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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-11
(45)【発行日】2023-01-19
(54)【発明の名称】スピンオンメタライゼーション
(51)【国際特許分類】
   C23C 18/08 20060101AFI20230112BHJP
   B05D 5/12 20060101ALI20230112BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20230112BHJP
   C07F 15/00 20060101ALI20230112BHJP
   C07F 15/06 20060101ALI20230112BHJP
   C07F 19/00 20060101ALI20230112BHJP
   H01L 21/288 20060101ALI20230112BHJP
【FI】
C23C18/08
B05D5/12 B
B05D7/24 302Z
C07F15/00 A
C07F15/06
C07F19/00
H01L21/288 M
【請求項の数】 25
(21)【出願番号】P 2020554481
(86)(22)【出願日】2019-04-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-19
(86)【国際出願番号】 US2019025852
(87)【国際公開番号】W WO2019195590
(87)【国際公開日】2019-10-10
【審査請求日】2020-12-04
(31)【優先権主張番号】62/653,753
(32)【優先日】2018-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/365,109
(32)【優先日】2019-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】517114182
【氏名又は名称】バーサム マテリアルズ ユーエス,リミティド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100195213
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 健治
(72)【発明者】
【氏名】アラン シー.クーパー
(72)【発明者】
【氏名】セルゲイ ブイ.イバノフ
(72)【発明者】
【氏名】ホンポー リー
(72)【発明者】
【氏名】ロナルド マーティン パールステイン
(72)【発明者】
【氏名】シンチアン レイ
【審査官】松村 駿一
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-072673(JP,A)
【文献】特開昭62-182279(JP,A)
【文献】特開2000-138185(JP,A)
【文献】特開2011-238841(JP,A)
【文献】特開昭59-182745(JP,A)
【文献】特開2015-224227(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 18/08
B05D 5/12
B05D 7/24
C07F 15/00
C07F 15/06
C07F 19/00
H01L 21/288
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.4:1以上のアスペクト比を有するトポグラフィーを有する表面を有する基材を提供すること;
b.0価の状態の金属及び少なくとも1つの中性安定化リガンドを有する中性(非荷電)金属化合物を含む液体金属前駆体を提供すること
(金属は、Fe、Co、Ni、Ir、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Os及びそれらの組み合わせからなる群から選択され;
少なくとも1つの中性安定化リガンドは、一酸化炭素(CO);一酸化窒素(NO);二窒素(N2);アセチレン(C22);エチレン(C24);C4~C18ジエン又はC4~C18環状ジエン;C6~C18トリエン;C8~C18テトラエン;オルガノイソシアニドRNC(RはC1~C12直鎖又は分岐鎖のヒドロカルビル又はハロカルビルラジカルからなる群から選択される);有機ニトリルRCN(RはC1~C12ヒドロカルビル又はハロカルビルラジカルからなる群から選択される);オルガノホスフィンPR’3(R’はH、Cl、F、Br及びC1~C12ヒドロカルビル又はハロカルビルラジカルからなる群から選択される);アミンNRaRbRc(Ra、Rb及びRcは互いに結合されていてよく、それぞれはH又はC1~C12ヒドロカルビル若しくはハロカルビルラジカルから独立に選択される);有機エーテルR*OR**(R*及びR**は互いに結合されていてよく、それぞれはC1~C12ヒドロカルビル又はハロカルビルラジカルから独立に選択される);並びに一般式R1CCR2を有する末端又は内部アルキン(R1及びR2は、H、C1~C12直鎖、分岐鎖、環状又は芳香族のハロカルビル又はヒドロカルビルラジカル、シリル又はオルガノシリルラジカル、スタニル又はオルガノスタニルラジカル、及びそれらの組み合わせからなる群から独立に選択することができる)からなる群から選択され;
中性(非荷電)金属化合物は、液体、若しくは飽和の直鎖、分岐鎖及び環状炭化水素からなる群から選択される溶媒中に周囲温度で可溶性である固体であるか;又はその分解温度より低い温度で融解する固体であり;並びに
液体金属前駆体は、0.5cP~20cPの周囲温度における粘度を有する);並びに
c.スプレーコーティング、ロールコーティング、ドクターブレードドローダウン(スキージ)、スピンコーティング、表面へのプーリング、過飽和蒸気の凝縮、インクジェット印刷、カーテンコーティング、ディップコーティング又はそれらの組み合わせによって、液体金属前駆体を表面に適用して伝導性金属膜を基材に堆積すること
を含む、伝導性金属膜を基材に堆積する方法。
【請求項2】
a.4:1以上のアスペクト比を有するトポグラフィーを有する表面を有する基材を提供すること;
b.0価の状態の金属及び少なくとも1つの中性安定化リガンドを有する中性(非荷電)金属化合物を含む液体金属前駆体を提供すること
(中性(非荷電)金属化合物が、
1Co2(CO)6(R1は直鎖又は分岐鎖のC2~C10アルキン、直鎖又は分岐鎖のC1~C10アルコキシアルキン、直鎖又は分岐鎖のC1~C10オルガノアミノアルキン、例えば(tert-ブチルアセチレン)ジコバルトヘキサカルボニル、(Co2(CO)6HC≡CC(CH33)である);
1CoFe(CO)7(R1は直鎖又は分岐鎖のC2~C10アルキン、直鎖又は分岐鎖のC1~C10アルコキシアルキン、直鎖又は分岐鎖のC1~C10オルガノアミノアルキンである);
2CCo3(CO)9(R2は水素、直鎖又は分岐鎖のC1~C10アルキル、直鎖又は分岐鎖のC1~C10アルコキシ、Cl、Br、COOH、COOMe、COOEtからなる群から選択される);
2CCo2Mn(CO)10(R2は水素、直鎖又は分岐鎖のC1~C10アルキル、直鎖又は分岐鎖のC1~C10アルコキシ、Cl、Br、COOH、COOMe、COOEtからなる群から選択される);
3Co4(CO)12(R3は直鎖又は分岐鎖のC1~C10アルケニリデンから選択される);並びに
4Ru3(CO)11(R4は二置換のアルキンRCCR♯♯からなる群から選択され、R及びR♯♯は、C1~C12の直鎖、分岐鎖、環状又は芳香族のハロカルビル又はヒドロカルビルラジカル、シリル又はオルガノシリルラジカル、スタニル又はオルガノスタニルラジカル、及びそれらの組み合わせからなる群から独立に選択することができる)
からなる群から選択され;
中性(非荷電)金属化合物は、液体、若しくは飽和の直鎖、分岐鎖及び環状炭化水素からなる群から選択される溶媒中に周囲温度で可溶性である固体であるか;又はその分解温度より低い温度で融解する固体であり;並びに
液体金属前駆体は、0.5cP~20cPの周囲温度における粘度を有する);並びに
c.スプレーコーティング、ロールコーティング、ドクターブレードドローダウン(スキージ)、スピンコーティング、表面へのプーリング、過飽和蒸気の凝縮、インクジェット印刷、カーテンコーティング、ディップコーティング又はそれらの組み合わせによって、液体金属前駆体を表面に適用して伝導性金属膜を基材に堆積すること
を含む、伝導性金属膜を基材に堆積する方法。
【請求項3】
a.4:1以上のアスペクト比を有するトポグラフィーを有する表面を有する基材を提供すること;
b.0価の状態の金属及び少なくとも1つの中性安定化リガンドを有する中性(非荷電)金属化合物を含む液体金属前駆体を提供すること
(中性(非荷電)金属化合物が、ジコバルトヘキサカルボニルtert-ブチルアセチレン(Co2(CO)6HC≡CC(CH33)、(1-デシン)テトラコバルトドデカカルボニル(Co4(CO)12(C817C≡CH))、(1,6-ヘプタジイン)テトラコバルトドデカカルボニル、(2,2,6-トリメチル-3-ヘプチン)ジコバルトヘキサカルボニル、(2,2-ジメチル-3-オクチン)ジコバルトヘキサカルボニル(CCTNBA)、(2,2-ジメチル-3-デシン)ジコバルトヘキサカルボニル、(2,2-ジメチル-3-ヘプチン)ジコバルトヘキサカルボニル、(tert-ブチルメチルアセチレン)ジコバルトヘキサカルボニル(CCTMA)、トリルテニウムドデカカルボニル、(エチルベンゼン)(1,3-ブタジエン)ルテニウム、(イソプロピル-4-メチル-ベンゼン)(1,3-ブタジエン)ルテニウム、1,3,5-シクロヘプタトリエンジカルボニルルテニウム、1,3-シクロヘキサジエントリカルボニルルテニウム、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエントリカルボニルルテニウム、2,4-ヘキサジエントリカルボニルルテニウム、1,3-ペンタジエントリカルボニルルテニウム、(ベンゼン)(1,3-ブタジエン)ルテニウム、(ベンゼン)(2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン)ルテニウム、Co2Ru(CO)11、HCoRu3(CO)13、Ru3(CO)9(PPh2(CH23Si(OEt)33、ビス(シクロオクタジエン)ニッケル、ビス(トリ-tert-ブチルホスフィン)白金、ビス(トリ-tert-ブチルホスフィン)パラジウム及びそれらの組み合わせからなる群から選択され;
中性(非荷電)金属化合物は、液体、若しくは飽和の直鎖、分岐鎖及び環状炭化水素からなる群から選択される溶媒中に周囲温度で可溶性である固体であるか;又はその分解温度より低い温度で融解する固体であり;並びに
液体金属前駆体は、0.5cP~20cPの周囲温度における粘度を有する);並びに
c.スプレーコーティング、ロールコーティング、ドクターブレードドローダウン(スキージ)、スピンコーティング、表面へのプーリング、過飽和蒸気の凝縮、インクジェット印刷、カーテンコーティング、ディップコーティング又はそれらの組み合わせによって、液体金属前駆体を表面に適用して伝導性金属膜を基材に堆積すること
を含む、伝導性金属膜を基材に堆積する方法。
【請求項4】
溶媒が、n-ヘキサン、n-ペンタン、異性のヘキサン、オクタン、イソオクタン、デカン、ドデカン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、デカリン;ベンゼン、トルエン、キシレン(単一異性体又は異性体の混合物)、メシチレン、o-ジクロロベンゼン、ニトロベンゼンから構成される群から選択される芳香族溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリル又はベンゾニトリルから構成される群から選択されるニトリル;テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジグリム、テトラヒドロピラン、メチルテトラヒドロフラン、ブチルテトラヒドロフラン、p-ジオキサンから構成される群から選択されるエーテル;トリエチルアミン、ピペリジン、ピリジン、ピロリジン、モルホリンから構成される群から選択されるアミン;N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリジノン、N-シクロヘキシルピロリジノンから構成される群から選択されるアミド;式R45NR6OR7NR89、R4OR6NR89、O(CH2CH22NR4、R45NR6N(CH2CH22O、R45NR6OR7N(CH2CH22O、O(CH2CH22NR4OR6N(CH2CH22O(R4-9は直鎖又は分岐鎖のC1~C10アルキルからなる群から独立に選択される)を有するアミノエーテル;及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
中性(非荷電)金属化合物が、ジコバルトヘキサカルボニルtert-ブチルアセチレン(Co2(CO)6HC≡CC(CH33)、(1-デシン)テトラコバルトドデカカルボニル(Co4(CO)12(C817C≡CH))、(1,6-ヘプタジイン)テトラコバルトドデカカルボニル、(2,2,6-トリメチル-3-ヘプチン)ジコバルトヘキサカルボニル、(2,2-ジメチル-3-オクチン)ジコバルトヘキサカルボニル(CCTNBA)及びRu3(CO)9(PPh2(CH23Si(OEt)33からなる群から選択され;並びに
溶媒が、テトラヒドロフラン、オクタン、ヘキサン、トルエンからなる群から選択される、
請求項1又は3に記載の方法。
【請求項6】
液体金属前駆体が、≦90°の液体金属前駆体と表面との接触角で表面に適用される、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
液体金属前駆体が、1cP~10cPの周囲温度における粘度を有し;<45°の液体金属前駆体と表面との接触角で表面に適用される、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
可視光、赤外光又は紫外光;加熱された気体流;抵抗的に加熱された又は流体加熱されたサセプタ;誘導加熱されたサセプタからの伝導;電子線;イオンビーム;リモート水素プラズマ;ダイレクトアルゴン;ヘリウム又は水素プラズマ;真空;超音波;及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるエネルギーを液体金属前駆体に適用して金属を安定化するリガンドを分離することをさらに含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
水素、アンモニア、二ホウ素、シラン及びそれらの組み合わせからなる群から選択される還元性気体を使用する還元性雰囲気の下で、5分以上のアニール時間で、堆積後アニール処理を適用することをさらに含み、還元性雰囲気が窒素、アルゴン又は窒素とアルゴンとの組み合わせの不活性気体を任意選択でさらに含み、還元性雰囲気が300℃以上の温度であり;還元性気体が100sccm以上で流動する、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
a.4:1以上のアスペクト比を有するトポグラフィーを有する表面を有する基材;
b.0価の状態の金属及び少なくとも1つの中性安定化リガンドを有する中性(非荷電)金属化合物を含む液体金属前駆体
(金属は、Fe、Co、Ni、Ir、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Os及びそれらの組み合わせからなる群から選択され;
少なくとも1つの中性安定化リガンドは、一酸化炭素(CO);一酸化窒素(NO);二窒素(N2);アセチレン(C22);エチレン(C24);C4~C18ジエン又はC4~C18環状ジエン;C6~C18トリエン;C8~C18テトラエン;オルガノイソシアニドRNC(RはC1~C12直鎖又は分岐鎖のヒドロカルビル又はハロカルビルラジカルからなる群から選択される);有機ニトリルRCN(RはC1~C12ヒドロカルビル又はハロカルビルラジカルからなる群から選択される);オルガノホスフィンPR’3(R’はH、Cl、F、Br及びC1~C12ヒドロカルビル又はハロカルビルラジカルからなる群から選択される);アミンNRaRbRc(Ra、Rb及びRcは互いに結合されていてよく、それぞれはH又はC1~C12ヒドロカルビル若しくはハロカルビルラジカルから独立に選択される);有機エーテルR*OR**(R*及びR**は互いに結合されていてよく、それぞれはC1~C12ヒドロカルビル又はハロカルビルラジカルから独立に選択される);並びに一般式R1CCR2を有する末端又は内部アルキン(R1及びR2は、H、C1~C12直鎖、分岐鎖、環状又は芳香族のハロカルビル又はヒドロカルビルラジカル、シリル又はオルガノシリルラジカル、スタニル又はオルガノスタニルラジカル、及びそれらの組み合わせからなる群から独立に選択することができる)からなる群から選択され;
中性(非荷電)金属化合物は、液体、若しくは飽和の直鎖、分岐鎖及び環状炭化水素からなる群から選択される溶媒中に周囲温度で可溶性である固体であるか;又は分解温度より低い温度で融解する固体であり;並びに
液体金属前駆体は、0.5cP~20cPの周囲温度における粘度を有する);並びに
c.スプレーコーティング、ロールコーティング、ドクターブレードドローダウン(スキージ)、スピンコーティング、表面へのプーリング、過飽和蒸気の凝縮、インクジェット印刷、カーテンコーティング、ディップコーティング及びそれらの組み合わせからなる群から選択される堆積ツール
を含む、伝導性金属膜を基材に堆積するシステム。
【請求項11】
a.4:1以上のアスペクト比を有するトポグラフィーを有する表面を有する基材;
b.0価の状態の金属及び少なくとも1つの中性安定化リガンドを有する中性(非荷電)金属化合物を含む液体金属前駆体
(中性(非荷電)金属化合物が、
1Co2(CO)6(R1は直鎖又は分岐鎖のC2~C10アルキン、直鎖又は分岐鎖のC1~C10アルコキシアルキン、直鎖又は分岐鎖のC1~C10オルガノアミノアルキン、例えば(tert-ブチルアセチレン)ジコバルトヘキサカルボニル、(Co2(CO)6HC≡CC(CH33)である);
1CoFe(CO)7(R1は直鎖又は分岐鎖のC2~C10アルキン、直鎖又は分岐鎖のC1~C10アルコキシアルキン、直鎖又は分岐鎖のC1~C10オルガノアミノアルキンである);
2CCo3(CO)9(R2は水素、直鎖又は分岐鎖のC1~C10アルキル、直鎖又は分岐鎖のC1~C10アルコキシ、Cl、Br、COOH、COOMe、COOEtからなる群から選択される);
2CCo2Mn(CO)10(R2は水素、直鎖又は分岐鎖のC1~C10アルキル、直鎖又は分岐鎖のC1~C10アルコキシ、Cl、Br、COOH、COOMe、COOEtからなる群から選択される);
3Co4(CO)12(R3は直鎖又は分岐鎖のC1~C10アルケニリデンから選択される);並びに
4Ru3(CO)11(R4は二置換のアルキンRCCR♯♯からなる群から選択され、R及びR♯♯は、C1~C12の直鎖、分岐鎖、環状又は芳香族のハロカルビル又はヒドロカルビルラジカル、シリル又はオルガノシリルラジカル、スタニル又はオルガノスタニルラジカル、及びそれらの組み合わせからなる群から独立に選択することができる)
からなる群から選択され;
中性(非荷電)金属化合物は、液体、若しくは飽和の直鎖、分岐鎖及び環状炭化水素からなる群から選択される溶媒中に周囲温度で可溶性である固体であるか;又は分解温度より低い温度で融解する固体であり;並びに
液体金属前駆体は、0.5cP~20cPの周囲温度における粘度を有する);並びに
c.スプレーコーティング、ロールコーティング、ドクターブレードドローダウン(スキージ)、スピンコーティング、表面へのプーリング、過飽和蒸気の凝縮、インクジェット印刷、カーテンコーティング、ディップコーティング及びそれらの組み合わせからなる群から選択される堆積ツール
を含む、伝導性金属膜を基材に堆積するシステム。
【請求項12】
a.4:1以上のアスペクト比を有するトポグラフィーを有する表面を有する基材;
b.0価の状態の金属及び少なくとも1つの中性安定化リガンドを有する中性(非荷電)金属化合物を含む液体金属前駆体
(中性(非荷電)金属化合物が、ジコバルトヘキサカルボニルtert-ブチルアセチレン(Co2(CO)6HC≡CC(CH33)、(1-デシン)テトラコバルトドデカカルボニル(Co4(CO)12(C817C≡CH))、(1,6-ヘプタジイン)テトラコバルトドデカカルボニル、(2,2,6-トリメチル-3-ヘプチン)ジコバルトヘキサカルボニル、(2,2-ジメチル-3-オクチン)ジコバルトヘキサカルボニル(CCTNBA)、(2,2-ジメチル-3-デシン)ジコバルトヘキサカルボニル、(2,2-ジメチル-3-ヘプチン)ジコバルトヘキサカルボニル、(tert-ブチルメチルアセチレン)ジコバルトヘキサカルボニル(CCTMA)、トリルテニウムドデカカルボニル、(エチルベンゼン)(1,3-ブタジエン)ルテニウム、(イソプロピル-4-メチル-ベンゼン)(1,3-ブタジエン)ルテニウム、1,3,5-シクロヘプタトリエンジカルボニルルテニウム、1,3-シクロヘキサジエントリカルボニルルテニウム、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエントリカルボニルルテニウム、2,4-ヘキサジエントリカルボニルルテニウム、1,3-ペンタジエントリカルボニルルテニウム、(ベンゼン)(1,3-ブタジエン)ルテニウム、(ベンゼン)(2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン)ルテニウム、Co2Ru(CO)11、HCoRu3(CO)13、Ru3(CO)9(PPh2(CH23Si(OEt)33、ビス(シクロオクタジエン)ニッケル、ビス(トリ-tert-ブチルホスフィン)白金、ビス(トリ-tert-ブチルホスフィン)パラジウム及びそれらの組み合わせからなる群から選択され;
中性(非荷電)金属化合物は、液体、若しくは飽和の直鎖、分岐鎖及び環状炭化水素からなる群から選択される溶媒中に周囲温度で可溶性である固体であるか;又は分解温度より低い温度で融解する固体であり;並びに
液体金属前駆体は、0.5cP~20cPの周囲温度における粘度を有する);並びに
c.スプレーコーティング、ロールコーティング、ドクターブレードドローダウン(スキージ)、スピンコーティング、表面へのプーリング、過飽和蒸気の凝縮、インクジェット印刷、カーテンコーティング、ディップコーティング及びそれらの組み合わせからなる群から選択される堆積ツール
を含む、伝導性金属膜を基材に堆積するシステム。
【請求項13】
溶媒が、n-ヘキサン、n-ペンタン、異性のヘキサン、オクタン、イソオクタン、デカン、ドデカン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、デカリン;ベンゼン、トルエン、キシレン(単一異性体又は異性体の混合物)、メシチレン、o-ジクロロベンゼン、ニトロベンゼンから構成される群から選択される芳香族溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリル又はベンゾニトリルから構成される群から選択されるニトリル;テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジグリム、テトラヒドロピラン、メチルテトラヒドロフラン、ブチルテトラヒドロフラン、p-ジオキサンから構成される群から選択されるエーテル;トリエチルアミン、ピペリジン、ピリジン、ピロリジン、モルホリンから構成される群から選択されるアミン;N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリジノン、N-シクロヘキシルピロリジノンから構成される群から選択されるアミド;式R45NR6OR7NR89、R4OR6NR89、O(CH2CH22NR4、R45NR6N(CH2CH22O、R45NR6OR7N(CH2CH22O、O(CH2CH22NR4OR6N(CH2CH22O(R4-9は直鎖又は分岐鎖のC1~C10アルキルからなる群から独立に選択される)を有するアミノエーテル;及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項10~12のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項14】
液体金属前駆体が、1cP~10cPの周囲温度における粘度を有する、請求項10~12のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項15】
中性(非荷電)金属化合物が、ジコバルトヘキサカルボニルtert-ブチルアセチレン(Co2(CO)6HC≡CC(CH33)、(1-デシン)テトラコバルトドデカカルボニル(Co4(CO)12(C817C≡CH))、(1,6-ヘプタジイン)テトラコバルトドデカカルボニル、(2,2,6-トリメチル-3-ヘプチン)ジコバルトヘキサカルボニル、(2,2-ジメチル-3-オクチン)ジコバルトヘキサカルボニル(CCTNBA)及びRu3(CO)9(PPh2(CH23Si(OEt)33からなる群から選択され;並びに
溶媒が、テトラヒドロフラン、オクタン、ヘキサン、トルエンからなる群から選択される、
請求項10又は12に記載のシステム。
【請求項16】
0価の状態の金属及び少なくとも1つの中性安定化リガンドを有する中性(非荷電)金属化合物を含む液体金属前駆体であって、4:1以上のアスペクト比を有するトポグラフィーを有する表面を有する基材に伝導性金属膜を堆積するための液体金属前駆体を含有する容器
(金属は、Fe、Co、Ni、Ir、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Os及びそれらの組み合わせからなる群から選択され;
少なくとも1つの中性安定化リガンドは、一酸化炭素(CO);一酸化窒素(NO);二窒素(N2);アセチレン(C22);エチレン(C24);C4~C18ジエン又はC4~C18環状ジエン;C6~C18トリエン;C8~C18テトラエン;オルガノイソシアニドRNC(RはC1~C12直鎖又は分岐鎖のヒドロカルビル又はハロカルビルラジカルからなる群から選択される);有機ニトリルRCN(RはC1~C12ヒドロカルビル又はハロカルビルラジカルからなる群から選択される);オルガノホスフィンPR’3(R’はH、Cl、F、Br及びC1~C12ヒドロカルビル又はハロカルビルラジカルからなる群から選択される);アミンNRaRbRc(Ra、Rb及びRcは互いに結合されていてよく、それぞれはH又はC1~C12ヒドロカルビル若しくはハロカルビルラジカルから独立に選択される);有機エーテルR*OR**(R*及びR**は互いに結合されていてよく、それぞれはC1~C12ヒドロカルビル又はハロカルビルラジカルから独立に選択される);並びに一般式R1CCR2を有する末端又は内部アルキン(R1及びR2は、H、C1~C12直鎖、分岐鎖、環状又は芳香族のハロカルビル又はヒドロカルビルラジカル、シリル又はオルガノシリルラジカル、スタニル又はオルガノスタニルラジカル、及びそれらの組み合わせからなる群から独立に選択することができる)からなる群から選択され;
中性(非荷電)金属化合物は、液体、若しくは飽和の直鎖、分岐鎖及び環状炭化水素からなる群から選択される溶媒中に周囲温度で可溶性である固体であるか;又は分解温度より低い温度で融解する固体であり;
液体金属前駆体は、0.5cP~20cPの周囲温度における粘度を有し;並びに
容器は、液体金属前駆体の表面の下に延在する浸漬チューブを有する)。
【請求項17】
末端又は内部アルキンが、プロピン、1-ブチン、3-メチル-1-ブチン、3,3-ジメチル-1-ブチン、1-ペンチン、1-ヘキシン、1-デシン、シクロヘキシルアセチレン、フェニルアセチレン、2-ブチン、3-ヘキシン、4,4-ジメチル-2-ペンチン、5,5-ジメチル-3-ヘキシン、2,2,5,5-テトラメチル-3-ヘキシン、トリメチルシリルアセチレン、フェニルアセチレン、ジフェニルアセチレン、トリクロロシリルアセチレン、トリフルオロメチルアセチレン、シクロヘキシルアセチレン、トリメチルスタニルアセチレン及びそれらの組み合わせからなる群から選択され;
オルガノホスフィンが、ホスフィン(PH3)、三塩化リン(PCl3)、三フッ化リン(PF3)、トリメチルホスフィン(P(CH33)、トリエチルホスフィン(P(C253)、トリブチルホスフィン(P(C493)、トリフェニルホスフィン(P(C653)、トリス(トリル)ホスフィン(P(C773)、ジメチルホスフィノエタン((CH32PCH2CH2P(CH32)、ジフェニルホスフィノエタン((C652PCH2CH2P(C652)及びそれらの組み合わせからなる群から選択され;
有機イソシアニドが、メチルイソシアニド(CH3NC)、エチルイソシアニド(C25NC)、t-ブチルイソシアニド((CH33CNC)、フェニルイソシアニド(C65NC)、トリルイソシアニド(C77NC)、トリフルオロメチルイソシアニド(F3CNC)及びそれらの組み合わせからなる群から選択され;
アミンが、アンモニア(NH3)、トリメチルアミン((CH33N)、ピペリジン、エチレンジアミン、ピリジン及びそれらの組み合わせからなる群から選択され;
エーテルが、ジメチルエーテル(CH3OCH3)、ジエチルエーテル(C25OC25)、メチルtertブチルエーテル(CH3OC(CH33)、テトラヒドロフラン、フラン、エチレングリコールジメチルエーテル(CH3OCH2CH2OCH3)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(CH3OCH2CH2OCH2CH2OCH3)及びそれらの組み合わせの例からなる群から選択され;並びに
有機ニトリルが、アセトニトリル(CH3CN)、プロピオニトリル(C25CN)、ベンゾニトリル(C65CN)、アクリロニトリル(C23CN)及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、
請求項16に記載の容器。
【請求項18】
0価の状態の金属及び少なくとも1つの中性安定化リガンドを有する中性(非荷電)金属化合物を含む液体金属前駆体であって、4:1以上のアスペクト比を有するトポグラフィーを有する表面を有する基材に伝導性金属膜を堆積するための液体金属前駆体を含有する容器
(中性(非荷電)金属化合物が、
a.R1Co2(CO)6(R1は直鎖又は分岐鎖のC2~C10アルキン、直鎖又は分岐鎖のC1~C10アルコキシアルキン、直鎖又は分岐鎖のC1~C10オルガノアミノアルキン、例えば(tert-ブチルアセチレン)ジコバルトヘキサカルボニル、(Co2(CO)6HC≡CC(CH33)である);
b.R1CoFe(CO)7(R1は直鎖又は分岐鎖のC2~C10アルキン、直鎖又は分岐鎖のC1~C10アルコキシアルキン、直鎖又は分岐鎖のC1~C10オルガノアミノアルキンである);
c.R2CCo3(CO)9(R2は水素、直鎖又は分岐鎖のC1~C10アルキル、直鎖又は分岐鎖のC1~C10アルコキシ、Cl、Br、COOH、COOMe、COOEtからなる群から選択される);
d.R2CCo2Mn(CO)10(R2は水素、直鎖又は分岐鎖のC1~C10アルキル、直鎖又は分岐鎖のC1~C10アルコキシ、Cl、Br、COOH、COOMe、COOEtからなる群から選択される);
e.R3Co4(CO)12(R3は直鎖又は分岐鎖のC1~C10アルケニリデンから選択される);並びに
f.R4Ru3(CO)11(R4は二置換のアルキンRCCR♯♯からなる群から選択され、R及びR♯♯は、C1~C12の直鎖、分岐鎖、環状又は芳香族のハロカルビル又はヒドロカルビルラジカル、シリル又はオルガノシリルラジカル、スタニル又はオルガノスタニルラジカル、及びそれらの組み合わせからなる群から独立に選択することができる)
からなる群から選択され;
中性(非荷電)金属化合物は、液体、若しくは飽和の直鎖、分岐鎖及び環状炭化水素からなる群から選択される溶媒中に周囲温度で可溶性である固体であるか;又は分解温度より低い温度で融解する固体であり;
液体金属前駆体は、0.5cP~20cPの周囲温度における粘度を有し;並びに
容器は、液体金属前駆体の表面の下に延在する浸漬チューブを有する)。
【請求項19】
0価の状態の金属及び少なくとも1つの中性安定化リガンドを有する中性(非荷電)金属化合物を含む液体金属前駆体であって、4:1以上のアスペクト比を有するトポグラフィーを有する表面を有する基材に伝導性金属膜を堆積するための液体金属前駆体を含有する容器
(中性(非荷電)金属化合物が、ジコバルトヘキサカルボニルtert-ブチルアセチレン(Co2(CO)6HC≡CC(CH33)、(1-デシン)テトラコバルトドデカカルボニル(Co4(CO)12(C817C≡CH))、(1,6-ヘプタジイン)テトラコバルトドデカカルボニル、(2,2,6-トリメチル-3-ヘプチン)ジコバルトヘキサカルボニル、(2,2-ジメチル-3-オクチン)ジコバルトヘキサカルボニル(CCTNBA)、(2,2-ジメチル-3-デシン)ジコバルトヘキサカルボニル、(2,2-ジメチル-3-ヘプチン)ジコバルトヘキサカルボニル、(tert-ブチルメチルアセチレン)ジコバルトヘキサカルボニル(CCTMA)、トリルテニウムドデカカルボニル、(エチルベンゼン)(1,3-ブタジエン)ルテニウム、(イソプロピル-4-メチル-ベンゼン)(1,3-ブタジエン)ルテニウム、1,3,5-シクロヘプタトリエンジカルボニルルテニウム、1,3-シクロヘキサジエントリカルボニルルテニウム、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエントリカルボニルルテニウム、2,4-ヘキサジエントリカルボニルルテニウム、1,3-ペンタジエントリカルボニルルテニウム、(ベンゼン)(1,3-ブタジエン)ルテニウム、(ベンゼン)(2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン)ルテニウム、Co2Ru(CO)11、HCoRu3(CO)13、Ru3(CO)9(PPh2(CH23Si(OEt)33、ビス(シクロオクタジエン)ニッケル、ビス(トリ-tert-ブチルホスフィン)白金、ビス(トリ-tert-ブチルホスフィン)パラジウム及びそれらの組み合わせからなる群から選択され;
中性(非荷電)金属化合物は、液体、若しくは飽和の直鎖、分岐鎖及び環状炭化水素からなる群から選択される溶媒中に周囲温度で可溶性である固体であるか;又は分解温度より低い温度で融解する固体であり;
液体金属前駆体は、0.5cP~20cPの周囲温度における粘度を有し;並びに
容器は、液体金属前駆体の表面の下に延在する浸漬チューブを有する)。
【請求項20】
溶媒が、n-ヘキサン、n-ペンタン、異性のヘキサン、オクタン、イソオクタン、デカン、ドデカン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、デカリン;ベンゼン、トルエン、キシレン(単一異性体又は異性体の混合物)、メシチレン、o-ジクロロベンゼン、ニトロベンゼンから構成される群から選択される芳香族溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリル又はベンゾニトリルから構成される群から選択されるニトリル;テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジグリム、テトラヒドロピラン、メチルテトラヒドロフラン、ブチルテトラヒドロフラン、p-ジオキサンから構成される群から選択されるエーテル;トリエチルアミン、ピペリジン、ピリジン、ピロリジン、モルホリンから構成される群から選択されるアミン;N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリジノン、N-シクロヘキシルピロリジノンから構成される群から選択されるアミド;式R45NR6OR7NR89、R4OR6NR89、O(CH2CH22NR4、R45NR6N(CH2CH22O、R45NR6OR7N(CH2CH22O、O(CH2CH22NR4OR6N(CH2CH22O(R4-9は直鎖又は分岐鎖のC1~C10アルキルからなる群から独立に選択される)を有するアミノエーテル;及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項16~19のいずれか1項に記載の容器。
【請求項21】
液体金属前駆体が、1cP~10cPの周囲温度における粘度を有する、請求項16~19のいずれか1項に記載の容器。
【請求項22】
中性(非荷電)金属化合物が、ジコバルトヘキサカルボニルtert-ブチルアセチレン(Co2(CO)6HC≡CC(CH33)、(1-デシン)テトラコバルトドデカカルボニル(Co4(CO)12(C817C≡CH))、(1,6-ヘプタジイン)テトラコバルトドデカカルボニル、(2,2,6-トリメチル-3-ヘプチン)ジコバルトヘキサカルボニル、(2,2-ジメチル-3-オクチン)ジコバルトヘキサカルボニル(CCTNBA)及びRu3(CO)9(PPh2(CH23Si(OEt)33からなる群から選択され;並びに
溶媒が、テトラヒドロフラン、オクタン、ヘキサン、トルエンからなる群から選択される、
請求項16、17又は19に記載の容器。
【請求項23】
ジコバルトヘキサカルボニルtert-ブチルアセチレン(Co2(CO)6HC≡CC(CH33)、(1-デシン)テトラコバルトドデカカルボニル(Co4(CO)12(C817C≡CH))、(1,6-ヘプタジイン)テトラコバルトドデカカルボニル、(2,2,6-トリメチル-3-ヘプチン)ジコバルトヘキサカルボニル、(2,2-ジメチル-3-オクチン)ジコバルトヘキサカルボニル(CCTNBA)及びRu3(CO)9(PPh2(CH23Si(OEt)33からなる群から選択される中性(非荷電)金属化合物;並びに
テトラヒドロフラン、オクタン、ヘキサン、トルエンからなる群から選択される溶媒
を含む液体金属前駆体であって、0.5cP~20cPの周囲温度における粘度を有する液体金属前駆体を使用することによって、4:1以上のアスペクト比を有するトポグラフィーを有する表面に堆積された伝導性金属膜。
【請求項24】
スプレーコーティング、ロールコーティング、スピンコーティング、インクジェット印刷、ディップコーティング及びそれらの組み合わせによって堆積された、請求項23に記載の伝導性金属膜。
【請求項25】
周囲温度において1×10-4Ωcm以下の電気伝導性を有する、請求項23に記載の伝導性金属膜。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年4月6日に出願された米国仮出願62/653753号及び2019年5月26日に出願された米国出願第16/365109号に対して優先権を主張し、その全体は参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、半導体装置の製造プロセス技術及び関連する装置に関する。特に、液体として又は適した溶媒中の溶液として、化合物を含有する金属要素を使用する膜堆積を実施するための技術に関する。
【背景技術】
【0003】
伝導性の配線又はビアを半導体装置に取り付けるための多くの従来の手段が存在する。1つの手段は、熱、イオンビーム又は他のエネルギー源の適用による、金属ターゲットから半導体ウエハ表面への、金属又は合金の蒸発又はスパッタリングなどの物理プロセスを包含する物理蒸着を行うことである。1つは、蒸気相中の金属前駆体又は金属ハロゲン化物前駆体が選択的に表面に分解されるか又は化学的に還元される化学蒸着である。化学蒸着の下位集合は、レイヤーバイレイヤー法で金属前駆体及び還元剤を順次表面に接触させて金属膜を成長させる原子層堆積である。一般に採用される他の技術は、ウエハが、電解液でコートされて、カソードとして働く基材とともに直列電気回路に接続される電気めっきを含む。電流が流れるとき、電解液中で溶解した金属イオンは、カソードの表面に化学的に還元される。当分野において公知である他の技術は、溶媒中に溶解した金属イオン及び化学還元剤の混合物が基材に接触する無電解堆積を含む。表面によって触媒作用を及ぼされた化学反応は、還元剤の金属イオンとの反応をもたらして還元された金属コーティングを形成する。
【0004】
先行技術の相互接続メタライゼーションの例は、米国特許第6048445号明細書、米国特許第5151168号明細書、米国特許第5674787号明細書である。
【0005】
先行技術には多くの難点が存在する。特に、それらの技術の多くは、特に物理蒸着において、高いアスペクト比の形状(すなわち、入口での幅と比べて深さがかなりある形状)を完全に充填することに有意な難点を有する。気相プロセスはまた、典型的には、凹状の形状(すなわち、狭い入口を有するが表面の下で側方に広がった形状)を完全に充填することができない。不完全な充填は、高抵抗のスポットをもたらす場合があり、電流変動をもたらす場合があり、局在的な加熱又は悪化したエレクトロマイグレーションもまたもたらす場合がある。
【0006】
原子層堆積(ALD)は、原理的には、複雑な高いアスペクト比形状を充填することができるが、実際にはしばしば、それぞれの側壁から内側に成長する堆積が合わさるところでシーム(seam)を残す。このようなシームは、同様に、相互接続回路の電気的性能における望ましくない欠陥をもたらす場合がある。
【0007】
電気めっきは、種層が堆積することを必要とし、テクノロジーの進歩に伴って形状の程度が小さくなるに伴い、このことはますます困難になる。
【0008】
他の先行技術の難点は、相互接続回路の許容可能な電気的伝導性を達成することである。
【0009】
米国特許第8232647号明細書は、従来のメタライゼーションにおけるいわゆるキーホール欠陥形成又はシームを処理する1つの手法を説明している。
【0010】
東京エレクトロンによる特開2012-012647号公報(国際公開第2011/63235号)は、金属複合体を有する溶媒を表面に堆積する、不活性雰囲気下でのスピントラック(spin track)の使用を開示している。この特許は、前駆体を含有するアルミニウムに注目しているが、銀、金又は銅についてのものも開示している。この適用のための適した複合体、0価の金属複合体の使用、それらの予備アグロメレーション、液体を使用するための好ましいもの又は低融点複合体についての好ましい説明もまたない。参照されたアルミニウム化合物は、Al(III)水素化物及びそのアミン付加物であった。このような化合物は還元的脱離によって分解する、すなわちリガンドそれ自体が還元剤として作用する。
【0011】
上でまた参照されるApplied Materialsによる米国特許第6852626号明細書は、金属銅膜を堆積するための、金属複合体、詳細にはCu(I)ヘキサフルオロアセチルアセトナト(トリメチルビニルシリル)(Cu(I)hfac(tmvs))の、表面における分解を開示している。銅金属は、Cu(II)及びCu(O)への不均化によって形成される。
【0012】
JSRによる米国特許第9653306号明細書は、自己整合コバルトシリサイド薄膜を形成するために、0価のCo前駆体のケイ素前駆体(シラン又はハロシラン)との使用を詳細に説明している。
【0013】
Maria Careriらは、Journal of Chromatography、634、(1993)、143~148で、3核ルテニウムアセチリド-カルボニル化合物の高性能液体クロマトグラフィーを調査した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従って、前駆体の開発はなくてはならず、回路経路を最大に充填する制御された境界を有する高純度の膜のために必要である。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本明細書において説明されるのは、トポグラフィーを有する表面への伝導性金属膜の堆積である。本発明は、中性(非荷電)金属化合物を、金属原子が0価の状態である、及び非荷電の揮発性種として安定なリガンドによって安定化される前駆体として使用する。
【0016】
半導体基材において、へこみでパターン付けされた表面に伝導性経路を作るために、金属化合物を液体として又は適した溶媒中の溶液として含有する液体金属前駆体が表面に適用される。毛細管作用によってこの液体で、任意選択で液体の表面張力によって表面の上部に保たれた過剰の液体でへこんだ領域が充填されるように、液体のプールを、不活性状態で公知の仕方によって表面に広げることができる。次いで、基材は、任意選択の溶媒及び安定化リガンドの幾つかの蒸発をもたらす加熱を受け、前駆体の部分分解をもたらして、安定化リガンドの多くを放出して伝導性金属固体を残す一方で、さらなる加熱によってへこみ中で合体する、アグロメレートされた金属クラスター又はナノ粒子を形成する。本発明の好ましい実施態様において、金属固体は、基材の表面に最初に存在する部分的又は実質的に高アスペクト比の又は凹状の形状における隙間又はへこみを充填して、それによって隙間充填を可能とする。
【0017】
このプロセスのために最もよく適した金属前駆体は、0価の状態の金属及び少なくとも1つの中性安定化リガンドを有する中性(非荷電)金属化合物を含む。
【0018】
それは中性分子として放出することができる。
【0019】
中性(非荷電)金属化合物は、液体、若しくは飽和の直鎖、分岐鎖及び環状炭化水素からなる群から選択される溶媒中に周囲温度(15℃~25℃と画定される)で可溶性である固体であるか;又は分解温度より低い温度で融解する固体であってよい。
【0020】
金属前駆体は、中性(非荷電)金属化合物、又は溶媒を有する中性(非荷電)金属化合物を含む。
【0021】
液体金属前駆体は、0.5cP~20cP、好ましくは1cP~10cP、より好ましくは2cP~5cPの周囲温度における粘度を有する。
【0022】
適した金属の例は、コバルト、ルテニウム、イリジウム、ロジウム、鉄、オスミウム、ニッケル、白金、パラジウム、銅、銀、金及びそれらの組み合わせを含むがそれらに限定されない。
【0023】
適した中性安定化リガンドは、一酸化炭素(CO)、一酸化窒素(NO)、二窒素(N2)、アセチレン(C22)、エチレン(C24)、C4~C18ジエン又はC4~C18環状ジエン、C6~C18トリエン、C8~C18テトラエン、オルガノイソシアニドRNC(R=C1~C12直鎖又は分岐鎖のヒドロカルビル又はハロカルビルラジカル);有機ニトリルRCN(R=C1~C12ヒドロカルビル又はハロカルビルラジカル);オルガノホスフィンPR’3(R’=H、Cl、F、Br又はC1~C12ヒドロカルビル若しくはハロカルビルラジカル);アミンNRaRbRc(Ra、Rb及びRcは、H又はC1~C12ヒドロカルビル若しくはハロカルビルラジカルから独立に選択することができ、それらは互いに結合されていてよい);一般式R*OR**を有する有機エーテル(R*及びR**は、C1~C12ヒドロカルビル又はハロカルビルラジカルから独立に選択することができ、互いに結合されていてよい);並びに一般式R1CCR2を有する末端又は内部アルキン(R1及びR2は、H、C1~C12直鎖、分岐鎖、環状又は芳香族のハロカルビル又はヒドロカルビルラジカル、シリル又はオルガノシリルラジカル(例えばSi(CH33、SiCl3)、スタニル又はオルガノスタニルラジカル、及びそれらの組み合わせから独立に選択することができる)を含むがそれらに限定されない。
【0024】
適した金属前駆体は、
1Co2(CO)6(R1は直鎖又は分岐鎖のC2~C10アルキン、直鎖又は分岐鎖のC1~C10アルコキシアルキン、直鎖又は分岐鎖のC1~C10オルガノアミノアルキン、例えば(tert-ブチルアセチレン)ジコバルトヘキサカルボニル、(Co2(CO)6HC≡CC(CH33)である);
1CoFe(CO)7(R1は直鎖又は分岐鎖のC2~C10アルキン、直鎖又は分岐鎖のC1~C10アルコキシアルキン、直鎖又は分岐鎖のC1~C10オルガノアミノアルキンである);
2CCo3(CO)9(R2は水素、直鎖又は分岐鎖のC1~C10アルキル、直鎖又は分岐鎖のC1~C10アルコキシ、Cl、Br、COOH、COOMe、COOEtからなる群から選択される);
2CCo2Mn(CO)10(R2は水素、直鎖又は分岐鎖のC1~C10アルキル、直鎖又は分岐鎖のC1~C10アルコキシ、Cl、Br、COOH、COOMe、COOEtからなる群から選択される);
3Co4(CO)12(R3は直鎖又は分岐鎖のC1~C10アルケニリデンから選択される);並びに
4Ru3(CO)11(R4は二置換のアルキンRCCR♯♯から選択され、R及びR♯♯は、C1~C12の直鎖、分岐鎖、環状又は芳香族のハロカルビル又はヒドロカルビルラジカル、シリル又はオルガノシリルラジカル(例えばSi(CH33、SiCl3)、スタニル又はオルガノスタニルラジカル、及びそれらの組み合わせから独立に選択することができる)
を含むがそれらに限定されない。
【0025】
金属前駆体の適した例は、ジコバルトヘキサカルボニルtert-ブチルアセチレン(Co2(CO)6HC≡CC(CH33)、(1-デシン)テトラコバルトドデカカルボニル(Co4(CO)12(C817C≡CH))、(1,6-ヘプタジイン)テトラコバルトドデカカルボニル、(2,2,6-トリメチル-3-ヘプチン)ジコバルトヘキサカルボニル、(2,2-ジメチル-3-オクチン)ジコバルトヘキサカルボニル(CCTNBA)、(2,2-ジメチル-3-デシン)ジコバルトヘキサカルボニル、(2,2-ジメチル-3-ヘプチン)ジコバルトヘキサカルボニル、(tert-ブチルメチルアセチレン)ジコバルトヘキサカルボニル(CCTMA)、トリルテニウムドデカカルボニル、(エチルベンゼン)(1,3-ブタジエン)ルテニウム、(イソプロピル-4-メチル-ベンゼン)(1,3-ブタジエン)ルテニウム、1,3,5-シクロヘプタトリエンジカルボニルルテニウム、1,3-シクロヘキサジエントリカルボニルルテニウム、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエントリカルボニルルテニウム、2,4-ヘキサジエントリカルボニルルテニウム、1,3-ペンタジエントリカルボニルルテニウム、(ベンゼン)(1,3-ブタジエン)ルテニウム、(ベンゼン)(2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン)ルテニウム、Co2Ru(CO)11、HCoRu3(CO)13、Ru3(CO)9(PPh2(CH23Si(OEt)33、ビス(ベンゼン)クロム、ビス(シクロオクタジエン)ニッケル、ビス(トリ-tert-ブチルホスフィン)白金、ビス(トリ-tert-ブチルホスフィン)パラジウム、及びそれらの組み合わせを含むがそれらに限定されない。
【0026】
別の態様において、本明細書において説明されるのは、
a.トポグラフィーを有する表面を有する基材を提供すること;
b.上で開示される金属前駆体を提供すること;及び
d.金属前駆体を表面に適用して、伝導性金属膜を基材に堆積すること
を含む、伝導性金属フィルムを基材に堆積する方法である。
【0027】
堆積方法は、スプレーコーティング、ロールコーティング、ドクターブレードドローダウン(スキージ)、スピンコーティング、表面へのプーリング、過飽和蒸気の凝縮、インクジェット印刷、カーテンコーティング、ディップコーティング及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0028】
金属前駆体が液体であるとき、金属前駆体は≦90°、好ましくは≦45°、より好ましくは≦30°の金属前駆体と表面との接触角で適用される。
【0029】
方法は、エネルギーを金属前駆体に適用して金属を安定化するリガンドを分離することをさらに含んでよく;エネルギーは、可視光、赤外光、紫外光;加熱された気体流;抵抗的に加熱された又は流体加熱されたサセプタ;誘導加熱されたサセプタからの伝導;電子線;イオンビーム;リモート水素プラズマ;ダイレクトアルゴン;ヘリウム又は水素プラズマ;真空;超音波;及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0030】
方法は、堆積後アニール処理を適用することを追加で含むことができる。
【0031】
別の態様において、本明細書において説明されるのは、
a.トポグラフィーを有する表面を有する基材;
b.上で開示される金属前駆体;並びに
c.スプレーコーティング、ロールコーティング、ドクターブレードドローダウン(スキージ)、スピンコーティング、表面へのプーリング、過飽和蒸気の凝縮、インクジェット印刷、カーテンコーティング、ディップコーティング及びそれらの組み合わせからなる群から選択される堆積ツール
を含む、伝導性金属膜を基材に堆積するためのシステムである。
【0032】
さらに別の態様において、本明細書において説明されるのは、上で開示される金属前駆体を含有する容器である。容器は、堆積サイトへの前駆体の運搬を促進するための、液体金属前駆体の表面の下に延在する浸漬チューブを有していてよい。
【0033】
さらに別の態様において、本明細書において説明されるのは、上で開示される液体金属前駆体及び方法を使用することによってトポグラフィーを有する表面に堆積された伝導性金属膜である。伝導性金属膜は、周囲温度において1×10-4Ωcm以下の電気伝導性を有する。
【0034】
本発明は、添付の図面とともに下で説明され、同様の符号は同様の要素を意味する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】窒素フローの下で測定された(1-デシン)テトラコバルトドデカカルボニルについての熱重量分析(TGA)データを示す。
図2】従来の適用におけるウエハクーポンに堆積された典型的な伝導性コバルト含有膜を示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
詳細な説明を確実にすることは、好ましい例示的な実施態様のみを提供し、本発明の範囲、適用性又は構成を限定することを意図していない。逆に、好ましい例示的な実施態様の詳細な説明を確実にすることは、当業者に本発明の好ましい例示的な実施態様を実行するための、それを可能にする説明を提供する。様々な変化を、要素の機能及び配置で、添付の特許請求の範囲で定める本発明の意図及び範囲から逸脱することなく生じさせることができる。
【0037】
特許請求の範囲において、文字は請求される方法の工程を特定するために使用される場合がある(例えばa、b及びc)。請求される工程が実施される順序が具体的に特許請求の範囲において記載されない限り、及び記載される範囲に限り、これらの文字は、方法の工程を参照することを目的として使用され、工程が実施される順序を表すことは意図されない。
【0038】
本発明は、中性(非荷電)金属化合物を、金属原子が0価の状態である、及び非荷電の揮発性種として安定なリガンドによって安定化される前駆体として使用して、伝導性金属膜を、トポグラフィーを有する表面に堆積する。
【0039】
絶縁材料において、へこみでパターン付けされた表面に伝導性経路を作るために;金属化合物を液体として又は適した溶媒中の溶液として含有する液体金属前駆体が表面に適用される。毛細管作用によってこの液体で、任意選択で液体の表面張力によって表面の上部に保たれた過剰の液体でへこんだ領域が充填されるように、液体のプールを、不活性状態で公知の仕方によって広げることができる。次いで、基材は、任意選択の溶媒、及び安定化リガンドの幾つかの蒸発をもたらす加熱を受け、前駆体の部分分解をもたらして、安定化リガンドの多くを放出して伝導性金属固体を残す一方でさらなる加熱によってへこみ中で合体する、アグロメレートされた金属クラスター又はナノ粒子を形成する。
【0040】
トポグラフィー又は形状が高いアスペクト比を有するとき、この方法は特に有利である。表面の形状のアスペクト比(深さ:幅)は、もし存在すれば、4:1以上、10:1以上、20:1以上又は40:1以上である。
【0041】
中性(非荷電)金属化合物は、最も有利には、液体、又はその分解温度より低い温度で融解するか、若しくは適した溶媒中で高い溶解性を有する固体であってよい。
【0042】
金属前駆体は、中性(非荷電)金属化合物、又は溶媒を有する中性(非荷電)金属化合物を含む。
【0043】
表面におけるトポグラフィーへの金属前駆体の輸送を促進するために、金属前駆体は低粘度の液体の形態であるべきである。
【0044】
中性(非荷電)金属化合物が周囲温度で固体又は粘性のある液体である場合、都合の良いことには、それは適した溶媒中の溶液として提供することができる。周囲温度におけるこの液体の粘度は、0.5cP~20cP、好ましくは1cP~10cP、最も好ましくは2cP~5cPであるべきである。
【0045】
中性(非荷電)金属前駆体のための適した金属は、遷移金属系の全ての元素、とりわけFe、Co、Ni、Ru、Ir、Rh、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Os及びそれらの組み合わせを含む。
【0046】
適したリガンドは、一酸化炭素(CO)、一酸化窒素(NO)、二窒素(N2)、アセチレン(C22)、エチレン(C24)、ジエン、トリエン、テトラエン、環状ジエン、オルガノイソシアニドRNC(R=C1~C12直鎖又は分岐鎖のヒドロカルビル又はハロカルビルラジカル);有機ニトリルRCN(R=C1~C12ヒドロカルビル又はハロカルビルラジカル);オルガノホスフィンPR’3(R’=H、Cl、F、Br又はC1~C12ヒドロカルビル若しくはハロカルビルラジカル);アミンNRaRbRc(Ra、Rb及びRcは、H又はC1~C12ヒドロカルビル若しくはハロカルビルラジカルから独立に選択することができ、それらは互いに結合されていてよい);一般式R*OR**を有する有機エーテル(R*及びR**は、C1~C12ヒドロカルビル又はハロカルビルラジカルから独立に選択することができ、互いに結合されていてよい);並びに一般式R1CCR2を有する末端又は内部アルキン(R1及びR2は、H、C1~C12直鎖、分岐鎖、環状又は芳香族のハロカルビル又はヒドロカルビルラジカル、シリル又はオルガノシリルラジカル(例えばSi(CH33、SiCl3)、スタニル又はオルガノスタニルラジカルから独立に選択することができる)を含むがそれらに限定されない。
【0047】
末端又は内部アルキンの例は、プロピン、1-ブチン、3-メチル-1-ブチン、3,3-ジメチル-1-ブチン、1-ペンチン、1-ヘキシン、1-デシン、シクロヘキシルアセチレン、フェニルアセチレン、2-ブチン、3-ヘキシン、4,4-ジメチル-2-ペンチン、5,5-ジメチル-3-ヘキシン、2,2,5,5-テトラメチル-3-ヘキシン、トリメチルシリルアセチレン、フェニルアセチレン、ジフェニルアセチレン、トリクロロシリルアセチレン、トリフルオロメチルアセチレン、シクロヘキシルアセチレン、トリメチルスタニルアセチレンを含むがそれらに限定されない。
【0048】
オルガノホスフィンの例は、ホスフィン(PH3)、三塩化リン(PCl3)、三フッ化リン(PF3)、トリメチルホスフィン(P(CH33)、トリエチルホスフィン(P(C253)、トリブチルホスフィン(P(C493)、トリフェニルホスフィン(P(C653)、トリス(トリル)ホスフィン(P(C773)、ジメチルホスフィノエタン((CH32PCH2CH2P(CH32)、ジフェニルホスフィノエタン((C652PCH2CH2P(C652)を含むがそれらに限定されない。
【0049】
有機イソシアニドの例は、メチルイソシアニド(CH3NC)、エチルイソシアニド(C25NC)、t-ブチルイソシアニド((CH33CNC)、フェニルイソシアニド(C65NC)、トリルイソシアニド(C77NC)、トリフルオロメチルイソシアニド(F3CNC)を含むがそれらに限定されない。
【0050】
アミンの例は、アンモニア(NH3)、トリメチルアミン((CH33N)、ピペリジン、エチレンジアミン、ピリジンを含むがそれらに限定されない。
【0051】
エーテルの例は、ジメチルエーテル(CH3OCH3)、ジエチルエーテル(C25OC25)、メチルtertブチルエーテル(CH3OC(CH33)、テトラヒドロフラン、フラン、エチレングリコールジメチルエーテル(CH3OCH2CH2OCH3)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(CH3OCH2CH2OCH2CH2OCH3)を含むがそれらに限定されない。
【0052】
有機ニトリルの例は、アセトニトリル(CH3CN)、プロピオニトリル(C25CN)、ベンゾニトリル(C65CN)及びアクリロニトリル(C23CN)を含むがそれらに限定されない。
【0053】
中性(非荷電)金属前駆体の例は、
1Co2(CO)6(R1は直鎖又は分岐鎖のC2~C10アルキン、直鎖又は分岐鎖のC1~C10アルコキシアルキン、直鎖又は分岐鎖のC1~C10オルガノアミノアルキン、例えば(tert-ブチルアセチレン)ジコバルトヘキサカルボニル、(Co2(CO)6HC≡CC(CH33)である);
1CoFe(CO)7(R1は直鎖又は分岐鎖のC2~C10アルキン、直鎖又は分岐鎖のC1~C10アルコキシアルキン、直鎖又は分岐鎖のC1~C10オルガノアミノアルキンである);
2CCo3(CO)9(R2は水素、直鎖又は分岐鎖のC1~C10アルキル、直鎖又は分岐鎖のC1~C10アルコキシ、Cl、Br、COOH、COOMe、COOEtからなる群から選択される);
2CCo2Mn(CO)10(R2は水素、直鎖又は分岐鎖のC1~C10アルキル、直鎖又は分岐鎖のC1~C10アルコキシ、Cl、Br、COOH、COOMe、COOEtからなる群から選択される);
3Co4(CO)12(R3は直鎖又は分岐鎖のC1~C10アルケニリデンから選択される);
4Ru3(CO)11(R4は二置換のアルキンRCCR♯♯から選択され、R及びR♯♯は、C1~C12直鎖、分岐鎖、環状又は芳香族のハロカルビル又はヒドロカルビルラジカル、シリル又はオルガノシリルラジカル(例えばSi(CH33、SiCl3)、スタニル又はオルガノスタニルラジカル、及びそれらの組み合わせから独立に選択することができる)
を含むがそれらに限定されない。
【0054】
中性(非荷電)金属前駆体の例は、ジコバルトヘキサカルボニルtert-ブチルアセチレン(Co2(CO)6HC≡CC(CH33)、(1-デシン)テトラコバルトドデカカルボニル(Co4(CO)12(C817C≡CH))、(1,6-ヘプタジイン)テトラコバルトドデカカルボニル、(2,2,6-トリメチル-3-ヘプチン)ジコバルトヘキサカルボニル、(2,2-ジメチル-3-オクチン)ジコバルトヘキサカルボニル(CCTNBA)、(2,2-ジメチル-3-デシン)ジコバルトヘキサカルボニル、(2,2-ジメチル-3-ヘプチン)ジコバルトヘキサカルボニル、(tert-ブチルメチルアセチレン)ジコバルトヘキサカルボニル(CCTMA)、トリルテニウムドデカカルボニル、(エチルベンゼン)(1,3-ブタジエン)ルテニウム、(イソプロピル-4-メチル-ベンゼン)(1,3-ブタジエン)ルテニウム、1,3,5-シクロヘプタトリエンジカルボニルルテニウム、1,3-シクロヘキサジエントリカルボニルルテニウム、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエントリカルボニルルテニウム、2,4-ヘキサジエントリカルボニルルテニウム、1,3-ペンタジエントリカルボニルルテニウム、(ベンゼン)(1,3-ブタジエン)ルテニウム、(ベンゼン)(2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン)ルテニウム、Co2Ru(CO)11、HCoRu3(CO)13、Ru3(CO)9(PPh2(CH23Si(OEt)33、ビス(ベンゼン)クロム、ビス(シクロオクタジエン)ニッケル、ビス(トリ-tert-ブチルホスフィン)白金及びビス(トリ-tert-ブチルホスフィン)パラジウムをより具体的には含むがそれらに限定されない。
【0055】
上で説明される前駆体の幾つかは、適した溶媒中に溶解して、溶媒を低粘度の液体にする。
【0056】
適した溶媒は、飽和の直鎖、分岐鎖及び環状の炭化水素を含むがそれらに限定されない。
【0057】
適した溶媒は、n-ヘキサン、n-ペンタン、異性のヘキサン、オクタン、イソオクタン、デカン、ドデカン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、デカリン;芳香族溶媒、例えばベンゼン、トルエン、キシレン(単一異性体又は異性体の混合物)、メシチレン、o-ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン;ニトリル、例えばアセトニトリル、プロピオニトリル又はベンゾニトリル;エーテル、例えばテトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジグリム、テトラヒドロピラン、メチルテトラヒドロフラン、ブチルテトラヒドロフラン、p-ジオキサン;アミン、例えばトリエチルアミン、ピペリジン、ピリジン、ピロリジン、モルホリン;アミド、例えばN,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリジノン、N-シクロヘキシルピロリジノン;式R45NR6OR7NR89、R4OR6NR89、O(CH2CH22NR4、R45NR6N(CH2CH22O、R45NR6OR7N(CH2CH22O、O(CH2CH22NR4OR6N(CH2CH22O(R4-9は直鎖又は分岐鎖のC1~C10からなる群から独立に選択される)を有するアミノエーテル及びそれらの組み合わせを含むがそれらに限定されない。
【0058】
適した前駆体液体、又は溶媒中の前駆体の溶液は、スプレーコーティング、ロールコーティング、ドクターブレードドローダウン(スキージ)、スピンコーティング、表面へのプーリング、過飽和蒸気の凝縮、インクジェット印刷、カーテンコーティング、ディップコーティング又は同様のものを含む公知の手段によって、トポグラフィックな形状を有する基材に適用することができる。
【0059】
高品質の膜を達成するために、周囲空気と比較して酸素又は含水量を減少させた制御雰囲気の下で、液体を基材に適用することができる。このようなプロセスを可能とするために、本発明の液体を含有する金属要素を、封をされた容器又はコンテナ中に、例えば米国特許出願公開第2002/108670号明細書で開示されるものの中に含有させることができ、開示の内容は参照によって本明細書に組み込まれる。
【0060】
容器は、バルブを有するクロージャ及び封をすることができる出口接続の使用によって、当分野で公知の堆積装置に接続することができる。便宜上、差圧の使用によって基材に液体を運搬することができるように、出口接続は液体の表面の下に延在する浸漬チューブに接続することができる。
【0061】
最も好ましくは、容器は、ステンレス鋼、ガラス、溶融石英、ポリテトラフルオロエチレン、PFA(登録商標)、FEP(登録商標)、Tefzel(登録商標)及び同様のものを含む高純度材料から構成されてよい。容器は、1つ又は複数のバルブによって封をすることができる。容器の上部の空間は、好ましくは適した気体、例えば窒素、アルゴン、ヘリウム又は一酸化炭素を用いて充填される。バルブの1つ又は複数は、液体の表面の下に延在する浸漬チューブに接続することができ、バルブの1つ又は複数は、上部の空間の気体と流体結合していてよい。
【0062】
表面に適用される液体は、毛細管作用のために表面における細かいトポグラフィー中に引き寄せられる。細かいトポグラフィックな形状を充填するために、従って、この液体とコートされる表面との間の接触角は≦90°、好ましくは≦45°、より好ましくは≦30°であることが必要である。
【0063】
接触角は、表面又は材料の濡れ性を測定する一般的な手段の1つである。濡れは、どのように表面に付着した液体が広がるかの調査、又は基材との境界表面を形成する液体の能力に関する。濡れは、液体が基材との接触において形成する接触角を測定することによって決定される。濡れの傾向が大きいほど、接触角又は表面張力は小さい。濡れ性のある液体は、90°より小さい固体との接触角を形成する液体であり、一方で、非濡れ性の液体は、90°~180°の固体との接触角を生じさせる。
【0064】
妥当な速度でこのような充填を行うために、周囲温度における液体の粘度は、0.5cP~20cP、好ましくは1cP~10cP、最も好ましくは2cP~5cPであるべきである。
【0065】
次の工程において、エネルギーが液体前駆体に適用され、金属を安定化する中性リガンドの分離をもたらす。これらのリガンドが分離するとき、金属イオンは合体を始め、小さいアグロメレート又はクラスターを形成する。任意選択の溶媒が蒸発し、さらなるリガンドが分離するにつれて、これらのアグロメレートは成長及び集中を続ける。これらの金属クラスターが成長するにつれて、金属クラスターはナノメータースケールの粒子(ナノ粒子)になる。溶媒及び反応しなかった0価の金属-有機液体が蒸発するとき、ナノ粒子はトポグラフィーのへこみに集中する。次いで、伝導性膜が形成される。
【0066】
伝導性膜は、約1×10-4Ωcm以下の周囲温度における電気伝導性を有するべきである。100Åの厚さの膜について、これは約100Ω/スクエアより小さい測定されたシート抵抗に対応する。
【0067】
伝導性堆積物の抵抗は、堆積された材料にエネルギーを適用することによって改善することができる。エネルギーは、最も好都合なことには、可視光、赤外光、紫外光若しくはこれらの放射源の組み合わせを使用する外部加熱によってか、加熱した気体流を使用する対流を通してか、あるいは上に基材が置かれた抵抗的に加熱された若しくは流体加熱されたサセプタからの又は誘導加熱されたサセプタからの伝導によって適用される。
【0068】
電子線、イオンビーム、リモート水素プラズマ、ダイレクトアルゴン、ヘリウム又は水素プラズマ、真空及び超音波を含む他のエネルギー源もまたこのプロセスのために有用である。
【0069】
伝導性膜は、堆積後アニール処理をさらに受けることができる。
【0070】
堆積後アニール処理は、水素、アンモニア、二ホウ素、シランを含むがそれらに限定されない還元性雰囲気の下で、300℃以上、例えば300℃~700℃の温度で、5分以上、例えば5~60分のアニール時間で、行うことができる。
【0071】
還元性雰囲気は、純粋な還元性気体、又は還元性気体の不活性気体、例えば窒素若しくはアルゴン、との混合物であってよい。還元性雰囲気の圧力は10torr以上、例えば10torr~760torrであってよく;還元性気体の流速は100sccm以上、例えば100~1000sccmであってよい。
【0072】
別の態様において、本発明はまた、少なくとも1つの中性(非荷電)金属前駆体、又は溶媒を有する少なくとも1つの中性(非荷電)金属前駆体を含む金属前駆体を内包する容器又はコンテナである。
【0073】
本明細書において説明される方法は、少なくとも基材の一部に伝導性膜を堆積するために使用することができる。適した半導体基材の例は、ケイ素、SiO2、Si34、OSG、FSG、炭化ケイ素、水素化されたオキシ炭化ケイ素、水素化されたオキシ窒化ケイ素、カルボキシ窒化ケイ素、水素化されたカルボキシ窒化ケイ素、反射防止コーティング、フォトレジスト、ゲルマニウム、ゲルマニウム含有、ホウ素含有、Ga/As、フレキシブル基材、有機ポリマー、ポーラス有機及び無機金属、金属、例えば銅及びアルミニウム、金属ケイ化物、例えばチタンシリサイド、タングステンシリサイド、モリブデンシリサイド、ニッケルシリサイド、コバルトシリサイド、並びに拡散バリア層、例えばコバルト、TiN、Ti(C)N、TaN、Ta(C)N、Ta、W又はWNであるがそれらに限定されない拡散バリア層を含むがそれらに限定されない。
【実施例
【0074】
実施例1
シリコンウエハは、20nm幅及び200nm深さである溝をエッチングした、炭素ドープした酸化ケイ素の表面層を有する。
【0075】
乾燥した酸素フリーの窒素環境中における不活性条件の下で、封をしたチャンバー中で、シリコンウエハをプラットフォームの上に置く。
【0076】
前駆体としての液体ジコバルトヘキサカルボニルtert-ブチルアセチレン、(Co2(CO)6HC≡CC(CH33)をシリコンウエハ上に配置する。
【0077】
溝にトラップされた任意のN2を除去することができるように、及び液体が毛細管作用によって溝中に流れることができるように、まずチャンバーの圧力を減少させる。
【0078】
次いで窒素を加えて圧力を増加させて、次いでプラットフォームの温度を徐々に上昇させた。
【0079】
液体が分解を始めるとき、t-ブチルアセチレン蒸気及びCO気体が放出され、前駆体分子がオリゴマー化し始める。液体の容積が収縮して、溝の上部にある液体が溝中に引き寄せられる。凝縮が続くとき、固体ナノ粒子を形成して溝中に緊密に詰めることができる。
【0080】
温度が400℃に到達すると、CO及びtert-ブチルアセチレンリガンドの多くは蒸気相中に放出され、伝導性Co金属堆積物が主に溝の内部に残る。
【0081】
2気体を用いた又はプラズマ若しくは電子線による、堆積した材料のさらなる任意選択のアニールをこの時点で採用して金属の伝導性を増加させることができる。
【0082】
過剰のもの(表面上部における過剰のCo)を除去する従来の処理を、例えば化学機械平坦化(CMP)によって、次いで実施することができる。
【0083】
溝が完全には充填されていない場合、溝が伝導性コバルト金属で完全に充填されるまで、堆積プロセスを1回又は複数回繰り返すことができる。
【0084】
実施例2
シリコンウエハは、20nm幅及び200nm深さである溝をエッチングした、炭素ドープした酸化ケイ素の表面層を有する。
【0085】
乾燥した酸素フリーの窒素環境中における不活性条件の下で、封をしたチャンバー中で、シリコンウエハをプラットフォームの上に置く。
【0086】
約10wt%の乾燥n-オクタンと組み合わせた、前駆体としての液体ジコバルトヘキサカルボニルtert-ブチルアセチレン、(Co2(CO)6HC≡CC(CH33)をシリコンウエハ上に配置する。
【0087】
溝にトラップされた任意のN2を除去することができるように、及び毛細管作用によって液体が溝中に流れることができるように、まずチャンバーの圧力を減少させる。
【0088】
次いで窒素を加えて圧力を増加させて、次いでプラットフォームの温度を徐々に上昇させた。
【0089】
液体が分解を始めるとき、t-ブチルアセチレン蒸気及びCO気体が放出され、前駆体分子がオリゴマー化し始める。液体の容積が収縮して、溝の上部にある液体が溝中に引き寄せられる。凝縮が続くとき、固体ナノ粒子を形成して溝中に緊密に詰めることができる。
【0090】
温度が400℃に到達すると、CO及びtert-ブチルアセチレンリガンドの多くは蒸気相中に放出され、伝導性Co金属堆積物が主に溝の内部に残る。
【0091】
2気体を用いた又はプラズマ若しくは電子線による、堆積した材料のさらなる任意選択のアニールをこの時点で採用して金属の伝導性を増加させることができる。
【0092】
過剰のもの(表面上部における過剰のCo)を除去する従来の処理を、例えば化学機械平坦化(CMP)によって、次いで実施することができる。
【0093】
溝が完全には充填されていない場合、溝が伝導性コバルト金属で完全に充填されるまで、堆積プロセスを1回又は複数回繰り返すことができる。
【0094】
実施例3
(1-デシン)テトラコバルトドデカカルボニル(Co4(CO)12(C817C≡CH))の合成
窒素グローブボックス中で、テトラコバルトドデカカルボニル(500mg、0.87mmol)を25ccのシュレンクフラスコ中に入れた。10mLのテトラヒドロフランをフラスコ中に添加した。
【0095】
撹拌すると、テトラコバルトドデカカルボニルが溶解して黒ずんだ溶液が生じた。1-デシン(550mg、4.0mmol)を溶液に添加した。
【0096】
周囲温度で2日間、溶液を撹拌した。この期間、溶液の色は暗赤色に変化した。
【0097】
揮発性のものを真空下で除去して、高い粘度の黒色の液体が生じた。
【0098】
実施例4
(1-デシン)テトラコバルトドデカカルボニルの熱分解
窒素グローブボックス中で、(1-デシン)テトラコバルトドデカカルボニルのサンプルを平らなパンの上に配置して、熱重量分析器(TGA)に移した。
【0099】
TGAを使用して、サンプルの質量をモニタリングする間、400℃に10℃/分でサンプルの温度を上昇させた。初期重量の合計76%がなくなり、24%の残留物が残った(図1)。化合物(1-デシン)テトラコバルトドデカカルボニルにおいて、コバルトは質量の約33%を構成し、リガンドは約67%を構成する。従って、混合物中に初期に存在したコバルトの多くはパンの表面に保持される。
【0100】
実施例5
前駆体としてのRu3(CO)9(PPh2(CH23Si(OEt)33の合成
Colonial metals inc.のRu3(CO)12(0.5g、0.78mmol)及びStrem ChemicalsのPPh2(CH23Si(OEt)3(1g、2.56mmol)を、250mLフラスコ中にグローブボックス中で入れる。次いで、フラスコをグローブボックスから取り出して、(N2下で)シュレンクラインに取り付ける。
【0101】
2パージ及び撹拌下で、Sigma-Aldrichの無水ヘキサン(100mL)をフラスコ中にシリンジを用いて添加する。2時間の68~70℃における還流の下で、フラスコを加熱した。2時間後、反応を周囲温度に冷却する。真空下において、周囲温度で全ての溶媒をポンプで吸い出す。生成物を冷たいヘキサン3×10mLで洗浄する。最終生成物を真空下で乾燥する。そして赤味がかった油、0.55g、収率85%を得た。
【0102】
実施例6
トリルテニウムドデカカルボニルの20%の乾燥n-オクタンとの混合物を、20nm幅及び200nm深さである溝をエッチングした、炭素ドープした酸化ケイ素の表面層を有するシリコンウエハ上に配置する。乾燥した酸素フリーの窒素環境中における不活性条件の下で、ウエハをチャンバー中に密封する。溶媒が蒸発し始めるとき、溝にトラップされた任意のN2を除去することができるように、及び液体が毛細管作用によって溝中に流れることができるように、チャンバーの圧力を減少させる。次いで窒素を加えて圧力を増加させて、次いでウエハを上に置いたプラットフォームの温度を徐々に上昇させた。液体が分解し始めると、デシン蒸気及びCO気体が放出され、前駆体分子がオリゴマー化し始める。液体の容積が収縮して、溝の上部にある液体が溝中に引き寄せられる。凝縮が続くとき、固体ナノ粒子を形成して溝中に緊密に詰めることができる。温度が400℃に到達すると、COリガンドの多くは蒸気相中に放出され、伝導性ルテニウム金属堆積物が主に溝の内部に残る。H2若しくはO2気体を用いた又はプラズマ若しくは電子線による、堆積した材料のさらなる任意選択の熱アニールをこの時点で採用して金属の伝導性を増加させることができる。過剰のもの(表面上部における過剰のルテニウム)を除去する従来の処理を、例えば化学機械平坦化(CMP)によって、次いで実施することができる。溝が完全には充填されていない場合、溝が伝導性ルテニウム金属又は異なる金属で完全に充填されるまで、このプロセスを1回又は複数回繰り返すことができる。
【0103】
実施例7
約10wt%の乾燥n-オクタンと組み合わせた(1,6-ヘプタジイン)テトラコバルトドデカカルボニルを、20nm幅及び200nm深さである溝をエッチングした、炭素ドープした酸化ケイ素の表面層を有するシリコンウエハ上に配置する。乾燥した酸素フリーの窒素環境中における不活性条件の下で、ウエハをチャンバー中に密封する。溶媒が蒸発し始めるとき、溝にトラップされた任意のN2を除去することができるように、及び液体が毛細管作用によって溝中に流れることができるように、チャンバーの圧力を減少させる。次いで窒素を加えて圧力を増加させて、次いでウエハを上に置いたプラットフォームの温度を徐々に上昇させた。液体が分解し始めると、1,6-ヘプタジイン蒸気及びCO気体が放出され、前駆体分子がオリゴマー化し始める。液体の容積が収縮して、溝の上部にある液体が溝中に引き寄せられる。凝縮が続くとき、固体ナノ粒子を形成して溝中に緊密に詰めることができる。温度が400℃に到達すると、CO及び1,6-ヘプタジインリガンドの多くは蒸気相中に放出され、伝導性Co金属堆積物が主に溝の内部に残る。H2気体を用いた又はプラズマ若しくは電子線による、堆積した材料のさらなる任意選択のアニールをこの時点で採用して金属の伝導性を増加させることができる。過剰のもの(表面上部における過剰のCo)を除去する従来の処理を、例えば化学機械平坦化(CMP)によって、次いで実施することができる。溝が完全には充填されていない場合、溝が伝導性コバルト金属で完全に充填されるまで、このプロセスを1回又は複数回繰り返すことができる。
【0104】
実施例8
2,2-ジメチル-3-オクチン(tert-ブチルn-ブチルアセチレン)の合成
窒素グローブボックス中で、tert-ブチルアセチレン(32.8g、0.4mol)を1000mLの丸底フラスコ中に無水THF500mLとともに入れることによって、tert-ブチルアセチレン(3,3-ジメチル-1-ブチン)の溶液を調製した。500mLの滴下漏斗に、ヘキサン(0.375mol)中で2.5Mのn-ブチルリチウム150mLを加えた。フラスコ及び滴下漏斗をグローブボックスから取り出して、フード中で組み立てた。tert-ブチルアセチレン溶液を0℃に冷却した。n-ブチルリチウム溶液を、撹拌しながら30分の間にtert-ブチルアセチレン溶液に滴下した。添加が完了した後、無色溶液を周囲温度に2時間の間、撹拌しながら温めた。500mLの滴下漏斗に、1-ヨードブタン(64.4g、0.35mol)及び100mLの無水THFを加えた。この溶液を、撹拌しながら30分の間にリチウムtert-ブチルアセチリド溶液に滴下した。溶液を周囲温度で3日間撹拌した。小さいサンプルのガスクロマトグラフィー質量分析は、生成物への完全な変換を示した。脱イオン水100mLを用いて2回、溶液を抽出した。ヘキサン200mLで洗浄水を抽出して、この抽出物をTHF/ヘキサン溶液と組み合わせた。有機溶液を硫酸マグネシウムで、30分間乾燥した。この間、無色溶液は明るい黄色になった。リボイラーを20℃に、凝縮器を0℃に及び回収フラスコを-78℃に保ちつつ、組み合わせた有機溶液を減圧下(~10Torr)で蒸留した。溶媒を除去した後、別の回収フラスコを取り付け、リボイラーを25℃に、凝縮器を0℃に及び回収フラスコを-78℃に保ちつつ、残った揮発性のものを蒸留した。第二の蒸留の間の圧力は~2Torrであった。全ての揮発性のものが移された後、回収フラスコを周囲温度に温めた。ガスクロマトグラフィー質量分析を使用して無色の液体を分析して、高い純度の生成物(>99%の純度、42.2g、87%の収率)の存在を確認した。
【0105】
2,2-ジメチル-3-オクチンの1H NMR分析は、以下の化学シフト:2.03(t、2H);1.33(m、4H);1.19(s、9H);0.80(t、3H)を与える。
【0106】
実施例9
(2,2-ジメチル-3-オクチン)ジコバルトヘキサカルボニル(コバルトカルボニルtert-ブチルn-ブチルアセチレン、CCTNBA)の合成
換気式フード中で、ヘキサン(100mL)中の2,2-ジメチル-3-オクチン(21.5g、0.15mol)の溶液を、ヘキサン(700mL)中のCo2(CO)8(47.5g、0.14mol)の溶液に30分の間に添加した。2,2-ジメチル-3-オクチン溶液の添加の際に、明らかなCOの発生が観察された。結果として生じた暗茶色の液体は、周囲温度で4時間の撹拌の間に、暗い赤味がかった茶色に変わった。リボイラーを25℃に(凝縮器を-5℃の温度に;回収フラスコを-78℃の温度に)保ちつつ、真空蒸留を使用してヘキサンを除去して、黒ずんだ固形分を有する暗赤色の液体を生じさせた。純粋なヘキサンを溶出材として使用して、クロマトグラフィーのカラム(~3インチの直径)を8インチの中性の活性化されたアルミナで充填した。粗材料をカラムの上に置いて、ヘキサンを使用して溶出した。茶色のバンドが、すぐに、ヘキサンとともにカラムを下に移動した。暗紫色の材料をカラムの上部2~3インチに保持した。赤味がかった茶色のバンドを回収して、シュレンクライン(~700mtorr)で真空引きして、暗赤色の液体40.0gを生じさせた。
【0107】
CCTNBAの1H NMR分析は、高い純度(NMR評価で99.6%)を示した。化学シフト(d8-トルエン):2.66(t、2H)、1.60(m、2H)、1.29(m、2H)、1.17(s、9H)、0.86(t、3H)。
【0108】
実施例10
CCTNBAを使用したコバルト含有膜の形成
窒素グローブボックス中で、CCTNBA250mg及びヘキサン/トルエン1gを2つの25mLガラス瓶中に量って入れることによって、CCTNBAの~20wt%溶液をヘキサン及びトルエン中で調製した。
【0109】
1インチ×1インチのおおよその面積の、熱SiO2及びケイ素のウエハクーポンを、窒素グローブボックス中に入れた。それぞれの種類の2つのクーポンをガラス蒸発皿に置いた。
【0110】
クーポンの表面に溶液を滴下することによって、ヘキサン中にCCTNBAを有する溶液又はトルエン中にCCTNBAを有する溶液のいずれかの薄膜で、クーポンを被覆した。
【0111】
溶液の濡れ特性は、わずかに異なっていた。全体のクーポン表面を被覆するのに、約5~6滴のヘキサンを有する溶液を要した。全体のクーポン表面を被覆するのに、8~9滴のトルエンを有する溶液を要した。
【0112】
溶液の両方の組について、クーポンの端からあふれ出る溶液無しに、全体のクーポンの表面積を実質的に被覆することが可能であった。
【0113】
CCTNBAの~20wt%溶液を用いたクーポンを、室温で、グローブボックス中で立たせた。この期間に、ヘキサン溶液は完全に蒸発した。しかし、トルエン溶液は部分的にのみ蒸発した。
【0114】
クーポンを含有するガラス皿を、加熱プレート上に慎重においた。加熱プレートを80℃に温めた。数分の後、トルエンが蒸発したことが明らかであり、CCTNBAはクーポン表面に未だ存在していた。5分後、皿を加熱プレートから取り出した。
【0115】
ホットプレートの温度を370℃に上昇させた。ホットプレート表面が370℃で安定したとき、クーポンを含有する皿をホットプレートに再び置いた。わずかに大きいサイズの第二の蒸発皿を、クーポンを含有する皿の上部に置いた(ふたとして働く)。約30秒の後、クーポン表面から上昇する少量の茶色の蒸気が観察された。蒸気は、クーポンを含有する皿の側面及びふたとして働く大きい方の皿の一部で凝縮した。15分間、370℃でクーポンを加熱した。370℃で数分の間に、クーポン表面は、幾らかの鈍い灰色の領域を有するとともに、多くは光る銀色であった。ホットプレートの加熱を終了させ、ガラス皿を周囲温度に冷却させた。伝導性コバルト含有膜をクーポン上に堆積した。例を図2に示した。
【0116】
分析のために、クーポンを皿から取り出した。
【0117】
蛍光X線(XRF)を使用して膜厚を測定した。4点プローブを使用して膜のシート抵抗を測定した。膜の堆積の後、シート抵抗を測定した。結果を表1に示した。
【0118】
次いで、水素含有雰囲気下でのアニールのために、クーポンをチャンバー中に置いた。堆積後アニール処理のための条件は、窒素流450sccm、水素流50sccm、温度400℃、チャンバー圧力50torr、アニール時間30分間であった。
【0119】
アニール後に、4点プローブを再度使用してシート抵抗を測定した。結果を表1に示した。
【0120】
表1は、堆積したコバルト膜の抵抗におけるアニールの効果を示す。アニール処理は、コバルト含有膜の抵抗を下げる。
【表1】
【0121】
膜をシリカ及びケイ素の表面の両方に堆積した。堆積した膜の多くはコバルトを含有していて、4点プローブ測定装置によって測定したとき、伝導性であった。高いシート抵抗をもたらす不純物、例えば炭素がコバルト膜中に存在すると考えられる。還元雰囲気下で、例えば水素及び窒素の混合物の下でコバルト膜をアニールすることは、不純物レベルを減少させる方法である。
【0122】
表1の結果は、本発明の膜において、抵抗を下げることができることを表す。結果として生じた膜は、半導体装置において伝導層又は伝導形状、例えば導電の線又はビアを作るために使用することができる。
【0123】
本発明の原理が、上で、好ましい実施態様とあわせて説明されたが、この説明は例示のためにされ、本発明の範囲を制限するものではないことが明確に理解される。
図1
図2