(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-11
(45)【発行日】2023-01-19
(54)【発明の名称】極紫外線マスク吸収体材料
(51)【国際特許分類】
G03F 1/24 20120101AFI20230112BHJP
C23C 14/14 20060101ALI20230112BHJP
【FI】
G03F1/24
C23C14/14 E
(21)【出願番号】P 2021544118
(86)(22)【出願日】2020-01-31
(86)【国際出願番号】 US2020016022
(87)【国際公開番号】W WO2020160354
(87)【国際公開日】2020-08-06
【審査請求日】2021-09-24
(32)【優先日】2019-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】M/S 1269,3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】リウ, シューウェイ
(72)【発明者】
【氏名】ジンダル, ビブー
【審査官】植木 隆和
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2006/030627(WO,A1)
【文献】特開2007-273678(JP,A)
【文献】国際公開第2018/022372(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
G03F 7/20
G03F 1/00~1/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
極紫外線(EUV)マスクブランクの製作方法であって、
EUV放射を反射する多層積層体を基板上に形成することであって、該多層積層体が複数の反射層ペアを含む、多層積層体を基板上に形成することと、
前記多層積層体上にキャッピング層を形成することと、
前記キャッピング層上に、タンタルとアンチモンとの合金を含む吸収層を形成することと
を含み、
前記タンタルとアンチモンとの合金が、約33.7重量%から約57.8重量%のタンタルと、約42.2重量%から約63.3重量%のアンチモンとを含む
、方法。
【請求項2】
極紫外線(EUV)マスクブランクの製作方法であって、
EUV放射を反射する多層積層体を基板上に形成することであって、該多層積層体が複数の反射層ペアを含む、多層積層体を基板上に形成することと、
前記多層積層体上にキャッピング層を形成することと、
前記キャッピング層上に、タンタルとアンチモンとの合金を含む吸収層を形成することと
を含み、
前記タンタルとアンチモンとの合金が、約57.8重量%から約78.2重量%のタンタルと、約21.8重量%から約42.2重量%のアンチモンとを含む
、方法。
【請求項3】
前記タンタルとアンチモンとの合金が、約21.9重量%から約33.7重量%のタンタルと、約66.3重量%から約78.1重量%のアンチモンとを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記タンタルとアンチモンとの合金が非晶質である、請求項
2に記載の方法。
【請求項5】
前記タンタルとアンチモンとの合金が、0.1重量%から5重量%の範囲の窒素又は酸素のうちの1つ又は複数でドープされる、請求項
1に記載の方法。
【請求項6】
前記タンタルとアンチモンとの合金が、約0.1重量%から約5重量%の範囲の窒素又は酸素のうちの1つ又は複数でドープされる、請求項
2に記載の方法。
【請求項7】
極紫外線(EUV)マスクブランクであって、
基板と、
EUV放射を反射する多層積層体であって、複数の反射層ペアを含む多層積層体と、
反射層の前記多層積層体上のキャッピング層と、
タンタルとアンチモンとの合金を含む吸収層と
を含み、
前記タンタルとアンチモンとの合金が、約33.7重量%から約57.8重量%のタンタルと、約42.2重量%から約63.3重量%のアンチモンとを含む
、極紫外線(EUV)マスクブランク。
【請求項8】
極紫外線(EUV)マスクブランクであって、
基板と、
EUV放射を反射する多層積層体であって、複数の反射層ペアを含む多層積層体と、
反射層の前記多層積層体上のキャッピング層と、
タンタルとアンチモンとの合金を含む吸収層と
を含み、
前記タンタルとアンチモンとの合金が、約57.8重量%から約78.2重量%のタンタルと、約21.8重量%から約42.2重量%のアンチモンとを含む
、極紫外線(EUV)マスクブランク。
【請求項9】
前記タンタルとアンチモンとの合金が、約21.9重量%から約33.7重量%のタンタルと、約66.3重量%から約78.1重量%のアンチモンとを含む、請求項
7に記載の極紫外線(EUV)マスクブランク。
【請求項10】
前記タンタルとアンチモンとの合金が非晶質であり、前記吸収層が45nm未満の厚さを有する、請求項
8に記載の極紫外線(EUV)マスクブランク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本開示は、概して、極紫外線リソグラフィに関し、より詳細には、合金吸収体を有する極紫外線マスクブランク及び製作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] 軟X線投影リソグラフィとしても知られる極紫外線(EUV)リソグラフィは、0.0135ミクロン以下の最小特徴サイズ半導体デバイスの製作に使用することができる。しかしながら、一般に5-100ナノメートルの波長範囲にある極紫外線光は、事実上、全ての材料に強く吸収される。そのため、極紫外線システムは、光の透過ではなく、反射によって機能する。無反射吸収体マスクパターンでコーティングされた一連のミラー又はレンズ素子、及び反射素子又はマスクブランクを使用することによって、パターニングされた化学線光は、レジストコーティングされた半導体基板上に反射される。
【0003】
[0003] 極紫外線リソグラフィシステムのレンズ素子及びマスクブランクは、モリブデン及びケイ素のような材料の反射性多層コーティングで被覆される。極度に狭い紫外線帯域、例えば13.5ナノメートルの紫外線光に対して12.5から14.5ナノメートルの帯域内の光を強く反射する多層コーティングで被覆された基板を使用することによって、レンズ素子又はマスクブランク当たり約65%の反射値が得られている。
【0004】
[0004]
図1は、従来のEUV反射マスク10を示しており、これは、基板14上に反射性多層積層体12を含むEUVマスクブランクから形成され、ブラッグ干渉によってマスクされていない部分でEUV放射を反射する。従来のEUV反射マスク10のマスクされた(反射しない)領域16は、バッファ層18及び吸収層20をエッチングすることによって形成される。吸収層は、典型的には、51nmから77nmの範囲の厚さを有する。キャッピング層22は、反射性多層積層体12の上に形成され、エッチングプロセスの間、反射性多層積層体12を保護する。更に後述するように、EUVマスクブランクは、多層で被覆された低熱膨張材料基板、キャッピング層、及び吸収層から形成され、次いで、エッチングされて、マスクされた(反射しない)領域16及び反射領域24を提供する。
【0005】
[0005] 半導体の国際技術ロードマップ(International Technology Roadmap for Semiconductors(ITRS))は、ノードのオーバレイ要件を、技術の最小ハーフピッチ特徴サイズのある割合として指定する。すべての反射性リソグラフィシステムにおける固有の画像配置及びオーバレイ誤差への影響のため、EUV反射性マスクは、将来の生産のために、より精密な平坦度仕様に準拠する必要があろう。加えて、EUVブランクは、ブランクの作業領域上の欠陥に対する許容度が非常に低い。更に、吸収層の役割は光を吸収することであるが、吸収層の屈折率と真空の屈折率(n=1)との差による位相シフト効果もあり、この位相シフトは3Dマスク効果を説明する。3Dマスク効果を緩和するために、より薄い吸収体を有するEUVマスクブランクを提供する必要がある。
【発明の概要】
【0006】
[0006] 本開示の1つ又は複数の実施形態は、極紫外線(EUV)マスクブランクの製作方法を対象とし、この方法は、EUV放射を反射する多層積層体を基板上に形成することであって、該多層積層体が複数の反射層ペアを含む、多層積層体を基板上に形成することと、多層積層体上にキャッピング層を形成することと、キャッピング層上に、タンタルとアンチモンとの合金を含む吸収層を形成することとを含む。
【0007】
[0007] 本開示の更なる実施形態は、EUVマスクブランクを対象とし、このEUVマスクブランクは、基板と、EUV放射を反射する多層積層体であって、複数の反射層ペアを含む多層積層体と、反射層の多層積層体上のキャッピング層と、タンタルとアンチモンとの合金を含む吸収層とを含む。
【0008】
[0008] 本開示の上記の特徴を詳細に理解することができるように、上記で簡単に要約した本開示のより具体的な説明を、実施形態を参照することによって行うことができ、それらのいくつかを添付図面に示す。しかしながら、本開示は他の等しく有効な実施形態も許容しうることから、添付の図面が本開示の典型的な実施形態を例示しているにすぎず、よって本開示の範囲を限定すると見なされるべきではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】[0009] 従来の吸収体を用いた背景技術のEUV反射マスクを概略的に示す。
【
図2】[0010] 極紫外線リソグラフィシステムの実施形態を概略的に示す。
【
図3】[0011] 極紫外線反射素子生産システムの実施形態を示す。
【
図4】[0012] EUVマスクブランクのような極紫外線反射素子の実施形態を示す。
【
図5】[0013] EUVマスクブランクのような極紫外線反射素子の実施形態を示す。
【
図6】[0014] マルチカソード物理的堆積チャンバの実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[0015] 本開示のいくつかの例示的な実施形態を説明する前に、本開示は、以下の説明に記載される構成又はプロセスステップの詳細に限定されないことを理解されたい。本開示は、他の実施形態も可能であり、様々な方法で実施又は実行可能である。
【0011】
[0016] 本明細書で使用する「水平」という用語は、その配向と関係なく、マスクブランクの面又は表面に平行な面として定義される。「垂直」という用語は、ここで定義された水平に対して直角の方向を指す。「上方」、「下方」、「底部」、「頂部」、「側部」(例えば、「側壁」における)、「より高い」、「より低い」、「上に」、「上側に」、「下側に」といった用語は、図に示すように、水平面に対して定義される。
【0012】
[0017] 「~の上(on)」という用語は、要素間で直接接触することを示す。「直接上に」という用語は、介在要素を伴わずに要素間で直接接触があることを示す。
【0013】
[0018] 当業者であれば、処理領域について説明するための「第1(first)」や「第2(second)」などの序数の使用が、処理チャンバにおける具体的な場所、又は、処理チャンバ内での曝露の順序を示唆するものではないことが理解されよう。
【0014】
[0019] 本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される際に、「基板」という用語は、プロセスが作用する表面又は表面の一部を指す。また、基板に対して言及がなされるとき、文脈において特に明示されない限り、基板の一部のみを指すことがあると当業者には理解されよう。加えて、基板への堆積に対して言及がなされるとき、それは、ベア基板と、1つ又は複数の膜又は特徴が堆積又は形成された基板との両方を意味しうる。
【0015】
[0020] ここで
図2を参照すると、極紫外線リソグラフィシステム100の例示的な実施形態が示されている。極紫外線リソグラフィシステム100は、極紫外線光112を生成するための極紫外線光源102と、一組の反射素子と、ターゲットウエハ110とを含む。反射素子は、コンデンサ104、EUV反射マスク106、光学縮小アセンブリ108、マスクブランク、ミラー、又はこれらの組み合わせを含む。
【0016】
[0021] 極紫外線光源102は、極紫外線光112を生成する。極紫外線光112は、5から50ナノメートル(nm)の範囲の波長を有する電磁放射である。例えば、極紫外線光源102は、レーザ、レーザ生成プラズマ、放電生成プラズマ、自由電子レーザ、シンクロトロン放射、又はこれらの組み合わせを含む。
【0017】
[0022] 極紫外線光源102は、種々の特性を有する極紫外線光112を生成する。極紫外線光源102は、ある範囲の波長にわたって広帯域の極紫外線放射を生成する。例えば、極紫外線光源102は、5から50nmの範囲の波長を有する極紫外線光112を生成する。
【0018】
[0023] 1つ又は複数の実施形態では、極紫外線光源102は、狭い帯域幅を有する極紫外線光112を生成する。例えば、極紫外線光源102は、13.5nmで極紫外線光112を生成する。波長ピークの中心は13.5nmである。
【0019】
[0024] コンデンサ104は、極紫外線光112を反射して焦点を合わせるための光学ユニットである。コンデンサ104は、極紫外線光源102からの極紫外線光112を反射して集光し、EUV反射マスク106を照射する。
【0020】
[0025] コンデンサ104は単一の要素として示されているが、コンデンサ104は、極紫外線光112を反射して集光するために、凹面ミラー、凸面ミラー、平面ミラー、又はこれらの組合せなどの1つ又は複数の反射素子を含みうると理解されたい。例えば、コンデンサ104は、単一の凹面ミラー又は凸状、凹状及び平坦な光学素子を有する光学アセンブリでありうる。
【0021】
[0026] EUV反射マスク106は、マスクパターン114を有する極紫外線反射素子である。EUV反射マスク106は、リソグラフィックパターンを作成して、ターゲットウエハ110上に形成される回路レイアウトを形成する。EUV反射マスク106は、極紫外線光112を反射する。マスクパターン114は、回路レイアウトの一部を画定する。
【0022】
[0027] 光学縮小アセンブリ108は、マスクパターン114の画像を縮小するための光学ユニットである。EUV反射マスク106からの極紫外線光112の反射は、光学縮小アセンブリ108によって縮小され、ターゲットウエハ110に反射される。光学縮小アセンブリ108は、マスクパターン114の画像のサイズを縮小するために、ミラー及び他の光学素子を含みうる。例えば、光学縮小アセンブリ108は、極紫外線光112を反射して焦点を合わせるための凹面ミラーを含みうる。
【0023】
[0028] 光学縮小アセンブリ108は、ターゲットウエハ110上のマスクパターン114の画像のサイズを縮小する。例えば、マスクパターン114は、ターゲットウエハ110上の光学縮小アセンブリ108によって4:1の比率で撮像され、ターゲットウエハ110上のマスクパターン114によって表される回路を形成することができる。極紫外線光112は、ターゲットウエハ110と同期してEUV反射マスク106を走査して、ターゲットウエハ110上にマスクパターン114を形成することができる。
【0024】
[0029] ここで
図3を参照すると、極紫外線反射素子生産システム200の実施形態が示されている。極紫外線反射素子は、EUVマスクブランク204、極紫外線ミラー205、又はEUV反射マスク106のような他の反射素子を含む。
【0025】
[0030] 極紫外線反射素子生産システム200は、マスクブランク、ミラー、又は
図2の極紫外線光112を反射する他の素子を生産することができる。極紫外線反射素子生産システム200は、ソース基板203に薄いコーティングを施すことによって、反射素子を製造する。
【0026】
[0031] EUVマスクブランク204は、
図2のEUV反射マスク106を形成するための多層構造である。EUVマスクブランク204は、半導体製造技術を用いて形成することができる。EUV反射マスク106は、エッチング及び他のプロセスによってEUVマスクブランク204上に形成された
図2のマスクパターン114を有することができる。
【0027】
[0032] 極紫外線ミラー205は、極紫外線光の範囲で反射する多層構造である。極紫外線ミラー205は、半導体製造技術を用いて形成することができる。EUVマスクブランク204及び極紫外線ミラー205は、各素子上に形成された層に関して類似の構造とすることができるが、極紫外線ミラー205はマスクパターン114を有していない。
【0028】
[0033] 反射素子は、極紫外線光112の効率的なリフレクタである。1つの実施形態では、EUVマスクブランク204及び極紫外線ミラー205は、60%を超える極紫外線反射率を有する。反射素子は、極紫外線光112の60%を超えて反射する場合に有効である。
【0029】
[0034] 極紫外線反射素子生産システム200は、ソース基板203がロードされ、そこから反射素子がアンロードされるウエハローディング及びキャリアハンドリングシステム202を含む。大気ハンドリングシステム206は、ウエハハンドリング真空チャンバ208へのアクセスを提供する。ウエハローディング及びキャリアハンドリングシステム202は、基板を大気からシステム内部の真空に移送するために、基板搬送ボックス、ロードロック、及び他の構成要素を含むことができる。EUVマスクブランク204は、非常に小さな規模でデバイスを形成するために使用されるので、ソース基板203及びEUVマスクブランク204は、汚染及び他の欠陥を防止するために、真空システムで処理される。
【0030】
[0035] ウエハハンドリング真空チャンバ208は、第1の真空チャンバ210と第2の真空チャンバ212の2つの真空チャンバを含むことができる。第1の真空チャンバ210は、第1のウエハハンドリングシステム214を含み、第2の真空チャンバ212は、第2のウエハハンドリングシステム216を含む。ウエハハンドリング真空チャンバ208は、2つの真空チャンバで説明されるが、システムは、任意の数の真空チャンバを有しうると理解される。
【0031】
[0036] ウエハハンドリング真空チャンバ208は、種々の他のシステムの取り付けのために、その外周の周りに複数のポートを有することができる。第1の真空チャンバ210は、ガス抜きシステム218と、第1の物理的気相堆積システム220と、第2の物理的気相堆積システム222と、前洗浄システム224とを有する。ガス抜きシステム218は、基板から水分を熱脱着するためのものである。前洗浄システム224は、ウエハ、マスクブランク、ミラー、又は他の光学部品の表面を洗浄するためのものである。
【0032】
[0037] 第1の物理的気相堆積システム220及び第2の物理的気相堆積システム222などの物理的気相堆積システムは、ソース基板203上に導電性材料の薄膜を形成するために、使用されうる。例えば、物理的気相堆積システムは、マグネトロンスパッタリングシステム、イオンスパッタリングシステム、パルス状レーザ堆積、カソードアーク堆積又はこれらの組み合わせなどの真空堆積システムを含みうる。マグネトロンスパッタリングシステムなどの物理的気相堆積システムは、ケイ素、金属、合金、化合物、又はこれらの組合せの層を含む、薄い層をソース基板203上に形成する。
【0033】
[0038] 物理的気相堆積システムは、反射層、キャッピング層、及び吸収層を形成する。例えば、物理的気相堆積システムは、ケイ素、モリブデン、酸化チタン、二酸化チタン、酸化ルテニウム、酸化ニオブ、ルテニウムタングステン、ルテニウムモリブデン、ルテニウムニオブ、クロム、アンチモン、窒化物、化合物、又はこれらの組み合わせの層を形成することができる。いくつかの化合物は酸化物として説明されるが、化合物は、酸化物、二酸化物、酸素原子を有する原子状混合物、又はこれらの組み合わせを含むことができると理解される。
【0034】
[0039] 第2の真空チャンバ212は、第1のマルチカソード源226と、化学気相堆積システム228と、硬化チャンバ230と、それに接続された超平滑堆積チャンバ232とを有する。例えば、化学気相堆積システム228は、流動性化学気相堆積システム(FCVD)、プラズマ支援化学気相堆積システム(CVD)、エアロゾル支援CVD、ホットフィラメントCVDシステム、又は類似のシステムを含むことができる。別の例では、化学気相堆積システム228、硬化チャンバ230、及び超平滑堆積チャンバ232は、極紫外線反射素子生産システム200とは別個のシステム内にありうる。
【0035】
[0040] 化学気相堆積システム228は、ソース基板203上に材料の薄膜を形成することができる。例えば、化学気相堆積システム228は、単結晶層、多結晶層、アモルファス層、エピタキシャル層、又はこれらの組み合わせを含む材料の層をソース基板203上に形成するために、使用されうる。化学気相堆積システム228は、ケイ素、酸化ケイ素、酸炭化ケイ素、タンタル、タングステン、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化チタン、金属、合金、及び化学気相堆積に適した他の材料の層を形成することができる。例えば、化学気相堆積システムは平坦化層を形成しうる。
【0036】
[0041] 第1のウエハハンドリングシステム214は、連続真空において、大気ハンドリングシステム206と第1の真空チャンバ210の外周の周りの様々なシステムとの間で、ソース基板203を移動させることができる。第2のウエハハンドリングシステム216は、ソース基板203を連続真空に維持しつつ、第2の真空チャンバ212の周囲でソース基板203を移動させることができる。極紫外線反射素子生産システム200は、連続真空において、第1のウエハハンドリングシステム214と第2のウエハハンドリングシステム216との間で、ソース基板203及びEUVマスクブランク204を移送することができる。
【0037】
[0042] ここで
図4を参照すると、極紫外線反射素子302の実施形態が示されている。1つ又は複数の実施形態では、極紫外線反射素子302は、
図3のEUVマスクブランク204又は
図3の極紫外線ミラー205である。EUVマスクブランク204及び極紫外線ミラー205は、
図2の極紫外線光112を反射するための構造である。EUVマスクブランク204は、
図2に示すEUV反射マスク106を形成するために、使用されうる。
【0038】
[0043] 極紫外線反射素子302は、基板304と、反射層の多層積層体306と、キャッピング層308とを含む。1つ又は複数の実施形態では、極紫外線ミラー205は、
図2のコンデンサ104又は
図2の光学縮小アセンブリ108で使用するための反射構造を形成するために使用される。
【0039】
[0044] EUVマスクブランク204でありうる極紫外線反射素子302は、基板304、反射層の多層積層体306、キャッピング層308、及び吸収層310を含む。極紫外線反射素子302は、EUVマスクブランク204とすることができ、これを用いて、必要とされる回路のレイアウトで吸収層310をパターニングすることによって、
図2のEUV反射マスク106を形成する。
【0040】
[0045] 以下のセクションでは、EUVマスクブランク204についての用語は、簡略化のために極紫外線ミラー205の用語と交換可能に使用される。1つ又は複数の実施形態では、EUVマスクブランク204は、
図2のマスクパターン114を形成することに加えて、吸収層310が追加された極紫外線ミラー205の構成要素を含む。
【0041】
[0046] EUVマスクブランク204は、マスクパターン114を有するEUV反射マスク106を形成するために使用される光学的に平坦な構造である。1つ又は複数の実施形態では、EUVマスクブランク204の反射面は、
図2の極紫外線光112のような入射光を反射するための平坦な焦点面を形成する。
【0042】
[0047] 基板304は、極紫外線反射素子302を構造的に支持するための素子である。1つ又は複数の実施形態では、基板304は、温度変化中に安定性を提供するために、低い熱膨張係数(CTE)を有する材料から作製される。1つ又は複数の実施形態では、基板304は、機械的サイクル、熱サイクル、結晶形成、又はこれらの組合せに対する安定性などの特性を有する。1つ又は複数の実施形態による基板304は、ケイ素、ガラス、酸化物、セラミック、ガラスセラミック、又はこれらの組合せなどの材料から形成される。
【0043】
[0048] 多層積層体306は、極紫外線光112に対して反射性の構造である。多層積層体306は、第1の反射層312と第2の反射層314との交互の反射層を含む。
【0044】
[0049] 第1の反射層312及び第2の反射層314は、
図4の反射ペア316を形成する。非限定的な実施形態では、多層積層体306は、合計で最大120の反射層に対して、20から60の範囲の反射ペア316を含む。
【0045】
[0050] 第1の反射層312及び第2の反射層314は、様々な材料から形成することができる。1つの実施形態では、第1の反射層312及び第2の反射層314は、それぞれケイ素及びモリブデンから形成される。層はケイ素及びモリブデンとして図示されるが、交互の層は、他の材料から形成されうるか、又は他の内部構造を有しうると理解される。
【0046】
[0051] 第1の反射層312及び第2の反射層314は、様々な構造を有することができる。1つの実施形態では、第1の反射層312及び第2の反射層314の両方は、単層、多層、分割層構造、不均一構造、又はこれらの組合せで形成される。
【0047】
[0052] ほとんどの材料は極紫外線波長で光を吸収するため、使用される光学素子は、他のリソグラフィシステムで使用される透過型ではなく反射型である。多層積層体306は、ブラッグリフレクタ又はミラーを生成するために、異なる光学特性を有する材料の交互の薄い層を有することによって反射構造を形成する。
【0048】
[0053] 1つの実施形態では、交互層の各々は、極紫外線光112に対して異なる光学定数を有する。交互の層は、交互の層の厚さの周期が極紫外線光112の波長の半分である場合に、共振反射率を提供する。1つの実施形態では、波長13nmにおける極紫外線光112について、交互層は厚さが約6.5nmである。提供されるサイズ及び寸法は、一般的な要素の通常の工学的許容誤差内であると理解される。
【0049】
[0054] 多層積層体306は、様々な方法で形成することができる。1つの実施形態では、第1の反射層312及び第2の反射層314は、マグネトロンスパッタリング、イオンスパッタリングシステム、パルス状レーザ堆積、カソードアーク堆積、又はこれらの組み合わせを用いて形成される。
【0050】
[0055] 例示的な実施形態では、多層積層体306は、マグネトロンスパッタリングなどの物理的気相堆積技術を使用して形成される。1つの実施形態では、多層積層体306の第1の反射層312及び第2の反射層314は、正確な厚さ、低い粗さ、及び層間の清潔な界面を含むマグネトロンスパッタリング技術によって形成されるという特性を有する。1つの実施形態では、多層積層体306の第1の反射層312及び第2の反射層314は、正確な厚さ、低い粗さ、及び層間の清潔な界面を含む物理的気相堆積によって形成されるという特性を有する。
【0051】
[0056] 物理的気相堆積技術を用いて形成された多層積層体306の層の物理的寸法は、反射率を増加させるために正確に制御することができる。1つの実施形態では、ケイ素層などの第1の反射層312は、4.1nmの厚さを有する。モリブデン層のような第2の反射層314は、2.8nmの厚さを有する。層の厚さにより、極紫外線反射素子のピークの反射率波長が規定される。層の厚さが正しくない場合、所望の波長13.5nmでの反射率を低減することができる。
【0052】
[0057] 1つの実施形態では、多層積層体306は、60%を超える反射率を有する。1つの実施形態では、物理的気相堆積を使用して形成される多層積層体306は、66%-67%の範囲の反射率を有する。1つ又は複数の実施形態では、より硬い材料で形成された多層積層体306の上にキャッピング層308を形成することにより、反射率が改善される。いくつかの実施形態では、粗さが低い層、層間の清潔な界面、改良された層材料、又はこれらの組み合わせを用いて、70%を超える反射率が達成される。
【0053】
[0058] 1つ又は複数の実施形態では、キャッピング層308は、極紫外線光112の透過を可能にする保護層である。1つの実施形態では、キャッピング層308は、多層積層体306上に直接形成される。1つ又は複数の実施形態では、キャッピング層308は、多層積層体306を汚染物質及び機械的損傷から保護する。1つの実施形態では、多層積層体306は、酸素、タンタル、ハイドロタンタル、又はこれらの組合せによる汚染に敏感である。1つの実施形態によるキャッピング層308は、汚染物質と相互作用して汚染物質を中和する。
【0054】
[0059] 1つ又は複数の実施形態では、キャッピング層308は、極紫外線光112に対して透明な、光学的に均一な構造である。極紫外線光112は、キャッピング層308を通過して、多層積層体306から反射する。1つ又は複数の実施形態では、キャッピング層308は、1%から2%の全反射率損失を有する。1つ又は複数の実施形態では、異なる材料の各々は、厚さに応じて異なる反射率損失を有するが、それらの全ては、1%から2%の範囲であろう。
【0055】
[0060] 1つ又は複数の実施形態では、キャッピング層308は滑らかな表面を有する。例えば、キャッピング層308の表面は、0.2nm RMS(二乗平均平方根測定値)未満の粗さを有しうる。別の例では、キャッピング層308の表面は、1/100nmと1/1μmとの範囲の長さに対して0.08nmのRMSの粗さを有する。RMSの粗さは、それが測定される範囲によって変わるだろう。100nmから1ミクロンの特定範囲について、粗さは0.08nm以下である。範囲が大きくなるほど、粗さが高くなるだろう。
【0056】
[0061] キャッピング層308は、様々な方法で形成することができる。1つの実施形態では、キャッピング層308は、マグネトロンスパッタリング、イオンスパッタリングシステム、イオンビーム堆積、電子ビーム蒸発、高周波(RF)スパッタリング、原子層堆積(ALD)、パルス状レーザ堆積、カソードアーク堆積、又はこれらの組合せを用いて、多層積層体306上に又はその上に直接形成される。1つ又は複数の実施例では、キャッピング層308は、正確な厚さ、低い粗さ、及び層間の清潔な界面を含むマグネトロンスパッタリング技術によって形成されるという物理的特性を有する。1つの実施形態では、キャッピング層308は、正確な厚さ、低い粗さ、及び層間の清潔な界面を含む物理的気相堆積によって形成されるという物理的特性を有する。
【0057】
[0062] 1つ又は複数の実施形態では、キャッピング層308は、洗浄中の浸食に耐えるのに十分な硬度を有する様々な材料から形成される。1つの実施形態では、ルテニウムは、良好なエッチング停止であり、動作条件下で比較的不活性であるため、キャッピング層材料として使用される。しかしながら、キャッピング層308を形成するために他の材料を使用することができると理解される。特定の実施形態では、キャッピング層308は、2.5から5.0nmの範囲の厚さを有する。
【0058】
[0063] 1つ又は複数の実施形態では、吸収層310は、極紫外線光112を吸収する層である。1つの実施形態では、吸収層310は、極紫外線光112を反射しないエリアを設けることによって、EUV反射マスク106上にパターンを形成するために使用される。吸収層310は、1つ又は複数の実施形態によれば、約13.5nmなどの極紫外線光112の特定の周波数に対して高い吸収係数を有する材料を含む。1つの実施態様では、吸収層310は、キャッピング層308上に直接形成され、吸収層310は、EUV反射マスク106のパターンが形成するためにフォトリソグラフィプロセスを使用してエッチングされる。
【0059】
[0064] 1つ又は複数の実施形態によれば、極紫外線ミラー205などの極紫外線反射素子302は、基板304、多層積層体306、及びキャッピング層308とともに形成される。極紫外線ミラー205は、光学的に平坦な表面を有し、極紫外線光112を効率的かつ均一に反射することができる。
【0060】
[0065] 1つ又は複数の実施形態によれば、EUVマスクブランク204のような極紫外線反射素子302は、基板304、多層積層体306、キャッピング層308、及び吸収層310とともに形成される。マスクブランク204は、光学的に平坦な表面を有し、極紫外線光112を効率的かつ均一に反射することができる。1つの実施形態では、マスクパターン114は、EUVマスクブランク204の吸収層310と共に形成される。
【0061】
[0066] 1つ又は複数の実施形態によれば、キャッピング層308の上に吸収層310を形成することにより、EUV反射マスク106の信頼性が高まる。キャッピング層308は、吸収層310のエッチング停止層として作用する。
図2のマスクパターン114が吸収層310内にエッチングされると、吸収層310の下のキャッピング層308は、多層積層体306を保護するためにエッチング作用を停止する。1つ又は複数の実施形態では、吸収層310は、キャッピング層308に対してエッチングが選択的である。いくつかの実施形態では、キャッピング層308はルテニウムを含み、吸収層310はルテニウムに対してエッチングが選択的である。
【0062】
[0067] 1つの実施形態では、吸収層310は、タンタルとアンチモンとの合金を含む。いくつかの実施形態では、吸収体は、約45nm未満の厚さを有する。いくつかの実施形態では、吸収層は、約45nm未満、約40nm未満、約35nm未満、約30nm未満、約25nm未満、約20nm未満、約15nm未満、約10nm未満、約5nm未満、約1nm未満、又は約0.5nm未満の厚さを有する。他の実施形態では、吸収層310は、約1nmから約44nm、1nmから約40nm、及び15nmから約40nmの範囲を含む、約0.5nmから約45nmの範囲の厚さを有する。
【0063】
[0068] 理論に束縛されることを意図するものではないが、約45nm未満の厚さを有する吸収層310は、有利には、極紫外線(EUV)マスクブランクにおける3Dマスク効果を低減及び軽減する、約2%未満の反射率を有する吸収層をもたらすと考えられる。
【0064】
[0069] 1つの実施形態では、吸収層310は、タンタルとアンチモンとの合金から作られる。1つ又は複数の実施形態では、タンタルとアンチモンとの合金は、合金の総重量に基づいて、約33.7重量%から約57.8重量%のタンタル及び約42.2重量%から約63.3重量%のアンチモン、例えば、合金の総重量に基づいて、約45重量%から約55重量%のタンタル及び約45重量%から約55重量%のアンチモンを含む。1つ又は複数の実施形態では、タンタルとアンチモンとの合金は、合金の総重量に基づいて、約57.8重量%から約78.2重量%のタンタル及び約21.8重量%から約42.2重量%のアンチモン、例えば、合金の総重量に基づいて、約65重量%から約75重量%のタンタル及び約25重量%から約35重量%のアンチモンを含む。1つ又は複数の実施形態では、タンタルとアンチモンとの合金は、合金の総重量に基づいて、約21.9重量%から約33.7重量%のタンタル及び約66.3重量%から約78.1重量%のアンチモン、例えば、合金の総重量に基づいて、約22重量%から約30重量%のタンタル及び約70重量%から約78重量%のアンチモンを含む。1つ又は複数の実施形態では、タンタルとアンチモンとの合金は非晶質である。
【0065】
[0070] 特定の実施形態では、タンタルとアンチモンとの合金は、アンチモンが豊富な合金である。本明細書で使用される「アンチモンが豊富な」という用語は、タンタルよりも著しく多くのアンチモンが合金中に存在することを意味する。例えば、特定の実施形態では、タンタルとアンチモンとの合金は、合金の総重量に基づいて、約21.9重量%から約33.7重量%のタンタル及び約66.3重量%から約78.1重量%のアンチモン、例えば、合金の総重量に基づいて、約22重量%から約30重量%のタンタル及び約70重量%から約80重量%のアンチモンを含む合金である。1つ又は複数の実施形態では、タンタルとアンチモンとの合金は非晶質である。
【0066】
[0071] 本明細書で使用されるとき、「タンタルが豊富な」という用語は、アンチモンよりも著しく多くのタンタルが合金中に存在することを意味する。例えば、特定の実施形態では、タンタルとアンチモンとの合金は、合金の総重量に基づいて、約57.8重量%から約78.2重量%のタンタル及び約21.8重量%から約42.2重量%のアンチモン、例えば、合金の総重量に基づいて、約65重量%から約75重量%のタンタル及び約25重量%から約35重量%のアンチモンを含む合金である。
【0067】
[0072] 1つ又は複数の実施形態では、タンタルとアンチモンとの合金はドーパントを含む。ドーパントは、窒素又は酸素のうちの1つ又は複数から選択されうる。1つの実施形態では、ドーパントは酸素を含む。別の実施形態では、ドーパントは窒素を含む。1つの実施形態では、ドーパントは、合金の重量に基づいて約0.1重量%から約5重量%の範囲の量で合金中に存在する。他の実施形態では、ドーパントは、約0.1重量%、0.2重量%、0.3重量%、0.4重量%、0.5重量%、0.6重量%、0.7重量%、0.8重量%、0.9重量%、1.0重量%、1.1重量%、1.2重量%、1.3重量%、1.4重量%、1.5重量%、1.6重量%、1.7重量%、1.8重量%、1.9重量%、2.0重量%、2.1重量%、2.2重量%、2.3重量%、2.4重量%、2.5重量%、2.6重量%、2.7重量%、2.8重量%、2.9重量%、3.0重量%、3.1重量%、3.2重量%、3.3重量%、3.4重量%、3.5重量%、3.6重量%、3.7重量%、3.8重量%、3.9重量%、4.0重量%、4.1重量%、4.2重量%、4.3重量%、4.4重量%、4.5重量%、4.6重量%、4.7重量%、4.8重量%、4.9重量%、又は5.0重量%の量で合金中に存在する。
【0068】
[0073] 1つ又は複数の実施形態では、吸収層の合金は、物理的堆積チャンバ内で形成された共スパッタリングされた合金吸収体材料であり、これは、2%未満の反射率及び適切なエッチング特性を達成しつつ、はるかに薄い吸収層厚さ(30nm未満)を提供することができる。1つ又は複数の実施形態では、吸収層の合金は、アルゴン(Ar)、酸素(O2)、又は窒素(N2)のうちの1つ又は複数から選択されるガスによって共スパッタリングされうる。1つの実施形態では、吸収層の合金は、アルゴンガスと酸素ガスとの混合物(Ar+O2)によって共スパッタリングされうる。いくつかの実施形態では、アルゴンと酸素の混合物による共スパッタリングは、タンタルの酸化物及び/又はアンチモンの酸化物を形成する。他の実施形態では、アルゴンと酸素の混合物による共スパッタリングは、タンタル又はアンチモンの酸化物を形成しない。1つの実施形態では、吸収層の合金は、アルゴンガスと窒素ガスとの混合物(Ar+N2)によって共スパッタリングされうる。いくつかの実施形態では、アルゴン及び窒素の混合物による共スパッタリングは、タンタルの窒化物及び/又はアンチモンの窒化物を形成する。他の実施形態では、アルゴンと窒素の混合物による共スパッタリングは、タンタル又はアンチモンの窒化物を形成しない。1つの実施形態では、吸収層の合金は、アルゴンガスと酸素ガスと窒素ガスとの混合物(Ar+O2+N2)によって共スパッタリングされうる。いくつかの実施形態では、アルゴン及び酸素及び窒素の混合物による共スパッタリングは、タンタルの酸化物及び/又は窒化物、及び/又はアンチモンの酸化物及び/又は窒化物を形成する。他の実施形態では、アルゴン及び酸素及び窒素の混合物による共スパッタリングは、タンタル又はアンチモンの酸化物又は窒化物を形成しない。1つの実施形態では、吸収層のエッチング特性及び/又は他の特性は、上述のように、合金のパーセンテージを制御することによって仕様に合わせることができる。1つの実施形態では、合金のパーセンテージは、物理的気相堆積チャンバの電圧、圧力、流量などのパラメータを操作することによって、正確に制御することができる。1つの実施形態では、材料特性を更に修正するためにプロセスガスが使用され、例えば、タンタル及びアンチモンの窒化物を形成するためにN2ガスが使用される。
【0069】
[0074] 1つ又は複数の実施形態では、本明細書で使用される「共スパッタリング」は、タンタルを含む1つのターゲットとアンチモンを含む第2のターゲットとの2つのターゲットが、アルゴン(Ar)、酸素(O2)、又は窒素(N2)から選択される1つ又は複数のガスを使用して同時にスパッタリングされて、タンタルとアンチモンとの合金を含む吸収層を堆積/形成することを意味する。
【0070】
[0075] 他の実施形態では、タンタルとアンチモンとの合金は、アルゴン(Ar)、酸素(O2)、又は窒素(N2)のうちの1つ又は複数から選択されるガスを使用して、タンタル層及びアンチモン層の積層体として層ごとに堆積させることができる。1つの実施形態では、吸収層の合金は、アルゴンガスと酸素ガスの混合物(Ar+O2)を使用して、タンタル層とアンチモン層との積層体として層ごとに堆積させることができる。いくつかの実施形態では、アルゴン及び酸素の混合物を使用する層ごとの堆積は、タンタルの酸化物及び/又はアンチモンの酸化物を形成する。他の実施形態では、アルゴンと酸素の混合物を使用する層ごとの堆積は、タンタル又はアンチモンの酸化物を形成しない。1つの実施形態では、吸収層の合金は、アルゴンガスと窒素ガスの混合物(Ar+N2)を使用して、タンタル層とアンチモン層の積層体として層ごとに堆積させることができる。いくつかの実施形態では、アルゴン及び窒素の混合物を使用する層ごとの堆積は、タンタルの窒化物及び/又はアンチモンの窒化物を形成する。他の実施形態では、アルゴンと窒素の混合物を使用する層ごとの堆積は、タンタル又はアンチモンの窒化物を形成しない。1つの実施形態では、吸収層の合金は、アルゴンガスと酸素ガスと窒素ガスとの混合物(Ar+O2+N2)を使用して、タンタル層とアンチモン層との積層体として層ごとに堆積させることができる。いくつかの実施形態では、アルゴンと酸素と窒素との混合物を使用して層ごとに堆積させることにより、タンタルの酸化物及び/又は窒化物、及び/又はアンチモンの酸化物及び/又は窒化物を形成する。他の実施形態では、アルゴンと酸素と窒素との混合物を使用する層ごとの堆積は、タンタル又はアンチモンの酸化物又は窒化物を形成しない。
【0071】
[0076] 1つ又は複数の実施形態では、アルゴン(Ar)、酸素(O2)、又は窒素(N2)のうちの1つ又は複数から選択されるガスを使用する通常のスパッタリングによってスパッタリングすることができる、本明細書に記載の合金組成物のバルクターゲットが作製されうる。1つ又は複数の実施形態では、合金は、合金の同じ組成を有するバルクターゲットを使用して堆積され、アルゴン(Ar)、酸素(O2)、又は窒素(N2)のうちの1つ又は複数から選択されるガスを使用してスパッタリングされて、吸収層を形成する。1つの実施形態では、吸収層の合金は、合金の同じ組成物を有するバルクターゲットを使用して堆積させることができ、アルゴンガス及び酸素ガスの混合物(Ar+O2)を使用してスパッタリングされる。いくつかの実施形態では、アルゴン及び酸素の混合物を使用するバルクターゲット堆積は、タンタルの酸化物及び/又はアンチモンの酸化物を形成する。他の実施形態では、アルゴンと酸素の混合物を使用するバルクターゲット堆積は、タンタル又はアンチモンの酸化物を形成しない。1つの実施形態では、吸収層の合金は、合金の同じ組成物を有するバルクターゲットを使用して堆積させることができ、アルゴンガスと窒素ガスの混合物(Ar+N2)を使用してスパッタリングされる。いくつかの実施形態では、アルゴンと窒素の混合物を使用するバルクターゲット堆積は、タンタルの窒化物及び/又はアンチモンの窒化物を形成する。他の実施形態では、アルゴンと窒素の混合物を使用するバルクターゲット堆積は、タンタル又はアンチモンの窒化物を形成しない。1つの実施形態では、吸収層の合金は、合金の同じ組成物を有するバルクターゲットを使用して堆積させることができ、アルゴンガスと酸素ガスと窒素ガスの混合物(Ar+O2+N2)を使用してスパッタリングされる。いくつかの実施形態では、アルゴンと酸素と窒素の混合物を使用するバルクターゲット堆積は、タンタルの酸化物及び/又は窒化物、及び/又はアンチモンの酸化物及び/又は窒化物を形成する。他の実施形態では、アルゴンと酸素と窒素との混合物を使用するバルクターゲット堆積は、タンタル又はアンチモンの酸化物又は窒化物を形成しない。いくつかの実施形態では、タンタルとアンチモンとの合金は、0.1重量%から5重量%の範囲の窒素又は酸素のうちの1つ又は複数でドープされる。
【0072】
[0077] EUVマスクブランクは、第1の吸収体材料を含む第1のカソードと、第2の吸収体材料を含む第2のカソードと、第3の吸収体材料を含む第3のカソードと、第4の吸収体材料を含む第4のカソードと、第5の吸収体材料を含む第5のカソードとを有する物理的堆積チャンバ内に作製することができ、第1の吸収体材料、第2の吸収体材料、第3の吸収体材料、第4の吸収体材料及び第5の吸収体材料は、互いに異なり、吸収体材料の各々が、他の材料とは異なる吸光係数を有し、吸収体材料の各々が、他の吸収体材料とは異なる屈折率を有する。
【0073】
[0078] ここで
図5を参照すると、極紫外線マスクブランク400は、基板414、基板414上の反射層412の多層積重体を含むものとして示され、反射層412の多層積重体は、複数の反射層ペアを含む。1つ又は複数の実施形態では、複数の反射層ペアは、モリブデン(Mo)含有材料及びケイ素(Si)含有材料から選択される材料から作製される。いくつかの実施形態では、複数の反射層ペアは、モリブデンとケイ素の交互層を含む。極紫外線マスクブランク400は、反射層412の多層積重体上にキャッピング層422を更に含み、キャッピング層422上に吸収層の多層積重体420が存在する。1つ又は複数の実施形態では、複数の反射層412は、モリブデン(Mo)含有材料及びケイ素(Si)含有材料から選択され、キャッピング層422はルテニウムを含む。
【0074】
[0079] 吸収層の多層積層体420は、複数の吸収層ペア420a、420b、420c、420d、420e、420fを含み、各ペア(420a/420b、420c/420d、420e/420f)が、タンタルとアンチモンとの合金を含む。いくつかの実施形態では、タンタルとアンチモンとの合金は、合金の総重量に基づいて、約33.7重量%から約57.8重量%のタンタル及び約42.2重量%から約63.3重量%のアンチモン、例えば、合金の総重量に基づいて、約45重量%から約55重量%のタンタル及び約45重量%から約55重量%のアンチモン、例えば、51.5重量%のタンタル及び48.9重量%のアンチモンを含む。1つ又は複数の実施形態では、タンタルとアンチモンとの合金は、合金の総重量に基づいて、約57.8重量%から約78.2重量%のタンタル及び約21.8重量%から約42.2重量%のアンチモン、例えば、合金の総重量に基づいて、約65重量%から約75重量%のタンタル及び約25重量%から約35重量%のアンチモン、例えば、約70.3重量%のタンタル及び約29.7重量%のアンチモンを含む。1つ又は複数の実施形態では、タンタルとアンチモンとの合金は、合金の総重量に基づいて、約21.9重量%から約33.7重量%のタンタル及び約66.3重量%から約78.1重量%のアンチモン、例えば、合金の総重量に基づいて、約22重量%から約30重量%のタンタル及び約70重量%から約78重量%のアンチモン、例えば、約26.5重量%のタンタル及び73.5重量%のアンチモンを含む。1つ又は複数の実施形態では、タンタルとアンチモンとの合金は非晶質である。
【0075】
[0080] 1つの例では、吸収層420aはアンチモンから作られ、吸収層420bを形成する材料はタンタルである。同様に、吸収層420cは、アンチモンから作られ、吸収層420dを形成する材料は、タンタルであり、吸収層420eは、アンチモン材料及びタンタルである吸収層420fを形成する材料から作られる。
【0076】
[0081] 1つの実施形態では、極紫外線マスクブランク400は、モリブデン(Mo)含有材料及びケイ素(Si)含有材料、例えば、モリブデン(Mo)及びケイ素(Si)から選択される複数の反射層412を含む。吸収層420a、420b、420c、420d、420e及び420fを形成するために使用される吸収体材料は、タンタルとアンチモンとの合金である。いくつかの実施形態では、タンタルとアンチモンとの合金は、合金の総重量に基づいて、約33.7重量%から約57.8重量%のタンタル及び約42.2重量%から約63.3重量%のアンチモン、例えば、合金の総重量に基づいて、約45重量%から約55重量%のタンタル及び約45重量%から約55重量%のアンチモン、例えば、51.5重量%のタンタル及び48.9重量%のアンチモンを含む。1つ又は複数の実施形態では、タンタルとアンチモンとの合金は、合金の総重量に基づいて、約57.8重量%から約78.2重量%のタンタル及び約21.8重量%から約42.2重量%のアンチモン、例えば、合金の総重量に基づいて、約65重量%から約75重量%のタンタル及び約25重量%から約35重量%のアンチモン、例えば、約70.3重量%のタンタル及び約29.7重量%のアンチモンを含む。1つ又は複数の実施形態では、タンタルとアンチモンとの合金は、合金の総重量に基づいて、約21.9重量%から約33.7重量%のタンタル及び約66.3重量%から約78.1重量%のアンチモン、例えば、合金の総重量に基づいて、約22重量%から約30重量%のタンタル及び約70重量%から約78重量%のアンチモン、例えば、約26.5重量%のタンタル及び73.5重量%のアンチモンを含む。1つ又は複数の実施形態では、タンタルとアンチモンとの合金は非晶質である。
【0077】
[0082] 1つ又は複数の実施形態では、吸収層ペア420a/420b、420c/420d、420e/420fは、タンタルとアンチモンとの合金を含む吸収体材料を含む第1の層(420a、420c、420e)と、タンタルとアンチモンとの合金を含む吸収体材料を含む第2の吸収層(420b、420d、420f)とを含む。特定の実施形態では、吸収層ペアは、タンタルとアンチモンとの合金を含む第1の層(420a、420c、420e)を含み、タンタルとアンチモンとの合金は、ほぼタンタルとアンチモンとの合金を有する合金から選択され、第2の吸収層(420b、420d、420f)は、タンタルとアンチモンとの合金を含む吸収体材料を含む。
【0078】
[0083] 1つ又は複数の実施形態によれば、吸収層ペアは、第1の吸収層(420a、420c、420e)及び第2の吸収層(420b、420d、420f)を含み、第1の吸収層(420a、420c、420e)及び第2の吸収層(420b、420d、420f)の各々が、0.1nmから10nmの範囲、例えば1nmから5nmの範囲、又は1nmから3nmの範囲の厚さを有する。1つ又は複数の特定の実施形態では、第1の層420aの厚さは、0.5nm、0.6nm、0.7nm、0.8nm、0.9nm、1nm、1.1nm、1.2nm、1.3nm、1.4nm、1.5nm、1.6nm、1.7nm、1.8nm、1.9nm、2nm、2.1nm、2.2nm、2.3nm、2.4nm、2.5nm、2.6nm、2.7nm、2.8nm、2.9nm、3nm、3.1nm、3.2nm、3.3nm、3.4nm、3.5nm、3.6nm、3.7nm、3.8nm、3.9nm、4nm、4.1nm、4.2nm、4.3nm、4.4nm、4.5nm、4.6nm、4.7nm、4.8nm、4.9nm、及び5nmである。1つ又は複数の実施形態では、各ペアの第1の吸収層及び第2の吸収層の厚さは、同一であるか又は異なっている。例えば、第1の吸収層及び第2の吸収層は、第1の吸収層の厚さ対第2の吸収層の厚さの比が1:1、1.5:1、2:1、2.5:1、3:1、3.5:1、4:1、4.5:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、15:1、16:1、17:1、18:1、19:1、又は20:1となるような厚さを有し、これにより、各ペアにおいて、第1の吸収層が、第2の吸収層以上の厚さを有することになる。代替的には、第1の吸収層及び第2の吸収層は、第2の吸収層の厚さ対第1の吸収層の厚さの比が5:1、2:1、2.5:1、3:1、3.5:1、4:1、4.5:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、15:1、16:1、17:1、18:1、19:1、又は20:1となるような厚さを有しており、これにより、各ペアにおいて、第2の吸収層が、第1の吸収層以上の厚さを有することになる。
【0079】
[0084] 1つ又は複数の実施形態によれば、極紫外線光が、吸収に起因して、及び反射層の多層積層体からの光との破壊的干渉によって引き起こされる相変化に起因して、吸収されるように、吸収層の異なる吸収体材料及び厚さは、選択される。
図5に示す実施形態は、3つの吸収層ペア420a/420b、420c/420d及び420e/420fを示しているが、特許請求の範囲は、特定の数の吸収層ペアに限定されるべきではない。1つ又は複数の実施形態によれば、EUVマスクブランク400は、5-60の吸収層ペアの範囲又は10-40の吸収層ペアの範囲で含みうる。
【0080】
[0085] 1つ又は複数の実施形態によれば、吸収層は、2%未満の反射率及び他のエッチング特性を提供する厚さを有する。供給ガスは、吸収層の材料特性を更に修正するために使用することができ、例えば、窒素(N2)ガスは、上記で提供された材料の窒化物を形成するために使用することができる。1つ又は複数の実施形態による吸収層の多層積層体は、異なる材料の個々の厚さの反復パターンであり、その結果、EUV光は、吸光度に起因して吸収されるだけでなく、多層吸収積層体によって引き起こされる相変化によっても吸収され、これは、より良好なコントラストを提供するために、その下の反射材料の多層積層体からの光を破壊的に干渉する。
【0081】
[0086] 本開示の別の態様は、極紫外線(EUV)マスクブランクを製作する方法であって、基板上に反射層の多層積層体を形成することであって、該多層積層体が複数の反射層ペアを含む、反射層の多層積層体を形成することと、反射層の多層積層体上にキャッピング層を形成することと、キャッピング層上に、タンタルとアンチモンとの合金を含む吸収層を形成することとを含み、タンタルとアンチモンとの合金は、合金の総重量に基づいて、約33.7重量%から約57.8重量%のタンタルと、約42.2重量%から約63.3重量%のアンチモンとを含み、例えば、合金の総重量に基づいて、約45重量%から約55重量%のタンタルと、約45重量%から約55重量%のアンチモンとを含み、例えば、51.5重量%のタンタルと、48.9重量%のアンチモンとを含む、方法に関する。1つ又は複数の実施形態では、タンタルとアンチモンとの合金は、合金の総重量に基づいて、約57.8重量%から約78.2重量%のタンタル及び約21.8重量%から約42.2重量%のアンチモン、例えば、合金の総重量に基づいて、約65重量%から約75重量%のタンタル及び約25重量%から約35重量%のアンチモン、例えば、約70.3重量%のタンタル及び約29.7重量%のアンチモンを含む。1つ又は複数の実施形態では、タンタルとアンチモンとの合金は、合金の総重量に基づいて、約21.9重量%から約33.7重量%のタンタル及び約66.3重量%から約78.1重量%のアンチモン、例えば、合金の総重量に基づいて、約22重量%から約30重量%のタンタル及び約70重量%から約78重量%のアンチモン、例えば、約26.5重量%のタンタル及び73.5重量%のアンチモンを含む。1つ又は複数の実施形態では、タンタルとアンチモンとの合金は非晶質である。
【0082】
[0087] EUVマスクブランクは、
図4及び
図5に関して上述した実施形態の特徴のいずれかを有することができ、この方法は、
図3に関して説明したシステムで実行することができる。
【0083】
[0088] したがって、実施形態では、複数の反射層は、モリブデン(Mo)含有材料及びケイ素(Si)含有材料から選択され、吸収層は、タンタルとアンチモンとの合金であり、タンタルとアンチモンとの合金は、合金の総重量に基づいて、約33.7重量%から約57.8重量%のタンタルと、約42.2重量%から約63.3重量%のアンチモンとを含み、例えば、合金の総重量に基づいて、約45重量%から約55重量%のタンタルと、約45重量%から約55重量%のアンチモンとを含み、例えば、51.5重量%のタンタルと、48.9重量%のアンチモンとを含む。1つ又は複数の実施形態では、タンタルとアンチモンとの合金は、合金の総重量に基づいて、約57.8重量%から約78.2重量%のタンタル及び約21.8重量%から約42.2重量%のアンチモン、例えば、合金の総重量に基づいて、約65重量%から約75重量%のタンタル及び約25重量%から約35重量%のアンチモン、例えば、約70.3重量%のタンタル及び約29.7重量%のアンチモンを含む。1つ又は複数の実施形態では、タンタルとアンチモンとの合金は、合金の総重量に基づいて、約21.9重量%から約33.7重量%のタンタル及び約66.3重量%から約78.1重量%のアンチモン、例えば、合金の総重量に基づいて、約22重量%から約30重量%のタンタル及び約70重量%から約78重量%のアンチモン、例えば、約26.5重量%のタンタル及び73.5重量%のアンチモンを含む。1つ又は複数の実施形態では、タンタルとアンチモンとの合金は非晶質である。
【0084】
[0089] 別の特定の方法の実施形態では、異なる吸収層は、第1の吸収体材料を含む第1のカソードと、第2の吸収体材料を含む第2のカソードとを有する物理的気相堆積チャンバ内で形成される。次に、
図6を参照すると、実施形態に従って、マルチカソードチャンバ500の上部が示される。マルチカソードチャンバ500は、上部アダプタ504によってキャップされた円筒形本体部分502を有するベース構造501を含む。トップアダプタ504は、トップアダプタ504の周囲に位置付けられた、カソード源506、508、510、512、及び514のような複数のカソード源に対する規定を有する。
【0085】
[0090] 1つ又は複数の実施形態では、本方法は、5nmから60nmの範囲の厚さを有する吸収層を形成する。1つ又は複数の実施形態では、吸収層は、51nmから57nmの範囲の厚さを有する。1つ又は複数の実施形態では、吸収層を形成するために使用される材料は、吸収層のエッチング特性に影響するように選択される。1つ又は複数の実施形態では、吸収層の合金は、物理的堆積チャンバ内で形成された合金吸収体材料を共スパッタリングすることによって形成され、これは、はるかに薄い吸収層の厚さ(30nm未満)をもたらし、2%未満の反射率及び所望のエッチング特性を達成することができる。1つの実施形態では、各吸収体材料の合金パーセンテージを制御することによって、吸収層のエッチング特性及び他の所望の特性を仕様に合わせることができる。1つの実施形態では、合金パーセンテージは、物理的気相堆積チャンバの電圧、圧力、流量などのパラメータを操作することによって、正確に制御することができる。1つの実施形態では、材料特性を更に修正するためにプロセスガスが使用され、例えば、タンタル及びアンチモンの窒化物を形成するためにN2ガスが使用される。合金吸収体材料は、タンタルとアンチモンとの合金を含むことができ、この合金は、合金の総重量に基づいて、約33.7重量%から約57.8重量%のタンタルと約42.2重量%から約63.3重量%のアンチモン、例えば、合金の総重量に基づいて、約45重量%から約55重量%のタンタルと、約45重量%から約55重量%のアンチモン、例えば、51.5重量%のタンタルと48.9重量%のアンチモンとを含む。1つ又は複数の実施形態では、タンタルとアンチモンとの合金は、合金の総重量に基づいて、約57.8重量%から約78.2重量%のタンタル及び約21.8重量%から約42.2重量%のアンチモン、例えば、合金の総重量に基づいて、約65重量%から約75重量%のタンタル及び約25重量%から約35重量%のアンチモン、例えば、約70.3重量%のタンタル及び約29.7重量%のアンチモンを含む。1つ又は複数の実施形態では、タンタルとアンチモンとの合金は、合金の総重量に基づいて、約21.9重量%から約33.7重量%のタンタル及び約66.3重量%から約78.1重量%のアンチモン、例えば、合金の総重量に基づいて、約22重量%から約30重量%のタンタル及び約70重量%から約78重量%のアンチモン、例えば、約26.5重量%のタンタル及び73.5重量%のアンチモンを含む。1つ又は複数の実施形態では、タンタルとアンチモンとの合金は非晶質である。
【0086】
[0091] マルチカソード源チャンバ500は、
図3に示すシステムの一部でありうる。1つの実施形態では、極紫外線(EUV)マスクブランク生産システムは、真空を形成するための基板ハンドリング真空チャンバと、基板ハンドリング真空チャンバにロードされる基板を搬送するための、真空内の基板ハンドリングプラットフォームと、複数の反射層ペアを含む、基板上の反射層の多層積層体と、反射層の多層積層体上のキャッピング層と、タンタルとアンチモンとの合金から作られた、キャッピング層上の吸収層とを含むEUVマスクブランクを形成するための、基板ハンドリングプラットフォームによってアクセスされる複数のサブチャンバとを含む。このシステムは、
図4又は
図5に関して示されるEUVマスクブランクを作製するために使用することができ、上記の
図4又は
図5に関して記載されるEUVマスクブランクに関して記載される特性のいずれかを有する。
【0087】
[0092] プロセスは、一般に、プロセッサによって実行されると、プロセスチャンバに本開示のプロセスを実行させるソフトウェアルーチンとしてメモリに記憶されうる。ソフトウェアルーチンはまた、プロセッサによって制御されているハードウェアから遠隔に位置する第2のプロセッサ(図示せず)によって記憶及び/又は実行されうる。本開示の方法の一部又はすべてもまた、ハードウェアで実行されうる。したがって、プロセスは、ソフトウェアで実装され、コンピュータシステムを使用して、例えば、特定用途向け集積回路又は他のタイプのハードウェア実装としてのハードウェアで、又はソフトウェアとハードウェアの組合せとして実行されうる。ソフトウェアルーチンは、プロセッサによって実行されると、汎用コンピュータを、プロセスが実行されるようにチャンバ動作を制御する特定の目的のコンピュータ(コントローラ)に変換する。
【0088】
[0093] 本明細書全体を通して、「1つの実施形態」、「特定の実施形態」、「1つ又は複数の実施形態」又は「実施形態」への言及は、実施形態に関連して説明された特定の特徴、構造、材料、又は特性が、本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体の様々な場所における「1つ又は複数の実施形態において」、「特定の実施形態において」、「1つの実施形態において」、又は「実施形態において」などの表現の出現は、必ずしも本開示の同一の実施形態を指すとは限らない。更に、特定の特徴、構造、材料、又は特性は、1つ又は複数の実施形態において任意の適切な方法で組み合わせてもよい。
【0089】
[0094] 本明細書の開示は、特定の実施形態を参照して説明されてきたが、これらの実施形態は、本開示の原理及び用途の単なる例示であると理解されたい。本開示の主旨及び範囲から逸脱することなく、本開示の方法及び装置に対して様々な修正及び変更を行うことができることが、当業者には明らかになろう。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲及びその均等物の範囲内にある修正及び変更を含むことが意図される。