IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アプライド マテリアルズ インコーポレイテッドの特許一覧

特許7209050付加製造システムのためのプリントヘッドモジュール
<>
  • 特許-付加製造システムのためのプリントヘッドモジュール 図1A
  • 特許-付加製造システムのためのプリントヘッドモジュール 図1B
  • 特許-付加製造システムのためのプリントヘッドモジュール 図2
  • 特許-付加製造システムのためのプリントヘッドモジュール 図3
  • 特許-付加製造システムのためのプリントヘッドモジュール 図4
  • 特許-付加製造システムのためのプリントヘッドモジュール 図5
  • 特許-付加製造システムのためのプリントヘッドモジュール 図6
  • 特許-付加製造システムのためのプリントヘッドモジュール 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-11
(45)【発行日】2023-01-19
(54)【発明の名称】付加製造システムのためのプリントヘッドモジュール
(51)【国際特許分類】
   B22F 12/00 20210101AFI20230112BHJP
   B22F 10/28 20210101ALI20230112BHJP
   B29C 64/153 20170101ALI20230112BHJP
   B29C 64/205 20170101ALI20230112BHJP
   B29C 64/236 20170101ALI20230112BHJP
   B29C 64/268 20170101ALI20230112BHJP
   B29C 64/295 20170101ALI20230112BHJP
   B29C 64/321 20170101ALI20230112BHJP
   B29C 64/336 20170101ALI20230112BHJP
   B29C 64/165 20170101ALI20230112BHJP
   B29C 64/393 20170101ALI20230112BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20230112BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20230112BHJP
   B33Y 50/02 20150101ALI20230112BHJP
   B22F 12/10 20210101ALI20230112BHJP
   B22F 12/40 20210101ALI20230112BHJP
   B22F 12/50 20210101ALI20230112BHJP
【FI】
B22F12/00
B22F10/28
B29C64/153
B29C64/205
B29C64/236
B29C64/268
B29C64/295
B29C64/321
B29C64/336
B29C64/165
B29C64/393
B33Y10/00
B33Y30/00
B33Y50/02
B22F12/10
B22F12/40
B22F12/50
【請求項の数】 12
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021121421
(22)【出願日】2021-07-26
(62)【分割の表示】P 2018513666の分割
【原出願日】2016-09-14
(65)【公開番号】P2021185261
(43)【公開日】2021-12-09
【審査請求日】2021-08-19
(31)【優先権主張番号】62/219,605
(32)【優先日】2015-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/262,708
(32)【優先日】2015-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】M/S 1269,3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ウン, ホウ ティ-.
(72)【発明者】
【氏名】ゼハヴィ, ラーナン
(72)【発明者】
【氏名】パティバンドラ, ナグ ビー.
【審査官】松岡 徹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/106838(WO,A1)
【文献】特開2006-205456(JP,A)
【文献】国際公開第2015/094720(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 1/00- 8/00
C22C 1/04- 1/05
C22C 33/02
B29C 64/00- 73/34
B29D 1/00- 29/10
33/00、 99/00
B33Y 10/00- 99/00
B28B 1/00- 1/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
付加製造システムのためのモジュールであって、
可動支持体に取り外し可能に装着されるように構成されたフレームと、
前記フレームから分離したプラテン上に粒子の層を、又は前記プラテン上に下層を供給するように構成されたディスペンサと、
前記粒子が溶融解する温度未満の温度まで前記粒子の層を加熱するように構成された熱源と、
前記粒子を溶融解させ、かつビームを生成するように構成されたエネルギー源であって、前記粒子の層上での前記ビームの衝突のスポットが、第2の軸に沿って移動可能であり、前記エネルギー源は、ガルボに搭載されて前記ビームをプリントヘッドモジュールの運動の方向と垂直な方向に沿って偏向させるミラーを備える、エネルギー源と、
を備え、
前記ディスペンサ、前記熱源及び前記エネルギー源が前記第2の軸に垂直な第1の軸に沿って順番に前記フレーム上に位置付けられ、前記フレーム、前記ディスペンサ、前記熱源及び前記エネルギー源が、前記支持体からの単一ユニットとして装着及び装着解除できるように、前記ディスペンサ、前記熱源及び前記エネルギー源が前記フレームに固定される、モジュール。
【請求項2】
前記ディスペンサが、前記粒子を保持するためのリザーバ、及び前記リザーバに連結されかつ前記第1の軸と垂直な第2の軸に沿って延びる導管とを備え、前記導管が、連続スロット又は複数の開孔を有し、前記粒子が前記連続スロット又は複数の開孔を通して分配される、請求項1に記載のモジュール。
【請求項3】
前記ディスペンサが、複数のノズルを備え、かつ前記ノズルを通してキャリア流体の前記粒子を射出するように構成される、請求項1に記載のモジュール。
【請求項4】
前記熱源が、加熱ランプのアレイを備える、請求項1に記載のモジュール。
【請求項5】
前記エネルギー源が、前記第1の軸に垂直な第2の軸に沿って移動可能であるように、前記フレームにスライド可能に装着され、アセンブリが、前記フレームに固定されかつ前記第2の軸に沿って前記エネルギー源を移動させるように構成されたモータを備える、請求項1に記載のモジュール。
【請求項6】
前記エネルギー源が、前記第1の軸に垂直な前記第2の軸に沿って前記ビームを偏向するように構成される、請求項1に記載のモジュール。
【請求項7】
前記エネルギー源が、前記第1の軸に垂直な前記第2の軸に沿って延びるミラーのアレイを含むデジタルマイクロミラーデバイスを備える、請求項1に記載のモジュール。
【請求項8】
前記フレームに固定された計測システムを更に備える、請求項1に記載のモジュール。
【請求項9】
前記計測システムが、前記第1の軸に沿って順番に前記ディスペンサの前に配置されたセンサ、又は前記第1の軸に沿って順番に前記エネルギー源の後に配置されたセンサを備える、請求項8に記載のモジュール。
【請求項10】
前記計測システムが、前記第1の軸に沿って順番に前記ディスペンサの前に配置された第1のセンサと、前記第1の軸に沿って順番に前記エネルギー源の後に配置された第2のセンサとを備える、請求項8に記載のモジュール。
【請求項11】
前記ディスペンサが、前記ディスペンサのエッジを越えて延びる前記第1の軸に垂直な前記第2の軸上の領域に粒子を分配するように構成される、請求項1に記載のモジュール。
【請求項12】
前記ディスペンサが、少なくとも前記フレームのエッジまで粒子を分配するように構成される、請求項11に記載のモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、付加製造に関し、より具体的には、粉末の層を分配し、溶融解させ、3次元形状に形成する3D印刷プロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
固体自由形状製造又は3D印刷としても知られる付加製造(AM)は、3次元の物体が、連続する2次元層又は断面によって(一般的に粉末、ワイヤ、液体、懸濁液、又は融解固形物である)原材料から作り上げられる、任意の製造プロセスを指す。それに対して、従来の機械加工技法にはサブトラクティブプロセスが含まれ、木材又は金属の塊といったストック材料から切り出された物体が作り出される。
【0003】
付加製造には、様々な付加プロセスを用いることができる。様々なプロセスは、完成物を作製するために層を堆積させる方法、及び各プロセスでの使用に互換性がある材料において異なる。例えば、選択的レーザ溶融法(SLM)や直接金属レーザ焼結法(DMLS)、選択的レーザ焼結法(SLS)、熱溶解積層法(FDM)といったいくつかの方法では、層を作り出すために材料を融解または軟化させるが、一方で、例えば光造形法(SLA)といった別の技法を用いて、液体材料を硬化させる技法もある。
【0004】
焼結は、物体を作り出すために、小さなグレイン(又は粒子)、例えば粉末などを溶融解させるプロセスである。焼結は、常に、粉末を加熱することを含む。焼結プロセス中に、粉末状材料が十分な温度(典型的には、融点よりも低い)まで加熱されるとき、粉末粒子中の原子は粒子間の境界を超えて拡散し、粒子同士を融合させ、固体片を形成する。溶融解とは対照的に、焼結で使用される粉末は、液相に達する必要はない。焼結温度が物体の溶融解点に達する必要がないので、焼結は、タングステン及びモリブデンなどの溶融解点が高い材料に使用されることが多い。
【0005】
焼結及び溶融解の両方が、付加製造で使用できる。使用されている材料によって、どちらのプロセスが発生するかが決定する。例えばアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)といった非晶質固体は、実際には過冷却粘性液体であり、実際には融解しない。なぜならば、融解とは固体状態から液体状態への相転移を伴うからである。このように、選択的レーザ焼結法(SLS)がABSにとっての適切な処理である。一方で、選択的レーザ溶融法(SLM)は、例えばナイロンや金属といった、別々の融点/凝固点温度を有し、SLMプロセスの間に融解が起きる、結晶性材料及び半結晶性材料に対して使用される。
【0006】
粉末状材料を焼結又は溶融解するためのエネルギー源としてレーザビーム又は電子ビームを用いる従来の粉末分配システムは、典型的には、粉末状材料の層内の選択された点にビームを向け、この層にわたる各箇所に対してビームを選択的にラスタースキャンする。第1の層の選択した場所すべてがいったん焼結又は溶融解すると、粉末を支持するプラットフォームが下に向かって移動し、粉末状材料の新たな層が、完成した層の上部に堆積する。プロセスは、所望の物体が生成されるまで、層ごとに繰り返される。
【発明の概要】
【0007】
1つの態様において、付加製造システムのためのモジュールは、可動支持体に取り外し可能に装着されるように構成されたフレームと、フレームから分離したプラテン上に粒子の層を、又はプラテン上に下層を供給するように構成されたディスペンサと、粒子が溶融解する温度未満の温度まで粒子の層を加熱するように構成された熱源と、粒子を溶融解させるように構成されたエネルギー源とを含む。ディスペンサ、熱源及びエネルギー源が第1の軸に沿って順番にフレーム上に位置付けられ、フレーム、ディスペンサ、熱源及びエネルギー源が、支持体からの単一ユニットとして装着及び装着解除できるように、ディスペンサ、熱源及びエネルギー源がフレームに固定される。
【0008】
別の態様では、付加製造システムのためのプリントヘッドアセンブリは、プリントヘッド支持体と、プリントヘッド支持体に取り外し可能に装着された複数のプリントヘッドモジュールとを含む。各プリントヘッドモジュールは、物理的構成において実質的に同一である。各プリントヘッドモジュールは、支持体に取り外し可能に装着されたフレームと、フレームから分離したプラテン上に供給材料の層を、又は前記プラテン上に下層を供給するように構成されたディスペンサとを含む。ディスペンサは、フレーム及びディスペンサが、支持体からの単一ユニットとして装着及び装着解除できるように、フレームに固定される。
【0009】
別の態様では、付加製造システムは、製造される物体を支持するためのプラテンであって、上面を有するプラテンと、プラテンに対して上面に平行な方向に移動可能であるプリントヘッドアセンブリと、プリントヘッド支持体及びプラテンの少なくとも1つに連結し、それらの間に相対運動をもたらすアクチュエータと、供給材料を溶融解させるように構成されたエネルギー源とを含む。プリントヘッドアセンブリは、プリントヘッド支持体と、プリントヘッド支持体に取り外し可能に装着された複数のプリントヘッドモジュールとを含む。各プリントヘッドモジュールは、物理的構成において実質的に同一である。各プリントヘッドモジュールは、支持体に取り外し可能に装着されたフレームと、フレームから分離したプラテン上に粒子の層を、又は前記プラテン上に下層を供給するように構成されたディスペンサとを含む。ディスペンサは、フレーム及びディスペンサが、支持体からの単一ユニットとして装着及び装着解除できるように、フレームに固定される。
【0010】
上記態様の何れかの特徴は、以下の一又は複数を含むことができる。ディスペンサは、粒子を保持するためのリザーバと、リザーバに連結され、第1の軸に垂直な第2の軸に沿って延びる導管とを含みうる。導管は、そこを通って粒子が分配される連続スロット又は複数の開孔を有しうる。ディスペンサは、第2の軸に沿って粒子を運ぶための、導管に位置付けられた回転可能なオーガを含みうる。ディスペンサは、複数のノズルを含み、ノズルを通してキャリア流体の粒子を射出するように構成される。ディスペンサは、ディスペンサのエッジを越えて延びる第1の軸に垂直な第2の軸における領域に粒子を分配するように構成されてもよい。ディスペンサは、少なくともフレームのエッジまで粒子を分配するように構成される。ローラ又はブレードは、第2の軸に沿って延び、粒子の層を滑らかにするように構成されてもよい。
【0011】
熱源は、加熱ランプのアレイを含みうる。加熱ランプは、六角形の最密アレイ(hexagonal closest packed array)に配置されうる。加熱ランプは、垂直な長手方向の軸に対して、又は垂直に対してゼロではない角度で長手方向の軸に対して配置されてもうよい。エネルギー源は、ビームを生成するように構成されうる。
【0012】
エネルギー源は、第1の軸に垂直な第2の軸に沿って移動可能となるようにフレームにスライド可能に装着され、アセンブリは、フレームに固定されかつ第2の軸に沿ってエネルギー源を移動させるように構成されたモータを含み、ビームの粒子層での衝突スポットが第2の軸に沿って移動可能となる。エネルギー源は、第1の軸に垂直な第2の軸に沿ってビームを偏向するように構成されうる。エネルギー源は、レーザ又はイオンビーム源でありうる。エネルギー源は、デジタルマイクロミラーデバイスを含みうる。デジタルマイクロミラーデバイスは、第1の軸に垂直な第2の軸に沿って延びるミラーの線形アレイを含みうる。
【0013】
第2のディスペンサは、フレームに固定され、第2の粒子の層を支持体又は下層に分配するように構成されうる。第2のディスペンサは、ディスペンサと熱源との間に位置付けられうる。第2の粒子は、粒子と異なるサイズ又は異なる組成を有しうる。
【0014】
計測システムは、フレームに固定されうる。計測システムは、第1の軸に沿って順番にディスペンサの前又は後に配置されるセンサを含みうる。計測システムは、第1の軸に沿って順番にディスペンサの前に配置された第1のセンサと、第1の軸に沿って順番にエネルギー源の後に配置された第2のセンサとを含みうる。計測システムは、熱イメージャ又は光学カメラを含みうる。
【0015】
上記の利点は、以下のものを含みうるが、これらに限定されない。付加製造システムの構成要素は、ユニットとして設置及び除去されてもよく、構築及び修理がより容易に可能となる。例えば、プリントヘッドは、「プラグ及びプレイ」モジュールとして動作可能でありうる。標準化されたプリントヘッド構成により、製造される物体のサイズを収容するために、付加製造システムの拡大縮小が可能となりうる。付加製造プロセスのスループット、ビルドベッドサイズ(build bed size)、解像度及び/又は品質が改善されうる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1A】例示的付加製造システムの概略図を示す。
図1B】例示的付加製造システムの概略図を示す。
図2図1Aに示す付加製造システムの上面図である。
図3】プリントヘッドモジュールの側面図を示す。
図4】プリントヘッドモジュールの上面図を示す。
図5】供給材料ディスペンサの斜視図を示す。
図6】加熱ランプアレイを示す。
図7】例示的付加製造システムの概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
付加製造システムは、供給材料の層(例えば、粉末、液体、懸濁液、溶融固体)をプラテン上に堆積させ、次いで供給材料の層の部分を溶融解させる。一又は複数の供給材料ディスペンサは、供給材料の層を堆積させるために一又は複数の供給材料を供給することができ、幾つかの実施態様では、供給材料は、一又は複数の供給材料ディスペンサによって選択的に堆積させることができる。供給材料がプラテン上に分配された後に、スプレッダ、例えば、ローラ又はブレードは、所望であれば、より高い均一性又は圧縮まで、供給材料をプラテン全域に拡散させることができる。供給材料の層の所望の部分の溶融解は、一又は複数のエネルギー源からエネルギーを供給することによって、実現することができる。エネルギー源は、例えば一度に単一のボクセルなどのスポットに、又は、例えば同時に複数のボクセル全体などのエリア全域に、エネルギーを適用することができる。例えば、エネルギー源は、加熱ランプの一又は複数のレーザ及び/又はアレイを含むことができる。加熱ランプのアレイは、プラテン若しくは付加製造装置のチャンバ内のどこか別の場所の上又は下に位置することができる。エネルギー源からのエネルギーは、供給材料を加熱し、融合させ、固体片を形成させる。付加製造システムはまた、付加製造プロセスの種々のパラメータ、例えば、熱/温度均一性、表面粗さ又は均一性、表面の画像、及び/又は堆積した供給材料の応力などを測定する一又は複数の計測システムを含むことができる。
【0018】
種々のプリントヘッド構成要素、例えば、供給材料ディスペンサ、熱源及びエネルギー源を含む標準化されたプリントヘッドモジュールを有することが望ましい。本文脈における「標準化された」とは、各プリントヘッドモジュールが、物理的構成において実質的に同一であることを示す(ディスペンサの間で変わるシリアル番号又はファームウェアバージョンなどのソフトウェアの例外は存在する可能性がある)。標準化されたプリントヘッドモジュールは、付加製造システの構築及び修理を簡単にし、例えば、プリントヘッドモジュールは、任意の互換性のある付加製造システムで動作可能となるであろう「プラグ及びプレイ」モジュールとして動作可能でありうる。プリントヘッドモジュールの標準化された構成はまた、製造される物体のサイズを収容するために、付加製造システムの拡大縮小を可能にすることができる。
【0019】
付加製造プロセスのスループット及びビルドベッドサイズを改良することが望ましい。これは、複数のプリントヘッドモジュールを使用して付加製造プロセスを実行することによって、実現できる。
【0020】
プリントヘッドモジュールは、プリントヘッドアセンブリを形成するために、支持体に取り外し可能に装着することができる。プリントヘッドアセンブリは、プリントヘッドモジュールを互いに対して移動可能にする、例えばアクチュエータなどの機構を含むことができる。加えて、プリントヘッドモジュールは、プリントヘッドモジュール内の構成要素を互いに対して移動可能にする、例えばアクチュエータなどの機構を含むことができる。
【0021】
プリントヘッドアセンブリはまた、「グローバル」印刷構成要素、例えば、プリントヘッドモジュールに加え、供給材料ディスペンサ、分散機構、計測システム及び冷却剤ディスペンサなどを含むことができる。本文脈では、「グローバル」とは、構成要素が、プリントヘッド内に固定されるというよりはむしろ、プリントヘッド支持体に直接装着され、複数のプリントヘッドによって分散された供給材料の層の領域に作用する又はその領域を測定するように構成されることを意味する。
【0022】
更に、プリントヘッドシステムは、プラテンに対してそれを移動できるようにする機構(例えば、ロボットアーム、カンチレバー又はガントリー)に装着する又は取り付けることができる。
【0023】
図1Aは、例示的付加製造システム100の概略図を示す。システム100は、ハウジング102を含み、かつハウジング102に囲まれている。ハウジング102は、例えば、約1Torr以下の圧力などで、真空環境がハウジング内部のチャンバ101に維持できるようにすることができる。代替的には、チャンバ101の内部は、例えば、粒子を除去するためにフィルタリングされたガスなどの所望のガス環境下で維持されうるか、又はチャンバを大気に通気することができる。ガスは、ガス源(図示されず)からガス入口103を通ってチャンバ101に侵入することができる。チャンバからのガスは、ベント(又は出口)104を通して除去することができる。
【0024】
システム100は、供給材料の層を受ける又は支持するプラテン105を含む。プラテン105は、例えば、抵抗ヒータ又は下方ランプアレイなどのヒータ109を含むことができ又はヒータ109上方に載置することができ、ヒータ109により、プラテン105を加熱することができ、よってプラテン105上に堆積させた供給材料を加熱することができる。
【0025】
付加製造プロセスを実行するプリントヘッドアセンブリは、プラテン105上に位置付けられる。プリントヘッドアセンブリは、一又は複数のプリントヘッドモジュールを運ぶように構成されたプリントヘッド支持体を含む。
【0026】
各プリントヘッドモジュールは、支持体に取り外し可能に装着されている。この文脈における「取り外し可能に装着された」とは、プリントヘッドが支持体に対して固定位置に機械的に保持されるが、プリントヘッドモジュール又はプリントヘッド支持体に損傷を与えることなく、標準手持ち構築ツール、例えばレンチ又は電動ドライバなどを使用することによって、プリントヘッドモジュールを取り外すことができるように、プリントヘッドを設置できることを意味する。例えば、プリントヘッドモジュールのフレームは、支持体の表面に係合する突起部を有することができるだろう。例えば、プリントヘッドモジュールから水平に突出するフランジは、プリントヘッドモジュールを取り囲む支持体の一部のリムに載置することができるだろう。オペレータがプリントヘッドを除去したいときには、プリントヘッドは簡単に取り出される。代替的に又は加えて、プリントヘッドモジュールのフレームは、ナット及びボルトなどの機械的締め具によって、支持体に固定することができる。オペレータがプリントヘッドを除去したいときには、ボルトが緩められ、プリントヘッドが取り出される。
【0027】
図1Aの例において、プリントヘッド支持体は、一又は複数のプリントヘッドモジュール210(図2を参照)を運ぶように構成されているプリントヘッドプラットフォーム150によって提供される。各プリントヘッドモジュール210は、プラットフォーム150に取り外し可能に装着されている。プリントヘッドプラットフォーム150は、ガントリー130の一部によって支持することができ、ガントリーの一部を形成することができる。アクチュエータシステム152により、プリントヘッドプラットフォーム150は、プラテン105全域を(例えば、y軸に沿って)移動可能となる。プラットフォーム150及びプラテン105は、互いから分離し、どちらも他方を支持しない。例えば、プラットフォーム150は、プラテン105に装着されない。
【0028】
コントローラ190は、付加製造プロセスの種々の態様を制御する。例えば、コントローラ190は、アクチュエータシステム152を制御し、よってプリントヘッドプラットフォーム150の運動を制御する。コントローラ190はまた、プリントヘッドプラットフォーム150に含まれるプリントヘッドモジュール(図示されず)の相対運動及び動作も制御することができる。コントローラはまた、プリントヘッドプラットフォーム150に含まれる種々の「グローバル(global)」印刷構成要素の動作も制御することができる。
【0029】
図1Bにおいて、プリントヘッドプラットフォーム150は、プラテン105上方でプリントヘッドプラットフォーム150を移動させることができるロボット132のロボットアーム131に取り付けられる。また、各プリントヘッドモジュール210(図2を参照)は、プラットフォーム150に取り外し可能に装着される。ロボットアーム131の運動は、コントローラ190によって制御される。
【0030】
プリントヘッドプラットフォーム150は、プリントヘッドモジュール210が嵌合する開孔を有する一般的な長方形プレートとすることができる。図1A及び図1Bの両方が一般的に水平なプレートであるプラットフォームを示しているが、支持体は、他の形状を有することでき、例えば、支持体は、モジュールが固定されるフレーム又は垂直プレートとすることができる。構成要素のプリントヘッドプラットフォームへの取り付けの検討は、構成要素のプリントヘッド支持体への取り付けに適用できると理解すべきである。
【0031】
図2は、図1Aに示す例示的付加製造システムの上面図である。プリントヘッドプラットフォーム150は、ガントリー130のレール130a及び130bに装着される。例えばアクチュエータなどにより、ガントリー130のレール130a及び130b上をスライドすることにより、プリントヘッドプラットフォーム150は、プラテン105全域を(y軸に沿って)横断することができる。
【0032】
プリントヘッドプラットフォーム150は、一又は複数のプリントヘッドモジュール210を含む。上記のように、各プリントヘッドモジュール210は、プラットフォーム150に取り外し可能に装着される。
【0033】
加えて、プリントヘッド210及びプリントヘッド中の構成要素、例えば、ディスペンサ、熱源 及びエネルギー源は、それらがプラットフォーム150からの単一ユニットとして装着及び装着解除できるように構成される。これにより、付加製造システム100の構築及び修理が容易に可能となる。
【0034】
図2に示すように、プリントヘッドモジュール210は、プラテン105の幅全体に及ぶよう千鳥状に(in a staggered fashion)配置される。これにより、プラテン105上をプラットフォーム150が1回通過するだけで(with a single pass)対象物の層が製造可能となる。プリントヘッドモジュール210は、プラテンに堆積した供給材料の長方形片において付加製造プロセス を実行する。
【0035】
プラットフォーム150はまた、グローバル印刷構成要素220及び222を支持することもできる。これらのグローバル印刷構成要素は、プリントヘッドモジュール210のフレームというよりはむしろ、プラットフォーム150に直接装着される。印刷構成要素220は、堆積した供給材料を分配し滑らかにすることができるグローバルディスペンサとすることができる。印刷構成要素220及び/又は222は、付加製造プロセスと関連する種々のパラメータを測定することができるグローバル計測システムとすることができる。グローバル計測システムは、センサ、熱イメージャ又は光学カメラのうちの一又は複数を備えることができる。
【0036】
1つの実施態様において、システム150がプラテン105全域を左から右へ(+y方向に沿って)移動する際に、第1のグローバル計測システム220は、システムの前方エッジを形成し、順次、プリントヘッドモジュール210、最後に第2のグローバル計測システム222を続けて形成する。システム150の前方エッジにおけるグローバル計測システム220は、したがって、例えば、層が堆積することになるプラテン又は下層のような、表面の温度及び/又は垂直位置などの種々のパラメータを測定することができる。このデータは、プリントヘッドモジュール210の動作を制御するためにコントローラ190に供給することができる。例えば、供給材料ディスペンサが制御可能である場合、表面の高さの測定は、分配する材料の量を決定し、層の厚さの均一性を改善するために、コントローラによって使用することができる。同様に、層の温度に関するデータは、溶融解する部分が均一の温度まで上昇するように、熱源及び/又はエネルギー源に供給される電力を制御するために使用することができる。システム150の後方エッジにおけるグローバル計測システム222は、付加製造プロセスと関連した種々のパラメータ、例えば、溶/融解した供給材料の温度及び/又は表面粗さなど、を測定することができる。また、このデータは、例えばフィードバックループ内で、プリントヘッドモジュール210の動作を制御し、改良された均一性を提供するためにコントローラ190に供給することができる。
【0037】
幾つかの実施態様では、計測システムの各セグメントが、一又は複数のプリントヘッドモジュールによって溶融解した供給材料の測定実行に関与するように、グローバル計測システム222は、x方向に沿って幾つかのセグメントに分割することができる。
【0038】
幾つかの実施態様では、付加製造プロセスは、一方向的なもの、即ち、付加製造プロセスは、システム150が左から右へ又は右から左へ移動しているときだけ生じる、とすることができる。別の例では、付加製造プロセスは、双方向的なもの、即ち、付加製造プロセスは、システム150が左から右へ及び右から左への両方で移動しているときに生じる、とすることができる。グローバル印刷構成要素220及び222は、類似であっても(双方向印刷用)、又は異なっていても(一方向印刷用)よい。
【0039】
図3は、プリントヘッドモジュール210による付加製造プロセスの概略図である。付加製造システム100は、プラテン105上を(例えば、y方向に沿って)移動し、付加製造プロセスを実行することができるプリントヘッドモジュール210を含む。プリントヘッドモジュールの種々のプリントヘッド構成要素が、付加製造プロセスの方向に沿って(例えば、+y方向に沿って)配置される。加えて、いくつかの実施態様では、プリントヘッド構成要素は、プリントヘッドモジュールのフレームに対して(例えば、アクチュエータ又はモータによって)移動することができる。以下では、プリントヘッドモジュール210下の堆積した供給材料の所与の片で付加製造プロセスを実行する順番で、プリントヘッド構成要素が説明されることになる。
【0040】
プリントヘッドモジュールは、第1の供給材料314を堆積させる第1のディスペンサ304(プリントヘッドモジュール210の前方エッジにある)を含む。第1のスプレッダ又は平坦化/平滑化アーム340(例えば、ローラ又はブレード(若しくはナイフの刃))は、ディスペンサ304に追従し、プラテン105全域で均等に堆積した供給材料を分散させ/平滑化する。
【0041】
オプションの第2のディスペンサ305は、第2の供給材料312を堆積させるために、第1の分散機構340に追従することができる。供給材料312及び314は、異なるサイズ、形状とすることができ、及び/又は異なる溶融温度を有することができる。例えば、第2の供給材料312は、第1の供給材料314より小さいくすることができ、したがって、供給材料314の粒子間の介在空間を充填しうる。別の例では、第2の供給材料312は、処理温度まで加熱されると、供給材料314とは異なる反応を示す合金添加剤又はバインダー材とすることができる。例えば、供給材料312及び314は、異なる焼結/溶融温度を有することができる。第2の供給材料ディスペンサ305は、堆積した供給材料312又は事前に平坦化された供給材料314を分散させる/平滑化する、オプションの第2のスプレッダ又は平坦化/平滑化アーム341(例えば、ローラ又はブレード(若しくはナイフの刃))によって追従される。
【0042】
供給材料は、粉末とすることができる。例えば、供給材料は、鋼、アルミニウム、コバルト、クロム、及びチタンなどの金属、合金混合物、セラミック、複合体、又は生砂などから成る粒子の粉末とすることができる。
【0043】
オプションの計測システム352は、分散機構341に追従することができ、プロファイルメータ、熱イメージャ又は光学カメラのうちの一又は複数を備えることができる。オプションの計測システム352は、例えば、堆積した供給材料の表面粗さを測定することができる。溶/融解前に堆積した供給材料の粗さを知ることで、供給材料は、製造プロセスを制御することによって付加製造プロセスの質を高めることに役立つ可能性がある。
【0044】
次に、熱源334が、堆積した供給材料の温度を上昇させる。図3に記載の実施形態において、熱源334は、加熱ランプアレイである。加熱ランプアレイ334は、その焼結温度又は溶融温度未満の温度まで、堆積した供給材料312(及び存在する場合は314)を加熱することができる。
【0045】
熱源334の後に、エネルギー源360が、例えば、温度をその焼結温度又は溶融温度を上回るまで上昇させる(次いで、その部分の冷却を許容する)ことによって、層の選択された部分を溶融解することになる。例えば、エネルギー源360は、ビーム375を放射することができる。ビーム375は、例えば、レーザによって生成されるレーザビーム、イオン源によって生成されるイオンビーム、又は電子ガンによって生成される電子ビームとすることができる。ビーム375は、堆積した供給材料の一方又は両方の温度を、それらのそれぞれの焼結点又は溶融解点付近又はそれらを上回るまで、上昇させることができる。
【0046】
更に、エネルギー源360は、堆積した供給材料の所望の領域を選択的に溶融解させるために、選択的に作動させることができる。例えば、エネルギー源360は、プラテンのある部分に衝突するビーム375を放射することができ、これにより、その部分に堆積した供給材料の一方又は両方が溶融解する。エネルギー源360の選択的な作動に併せて、プリントヘッドモジュールフレームに対してエネルギー源360を移動させることによって、又は供給材料の上でビーム375を移動させることによって、又はその両方によって、エネルギー源360による供給材料のある部分の選択的加熱を実現することができる。
【0047】
例えば、エネルギー源360は、コントローラ190(図1Aを参照)により制御されるモータ又はアクチュエータによって、プリントヘッドモジュールの動き(例えば、y軸)に垂直な方向(例えば、x軸)に沿って移動することができる。別の例では、エネルギー源360は、プリントヘッドモジュールフレームに対して移動しなくてもよい。しかしながら、エネルギー源360は、プリントヘッドモジュールの運動方向に垂直な方向に沿ってビーム375を偏向することができる機構、例えば、ガルボ(galvo)又は圧電マイクロミラーデバイスに装着されるミラーなどを含みうる。マイクロミラーデバイスは、プリントヘッドモジュールの運動方向に垂直な方向に沿って配置されるミラーの線形アレイを含みうる。上記すべての場合において、供給材料に対するビーム375の衝突位置が変化する。
【0048】
異なる溶融温度又は焼結温度を有する2つの供給材料が使用される場合、エネルギー源360は、プリントヘッドモジュール210下の層の全部分を、第1の供給材料の溶融温度又は焼結温度と、第2の供給材料の溶融温度又は焼結温度との間の温度まで上昇させることができる。したがって、ただ1つの供給材料だけが溶融解することになる。これにより、エネルギー源360による選択的溶融解の必要性が除外される。
【0049】
オプションの第2の計測システム350は、エネルギー源360に追従する。第2の計測システム350は、例えば、溶融解した供給材料の特性(温度、表面粗さなど)を測定することができる。これは、処理パラメータを調節し、付加製造プロセスの質を向上させるために、コントローラによって使用することができる。
【0050】
図4は、プラテン(図示されず)上のx-y平面に置かれたプリントヘッドモジュール400の実施形態の上面図を示す。モジュールがプラテン上を(+y方向に沿って)左から右へ移動するように構成されるので、モジュールの右端部が前方エッジであり、左端部が後方エッジである。モジュール400は、複数のプリントヘッド構成要素を含む。例えば、プリントヘッド構成要素は、前方エッジから後方エッジ、計測システム352、第1のディスペンサ304、第1の分散機構340(例えば、ローラ又はブレード)、第2のディスペンサ305、第2の分散機構341(例えば、ローラ又はブレード)、第1のエネルギー源334(例えば、加熱ランプ)、第2のエネルギー源360(例えば、レーザシステム)及び計測システム350の順で含んでいる。
【0051】
図5は、図3及び図4に記載の供給材料ディスペンサ304の概略図である。ディスペンサ304は、付加製造プロセス中にプリントヘッドモジュールが移動する(x方向に沿って)方向に実質的に垂直であるプラテンの幅にわたって延びる(x軸に沿って)導管505(例えば、中空シリンダ)を備える。導管505は、供給材料314を貯蔵するホッパー520に連結される。導管505は、空洞510及びオーガ540を取り囲む。オーガ540は、材料ディスペンサ304に回転可能に装着され、モータは、例えば、駆動シャフトによって、オーガ540を回転させることができる。
【0052】
オーガ540は、回転する際に、ホッパー520から供給材料314を引き出す。導管505は、供給材料314をプラテン上に分配することができる、その長さに沿って(x方向に沿って)配置された複数の開口545を有することができる。開口545を通した供給材料314の流量は、コントローラ190(図示されず)により制御することができるアクチュエータ550によって調整することができる。供給材料314の流量はまた、オーガ540の回転速度を変化させることによって、制御することができる。例えば、オーガ540の回転速度を増加させることで、供給材料が分配される速度を増加させることができ、逆もまた同じである。他の例では、導管505は、導管の長さに沿って(x軸に沿って)、連続スロットを有することができる。
【0053】
ディスペンサ304は、モジュール210のエッジを越えて、供給材料を分配するように構成することができる。例えば、供給材料が、x方向のディスペンサの範囲を超えて存在するプラテンの一部に分配されるように、ディスペンサは、ノズルを通して流体キャリアの供給材料を射出する射出器を含み、ノズルは、プラテン表面に対してある角度で位置付けることができるだろう。この特徴は、ディスペンサ304直下にないプラテンの領域で供給材料を堆積させるために役立つ可能性がある。これにより、例えば、プリントヘッドプラットフォームの2つの隣接するプリントヘッドモジュールの間に間隙が存在する場合、供給材料は、間隙下に存在するプラテンの一部に確実に堆積することになる。また、これにより、供給材料を、プリントヘッドモジュール直下にないプラテンの一部に、例えば、プラテンのエッジに近接した領域に、確実に堆積させることができる。
【0054】
代替的には又は加えて、ディスペンサ304は、プリントヘッドモジュールの中心でよりプリントヘッドモジュール210のエッジで(x方向に沿って)、より多くの供給材料を供給するように構成することができる。例えば、導管505の2つの端部における(x方向に沿った)孔は、導管505の中心の孔より大きいとすることができる(又はより近接した間隔で配置することができる)。スプレッダ、例えば、ブレード又はローラ、スプレッダ340などは、次いで、余分な供給材料を、プリントヘッドプラットフォームの2つの隣接したプリントヘッドモジュール210の間の間隙内に拡散させるために使用することができる。
【0055】
図6は、エネルギー源、例えば、図3及び図4のエネルギー源334として、プリントヘッドモジュールに含むことができる。加熱ランプアレイ600は、アレイ、例えば、六角形の最密アレイ(hexagonal closest packed array)に配置される複数の加熱ランプ634を備える。各加熱ランプ634は、一又は複数のピン636を通って電源に接続させることができる。
【0056】
各加熱ランプ634に供給されるエネルギーは、コントローラ(例えば、図1のコントローラ190)によって制御することができる。加熱ランプの各々に供給されるエネルギーを変化させることによって、加熱ランプにより放出されるエネルギーを変化させることができる。したがって、加熱ランプアレイにより生成されるエネルギーの空間的分布を、コントローラによって制御することができる。その結果、加熱ランプアレイ600からエネルギーを受けるプラテンに堆積する供給材料の一部は、温度分布を有することができる。要するに、加熱ランプアレイ600は、堆積した供給材料の前述の一部の温度分布の制御を提供することができる。
【0057】
図6において、加熱ランプアレイ600は、z軸に沿って配置され、したがって、プラテン(x-y平面にある)上の供給材料に垂直である。しかしながら、加熱ランプアレイ600はまた、プラテンに対して他の角度で配置することもできる。例えば、ランプは、供給材料が分配される点により接近して加熱される領域を移動させるために、y-z平面において角度を有することができよう。別の例として、アレイのエッジにおける(x軸に沿った)ランプは、プリントヘッドプラットフォームの2つの隣接するプリントヘッドモジュールの間の間隙内の任意の供給材料に熱を供給するために、外に向かって(x-z平面に)角度を有することができよう。
【0058】
図7は、例示的付加製造システム700の例の上面図を示す。図2で説明したように、システム700は、ハウジング102を含み、それによって囲まれている。ハウジング102は、例えば、真空環境が、ハウジング内部のチャンバ101で維持できるようにすることができる。代替的には、チャンバ101の内部は、例えば、粒子を除去するためにフィルタリングされたガスなどの実質的に純粋なガスとすることができ、又はチャンバを大気に通気することができる。ガスは、ガス源(図示されず)からガス入口103を通ってチャンバ101に侵入することができる。チャンバからのガスは、真空ベント104を通して除去することができる。
【0059】
プリントヘッドプラットフォーム750は、ガントリー130のレール130a及び130bに装着される。ガントリー130のレール130a及び130bの上をスライドすることによって、プリントヘッドプラットフォーム750は、プラテン105全域を(y方向に沿って)横断することができる。プラットフォーム750は、例えば、図2図3又は図4に記載されたプリントヘッドモジュールでありうる、プリントヘッドモジュール710を支持する。プリントヘッドモジュール710は、トラック730に装着され、アクチュエータ720によって、トラックに沿ってx方向に移動することができる。アクチュエータ、更にはシステム750のモジュール710の位置は、コントローラ190によって制御することができる。
【0060】
付加製造システム700において、プリントヘッドプラットフォーム750は、プラテンの長さ(y軸)に沿って漸次的に移動する。プリントヘッドプラットフォーム750の各漸次的動きについて、プリントヘッドモジュール710は、プラテンの一端からもう一端へ、その幅に沿って(x方向に沿って)移動する。プリントヘッドプラットフォーム750の動き(y方向に沿った)をプリントヘッドモジュールの動き(x方向に沿った)と結合することによって、付加製造プロセスをプラテン全体にわたって実行できるようになる。
【0061】
金属及びセラミックの付加製造の処理条件は、プラスチック用の処理条件とは著しく異なる。例えば、金属とセラミックは概して、著しくより高い処理温度を必要とする。したがって、プラスチック用の3D印刷の技法は、金属又はセラミックの処理には適用できない可能性があり、装置も均等ではない可能性がある。しかしながら、本明細書に記載の幾つかの技法は、ポリマー粉末、例えば、ナイロン、ABS、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)及びポリスチレンなどに適用可能であろう。
【0062】
コントローラ190及び本明細書に記載のシステムの他の計算デバイス部分は、デジタル電子回路で、又はコンピュータソフトウェア、ファームウェア、若しくはハードウェアに実装することができる。例えばコントローラは、例えば持続性マシン可読ストレージ媒体といった、コンピュータプログラム製品内に記憶されたコンピュータプログラムを実行する、プロセッサを含むことができる。こうしたコンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション又はコードとしても知られている)は、コンパイル又は翻訳された言語を含むプログラミング言語の任意の形で書くことができ、また独立型プログラムとして、又はモジュール、構成要素、サブルーチン、若しくは計算環境で使用するのに適している他のユニットとして配置することを含め、任意の形で配置することができる。
【0063】
コントローラ190及び記載のシステムの他の計算デバイス部分は、各層に供給材料を堆積させるべきパターンを指定する、例えばコンピュータ支援設計(CAD)互換性のファイルといったデータオブジェクトを記憶するための持続性コンピュータ可読媒体を含むことができる。例えば、このデータオブジェクトは、STL形式のファイル、3Dマニュファクチャリングフォーマット(3MF)ファイル、又は付加製造ファイルフォーマット(AMF)ファイルとすることができよう。例えば、コントローラは、遠隔コンピュータからデータオブジェクトを受信することができよう。コントローラ190内のプロセッサは、例えばファームウェア又はソフトウェアによって制御される際に、装置100の構成要素を制御して各層に指定されたパターンを溶融解するのに必要な信号のセットを生成するため、コンピュータから受信したデータオブジェクトを解釈することができる。
【0064】
幾つかの実施態様が記載されてきた。だが、種々の修正が行われることがあると理解されるだろう。例えば、
・モジュールは、ヒータを含む必要がない。ヒータは、グローバル構成要素とすることができ、又はチャンバの壁に装着することができる。
・モジュールは、エネルギー源を含む必要がない。エネルギー源は、グローバル構成要素とすることができ、又はチャンバの壁に装着することができる。
・プリントヘッド支持体が移動するというよりはむしろ、プラテンがプリントヘッドアセンブリとプラテンとの間に相対運動を提供するために横方向に移動する間、プリントヘッド支持体は、静止状態を維持することができる。
【0065】

したがって、他の実施態様が、特許請求の範囲内にある。
また、本願は以下に記載する態様を含む。
(態様1)
付加製造システムのためのモジュールであって、
可動支持体に取り外し可能に装着されるように構成されたフレームと、
前記フレームから分離したプラテン上に粒子の層を、又は前記プラテン上に下層を供給するように構成されたディスペンサと、
前記粒子が溶融解する温度未満の温度まで前記粒子の層を加熱するように構成された熱源と、
前記粒子を溶融解させるように構成されたエネルギー源と
を備え、
前記ディスペンサ、前記熱源及び前記エネルギー源が第1の軸に沿って順番に前記フレーム上に位置付けられ、前記フレーム、前記ディスペンサ、前記熱源及び前記エネルギー源が、前記支持体からの単一ユニットとして装着及び装着解除できるように、前記ディスペンサ、前記熱源及び前記エネルギー源が前記フレームに固定される、モジュール。
(態様2)
前記ディスペンサが、前記粒子を保持するためのリザーバ、及び前記リザーバに連結されかつ前記第1の軸と垂直な第2の軸に沿って延びる導管とを備え、前記導管が、前記粒子がそれらを通して分配される連続スロット又は複数の開孔を有する、態様1に記載のモジュール。
(態様3)
前記ディスペンサが、複数のノズルを備え、かつ前記ノズルを通してキャリア流体の前記粒子を射出するように構成される、態様1に記載のモジュール。
(態様4)
前記熱源が、加熱ランプのアレイを備える、態様1に記載のモジュール。
(態様5)
前記エネルギー源が、ビームを生成するように構成され、前記ビームの前記粒子の層での衝突のスポットが、第2の軸に沿って移動可能である、態様1に記載のモジュール。
(態様6)
前記エネルギー源が、前記第1の軸に垂直な第2の軸に沿って移動可能であるように、前記フレームにスライド可能に装着され、アセンブリが、前記フレームに固定され、かつ前記第2の軸に沿って前記エネルギー源を移動させるように構成されたモータを備える、態様5に記載のモジュール。
(態様7)
前記エネルギー源が、前記第1の軸に垂直な前記第2の軸に沿って前記ビームを偏向するように構成される、態様5に記載のモジュール。
(態様8)
前記エネルギー源が、前記第1の軸に垂直な第2の軸に沿って延びるミラーのアレイを含むデジタルマイクロミラーデバイスを備える、態様1に記載のモジュール。
(態様9)
前記フレームに固定された計測システムを更に備える、態様1に記載のモジュール。
(態様10)
前記計測システムが、前記第1の軸に沿って順番に前記ディスペンサの前に配置されたセンサ、又は前記第1の軸に沿って順番に前記エネルギー源の後に配置されたセンサを備える、態様9に記載のモジュール。
(態様11)
前記計測システムが、前記第1の軸に沿って順番に前記ディスペンサの前に配置された第1のセンサと、前記第1の軸に沿って順番に前記エネルギー源の後に配置された第2のセンサとを備える、態様9に記載のモジュール。
(態様12)
前記ディスペンサが、前記ディスペンサのエッジを越えて延びる前記第1の軸に垂直な第2の軸上の領域に粒子を分配するように構成される、態様1に記載のモジュール。
(態様13)
前記ディスペンサが、少なくとも前記フレームのエッジまで粒子を分配するように構成される、態様12に記載のモジュール。
(態様14)
付加製造システムのためのプリントヘッドアセンブリであって、
プリントヘッド支持体と、
前記プリントヘッド支持体に取り外し可能に装着された複数のプリントヘッドモジュールであって、各プリントヘッドモジュールが物理的構成において実質的に同一であり、
前記支持体に取り外し可能に装着されたフレームと、
前記フレームから分離したプラテン上に供給材料の層を、又は前記プラテン上に下層を供給するように構成されたディスペンサと
を各々が含む複数のプリントヘッドモジュールと
を備え、
前記ディスペンサは、前記フレーム及び前記ディスペンサが、前記支持体からの単一ユニットとして装着及び装着解除できるように、前記フレームに固定される、プリントヘッドアセンブリ。
(態様15)
製造される物体を支持するためのプラテンであって、上面を有するプラテンと、
前記プラテンに対して前記上面に平行な方向に移動可能であるプリントヘッドアセンブリであって、
プリントヘッド支持体と、
前記プリントヘッド支持体に取り外し可能に装着された複数のプリントヘッドモジュールであって、各プリントヘッドモジュールが物理的構成において実質的に同一であり、各プリントヘッドモジュールが、
前記支持体に取り外し可能に装着されたフレームと、
前記フレームから分離したプラテン上に供給材料の層を、又は前記プラテン上に下層を供給するように構成されたディスペンサであって、前記フレーム及び前記ディスペンサが、前記支持体からの単一ユニットとして装着及び装着解除できるように、前記フレームに固定されるディスペンサと
を各々が含む複数のプリントヘッドモジュールと
を含むプリントヘッドアセンブリと、
前記プリントヘッド支持体及び前記プラテンの少なくとも1つに連結し、それらの間に相対運動をもたらすアクチュエータと、
前記供給材料を溶融解させるように構成されたエネルギー源と
を備える、付加製造システム。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7