(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-06
(45)【発行日】2023-01-17
(54)【発明の名称】全固体型薄膜リチウム電池用負極および全固体型薄膜リチウム電池
(51)【国際特許分類】
H01M 4/134 20100101AFI20230110BHJP
H01M 4/38 20060101ALI20230110BHJP
H01M 4/62 20060101ALI20230110BHJP
H01M 10/052 20100101ALI20230110BHJP
H01M 10/0562 20100101ALI20230110BHJP
【FI】
H01M4/134
H01M4/38 Z
H01M4/62 Z
H01M10/052
H01M10/0562
(21)【出願番号】P 2018226740
(22)【出願日】2018-12-03
【審査請求日】2021-10-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000231464
【氏名又は名称】株式会社アルバック
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100134359
【氏名又は名称】勝俣 智夫
(74)【代理人】
【識別番号】100192773
【氏名又は名称】土屋 亮
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 亮由
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 俊介
【審査官】宮田 透
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/129126(WO,A1)
【文献】特開2008-135368(JP,A)
【文献】特開2006-324210(JP,A)
【文献】特開2006-260944(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/13-4/1399
H01M 4/36-4/62
H01M 10/05-10/0587
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
負極集電体層と、前記負極集電体層の表面に形成されている負極活物質層とを有し、
前記負極活物質層は、非晶質シリコンと、前記非晶質シリコンに分散されているリチウムに対して不活性な導電性物質とを含
み、
前記負極活物質層の相対密度が70%以上90%以下の範囲内にあることを特徴とする全固体型薄膜リチウム電池用負極。
【請求項2】
前記導電性物質が、銅、鉄、ニッケル、チタンからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属であることを特徴とする請求項1に記載の全固体型薄膜リチウム電池用負極。
【請求項3】
前記導電性物質がチタンであって、前記負極活物質層の前記チタンの含有量が1原子%以上15原子%以下の範囲内にあることを特徴とする請求項1に記載の全固体型薄膜リチウム電池用負極
。
【請求項4】
正極と、負極と、前記正極と前記負極との間に配置される固体電解質層と、を備え、
前記負極が、請求項1~
3のいずれか1項に記載の全固体型薄膜リチウム電池用負極であることを特徴とする全固体型薄膜リチウム電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全固体型薄膜リチウム電池用負極および全固体型薄膜リチウム電池に係る。
【背景技術】
【0002】
近年、電解質に無機固体電解質を用いた全固体型の薄膜リチウム電池の開発が進められている。この種の全固体型薄膜リチウム電池では、負極活物質としてリチウム金属が標準的に用いられている。しかしながら、リチウム金属は、融点が180℃であることから、全固体型薄膜リチウム電池の製造に際しては、これよりも高温の成膜プロセス、熱処理プロセスの実施が困難となる。またリチウム金属を用いた全固体型薄膜リチウム電池は、耐熱性が低く、高温環境下での放電容量が大きく低下しやすい傾向があった。このため、リチウム金属に代わる負極材料が検討されている。
【0003】
リチウム金属に代わる負極活物質として、高い理論容量を有するシリコン(3580mAh/g;Si+Li→Li5Si4)が注目されている。しかしながら、シリコンは、リチウム金属と比較すると導電性が低く、また充放電時のリチウムイオンの吸蔵または放出による体積変化量が大きいという問題がある。負極活物質の充放電時の体積変化量が大きいと、機械的なストレスによって電極破壊(クラック)が生じて、充放電容量の低下を招いてしまうことがある。このため、負極活物質の充放電時の体積変化量は小さいことが望ましい。
【0004】
特許文献1には、シリコンに導電性を付与するために、シリコンの母材に不純物をドープすることが記載されている。この特許文献1には、シリコンの母材に導電性を付与する不純物をドープしたシリコン単結晶を粉末化した、導電性を備えるシリコン粒子を、負極活物質として集電体に被着させたリチウムイオン電池用負極が記載されている。
【0005】
また、特許文献2には、全体として異方性がない骨格構造を持つシリコン(Si)薄膜を負極活物質として用いることが記載されている。この特許文献2には、このSi薄膜は、充放電時に発生するLiイオンの吸蔵または放出による体積の膨張・収縮がほとんどなく、ミクロな構造変化やマクロなクラックによる劣化が発生しないと記載されている。また、この特許文献2によると、上記のSi薄膜は、ホウ素(B)ドープシリコン(Si)ターゲットを用いたDCスパッタ法により形成できるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2015-125957号公報
【文献】国際公開第2016/129126号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載されているシリコン粒子は、シリコン単結晶からなるため、充放電時のリチウムイオンの吸蔵または放出による体積変化量が大きくなるおそれがある。
一方、特許文献2に記載されているような全体として異方性がない骨格構造を持つ非晶質のシリコンは、充放電時のリチウムイオンの吸蔵または放出によるクラックの影響は結晶質シリコンよりも小さい。また、特許文献2に記載されているホウ素ドープシリコンターゲットは、純シリコンと比較して抵抗率が低いため、DCスパッタ法により、非晶質シリコン膜を成膜することが可能となる。しかしながら、このホウ素ドープシリコンターゲットを用いて成膜された非晶質シリコン膜は、スパッタ時にホウ素が揮発するため、抵抗率が純シリコンと同程度と高くなってしまう。負極活物質である非晶質シリコン膜の抵抗率が高くなると、電池の抵抗率も高くなるため、出力特性が低下して、高電流値での放電容量が低くなる。
【0008】
本発明は、このような従来の実情に鑑みて考案されたものであり、非晶質シリコンを用いながらも抵抗率が低く、出力特性に優れる全固体型薄膜リチウム電池用負極および全固体型薄膜リチウム電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る全固体型薄膜リチウム電池用負極は、負極集電体層と、前記負極集電体層の表面に形成されている負極活物質層とを有し、前記負極活物質層は、非晶質シリコンと、前記非晶質シリコンに分散されているリチウムに対して不活性な導電性物質とを含み、前記負極活物質層の相対密度が70%以上90%以下の範囲内にあることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る全固体型薄膜リチウム電池用負極において、前記導電性物質が、銅、鉄、ニッケル、チタンからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属であることが好ましい。
本発明に係る全固体型薄膜リチウム電池用負極において、前記導電性物質がチタンであって、前記負極活物質層の前記チタンの含有量が1原子%以上15原子%以下の範囲内にあることが好ましい。
【0011】
本発明に係る全固体型薄膜リチウム電池は、正極と、負極と、前記正極と前記負極との間に配置される固体電解質層と、を備え、前記負極が、上述の本発明に係る全固体型薄膜リチウム電池用負極であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の全固体型薄膜リチウム電池用負極は、負極集電体層と、この負極集電体の表面に形成されている負極活物質層とを有する。負極活物質層は、非晶質シリコンと、この質シリコンに分散されているリチウムに対して不活性な導電性物質とを含むので、導電性が高い。よって、本発明の全固体型薄膜リチウム電池用負極は、負極活物質層の抵抗率が低くなり、出力特性が向上する。また、導電性物質はリチウムに対して不活性であるので、負極活物質層は長期間にわたって安定する。このため、サイクル特性や耐熱特性にも優れる。
【0013】
また、本発明の全固体型薄膜リチウム電池は、負極として、上述の本発明に係る全固体型薄膜リチウム電池用負極を用いるので、負極活物質層の抵抗率が低く、出力特性が向上する。
【0014】
以上のとおり、本発明によれば、非晶質シリコンを用いながらも抵抗率が低く、出力特性に優れる全固体型薄膜リチウム電池用負極および全固体型薄膜リチウム電池を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態に係る全固体型薄膜リチウム電池の模式断面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る全固体型薄膜リチウム電池の負極活物質層の構造を示す模式図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る全固体型薄膜リチウム電池の製造方法の工程を示す模式平面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る全固体型薄膜リチウム電池用負極の負極活物質層を形成するためのコスパッタ装置の一例を示す模式断面図である。
【
図5】実施例1で作製した非晶質シリコン膜の断面の走査型電子顕微鏡写真である。
【
図6】実施例1で作製した非晶質シリコン膜の組成と抵抗率の関係を示すグラフである。ある。
【
図7】実施例1で作製した非晶質シリコン膜のX線回折パターンである。
【
図8】実施例2で作製した非晶質シリコン膜のX線回折パターンである。
【
図9】実施例3で作製した非晶質シリコン膜評価用のハーフセルの放電カーブを示すグラフである。
【
図10】実施例3で作製した非晶質シリコン膜評価用のハーフセルにおける非晶質シリコン膜の組成と放電容量の関係を示すグラフである。
【
図11】実施例3で作製した非晶質シリコン膜評価用のハーフセルにおける非晶質シリコン膜の組成と、非晶質シリコン膜の抵抗率と、放電容量との関係を示すグラフである。
【
図12】実施例4で作製した全固体型薄膜リチウム電池の1サイクル目の放電カーブを示すグラフである。
【
図13】実施例4で作製した全固体型薄膜リチウム電池の出力特性を示すグラフである。
【
図14】実施例4で作製した全固体型薄膜リチウム電池の電気化学インピーダンスの測定結果を示すグラフである。
【
図15】全固体型薄膜リチウム電池における電気化学インピーダンス特性を説明する概念図である。
【
図16】実施例4で作製した全固体型薄膜リチウム電池の固体電解質層と負極の界面を説明する概念図である。
【
図17】実施例4で作製した全固体型薄膜リチウム電池のサイクル特性を示すグラフである。
【
図18】実施例4で作製した全固体型薄膜リチウム電池の耐熱特性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下では、本発明の一実施形態に係る全固体型薄膜リチウム電池用負極および全固体型薄膜リチウム電池について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る全固体型薄膜リチウム電池の模式断面図である。
図2は、本発明の一実施形態に係る全固体型薄膜リチウム電池の負極活物質層の構造を示す模式図である。
【0017】
全固体型薄膜リチウム電池1は、
図1に示すように、基板10の上に、正極20と、固体電解質層30、負極40が、この順で積層されている積層体である。正極20は、正極集電体層21と正極活物質層22とを含む。負極40は、負極集電体層41と負極活物質層42とを含む。正極20、固体電解質層30及び負極40は、正極集電体層21と負極集電体層41の一部を除いて、封止材50によって被覆されている。
【0018】
基板10の材料としては、特に制限はなく、全固体型薄膜リチウム電池において基板として利用される公知の材料を用いることができる。基板10の材料としては、例えば、絶縁性材料、半導体性材料、導電性材料のいずれの材料を用いることができる。ただし、半導体性材料あるいは導電性材料を用いる場合は、基板10と正極集電体層21及び負極集電体層41との間に絶縁性材料を介在させることが好ましい。絶縁性材料の例としては、ガラス、セラミックス(例えば、アルミナ等)、樹脂(例えば、ポリイミド等)を挙げることができる。半導体性材料の例としては、シリコンなどを挙げることができる。導電性材料としては、金属(例えば、ステンレス等)を挙げることができる。また、基板10の形状は、特に制限はなく、シート状、フィルム状、薄板状など用途に合わせて適宜選択することができる。
【0019】
正極集電体層21の材料は、特に制限はなく、全固体型薄膜リチウム電池において正極集電体層として利用される公知の材料を用いることができる。正極集電体層21の材料としては、例えば、クロム、銅、アルミニウム、ニッケル、金、白金、モリブデン、マンガン、銀、あるいはこれら金属を2種以上含む合金、またはこれらの金属からなる金属層を2層以上積層した積層膜を用いことができる。2層以上積層する場合、集電層と基板の密着強度を確保するための密着層を設けることがあり、密着層には例えばチタン又はクロムなどが用いられる。
【0020】
正極活物質層22の材料としては、特に制限はなく、全固体型薄膜リチウム電池において正極活物質層として利用される公知の材料を用いることができる。正極活物質層22の材料は、リチウムを含有し、リチウムイオンを放出及び吸蔵することができる材料であることが好ましく、リチウムを含有する遷移金属化合物であることが特に好ましい。リチウムを含有する遷移金属化合物の例としては、コバルト酸リチウム(LiCoO2、LCOともいう)、マンガン酸リチウム(LixMnyOz、ただし、x、y、zは実数)、ニッケル酸リチウム(LiNiO2)、リン酸鉄リチウム(LiFePO4)、チタン酸リチウム(Li4Ti5O12)、その他に3元素系のリチウム含有金属複合酸化物(LiNiaCobMncO2やLiNiaCobAlcO2、ただし、a+b+c=1)等を用いることができる。これらの化合物は、一種を単独で使用してもよいし、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0021】
固体電解質層30の材料としては、特に制限はなく、全固体型薄膜リチウム電池において固体電解質層として利用されている公知の材料を用いることができる。固体電解質層30の材料としては、例えば、窒化リン酸リチウム(LiPON)又はリン酸リチウム(Li3PO4)等を用いることができる。
【0022】
負極集電体層41の材料としては、特に制限はなく、例えば、前述の正極集電体層21と同じ材料を用いることができる。
【0023】
負極活物質層42は、
図2に示すように、シリコン原子43から構成された非晶質シリコンと、非晶質シリコンに分散されているリチウムに対して不活性な導電性物質44とを含む。リチウムに対して不活性な導電性物質44は、リチウムと合金を形成しない金属であることが好ましい。導電性物質44の例としては、銅、鉄、ニッケル、チタンなどの金属を挙げることができる。これらの金属は、一種を単独で使用してもよいし、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0024】
負極活物質層42の導電性物質44の含有量は、導電性物質44の種類によって変動するが、例えば、導電性物質44がチタンの場合は、1原子%以上15原子%以下の範囲内にあることが好ましい。導電性物質44の含有量が少なくなりすぎると、負極活物質層42の抵抗率が低くなりにくくなるおそれがある。一方、導電性物質44の含有量が多くなりすぎると、負極活物質層42のシリコン原子43の含有量が相対的に少なくなり、さらに導電性物質44が充放電時に負極活物質層42内でリチウムイオンの拡散や反応を阻害してしまうことから、充放電容量を大きく低下するおそれがある。
【0025】
負極活物質層42は、相対密度が70%以上90%以下の範囲内にあることが好ましい。
相対密度がこの範囲内にあると、リチウムイオンの吸蔵や放出による負極活物質層42の体積変化量を小さくすることができる。なお、本実施形態において、相対密度は、負極活物質層42の組成から算出された密度の理論値に対する負極活物質層42の密度の実測値の百分率を意味する。
【0026】
封止材50は、絶縁材料で構成される。封止材50を構成する絶縁材料は、特に限定されず、全固体型薄膜リチウム電池において封止材として利用されている公知の絶縁材料を用いることができる。絶縁材料の例としては、ガラス、セラミックス(例えば、アルミナ等)、樹脂(例えば、ポリイミド、ポリ尿素、アクリル、エポキシ樹脂等)を挙げることができる。
【0027】
次に、本実施形態の全固体型薄膜リチウム電池の製造方法について説明する。
図3は、本発明の一実施形態に係る全固体型薄膜リチウム電池の製造方法の工程を示す模式平面図である。
図4は、本発明の一実施形態に係る全固体型薄膜リチウム電池用負極の負極活物質層を形成するためのコスパッタ装置の一例を示す模式断面図である。
【0028】
まず、
図3の(a)に示すように、基板10上に、正極集電体層21を形成する。正極集電体層21の形成方法としては、特に制限はないが、スパッタ法などの薄膜を形成する方法として利用されている公知の方法を用いることができる。
【0029】
次に、
図3の(b)に示すように、正極集電体層21の表面の一部に、正極活物質層22を形成して、正極20とする。正極集電体層21の正極活物質層22が形成されていない部分は、正極の引出線として利用する。正極活物質層22の形成方法としては、例えば、正極活物質層22がLiCoO
2などのリチウム含有遷移金属化合物である場合は、リチウム含有遷移金属化合物からなるターゲットを用いたアルゴンガス雰囲気中でのRFスパッタ法を用いることができる。
【0030】
次に、
図3の(c)に示すように、正極20を加熱してアニール処理を行う。正極活物質層22が、RFスパッタ法で形成したリチウム含有遷移金属化合物から形成されている場合は、アニール処理によってリチウム含有遷移金属化合物の酸素欠損量を減少することができる。アニール処理は、例えば、正極20を含酸素雰囲気で400℃以上600℃以下の温度で加熱することにより行う。含酸素雰囲気は、空気雰囲気であってよいし、窒素やアルゴン等の非酸化性ガスと酸素との混合ガス雰囲気であってもよい。
【0031】
次に、
図3の(d)に示すように、正極活物質層22の表面全体に、固体電解質層30を形成する。固体電解質層30の形成方法としては、例えば、固体電解質層30がLiPONである場合は、LPOからなるターゲットを用いた含窒素雰囲気中での反応性スパッタ法を用いることができる。含窒素雰囲気は、窒素単独の雰囲気であってよいし、窒素とアルゴン等の希ガスとの混合ガス雰囲気であってもよい。
【0032】
次に、
図3の(e)に示すように、固体電解質層30の表面に負極活物質層42を形成する。負極活物質層42は、正極活物質層22に固体電解質層30を介して対向するように形成する。負極活物質層42は、例えば、
図4に示すコスパッタ装置60を用いたコスパッタ法により形成することができる。
【0033】
コスパッタ装置60は、シリコンからなるシリコンターゲット61と、導電性物質からなる導電性物質ターゲット62と、固体電解質層30が形成された基板10を保持するステージ63とを有する。ステージ63は、
図4において矢印で示すように回転可能とされている。シリコンターゲット61と導電性物質ターゲット62とは、ステージ63の回転軸に対する角度が互いに同じとなるように配置されている。シリコンターゲット61としては、ホウ素やリンをドープしたシリコンターゲットを用いることが好ましい。ホウ素やリンをドープしたシリコンターゲットは、純シリコンと比較して抵抗率が低く、DCスパッタ法による成膜が可能となる。
【0034】
コスパッタ装置60は、DCスパッタ装置であり、シリコンターゲット61と導電性物質ターゲット62とはそれぞれDC電源(図示せず)に接続されている。DC電源のパワーを変えることによって、固体電解質層30の表面に形成される負極活物質層42のシリコンと導電性物質との含有量飛比を調整することができる。
【0035】
なお、本実施形態において、負極活物質層42の形成方法はコスパッタ法に限定されるものではない。例えば、負極活物質層42を、シリコンと導電性物質とを含むターゲットを用いたスパッタ法によって形成してもよい。
【0036】
次に、
図3(f)に示すように、負極活物質層42の表面に負極集電体層41を形成して、負極40とする。負極集電体層41の形成方法としては、特に制限はなく、前述の正極集電体層21と同様に、スパッタ法などの薄膜を形成する方法として利用されている公知の方法を用いることができる。
【0037】
そして最後に、
図3(g)に示すように、正極20、固体電解質層30及び負極40の周囲を、正極集電体層21と負極集電体層41の一部を除いて、封止材50によって被覆して封止する。
封止材50による被覆方法としては、蒸着法、スパッタ法などの絶縁性の薄膜を形成する方法や、アクリルやエポキシ材(液体)をデバイス基板上に塗布した上にバリアフィルムを配置して硬化させる方法、又はバリアフィルム上にホットメルト樹脂(個体)を塗工し、デバイス基板と熱プレスすることで張り合わせる方法など、封止方法として利用されている公知の方法を用いることができる。
【0038】
以上に述べた本実施形態の負極40によれば、負極活物質層42は、シリコン原子43からなる非晶質シリコンと、非晶質シリコンに分散されているリチウムに対して不活性な導電性物質44とを含むので、導電性が高い。よって、負極活物質層42の抵抗率が低くなり、出力特性が向上する。また、導電性物質44はリチウムに対して不活性であるので、負極活物質層42は長期間にわたって安定し、サイクル特性や耐熱特性にも優れる。
【0039】
また、本実施形態の負極40において、導電性物質44が、銅、鉄、ニッケル、チタンからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属である場合は、リチウムに対して不活性でかつ導電性が高くなるので、負極活物質層42の抵抗率をより確実に低くでき、出力特性をより向上させることができる。
【0040】
また、本実施形態の負極40において、導電性物質44がチタンであって、負極活物質層42のチタンの含有量が1原子%以上15原子%以下の範囲内にある場合には、負極活物質層42の充放電容量を維持しつつ抵抗率を大幅に低減することができる。
【0041】
また、負極活物質層42の相対密度が70%以上90%以下の範囲内にある場合は、リチウムイオンの吸蔵や放出による負極活物質層42の体積変化量が小さくなるので、負極活物質層42が長期間にわたって安定し、サイクル特性がより確実に向上する。
【0042】
また、本実施形態の全固体型薄膜リチウム電池1は、負極が、上述の本実施形態に係る負極40であるので、抵抗率が低く、出力特性が向上する。
【0043】
以上、本発明に係る全固体型薄膜リチウム電池用負極および全固体型薄膜リチウム電池の実施形態について説明してきたが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変更が可能である。
【実施例】
【0044】
<実施例1:シリコン膜付きシリコン基板>
表面にSiO
2膜(厚さ:1μm)を有するシリコン基板(厚さ:725μm)を用意した。このシリコン基板のSiO
2膜の表面に、シリコン膜を前述の
図4に示すコスパッタ装置60を用いて成膜した。コスパッタ装置60のシリコンターゲット61としてホウ素ドープシリコンターゲットを、導電性物質ターゲット62として金属チタンターゲットを用いた。ステージ63にシリコン基板をSiO
2側の表面がターゲットを向くように配置し、次いで、ステージ63を回転させながら、DCスパッタ法により、下記のスパッタ条件にてシリコン基板のSiO
2膜の表面に、シリコン膜(厚さ:200nm)を成膜した。なお、シリコン膜の成膜に際しては、金属チタンターゲットに接続しているDC電源のパワーを変えて、チタン含有量が異なる4種類のシリコン膜を成膜した。
【0045】
スパッタ条件:
(1)DC電源のパワー:
ホウ素ドープシリコンターゲット(1000W固定)
金属チタンターゲット(0~500W)
(2)プロセスガス:Ar
(3)チャンバー内のガス圧:3.0Pa
(4)温度:室温(温度調整なし)
【0046】
(シリコン膜の組成)
成膜した4種類のシリコン膜を、それぞれ酸で溶解した。次いで、得られた溶液のチタンとケイ素の濃度を、ICP-AESを用いた測定した。測定したチタンとケイ素の濃度をモル比に換算して、シリコン膜の組成をSi1-xTixで表したときのx値を算出した。その結果、シリコン膜のx値は、0、0.033、0.115、0.296であった。
【0047】
(シリコン膜の断面構造)
成膜した4種類の非晶質シリコン膜の断面を、走査型電子顕微鏡写真を用いて観察した。その結果を
図5に示す。
【0048】
(非晶質シリコン膜の抵抗率)
成膜した4種類のシリコン膜について抵抗率をそれぞれ、四端子法又は二端子法により測定した。シリコン膜の組成と抵抗率の関係を、
図6に示す。
図6において、横軸は、シリコン膜の組成をSi
1-xTi
xで表したときのx値であり、縦軸は、シリコン膜の室温時での抵抗率である。
図6の結果から、a-Si
1-xTi
xで表されるx=0のシリコン膜に対して、x=0.033とx=0.115のシリコン膜は抵抗率が顕著に低減すること、x=0.296のシリコン膜は、x=0.115のシリコン膜と抵抗率がほぼ同じあることが分かる。
【0049】
(シリコン膜のX線回折パターン)
成膜した4種類のシリコン膜についてX線回折パターンをそれぞれ、下記の条件で測定した。その結果を
図7に示す。なお、X線回折パターンの測定は、金属チタンターゲットにのみ電圧を印加して成膜した金属チタン膜(x=1)に対しても行った。
【0050】
X線回折パターンの測定条件:
管球:CuKa、ステップ角度:0.05°、ステップ間時間:1秒
【0051】
図7の結果から、a-Si
1-xTi
xで表されるx=0、0.033、0.115、0.296のいずれのシリコン膜について、シリコン基板のX線回折ピークのみが検出されていることが分かる。
【0052】
<実施例2:シリコン膜付きガラス基板>
ガラス基板の上に、Pt/Ti積層膜(Pt:100nm/Ti:20nm)をDCスパッタ法により成膜した。このPt/Ti積層膜付きガラス基板のPt表面に、実施例1と同様にして、4種類のシリコン膜(Si1-xTix:x=0、0.033、0.115、0.296)を成膜した。
【0053】
(シリコン膜のX線回折パターン)
成膜した4種類のシリコン膜についてX線回折パターンをそれぞれ、前記の条件で測定した。その結果を
図8に示す。
図8の結果から、a-Si
1-xTi
xで表されるx=0、0.033、0.115、0.296のいずれのシリコン膜について、シリコンに由来される回折ピークは見られず、下地のPtのX線回折ピークのみが検出されていることが分かる。よって、
図7、
図8の結果より、成膜した4種類のシリコン膜は、いずれも非晶質であることが確認された。
【0054】
<実施例3:非晶質シリコン膜評価用のハーフセル>
ガラス基板の上に、Ni/Cr積層膜をDCスパッタ法により成膜した。次いで、Ni/Cr積層膜のNi表面の一部に、前記実施例1と同様にして、非晶質シリコン膜(膜厚:200nm)を形成した。次いで、非晶質シリコン膜の表面を覆うように、固体電解質層としてLiPON膜(膜厚:2μm)を、RFスパッタ法(パワー:2kW、0.3Pa、窒素ガス使用)により成膜した。次いで、固体電解質層の表面の非晶質シリコン膜に対応しない位置にNi/Cr積層膜をDCスパッタ法により成膜した。次いで、固体電解質層の表面の非晶質シリコン膜に対向する位置と、Ni/Cr積層膜の表面の一部にリチウムを積層して、積層体を得た。そして、最後に、積層体の非晶質シリコン膜と接するNi/Cr積層膜と、リチウム箔に接するNi/Cr積層膜の一部を除いて、封止材として、アクリル系シール材とガスバリアフィルムを用いて封止した。こうして、非晶質シリコン膜評価用のハーフセルを作製した。
【0055】
(放電カーブの測定)
非晶質シリコン膜評価用のハーフセルに対して、放電試験を行って放電カーブを得た。なお、ハーフセルの放電試験では、非晶質シリコン膜にリチウムイオンを挿入することを放電という。放電試験として、0.03mAの電流で、セル電圧が0.05Vとなるまで定電流放電(CC放電)を行った。得られた放電カーブを、
図9に示す。
図9において、横軸は、放電容量であり、縦軸は、ハーフセルの電圧である。
図9の結果から、a-Si
1-xTi
x:x=0、0.033、0.115の非晶質シリコン膜を用いたハーフセルは、x=0.296の非晶質シリコン膜を用いたハーフセルと比較して放電容量が高いこと、すなわち、非晶質シリコン膜へのリチウムイオンの挿入量が多いことが分かる。
【0056】
(非晶質シリコン膜の組成と放電容量の関係)
上記で得られた放電カーブからセル電圧が0.05Vとなった時点での放電容量を計測した。非晶質シリコン膜の組成と放電容量の関係を、
図10に示す。
図10において、横軸は、非晶質シリコン膜の組成をSi
1-xTi
xで表したときのx値であり、縦軸は、放電容量である。
図10の結果から、非晶質シリコン膜の放電容量(リチウムイオンの挿入量)は、xが少ない方が高い傾向にあることが分かる。
【0057】
(非晶質シリコン膜の組成と抵抗率および放電容量との関係)
非晶質シリコン膜の組成と、
図6に示した非晶質シリコン膜の抵抗率と、
図10に示した放電容量との関係を
図11に示す。なお、
図11では、x=0.2の非晶質シリコン膜の抵抗率と、x=1のチタン膜の抵抗率と放電容量のデータを加えた。
図11において、横軸は、非晶質シリコン膜の組成をSi
1-xTi
xで表したときのx値である。非晶質シリコン膜は、抵抗率が低く、かつ放電容量が高いことが好ましい。この両者のバランスを考慮すると、チタンを含む非晶質シリコン膜は、非晶質シリコン膜の組成をSi
1-xTi
xで表したときのx値が、0.01≦x≦0.15を満足すること、すなわち、チタンの含有量が1原子%以上15原子%以下の範囲内にあることが好ましいと考えられる。
【0058】
<実施例4:全固体型薄膜リチウム電池>
図3の(a)に示すように、基板10(ガラス基板)の上に、正極集電体層21として、Pt/Ti積層膜をDCスパッタ法(パワー:1kW、0.8Pa、アルゴンガス使用)により成膜した。次いで、
図3の(b)に示すように、正極集電体層21の表面の一部に、正極活物質層22としてLiCoO
2膜(厚さ:3μm)をRF+DC重畳スパッタ法(パワー:RF/DC=2/2kW、3.0Pa、アルゴンガス使用)により成膜して、正極20を形成した。次いで、
図3の(c)に示すように、正極20を、大気圧下、窒素/酸素の雰囲気で、580℃の条件で加熱して、アニール処理を行った。
【0059】
次に、
図3の(d)に示すように、正極活物質層22の表面全体に、固体電解質層30として、LiPON膜(膜厚:2μm)を、RFスパッタ法(パワー:2kW、0.3Pa、窒素ガス使用)により成膜した。次いで、
図3の(e)に示すように、固体電解質層30の表面に負極活物質層42として、非晶質シリコン膜(膜厚:600nm)をコスパッタ法により成膜した。なお、非晶質シリコン膜の成膜に際しては、金属チタンターゲットに接続しているDC電源のパワーを変えて、3種類の非晶質シリコン膜(a-Si
1-xTi
x:x=0、0.033、0.115)を成膜した。
【0060】
次に、
図3(f)に示すように、負極活物質層42の表面に負極集電体層41として、Ni膜をDCスパッタ法(パワー:1kW、0.8Pa、アルゴンガス使用)により成膜して、負極40を形成した。そして、最後に、
図3(g)に示すように、正極20、固体電解質層30及び負極40の周囲を、正極集電体層21と負極集電体層41の一部を除いて、封止材50として、アクリル系シール材とガスバリアフィルムを用いて封止した。こうして、全固体型薄膜リチウム電池を作製した。
【0061】
(充放電サイクル評価)
全固体型薄膜リチウム電池に対して、電池電圧が4.1Vに達するまでは0.3mAの電流で定電流充電(CC充電)を行い、電池電圧が4.1Vに達した後は電流が0.03mAになるまで定電流定電圧充電(CCCV充電)を行った。次いで、0.3mAの電流で、電池電圧が2.5Vとなるまで定電流放電(CC放電)を行った。なお、測定は室温で行った。1サイクル目の放電カーブを、
図12に示す。
【0062】
図12において、横軸は、放電容量であり、縦軸は、電池電圧である。
図12の結果から、非晶質シリコン膜の組成a-Si
1-xTi
xがx=0、x=0.033、x=0.115の順で放電容量が高い値を示すことが分かる。
【0063】
(出力特性)
放電時の電流値を変えて、定電流放電(CC放電)を行って、電池電圧が4.1Vから2.5Vとなるまでの放電容量を測定した。なお、測定は室温で行った。その結果を、
図13に示す。
【0064】
図13において、横軸は、放電時の電流密度であり、縦軸は、0.021mA/cm
2で定電流放電したときの電池容量を100%として正規化した放電容量である。
図13の結果から、a-Si
1-xTi
x:x=0.033、x=0.115の非晶質シリコン膜を用いた全固体型薄膜リチウム電池は、x=0の非晶質シリコン膜を用いた全固体型薄膜リチウム電池と比較して、高電流値での放電容量が大きく、出力特性に優れていることが分かる。
【0065】
(充放電サイクル評価後の電気化学インピーダンス)
充放電サイクル後の全固体型薄膜リチウム電池に対して、交流インピーダンス法により電気化学インピーダンス(EIS)を測定した。測定は25℃で行った。その結果を、
図14に示す。
【0066】
図14に示すように、a-Si
1-xTi
x:x=0.033、x=0.115の非晶質シリコン膜を用いた全固体型薄膜リチウム電池は、x=0の非晶質シリコン膜を用いた全固体型薄膜リチウム電池と比較して、R
1で示される第1の半円およびR
2で示される第2の半円の径が小さいことが分かる。
図15に示すように、R
1で示される第1の半円は、正極(LiCoO
2)、固体電解質層(LiPON)、負極(a-Si
1-xTi
x)のバルクのインピーダンスの和を表し、R
2で示される第2の半円は、正極と固体電解質層および固体電解質層と負極の界面のインピーダンスの和を表す。従って、
図14の結果から、a-Si
1-xTi
x:x=0.033、x=0.115の非晶質シリコン膜を用いた全固体型薄膜リチウム電池は、x=0の非晶質シリコン膜を用いた全固体型薄膜リチウム電池と比較して、負極(a-Si
1-xTi
x)のバルクのインピーダンスが低いだけでなく、固体電解質層と負極の界面のインピーダンスも低いと考えられる。
【0067】
固体電解質層と負極の界面のインピーダンスが低い理由としては、
図16に示すように、充放電サイクルの充電時に、リチウムイオンを介して固体電解質層30(LiPON)の酸素と負極活物質層42(a-Si
1-xTi
x)のチタンとが結合して、固体電解質層30と負極活物質層42との間に安定で厚さの薄い界面層35が形成されるためであると考えられる。
【0068】
(サイクル特性)
前記充放電サイクル評価にて、100サイクルまで充放電サイクルを行った。1サイクル目の放電容量を100%として、各サイクルの放電容量維持率を算出した。その結果を
図17に示す。
【0069】
図17において、横軸は、サイクル数であり、縦軸は、放電容量維持率である。なお、
図17において、a-Si
1-xTi
x:x=0の非晶質シリコン膜を用いた全固体型薄膜リチウム電池の容量維持率は、x=0.033及びx=0.115の非晶質シリコン膜を用いた全固体型薄膜リチウム電池の放電容量維持率と重なっている。
図17の結果から、a-Si
1-xTi
x:x=0、x=0.033及びx=0.115の非晶質シリコン膜を用いたいずれの全固体型薄膜リチウム電池においても、優れたサイクル特性を有することが分かる。
【0070】
(耐熱特性)
全固体型薄膜リチウム電池を250℃に設定したオーブン内で、0.5時間保存した。その後、全固体型薄膜リチウム電池をオーブンから取り出して、室温となるまで放冷した。放冷後の全固体型薄膜リチウム電池を、前記充放電サイクル評価と同じ条件で充電した後、放電した。なお、測定は室温で行った。得られた放電カーブを、
図12に示した1サイクル目の放電カーブと共に、
図18に示す。
【0071】
図18において、横軸は、放電容量であり、縦軸は、電池電圧である。
図18の結果から、a-Si
1-xTi
x:x=0、x=0.033及びx=0.115の非晶質シリコン膜を用いたいずれの全固体型薄膜リチウム電池においても250℃保存後の放電容量は、250℃に加熱していない1サイクル目の放電カーブと同等もしくはそれ以上であり、優れた耐熱特性を有することが分かる。
【0072】
以上の実施例1~4の結果から、以下のことが確認された。
(1)コスパッタ法によって、チタンを含む非晶質シリコン膜を成膜することが可能である。
(2)チタンを含む非晶質シリコン膜は、負極活物質層の充放電容量と抵抗率の観点から1原子%以上15原子%以下の範囲内にあることが好ましい。
(3)チタンを含む非晶質シリコン膜は、負極活物質層のバルクの抵抗を減少させるだけでなく、固体電解質層と負極活物質層との界面の抵抗を減少させる効果がある。
(4)チタンを含む非晶質シリコン膜を負極活物質層として用いた全固体型薄膜リチウム電池は、出力特性が向上すると共に、良好なサイクル特性と耐熱特性を示す。
【符号の説明】
【0073】
1 全固体型薄膜リチウム電池、10 基板、20 正極、21 正極集電体層、22 正極活物質層、30 固体電解質層、35 界面層、40 負極、41 負極集電体層、42 負極活物質層、43 シリコン原子、44 導電性物質、50 封止材、60 コスパッタ装置、61 シリコンターゲット、62 導電性物質ターゲット、63 ステージ