(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-13
(45)【発行日】2023-01-23
(54)【発明の名称】ガス気化システム
(51)【国際特許分類】
F17C 9/02 20060101AFI20230116BHJP
F24H 4/02 20220101ALI20230116BHJP
F25B 1/00 20060101ALI20230116BHJP
F25B 30/06 20060101ALI20230116BHJP
【FI】
F17C9/02
F24H4/02 Z
F25B1/00 399Y
F25B30/06 T
(21)【出願番号】P 2019035024
(22)【出願日】2019-02-27
【審査請求日】2022-02-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000222037
【氏名又は名称】東北電力株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000241957
【氏名又は名称】北海道電力株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390010010
【氏名又は名称】日本ガス開発株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】505089614
【氏名又は名称】国立大学法人福島大学
(73)【特許権者】
【識別番号】504173471
【氏名又は名称】国立大学法人北海道大学
(73)【特許権者】
【識別番号】399040106
【氏名又は名称】ゼネラルヒートポンプ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100180552
【氏名又は名称】福田 旭洋
(72)【発明者】
【氏名】宍戸 淳
(72)【発明者】
【氏名】竹内 進
(72)【発明者】
【氏名】岡田 真武
(72)【発明者】
【氏名】石川 光浩
(72)【発明者】
【氏名】深井 則博
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 勇斗
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 匡輝
(72)【発明者】
【氏名】八島 裕一
(72)【発明者】
【氏名】赤井 仁志
(72)【発明者】
【氏名】葛 隆生
(72)【発明者】
【氏名】谷藤 浩二
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 一成
【審査官】佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-28418(JP,A)
【文献】特開2018-9736(JP,A)
【文献】特開平4-312299(JP,A)
【文献】特開2016-27272(JP,A)
【文献】国際公開第2018/100486(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第103486438(CN,A)
【文献】特開平10-47597(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17C 9/02
F17C 7/04
F25B 1/00
F25B 30/06
F24H 4/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一液体と地中熱との熱交換を行う地中熱交換部と、
前記第一液体と空気との熱交換を行う空気熱交換部と、
ヒートポンプ方式によって前記第一液体と第二液体との熱交換を行うヒートポンプ部と、
前記ヒートポンプ部において熱交換された前記第二液体と液化ガスとの熱交換によって、前記液化ガスを気化させるガス気化部と、
前記第一液体が流れる流路であって、前記地中熱交換部と前記空気熱交換部とを繋ぐ第一流路と、
前記第一液体が流れる流路であって、前記空気熱交換部と前記ヒートポンプ部とを繋ぐ第二流路と、
前記第一液体が流れる流路であって、前記地中熱交換部と前記ヒートポンプ部とを繋ぐ第三流路と、
前記第一流路を介して前記地中熱交換部から前記空気熱交換部に前記第一液体を流す場合と、前記第三流路を介して前記地中熱交換部から前記ヒートポンプ部に前記第一液体を流す場合とを切り替える第一切替部と
を備えたことを特徴とするガス気化システム。
【請求項2】
前記第一流路又は前記第三流路を流れる前記第一液体の温度である第一温度を取得する第一温度取得手段と、
外気の温度である第二温度を取得する第二温度取得手段と、
前記第一温度取得手段によって取得された前記第一温度が、前記第二温度取得手段によって取得された前記第二温度より小さいか否かを判断する第一温度判断手段と、
前記第一温度判断手段によって前記第一温度が前記第二温度より小さいと判断された場合に、前記第一切替部を制御して、前記第一流路を介して前記地中熱交換部から前記空気熱交換部に前記第一液体を流す第一制御手段と、
前記第一温度判断手段によって前記第一温度が前記第二温度より小さくないと判断された場合に、前記第一切替部を制御して、前記第三流路を介して前記地中熱交換部から前記ヒートポンプ部に前記第一液体を流す第二制御手段と
を備えたことを特徴とする請求項1に記載のガス気化システム。
【請求項3】
前記ヒートポンプ部において熱交換に使用された後の前記第一液体が流れる流路であって、前記ヒートポンプ部と前記地中熱交換部とを繋ぐ第四流路を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載のガス気化システム。
【請求項4】
前記ヒートポンプ部において熱交換に使用された後の前記第一液体が流れる流路であって、前記ヒートポンプ部と前記空気熱交換部とを繋ぐ第五流路と、
前記第四流路を介して前記ヒートポンプ部から前記地中熱交換部に前記第一液体を流す場合と、前記第五流路を介して前記ヒートポンプ部から前記空気熱交換部に前記第一液体を流す場合とを切り替える第二切替部と
を備えたことを特徴とする請求項3に記載のガス気化システム。
【請求項5】
前記第四流路を流れる前記第一液体の温度である第三温度を取得する第三温度取得手段と、
前記地中熱交換部に前記第一液体が流れている状態における、前記第一流路を流れる前記第一液体の温度である第四温度を取得する第四温度取得手段と、
前記第三温度取得手段によって取得された前記第三温度が、前記第四温度取得手段によって取得された前記第四温度より大きいか否かを判断する第二温度判断手段と、
前記第二温度判断手段によって前記第三温度が前記第四温度より大きいと判断された場合に、前記第二切替部を制御して、前記第四流路を介して前記ヒートポンプ部から前記地中熱交換部に前記第一液体を流す第三制御手段と、
前記第二温度判断手段によって前記第三温度が前記第四温度より大きくないと判断された場合に、前記第二切替部を制御して、前記第五流路を介して前記ヒートポンプ部から前記空気熱交換部に前記第一液体を流す第四制御手段と
を備えたことを特徴とする請求項4に記載のガス気化システム。
【請求項6】
前記空気熱交換部において熱交換された後の前記第一液体が流れる流路であって、前記空気熱交換部と前記地中熱交換部とを繋ぐ第六流路と、
前記第二流路を介して前記空気熱交換部から前記ヒートポンプ部に前記第一液体を流す場合と、前記第六流路を介して前記空気熱交換部から前記地中熱交換部に前記第一液体を流す場合とを切り替える第三切替部と
を備えたことを特徴とする請求項3から5のいずれかに記載のガス気化システム。
【請求項7】
前記ガス気化部による前記液化ガスの気化が停止されている場合に、前記第三切替部を制御して、前記第六流路を介して前記空気熱交換部から前記地中熱交換部に前記第一液体を流す第五制御手段を備えたことを特徴とする請求項6に記載のガス気化システム。
【請求項8】
前記第二液体が流れる流路であって、前記ヒートポンプ部と前記ガス気化部とを繋ぐ流路である第七流路と、
前記第一液体が流れる流路であって、前記空気熱交換部と前記ガス気化部とを繋ぐ第八流路と、
前記第二流路を介して前記空気熱交換部から前記ヒートポンプ部に前記第一液体を流し、前記第七流路を介して前記ヒートポンプ部から前記ガス気化部に前記第二液体を流す場合と、前記第八流路を介して前記空気熱交換部から前記ガス気化部に前記第一液体を流す場合とを切り替える第四切替部と
を備えたことを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のガス気化システム。
【請求項9】
前記第二流路又は前記第八流路を流れる前記第一液体の温度である第五温度を取得する第五温度取得手段と、
前記第五温度取得手段によって取得された前記第五温度が、前記ガス気化部によって前記液化ガスを気化可能な温度である気化温度より小さいか否かを判断する第三温度判断手段と、
前記第三温度判断手段によって前記第五温度が前記気化温度より小さいと判断された場合に、前記第四切替部を制御して、前記第二流路を介して前記空気熱交換部から前記ヒートポンプ部に前記第一液体を流し、前記第七流路を介して前記ヒートポンプ部から前記ガス気化部に前記第二液体を流す第六制御手段と、
前記第三温度判断手段によって前記第五温度が前記気化温度より小さくないと判断された場合に、前記第四切替部を制御して、前記第八流路を介して前記空気熱交換部から前記ガス気化部に前記第一液体を流す第七制御手段と
を備えたことを特徴とする請求項8に記載のガス気化システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液化ガスを気化するガス気化システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液化天然ガス、液化アルゴン、液化窒素、液化酸素、液化エタン、及び液化エチレン等の液化ガスを、熱交換用の液体との熱交換によって加熱して、ガスを気化させるガス気化システムが知られている。例えば、特許文献1に記載の気化装置は、ボイラー装置と気化器とを備えている。ボイラー装置によって加熱された温水は、気化器に導入される。気化器内には、伝熱管部が設けられている。伝熱管部は、液化天然ガスを案内する。伝熱管部を流れる液化天然ガスは、温水との熱交換によって気化される。ボイラー装置は、燃料を使用している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記気化装置は、ボイラー装置によって水を加熱して温水を生成している。このため、ボイラー装置を駆動するための燃料のコストがかかっていた。ここで、室内の空調を行う空調分野では、プロパンガス等の燃料を使用することなく、ヒートポンプ方式による熱交換によって、低コストで空調を行うヒートポンプ装置が知られている。ヒートポンプ装置は、例えば、地中熱との熱交換によって加熱又は冷却された第一液体の温度を使用して、第二液体を加熱又は冷却する。そして、ヒートポンプ装置によって加熱又は冷却された第二液体の温度が使用され、空調の暖房又は冷房が行われる。
【0005】
一般的に、ヒートポンプ装置が室内の空調に利用される場合、冬季は暖房に設定され、夏季は冷房に設定される。地中の温度は、一年を通じてほぼ一定である。このため、冬季においては、地中熱により第一液体を加熱し、ヒートポンプ装置によって第一液体の温度を使用して第二液体を加熱し、第二液体の温度によって、室内を暖房することができる。夏季においては、地中熱により第一液体を冷却し、ヒートポンプ装置によって第一液体の温度を使用して第二液体を冷却し、第二液体の温度によって、室内を冷却することができる。
【0006】
しかし、液化ガスを気化する場合には、一年を通して、液化ガスを温める必要があるため、一年を通して、第二液体を加熱する必要がある。ヒートポンプ方式をガス気化システムに採用した場合、冬季であれば、地中熱により第一液体を加熱し、第一液体の温度を利用して、ヒートポンプ装置によって第二液体を加熱することができる。しかし、夏季は、第一液体の温度が地中より高いので、第一液体を地中熱によって加熱することができない。よって、ヒートポンプ装置において第一液体の温度を利用して、第二液体を加熱することができず、液化ガスを気化できなかった。よって、ヒートポンプ方式を使用した場合、一年を通して、液化ガスを気化させることができなった。よって、ガス気化システムにヒートポンプ方式を採用することができなかった。
【0007】
本発明の目的は、ヒートポンプ方式を使用したガス気化システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るガス気化システムは、第一液体と地中熱との熱交換を行う地中熱交換部と、前記第一液体と空気との熱交換を行う空気熱交換部と、ヒートポンプ方式によって前記第一液体と第二液体との熱交換を行うヒートポンプ部と、前記ヒートポンプ部において熱交換された前記第二液体と液化ガスとの熱交換によって、前記液化ガスを気化させるガス気化部と、前記第一液体が流れる流路であって、前記地中熱交換部と前記空気熱交換部とを繋ぐ第一流路と、前記第一液体が流れる流路であって、前記空気熱交換部と前記ヒートポンプ部とを繋ぐ第二流路と、前記第一液体が流れる流路であって、前記地中熱交換部と前記ヒートポンプ部とを繋ぐ第三流路と、前記第一流路を介して前記地中熱交換部から前記空気熱交換部に前記第一液体を流す場合と、前記第三流路を介して前記地中熱交換部から前記ヒートポンプ部に前記第一液体を流す場合とを切り替える第一切替部とを備えている。この場合、例えば、冬季及び夜間など、気温が低く、空気熱交換部において第一液体を加熱できない場合には、地中熱交換部によって第一液体を加熱し、加熱した第一液体を、第三流路23を介して地中熱交換器11からヒートポンプ部に流すことができる。そして、ヒートポンプ部において第一液体の温度を使用して、第二液体を加熱することができる。そして、加熱した第二液体をガス気化部に流し、液化ガスの気化に使用することができる。また、例えば、春季、夏季、秋季、及び日中など、気温が高く、空気熱交換部において第一液体を加熱できる場合には、地中熱交換部において熱交換された第一液体を、第一流路を介して空気熱交換部に第一液体に送り、空気熱交換部において第一液体を加熱することができる。そして、ヒートポンプ部において第一液体の温度を使用して、第二液体を加熱することができる。そして、加熱した第二液体をガス気化部に流し、液化ガスの気化に使用することができる。このように、ヒートポンプ方式を使用して、一年を通して、液化ガスを気化させることができる。よって、ガス気化システムにヒートポンプ方式を使用することができる。
【0009】
前記ガス気化システムは、前記第一流路又は前記第三流路を流れる前記第一液体の温度である第一温度を取得する第一温度取得手段と、外気の温度である第二温度を取得する第二温度取得手段と、前記第一温度取得手段によって取得された前記第一温度が、前記第二温度取得手段によって取得された前記第二温度より小さいか否かを判断する第一温度判断手段と、前記第一温度判断手段によって前記第一温度が前記第二温度より小さいと判断された場合に、前記第一切替部を制御して、前記第一流路を介して前記地中熱交換部から前記空気熱交換部に前記第一液体を流す第一制御手段と、前記第一温度判断手段によって前記第一温度が前記第二温度より小さくないと判断された場合に、前記第一切替部を制御して、前記第三流路を介して前記地中熱交換部から前記ヒートポンプ部に前記第一液体を流す第二制御手段とを備えてもよい。第一温度が、外気の温度である第二温度よりも小さい場合、空気熱交換部において、第一液体を加熱することが可能である。このため、第一制御手段によって、空気熱交換部に第一液体を流して、第一液体を加熱することができる。一方、第一温度が、外気の温度である第二温度以上である場合、空気熱交換部において、第一液体を加熱することが難しい。このため、第二制御手段によって、空気熱交換部には第一液体を流さず、地中熱交換部からヒートポンプ部に直接第一液体を流すのである。このように、第一温度と第二温度との関係によって、第一流路を介して地中熱交換部から空気熱交換部に第一液体が流される場合と、第三流路を介して地中熱交換部からヒートポンプ部に第一液体が流される場合とが、自動的に切り替えられる。よって、ユーザが手動で切り替える必要がなく、ユーザの利便性が向上する。
【0010】
前記ガス気化システムは、前記ヒートポンプ部において熱交換に使用された後の前記第一液体が流れる流路であって、前記ヒートポンプ部と前記地中熱交換部とを繋ぐ第四流路を備えてもよい。この場合、第四流路24が設けられていることによって、ヒートポンプ部において熱交換に使用された後の第一液体を、地中熱交換器に流すことができる。よって、例えば、地中の温度が第一液体より高いときには、ヒートポンプ部から地中熱交換部に第一液体を流して、第一液体を加熱することができる。また、例えば、地中の温度が第一液体より低いときには、ヒートポンプ部から地中熱交換部に第一液体を流して、地中熱交換器部において地中を温めて、地中が、所謂「熱枯れ」となる可能性を低減することができる。
【0011】
前記ガス気化システムは、前記ヒートポンプ部において熱交換に使用された後の前記第一液体が流れる流路であって、前記ヒートポンプ部と前記空気熱交換部とを繋ぐ第五流路と、前記第四流路を介して前記ヒートポンプ部から前記地中熱交換部に前記第一液体を流す場合と、前記第五流路を介して前記ヒートポンプ部から前記空気熱交換部に前記第一液体を流す場合とを切り替える第二切替部とを備えてもよい。この場合、地中熱交換部に第一液体を流す場合と、流さない場合とを切り替えることができる。よって、例えば、ヒートポンプ部から第四流路に流出した第一液体に、地中を温めることができる温度が残っている場合にのみ、地中熱交換部に第一液体を流して、地中が所謂「熱枯れ」となる可能性を低減することができる。
【0012】
前記ガス気化システムにおいて、前記第四流路を流れる前記第一液体の温度である第三温度を取得する第三温度取得手段と、前記地中熱交換部に前記第一液体が流れている状態における、前記第一流路を流れる前記第一液体の温度である第四温度を取得する第四温度取得手段と、前記第三温度取得手段によって取得された前記第三温度が、前記第四温度取得手段によって取得された前記第四温度より大きいか否かを判断する第二温度判断手段と、前記第二温度判断手段によって前記第三温度が前記第四温度より大きいと判断された場合に、前記第二切替部を制御して、前記第四流路を介して前記ヒートポンプ部から前記地中熱交換部に前記第一液体を流す第三制御手段と、前記第二温度判断手段によって前記第三温度が前記第四温度より大きくないと判断された場合に、前記第二切替部を制御して、前記第五流路を介して前記ヒートポンプ部から前記空気熱交換部に前記第一液体を流す第四制御手段とを備えてもよい。第三温度が第四温度より大きい場合、地中熱交換器部において第一液体の温度が使用され、地中が温められている状態である。地中熱交換部において地中が温められる状態である場合に、第四流路を介してヒートポンプ部から地中熱交換部に第一液体が流されるので、地中が温められ、地中が所謂「熱枯れ」の状態となる可能性を低減できる。一方、第三温度が第四温度より大きくない場合、地中熱交換部において第一液体が地中から熱を奪っている状態である。第一液体が地中から熱を奪っている状態である場合に、第五流路を介してヒートポンプ装置から空気熱交換部に第一液体が流されるので、地中熱交換部に第一液体が流されない。このため、地中熱交換部において地中の熱が奪われ、地中が所謂「熱枯れ」の状態となる可能性を低減できる。
【0013】
前記ガス気化システムは、前記空気熱交換部において熱交換された後の前記第一液体が流れる流路であって、前記空気熱交換部と前記地中熱交換部とを繋ぐ第六流路と、前記第二流路を介して前記空気熱交換部から前記ヒートポンプ部に前記第一液体を流す場合と、前記第六流路を介して前記空気熱交換部から前記地中熱交換部に前記第一液体を流す場合とを切り替える第三切替部とを備えてもよい。第二流路を介して空気熱交換部からヒートポンプ部に第一液体を流す場合、空気熱交換部において加熱した第一液体の温度を使用して、ヒートポンプ部において第二液体を加熱することができる。また、空気熱交換部から地中熱交換部に第一液体を流す場合、空気熱交換部において加熱した第一液体の温度を使用して、地中熱交換部において地中を温めることができる。よって、地中が所謂「熱枯れ」になる可能性を低減できる。
【0014】
前記ガス気化システムは、前記ガス気化部による前記液化ガスの気化が停止されている場合に、前記第三切替部を制御して、前記第六流路を介して前記空気熱交換部から前記地中熱交換部に前記第一液体を流す第五制御手段を備えてもよい。この場合、ガス気化部による液化ガスの気化が停止されている場合に、空気熱交換部において加熱した第一液体の温度を使用して、地中熱交換部において地中を温めることができる。よって、地中が所謂「熱枯れ」になる可能性を低減できる。
【0015】
前記ガス気化システムは、前記第二液体が流れる流路であって、前記ヒートポンプ部と前記ガス気化部とを繋ぐ流路である第七流路と、前記第一液体が流れる流路であって、前記空気熱交換部と前記ガス気化部とを繋ぐ第八流路と、前記第二流路を介して前記空気熱交換部から前記ヒートポンプ部に前記第一液体を流し、前記第七流路を介して前記ヒートポンプ部から前記ガス気化部に前記第二液体を流す場合と、前記第八流路を介して前記空気熱交換部から前記ガス気化部に前記第一液体を流す場合とを切り替える第四切替部とを備えてもよい。第八流路を介して空気熱交換部からガス気化部に第一液体を流す場合、空気熱交換部において加熱された第一液体を使用して、液化ガスを気化することができる。よって、ヒートポンプ部を駆動する必要がなく、ガス気化システムの運転コストを低減することができる。
【0016】
前記ガス気化システムは、前記第二流路又は前記第八流路を流れる前記第一液体の温度である第五温度を取得する第五温度取得手段と、前記第五温度取得手段によって取得された前記第五温度が、前記ガス気化部によって前記液化ガスを気化可能な温度である気化温度より小さいか否かを判断する第三温度判断手段と、前記第三温度判断手段によって前記第五温度が前記気化温度より小さいと判断された場合に、前記第四切替部を制御して、前記第二流路を介して前記空気熱交換部から前記ヒートポンプ部に前記第一液体を流し、前記第七流路を介して前記ヒートポンプ部から前記ガス気化部に前記第二液体を流す第六制御手段と、前記第三温度判断手段によって前記第五温度が前記気化温度より小さくないと判断された場合に、前記第四切替部を制御して、前記第八流路を介して前記空気熱交換部から前記ガス気化部に前記第一液体を流す第七制御手段とを備えてもよい。この場合、第五温度が気化温度以上である場合に、自動的に、第一液体がガス気化部に流され、液化ガスの気化に使用される。よって、ユーザが手動で流路を切り替える必要がなく、ユーザの利便性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】第一状態にあるガス気化システム1の構成を示す図である。
【
図2】ガス気化システム1の電気的構成を示す図である。
【
図3】第二状態にあるガス気化システム1の構成を示す図である。
【
図4】第三状態にあるガス気化システム1の構成を示す図である。
【
図5】第四状態にあるガス気化システム1の構成を示す図である。
【
図6】第五状態にあるガス気化システム1の構成を示す図である。
【
図7】第六状態にあるガス気化システム1の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を具現化したガス気化システム1について説明する。まず、
図1を参照して、ガス気化システム1の概要について説明する。
図1に示すガス気化システム1は、第一液体81又は第二液体82の温度を使用して、液化ガス容器141内の液化ガスを気化させるシステムである。液化ガスは、例えば、LNG(Liquefied Natural Gas、液化天然ガス)、液化アルゴン、液化窒素、液化酸素、液化エタン、及び液化エチレン等である。本実施形態においては、一例として、液化ガス142は、LNGであるとする。液化ガス142が気化されたガスは、例えば、図示しない発電設備に送られ、発電等に使用される。以下の説明において、
図1の紙面上側及び下側を、ガス気化システム1の上側及び下側という。また、ガス気化システム1の下側は重力方向であり、上側は反重力方向である。また、第一液体81と第二液体82は、一例として、水であるとする。
【0019】
ガス気化システム1の構成について説明する。ガス気化システム1は、地中熱交換器11、水-空気熱交換ユニット12、ヒートポンプ装置13、ガス気化設備14、第一流路21、第二流路22、第三流路23、第四流路24、第五流路25、第六流路26、第七流路27、第八流路28、第九流路29、第十流路30等を備えている。
【0020】
地中熱交換器11は、地表105から下側に向けて設けられている。地中熱交換器11は、地中の地中熱と第一液体81との熱交換を行う。水-空気熱交換ユニット12は、第一液体81と空気との熱交換を行う装置である。ヒートポンプ装置13は、ヒートポンプ方式により、第一液体81と第二液体82との熱交換を行う装置である。
【0021】
ガス気化設備14は、流路672から流入する第一液体81又は第二液体82と、液化ガス容器141内の液化ガス142との熱交換によって液化ガス142を温め、気化させる。液化ガス142の気化に使用された第一液体81又は第二液体82は、流路691に流出する。
【0022】
第一流路21は、第一液体81が流れる流路であって、地中熱交換器11と水-空気熱交換ユニット12とを繋ぐ。第一流路21は、流路611,612,613を含む。第二流路22は、第一液体81が流れる流路であって、水-空気熱交換ユニット12とヒートポンプ装置13とを繋ぐ。第二流路22は、流路621,622,623,624を含む。
【0023】
第三流路23は、第一液体81が流れる流路であって、地中熱交換器11とヒートポンプ装置13とを繋ぐ。第三流路23は、流路611,612、流路631、及び流路622,623,624を含む。第四流路24は、ヒートポンプ装置13において熱交換に使用された後の第一液体81が流れる流路であって、ヒートポンプ装置13と地中熱交換器11とを繋ぐ。第四流路24は、流路641,642,643,644を含む。
【0024】
第五流路25は、ヒートポンプ装置13において熱交換に使用された後の前記第一液体が流れる流路であって、ヒートポンプ装置13と水-空気熱交換ユニット12とを繋ぐ。第五流路25は、流路641,642,643,流路651、及び流路612,613を含む。第六流路26は、空気熱交換ユニット12において熱交換された後の第一液体81が流れる流路であって、水-空気熱交換ユニット12と地中熱交換器11とを繋ぐ。第六流路26は、流路621,622、流路661、及び流路643,644を含む。
【0025】
第七流路27は、第二液体82が流れる流路であって、ヒートポンプ装置13とガス気化設備14とを繋ぐ。第七流路27は、流路671,672を含む。第八流路28は、第一液体81が流れる流路であって、水-空気熱交換ユニット12とガス気化設備14とを繋ぐ。第八流路28は、流路621,622,623、流路681、流路672を含む。
【0026】
第九流路29は、ガス気化設備14において液化ガス142の気化に使用された後の第二液体82が流れる流路であって、ガス気化設備14とヒートポンプ装置13と繋ぐ。第九流路29は、流路691,692を含む。第十流路30は、流路642と、ガス気化設備14とを繋ぐ。第十流路30は、流路691と流路701とを含む。
【0027】
地中熱交換器11は、地中に埋設された2つのUチューブ111,112を備えている。各Uチューブ111,112の下端は、U字状に形成されている。Uチューブの内側を第一液体81が流れる。Uチューブ111,112の夫々の一端は、接続点401において流路611に接続されている。Uチューブ111,112の夫々の他端は、接続点402において流路644に接続されている。
【0028】
流路611は、接続点404において、流路612と流路651とに接続されている。流路612は、第一電動弁31を介して、流路613と流路631とに接続されている。第一電動弁31は、三方弁である。
【0029】
流路613は、水-空気熱交換ユニット12に接続されている。流路631は、接続点403において流路621と流路622とに接続されている。流路621は、水-空気熱交換ユニット12に接続されている。流路622は、第三電動弁33を介して、流路623と流路661とに接続されている。第三電動弁33は、三方弁である。
【0030】
流路623は、第四電動弁34を介して、流路624と流路681とに接続されている。第四電動弁34は、三方弁である。流路624は、ヒートポンプ装置13に接続されている。流路681は、接続点406において、流路671と流路672とに接続されている。
【0031】
流路671は、ヒートポンプ装置13に接続されている。流路672は、ガス気化設備14に接続されている。
【0032】
流路691は、ガス気化設備14に接続されている。流路691は、接続点407において流路692と流路701とに接続されている。流路692は、ヒートポンプ装置13に接続されている。
【0033】
流路701は、第五電動弁35を介して、流路641と流路642とに接続されている。流路641は、ヒートポンプ装置13に接続されている。流路642は、接続点405において、流路643と流路661とに接続されている。流路643は、第二電動弁32を介して、流路644と流路651とに接続されている。第二電動弁32は、三方弁である。
【0034】
第一電動弁31は、第一流路21を介して地中熱交換器11から水-空気熱交換ユニット12に第一液体81を流す場合(
図1の矢印H1参照)と、第三流路23を介して地中熱交換器11からヒートポンプ装置13に第一液体81を流す場合(
図3の矢印H2参照)とを切り替える。第一電動弁31は、電動弁であり、後述するCPU601(
図2参照)の制御によって流路を切り替える(第二電動弁32、第三電動弁33、第四電動弁34、及び第五電動弁35も同様)。
【0035】
第二電動弁32は、第四流路24を介してヒートポンプ装置13から地中熱交換器11に第一液体81を流す場合(
図1の矢印H4参照)と、第五流路25を介してヒートポンプ装置13から水-空気熱交換ユニット12に第一液体81を流す場合(
図4の矢印H3参照)とを切り替える。
【0036】
第三電動弁33は、第二流路22を介して水-空気熱交換ユニット12からヒートポンプ装置13に第一液体81を流す場合(
図1の矢印H5参照)と、第六流路26を介して水-空気熱交換ユニット12から地中熱交換器11に第一液体81を流す場合(
図5の矢印H6参照)とを切り替える。
【0037】
第四電動弁34は、第二流路22を介して水-空気熱交換ユニット12からヒートポンプ装置13に第一液体81を流し(
図1の矢印H5参照)、第七流路27を介してヒートポンプ装置13からガス気化設備14に第二液体82を流す場合(
図1の矢印H10参照)と、第八流路28を介して水-空気熱交換ユニット12からガス気化設備14に第一液体81を流す場合(
図6及び
図7の矢印H7参照)とを切り替える。
【0038】
第五電動弁35は、第九流路29を介して、ガス気化設備14からヒートポンプ装置13に第二液体82を流す場合(
図1の矢印H8参照)と、第十流路30を介して、ガス気化設備14から、地中熱交換器11又は水-空気熱交換ユニット12に第一液体81を流す場合(
図6の矢印H9、
図7の矢印H11参照)とを切り替える。
【0039】
第一ポンプ511は、流路612に設けられている。第一ポンプ511は、後述するCPU601(
図2参照)の制御によって、第一液体81を流す。第二ポンプ512は、流路672に設けられている。第二ポンプ512は、CPU601(
図2参照)の制御によって、第一液体81又は第二液体82を流す。
【0040】
第一温度センサ521は、流路612に設けられている。第一温度センサ521は、第一流路21又は第三流路23を流れる第一液体81の温度に対応する信号を、CPU601に出力する。CPU601は、第一温度センサ521の出力に基づき、第一流路21又は第三流路23を流れる第一液体81の温度を取得する。
【0041】
第二温度センサ522は、ガス気化システム1において、外気の温度を検出可能な位置に設けられている。第二温度センサ522は、外気の温度に対応する信号を、CPU601に出力する。CPU601は、第二温度センサ522の出力に基づき、外気の温度を取得する。
【0042】
第三温度センサ523は、流路643に設けられている。第三温度センサ523は、第四流路24、第五流路25、又は第六流路26を流れる第一液体81の温度に対応する信号を、CPU601に出力する。CPU601は、第三温度センサ523の出力に基づき、第四流路24、第五流路25、又は第六流路26に流れる第一液体81の温度を取得する。
【0043】
第四温度センサ524は、流路672に設けられている。第四温度センサ524は、第七流路27を流れる第二液体82の温度、又は、第八流路28を流れる第一液体81の温度に対応する信号を、CPU601に出力する。CPU601は、第四温度センサ524の出力に基づき、第七流路27を流れる第二液体82の温度、又は、第八流路28を流れる第一液体81の温度を取得する。
【0044】
第五温度センサ525は、流路622に設けられている。第五温度センサ525は、第二流路22又は第三流路23を流れる第一液体81の温度に対応する信号を、CPU601に出力する。CPU601は、第五温度センサ525の出力に基づき、第二流路22又は第三流路23を流れる第一液体81の温度を取得する。
【0045】
流量計541は、流路643に設けられている。流量計541は、流路643を流れる第一液体81の流量に対応する信号を、CPU601に出力する。CPU601は、流量計541の出力に基づき、流路643を流れる第一液体81の流量を検出する。
【0046】
図2を参照して、ガス気化システム1の電気的構成について説明する。制御部60は、図示しない制御盤に設けられている。制御部60は、CPU601、ROM602、及びRAM603等を備えている。
【0047】
CPU601は、ガス気化システム1の制御を行う。CPU601は、ROM602とRAM603とに電気的に接続されている。ROM602には、後述するメイン処理(
図8参照)のプログラム等、種々のプログラムデータが記憶されている。RAM603には、種々の一時データが記憶される。
【0048】
CPU601は、ガス気化設備14に電気的に接続されている。CPU601は、ガス気化設備14を制御し、液化ガス容器141内の液化ガス142を気化する。CPU601は、液化ガス142が気化したガスを、例えば、発電設備等に送る。ガスは、発電等に使用される。
【0049】
CPU601は、ヒートポンプ装置13に、電気的に接続されている。CPU601は、ヒートポンプ装置13の制御を行う。CPU601は、ヒートポンプ装置13を制御し、ヒートポンプ方式により、第一液体81と第二液体82との熱交換を行う。本実施形態においては、ヒートポンプ装置13は、第一液体81の温度を使用し、第二液体82を加熱する。
【0050】
本実施形態では、一例として、水-空気熱交換ユニット12(
図1参照)は、ファンなどの駆動源を使用しない自然対流型熱交換によって第一液体81と空気の熱交換を行うとする。この場合、水-空気熱交換ユニット12はCPU601に電気的に接続されなくてもよい。なお、水-空気熱交換ユニット12は、例えばファンなどを用いて強制的に熱交換を行う強制対流型熱交換によって、第一液体81と空気の熱交換を行ってもよい。この場合、水-空気熱交換ユニット12はCPU601に電気的に接続される。CPU601は、水-空気熱交換ユニット12に第一液体81を流す場合に、水-空気熱交換ユニット12を駆動し、水-空気熱交換ユニット12に第一液体81を流さない場合に、水-空気熱交換ユニット12を停止してもよい。
【0051】
CPU601は、操作部609に電気的に接続されている。CPU601は、操作部609から入力される使用者からの指示を取得する。
【0052】
CPU601は、第一電動弁31、第二電動弁32、第三電動弁33、第四電動弁34、第五電動弁35、第一ポンプ511、第二ポンプ512、流量計541、第一温度センサ521、第二温度センサ522、第三温度センサ523、第四温度センサ524、及び第五温度センサ525に電気的に接続されている。CPU601は、第一電動弁31、第二電動弁32、第三電動弁33、第四電動弁34、及び第五電動弁35を制御し、流路を切り替える。
【0053】
本実施形態においては、一例として、第一ポンプ511と第二ポンプ512は、第一液体81又は第二液体82の流量を調整可能なポンプ(例えば、インバータポンプ)であるとする。CPU601は、第一ポンプ511と第二ポンプ512による流量を制御する。CPU601は、例えば、第一温度センサ521、第二温度センサ522、第三温度センサ523、第四温度センサ524、及び第五温度センサ525の出力を参照しながら、第一ポンプ511と第二ポンプ512による第一液体81又は第二液体82の流量を調整する。
【0054】
ガス気化システム1における第一液体81と第二液体82の流れについて説明する。本実施形態においては、CPU601が第一電動弁31、第二電動弁32、第三電動弁33、第四電動弁34、及び第五電動弁35を制御することで、第一液体81と第二液体82とが流れる流路が切り替わる。これによって、ガス気化システム1の状態が、第一状態(
図1参照)、第二状態(
図3参照)、第三状態(
図4参照)、第四状態(
図5参照)、第五状態(
図6参照)、及び第六状態(
図7参照)の間で変化する。
【0055】
以下の説明においては、第一流路21又は第三流路23を流れる第一液体81の温度を「第一温度」という。外気の温度を「第二温度」という。第四流路24を流れる第一液体81の温度を「第三温度」という。地中熱交換器11に第一液体81が流れている状態における、第一流路21を流れる第一液体81の温度を「第四温度」という。第二流路22又は第八流路28を流れる第一液体81の温度を「第五温度」という。
【0056】
図1を参照して、ガス気化システム1を第一状態に設定する場合について説明する。第一状態は、例えば、春季、夏季、秋季、及び日中など、気温が高く、水-空気熱交換ユニット12において第一液体81を加熱できる場合、且つ、第一液体81によって地中を温めることができる場合に設定される。第一状態は、水-空気熱交換ユニット12において第一液体81を加熱し、加熱した第一液体81の温度を使用してヒートポンプ装置13において第二液体82を加熱し、ヒートポンプ装置13において熱交換に使用された後の第一液体81の温度を使用して地中熱交換器11において地中を温める状態である。
【0057】
図1に示すように、第一状態においては、第一液体81が、地中熱交換器11、水-空気熱交換ユニット12、及びヒートポンプ装置13を循環する。第一液体81は、第一流路21を介して、地中熱交換器11から水-空気熱交換ユニット12に流れる(矢印H1参照)。水-空気熱交換ユニット12において、第一液体81と空気との熱交換が行われる。本実施形態においては、第一状態が継続されている場合、水-空気熱交換ユニット12において、第一液体81が加熱されている状態となる。
【0058】
第一液体81は、第二流路22を介して、水-空気熱交換ユニット12からヒートポンプ装置13に流れる(矢印H5参照)。ヒートポンプ装置13において、ヒートポンプ方式により、第一液体81と第二液体82との熱交換が行われ、第二液体82が加熱される。
【0059】
ヒートポンプ装置13において加熱された第二液体82は、第七流路27を介して、ガス気化設備14に流れる(矢印H10参照)。第二液体82の温度は、液化ガス容器141内の液化ガス142の気化に使用される。液化ガス142の気化に使用された第二液体82は、第九流路29を介して、ヒートポンプ装置13に流れ(矢印H8参照)、ヒートポンプ装置13において加熱される。すなわち、第二液体82は、ヒートポンプ装置13とガス気化設備14との間で循環する。
【0060】
一方、ヒートポンプ装置13において第二液体82の加熱に使用された第一液体81は、第四流路24を介して、地中熱交換器11に流れる(矢印H4参照)。本実施形態においては、第一状態が継続されている場合、地中熱交換器11において、第一液体81が冷却され、且つ、地中が温められる状態となる。例えば、第二状態(
図3参照)において、地中熱交換器11において第一液体81が加熱される状態が継続されると、地中の熱が奪われ続ける。これによって、地中が所謂「熱枯れ」の状態となる場合がある。この「熱枯れ」の状態となる可能性を低減するために、第一状態では、水-空気熱交換ユニット12で加熱され、ヒートポンプ装置13において熱交換された後に残った第一液体81の熱を使用し、地中熱交換器11において地中を温めるのである。
【0061】
なお、第一状態においては、一例として、第一液体81は、水-空気熱交換ユニット12において7度から15度に変化し、ヒートポンプ装置13において15度から10度に変化し、地中熱交換器11において10度から7度に変化する。また、一例として、第二液体82は、ヒートポンプ装置13において、15度から25度に変化し、ガス気化設備14において25度から15度に変化する。
【0062】
図3を参照して、ガス気化システム1を第二状態に設定する場合について説明する。第二状態は、例えば、冬季及び夜間など、気温が低く、水-空気熱交換ユニット12において第一液体81を加熱できない場合、且つ、地中熱交換器11において第一液体81を加熱することができる場合に設定される。第二状態は、第一液体81を地中熱交換器11において加熱し、加熱した第一液体81の温度を使用してヒートポンプ装置13において第二液体82を加熱し、第二液体82を液化ガス142の気化に使用する状態である。第二状態においては、水-空気熱交換ユニット12における第一液体81の加熱は行われない。冬季や夜間など、気温が低いときには、水-空気熱交換ユニット12において、第一液体81を加熱し難いからである。
【0063】
図3に示すように、第二状態においては、第一液体81が、地中熱交換器11とヒートポンプ装置13との間を循環する。地中熱交換器11において、第一液体81と地中熱との熱交換が行われる。本実施形態においては、第二状態が継続されている場合、地中熱交換器11において、第一液体81が加熱されている状態となる。
【0064】
第一液体81は、第三流路23を介して地中熱交換器11からヒートポンプ装置13に流れる(矢印H2参照)。第三流路23によって、水-空気熱交換ユニット12が迂回されるので、水-空気熱交換ユニット12には、第一液体81は流れない。
【0065】
ヒートポンプ装置13において、ヒートポンプ方式により、第一液体81と第二液体82との熱交換が行われ、第二液体82が加熱される。第一状態と同様に、第二液体82は、ヒートポンプ装置13とガス気化設備14との間で循環し、液化ガス容器141に貯留された液化ガス142の気化に使用される。
【0066】
ヒートポンプ装置13において熱交換に使用された後の第一液体81は、第四流路24を介して、地中熱交換器11に流れる(矢印H4参照)。地中熱交換器11において第一液体81が加熱される。なお、第二状態においては、一例として、第一液体81は、地中熱交換器11において、0度から5度に変化し、ヒートポンプ装置13において5度から0度に変化する。また、一例として、第二液体82は、ヒートポンプ装置13において15度から25度に変化し、ガス気化設備14において25度から15度に変化する。
【0067】
図4を参照して、ガス気化システム1を第三状態に設定する場合について説明する。第三状態は、例えば、春季、夏季、秋季、及び日中など、気温が高く、水-空気熱交換ユニット12において第一液体81を加熱できる場合、且つ、第一液体81によって地中を温めることができない場合に設定される。第三状態は、第一液体81を水-空気熱交換ユニット12において加熱し、加熱した第一液体81の温度を使用してヒートポンプ装置13において第二液体82を加熱し、第二液体82を液化ガス142の気化に使用する状態である。第三状態においては、地中熱交換器11による熱交換は行われない。
【0068】
図4に示すように、第三状態においては、第一液体81が、水-空気熱交換ユニット12とヒートポンプ装置13との間を循環する。水-空気熱交換ユニット12において、第一液体81と空気との熱交換が行われる。本実施形態においては、第三状態が継続されている場合、水-空気熱交換ユニット12において、第一液体81が加熱されている状態となる。
【0069】
第一液体81は、第二流路22を介して、水-空気熱交換ユニット12からヒートポンプ装置13に流れる(矢印H5参照)。ヒートポンプ装置13において、ヒートポンプ方式により、第一液体81と第二液体82との熱交換が行われ、第二液体82が加熱される。第一状態(
図1参照)と同様に、第二液体82は、ヒートポンプ装置13とガス気化設備14との間で循環し、液化ガス容器141内の液化ガス142の気化に使用される。
【0070】
ヒートポンプ装置13において熱交換に使用された後の第一液体81は、第五流路25を介して、水-空気熱交換ユニット12に流れる(矢印H3参照)。水-空気熱交換ユニット12において第一液体81が加熱される。第五流路25によって、地中熱交換器11が迂回されるので、地中熱交換器11には、第一液体81が流れない。なお、第三状態においては、一例として、第一液体81は、水-空気熱交換ユニット12において、5度から10度に変化し、ヒートポンプ装置13において10度から5度に変化する。また、一例として、第二液体82は、ヒートポンプ装置13において15度から25度に変化し、ガス気化設備14において25度から15度に変化する。
【0071】
図5を参照して、ガス気化システム1を第四状態に設定する場合について説明する。第四状態は、例えば、春季、夏季、秋季、及び日中など、気温が高く、水-空気熱交換ユニット12において第一液体81を加熱できる場合、且つ、第一液体81の温度が、液化ガス142の気化に使用されない場合に設定される。第四状態は、地中の所謂「熱枯れ」が発生する可能性を低減するために、水-空気熱交換ユニット12で加熱された第一液体81の熱を使用し、地中熱交換器11において地中を温める状態である。
【0072】
図5に示すように、第四状態においては、第一液体81は、地中熱交換器11と水-空気熱交換ユニット12とを循環する。水-空気熱交換ユニット12において、第一液体81と空気との熱交換が行われる。本実施形態においては、第四状態が継続されている場合、水-空気熱交換ユニット12において、第一液体81が加熱されている状態となる。
【0073】
第一液体81は、第六流路26を介して、水-空気熱交換ユニット12から地中熱交換器11に流れる(矢印H6参照)。本実施形態においては、第四状態が継続されている場合、地中熱交換器11において、第一液体81が冷却され、且つ、地中が温められる状態となる。第一液体81は、第一流路21を介して、地中熱交換器11から水-空気熱交換ユニット12に流れる(矢印H1参照)。なお、第四状態においては、一例として、第一液体81は、水-空気熱交換ユニット12において12度から15度に変化し、地中熱交換器11において15度から12度に変化する。
【0074】
図6及び
図7を参照して、ガス気化システム1を第五状態(
図6参照)に設定する場合と、第六状態(
図7参照)に設定する場合について説明する。第五状態及び第六状態は、水-空気熱交換ユニット12において加熱された第一液体81の温度が、ガス気化設備14において液化ガス142を気化可能な温度である気化温度以上である場合に、第一液体81をガス気化設備14に供給して、液化ガス142を気化させる状態である。気化温度は、液化ガス142を気化可能な温度以上であれば、何度に設定されてもよい。気化温度は、ROM602に記憶されている。気化温度は、一例として、25度である。
【0075】
第五状態は、例えば、春季、夏季、秋季、及び日中など、気温が高く、水-空気熱交換ユニット12において第一液体81を加熱でき、第一液体81によって液化ガス142を気化でき、第一液体81によって地中を温めることができる場合に設定される。
図6示すように、第五状態においては、第一液体81が、地中熱交換器11、水-空気熱交換ユニット12、及びガス気化設備14を循環する。第一液体81は、第一流路21を介して、地中熱交換器11から水-空気熱交換ユニット12に流れる(矢印H1参照)。水-空気熱交換ユニット12において、第一液体81と空気との熱交換が行われる。本実施形態においては、第五状態が継続されている場合、水-空気熱交換ユニット12において、第一液体81が加熱されている状態となる。
【0076】
第一液体81は、第八流路28を介して、水-空気熱交換ユニット12からガス気化設備14に流れる(矢印H7参照)。第一液体81の温度は、液化ガス容器141内の液化ガス142の気化に使用される。液化ガス142の気化に使用された第一液体81は、第十流路30、及び流路642,643,644を介して、地中熱交換器11に流れる(矢印H9参照)。本実施形態においては、第五状態が継続されている場合、地中熱交換器11において、第一液体81が冷却され、且つ、地中が温められる状態となる。これによって、地中が所謂「熱枯れ」となる可能性が低減される。なお、第五状態においては、一例として、第一液体81は、水-空気熱交換ユニット12において13度から25度に変化し、ガス気化設備14において25度から15度に変化し、地中熱交換器11において15度から13度に変化する。
【0077】
第六状態は、例えば、春季、夏季、秋季、及び日中など、気温が高く、水-空気熱交換ユニット12において第一液体81を加熱でき、第一液体81によって液化ガス142を気化でき、第一液体81によって地中を温めることできない場合に設定される。
図7に示すように、第六状態においては、第一液体81が、水-空気熱交換ユニット12とガス気化設備14との間を循環する。水-空気熱交換ユニット12において、第一液体81と空気との熱交換が行われる。本実施形態においては、第六状態が継続されている場合、水-空気熱交換ユニット12において、第一液体81が加熱されている状態となる。
【0078】
第一液体81は、第八流路28を介して、水-空気熱交換ユニット12からガス気化設備14に流れる(矢印H7参照)。第一液体81の温度は、液化ガス容器141内の液化ガス142の気化に使用される。液化ガス142の気化に使用された第一液体81は、第十流路30、流路642,643、流路651、及び流路612,613を介して、水-空気熱交換ユニット12に流れる(矢印H11参照)。なお、第六状態においては、一例として、第一液体81は、水-空気熱交換ユニット12において15度から25度に変化し、ガス気化設備14において25度から15度に変化する。
【0079】
図8~
図10を参照し、CPU601によるメイン処理について説明する。ガス気化システム1の電源がONされると、CPU601は、ROM602からメイン処理のプログラムを読み出し、RAM603に展開する。CPU601は、メイン処理のプログラムに従って、メイン処理を行う。
【0080】
メイン処理では、操作部609(
図2参照)を介して、気化開始指示が入力されたか否かが判断される(S11)。気化開始指示は、液化ガス142の気化を開始する指示である。気化開始指示が入力されていない場合(S11:NO)、操作部609を介して、第四状態(
図5参照)に設定する指示が入力されたか否かが判断される(S12)。第四状態に設定する指示が入力されていない場合(S12:NO)、操作部609を介して、第四状態を終了する指示が入力されたか否かが判断される(S13)。第四状態を終了する指示が入力されていない場合(S13:NO)、処理はS11に戻る。
【0081】
気化開始指示が入力された場合(S11:YES)、液化ガス142の気化が開始される(S14)。本実施形態においては、一例として、S14において、ガス気化システム1が第一状態(
図1参照)に設定されるとする。
【0082】
第一状態(
図1参照)に設定する場合、CPU601は、第一電動弁31を制御し、第一流路21を介して、地中熱交換器11から水-空気熱交換ユニット12に第一液体81が流れるように設定する(
図1の矢印H1参照)。また、CPU601は、第三電動弁33と第四電動弁34とを制御し、第二流路22を介して、水-空気熱交換ユニット12からヒートポンプ装置13に第一液体81が流れるように設定する(
図1の矢印H5参照)。また、CPU601は、第二電動弁32と第五電動弁35とを制御し、第四流路24を介して、ヒートポンプ装置13から地中熱交換器11に第一液体81が流れるように設定する(
図1の矢印H4参照)。CPU601は、ヒートポンプ装置13、ガス気化設備14、第一ポンプ511、及び第二ポンプ512を駆動し、第一状態における液化ガス142の気化を開始する。
【0083】
次いで、CPU601は、所定時間待機する(S15)。この待機は、各流路における第一液体81と第二液体82の温度が安定するまで待つために行われる。なお、以下では特に説明しないが、第一状態~第六状態の間で状態が変化する場合、各流路における第一液体81と第二液体82の温度が安定するまで、待機の処理が行われてもよい。
【0084】
次いで、第一温度センサ521の出力に基づき、第一温度が取得される(S16)。次いで、第二温度センサ522の出力に基づき、外気の温度である第二温度が取得される(S17)。次いで、S16において取得された第一温度が、S17において取得された第二温度より小さいか否かが判断される(S18)。
【0085】
第一温度が第二温度より小さい場合(S18:YES)、第一電動弁31が制御され、第一流路21を介して地中熱交換器11から水-空気熱交換ユニット12に第一液体81が流される(
図1の矢印H1参照)(S19)。なお、既に、第一流路21を介して地中熱交換器11から水-空気熱交換ユニット12に第一液体81が流されている状態である場合は、該状態が継続される。
【0086】
次いで、
図9に示すように、第三温度センサ523の出力に基づき、第三温度が取得される(S31)。次いで、第一温度センサ521の出力に基づき、第四温度が取得される(S32)。S31において取得された第三温度が、S32において取得された第四温度より大きいか否かが判断される(S33)。
【0087】
第三温度が第四温度より大きい場合(S33:YES)、第二電動弁32が制御され、第四流路24を介してヒートポンプ装置13から地中熱交換器11に第一液体81が流される状態が維持される(S34)。次いで、第五温度センサ525の出力に基づいて、第五温度が取得される(S36)。次いで、S36において取得された第五温度が、気化温度より小さいか否かが判断される(S37)。
【0088】
第五温度が気化温度より小さい場合(S37:YES)、第四電動弁34が制御され、第二流路22を介して、水-空気熱交換ユニット12からヒートポンプ装置13に第一液体81が流され(
図1の矢印H5参照)、第七流路27を介してヒートポンプ装置13からガス気化設備14に第二液体82が流される(
図1の矢印H10参照)(S38)。この場合、ヒートポンプ装置13において第一液体81と第二液体82との間で熱交換され、第二液体82が加熱される。加熱された第二液体82は、第七流路27を介してヒートポンプ装置13からガス気化設備14に流され、ガス気化設備14において、液化ガス142が気化される。なお、既に、第二流路22を介して水-空気熱交換ユニット12からヒートポンプ装置13に第一液体81を流され、第七流路27を介してヒートポンプ装置13からガス気化設備14に第二液体82を流されている状態である場合は、該状態が継続される。
【0089】
次いで、第五電動弁35が制御され、第九流路29を介して、ガス気化設備14からヒートポンプ装置13に第二液体82が流される(
図1の矢印H8参照)(S39)。なお、第五電動弁35は、流路641から流路642に第一液体81が流されるように設定され、第十流路30から流路642には、第二液体82が流れないように設定される。既に、第九流路29を介して、ガス気化設備14からヒートポンプ装置13に第二液体82が流されている状態である場合は、該状態が継続される。
【0090】
次いで、ヒートポンプ装置13が駆動される(S40)。既に、ヒートポンプ装置13が駆動されている場合は、ヒートポンプ装置13の駆動が継続される。
【0091】
次いで、
図10に示すように、地中熱交換器11に第一液体81を流しているか否かが判断される(S51)。第一状態(
図1参照)、第二状態(
図3参照)、第四状態(
図5参照)、及び第五状態(
図6参照)である場合、地中熱交換器11に第一液体81を流している。地中熱交換器11に第一液体81を流している場合(S51:YES)、操作部609を介して、気化停止指示が入力されたか否かが判断される(S55)。気化停止指示は、液化ガス142を気化させる動作を停止する指示である。気化停止指示が入力されていない場合(S55:NO)、処理は、
図8のS16に戻る。以上の処理が実行される場合、第一状態が維持される。
【0092】
次に、第一状態(
図1参照)から第二状態(
図3参照)に切り替えられる場合を例にして、説明する。冬季及び夜間など、気温が低くなると、地中の温度が気温以上となり、第一温度が第二温度以上となる。この場合、S18において、第一温度が第二温度より小さくないと判断され(S18:NO)、第一電動弁31が制御され、第三流路23を介して地中熱交換器11からヒートポンプ装置13に第一液体81が流される(
図3の矢印H2参照)(S20)。これによって、第一状態(
図1参照)から第二状態(
図3参照)に変化する。すなわち、水-空気熱交換ユニット12に第一液体81が供給されない。なお、既に、第三流路23を介して地中熱交換器11からヒートポンプ装置13に第一液体81が流されている状態である場合は、該状態が継続される。
【0093】
次いで、処理はS55(
図10参照)に進む。第二状態にある場合において、第一温度が第二温度より小さくなると(S18:YES)、第一状態(
図1参照)に設定される(S19)。
【0094】
次に、第一状態(
図1参照)から第三状態(
図4参照)に切り替えられる場合について説明する。第三温度が第四温度以下となる状態となると、地中熱交換器11において地中を温めることはできない。よって、地中熱交換器11に第一液体81を循環させない第三状態に設定される。
【0095】
第三温度が第四温度以下となると、S33において第三温度が第四温度より大きくないと判断され(S33:NO)、第二電動弁32が制御され、第五流路25を介してヒートポンプ装置13から水-空気熱交換ユニット12に第一液体81が流される(
図4の矢印H3参照)(S35)。これによって、第一状態(
図1参照)から第三状態(
図4参照)に切り替えられる。よって、地中熱交換器11には第一液体81が供給されない。なお、既に、第五流路25を介してヒートポンプ装置13から水-空気熱交換ユニット12に第一液体81が流されている状態である場合は、該状態が継続される。
【0096】
次いで、処理はS36に進む。第三状態に設定されると、S51(
図10参照)において、地中熱交換器11に第一液体81が流されていないと判断され(S51:NO)、操作部609を介して、地中熱交換器11に第一液体81を流す指示が入力されたか否かが判断される(S52)。地中熱交換器11に第一液体81を流す指示が入力されていない場合(S52:NO)、操作部609を介して、気化停止指示が入力されたか否かが判断される(S53)。気化停止指示が入力されていない場合(S53:NO)、処理はS36(
図9参照)に戻る。これによって、第三状態(
図4参照)が維持される。
【0097】
地中熱交換器11に第一液体81を流す指示が入力された場合(S52:YES)、第二電動弁32が制御され、地中熱交換器11に第一液体81が流される(
図1の矢印H4参照)(S54)。これによって、第三状態(
図4参照)から第一状態(
図1参照)に切り替えられる。次いで、処理はS55に進む。
【0098】
第一状態(
図1参照)から第五状態(
図6参照)に切り替えられる場合、及び、第三状態(
図4参照)から第六状態(
図7参照)に切り替えられる場合について説明する。第五温度が気化温度以上となる場合、S37において、第五温度が気化温度より小さくないと判断され(S37:NO)、第四電動弁34が制御され、第八流路28を介して水-空気熱交換ユニット12からガス気化設備14に第一液体81が流される(
図6及び
図7の矢印H7参照)(S41)。なお、既に、第八流路28を介して水-空気熱交換ユニット12からガス気化設備14に第一液体81が流されている状態であれば、該状態が継続される。
【0099】
次いで、第五電動弁35が制御され、第十流路30を介して、ガス気化設備14から流路642に第一液体81が流される(
図6の矢印H9及び
図7の矢印H11参照)(S42)。なお、既に、第十流路30を介して、ガス気化設備14から流路642に第一液体81が流されている状態であれば、該状態が継続される。
【0100】
次いで、ヒートポンプ装置13が停止される(S43)。なお、既にヒートポンプ装置13が停止されている場合は、該状態が継続される。第一状態(
図1参照)であった場合、S41及びS42によって、第五状態(
図6参照)に切り替えられる。また、第三状態(
図4参照)であった場合、S41及びS42によって、第六状態(
図7参照)に切り替えられる。すなわち、S42においては、第五電動弁35が制御され、第十流路30を介して、ガス気化設備14から地中熱交換器11又は水-空気熱交換ユニット12に第一液体81が流される。次いで、処理は
図10のS51に進む。
【0101】
第五状態(
図6参照)又は第六状態(
図7参照)にある場合において、第五温度が気化温度より小さくなると(S37:YES)、S38~S40の処理が実行される。これによって、第五状態(
図6参照)から第一状態(
図1参照)に切り替えられる。また、第六状態(
図7参照)から第三状態(
図4参照)に切り替えられる。
【0102】
S55において、気化停止指示が入力された場合(S55:YES)、液化ガス142の気化が停止される(S56)。また、S53において、気化停止指示が入力された場合(S53:YES)、液化ガス142の気化が停止される(S56)。S56においては、例えば、第一ポンプ511、第二ポンプ512、ヒートポンプ装置13、及びガス気化設備14の駆動が停止される。次いで、処理はS11(
図8参照)に戻る。
【0103】
液化ガス142の気化が停止されている状態において、第四状態(
図5参照)に設定する指示が入力された場合(S12:YES)、少なくとも第三電動弁33が制御され、第六流路26を介して水-空気熱交換ユニット12から地中熱交換器11に第一液体81が流れる設定される(
図5の矢印H6参照)(S21)。本実施形態においては、第二電動弁32も制御され、流路643から流路644に第一液体81が流れるように設定される(S21)。
【0104】
次いで、第一電動弁31が制御され、第一流路21を介して、地中熱交換器11から水-空気熱交換ユニット12に第一液体81が流れるように設定される(
図5の矢印H1参照)(S22)。次いで、第一ポンプ511が駆動され、第一液体81が流される(S23)。S21~S23の処理によって、ガス気化システム1が第四状態(
図5参照)に設定される。次いで、処理は、S11に戻る。
【0105】
第四状態を終了する指示が入力された場合(S13:YES)、第一ポンプ511の駆動が停止され、第四状態において第一液体81が流される状態が停止される(S24)。次いで、処理はS11に戻る。
【0106】
以上のように、本実施形態における処理が実行される。本実施形態では、第一電動弁31によって、第一流路21を介して地中熱交換器11から水-空気熱交換ユニット12に第一液体81を流す場合(
図1の矢印H1参照)と、第三流路23を介して地中熱交換器11からヒートポンプ装置13に第一液体81を流す場合(
図3の矢印H2参照)とが切り替えられる。このため、例えば、冬季及び夜間など、気温が低く、水-空気熱交換ユニット12において第一液体81を加熱できない場合には、地中熱交換器11によって第一液体81を加熱し、加熱した第一液体81を、第三流路23を介して地中熱交換器11からヒートポンプ装置13に流すことができる(
図3参照)。そして、ヒートポンプ装置13において第一液体81の温度を使用して、第二液体82を加熱することができる。そして、加熱した第二液体82をガス気化設備14に流し、液化ガス142の気化に使用することができる。また、例えば、春季、夏季、秋季、及び日中など、気温が高く、水-空気熱交換ユニット12において第一液体81を加熱できる場合には、地中熱交換器11において熱交換された第一液体81を、第一流路21を介して水-空気熱交換ユニット12に第一液体81に流し、水-空気熱交換ユニット12において第一液体81を加熱することができる(
図1参照)。そして、ヒートポンプ装置13において第一液体81の温度を使用して、第二液体82を加熱することができる。そして、加熱した第二液体82をガス気化設備14に流し、液化ガス142の気化に使用することができる。このように、ガス気化システム1は、ヒートポンプ方式を使用して、一年を通して、液化ガスを気化することができる。よって、ガス気化システム1にヒートポンプ方式を使用することができる。また、ヒートポンプ方式を使用することによって、例えば、燃料をボイラー装置で燃焼させて第二液体82を加熱する場合に比べて、コストダウンを行うことができる。
【0107】
また、第一温度が取得され(S16)、第二温度が取得される(S17)。第一温度が第二温度より小さい場合(S18:YES)、第一電動弁31が制御され、第一流路21を介して地中熱交換器11から水-空気熱交換ユニット12に第一液体81が流される(S19)。第一温度が、外気の温度である第二温度よりも小さい場合、水-空気熱交換ユニット12において、第一液体81を加熱することが可能である。このため、水-空気熱交換ユニット12に第一液体81を流して、第一液体81を加熱するのである。一方、第一温度が第二温度より小さくない場合(S18:NO)、第三流路23を介して地中熱交換器11からヒートポンプ装置13に第一液体81が流される(S20)。第一温度が、外気の温度である第二温度以上である場合、水-空気熱交換ユニット12において、第一液体81を加熱することが難しい。このため、水-空気熱交換ユニット12には第一液体81を流さず、地中熱交換器11からヒートポンプ装置13に直接第一液体81を流すのである。このように、第一温度と第二温度との関係によって、第一流路21を介して地中熱交換器11から水-空気熱交換ユニット12に第一液体81が流される場合(
図1参照)と、第三流路23を介して地中熱交換器11からヒートポンプ装置13に第一液体81が流される場合(
図3参照)とが、自動的に切り替えられる。よって、ユーザが手動で流路を切り替える必要がなく、ユーザの利便性が向上する。
【0108】
また、第四流路24は、ヒートポンプ装置13において熱交換に使用された後の第一液体81が流れる流路であって、ヒートポンプ装置13と地中熱交換器11とを繋ぐ流路である。第四流路24が設けられていることによって、ヒートポンプ装置13において熱交換に使用された後の第一液体81を、地中熱交換器11に流すことができる。よって、例えば、地中の温度が第一液体81より高いときには、ヒートポンプ装置13から地中熱交換器11に第一液体81を流して、第一液体81を加熱することができる。また、例えば、地中の温度が第一液体81より低いときには、ヒートポンプ装置13から地中熱交換器11に第一液体81を流して、地中熱交換器11において地中を温めて、地中が、所謂「熱枯れ」となる可能性を低減することができる。
【0109】
また、第五流路25は、ヒートポンプ装置13において熱交換に使用された後の第一液体81が流れる流路であって、ヒートポンプ装置13と水-空気熱交換ユニット12とを繋ぐ流路である。そして、第二電動弁32は、第四流路24を介してヒートポンプ装置13から地中熱交換器11に第一液体81を流す場合(
図1参照)と、第五流路25を介してヒートポンプ装置13から水-空気熱交換ユニット12に第一液体81を流す場合と(
図4参照)を切り替える。すなわち、地中熱交換器11に第一液体81を流す場合と、流さない場合とを切り替えることができる。よって、例えば、ヒートポンプ装置13から第四流路24に流出した第一液体81に、地中を温めることができる温度が残っている場合にのみ、地中熱交換器11に第一液体81を流して、地中が所謂「熱枯れ」となる可能性を低減することができる。
【0110】
また、第三温度が第四温度より大きい場合(S33:YES)、第二電動弁32が制御され、第四流路24を介してヒートポンプ装置13から地中熱交換器11に第一液体81が流される(S34)。第三温度が第四温度より大きくない場合(S33:NO)、第二電動弁32が制御され、第五流路25を介してヒートポンプ装置13から水-空気熱交換ユニット12に第一液体81が流される(S35)。第三温度が第四温度より大きい場合、第四流路24を介してヒートポンプ装置13から地中熱交換器11に流入した第一液体81が、地中熱交換器11において、冷却されて第一流路21に流出している状態である。すなわち、地中熱交換器11において第一液体81の温度が使用され、地中が温められている状態である。地中熱交換器11において地中が温められる状態である場合に、第四流路24を介してヒートポンプ装置13から地中熱交換器11に第一液体81が流されるので(S34)、地中が所謂「熱枯れ」の状態となる可能性を低減できる。一方、第三温度が第四温度以下である場合、第四流路24を介してヒートポンプ装置13から地中熱交換器11に流入した第一液体81が、地中熱交換器11において、加熱されて第一流路21に流出している状態である。このため、地中熱交換器11において第一液体81が地中から熱を奪っている状態である。第一液体81が地中から熱を奪っている場合に、第五流路25を介してヒートポンプ装置13から水-空気熱交換ユニット12に第一液体81が流されるので(S35)、地中熱交換器11に第一液体81が流されない。このため、地中熱交換器11において地中の熱が奪われ、地中が所謂「熱枯れ」の状態となる可能性を低減できる。
【0111】
また、第六流路26は、水-空気熱交換ユニット12において熱交換された後の第一液体81が流れる流路であって、水-空気熱交換ユニット12と地中熱交換器11とを繋ぐ流路である。第三電動弁33は、第二流路22を介して水-空気熱交換ユニット12からヒートポンプ装置13に第一液体81を流す場合(
図1参照)と、第六流路26を介して水-空気熱交換ユニット12から地中熱交換器11に第一液体81を流す場合(
図5参照)とを切り替える。このため、第二流路22を介して水-空気熱交換ユニット12からヒートポンプ装置13に第一液体81を流す場合、水-空気熱交換ユニット12において加熱した第一液体81の温度を使用して、ヒートポンプ装置13において第二液体82を加熱することができる。また、水-空気熱交換ユニット12から地中熱交換器11に第一液体81を流す場合、水-空気熱交換ユニット12において加熱した第一液体81の温度を使用して、地中熱交換器11において地中を温めることができる。よって、地中が所謂「熱枯れ」になる可能性を低減できる。
【0112】
また、ガス気化設備14による液化ガス142の気化が停止されている場合に、第三電動弁33が制御され、第六流路26を介して水-空気熱交換ユニット12から地中熱交換器11に第一液体81が流される(
図5参照)(S21)。このため、ガス気化設備14による液化ガス142の気化が停止されている場合に、水-空気熱交換ユニット12において加熱した第一液体81の温度を使用して、地中熱交換器11において地中を温めることができる。よって、地中が所謂「熱枯れ」になる可能性を低減できる。
【0113】
また、第四電動弁34は、第二流路22を介して水-空気熱交換ユニット12からヒートポンプ装置13に第一液体81を流し、第七流路27を介してヒートポンプ装置13からガス気化設備14に第二液体82を流す場合(
図1及び
図4参照)と、第八流路28を介して水-空気熱交換ユニット12からガス気化設備14に第一液体81を流す場合(
図6及び
図7参照)とを切り替える。このため、第八流路28を介して水-空気熱交換ユニット12からガス気化設備14に第一液体81を流す場合に、水-空気熱交換ユニット12において加熱された第一液体81を使用して、液化ガス142を気化することができる。よって、ヒートポンプ装置13を駆動する必要がなく、ガス気化システム1の運転コストを低減することができる。
【0114】
また、第五温度が気化温度より小さい場合(S37:YES)、第四電動弁34が制御され、第二流路22を介して水-空気熱交換ユニット12からヒートポンプ装置13に第一液体81が流され、第七流路27を介してヒートポンプ装置13からガス気化設備14に第二液体82が流される(
図1及び
図4参照)(S38)。第五温度が気化温度より小さくない場合(S37:NO)、第四電動弁34が制御され、第八流路28を介して水-空気熱交換ユニット12からガス気化設備14に第一液体81が流される(
図6及び
図7参照)(S41)。すなわち、第五温度が気化温度以上である場合に、自動的に、第一液体81がガス気化設備14に流され、液化ガス142の気化に使用される。よって、ユーザが手動で流路を切り替える必要がなく、ユーザの利便性が向上する。
【0115】
上記実施形態において、地中熱交換器11は本発明の「地中熱交換部」の一例である。水-空気熱交換ユニット12は本発明の「空気熱交換部」の一例である。ヒートポンプ装置13は本発明の「ヒートポンプ部」の一例である。ガス気化設備14は本発明の「ガス気化部」の一例である。第一電動弁31は本発明の「第一切替部」の一例である。S16の処理を行うCPU601は、本発明の「第一温度取得手段」の一例である。S17の処理を行うCPU601は、本発明の「第二温度取得手段」の一例である。S18の処理を行うCPU601は、本発明の「第一温度判断手段」の一例である。S19の処理を行うCPU601は、本発明の「第一制御手段」の一例である。S20の処理を行うCPU601は、本発明の「第二制御手段」の一例である。
【0116】
第二電動弁32は本発明の「第二切替部」の一例である。S31の処理を行うCPU601は、本発明の「第三温度取得手段」の一例である。S32の処理を行うCPU601は、本発明の「第四温度取得手段」の一例である。S33の処理を行うCPU601は、本発明の「第二温度判断手段」の一例である。S34の処理を行うCPU601は、本発明の「第三制御手段」の一例である。S35の処理を行うCPU601は、本発明の「第四制御手段」の一例である。第三電動弁33は本発明の「第三切替部」の一例である。S21の処理を行うCPU601は、本発明の「第五制御手段」の一例である。第四電動弁34は本発明の「第四切替部」の一例である。S36の処理を行うCPU601は、本発明の「第五温度取得手段」の一例である。S38の処理を行うCPU601は、本発明の「第六制御手段」の一例である。S41の処理を行うCPU601は、本発明の「第七制御手段」の一例である。
【0117】
本発明は、上記実施形態に限定されることなく、種々の変形が可能である。例えば、第一電動弁31、第二電動弁32、第三電動弁33、第四電動弁34、第五電動弁35が、CPU601に制御されることによって、流路が切り替えられていたが、これに限定されない。例えば、第一電動弁31、第二電動弁32、第三電動弁33、第四電動弁34、及び第五電動弁35が電動弁ではなく、ユーザの手動によって流路を切り替えることができる部材であってもよい。また、第一電動弁31、第二電動弁32、第三電動弁33、第四電動弁34、及び第五電動弁35が流路を切り替えるタイミングは、ユーザが操作部609によって、流路を切り替える指示を入力したタイミングでもよい。
【0118】
また、各装置の台数及び流路の接続方法は、上記実施形態に限定されない。例えば、地中熱交換器11は、地中に埋設された2つのUチューブ111,112を備えていたが、Uチューブの数は、1つでもよいし、3つ以上の複数でもよい。また、複数のUチューブが直列に接続されてもよく、また、並列に接続されてもよい。また、地中熱交換器11は、Uチューブでなくてもよい。同様に、他の装置(例えば、水-空気熱交換ユニット12、ヒートポンプ装置13等)の台数、流路の接続方法、装置の種類は限定されない。
【0119】
また、第二電動弁32、第三電動弁33、及び第四電動弁34によって、流路が切り替えられていたが、流路が切り替えられなくてもよい。この場合、第二電動弁32、第三電動弁33、及び第四電動弁34によって流路が切り替えられる処理が実行されなくてもよい。また、S16、S17、S31、S32、及びS36の処理が実行されず、第一温度、第二温度、第三温度、第四温度、及び第五温度が取得されなくてもよい。第四流路24、第五流路25、第六流路26、第八流路28、第九流路29、第十流路30が設けられなくてもよい。
【0120】
また、地中熱交換器11に第一液体81を流す指示が入力された場合に(S52:YES)、地中熱交換器11に第一液体81が流されていたが(S54)、これに限定されない。例えば、所定時間毎(例えば、1時間毎など)に、地中熱交換器11に第一液体81が流されてもよい。また、所定の時刻(例えば、午後3時など)になった場合に、地中熱交換器11に第一液体81が流されてもよい。
【0121】
また、第一液体81によって地中を温めることができる場合に地中熱交換器11に第一液体81を流し、第一液体81によって地中を温めることができない場合に地中熱交換器11に第一液体81を流さないことを、一例として説明したが(S33、S34、及びS35参照)、これに限定されない。例えば、第一液体81によって地中を温めることができる状態でも、地中熱交換器11に第一液体81を流さなくてもよい。また、第一液体81によって地中を温めることができない場合でも、地中熱交換器11に第一液体81を流してもよい。この場合、地中熱交換器11において、第一液体81を加熱することができる。よって、例えば、第一状態(
図1参照)の場合、地中熱交換器11において第一液体81を加熱し、さらに、水-空気熱交換ユニット12において第一液体81を加熱して、第一液体81をヒートポンプ装置13に供給することができる。また、地中熱交換器11に第一液体81と流す場合と流さない場合とが切り替えられなくてもよく、地中熱交換器11に第一液体81を常に流し続けてもよい。
【符号の説明】
【0122】
1 ガス気化システム
11 地中熱交換器
12 空気熱交換ユニット
13 ヒートポンプ装置
14 ガス気化設備
21 第一流路
22 第二流路
23 第三流路
24 第四流路
25 第五流路
26 第六流路
27 第七流路
28 第八流路
29 第九流路
30 第十流路
31 第一電動弁
32 第二電動弁
33 第三電動弁
34 第四電動弁
35 第五電動弁
81 第一液体
82 第二液体
142 液化ガス
511 第一ポンプ
512 第二ポンプ
601 CPU