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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-10
(45)【発行日】2023-01-18
(54)【発明の名称】静電放電保護構造を含む半導体デバイス
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/06 20060101AFI20230111BHJP
   H01L 29/12 20060101ALI20230111BHJP
   H01L 29/78 20060101ALI20230111BHJP
   H01L 21/8234 20060101ALI20230111BHJP
   H01L 21/822 20060101ALI20230111BHJP
   H01L 27/04 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
H01L27/06 311B
H01L29/78 652T
H01L29/78 652Q
H01L29/78 657C
H01L29/78 653A
H01L29/78 652M
H01L27/06 102A
H01L27/04 H
【請求項の数】 18
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018075914
(22)【出願日】2018-04-11
(65)【公開番号】P2018182324
(43)【公開日】2018-11-15
【審査請求日】2021-04-07
(31)【優先権主張番号】10 2017 108 047.3
(32)【優先日】2017-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501209070
【氏名又は名称】インフィネオン テクノロジーズ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】INFINEON TECHNOLOGIES AG
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ヴァイヤース, ヨアヒム
(72)【発明者】
【氏名】ガメリート, シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】ヒアラー, フランツ
(72)【発明者】
【氏名】マウダー, アントン
【審査官】市川 武宜
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-033931(JP,A)
【文献】特表2009-522784(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0294966(US,A1)
【文献】特開2001-257349(JP,A)
【文献】特開2010-050156(JP,A)
【文献】特開2002-373988(JP,A)
【文献】特開2006-100494(JP,A)
【文献】特開2016-178197(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/06
H01L 29/12
H01L 29/78
H01L 21/8234
H01L 21/822
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の面、及び前記第1の面の反対側に第2の面を有する炭化ケイ素半導体本体と、
前記炭化ケイ素半導体本体内のトランジスタ構造と、
前記第1の面から前記炭化ケイ素半導体本体内に延在するトレンチ構造と、
前記トレンチ構造内に収容される静電放電保護構造であって、第1の端子領域及び第2の端子領域を含む静電放電保護構造と、
前記第1の面におけるソースコンタクト構造であって、前記トランジスタ構造のソース領域と、前記第1の端子領域とに電気的に接続されるソースコンタクト構造と、
前記第1の面におけるゲートコンタクト構造であって、前記トランジスタ構造のゲート電極と、前記第2の端子領域とに電気的に接続されるゲートコンタクト構造と、
を含み、
前記トレンチ構造は、前記第1の面の面法線に対して45°までの範囲内で外れた方位を有するテーパー状側壁を含む、半導体デバイス。
【請求項2】
前記静電放電保護構造が、バックトゥーバックダイオードチェーンを構成するように交互に配置された第1の領域と、逆の導電型の少なくとも1つの第2の領域とを有する多結晶シリコン層を含む、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項3】
前記トレンチ構造が、それぞれがバックトゥーバックダイオードチェーンを収容する複数の縦トレンチを含む、請求項1又は2に記載の半導体デバイス。
【請求項4】
前記ソースコンタクト構造及び前記ゲートコンタクト構造が、同じ相互接続層内に形成され、且つ横ギャップ分だけ互いに間隔を空け、前記縦トレンチが、前記横ギャップを埋める、請求項3に記載の半導体デバイス。
【請求項5】
前記縦トレンチが、それぞれ、横平面内で前記縦トレンチの縦方向に沿った長さを有し、及びそれぞれ、横平面内の前記縦トレンチの縦方向に対して直角な幅を有し、前記長さと前記幅との比率が、5~50の範囲内にある、請求項3又は4に記載の半導体デバイス。
【請求項6】
前記縦トレンチが、互いから平均距離を有して並列に配置され、及びそれぞれが、横平面内の前記縦トレンチの縦方向に対して直角な幅を有し、前記平均距離と前記幅との比率が、0.1~10の範囲内にある、請求項3から5の何れか一項に記載の半導体デバイス。
【請求項7】
前記トレンチ構造が、多結晶シリコンで充填され、前記多結晶シリコンが、前記炭化ケイ素半導体本体の前記第1の面と平行な平面的な上面を有する、請求項1から6の何れか一項に記載の半導体デバイス。
【請求項8】
前記トレンチ構造内の前記静電放電保護構造を前記炭化ケイ素半導体本体から電気的に絶縁するために、前記トレンチ構造の側壁にライニングを施す誘電体層をさらに含む、請求項1から7の何れか一項に記載の半導体デバイス。
【請求項9】
前記第1の面から前記炭化ケイ素半導体本体内に延在するゲートトレンチをさらに含み、前記ゲートトレンチが、前記トランジスタ構造の前記ゲート電極を収容する、請求項1から8の何れか一項に記載の半導体デバイス。
【請求項10】
前記第1の面から前記炭化ケイ素半導体本体内に延在するゲートトレンチをさらに含み、前記ゲートトレンチが、前記トランジスタ構造の前記ゲート電極を収容し、
前記ゲートトレンチの側壁にさらにライニングを施す前記誘電体層が、前記トランジスタ構造のゲート誘電体を構成する、請求項に記載の半導体デバイス。
【請求項11】
前記ゲートトレンチ内の多結晶シリコンの正味のドーパント濃度が、前記トレンチ構造内の多結晶シリコンの正味のドーパント濃度よりも少なくとも10倍高い、請求項9又は10に記載の半導体デバイス。
【請求項12】
前記トレンチ構造が、前記炭化ケイ素半導体本体においてウェル領域によって取り囲まれている、請求項1から11の何れか一項に記載の半導体デバイス。
【請求項13】
前記ウェル領域が、注入ウェルである、請求項12に記載の半導体デバイス。
【請求項14】
前記第1の面上に分離層をさらに含み、前記ソースコンタクト構造が、前記分離層上に形成され、且つ第1の電気コンタクト構造を介して前記静電放電保護構造の前記第1の端子領域に電気的に結合され、及び前記ゲートコンタクト構造が、前記分離層上に形成され、且つ第2の電気コンタクト構造を介して、前記静電放電保護構造の前記第2の端子領域に電気的に結合されている、請求項1から13の何れか一項に記載の半導体デバイス。
【請求項15】
トランジスタ構造を炭化ケイ素半導体本体内に形成するステップであって、前記炭化ケイ素半導体本体が、第1の面、及び前記第1の面の反対側に第2の面を有する、ステップと、
前記第1の面から前記炭化ケイ素半導体本体内に延在するトレンチ構造を形成するステップと、
前記トレンチ構造内に収容される静電放電保護構造を形成するステップであって、前記静電放電保護構造が、第1の端子領域及び第2の端子領域を含む、ステップと、
前記第1の面にソースコンタクト構造を形成するステップであって、前記ソースコンタクト構造が、前記トランジスタ構造のソース領域及び前記第1の端子領域に電気的に接続される、ステップと、
前記第1の面にゲートコンタクト構造を形成するステップであって、前記ゲートコンタクト構造が、前記トランジスタ構造のゲート電極及び前記第2の端子領域に電気的に接続される、ステップと、
を含み、
前記トレンチ構造は、前記第1の面の面法線に対して45°までの範囲内で外れた方位を有するテーパー状側壁を含む、半導体デバイスの製造方法。
【請求項16】
前記静電放電保護構造を形成する前記ステップが、
前記トレンチ構造が充填されるまで、前記炭化ケイ素半導体本体の前記第1の面上に多結晶シリコンを付着させることと、
前記トレンチ構造より上に存在する多結晶シリコンを除去するために、化学機械研磨工程又はプラズマエッチング処理を実行することと、
前記トレンチ構造内に残る前記多結晶シリコン内にバックトゥーバックダイオードチェーンを形成することと、
を含む、請求項15に記載の製造方法。
【請求項17】
前記トランジスタ構造の形成及び前記トレンチ構造の形成が、
前記第1の面から前記炭化ケイ素半導体本体内に延在するゲートトレンチ及び前記トレンチ構造を同時に形成することと、
前記トレンチ構造及び前記ゲートトレンチが充填されるまで、前記炭化ケイ素半導体本体の前記第1の面上に多結晶シリコンを付着させることと、
前記トレンチ構造及び前記ゲートトレンチより上に存在する多結晶シリコンを除去するために、前記ゲートトレンチ内の前記多結晶シリコン及び前記トレンチ構造内の前記多結晶シリコンが互いに分離されるように、化学機械研磨工程を実行することと、
を含む、請求項15又は16に記載の製造方法。
【請求項18】
前記多結晶シリコンを付着させることは、第1の正味のドーパント濃度を有する多結晶シリコンで前記トレンチ構造を充填し、及び前記第1の正味のドーパント濃度よりも少なくとも10倍高い第2の正味のドーパント濃度を有する多結晶シリコンで前記ゲートトレンチを充填することを含む、請求項17に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
半導体用途における重要な構成要素は、固体スイッチである。一例として、スイッチは、自動車用途又は工業用途の負荷をオン及びオフにする。固体スイッチは、一般的に、例えば電界効果トランジスタ(FET)(金属酸化膜半導体FET(MOSFET)又は絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)など)を包含する。
【0002】
これらの用途では、トランジスタのゲートとソースとの間のゲート誘電体の損傷が、半導体デバイスのゲートコンタクトエリアと、ソースコンタクトエリアとの間の静電放電事象によって引き起こされ得る。ゲート誘電体を静電放電事象から保護するために、例えばアセンブリ又は動作中にトランジスタを静電放電から保護する静電放電(ESD)保護構造が設けられる。これらのESD保護構造は、集積半導体デバイス内に無視できないほどの面積を必要とする。
【0003】
ESD保護構造の面積消費を減少させると同時に、所定の静電放電耐性を達成するために、ESD構造の熱電気安全動作面積を増加させることがさらに有益である。
【0004】
従って、向上したESD保護及び熱特性を備え、同時に最適化された面積効率及びより少ないトポロジーを有した半導体デバイス構造を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、半導体本体を含む半導体デバイスに関する。半導体本体は、第1の面、及び第1の面の反対側に第2の面を有する。トランジスタ構造が、半導体本体内に形成される。トレンチ構造が、第1の面から半導体本体内に延在する。静電放電保護構造が、トレンチ構造内に収容される。静電放電保護構造は、第1の端子領域及び第2の端子領域を含む。第1の面にあるソースコンタクト構造が、トランジスタ構造のソース領域と、第1の端子領域とに電気的に接続される。第1の面にあるゲートコンタクト構造が、トランジスタ構造のゲート電極と、第2の端子領域とに電気的に接続される。
【0006】
本開示はまた、炭化ケイ素半導体本体を含む半導体デバイスに関する。炭化ケイ素半導体本体は、第1の面、及び第1の面の反対側に第2の面を有する。トランジスタ構造が、炭化ケイ素半導体本体内に形成される。静電放電保護構造が、炭化ケイ素半導体本体上にある。静電放電保護構造は、第1の端子領域及び第2の端子領域を含む。第1の面にあるソースコンタクト構造が、トランジスタ構造のソース領域と、第1の端子領域とに電気的に接続される。第1の面にあるゲートコンタクト構造が、トランジスタ構造のゲート電極と、第2の端子領域とに電気的に接続される。
【0007】
本開示はさらに、半導体デバイスの製造方法に関し、本方法は、トランジスタ構造を半導体本体内に形成することを含む。半導体本体は、第1の面、及び第1の面の反対側に第2の面を有する。さらに、第1の面から半導体本体内に延在するトレンチ構造が、形成される。加えて、トレンチ構造内に収容される静電放電保護構造が、形成される。静電放電保護構造は、第1の端子領域及び第2の端子領域を含む。本方法はさらに、第1の面にソースコンタクト構造を形成することを含む。ソースコンタクト構造は、トランジスタ構造のソース領域及び第1の端子領域に電気的に接続される。さらに、第1の面にゲートコンタクト構造が形成される。ゲートコンタクト構造は、トランジスタ構造のゲート電極及び第2の端子領域に電気的に接続される。
【0008】
当業者は、以下の詳細な説明を読めば、及び添付の図面を見ることにより、追加の特徴及び利点を認識するだろう。
【0009】
添付の図面は、本発明のさらなる理解をもたらすために包含され、本明細書に組み込まれ、及び本明細書の一部を構成する。図面は、本発明の実施形態を図示し、詳細な説明と共に、本発明の原理の説明に役立つ。本発明の他の実施形態及び意図された利点は、以下の詳細な説明を参照することにより、より深く理解されるようになるので、容易に認識されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】ある実施形態による、半導体デバイスの一部の概略断面図である。
図2A】異なる実施形態による、半導体デバイスの一部の概略平面図である。
図2B】異なる実施形態による、半導体デバイスの一部の概略平面図である。
図3A】ある実施形態による、図2A又は図2Bの断面平面A-A’に沿った半導体デバイスの一部の概略断面図である。
図3B】ある実施形態による、図2Aの断面平面C-C’に沿った半導体デバイスの一部の概略断面図である。
図4】ある実施形態による半導体デバイスの一部の平面図である。
図5図4の半導体デバイスの一部の詳細な平面図である。
図6】ある実施形態による半導体デバイスの製造方法の概略工程図を示す。
図7】ある実施形態による半導体デバイスの製造方法の概略工程図を示す。
図8】ある実施形態による半導体デバイスの製造方法の概略工程図を示す。
図9A】ある実施形態による半導体デバイスの製造方法を示す断面図である。
図9B】ある実施形態による半導体デバイスの製造方法を示す断面図である。
図9C】ある実施形態による半導体デバイスの製造方法を示す断面図である。
図9D】ある実施形態による半導体デバイスの製造方法を示す断面図である。
図9E】ある実施形態による半導体デバイスの製造方法を示す断面図である。
図9F】ある実施形態による半導体デバイスの製造方法を示す断面図である。
図9G】ある実施形態による半導体デバイスの製造方法を示す断面図である。
図9H】ある実施形態による半導体デバイスの製造方法を示す断面図である。
図9I】ある実施形態による半導体デバイスの製造方法を示す断面図である。
図9J】ある実施形態による半導体デバイスの製造方法を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の詳細な説明では、本明細書の一部を成し、及び特定の実施形態の図示として示される添付の図面が参照される。他の実施形態を利用することができ、及び本発明の範囲から逸脱することなく構造的及び論理的変更を行うことができることが理解されるものとする。例えば、ある実施形態に関して図示又は記載される特徴は、またさらなる実施形態を生み出すために他の実施形態に対して、又は他の実施形態と併せて使用することができる。本発明は、そのような変更形態及び変形形態を包含することが意図されている。例は、添付の請求項の範囲を限定するものと解釈されるべきではない特定の言語を用いて記載される。図面は、一定の縮尺ではなく、単なる例示目的のものである。明瞭さのために、別段の言明のない限り、異なる図面における対応する要素は、同じ参照符号で示されている。
【0012】
「有する(having)」、「含有する(containing)」、「包含する(including)」、「含む(comprising)」などといった用語は、非制限的であり、これらの用語は、記載された構造、要素又は特徴の存在を示すが、追加の要素又は特徴を除外しない。
【0013】
「次々に」、「連続して」などの用語は、要素の厳密でない順序付けを示し、順序付けられた要素間に配置される追加の要素を除外しない。
【0014】
冠詞「a」、「an」及び「the」は、文脈が明らかにそうでないことを示さない限り、単数だけでなく、複数も包含することが意図される。
【0015】
本明細書では、n型又はnドープは、第1の導電型を指してもよく、その一方で、p型又はpドープは、第2の導電型と呼ばれる。半導体デバイスは、逆のドーピング関係を備えて形成することができるので、第1の導電型は、pドープでもよく、及び第2の導電型は、nドープでもよい。さらに、一部の図面は、ドーピングの型の隣に「-」又は「+」を示すことによって、相対ドーピング濃度を示す。例えば、「n」は、「n」ドーピング領域のドーピング濃度よりも少ないドーピング濃度を意味し、「n」ドーピング領域は、「n」ドーピング領域よりも大きなドーピング濃度を有する。しかし、相対ドーピング濃度を示すことは、別段の言明のない限り、同じ相対ドーピング濃度のドーピング領域が、同じ絶対ドーピング濃度を有することを意味しない。例えば、2つの別のn領域が異なる絶対ドーピング濃度を有していてもよい。同じことが、例えば、n及びp領域に当てはまる。
【0016】
第1の導電型は、第2の導電型が相補的であるならば、n又はp型でもよい。
【0017】
「電気的に接続された」という用語は、電気接続された要素間の永続的な低オーミック接続(例えば、当該要素間の直接的接触又は金属及び/若しくは高濃度にドープされた半導体を介した低オーミック接続)を表す。
【0018】
以下の説明に使用される「ウエハ」、「基板」、「半導体本体」、又は「半導体基板」という用語は、半導体表面を有する任意の半導体ベースの構造を包含してもよい。ウエハ及び構造は、シリコン(Si)、シリコン・オン・インシュレータ(SOI)、シリコン・オン・サファイア(SOS)、ドープ及びアンドープ半導体、ベース半導体基盤によって支持されるシリコンエピタキシャル層、及び他の半導体構造を包含すると理解されるものとする。半導体は、シリコンベースである必要はない。半導体は、同様に、シリコンゲルマニウム(SiGe)、ゲルマニウム(Ge)、又はガリウムヒ素(GaAs)でもよい。他の実施形態によれば、炭化ケイ素(SiC)又は窒化ガリウム(GaN)が、半導体基板材料を形成してもよい。
【0019】
本明細書に使用される「横」という用語は、半導体基板又は本体の第1の面又は主面に実質的に平行な配向を表すことを意図する。これは、例えば、ウエハ又はダイの面でもよい。
【0020】
本明細書に使用される「垂直」という用語は、実質的に第1の面と直角に、すなわち半導体基板又は本体の第1の面の法線方向と平行に配置された配向を表すことを意図する。
【0021】
半導体ウエハの処理は、集積回路との電気接触を可能にするコンタクトパッド(又は電極)などの端子コンタクトを有する半導体デバイス、又は半導体本体に包含される個別の半導体デバイスをもたらし得る。電極は、半導体チップの半導体材料に付着される1つ又は複数の電極金属層を包含してもよい。電極金属層は、所望の幾何学形状及び所望の材料組成で製造されてもよい。電極金属層は、例えば、あるエリアを覆う層の形態でもよい。所望の金属、例えば、Cu、Ni、Al、Sn、Au、Ag、Pt、Pd、及びこれらの金属の1つ又は複数の合金が、材料として使用されてもよい。1つ又は複数の電極金属層は、同質である、又はたった1つの材料から製造される必要はなく、すなわち、1つ又は複数の電極金属層に含有される材料の様々な組成及び濃度が可能である。一例として、電極層は、ワイヤとボンディングされるのに十分な大きさにされてもよい。
【0022】
本明細書に開示される実施形態では、1つ又は複数の導体層(例えば導電層)が付着される。「形成される」又は「付着される」といった用語は、層付着の文字通り全ての種類及び技術を対象に含めることを意図していることが認識されるべきである。具体的には、それらは、例えば積層技術などの層が全体として同時に付着される技術、及び例えばスパッタリング、めっき、成形、化学気相成長(CVD)、物理気相成長(PVD)、蒸着、ハイブリッド物理化学気相成長(HPCVD)などといった層が順次堆積される技術を対象に含めることを意図している。
【0023】
付着された導体層は、とりわけ、Cu又はSnなどの金属、又はそれの合金の層、導体ペーストの層、及び接着材料の層の1つ又は複数を含んでもよい。金属の層は、均質層でもよい。導体ペーストは、気化可能な又は硬化性ポリマー材料に分散させた金属粒子を包含してもよく、ペーストは、流体、粘性、又は蝋質でもよい。接着材料は、半導体チップを例えばキャリアに、又は例えばコンタクトクリップに電気的及び機械的に接続するために塗布されてもよい。軟質はんだ材料、又は具体的には拡散はんだ接着状態を作ることができるはんだ材料(例えば、Sn、SnAg、SnAu、SnCu、In、InAg、InCu、及びInAuの1つ又は複数を含むはんだ材料)が使用されてもよい。
【0024】
半導体ウエハを個々のチップに分割するためにダイシング工程が使用されてもよい。例えば、ブレードダイシング(ソーイング)、レーザダイシング、エッチングなどの任意のダイシング技術が適用されてもよい。半導体本体(例えば半導体ウエハ)は、半導体ウエハをテープ(具体的にはダイシングテープ)上に付着させ、例えば上述の技術の1つ又は複数に従って、ダイシングパターン(具体的には長方形パターン)を半導体ウエハに付与し、及び例えばテープの平面内の4つの直交方向に沿ってテープを引くことによって、ダイシングされてもよい。テープを引くことにより、半導体ウエハは、複数の半導体ダイ(チップ)に分割される。
【0025】
具体的に別段の言明のない限り、本明細書に記載の様々な実施形態の特徴を互いに組み合わせてもよいことが理解されるものとする。
【0026】
図1は、ある実施形態による、半導体デバイス10の一部の概略断面図である。半導体デバイス10は、第1の面101、及び第1の面101の反対側に第2の面102を有する半導体本体100を含む。半導体デバイス10は、半導体本体100内にトランジスタ構造1000をさらに含む。トレンチ構造Tが、第1の面101から半導体本体内に延在する。静電放電保護構造310が、トレンチ構造T内に収容され、静電放電保護構造310は、第1の端子領域312及び第2の端子領域314を含む。さらに、ソースコンタクト構造500が、第1の面101にあり、ソースコンタクト構造500は、トランジスタ構造1000のソース領域150と、静電放電保護構造310の第1の端子領域312とに電気的に接続される。ゲートコンタクト構造600も第1の面101にあり、ゲートコンタクト構造600は、トランジスタ構造1000のゲート電極320と、静電放電保護構造310の第2の端子領域314とに電気的に接続される。
【0027】
トレンチ構造T内に収容された静電放電保護構造310を設けることによって、ソースコンタクト構造500及びゲートコンタクト構造600などの第1の面101上のさらなる構造を、第1の面101の平面上に形成することができる。従って、半導体デバイス10は、より少ない表面トポロジーと、半導体本体100内に埋め込まれた静電放電保護構造310のより低い熱インピーダンスとを可能にする。
【0028】
図2A及び2Bは、別の実施形態による、半導体デバイス10の一部の概略平面図である。図2Aに示されるように、ゲートコンタクト構造600は、半導体デバイス10のコーナー部分に存在し、ゲートパッドとして機能することができる。ゲートパッドは、外部のデバイス又は素子に接続されるボンディング又ははんだコンタクトを提供するために使用することができる。ソースコンタクト構造500は、ゲートコンタクト構造600の隣に配置され、ソースパッドとして機能することができる。ソースパッドも、外部のデバイス又は素子にボンディング又ははんだコンタクトを提供するために使用することができる。
【0029】
半導体デバイス10をパワー半導体素子として形成する場合、ソースコンタクト構造500及びゲートコンタクト構造600のメタライゼーションにより得られる厚さは、1μm~10μm、又は3μm~7μmの範囲内でもよく、ソースコンタクト構造500及びゲートコンタクト構造600は、5μm~20μm又は10μm~15μmの範囲内の最小距離B1によって分離されてもよい。異方性エッチング工程を適用する場合、この距離は、2μm~5μmの範囲内でもよい。図2Bから分かるように、ゲートコンタクト構造600は、半導体デバイス10の中央部分に配置されてもよく、ソースコンタクト構造500は、ゲートコンタクト構造600を取り囲む。トレンチ構造T及びトレンチ構造T内に収容される各静電放電保護構造310の可能な位置は、破線で示され、これらの示された場所は、例示的なものにすぎず、制限的なものと理解されるべきではない。
【0030】
図2A及び2Bの平面図では、横ギャップGは、ソースコンタクト構造500のエッジ部分と、ゲートコンタクト構造600のエッジ部分との間に延在する。第1及び第2の面101、102に対する法線は、垂直方向を規定し、及び法線方向に直交する方向は、横平面内の横方向である。横ギャップGは、長さ方向Lに沿って延在する縦ギャップでもよく、横ギャップGの長さ方向Lは、ソースコンタクト構造500及び/又はゲートコンタクト構造600の一部と横平面内で交差しない直線に平行な方向と理解されるものとする。つまり、横ギャップGは、ソースコンタクト構造500及びゲートコンタクト構造600のエッジ部分に直交する又は面した方向に沿った広がりと比べて、ソースコンタクト構造500及びゲートコンタクト構造600のエッジ部分に平行な横平面において、より大きな広がりを有する。長さ方向Lは、横ギャップG内の位置に依存し、及び単一の方向として理解されるべきではないことも留意されなければならない。
【0031】
半導体デバイス10は、IGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)、例えば、RC-IGBT(逆導通IGBT)、RB-IGBT(逆阻止IGBT)、及びMOSFET(金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ)を包含したIGFET(絶縁ゲート電界効果トランジスタ)などのパワー半導体素子を含んでもよい。半導体デバイス10は、超接合トランジスタ、トレンチ電界効果トランジスタ、又はゲート端子を介して負荷電流を制御するさらに別のトランジスタデバイスも含んでもよい。
【0032】
図3Aは、ある実施形態による、図2A又は図2Bの断面平面A-A’に沿った半導体デバイス10の一部の概略断面図である。
【0033】
半導体本体100は、例えばシリコンSi、炭化ケイ素SiC、ゲルマニウムGe、シリコンゲルマニウム結晶SiGe、窒化ガリウムGaN、又はガリウムヒ素GaAsといった単結晶半導体材料から提供されてもよい。第1の面101と第2の面102との間の距離は、指定の電圧阻止能力を達成するように選択され、及び例えば、少なくとも2μm、少なくとも5μm、少なくとも20μm、又は少なくとも50μmでもよい。他の実施形態が、数100μmの厚さの半導体本体100を提供してもよい。半導体本体100は、例えば500μm~最大数ミリメートルの範囲内のエッジ長さの長方形形状を有してもよい。
【0034】
図3Aを参照して、トレンチ構造Tが、第1の面101から半導体本体100内に延在する。トレンチ構造T内に、静電放電保護構造310が収容される。静電放電保護構造310は、それぞれソースコンタクト構造500及びゲートコンタクト構造600に電気的に接続される第1の端子領域312及び第2の端子領域314を含む。静電放電保護構造310は、バックトゥーバックダイオードチェーンを構成するように交互に配置された第1の領域316と、逆の導電型の少なくとも1つの第2の領域318とを有する多結晶シリコン層300を含んでもよい。従って、静電放電保護構造310は、直列に接続された第1及び第2の領域316、318を有する少なくとも1つのポリシリコンダイオードを包含してもよい。
【0035】
特に、静電放電保護構造310が、複数の第1の領域316と、逆の導電型の複数の第2の領域318とを包含することが可能であり、第1及び第2の領域316、318は、単一のトレンチ構造T内に位置する。
【0036】
ここでは、得られるダイオードは、奇数の第1の領域316又は第2の領域318を有する(例えば、n-p-n-…-p-n構造)、双方向性でもよい。得られるダイオードは、偶数の第1及び第2の領域316、318を有する(例えば、n-p-n-…-p構造)、双方向性の非対称でもよい。
【0037】
詳細には、静電放電保護構造310は、トレンチ構造T内に第1の導電型の多結晶シリコン層300を形成することによって製造されてもよい。多結晶シリコン層300を形成した後、マスク層(不図示)、例えば、ハードマスク層又はレジスト層が、多結晶シリコン層300上に形成され、及び第2の領域318がマスク層によって覆われないように、リソグラフィー工程によってパターニングされる。後続の注入工程では、第2の導電型のドーパントが、多結晶シリコン層300上のマスク層によって覆われていない露出した第2の領域318内に導入されることにより、第2の導電型の第2の領域318が形成される。従って、第1の領域316及び第2の領域318のそれぞれは、第1の導電型の第1のドーパントを含み、及び第2の領域318は、第1の導電型の第1のドーパントを過補償する第2の導電型の第2のドーパントをさらに含む。別の実施形態では、各第1の領域316は、第1の導電型の第1のドーパントを含んでもよく、及び第2の領域318は、第1の導電型の第1のドーパントを過補償することなく、第2の導電型の第2のドーパントのみを含んでもよい。ここで、それぞれ別の工程で(例えば、イオン注入及び/又は拡散によって)、第1のドーパントは、第1の領域316に導入され、及び第2のドーパントは、第2の領域318に導入され、第1の領域316と第2の領域318との重複領域が、ドーパントの拡散により、第1及び第2のドーパントを含んでもよい。
【0038】
その結果、多結晶シリコン層300内の第1及び第2の領域316、318の領域境界において、交互のpn接合(ダイオード)を有する横方向に配置されたポリシリコンダイオードチェーン又はストリングが形成される。ある実施形態では、第1及び第2の領域316、318のドーピング濃度は、ツェナーダイオードの直列接続が多結晶シリコン層300内に形成されるように設定される。それぞれ第1の領域316及び第2の領域318を包含する連続したダイオードの数により、静電放電保護構造310の絶縁破壊電圧を調整してもよい。従って、静電放電保護構造310は、バックトゥーバックツェナーダイオードチェーンを構成するように交互に配置された第1の領域316と、逆の導電型の少なくとも1つの第2の領域318とを有する多結晶シリコン層300を含んでもよい。
【0039】
以下の半導体デバイス10の製造方法に関して説明されるように、トレンチ構造Tは、多結晶シリコンで充填され、多結晶シリコンは、半導体本体100の第1の面101と平行又は同一平面の平面的な上面を有する。従って、第1の面101上の半導体デバイス10のさらなる構造を、平面上に形成することができ、従って、半導体デバイス10のトポロジーを減少させる。
【0040】
トレンチ構造T内の静電放電保護構造310又は多結晶シリコンを半導体本体100から電気的に絶縁するために、誘電体層200が、トレンチ構造Tの側壁にライニングを施すように形成される。誘電体層200は、例えば、酸化物、窒化物、酸窒化物、高誘電率(high-k)材料、イミド、絶縁樹脂又はガラスの1つ又は任意の組み合わせを包含してもよい。誘電体層200は、例えば熱酸化又は堆積によって、又は選択酸化(LOCOS:local oxidation of silicon)工程によって形成されたフィールド酸化物、又はゲート酸化物を包含してもよい。
【0041】
静電放電保護構造310はさらに、半導体本体100の第1の面101と平行又は同一平面の平面的な上面上において、半導体本体100の第1の面101上に形成された分離層400によって、覆われていてもよい。
【0042】
分離層400は、単一の誘電体層でもよく、又は誘電体層のスタックを含んでいてもよい。ここでは、分離層400の第1の誘電体層が、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)/アンドープケイ酸塩ガラス(USG)膜を包含してもよい。分離層400の第1の誘電体層の厚さは、50nm~500nmの範囲内でもよい。分離層400の第2の誘電体層は、リンケイ酸ガラス(PSG)又はホウリンケイ酸ガラス(BPSG)を包含してもよい。分離層400の第2の誘電体層の厚さは、200nm~2μmの範囲内でもよい。
【0043】
ソースコンタクト構造500は、分離層400上に形成されてもよい。ゲートコンタクト構造600は、横ギャップ分だけソースコンタクト構造500の一部から間隔を空けた分離層400上に形成されてもよい。ソースコンタクト構造500及びゲートコンタクト構造600上に、例えば、イミド、窒化物、酸化物、又は酸窒化物の1つ又は任意の組み合わせを包含してもよいさらなるパッシベーション層700が形成されてもよい。
【0044】
図3Aを参照して、ソースコンタクト構造500は、第1の電気コンタクト構造510を介して、静電放電保護構造310の第1の端子領域312に電気的に結合されてもよく、ゲートコンタクト構造600は、第2の電気コンタクト構造610を介して、静電放電保護構造310の第2の端子領域314に電気的に結合されてもよい。第1及び第2の電気コンタクト構造510及び610は、分離層400を通って垂直方向に沿って延在してもよい。さらに図3Aから分かるように、第1の電気コンタクト構造510は、ソースコンタクト構造500をトランジスタ構造1000のソース領域150と相互接続するために設けられてもよい。
【0045】
図3Aにおいて、第1及び第2の電気コンタクト構造510、610は、垂直方向に沿って分離層400を通って延在するビアとして描かれており、垂直方向に沿った寸法は、横方向に沿った寸法よりも大きくてもよい。この場合、第1及び第2の電気コンタクト構造510、610は、金属ビアを形成するため、及びソース及びゲートコンタクト構造500、600を形成するための異なる金属層を堆積することによって、ソースコンタクト構造500及びゲートコンタクト構造600に対して別々に形成されてもよい。分離層400が、ソースコンタクト構造500及びゲートコンタクト構造600を半導体本体100内の構造と接触させるための開口部の寸法に相当する垂直方向に沿った寸法を有する場合、第1及び第2の電気コンタクト構造510、610は、平面コンタクト構造を形成するように、それぞれソースコンタクト構造500及びゲートコンタクト構造600と同時に形成されてもよい。
【0046】
ゲートコンタクト構造600は、金属を含んでもよい。加えて、ソースコンタクト構造500は、金属を含んでもよい。ソースコンタクト構造500及びゲートコンタクト構造600は、同じワイヤリングレベルにある同じ導電材料層のパターニングされた部分でもよい。ゲートコンタクト構造600及びソースコンタクト構造500は、例えばリソグラフィーパターニングによる、共通の金属ワイヤリング層又は積層の別々の部分でもよい。ソースコンタクト構造500及びゲートコンタクト構造600は、それぞれ第1及び第2の電気コンタクト構造510及び610を包含する金属層構造として形成されてもよい。このような金属層構造は、1つ又は複数の主成分として、アルミニウムAl、銅Cu、又はアルミニウム又は銅の合金(例えば、AlSi、AlCu、又はAlSiCu)から構成されてもよく、又はそれ(ら)を含有してもよい。他の実施形態によれば、ゲートコンタクト構造600及びソースコンタクト構造500は、1つ、2つ、3つ、又はそれよりも多い副層を含有してもよく、各副層は、主成分として、ニッケルNi、チタンTi、銀Ag、金Au、タングステンW、白金Pt、及びパラジウムPdの少なくとも1つを包含する。例えば、副層は、金属窒化物、又はNi、Ti、Ag、Au、W、Pt、Pd、及び/又はCoを包含する金属合金を含有してもよい。
【0047】
図3Aを参照して、トレンチ構造T内に収容された静電放電保護構造310の隣に、半導体本体100内のトランジスタ構造1000が設けられる。以下に記載される特徴の幾つかは、半導体本体100が炭化ケイ素半導体本体である一実施形態の特定の特徴でもよい。但し、トランジスタ構造1000及び図3Aに関して記載される実施形態は、それらの特徴の一部が、炭化ケイ素半導体本体ではない半導体本体を設ける場合には異なるやり方で提供され得るので、制約的なものと見なされるべきものではない。
【0048】
トランジスタ構造1000は、ソースコンタクト構造500と半導体本体100との重複エリアに配置されるトランジスタセル1100を含む。簡潔さを目的として、ただ1つのトランジスタセル1100が示されている。各トランジスタセル1100は、第1の面101から半導体本体100内に延在するゲートトレンチGTを含む。ゲートトレンチGTは、トランジスタ構造1000のゲート電極320を収容する。図3Aに描かれる実施形態によれば、誘電体層200は、さらにゲートトレンチGTの側壁にライニングを施すことによって、トランジスタ構造1000のゲート誘電体を構成する。ゲート電極320及び静電放電保護構造310の異なる電気特性により、ゲートトレンチGT内の多結晶シリコンの正味のドーパント濃度は、トレンチ構造T内の多結晶シリコンの正味のドーパント濃度よりも少なくとも10倍高くてもよい。各トランジスタセル1100は、半導体本体100の第1の面101と接触し、且つ半導体本体100内に延在するソース領域150と、ソース領域150が埋め込まれる本体領域160とをさらに含む。ソース領域150は、第1の導電型を有し、及び本体領域は、第2の導電型を有する。図3Aを参照して、ゲートトレンチGTは、第1の面101から半導体本体100内へと延在するテーパー形状を有する。炭化ケイ素トランジスタ構造1000に描かれる一実施形態によれば、トレンチゲート構造、例えばテーパー状トレンチゲート構造が、SiCの平面におけるチャネル移動度が低すぎることから(約800cm/Vsの移動度を有するシリコンと比較して、10cm/Vsほど)、使用される。例えば、
面、又はc軸(a面、面法線に対して4°外れる)に沿った、他の結晶方位におけるチャネル移動度は、大幅により高い。従って、トレンチ構造Tは、第1の面101の面法線に対して0°~45°、0°~20°、0°~15°、0°~10°、又は0°~5°の範囲内で外れた方位を有するテーパー状側壁を含んでもよい。
【0049】
さらに、第1の導電型のドレイン領域120が、半導体本体100の第2の面102に存在する。ドレイン領域120上には、ソースコンタクト構造500又はゲートコンタクト構造600と同等の特徴及び特性を有するメタライゼーション層でもよいドレインコンタクト構造110が形成されてもよい。ドリフト領域130が、ドレイン領域120と、本体領域160との間に形成され、及び第1の導電型を有する。超接合デバイスの場合、第1の導電型及び第2の導電型の半導体領域が、横方向に沿って交互に配置され、及びドレイン領域120と、本体領域160との間に挿入されてもよい。例えば、第1の導電型の半導体領域は、ドリフト領域として機能してもよく、及び第2の導電型の半導体領域は、電荷補償領域として機能してもよい。
【0050】
図3Aに描かれた実施形態からさらに分かるように、例えばSiCトランジスタ構造1000を有する場合、トレンチ構造Tは、半導体本体100においてウェル領域140によって取り囲まれる。第1の面101から半導体本体100内へのウェル領域140の広がりは、第1の面101から半導体本体100内へのトレンチ構造Tの広がりよりも大きい。第1の面101から半導体本体100内へのウェル領域140の広がりは、第1の面101から半導体本体100内へのゲートトレンチGT及び本体領域160の広がりよりもさらに大きい。ウェル領域140は、第2の導電型の注入ウェルでもよい。ウェル領域140の電位がソース電位と等しいと定義するためには、ウェル領域140は、第1の電気コンタクト構造510及び高濃度にドープされたウェルコンタクト領域170を介してソースコンタクト構造500に電気的に結合され、ウェルコンタクト領域170は、半導体本体100内に延在するように第1の面101に形成され、且つウェル領域140と接触している。さらに、高濃度にドープされた本体コンタクト領域180が設けられ、本体コンタクト領域180は、半導体本体100内に延在するように第1の面101に形成され、且つ本体領域160と接触している。
【0051】
ウェル領域140は、第2の導電型の埋込シールドとして、電界の減少のために、トランジスタセル1100及び静電放電保護構造310を収容するトレンチ構造Tの両方に使用されてもよい。ここでは、静電放電保護構造310、バックトゥーバックダイオードチェーン、又はバックトゥーバックツェナーダイオードチェーンは、誘電体層200(任意選択的に、20nm~500nmの範囲内の厚さを有するゲート酸化物を構成する)の誘電体分離、及びドリフト領域130とウェル領域140との間に形成される垂直pn接合の接合分離の両方によって、ドレイン電位から電気的に分離されてもよい。この原理は、トレンチセル(但し、垂直トレンチ(面法線から90°外れる)を有する)を備えたシリコン絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)又はシリコン金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)にも当てはまる。
【0052】
従って、誘電体層200が設けられる境界面から電界をさらにシールドするウェル領域140を設けることによって、20nm~200nmの範囲内の少ない厚さを有する同じ誘電体層200が、トレンチ構造Tをシールドするためにフィールド誘電体層をさらに設けることなく、ゲートトレンチGT及びトレンチ構造Tにライニングを施すように形成されてもよい。
【0053】
図3Aを参照して、半導体デバイス10のこの実施形態の層構造は、平面的な第1の面101により、1μm~2μmの厚さを有するフィールド酸化物の上のポリシリコンダイオードと比較して、より少ない表面トポロジーと、誘電体層200が、5nm~200nm、40nm~120nm、又は60nm~100nmの範囲内の厚さを有する薄いゲート誘電体層であることによる、静電放電保護構造310のより低い熱インピーダンスとを可能にする。従って、多結晶シリコンで充填されたテーパー状ゲートトレンチを用いた、600V~3000Vの範囲内、600V~2000Vの範囲内、又は600V~1500Vの範囲内の動作電圧用に構成された炭化ケイ素MOS工程(SiCMOS)におけるポリシリコンツェナーダイオードのモノリシック集積化を提供することができる。静電放電保護構造310のツェナーダイオードは、ウェル領域140の深いpウェルを用いた埋込pシールドと組み合わせたトレンチゲート概念により、ドリフト領域130の炭化ケイ素ドリフト層に組み込まれてもよい。静電放電保護構造310のツェナーダイオード多結晶シリコン充填トレンチの十分な平坦化を得るためには、各ツェナーダイオードの幅は、0.5μmから2μmにまで減らされてもよい。図3Aの断面図を参照して、ゲート/ソース静電放電(ESD)人体モデル(HBM)保護用のモノリシック集積化ポリシリコンバックトゥーバックツェナーダイオードカスケードを用いた高電圧炭化ケイ素垂直パワーMOSFETが提供される。
【0054】
さらに、静電放電保護構造310の代わりに、デバイス又は構造310は、検出信号を提供する単一ダイオード、又は一体化ポリシリコンレジスタも含んでもよい。これらのデバイス310のドーピング濃度は、1×1014cm-3~1×1020cm-3、又は1×1014cm-3~1×1018cm-3の範囲内でもよい。特に低ドーピング濃度の場合には、デバイス310内の空乏、エンハンスメント、又は反転領域に影響を与え得る側壁又はバックゲート効果を防止するために、効果的な電気シールドが必要とされる。従って、これらのデバイス310は、半導体本体100内の構造310の環境内の固定又は絶えず変化する電位に対して電気的にシールドされるべきである。この電気シールドは、ウェル領域140(図3A)と共に、誘電体構造210によって提供することができる。
【0055】
図3Bは、ある実施形態による、図2Aの断面平面C-C’に沿った半導体デバイスの一部の概略断面図である。
【0056】
トランジスタ構造1000は、ソースコンタクト構造500と炭化ケイ素半導体本体100との重複エリアに配置されるトランジスタセル1100を含む。各トランジスタセル1100は、ゲート誘電体層を構成する誘電体層200上に形成されたゲート電極層330と、炭化ケイ素半導体本体100の第1の面101と接触し、且つ半導体本体100内に延在するソース領域150と、ソース領域150が埋め込まれる本体領域160とを含む。ソース領域150は、第1の導電型を有し、及び本体領域160は、第2の導電型を有する。さらに、第1の導電型のドレイン領域110は、半導体本体100の第2の面102上に配置される。ドリフト領域120は、ドレイン領域110と、第1の面101における本体領域160との間に形成され、及び第1の導電型を有する。静電放電保護構造310は、フィールド酸化物層として炭化ケイ素半導体本体100の第1の面101上に形成された誘電体層200上に形成される。従って、静電放電保護構造310は、図3Aに描かれるように、トレンチ構造T内に収容されるのではなく、炭化ケイ素半導体本体100上に形成される。さらなる電気シールドが、既に上に説明したウェル領域140によって提供されてもよい。図4は、ある実施形態による半導体デバイス10の一部の平面図であり、図5は、図4の半導体デバイス10の一部の詳細な平面図である。上述の通り、トレンチ構造Tは、多結晶シリコンで充填されてもよく、多結晶シリコンは、半導体本体100の第1の面101と同一平面の平面的な上面を有する。半導体デバイス10の製造方法に関して以下に記載されるように、第1の面101と平行又は同一平面の静電放電保護構造310の構造は、分離層400を堆積させる前に、化学機械研磨(CMP)工程を用いて達成されてもよい。トレンチ構造T内の多結晶シリコンの大きすぎる研磨面積によるベイ、くぼみ、又はノッチを回避するために、図4に描かれ、及びより詳細に図5に描かれるトレンチ構造Tのメサ構造が設けられる。ここでは、トレンチ構造Tは、それぞれがバックトゥーバックダイオードチェーンを収容する複数の縦トレンチLTを含む。図4及び図5を参照して、縦トレンチLTが、それぞれ横ギャップGを埋め、ソースコンタクト構造500及びゲートコンタクト構造600は、同じ相互接続層内に形成され、且つ横ギャップG分だけ互いに間隔を空ける。横ギャップGは、上記で説明済みである。
【0057】
各縦トレンチLTは、2μm~100μm、5μm~50μm、又は10μm~30μmの範囲内の横平面内の縦トレンチLTの縦方向に沿った長さL1を有していてもよい。各縦トレンチLTは、さらに、100nm~10μm、200nm~5μm、又は500nm~2μmの範囲内の横平面内の縦トレンチLTの縦方向に対して直角な幅L2を有していてもよい。縦トレンチLTは、100nm~10μm、200nm~5μm、又は500nm~2μmの範囲内の互いからの平均距離L3を有して、横平面内で、並列に配置されてもよい。縦トレンチLTは、それぞれが互いから同じ距離L3を有する縦トレンチLTの規則的なパターンで配置されてもよい。
【0058】
縦トレンチLTは、それぞれ、横平面内で縦トレンチLTの縦方向に沿った長さL1を有してもよく、及びそれぞれ、横平面内の縦トレンチLTの縦方向に対して直角な幅L2を有してもよく、長さL1と幅L2との比率は、5~100、5~50、2~50、又は5~20の範囲内でもよい。
【0059】
縦トレンチLTは、互いから平均距離L3を有して並列に配置されてもよく、各縦トレンチLTは、横平面内の縦トレンチLTの縦方向に対して直角な幅L2を有し、平均距離L3と幅L2との比率は、0.1~10、0.2~5、又は0.5~2の範囲内でもよい。ある実施形態によれば、平均距離L3は、幅L2と同じでもよい。
【0060】
図4からさらに分かるように、第1の横方向xにおけるゲートコンタクト構造600の寸法B2は、100μm~1000μm、200μm~600μm、又は300μm~400μmの範囲内でもよい。さらに、第2の横方向yにおけるゲートコンタクト構造600の寸法B3は、100μm~1000μm、200μm~600μm、又は250μm~350μmの範囲内でもよい。縦トレンチLTの例示的な長さL1は、例えば20μmでもよい。例えば1μmの縦トレンチLTの幅L2及び平均距離L3(これは、2μmのピッチをもたらす)を例として挙げると、ソースコンタクト構造500とゲートコンタクト構造600との間の横ギャップGを埋める、図4にラインとして示される縦トレンチLT内に収容されるバックトゥーバックダイオードチェーンの総数は、300~700、400~600、又は450~500の範囲内でもよい。
【0061】
従って、縦トレンチLT内のダイオードチェーンの全幅は、最大で500μm、最大で700μm、又は最大で1000μmでもよい。従って、図4及び図5に描かれた実施形態のレイアウト原理を参照して、バックトゥーバックツェナーダイオードカスケードの絶縁破壊電圧は、ゲート酸化物信頼性要件を満たすために、ゲート酸化物(GOX)トンネリング閾値電圧よりも小さくてもよい。ダイオード絶縁破壊電圧VBS=k*VDB0(k=Zダイオードチェーン内の電気阻止pn接合の数、VDB0=各阻止pn接合の電気絶縁破壊電圧)における静電放電(ESD)人体モデル(HBM)保護を満たすために、ESDダイオードは、絶縁破壊モードで低微分抵抗を有することができる。
【0062】
図5を参照して、ポリシリコンダイオード用の縦トレンチLTは、各ダイオードに対して小さな幅をもたらすトランジスタ構造1000のゲートトレンチGTのような断面を有する。各縦トレンチLTにおいて、pnポリダイオードチェーンが存在する。ポリダイオードチェーンの端部は、電気的に並列に接続されることにより、静電放電電流に対する十分な総断面積が確保される。ポリシリコンダイオードチェーンの端部は、第2の端子領域314及び第1の端子領域312を用いてゲート及びソース端子にそれぞれ接続される。
【0063】
図4を参照して、ある例によれば、それぞれ1μmの幅、1μmの間隔、及び25μmの長さを持つ縦トレンチLTが、良好な平坦化のために設けられる。図4の平面図を参照して、1kVを超える静電放電(ESD)-人体モデル(HBM)能力に十分となり得る500μmの累積幅を持つモノリシック集積化ツェナーダイオードマトリクスが設けられる。ゲートトレンチGT及び縦トレンチLTのトレンチ幅は、同様に設定される。幅L2は、多結晶シリコン堆積厚さの2倍よりも小さく設定されることにより、多結晶シリコン堆積中に縦トレンチLTが完全に充填されることを可能にし、及びゲートトレンチGTから多結晶シリコンを除去することなく、マスクされていない多結晶シリコンエッチバックが使用されることを可能にする。
【0064】
マルチレベルメタライゼーションは示されていないが、上記の静電放電保護構造は、多層メタライゼーションシステムを用いて、個別又は集積回路において使用されてもよい。
【0065】
図6は、半導体デバイスの製造方法2000を示す概略フロー図である。
【0066】
方法2000が、一連の行為又は事象として図示及び以下に説明されるが、このような行為又は事象の図示された順序付けは、制限的な意味で解釈されるものではないことが認識されるだろう。例えば、一部の行為は、異なる順序で、及び/又は本明細書に図示及び/又は記載されたものとは別の他の行為又は事象と同時に生じてもよい。加えて、全ての図示された行為が、本明細書における開示の実施形態の1つ又は複数の局面の実施に必要とされるわけではない。また、本明細書に描かれた行為の1つ又は複数が、1つ又は複数の別の行為及び/又は段階で実行されてもよい。
【0067】
半導体デバイスの製造方法2000を示す概略フロー図が、図6に示される。
【0068】
工程特徴S100は、トランジスタ構造を半導体本体内に形成することを含み、半導体本体は、第1の面、及び第1の面の反対側に第2の面を有する。
【0069】
工程特徴S110は、第1の面から半導体本体内に延在するトレンチ構造を形成することを含む。
【0070】
工程特徴S120は、トレンチ構造内に収容される静電放電保護構造を形成することを含み、静電放電保護構造は、第1の端子領域及び第2の端子領域を含む。
【0071】
工程特徴S130は、第1の面にソースコンタクト構造を形成することを含み、ソースコンタクト構造は、トランジスタ構造のソース領域及び第1の端子領域に電気的に接続される。
【0072】
工程特徴S140は、第1の面にゲートコンタクト構造を形成することを含み、ゲートコンタクト構造は、トランジスタ構造のゲート電極及び第2の端子領域に電気的に接続される。
【0073】
図7は、静電放電保護構造310を形成する方法3000を示す概略フロー図である。
【0074】
工程特徴S200は、トレンチ構造が充填されるまで、半導体本体の面上に多結晶シリコンを付着させることを含む。
【0075】
工程特徴S210は、トレンチ構造より上に存在する多結晶シリコンを除去するために、化学機械研磨工程を実行することを含む。
【0076】
工程特徴S220は、トレンチ構造内に残る多結晶シリコン内にバックトゥーバックダイオードチェーンを形成することを含む。
【0077】
トランジスタ構造を形成する及びトレンチ構造を形成する方法4000を示す概略フロー図が、図8に示される。
【0078】
工程特徴S300は、第1の面から半導体本体内に延在するゲートトレンチ及びトレンチ構造を同時に形成することを含む。
【0079】
工程特徴S310は、トレンチ構造及びゲートトレンチが充填されるまで、半導体本体の面上に多結晶シリコンを付着させることを含む。
【0080】
工程特徴S320は、ゲートトレンチ内の多結晶シリコン及びトレンチ構造内の多結晶シリコンが互いに分離されるように、トレンチ構造及びゲートトレンチより上に存在する多結晶シリコンを除去するために化学機械研磨工程を実行することを含む。
【0081】
図9A~9Iでは、ある実施形態による半導体デバイス10の製造方法が、選択された工程を示す断面図を参照して説明される。
【0082】
図9Aでは、上述の通り、ドレイン領域120及びドリフト領域130を含む半導体本体が設けられる。
【0083】
図9Bを参照して、第1の面101から半導体本体100内に延在するウェル領域140が、半導体本体100内に形成される。ウェル領域140は、Alイオンを用いた深いpウェル注入によって形成されてもよく、ウェル領域140の注入深さは、1μm~3μmでもよい。本体領域160のp本体ゾーンの深さは、200nm~1μmの範囲内でもよい。本体領域160及びウェル領域140を形成する工程は、半導体デバイス10の製造工程の後の過程で行われてもよい。
【0084】
図9Cを参照して、トレンチ構造T及びゲートトレンチGTが、第1の面101から半導体本体100内に延在するように、半導体本体100内に同時に形成される。トレンチ構造T及びゲートトレンチGTは、半導体本体100内に最大で0.5μm~1μmの距離、延在してもよい。トレンチ構造T及びゲートトレンチGTは、適切な工程によって、例えばドライ及び/又はウェットエッチングによって形成されてもよい。一例として、トレンチ構造T及びゲートトレンチGTは、異方性プラズマエッチング工程、例えば、適切なエッチングガス(例えば、Cl、Br、CCl、CHCl、CHBr、BCl、及びHBrの少なくとも1つ)を用いた反応性イオンエッチング(RIE)によって形成されてもよい。ある実施形態によれば、トレンチのトレンチ側壁がテーパー状でもよい。トレンチ構造Tは、第1の面101の面法線に対して0°~45°、0°~20°、0°~15°、0°~10°、又は0°~5°の範囲内で外れた方位を有するテーパー状側壁を含むように形成されてもよい。テーパー状トレンチ側壁は、トレンチを充填する際のトレンチキャビティの回避に関して、又は例えば炭化ケイ素半導体本体100におけるチャネル移動度の向上に関して有益となり得る。
【0085】
図9Dを参照して、酸化ケイ素層などの誘電体層200が、トレンチ構造T及びゲートトレンチGTの側壁、並びに半導体本体100の第1の面101にライニングを施すように形成される。誘電体層200の酸化物層は、フィールド酸化又は堆積工程によって形成されてもよく、又は熱酸化工程によってゲート酸化物層として形成されてもよい。誘電体層200の厚さは、10nm~100nm、又は40nm~60nmの範囲内でもよい。
【0086】
図9Eを参照して、トレンチ構造T及びゲートトレンチGTが充填されるまで、多結晶シリコンが、半導体本体100の面上に堆積される。
【0087】
図9Fを参照して、ゲートトレンチGT内の多結晶シリコン及びトレンチ構造T内の多結晶シリコンが互いに分離されるように、トレンチ構造T及びゲートトレンチGTより上に存在する多結晶シリコンが除去される。多結晶シリコンの除去は、化学機械研磨工程によって実行されてもよい。
【0088】
図9Gを参照して、バックトゥーバックダイオードチェーンが、トレンチ構造T内に残る多結晶シリコン層300内に形成される。図9C図9Gに示された工程に関して、任意選択的な他の工程が行われてもよい。
【0089】
第1の選択肢によれば、トレンチ構造T及びゲートトレンチGTは、異なるエッチング工程で、及び図9Cに示されるように同時にではなく形成されてもよい。さらに、誘電体層200の堆積又は生成及び多結晶シリコンの堆積も、トランジスタ構造1000及びトレンチ構造T内に収容される静電放電保護構造310に対して別々に行われてもよい。
【0090】
第2の選択肢によれば、図9Eに描かれる多結晶シリコンの堆積は、ゲートトレンチGT及びトレンチ構造Tに対して別々に行われてもよい。このような別々のポリシリコン堆積を行う場合、第1のステップによれば、インサイチュ高濃度ドープゲート多結晶シリコンが堆積され、及び第2のステップにおいて、アンドープツェナー多結晶シリコンの後に、モノリシック集積化ツェナーダイオードのためのP及びB注入が続いて行われる。
【0091】
第3の選択肢によれば、ゲートトレンチGT及びトレンチ構造Tの両方に対して、ただ1つの多結晶シリコン層300が堆積される。この選択肢によれば、アンドープ又は低nドープ多結晶シリコン層300が、トレンチ構造T及びゲートトレンチGTを充填するように、半導体本体100の面上に堆積されてもよい。その後、P又はAsイオンを用いて、イオン注入工程において、アンドープ又は低nドープ多結晶シリコン層300をドープしてもよい。ここでは、ゲートトレンチGT内のゲート電極320のドーパント濃度は、トレンチ構造T内のバックトゥーバックダイオードチェーンのnドープの第1の領域316の正味のドーパント濃度よりも少なくとも10倍高くてもよい。
【0092】
第1の導電型(例えば、n型)の多結晶シリコン層300の正味のドーパント濃度は、5×1016cm-3~5×1019cm-3の範囲内、5×1016cm-3~5×1018cm-3の範囲内、又は1×1017cm-3~1×1018cm-3の範囲内でもよい。ゲートトレンチGT内のゲート電極320の第1の導電型の正味のドーパント濃度は、1×1019cm-3よりも大きい、5×1019cm-3よりも大きい、1×1020cm-3よりも大きい、又は1×1021cm-3よりも大きくてもよい。ゲートトレンチGTにおける多結晶材料の第1の導電型の正味のドーパント濃度は、5×1020cm-3よりも小さくてもよい。ある実施形態によれば、nドープ多結晶シリコン材料が、リン又はヒ素を用いてドープされてもよい。
【0093】
第2の導電型(例えば、p型)の第2の領域318の正味のドーパント濃度は、1×1018cm-3~1×1021cm-3の範囲内、又は1×1019cm-3~1×1020cm-3の範囲内でもよい。
【0094】
図9Hを参照して、ソース領域150及びウェルコンタクト領域170、並びに本体コンタクト領域180が、半導体本体100の第1の面101を通した注入によって形成される。
【0095】
図9Iを参照して、分離層400の堆積、及びゲートコンタクト構造600及びソースコンタクト構造500の形成などの追加の工程が行われてもよい。加えて、ドレインコンタクト構造110が、半導体本体100の裏側に、又は第2の面102上に形成されてもよい。
【0096】
図9Jを参照して、別の実施形態によれば、ゲート電極320及び静電放電保護構造310の平面的な上面が、半導体本体100の第1の面101と同一平面でなくてもよく、第1の面101から突出してもよく、及び誘電体層200の上面101aと同一平面でもよく、誘電体層200は、半導体本体100の第1の面101にライニングを施す。従って、静電放電保護構造310は、第1の面101と平行な平面的な上面を有してもよい。さらに、ゲート電極320は、第1の面101と平行な平面的な上面を有してもよい。
【0097】
超接合金属酸化膜半導体(MOS)トランジスタ、トレンチ電界効果トランジスタ(FET)、又は絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)における静電放電(ESD)保護素子のモノリシック集積化のためには、チップ面積の効率的な利用が重要である。例えば、小さな静電容量及び薄いゲート酸化物を備えた小さなチップが、HBM-ESD事象に対する追加の保護素子を必要とする場合がある。
【0098】
チップ面積の増加及び追加の処理が、パワーMOSデバイスにおけるESD保護素子の集積化を可能にする。特に、SiC材料によりウエハのコストが高い工程の場合、及びおそらく複数の基盤エピタキシャル層及びトランジスタマスクに加えた複数の注入マスクと共に、ESD保護素子のための追加のチップ面積が、チップのコストを増加させる。理想的には、追加のESD保護素子が、追加のチップ面積及び追加の工程ステップを必要としない。
【0099】
たった50nm以下のゲート酸化物の厚さを持つ炭化ケイ素(SiC)デバイスの場合、シリコンベースのパワー技術と比較して、静電破壊又は注入の危険性が、さらに高くなり得る。これは、臨界電界強度の増大によるSiCデバイスの[ドレイン・ソース間オン抵抗(Rds(on))*面積]の低下によって生じる。これは、SiCベースのパワーデバイスの場合、より低いESD能力を持つ小さなチップ面積及びチップの厚さをもたらし得る。
【0100】
トレンチゲートセルを用いて、チップ全体の全平面を処理することができ、これは、コンタクトの充填及び平坦化のためのエッチバック又は凹部形成工程ステップを単純化することができる。加えて、フォトレジストの露光及び現像のための、より小さな限界寸法(CD)値を簡単に達成することができる。
【0101】
上記の実施形態では、炭化ケイ素MOSFET又はIGBTにおけるツェナー保護ダイオードのモノリシック集積化が提供される。ゲート/ソースESD-HBM能力は、ESDゲート/ソース保護のないパワーデバイスと比較して改善される。さらに、プロセストポロジーが平面である。
【0102】
SiCにおける臨界電界が、SiOにおける破壊電界とほぼ同じ強さであるので、多結晶シリコン電界板が、SiCデバイスにおいて重要となり得る。従って、SiCにおける終端構造は、平面接合終端拡張(JTE:junction termination extension)又は可変横ドーピング濃度(VLD:variable lateral doping)領域として実現されなければならない場合がある。例えば、接続金属/多結晶シリコンのために多結晶シリコン板を使用する場合、多結晶シリコン板は、接合分離によって多結晶シリコン板の下の誘電体を危険な電界からシールドするために、0Vの電位を持つpドープSiCエリアの上に位置する必要がある場合がある。
【0103】
上記の実施形態によれば、炭化ケイ素MOSFET又はIGBTにおける双方向ESD保護デバイスが提供される。
【0104】
ダイオード絶縁破壊電圧VBS=k*VDB0(k=Zダイオードチェーン内の電気阻止pn接合の数、VDB0=各阻止pn接合の電気絶縁破壊電圧)における静電放電(ESD)人体モデル(HBM)保護を満たすためには、ESDダイオードは、絶縁破壊モードで低微分抵抗を有するべきである。
【0105】
上記の実施形態によれば、電気シールドされたESDダイオードは、ゲートトレンチ工程を用いて作られ、ESDダイオードは、ESD-HBM能力を満たすために、炭化ケイ素MOSFET又はIGBT用の双方向ESD保護デバイスを含む。
【0106】
最先端のSi超接合デバイスと同等又は最先端のSi超接合デバイスよりも良い性能を示すことができる炭化ケイ素(SiC)トランジスタ又はIGBTは全て、SiCの平面と比較してチャネル移動度が高いので、トレンチゲートを備える。
【0107】
pシールドとして、SiCMOS工程の深いpウェル注入(これは、電界の減少のために、トランジスタセル及びエッジ終端の両方に使用される)を用いることによって、ツェナーダイオードは、ゲート酸化物(厚さ50nm)の誘電体分離、及び垂直pn接合の接合分離の両方によって、ドレイン電位から電気的に分離される。この原理は、トレンチセルを備えたSiC-IGBT又はSi-MOSFETにも当てはまる。
【0108】
上記の実施形態によれば、横Si-ポリダイオードチェーンは、誘電絶縁材料でクラッディングされたトレンチにおいて実現される。
【0109】
代替的又は追加的に、多結晶シリコントレンチゲートレジスタが、ゲートパッドと、金属ゲートランナとの間に組み込まれてもよい。
【0110】
以下では、本明細書に記載の半導体デバイス及び/又は方法のさらなる実施形態を詳細に説明する。上述の特徴及び以下のまだ説明されていない特徴は、示されるそれぞれの組み合わせにおいてのみならず、本発明の範囲から逸脱することなく、他の組み合わせにおいても、又は分離しても用いることができることが理解されるものとする。一般に、本明細書に記載の方法は、本明細書に記載の半導体デバイスの製造に使用されてもよい。すなわち、本方法と関連して開示された全ての特徴は、半導体デバイスに関しても開示することができ、その逆も同様である。
【0111】
少なくとも1つの実施形態によれば、半導体デバイスは、第1の面、及び第1の面の反対側に第2の面を有する半導体本体と、半導体本体内のトランジスタ構造と、第1の面から半導体本体内に延在するトレンチ構造と、トレンチ構造内に収容される静電放電保護構造とを含み、静電放電保護構造は、第1の端子領域及び第2の端子領域を含む。半導体デバイスは、第1の面にソースコンタクト構造をさらに含んでもよく、ソースコンタクト構造は、トランジスタ構造のソース領域と、第1の端子領域とに電気的に接続される。半導体デバイスは、第1の面にゲートコンタクト構造をさらに含み、ゲートコンタクト構造は、トランジスタ構造のゲート電極と、第2の端子領域とに電気的に接続される。
【0112】
半導体デバイスの少なくとも1つの実施形態によれば、静電放電保護構造は、バックトゥーバックダイオードチェーンを構成するように交互に配置された第1の領域と、逆の導電型の少なくとも1つの第2の領域とを有する多結晶シリコン層を含む。
【0113】
半導体デバイスの少なくとも1つの実施形態によれば、トレンチ構造は、それぞれがバックトゥーバックダイオードチェーンを収容する複数の縦トレンチを含む。
【0114】
半導体デバイスの少なくとも1つの実施形態によれば、ソースコンタクト構造及びゲートコンタクト構造は、同じ相互接続層内に形成され、且つ横ギャップ分だけ互いに間隔を空け、縦トレンチは、横ギャップを埋める。
【0115】
半導体デバイスの少なくとも1つの実施形態によれば、縦トレンチは、それぞれ、横平面内で縦トレンチの縦方向に沿った長さを有し、及びそれぞれ、横平面内の縦トレンチの縦方向に対して直角な幅を有し、長さと幅との比率は、5~50の範囲内にある。
【0116】
半導体デバイスの少なくとも1つの実施形態によれば、縦トレンチは、互いから平均距離を有して並列に配置され、及び各縦トレンチは、横平面内の縦トレンチの縦方向に対して直角な幅を有し、平均距離と幅との比率は、0.1~10の範囲内にある。
【0117】
半導体デバイスの少なくとも1つの実施形態によれば、トレンチ構造は、多結晶シリコンで充填され、多結晶シリコンは、半導体本体の第1の面と平行な平面的な上面を有する。
【0118】
半導体デバイスの少なくとも1つの実施形態によれば、半導体デバイスは、トレンチ構造内の静電放電保護構造を半導体本体から電気的に絶縁するために、トレンチ構造の側壁にライニングを施す誘電体層をさらに含む。
【0119】
半導体デバイスの少なくとも1つの実施形態によれば、半導体デバイスは、第1の面から半導体本体内に延在するゲートトレンチをさらに含み、ゲートトレンチは、トランジスタ構造のゲート電極を収容する。
【0120】
半導体デバイスの少なくとも1つの実施形態によれば、さらにゲートトレンチの側壁にライニングを施す誘電体層が、トランジスタ構造のゲート誘電体を構成する。
【0121】
半導体デバイスの少なくとも1つの実施形態によれば、ゲートトレンチ内の多結晶シリコンの正味のドーパント濃度は、トレンチ構造内の多結晶シリコンの正味のドーパント濃度よりも少なくとも10倍高い。
【0122】
半導体デバイスの少なくとも1つの実施形態によれば、半導体本体は、炭化ケイ素半導体本体である。
【0123】
半導体デバイスの少なくとも1つの実施形態によれば、トレンチ構造は、半導体本体においてウェル領域によって取り囲まれる。
【0124】
半導体デバイスの少なくとも1つの実施形態によれば、ウェル領域は、注入ウェルである。
【0125】
半導体デバイスの少なくとも1つの実施形態によれば、トレンチ構造は、第1の面の面法線に対して0°~45°の範囲内で外れた方位を有するテーパー状側壁を含む。
【0126】
半導体デバイスの少なくとも1つの実施形態によれば、半導体デバイスは、第1の面上に分離層をさらに含み、ソースコンタクト構造は、分離層上に形成され、且つ第1の電気コンタクト構造を介して静電放電保護構造の第1の端子領域に電気的に結合され、及びゲートコンタクト構造は、分離層上に形成され、且つ第2の電気コンタクト構造を介して、静電放電保護構造の第2の端子領域に電気的に結合される。
【0127】
本明細書に記載の半導体デバイスの少なくとも1つの実施形態によれば、半導体デバイスは、第1の面、及び第1の面の反対側に第2の面を有する炭化ケイ素半導体本体と、炭化ケイ素半導体本体内のトランジスタ構造と、炭化ケイ素半導体本体上の静電放電保護構造とを含み、静電放電保護構造は、第1の端子領域及び第2の端子領域を含む。半導体デバイスは、第1の面におけるソースコンタクト構造であって、トランジスタ構造のソース領域と、第1の端子領域とに電気的に接続されるソースコンタクト構造と、第1の面におけるゲートコンタクト構造であって、トランジスタ構造のゲート電極と、第2の端子領域とに電気的に接続されるゲートコンタクト構造とを含む。
【0128】
半導体デバイスの少なくとも1つの実施形態によれば、静電放電保護構造は、バックトゥーバックダイオードチェーンを構成するように交互に配置された、複数の第1の領域及び逆の導電型の複数の第2の領域を含む。
【0129】
本明細書に記載の半導体デバイスの製造方法の少なくとも1つの実施形態によれば、本方法は、トランジスタ構造を半導体本体内に形成するステップであって、半導体本体は、第1の面、第1の面の反対側に第2の面を有する、ステップと、第1の面から半導体本体内に延在するトレンチ構造を形成するステップと、トレンチ構造内に収容される静電放電保護構造を形成するステップであって、静電放電保護構造は、第1の端子領域及び第2の端子領域を含む、ステップと、第1の面にソースコンタクト構造を形成するステップであって、ソースコンタクト構造は、トランジスタ構造のソース領域及び第1の端子領域に電気的に接続される、ステップと、第1の面にゲートコンタクト構造を形成するステップであって、ゲートコンタクト構造は、トランジスタ構造のゲート電極及び第2の端子領域に電気的に接続される、ステップとを含む。
【0130】
本方法の少なくとも1つの実施形態によれば、静電放電保護構造を形成するステップは、トレンチ構造が充填されるまで、半導体本体の面上に多結晶シリコンを付着させることと、トレンチ構造より上に存在する多結晶シリコンを除去するために、化学機械研磨工程又はプラズマエッチング処理を実行することと、トレンチ構造内に残る多結晶シリコン内にバックトゥーバックダイオードチェーンを形成することとを含む。
【0131】
本方法の少なくとも1つの実施形態によれば、トランジスタ構造の形成及びトレンチ構造の形成は、第1の面から半導体本体内に延在するゲートトレンチ及びトレンチ構造を同時に形成することと、トレンチ構造及びゲートトレンチが充填されるまで、半導体本体の面上に多結晶シリコンを付着させることと、ゲートトレンチ内の多結晶シリコン及びトレンチ構造内の多結晶シリコンが互いに分離されるように、トレンチ構造及びゲートトレンチより上に存在する多結晶シリコンを除去するために化学機械研磨工程を実行することとを含む。
【0132】
本方法の少なくとも1つの実施形態によれば、多結晶シリコンを付着させることは、第1の正味のドーパント濃度を有する多結晶シリコンでトレンチ構造を充填し、及び第1の正味のドーパント濃度よりも少なくとも10倍高い第2の正味のドーパント濃度を有する多結晶シリコンでゲートトレンチを充填することを含む。
【0133】
本明細書において具体的な実施形態を図示及び記載したが、本発明の範囲から逸脱することなく、図示及び記載された具体的な実施形態の代わりに、様々な代替形態及び/又は均等な実施態様を代用することができることを当業者は理解するだろう。本出願は、本明細書で説明した具体的な実施形態のあらゆる改変形態又は変形形態を対象に含めるものとする。従って、本発明は、請求項及びその均等物によってのみ限定されるものとする。
【符号の説明】
【0134】
10 半導体デバイス
100 半導体本体
101 第1の面
102 第2の面
140 ウェル領域
150 ソース領域
200 誘電体層
300 多結晶シリコン層
310 静電放電保護構造
312 第1の端子領域
314 第2の端子領域
316 第1の領域
318 第2の領域
320 ゲート電極
400 分離層
500 ソースコンタクト構造
510 第1の電気コンタクト構造
600 ゲートコンタクト構造
610 第2の電気コンタクト構造
1000 トランジスタ構造
2000 半導体デバイスの製造方法
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図9F
図9G
図9H
図9I
図9J