(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-12
(45)【発行日】2023-01-20
(54)【発明の名称】容器アダプタ、送達アセンブリ、および液体を患者へと送達する方法
(51)【国際特許分類】
A61J 1/20 20060101AFI20230113BHJP
A61M 5/178 20060101ALI20230113BHJP
【FI】
A61J1/20 314C
A61M5/178 500
(21)【出願番号】P 2020524179
(86)(22)【出願日】2018-11-02
(86)【国際出願番号】 EP2018079975
(87)【国際公開番号】W WO2019086589
(87)【国際公開日】2019-05-09
【審査請求日】2021-10-18
(32)【優先日】2017-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】514099673
【氏名又は名称】エフ・ホフマン-ラ・ロシュ・アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ガイロ, マキシム
(72)【発明者】
【氏名】リア, ロベルタ
(72)【発明者】
【氏名】ライリー, デクラン
(72)【発明者】
【氏名】ヘイトン, ポール
(72)【発明者】
【氏名】リドリー, ジョナサン
【審査官】関本 達基
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/102760(WO,A1)
【文献】特表2016-511121(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 1/20
A61M 5/178
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器(8)を所定の位置で保持するための容器座部(53)と、用量チャンバ(61)と、液体を前記容器座部(53)に保持された前記容器(8)から前記用量チャンバ(61)へと移送するための投薬機構と、前記容器(8)が前記容器座部(53)で保持されていないときに前記投薬機構の動作を防止するように、および、前記容器(8)が前記容器座部(53)で保持されているときに前記投薬機構の動作を許容するように適合された係止機構(530、531、532、533)とを有する医療用送達装置(1)のための容器アダプタ(9)であって、
容器(8)を所定の位置で保持するように配置されたアダプタ容器座部(91)と、
前記医療用送達装置(1)の前記容器座部(53)に取り外し可能に位置決めされるように、および、前記医療用送達装置(1)の前記容器座部(53)に位置決めされるときに前記アダプタ容器座部(91)を前記医療用送達装置(1)の前記投薬機構に連結するように配置される結合部構造(92)と、
前記結合部構造(92)が前記医療用送達装置(1)の前記容器座部(53)に位置決めされるときに前記投薬機構の動作が許容されるように、前記医療用送達装置(1)の前記係止機構(530、531、532、533)を作動させるように適合された係止解除部材(93)と
を備える容器アダプタ(9)。
【請求項2】
前記係止解除部材(93)は、前記容器アダプタ(9)が前記医療用送達装置(1)に取り付けられるときに前記係止機構(530、531、532、533)の押し部分(532)が軸方向で変位させられるように、前記容器アダプタ(9)が前記医療用送達装置(1)の前記容器座部(53)へと進められるときに前記医療用送達装置(1)の前記係止機構(530、531、532、533)の前記押し部分(532)に接触するように配置された当接面(932)を備える、請求項1に記載の容器アダプタ(9)。
【請求項3】
前記係止解除部材(93)は、前記容器アダプタ(9)が前記医療用送達装置(1)から取り下げられるときに前記係止機構(530、531、532、533)の引っ張り部分(533)が軸方向で変位させられるように、前記容器アダプタ(9)が前記医療用送達装置(1)の前記容器座部(53)へと進められるときに前記医療用送達装置(1)の前記係止機構(530、531、532、533)の前記引っ張り部分(533)の後で係合するように配置された係合面(933)を備える、請求項1または2に記載の容器アダプタ(9)。
【請求項4】
前記アダプタ容器座部(91)は、前記容器(8)を前記所定の位置で取り外し不能に保持するように適合された固定構造(916)を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の容器アダプタ(9)。
【請求項5】
前記アダプタ容器座部(91)の前記固定構造は、前記容器(8)が前記アダプタ容器座部(91)において保持されるときに前記容器(8)のヘッド部分(82)の後でスナップ留めするように配置されたクリップ(916)
を有する、請求項4に記載の容器アダプタ(9)。
【請求項6】
前記結合部構造(92)が前記医療用送達装置(1)の前記容器座部(53)に位置決めされるときに前記容器アダプタ(9)が前記医療用送達装置(1)に対して所定の配向になることを確保するように配置されたアライメント形状部(95、951、952)を備える、請求項1から5のいずれか一項に記載の容器アダプタ(9)。
【請求項7】
前記結合部構造(92)は、前記容器(8)が前記アダプタ容器座部(91)において保持され、前記結合部構造(92)が前記医療用送達装置(1)の前記容器座部(53)において位置決めされるとき、前記容器(8)の内部と前記医療用送達装置(1)の前記投薬機構との間に開放して密接した導路を形成するように配置される、請求項1から6のいずれか一項に記載の容器アダプタ(9)。
【請求項8】
前記アダプタ容器座部(91)は、前記容器(8)が前記アダプタ容器座部(91)において保持されるときに前記容器(8)の開口のキャップ(82)を貫通するように配置されるスパイク(914)を備える、請求項1から7のいずれか一項に記載の容器アダプタ(9)。
【請求項9】
前記アダプタ容器座部(91)の前記スパイク(914)は前記アダプタ容器座部(91)の内部に延びる、請求項8に記載の容器アダプタ(9)。
【請求項10】
前記アダプタ容器座部(91)の前記スパイク(914)は先端を備える、請求項8または9に記載の容器アダプタ(9)。
【請求項11】
前記アダプタ容器座部(91)の前記スパイク(914)は、前記先端から長手方向で前記スパイク(914)を貫いて延びる導管(915)を備える、請求項10に記載の容器アダプタ(9)。
【請求項12】
前記結合部構造(92)が前記医療用送達装置(1)の前記容器座部(53)に位置決めされるときに前記医療用送達装置(1)の前記容器座部(53)を前記結合部構造(92)に対して封止するシール(94)をさらに備える、請求項1から11のいずれか一項に記載の容器アダプタ(9)。
【請求項13】
前記結合部構造(92)は、前記シール(94)が密接に配置されるシール保持部(924)を備える、請求項12に記載の容器アダプタ(9)。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載の容器アダプタ(9)と、容器(8)を所定の位置で保持するための容器座部(53)、用量チャンバ(61)、液体を前記容器座部(53)に保持された前記容器(8)から前記用量チャンバ(61)へと移送するための投薬機構、ならびに、前記容器(8)が前記容器座部(53)で保持されていないときに前記投薬機構の動作を防止するように、および、前記容器(8)が前記容器座部(53)で保持されているときに前記投薬機構の動作を許容するように適合された係止機構(530、531、532、533)を備える医療用送達装置(1)とを備える送達アセンブリ。
【請求項15】
前記医療用送達装置(1)の前記容器座部(53)は、容器(8)を所定の位置で取り外し不能に保持するように適合された固定構造(523)を有し、前記容器アダプタ(9)の前記結合部構造(92)は、前記容器アダプタ(9)が前記医療用送達装置(1)の前記容器座部(53)において保持されるときに前記医療用送達装置(1)の前記容器座部(53)の前記固定構造(523)との相互作用を防止するように配置される、請求項14に記載の送達アセンブリ。
【請求項16】
前記医療用送達装置(1)の前記係止機構(530、531、532、533)は押し部分(532)を備え、前記容器アダプタ(9)の前記係止解除部材(93)は当接面(932)を備え、前記係止機構(530、531、532、533)の前記押し部分(532)と前記係止解除部材(93)の前記当接面(932)とは、前記容器アダプタ(9)が前記医療用送達装置(1)に取り付けられるときに前記係止機構の前記押し部分(532)が軸方向で変位させられるように、前記容器アダプタ(9)が前記医療用送達装置(1)の前記容器座部(53)へと進められるときに相互作用するように配置された、請求項14または15に記載の送達アセンブリ。
【請求項17】
前記医療用送達装置(1)の前記係止機構(530、531、532、533)は引っ張り部分(533)を備え、前記容器アダプタ(9)の前記係止解除部材(93)は係合面(933)を備え、前記係止機構の前記引っ張り部分(533)と前記係止解除部材(93)の前記係合面(933)とは、前記容器アダプタ(9)が前記医療用送達装置(1)から取り下げられるときに前記係止機構(530、531、532、533)の前記引っ張り部分(533)が軸方向で変位させられるように、前記容器アダプタ(9)が前記医療用送達装置(1)の前記容器座部(53)へと進められるときに相互係合するように配置された、請求項14から16のいずれか一項に記載の送達アセンブリ。
【請求項18】
固定要素を備え、前記医療用送達装置(1)の前記容器座部(53)は、前記医療用送達装置(1)の送達開口部(62)に結合解除可能に備え付けられていて、前記固定要素は、前記容器アダプタ(9)が前記医療用送達装置(1)から取り下げられるときに前記容器座部(53)の前記送達開口部(62)からの意図されていない結合解除を防止するために配置された、請求項14から17のいずれか一項に記載の送達アセンブリ。
【請求項19】
前記固定要素は接着面を有するシート片である、請求項18に記載の送達アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器アダプタと、医療用送達装置およびこのようなアダプタを伴う送達アセンブリと、このような送達アセンブリを使用する送達方法とに関する。このようなシステムおよび方法は、バイアルに保管された薬剤または薬物の物質など、定義可能な用量で容器に保管された液体を送達するために使用され得る。例えば、このような送達は注射であり得る。
【背景技術】
【0002】
液体または他の流体を容器から送達することは、多くの医療用途において必要とされ、複数の異なる方法で実施される。具体的には、液体が比較的正確に提供されることが必須である場合、特定の装置が一般的に使用される。例えば、液体の医薬品または薬物の物質は、隔膜またはゴム栓と、その周りで締め付けられたキャップまたは他の同様のシールカバーとによって閉じられたガラスまたはプラスチックのバイアルで、しばしば提供される。
【0003】
従来から、医薬品物質をバイアルから送達するために、注射器が使用され得る。それによって、注射器に取り付けられたトランスファーニードルが隔膜またはカバーを貫通し、医薬品物質がトランスファーニードルを通じて注射器へと引き込まれる。注射器へと移送されると、医薬品物質は適切な手法で送達される。例えば、物質は、例えば皮下または筋肉へ、注射針を介して注射でき、経口で適用でき、または、例えば患者の目または鼻において、液滴として提供できる。
【0004】
しかしながら、液体をバイアルまたは容器から注射器を用いて送達することは、通常は比較的難しい。これは、医師または看護師などの教育を受けた人が関わることを典型的には必要とする。具体的には、10マイクロリットルから約1ミリリットルまでの範囲におけるような比較的小さい体積が伴われるときなど、送達された液体の用量が比較的正確である必要がある場合、患者は、注射器または同様の装置を使用するときに自分自身で送達を実施することが典型的にはできない。
【0005】
容器またはバイアルにある医薬品または薬物の物質を提供することができるようにするために、特に便利で使い勝手の良い投薬を可能にする装置が存在する。例えば、米国特許出願第2003/0105430(A1)号において、外筒と注射針とを有する自動注射装置が記載されている。薬物の物質が、バイアルストッパによって閉じられたバイアルに提供されている。薬物の物質を外筒へと投薬するために、バイアルはアダプタを用いて注射装置に結合される。次に、薬物の物質が注射針を介して外筒へと投薬される。注射針とバイアルストッパとの間の接触、延いては、注射針の汚染が防止されるようにするために、アダプタには、注射針自体の代わりに、バイアルストッパを穿孔するスパイクが備え付けられ得る。
【0006】
別の例では、WO2017/102760A1は、バイアルを所定の位置で保持するためのバイアル座部と、用量チャンバと、液体物質をバイアルから用量チャンバへと移送するための投薬機構と、係止機構とを有する送達装置を示している。安全性の理由のため、係止機構は、バイアルがバイアル座部に保持されていないときに投薬機構の動作を防止するように、および、バイアルがバイアル座部において保持されるときに投薬機構の動作を許容するように、適合されている。使用中、投与される薬物の物質を含むバイアルは、バイアル座部に位置決めされる。それによって、バイアルのキャップは、バイアルの内部がアクセス可能となるように穿孔される。また、係止機構は、送達装置が投薬の無くなるように作動させられる。送達装置のダイヤルユニットを送達装置の本体部に対して回すことによって、薬物の物質は、バイアルから用量チャンバへと、制御された良好に定義可能な手法で引き込まれる。適切な量が投薬されるとき、ダイヤルユニットはバイアルと共に本体部から取り下げられ、例えば注射によって、薬物の物質は用量チャンバから送達される。
【0007】
しかしながら、多くの医薬品の用途において起こる問題は、薬物の物質が適切な時間にわたって保管されるのに十分に安定していないことである。または、薬物の物質は、投与の前に影響が与えられないようにするために、比較的面倒な取り扱いまたは保管を必要とする可能性がある。また、薬物の物質の特定の成分が、ある患者と別の患者とで、または、ある用途と別の用途とで、変わる可能性がある。そのため、一部の薬物の物質は、投与の前に混合される必要がある複数の成分で提供される。例えば、薬物の物質の成分を複数のバイアルで提供することが知られている。投与の前、それらの成分は、例えば注射器を用いて成分を1つのバイアルから別のバイアルへと移送することで、混合される。それにより、衛生上または無菌の基準を維持すること、および、正確な取り扱いを確保することは、典型的には困難である。
【0008】
さらに、一部の用途では、適切な用量を準備するために、異なるバイアルの内容物を組み合わせることが望まれる。具体的には、薬物の物質の異なる充填容積のバイアルが、特定の用量を達成するために組み合わされ得る。これは、薬物の物質の廃棄が低減され得るように、薬物の物質をより小さい容積で提供することを可能にする。具体的には、比較的コストの掛かる薬物の物質が関わるとき、これは有益であり得る。
【0009】
そのため、複数の容器で提供される複数の成分の液体の正確な混合および投薬と、便利で確実な自己投与とを可能にするシステムまたは方法に対する要求がある。
【発明の概要】
【0010】
本発明によれば、この要求は、独立クレーム1の特徴によって定められているような容器アダプタと、独立クレーム10の特徴によって定められているような送達アセンブリと、独立クレーム15の特徴によって定められているような方法とによって解決される。好ましい実施形態は、従属クレームに依存する。
【0011】
一態様では、本発明は、容器を所定の位置で保持するための容器座部と、用量チャンバと、液体を容器座部に保持される容器から用量チャンバへと移送するための投薬機構と、容器が容器座部で保持されていないときに投薬機構の動作を防止するように、および、容器が容器座部で保持されているときに投薬機構の動作を許容するように適合される係止機構とを有する、WO2017/102760A1に記載されている送達装置などの医療用送達装置のための容器アダプタを取り扱っている。容器アダプタは、容器を所定の位置で保持するように配置されるアダプタ容器座部と、医療用送達装置の容器座部に取り外し可能に位置決めされるように、および、医療用送達装置の容器座部に位置決めされるときにアダプタ容器座部を医療用送達装置の投薬機構に連結するように配置または構成される結合部構造とを備える。容器アダプタには、具体的には、容器アダプタの結合部構造が医療用送達装置の容器座部に位置決めされるときに投薬機構の動作が許容されるように、医療用送達装置の係止機構を作動させるように適合または構成される係止解除部材がさらに備え付けられる。
【0012】
医療用送達装置は、液体物質を投与するための装置であり得る。例えば、医療用送達装置は、液体の薬剤または薬物の物質を適用するための薬物送達装置であり得る。このような送達装置である場合、液体物質または薬物の物質は、目のための液滴、経口の用量などによって、適切な形態で送達または投与され得る。具体的には、医療用送達装置は、薬物の物質を皮下または筋肉へ注射するための注射装置であり得る。
【0013】
医療用送達装置は、送達される物質または薬剤の具体的な適用または投与のために成形され得る送達開口部を典型的には有する。送達開口部は、例えば医療用送達装置が薬剤を注射するように意図される場合、針であり得る。このような実施形態では、送達開口部または針は、筐体の内部から筐体の近位開口を通じて筐体または筐体の特定の部分の外へと延び得る。送達開口部は、送達部材に連結されるように適合されてもよい。例えば、送達開口部は、ルアーロックまたはルアーテーパーのコネクタの雄部または雌部を備えてもよく、送達部材には、対応する雌または雄のルアーロックコネクタが備え付けられてもよい。送達開口部の他の例には、ノズル、弁、流体案内部などがある。
【0014】
本明細書で使用されているような「容器」という用語は、液体、他の流体、凍結乾燥された物質などの粉末、またはカプセルを保管および運搬するのに適する任意の液体の貯留部に関連し得る。液体、流体、または粉末が薬物の物質またはその成分などである場合、容器は、具体的にはバイアルであり得る。この関連で使用されているような「バイアル」という用語は、医薬品の物質、医薬品、または薬剤を液体、粉末形態、またはカプセル形態で保管するために一般的に使用される比較的小さい入物または瓶に関連し得る。バイアルは、ガラス、または、例えばポリプロピレンなどのプラスチックなど、殺菌可能な材料から作られ得る。容器は、複数のバイアルなど、複数の下位の容器を備えてもよい。この文脈における「所定の位置」という用語は、容器の開口が送達開口部に向けて配向されるようになることであり得る。このような容器座部は、容器を良好な所定の位置および配向において連結することを許容する。これは、容器をシステムまたは医療用送達装置に効率的に結合することを許容する。
【0015】
本明細書で使用されているような「薬物」という用語は、有効活性成分(API)とも一般的に呼ばれる治療において有効な作用物質と、複数のこのような治療において有効な活性成分の組み合わせとに関連する。この用語は、液体の形態で患者に投与される必要がある、例えば造影剤(例えば、MRI造影剤)、トレーサ(例えば、PETトレーサ)、およびホルモンなどの診断用薬またはイメージング剤も網羅している。
【0016】
本明細書で使用されているような「薬物の物質」、「医薬品の物質」、または「医薬品」という用語は、患者への投与に適する形態で配合または再構成される先に定められたような薬物に関連する。例えば、薬物に加えて、薬物の物質は、添加剤および/または他の補助成分を追加的に備えてもよい。本発明の文脈における具体的に好ましいとされる薬物の物質は、薬物溶液であり、具体的には、経口投与、注射、または点滴のための溶液である。
【0017】
本明細書で使用されているような「薬物製品」という用語または同様の用語は、薬物の物質または複数の薬物の物質を備える完成した最終製品に関連する。具体的には、薬物製品は、適切な用量および/または投与のための適切な形態で薬物の物質を有する製品を使用する準備ができている可能性がある。例えば、薬物製品は、あらかじめ充填された注射器などの投与装置を含み得る。
【0018】
医療用送達装置の容器座部において取り外し可能に位置決め可能とするために、結合部構造は適切に配置される。それによって、結合部構造は、医療用送達装置の容器座部と同様または同一の形態を有し得る。このようにして、結合部構造は、医療用送達装置と同じ特定の手法で容器を受け入れおよび保持することができる。当業者は分かるように、医療用送達装置の容器座部は、容器を所定の位置で保持するために多くの方法で構成できる。具体的には、容器座部は、容器座部が使用される特定の容器の形または設計に典型的には調節される。例えば、容器座部は、容器の本体を締め付けるための締め付け機構、または、容器を収容および案内するためのスリーブなどで、容器の首部を掴むために、例えば柔軟なアームおよび/または突起を有するといった、スナップ機構で構成され得る。したがって、医療用送達装置の結合部構造は、それが一緒に使用されるように意図されている医療用送達装置のこれらの手段によって保持されるように配置されている。例えば、結合部構造は、容器の部分と対応して形成される部分を有し得る。
【0019】
容器アダプタはプラスチック材料から作られ得る。具体的には、容器アダプタは、射出成形加工において製造され得る殺菌可能なプラスチック材料から作られ得る。容器アダプタは本質的に円筒形とされ得る。また、容器アダプタは、別の装置の一部であり得る、または、別の装置において一体化され得る。
【0020】
本発明による容器アダプタは、具体的には液体の物質を容器から医療用送達装置の用量チャンバへと提供することと、容器を医療用送達装置から取り外しすることとを可能にし、取り外しの後、医療用送達装置は、さらなる容器またはさらなる容器アダプタをその容器座部において受け入れるように準備ができる。このようにして、複数の容器からの物質は、用量チャンバまたはさらなる容器のいずれかにおいて混合され得る。したがって、容器アダプタを用いることで、送達または投与の前の比較的短い時間で複数の物質が混合されることが達成できる。これは、薬物の物質の成分が好ましい有利な様態で各々提供されることと、送達される薬物の物質が投与の直前に生成されることとを可能にする。例えば、安定して保管できない、または、同じ条件の下で保管できない薬物の物質の成分が、投与の直前に組み合わされ得る。また、異なる薬物の物質が投与の前に混合され得る、または、薬物の物質の適切な用量が2つ以上の容器から引き込まれ得る。
【0021】
係止解除部材は、医療用送達装置の係止機構と相互作用するのに適する任意の形態または形を有し得る。具体的には、医療用送達装置の係止機構は多くの異なる方法で具現化され得る。それによって、典型的には、係止機構には、係止を解除するために、および、投薬機構の動作を許容するために、押される、移動される、押し付けられる、または作動させられる構造が備え付けられる。したがって、容器アダプタの係止解除部材は、容器アダプタの結合部構造が医療用送達装置の容器座部において位置決めされるときに係止解除機構が作動させられるように、この構造に対応して設計される。多くの有利な用途について、係止解除部材は、容器アダプタが医療用送達装置に取り付けられるときに係止機構の押し部分が軸方向で変位させられるように、容器アダプタが医療用送達装置の容器座部へと進められるときに医療用送達装置の係止機構の押し部分に接触するように配置される当接面を好ましくは備える。このような変位によって、係止機構は、医療用送達装置が係止解除状態へとさせられるように作動され得る。このような係止解除状態において、医療用送達装置は、ある量の液体を容器から用量チャンバへと投薬するために動作させられ得る。
【0022】
好ましくは、係止解除部材は、容器アダプタが医療用送達装置から取り下げられるときに係止機構の引っ張り部分が軸方向で変位させられるように、容器アダプタが医療用送達装置の容器座部へと進められるときに医療用送達装置の係止機構の引っ張り部分の後で係合するように配置される係合面を備える。このような反対の変位は、医療用送達装置の動作または投薬が妨害または防止されるその初期状態に係止機構を戻すことを許容する。このようにして、医療用送達装置は、容器アダプタが投薬の後に取り外しされるとき、係止状態へと戻るように切り替えられ得る。好ましい実施形態では、医療用送達装置の係止機構の押し部分と引っ張り部分とは、1つの物理的なユニットまたは部品で具現化されるなど、互いに対して不動である。押し部分と引っ張り部分とは、本質的に互いから離れる方を向き得る適切な表面同士によって具現化され得る。
【0023】
容器アダプタのアダプタ容器座部は、容器を所定の位置で受け入れおよび/または保持するための任意の適切な形態または形を有し得る。所定の位置は、具体的には、容器アダプタが医療用送達装置の容器座部に位置決めされるとき、典型的にはキャップによって覆われる容器の開口が医療用送達装置を向くように容器が配向される配置であり得る。例えば、アダプタ容器座部には、容器のヘッド部分など、開口を有する容器の部分と対応して成形された保持部が備え付けられ得る。このような保持部は、容器が所定の位置となるために効率的に配置され得る。
【0024】
好ましくは、アダプタ容器座部は、容器を所定の位置で取り外し不能に保持するように適合される固定構造を有する。このような固定構造は、例えば投薬の最中または後に、容器が容器アダプタから不意または不適切に取り外しされることを防止することを可能にする。それによって、アダプタ容器座部の固定構造は、容器がアダプタ容器座部において保持されるときに容器のヘッド部分の後でスナップ留めするように配置されるクリップを好ましくは有する。このようなクリップは、固定構造の容易な信頼できる構造上の実現となり得る。
【0025】
容器アダプタが医療用送達装置に備え付けられるとき、医療用送達装置の特定の部材との意図されていない接触が起こらないことが重要であり得る。例えば、このような意図されていない接触は、医療用送達装置を係止解除状態にさせる、または、容器を固定するための手段などに影響を与える可能性がある。そのため、容器アダプタが、具体的な回転位置などの特定の配向で備え付けられることが重要であり得る。これを確実にするために、容器アダプタは、結合部構造が医療用送達装置の容器座部に位置決めされるときに容器アダプタが医療用送達装置に対して所定の配向になることを確保するように配置されるアライメント形状部を好ましくは備える。
【0026】
好ましくは、容器アダプタの結合部構造は、容器がアダプタ容器座部において保持され、結合部構造が医療用送達装置の容器座部において位置決めされるとき、容器の内部と医療用送達装置の投薬機構との間に開放して密接した導路を形成するように配置される。このような開放して密接した導路は、投薬の間、投薬機構を容器に保管された薬物の物質または成分に効率的にアクセスさせることができる。具体的には、開放して密接した導路は、アダプタが医療用送達装置に備え付けられ、容器が容器座部に配置されるとき、液体の薬物または物質を容器から医療用送達装置の用量チャンバへと効率的に移送することを可能にする。
【0027】
本明細書で使用されているように、「キャップ」という用語は、容器の開口を閉じるのに適した任意のカバーに関連し得る。例えば、このようなキャップは、容器の開口へ進められる隔膜もしくはゴムストッパであり得る、または、そのような隔膜もしくはゴムストッパを備え得る。キャップは、開口および隔膜またはストッパの周りに配置または圧着される金属またはプラスチックのカバーをさらに備え得る。カバーは隔膜またはストッパを保持および保護できる。容器のこのような隔膜、ストッパ、またはキャップを貫通するとき、医療用送達装置の針は汚染される可能性がある。しかしながら、このような汚染は、例えば注射が伴われるときなど、多くの用途において望まれない。さらに、投薬が針を介して行われるとき、液体の物質の前で、しばしば相当の量の空気が医療用送達装置の投薬チャンバへと引き込まれる可能性がある。注射器におけるこのような空気は、典型的には、呼び水のステップにおいて物質を適用する前に、注射器から排除される必要がある。しかしながら、呼び水のステップは、具体的には液体の量が約10μl~1mlの範囲などの比較的小さいとき、正確な量の液体を投薬および送達するのを困難にする可能性がある。
【0028】
この連結においてより良い状況を達成するために、アダプタ容器座部は、容器がアダプタ容器座部において保持されるときに容器の開口のキャップを貫通するように配置されるスパイクを好ましくは備える。このようなスパイクを用いることで、具体的には、送達開口部または針がそれ自体でキャップを貫通する必要があることが防止され得る。これは、医療用送達装置の送達開口部に損害または汚染を与える危険性を低減することを可能にする。例えば、キャップが隔膜を備えるとき、典型的には送達開口部を汚染または脱シリコーン化し、送達開口部またはその先端を損傷する可能性もある、送達開口部が隔膜を通じて穿孔される必要があることが、防止され得る。したがって、スパイクは、注射のためなど、投与のための準備ができている条件において送達開口部を維持することを可能にする。このようにして、アダプタは、閉じたシステムにおいて液体の正確な用量を送達することを可能にする。
【0029】
それによって、アダプタ容器座部のスパイクは、好ましくはアダプタ容器座部の内部で延びる。スパイクのこのような構成は、容器がアダプタ容器座部において配置または設置されるときに容器のキャップを直ちに貫通することを可能にする。それによって、これは、容器の開口がスパイクに向けて方向付けられた状態で容器を保持するようにアダプタ容器座部が配置されるとき、有利であり得る。
【0030】
好ましくは、スパイクは先端を備える。先端は、キャップまたはその隔膜もしくはストッパを穿孔して貫通するのに十分に鋭利に具現化され得る。このようなスパイクは、キャップを適切な方法で便利に貫通させることができる。それによって、スパイクは、先端から長手方向でスパイクを貫いて延びる導管を好ましくは備える。この関連での「長手方向」という用語は、スパイクの方向に関連し得る。具体的には、スパイクは容器の軸に沿って配向され得る。スパイクの導管は、液体を容器から送達開口部または用量チャンバへと移送するために、容器を送達開口部へと最終的に連結することを可能にする。
【0031】
好ましくは、容器アダプタは、結合部構造が医療用送達装置の容器座部に位置決めされるときに医療用送達装置の容器座部を結合部構造に対して封止するシールを備える。このような構成は、医療用送達装置の周りの空気の体積を最小限にすることを可能にし、容器アダプタと医療用送達装置との間の密接を確保する。有利には、シールは、送達開口部または医療用送達装置の先端または近位端のできるだけ近くに位置させられる。シールを用いることで、送達開口部が保護され、汚染が低減または防止されることが達成され得る。また、シールは、アダプタが医療用送達装置に取り付けられないとき、液体または薬物の物質の漏れを防止できる。
【0032】
容器アダプタの結合部構造は、シールが密接に配置されるシール保持部を好ましくは備える。例えば、このようなシール保持部は、シールを嵌める凹部として具現化され得る。そのため、シールは、凹部における摩擦によって保持されるように、凹部の内部で若干圧縮されて押し込まれてもよい。
【0033】
本発明の別の態様は、前述したような容器アダプタと医療用送達装置とを有する送達アセンブリに関する。医療用送達装置は、容器を所定の位置で保持するための容器座部と、用量チャンバと、液体を容器座部に保持される容器から用量チャンバへと移送するための投薬機構と、容器が容器座部で保持されていないときに投薬機構の動作を防止するように、および、容器が容器座部で保持されているときに投薬機構の動作を許容するように適合される係止機構とを備える。
【0034】
このような送達アセンブリと、以下に記載されたその好ましい実施形態とを用いることで、本発明による容器アダプタの効果および便益とその好ましい実施形態とが効果的に達成され得る。
【0035】
それによって、医療用送達装置の容器座部は、容器を所定の位置で取り外し不能に保持するように適合される固定構造を好ましくは有し、容器アダプタの結合部構造は、容器アダプタが医療用送達装置の容器座部において保持されるときに医療用送達装置の容器座部の固定構造との相互作用を防止するように配置される。例えば、結合部構造は、相互作用を防止するために、容器と比較して、少なくとも1つの配向で縮小した直径を伴って形成され得る。このような配置は、医療用送達装置によって固定されることなく、容器アダプタを医療用送達装置に備え付けることを可能にする。このようにして、投薬の後に容器アダプタが医療用送達装置から取り下げまたは取り外しされることと、医療用送達装置がさらなる容器またはさらなる容器アダプタを受け入れる準備ができることとが達成され得る。
【0036】
好ましくは、医療用送達装置の係止機構は押し部分を備え、容器アダプタの係止解除部材は当接面を備え、係止機構の押し部分と係止解除部材の当接面とは、容器アダプタが医療用送達装置に取り付けられるときに係止機構の押し部分が軸方向で変位させられるように、容器アダプタが医療用送達装置の容器座部へと進められるときに相互作用するように配置される。具体的には、当接面は、医療用送達装置へと、または、医療用送達装置の遠位端に向けて、押し部分をそれぞれ押すことができる。このような配置は、容器アダプタの結合部構造を医療用送達装置の容器座部において位置決めするとき、医療用送達装置を効率的および自動的に係止解除することを可能にする。
【0037】
好ましくは、医療用送達装置の係止機構は引っ張り部分を備え、容器アダプタの係止解除部材は係合面を備え、係止機構の引っ張り部分と係止解除部材の係合面とは、容器アダプタが医療用送達装置から取り下げられるときに係止機構の引っ張り部分が軸方向で変位させられるように、容器アダプタが医療用送達装置の容器座部へと進められるときに相互係合するように配置される。具体的には、係止解除部材は、容器アダプタが取り外されるときに係止機構を引っ張ることができる。このような配置は、容器アダプタを医療用送達装置から取り外しまたは取り下げるとき、医療用送達装置を効率的および自動的に再係止することを可能にする。
【0038】
容器アダプタとの関連で前述したように、医療用送達装置は、物質を送達するための針または針アダプタなどの送達開口部を好ましくは備え、容器アダプタは、アダプタ容器座部において途切れる導管を備え、医療用送達装置の送達開口部は、容器アダプタが医療用送達装置の容器座部において保持されるとき、容器座部の導管へと延びる。それによって、送達アセンブリは、導管が途切れる側において容器アダプタのアダプタ容器座部に密接して当接するように配置される送達開口部シールを好ましくは備える。また、送達開口部シールは、エラストマまたはシリコーンから好ましくは作られる栓として好ましくは成形される。
【0039】
好ましくは、送達アセンブリは固定要素を備え、医療用送達装置の容器座部は、医療用送達装置の送達開口部に結合解除可能に備え付けられ、固定要素は、容器アダプタが医療用送達装置から取り下げられるときに容器座部の送達開口部からの意図されていない結合解除を防止するために配置される。このような固定要素は、容器アダプタの取り外しまたは取り下げにおいて、容器座部、または、容器座部を備える医療用送達装置の部分が、送達開口部から結合解除されることを防止することを可能にする。このようにして、薬物の物質が準備できる前に、つまり、薬物の物質のすべての成分が混合される前に、送達開口部が露出されることが防止され得る。
【0040】
それによって、固定要素は、好ましくは、接着面を有するシート片である。このようなシート片は、一緒に保持される医療用送達装置の境界にわたって位置決めまたは接着され得る。薬物の物質が最終的に準備または混合されるとき、シート片は取り外しでき、送達開口部は露出され得る。
【0041】
本発明の別のさらなる態様は、液体を患者へと送達する方法に関する。方法は、液体の第1の混合物質を伴う第1の容器、第2の混合物質を伴う第2の容器、および、前述したような送達アセンブリを得るステップと、第1の容器を送達アセンブリの容器アダプタのアダプタ容器座部において配置するステップと、送達アセンブリの容器アダプタの結合部構造を送達アセンブリの医療用送達装置の容器座部において位置決めするステップと、第1の物質を第1の容器から送達アセンブリの医療用送達装置の用量チャンバへと引き込むステップと、送達アセンブリの容器アダプタを送達アセンブリの医療用送達装置から取り下げるステップと、第2の容器を送達アセンブリの医療用送達装置の容器座部において位置決めするステップと、第2の物質を第2の容器から送達アセンブリの医療用送達装置の用量チャンバへと引き込むステップとを含む。
【0042】
第1および第2の混合する物質は、医療用送達装置によって投与される最終的な物質を結果的に生じさせるために組み合わせまたは混合される必要がある物質であり得る。具体的には、それらの物質は、投与される薬物の物質が結果的に生じるように混合または組み合わせされ得る成分であり得る。第1および第2の混合する物質は、適切な用量を達成するために組み合わせされる同じ物質でもあり得る。方法は、さらなる容器アダプタを介してさらなる容器において保管されるさらなる混合する物質の投薬を伴う可能性もある。
【0043】
方法のステップは、本明細書で先に列記した順番とは別の順番で具現化されてもよい。本発明による方法およびその好ましい実施形態は、送達アセンブリおよびその好ましい実施形態との関連で先に記載された効果および便益を効率的に達成することを可能にする。
【0044】
好ましくは、方法は、第2の容器が送達アセンブリの医療用送達装置の容器座部に位置決めされるとき、第1の混合物質を第2の容器へと進めるステップを含む。このような配置は、第2の物質を第2の容器から引き込む前に第2の容器において第1の物質と第2の物質とを混合することを可能にする。例えば、これは、冷凍乾燥された粉末などの形態においてなど、乾燥した形態で第2の物質を提供することと、引き込みまたは医療用送達装置への投薬の前に、第2の物質を第2の容器の内部で再構成することとを可能にする。
【0045】
本発明による容器アダプタ、送達アセンブリ、および方法は、例示の実施形態を用い、添付の図面を参照して、本明細書において以下により詳細に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1】本発明による医療用送達装置のための容器アダプタの実施形態の斜視図である。
【
図2】第1の容器がアダプタ容器座部内の所定の位置において格納されている
図1の容器アダプタの断面図である。
【
図3】医療用送達装置の容器座部に挿入される一方でアダプタ容器座部において保持されるように第1の容器が設けられる場合の、
図1の容器アダプタの断面図である。
【
図3A】具体的には、医療用送達装置の投薬機構とのアダプタ容器座部の連結を強調している、
図3の医療用送達装置の詳細の部分断面図である。
【
図4】医療用送達装置の係止機構を作動させるために容器アダプタが医療用送達装置の容器座部へと進められたときの、
図3の医療用送達装置の断面図である。
【
図4A】具体的には、アダプタ容器座部において格納されている第1の容器からの用量を許容するために医療用送達装置の係止機構の作動を強調している、
図4の医療用送達装置の詳細のさらなる部分断面図である。
【
図5】容器アダプタが医療用送達装置を係止解除状態にしており、第1の容器から医療用送達装置の用量チャンバへの液体移送が医療用送達装置の投薬機構のダイヤルの回転によって実施されるときの、
図3の医療用送達装置の断面図である。
【
図5A】具体的には、係止解除状態における医療用送達装置のダイヤルの回転を表している、
図5の医療用送達装置の詳細のさらなる部分断面図である。
【
図6】容器アダプタに格納されている第1の容器から医療用送達装置の用量チャンバへの液体移送が完了され、容器アダプタが第1の容器と共に医療用送達装置の容器座部から取り外しされるときの、
図3の医療用送達装置の断面図である。
【
図6A】具体的には、容器アダプタの取り外しと、投薬機構の動作が防止されている係止状態における医療用送達装置の戻りとを表している、
図6の医療用送達装置の詳細のさらなる部分断面図である。
【
図7】容器アダプタが医療用送達装置の容器座部から取り外しされており、反対に、第2の容器が医療用送達装置の容器座部に直接的に位置決めされているときの、
図3の医療用送達装置の断面図である。
【
図7A】具体的には、医療用送達装置の容器座部における第2の容器の位置決めを表している、
図7の医療用送達装置の詳細のさらなる部分断面図である。
【
図8】医療用送達装置の容器座部における第2の容器の位置決めが、第2の容器から用量チャンバへの第2の液体の引き込みが医療用送達装置の投薬機構のダイヤルの回転によって可能とされる係止解除状態に医療用送達装置を新たにさせているときの、
図3の医療用送達装置の断面図である。
【
図8A】具体的には、液体を第2の容器から引き込むための医療用送達装置の投薬機構のダイヤルの回転を表している、
図8の医療用送達装置の詳細のさらなる部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下の記載において、特定の用語が利便性の理由のために使用されており、本発明を限定するようには意図されていない。「右」、「左」、「上」、「下」、「~の下」、および「~の上方」という用語は、図における方向を言及している。専門用語は、明確に言及されている用語と、同様の意味を伴うそれらの派生語および用語とを含む。また、「~の下」、「~の下方」、「下方」、「~の上方」、「上方」、「近位」、「遠位」などの空間的に相対的な用語は、図において示されているように1つの要素または特徴の別の要素または特徴に対する関係を記載するために使用され得る。これらの空間的に相対的な用語は、図に示されている位置および配向に加えて、使用または動作において装置の異なる位置および配向を包囲するように意図されている。例えば、図における装置がひっくり返される場合、他の要素または特徴の「下方」または「下」として記載された要素が、他の要素または特徴の「上方」または「上」となる。したがって、例示の用語「下方」は、上方および下方の位置と配向との両方を網羅することができる。装置は、それ以外に配向されてもよく(90度または他の配向で回転されてもよく)、本明細書で使用される空間的に相対的な記載は、それに応じて解釈される。同様に、様々な軸に沿うまたは様々な軸の周りでの移動の記載は、様々な特別な装置の位置および配向を含む。
【0048】
様々な態様および例の実施形態の図および記載における繰り返しを回避するために、多くの特徴が多くの態様および実施形態に共通することは理解されるべきである。記載または図からの態様の省略は、態様が、その態様を組み込んでいる実施形態から失われている意味を含んでいない。代わりに、態様は、明確性のために、および、冗長な記載を回避するために、省略されている可能性がある。この文脈において、以下のことは、この記載の他の部分にも当てはまる。図面を明確にするために、記載の直接的に関連する部分において説明されていない符号を図が含む場合、これは先の記載の部分または後の記載の部分が参照される。さらに、明瞭性の理由のために、図面において、部品のすべての特徴が必ずしも符号で提供されていない場合、同じ部品を示している他の図面が参照される。2つ以上の図における同様の符号は、同じ要素または同様の要素を表している。
【0049】
図1は、本発明による医療用送達装置1のための容器アダプタ9を示している。
図1、
図2、
図3、および
図7を参照すると、容器アダプタ9は、医療用送達装置1の容器座部53において保持されるように構成され、アダプタ容器座部91と結合部構造92とを備える。アダプタ容器座部91は、容器8を、つまり、特定の場合においてバイアルを、所定の位置で保持するように配置される。結合部構造92は、医療用送達装置1の容器座部53に取り外し可能に位置決めされるように配置される。結合部構造92は、容器8の直径に対して、具体的な配向で縮小した直径を伴って形成されており、そのため、容器座部53の固定構造との干渉および不都合な相互作用が防止される。さらに、結合部構造92は、容器座部53に位置決めされているとき、アダプタ容器座部91を、液体を容器座部53において保持された容器8から医療用送達装置1の用量チャンバ61へと移送するように適合された投薬機構に連結する。
【0050】
医療用送達装置の係止機構が、容器8が容器座部53に保持されていないときに投薬機構の動作を防止するように、および、容器8が容器座部53において保持されるときに投薬機構の動作を許容するように、適合されている。
【0051】
容器アダプタ9の係止解除部材93は、結合部構造92が医療用送達装置1の容器座部53に位置決めされるときに投薬機構の動作が許容されるように、医療用送達装置1の係止機構を作動させるように適合されている。
【0052】
容器アダプタ9は、具体的には液体の物質を容器8から医療用送達装置1の用量チャンバ61へと提供することと、容器アダプタ9を容器8と一緒に医療用送達装置1から取り外しすることとを可能にし、取り外しの後、医療用送達装置1は、さらなる異なる容器8またはさらなる容器アダプタ9をその容器座部53において受け入れるように準備ができる。このようにして、複数の容器8からの物質は、用量チャンバ61またはさらなる容器8のうちのいずれかにおいて混合され得る。したがって、容器アダプタ9を用いることで、送達または投与の前の比較的短い時間で複数の物質が混合されることが達成できる。これは、薬物の物質の成分が好ましい有利な様態で各々提供されることと、薬物の物質が投与の直前に生成されることとを可能にする。
【0053】
容器アダプタ9は、装置1の容器座部53と相互作用する結合部構造92の一部としてスリーブ部分921を備える。ヘッド保持部分912が、容器8のヘッド部分またはキャップ82を受け入れおよび確保するために適合されている。本体支持部分911が、容器8の本体83を包むおよび担持するために配置されている。
【0054】
医療用送達装置1の係止機構との容器アダプタの結合部構造92の協働をより良く示すために、医療用送達装置1の構成要素が以下においてより詳細な方法で記載されている。構造上の詳細についての参照として、本発明の容器アダプタ9との組み合わせで採用されたものと同様の医療用送達装置は、1つの単一の容器8からの液体の送達のために適合および意味されているが、WO2017/102760A1にある。
【0055】
図3を参照すると、医療用送達装置1は投薬作動装置5と注射装置とを備える。注射装置は、遠位本体部分21がその下端または底端において指状フランジ23へと続く筐体2を有する。筐体2は、中空の内部と、指状フランジ23に設けられた遠位開口と、筐体2の近位端側24に設けられた近位開口とを有する。
【0056】
筐体2の内部には、棒状要素3が配置されている。筐体2の上方部分には、投薬作動装置5のスリーブユニット51が配置されている。スリーブユニット51は、鉛直方向に延びる中空の円筒として形成されている。
【0057】
スリーブユニット51は、投薬作動装置5の回転可能なダイヤルユニット52に連結されている。ダイヤルユニット52は、本質的に円筒に成形されており、スリーブユニット51から上向きの方向において鉛直方向に延びている。ダイヤルユニット52の外面には、都合よく手作業の動作を許容するための把持のための隆条部が備え付けられている。さらに、ダイヤルユニット52には、2つのスナップ取り付けアームを有する首保持部523が備え付けられている。
【0058】
医療用送達装置1は、容器としてのバイアル8を受け入れるように具現化されている。共通の様態において、バイアル8は、本体83と、キャップ82によって閉じられる首部81とを有する。本体83の内部では、注射装置を用いて送達または注射することになる液体の薬物の物質が保管されている。
【0059】
棒状要素3は、柄部31へと同軸で延び、備え付けられるときに柄部31を包囲する中空の本体部分33を備える。本体部分33は、一端において本体部分33の残りの部分に各々が固定され、他端において外向きに延びる解放隆起334を有するアーム部分332を有する。さらに、アーム部分332の各々には、本質的に径方向において柄部31に向けて突出するピン333が備え付けられている。遠位端において、棒状要素3の本体部分33は4つのクリップ外れ止め331を備える。柄部31の近位軸方向端には、ゴムストッパ32が、後でより詳細に示されているように備え付けられている。
【0060】
注射装置の用量部材6は、中空のチャンバシリンダ61をチャンバ本体として備えている。チャンバシリンダ61の外面において、ネジ山65が延びている。さらに、外面61には用量の印が設けられている。チャンバシリンダ61の内部は、棒状要素3の柄部31およびゴムストッパ32を受け入れるような寸法とされている。それによって、ゴムストッパ32は、チャンバシリンダ61の内部に密接して嵌まるような寸法とされている。その近位端において、チャンバシリンダ61は、雄結合構造66を通り過ぎ、そこから近位へと突出し、送達針62または開口部を通り過ぎる。用量部材6と筐体2との間には、バネ7が位置決めされている。
【0061】
本体2には、その端側に隣接する外側周辺において複数の溝が設けられている。
【0062】
投薬作動装置5の解放部材530は解放部材530の環部分531を備え、環部分531から、2つの柄部532が軸方向で近位方向へと延び、妨害面が環部分531の内側に形成されている。
【0063】
投薬作動装置5のダイヤルユニット52の内側では、雌結合構造が遠位方向において延びている。雌結合構造は、用量部材6の雄結合構造66に嵌まるように形成されている。その遠位端において、ダイヤルユニット52は、スリーブユニット51のダイヤルマウントがスナップ留めされ得るスリーブマウント構造をさらに有する。連結されるとき、ダイヤルユニット52は回転できるが、互いに対して軸方向で移動できない。
【0064】
容器8のキャップ82には隔膜821が設けられる。
【0065】
投薬作動装置5のダイヤルユニット52の中空の内部の内側には、首保持部523と、解放部材530の載置面と、雌結合構造の上端から鉛直方向に延びるスパイク526とを備えるバイアル座部53が形成されている。環部分531の妨害面は、柄部532の形態において、筐体2の近位端側における対応する面としての溝と係合する。それによって、ダイヤルユニット52の回転移動は防止され、医療用送達装置1は係止状態にあり、この状態において、投薬機構の動作は防止され、容器8はバイアル座部53に位置決めされない。このような係止状態は
図7Aに表されている。
【0066】
図8および
図8Aでは、医療用送達装置1は、係止状態から投薬状態へと変化させられた後において示されている。医療用送達装置1を準備するステップにおいて、バイアル8は投薬作動装置5およびそのバイアル座部53へと上から下へ押し付けられる。それによって、バイアル8は、解放部材530の載置面に当接し、環部分531の妨害面が筐体2の溝と係合解除するまで解放部材530を下向きに移動する。このようにして、ダイヤルユニット52はスリーブユニット51および筐体2に対して回転可能にされており、医療用送達装置1は、係止解除される、つまり、投薬状態になる。そのため、容器座部53における容器8の配置の結果として解放部材が軸方向で移動させられるとき、解放部材530の妨害面532は医療用送達装置1の対応する表面と係合解除する。
【0067】
バイアル8が容器座部53において下向きに押されるとき、首保持部の保持アーム523は、キャップ82を伴うバイアル8のヘッド部が保持アーム523のフランジ端を通過するように外向きの方向で移動させられる。バイアル8が十分に下へ押し付けられると、保持アーム523のフランジ端は、バイアル8が安全に保持されるようにバイアル8の首部81におけるヘッド部の後でスナップ留めする。この方法では、バイアル8は医療用送達装置1において上から下へと鉛直方向で備え付けられる。
【0068】
さらに、バイアル8がバイアル座部へと押し付けられる間、スパイク526の先端が、隔膜821を含むキャップ82を貫通する。スパイク526の下方では、送達針62の先端が配置されている。送達針62は、針シール54によって部分的に覆われている。送達針62は、スパイク526からチャンバシリンダ61の雄結合構造66を通じて延びている。このようにして、
図8および
図8Aに示された投薬状態では、スパイク526は、送達針62と共に、バイアル8の内部と、用量部材6のチャンバシリンダ61またはチャンバ本体もしくは用量チャンバの内部との間の移送通路として開放した導路を形成する。それによって、針シール54は、漏れを排除し、送達針62とスパイク526との間の自由空間を最小限にすることを可能にする。投薬状態では、棒状要素3のアーム部分332のピン333は、用量部材6のネジ山65と係合する。
【0069】
前述したように、本発明による容器アダプタ9は、前述したように医療用送達装置1の係止機構と協働するように設計されている。このために、係止解除部材93は、容器アダプタ9が医療用送達装置1の容器座部53へと進められるときに医療用送達装置1の係止機構の押し部分に接触するように配置される当接面932を備える。押し部分は、前述した妨害面を組み込む柄部532の表面など、係止機構の解放部材530の一部であり得る。当接面932による荷重の適用において、係止機構の押し部分532は、可及的には解放部材530の本体全体と一体に、医療用送達装置1に取り付けられている容器アダプタ9と連結して軸方向に変位させられる。このような変位によって、係止機構は、医療用送達装置1が係止解除状態へとさせられるように作動され得る。このような係止解除状態において、医療用送達装置1は、ある量の液体を、アダプタ容器座部91に格納されている容器8から用量チャンバ61へと投薬するために動作させられ得る。
【0070】
同時に、係止解除部材93は、容器アダプタ9が医療用送達装置1の容器座部53へと進められるときに医療用送達装置1の係止機構の引っ張り部分533の後で係合するように配置される係合面933を備える。したがって、容器アダプタ9が医療用送達装置1から取り下げられるとき、係止機構の引っ張り部分533は軸方向で変位させられる。このような変位は、医療用送達装置1の動作または投薬が妨害または防止されるその初期状態に係止機構を戻すことを許容する。このようにして、医療用送達装置1は、容器アダプタ9が投薬の後に取り外しされるとき、係止状態へと戻るように切り替えられ得る。
【0071】
当接面932と係合面933とは、
図1に表されている実施形態において、ダイヤル52のための係止クリップとして作用するアーム部分931に組み込まれている。
【0072】
アダプタ容器座部91は、容器8を所定の位置で取り外し不能に保持するように適合される固定構造916を有する。投薬作動装置5と類似して、この固定構造は、容器8がアダプタ座部91において保持されるときに容器8のヘッド部分またはキャップ82の後でスナップ留めするように配置されるクリップ916の形態を取り得る。
【0073】
結合部構造92が医療用送達装置1の容器座部53に位置決めされるときに容器アダプタ9が医療用送達装置1に対して所定の配向で確保されることを確実にするために、容器アダプタにはアライメント形状部95が提供されている。このようなアライメント形状部は、送達装置1の対応する雌の切欠きまたは通路に嵌まるように構成された送達装置1および/または雄の突起952の対応する案内溝またはレールと係合するように設計された位置合わせ面951の形態を取ることができる。任意の速さにおいて、アライメント形状部は、医療用送達装置1の合致する特徴部と協働して、動作中に容器座部53内での容器アダプタ9の回転変位を、または、より大まかには配向における変化を防止する任意の回転防止特徴部であり得る。
【0074】
結合部構造92は、容器8がアダプタ容器座部91において保持され、結合部構造92が医療用送達装置1の容器座部53において位置決めされるとき、容器8の内部と医療用送達装置1の投薬機構との間に開放した導路を形成するように配置される。このような開放した導路は、医療用送達装置1のスパイク526を受け入れる通路923の形態を取り得る。開放した導路は中心支柱922の内部に形成されている。
【0075】
アダプタ容器座部91は、容器8がアダプタ容器座部91において保持されるときに容器8の開口のキャップ82を貫通するように配置されるスパイク914を備える。スパイク914は、アダプタ容器座部91の内部における基礎板913から延び、先端を備える。アダプタ容器座部91は、先端から長手方向でスパイク914を貫いて延びる導管915を備える。したがって、導管915は、容器8の内部と、装置1のスパイク526を受け入れる結合部構造92の通路923との間の流体連通を確立する。スパイク516は、装置1の容器座部53の一部として、導管915につながる通路923へと延びる。この構成は、後で説明されているようなシールの提供と共に、装置1の容器座部52と容器アダプタ9との間の密接した連結を可能にする。
【0076】
結合部構造92が医療用送達装置1の容器座部53に位置決めされるとき、シール94が医療用送達装置1の容器座部53を結合部構造92に対して封止する。したがって、容器アダプタ9に格納されている容器8からの液体が装置1の用量チャンバ61へとスパイク526を通じて全体で移送されることが保証される。結合部構造92は、シール94が密接に配置されているシール保持部924をさらに備える。
【0077】
前述したように結合され、
図4、
図4A、
図5、および
図5Aに示されているような容器アダプタ9と医療装置とは、送達アセンブリを形成している。
【0078】
図4および
図4Aは、医療用送達装置の係止機構を作動させるために容器アダプタ9が医療用送達装置1の容器座部53へと進められたときの構成を示している。具体的には、係止解除部材93の当接面932は柄部532のそれぞれの押し部分に接触しており、そのため、柄部532によって組み込まれた妨害面は送達装置1の筐体の溝から係合解除する。この構成では、投薬機構の動作が許容され、アダプタ容器座部91に格納されている第1の容器8からの用量が可能とされる。
【0079】
図5および
図5Aは、容器アダプタ9が医療用送達装置を係止解除状態にした後、第1の容器8から医療用送達装置の用量チャンバ61への液体移送が医療用送達装置1の投薬作動装置5のダイヤル52の回転によって実施されているところを示している。
【0080】
第1の容器8からの用量が完了させられると、容器アダプタ9は、使用された第1の容器8と一緒に、医療用送達装置1の容器座部53から取り外しされ得る。
【0081】
図6および
図6Aでは、容器アダプタ9の取り外しにおいて、医療用送達装置1がどのように係止状態に戻るかが示されており、その状態において投薬機構の動作は防止される。これは、容器アダプタが容器座部53へと進められるときに係止機構の引っ張り部分533の後で係合する係合面933のおかげで達成される。容器アダプタ9が医療用送達装置1から取り下げられるとき、係止解除部材93は係止機構を戻すように引っ張り、より具体的には、引っ張り部分533は係合面933の移動によって軸方向で変位させられる。結果として、柄部532によって組み込まれた妨害面は、送達装置1の筐体2の溝へと戻って係合する。したがって、送達装置は係止状態にさせられる。
【0082】
図7および
図7Aは、容器アダプタ9が医療用送達装置1から取り外しされると、医療用送達装置1の容器座部53において第2の容器8の直接的な位置決めを表している。
図7および
図7Aでは、係止機構は、投薬機構が動作できず、ダイヤル52の回転が防止されるような構成になおもある。例えばスリーブと注射器本体との間で伸長する接着片の形態である固定要素が、続いて起こり得る引っ張り力に反する容器アダプタ9の取り外しにおいて、針62の偶発的な露出を防止できる。
【0083】
容器8と一緒の容器アダプタの容器座部53への直接的な挿入または容器座部53からの取り外しと、筐体2の溝と係合解除するために、または、筐体2の溝と係合するために、それぞれ結果として起こる、遠位方向での下向きまたは近位方向での上向きの解放部材530の軸方向の変位との関連で、送達装置1の係止機構の機能性がすでに先に記載されている。
【0084】
図8および
図8Aでは、医療用送達装置1の容器座部53における第2の容器8の位置決めは、医療用送達装置1を係止解除状態に新たにさせており、その状態において、第2の容器8から用量チャンバ61への第2の液体の引き込みが、医療用送達装置1の投薬作動装置5のダイヤル52の回転によって可能とされる。
【0085】
本発明の態様および実施形態を例示するこの記載および添付の図面は、保護された発明を定める請求項を限定するとして解釈されるべきではない。別の言い方をすれば、本発明は、図面および前述の記載において詳細に図示および記載されているが、このような図示および記載は、図示または例示として解釈されるものであり、制限的に解釈されるものではない。様々な機械的、組成的、構造的、電気的、および動作的な変更が、この記載および請求項の精神および範囲から逸脱することなく行われ得る。一部の例では、よく知られている回路、構造、および技術は、本発明を曖昧にしないために詳細に示されていない。したがって、変更および改良が以下の請求項の範囲および精神内において当業者によって行われ得ることは、理解されるものである。具体的には、本発明は、前述および後述の異なる実施形態からの特徴の任意の組み合わせを伴うさらなる実施形態を網羅する。
【0086】
本開示は、前述または後述されていない可能性があるが、個々に図に示されたすべてのさらなる特徴も網羅している。また、図および記載に描写されている実施形態の単一の代替、および、その特徴の単一の代替は、本発明の主題から、または、開示されている主題から放棄され得る。本開示は、請求項または例示の実施形態において定められた特徴から成る主題と、前記特徴を備える主題とを含む。
【0087】
さらに、請求項では、「備える」という言葉は他の要素またはステップを排除せず、「1つ(a、an)」という不定冠詞は複数を排除しない。単一のユニットまたはステップは、請求項において提唱されたいくつかの特徴の機能を満たすことができる。特定の対策が複数の異なる従属クレームにおいて提唱されているという単なる事実は、これらの対策の組み合わせが有利になるように使用できないことを指し示しているのではない。特性または値との関連での「本質的」、「約」、「おおよそ」などの用語は、具体的には、特性または値をそれぞれ正確に定めてもいる。所与の数字の値または範囲の文脈における「約」という用語は、例えば、所与の値または範囲の20%内、10%内、5%内、または2%内である値または範囲を言っている。結合または連結されるとして記載される構成要素は、電気的または機械的に直接的に結合されてもよい、または、1つもしくは複数の中間構成要素を介して間接的に結合されてもよい。請求項における符号はいずれも、範囲を限定するとして解釈されるべきではない。