側に共通電極層6が形成されている。第一基板2及び第二基板3は、一対の偏光板7,8により挟持されていてもよい。第二基板3の液晶層4側には、カラーフィルタ9が更に設けられていてもよい。
【0434】
すなわち、一実施形態に係る液晶表示素子1は、第一偏光板7と、第一基板2と、画素電極層5と、液晶組成物を含む液晶層4と、共通電極層6と、カラーフィルタ9と、第二基板3と、第二偏光板8と、がこの順に積層された構成を有している。
【0435】
第一基板2及び第二基板3は、例えばガラス又はプラスチック等の柔軟性をもつ材料で形成されている。第一基板2及び第二基板3の少なくとも一方は透明な材料で形成されており、他方は透明な材料で形成されていても、金属やシリコン等の不透明な材料で形成されていてもよい。第一基板2及び第二基板3は、周縁領域に配置されたエポキシ系熱硬化性組成物等のシール材及び封止材によって互いに貼り合わされていて、その間には基板間距離を保持するために、例えば、ガラス粒子、プラスチック粒子、アルミナ粒子等の粒状スペーサー、又はフォトリソグラフィー法により形成された樹脂からなるスペーサー柱が配置されていてもよい。
【0436】
第一偏光板7及び第二偏光板8は、各偏光板の偏光軸を調整して視野角やコントラストが良好になるように調整することができ、それらの透過軸がノーマリブラックモードで作動するように、互いに直行する透過軸を有することが好ましい。特に、第一偏光板7及び第二偏光板8のうちいずれかは、電圧無印加時の液晶分子の配向方向と平行な透過軸を有するように配置されることが好ましい。
【0437】
カラーフィルタ9は、光の漏れを防止する観点で、ブラックマトリクスを形成することが好ましく、薄膜トランジスタに対応する部分にブラックマトリクス(図示せず)を形成することが好ましい。
【0438】
ブラックマトリクスは、アレイ基板と反対側の基板にカラーフィルタと共に設置されてもよく、アレイ基板側にカラーフィルタと共に設置されてもよく、ブラックマトリクスがアレイ基板に、カラーフィルタがもう一方の基板にそれぞれ別に設置されてもよい。また、ブラックマトリクスは、カラーフィルタと別に設置されてもよいが、カラーフィルタの各色を重ねることで透過率を低下させるものであってもよい。
【0439】
図2は、図1における第一基板2上に形成された画素電極層5の一部であるI線で囲まれた領域を拡大した平面図である。図2に示すように、第一基板2の表面に形成されている薄膜トランジスタを含む画素電極層5では、走査信号を供給するための複数のゲートバスライン11と表示信号を供給するための複数のデータバスライン12とが、互いに交差してマトリクス状に配置されている。なお、図2には、一対のゲートバスライン11,11及び一対のデータバスライン12,12のみが示されている。
【0440】
複数のゲートバスライン11と複数のデータバスライン12とにより囲まれた領域により、液晶表示素子の単位画素が形成され、該単位画素内には、画素電極13が形成されている。画素電極13は、互いに直交して十字形状をなす二つの幹部と、各幹部から延在する複数の枝部とを備える、いわゆるフィッシュボーン構造を有している。また、一対のゲートバスライン11,11の間には、ゲートバスライン11と略平行にCs電極14が設けられている。また、ゲートバスライン11とデータバスライン12とが互いに交差している交差部近傍には、ソース電極15及びドレイン電極16を含む薄膜トランジスタが設けられている。ドレイン電極16には、コンタクトホール17が設けられている。
【0441】
ゲートバスライン11及びデータバスライン12は、好ましくはそれぞれ金属膜で形成されており、より好ましくはAl、Cu、Au、Ag、Cr、Ta、Ti、Mo、W、Ni又はその合金で形成されており、更に好ましくはMo、Al又はその合金で形成されている。
【0442】
画素電極13は、透過率を向上させるために、好ましくは透明電極である。透明電極は、酸化物半導体(ZnO、InGaZnO、SiGe、GaAs、IZO(Indium Zinc Oxide)、ITO(Indium Tin Oxide)、SnO、TiO、AZTO(AlZnSnO)等)をスパッタリング等することにより形成される。この際、透明電極の膜厚は、10~200nmであってよい。また、電気的抵抗を低減するために、アモルファスのITO膜を焼成することにより多結晶のITO膜として透明電極を形成することもできる。
【0443】
本実施形態の液晶表示素子は、例えば、第一基板2及び第二基板3上にAl又はその合金等の金属材料をスパッタリングすることにより配線を形成し、画素電極層5及び共通電極層6をそれぞれ形成することができる。また、カラーフィルタ9は、例えば、顔料分散法、印刷法、電着法又は、染色法等によって作成することができる。顔料分散法によるカラーフィルタの作成方法を一例に説明すると、カラーフィルタ用の硬化性着色組成物を、該透明基板上に塗布し、パターニング処理を施し、そして加熱又は光照射により硬化させる。この工程を、赤、緑、青の3色についてそれぞれ行うことで、カラーフィルタ用の画素部を作成することができる。また、カラーフィルタ9は、TFT等を有する基板側に設置してもよい。
【0444】
第一基板2及び第二基板3は、画素電極層5及び共通電極層6がそれぞれ内側となるように対向させるが、その際にスペーサーを介して、第一基板2及び第二基板3の間隔を調整してもよい。このときは、液晶層4の厚さが、例えば1~100μmとなるように調整するのが好ましい。
【0445】
偏光板7,8を使用する場合は、コントラストが最大になるように液晶層4の屈折率異方性Δnと液晶層4の厚さとの積を調整することが好ましい。また、二枚の偏光板7,8がある場合は、各偏光板の偏光軸を調整して視野角やコントラトが良好になるように調整することもできる。さらに、視野角を広げるための位相差フィルムも使用することもできる。その後、エポキシ系熱硬化性組成物等のシール剤を、液晶注入口を設けた形で該基板にスクリーン印刷し、該基板同士を貼り合わせ、加熱しシール剤を熱硬化させる。
【0446】
2枚の基板2,3間に組成物を狭持させる方法は、通常の真空注入法又は滴下注入(ODF:One Drop Fill)法等を用いることができるが、真空注入法においては滴下痕が発生しないものの、注入の跡が残る課題を有しているものであるが、本実施形態においては、ODF法を用いて製造する表示素子により好適に使用することができる。ODF法の液晶表示素子製造工程においては、バックプレーン又はフロントプレーンのどちらか一方の基板にエポキシ系光熱併用硬化性などのシール剤を、ディスペンサーを用いて閉ループ土手状に描画し、その中に脱気下で所定量の組成物を滴下後、フロントプレーンとバックプレーンを接合することによって液晶表示素子を製造することができる。本実施形態においては、ODF法において、液晶組成物を基板に滴下した際の滴下痕の発生を抑えることができる。なお、滴下痕とは、黒表示した場合に液晶組成物を滴下した痕が白く浮かび上がる現象と定義する。
【0447】
また、ODF法による液晶表示素子の製造工程においては、液晶表示素子のサイズに応じて最適な液晶注入量を滴下する必要があるが、本実施形態の液晶組成物は、例えば、液晶滴下時に生じる滴下装置内の急激な圧力変化や衝撃に対する影響が少なく、長時間にわたって安定的に液晶を滴下し続けることが可能であるため、液晶表示素子の歩留まりを高く保持することもできる。特に、最近流行しているスマートフォンに多用される小型液晶表示素子は、最適な液晶注入量が少ないために最適値からのずれを一定範囲内に制御すること自体が難しいが、本実施形態の液晶組成物を用いることにより、小型液晶表示素子においても安定した液晶材料の吐出量を実現できる。
【0448】
本実施形態の液晶組成物の重合性化合物を重合させる方法としては、液晶の良好な配向性能を得るためには、適度な重合速度が望ましいので、紫外線又は電子線等の活性エネルギー線を単一又は併用又は順番に照射することによって重合させる方法が好ましい。紫外線を使用する場合、偏光光源を用いてもよいし、非偏光光源を用いてもよい。また、重合性化合物含有組成物を2枚の基板間に挟持させて状態で重合を行う場合には、少なくとも照射面側の基板は活性エネルギー線に対して適当な透明性が与えられていなければならない。また、光照射時にマスクを用いて特定の部分のみを重合させた後、電場や磁場又は温度等の条件を変化させることにより、未重合部分の配向状態を変化させて、更に活性エネルギー線を照射して重合させるという手段を用いてもよい。特に紫外線露光する際には、重合性化合物含有組成物に交流電界を印加しながら紫外線露光することが好ましい。印加する交流電界は、周波数10Hz~10kHzの交流が好ましく、周波数60Hz~10kHzがより好ましく、電圧は液晶表示素子の所望のプレチルト角に依存して選ばれる。つまり、印加する電圧により液晶表示素子のプレチルト角を制御することができる。横電界型MVAモードの液晶表示素子においては、配向安定性及びコントラストの観点からプレチルト角を80度~89.9度に制御することが好ましい。
【0449】
照射時の温度は、本実施形態の組成物の液晶状態が保持される温度範囲内であることが好ましい。室温に近い温度、即ち、典型的には15~35℃での温度で重合させることが好ましい。紫外線を発生させるランプとしては、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ等を用いることができる。また、照射する紫外線の波長としては、組成物の吸収波長域でない波長領域の紫外線を照射することが好ましく、必要に応じて、紫外線をカットして使用することが好ましい。照射する紫外線の強度は、0.1mW/cm~100W/cmが好ましく、2mW/cm~50W/cmがより好ましい。照射する紫外線のエネルギー量は、適宜調整することができるが、10mJ/cm~500J/cmが好ましく、100mJ/cm~200J/cmがより好ましい。紫外線を照射する際に、強度を変化させてもよい。紫外線を照射する時間は照射する紫外線強度により適宜選択されるが、10秒~3600秒が好ましく、10秒~600秒がより好ましい。
【0450】
液晶表示素子1は、アクティブマトリックス駆動用液晶表示素子であってよい。液晶表示素子1は、PSA型、PSVA型、VA型、IPS型、FFS型又はECB型の液晶表示素子であってよく、好ましくはPSA型の液晶表示素子である。
【0451】
本発明の液晶組成物の酸化防止剤の含有量は10質量ppm以上が好ましく、20質量ppm以上が好ましく、50質量ppm以上が好ましい。酸化防止剤を含有する場合の上限は10000質量ppmであるが、1000質量ppmが好ましく、500質量ppmが好ましく、200質量ppmが好ましく、100質量ppmが好ましい。
【0452】
本発明の液晶組成物に用いる光安定剤を含有する場合、一般に入手できるTinuvin770やLA-57といったHALSを用いることが好ましい。その含有量は100ppmから2000ppmの範囲で調整することが好ましく、200ppmから1200ppmの範囲であることが更に好ましく、500ppmから1200ppmの範囲であることが特に好ましい。
【0453】
本発明の液晶組成物は、ネマチック相-等方性液体相転移温度(Tni)が60℃から120℃であるが、その下限は65℃が好ましく、70℃が好ましく、71℃が好ましく、72℃が好ましく、73℃が好ましく、74℃が好ましく、75℃が好ましく、その上限は110℃が好ましく、105℃が好ましく、100℃が好ましく、95℃が好ましく、90℃が好ましく、88℃が好ましく、86℃が好ましく、85℃が好ましく、84℃が好ましく、82℃が好ましく、80℃が好ましい。
【0454】
本発明の液晶組成物は、20℃における回転粘性(γ)が50から200mPa・sであるが、その下限は55mPa・sが好ましく、60mPa・sが好ましく、62mPa・sが好ましく、64mPa・sが好ましく、66mPa・sが好ましく、68mPa・sが好ましく、70mPa・sが好ましく、その上限は190mPa・sが好ましく、180mPa・sが好ましく、170mPa・sが好ましく、160mPa・sが好ましく、150mPa・sが好ましい。
【0455】
本発明の液晶組成物は、20℃における誘電率異方性(Δε)が-2.0から-8.0であるが、その下限は-7.0が好ましく、-6.5が好ましく、-6.0が好ましく、-5.5が好ましく、-5.0が好ましく、-4.5が好ましく、-4.0が好ましく、-3.9が好ましく、-3.8が好ましく、-3.7が好ましく、その上限は-2.5が好ましく、-2.6が好ましく、-2.7が好ましく、-2.8が好ましく、-2.9が好ましく、-3.0が好ましい。
【0456】
本発明の液晶組成物は、20℃における屈折率異方性(Δn)が0.08から0.20であるが、その下限は0.09が好ましく、0.10が好ましく、0.11が好ましく、0.12が好ましく、0.13が好ましく、その上限は0.19が好ましく、0.18が好ましく、0.17が好ましく、0.16が好ましく、0.15が好ましい。更に詳述すると、薄いセルギャップに対応する場合は0.10から0.20であることが好ましく、厚いセルギャップに対応する場合は0.08から0.12であることが好ましい。
【0457】
ピッチは、液晶表示素子のセル厚に応じて適切に設定すれば良いが、短すぎても長すぎても不都合が生じる。本発明の液晶組成物は、20℃におけるピッチ(μm)ピッチの下限は5μmであるが、6μmが好ましく、7μmが好ましく、8μmが好ましく、9μmが好ましく、10μmが好ましく、11μmが好ましく、12μmが好ましく、13μmが好ましく、14μmが好ましく、15μmが好ましく、20μmが好ましく、ピッチの上限は140μmであるが、130μmが好ましく、120μmが好ましく、110μmが好ましく、100μmが好ましく、90μmが好ましく、80μmが好ましく、70μmが好ましく、60μmが好ましい。好ましい範囲は上述の通りであるが、セル厚(セルギャップ)、透明電極の構造および配向膜の種類などの影響により、ある程度の範囲において適宜調整する必要がある。
【0458】
本発明の液晶組成物を用いた液晶表示素子は、滴下痕や焼き付きや表示ムラ等の表示不良がないか又は抑制されおり、低い駆動電圧と高い透過率と速い応答速度を両立させたという顕著な特徴を有している。
【0459】
本発明の液晶組成物を用いた液晶表示素子は、特に、アクティブマトリックス駆動用液晶表示素子に有用であり、PSモード、PSAモード、PSVAモード、PS-IPSモード又はPS-FFSモード用液晶表示素子に用いることができる。
【実施例
【0460】
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳述するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、以下の実施例及び比較例の組成物における「%」は『質量%』を意味する。
【0461】
実施例において液晶化合物の記載について以下の略号を用いる。
(環構造)
【0462】
【化111】
【0463】
(側鎖構造及び連結構造)
【0464】
【表1】
【0465】
実施例中、測定した特性は以下の通りである。なお測定は特別な記載がない限り、JEITA ED-2521Bに規定の方法によった。
【0466】
Tni:ネマチック相-等方性液体相転移温度(℃)
Δn :20℃における屈折率異方性
Δε :20℃における誘電率異方性
γ1 :20℃における回転粘性(mPa・s)
K11:20℃における弾性定数K11(pN)
K33:20℃における弾性定数K33(pN)
P :らせんピッチ(um)。くさび型セルを用いて測定した。
【0467】
電気光学特性評価試験:紫外線照射後の透過率および応答速度の評価を行った。透過率は電圧を0~10V印加したときの電圧-透過率カーブ、応答速度はVonを6V、Voffを1Vとしたときの値を測定した。測定温度は20℃であり、測定機器はシンテック製OPTIPROを用いた。
【0468】
電圧保持率試験(VHR):150℃で1時間加熱した液晶組成物を評価セルに注入し、UV照射したときの電圧保持率(VHR)を測定した。電圧は1V、周波数は0.6Hz、測定温度は60℃であり、測定機器はTOYO製LCM-2を用いた。
(液晶評価セルの作成方法)
まず、重合性化合物を含有する液晶組成物をセルギャップ3.8μmで垂直配向を誘起するポリイミド配向膜を塗布した後、前記ポリイミド配向膜をラビング処理したITO付き基板を含む液晶セルに真空注入法で注入した。垂直配向膜形成材料として、JSR社製のJALS2096を用いた。
(UV照射条件)
重合性化合物を含有する液晶組成物を注入した液晶セルに周波数100Hzで電圧を10V印加した状態で高圧水銀灯を用い、325nm以下の紫外線をカットするフィルターを介して紫外線を照射した。このとき、中心波長365nmの条件で測定した照度が100mW/cmになるように調整し、積算光量30J/cmの紫外線を照射した。前記の紫外線照射条件を照射条件1とした。この照射条件1により液晶セル中の液晶分子にプレチルト角が付与される。
【0469】
次に、蛍光UVランプを用いて、中心波長313nmの条件で測定した照度が3mW/cmになるように調整し、積算光量10J/cmの紫外線を更に照射し、液晶表示素子を得た。前記の紫外線照射条件を照射条件2とした。照射条件2により、照射条件1で未反応の液晶セル中の重合性化合物の残留量を低減させる。
(液晶組成物の調整)
以下の表に示すLC-1を調製し、その物性を測定した。物性は表1のとおりであった。なお測定温度は20℃である。
【0470】
【表2】
【0471】
【化112】
【0472】
(実施例1~3、比較例1)
液晶組成物LC-1を100質量部に対して、式(RM-1)で表される化合物を0.3質量部添加した重合性化合物、式(AD-1)で表される化合物を0.65質量部、式(PI-1)で表される化合物を0.01質量部含有する液晶組成物を実施例1とした。
【0473】
液晶組成物LC-1を100質量部に対して、式(RM-2)で表される化合物を0.3質量部添加した重合性化合物、式(AD-1)で表される化合物を0.65質量部、式(PI-1)で表される化合物を0.01質量部含有する液晶組成物を実施例2とした。
【0474】
液晶組成物LC-1を100質量部に対して、式(RM-1)で表される化合物を0.2質量部、式(RM-2)で表される化合物を0.1質量部添加した重合性化合物、式(AD-1)で表される化合物を0.65質量部、式(PI-1)で表される化合物を0.01質量部含有する液晶組成物を実施例3とした。
【0475】
実施例1~3を評価した結果、ネマチック相-等方性液体相転移温度(Tni)が十分に高く、屈折率異方性(Δn)が十分に高く、誘電率異方性(Δε)の絶対値が十分に高く、回転粘性(γ1)が十分に低く、ピッチはいずれも13.2umであった。これを使用した液晶表示素子の透過率は十分に高く、応答速度は十分に高速であることが確認された。また加熱およびUV照射後の電圧保持率(VHR)は93%であり、加熱およびUV照射前の93%と同等の値を示した。
【0476】
以上のことから、実施例1~3の液晶組成物を使用した液晶表示素子は優れた透過率、応答速度、電圧保持率(VHR)を両立したものであることが確認された。
(比較例1)
液晶組成物LC-1を100質量部に対して、式(RM-1)で表される化合物を0.3質量部及び、式(AD-1)で表される化合物を0.65質量部含有する液晶組成物を比較例1とした。
【0477】
比較例1を評価した結果、ネマチック相-等方性液体相転移温度(Tni)が十分に高く、屈折率異方性(Δn)が十分に高く、誘電率異方性(Δε)の絶対値が十分に高く、回転粘性(γ1)が十分に低く、ピッチは13.2umであった。これを使用した液晶表示素子の透過率は十分に高く、応答速度は十分に高速であることが確認された。しかし加熱およびUV照射後の電圧保持率(VHR)は89%であり、加熱およびUV照射前の93%と比較して4%低下した。
図1
図2