(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-06
(45)【発行日】2023-01-17
(54)【発明の名称】純水製造システムの運転方法
(51)【国際特許分類】
C02F 1/469 20230101AFI20230110BHJP
C02F 1/44 20230101ALI20230110BHJP
C02F 1/32 20230101ALI20230110BHJP
【FI】
C02F1/469
C02F1/44 J
C02F1/32
(21)【出願番号】P 2021119153
(22)【出願日】2021-07-19
【審査請求日】2022-03-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001063
【氏名又は名称】栗田工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108833
【氏名又は名称】早川 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100162156
【氏名又は名称】村雨 圭介
(72)【発明者】
【氏名】田部井 麗奈
(72)【発明者】
【氏名】港 康晴
【審査官】小久保 勝伊
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/045061(WO,A1)
【文献】特開2021-037469(JP,A)
【文献】特開2021-065843(JP,A)
【文献】国際公開第2021/131360(WO,A1)
【文献】特開2022-002829(JP,A)
【文献】特開2017-131846(JP,A)
【文献】国際公開第2021/261143(WO,A1)
【文献】特開2003-1258(JP,A)
【文献】特開2018-122274(JP,A)
【文献】特開2003-311276(JP,A)
【文献】特開昭55-114307(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0284377(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/32、1/44-1/469、9/00-9/14
B01D 53/22、61/00-71/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線酸化装置と電気式脱イオン装置とを備え、これらの装置に上流側からその順に通水する純水製造システムの運転方法であって、前記電気脱イオン装置の濃縮室の被濃縮水及び電極室の電極水の過酸化水素濃度を該電気脱イオン装置の脱塩室を
通過する被処理水の過酸化水素濃度
の1/3以下と
し、
前記紫外線酸化装置で処理された処理水を前記電気式脱イオン装置の被処理水として脱塩室に供給し、該電気式脱イオン装置の脱塩室の通過水の一部を被濃縮水及び電極水として前記電気式脱イオン装置の濃縮室、陽極室及び陰極室に通水し、
前記電気脱イオン装置の脱塩室の通水方向と前記濃縮室の通水方向とを向流式とする、純水製造システムの運転方法。
【請求項2】
前記純水製造システムが、一次純水装置と二次純水装置とを備える超純水製造装置の一次純水装置である、請求項
1に記載の純水製造システムの運転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、純水製造システムの運転方法に関し、特に半導体、液晶等の電子産業分野で利用される超純水を製造する超純水製造装置を構成する純水製造システムの運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体等の電子産業分野で用いられている超純水は、前処理システム、一次純水装置及び一次純水を処理するサブシステムで構成される超純水製造装置で原水を処理することにより製造されている。
【0003】
例えば、
図1に示すように超純水製造装置1は、前処理装置2と一次純水製造装置(純水製造システム)3とサブシステム4といった3段の装置で構成されている。このような超純水製造装置1の前処理装置2では、原水Wの濾過、凝集沈殿、精密濾過膜などによる前処理が施され、主に懸濁物質が除去される。
【0004】
一次純水製造装置3は、前処理水W1を処理する逆浸透膜装置5と、脱気膜装置6と、紫外線酸化装置7と、電気脱イオン装置9と、この電気脱イオン装置9に給水を供給する給水ポンプ8とを有する。この一次純水製造装置3で前処理水W1中の大半の電解質、微粒子、生菌等の除去を行うとともに有機物を分解する。
【0005】
そして、サブシステム4は、サブタンク10と供給ポンプ11と紫外線酸化装置12と非再生型混床式イオン交換装置13と限外ろ過膜(UF膜)14とを有し、限外ろ過膜(UF膜)14からユースポイント15を経由してサブタンク10に還流する構成となっている。このサブシステム4では、一次純水製造装置3で製造された一次純水W2中に含まれる微量の有機物(TOC成分)を酸化分解し、炭酸イオン、有機酸類、アニオン性物質、さらには金属イオンやカチオン性物質を除去し、最後に限外濾過(UF)膜14で微粒子を除去して超純水W3とし、これをユースポイント15に供給して、未使用の超純水はサブシステムの前段に還流する。
【0006】
上述したような超純水製造装置1の一次純水製造装置3では、逆浸透膜装置5、紫外線酸化装置7及び電気脱イオン装置9が順次配置されるが、紫外線酸化装置7の処理水を電気脱イオン装置9に通水すると、紫外線酸化装置で発生する過酸化水素により、電気脱イオン装置9の電極、濃縮室あるいは電極室内のイオン交換体を劣化させることがある。
【0007】
この対策として、特許文献1には、紫外線酸化装置をバイパスして逆浸透膜装置の処理水を電気脱イオン装置の濃縮室・電極室に通水する純水製造システムの運転方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、この特許文献1に記載された純水製造システムの運転方法では、逆浸透膜装置の処理水を電気脱イオン装置に通水するためのバイパスラインが必要となり、大規模な純水製造システムにおいては、長距離配管の増加により装置のコストの増大する、という問題点がある。
【0010】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、シンプルな構成で電気脱イオン装置の電極や濃縮室や電極室内のイオン交換体の劣化を抑制することの可能な純水製造システムの運転方法を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的に鑑み、本発明は、紫外線酸化装置と電気式脱イオン装置とを備え、これらの装置に上流側からその順に通水する純水製造システムの運転方法であって、前記電気脱イオン装置の濃縮室の被濃縮水及び電極室の電極水の過酸化水素濃度を該電気脱イオン装置の脱塩室を通過する被処理水の過酸化水素濃度未満とする、純水製造システムの運転方法を提供する(発明1)。特に上記発明(発明1)においては、前記電気脱イオン装置の濃縮室の被濃縮水及び電極室の電極水の過酸化水素濃度を前記電気脱イオン装置の脱塩室を通過する被処理水の過酸化水素濃度の1/3以下とすることが好ましい(発明2)。
【0012】
かかる発明(発明1,2)によれば、紫外線酸化装置で処理された処理水は過酸化水素が増加しており、この処理水を電気脱イオン装置の濃縮室・電極室に流通すると、電気脱イオン装置の電極や濃縮室や電極室内のイオン交換体の劣化が促進される。そこで、濃縮室・電極室の供給水の過酸化水素濃度を低く、特に脱塩室を通過する被処理水の過酸化水素濃度の1/3以下となるように電気脱イオン装置の運転条件を調整、あるいは設定することで、電気脱イオン装置の電極や濃縮室や電極室内のイオン交換体の劣化を抑制することができ、電気脱イオン装置の耐用期間を長期化することができる。
【0013】
上記発明(発明1,2)においては、前記紫外線酸化装置で処理された処理水を前記電気式脱イオン装置の被処理水として脱塩室に供給し、該電気式脱イオン装置の脱塩室の通過水の一部を被濃縮水及び電極水として前記電気式脱イオン装置の濃縮室及び電極室に通水することが好ましい(発明3)。特に上記発明(発明3)においては、前記電気脱イオン装置の脱塩室の通水方向と前記濃縮室の通水方向とを向流式とすることが好ましい(発明4)。
【0014】
かかる発明(発明3,4)によれば、紫外線酸化装置の処理水を電気式脱イオン装置の脱塩室を通過させると、過酸化水素が減少するので、この通過水の一部を前記電気式脱イオン装置の濃縮室・電極室に通水することで、脱塩室を通過する被処理水の過酸化水素濃度より低い水を濃縮室・電極室の通過水とすることができる。特に前記電気脱イオン装置の脱塩室の通水方向と前記濃縮室の通水方向とを向流式とすることで、簡易な構造でこれを達成することができる。
【0015】
上記発明(発明1~4)においては、前記純水製造システムが、一次純水装置と二次純水装置とを備える超純水製造装置の一次純水装置であることが好ましい(発明5)。
【0016】
かかる発明(発明5)によれば、上述したように電気脱イオン装置の耐用期間を長期化することができるので、超純水製造装置の一次純水装置を構成する純水製造システムを上述したような運転制御とすることで、超純水製造装置の耐用期間の長期化を図ることもでき、超純水製造装置で製造される超純水を長期間安定供給することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の純水製造システムの運転方法によれば、濃縮室・電極室の供給水の過酸化水素濃度を低く、特に脱塩室を通過する被処理水の過酸化水素濃度の1/3以下とすることで、電気脱イオン装置の電極や濃縮室や電極室内のイオン交換体の劣化を抑制することができ、電気脱イオン装置の耐用期間を長期化することができる。これにより、シンプルな構成の純水製造システムで、電気脱イオン装置の耐用期間の長期化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態による純水製造システムの運転方法を適用可能な一次純水装置を備えた超純水製造装置を示すフロー図である。
【
図2】前記実施形態よる純水製造システムの運転方法における電気脱イオン装置の構造の一例を示す概略図である。
【
図3】実施例1の純水製造システムの運転方法における電気脱イオン装置の構造を示す概略図である。
【
図4】比較例1の純水製造システムの運転方法における電気脱イオン装置の構造を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態による純水製造システムの運転方法について添付図面を参照に説明する。
図1は本実施形態の純水製造システムの運転方法を適用可能な超純水製造装置を示すフロー図であり、純水製造システムの基本構成としては前述した従来例と同じであるので、その詳細な説明を省略する。
【0020】
この超純水製造装置1の純水製造システムとしての一次純水製造装置3では紫外線酸化装置7の処理水を電気脱イオン装置9に通水する。この電気脱イオン装置9は、本実施形態においては
図2に示すような構成を有することが好ましい。
【0021】
[電気脱イオン装置]
図2において、電気脱イオン装置9は、電極(陽極21、陰極22)の間に複数のアニオン交換膜23及びカチオン交換膜24を交互に配列して脱塩室25と濃縮室26とを交互に形成し、両側に陽極室27と陰極室28を形成したものであり、脱塩室25にはイオン交換樹脂、イオン交換繊維もしくはグラフト交換体等からなるイオン交換体(アニオン交換体及びカチオン交換体)が混合もしくは複層状に充填されている。また、濃縮室26と、陽極室27及び陰極室28にも、同様にイオン交換体が充填されている。
【0022】
そして、本実施形態においては、この電気脱イオン装置7には、脱塩室25に紫外線酸化装置7で処理した被処理水W4を通水して脱塩水W5を取り出し、濃縮室26にこの脱塩水W5を分取して通水する濃縮室通水手段(図示せず)が設けられていて、脱塩室25の脱塩水W5を該脱塩室25の脱塩水W5の取り出し口に近い側から濃縮室26内に導入すると共に、脱塩室25の処理原水(被処理水W4)の入口に近い側から流出する、すなわち脱塩室25における被処理水W4の流通方向と反対方向から脱塩水W5を濃縮室26に導入して濃縮水W6を吐出する構成となっている。一方、陽極室27及び陰極室28にも脱塩水W5を分取して電極水として流通させ、それぞれ陽極排出水W7、陰極排出水W8として排出する構造となっている。
【0023】
[純水製造システムの運転方法]
上述したような構成を有する一次純水装置3の運転方法について説明する。まず、原水Wを前処理手段2により前処理を施した前処理水W1を一次純水装置3に供給し、逆浸透膜(RO)装置5で塩類除去のほかにイオン性、コロイド性のTOCを除去する。そして、脱気膜装置6で溶存気体を除去し、紫外線酸化装置7において残存する有機物を分解する。この紫外線酸化装置7で処理した被処理水W4を電気脱イオン装置9に通水して、UV酸化により分解した有機物に起因するイオン性の不純物を除去して、一次純水W2を製造する。
【0024】
このとき、電気脱イオン装置9の濃縮室26及び電極室(陽極室27、陰極室28)の供給水の過酸化水素濃度を脱塩室25に供給する被処理水W4の過酸化水素濃度未満とする。紫外線酸化装置7で処理された被処理水W4は過酸化水素が増加しており、この被処理水W4を電気脱イオン装置9の濃縮室26及び電極室(陽極室27、陰極室28)に流通すると、電気脱イオン装置9の電極21,22や濃縮室26や陽極室27又は陰極室28内のイオン交換体の劣化が促進される。そこで、濃縮室26と陽極室27及び陰極室28の供給水の過酸化水素濃度を低くすることで、電気脱イオン装置9の電極21,22や濃縮室26や陽極室27又は陰極室28内のイオン交換体の劣化を抑制することができ、電気脱イオン装置9の運転電圧の上昇を抑制し、耐用期間を長期化することができる。特に脱塩室を通過する被処理水の過酸化水素濃度の1/3以下とすることで、上記効果を好適に発揮することができる。
【0025】
本実施形態においては、この電気脱イオン装置9の濃縮室26及び電極室(陽極室27、陰極室28)に脱塩水W5を分取して供給する。一般に電気脱イオン装置9の脱塩水W5の過酸化水素濃度は、紫外線酸化装置7で処理された被処理水W4より低いので、簡単な構造でこれを達成することができる。また、紫外線酸化装置7で処理した被処理水W4と脱塩室25を通過した脱塩水W5の過酸化水素濃度を測定して、被処理水W4よりも脱塩水W5の過酸化水素濃度が低いこと、好ましくは1/3以下であることをあらかじめ確認してもよい。あるいは、紫外線酸化装置7で処理した被処理水W4と脱塩室25を通過した脱塩水W5の過酸化水素濃度を過酸化水素モニタにより、連続的あるいは断続的に計測して、被処理水W4よりも脱塩水W5の過酸化水素濃度が1/3以下となるように電気脱イオン装置9印加する電圧を制御してもよい。
【0026】
特に、本実施形態においては、電気脱イオン装置9として、脱塩室25を通過した脱塩水W5の一部を被濃縮水として濃縮室26に脱塩室25の通水方向とは逆方向に向流一過式で通水し、濃縮室26から濃縮水W6を系外へ排出させているので、脱塩室25の取り出し側ほど濃縮室26の被濃縮水中のイオン濃度が低いものとなり、濃度拡散による脱塩室25への影響が小さくなるため、ホウ素などの弱イオンの除去率が向上している。しかも、脱塩水W5は、紫外線酸化装置7で処理した被処理水W4よりも過酸化水素濃度が低く、特に1/3以下とすることが可能であるので、このような構成を採用することにより、濃縮室26に過酸化水素濃度が低い被濃縮水を容易に供給することができる。
【0027】
このようにして一次純水W2を製造したら、サブタンク10に貯留し、この一次純水W2を供給ポンプ11により供給して処理する。サブシステム4では、紫外線酸化装置12と非再生型混床式イオン交換装置13と限外ろ過膜14とによる処理を行う。紫外線酸化装置12では、UVランプより出される波長185nmの紫外線によりTOCを有機酸さらにはCO2レベルにまで分解する。分解された有機酸及びCO2は後段の非再生型混床式イオン交換装置13で除去される。限外ろ過膜14では、微小粒子が除去され、非再生型混床式イオン交換装置13の流出粒子も除去され、二次純水(超純水)W3を製造することができる。そして、この超純水W3はユースポイント15に供給された後、未使用分がサブタンク10に返送することで、超純水製造装置1を運転することができる。
【0028】
以上、本発明について前記実施形態に基づき説明してきたが、本発明は前記実施形態に限定されず、種々の変更実施が可能である。例えば、本発明において適用可能な超純水製造装置1としては、一次純水装置3が紫外線酸化装置7の処理水を電気式脱イオン装置9で処理する構成であれば、種々の構成のものに適用可能である。また、電気脱イオン装置9としては、脱塩水と被濃縮水とを同じ方向に有するタイプのものであってもよい。さらに、前記実施形態では、電気脱イオン装置9の濃縮室26に脱塩水W5を被濃縮水として供給したが、被処理水W4よりも過酸化水素濃度が低い水を別途調整して供給するようにしてもよい。
【実施例】
【0029】
〔実施例1〕
紫外線酸化装置7の処理水の模擬水として、純水に過酸化水素を添加した水(過酸化水素濃度:400μg/L)を調製した。この調製水を被処理水W4として
図3及び表1に示す構造の電気脱イオン装置9に表2に示す通水条件で通水し、脱塩室25の入口の被処理水W4及び出口の脱塩水W5の過酸化水素濃度を溶存過酸化水素計(栗田工業(株)製 過酸化水素モニタ)により測定した結果を表3に示す。
【0030】
そして、過酸化水素による劣化を確認する指標として電圧の変化を測定した。電圧は装置寿命を決定する因子の一つであり、長期間装置を使用するためには、電圧の増加を抑える必要がある。そこで、この被処理水W4の通水を1週間継続した後の電圧の上昇速度を測定し、今回の試験で使用した電気脱イオン装置で許容される電圧上昇(寿命に到達するまでの電圧変化)は通水初期の電圧から5Vであり、この値から各条件における装置寿命を算出した。また、今回の試験では、過酸化水素を400μg/L添加しているが、実際の紫外線酸化装置7の処理水の過酸化水素濃度は100μg/L程度であるので、濃度を換算することにより紫外線酸化装置の処理水を通水したときの予測装置寿命を算出した。これら電圧の上昇速度、装置寿命、及び紫外線酸化装置(UV酸化装置)の処理水を想定した場合の装置寿命の算出結果を表4に示す。
【0031】
〔比較例1〕
実施例1において、
図4及び表1に示す構造の電気脱イオン装置9に実施例1と同様の被処理水W4を表2に示す通水条件で通水し、脱塩室25の入口の被処理水W4及び出口の脱塩水W5の過酸化水素濃度を溶存過酸化水素計により測定した結果を表3にあわせて示す。また、電圧の上昇速度、装置寿命及び紫外線酸化装置の処理水を想定した場合の装置寿命を実施例1と同様にそれぞれ算出した。結果を表4にあわせて示す。
【0032】
【0033】
【0034】
【0035】
【0036】
表4から明らかなとおり、実施例1と比較例1とでは、実機の紫外線酸化装置の処理水を脱塩室に供給した場合を想定した装置寿命の比較で700日以上の差となっていた。これは、表3に示すように、実施例1では脱塩室に供給する非処理水の過酸化水素濃度に対して、濃縮室に供給する被濃縮水及び電極室に供給する電極水の過酸化水素濃度が低く、特に1/3以下、さらには1/4以下で100μg/Lとなっているためであると推定できる。
【符号の説明】
【0037】
1 超純水製造装置
2 前処理装置
3 一次純水製造装置
4 サブシステム
5 逆浸透膜装置
6 脱気膜装置
7 紫外線酸化装置
8 給水ポンプ
9 電気脱イオン装置
21 陽極(電極)
22 陰極(電極)
23 アニオン交換膜
24 カチオン交換膜
25 脱塩室
26 濃縮室
27 陽極室(電極室)
28 陰極室(電極室)
W 原水
W1 前処理水
W2 一次純水
W3 超純水
W4 被処理水
W5 脱塩水(被濃縮水、電極水)
W6 濃縮水
W7 陽極排出水
W8 陰極排出水
【要約】
【課題】 シンプルな構成で電気脱イオン装置の電極や濃縮室や電極室内のイオン交換体の劣化を抑制することの可能な純水製造システムの運転方法を提案する。
【解決手段】 一次純水製造装置は、逆浸透膜装置と、脱気膜装置と、紫外線酸化装置と、電気脱イオン装置9と、この電気脱イオン装置9に給水を供給する給水ポンプとを有する。この一次純水製造装置において、紫外線酸化装置7で処理した被処理水W4を電気脱イオン装置9に通水して、UV酸化により分解した有機物に起因するイオン性の不純物を除去し、脱塩水W5を製造する。このとき、電気脱イオン装置9の濃縮室26及び電極室(陽極室27、陰極室28)の供給水(電極水)として脱塩水W5を分取して供給することで、電気脱イオン装置9の濃縮室26及び電極室(陽極室27、陰極室28)の供給水の過酸化水素濃度を脱塩室25に供給する被処理水W4の過酸化水素濃度未満とする。
【選択図】
図2