IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日産化学工業株式会社の特許一覧

特許7205685脂環式エポキシ化合物を含むコーティング組成物
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-06
(45)【発行日】2023-01-17
(54)【発明の名称】脂環式エポキシ化合物を含むコーティング組成物
(51)【国際特許分類】
   C09D 163/00 20060101AFI20230110BHJP
   C09D 7/62 20180101ALI20230110BHJP
   C09D 201/10 20060101ALI20230110BHJP
   C09D 183/06 20060101ALI20230110BHJP
   C09D 183/05 20060101ALI20230110BHJP
【FI】
C09D163/00
C09D7/62
C09D201/10
C09D183/06
C09D183/05
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018182153
(22)【出願日】2018-09-27
(65)【公開番号】P2020050775
(43)【公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-05-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000003986
【氏名又は名称】日産化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 真人
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 勇樹
【審査官】水野 明梨
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-292893(JP,A)
【文献】国際公開第2018/037565(WO,A1)
【文献】特開2012-056816(JP,A)
【文献】国際公開第2015/115377(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/034507(WO,A1)
【文献】特開2015-212355(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 1/00-10/00
C09D 100/00-201/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2nm~100nmの平均粒子径を有し、且つ式(1a)及び/又は式(1b)の加水分解性シランを含む加水分解性シランで表面被覆した金属酸化物粒子(A)と、式(2)の脂環式エポキシ化合物(B)とを含むコーティング組成物であって、式(1a)及び/又は式(1b)の加水分解性シランが:
【化1】
(式(1a)、式(1b)中、R及びR11はアクリロキシ基、メタクリロキシ基、アリール基、アルキル基、グリシドキシ基、ウレイド基又はそれら官能基を含む炭素原子数1~10のアルキレン基を含み、Si原子にSi-C結合で結合しているものであり、R及びR12はアルコキシ基、アシルオキシ基、又はハロゲン基からなる加水分解基であり、少なくとも1つのRの加水分解基は金属酸化物粒子表面でM-O-Siの結合を形成し、MはTi、Sn、Zr、Si、Al、Sb、Fe、Cu、Zn、Y、Nb、Mo、In、Ta、Pb、Bi、Hf、Ge、Ce、Wからなる群より選ばれた少なくとも1種の金属を示し、Yはアルキレン基、アリーレン基、NH基、又は酸素原子を示す。aは1~3の整数を示し、dは0~3の整数を示し、eは0又は1の整数を示す。)であり、式(2)の脂環式エポキシ化合物が:
【化2】
(式(2)中、Rはエポキシシクロアルキル基を含む炭素原子数1~10のアルキレン基であり、R 基は水素原子又はメチル基を示し、R基とR基はそれぞれ同一のSi
原子にSi-C結合又はSi-H結合で結合しているものであり、nは3~5の整数を示す。)であり、
前記金属酸化物粒子(A)が、2~100nmの平均粒子径を有し、且つTi、Sn、Zr、Si、Al、Sb、Fe、Cu、Zn、Y、Nb、Mo、In、Ta、Pb、Bi、Hf、Ge、Ce、Wからなる群より選ばれた少なくとも1種の金属の酸化物又は複合酸化物(a1)を核として、その表面を1~40nmの平均一次粒子径を有し、且つTi、Sn、Zr、Si、Al、Sb、Fe、Cu、Zn、Y、Nb、Mo、In、Ta、Pb、Bi、Hf、Ge、Ce、Wからなる群より選ばれた少なくとも1種の金属の酸化物又は複合酸化物(a2)の粒子から成る少なくとも1層で被覆した金属酸化物粒子(A)であって、(a1)からなる粒子と(a2)の粒子からなる層は金属成分が異なるか又は複合酸化物として異なり、最外層に被覆された(a2)は金属成分としてSiを含んでいるものであり、そして
金属酸化物粒子(A)は、
(a1)からなる粒子に、(a2)の粒子からなる被覆層が形成されたものであるか、
又は、
(a1)からなる粒子に、(a2)の粒子からなる中間層と、(a2)の粒子からなる被覆層が形成されたものである、
上記コーティング組成物。
【請求項2】
式(2)中、Rのエポキシシクロアルキル基が、エポキシシクロヘキシル基である請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項3】
更に式(3)の非脂環式エポキシ化合物(C):
【化3】
(式(3)中、Tはm価の炭素原子数1~40の有機基であって、該有機基は飽和又は不飽和であり且つ鎖式、環式、又は縮合環式の炭化水素基であり、mは1~10の整数を示す。)を含み、脂環式エポキシ化合物(B)と非脂環式エポキシ化合物(C)からなるエポキシ化合物中で、脂環式エポキシ化合物(B)が10~75質量%、非脂環式エポキシ化合物(C)が25~90質量%である請求項1又は請求項2に記載のコーティング組成物。
【請求項4】
更に熱酸発生剤及び/又は光酸発生剤を含む請求項1乃至請求項の何れか1項に記載のコーティング組成物。
【請求項5】
更にクエンチャーとしてアミン化合物を含有する請求項1乃至請求項の何れか1項に記載のコーティング組成物。
【請求項6】
更に界面活性剤を含む請求項1乃至請求項の何れか1項に記載のコーティング組成物。
【請求項7】
基板上に請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載のコーティング組成物で被覆する被覆基板の製造方法。
【請求項8】
請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載のコーティング組成物で被覆された基材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
熱硬化や光硬化が可能な有機無機複合成分を用いたコーティング組成物及びそれを光学部材に関する。
【背景技術】
【0002】
コーティング組成物が被覆された基材は例えば光学部材、機械部品材料、電子部品材料、建築材料、成形材料等の種々の分野に適用される。適用される用途によっては、それら被覆された基材が屈折率、硬度、密着性、透明性、耐光性が要求される。また被覆するためのコート液は保存安定性が要求される。
【0003】
例えば、有機樹脂成分と無機微粒子とを含む有機無機複合樹脂組成物であって、無機微粒子成分が溶液中に分散させたときの25℃におけるpHが酸性域からアルカリ域までとなる無機微粒子を含む有機無機複合樹脂組成物が開示されている(特許文献1参照)。
【0004】
脂環式エポキシ基を側鎖に有する環状シロキサンと、平均粒子径1~500nmの無機酸化物微粒子と、溶解可能な光酸発生剤を含有する硬質保護被膜形成用光硬化性コーティング剤が開示されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2008-156625
【文献】特開2007-211249
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は熱硬化や光硬化が可能であり、屈折率、硬度、密着性、透明性、耐光性が要求される被覆基材を形成するために保存安定性が向上したコーティング組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明は第1観点として、2nm~100nmの平均粒子径を有し、且つ式(1a)及び/又は式(1b)の加水分解性シランを含む加水分解性シランで表面被覆した金属酸化物粒子(A)と、式(2)の脂環式エポキシ化合物(B)とを含むコーティング組成物であって、式(1a)及び/又は式(1b)の加水分解性シランが:
【化1】
(式(1a)、式(1b)中、R及びR11はアクリロキシ基、メタクリロキシ基、アリール基、アルキル基、グリシドキシ基、ウレイド基又はそれら官能基を含む炭素原子数1~10のアルキレン基を含み、Si原子にSi-C結合で結合しているものであり、R及びR12はアルコキシ基、アシルオキシ基、又はハロゲン基からなる加水分解基であり、少なくとも1つのRの加水分解基は金属酸化物粒子表面でM-O-Siの結合を形成し、MはTi、Sn、Zr、Si、Al、Sb、Fe、Cu、Zn、Y、Nb、Mo、In、Ta、Pb、Bi、Hf、Ge、Ce、Wからなる群より選ばれた少なくとも1種の金属を示し、Yはアルキレン基、アリーレン基、NH基、又は酸素原子を示す。aは1
~3の整数を示し、dは0~3の整数を示し、eは0又は1の整数を示す。)であり、式(2)の脂環式エポキシ化合物が:
【化2】
(式(2)中、Rはエポキシシクロアルキル基を含む炭素原子数1~10のアルキレン基であり、R4基は水素原子又はメチル基を示し、R基とR基はそれぞれ同一のSi原子にSi-C結合又はSi-H結合で結合しているものであり、nは3~5の整数を示す。)である上記コーティング組成物、
第2観点として、式(2)中、Rのエポキシシクロアルキル基が、エポキシシクロヘキシル基である第1観点に記載のコーティング組成物、
第3観点として、金属酸化物粒子(A)が、2~100nmの平均粒子径を有し、且つTi、Sn、Zr、Si、Al、Sb、Fe、Cu、Zn、Y、Nb、Mo、In、Ta、Pb、Bi、Hf、Ge、Ce、Wからなる群より選ばれた少なくとも1種の金属の酸化物又は複合酸化物(a1)である第1観点又は第2観点に記載のコーティング組成物、
第4観点として、金属酸化物粒子(A)が、2~100nmの平均粒子径を有し、且つTi、Sn、Zr、Si、Al、Sb、Fe、Cu、Zn、Y、Nb、Mo、In、Ta、Pb、Bi、Hf、Ge、Ce、Wからなる群より選ばれた少なくとも1種の金属の酸化物又は複合酸化物(a1)を核として、その表面を1~40nmの平均一次粒子径を有し、且つTi、Sn、Zr、Si、Al、Sb、Fe、Cu、Zn、Y、Nb、Mo、In、Ta、Pb、Bi、Hf、Ge、Ce、Wからなる群より選ばれた少なくとも1種の金属の酸化物又は複合酸化物(a2)から成る少なくとも1層で被覆した金属酸化物粒子(A)であって、(a1)からなる粒子と(a2)からなる層は金属成分が異なるか又は複合酸化物として異なり、最外層に被覆された(a2)は金属成分としてSiを含んでいるものである第1観点乃至第3観点の何れか一つに記載のコーティング組成物、
第5観点として、金属酸化物粒子(A)が、(a1)からなる粒子に、(a2)からなる被覆層が形成されたものである第4観点に記載のコーティング組成物、
第6観点として、金属酸化物粒子(A)が、(a1)からなる粒子に、(a2)からなる中間層と、(a2)からなる被覆層が形成されたものである第4観点に記載のコーティング組成物、
第7観点として、更に式(3)の非脂環式エポキシ化合物(C):
【化3】
(式(3)中、Tはm価の炭素原子数1~40の有機基であって、該有機基は飽和又は不飽和であり且つ鎖式、環式、又は縮合環式の炭化水素基であり、mは1~10の整数を示す。)を含み、脂環式エポキシ化合物(B)と非脂環式エポキシ化合物(C)からなるエポキシ化合物中で、脂環式エポキシ化合物(B)が10~75質量%、非脂環式エポキシ化合物(C)が25~90質量%である第1観点乃至第6観点の何れか一つに記載のコーティング組成物、
第8観点として、更に熱酸発生剤及び/又は光酸発生剤を含む第1観点乃至第7観点の何
れか一つに記載のコーティング組成物、
第9観点として、更にクエンチャーとしてアミン化合物を含有する第1観点乃至第8観点の何れか一つに記載のコーティング組成物、
第10観点として、更に界面活性剤を含む第1観点乃至第9観点の何れか一つに記載のコーティング組成物、
第11観点として、基板上に第1観点乃至第10観点のいずれか一つに記載のコーティング組成物で被覆する被覆基板の製造方法、及び
第12観点として、第1観点乃至第10観点のいずれか一つに記載のコーティング組成物で被覆された基材である。
【発明の効果】
【0008】
本発明は式(1a)及び/又は式(1b)の加水分解性シラン化合物を含む加水分解性シランで表面被覆した金属酸化物粒子(A)と、式(2)の脂環式エポキシ化合物(B)とを含むコーティング組成物である。
【0009】
金属酸化物粒子(A)は屈折率調整の為に屈折率に応じて種々の金属成分からなる酸化物又は複合酸化物とするが、金属酸化物によっては一様に溶剤への分散が困難な場合がある。溶剤への分散性を向上させるため金属酸化物粒子表面を溶剤の親疎水に合わせて有機官能基を導入する事で分散性を向上させる事ができる。有機官能基の導入は加水分解性シラン化合物、例えばシランカップリング剤を用いることで達成する事ができる。加水分解性シランは加水分解性基が加水分解によって生じたシラノール基を金属粒子表面のヒドロキシル基との間で、M-O-Si結合を形成し(Mは金属)、金属酸化物粒子を被覆する事ができる。例えば3個の加水分解性基を有するシランカップリング剤では、少なくとも1個の加水分解によって生じたシラノール基が、金属粒子表面でヒドロキシル基と反応するものである。シランカップリング剤の3個の加水分解性基の全てが加水分解によって金属表面のヒドロキシル基と結合する事も、金属粒子表面のヒドロキシル基と反応しない状態で存在する事もある。
【0010】
式(2)の脂環式エポキシ化合物は環状シロキサン構造を有する脂環式エポキシ化合物である。環状シロキサン構造を有する事で耐熱性が高く、金属酸化物粒子との相溶性が高い。また、脂環式エポキシ構造を有する事で低粘度で取り扱い性が高く、硬化物に透明性と耐熱性を与える事ができる。また、カチオン硬化性も高い。
【0011】
式(1a)及び/又は式(1b)の加水分解性シラン化合物で表面被覆した金属酸化物粒子(A)と、式(2)の脂環式エポキシ化合物(B)とを含むコーティング組成物は、安定性が高くコーティング剤に適するものである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は2nm~100nmの平均粒子径を有し、且つ式(1a)及び/又は式(1b)の加水分解性シランを含む加水分解性シランで表面被覆した金属酸化物粒子(A)と、式(2)の脂環式エポキシ化合物(B)とを含むコーティング組成物である。
【0013】
本発明のコーティング組成物は上記成分以外に溶剤を含み、そして任意成分として熱酸発生剤、光酸発生剤、クエンチャー、界面活性剤等を含むことができる。
【0014】
本発明のコーティング組成物は固形分として0.1~60質量%、又は1~50質量%、10~45質量%である。ここで固形分とはコーティング組成物の全成分から溶剤成分を除いたものである。
【0015】
式(1a)及び/又は式(1b)の加水分解性シラン化合物は、R及びR11はアク
リロキシ基、メタクリロキシ基、アリール基、アルキル基、グリシドキシ基、ウレイド基又はそれら官能基を含む炭素原子数1~10のアルキレン基を含み、Si原子にSi-C結合で結合しているものであり、R及びR12はアルコキシ基、アシルオキシ基、又はハロゲン基からなる加水分解基であり少なくとも1つのRの加水分解基は金属酸化物粒子表面でM-O-Siの結合を形成し、MはTi、Sn、Zr、Si、Al、Sb、Fe、Cu、Zn、Y、Nb、Mo、In、Ta、Pb、Bi、Hf、Ge、Ce、Wからなる群より選ばれた少なくとも1種の金属を示し、Yはアルキレン基、アリーレン基、NH基、又は酸素原子を示す。aは1~3の整数を示し、dは0~3の整数を示し、eは0又は1の整数を示す。
【0016】
金属酸化物粒子(A)の表面被覆に用いられる加水分解性シランは、式(1a)の加水分解性シラン及び/又は式(1b)の加水分解性シランを含むことができる。式(1a)の加水分解性シラン、式(1b)の加水分解性シランは、更に他の加水分解性シランを併用する事が可能であり、式(1a)の加水分解性シラン及び/又は式(1b)の加水分解性シラン:他の加水分解性シランの重量比は、1:0.1~1.0、又は1:0.5~1.0の範囲で用いる事ができる。
【0017】
金属酸化物粒子(A)の表面被覆量は、金属酸化物粒子表面に被覆されるシラン化合物の数として0.1個/nm~3.0個/nm、又は0.3個/nm~1.5個/nm、の範囲で用いる事ができる。
【0018】
上記アルキル基は炭素原子数1~10のアルキル基であり、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、シクロプロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、シクロブチル基、1-メチル-シクロプロピル基、2-メチル-シクロプロピル基、n-ペンチル基、1-メチル-n-ブチル基、2-メチル-n-ブチル基、3-メチル-n-ブチル基、1,1-ジメチル-n-プロピル基、1,2-ジメチル-n-プロピル基、2,2-ジメチル-n-プロピル基、1-エチル-n-プロピル基、シクロペンチル基、1-メチル-シクロブチル基、2-メチル-シクロブチル基、3-メチル-シクロブチル基、1,2-ジメチル-シクロプロピル基、2,3-ジメチル-シクロプロピル基、1-エチル-シクロプロピル基、2-エチル-シクロプロピル基、n-ヘキシル基、1-メチル-n-ペンチル基、2-メチル-n-ペンチル基、3-メチル-n-ペンチル基、4-メチル-n-ペンチル基、1,1-ジメチル-n-ブチル基、1,2-ジメチル-n-ブチル基、1,3-ジメチル-n-ブチル基、2,2-ジメチル-n-ブチル基、2,3-ジメチル-n-ブチル基、3,3-ジメチル-n-ブチル基、1-エチル-n-ブチル基、2-エチル-n-ブチル基、1,1,2-トリメチル-n-プロピル基、1,2,2-トリメチル-n-プロピル基、1-エチル-1-メチル-n-プロピル基、1-エチル-2-メチル-n-プロピル基、シクロヘキシル基、1-メチル-シクロペンチル基、2-メチル-シクロペンチル基、3-メチル-シクロペンチル基、1-エチル-シクロブチル基、2-エチル-シクロブチル基、3-エチル-シクロブチル基、1,2-ジメチル-シクロブチル基、1,3-ジメチル-シクロブチル基、2,2-ジメチル-シクロブチル基、2,3-ジメチル-シクロブチル基、2,4-ジメチル-シクロブチル基、3,3-ジメチル-シクロブチル基、1-n-プロピル-シクロプロピル基、2-n-プロピル-シクロプロピル基、1-i-プロピル-シクロプロピル基、2-i-プロピル-シクロプロピル基、1,2,2-トリメチル-シクロプロピル基、1,2,3-トリメチル-シクロプロピル基、2,2,3-トリメチル-シクロプロピル基、1-エチル-2-メチル-シクロプロピル基、2-エチル-1-メチル-シクロプロピル基、2-エチル-2-メチル-シクロプロピル基及び2-エチル-3-メチル-シクロプロピル基等が挙げられる。
【0019】
また、アルキレン基は上述のアルキル基から誘導されるアルキレン基を上げる事ができる。
【0020】
アリール基は例えばフェニル基、ナフチル基、アントリル基等が挙げられ、アリーレン基は上記アリール基から誘導される基であり、フェニレン基、ナフチレン基、アントリレン基等が挙げられる。
【0021】
上記アルコキシ基は炭素原子数1~10のアルコキシ基が挙げられ、例えばメトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、i-プロポキシ基、n-ブトキシ基、i-ブトキシ基、s-ブトキシ基、t-ブトキシ基、n-ペンチロキシ基、1-メチル-n-ブトキシ基、2-メチル-n-ブトキシ基、3-メチル-n-ブトキシ基、1,1-ジメチル-n-プロポキシ基、1,2-ジメチル-n-プロポキシ基、2,2-ジメチル-n-プロポキシ基、1-エチル-n-プロポキシ基、n-ヘキシロキシ基、1-メチル-n-ペンチロキシ基、2-メチル-n-ペンチロキシ基、3-メチル-n-ペンチロキシ基、4-メチル-n-ペンチロキシ基、1,1-ジメチル-n-ブトキシ基、1,2-ジメチル-n-ブトキシ基、1,3-ジメチル-n-ブトキシ基、2,2-ジメチル-n-ブトキシ基、2,3-ジメチル-n-ブトキシ基、3,3-ジメチル-n-ブトキシ基、1-エチル-n-ブトキシ基、2-エチル-n-ブトキシ基、1,1,2-トリメチル-n-プロポキシ基、1,2,2-トリメチル-n-プロポキシ基、1-エチル-1-メチル-n-プロポキシ基及び1-エチル-2-メチル-n-プロポキシ基等が、また環状のアルコキシ基としてはシクロプロポキシ基、シクロブトキシ基、1-メチル-シクロプロポキシ基、2-メチル-シクロプロポキシ基、シクロペンチロキシ基、1-メチル-シクロブトキシ基、2-メチル-シクロブトキシ基、3-メチル-シクロブトキシ基、1,2-ジメチル-シクロプロポキシ基、2,3-ジメチル-シクロプロポキシ基、1-エチル-シクロプロポキシ基、2-エチル-シクロプロポキシ基、シクロヘキシロキシ基、1-メチル-シクロペンチロキシ基、2-メチル-シクロペンチロキシ基、3-メチル-シクロペンチロキシ基、1-エチル-シクロブトキシ基、2-エチル-シクロブトキシ基、3-エチル-シクロブトキシ基、1,2-ジメチル-シクロブトキシ基、1,3-ジメチル-シクロブトキシ基、2,2-ジメチル-シクロブトキシ基、2,3-ジメチル-シクロブトキシ基、2,4-ジメチル-シクロブトキシ基、3,3-ジメチル-シクロブトキシ基、1-n-プロピル-シクロプロポキシ基、2-n-プロピル-シクロプロポキシ基、1-i-プロピル-シクロプロポキシ基、2-i-プロピル-シクロプロポキシ基、1,2,2-トリメチル-シクロプロポキシ基、1,2,3-トリメチル-シクロプロポキシ基、2,2,3-トリメチル-シクロプロポキシ基、1-エチル-2-メチル-シクロプロポキシ基、2-エチル-1-メチル-シクロプロポキシ基、2-エチル-2-メチル-シクロプロポキシ基及び2-エチル-3-メチル-シクロプロポキシ基等が挙げられる。
【0022】
上記アシルオキシ基は炭素原子数1~10のアシルオキシ基は、例えばメチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、n-プロピルカルボニルオキシ基、i-プロピルカルボニルオキシ基、n-ブチルカルボニルオキシ基、i-ブチルカルボニルオキシ基、s-ブチルカルボニルオキシ基、t-ブチルカルボニルオキシ基、n-ペンチルカルボニルオキシ基、1-メチル-n-ブチルカルボニルオキシ基、2-メチル-n-ブチルカルボニルオキシ基、3-メチル-n-ブチルカルボニルオキシ基、1,1-ジメチル-n-プロピルカルボニルオキシ基、1,2-ジメチル-n-プロピルカルボニルオキシ基、2,2-ジメチル-n-プロピルカルボニルオキシ基、1-エチル-n-プロピルカルボニルオキシ基、n-ヘキシルカルボニルオキシ基、1-メチル-n-ペンチルカルボニルオキシ基、2-メチル-n-ペンチルカルボニルオキシ基、3-メチル-n-ペンチルカルボニルオキシ基、4-メチル-n-ペンチルカルボニルオキシ基、1,1-ジメチル-n-ブチルカルボニルオキシ基、1,2-ジメチル-n-ブチルカルボニルオキシ基、1,3-ジメチル-n-ブチルカルボニルオキシ基、2,2-ジメチル-n-ブチルカルボニルオキシ基、2,3-ジメチル-n-ブチルカルボニルオキシ基、3,3-ジメチル-n-ブチルカルボニルオキシ基、1-エチル-n-ブチルカルボニルオキシ基、2-エチル-n-
ブチルカルボニルオキシ基、1,1,2-トリメチル-n-プロピルカルボニルオキシ基、1,2,2-トリメチル-n-プロピルカルボニルオキシ基、1-エチル-1-メチル-n-プロピルカルボニルオキシ基、1-エチル-2-メチル-n-プロピルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基、及びトシルカルボニルオキシ基等が挙げられる。
【0023】
上記ハロゲン基としてはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。
【0024】
上記加水分解性シランは例えば以下の化合物を例示する事ができる。
【化4】
【0025】
上記式中Rはアルコキシ基、アシルオキシ基、又はハロゲン基からなる加水分解性基を示す。これらは信越化学工業(株)のシランカップリング剤として入手することができる。
【0026】
式(1b)の化合物にはトリメチルシリル化剤を含むものであり、ヘキサメチルジシラン、ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシラザン等が挙げられる。これらのシリル化剤は東京化成工業(株)から入手する事ができる。
【0027】
式(2)の脂環式エポキシ化合物はRはエポキシシクロアルキル基を含む炭素原子数1~10のアルキレン基であり、R4基は水素原子又はメチル基を示し、R基とR基はそれぞれ同一のSi原子にSi-C結合又はSi-H結合で結合しているものであり、nは3~5の整数を示す。nは3、4、5の整数が挙げられるが、特に4が好ましい。
【0028】
のエポキシシクロアルキル基が、エポキシ環を有する環状アルキル基である。環状アルキル基は単環、多環の環状構造を有する事ができる。例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル、ノルボルナン、アダマンタン等が挙げられるが、シクロヘキシル構造が好ましく、Rのエポキシシクロアルキル基がエポキシシクロヘキシル基を用いる事ができる。
【0029】
金属酸化物粒子(A)は、2~100nm、又は3~50nmの平均粒子径を有し、且つTi、Sn、Zr、Si、Al、Sb、Fe、Cu、Zn、Y、Nb、Mo、In、Ta、Pb、Bi、Hf、Ge、Ce、Wからなる群より選ばれた少なくとも1種の金属の酸化物又は複合酸化物(a1)が挙げられる。金属酸化物、又は複合金属酸化物の平均粒子径の値は、動的光散乱法(DLS法)により測定された粒子径が挙げられる。
【0030】
例えば、TiO、SnO、ZrO、SiO、Al、Sb、Fe、CuO、ZnO、Y、Nb、MoO、Ta、PbO、Bi、HfO、In、GeO、CeO、WO、WO-Sb、WO-SnO、SnO-ZrO、TiO-SnO、SnO-SiO、TiO-ZrO-SnO、TiO-CeO-SnO、WO-SnO-SiO等が挙げられる。また、Al、Sb、Fe、CuO、ZnO、Y、Nb、MoO、Ta、PbO、Bi、HfOは不純物として含有することができる。
【0031】
金属酸化物粒子(A)が、2~100nm、又は3~50nmの平均粒子径を有し、且つTi、Sn、Zr、Si、Al、Sb、Fe、Cu、Zn、Y、Nb、Mo、In、Ta、Pb、Bi、Hf、Ge、Ce、Wからなる群より選ばれた少なくとも1種の金属の酸化物又は複合酸化物(a1)を核として、その表面を1~40nm、又は1~20nmの平均一次粒子径を有し、且つTi、Sn、Zr、Si、Al、Sb、Fe、Cu、Zn、Y、Nb、Mo、In、Ta、Pb、Bi、Hf、Ge、Ce、Wからなる群より選ばれた少なくとも1種の金属の酸化物又は複合酸化物(a2)から成る少なくとも1層で被覆した金属酸化物粒子(A)であって、(a1)からなる粒子と(a2)からなる層は金属成分が異なるか又は複合酸化物として異なり、最外層に被覆された(a2)は金属成分としてSiを含んでいるものを用いる事ができる。また、(a2)は金属成分の不純物として、Al、Fe、Cu、Y、Nb、Mo、Ta、Pb、Bi、Hfを含むことができる。
【0032】
金属酸化物粒子(A)は、(a1)からなる粒子に、(a2)からなる被覆層が形成された構造を用いる事ができる。被覆物である金属の酸化物又は複合酸化物(a2)の平均一次粒子径の値は、透過型電子顕微鏡による観察で測定された粒子径が挙げられる。
【0033】
また、金属酸化物粒子(A)は、(a1)からなる粒子に、(a2)からなる中間層と、(a2)からなる被覆層が形成された構造を用いる事ができる。金属酸化物コロイド粒子(A)の表面を、(a1)からなる粒子に(a2)からなる粒子で被覆する際、粒子同士の界面の反応によって、得られる変性金属酸化物コロイド粒子(A)の粒子径の値は変化し得る。そのため、変性金属酸化物コロイド粒子(A)の粒子径を透過型電子顕微鏡による観察により測定した平均粒子径で評価した場合には、この値が、金属酸化物コロイド粒子(A)と無機酸化物コロイド粒子(B)の一次粒子径の和に必ずしも一致しないことがある。
【0034】
これらの被覆構造を有する複合金属酸化物粒子は、核粒子として、SnO-ZrO、TiO-ZrO-SnOを用いて、被覆粒子としてSiO、SnO-SiO
、WO-SnO-SiO等用いる事ができる。
【0035】
核粒子と被覆層からなる粒子の場合、核粒子(a1)と被覆層の粒子(a2)は重量比で、1:0.01~1、または1:0.1~0.5の範囲で用いる事ができる。
【0036】
また核粒子と中間層と被覆層からなる粒子の場合、核粒子(a1)と中間層の粒子(a2)と被覆層の粒子(a2)は重量比で、1:0.01~1:0.01~1、
又は1:0.1~0.5:0.1~0.5の範囲で用いる事が出来る。
【0037】
金属酸化物粒子(A)は、金属酸化物粒子のコロイド溶液として用いる事ができる。金属酸化物粒子のコロイド溶液(ゾル)は、水性ゾルとして製造されたものを、有機溶剤に溶媒置換して有機溶剤ゾルとして用いることができる。有機溶剤としてはメタノール、エタノール、プロパノール、メチルエチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル等の溶剤を用いる事ができる。
【0038】
金属酸化物粒子(A)のシラン化合物による表面処理は、例えば金属酸化物粒子(A)のメタノールゾルに式(1a)及び/又は式(1b)の加水分解性シランを含む加水分解性シランを添加して加水分解と表面被覆を行う事ができる。
【0039】
アルコキシシリル基、アシロキシシリル基、又はハロゲン化シリル基の加水分解には、加水分解性基の1モル当たり、0.5~100モル、好ましくは1~10モルの水を用いる。
【0040】
また、加水分解性基の1モル当たり0.001~10モル、好ましくは0.001~1モルの加水分解触媒を用いることができる。
【0041】
加水分解と縮合を行う際の反応温度は、通常20~80℃である。
【0042】
加水分解は完全に加水分解を行うことも、部分加水分解することでも良い。即ち、加水分解縮合物中に加水分解物やモノマーが残存していても良い。
【0043】
加水分解し縮合させる際に触媒を用いることができる。加水分解触媒としてはキレート化合物、有機酸、無機酸、有機塩基、又は無機塩基を併用する事ができる。例えば、塩酸水溶液、酢酸、アンモニア水溶液等を用いる事ができる。
【0044】
金属酸化物粒子(A)の含有量は、脂環式エポキシ化合物(B)又は脂環式エポキシ化合物(B)と非脂環式エポキシ化合物(C)の合計量100質量部に対して、10~1000質量部、又は50~500質量部、又は50~300質量部の割合で含有する事ができる。
【0045】
式(2)の脂環式エポキシ化合物は以下に例示する事ができる。
【化5】
【化6】
【0046】
これらは信越化学工業(株)製のシラン化合物として入手する事ができる。式(2-1)の化合物は信越化学工業(株)製の商品名KR-470として入手できる。
【0047】
本発明では更に式(3)の非脂環式エポキシ化合物(C)を併用する事ができる。非脂環式エポキシ化合物(C)は多官能タイプを用いる事が好ましく、例えば2官能エポキシ化合物、3官能エポキシ化合物を用いる事ができる。
【0048】
式(3)中、Tはm価の炭素原子数1~40の有機基であって、該有機基は飽和又は不飽和であり且つ鎖式、環式、又は縮合環式の炭化水素基であり、mは1~10の整数を示す。
【0049】
非脂環式エポキシ化合物(C)は以下に例示する事ができる。
【化7】
【0050】
これらのエポキシ樹脂はナガセケムテックス(株)製のエポキシ化合物として入手する事ができる。式(3-1)の化合物はナガセケムテックス(株)製の商品名EX-321L、式(3-2)の化合物はナガセケムテックス(株)製の商品名EX-212L、式(3-3)の化合物はナガセケムテックス(株)製の商品名EX-212Pとして入手する事ができる。
【化8】
【0051】
また、ジャパンエポキシレジン(株)製のエポキシ化合物として入手することができる。式(3-4)の化合物はジャパンエポキシレジン(株)製の商品名エピコート828、式(3-5)の化合物はジャパンエポキシレジン(株)製の商品名YX8000、式(3-6)の化合物はジャパンエポキシレジン(株)製の商品名DME100として入手する事ができる。
【0052】
エポキシ化合物としては脂環式エポキシ化合物(B)を単独で用いることもできるが、脂環式エポキシ化合物(B)と非脂環式エポキシ化合物(C)を併用する事ができる。
【0053】
脂環式エポキシ化合物(B)と非脂環式エポキシ化合物(C)からなるエポキシ化合物中で、脂環式エポキシ化合物(B)が10~75質量%、非脂環式エポキシ化合物(C)が25~90質量%の割合で使用する事ができる。
【0054】
本発明では酸発生剤を用いることができる。酸発生剤は光酸発生剤又は熱酸発生剤を用いることができる。
【0055】
光酸発生剤又は熱酸発生剤は、光照射又は加熱により直接又は間接的に酸を発生するものであれば特に限定されない。
【0056】
光酸発生剤の具体例としては、トリアジン系化合物、アセトフェノン誘導体化合物、ジスルホン系化合物、ジアゾメタン系化合物、スルホン酸誘導体化合物、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、セレニウム塩等のオニウム塩、メタロセン錯体、鉄アレーン錯体などを用いることができる。
【0057】
上記光酸発生剤として用いるオニウム塩は、ヨードニウム塩として例えばジフェニルヨードニウムクロライド、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムメシレート、ジフェニルヨードニウムトシレート、ジフェニルヨードニウムブロミド、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアルセネート、ビス(p-tert-ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ビス(p-tert-ブチルフェニル)ヨードニウムメシレート、ビス(p-tert-ブチルフェニル)ヨードニウムトシレート、ビス(p-tert-ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(p-tert-ブチルフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート、ビス(p-tert-ブチルフェニル)ヨードニウムクロリド、ビス(p-クロロフェニル)ヨードニウムクロライド、ビス(p-クロロフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート、更にビス(4-t-ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェートなどのビス(アルキルフェニル)ヨードニウム塩、アルコキシカルボニルアルコキシ-トリアルキルアリールヨードニウム塩(例えば、4-[(1-エトキシカルボニル-エトキシ)フェニル]-(2,4,6-トリメチルフェニル)-ヨードニウムヘキサフルオロホスフェートなど)、ビス(アルコキシアリール)ヨードニウム塩(例えば、(4-メトキシフェニル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネートなどのビス(アルコキシフェニル)ヨードニウム塩)が挙げられる。
【0058】
スルホニウム塩としてトリフェニルスルホニウムクロリド、トリフェニルスルホニウムブロミド、トリ(p-メトキシフェニル)スルホニウムテトラフルオロボレート、トリ(p-メトキシフェニル)スルホニウムヘキサフルオロホスホネート、トリ(p-エトキシフェニル)スルホニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルスルホニウムトリフレート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート等のトリフェニルスルホニウム塩や、(4-フェニルチオフェニル) ジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、( 4 - フェニルチオフェニル) ジフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、ビス[4-(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド-ビス-ヘキサフルオロアンチモネート、ビス[4-(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド-ビス-ヘキサフルオロホスフェート、(4-メトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート)等のスルホニウム塩が挙げられる。
【0059】
ホスホニウム塩としてトリフェニルホスホニウムクロリド、トリフェニルホスホニウムブロミド、トリ(p-メトキシフェニル)ホスホニウムテトラフルオロボレート、トリ(
p-メトキシフェニル)ホスホニウムヘキサフルオロホスホネート、トリ(p-エトキシフェニル)ホスホニウムテトラフルオロボレート、4-クロロベンゼンジアゾニウムヘキサフルオロホスフェート、ベンジルトリフェニルホスホニウムヘキサフルオロアンチモネート等のホスホニウム塩が挙げられる。
【0060】
トリフェニルセレニウムヘキサフルオロホスフェートなどのセレニウム塩、(η5又はη6-イソプロピルベンゼン)(η5-シクロペンタジエニル)鉄(II)ヘキサフルオロホスフェートなどのメタロセン錯体が挙げられる。
【0061】
また、光酸発生剤としては以下の化合物も用いることができる。
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
【化16】
【化17】
【0062】
光酸発生剤としてはスルホニウム塩化合物、ヨードニウム塩化合物が好ましい。それらのアニオン種としてはCFSO 、CSO 、C17SO 、カンファースルホン酸アニオン、トシル酸アニオン、BF 、PF 、AsF 及びSbF などが挙げられる。特に強酸性を示す六フッ化リン及び六フッ化アンチモン等のアニオン種が好ましい。
【0063】
熱酸発生剤としてはスルホニウム塩、ホスホニウム塩が挙げられるが、スルホニウム塩が好ましく用いられる。例えば以下の化合物を例示することができる。
【化18】
【0064】
Rは炭素数1~12のアルキル基、炭素数6~20アリール基が挙げられ、特に炭素数1~12のアルキル基が好ましい。
【0065】
更に、下記熱酸発生剤を用いる事ができる。
【化19】
【0066】
熱酸発生剤及び/又は光酸発生剤の含有量は、脂環式エポキシ化合物(B)又は脂環式エポキシ化合物(B)と非脂環式エポキシ化合物(C)の合計量100質量部に対して、0.01質量部~10質量部、又は0.1質量部~5質量部の範囲で用いる事ができる。
【0067】
熱酸発生剤と光酸発生剤は、熱や光により酸を発生するものであり、熱酸発生剤は光酸発生剤として利用することができ、また光酸発生剤は熱酸発生剤として使用する事もできる。
【0068】
本発明のコーティング組成物には、塩基性化合物(クエンチャー)として含窒素有機化合物(アミン化合物)を1種又は2種以上配合することができる。
【0069】
含窒素有機化合物としては、酸発生剤より発生する酸が膜中に拡散する際の拡散速度を抑制することができる化合物が適している。含窒素有機化合物の配合により、膜中での酸の拡散速度が抑制されて解像度が向上し、露光後の感度変化を抑制したり、基板や環境依存性を少なくし、露光余裕度やパターンを向上することができる。また、コーティング組成物の保存安定性を向上する事ができる。
【0070】
このような含窒素有機化合物(クエンチャー)としては、第一級、第二級、第三級の脂肪族アミン類、混成アミン類、芳香族アミン類、複素環アミン類、カルボキシ基を有する含窒素化合物、スルホニル基を有する含窒素化合物、水酸基を有する含窒素化合物、ヒドロキシフェニル基を有する含窒素化合物、アルコール性含窒素化合物、アミド類、イミド類、カーバメート類、アンモニア、アンモニウム塩、スルホニウム塩等が挙げられる。
【0071】
第一級の脂肪族アミン類として、メチルアミン、エチルアミン、n-プロピルアミン、第二級の脂肪族アミン類として、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ-n-プロピルアミン、第三級の脂肪族アミン類として、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ-n-プロピルアミン、芳香族アミン類及び複素環アミン類の具体例としては、アニリン誘導体(例えばアニリン、N-メチルアニリン、N-エチルアニリン、N-プロピルアニリン、N,N-ジメチルアニリン、2-メチルアニリン、3-メチルアニリン、4-メチルアニリン、エチルアニリン、プロピルアニリン、トリメチルアニリン、2-ニトロアニリン、3-ニトロアニリン、4-ニトロアニリン、2,4-ジニトロアニリン、2,6-ジニ
トロアニリン、3,5-ジニトロアニリン、N,N-ジメチルトルイジン等)、ジフェニル(p-トリル)アミン、メチルジフェニルアミン、トリフェニルアミン、フェニレンジアミン、ナフチルアミン、ジアミノナフタレン、ピロール誘導体(例えばピロール、2H-ピロール、1-メチルピロール、2,4-ジメチルピロール、2,5-ジメチルピロール、N-メチルピロール等)、オキサゾール誘導体(例えばオキサゾール、イソオキサゾール等)、チアゾール誘導体(例えばチアゾール、イソチアゾール等)、イミダゾール誘導体(例えばイミダゾール、4-メチルイミダゾール、4-メチル-2-フェニルイミダゾール等)、ピラゾール誘導体、フラザン誘導体、ピロリン誘導体(例えばピロリン、2-メチル-1-ピロリン等)、ピロリジン誘導体(例えばピロリジン、N-メチルピロリジン、ピロリジノン、N-メチルピロリドン等)、イミダゾリン誘導体、イミダゾリジン誘導体、ピリジン誘導体(例えばピリジン、メチルピリジン、エチルピリジン、プロピルピリジン、ブチルピリジン、4-(1-ブチルペンチル)ピリジン、ジメチルピリジン、トリメチルピリジン、トリエチルピリジン、フェニルピリジン、3-メチル-2-フェニルピリジン、4-tert-ブチルピリジン、ジフェニルピリジン、ベンジルピリジン、メトキシピリジン、ブトキシピリジン、ジメトキシピリジン、4-ピロリジノピリジン、2-(1-エチルプロピル)ピリジン、アミノピリジン、ジメチルアミノピリジン等)、ピリダジン誘導体、ピリミジン誘導体、ピラジン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾリジン誘導体、ピペリジン誘導体、ピペラジン誘導体、モルホリン誘導体、インドール誘導体、イソインドール誘導体、1H-インダゾール誘導体、インドリン誘導体、キノリン誘導体(例えばキノリン、3-キノリンカルボニトリル等)、イソキノリン誘導体、シンノリン誘導体、キナゾリン誘導体、キノキサリン誘導体、フタラジン誘導体、プリン誘導体、プテリジン誘導体、カルバゾール誘導体、フェナントリジン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、1,10-フェナントロリン誘導体、アデニン誘導体、アデノシン誘導体、グアニン誘導体、グアノシン誘導体、ウラシル誘導体、ウリジン誘導体等が例示される。
【0072】
クエンチャーとしてアミン化合物の含有量は、脂環式エポキシ化合物(B)又は脂環式エポキシ化合物(B)と非脂環式エポキシ化合物(C)の合計量100質量部に対して、0.001質量部~1質量部、又は0.01質量部~0.5質量部の範囲で用いる事ができる。
【0073】
本発明では界面活性剤を用いる事ができる。界面活性剤としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフエノールエーテル、ポリオキシエチレンノニルフエノールエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロツクコポリマー類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタントリステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等のノニオン系界面活性剤、商品名エフトップEF301、EF303、EF352((株)トーケムプロダクツ製)、商品名メガファックF171、F173、R-08、R-30、R-30N、R-40LM(DIC(株)製)、フロラードFC430、FC431(住友スリーエム(株)製)、商品名アサヒガードAG710,サーフロンS-382、SC101、SC102、SC103、SC104、SC105、SC106(旭硝子(株)製)等のフッ素系界面活性剤、及びオルガノシロキサンポリマ-KP341(信越化学工業(株)製)、ポリエーテル変性シリコーンオイル(東レ・ダウコーニング(株)製 L-7001)等を挙げることができる。これらの界
面活性剤は脂環式エポキシ化合物(B)又は脂環式エポキシ化合物(B)と非脂環式エポキシ化合物(C)の合計量100質量部に対して、0.002~3質量%、又は0.02~2質量%の割合で添加する事ができる。
【0074】
本願発明のコーティング組成物に使用される溶剤としては、前記の固形分を溶解できる溶剤であれば、特に制限なく使用することができる。そのような溶剤としては、例えば、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、メチルイソブチルカルビノール、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエテルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2-ヒドロキシプロピオン酸エチル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2-ヒドロキシ-3-メチルブタン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテルプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジプロピルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸イソプロピル、乳酸ブチル、乳酸イソブチル、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸イソプロピル、ギ酸ブチル、ギ酸イソブチル、ギ酸アミル、ギ酸イソアミル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸ヘキシル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸イソプロピル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸イソブチル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸プロピル、酪酸イソプロピル、酪酸ブチル、酪酸イソブチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、3-メトキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-ヒドロキシ-3-メチル酪酸メチル、メトキシ酢酸エチル、エトキシ酢酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-メトキシブチルアセテート、3-メトキシプロピルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルプロピオネート、3-メチル-3-メトキシブチルブチレート、アセト酢酸メチル、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン、4-ヘプタノン、シクロヘキサノン、N、N-ジメチルホルムアミド、N-メチルアセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、4-メチル-2-ペンタノール、及びγ-ブチロラクトン等を挙げることができる。これらの溶剤は単独で、または二種以上の組み合わせで使用することができる。
【0075】
コーティング組成物の製造方法として、撹拌機付きの容器に、溶剤、金属酸化物粒子(A)のコロイド溶液、脂環式エポキシ化合物(B)、非脂環式エポキシ化合物(C)、必要に応じて熱酸発生剤及び/又は光酸発生剤、クエンチャーとしてアミン化合物、界面活性剤を加えて攪拌する事で製造することができる。熱酸発生剤、光酸発生剤、クエンチャーとしてアミン化合物は上記溶剤の一部に予め溶解させて加える事ができる。
【0076】
以下、本発明のコーティング組成物の使用について説明する。
【0077】
基板(例えば、フィルムシート、シリコンウエハー基板、シリコン/二酸化シリコン被覆基板、シリコンナイトライド基板、ガラス基板、ITO基板、ポリイミド基板、及び低誘電率材料(low-k材料)被覆基板等)の上に、スピナー、コーター等の適当な塗布方法により本発明のコーティング組成物が塗布され、その後、加熱することにより熱硬化によるコーティング膜が形成される。加熱する条件としては、加熱温度20℃~250℃、又は20℃~130℃、加熱時間0.3~120分間の中から適宜、選択される。ここで、形成されるコーティング膜の膜厚としては、例えば、0.01~10μmであり、または0.02~8μmであり、または0.05~6μmであり、または0.1~5μmである。
【0078】
被覆されたコーティング膜が光硬化させる場合には、溶剤の除去のために20~80℃で、加熱時間0.3~60分間で乾燥を行い、その後、波長190~500nmの紫外線を用いて、露光量1乃至20000mJ/cm、または10乃至15000mJ/cm、または20乃至10000mJ/cmによって光硬化によるコーティング膜を形成した。形成されるコーティング膜の膜厚としては、例えば、0.01~10μmであり、または0.02~8μmであり、または0.05~6μmであり、または0.1~5μmである。
【実施例
【0079】
以下、本発明について、製造例、実施例及び比較例に基づきさらに詳述するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
分散液の諸物性は、以下の測定方法により求めた。
〔粘度〕オストワルド粘度計にて求めた(25℃)。
〔水分〕カールフィッシャー滴定法にて求めた。
〔動的光散乱による平均粒子径(動的光散乱法粒子径)〕ゾルを分散溶媒で希釈し、溶媒のパラメーターを用いて、動的光散乱法測定装置:Malvern Instruments Ltd製ゼータ-サイザーで測定した。
〔透過型電子顕微鏡による平均一次粒子径〕ゾルを銅メッシュ上に滴下し乾燥させ、透過型電子顕微鏡(日本電子社製 JEM-1020)を用いて加速電圧100kVにて観察し、100個の粒子を測定し平均化した値を一次粒子径として求めた。
また実施例および比較例で得られた硬化膜を有する光学部材について、以下に示す測定方法により諸物性を測定し評価した。
【0080】
(1)屈折率
反射率測定機(オリンパス(株)製 USPM-RU)を用いて、ガラス基板上に形成した硬化膜の反射率を測定した。測定した反射率から、光学シミュレーションを用いて、硬化膜の屈折率を算出した。
【0081】
(2)硬度試験
ダイナミック超微小硬度計((株)島津製作所製 DUH-211)を用いて、ガラス基板上に形成した硬化膜の硬度HMs[N/mm]を測定した。判断基準は下記の通りである。
A:硬度が250以上である
B:硬度が150以上250未満である
C:硬度が150未満である
【0082】
(3)密着性試験
PETフィルム(東洋紡(株)製 商品名コスモシャインA4300)上に形成した硬
化膜に1mm間隔で100目クロスカットを施し、このクロスカットした部分に粘着テープ(ニチバン(株)製 セロハンテープ)を強く貼り付けた後、粘着テープを急速に剥がし、粘着テープを剥がした後の硬化膜の剥離の有無を調べた。評価基準は下記の通りである。
A:全く剥離が無いか、又は100目中5目未満の剥離が確認できる。
B:100目中5~30目の剥離が確認できる
C:100目中31~60目の剥離が確認できる
D:100目中61~90目の剥離が確認できる
E:100目中91目以上の剥離が確認できる
【0083】
(4)透明性
ヘイズメーター(日本電色工業(株)製 NDH7000)を用いて、ガラス基板上に形成した硬化膜のヘイズ値を測定した。判断基準は次の通りである。
A:ヘイズ値が0.3未満である
B:ヘイズ値が0.3以上1.0未満である
C:ヘイズ値が1.0以上3.0未満である
D:ヘイズ値が3.0以上10.0未満である
E:ヘイズ値が10.0以上である
【0084】
(5)耐光性試験
分光光度計((株)島津製作所製 UV-3600)を用いて、得られた光学部材(ガラス基板上に硬化膜を形成したもの)の透過率を測定し、JIS7373に基づいてYI値を算出した。その後、QUV促進耐候試験機(UVAランプ 照射強度890mW/m)を用いて、120時間露光を行った光学部材のYI値を算出した。紫外線照射前後の光学部材の△YIを算出した。判断基準は次の通りである。
A:△YIが1.0未満である
B:△YIが1.0以上2.0未満である
C:△YIが2.0以上である
【0085】
(6)保存安定性試験
5℃に設定された冷蔵庫内で1か月保管したコート剤を用いて、(2)硬度試験と同様の試験を行った。判断基準は下記の通りである。
A:保管前に比べ、硬度変化が±10%以内
B:保管前に比べ、10~30%の硬度低下
C:保管前に比べ、30%以上の硬度低下
【0086】
参考例1:核となる酸化チタン-酸化第二スズ複合酸化物コロイド粒子(A1)の調製
25質量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液319.5gを純水947.1gに溶解し、次いでメタスズ酸14.8g(SnO換算で12.5g含有)、チタンテトライソプロポキシド236.6g(TiO換算で66.6g含有)、及びシュウ酸二水和物82.0g(シュウ酸換算で58.5g)を撹拌下で添加した。該混合溶液を80℃で2時間保持し、更に580Torrまで減圧して2時間保持し、混合溶液を調製した。ガラスライニングされたオートクレーブ容器に、上記混合溶液を投入し、140℃で5時間水熱処理を行い、室温に冷却後、取り出した。得られたゾルは酸性の酸化チタン-酸化第二スズ複合酸化物コロイド粒子(A1)の水分散ゾルであり、pH3.9、全金属酸化物濃度(TiO2、及びSnO2)5.0質量%、動的光散乱法による平均粒子径(動的光散乱法粒子径)16nmであった。得られたゾルを110℃で乾燥させた粉末のX線回折分析を行い、ルチル型結晶であることが確認された。
【0087】
参考例2:被覆物となる二酸化珪素-酸化第二スズ複合酸化物コロイド粒子(B1)の
調製
JIS3号珪酸ナトリウム(SiO換算で29.8質量%含有)77.2gを純水668.8gに溶解し、次いでスズ酸ナトリウムNaSnO・HO(SnO換算で55.1質量%含有)20.9gを溶解した。得られた水溶液を水素型陽イオン交換樹脂(アンバーライト(登録商標)IR-120B)を充填したカラムに通液した。次いで得られた水分散ゾルにジイソプロピルアミンを7.2g添加した。得られたゾルはアルカリ性の二酸化珪素-酸化第二スズ複合酸化物コロイド粒子(B1)の水分散ゾルであり、pH8.0、全金属酸化物濃度(SnO、及びSnO)1.7質量%、透過型電子顕微鏡による観察で一次粒子径は1~4nmであった。
【0088】
参考例3:二酸化珪素-酸化第二スズ複合酸化物で変性された酸化チタン-酸化第二スズ-酸化ジルコニウム複合酸化物コロイド粒子(C1)の調製
オキシ塩化ジルコニウム(ZrO換算で21.2質量%含有)82.7gを純水501.1gで希釈して、オキシ塩化ジルコニウム水溶液583.8g(ZrO換算で3.0質量%含有)を調製し、参考例1で調製した酸化チタン-酸化第二スズ複合酸化物コロイド粒子(A1)の水分散ゾル1516.2gを撹拌下で添加した。次いで95℃に加熱することにより加水分解を行って、表面に酸化ジルコニウムの薄膜層が形成された酸化チタン-酸化第二スズ-酸化ジルコニウム複合酸化物コロイド粒子の水分散ゾルを得た。得られた水分散ゾル2041.2gを参考例2で調製したアルカリ性の二酸化珪素-酸化第二スズ複合酸化物コロイド粒子(B1)の水分散ゾル1763.3gに撹拌下で添加し、陰イオン交換樹脂(アンバーライト(登録商標)IRA-410、オルガノ(株)製)500ミリリットルを詰めたカラムに通液した。次いで通液後の水分散ゾルを95℃で3時間加熱した後、限外濾過膜法で濃縮した。
【0089】
次いで、得られた水分散ゾルの分散媒をロータリーエバポレーターを用いてメタノールに置換して、二酸化珪素-酸化第二スズ複合酸化物で変性された酸化チタン-酸化第二スズ-酸化ジルコニウム複合酸化物コロイド粒子(C1)のメタノール分散ゾルを得た。このメタノール分散ゾルは、pH5.2、全金属酸化物(TiO、ZrO、SnO、及びSiO)濃度30.5質量%、粘度1.8mPa・s、動的光散乱法(DLS)による平均粒子径(動的光散乱法粒子径)20nmであった。
【0090】
参考例4:核となる酸化ジルコニウム-酸化第二スズ複合酸化物コロイド粒子(A2)の調製
炭酸水素テトラメチルアンモニウム(水酸化テトラメチルアンモニウム換算で42.4質量%含有)水溶液293.7gを、純水111.5gで希釈し、この水溶液を攪拌しながら、オキシ炭酸ジルコニウム粉末(ZrO換算で40.1質量%含有)168.4gを徐々に添加した。添加終了後、85℃に加温し、メタスズ酸9.6g(SnOとして86.0質量%含)を徐々に添加し、105℃にて5時間加温熟成を行い、更に145℃にて5時間の水熱処理を行った。次いでこのゾルを限外ろ過装置にて純水を添加しながら、ゾルを洗浄、濃縮した。得られたゾルはアルカリ性の酸化ジルコニウム-酸化第二スズ複合酸化物コロイド粒子(A2)の水分散ゾルであり、pH9.4、全金属酸化物濃度(ZrO、及びSnOの合計)5.0質量%、動的光散乱法による平均粒子径(動的光散乱法粒子径)15nmであった。
【0091】
参考例5:二酸化珪素-酸化第二スズ複合酸化物で変性された酸化ジルコニウム-酸化第二スズ複合酸化物コロイド粒子(C2)の調製
参考例4で得られたアルカリ性の酸化ジルコニウム-酸化第二スズ複合酸化物コロイド粒子(A2)の水分散ゾル1411.7gに、参考例2で調製したアルカリ性の二酸化珪素-酸化第二スズ複合酸化物コロイド粒子(B1)の水分散ゾル830.4gを攪拌下で添加した。次いで95℃に加熱して2時間保持した後、水素型陽イオン交換樹脂(アンバ
ーライト(登録商標)IR-120B)を充填したカラムに通液した後、通液後の水分散ゾルを限外濾過膜法で濃縮した。
【0092】
次いで、得られた水分散ゾルの分散媒をロータリーエバポレーターを用いてメタノールに置換して、二酸化珪素-酸化第二スズ複合酸化物で変性された酸化ジルコニウム-酸化第二スズ複合酸化物コロイド粒子(C2)のメタノール分散ゾルを得た。このメタノール分散ゾルは、pH5.0、全金属酸化物(ZrO、SnO、及びSiO)濃度38.5質量%、粘度3.3mPa・s、動的光散乱法(DLS)による平均粒子径(動的光散乱法粒子径)20nmであった。
【0093】
参考例6:核となる酸化第二スズコロイド粒子(A3)の調製
シュウ酸二水和物64.0g(シュウ酸換算で45.7g)を純水723.3gに溶解し、攪拌しながら70℃まで加温した後、35%過酸化水素水290.3gと金属スズ粉末(SnO換算で99.7%含有)128.1gを添加した。過酸化水素水と金属スズの添加は交互に10回分割で行った。始めに35%過酸化水素水29.0gを、次いで金属スズ12.8gを添加した。反応が終了するのを待って(10~15分)この操作を繰り返した。 添加に要した時間は2時間で添加終了後、液温を90℃に保ちながら2時間加熱し反応を終了させた。次いで、35%過酸化水素水394.5gを添加し、90℃で5時間保持した。次いで、イソプロピルアミン5.1gを添加し、50℃で3時間保持した後、陰イオン交換樹脂(アンバーライト(登録商標)IRA-410)500ミリリットルを詰めたカラムに通液した。得られたゾルはアルカリ性の酸化第二スズ複合酸化物コロイド粒子(A3)の水分散ゾルであり、pH11.0、SnO濃度4.0質量%、動的光散乱法による平均粒子径(動的光散乱法粒子径)20nmであった。
【0094】
参考例7:二酸化珪素-酸化第二スズ複合酸化物で変性された酸化第二スズコロイド粒子(C3)の調製
参考例6で得られた酸化第二スズコロイド粒子(A3)の水分散ゾル1458.8gに、参考例2で調製したアルカリ性の二酸化珪素-酸化第二スズ複合酸化物コロイド粒子(B1)の水分散ゾル514.9gを攪拌下で添加した。次いで95℃に加熱して2時間保持した後、水素型陽イオン交換樹脂(アンバーライト(登録商標)IR-120B)を充填したカラムに通液した。次いで通液後の水分散ゾルを限外濾過膜法で濃縮した。
次いで、得られた水分散ゾルの分散媒をロータリーエバポレーターを用いてメタノールに置換して、二酸化珪素-酸化第二スズ複合酸化物で変性された酸化第二スズコロイド粒子(C3)のメタノール分散ゾルを得た。このメタノール分散ゾルは、全金属酸化物(SnO、及びSiO)濃度30.5質量%、粘度1.3mPa・s、動的光散乱法(DLS)による平均粒子径(動的光散乱法粒子径)18nmであった。
【0095】
製造例1:表面にフェニル基を有する有機ケイ素化合物が結合してなる、二酸化珪素-酸化第二スズ複合酸化物で変性された酸化チタン-酸化第二スズ-酸化ジルコニウム複合酸化物コロイド粒子(C4)の調製
参考例3で得られた、二酸化珪素-酸化第二スズ複合酸化物で変性された酸化チタン-酸化第二スズ-酸化ジルコニウム複合酸化物コロイド粒子(C1)のメタノール分散ゾル200gに、フェニルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製 商品名KBM103)3.9gを撹拌下で添加し、70℃で還流加熱を5時間行った。次いで、エバポレータを用いて180Torrでメチルエチルケトンを添加しながらメタノールを留去することによりメタノールをメチルエチルケトンに置換して、表面にフェニル基を有する有機ケイ素化合物が結合してなる、二酸化珪素-酸化第二スズ複合酸化物で変性された酸化チタン-酸化第二スズ-酸化ジルコニウム複合酸化物コロイド粒子(C4)のメチルエチルケトン分散ゾルを得た。このメチルエチルケトン分散ゾルは全金属酸化物(TiO、ZrO、SnO、及びSiO)濃度30.5質量%、粘度0.9mPa・s、動的光散乱
法(DLS)による平均粒子径(動的光散乱法粒子径)は19nmであった。
【0096】
製造例2:表面にメタクリル基を有する有機ケイ素化合物が結合してなる、二酸化珪素-酸化第二スズ複合酸化物で変性された酸化チタン-酸化第二スズ-酸化ジルコニウム複合酸化物コロイド粒子(C5)の調製
参考例3で得られた、二酸化珪素-酸化第二スズ複合酸化物で変性された酸化チタン-酸化第二スズ-酸化ジルコニウム複合酸化物コロイド粒子(C3)のメタノール分散ゾル200gに、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製 商品名KBM503)4.9gを撹拌下で添加し、70℃で還流加熱を5時間行った。次いで、エバポレータを用いて180Torrでメチルエチルケトンを添加しながらメタノールを留去することによりメタノールをメチルエチルケトンに置換して、表面にメタクリル基を有する有機ケイ素化合物が結合してなる、二酸化珪素-酸化第二スズ複合酸化物で変性された酸化チタン-酸化第二スズ-酸化ジルコニウム複合酸化物コロイド粒子(C5)のメチルエチルケトン分散ゾルを得た。このメチルエチルケトン分散ゾルは全金属酸化物(TiO、ZrO、SnO、及びSiO)濃度30.5質量%、粘度1.2mPa・s、動的光散乱法(DLS)による平均粒子径(動的光散乱法粒子径)は17nmであった。
【0097】
製造例3:表面にメチル基を有する有機ケイ素化合物が結合してなる、二酸化珪素-酸化第二スズ複合酸化物で変性された酸化チタン-酸化第二スズ-酸化ジルコニウム複合酸化物コロイド粒子(C6)の調製
参考例3で得られた、二酸化珪素-酸化第二スズ複合酸化物で変性された酸化チタン-酸化第二スズ-酸化ジルコニウム複合酸化物コロイド粒子(C3)のメタノール分散ゾル200gに、トリメチルメトキシシラン(東レダウコーニング(株)製 商品名Z6013)2.4gを撹拌下で添加し、70℃で還流加熱を5時間行った。次いで、エバポレータを用いて180Torrでメチルエチルケトンを添加しながらメタノールを留去することによりメタノールをメチルエチルケトンに置換して、表面にメチル基を有する有機ケイ素化合物が結合してなる、二酸化珪素-酸化第二スズ複合酸化物で変性された酸化チタン-酸化第二スズ-酸化ジルコニウム複合酸化物コロイド粒子(C6)のメチルエチルケトン分散ゾルを得た。このメチルエチルケトン分散ゾルは、全金属酸化物(TiO、ZrO、SnO、及びSiO)濃度30.5質量%、粘度8.0mPa・s、動的光散乱法(DLS)による平均粒子径(動的光散乱法粒子径)は45nmであった。
【0098】
製造例4:表面にフェニル基とグリシジル基を有する有機ケイ素化合物が結合してなる、二酸化珪素-酸化第二スズ複合酸化物で変性された酸化チタン-酸化第二スズ-酸化ジルコニウム複合酸化物コロイド粒子(C7)の調製
参考例3で得られた、二酸化珪素-酸化第二スズ複合酸化物で変性された酸化チタン-酸化第二スズ-酸化ジルコニウム複合酸化物コロイド粒子(C3)のメタノール分散ゾル200gに、フェニルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製 商品名KBM103)2.0g、及び3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(Momentive製
商品名SILQUEST A-187T)2.3gを撹拌下で添加し、70℃で還流加熱を5時間行った。次いで、エバポレータを用いて80Torrでプロピレングリコールモノメチルエーテルを添加しながらメタノールを留去することによりメタノールをプロピレングリコールモノメチルエーテルに置換して、表面にフェニル基とグリシジル基を有する有機ケイ素化合物が結合してなる、二酸化珪素-酸化第二スズ複合酸化物で変性された酸化チタン-酸化第二スズ-酸化ジルコニウム複合酸化物コロイド粒子(C7)のプロピレングリコールモノメチルエーテル分散ゾルを得た。このプロピレングリコールモノメチルエーテル分散ゾルは全金属酸化物(TiO、ZrO、SnO、及びSiO)濃度30.5質量%、粘度3.4mPa・s、動的光散乱法(DLS)による平均粒子径(動的光散乱法粒子径)は11nmであった。
【0099】
製造例5:表面にフェニル基を有する有機ケイ素化合物が結合してなる、二酸化珪素-酸化第二スズ複合酸化物で変性された酸化ジルコニウム-酸化第二スズ複合酸化物コロイド粒子(C8)の調製
参考例5で得られた、二酸化珪素-酸化第二スズ複合酸化物で変性された酸化ジルコニウム-酸化第二スズ複合酸化物コロイド粒子(C2)のメタノール分散ゾル200gに、フェニルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製 商品名KBM103)4.7gを撹拌下で添加し、70℃で還流加熱を5時間行った。次いで、エバポレータを用いて180Torrでメチルエチルケトンを添加しながらメタノールを留去することによりメタノールをメチルエチルケトンに置換して、表面にフェニル基を有する有機ケイ素化合物が結合してなる、二酸化珪素-酸化第二スズ複合酸化物で変性された酸化ジルコニウム-酸化第二スズ複合酸化物コロイド粒子(C8)のメチルエチルケトン分散ゾルを得た。このメチルエチルケトン分散ゾルは全金属酸化物(ZrO、SnO、及びSiO)濃度30.5質量%、粘度4.1mPa・s、動的光散乱法(DLS)による平均粒子径(動的光散乱法粒子径)は33nmであった。
【0100】
製造例6:表面にフェニル基を有する有機ケイ素化合物が結合してなる、二酸化珪素-酸化第二スズ複合酸化物で変性された酸化第二スズ複合酸化物コロイド粒子(C9)の調製
参考例7で得られた、二酸化珪素-酸化第二スズ複合酸化物で変性された酸化第二スズ複合酸化物コロイド粒子(C3)のメタノール分散ゾル200gに、フェニルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製 商品名KBM103)3.0gを撹拌下で添加し、70℃で還流加熱を5時間行った。次いで、エバポレータを用いて180Torrでメチルエチルケトンを添加しながらメタノールを留去することによりメタノールをメチルエチルケトンに置換して、表面にフェニル基を有する有機ケイ素化合物が結合してなる、二酸化珪素-酸化第二スズ複合酸化物で変性された酸化第二スズ複合酸化物コロイド粒子(C9)のメチルエチルケトン分散ゾルを得た。このメチルエチルケトン分散ゾルは全金属酸化物(SnO、及びSiO)濃度30.5質量%、粘度3.4mPa・s、動的光散乱法(DLS)による平均粒子径(動的光散乱法粒子径)は20nmであった。
【0101】
実施例1
(コーティング組成物の作製)
マグネチックスターラーを備えたガラス製の容器に、エポキシ変性オルガノシロキサン(信越化学工業(株)製 商品名KR470)12.0質量部、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス(株)製 商品名EX-321L)3.0質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテル30.7質量部を加え、撹拌しながら製造例1で得た、表面にフェニル基を有する有機ケイ素化合物が結合してなる、二酸化珪素-酸化第二スズ複合酸化物で変性された酸化チタン-酸化第二スズ-酸化ジルコニウム複合酸化物コロイド粒子(C4)のメチルエチルケトン分散ゾル49.2質量部を加え、0.5時間撹拌を行った。次いで、カチオン重合開始剤(三新化学工業(株)製 商品名サンエイドSI-100)のプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液(サンエイドSI-100 5.0質量%)3.0質量部、保存安定化助剤(三新化学工業(株)製 商品名SI助剤)のN-メチル-2-ピロリドン溶液(SI助剤 5.0質量%)0.15質量部、ポリエーテル変性シリコーンオイル(東レ・ダウコーニング(株)製 商品名L-7001)のプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液(L-7001 10.0質量%)2.0質量部を加え、0.5時間撹拌を行いコーティング液(コーティング組成物)を作製した。
【0102】
(硬化膜の形成及び評価)
ガラス基板とPETフィルム(東洋紡(株)製 商品名コスモシャインA4300)を
用意し、これらにスピンコート法でコーティング液(コーティング組成物)を塗布(膜厚3μm)し、80℃で2分間溶媒を揮発させた後100℃で0.5時間加熱処理し、更に120℃で2時間加熱処理して塗膜を硬化させ、硬化膜を有する光学部材を形成した。 上記(1)~(6)に示す試験を実施した。評価結果を表1、及び表2に示す。
【0103】
実施例2
実施例1において、エポキシ変性オルガノシロキサン(信越化学工業(株)製 商品名KR470)の添加量を10.5質量部に、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス(株)製 商品名EX-321L)の添加量を4.5質量部にそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様にコーティング組成物の作製及び硬化膜の形成・評価を実施した。
【0104】
実施例3
実施例1において、エポキシ変性オルガノシロキサン(信越化学工業(株)製 商品名KR470)の添加量を9.0質量部に、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス(株)製 商品名EX-321L)の添加量を6.0質量部にそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様にコーティング組成物の作製及び硬化膜の形成・評価を実施した。
【0105】
実施例4
実施例1において、エポキシ変性オルガノシロキサン(信越化学工業(株)製 商品名KR470)の添加量を7.5質量部に、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス(株)製 商品名EX-321L)の添加量を7.5質量部にそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様にコーティング組成物の作製及び硬化膜の形成・評価を実施した。
【0106】
実施例5
実施例1において、エポキシ変性オルガノシロキサン(信越化学工業(株)製 商品名KR470)の添加量を6.0質量部に、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス(株)製 商品名EX-321L)の添加量を9.0質量部にそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様にコーティング組成物の作製及び硬化膜の形成・評価を実施した。
【0107】
実施例6
実施例1において、エポキシ変性オルガノシロキサン(信越化学工業(株)製 商品名KR470)の添加量を15.0質量部に変更し、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス(株)製 商品名EX-321L)を添加しない以外は、実施例1と同様にコーティング組成物の作製及び硬化膜の形成・評価を実施した。
【0108】
実施例7
実施例1において、エポキシ変性オルガノシロキサン(信越化学工業(株)製 商品名KR470)の添加量を4.5質量部に、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス(株)製 商品名EX-321L)の添加量を10.5質量部にそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様にコーティング組成物の作製及び硬化膜の形成・評価を実施した。
【0109】
実施例8
実施例2において、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス(株)製 商品名EX-321L)の添加量を3.0質量部に変更し、エポキシ変性イソシアヌレート(日産化学(株) 商品名TEPIC-VL)1.5質量部を加えた以外
は、実施例2と同様にコーティング組成物の作製及び硬化膜の形成・評価を実施した。
【0110】
実施例9
実施例1において、エポキシ変性オルガノシロキサン(信越化学工業(株)製 商品名KR470)の添加量を14.0質量部に、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス(株)製 商品名EX-321L)の添加量を6.0質量部に、プロピレングリコールモノメチルエーテルの添加量を29.6質量部に、製造例1で得た、表面にフェニル基を有する有機ケイ素化合物が結合してなる、二酸化珪素-酸化第二スズ複合酸化物で変性された酸化チタン-酸化第二スズ-酸化ジルコニウム複合酸化物コロイド粒子(C4)のメチルエチルケトン分散ゾルの添加量を32.8質量部に、カチオン重合開始剤(三新化学工業(株)製 商品名サンエイドSI-100)のプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液(サンエイドSI-100 5.0質量%)の添加量を4.0質量部に、保存安定化助剤(三新化学工業(株)製 商品名SI助剤)のN-メチル-2-ピロリドン溶液(SI助剤 5.0質量%)の添加量を0.20質量部にそれぞれ変更し、メチルエチルケトン11.4質量部を加えた以外は、実施例1と同様にコーティング組成物の作製及び硬化膜の形成・評価を実施した。
【0111】
実施例10
実施例1において、エポキシ変性オルガノシロキサン(信越化学工業(株)製 商品名KR470)の添加量を8.4質量部に、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス(株)製 商品名EX-321L)の添加量を3.6質量部に、プロピレングリコールモノメチルエーテルの添加量を24.5質量部に、製造例1で得た、表面にフェニル基を有する有機ケイ素化合物が結合してなる、二酸化珪素-酸化第二スズ複合酸化物で変性された酸化チタン-酸化第二スズ-酸化ジルコニウム複合酸化物コロイド粒子(C4)のメチルエチルケトン分散ゾルの添加量を59.0質量部に、カチオン重合開始剤(三新化学工業(株)製 商品名サンエイドSI-100)のプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液(サンエイドSI-100 5.0質量%)の添加量を2.4質量部に、保存安定化助剤(三新化学工業(株)製 商品名SI助剤)のN-メチル-2-ピロリドン溶液(SI助剤 5.0質量%)の添加量を0.12質量部にそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様にコーティング組成物の作製及び硬化膜の形成・評価を実施した。
【0112】
実施例11
実施例1において、エポキシ変性オルガノシロキサン(信越化学工業(株)製 商品名KR470)の添加量を7.0質量部に、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス(株)製 商品名EX-321L)の添加量を3.0質量部に、プロピレングリコールモノメチルエーテルの添加量を20.3質量部に、製造例1で得た、表面にフェニル基を有する有機ケイ素化合物が結合してなる、二酸化珪素-酸化第二スズ複合酸化物で変性された酸化チタン-酸化第二スズ-酸化ジルコニウム複合酸化物コロイド粒子(C4)のメチルエチルケトン分散ゾルの添加量を65.6質量部に、カチオン重合開始剤(三新化学工業(株)製 商品名サンエイドSI-100)のプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液(サンエイドSI-100 5.0質量%)の添加量を2.0質量部に、保存安定化助剤(三新化学工業(株)製 商品名SI助剤)のN-メチル-2-ピロリドン溶液(SI助剤 5.0質量%)の添加量を0.10質量部にそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様にコーティング組成物の作製及び硬化膜の形成・評価を実施した。
【0113】
実施例12
実施例1において、エポキシ変性オルガノシロキサン(信越化学工業(株)製 商品名KR470)の添加量を6.0質量部に、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテ
ル(ナガセケムテックス(株)製 商品名EX-321L)の添加量を2.6質量部に、プロピレングリコールモノメチルエーテルの添加量を17.4質量部に、製造例1で得た、表面にフェニル基を有する有機ケイ素化合物が結合してなる、二酸化珪素-酸化第二スズ複合酸化物で変性された酸化チタン-酸化第二スズ-酸化ジルコニウム複合酸化物コロイド粒子(C4)のメチルエチルケトン分散ゾルの添加量を70.3質量部に、カチオン重合開始剤(三新化学工業(株)製 商品名サンエイドSI-100)のプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液(サンエイドSI-100 5.0質量%)の添加量を1.7質量部に、保存安定化助剤(三新化学工業(株)製 商品名SI助剤)のN-メチル-2-ピロリドン溶液(SI助剤 5.0質量%)の添加量を0.09質量部にそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様にコーティング組成物の作製及び硬化膜の形成・評価を実施した。
【0114】
実施例13
実施例2において、製造例1で得たコロイド粒子(C4)の代わりに、製造例2で得た表面にメタクリル基を有する有機ケイ素化合物が結合してなる、二酸化珪素-酸化第二スズ複合酸化物で変性された酸化チタン-酸化第二スズ-酸化ジルコニウム複合酸化物コロイド粒子(C5)のメチルエチルケトン分散ゾル49.2質量部を加えた以外は、実施例2と同様にコーティング組成物の作製及び硬化膜の形成・評価を実施した。
【0115】
実施例14
実施例2において、製造例1で得たコロイド粒子(C4)の代わりに、製造例3で得た表面にメチル基を有する有機ケイ素化合物が結合してなる、二酸化珪素-酸化第二スズ複合酸化物で変性された酸化チタン-酸化第二スズ-酸化ジルコニウム複合酸化物コロイド粒子(C6)のメチルエチルケトン分散ゾル49.2質量部を加えた以外は、実施例2と同様にコーティング組成物の作製及び硬化膜の形成・評価を実施した。
【0116】
実施例15
実施例2において、プロピレングリコールモノメチルエーテルの代わりに、メチルエチルケトン30.7質量部を加え、製造例1で得たコロイド粒子(C4)の代わりに、製造例4で得た表面にフェニル基とグリシジル基を有する有機ケイ素化合物が結合してなる、二酸化珪素-酸化第二スズ複合酸化物で変性された酸化チタン-酸化第二スズ-酸化ジルコニウム複合酸化物コロイド粒子(C7)のプロピレングリコールモノメチルエーテル分散ゾル49.2質量部を加えた以外は、実施例2と同様にコーティング組成物の作製及び硬化膜の形成・評価を実施した。
【0117】
実施例16
実施例2において、製造例1で得たコロイド粒子(C4)の代わりに、製造例5で得た表面にフェニル基を有する有機ケイ素化合物が結合してなる、二酸化珪素-酸化第二スズ複合酸化物で変性された酸化ジルコニウム-酸化第二スズ複合酸化物コロイド粒子(C8)のメチルエチルケトン分散ゾル49.2質量部を加えた以外は、実施例2と同様にコーティング組成物の作製及び硬化膜の形成・評価を実施した。
【0118】
実施例17
(コーティング組成物の作製)
実施例14において、プロピレングリコールモノメチルエーテルの添加量を32.9質量部に変更し、カチオン重合開始剤(三新化学工業(株) 商品名サンエイドSI-100)のプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液(サンエイドSI-100 5.0質量%)の代わりに、光カチオン重合開始剤(サンアプロ(株) 商品名CPI-101A)0.9質量部を加え、保存安定化助剤(三新化学工業(株) 商品名SI助剤)のN-メチル-2-ピロリドン溶液(SI助剤 5.0質量%)を使用しない以外は、実施例
14と同様にコーティング組成物を作製した。
【0119】
(硬化膜の形成及び評価)
ガラス基板とPETフィルム(東洋紡(株)製 商品名コスモシャインA4300)を用意し、これらにスピンコート法でコーティング液(コーティング組成物)を塗布(膜厚3μm)し、80℃で2分間溶媒を揮発させた後、照射強度28mW/cm2の高圧水銀ランプで5分間紫外線処理して塗膜を硬化させ、硬化膜を有する光学部材を形成した。 上記(1)~(6)に示す試験を実施した。評価結果を表1、及び表2に示す。
【0120】
実施例18
実施例2において、製造例1で得たコロイド粒子(C4)の代わりに、製造例7で得た表面にフェニル基を有する有機ケイ素化合物が結合してなる、二酸化珪素-酸化第二スズ複合酸化物で変性された酸化第二スズ複合酸化物コロイド粒子(C9)のメチルエチルケトン分散ゾル49.2質量部を加えた以外は、実施例2と同様にコーティング組成物の作製及び硬化膜の形成・評価を実施した。
【0121】
実施例19
実施例15において、製造例5で得たコロイド粒子(C8)の代わりに、製造例7で得た表面にフェニル基を有する有機ケイ素化合物が結合してなる、二酸化珪素-酸化第二スズ複合酸化物で変性された酸化第二スズ複合酸化物コロイド粒子(C9)のメチルエチルケトン分散ゾル49.2質量部を加えた以外は、実施例15と同様にコーティング組成物の作製及び硬化膜の形成・評価を実施した。
【0122】
比較例1
実施例1において、エポキシ変性オルガノシロキサン(信越化学工業(株)製 商品名KR470)を添加せず、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス(株)製 商品名EX-321L)の添加量を15.0質量部に変更した以外は、実施例1と同様にコーティング組成物の作製及び硬化膜の形成・評価を実施した。
【0123】
比較例2
実施例2において、エポキシ変性オルガノシロキサン(信越化学工業(株)製 商品名KR470)の代わりに、エポキシ変性オルガノシロキサン(信越化学工業(株)製 商品名X-40-2669)10.5質量部を添加した以外は、実施例2と同様にコーティング組成物の作製及び硬化膜の形成・評価を実施した。
【0124】
比較例3
実施例1において、エポキシ変性オルガノシロキサン(信越化学工業(株)製 商品名KR470)の添加量を16.8質量部に、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス(株)製 商品名EX-321L)の添加量を7.2質量部に、プロピレングリコールモノメチルエーテルの添加量を31.9質量部に、カチオン重合開始剤(三新化学工業(株)製 商品名サンエイドSI-100)のプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液(サンエイドSI-100 5.0質量%)の添加量を4.8質量部に、保存安定化助剤(三新化学工業(株)製 商品名SI助剤)のN-メチル-2-ピロリドン溶液(SI助剤 5.0質量%)の添加量を0.24質量部にそれぞれ変更し、製造例1で得た表面にフェニル基を有する有機ケイ素化合物を結合させた変性金属酸化物コロイド粒子(C2)は添加せず、代わりにメチルエチルケトン37.1質量部を加えた以外は、実施例1と同様にコーティング組成物の作製及び硬化膜の形成・評価を実施した。
【0125】
表1において、信越化学工業(株)製 商品名KR470を(i)、ナガセケムテック
ス(株)製 商品名EX-321Lを(ii)、日産化学(株) 商品名TEPIC-VLを(iii)、信越化学工業(株)製 商品名X-40-2669を(iv)で示す。
【0126】
〔表1〕
表1
―――――――――――――――――――――――――――――――――
組成物固形分中の含有量 [質量部]
(i) (ii) (iii) (iv) 粒子 使用した粒子
実施例1 12.0 3.0 - - 15.0 C4
実施例2 10.5 4.5 - - 15.0 C4
実施例3 9.0 6.0 - - 15.0 C4
実施例4 7.5 7.5 - - 15.0 C4
実施例5 6.0 9.0 - - 15.0 C4
実施例6 15.0 - - - 15.0 C4
実施例7 4.5 10.5 - - 15.0 C4
実施例8 10.5 3.0 1.5 - 15.0 C4
実施例9 14.0 6.0 - - 10.0 C4
実施例10 8.4 3.6 - - 18.0 C4
実施例11 7.0 3.0 - - 20.0 C4
実施例12 6.0 2.6 - - 21.4 C4
実施例13 10.5 4.5 - - 15.0 C5
実施例14 10.5 4.5 - - 15.0 C6
実施例15 10.5 4.5 - - 15.0 C7
実施例16 10.5 4.5 - - 15.0 C8
実施例17 10.5 4.5 - - 15.0 C8
実施例18 10.5 4.5 - - 15.0 C9
実施例19 10.5 4.5 - - 15.0 C9
比較例1 - 15.0 - - 15.0 C4
比較例2 - 4.5 - 10.5 15.0 C4
比較例3 16.8 7.2 - - - -
―――――――――――――――――――――――――――――――――
【0127】
〔表2〕
表2
――――――――――――――――――――――――――――――――――
硬化方法 屈折率 硬度 密着性 透明性 耐光性 保存安定性
実施例1 熱 1.65 A A A A A
実施例2 熱 1.65 A A A A A
実施例3 熱 1.65 A A A A A
実施例4 熱 1.65 A A A A A
実施例5 熱 1.66 A A A A A
実施例6 熱 1.65 A A A A A
実施例7 熱 1.66 A A A A B
実施例8 熱 1.66 A A A A A
実施例9 熱 1.61 A A A A A
実施例10 熱 1.70 A A A A A
実施例11 熱 1.72 A A A A A
実施例12 熱 1.75 A A A A A
実施例13 熱 1.64 A A A A A
実施例14 熱 1.64 A A A A A
実施例15 熱 1.64 A A A A A
実施例16 熱 1.58 A A A A A
実施例17 光 1.58 A A A A A
実施例18 熱 1.58 A A A A A
実施例19 光 1.58 A A A A A
比較例1 熱 1.66 C A A A -
比較例2 熱 - B A D B C
比較例3 熱 1.51 C A A A A
―――――――――――――――――――――――――――――――――
【0128】
表1、及び表2に示すように、実施例1~19のいずれも、硬度、密着性、透明性、耐光性、及びコート材の保存安定性に優れるものであった。
【0129】
一方、比較例1~3は、硬度、密着性、透明性、耐光性、及びコート材の保存安定性において十分なものとは言えなかった。
【産業上の利用可能性】
【0130】
本願発明のコーティング組成物が被覆された基材は、光学部材、機械部品材料、電子部品材料、建築材料、成形材料等の種々の分野に適用することができる。