(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-13
(45)【発行日】2023-01-23
(54)【発明の名称】ドライエッチング方法、ドライエッチング装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20230116BHJP
【FI】
H01L21/302 101G
(21)【出願番号】P 2018240348
(22)【出願日】2018-12-21
【審査請求日】2021-10-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000231464
【氏名又は名称】株式会社アルバック
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100134359
【氏名又は名称】勝俣 智夫
(74)【代理人】
【識別番号】100192773
【氏名又は名称】土屋 亮
(72)【発明者】
【氏名】長田 大和
【審査官】加藤 芳健
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-151263(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理空間内において、複数種類の被処理層が積層された基板を連続して処理するドライエッチング方法であって、
前記被処理層が変わる時に、前記基板の周囲に設けられたガイドリングを前記被処理層に対応させて選択
し、
それぞれの前記被処理層の材質に対応して、前記ガイドリングの材質をそれぞれ選択する(c4)際に、
前記被処理層の材質がAlであり、前記ガイドリングの材質がアルミナであるか、(c5)
前記被処理層の材質がMoであり、前記ガイドリングの材質がポリイミドであ(c6)る
ことを特徴とするドライエッチング方法。
【請求項2】
前記被処理層が変わる時に、前記基板の周囲に設けられた前記ガイドリングを前記被処理層に対応させて交換する
ことを特徴とする請求項1記載のドライエッチング方法。
【請求項3】
前記ガイドリングの交換が、外部から密閉されて前記処理空間に連通された密閉空間の内部でおこなわれる
ことを特徴とする請求項2記載のドライエッチング方法。
【請求項4】
前記密閉空間に前記ガイドリングを収納する収納部が設けられる
ことを特徴とする請求項3記載のドライエッチング方法。
【請求項5】
処理空間内において、複数種類の被処理層が積層された基板を連続して処理するドライエッチング装置であって、
ドライエッチングをおこなう前記処理空間と、
前記処理空間の内部に配置されて前記基板を載置する基板支持部と、
前記基板の周囲に設けられ前記被処理層に対応させて選択可能なガイドリングと、
前記処理空間に密閉可能に連通する密閉空間に配置されて前記ガイドリングを収納可能な収納部と、
前記被処理層の材質に対応して選択した前記ガイドリングを前記収納部から取り出して前記基板の周囲に配置するガイドリング交換部と、
を有し、
前記ガイドリング交換部が、ドライエッチング処理の進行に対応して前記被処理層が変わる時に、前記基板の周囲に設けられた前記ガイドリングを前記被処理層に対応させて交換
し、
それぞれの前記被処理層の材質に対応して、前記ガイドリングの材質をそれぞれ選択する際に、
前記被処理層の材質がAlであり、前記ガイドリングの材質がアルミナであるか、
前記被処理層の材質がMoであり、前記ガイドリングの材質がポリイミドである
ことを特徴とするドライエッチング装置。
【請求項6】
前記収納部が、前記密閉空間に配置可能なカセットとされる
ことを特徴とする請求項
5記載のドライエッチング装置。
【請求項7】
前記カセットが、前記基板を収納可能である
ことを特徴とする請求項
6記載のドライエッチング装置。
【請求項8】
前記カセットが、前記ガイドリングよりも上側に前記基板を収納可能である
ことを特徴とする請求項
7記載のドライエッチング装置。
【請求項9】
前記処理空
間は、プラズマを発生させるプラズマ発生部を有する
ことを特徴とする請求項
5から
8のいずれか記載のドライエッチング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はドライエッチング方法、ドライエッチング装置に関し、特に異なる材質を連続的にドライエッチングする際に用いて好適な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、基板表面、または、基板上に成膜した層に対してプラズマエッチングによってドライエッチング処理をおこなうことがあった。
例えば、特許文献1に記載されるような容量結合型のエッチング装置が知られている。
また、特許文献2に記載されるようなエッチング装置が知られている。
【0003】
これら特許文献1,2に記載されるように、被処理基板の周囲に、ガイドリングを配置して、エッチング特性を制御しようとすることが知られていた。
【0004】
また、基板上に異なる材質の複数層を成膜し、この基板をプラズマエッチングによって処理をおこなうことがあった(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2012-164766号公報
【文献】国際公開第2011/158469号
【文献】特開2012-204510号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、複数種類の被処理層を積層した基板では、それぞれの層に対してガイドリングを最適化できていないという問題があった。
このため、被処理層の材質が異なる場合に、ガイドリングの材質を被処理層の材質に対応して最適化することにより、エッチング性能を大幅に改善したいという要求があった。
また、このようなガイドリングの最適化を、チャンバを大気開放することなく、実現したいという要求があった。
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、以下の目的を達成しようとするものである。
1.被処理層の材質に対応して、ガイドリングを最適化すること。
2.ガイドリングの最適化をチャンバを大気開放することなく可能とすること。
【課題を解決するための手段】
【0008】
プラズマエッチングにおいては、
図6に実線で示すように、プラズマエッチングにおける副生成物は、基板の中心に比べて基板の周縁付近で、その分布が低下する。
また、
図7に実線で示すように、エッチングにおけるエッチャントであるラジカル等は、基板の中心に比べて基板の周縁付近で、その分布が増大する。
この際、基板の表面と平行な方向において、処理の均一性を求められる場合がある。
【0009】
このため、
図6に破線で示すように、基板全体が略均一な副生成物の分布を有し、
図7に破線で示すように、ラジカルの分布を有するように、エッチング領域を基板の外側まで拡げることが考えられる。しかし、その場合、基板の外側位置がエッチングされてしまうため、これを防止するとともに、基板全面でのエッチング分布の均一性を担保するために、基板外側周囲に、ガイドリングを設ける。
なお、
図6,
図7において、GRはガイドリング、Wは基板を示す。また、
図6,
図7において、それぞれの分布を高さで表すが、実線と破線とは説明のため異なる高さとして示した。
【0010】
このようなガイドリングは、被処理層と異なる材質であり、多くは被処理層に比べて高いエッチング耐性を有する。また、ガイドリングは被処理層と異なる材質であるために、副生成物の分布およびラジカルの分布が、ガイドリングと被処理層とで異なる。このため、基板周縁部付近において、基板中心部とは異なる副生成物の分布およびラジカルの分布となる可能性があった。
【0011】
また、ドライエッチングにおいて、分布、および、エッチング特性は、成膜空間(チャンバ)に露出した部分の影響を受けることが多い。
その中でも特に影響が大きいものとして、基板外周に位置してバイアスRFの印可される電極保護を目的としたガイドリングを挙げることができる。
【0012】
ここで、ドライエッチングにおいて改善しようとする分布とは、エッチングレートの基板の表面と平行な方向における基板表面の位置における差や、エッチング後の基板の表面と平行な方向における基板の表面の位置における形状の差のバラツキを意味する。
また、ドライエッチングにおいて改善しようとするエッチング特性とは、被処理層に対するマスク層の選択比(Sel.)や、エッチング形状の基板の表面と平行な方向における基板表面の位置における差や、エッチング後の基板の表面と平行な方向における基板の表面の位置におけるダメージの差のバラツキを意味する。
【0013】
ガイドリングの材質は、被処理層のエッチングに対する影響が少なくなるように設定することが必要である。特に、被処理層の材質に対応して規定される差を鑑みてその材質を設定する。
【0014】
ガイドリングの材質選定基準として以下を提案する。
通常、ガイドリングの材質としてエッチングに耐性のあるものを使うことが多く、例えば、石英等が選択されることがある。
これに対して、本発明者らは、ガイドリングをプラズマ耐性の低い材質に変更することにより、
・ガイドリング材質とプラズマによる副生成物量の制御
・ガイドリングによる未消費エッチャント量の制御
の最適化が期待できることを見出した。
【0015】
さらに、複数種類の被処理層を積層した基板では、それぞれの被処理層に対応して、ガイドリングを交換することが好ましい。
本発明者らは、これらを鑑みて本発明を以下のように完成した。
【0016】
本発明のドライエッチング方法は、処理空間内において、複数種類の被処理層が積層された基板を連続して処理するドライエッチング方法であって、
前記被処理層が変わる時に、前記基板の周囲に設けられたガイドリングを前記被処理層に対応させて選択し、
それぞれの前記被処理層の材質に対応して、前記ガイドリングの材質をそれぞれ選択する際に、
前記被処理層の材質がAlであり、前記ガイドリングの材質がアルミナであるか、
前記被処理層の材質がMoであり、前記ガイドリングの材質がポリイミドであることにより上記課題を解決した。
本発明のドライエッチング方法は、前記被処理層が変わる時に、前記基板の周囲に設けられた前記ガイドリングを前記被処理層に対応させて交換することができる。
本発明において、前記ガイドリングの交換が、外部から密閉されて前記処理空間に連通された密閉空間の内部でおこなわれることが好ましい。
本発明のドライエッチング方法は、それぞれの前記被処理層の材質に対応して、前記ガイドリングの材質をそれぞれ選択することが可能である。
本発明のドライエッチング方法は、前記被処理層の材質がAlであり、前記ガイドリングの材質がアルミナであることができる。
本発明のドライエッチング方法は、前記被処理層の材質がMoであり、前記ガイドリングの材質がポリイミドであることができる。
また、本発明において、前記密閉空間に前記ガイドリングを収納する収納部が設けられる手段を採用することもできる。
本発明のドライエッチング装置は、処理空間内において、複数種類の被処理層が積層された基板を連続して処理するドライエッチング装置であって、
ドライエッチングをおこなう前記処理空間と、
前記処理空間の内部に配置されて前記基板を載置する基板支持部と、
前記基板の周囲に設けられ前記被処理層に対応させて選択可能なガイドリングと、
前記処理空間に密閉可能に連通する密閉空間に配置されて前記ガイドリングを収納可能な収納部と、
前記被処理層の材質に対応して選択した前記ガイドリングを前記収納部から取り出して前記基板の周囲に配置するガイドリング交換部と、
を有し、
前記ガイドリング交換部が、ドライエッチング処理の進行に対応して前記被処理層が変わる時に、前記基板の周囲に設けられた前記ガイドリングを前記被処理層に対応させて交換し、
それぞれの前記被処理層の材質に対応して、前記ガイドリングの材質をそれぞれ選択する際に、
前記被処理層の材質がAlであり、前記ガイドリングの材質がアルミナであるか、
前記被処理層の材質がMoであり、前記ガイドリングの材質がポリイミドであることができる。
本発明のドライエッチング装置は、前記収納部が、前記密閉空間に配置可能なカセットとされることができる。
また、本発明のドライエッチング装置は、前記カセットが、前記基板を収納可能であることができる。
本発明においては、前記ガイドリングよりも上側に前記基板を収納可能であることができる。
本発明においては、前記処理空間は、プラズマを発生させるプラズマ発生部を有することができる。
【0017】
本発明のドライエッチング方法は、処理空間内において、複数種類の被処理層が積層された基板を連続して処理するドライエッチング方法であって、
前記被処理層が変わる時に、前記基板の周囲に設けられたガイドリングを前記被処理層に対応させて選択する。これにより、ドライエッチングにおいて、処理の感度が異なる材質を有する被処理層に対応して、被処理層の周囲に配置されるガイドリングを選択することにより、エッチングをおこなうラジカル、あるいは、副生成物の分布を最適化して、ドライエッチングにおいて、分布、および、エッチング特性を最適化することが容易となる。
これにより、材質の異なる被処理層が積層された基板に対するドライエッチングにおいて、各層のエッチングを最適化することが可能となる。
【0018】
本発明のドライエッチング方法は、前記被処理層が変わる時に、前記基板の周囲に設けられた前記ガイドリングを前記被処理層に対応させて交換する。これにより、処理の感度が異なる材質を有する被処理層に対応して、被処理層の周囲に配置されるガイドリングを交換することにより、エッチングをおこなうラジカル、あるいは、副生成物の分布を最適化して、ドライエッチングにおいて、分布、および、エッチング特性を最適化することが容易となる。
これにより、材質の異なる被処理層が積層された基板に対するドライエッチングにおいて、各層のエッチングを最適化することが可能となる。
【0019】
本発明において、前記ガイドリングの交換が、外部から密閉されて前記処理空間に連通された密閉空間の内部でおこなわれる。これにより、ガイドリングをIn-situにて交換することで、密閉状態を維持して基板における異なる被処理層へのエッチング処理に対応することが可能となり、できる大気開放に伴う基板への悪影響を回避することが可能となる。同時に、大気開放に伴うガイドリングへの悪影響を回避することが可能となる。これにより、エッチング処理特性が悪化することを防止できる。
【0020】
本発明のドライエッチング方法は、それぞれの前記被処理層の材質に対応して、前記ガイドリングの材質をそれぞれ選択する。これにより、ガイドリングをエッチングプロセスごとに選択して、被処理層の材質に対応したガイドリングに交換することが可能となる。これにより、プロセスごとに被処理層の材質に対応して、分布、エッチング特性を最適化することが可能となる。
【0021】
本発明のドライエッチング方法は、前記被処理層の材質がAlであり、前記ガイドリングの材質がアルミナである。これにより、ガイドリングをエッチングプロセスごとに選択して、被処理層の材質に対応したガイドリングに交換することが可能となる。これにより、プロセスごとに被処理層の材質に対応して、分布、エッチング特性を最適化することが可能となる。
【0022】
本発明のドライエッチング方法は、前記被処理層の材質がMoであり、前記ガイドリングの材質がポリイミドである。これにより、ガイドリングをエッチングプロセスごとに選択して、被処理層の材質に対応したガイドリングに交換することが可能となる。これにより、プロセスごとに被処理層の材質に対応して、分布、エッチング特性を最適化することが可能となる。
【0023】
また、本発明において、前記密閉空間に前記ガイドリングを収納する収納部が設けられる。これにより、複数種類が積層された被処理層に対応して、これらのエッチング処理を続けておこなう場合に、それぞれの被処理層に対応したガイドリングをエッチングのおこなわれる処理空間と密閉状態で連通する密閉空間の内部に位置する収納部から被処理基板の周りに搬入することができる。これにより、ガイドリングをIn-situにて交換することで、密閉状態を維持して基板における異なる被処理層へのエッチング処理に対応することが可能となり、できる大気開放に伴う基板への悪影響を回避することが可能となる。同時に、大気開放に伴うガイドリングへの悪影響を回避することが可能となる。これにより、エッチング処理特性が悪化することを防止できる。
【0024】
本発明のドライエッチング装置は、処理空間内において、複数種類の被処理層が積層された基板を連続して処理するドライエッチング装置であって、
ドライエッチングをおこなう前記処理空間と、
前記処理空間の内部に配置されて前記基板を載置する基板支持部と、
前記基板の周囲に設けられ前記被処理層に対応させて選択可能なガイドリングと、
前記処理空間に密閉可能に連通する密閉空間に配置されて前記ガイドリングを収納可能な収納部と、
前記被処理層の材質に対応して選択した前記ガイドリングを前記収納部から取り出して前記基板の周囲に配置するガイドリング交換部と、
を有し、
前記ガイドリング交換部が、ドライエッチング処理の進行に対応して前記被処理層が変わる時に、前記基板の周囲に設けられた前記ガイドリングを前記被処理層に対応させて交換する。これにより、プラズマエッチングをおこなう装置において、ガイドリングをIn-situにて交換することができる。また、密閉状態を維持して基板における異なる被処理層へのエッチング処理に対応したガイドリングを用いて副生成物やエッチング形状の分布などエッチング特性を被処理層に対応して最適化することが可能となる。
【0025】
本発明のドライエッチング装置は、前記収納部が、前記密閉空間に配置可能なカセットとされる。これにより、基板の処理を開始する前に、複数の被処理層に対応した複数枚のガイドリングをカセットに収納した状態で、ドライエッチング装置の密閉空間に搬入することが可能となる。これにより、異なる被処理層へのエッチング処理を切り替える際に、ガイドリングをIn-situにて交換することが容易に可能となる。
また、密閉空間のみを外部に開放してカセットを交換することができる。これにより、エッチング処理中の基板を大気開放することなく、ガイドリングを交換することも可能となる。
【0026】
また、本発明のドライエッチング装置は、前記カセットが、前記基板を収納可能である。これにより、複数種類の被処理層が積層された基板と、これらの被処理層に対応した複数枚のガイドリングとが、収納されたカセットを同時にドライエッチング装置の密閉空間に搬入することが可能となる。これにより、異なる被処理層へのエッチング処理を切り替える際に、ガイドリングをIn-situにて交換することが容易に可能となる。
【0027】
本発明においては、前記ガイドリングよりも上側に前記基板を収納可能である。これにより、カセットに収納されたガイドリングから基板へのパーティクルの付着などの汚染を低減することが可能となる。
【0028】
本発明においては、前記処理空間にはが、プラズマを発生させるプラズマ発生部を有する。これにより、プラズマエッチング処理に対応したガイドリングを選択して、基板に積層された被処理層に対して、分布・エッチング特性を最適化したプラズマエッチング処理をおこなうことができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、In-situにて被処理層に対して最適化したガイドリングを選択することで、エッチング処理の分布、特性を最適化することができるという効果を奏することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明に係るドライエッチング装置の第1実施形態を示す模式平面図である。
【
図2】本発明に係るドライエッチング方法、ドライエッチング装置の第1実施形態における基板を示す模式断面図である。
【
図3】本発明に係るドライエッチング方法の第1実施形態を示すフローチャートである。
【
図4】本発明に係るドライエッチング方法、ドライエッチング装置の第1実施形態を示す工程図である。
【
図5】本発明に係るドライエッチング方法、ドライエッチング装置の第1実施形態を示す工程図である。
【
図6】ドライエッチング方法における副生成物の分布を示す模式図である。
【
図7】ドライエッチング方法におけるラジカル等の分布を示す模式図である。
【
図8】本発明に係るドライエッチング装置の第2実施形態を示す模式平面図である。
【
図9】本発明に係るドライエッチング装置の第3実施形態を示す模式平面図である。
【
図10】本発明に係るドライエッチング装置の第4実施形態におけるカセットを示す模式正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明に係るドライエッチング方法、ドライエッチング装置の第1実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態におけるドライエッチング装置を示す模式平面図である。図において、符号10は、ドライエッチング装置である。
【0032】
本実施形態に係るドライエッチング装置10は、反応性イオンエッチング処理をおこなう装置とされる。
ドライエッチング装置10は、
図1に示すように、ドライエッチング室(処理空間)11と、トランスファチャンバ(密閉空間)12と、ロード/アンロード室13とを有する。
【0033】
ドライエッチング室11は、例えば、プラズマ発生部によって、導入されたエッチングガスを電離して発生したプラズマによって、基板Wのドライエッチング処理をおこなうものとされる。ドライエッチング室11は、密閉可能とされる。
ドライエッチング室11には、エッチングガスを供給するエッチングガス供給部11aと、ドライエッチング室11の内部を排気する排気部11bと、基板Wを載置してエッチング処理可能とする基板保持部11cと、プラズマ発生部と、が設けられる。プラズマ発生部は、図示しないプラズマ発生用電源と、基板Wにバイアス電位を印加可能な高周波電源11dと、を有する。
【0034】
また、エッチングガス供給部11aは、エッチングガスに加えて、パージガス等のガスや、ドライエッチング室11をクリーニングするクリーニングガス等を供給可能とされてもよい。
基板保持部11cは、エッチング処理時に基板Wを支持する。基板保持部11cにおける基板Wの外周位置には、基板W以外の電極部分となる基板保持部11cをプラズマから保護するガイドリングGRが載置される。
ガイドリングGRは、基板Wの外周に位置して、基板保持部11cを覆うように円環状の平板とされる。
【0035】
基板保持部11cには、基板Wを上下動するホイスト11cWと、ガイドリングGRを上下動するホイスト11cGRとが設けられる。
ホイスト11cW,11cGRは、いずれも、鉛直方向に立設され、図示しない駆動部によって同期して上下動可能とされた複数のピンからなる。
【0036】
ホイスト11cWは、基板Wの下面に当接して、基板Wを水平に保持した状態で上下動可能とされる。
ホイスト11cWは、円形輪郭とされる基板Wの周縁部に沿って、等距離に複数設けられる。本実施形態においては、例えば、3箇所のホイスト11cWが互いに基板Wの円形輪郭に沿って等距離を維持するように配置される。
【0037】
ホイスト11cGRは、ガイドリングGRの下面に当接して、ガイドリングGRを水平に保持した状態で上下動可能とされる。
ホイスト11cGRは、円環状とされるガイドリングGRの周縁部に沿って、等距離に複数設けられる。本実施形態においては、例えば、3箇所のホイスト11cGRが互いにガイドリングGRの円形輪郭に沿って等距離を維持するように配置される。
【0038】
ホイスト11cWとホイスト11cGRとは、
図1に示すように、基板Wの中心と一致する基板保持部11cの中心から、同一の直線上に位置するように配置されている。
【0039】
ドライエッチング室11には、エッチングガスを基板保持部11cの上に載置された基板Wに均一に供給するシャワープレートと、このシャワープレートに高周波を印加するプラズマ発生用電源を有していてもよい。
【0040】
ドライエッチング室11は、ドアバルブ等とされる密閉部15aによって、トランスファチャンバ12と密閉可能に連結されている。ドライエッチング室11とトランスファチャンバ12とは、互いに基板Wおよび/またはガイドリングGRをやり取り可能とされている。
【0041】
トランスファチャンバ12には、トランスファチャンバ12の内部を排気する排気部12aが接続される。
トランスファチャンバ12には、パージガス等のガスや、トランスファチャンバ12をクリーニングするクリーニングガス等を供給可能なガス供給部が設けられてもよい。
【0042】
トランスファチャンバ12の内部には、複数枚の基板Wが載置可能とされるとともに、複数枚のガイドリングGRが載置可能とされる。
【0043】
トランスファチャンバ12の内部には、搬送装置(搬送ロボット)12bが配置されている。
搬送装置(搬送ロボット)12bは、回転軸と、この回転軸に取り付けられたロボットアーム12b1と、ロボットアーム12b1の一端に形成されたロボットハンド12bW,12bGRと、上下動装置とを有している。
【0044】
搬送装置(搬送ロボット)12bにおいて、ロボットアーム12b1は互いに屈曲可能な複数の能動アームから構成されている。
図1に示す例では、2つの屈曲軸を有する構成とされている。搬送装置12bは、被搬送物である基板Wおよび/またはガイドリングGRを、ドライエッチング室11,トランスファチャンバ12,ロード/アンロード室13間で移動させることができる。なお、搬送装置12bとして、ロボットアームを回転軸こと水平方向位置に移動させるか、基板Wをさらに水平方向に移動させる追加移動手段を設けることもできる。
【0045】
搬送装置(搬送ロボット)12bにおいて、ロボットアーム12b1の先端には、ロボットアーム12b1に対して回転可能なロボットハンド12bWおよびロボットハンド12bGRが設けられる。
ロボットハンド12bWは、基板Wを保持可能な形状とされている。また、ロボットハンド12bGRは、ガイドリングGRを保持可能な形状とされている。
【0046】
ロボットハンド12bWは、ホイスト11cWで上昇位置とされた基板Wを下側から支持して、基板Wをドライエッチング室11とトランスファチャンバ12との間で移動することができる。
ロボットハンド12bGRは、ホイスト11cGRで上昇位置とされたガイドリングGRを下側から支持して、ガイドリングGRをドライエッチング室11とトランスファチャンバ12との間で移動することができる。
【0047】
ロボットハンド12bWとロボットハンド12bGRとは、互いに逆向き、つまり、それぞれのなす角度が180°をなるように構成されている。
なお、ロボットハンド12bWとロボットハンド12bGRとは、基板WとガイドリングGRとをそれぞれ支持して移動可能であれば、この構成に限定されることはない。
【0048】
トランスファチャンバ12の内部においては、搬送装置(搬送ロボット)12bがトランスファチャンバ12の中央に位置して、複数枚の基板Wの収納部および複数枚のガイドリングGRの収納部が、それぞれ搬送装置(搬送ロボット)12bの両側に位置している。
トランスファチャンバ12の内部においては、搬送装置(搬送ロボット)12bは、密閉部15aの正面に位置する。
【0049】
搬送装置(搬送ロボット)12bのロボットハンド12bGRと、基板保持部11cのホイスト11cGRとは、ガイドリング交換部を構成している。
【0050】
トランスファチャンバ12は、ドアバルブ等とされる密閉部15bによって、ロード/アンロード室13と密閉可能に連結されている。ロード/アンロード室13とトランスファチャンバ12とは、互いに基板Wおよび/またはガイドリングGRをやり取り可能とされている。トランスファチャンバ12は、密閉可能とされる。
トランスファチャンバ12の内部においては、搬送装置(搬送ロボット)12bは、密閉部15bの正面に位置する。
【0051】
ロード/アンロード室13は、ドアバルブ等とされる密閉部15cによって、外部と密閉可能に連結されている。ロード/アンロード室13は、外部と基板Wおよび/またはガイドリングGRをやり取り可能とされている。ロード/アンロード室13は、密閉可能とされる。
【0052】
図2は、本実施形態におけるドライエッチング方法、ドライエッチング装置においてエッチング処理される基板を示す模式断面図である。
本実施形態におけるドライエッチング方法、ドライエッチング装置においてエッチング処理される基板Wは、
図2に示すように、異なる材質からなる複数の被処理層W1,W2,W3が積層されている。これら複数の被処理層W1,W2,W3は、異なる材質からなるものであれば、基板Wの全面に積層されるか、あるいは、基板Wに対して部分的に積層されていることもできる。
【0053】
なお、基板Wは、シリコン基板、SiC基板、窒化ガリウム基板、サファイア基板、砒化ガリウム基板、リン化インジウム基板、ニオブ酸リチウム基板、タンタル酸リチウム基板とされることができ、また、複数の被処理層W1,W2,W3は、例えば、SiO2、Si、Al,Co.Cu,Mo,Ti,SiC、C、GaN、AlN、Al、W、Mo、Ti、Cr、Ruなどから選択されたものとすることができる。
さらに、これら複数の被処理層W1,W2,W3に対応して、ガイドリングGRは、Si、SiO2、SiC、Pl、C、Al、W、Mo、Ti、Cr、Ruなどから選択されたものとすることができる。
被処理層とガイドリングGRとの対応は、具体的には、AlとAl2O3、MoとPI、とすることができる。
【0054】
以下、本実施形態におけるドライエッチング方法を図面に基づいて説明する。
【0055】
図3は、本実施形態におけるドライエッチング方法を示すフローチャートである。
本実施形態におけるドライエッチング方法は、前処理工程S00と、基板準備工程S01と、ガイドリング準備工程S02と、ガイドリング搬入工程S03と、基板搬入工程S04と、ガイドリングセット工程S11と、基板セット工程S12と、エッチング工程S13と、ガイドリング取り出し工程S14と、ガイドリングセット工程S15と、基板取り出し工程S16と、基板搬出工程S21と、ガイドリング搬出工程S22と、後処理工程S23と、を有する。
【0056】
図4は、本実施形態におけるドライエッチング方法を示す工程図である。
図5は、本実施形態におけるドライエッチング方法を示す工程図である。
本実施形態におけるドライエッチング方法は、まず、
図3に示す前処理工程S00として、基板Wに複数の被処理層W1,W2,W3を積層する。さらに、前処理工程S00においては、レジスト等を積層して、パターン形成することなどもできる。
【0057】
図3に示す基板準備工程S01においては、
図1に示すドライエッチング装置10におけるロード/アンロード室13に基板Wを搬入できるように、ロード/アンロード室13の外部位置に複数枚の基板Wを準備する。
【0058】
図3に示すガイドリング準備工程S02においては、
図1に示すドライエッチング装置10におけるロード/アンロード室13にガイドリングGRを搬入できるように、ロード/アンロード室13の外部位置に複数枚のガイドリングGRを準備する。
ここで、複数枚のガイドリングGRの材質は、基板Wに積層された複数の被処理層W1,W2,W3の材質に対応して、エッチング処理における分布およびエッチング特性を最適化するように選択される。
【0059】
次いで、
図3に示すガイドリング搬入工程S03においては、
図1に示す密閉部15cを開放して、ガイドリング準備工程S02において準備した複数枚のガイドリングGRをロード/アンロード室13に搬入する。
さらに、密閉部15cを閉塞した後、ロード/アンロード室13をベントして、密閉部15bを開放し、搬送装置(搬送ロボット)12bによって、複数枚のガイドリングGRをトランスファチャンバ12に搬入し、複数枚のガイドリングGRをトランスファチャンバ12のガイドリング載置位置(収納部)に載置する。
この際、複数枚のガイドリングGRの移動には、搬送装置(搬送ロボット)12bのロボットハンド12bGRを用いる。
複数枚のガイドリングGRの移動が終了したら、密閉部15bを閉塞しておく。
【0060】
次いで、
図3に示す基板搬入工程S04においては、
図1に示す密閉部15cを開放して、基板準備工程S01において準備した複数枚の基板Wをロード/アンロード室13に搬入する。
さらに、密閉部15cを閉塞した後、ロード/アンロード室13をベントして、密閉部15bを開放し、搬送装置(搬送ロボット)12bによって、複数枚の基板Wをトランスファチャンバ12に搬入し、複数枚の基板Wをトランスファチャンバ12の基板載置位置(収納部)に載置する。
この際、複数枚の基板Wの移動には、搬送装置(搬送ロボット)12bのロボットハンド12bWを用いる。
複数枚の基板Wの移動が終了したら、密閉部15bを閉塞しておく。
【0061】
次いで、
図3に示すガイドリングセット工程S11においては、
図1に示す密閉部15aを開放して、ガイドリング搬入工程S03においてトランスファチャンバ12のガイドリング載置位置(収納部)に載置した複数枚のガイドリングGRから一枚を選択して、これをドライエッチング室11に搬入する。
【0062】
ガイドリングセット工程S11においては、
図4(a)に示すように、搬送装置(搬送ロボット)12bのロボットハンド12bGRに載置したガイドリングGRを、基板保持部11cにおける基板Wの外周位置となる上側に移動する。
【0063】
次いで、ガイドリングセット工程S11においては、
図4(b)に示すように、ホイスト11cGRを上昇させて、ガイドリングGRをロボットハンド12bGRに接触しない程度に上昇させる。このとき、ガイドリングGRはホイスト11cGRによって、支持される。
【0064】
次いで、ガイドリングセット工程S11においては、
図4(c)に示すように、ロボットハンド12bGRを基板保持部11cにおける上側位置から退避するとともに、ホイスト11cGRを下降させて、ガイドリングGRを、基板保持部11cにおける基板Wの外周位置に移動する。
【0065】
次いで、
図3に示す基板セット工程S12においては、
図1に示す密閉部15aを開放した状態で、基板搬入工程S04においてトランスファチャンバ12の基板載置位置(収納部)に載置した複数枚の基板Wから一枚を選択して、これをドライエッチング室11に搬入する。
【0066】
基板セット工程S12においては、
図4(d)に示すように、搬送装置(搬送ロボット)12bのロボットハンド12bWに載置した基板Wを、基板保持部11cにおける基板Wの処理位置となる上側に移動する。
【0067】
次いで、基板セット工程S12においては、
図4(e)に示すように、ホイスト11cWを上昇させて、基板Wをロボットハンド12bWに接触しない程度に上昇させる。このとき、基板Wはホイスト11cWによって、支持される。
【0068】
次いで、基板セット工程S12においては、
図4(f)に示すように、ロボットハンド12bWを基板保持部11cにおける上側位置から退避するとともに、ホイスト11cWを下降させて、基板Wを、基板保持部11cにおける基板Wの処理位置に移動する。
【0069】
次いで、
図3に示すエッチング工程S13においては、
図1に示す密閉部15aを閉塞して、基板セット工程S12においてドライエッチング室11の基板保持部11cに載置した基板Wをエッチング処理する。
【0070】
エッチング工程S13においては、
図4(g)に示すように、ドライエッチング室11にエッチングガス供給部11aからエッチングガスを供給するとともに、排気部11bによってドライエッチング室11の内部を排気する。同時に、プラズマ発生用電源によってシャワープレートに高周波を印加するとともに、高周波電源11dによって基板Wにバイアス電位を印加する。
エッチング工程S13においては、
図4(g)に示すように、エッッチャントである、ラジカル、あるいは、エッチングガス分子等によって、最上層である被処理層W3がエッチングされる。
【0071】
このとき、ガイドリングGRの材質が被処理層W3のエッチング条件を最適化するように選択されていることにより、被処理層W3のエッチング処理における分布、エッチング特性が最適化される。
被処理層W3のエッチングが終了した時点でエッチング工程S13を終了し、エッチングガス供給部11aからエッチングガスの供給を停止するとともに、排気部11bによってドライエッチング室11の内部を排気する。同時に、プラズマ発生用電源によるシャワープレートへの高周波の印加を停止するとともに、高周波電源11dによる基板Wへのバイアス電位の印加を停止する。
【0072】
次いで、
図3に示すガイドリング取り出し工程S14においては、
図1に示す密閉部15aを開放して、エッチング工程S13において用いた被処理層W3のエッチングに対応するガイドリングGRをドライエッチング室11から取り出して、これをトランスファチャンバ12のガイドリング載置位置(収納部)に載置する。
【0073】
ガイドリング取り出し工程S14においては、
図5(a)に示すように、ホイスト11cGRを上昇させて、進入するロボットハンド12bGRに接触しない程度にガイドリングGRを上昇させる。このとき、ガイドリングGRはホイスト11cGRによって、支持される。
【0074】
次いで、ガイドリング取り出し工程S14においては、
図5(b)に示すように、搬送装置(搬送ロボット)12bのロボットハンド12bGRを、基板保持部11cにおける基板Wの上側で外周外側まで到達する位置に移動する。
【0075】
次いで、ガイドリング取り出し工程S14においては、ホイスト11cGRを下降させて、ガイドリングGRを、ロボットハンド12bGRに載置する。さらに、
図5(c)に示すように、ホイスト11cGRを下降させて退避させる。
次いで、搬送装置(搬送ロボット)12bを駆動して、ロボットハンド12bGRに載置されたガイドリングGRを、トランスファチャンバ12のガイドリング載置位置(収納部)に移動する。
【0076】
次いで、
図3に示すガイドリングセット工程S15においては、
図1に示す密閉部15aを開放した状態で、ガイドリング搬入工程S03においてトランスファチャンバ12のガイドリング載置位置(収納部)に載置した複数枚のガイドリングGRから、ガイドリングセット工程S11とは異なり、被処理層W2のエッチングに対応する一枚のガイドリングGRを選択して、これをドライエッチング室11に搬入する。
【0077】
ガイドリングセット工程S15においては、
図5(d)に示すように、搬送装置(搬送ロボット)12bのロボットハンド12bGRに載置したガイドリングGRを、基板保持部11cにおける基板Wの外周位置となる上側に移動する。
【0078】
次いで、ガイドリングセット工程S15においては、
図5(d)に示すように、ホイスト11cGRを上昇させて、ガイドリングGRをロボットハンド12bGRに接触しない程度に上昇させる。このとき、ガイドリングGRはホイスト11cGRによって、支持される。
【0079】
次いで、ガイドリングセット工程S15においては、
図5(e)に示すように、ロボットハンド12bGRを基板保持部11cにおける上側位置から退避するとともに、さらに、ホイスト11cGRを下降させて、ガイドリングGRを、基板保持部11cにおける基板Wの外周位置に移動する。
【0080】
次いで、
図3に示すエッチング工程S13においては、
図1に示す密閉部15aを閉塞して、基板セット工程S12においてドライエッチング室11の基板保持部11cに載置した基板Wをエッチング処理する。
【0081】
エッチング工程S13においては、
図4(g)に示すように、ドライエッチング室11にエッチングガス供給部11aからエッチングガスを供給するとともに、排気部11bによってドライエッチング室11の内部を排気する。同時に、プラズマ発生用電源によってシャワープレートに高周波を印加するとともに、高周波電源11dによって基板Wにバイアス電位を印加する。
エッチング工程S13においては、
図4(g)に示すように、エッッチャントである、ラジカル、あるいは、エッチングガス分子等によって、2番目の層である被処理層W2がエッチングされる。
【0082】
このとき、ガイドリングGRの材質が被処理層W2のエッチング条件を最適化するように選択されていることにより、被処理層W2のエッチング処理における分布、エッチング特性が最適化される。
なお、被処理層W2のエッチング条件は、被処理層W3のエッチング条件と異なることができる。
被処理層W2のエッチングが終了した時点でエッチング工程S13を終了し、エッチングガス供給部11aからエッチングガスの供給を停止するとともに、排気部11bによってドライエッチング室11の内部を排気する。同時に、プラズマ発生用電源によるシャワープレートへの高周波の印加を停止するとともに、高周波電源11dによる基板Wへのバイアス電位の印加を停止する。
【0083】
次いで、
図3に示すガイドリング取り出し工程S14においては、
図1に示す密閉部15aを開放して、エッチング工程S13において用いた被処理層W2のエッチングに対応するガイドリングGRをドライエッチング室11から取り出して、これをトランスファチャンバ12のガイドリング載置位置(収納部)に載置する。
【0084】
ガイドリング取り出し工程S14においては、
図5(a)に示すように、ホイスト11cGRを上昇させて、進入するロボットハンド12bGRに接触しない程度にガイドリングGRを上昇させる。このとき、ガイドリングGRはホイスト11cGRによって、支持される。
【0085】
次いで、ガイドリング取り出し工程S14においては、
図5(b)に示すように、搬送装置(搬送ロボット)12bのロボットハンド12bGRを、基板保持部11cにおける基板Wの外周位置となる上側に移動する。
【0086】
次いで、ガイドリング取り出し工程S14においては、ホイスト11cGRを下降させて、ガイドリングGRを、ロボットハンド12bGRに載置する。さらに、
図5(c)に示すように、ホイスト11cGRを下降させて退避させる。
次いで、搬送装置(搬送ロボット)12bを駆動して、ロボットハンド12bGRに載置されたガイドリングGRを、トランスファチャンバ12のガイドリング載置位置(収納部)に移動する。
【0087】
次いで、
図3に示すガイドリングセット工程S15においては、
図1に示す密閉部15aを開放した状態で、ガイドリング搬入工程S03においてトランスファチャンバ12のガイドリング載置位置(収納部)に載置した複数枚のガイドリングGRから、ガイドリングセット工程S15とは異なり、被処理層W1のエッチングに対応する一枚のガイドリングGRを選択して、これをドライエッチング室11に搬入する。
【0088】
ガイドリングセット工程S15においては、
図5(d)に示すように、搬送装置(搬送ロボット)12bのロボットハンド12bGRに載置したガイドリングGRを、基板保持部11cにおける基板Wの外周位置となる上側に移動する。
【0089】
次いで、ガイドリングセット工程S15においては、
図5(d)に示すように、ホイスト11cGRを上昇させて、ガイドリングGRをロボットハンド12bGRに接触しない程度に上昇させる。このとき、ガイドリングGRはホイスト11cGRによって、支持される。
【0090】
次いで、ガイドリングセット工程S15においては、
図5(e)に示すように、ロボットハンド12bGRを基板保持部11cにおける上側位置から退避するとともに、さらに、ホイスト11cGRを下降させて、ガイドリングGRを、基板保持部11cにおける基板Wの外周位置に移動する。
【0091】
次いで、
図3に示すエッチング工程S13においては、
図1に示す密閉部15aを閉塞して、基板セット工程S12においてドライエッチング室11の基板保持部11cに載置した基板Wをエッチング処理する。
【0092】
エッチング工程S13においては、
図4(g)に示すように、ドライエッチング室11にエッチングガス供給部11aからエッチングガスを供給するとともに、排気部11bによってドライエッチング室11の内部を排気する。同時に、プラズマ発生用電源によってシャワープレートに高周波を印加するとともに、高周波電源11dによって基板Wにバイアス電位を印加する。
エッチング工程S13においては、
図4(g)に示すように、エッッチャントである、ラジカル、あるいは、エッチングガス分子等によって、3番目の層である被処理層W1がエッチングされる。
【0093】
このとき、ガイドリングGRの材質が被処理層W1のエッチング条件を最適化するように選択されていることにより、被処理層W1のエッチング処理における分布、エッチング特性が最適化される。
なお、被処理層W1のエッチング条件は、被処理層W3および被処理層W2のエッチング条件と異なることができる。
被処理層W1のエッチングが終了した時点でエッチング工程S13を終了し、エッチングガス供給部11aからエッチングガスの供給を停止するとともに、排気部11bによってドライエッチング室11の内部を排気する。同時に、プラズマ発生用電源によるシャワープレートへの高周波の印加を停止するとともに、高周波電源11dによる基板Wへのバイアス電位の印加を停止する。
【0094】
次いで、
図3に示すガイドリング取り出し工程S14においては、
図1に示す密閉部15aを開放して、エッチング工程S13において用いた被処理層W1のエッチングに対応するガイドリングGRをドライエッチング室11から取り出して、これをトランスファチャンバ12のガイドリング載置位置(収納部)に載置する。
【0095】
ガイドリング取り出し工程S14においては、
図5(a)に示すように、ホイスト11cGRを上昇させて、進入するロボットハンド12bGRに接触しない程度にガイドリングGRを上昇させる。このとき、ガイドリングGRはホイスト11cGRによって、支持される。
【0096】
次いで、ガイドリング取り出し工程S14においては、
図5(b)に示すように、搬送装置(搬送ロボット)12bのロボットハンド12bGRを、基板保持部11cにおける基板Wの外周位置となる上側に移動する。
【0097】
次いで、ガイドリング取り出し工程S14においては、ホイスト11cGRを下降させて、ガイドリングGRを、ロボットハンド12bGRに載置する。さらに、
図5(c)に示すように、ホイスト11cGRを下降させて退避させる。
次いで、搬送装置(搬送ロボット)12bを駆動して、ロボットハンド12bGRに載置されたガイドリングGRを、トランスファチャンバ12のガイドリング載置位置(収納部)に移動する。
【0098】
次いで、
図3に示すガイドリングセット工程S15においては、
図1に示す密閉部15aを開放した状態で、ガイドリング搬入工程S03においてトランスファチャンバ12のガイドリング載置位置(収納部)に載置した複数枚のガイドリングGRから、ガイドリングセット工程S11と同様に、被処理層W3のエッチングに対応する一枚のガイドリングGRを選択して、これをドライエッチング室11に搬入する。
この場合、被処理層W3のエッチングに対応する一枚のガイドリングGRは、先に使用したガイドリングGRとすること、あるいは、新たな未使用のガイドリングGRとすることもできる。
【0099】
ガイドリングセット工程S15においては、
図5(d)に示すように、搬送装置(搬送ロボット)12bのロボットハンド12bGRに載置したガイドリングGRを、基板保持部11cにおける基板Wの外周位置となる上側に移動する。
【0100】
次いで、ガイドリングセット工程S15においては、
図5(d)に示すように、ホイスト11cGRを上昇させて、ガイドリングGRをロボットハンド12bGRに接触しない程度に上昇させる。このとき、ガイドリングGRはホイスト11cGRによって、支持される。
【0101】
次いで、ガイドリングセット工程S15においては、
図5(e)に示すように、ロボットハンド12bGRを基板保持部11cにおける上側位置から退避するとともに、さらに、ホイスト11cGRを下降させて、ガイドリングGRを、基板保持部11cにおける基板Wの外周位置に移動する。
【0102】
次いで、
図3に示す基板取り出し工程S16においては、
図1に示す密閉部15aを開放した状態で、エッチング工程S13、ガイドリング取り出し工程S14、ガイドリングセット工程S15を繰り返して、複数の被処理層W3,W2,W1のエッチングが終了した基板Wをドライエッチング室11から取り出して、これをトランスファチャンバ12の基板載置位置(収納部)に載置する。
【0103】
基板取り出し工程S16においては、
図5(f)に示すように、ホイスト11cWを上昇させて、進入するロボットハンド12bWに接触しない程度に基板Wを上昇させる。このとき、基板Wはホイスト11cWによって、支持される。
【0104】
次いで、基板取り出し工程S16においては、搬送装置(搬送ロボット)12bのロボットハンド12bWを、基板保持部11cにおける基板Wの上側に移動する。
【0105】
次いで、基板取り出し工程S16においては、ホイスト11cWを下降させて、基板Wを、ロボットハンド12bGRに載置する。
次いで、搬送装置(搬送ロボット)12bを駆動して、ロボットハンド12bWに載置された処理済みの基板Wを、トランスファチャンバ12の基板載置位置(収納部)に移動する。
【0106】
次いで、
図3に示す基板セット工程S12においては、
図1に示す密閉部15aを開放した状態で、基板搬入工程S04においてトランスファチャンバ12の基板載置位置(収納部)に載置した複数枚の基板Wから新たに未処理の一枚を選択して、これをドライエッチング室11に搬入する。
【0107】
基板セット工程S12においては、
図4(d)に示すように、搬送装置(搬送ロボット)12bのロボットハンド12bWに載置した基板Wを、基板保持部11cにおける基板Wの処理位置となる上側に移動する。
【0108】
次いで、基板セット工程S12においては、
図4(e)に示すように、ホイスト11cWを上昇させて、基板Wをロボットハンド12bWに接触しない程度に上昇させる。このとき、基板Wはホイスト11cWによって、支持される。
【0109】
次いで、基板セット工程S12においては、
図4(f)に示すように、ロボットハンド12bWを基板保持部11cにおける上側位置から退避するとともに、ホイスト11cWを下降させて、基板Wを、基板保持部11cにおける基板Wの処理位置に移動する。
【0110】
さらに、エッチング工程S13、ガイドリング取り出し工程S14、ガイドリングセット工程S15を繰り返して、同様にして、複数の被処理層W3,W2,W1のエッチングをおこなう。
【0111】
次いで、
図3に示す基板セット工程S12、エッチング工程S13、ガイドリング取り出し工程S14、ガイドリングセット工程S15、基板取り出し工程S16を繰り返して、基板搬入工程S04においてトランスファチャンバ12の基板載置位置(収納部)に載置した複数の基板Wに対する全ての処理を終了する。
【0112】
このとき、エッチング処理の終了した全ての基板Wを、トランスファチャンバ12の基板載置位置(収納部)に載置しておく。
なお、全ての基板Wでエッチング処理が終了した際には、ガイドリングセット工程S15による次のガイドリングGRのドライエッチング室11への移動をおこなわないことが好ましい。
【0113】
同様に、基板Wに対する全ての処理が終了したら、全てのガイドリングGRを、トランスファチャンバ12のガイドリング載置位置(収納部)に載置しておく。
全ての基板Wと全てのガイドリングを、トランスファチャンバ12の基板載置位置(収納部)およびガイドリング載置位置(収納部)に載置したら、密閉部15aを閉塞しておく。
【0114】
次いで、
図3に示す基板搬出工程S21として、処理の終了した全ての基板Wをトランスファチャンバ12から取り出す。
【0115】
基板搬出工程S21においては、
図1に示す密閉部15bを開放して、搬送装置(搬送ロボット)12bによって、処理の終了した複数枚の基板Wをトランスファチャンバ12の基板載置位置(収納部)からロード/アンロード室13に搬入する。
さらに、密閉部15bを閉塞した後、ロード/アンロード室13を外部と同圧として、密閉部15cを開放し、複数枚の基板Wを外部に搬出する。
複数枚の基板Wを外部に搬出したら、密閉部15cを閉塞しておく。
【0116】
次いで、
図3に示すガイドリング搬出工程S22として、処理の終了した全てのガイドリングGRをトランスファチャンバ12から取り出す。
【0117】
ガイドリング搬出工程S22においては、
図1に示す密閉部15bを開放して、搬送装置(搬送ロボット)12bによって、使用した複数枚のガイドリングGRをトランスファチャンバ12のガイドリング載置位置(収納部)からロード/アンロード室13に搬入する。
さらに、密閉部15bを閉塞した後、ロード/アンロード室13を外部と同圧として、密閉部15cを開放し、複数枚のガイドリングGRを外部に搬出する。
【0118】
次いで、
図3に示す後処理工程S23として、ロード/アンロード室13の外側において、必要な処理を基板Wに施す。
後処理工程S23における処理としては、洗浄、アッシング等の表面処理を挙げることができる。
【0119】
以上により、本実施形態におけるドライエッチング方法を終了する。
【0120】
本実施形態におけるドライエッチング装置10によるドライエッチング方法においては、処理の感度が異なる材質を有する複数の被処理層W3,W2,W1にそれぞれ対応して、ドライエッチングの途中で異なるガイドリングGRを選択して、In-situにてガイドリングGRを交換して切り替えることにより、エッチングをおこなう複数の被処理層W3,W2,W1に対応してラジカル、あるいは、副生成物の分布を最適化して、複数の被処理層W3,W2,W1のドライエッチングにおいて、分布、および、エッチング特性を最適化することが容易となる。
これにより、材質の異なる複数の被処理層W3,W2,W1が積層された基板Wに対するドライエッチングにおいて、各被処理層W3,W2,W1のエッチングを最適化することが可能となる。
【0121】
以下、本発明に係るドライエッチング方法、ドライエッチング装置の第2実施形態を、図面に基づいて説明する。
図8は、本実施形態におけるドライエッチング装置を示す平面図であり、本実施形態において、上述した第1実施形態と異なるのは、ガイドリング交換部に関する点であり、これ以外の上述した第1実施形態と対応する構成には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0122】
本実施形態におけるトランスファチャンバ12には、
図8に示すように、基板Wを搬送する搬送装置(搬送ロボット)12bと、ガイドリングGRを搬送する搬送装置(搬送ロボット)18bと、が配置される。
【0123】
本実施形態の搬送装置(搬送ロボット)12bは、
図8に示すように、回転軸と、この回転軸に取り付けられたロボットアーム12b1と、ロボットアーム12b1の一端に形成されたロボットハンド12bWと、上下動装置とを有している。
【0124】
搬送装置(搬送ロボット)12bにおいて、ロボットアーム12b1は互いに屈曲可能な複数の能動アームから構成されている。
図8に示す例では、2つの屈曲軸を有する構成とされている。搬送装置12bは、被搬送物である基板Wを、ドライエッチング室11,トランスファチャンバ12,ロード/アンロード室13間で移動させることができる。なお、搬送装置12bとして、ロボットアームを回転軸こと水平方向位置に移動させるか、基板Wをさらに水平方向に移動させる追加移動手段を設けることもできる。
【0125】
搬送装置(搬送ロボット)12bにおいて、ロボットアーム12b1の先端には、ロボットアーム12b1に対して回転可能なロボットハンド12bWが設けられる。
ロボットハンド12bWは、基板Wを保持可能な形状とされている。
【0126】
ロボットハンド12bWは、ホイスト11cWで上昇位置とされた基板Wを下側から支持して、基板Wをドライエッチング室11とトランスファチャンバ12との間で移動することができる。
【0127】
本実施形態の搬送装置(搬送ロボット)18bは、
図8に示すように、回転軸と、この回転軸に取り付けられたロボットアーム18b1と、ロボットアーム18b1の一端に形成されたロボットハンド18bGRと、上下動装置とを有している。
【0128】
搬送装置(搬送ロボット)18bにおいて、ロボットアーム18b1は互いに屈曲可能な複数の能動アームから構成されている。
図8に示す例では、2つの屈曲軸を有する構成とされている。搬送装置18bは、被搬送物であるガイドリングGRを、ドライエッチング室11,トランスファチャンバ12,ロード/アンロード室13間で移動させることができる。なお、搬送装置18bとして、ロボットアームを回転軸こと水平方向位置に移動させるか、基板Wをさらに水平方向に移動させる追加移動手段を設けることもできる。
【0129】
搬送装置(搬送ロボット)18bにおいて、ロボットアーム18b1の先端には、ロボットアーム18b1に対して回転可能なロボットハンド18bGRが設けられる。
ロボットハンド18bGRは、ガイドリングGRを保持可能な形状とされている。
【0130】
ロボットハンド18bGRは、ホイスト11cGRで上昇位置とされたガイドリングGRを下側から支持して、ガイドリングGRをドライエッチング室11とトランスファチャンバ12との間で移動することができる。
【0131】
トランスファチャンバ12の内部においては、搬送装置(搬送ロボット)12bと搬送装置(搬送ロボット)18bとがトランスファチャンバ12の略中央に位置している。トランスファチャンバ12の内部においては、複数枚の基板Wの収納部が搬送装置(搬送ロボット)12b側に位置する。トランスファチャンバ12の内部においては、複数枚のガイドリングGRの収納部が、搬送装置(搬送ロボット)18b側に位置している。
トランスファチャンバ12の内部においては、搬送装置(搬送ロボット)12bと搬送装置(搬送ロボット)18bとが、密閉部15aの正面の両側に位置する。
【0132】
本実施形態のドライエッチング室11には、
図8に示すように、第1実施形態と同様に、基板保持部11cが設けられる。
【0133】
本実施形態の基板保持部11cにも、基板Wを上下動するホイスト11cWと、ガイドリングGRを上下動するホイスト11cGRとが設けられる。
ホイスト11cW,11cGRは、いずれも、鉛直方向に立設され、図示しない駆動部によって同期して上下動可能とされた複数のピンからなる。
【0134】
ホイスト11cWは、基板Wの下面に当接して、基板Wを水平に保持した状態で上下動可能とされる。
ホイスト11cWは、円形輪郭とされる基板Wの周縁部に沿って、等距離に複数設けられる。本実施形態においては、例えば、3箇所のホイスト11cWが互いに基板Wの円形輪郭に沿って等距離を維持するように配置される。
【0135】
ホイスト11cGRは、ガイドリングGRの下面に当接して、ガイドリングGRを水平に保持した状態で上下動可能とされる。
ホイスト11cGRは、円環状とされるガイドリングGRの周縁部に沿って、等距離に複数設けられる。本実施形態においては、例えば、3箇所のホイスト11cGRが互いにガイドリングGRの円形輪郭に沿って等距離を維持するように配置される。
【0136】
ホイスト11cWは、
図8に示すように、基板Wの中心と一致する基板保持部11cの中心から、搬送装置(搬送ロボット)12bにおけるロボットアーム12b1の駆動中心へ引いた直線上、および、この直線に対して、基板保持部11cの中心角が120°をなす直線上とに位置するように配置されている。
【0137】
ホイスト11cGRは、
図8に示すように、ガイドリングGRの中心と一致する基板保持部11cの中心から、搬送装置(搬送ロボット)18bにおけるロボットアーム18b1の駆動中心へ引いた直線上、および、この直線に対して、基板保持部11cの中心角が120°をなす直線上とに位置するように配置されている。
【0138】
本実施形態においては、トランスファチャンバ12の内部における、搬送装置(搬送ロボット)12bと搬送装置(搬送ロボット)18bとの配置に対応して、ホイスト11cWとホイスト11cGRとが、基板保持部11cの中心に対して、周方向に互いにずれた位置に配置される。
【0139】
搬送装置(搬送ロボット)18bのロボットハンド18bGRと、基板保持部11cのホイスト11cGRとは、ガイドリング交換部を構成している。
【0140】
以下、本実施形態におけるドライエッチング方法を図面に基づいて説明する。
なお、第1実施形態と対応する構成には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0141】
図3に示した第1実施形態と同様に、本実施形態におけるドライエッチング方法は、前処理工程S00と、基板準備工程S01と、ガイドリング準備工程S02と、ガイドリング搬入工程S03と、基板搬入工程S04と、ガイドリングセット工程S11と、基板セット工程S12と、エッチング工程S13と、ガイドリング取り出し工程S14と、ガイドリングセット工程S15と、基板取り出し工程S16と、基板搬出工程S21と、ガイドリング搬出工程S22と、後処理工程S23と、を有する。
【0142】
図3に示したガイドリング搬入工程S03においては、
図8に示す密閉部15cを開放して、ガイドリング準備工程S02において準備した複数枚のガイドリングGRをロード/アンロード室13に搬入する。
さらに、密閉部15cを閉塞した後、ロード/アンロード室13をベントして、密閉部15bを開放し、搬送装置(搬送ロボット)18bによって、複数枚のガイドリングGRをトランスファチャンバ12に搬入し、複数枚のガイドリングGRをトランスファチャンバ12のガイドリング載置位置(収納部)に載置する。
この際、複数枚のガイドリングGRの移動には、搬送装置(搬送ロボット)18bのロボットハンド18bGRを用いる。
複数枚のガイドリングGRの移動が終了したら、密閉部15bを閉塞しておく。
【0143】
次いで、
図3に示す基板搬入工程S04においては、
図8に示す密閉部15cを開放して、基板準備工程S01において準備した複数枚の基板Wをロード/アンロード室13に搬入する。
さらに、密閉部15cを閉塞した後、ロード/アンロード室13をベントして、密閉部15bを開放し、搬送装置(搬送ロボット)12bによって、複数枚の基板Wをトランスファチャンバ12に搬入し、複数枚の基板Wをトランスファチャンバ12の基板載置位置(収納部)に載置する。
この際、複数枚の基板Wの移動には、搬送装置(搬送ロボット)12bのロボットハンド12bWを用いる。
複数枚の基板Wの移動が終了したら、密閉部15bを閉塞しておく。
【0144】
次いで、
図3に示すガイドリングセット工程S11においては、
図8に示す密閉部15aを開放して、ガイドリング搬入工程S03においてトランスファチャンバ12のガイドリング載置位置(収納部)に載置した複数枚のガイドリングGRから一枚を選択して、これをドライエッチング室11に搬入する。
【0145】
ガイドリングセット工程S11においては、
図4(a)に対応して、搬送装置(搬送ロボット)18bのロボットハンド18bGRに載置したガイドリングGRを、基板保持部11cにおける基板Wの外周位置となる上側に移動する。
【0146】
次いで、ガイドリングセット工程S11においては、
図4(b)に対応して、ホイスト11cGRを上昇させて、ガイドリングGRをロボットハンド18bGRに接触しない程度に上昇させる。このとき、ガイドリングGRはホイスト11cGRによって、支持される。
【0147】
次いで、ガイドリングセット工程S11においては、
図4(c)に対応して、ロボットハンド18bGRを基板保持部11cにおける上側位置から退避するとともに、ホイスト11cGRを下降させて、ガイドリングGRを、基板保持部11cにおける基板Wの外周位置に移動する。
【0148】
基板セット工程S12においては、
図4(d)に対応して、搬送装置(搬送ロボット)12bのロボットハンド12bWに載置した基板Wを、基板保持部11cにおける基板Wの処理位置となる上側に移動する。
【0149】
次いで、基板セット工程S12においては、
図4(e)に対応して、ホイスト11cWを上昇させて、基板Wをロボットハンド12bWに接触しない程度に上昇させる。このとき、基板Wはホイスト11cWによって、支持される。
【0150】
次いで、基板セット工程S12においては、
図4(f)に対応して、ロボットハンド12bWを基板保持部11cにおける上側位置から退避するとともに、ホイスト11cWを下降させて、基板Wを、基板保持部11cにおける基板Wの処理位置に移動する。
【0151】
被処理層W3のエッチングが終了した時点でエッチング工程S13を終了した後、ガイドリング取り出し工程S14においては、
図5(a)に対応して、ホイスト11cGRを上昇させて、進入するロボットハンド18bGRに接触しない程度に、ガイドリングGRを上昇させる。このとき、エッチング工程S13において用いた被処理層W3のエッチングに対応するガイドリングGRはホイスト11cGRによって、支持される。
【0152】
次いで、ガイドリング取り出し工程S14においては、
図5(b)に対応して、搬送装置(搬送ロボット)18bのロボットハンド18bGRを、基板保持部11cにおける基板Wの上側で外周外側まで到達する位置に移動する。
【0153】
次いで、ガイドリング取り出し工程S14においては、ホイスト11cGRを下降させて、ガイドリングGRを、ロボットハンド18bGRに載置する。さらに、
図5(c)に対応して、ホイスト11cGRを下降させて退避させる。
次いで、搬送装置(搬送ロボット)18bを駆動して、ロボットハンド18bGRに載置されたガイドリングGRを、トランスファチャンバ12のガイドリング載置位置(収納部)に移動する。
【0154】
次いで、
図3に示すガイドリングセット工程S15においては、
図8に示す密閉部15aを開放した状態で、ガイドリング搬入工程S03においてトランスファチャンバ12のガイドリング載置位置(収納部)に載置した複数枚のガイドリングGRから、ガイドリングセット工程S11とは異なり、被処理層W2のエッチングに対応する一枚のガイドリングGRを選択して、搬送装置(搬送ロボット)18bによってドライエッチング室11に搬入する。
【0155】
ガイドリングセット工程S15においては、
図5(d)に対応して、搬送装置(搬送ロボット)18bのロボットハンド18bGRに載置したガイドリングGRを、基板保持部11cにおける基板Wの外周位置となる上側に移動する。
【0156】
次いで、ガイドリングセット工程S15においては、
図5(d)に対応して、ホイスト11cGRを上昇させて、ガイドリングGRをロボットハンド18bGRに接触しない程度に上昇させる。このとき、ガイドリングGRはホイスト11cGRによって、支持される。
【0157】
次いで、ガイドリングセット工程S15においては、
図5(e)に対応して、ロボットハンド18bGRを基板保持部11cにおける上側位置から退避するとともに、さらに、ホイスト11cGRを下降させて、ガイドリングGRを、基板保持部11cにおける基板Wの外周位置に移動する。
【0158】
被処理層W2のエッチングが終了した時点でエッチング工程S13を終了した後、
図3に示すガイドリング取り出し工程S14においては、
図8に示す密閉部15aを開放して、搬送装置(搬送ロボット)18bによって、エッチング工程S13において用いた被処理層W2のエッチングに対応するガイドリングGRをドライエッチング室11から取り出して、これをトランスファチャンバ12のガイドリング載置位置(収納部)に載置する。
【0159】
ガイドリング取り出し工程S14においては、
図5(a)に対応して、ホイスト11cGRを上昇させて、進入するロボットハンド18bGRに接触しない程度にガイドリングGRを上昇させる。このとき、ガイドリングGRはホイスト11cGRによって、支持される。
【0160】
次いで、ガイドリング取り出し工程S14においては、
図5(b)に対応して、搬送装置(搬送ロボット)18bのロボットハンド18bGRを、基板保持部11cにおける基板Wの上側で外周外側まで到達する位置に移動する。
【0161】
次いで、ガイドリング取り出し工程S14においては、ホイスト11cGRを下降させて、ガイドリングGRを、ロボットハンド18bGRに載置する。さらに、
図5(c)に対応して、ホイスト11cGRを下降させて退避させる。
次いで、搬送装置(搬送ロボット)18bを駆動して、ロボットハンド18bGRに載置されたガイドリングGRを、トランスファチャンバ12のガイドリング載置位置(収納部)に移動する。
【0162】
次いで、
図3に示すガイドリングセット工程S15においては、
図8に示す密閉部15aを開放した状態で、ガイドリング搬入工程S03においてトランスファチャンバ12のガイドリング載置位置(収納部)に載置した複数枚のガイドリングGRから、ガイドリングセット工程S15とは異なり、被処理層W1のエッチングに対応する一枚のガイドリングGRを選択して、搬送装置(搬送ロボット)18bによってドライエッチング室11に搬入する。
【0163】
ガイドリングセット工程S15においては、
図5(d)に対応して、搬送装置(搬送ロボット)18bのロボットハンド18bGRに載置したガイドリングGRを、基板保持部11cにおける基板Wの外周位置となる上側に移動する。
【0164】
次いで、ガイドリングセット工程S15においては、
図5(d)に対応して、ホイスト11cGRを上昇させて、ガイドリングGRをロボットハンド18bGRに接触しない程度に上昇させる。このとき、ガイドリングGRはホイスト11cGRによって、支持される。
【0165】
次いで、ガイドリングセット工程S15においては、
図5(e)に対応して、ロボットハンド18bGRを基板保持部11cにおける上側位置から退避するとともに、さらに、ホイスト11cGRを下降させて、ガイドリングGRを、基板保持部11cにおける基板Wの外周位置に移動する。
【0166】
次いで、
図3に示すガイドリング取り出し工程S14においては、
図8に示す密閉部15aを開放して、搬送装置(搬送ロボット)18bによって、エッチング工程S13において用いた被処理層W1のエッチングに対応するガイドリングGRをドライエッチング室11から取り出して、これをトランスファチャンバ12のガイドリング載置位置(収納部)に載置する。
【0167】
ガイドリング取り出し工程S14においては、
図5(a)に対応して、ホイスト11cGRを上昇させて、進入するロボットハンド18bGRに接触しない程度にガイドリングGRを上昇させる。このとき、ガイドリングGRはホイスト11cGRによって、支持される。
【0168】
次いで、ガイドリング取り出し工程S14においては、
図5(b)に対応して、搬送装置(搬送ロボット)18bのロボットハンド18bGRを、基板保持部11cにおける基板Wの外周位置となる上側に移動する。
【0169】
次いで、ガイドリング取り出し工程S14においては、ホイスト11cGRを下降させて、ガイドリングGRを、ロボットハンド18bGRに載置する。さらに、
図5(c)に対応して、ホイスト11cGRを下降させて退避させる。
次いで、搬送装置(搬送ロボット)18bを駆動して、ロボットハンド18bGRに載置されたガイドリングGRを、トランスファチャンバ12のガイドリング載置位置(収納部)に移動する。
【0170】
次いで、
図3に示すガイドリングセット工程S15においては、
図8に示す密閉部15aを開放した状態で、ガイドリング搬入工程S03においてトランスファチャンバ12のガイドリング載置位置(収納部)に載置した複数枚のガイドリングGRから、ガイドリングセット工程S11と同様に、被処理層W3のエッチングに対応する一枚のガイドリングGRを選択して、搬送装置(搬送ロボット)18bによってドライエッチング室11に搬入する。
この場合、被処理層W3のエッチングに対応する一枚のガイドリングGRは、先に使用したガイドリングGRとすること、あるいは、新たな未使用のガイドリングGRとすることもできる。
【0171】
ガイドリングセット工程S15においては、
図5(d)に対応して、搬送装置(搬送ロボット)18bのロボットハンド18bGRに載置したガイドリングGRを、基板保持部11cにおける基板Wの外周位置となる上側に移動する。
【0172】
次いで、ガイドリングセット工程S15においては、
図5(d)に対応して、ホイスト11cGRを上昇させて、ガイドリングGRをロボットハンド18bGRに接触しない程度に上昇させる。このとき、ガイドリングGRはホイスト11cGRによって、支持される。
【0173】
次いで、ガイドリングセット工程S15においては、
図5(e)に対応して、ロボットハンド18bGRを基板保持部11cにおける上側位置から退避するとともに、さらに、ホイスト11cGRを下降させて、ガイドリングGRを、基板保持部11cにおける基板Wの外周位置に移動する。
【0174】
ガイドリング搬出工程S22においては、
図8に示す密閉部15bを開放して、搬送装置(搬送ロボット)18bによって、使用した複数枚のガイドリングGRをトランスファチャンバ12のガイドリング載置位置(収納部)からロード/アンロード室13に搬入する。
さらに、密閉部15bを閉塞した後、ロード/アンロード室13を外部と同圧として、密閉部15cを開放し、複数枚のガイドリングGRを外部に搬出する。
【0175】
本実施形態におけるドライエッチング装置10によるドライエッチング方法においては、上述した第1実施形態と同等の効果を奏することができる。
さらに、本実施形態においては、トランスファチャンバ12の内部における、搬送装置(搬送ロボット)12bと搬送装置(搬送ロボット)18bとの配置に対応して、ホイスト11cWとホイスト11cGRとが、基板保持部11cの中心に対して、周方向に互いにずれた位置に配置されている。これにより、搬送装置(搬送ロボット)12bのロボットハンド12bWがホイスト11cGRに干渉することがない。同時に、搬送装置(搬送ロボット)18bのロボットハンド12bGRがホイスト11cWに干渉することがない。
【0176】
本実施形態においては、ガイドリングより基板側へのコンタミを防ぐことができるという効果を奏することができる。
【0177】
以下、本発明に係るドライエッチング方法、ドライエッチング装置の第3実施形態を、図面に基づいて説明する。
図9は、本実施形態におけるドライエッチング装置を示す模式平面図である。
図10は、本実施形態におけるカセットを示す模式正面図である。
本実施形態において上述した第1および第2実施形態と異なるのはカセットに関する点である。
【0178】
本実施形態においては、基板WおよびガイドリングGRは、カセットCに収納されて、ドライエッチング装置10に搬入および搬出される。
【0179】
本実施形態に係るドライエッチング装置10は、反応性イオンエッチング処理をおこなう装置とされる。
ドライエッチング装置10は、
図1に示すように、ドライエッチング室(処理空間)11と、トランスファチャンバ(密閉空間)12と、ロード/アンロード室13とを有する。
【0180】
ドライエッチング室11は、例えば、プラズマ発生部によって、導入されたエッチングガスを電離して発生したプラズマによって、基板Wのドライエッチング処理をおこなうものとされる。ドライエッチング室11は、密閉可能とされる。
ドライエッチング室11には、エッチングガスを供給するエッチングガス供給部11aと、ドライエッチング室11の内部を排気する排気部11bと、基板Wを載置してエッチング処理可能とする基板保持部11cと、プラズマ発生部と、が設けられる。プラズマ発生部は、図示しないプラズマ発生用電源と、基板Wにバイアス電位を印加可能な高周波電源11dと、を有する。
【0181】
また、エッチングガス供給部11aは、エッチングガスに加えて、パージガス等のガスや、ドライエッチング室11をクリーニングするクリーニングガス等を供給可能とされてもよい。
基板保持部11cは、エッチング処理時に基板Wを支持する。基板保持部11cにおける基板Wの外周位置には、基板W以外の電極部分となる基板保持部11cをプラズマから保護するガイドリングGRが載置される。
ガイドリングGRは、基板Wの外周に位置して、基板保持部11cを覆うように円環状の平板とされる。
【0182】
基板保持部11cには、基板Wを上下動するホイスト11cWと、ガイドリングGRを上下動するホイスト11cGRとが設けられる。
ホイスト11cW,11cGRは、いずれも、鉛直方向に立設され、図示しない駆動部によって同期して上下動可能とされた複数のピンからなる。
【0183】
ホイスト11cWは、基板Wの下面に当接して、基板Wを水平に保持した状態で上下動可能とされる。
ホイスト11cWは、円形輪郭とされる基板Wの周縁部に沿って、等距離に複数設けられる。本実施形態においては、例えば、3箇所のホイスト11cWが互いに基板Wの円形輪郭に沿って等距離を維持するように配置される。
【0184】
ホイスト11cGRは、ガイドリングGRの下面に当接して、ガイドリングGRを水平に保持した状態で上下動可能とされる。
ホイスト11cGRは、円環状とされるガイドリングGRの周縁部に沿って、等距離に複数設けられる。本実施形態においては、例えば、3箇所のホイスト11cGRが互いにガイドリングGRの円形輪郭に沿って等距離を維持するように配置される。
【0185】
ホイスト11cWとホイスト11cGRとは、
図9に示すように、基板Wの中心と一致する基板保持部11cの中心から、同一の直線上に位置するように配置されている。
【0186】
ドライエッチング室11には、エッチングガスを基板保持部11cの上に載置された基板Wに均一に供給するシャワープレートと、このシャワープレートに高周波を印加するプラズマ発生用電源を有していてもよい。
【0187】
ドライエッチング室11は、ドアバルブ等とされる密閉部15aによって、トランスファチャンバ12と密閉可能に連結されている。ドライエッチング室11とトランスファチャンバ12とは、互いに基板Wおよび/またはガイドリングGRをやり取り可能とされている。
【0188】
トランスファチャンバ12には、トランスファチャンバ12の内部を排気する排気部12aが接続される。
トランスファチャンバ12には、パージガス等のガスや、トランスファチャンバ12をクリーニングするクリーニングガス等を供給可能なガス供給部が設けられてもよい。
【0189】
本実施形態のドライエッチング装置10においては、
図9に示すように、トランスファチャンバ12の内部に、複数枚の基板Wおよび複数枚のガイドリングGRがカセットCに収納されて載置可能とされる。
トランスファチャンバ12には、
図9に示すように、密閉部15bの正面に収納部としてカセットCが載置可能である。
【0190】
トランスファチャンバ12の内部には、搬送装置(搬送ロボット)12bが配置されている。
搬送装置(搬送ロボット)12bは、回転軸と、この回転軸に取り付けられたロボットアーム12b1と、ロボットアーム12b1の一端に形成されたロボットハンド12bW,12bGRと、上下動装置とを有している。
【0191】
搬送装置(搬送ロボット)12bにおいて、ロボットアーム12b1は互いに屈曲可能な複数の能動アームから構成されている。
図9に示す例では、2つの屈曲軸を有する構成とされている。搬送装置12bは、被搬送物である基板Wおよび/またはガイドリングGRを、ドライエッチング室11,トランスファチャンバ12,ロード/アンロード室13間で移動させることができる。なお、搬送装置12bとして、ロボットアームを回転軸こと水平方向位置に移動させるか、基板Wをさらに水平方向に移動させる追加移動手段を設けることもできる。
【0192】
搬送装置(搬送ロボット)12bにおいて、ロボットアーム12b1の先端には、ロボットアーム12b1に対して回転可能なロボットハンド12bWおよびロボットハンド12bGRが設けられる。
ロボットハンド12bWは、基板Wを保持可能な形状とされている。また、ロボットハンド12bGRは、ガイドリングGRを保持可能な形状とされている。
【0193】
ロボットハンド12bWは、ホイスト11cWで上昇位置とされた基板Wを下側から支持して、基板Wをドライエッチング室11とトランスファチャンバ12との間で移動することができる。
ロボットハンド12bGRは、ホイスト11cGRで上昇位置とされたガイドリングGRを下側から支持して、ガイドリングGRをドライエッチング室11とトランスファチャンバ12との間で移動することができる。
【0194】
ロボットハンド12bWとロボットハンド12bGRとは、互いに逆向き、つまり、それぞれのなす角度が180°をなるように構成されている。
なお、ロボットハンド12bWとロボットハンド12bGRとは、基板WとガイドリングGRとをそれぞれ支持して移動可能であれば、この構成に限定されることはない。
【0195】
トランスファチャンバ12の内部においては、搬送装置(搬送ロボット)12bがトランスファチャンバ12の中央に位置して、複数枚の基板Wの収納部および複数枚のガイドリングGRの収納部が、それぞれ搬送装置(搬送ロボット)12bの両側に位置している。
トランスファチャンバ12の内部においては、搬送装置(搬送ロボット)12bは、密閉部15aの正面に位置する。
【0196】
搬送装置(搬送ロボット)12bのロボットハンド12bGRと、基板保持部11cのホイスト11cGRとは、ガイドリング交換部を構成している。
【0197】
トランスファチャンバ12は、ドアバルブ等とされる密閉部15bによって、ロード/アンロード室13と密閉可能に連結されている。ロード/アンロード室13とトランスファチャンバ12とは、互いに基板Wおよび/またはガイドリングGRをやり取り可能とされている。トランスファチャンバ12は、密閉可能とされる。
【0198】
トランスファチャンバ12の内部においては、搬送装置(搬送ロボット)12bは、密閉部15bの正面に位置する。
【0199】
トランスファチャンバ12においては、
図9に示すように、密閉部15bと密閉部15aとが対向する位置に配置される。トランスファチャンバ12においては、密閉部15bと密閉部15aとの間に収納部としてのカセットCが載置される位置、および、搬送装置(搬送ロボット)12bが配置される。
【0200】
したがって、トランスファチャンバ12においては、
図9に示すように、密閉部15b、収納部としてのカセットCの載置位置、搬送装置(搬送ロボット)12b、密閉部15aの順に並んで配置される。
【0201】
トランスファチャンバ12には、後述するロード/アンロード室13のカセット移動部11fと協働して、ロード/アンロード室13とトランスファチャンバ12との間でカセットCを移動するカセット移動部12fが設けられる。
【0202】
ロード/アンロード室13は、ドアバルブ等とされる密閉部15cによって、外部と密閉可能に連結されている。ロード/アンロード室13は、外部と基板Wおよび/またはガイドリングGRをやり取り可能とされている。ロード/アンロード室13は、密閉可能とされる。
【0203】
ロード/アンロード室13には、後述するトランスファチャンバ12のカセット移動部12fと協働して、ロード/アンロード室13とトランスファチャンバ12との間でカセットCを移動するカセット移動部13fが設けられる。
【0204】
カセット移動部13f,12fは、密閉部15aが開放されている状態でロード/アンロード室13とトランスファチャンバ12との間でカセットCを移動可能とされる。
カセット移動部13fおよびカセット移動部12fは、ガイドリング交換部の一部を構成する。
【0205】
図2は、本実施形態におけるドライエッチング方法、ドライエッチング装置においてエッチング処理される基板を示す模式断面図である。
本実施形態におけるドライエッチング方法、ドライエッチング装置においてエッチング処理される基板Wは、
図2に示すように、異なる材質からなる複数の被処理層W1,W2,W3が積層されている。これら複数の被処理層W1,W2,W3は、異なる材質からなるものであれば、基板Wの全面に積層されるか、あるいは、基板Wに対して部分的に積層されていることもできる。
【0206】
なお、基板Wは、シリコン基板、SiC基板、ニオブ酸リチウム基板、サファイア基板、砒化ガリウム基板、リン化インジウム基板、ニオブ酸リチウム基板、タンタル酸リチウム基板のいずれかとされることができ、また、複数の被処理層W1,W2,W3は、例えば、SiO2、Si、Al,Co.Cu,Mo,Ti,SiC、C、GaN、AlN、Al、W、Mo、Ti、Cr、Ruなどから選択されたものとすることができる。
さらに、これら複数の被処理層W1,W2,W3に対応して、ガイドリングGRは、Si、SiO2、SiC、Pl、C、Al、W、Mo、Ti、Cr、Ruなどから選択されたものとすることができる。
被処理層と、ガイドリングGRとの対応は、具体的には、AlとAl2O3、MoとPIとすることができる。
【0207】
本実施形態のカセットCは、複数枚の基板Wを収納する基板収納部CWと、複数枚のガイドリングGRを収納するガイドリング収納部CGRとを有する。
カセットCにおいては、基板収納部CWがガイドリング収納部CGRの上部に配置されている。
【0208】
基板収納部CWとガイドリング収納部CGRとは、収納する基板WおよびガイドリングGRの径方向寸法に対応して、基板収納部CWに比べて、ガイドリング収納部CGRが大きな水平方向寸法を有する。
したがって、カセットCは、上側部分に比べて、下側部分が大きな幅寸法を有する。
【0209】
基板収納部CWとガイドリング収納部CGRとは、同一側となる側壁が開口されており、 基板収納部CWの底部とガイドリング収納部CGRの天井部とは隔離されている。
【0210】
基板収納部CWは、略箱形とされる。基板収納部CWの側壁部分には、複数枚の基板Wを表面が水平な状態として、かつ、互いに等しい間隔で平行に離間する状態として支持可能とする基板縁支持部CW1,CW1が上下方向に複数設けられる。
【0211】
ガイドリング収納部CGRは、略箱形とされる。ガイドリング収納部CGRの側壁部分には、複数枚のガイドリングGRを表面が水平な状態として、かつ、互いに等しい間隔で平行に離間する状態として支持可能とするガイドリング縁支持部CGR1,CGR1が上下方向に複数設けられる。
【0212】
以下、本実施形態におけるドライエッチング方法を図面に基づいて説明する。
【0213】
図3は、本実施形態におけるドライエッチング方法を示すフローチャートである。
本実施形態におけるドライエッチング方法は、前処理工程S00と、基板準備工程S01と、ガイドリング準備工程S02と、ガイドリング搬入工程S03と、基板搬入工程S04と、ガイドリングセット工程S11と、基板セット工程S12と、エッチング工程S13と、ガイドリング取り出し工程S14と、ガイドリングセット工程S15と、基板取り出し工程S16と、基板搬出工程S21と、ガイドリング搬出工程S22と、後処理工程S23と、を有する。
【0214】
図4は、本実施形態におけるドライエッチング方法を示す工程図である。
図5は、本実施形態におけるドライエッチング方法を示す工程図である。
本実施形態におけるドライエッチング方法は、まず、
図3に示す前処理工程S00として、基板Wに複数の被処理層W1,W2,W3を積層する。さらに、前処理工程S00においては、レジスト等を積層して、パターン形成することなどもできる。
【0215】
図3に示す基板準備工程S01においては、
図9に示すドライエッチング装置10におけるロード/アンロード室13に基板Wを搬入できるように、ロード/アンロード室13の外部位置において、
図10に示すカセットCの基板収納部CWに複数枚の基板Wを収納する。この際、基板Wの縁部が、基板縁支持部CW1,CW1に載置される。
【0216】
図3に示すガイドリング準備工程S02においては、
図9に示すドライエッチング装置10におけるロード/アンロード室13にガイドリングGRを搬入できるように、ロード/アンロード室13の外部位置において、
図10に示すカセットCのガイドリング収納部CGRに複数枚のガイドリングGRを収納する。この際、ガイドリングGRの縁部が、ガイドリング縁支持部CGR1,CGR1に載置される。
【0217】
ここで、複数枚のガイドリングGRの材質は、基板Wに積層された複数の被処理層W1,W2,W3の材質に対応して、エッチング処理における分布およびエッチング特性を最適化するように選択される。
【0218】
また、カセットCのガイドリング収納部CGRにおいては、エッチング処理をおこなう複数の被処理層W1,W2,W3に対応した順番となるように、ガイドリングGRの縁部を、上下方向に位置するガイドリング縁支持部CGR1,CGR1にそれぞれ載置する。
【0219】
次いで、
図3に示すガイドリング搬入工程S03および基板搬入工程S04においては、
図1に示す密閉部15cを開放して、基板準備工程S01およびガイドリング準備工程S02においてカセットCに収納した複数枚の基板WおよびガイドリングGRをロード/アンロード室13に搬入する。
【0220】
さらに、ガイドリング搬入工程S03および基板搬入工程S04においては、密閉部15cを閉塞した後、ロード/アンロード室13をベントして、密閉部15bを開放し、カセット移動部11f,12fによって、基板WおよびガイドリングGRの収納されたカセットCをトランスファチャンバ12に搬入し、カセットCをトランスファチャンバ12の基板載置位置およびガイドリング載置位置(収納部)に載置する。
カセットCの収納部への載置が終了したら、密閉部15bを閉塞しておく。
【0221】
次いで、
図3に示すガイドリングセット工程S11においては、
図9に示す密閉部15aを開放して、ガイドリング搬入工程S03においてトランスファチャンバ12の収納部に載置したカセットCに収納されている複数枚のガイドリングGRから一枚を選択して、これをドライエッチング室11に搬入する。
【0222】
ガイドリングセット工程S11においては、カセットCのガイドリング収納部CGRにおいて、ガイドリング縁支持部CGR1,CGR1にそれぞれ載置したガイドリングGRのうち、一番上にある一枚を選択し、このガイドリングGRの下側に搬送装置(搬送ロボット)12bのロボットハンド12bGRを差し込んで上昇させ、ロボットハンド12bGRにガイドリングGRを載置する。
その後、
図4(a)に示すように、搬送装置(搬送ロボット)12bを駆動して、ロボットハンド12bGRに載置したガイドリングGRを、ドライエッチング室11の基板保持部11cにおける基板Wの外周位置となる上側に移動する。
【0223】
次いで、ガイドリングセット工程S11においては、
図4(b)に示すように、ホイスト11cGRを上昇させて、ガイドリングGRをロボットハンド12bGRに接触しない程度に上昇させる。このとき、ガイドリングGRはホイスト11cGRによって、支持される。
【0224】
次いで、ガイドリングセット工程S11においては、
図4(c)に示すように、ロボットハンド12bGRを基板保持部11cにおける上側位置から退避するとともに、ホイスト11cGRを下降させて、ガイドリングGRを、基板保持部11cにおける基板Wの外周位置に載置する。
【0225】
次いで、
図3に示す基板セット工程S12においては、
図9に示す密閉部15aを開放した状態で、基板搬入工程S04においてトランスファチャンバ12の収納部に載置したカセットCに収納されている複数枚の基板Wから一枚を選択して、これをドライエッチング室11に搬入する。
【0226】
基板セット工程S12においては、カセットCの基板収納部CWにおいて、基板縁支持部CW1,CW1にそれぞれ載置した基板Wのうち、所定箇所にある一枚を選択し、この基板Wの下側に搬送装置(搬送ロボット)12bのロボットハンド12bWを差し込んで上昇させ、ロボットハンド12bWに基板Wを載置する。
その後、
図4(d)に示すように、搬送装置(搬送ロボット)12bを駆動して、ロボットハンド12bWに載置した基板Wを、ドライエッチング室11の基板保持部11cにおける基板Wの処理位置となる上側に移動する。
【0227】
次いで、基板セット工程S12においては、
図4(e)に示すように、ホイスト11cWを上昇させて、基板Wをロボットハンド12bWに接触しない程度に上昇させる。このとき、基板Wはホイスト11cWによって、支持される。
【0228】
次いで、基板セット工程S12においては、
図4(f)に示すように、ロボットハンド12bWを基板保持部11cにおける上側位置から退避するとともに、ホイスト11cWを下降させて、基板Wを、基板保持部11cにおける基板Wの処理位置に載置する。
【0229】
次いで、
図3に示すエッチング工程S13においては、
図9に示す密閉部15aを閉塞して、基板セット工程S12においてドライエッチング室11の基板保持部11cに載置した基板Wをエッチング処理する。
【0230】
エッチング工程S13においては、
図4(g)に示すように、ドライエッチング室11にエッチングガス供給部11aからエッチングガスを供給するとともに、排気部11bによってドライエッチング室11の内部を排気する。同時に、プラズマ発生用電源によってシャワープレートに高周波を印加するとともに、高周波電源11dによって基板Wにバイアス電位を印加する。
エッチング工程S13においては、
図4(g)に示すように、エッッチャントである、ラジカル、あるいは、エッチングガス分子等によって、最上層である被処理層W3がエッチングされる。
【0231】
このとき、ガイドリングGRの材質が被処理層W3のエッチング条件を最適化するように選択されていることにより、被処理層W3のエッチング処理における分布、エッチング特性が最適化される。
被処理層W3のエッチングが終了した時点でエッチング工程S13を終了し、エッチングガス供給部11aからエッチングガスの供給を停止するとともに、排気部11bによってドライエッチング室11の内部を排気する。同時に、プラズマ発生用電源によるシャワープレートへの高周波の印加を停止するとともに、高周波電源11dによる基板Wへのバイアス電位の印加を停止する。
【0232】
次いで、
図3に示すガイドリング取り出し工程S14においては、
図9に示す密閉部15aを開放して、エッチング工程S13において用いた被処理層W3のエッチングに対応するガイドリングGRをドライエッチング室11から取り出して、これをトランスファチャンバ12のガイドリング載置位置(収納部)に載置する。
【0233】
ガイドリング取り出し工程S14においては、
図5(a)に示すように、ホイスト11cGRを上昇させて、進入するロボットハンド12bGRに接触しない程度にガイドリングGRを上昇させる。このとき、ガイドリングGRはホイスト11cGRによって、支持される。
【0234】
次いで、ガイドリング取り出し工程S14においては、
図5(b)に示すように、搬送装置(搬送ロボット)12bのロボットハンド12bGRを、基板保持部11cにおける基板Wの上側で外周外側まで到達する位置に移動する。
【0235】
次いで、ガイドリング取り出し工程S14においては、ホイスト11cGRを下降させて、ガイドリングGRを、ロボットハンド12bGRに載置する。さらに、
図5(c)に示すように、ホイスト11cGRを下降させて退避させる。
次いで、搬送装置(搬送ロボット)12bを駆動して、ロボットハンド12bGRに載置されたガイドリングGRを、トランスファチャンバ12の収納部に載置されたカセットCのガイドリング収納部CGRに収納する。
【0236】
次いで、
図3に示すガイドリングセット工程S15においては、
図9に示す密閉部15aを開放した状態で、ガイドリング搬入工程S03においてトランスファチャンバ12の収納部に載置したカセットCに収納されている複数枚のガイドリングGRから、ガイドリングセット工程S11とは異なり、ガイドリング収納部CGRの2番目に収納されている被処理層W2のエッチングに対応する一枚のガイドリングGRを選択して、これをドライエッチング室11に搬入する。
【0237】
ガイドリングセット工程S15においては、カセットCのガイドリング収納部CGRにおいて、ガイドリング縁支持部CGR1,CGR1にそれぞれ載置したガイドリングGRのうち、2番目にある一枚を選択し、このガイドリングGRの下側に搬送装置(搬送ロボット)12bのロボットハンド12bGRを差し込んで上昇させ、ロボットハンド12bGRにガイドリングGRを載置する。
その後、
図5(d)に示すように、搬送装置(搬送ロボット)12bのロボットハンド12bGRに載置したガイドリングGRを、ドライエッチング室11の基板保持部11cにおける基板Wの外周位置となる上側に移動する。
【0238】
次いで、ガイドリングセット工程S15においては、
図5(d)に示すように、ホイスト11cGRを上昇させて、ガイドリングGRをロボットハンド12bGRに接触しない程度に上昇させる。このとき、ガイドリングGRはホイスト11cGRによって、支持される。
【0239】
次いで、ガイドリングセット工程S15においては、
図5(e)に示すように、ロボットハンド12bGRを基板保持部11cにおける上側位置から退避するとともに、さらに、ホイスト11cGRを下降させて、ガイドリングGRを、基板保持部11cにおける基板Wの外周位置に載置する。
【0240】
次いで、
図3に示すエッチング工程S13においては、
図9に示す密閉部15aを閉塞して、基板セット工程S12においてドライエッチング室11の基板保持部11cに載置した基板Wをエッチング処理する。
【0241】
エッチング工程S13においては、
図4(g)に示すように、ドライエッチング室11にエッチングガス供給部11aからエッチングガスを供給するとともに、排気部11bによってドライエッチング室11の内部を排気する。同時に、プラズマ発生用電源によってシャワープレートに高周波を印加するとともに、高周波電源11dによって基板Wにバイアス電位を印加する。
エッチング工程S13においては、
図4(g)に示すように、エッッチャントである、ラジカル、あるいは、エッチングガス分子等によって、2番目の層である被処理層W2がエッチングされる。
【0242】
このとき、ガイドリングGRの材質が被処理層W2のエッチング条件を最適化するように選択されていることにより、被処理層W2のエッチング処理における分布、エッチング特性が最適化される。
なお、被処理層W2のエッチング条件は、被処理層W3のエッチング条件と異なることができる。
被処理層W2のエッチングが終了した時点でエッチング工程S13を終了し、エッチングガス供給部11aからエッチングガスの供給を停止するとともに、排気部11bによってドライエッチング室11の内部を排気する。同時に、プラズマ発生用電源によるシャワープレートへの高周波の印加を停止するとともに、高周波電源11dによる基板Wへのバイアス電位の印加を停止する。
【0243】
次いで、
図3に示すガイドリング取り出し工程S14においては、
図1に示す密閉部15aを開放して、エッチング工程S13において用いた被処理層W2のエッチングに対応するガイドリングGRをドライエッチング室11から取り出して、これをトランスファチャンバ12の収納部に載置されたカセットCに収納する。
【0244】
ガイドリング取り出し工程S14においては、
図5(a)に示すように、ホイスト11cGRを上昇させて、進入するロボットハンド12bGRに接触しない程度にガイドリングGRを上昇させる。このとき、ガイドリングGRはホイスト11cGRによって、支持される。
【0245】
次いで、ガイドリング取り出し工程S14においては、
図5(b)に示すように、搬送装置(搬送ロボット)12bのロボットハンド12bGRを、基板保持部11cにおける基板Wの外周位置となる上側に移動する。
【0246】
次いで、ガイドリング取り出し工程S14においては、ホイスト11cGRを下降させて、ガイドリングGRを、ロボットハンド12bGRに載置する。さらに、
図5(c)に示すように、ホイスト11cGRを下降させて退避させる。
次いで、搬送装置(搬送ロボット)12bを駆動して、ロボットハンド12bGRに載置されたガイドリングGRを、トランスファチャンバ12の収納部に載置されたカセットCのガイドリング収納部CGRに収納する。
【0247】
次いで、
図3に示すガイドリングセット工程S15においては、
図9に示す密閉部15aを開放した状態で、ガイドリング搬入工程S03においてトランスファチャンバ12の収納部に載置したカセットCに収納されている複数枚のガイドリングGRから、ガイドリングセット工程S11とは異なり、ガイドリング収納部CGRの3番目に収納されている被処理層W1のエッチングに対応する一枚のガイドリングGRを選択して、これをドライエッチング室11に搬入する。
【0248】
ガイドリングセット工程S15においては、カセットCのガイドリング収納部CGRにおいて、ガイドリング縁支持部CGR1,CGR1にそれぞれ載置したガイドリングGRのうち、3番目にある一枚を選択し、このガイドリングGRの下側に搬送装置(搬送ロボット)12bのロボットハンド12bGRを差し込んで上昇させ、ロボットハンド12bGRにガイドリングGRを載置する。
その後、
図5(d)に示すように、搬送装置(搬送ロボット)12bのロボットハンド12bGRに載置したガイドリングGRを、ドライエッチング室11の基板保持部11cにおける基板Wの外周位置となる上側に移動する。
【0249】
次いで、ガイドリングセット工程S15においては、
図5(d)に示すように、ホイスト11cGRを上昇させて、ガイドリングGRをロボットハンド12bGRに接触しない程度に上昇させる。このとき、ガイドリングGRはホイスト11cGRによって、支持される。
【0250】
次いで、ガイドリングセット工程S15においては、
図5(e)に示すように、ロボットハンド12bGRを基板保持部11cにおける上側位置から退避するとともに、さらに、ホイスト11cGRを下降させて、ガイドリングGRを、基板保持部11cにおける基板Wの外周位置に載置する。
【0251】
次いで、
図3に示すエッチング工程S13においては、
図9に示す密閉部15aを閉塞して、基板セット工程S12においてドライエッチング室11の基板保持部11cに載置した基板Wをエッチング処理する。
【0252】
エッチング工程S13においては、
図4(g)に示すように、ドライエッチング室11にエッチングガス供給部11aからエッチングガスを供給するとともに、排気部11bによってドライエッチング室11の内部を排気する。同時に、プラズマ発生用電源によってシャワープレートに高周波を印加するとともに、高周波電源11dによって基板Wにバイアス電位を印加する。
エッチング工程S13においては、
図4(g)に示すように、エッッチャントである、ラジカル、あるいは、エッチングガス分子等によって、3番目の層である被処理層W1がエッチングされる。
【0253】
このとき、ガイドリングGRの材質が被処理層W1のエッチング条件を最適化するように選択されていることにより、被処理層W1のエッチング処理における分布、エッチング特性が最適化される。
なお、被処理層W1のエッチング条件は、被処理層W3および被処理層W2のエッチング条件と異なることができる。
被処理層W1のエッチングが終了した時点でエッチング工程S13を終了し、エッチングガス供給部11aからエッチングガスの供給を停止するとともに、排気部11bによってドライエッチング室11の内部を排気する。同時に、プラズマ発生用電源によるシャワープレートへの高周波の印加を停止するとともに、高周波電源11dによる基板Wへのバイアス電位の印加を停止する。
【0254】
次いで、
図3に示すガイドリング取り出し工程S14においては、
図1に示す密閉部15aを開放して、エッチング工程S13において用いた被処理層W1のエッチングに対応するガイドリングGRをドライエッチング室11から取り出して、これをトランスファチャンバ12の収納部に載置されたカセットCに収納する。
【0255】
ガイドリング取り出し工程S14においては、
図5(a)に示すように、ホイスト11cGRを上昇させて、進入するロボットハンド12bGRに接触しない程度にガイドリングGRを上昇させる。このとき、ガイドリングGRはホイスト11cGRによって、支持される。
【0256】
次いで、ガイドリング取り出し工程S14においては、
図5(b)に示すように、搬送装置(搬送ロボット)12bのロボットハンド12bGRを、基板保持部11cにおける基板Wの外周位置となる上側に移動する。
【0257】
次いで、ガイドリング取り出し工程S14においては、ホイスト11cGRを下降させて、ガイドリングGRを、ロボットハンド12bGRに載置する。さらに、
図5(c)に示すように、ホイスト11cGRを下降させて退避させる。
次いで、搬送装置(搬送ロボット)12bを駆動して、ロボットハンド12bGRに載置されたガイドリングGRを、トランスファチャンバ12の収納部に載置されたカセットCのガイドリング収納部CGRに収納する。
【0258】
次いで、
図3に示すガイドリングセット工程S15においては、
図9に示す密閉部15aを開放した状態で、ガイドリング搬入工程S03においてトランスファチャンバ12の収納部に載置したカセットCに収納されている複数枚のガイドリングGRから、ガイドリングセット工程S11と同様に、ガイドリング収納部CGRの1番目に収納されている被処理層W3のエッチングに対応する一枚のガイドリングGRを選択して、これをドライエッチング室11に搬入する。
この場合、被処理層W3のエッチングに対応する一枚のガイドリングGRは、先に使用したガイドリングGRとすること、あるいは、新たな未使用のガイドリングGRとすることもできる。
【0259】
ガイドリングセット工程S15においては、カセットCのガイドリング収納部CGRにおいて、ガイドリング縁支持部CGR1,CGR1にそれぞれ載置したガイドリングGRのうち、1番目にある一枚を選択し、このガイドリングGRの下側に搬送装置(搬送ロボット)12bのロボットハンド12bGRを差し込んで上昇させ、ロボットハンド12bGRにガイドリングGRを載置する。
その後、
図5(d)に示すように、搬送装置(搬送ロボット)12bのロボットハンド12bGRに載置したガイドリングGRを、ドライエッチング室11の基板保持部11cにおける基板Wの外周位置となる上側に移動する。
【0260】
次いで、ガイドリングセット工程S15においては、
図5(d)に示すように、ホイスト11cGRを上昇させて、ガイドリングGRをロボットハンド12bGRに接触しない程度に上昇させる。このとき、ガイドリングGRはホイスト11cGRによって、支持される。
【0261】
次いで、ガイドリングセット工程S15においては、
図5(e)に示すように、ロボットハンド12bGRを基板保持部11cにおける上側位置から退避するとともに、さらに、ホイスト11cGRを下降させて、ガイドリングGRを、基板保持部11cにおける基板Wの外周位置に載置する。
【0262】
次いで、
図3に示す基板取り出し工程S16においては、
図9に示す密閉部15aを開放した状態で、エッチング工程S13、ガイドリング取り出し工程S14、ガイドリングセット工程S15を繰り返して、複数の被処理層W3,W2,W1のエッチングが終了した基板Wをドライエッチング室11から取り出して、これをトランスファチャンバ12の収納部に載置されたカセットCに収納する。
【0263】
基板取り出し工程S16においては、
図5(f)に示すように、ホイスト11cWを上昇させて、進入するロボットハンド12bWに接触しない程度に基板Wを上昇させる。このとき、基板Wはホイスト11cWによって、支持される。
【0264】
次いで、基板取り出し工程S16においては、搬送装置(搬送ロボット)12bのロボットハンド12bWを、基板保持部11cにおける基板Wの上側に移動する。
【0265】
次いで、基板取り出し工程S16においては、ホイスト11cWを下降させて、基板Wを、ロボットハンド12bGRに載置する。
次いで、搬送装置(搬送ロボット)12bを駆動して、ロボットハンド12bWに載置された処理済みの基板Wを、トランスファチャンバ12の収納部に載置されたカセットCの基板収納部CWに収納する。
【0266】
次いで、
図3に示す基板セット工程S12においては、
図9に示す密閉部15aを開放した状態で、基板搬入工程S04においてトランスファチャンバ12の収納部に載置したカセットCに収納されている複数枚の基板Wから、新たに未処理の一枚を選択して、これをドライエッチング室11に搬入する。
【0267】
基板セット工程S12においては、カセットCの基板収納部CWにおいて、基板縁支持部CW1,CW1にそれぞれ載置した基板Wのうち、所定箇所にある一枚を選択し、この基板Wの下側に搬送装置(搬送ロボット)12bのロボットハンド12bWを差し込んで上昇させ、ロボットハンド12bWに基板Wを載置する。
その後、
図4(d)に示すように、搬送装置(搬送ロボット)12bのロボットハンド12bWに載置した基板Wを、基板保持部11cにおける基板Wの処理位置となる上側に移動する。
【0268】
次いで、基板セット工程S12においては、
図4(e)に示すように、ホイスト11cWを上昇させて、基板Wをロボットハンド12bWに接触しない程度に上昇させる。このとき、基板Wはホイスト11cWによって支持される。
【0269】
次いで、基板セット工程S12においては、
図4(f)に示すように、ロボットハンド12bWを基板保持部11cにおける上側位置から退避するとともに、ホイスト11cWを下降させて、基板Wを、基板保持部11cにおける基板Wの処理位置に載置する。
【0270】
さらに、エッチング工程S13、ガイドリング取り出し工程S14、ガイドリングセット工程S15を繰り返して、同様にして、複数の被処理層W3,W2,W1のエッチングをおこなう。
【0271】
次いで、
図3に示す基板セット工程S12、エッチング工程S13、ガイドリング取り出し工程S14、ガイドリングセット工程S15、基板取り出し工程S16を繰り返して、基板搬入工程S04においてトランスファチャンバ12の収納部に載置したカセットCに収納されている複数の基板Wに対する全ての処理を終了する。
【0272】
このとき、エッチング処理の終了した全ての基板Wは、トランスファチャンバ12の収納部に載置したカセットCに収納しておく。
なお、全ての基板Wでエッチング処理が終了した際には、ガイドリングセット工程S15による次のガイドリングGRを、カセットCからのドライエッチング室11へ移動しないことが好ましい。
【0273】
同様に、基板Wに対する全ての処理が終了したら、全てのガイドリングGRを、トランスファチャンバ12の収納部に載置したカセットCに収納しておく。
全ての基板Wと全てのガイドリングを、トランスファチャンバ12収納部に載置したカセットCに収納した後に、密閉部15aを閉塞しておく。
【0274】
次いで、
図3に示す基板搬出工程S21およびガイドリング搬出工程S22として、処理の終了した全ての基板WとガイドリングGRとをトランスファチャンバ12から取り出す。
【0275】
基板搬出工程S21およびガイドリング搬出工程S22においては、
図9に示す密閉部15bを開放して、カセット移動部11f,12fによって、処理の終了した全ての基板WとガイドリングGRとの収納されたカセットCを、トランスファチャンバ12の収納部からロード/アンロード室13に搬出する。
さらに、密閉部15bを閉塞した後、ロード/アンロード室13を外部と同圧として、密閉部15cを開放し、カセットCを外部に搬出する。
複数枚の基板WとガイドリングGRとの収納されたカセットCを外部に搬出したら、密閉部15cを閉塞しておく。
【0276】
次いで、
図3に示す後処理工程S23として、ロード/アンロード室13の外側において、必要な処理を基板Wに施す。
後処理工程S23における処理としては、洗浄、アッシング等の表面処理を挙げることができる。
【0277】
以上により、本実施形態におけるドライエッチング方法を終了する。
【0278】
本実施形態におけるドライエッチング装置10によるドライエッチング方法においては、処理の感度が異なる材質を有する複数の被処理層W3,W2,W1にそれぞれ対応して、ドライエッチングの途中で異なるガイドリングGRを選択して、In-situにてガイドリングGRを交換して切り替えることにより、エッチングをおこなう複数の被処理層W3,W2,W1に対応してラジカル、あるいは、副生成物の分布を最適化して、複数の被処理層W3,W2,W1のドライエッチングにおいて、分布、および、エッチング特性を最適化することが容易となる。
【0279】
これにより、材質の異なる複数の被処理層W3,W2,W1が積層された基板Wに対するドライエッチングにおいて、各被処理層W3,W2,W1のエッチングを最適化することが可能となる。
【0280】
また、本実施形態においては、上述するカセットCを用いることにより、収納したガイドリングGRから基板Wに対するパーティクル等による汚染発生を防止することができる。同時に、カセットCを交換することで、タクトタイムを短縮することが可能となる。
【0281】
さらに、本実施形態においては、装置価格を安価に抑えることができるという効果を奏することができる。
【0282】
さらに、本実施形態においては、基板WとガイドリングGRとを別のカセットによって搬入・搬出することも可能である。または、基板WとガイドリングGRとのどちらかのみをカセットによって搬入・搬出することも可能である。
【0283】
なお、本発明においては、上記の各実施形態におけるそれぞれの構成を一部、あるいは適宜組み合わせて実施することも可能である。
【実施例】
【0284】
以下、本発明にかかる実施例を説明する。
【0285】
なお、本発明におけるドライエッチング方法の具体例として、ガイドリング交換に対するドライエッチング確認試験について説明する。
【0286】
<実験例1>
図2に示す基板に対して、
図1に示すドライエッチング装置を用いて、ドライエッチングをおこなった。この際、基板に積層された被処理層に対応して、ガイドリングをin-situにて交換した。
【0287】
以下に、ドライエッチング確認試験における諸元を示す。
基板寸法;φ100mm
レジスト;フォトレジスト
レジスト膜厚;1μm
【0288】
被処理層W2;Al;膜厚200nm
被処理層W2エッチング条件
対応ガイドリング材質;アルミナ
エッチング時間;40sec
エッチングガス;Cl2/BCl3
ガス流量;50sccm/50sccm
プラズマ発生電力;200W
基板印加電力;50W
【0289】
被処理層W1;Mo;膜厚200nm
被処理層W1エッチング条件
対応ガイドリング材質;PI(ポリイミド)
エッチング時間;60sec
エッチングガス;SF6/O2
ガス流量;45sccm/5sccm
プラズマ発生電力;200W
基板印加電力;150W
【0290】
これらにより、エッチング処理をおこない、膜厚測定器によるエッチングレートを測定した。
【0291】
また、比較のため、被処理層W2;Al及び被処理層W1;Moの場合に対応ガイドリング材質を石英とし、それぞれの被処理層に対して、ガイドリングを交換して同様にエッチング処理をおこない、膜厚測定器によるエッチングレートを測定した。
これらを比較した結果、被処理層W2;Alのエッチングレート分布は±3%から±1%に、被処理層W1;Moのエッチングレート分布は±5%から±2%に改善した。
【0292】
この結果から、被処理層に対して、最適なガイドリング材質を選択することで、エッチングにおける面内分布が改善することがわかる。
【符号の説明】
【0293】
10…ドライエッチング装置
11…ドライエッチング室(処理空間)
11a…エッチングガス供給部
11b…排気部
11c…基板保持部
11cW,11cGR…ホイスト
11f…カセット移動部
12…トランスファチャンバ(密閉空間)
12a…排気部
12b,18b…搬送装置(搬送ロボット)
12b1,18b1…ロボットアーム
12bW,12bGR,18bGR…ロボットハンド
12f…カセット移動部
13…ロード/アンロード室
15a,15b,15c…密閉部
C…カセット
CW…基板収納部
CW1…基板縁支持部
CGR…ガイドリング収納部
CGR1…ガイドリング縁支持部
GR…ガイドリング
W…基板
W1,W2,W3…被処理層