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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-10
(45)【発行日】2023-01-18
(54)【発明の名称】ラミネート用接着剤およびその積層体
(51)【国際特許分類】
   B32B 15/08 20060101AFI20230111BHJP
   B32B 7/02 20190101ALI20230111BHJP
   C09J 175/04 20060101ALN20230111BHJP
【FI】
B32B15/08 U
B32B7/02
C09J175/04
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018238334
(22)【出願日】2018-12-20
(65)【公開番号】P2020100023
(43)【公開日】2020-07-02
【審査請求日】2021-10-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177471
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 眞治
(74)【代理人】
【識別番号】100163290
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 明洋
(74)【代理人】
【識別番号】100149445
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 孝幸
(72)【発明者】
【氏名】笹本 茜
(72)【発明者】
【氏名】松木 光一郎
(72)【発明者】
【氏名】手島 常行
(72)【発明者】
【氏名】木村 竜二
(72)【発明者】
【氏名】中根 浩平
(72)【発明者】
【氏名】大原 伸一
【審査官】千葉 直紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-098693(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B1/00-43/00
C08K3/00-13/08
C08L1/00-101/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミ箔層と硬化樹脂層とを積層してなる積層体であって、
該硬化樹脂層が、ポリイソシアネート化合物と水酸基含有化合物とを含有する樹脂組成物の硬化物であって、該樹脂組成物の硬化物の動的粘弾性試験から得られる損失正接の温度スペクトルにおけるピークが2つあり、
前記樹脂組成物の硬化物の動的粘弾性試験から得られる135℃における貯蔵弾性率が、1.5×10 ~3.5×10 であることを特徴とする積層体。
【請求項2】
前記樹脂組成物の硬化物の動的粘弾性試験から得られる損失正接の温度スペクトルにおける2つのピークをそれぞれTg1、Tg2としたとき、以下の式(1)及び式(2)が成立することを特徴とする、請求項に記載の積層体。
Tg1<Tg2 ・・・(1)
Tg2-Tg1=15~50(℃) ・・・(2)
【請求項3】
請求項において、Tg1が5~30℃、Tg2が30~60℃であることを特徴とする、積層体。
【請求項4】
Tg1、Tg2における損失正接の強度比(Tg2/Tg1)が0.03~0.5である、請求項2または3に記載の積層体。
【請求項5】
前記樹脂組成物において、水酸基含有化合物が、ポリオール化合物とモノオール化合物を含有することを特徴とする、請求項1~のいずれかに記載の積層体。
【請求項6】
アルミ箔層と硬化樹脂層と、第2基材とをこの順で有することを特徴とする、請求項1~のいずれかに記載の積層体。
【請求項7】
ボイル・レトルト包装用シートである、請求項1~のいずれかに記載の積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボイル・レトルト耐性に優れた接着剤層を含有する積層体を提供するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、包装材料の分野においては、軽量化やエコロジーの観点から、プラスチック製の容器が使用されている。中でも、食品包装用のボイル・レトルトパウチ包装は、長期保存可能で、瓶・缶に比べ軽量・低コスト、また、廃棄しやすいといったメリットから、需要が増大している。
【0003】
ボイル・レトルトパウチ用の包装材料は、複数のフィルムを積層して得られるものが主流であり、フィルムには、各種プラスチックフィルムや、金属フィルム、金属蒸着フィルム等が用いられる。この異種素材のフィルムを貼りあわせる時に用いられるのが接着剤である。
【0004】
食品包装用のボイル・レトルトパウチ包装において、最も求められる性能は耐ボイル・レトルト耐性である(特許文献1,2)。特に、ボツリヌス菌等の耐熱性菌の殺菌には、100℃で6時間以上という長い殺菌時間が必要である。しかし、6時間という長時間殺菌は製造時に大きなデメリットとなるため、殺菌時間の短縮を目的とし、120℃や135℃といった高温でのレトルト殺菌ができる積層体およびそれに使用する接着剤が求められている。
【0005】
接着剤には各種硬化方法があり、例えば紫外線や電子線で硬化する光硬化性接着剤などが挙げられる(特許文献3)。光硬化性接着剤は、一般的に硬化後の硬化膜が剛直になり、得られる積層体のボイル・レトルト時、特に高温レトルト時に基材に追従できず、割れが生じてしまうという課題があった。また、パッケージ性が求められる包装材においては、印刷されたフィルム等を用いることが多く、光を通しにくいことから光硬化性接着剤は硬化しにくいという課題もあった。
【0006】
その為、ボイル・レトルト用の接着剤としてはウレタン系の接着剤が使用されることが多い。しかし、ハイレトルト時に安定かつ高い接着性を維持するウレタン系接着剤の開発は課題であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2018-30905号公報
【文献】特開2016-117801号公報
【文献】特開2004-98693号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、高い耐湿熱性を有する硬化樹脂層を有する、積層体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは鋭意検討した結果、上記課題を解決するために、アルミ箔層と硬化樹脂層とを積層してなる積層体であって、該硬化樹脂層が、ポリイソシアネート化合物と水酸基含有化合物とを含有する樹脂組成物の硬化物であって、該樹脂組成物の硬化物の動的粘弾性試験から得られる損失正接の温度スペクトルにおけるピークが2つあることを特徴とする、積層体を提供する。
【0010】
また、前記樹脂組成物の硬化物の動的粘弾性試験から得られる135℃における貯蔵弾性率が、1.5×10~3.5×10である、積層体を提供する。
【0011】
また、前記第1基材または第2基材のどちらか一方が金属または金属酸化物であって、もう一方の基材がプラスチックである積層体を提供する。
【0012】
また、アルミ箔層と前記硬化樹脂層と、第2基材とをこの順で有することを特徴とする、積層体を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の積層体は、接着性と耐湿熱性の両方に優れた接着剤層を有する積層体である。
また、アルミ箔との接着性に特に優れることから、特にボイル・レトルト用包装シートとして好適に利用可能である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、アルミ箔層と硬化樹脂層とを積層してなる積層体であって、該硬化樹脂層が、ポリイソシアネート化合物と水酸基含有化合物とを含有する樹脂組成物の硬化物であって、該樹脂組成物の硬化物の動的粘弾性試験から得られる損失正接の温度スペクトルにおけるピークが2つあることを特徴とする、積層体を提供するものである。
【0015】
<動的粘弾性試験から得られる損失正接の温度スペクトルにおけるピーク>
本発明の樹脂組成物はポリイソシアネート化合物と水酸基含有化合物とを含有するものであるが、その硬化物の動的粘弾性試験から得られる損失正接の温度スペクトルにおけるピークが2つあることを特徴とする。
【0016】
硬化物の動的粘弾性試験から得られる損失正接の温度スペクトルにおける2つのピーク温度をそれぞれTg1、Tg2とする。Tg1とTg2及びこれら温度における損失正接強度の確認には、ローレンツ関数を用いたピークフィット解析を用いた。
通常、ポリイソシアネート化合物と水酸基含有化合物とを硬化させて得られるウレタン系硬化物において、動的粘弾性試験から得られる損失正接の温度スペクトルにおけるピークは1つとなる。ピークが2つになることで、レトルト処理の様な広範囲の温湿度変化においても耐性が高い硬化物を提供することが可能となる。
【0017】
本発明の硬化物において、Tg1、Tg2は、以下の式(1)及び式(2)が成立することが好ましい。
Tg1<Tg2 ・・・(1)
Tg2-Tg1=15~50(℃) ・・・(2)
【0018】
Tgの差が15℃以上であると、温度変化における硬化樹脂層の変化が緩やかとなる点から好ましく、また、50℃以下であるとその変化が連続的に起こる点から好ましい。より好ましくはTg2-Tg1=25~35℃である。
【0019】
Tg差が前記式(2)の通りであって、Tg1が5~30℃、Tg2が30~60℃であるとさらに好ましい。この範囲であると室温付近での接着強度が良好で、さらに、室温から高温に変化するレトルト処理において硬化樹脂層の変化が上述の通り緩やか且つ連続的に起こるためである。
【0020】
また、Tg1、Tg2における損失正接の強度比(Tg2/Tg1)が0.03~0.5であると、特に好ましい。この範囲であると、室温付近でのアルミ箔層と硬化樹脂層との接着強度が良好となる点から優れるためである。より好ましくは0.1~0.4である。
【0021】
本発明の硬化物は特に限定するものではないが、動的粘弾性試験から得られる135℃における貯蔵弾性率が低すぎると、硬化樹脂層がレトルト処理中に凝集破壊しやすく、高すぎるとアルミ箔からの界面剥離が生じやすくなる。好ましい貯蔵弾性率は1.5×10~3.5×10であり、より好ましくは2.0×10~2.5×10である。
【0022】
<樹脂組成物>
本発明の硬化物は、動的粘弾性試験から得られる損失正接の温度スペクトルにおけるピークが2つあることを特徴とする。このような硬化物は、ポリイソシアネート化合物と水酸基含有化合物とを反応して得られるウレタン樹脂に、ぶら下がり鎖を導入することで得ることができる。
【0023】
ウレタン樹脂にぶら下がり鎖を導入する方法は特に限定するものではないが、主に以下の2つの方法で製造することができる。
1)樹脂組成物中のイソシアネート当量/水酸基当量<1の場合
ポリイソシアネート化合物に対し水酸基含有化合物を過剰に配合することで、末端が水酸基であるぶら下がり鎖を導入することができる。好ましい配合量としては、イソシアネート当量/水酸基当量=0.95~0.5であり、特に好ましくは0.9~0.7である。
【0024】
2)樹脂組成物中のイソシアネート当量/水酸基当量>1の場合
水酸基含有化合物として、ポリオール化合物と共にモノオール化合物を配合することで、末端が炭素鎖であるぶら下がり鎖を導入することができる。配合量としては、本発明の水酸基含有化合物全量に対し、モノオール化合物量が30~60wt%であることが好ましい。30wt%以上であると、硬化物層の温度追従性に優れる。また、60wt%以下であると、架橋が十分となり接着性優れる。好ましくは35wt%以上45wt%以下である。
【0025】
(水酸基含有化合物)
本発明における水酸基含有化合物とは、水酸基を分子中に1つ以上有する化合物の総称である。水酸基としては、アルコール性水酸基でもフェノール性水酸基でも構わないが、反応性の観点からアルコール性水酸基であることが好ましい。
また、本発明はポリオール化合物とモノオール化合物を含有することがある。
【0026】
<ポリオール化合物>
ポリオール化合物とは、アルコール性水酸基を2つ以上有する化合物である。本発明のポリオール化合物は特に限定はないが、例えば、ポリエステルポリオール及びまたはポリエーテルポリオール等が挙げられる。これらのポリオールは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0027】
ポリエステルポリオールとしては、ジカルボン酸若しくは多価カルボン酸(又はその塩、又は酸無水物)と多価アルコールとの反応物、又はカプロラクトンの開環重合物等が挙げられる。前者の場合、ジカルボン酸としてはアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、コハク酸、グルタル酸、等の脂肪族ジカルボン酸、1,3-シクロペンタンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸、オルトフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、2,5-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、ナフタル酸、ビフェニルジカルボン酸、1,2-ビス(フェノキシ)エタンーp,p‘-ジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、およびこれらジカルボン酸の無水物、多価カルボン酸としてはピロメリット酸、トリメリット酸等の芳香族多価カルボン酸、およびこれら多価カルボン酸の無水物が適用でき、これらは単独で、又は二種以上の混合物で使用することができる。多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ジメチルブタンジオール、ブチルエチルプロパンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール等の炭素数1~12のアルキレンジオール、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸等カルボン酸を有するジオールが挙げられる。後者の例としては、ε-カプロラクタム、γ-バレロラクタム、β-プロピロラクタム等の開環重合物がある。
【0028】
ポリエーテルポリオールとしては、例えばポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコールブロック共重合体、プロピレングリコールプロピレンオキサイド付加体、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加体、グリセリンプロピレンオキサイド付加体、エチレンジアミンプロピレンオキサイド付加体、エチレンジアミンプロピレンオキサイド付加体、ソルビトール系プロピレンオキサイド付加体、シュークローズ系プロピレンオキサイド付加体、プロピレンオキサイド・エチレンオキサイドランダムポリエーテル等が挙げられる。
【0029】
また、ポリエステルポリオールやポリエーテルポリオールは、必要に応じてウレタン伸長してあってもよい。ウレタン伸長に用いられるポリイソシアネートとしては特に限定はなく、公知慣用のものを利用することが可能である。例えば、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族若しくは脂環族ポリイソシアネート、ブロック化イソシアネート又はこれらの変性体が挙げられる。これらのポリイソシアネートは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0030】
<モノオール化合物>
モノオール化合物とは、アルコール性水酸基を1つ有する化合物である。本発明のモノオール化合物は、重量平均分子量が300~1800であることが好ましい。
【0031】
モノオール化合物の主鎖は特に限定はなく、ビニル樹脂、アクリル樹脂、エステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等であって構わない。また、脂肪族アルコール、アルキレングリコール等であっても構わない。好ましくは、水酸基含有アクリル樹脂、脂肪族アルコール、アルキレングリコールである。
【0032】
本発明のモノオール化合物の構造としては、直鎖状であっても分岐状であっても構わない。水酸基の結合位置についても特に限定はないが、分子鎖の末端に存在することが好ましい。
【0033】
本発明のモノオール化合物としては、例えば水酸基含有ポリアクリル酸メチルや水酸基含有ポリアクリル酸ブチル、オクタノール、ドデカノール等が挙げられ、好ましくはポリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ポリプロピレンモノブチルエーテルである。
【0034】
(ポリイソシアネート化合物)
本発明におけるポリイソシアネート化合物とは、イソシアネート基を複数含有する化合物である。ポリイソシアネート化合物としては、特に限定はないが、例えば、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族若しくは脂環族ポリイソシアネート、ブロック化イソシアネート又はこれらの変性体が挙げられる。これらのポリイソシアネートは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0035】
また、本発明の樹脂組成物は、ポリウレタンポリイソシアネートを含有していてもよい。ポリウレタンポリイソシアネートとは、分子中にウレタン結合とイソシアネート基を2つ以上有する化合物である。
【0036】
ポリウレタンポリイソシアネートは、ポリオールのヒドロキシ基にポリイソシアネート化合物を反応させることで得られる。
【0037】
ここで用いられるポリオールとしては特に限定はないが、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオールなどが挙げられる。これらのポリオールは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0038】
ポリエステルポリオールとしては、例えば、ジカルボン酸若しくは多価カルボン酸(又はその塩、又は酸無水物)と多価アルコールとの反応物、又はカプロラクトンの開環重合物等が挙げられる。前者の場合、ジカルボン酸としてはアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、コハク酸、グルタル酸、等の脂肪族ジカルボン酸、1,3-シクロペンタンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸、オルトフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、2,5-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、ナフタル酸、ビフェニルジカルボン酸、1,2-ビス(フェノキシ)エタンーp,p‘-ジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、およびこれらジカルボン酸の無水物、多価カルボン酸としてはピロメリット酸、トリメリット酸等の芳香族多価カルボン酸、およびこれら多価カルボン酸の無水物が適用でき、これらは単独で、又は二種以上の混合物で使用することができる。多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ジメチルブタンジオール、ブチルエチルプロパンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール等の炭素数1~12のアルキレンジオール、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸等カルボン酸を有するジオールが挙げられる。後者の例としては、ε-カプロラクタム、γ-バレロラクタム、β-プロピロラクタム等の開環重合物がある。
【0039】
ポリエーテルポリオールとしては、例えばポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコールブロック共重合体、プロピレングリコールプロピレンオキサイド付加体、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加体、グリセリンプロピレンオキサイド付加体、エチレンジアミンプロピレンオキサイド付加体、エチレンジアミンプロピレンオキサイド付加体、ソルビトール系プロピレンオキサイド付加体、シュークローズ系プロピレンオキサイド付加体、プロピレンオキサイド・エチレンオキサイドランダムポリエーテル等が挙げられる。
【0040】
ポリウレタンポリイソシアネートに用いられるポリイソシアネート化合物としては特に限定はなく、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の分子構造内に芳香族構造を持つポリイソシアネート、及びこれらのポリイソシアネートのNCO基の一部をカルボジイミドで変性した化合物、これらのポリイソシアネートに由来するアルファネート化合物や、イソホロンジイソシアネート、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,3-(イソシアナートメチル)シクロヘキサン等の分子構造内に脂環式構造を持つポリイソシアネートや、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の直鎖状脂肪族ポリイソシアネート、及びこのアロファネート化合物、これらのポリイソシアネートのイソシアヌレート、これらのポリイソシアネートに由来するアロファネート体、これらのポリイソシアネートに由来するビゥレット体、トリメチロールプロパン変性したアダクト体などが挙げられる。
【0041】
好ましくは、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)が挙げられる。これら分子構造内に脂環式構造又は芳香族構造を持つポリイソシアネートは、ラミネート強度、硬化性に優れた接着剤が得られる点から好ましい。また、直鎖状脂肪族ポリイソシアネート及びこのアロファネート化合物、これらのポリイソシアネートのイソシアヌレート、これらのポリイソシアネートに由来するアロファネート体も、ラミネート物にフレキシブル性を付与しレトルト耐性を高めることができる点から好ましい。
【0042】
本発明において、ポリウレタンポリイソシアネートの配合量は、ポリオールと混合した際の可使時間を十分に得るために、全ポリイソシアネート化合物全量に対し、60wt%以上であることが好ましい。
【0043】
<硬化物層>
本発明の樹脂組成物は、含有する水酸基含有化合物とポリイソシアネート化合物とを反応させることにより、硬化して硬化物層を形成する。その際、本発明の樹脂組成物は、アルミ箔に対し非常に良好に接着する。水酸基含有化合物とポリイソシアネートの反応としては、水酸基含有化合物の水酸基に対するポリイソシアネート化合物のイソシアネート基の当量比は、0.5~10であることが好ましく、1.5~5.0であることがより好ましい。水酸基含有化合物の水酸基に対するポリイソシアネート化合物のイソシアネート基の当量比が上記範囲内であれば、接着性や耐湿熱性がより良好なものとなるからである。
【0044】
<その他の成分>
本発明の樹脂組成物は、溶剤を使用しなくとも使用することができるが、使用用途に応じて溶剤を含有してもよい。溶剤としては有機溶剤が挙げられ、例えばメチルエチルケトン、アセトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、メチルイソブチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、メトキシプロパノール、シクロヘキサノン、メチルセロソルブ、エチルジグリコールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が挙げられる。溶剤の種類及び使用量は使用用途によって適宜選択すればよい。
【0045】
本発明の樹脂組成物は、必要に応じて、顔料を併用してもよい。この場合使用可能な顔料としては、特に限定されるものではなく、例えば、塗料原料便覧1970年度版(日本塗料工業会編)に記載されている体質顔料、白顔料、黒顔料、灰色顔料、赤色顔料、茶色顔料、緑色顔料、青顔料、金属粉顔料、発光顔料、真珠色顔料等の有機顔料や無機顔料、さらにはプラスチック顔料などが挙げられる。これら着色剤の具体例としては種々のものが掲げられ、有機顔料としては、例えば、ベンチジンエロー、ハンザエロー、レーキッド4R等の、各種の不溶性アゾ顔料;レーキッドC、カーミン6B、ボルドー10等の溶性アゾ顔料;フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等の各種(銅)フタロシアニン系顔料;ローダミンレーキ、メチルバイオレットレーキ等の各種の塩素性染め付けレーキ;キノリンレーキ、ファストスカイブルー等の各種の媒染染料系顔料;アンスラキノン系顔料、チオインジゴ系顔料、ペリノン系顔料等の各種の建染染料系顔料;シンカシアレッドB等の各種のキナクリドン系顔料;ヂオキサジンバイオレット等の各種のヂオキサジン系顔料;クロモフタール等の各種の縮合アゾ顔料;アニリンブラックなどが挙げられる。
【0046】
無機顔料としては、例えば、黄鉛、ジンククロメート、モリブデートオレンジ等の如き、各種のクロム酸塩;紺青等の各種のフェロシアン化合物;酸化チタン、亜鉛華、マピコエロー、酸化鉄、ベンガラ、酸化クロームグリーン、酸化ジルコニウム等の各種の金属酸化物;カドミウムエロー、カドミウムレッド、硫化水銀等の各種の硫化物ないしはセレン化物;硫酸バリウム、硫酸鉛等の各種の硫酸塩;ケイ酸カルシウム、群青等の各種のケイ酸塩;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の各種の炭酸塩;コバルトバイオレット、マンガン紫等の各種の燐酸塩;アルミニウム粉、金粉、銀粉、銅粉、ブロンズ粉、真鍮粉等の各種の金属粉末顔料;これら金属のフレーク顔料、マイカ・フレーク顔料;金属酸化物を被覆した形のマイカ・フレーク顔料、雲母状酸化鉄顔料等のメタリック顔料やパール顔料;黒鉛、カーボンブラック等が挙げられる。
【0047】
体質顔料としては、例えば、沈降性硫酸バリウム、ご粉、沈降炭酸カルシウム、重炭酸カルシウム、寒水石、アルミナ白、シリカ、含水微粉シリカ(ホワイトカーボン)、超微粉無水シリカ(アエロジル)、珪砂(シリカサンド)、タルク、沈降性炭酸マグネシウム、ベントナイト、クレー、カオリン、黄土などが挙げられる。
【0048】
さらに、プラスチック顔料としては、例えば、DIC(株)製「グランドールPP-1000」、「PP-2000S」等が挙げられる。
【0049】
本発明で用いる顔料としては、耐久性、耐侯性、意匠性に優れることから、白色顔料としての酸化チタン、亜鉛華等の無機酸化物、黒色顔料としてのカーボンブラックがより好ましい。
【0050】
本発明で用いる顔料の質量割合は、水酸基含有化合物とポリイソシアネートの合計100質量部に対して、1~400質量部、中でも10~300質量部とすることが、接着性、耐ブロッキング性などに優れることからより好ましい。
【0051】
本発明の樹脂組成物には、接着促進剤を用いることもできる。接着促進剤にはシランカップリング剤、チタネート系カップチング剤、アルミニウム系等のカップリング剤、エポキシ樹脂が挙げられる。
【0052】
シランカップリング剤としては、例えば、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメチルジメトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノシラン;β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン;ビニルトリス(β-メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のビニルシラン;ヘキサメチルジシラザン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等を挙げることが出来る。
【0053】
チタネート系カップリング剤としては、例えば、テトライソプロポキシチタン、テトラ-n-ブトキシチタン、ブチルチタネートダイマー、テトラステアリルチタネート、チタンアセチルアセトネート、チタンラクテート、テトラオクチレングリコールチタネート、チタンラクテート、テトラステアロキシチタン等を挙げることが出来る。
【0054】
また、アルミニウム系カップリング剤としては、例えば、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート等が挙げることが出来る。
【0055】
エポキシ樹脂としては、一般的に市販されているエピービス型、ノボラック型、βーメチルエピクロ型、環状オキシラン型、グリシジルエーテル型、グリシジルエステル型、ポリグリコールエーテル型、グリコールエーテル型、エポキシ化脂肪酸エステル型、多価カルボン酸エステル型、アミノグリシジル型、レゾルシン型等の各種エポキシ樹脂が挙げられる。
【0056】
また、本発明の樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、各種の添加剤を含有してもよい。添加剤としては、例えば、レベリング剤;コロイド状シリカ、アルミナゾルなどの無機微粒子;ポリメチルメタクリレート系の有機微粒子;消泡剤;タレ性防止剤;湿潤分散剤;粘性調整剤;紫外線吸収剤;金属不活性化剤;過酸化物分解剤;難燃剤;補強剤;可塑剤;潤滑剤;防錆剤;蛍光性増白剤;無機系熱線吸収剤;防炎剤;帯電防止剤;脱水剤;芳香族ビニル・無水マレイン酸共重合体、等が例示できる。これらの顔料、接着促進剤、添加剤は、水酸基含有化合物とポリイソシアネートのどちらか一方の成分に混合させるか、或いは、塗工時に配合して使用することができる。
【0057】
<積層体>
実施形態の積層体は、アルミ箔と硬化物層とを有する積層体である。本発明の積層体は、高い温度においても変形しない耐熱性、特に耐湿熱性を有することを特徴とする。
【0058】
アルミ箔としては、特に限定はなく、公知慣用のものを用いればよい。厚さとしては6~40μmが好ましく、特に好ましくは9~15μmである。また、アルミ箔は表面処理されたものであっても構わない。
【0059】
本発明の積層体は、アルミ箔層と硬化樹脂層と、第2基材とをこの順で有する物であってもよい。
第2基材の材質は特に限定はなく、用途に応じて適宜選択すればよく、例えば木材、金属、金属酸化物、プラスチック、紙、シリコン又は変性シリコン等が挙げられ、異なる素材を接合して得られた基材であってもよい。基材の形状は特に制限はなく、平板、シート状、又は3次元形状全面に、若しくは一部に、曲率を有するもの等目的に応じた任意の形状であってよい。また、基材の硬度、厚さ等にも制限はない。
各基材は、樹脂単品であってもよいし、その他配合物を含んでいても構わない。その他配合物としては、上述した接着剤用の配合物と同様のものが使われてもよい。また、各基材の表面は、印刷されたものであってもよい。印刷面は、接着剤層側であってもよいし、外側に形成されても構わない。
【0060】
プラスチック基材としては、プラスチック製であれば特に限定はないが、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム、ナイロンフィルム、OPP(2軸延伸ポリプロピレン)フィルム、CPP(無延伸ポリプロピレン)フィルム、LLDPE(直鎖低密度ポリエチレン)フィルム等が挙げられる。
【0061】
金属および金属酸化物基材としては、アルミニウム、クロム、亜鉛、金、銀、プラチナ、ニッケル、SiO2、TiO2、ZrO2、等が挙げられる。金属および金属酸化物基材としては、蒸着によって形成されても構わない。
【0062】
第2基材としては特に限定はないが、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、CPPといったプラスチック層で作成した層構成を有する積層体が好ましい。
【0063】
積層体については、層構成にシーラント層を有することで、シーラントフィルムを作成することができる。たとえば第2基材層、第1硬化物層、アルミ箔層、第2硬化物層、シーラント層という層構成のシーラントフィルムが一例として挙げられる。
【0064】
積層体は、場合によって、4層以上の層構成であっても構わない。この時、本発明の接着剤層は、1層であっても2層以上存在しても構わない。
例えば、食品用のレトルトパッケージの場合、第2基材層-第1硬化物層-アルミ箔層-第2硬化物層-第3基材層という5層以上の層構成が好ましい。5層以上の層構成を有する積層体である場合、第2基材/第3基材の組合せとしては、PET/LLDPE、ナイロン/LLDPE、PET/CPP、ナイロン/CPP等が挙げられる。この時、本発明の硬化物層は、第1硬化物層でも第2硬化物層でもよく、両方が本発明の硬化物層であっても構わない。また、6層以上の層構成を有する積層体であってももちろん構わない。
【0065】
本発明の積層体を3層以上の構成にする場合には、本発明の樹脂組成物をアルミ箔上に塗布する工程と次いで第2基材を積層する工程、あるいは本発明の樹脂組成物を第2基材上に塗布する工程と次いでアルミ箔を積層する工程とを有する。
樹脂組成物の塗布方法としては特に限定はなく、スプレー法、スピンコート法、ディップ法、ロールコート法、ブレードコート法、ドクターロール法、ドクターブレード法、カーテンコート法、スリットコート法、スクリーン印刷法、インクジェット法等が挙げられる。
【0066】
<ラミネート>
本発明の樹脂組成物は、接着強度が非常に高いことから、ラミネート用接着剤として好適に使用可能である。ラミネート方法としては、例えば、ロールコート法でアルミ箔あるいは第2基材に本接着剤を塗布し、次いで乾燥工程を経ることなく、第2基材あるいはアルミ箔を貼り合せる方法が挙げられる。また、塗布重量は0.5~10.0g/mの範囲内が好ましく、より好ましくは1.5~4.0g/mが好ましい。1.5g/m以上であれば接着性が良好であり、4.0g/m以下であれば積層後の巻き取り性が良好であることから、接着性と作業性のバランスに優れている。
【0067】
また、本発明のラミネート用積層体は、作製後エージングを行うことが好ましい。エージング条件は、好ましい温度は15~60℃、時間は6~168時間であり、この間に接着強度が生じる。
【0068】
<ボイル・レトルト包装用シート>
本発明の積層体は接着性及び耐湿熱性に優れ、無溶剤でも使用可能なことから、ボイル・レトルト包装用シートとして好適に使用可能である。
【実施例
【0069】
以下、本発明を具体的な合成例、実施例を挙げてより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、以下の例において、「部」及び「%」は、特に断りがない限り、「質量部」及び「質量%」をそれぞれ表す。
【0070】
本発明で数平均分子量の測定は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)を用い、下記条件により求めた。
【0071】
ポンプ:Waters 600 controller
カラム:Shodex LF-804 4本連結
RI検出器:Waters2414
測定条件:カラム温度 40℃、溶媒 テトラヒドロフラン、流速 1.0ml/分
標準:ポリスチレン
試料:樹脂固形分換算で0.4%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの
【0072】
各実施例及び比較例で原料として用いたポリオール化合物、モノオール化合物、ポリイソシアネート化合物を以下に示す。
【0073】
<ポリオール化合物>
LX-906:ディックドライLX-906(ポリエステルポリオール、DICグラフィックス株式会社)
ポリオール化合物(A):合成方法を下記合成例1に示す。
(合成例1)
エチレングリコール179部、ネオペンチルグリコール89部、1,6-ヘキサンジオール119部を反応容器に仕込み、窒素ガス気流下で撹拌しながら80℃に加熱した。更に撹拌しながらイソフタル酸517部、セバシン酸89部を反応容器に仕込み150℃~240℃に加熱してエステル化反応を行った。酸価が5mgKOH/g以下になったところで反応容器を徐々に減圧し、1mmHg以下、200~240℃で1時間反応させ、酸価0.8mgKOH/g、分子量約2000のポリオール化合物(A)を得た。
【0074】
<モノオール化合物>
UMM-1001:アクトフローUMM-1001(重量平均分子量1000、綜研化学株式会社)
MP-40:スマックMP-40(重量平均分子量400、花王株式会社)
【0075】
<ポリイソシアネート化合物>
KW-75:KW-75(DICグラフィックス株式会社)
ポリイソシアネート化合物(B):合成方法を下記合成例2に示す。
(合成例2)
エチレングリコール140部、ネオペンチルグリコール85部、1,6-ヘキサンジオール155部、3-メチル-1,5-ペンタンジオール70部を反応容器に仕込み、窒素ガス気流下で撹拌しながら80℃に加熱した。更に撹拌しながらイソフタル酸310部、セバシン酸240部を反応容器に仕込み150℃~240℃に加熱してエステル化反応を行った。酸価が5mgKOH/g以下になったところで反応容器を徐々に減圧し、1mmHg以下、200~240℃で1時間反応させ、酸価0.8mgKOH/g、分子量約460の両末端に水酸基を有する中間体を得た。次いで、中間体の339部に対して、キシリレンジイソシアネート157部、ヘキサメチレンジイソシアネートアロファネート体439部、ヘキサメチレンジイソシアネートヌレート体65部を反応容器に仕込み、窒素ガス気流下で撹拌しながら85℃に加熱し約10時間反応させ、滴定法(ジ-n-ブチルアミン使用)によるイソシアネート%が9.9%のポリイソシアネート化合物(B)を得た。
【0076】
<実施例1>
ポリオール化合物(A)60部とMP-40を40部と、ポリイソシアネート化合物(B)210部を配合し、樹脂組成物1を作成した。
【0077】
<動的粘弾性測定用硬化物の作成方法>
得られた樹脂組成物1について、アプリケーター(アズワン製No.11)を用いてOPPフィルム(王子エフテックス株式会社製「アルファンE-201F」)に塗布し、40℃の恒温槽に4日間保存し、硬化させ、硬化樹脂層1を作成した。得られた硬化樹脂層1をOPPフィルムより取り外し、動的粘弾性測定用の硬化物1とした。
【0078】
<ラミネートフィルムの作成方法>
得られた樹脂組成物1について、印刷インキ(DIC株式会社製「ユニビアNT」)で図柄をグラビア印刷したPETフィルム(東洋紡株式会社製「エステルフィルムE5102」12μm)に、塗布量が固形分2.0g/m程度となるように塗布し、ラミネーターでこのフィルムの塗布面とナイロンフィルム(ユニチカ株式会社製「エンブレムONBC」15μm)とを貼合した。その後、ラミネートフィルムのナイロン面に塗布量が固形分2.0g/m程度となるように接着剤を塗布し、ラミネーターでこのフィルムの塗布面とアルミ箔(東洋アルミニウム株式会社製「アルミ箔-O材」9um)と貼合し、40℃の恒温槽に3日間保存した。その後、アルミ箔面にCPPフィルム(東レフィルム加工株式会社製「トレファンZK207」70um)と貼合した。この複合フィルムを40℃の恒温槽に3日間保存し、本発明の積層体1を完成させた。
【0079】
<硬化物の動的粘弾性測定>
動的粘弾性測定装置(TA Instruments社製 RSAIII)を用い、粘弾性測定用の試験片を下記の条件下で測定し、損失正接、貯蔵弾性率を求めた。
サンプル:長さ10mm(掴み代除く)×幅5mm
測定温度範囲:-50~150℃
周波数:1.0Hz
昇温速度5℃/min
【0080】
(評価基準)
・損失正接のピークの数
1:×
2:○
・135℃の貯蔵弾性率
1.5×10P未満:×
1.5×10~3.5×10Pa:○
3.5×10Paを超える:×
・Tg1とTg2の温度差
15℃未満:×
15~50℃:○
50℃を超える:×
【0081】
<レトルト処理後のナイロン/アルミ箔の外観評価>
積層体を150mm×300mmで切り取り、CPPが内側になるように折り曲げ、1atm、210℃、1秒間でヒートシールしてパウチを作製した。内容物として水を加えた。充填したパウチはスチーム殺菌処理を135℃-30分、あるいは121℃-30分にて実施し、取り出し後のそれぞれのパウチの外観を観察し、ナイロンとアルミ箔間の剥離の発生有無により、以下の評価を行った。
【0082】
(評価基準)
剥離なし:◎
剥離箇所が1点以下:○
剥離箇所が7点以下:△
剥離箇所が8点以上:×
【0083】
<レトルト処理後のアルミ箔/CPPの外観評価>
積層体を150mm×300mmで切り取り、CPPが内側になるように折り曲げ、1atm、210℃、1秒間でヒートシールしてパウチを作製した。内容物として1/1/1ソース(ミートソース : 植物油 : 食酢=1 : 1 : 1)を加えた。充填したパウチはスチーム殺菌処理を135℃-30分、あるいは121℃-30分にて実施し、取り出し後のそれぞれのパウチの開封し、アルミ箔とCPP間の剥離の発生有無により、以下の評価を行った。
【0084】
(評価基準)
剥離なし:◎
剥離箇所が1点以下:○
剥離箇所が7点以下:△
剥離箇所が8点以上:×
【0085】
<実施例2>
ポリオール化合物(A)80部とMP-40を20部と、ポリイソシアネート化合物(B)205部を配合し、樹脂組成物2を作成し、実施例1と同様に評価を行った。
【0086】
<実施例3>
ポリオール化合物(A)80部とUMM-1001を20部と、ポリイソシアネート化合物(B)184部を配合し、樹脂組成物3を作成し、実施例1と同様に評価を行った。
【0087】
<実施例4>
ポリオール化合物LX-906を100部と、ポリイソシアネート化合物KW-75を10部配合し、樹脂組成物4を作成し、実施例1と同様に評価を行った。
【0088】
<実施例5>
ポリオール化合物(A)40部とUMM-1001を60部と、ポリイソシアネート化合物(B)151部を配合し、樹脂組成物5を作成し、実施例1と同様に評価を行った。
【0089】
<比較例1>
ポリオール化合物100部(A)とポリイソシアネート化合物(B)200部を配合し比較樹脂組成物1を作成し、実施例1と同様に評価を行った。
【0090】
実施例及び比較例の結果を表1に記載する。
【0091】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明の接着剤は、高い接着性、及び耐湿熱性を発揮することから、ラミネート用接着剤として好適に使用可能であり、得られる積層体は特にレトルト包装用シートとして好適に使用可能である。