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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-06
(45)【発行日】2023-01-17
(54)【発明の名称】気相成長装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/205 20060101AFI20230110BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20230110BHJP
   C23C 16/458 20060101ALI20230110BHJP
   C23C 16/24 20060101ALI20230110BHJP
【FI】
H01L21/205
H01L21/68 N
C23C16/458
C23C16/24
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019234059
(22)【出願日】2019-12-25
(65)【公開番号】P2021103722
(43)【公開日】2021-07-15
【審査請求日】2022-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】302006854
【氏名又は名称】株式会社SUMCO
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】弁理士法人とこしえ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】南出 由生
【審査官】長谷川 直也
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-075869(JP,A)
【文献】特表2009-538540(JP,A)
【文献】国際公開第2011/114677(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/205
H01L 21/683
C23C 16/458
C23C 16/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェーハを支持するリング状のキャリアを用いて、前記ウェーハにCVD膜を形成する気相成長装置であって、
前記キャリアを支持するホルダが設けられているロードロック室を備え、
前記キャリアと前記ホルダには、前記ウェーハの円周方向に沿う前記キャリアの回転方向の位置を補正する補正機構が設けられており、
前記補正機構は、前記キャリアに設けられた第1係合部と、前記ホルダに設けられた第2係合部を含み、
前記第2係合部は、前記第1係合部と係合する係合面と、前記ホルダに対して前記キャリアを相対的に回転させる回転面と、前記ホルダに対する前記キャリアの補正位置を決定する位置決め面を備える、気相成長装置。
【請求項2】
ウェーハを支持するリング状のキャリアを用いて、前記ウェーハにCVD膜を形成する気相成長装置であって、
前記キャリアを支持するホルダが設けられているロードロック室を備え、
前記キャリアと前記ホルダには、前記ウェーハの円周方向に沿う前記キャリアの回転方向の位置を補正する補正機構が設けられており、
前記補正機構は、前記キャリアに設けられた第1係合部と、前記ホルダに設けられた第2係合部を含み、
前記第1係合部は、前記第2係合部と係合する係合面と、前記ホルダに対して前記キャリアを相対的に回転させる回転面と、前記ホルダに対する前記キャリアの補正位置を決定する位置決め面を備える、気相成長装置。
【請求項3】
前記係合面と前記回転面は、同一の面である、請求項1又は2に記載の気相成長装置。
【請求項4】
前記ホルダは、少なくとも2つの前記キャリアを上下に支持するホルダであり、最上段のホルダには前記補正機構が設けられていない、請求項1~3のいずれか一項に記載の気相成長装置。
【請求項5】
ウェーハを支持するリング状のキャリアを用いて、前記ウェーハにCVD膜を形成する気相成長装置であって、
前記キャリアを支持するホルダが設けられているロードロック室を備え、
前記キャリアと前記ホルダには、前記ウェーハの円周方向に沿う前記キャリアの回転方向の位置を補正する補正機構が設けられており、
前記ホルダは、少なくとも2つの前記キャリアを上下に支持するホルダであり、最上段のホルダには前記補正機構が設けられていない、気相成長装置。
【請求項6】
前記補正機構は、前記キャリアの時計回りの回転および反時計回りの回転を規制する一対の補正機構を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の気相成長装置。
【請求項7】
前記補正機構は、装置を平面視で見た場合に、前記キャリアの上下方向および左右方向の位置を補正する補正機構を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の気相成長装置。
【請求項8】
前記CVD膜は、シリコンエピタキシャル膜である、請求項1~のいずれか一項に記載の気相成長装置。
【請求項9】
複数の処理前の前記ウェーハを、ウェーハ収納容器から、ファクトリインターフェース、前記ロードロック室及びウェーハ移載室を介して前記ウェーハに前記CVD膜を形成する反応室へ順次搬送するとともに、
複数の処理後の前記ウェーハを、前記反応室から、前記ウェーハ移載室、前記ロードロック室及び前記ファクトリインターフェースを介して前記ウェーハ収納容器へ順次搬送し、
前記ロードロック室は、第1ドアを介して前記ファクトリインターフェースと連通するとともに、第2ドアを介して前記ウェーハ移載室と連通し、
前記ウェーハ移載室は、ゲートバルブを介して前記反応室と連通し、
前記ウェーハ移載室には、前記ロードロック室に搬送されてきた処理前の前記ウェーハを前記キャリアに支持された状態で前記反応室に投入するとともに、前記反応室において処理を終えた処理後の前記ウェーハを前記キャリアに支持された状態で前記反応室から取り出して前記ロードロック室に搬送する第1ロボットが設けられ、
前記ファクトリインターフェースには、処理前の前記ウェーハを前記ウェーハ収納容器から取り出し、前記ロードロック室にて待機する前記キャリアにて支持するとともに、前記ロードロック室に搬送されてきた、前記キャリアに支持された処理後の前記ウェーハを、前記ウェーハ収納容器に収納する第2ロボットが設けられている、請求項1~のいずれか一項に記載の気相成長装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エピタキシャルウェーハの製造などに用いられる気相成長装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
基板上に膜を堆積するためのマルチチャンバ処理システムのロードロックチャンバにおいて、位置合わせリングおよび位置合わせピンなどの位置決め機構を用いて、基板を移送するためのキャリアに対して基板の位置を合わせることが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許第9,929,029号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記位置決め機構は、気相成長装置を平面視で見た場合に、基板(ウェーハ)に対するキャリアの上下および左右方向の位置を基準とする位置に合わせるが、ウェーハの回転方向の位置は補正しない。均一な膜をウェーハに堆積するために、ウェーハの回転方向において周期的に変化する形状をキャリアが有する場合に、ウェーハに対するキャリアの回転方向の位置が合っていないと、処理されたウェーハの品質に悪影響を及ぼす。しかしながら、上記従来技術には、気相成長装置を平面視で見た場合に、ウェーハに対するキャリアの回転方向の位置を補正することについては何も開示していない。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、気相成長装置を平面視で見た場合に、ウェーハに対するキャリアの回転方向の位置のズレを補正することができる気相成長装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ウェーハを支持するリング状のキャリアを用いて、前記ウェーハにCVD膜を形成する気相成長装置であって、
前記キャリアを支持するホルダが設けられているロードロック室を備え、
前記キャリアと前記ホルダには、前記ウェーハの円周方向に沿う前記キャリアの回転方向の位置を補正する補正機構が設けられている、気相成長装置である。
【0007】
本発明において、前記補正機構は、前記キャリアの時計回りの回転および反時計回りの回転を規制する一対の補正機構を含むことがより好ましい。
【0008】
本発明において、前記補正機構は、装置を平面視で見た場合に、前記キャリアの上下方向および左右方向の位置を補正する補正機構を含むことがより好ましい。
【0009】
本発明において、前記補正機構は、前記キャリアに設けられた第1係合部と、前記ホルダに設けられた第2係合部を含むことがより好ましい。
【0010】
本発明において、前記第2係合部は、前記第1係合部と係合する係合面と、前記ホルダに対して前記キャリアを相対的に回転させる回転面と、前記ホルダに対する前記キャリアの補正位置を決定する位置決め面を備えることがより好ましい。
【0011】
本発明において、前記第1係合部は、前記第2係合部と係合する係合面と、前記ホルダに対して前記キャリアを相対的に回転させる回転面と、前記ホルダに対する前記キャリアの補正位置を決定する位置決め面を備えることがより好ましい。
【0012】
本発明において、前記係合面と前記回転面は、同一の面であることがより好ましい。
【0013】
本発明において、前記ホルダは、少なくとも2つの前記キャリアを上下に支持するホルダであり、最上段のホルダには前記補正機構が設けられていないことがより好ましい。
【0014】
本発明において、前記CVD膜は、シリコンエピタキシャル膜であることがより好ましい。
【0015】
本発明において、複数の処理前の前記ウェーハを、ウェーハ収納容器から、ファクトリインターフェース、前記ロードロック室及びウェーハ移載室を介して前記ウェーハに前記CVD膜を形成する前記反応室へ順次搬送するとともに、
複数の処理後の前記ウェーハを、前記反応室から、前記ウェーハ移載室、前記ロードロック室及び前記ファクトリインターフェースを介して前記ウェーハ収納容器へ順次搬送し、
前記ロードロック室は、第1ドアを介して前記ファクトリインターフェースと連通するとともに、第2ドアを介して前記ウェーハ移載室と連通し、
前記ウェーハ移載室は、ゲートバルブを介して前記反応室と連通し、
前記ウェーハ移載室には、前記ロードロック室に搬送されてきた処理前の前記ウェーハをキャリアに支持された状態で前記反応室に投入するとともに、前記反応室において処理を終えた処理後の前記ウェーハをキャリアに支持された状態で前記反応室から取り出して前記ロードロック室に搬送する第1ロボットが設けられ、
前記ファクトリインターフェースには、処理前の前記ウェーハを前記ウェーハ収納容器から取り出し、前記ロードロック室にて待機するキャリアにて支持するとともに、前記ロードロック室に搬送されてきた、キャリアに支持された処理後の前記ウェーハを、前記ウェーハ収納容器に収納する第2ロボットが設けられ、
前記ロードロック室には、キャリアを支持するホルダが設けられていることがより好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、気相成長装置を平面視で見た場合に、キャリアを支持するホルダにおいて、ウェーハの円周方向に沿うキャリアの回転方向の位置が補正される。それにより、ウェーハに対するキャリアの回転方向の位置のズレを補正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係る実施形態に係る気相成長装置を示すブロック図である。
図2A】本発明に係る実施形態に係るキャリア及びキャリアに設けられた第1係合部の一例を示す平面図である。
図2B図1の気相成長装置におけるウェーハ及び反応炉のサセプタを含めた、図2Aのキャリアの縦断面図である。
図3A】本発明に係る実施形態に係るキャリア及びキャリアに設けられた第1係合部のの別の例を示す平面図である。
図3B図1の気相成長装置におけるウェーハ及び反応炉のサセプタを含めた、図3Aのキャリアの縦断面図である。
図4図1の気相成長装置における反応室内におけるウェーハ及びキャリアの移載手順を示す平面図及び縦断面図である。
図5A図1の気相成長装置におけるロードロック室に設けられたホルダの一例を示す平面図である。
図5B図1の気相成長装置におけるウェーハおよびキャリアを含めた、図5Aのホルダの縦断面図である。
図5C図5C(A)は、図5Aのキャリアに設けられた第2係合部を示す平面図であり、図5C(B)は縦断面図である。
図6A図1の気相成長装置におけるロードロック室に設けられたホルダの別の例を示す平面図である。
図6B図1の気相成長装置におけるウェーハおよびキャリアを含めた、図6Aのホルダの縦断面図である。
図7図1の気相成長装置におけるロードロック室におけるウェーハ及びキャリアの移載手順を示す平面図及び縦断面図である。
図8図8(A)は、図1の気相成長装置における第1ロボットのハンドの先端に装着された第1ブレードの一例を示す平面図、図8(B)は、図1の気相成長装置におけるキャリア及びウェーハを含めた第1ブレードの縦断面図である。
図9A】ウェーハを支持している図2Aのキャリアを図5Aのホルダに載置したときのキャリア及びホルダの平面図である。
図9B】ウェーハを支持している図3Aのキャリアを図6Aのホルダに載置したときのキャリア及びホルダの平面図である。
図10図1の気相成長装置におけるロードロック室のホルダに設けられた第2係合部の別の例を示す平面図(図10(A))と縦断面図(図10(B))である。
図11図2Aに示したキャリアの第1係合部と、図10の第2係合部とを用いたキャリアの回転方向の位置補正の一例を示す平面図(図11(A))及び縦断面図(図11(B))である(その1)。
図12図2Aに示したキャリアの第1係合部と、図10の第2係合部とを用いたキャリアの回転方向の位置補正の一例を示す平面図(図12(A))及び縦断面図(図12(B))である(その2)。
図13図2Aに示したキャリアの第1係合部と、図10の第2係合部とを用いたキャリアの回転方向の位置補正の一例を示す平面図(図13(A))及び縦断面図(図13(B))である(その3)。
図14】本発明に係る実施形態に係るキャリアに設けられた第1係合部のさらに別の例を示す平面図である。
図15図14に示したキャリアの第1係合部と、当該第1係合部に対応する第2係合部とを用いたキャリアの回転方向の位置補正の別の例を示す平面図(図15(A))及び縦断面図(図15(B))である(その1)。
図16図14に示したキャリアの第1係合部と、当該第1係合部に対応する第2係合部とを用いたキャリアの回転方向の位置補正の別の例を示す平面図(図16(A))及び縦断面図(図16(B))である(その2)。
図17図14に示したキャリアの第1係合部と、当該第1係合部に対応する第2係合部とを用いたキャリアの回転方向の位置補正の別の例を示す平面図(図17(A))及び縦断面図(図17(B))である(その3)。
図18A図1の気相成長装置におけるウェーハ及びキャリアの取り廻し手順を示す図(その1)である。
図18B図1の気相成長装置におけるウェーハ及びキャリアの取り廻し手順を示す図(その2)である。
図18C図1の気相成長装置におけるウェーハ及びキャリアの取り廻し手順を示す図(その3)である。
図18D図1の気相成長装置におけるウェーハ及びキャリアの取り廻し手順を示す図(その4)である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて説明する。
気相成長装置1は、薄膜材料を構成する元素からなる1種以上の化合物ガス、単体ガスをウェーハWF上に供給し、気相又はウェーハWFの表面での化学反応により所望の薄膜を形成するための装置(つまり、CVD装置)である。図1は、本発明に係る一の実施形態である気相成長装置1を、平面図により示すブロック図である。本実施形態の気相成長装置1は、一対の反応炉11,11と、ウェーハ移載室12と、一対のロードロック室13と、ファクトリインターフェース14と、複数枚のウェーハWFを収納したウェーハ収納容器15(カセットケース)を設置するロードポートと、気相成長装置1の全体の制御を統括する統括コントローラ16とを備える。
【0019】
反応炉11は、CVD法により、単結晶シリコンウェーハなどのウェーハWFの表面にCVD膜(たとえば、シリコンエピタキシャル膜)を形成するための装置である。反応炉11は、CVD膜を形成するための化学反応を行う反応室111と、反応室111内にウェーハWFを載置して回転するサセプタ112と、反応室111に水素ガス及びCVD膜を形成するための原料ガスを供給するガス供給装置113と、反応室111の気密性を確保するためのゲートバルブ114と、を備える。また、図示は省略するが、反応室111の周囲には、ウェーハWFを所定温度に昇温するための加熱ランプが設けられている。加熱ランプの作動と停止は、統括コントローラ16からの指令信号により制御されている。なお、図1には一対の反応炉11、11を備える気相成長装置1を示したが、反応炉の数は特に限定されず、1つでもよく、3つ以上でもよい。
【0020】
反応室111は、CVD膜を形成する化学反応を行う際に、外気を遮断して雰囲気の保持をするために設けられたチャンバである。反応室111のチャンバは、特に限定されない。
【0021】
サセプタ112は、ウェーハWFを搭載して加熱するためのウェーハWFの支持体である。本実施形態に係る気相成長装置1において、サセプタ112は、反応室111内に設けられており、ウェーハWFを載置して回転する。サセプタ112が回転することで、不均一なCVD膜がウェーハWFの表面に形成されることを抑制することができる。サセプタの材料は特に限定されないが、たとえば、シリコンカーバイド(SiC)をコーティングしたカーボン(C)、SiCやSiOのようなセラミックス、ガラス状炭素などである。回転と停止を含めたサセプタ112の駆動は、統括コントローラ16からの指令信号により制御されている。
【0022】
ガス供給装置113は、水素ガス又は原料ガスのような、CVD膜を形成する化学反応に必要なガスを反応室111に供給するための装置である。CVD膜がシリコンエピタキシャル膜の場合は、たとえば、ジクロロシラン(SiHCl)、トリクロロシラン(SiHCl)などのガスを供給する。ガスの供給方法については特に限定されず、公知の供給システムが使用できる。ガス供給装置113から反応室111に供給されたガスは、CVD膜形成の反応後に、ガス供給装置113によって供給された水素ガスによって置換される。置換された反応後のガスは、反応室111に設けられた排気口に接続されたスクラバ(洗浄集塵装置)によって浄化されたのち、系外へ放出される。この種のスクラバは、詳細な図示は省略するが、たとえば、従来公知の加圧水式スクラバを用いることができる。ガス供給装置113によるガスの供給と停止、スクラバの作動などは、統括コントローラ16からの指令信号により制御されている。
【0023】
ゲートバルブ114は、気相成長装置1の反応室111、ウェーハ移載室12及びロードロック室13を仕切るためのバルブである。ゲートバルブ114は、反応室111とウェーハ移載室12との間に設けられている。ゲートバルブ114を閉塞することで、反応室111とウェーハ移載室12との間の気密性が確保される。ゲートバルブ114の開閉動作は、統括コントローラ16からの指令信号により制御されている。
【0024】
ウェーハ移載室12は、ウェーハWFをロードロック室13から反応炉11の反応室111に搬送するための密閉されたチャンバである。ウェーハ移載室12のチャンバについては特に限定されず、公知のチャンバが使用できる。ウェーハ移載室12は、反応炉11の反応室111とロードロック室13との間に位置する。反応炉11の反応室111とロードロック室13とは、ウェーハ移載室12を介して連通する。ウェーハ移載室12の一方は、開閉可能な気密性を有する第2ドア132を介して、ロードロック室13に接続されている。これに対して、ウェーハ移載室12の他方は、気密性を有する開閉可能なゲートバルブ114を介して、反応室111に接続されている。
【0025】
ウェーハ移載室12は、ウェーハWFをハンドリングする第1ロボット121を備える。第1ロボット121は、処理前のウェーハWFをロードロック室13から反応室111へ搬送するとともに、処理後のウェーハWFを反応室111からロードロック室13へ搬送する。第1ロボット121は、第1ロボットコントローラ122により制御され、ロボットハンドの先端に装着された第1ブレード123が、予めティーチングされた動作軌跡に沿って移動する。
【0026】
ウェーハ移載室12は、図示しない不活性ガス供給装置を備える。不活性ガス供給装置から不活性ガスが供給され、ウェーハ移載室12内のガスが置換される。不活性ガスで置換されたガスは、排気口に接続されたスクラバ(洗浄集塵装置)によって浄化されたのち、系外へ放出される。この種のスクラバは、詳細な図示は省略するが、たとえば従来公知の加圧水式スクラバを用いることができる。不活性ガス供給装置による不活性ガスの供給と停止、スクラバの作動などは、統括コントローラ16からの指令信号により制御されている。
【0027】
ロードロック室13は、不活性ガス雰囲気とされたウェーハ移載室12と、大気雰囲気とされたファクトリインターフェース14との間で、雰囲気ガスを置換するためのスペースである。ロードロック室13は、ファクトリインターフェース14との間に、気密性を有する開閉可能な第1ドア131を備える。一方で、ロードロック室13は、ウェーハ移載室12との間に、同じく気密性を有する開閉可能な第2ドア132を備える。すなわち、ファクトリインターフェース14とウェーハ移載室12とは、ロードロック室13を介して連通している。第1ドア131を開放すると、ロードロック室13は大気雰囲気となる。この場合、第1ドア131及び第2ドア132を閉じ、ロードロック室13の大気ガスを不活性ガスで置換してロードロック室13を不活性ガス雰囲気にする。不活性ガス置換のため、ロードロック室13は、ロードロック室13の内部を真空排気する排気装置と、ロードロック室13に不活性ガスを供給する供給装置とを備える。
【0028】
ファクトリインターフェース14は、ウェーハWFをロードロック室13とウェーハ収納容器15との間で搬送するための領域であり、クリーンルームと同じ大気雰囲気とされている。ファクトリインターフェース14は、ウェーハWFをハンドリングする第2ロボット141を備える。第2ロボット141は、ウェーハ収納容器15に収納された処理前のウェーハWFを取り出してロードロック室13へ投入する一方、ロードロック室13へ搬送されてきた処理後のウェーハWFをウェーハ収納容器15へ収納する。第2ロボット141は、第2ロボットコントローラ142により制御され、ロボットハンドの先端に装着された第2ブレード143が、予めティーチングされた所定の軌跡に沿って移動する。本実施形態の第2ブレード143は特に限定されず、ウェーハWFを搬送することができる公知のブレードが使用できる。
【0029】
ウェーハ収納容器15(カセットケース)は、ウェーハWFを収納して装置間を搬送するための容器であり、クリーンルームと同じ大気雰囲気に載置される。ウェーハ収納容器15が載置されるロードポートは、気相成長装置1において、ウェーハ収納容器15(カセットケース)を投入・払出しをするために外部機器とウェーハ収納容器15の受渡しを行う装置部分である。ウェーハ収納容器15及びロードポートは、特に限定されない。
【0030】
統括コントローラ16は、気相成長装置1の全体の制御を統括する。統括コントローラ16は、第1ロボットコントローラ122及び第2ロボットコントローラ142と相互に制御信号を送受信する。統括コントローラ16からの動作指令信号が第1ロボットコントローラ122に送信されると、第1ロボットコントローラ122は、第1ロボット121の動作を制御する。第1ロボット121の動作結果は、第1ロボットコントローラ122から統括コントローラ16へ送信される。これにより、統括コントローラ16は、第1ロボット121の動作状態を認識する。同様に、統括コントローラ16からの動作指令信号が第2ロボットコントローラ142に送信されると、第2ロボットコントローラ142は、第2ロボット141の動作を制御する。第2ロボット141の動作結果は、第2ロボットコントローラ142から統括コントローラ16へ送信される。これにより、統括コントローラ16は、第2ロボット141の動作状態を認識する。
【0031】
本実施形態の気相成長装置1は、反応炉11の反応室111とウェーハ移載室とを仕切るゲートバルブ114、ロードロック室13とファクトリインターフェース14とを仕切る第1ドア131、ウェーハ移載室12とロードロック室13とを仕切る第2ドア132、ウェーハ移載室12においてウェーハWFをハンドリングする第1ロボット121、及びファクトリインターフェース14においてウェーハWFをハンドリングする第2ロボット141の各動作を、統括コントローラ16によって制御することで、気相成長装置1内でウェーハWFを順次搬送し、CVD膜形成の処理を行う。
【0032】
たとえば、本実施形態の気相成長装置1において、ウェーハ収納容器15から反応炉11の反応室111に、処理前のウェーハWFを搬送する場合は、まず、第1ドア131と第2ドア132とを閉じ、ロードロック室13を不活性ガス雰囲気とした状態にする。次に、第2ロボット141を用いて、ウェーハ収納容器15のウェーハWFを取り出し、第1ドア131を開け、ウェーハWFをロードロック室13に搬送する。そして、第1ドア131を閉じてロードロック室13を再び不活性ガス雰囲気にしたのち、第2ドア132を開き、第1ロボット121を用いて、ウェーハWFをウェーハ移載室12に搬送する。最後に、第2ドア132を閉じ、ゲートバルブ114を開き、第1ロボット121を用いて、ウェーハ移載室12に搬送されたウェーハWFを反応炉11の反応室111に搬送する。
【0033】
これとは逆に、本実施形態の気相成長装置1において、反応炉11の反応室111からウェーハ収納容器15に、処理後のウェーハWFを搬送する場合は、まず、ゲートバルブ114を開き、第1ロボット121を用いて、反応炉11の反応室111からCVD膜の形成された処理後のウェーハWFを取り出し、ゲートバルブ114を閉じる。次に、第2ドア132を開き、第1ロボット121を用いて、ウェーハ移載室12のウェーハWFをロードロック室13に搬送する。最後に、第2ドア132を閉じてロードロック室13を再び不活性ガス雰囲気にしたのち、第1ドア131を開き、第2ロボット141を用いて、ウェーハWFをウェーハ収納容器15に収納する。
【0034】
本実施形態の気相成長装置1において、反応炉11の反応室111とロードロック室13との間でウェーハWFを搬送するときは、ウェーハWFを支持するリング状のキャリアCを用いる。図2Aは、本実施形態に係るキャリアCの一例を示す平面図であり、図2Bは、ウェーハWF及び反応炉11のサセプタ112を含めた、図2AのキャリアCを正面視した場合の縦断面図である。
【0035】
本実施形態のキャリアCは、たとえば、シリコンカーバイドをコーティングしたカーボン、SiCやSiOのようなセラミックス、ガラス状炭素などの材料からなり、リング状に形成されている。本実施形態のキャリアCは、たとえば、図2Bに示すサセプタ112の上面に載置される底面C11と、ウェーハWFの裏面の外周部に接触して支持する上面C12と、外周側壁面C13と、内周側壁面C14と、を有する。
【0036】
さらに、本実施形態のキャリアCは、本実施形態の気相成長装置1を平面視で見た場合に、ウェーハWFの円周方向に沿う、キャリアCの回転方向の位置を補正するための補正機構を少なくとも1つ備える。図2Aの第1係合部C15は、本実施形態の補正機構の一例である。図2Aの第1係合部C15は、外周側壁面C13に設けられた半楕円形の突起である。本実施形態の補正機構の形状は、図2Aに示すような半楕円形の突起に限られず、たとえば、円形の突起、矩形の突起、又は凸形状であってもよい。本実施形態のキャリアCにおいて補正機構が設けられる位置は、図2Aに示すような外周側壁面C13に限られず、たとえば、底面C11または内周側壁面C14であってもよい。
【0037】
また、図3Aは、本実施形態に係るキャリアCの別の例を示す平面図であり、図3Bは、ウェーハWF及び反応炉11のサセプタ112を含めた、図3AのキャリアCを正面視した場合の縦断面図である。図3Aの第1係合部C15’は、本実施形態の補正機構の別の例であり、外周側壁面C13に設けられた円形の切欠きである。本実施形態の補正機構の形状は、図3Aに示すような円形の切欠きに限られず、たとえば、楕円形の切欠き、矩形の切欠き、凹形状又は溝形状であってもよい。本実施形態のキャリアCにおいて補正機構が設けられる位置は、図3Aに示すような外周側壁面C13に限られず、たとえば、底面C11または内周側壁面C14であってもよい。
【0038】
図4(A)~図4(E)は、反応室111内におけるウェーハWF及びキャリアCの移載手順を示す平面図及び鉛直方向の縦断面図である。反応炉11の反応室111に、ウェーハWFを支持しているキャリアCを搬入する場合は、図4(A)の平面図に示すように、第1ロボット121の第1ブレード123にキャリアCを載置した状態で、図4(B)に示すようにサセプタ112の上方まで搬送する。次に、図4(C)に示すように、サセプタ112に対して相対的に上下移動可能に設けられた3つ以上のキャリアリフトピン115により、一旦キャリアCを持ち上げ、図4(D)に示すように、第1ブレード123を後退させる。そして、図4(E)に示すように、サセプタ112を上昇させることで、サセプタ112の上面にキャリアCを載置する。
【0039】
逆に、反応炉11の反応室111においてCVD膜形成の処理を終えたウェーハWFを、キャリアCに搭載した状態で取り出す場合は、まず、図4(E)に示す状態から、図4(D)に示すようにサセプタ112を下降させてキャリアリフトピン115のみによってキャリアCを支持する。次に、図4(C)に示すように、キャリアCとサセプタ112との間に第1ブレード123を前進させ、図4(B)に示すように、3つのキャリアリフトピン115を下降させて第1ブレード123にキャリアCを載置し、第1ロボット121のハンドを動作させる。これにより、CVD膜形成の処理が終了したウェーハWFを、キャリアCに搭載した状態で取り出すことができる。
【0040】
本実施形態の気相成長装置1において、ウェーハWFは、ロードロック室13と反応室111との間を、キャリアCに支持された状態で搬送される。気相成長装置1において、ウェーハWFに対して順次CVD膜形成の処理を行うためには、処理後のウェーハWFをキャリアCから取り出し、当該キャリアCに処理前のウェーハWFを載置する必要がある。そのために、ロードロック室13にホルダ17が設けられている。
【0041】
ホルダ17は、ロードロック室13において、キャリアCを上下2段に支持するための支持体である。ホルダ17が支持しているキャリアCには、ウェーハWFが載置されていても、載置されていなくてもよい。本実施形態の気相成長装置1では、ウェーハWFは、キャリアCに載置されている状態で、ロードロック室13と反応室111との間を搬送される。したがって、処理前のウェーハWFは、ロードロック室13においてホルダ17に支持されているキャリアCに載置される。また、処理後のウェーハWFは、ロードロック室13においてホルダ17に支持されているキャリアCから取り出される。
【0042】
図5Aは、ロードロック室13に設けられた本実施形態のホルダ17の一例を示す平面図であり、図5Bは、ウェーハWF及びキャリアCを含めた図5Aのホルダ17を正面視した場合の縦断面図である。本実施形態のホルダ17は、ホルダベース171と、第1ホルダ172と、第2ホルダ173と、ウェーハリフトピン174と、を備える。
【0043】
ホルダベース171は、ホルダ17を支持するための基部である。ホルダベース171は、ロードロック室13に対して固定されている。
【0044】
第1ホルダ172及び第2ホルダ173は、キャリアCを支持するための支持体である。第1ホルダ172及び第2ホルダ173は、2つのキャリアCを上下2段に支持し、ホルダベース171に対して上下に昇降可能である。第1ホルダ172及び第2ホルダ173(図5Aの平面図では、第2ホルダ173が第1ホルダ172により隠れているため、第1ホルダ172のみを図示する。)は、キャリアCを4点で支持するための突起を有する。第1ホルダ172及び第2ホルダ173がキャリアCを支持する点の数は特に限定されず、4点以上であってもよい。第1ホルダ172には1つのキャリアCが載置され、第2ホルダ173にも1つのキャリアCが載置される。第2ホルダ173に載置されるキャリアCは、第1ホルダ172と第2ホルダ173との間の隙間に挿入される。
【0045】
ウェーハリフトピン174は、ウェーハWFを支持するための支持体である。ウェーハリフトピン174は、ホルダベース171に対して上下に昇降可能であり、ホルダ17を正面視した場合に、キャリアCに支持されているウェーハWFを、キャリアCに対して上下に移動する。図5Aに示されたホルダ17は、3つのウェーハリフトピン174を備えるが、ウェーハリフトピン174の数は特に限定されず、4つ以上であってもよい。ウェーハリフトピン174の形状は特に限定されず、図5Bに示されたピンより太くてもよいし、細くてもよい。ウェーハリフトピン174のウェーハWFと接する先端部の形状は、図5Bに示されたピンの先端部より丸くてもよいし、尖っていてもよい。
【0046】
さらに、本実施形態のホルダ17は、本実施形態の気相成長装置1を平面視で見た場合に、前記ウェーハの円周方向に沿う、キャリアCの回転方向の位置を補正するための補正機構を少なくとも1つ備える。図5Aの第2係合部177は、本実施形態の補正機構の一例である。第2係合部177は、図5Aに示すように、第1ホルダ支持体175に設けられた突起である。図5Aの第2係合部177の平面図を図5C(A)に、縦断面図を図5C(B)に示す。図5C(A)及び(B)に示したように、第2係合部177は基部177a及び突起177bを備える。基部177aは、円柱形であり、突起177bは、基部177aよりも細い、先端の丸い円柱形である。基部177a及び突起177bの形状は図5C(A)及び(B)に示したものに限られず、たとえば、楕円形または矩形であってもよい。また、突起177bは、基部177aと一体となっていてもよい
【0047】
また、本実施形態の補正機構の形状は、図5C(A)及び(B)に示すような突起に限られず、たとえば、凸形状、凹形状又は溝形状であってもよい。第2係合部177のような本実施形態の補正機構の数および配置は、キャリアCを平面視した場合の回転方向の位置を決めることができれば、特に限定されない。たとえば、図6Aは、本実施形態に係るホルダ17の別の例を示す平面図であり、図6Bは、ウェーハWF及びキャリアCを含めた図6Aのホルダ17を正面視した場合の縦断面図である。図6Aのホルダ17の第2係合部177’は、形状は図5C(A)及び(B)に示したものと同じであるが、その配置は、図5Aが平面視した場合に略台形を成す配置であるのに対して、図6Aは略二等辺三角形を成す配置となっている。
【0048】
また、図5Aにおいて、第2係合部177は第1ホルダ支持体175に設けられているが、第1ホルダ支持体175及び第2ホルダ支持体176の両方に設けられていてもよいし、第2ホルダ支持体176のみに設けられていてもよい。第2係合部177のような本実施形態の補正機構が、第2ホルダ支持体176のみに設けられている場合は、ホルダの下段である第2ホルダ173にキャリアCが載置されたときに、平面視した場合の回転方向の位置決めが行われる。ここで、第1ホルダ支持体175及び第2ホルダ支持体176は、それぞれ、第1ホルダ172及び第2ホルダ173を支持するための支持体であり、第1ホルダ172及び第2ホルダ173とともに、ホルダベース171に対して上下に昇降する。
【0049】
第1係合部C15、C15’及び第2係合部177、177’のような本実施形態の補正機構の数は、特に限定されないが、一対の補正機構を用いて、前記ウェーハの円周方向に沿う、キャリアCの時計回りの回転および反時計回りの回転を規制するために、少なくとも2つ設けられることが好ましい。また、本実施形態の補正機構は、気相成長装置1を平面視で見た場合に、キャリアCの上下方向および左右方向の位置も補正することが好ましい。一つの補正機構で上下、左右および回転方向の位置を補正することができれば、キャリアCの位置の補正に必要な補正機構の数を抑制することができるからである。
【0050】
図7は、ロードロック室13におけるウェーハWF及びキャリアCの移載手順を示す平面図及び縦断面図であり、図7(B)に示すように第1ホルダ172にキャリアCが支持されている状態で、キャリアCに処理前のウェーハWFを搭載する手順を示す。すなわち、ファクトリインターフェース14に設けられた第2ロボット141は、ウェーハ収納容器15に収納された1枚のウェーハWFを第2ブレード143に載せ、ロードロック室13の第1ドア131を介して、図7(B)に示すようにホルダ17の上部まで搬送する。次いで、図7(C)に示すように、ホルダベース171に対して3つのウェーハリフトピン174を上昇させ、ウェーハWFを一旦持ち上げ、図7(D)に示すように第2ブレード143を後退させる。なお、3つのウェーハリフトピン174は、図7(A)の平面図に示すように、第2ブレード143と干渉しない位置に設けられている。次いで、図7(D)及び図7(E)に示すように、3つのウェーハリフトピン174を下降させるとともに第1ホルダ172及び第2ホルダ173を上昇させることで、キャリアCにウェーハWFを搭載する。
【0051】
逆に、キャリアCに載置された状態でロードロック室13に搬送されてきた処理後のウェーハWFを、ウェーハ収納容器15へ搬送する場合には、図7(E)に示す状態から、図7(D)に示すように3つのウェーハリフトピン174を上昇させるとともに第1ホルダ172及び第2ホルダ173を下降させ、ウェーハリフトピン174のみによってウェーハWFを支持し、図7(C)に示すようにキャリアCとウェーハWFとの間に第2ブレード143を前進させたのち、図7(B)に示すように3つのウェーハリフトピン174を下降させて第2ブレード143にウェーハWFを載せ、第2ロボット141のハンドを動作させる。これにより、処理を終了したウェーハWFをキャリアCからウェーハ収納容器15へ取り出すことができる。なお、図7(E)に示す状態は、処理を終了したウェーハWFがキャリアCの搭載された状態で第1ホルダ172に搬送されているが、第2ホルダ173に搬送された場合も同様の手順で、ウェーハWFをキャリアCからウェーハ収納容器15へ取り出すことができる。
【0052】
本実施形態の気相成長装置1において、第1ロボット121のハンドの先端には、第1ブレード123が装着される。第1ブレード123には、ウェーハWFを載せた又は空のキャリアCを搬送するための第1凹部124が形成されている。本実施形態の気相成長装置1において、第1ブレード123及び第1凹部124は、第1係合部C15、C15’及び第2係合部177、177’のような補正機構の形状及びその配置に対応するような形状を有する。
【0053】
たとえば、図8(A)は、第1ブレード123の一例を示す平面図であり、図4(A)に示すように、図2Aに示したキャリアCを搬送するための第1ブレード123の一例を示す平面図である。図8(B)は、図2Aに示したキャリアC及びウェーハWFを含めた、第1ブレード123の側面方向からの縦断面図である。本実施形態の第1ブレード123は、短冊板状の本体の一面に、キャリアCの外周側壁面C13及び第1係合部C15に対応した形状の第1凹部124が形成されている。第1凹部124の形状は、キャリアCが第1ブレード123の第1凹部124に篏合するように、キャリアCの外周側壁面C13及び第1係合部C15を平面視で見た場合の外周部よりわずかに大きく形成されている。そして、第1ロボット121は、ウェーハWFを載せた又は空のキャリアCを搬送する場合には、キャリアCを第1凹部124に載せる。
【0054】
本実施形態の第1係合部C15と第2係合部177は、キャリアCがホルダ17に載置される際にお互いに係合することで、ウェーハWFの円周方向に沿う、キャリアC回転方向の位置を補正する。たとえば、図2Aに示したキャリアCの第1係合部C15は、図5Aに示したホルダ17の第2係合部177と係合することで、キャリアC回転方向の位置を補正する。図9Aは、図5Aに示したホルダ17に図2Aに示したキャリアCが載置され、第1係合部C15と第2係合部177とが係合し、キャリアC回転方向の位置を補正されたときの、キャリアCとホルダ17の平面図である。また、たとえば、図3Aに示したキャリアCの第1係合部C15’は、キャリアCがホルダ17に載置される際に、図6Aに示したホルダ17の第2係合部177’と係合することで、ウェーハWFの円周方向に沿う、キャリアC回転方向の位置を補正する。図9Bは、図6Aに示したホルダ17に図3Aに示したキャリアCが載置され、第1係合部C15’と第2係合部177’とが係合し、キャリアC回転方向の位置を補正されたときの、キャリアCとホルダ17の平面図である。
【0055】
さらに、本実施形態の第2係合部177は、キャリアCの第1係合部C15と、ホルダ17の第2係合部177とが係合してキャリアC回転方向の位置を補正する場合に、第1係合部C15と係合するための係合面Faと、ホルダ17に対してキャリアCを相対的に回転させるための回転面Fbと、ホルダ17に対するキャリアCの補正位置を決定する位置決め面Fcを備えることが好ましい。係合面Fa及び回転面Fbを設けることで、第1係合部C15と第2係合部177とが遊嵌していればキャリアCを位置決め面Fcに導くことができ、キャリアCが所定の位置からずれることをより一層抑制することができる。
【0056】
図10(A)は、本実施形態の第2係合部177を示す平面図であり、図10(B)は、縦断面図である。たとえば、図10(B)に示すように、第2係合部177は、突起177bに係合面Fa及び回転面Fbを、基部177aの上面に位置決め面Fcを備えることができる。本実施形態の回転面Fbは、キャリアCがホルダ17に対して相対的に十分に回転し、気相成長装置1を平面視で見た場合の回転方向の位置を補正できるような大きさであることが好ましい。また、本実施形態の第2係合部177を側面視した場合に、回転面Fbの傾きは、キャリアCがホルダ17に対して相対的に回転できるような角度を有することが好ましい。本実施形態の係合面Faと回転面Fbとが形成する傾きαは、たとえば、105°~165°、120°~150°、又は130°~140°であってよい。
【0057】
図11図13は、キャリアCがホルダ17に載置される際に、図2Aに示したキャリアCの第1係合部C15と、図10(A)及び(B)に示した第2係合部177とが係合し、キャリアC回転方向の位置を補正するときの、第1係合部C15と第2係合部177との位置関係を示す。図11(A)、図12(A)及び図13(A)は、図2Aに示すキャリアCと図10(A)及び(B)に示す第2係合部177とを示す平面図であり、図11(B)、図12(B)及び図13(B)は、ホルダ17を正面視した場合の縦断面図である。
【0058】
キャリアCは、第1ブレード123を装着した第1ロボット121によって、ホルダ17に載置される。図5(B)に示したように、キャリアCは、ホルダ17に載置される際に、ホルダ17に対して上方から接近する。したがって、第1係合部C15は、たとえば図11(B)に示すように、第2係合部177の係合面Faと最初に係合する。図11(B)において、第1係合部C15は第2係合部177と遊嵌しており、第2係合部177の係合面Faと係合した状態であっても、キャリアCは上下方向に動くことができる。また、第1係合部C15が第2係合部177の係合面Faと接していても、第1係合部C15が係合面Fa上を摺動することで、キャリアCは上下方向に動くことができる。
【0059】
キャリアCの位置が下がってくると、第1係合部C15は、第2係合部177の係合面Faを過ぎ、たとえば図12(B)に示したように、第2係合部177の回転面Fbと係合する。図12(B)では、第1係合部C15の左側端部が、左側に配置された第2係合部177の回転面Fbと接している。回転面Fbには傾斜がついており、当該傾斜に沿って第1係合部C15の左側端部が回転面Fb上を摺動しつつ、キャリアCは下方向に移動する。このときに、キャリアCは、図12(A)において矢印Aの方向(時計回りの方向)に回転する。この回転面Fbの傾斜によるキャリアCの回転で、本実施形態のキャリアCは、回転方向の位置を補正することができる。
【0060】
第1係合部C15の左側端部は、左側に配置された第2係合部177と係合しつつ、回転面Fb上を摺動しながら、回転面Fbに沿って移動する。これにより、キャリアCは、図13(A)において矢印Aの方向に回転しつつ、所定の位置に向かって移動する。そして、第1係合部C15が第2係合部177の回転面Fbを過ぎ、キャリアCがホルダ17に載置されるときに、本実施形態のキャリアCは、たとえば図13(A)及び(B)に示すように、キャリアCの所定の位置である位置決め面Fcに載置される。
【0061】
図10に示したように、第2係合部177に係合面Fa、回転面Fb及び位置決め面Fcを設けてもよいが、第1係合部C15にこれらの面と同様の面を設けてもよい。たとえば、図14(A)は、本実施形態のキャリアCのさらに別の一例の底面図であり、図14(B)は縦断面図である。図14(A)に示されたキャリアCは、第1係合部C15’が設けられている。第1係合部C15’は、係合面Faと回転面Fbを同一の平面とした係合回転面Fa’と、位置決め面Fc’とを有する。このように、本実施形態の補正機構においては、係合面Faと回転面Fbを同じ面としてもよい。これにより、補正機構の大きさがキャリアCに対して相対的に大きくなることを抑制することができる。
【0062】
本実施形態の係合回転面Fa’は、キャリアCがホルダ17に対して相対的に十分に回転し、気相成長装置1を平面視で見た場合の回転方向の位置を補正できるような大きさであることが好ましい。また、本実施形態のキャリアCを側面視した場合に、係合回転面Fa’の傾きは、キャリアCがホルダ17に対して相対的に回転できるような角度を有することが好ましい。本実施形態の係合回転面Fa’と位置決め面Fc’とが形成する傾きα’は、たとえば、105°~165°、120°~150°、又は130°~140°であってよい。
【0063】
図15図17は、キャリアCがホルダ17に載置される際に、図14に示したキャリアCの第1係合部C15’と、第1係合部C15’に対応する形状の第2係合部177”とが係合し、キャリアC回転方向の位置を補正するときの、第1係合部C15’と第2係合部177”との位置関係を示す。図15(A)、図16(A)及び図17(A)は、図14に示すキャリアCと第2係合部177”とを示す底面図であり、図15(B)、図16(B)及び図17(B)は、正面図である。
【0064】
キャリアCは、第1ブレード123を装着した第1ロボット121によって、ホルダ17に載置される。図5(B)に示したように、キャリアCは、ホルダ17に載置される際に、ホルダ17に対して上方から接近する。したがって、第2係合部177”は、たとえば図15(A)及び(B)に示すように、第1係合部C15’左側の係合回転面Fa’と最初に係合する。図15(B)において、第2係合部177”は第1係合部C15’と遊嵌しており、第1係合部C15’の係合回転面Fa’と係合した状態であっても、キャリアCは上下方向に動くことができる。また、第2係合部177”が第1係合部C15’の係合回転面Fa’と接していても、第2係合部177”が係合回転面Fa’上を摺動することで、キャリアCは上下方向に動くことができる。
【0065】
また、本実施形態のキャリアCにおける第1係合部C15’では、係合面Faと回転面Fbとが同一の係合回転面Fa’として形成されているので、第1係合部C15’と第2係合部177”とが係合した段階で、キャリアCは回転を始める。たとえば、キャリアCは、図15(A)において、ホルダに向かって下方向に移動することで、図15(B)に示すように、第2係合部177”が第1係合部C15’左側の係合回転面Fa’上を摺動する。この係合回転面Fa’上の第2係合部177”の摺動により、キャリアCは、図15(A)において矢印A’の方向に回転を始める。
【0066】
キャリアCの位置が下がってくると、たとえば図16(A)に示したように、第2係合部177”がキャリアCの外周側壁面C13と接することにより、矢印A’方向へのキャリアCの回転は止まる。図16(A)に示すように、矢印A’方向の回転が止まったキャリアCは、たとえば図16(B)に示すように、第2係合部177”が係合回転面Fa’上を摺動することで下方向に移動する。そして、第2係合部177”は、係合回転面Fa’を過ぎると、例えば図17(A)及び(B)に示すように、位置決め面Fc’と篏合する。第2係合部177”が位置決め面Fc’に篏合することで、キャリアCは、ホルダ17の所定の位置に載置される。
【0067】
次に、本実施形態の気相成長装置1における、エピタキシャル膜の生成前(以下、単に処理前ともいう)及びエピタキシャル膜の生成後(以下、単に処理後ともいう)のウェーハWFと、キャリアCとを、取り廻す手順を説明する。図18A図18Dは、本実施形態の気相成長装置におけるウェーハ及びキャリアの取り廻し手順を示す模式図であり、図1の一方側のウェーハ収納容器15、ロードロック室13及び反応炉11に対応し、ウェーハ収納容器15には、複数枚のウェーハW1,W2,W3…(たとえば合計25枚)が収納され、この順で処理を開始するものとする。
【0068】
図18Aの工程S0は、これから気相成長装置1を用いて処理を開始するスタンバイ状態を示し、ウェーハ収納容器15には、複数枚のウェーハW1,W2,W3…(たとえば合計25枚)が収納され、ロードロック室13の第1ホルダ172には空のキャリアC1が支持され、第2ホルダ173には空のキャリアC2が支持され、ロードロック室13は不活性ガス雰囲気になっているものとする。
【0069】
次の工程S1において、第2ロボット141は、ウェーハ収納容器15に収納されたウェーハW1を第2ブレード143に載せ、ロードロック室13の第1ドア131を開け、第1ホルダ172に支持されたキャリアC1に移載する。この移載の手順は、図7を参照して説明したとおりである。
【0070】
次の工程S2において、ロードロック室13の第1ドア131を閉め、第2ドア132も閉めた状態で、ロードロック室13の内部を再び不活性ガス雰囲気に置換する。そして、第2ドア132を開け、第1ロボット121の第1ブレード123にキャリアC1を載せ、反応炉11のゲートバルブ114を開き、当該ゲートバルブ114を介してウェーハW1が搭載されたキャリアC1をサセプタ112に移載する。この移載の手順は、図4を参照して説明したとおりである。工程S2~S4において、反応炉11では、ウェーハW1に対するCVD膜の生成処理が行われる。
【0071】
すなわち、処理前のウェーハW1が搭載されたキャリアC1を反応室111のサセプタ112に移載してゲートバルブ114を閉じ、所定時間だけ待機したのち、ガス供給装置113により反応室111に水素ガスを供給して反応室111を水素ガス雰囲気とする。次いで加熱ランプにて反応室111のウェーハW1を所定温度に昇温し、必要に応じてエッチングや熱処理などの前処理を施したのち、ガス供給装置113により原料ガスやドーパントガスの流量および/又は供給時間を制御しながら供給する。これにより、ウェーハW1の表面にCVD膜が生成される。CVD膜が形成されたら、ガス供給装置113により反応室111に再び水素ガスを供給して反応室111を水素ガス雰囲気に置換したのち、所定時間だけ待機する。
【0072】
このように工程S2~S4において、反応炉11によりウェーハW1に処理を行っている間、第2ロボット141は、ウェーハ収納容器15から次のウェーハW2を取り出し、次の処理の準備をする。その前に、本実施形態では、工程S3において、ロードロック室13の第2ドア132を閉め、第1ドア131も閉めた状態で、ロードロック室13の内部を不活性ガス雰囲気に置換する。そして、第2ドア132を開け、第1ロボット121により、第2ホルダ173に支持されているキャリアC2を第1ホルダ172に移載し、第2ドア132を閉じる。これに続いて、工程S4において、第2ロボット141は、ウェーハ収納容器15に収納されたウェーハW2を第2ブレード143に載せ、第1ドア131を開けて、ロードロック室13の第1ホルダ172に支持されたキャリアC2に移載する。
【0073】
このように本実施形態では、工程S3を追加し、ウェーハ収納容器15に収納された処理前のウェーハWFは、ロードロック室13のホルダ17の最上段のホルダである第1ホルダ172に搭載する。これは以下の理由による。すなわち、工程S2に示すように、次のウェーハW2を搭載する空のキャリアC2が第2ホルダ173に支持されている場合、これにウェーハW2を搭載すると、処理後のウェーハW1を搭載したキャリアC1が第1ホルダ172に移載される可能性がある。本実施形態の気相成長装置1のキャリアCは、反応室111にまで搬送されるため、キャリアCがパーティクルの発生要因となり、処理前のウェーハW2の上部にキャリアC1が支持されると、処理前のウェーハW2に塵埃が落下するおそれがある。そのため、処理前のウェーハWFは、ロードロック室13のホルダ17の最上段のホルダ(第1ホルダ172)に搭載するように、工程S3を追加して、空のキャリアC2を第1ホルダ172に移載する。ホルダ17の上段のホルダである第1ホルダ172に本実施形態の補正機構が設けられている場合には、工程S3においてキャリアCを第2ホルダ173から第1ホルダ172に移載したときに、キャリアCの回転方向の位置が補正される。
【0074】
工程S5において、ロードロック室13の第1ドア131を閉め、第2ドア132も閉めた状態で、ロードロック室13の内部を不活性ガス雰囲気に置換する。そして、反応炉11のゲートバルブ114を開き、第1ロボット121の第1ブレード123を反応室111に挿入して、処理後のウェーハW1を搭載したキャリアC1を載せ、反応室111から取り出し、ゲートバルブ114を閉じた後、第2ドア132を開いて、ロードロック室13の第2ホルダ173に移載する。ホルダ17の下段のホルダである第2ホルダ173に本実施形態の補正機構が設けられている場合には、工程S5においてキャリアCを反応室111から第2ホルダ173に移載したときに、キャリアCの回転方向の位置が補正される。そして、第1ロボット121の第1ブレード123に、第1ホルダ172に支持されたキャリアC2を載せ、この処理前のウェーハW2を搭載したキャリアC2を、工程S6に示すように、ウェーハ移載室12を介して、ゲートバルブ114を開けて反応炉11のサセプタ112に移載する。
【0075】
工程S6~S9において、反応炉11では、ウェーハW2に対するCVD膜の生成処理が行われる。すなわち、処理前のウェーハW2が搭載されたキャリアC2を反応室111のサセプタ112に移載してゲートバルブ114を閉じ、所定時間だけ待機したのち、ガス供給装置113により反応室111に水素ガスを供給して反応室111を水素ガス雰囲気とする。次いで加熱ランプにて反応室111のウェーハW2を所定温度に昇温し、必要に応じてエッチングや熱処理などの前処理を施したのち、ガス供給装置113により原料ガスやドーパントガスの流量および/又は供給時間を制御しながら供給する。これにより、ウェーハW2の表面にCVD膜が生成される。CVD膜が形成されたら、ガス供給装置113により反応室111に再び水素ガスを供給して反応室111を水素ガス雰囲気に置換したのち、所定時間だけ待機する。
【0076】
このように工程S6~S9において、反応炉11によりウェーハW2に処理を行っている間、第2ロボット141は、処理後のウェーハW1をウェーハ収納容器15に収納するとともに、ウェーハ収納容器15から次のウェーハW3を取り出し、次の処理の準備をする。すなわち、工程S7において、ロードロック室13の第2ドア132を閉め、第1ドア131も閉めた状態で、ロードロック室13の内部を不活性ガス雰囲気に置換する。そして、第1ドア131を開け、第2ロボット141により、第2ホルダ173に支持されているキャリアC1から処理後のウェーハW1を第2ブレード143に載せ、工程S8に示すように当該処理後のウェーハW1をウェーハ収納容器15に収納する。これに続いて、上述した工程S3と同様に、工程S8において、ロードロック室13の第1ドア131を閉め、第2ドア132も閉めた状態で、ロードロック室13の内部を不活性ガス雰囲気に置換する。そして、第2ドア132を開け、第1ロボット121により、第2ホルダ173に支持されているキャリアC1を第1ホルダ172に移載する。ホルダ17の上段のホルダである第1ホルダ172に本実施形態の補正機構が設けられている場合には、工程S8においてキャリアCを第1ホルダ172に移載したときに、キャリアCの回転方向の位置が補正される。
【0077】
これに続いて、工程S9において、ロードロック室13の第2ドア132を閉め、第1ドア131も閉めた状態で、ロードロック室13の内部を不活性ガス雰囲気に置換する。そして、第2ロボット141により、ウェーハ収納容器15に収納されたウェーハW3を第2ブレード143に載せ、工程S9に示すように、第1ドア131を開け、ロードロック室13の第1ホルダ172に支持されたキャリアC1に移載する。
【0078】
工程S10においては、上述した工程S5と同様に、ロードロック室13の第1ドア131を閉め、第2ドア132も閉めた状態で、ロードロック室13の内部を不活性ガス雰囲気に置換する。そして、反応炉11のゲートバルブ114を開き、第1ロボット121の第1ブレード123を反応室111に挿入して、処理後のウェーハW2を搭載したキャリアC2を載せ、ゲートバルブ114を閉じた後、第2ドア132を開いて、反応室111からロードロック室13の第2ホルダ173に移載する。これに続いて、第1ロボット121の第1ブレード123に、第1ホルダ172に支持されたキャリアC1を載せ、この処理前のウェーハW3を搭載したキャリアC1を、工程S11に示すように、ウェーハ移載室12を介して、反応炉11のサセプタ112に移載する。
【0079】
工程S10において、上述した工程S7と同様に、ロードロック室13の第2ドア132を閉め、第1ドア131も閉めた状態で、ロードロック室13の内部を不活性ガス雰囲気に置換する。そして、第1ドア131を開け、第2ロボット141により、第2ホルダ173に支持されているキャリアC2から処理後のウェーハW2を第2ブレード143に載せ、工程S11に示すように当該処理後のウェーハW2をウェーハ収納容器15に収納する。以下、ウェーハ収納容器15に収納された全ての処理前のウェーハWFの処理が終了するまで、以上の工程を繰り返す。
【0080】
以上のとおり、本実施形態の気相成長装置1において、ウェーハWFの円周方向に沿うキャリアCの回転方向の位置を補正する補正機構をキャリアCとホルダ17に設けることで、ウェーハに対するキャリアの回転方向の位置のズレを補正することができる。この場合、キャリアCの時計回りの回転および反時計回りの回転を規制する一対の補正機構を設けることで、キャリアCの回転方向の位置ズレをより一層補正することができる。また、本実施形態の補正機構は、気相成長装置1を平面視で見た場合に、キャリアCの上下方向および左右方向の位置も補正することで、キャリアCの位置の補正に必要な補正機構の数を抑制することができる。さらに、ホルダ17は、最上段のホルダに補正機構を設けず、上から2段目以下の段のうち少なくとも1つの段に補正機構を設けることで、既に補正機構により回転方向の位置が補正されたキャリアCについて、再度最上段のホルダで位置補正することを避けることができる。
【0081】
また、本実施形態の補正機構が、キャリアCに設けられた第1係合部C15、C15’と、ホルダ17に設けられた第2係合部177、177’、177”とを含むことで、キャリアCの回転方向の位置ズレをより一層補正することができる。さらに、第2係合部177が、第1係合部C15と係合する係合面Fa、ホルダ17に対してキャリアCを相対的に回転させる回転面Fb、及びホルダ17に対するキャリアCの補正位置を決定する位置決め面Fcを備えることで、第1係合部C15と第2係合部177とが遊嵌していればキャリアCを位置決め面Fcに導くことができ、キャリアCが所定の位置からずれることをより一層補正することができる。さらに、第1係合部C15’が、第2係合部177”と係合してホルダ17に対してキャリアCを相対的に回転させる係合回転面Fa’、及びホルダ17に対するキャリアCの補正位置を決定する位置決め面Fc’を備えることで、第1係合部C15’と、第2係合部177”とが遊嵌していればキャリアCを位置決め面Fc’に導くことができ、キャリアCが所定の位置からずれることをより一層補正することができる。この場合において、係合面Faと回転面Fbとを同一の面である係合回転面Fa’とすることで、本実施形態の補正機構がキャリアCに対して大きくなり、キャリアCの温度や形成されるCVD膜の品質に影響を与えることを抑制することができる。
【符号の説明】
【0082】
1…気相成長装置
11…反応炉
111…反応室
112…サセプタ
113…ガス供給装置
114…ゲートバルブ
115…キャリアリフトピン
12…ウェーハ移載室
121…第1ロボット
122…第1ロボットコントローラ
123…第1ブレード
124…第1凹部
13…ロードロック室
131…第1ドア
132…第2ドア
14…ファクトリインターフェース
141…第2ロボット
142…第2ロボットコントローラ
143…第2ブレード
15…ウェーハ収納容器
16…統括コントローラ
17…ホルダ
171…ホルダベース
172…第1ホルダ
173…第2ホルダ
174…ウェーハリフトピン
175…第1ホルダ支持体
176…第2ホルダ支持体
177、177’、177”…第2係合部
177a…基部
177b…突起
Fa…係合面
Fb…回転面
Fc…位置決め面
α…傾き
C…キャリア
C11…底面
C12…上面
C13…外周側壁面
C14…内周側壁面
C15、C15’…第1係合部
Fa’…係合回転面
Fc’…位置決め面
α’…傾き
WF…ウェーハ
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18A
図18B
図18C
図18D