(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-13
(45)【発行日】2023-01-23
(54)【発明の名称】センスアンプ回路
(51)【国際特許分類】
G11C 7/06 20060101AFI20230116BHJP
G11C 7/12 20060101ALI20230116BHJP
【FI】
G11C7/06 120
G11C7/12
(21)【出願番号】P 2019063620
(22)【出願日】2019-03-28
【審査請求日】2021-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】308033711
【氏名又は名称】ラピスセミコンダクタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079119
【氏名又は名称】藤村 元彦
(72)【発明者】
【氏名】大貫 健司
【審査官】後藤 彰
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-317467(JP,A)
【文献】特開平7-105694(JP,A)
【文献】特開平2-78099(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11C 7/06
G11C 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
データを格納する第1のセルと前記データの相補データを格納する第2のセルとを備えるメモリセルから、前記第1のセルに接続された第1のビット線及び前記第2のセルに接続された第2のビット線を介してデータ読み出しを行うセンスアンプ回路であって、
前記データ読み出しの開始前の期間である第1期間において、前記第1のビット線及び前記第2のビット線に接地電位を供給し、前記データ読み出しの開始後の期間である第2期間において、前記第1のビット線及び前記第2のビット線への接地電位の供給を停止するビット線電圧制御部と、
前記第2期間における前記第1のビット線の電圧及び前記第2のビット線の電圧に基づいて、前記第1のセルに格納されたデータのデータ値を判定する判定部と、
を有
し、
前記判定部は、
前記第2期間において一端に電源電圧の供給を受け、他端が前記第1のビット線に接続された第1導電型の第1トランジスタと、
前記第2期間において一端に前記電源電圧の供給を受け、他端が前記第2のビット線に接続された前記第1導電型の第2トランジスタと、
前記第2トランジスタの制御端に接続され、前記第1トランジスタと前記第1のビット線との接続部を含む電流路に流れる電流に応じた電圧を有する第1の出力ノードと、
前記第1トランジスタの制御端に接続され、前記第2トランジスタと前記第2のビット線との接続部を含む電流路に流れる電流に応じた電圧を有する第2の出力ノードと、
を有し、
前記第1の出力ノードの電圧及び前記第2の出力ノードの電圧に基づいて、前記第1のセルに格納されたデータのデータ値を判定することを特徴とするセンスアンプ回路。
【請求項2】
前記第1トランジスタの他端と前記第1のビット線との接続部に一端が接続され、他端が前記第1の出力ノードに接続された前記第1導電型の第3トランジスタと、
前記第2トランジスタの他端と前記第2のビット線との接続部に一端が接続され、他端が前記第2の出力ノードに接続された前記第1導電型の第4トランジスタと、
を有することを特徴とする請求項
1に記載のセンスアンプ回路。
【請求項3】
前記第3トランジスタ及び前記第4トランジスタの各々は、前記第1期間において論理レベル1の信号レベルを有し且つ前記第2期間において論理レベル0の信号レベルを有するイネーブル信号の供給を制御端に受けることを特徴とする請求項
2に記載のセンスアンプ回路。
【請求項4】
前記イネーブル信号の供給を受け、前記イネーブル信号の信号レベルに応じて前記第1トランジスタ及び前記第2トランジスタの各々の一端と前記電源電圧の供給ラインとの間の接続及び非接続を切り替えるスイッチ素子を有することを特徴とする請求項
3に記載のセンスアンプ回路。
【請求項5】
前記ビット線電圧制御部は、一端が接地されるとともに他端が前記第1のビット線に接続された前記第1導電型とは反対導電型である第2導電型の第5トランジスタと、一端が接地されるとともに他端が前記第2のビット線に接続された前記第2導電型の第6トランジスタと、を有し、
前記第5トランジスタ及び前記第6トランジスタの各々は、前記第1期間において論理レベル1の信号レベルを有し且つ前記第2期間において論理レベル0の信号レベルを有するディスチャージ信号の供給を制御端に受ける、
ことを特徴とする請求項
1乃至
4のいずれか1に記載のセンスアンプ回路。
【請求項6】
入力端が前記第1の出力ノードに接続された第1のインバータを含み、前記第1の出力ノードの電圧に応じた2値の信号レベルのデータを保持して出力する第1のラッチ部と、
入力端が前記第2の出力ノードに接続された第2のインバータを含み、前記第2の出力ノードの電圧に応じた2値の信号レベルのデータを保持して出力する第2のラッチ部と、
を含むことを特徴とする請求項
1乃至
5のいずれか1に記載のセンスアンプ回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センスアンプ回路に関する。
【背景技術】
【0002】
1ビットのデータを一対のトランジスタ(以下、一対のセルとも称する)からなるメモリセルを用いて記憶する半導体記憶装置が知られている(例えば、特許文献1)。このような半導体記憶装置のメモリセルからデータを読み出すセンスアンプ回路では、一対のビット線が、一対のセルを構成するトランジスタの各々のドレイン端子に接続されている。当該一対のビット線は、例えばオン状態のPMOSトランジスタを介してそれぞれ電源ラインに接続され、電源電圧の電圧レベルに充電される。アンプが動き出すと、PMOSトランジスタがオフ状態となることにより、一対のビット線は電源から切り離され、一対のセルを介して放電される。
【0003】
一対のセルのうち正セルが期待値1のセル、補セルが期待値0のセルであるとすると、期待値1のセルの方が期待値0のセルよりも流れる電流が多いため、電圧低下が速い。したがって、センスアンプ回路の一対の出力ノードの各々に接続されたトランジスタのうち、正セル側のビットラインに接続されたトランジスタが補セル側のビットラインに接続されたトランジスタよりも先にオンとなって電流が流れ始め、正側の出力ノードの電圧レベルが上昇していく。正側の出力ノードはインバータを介してアンプ出力の出力端に接続されており、電圧レベルがインバータの閾値を超えると、当該出力ノードの電圧を反転した論理値の出力がアンプ出力として確定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のようなセンスアンプ回路は、各ビット線の充電電圧が放電時に寄生容量の影響で大きく落ち込むため、一対のセルを構成するトランジスタの各々のドレイン電圧が低下してセル電流が減少し、読み出しマージンが小さくなる。特に、低電圧での動作が必要とされる場合には、セル電流がほとんど流れないためマージンが無くなってしまい、安定した読み出し動作を行うことができないという問題があった。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、安定した期待値判定を実現することが可能なセンスアンプ回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るセンスアンプ回路は、データを格納する第1のセルと前記データの相補データを格納する第2のセルとを備えるメモリセルから、前記第1のセルに接続された第1のビット線及び前記第2のセルに接続された第2のビット線を介してデータ読み出しを行うセンスアンプ回路であって、前記データ読み出しの開始前の期間である第1期間において、前記第1のビット線及び前記第2のビット線に接地電位を供給し、前記データ読み出しの開始後の期間である第2期間において、前記第1のビット線及び前記第2のビット線への接地電位の供給を停止するビット線電圧制御部と、前記第2期間における前記第1のビット線の電圧及び前記第2のビット線の電圧に基づいて、前記第1のセルに格納されたデータのデータ値を判定する判定部と、を有し、前記判定部は、前記第2期間において一端に電源電圧の供給を受け、他端が前記第1のビット線に接続された第1導電型の第1トランジスタと、前記第2期間において一端に前記電源電圧の供給を受け、他端が前記第2のビット線に接続された前記第1導電型の第2トランジスタと、前記第2トランジスタの制御端に接続され、前記第1トランジスタと前記第1のビット線との接続部を含む電流路に流れる電流に応じた電圧を有する第1の出力ノードと、前記第1トランジスタの制御端に接続され、前記第2トランジスタと前記第2のビット線との接続部を含む電流路に流れる電流に応じた電圧を有する第2の出力ノードと、を有し、前記第1の出力ノードの電圧及び前記第2の出力ノードの電圧に基づいて、前記第1のセルに格納されたデータのデータ値を判定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明のセンスアンプ回路によれば、安定した期待値判定を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施例のセンスアンプ回路の構成を示す回路図である。
【
図2】本実施例のセンスアンプ回路による読み出し動作を示すタイムチャートである。
【
図3】比較例のセンスアンプ回路の構成を示す回路図である。
【
図4】比較例のセンスアンプ回路による読み出し動作を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に本発明の好適な実施例を詳細に説明する。なお、以下の実施例における説明及び添付図面においては、実質的に同一または等価な部分には同一の参照符号を付している。
【0011】
図1は、本実施例のセンスアンプ回路100の構成を示す回路図である。センスアンプ回路100は、判定部11と、ビット線電圧制御部12A及び12Bと、ラッチ部13A及び13Bと、から構成されている。また、センスアンプ回路100は、ビット線BLに接続される端子(BL端子)及びビット線BLCに接続される端子(BLC端子)を有する。ビット線BLは、1ビットのデータを格納する正セルを構成する第1のトランジスタ(図示せず)のドレイン端子に接続されている。ビット線BLCは、当該1ビットのデータの相補データを格納する補セルを構成する第2のトランジスタ(図示せず)のドレイン端子に接続されている。
【0012】
判定部11は、第1のトランジスタ及び第2のトランジスタからなるメモリセルから読み出したデータの値を判定する判定部である。判定部11は、Pチャネル型MOSFETであるトランジスタPM0、PM1、PM2、PM3及びPM4と、Nチャネル型MOSFETであるトランジスタNM1、NM2、MM3及びNM4と、を含む。
【0013】
トランジスタPM0は、ソースがVDD電源の電源供給ライン(電源電圧VDD)に接続され、ドレインがトランジスタPM1及びPM2の各々のソースに接続されている。トランジスタPM0のゲートには、アンプイネーブル信号SAEBが供給される。
【0014】
アンプイネーブル信号SAEBは、信号レベルが論理レベル0及び論理レベル1に変化する信号である。以下の説明では、論理レベル0の信号レベルを“L”レベル、論理レベル1の信号レベルを“H”レベルと称する。
【0015】
トランジスタPM0は、アンプイネーブル信号SAEBが“L”レベルのときにオンとなり、トランジスタPM1及びPM2のソースとVDD電源の電源供給ラインとの間を接続する。トランジスタPM0は、アンプイネーブル信号SAEBが“H”レベルのときにオフとなり、トランジスタPM1及びPM2のソースとVDD電源の電源供給ラインとの間を切り離す。
【0016】
トランジスタPM1及びPM2の各々のソースは、互いに接続されるとともにトランジスタPM0のドレインに接続されている。トランジスタPM1のドレインは、ビット線BLに接続されている。トランジスタPM2のドレインは、ビット線BLCに接続されている。トランジスタPM2のゲートは、判定部11の第1の出力端となるノードである出力ノードSに接続されている。トランジスタPM1のゲートは、判定部11の第2の出力端となるノードである出力ノードSNに接続されている。
【0017】
トランジスタPM3のソースは、トランジスタPM1のドレインに接続されるとともに、ビット線BLに接続されている。トランジスタPM4のソースは、トランジスタPM2のドレインに接続されるとともに、ビット線BLCに接続されている。トランジスタPM3のドレインは、出力ノードSに接続されている。トランジスタPM4のドレインは、出力ノードSNに接続されている。
【0018】
トランジスタPM3及びPM4の各々のゲートは互いに接続され、アンプイネーブル信号SAEBの供給を受ける。トランジスタPM3及びPM4は、アンプイネーブル信号SAEBが“L”レベルのときにオンとなり、アンプイネーブル信号SAEBが“H”レベルのときにオフとなる。
【0019】
トランジスタNM1のドレインは、出力ノードSに接続されている。トランジスタNM2のドレインは、出力ノードSNに接続されている。トランジスタNM1及びNM2の各々のゲートには、電源電圧VDDが供給される。
【0020】
トランジスタNM3及びNM4の各々のソースは、接地されている。トランジスタNM3のドレインは、トランジスタNM1のソースに接続されている。トランジスタNM4のドレインは、トランジスタNM2のソースに接続されている。トランジスタNM3のゲートは、トランジスタNM1のゲートに接続され、電源電圧VDDの供給を受ける。トランジスタNM4のゲートは、トランジスタNM2のゲートに接続され、電源電圧VDDの供給を受ける。
【0021】
ビット線電圧制御部12A及び12Bは、ビット線BL及びビット線BLCへの接地電位VSSの供給及び供給の停止(すなわち、接地ラインとの接続及び非接続)を切り替えることにより、ビット線BL及びビット線BLCの電圧の制御を行う。
【0022】
ビット線電圧制御部12Aは、Nチャネル型MOSFETであるトランジスタNM5から構成されている。トランジスタNM5は、ソースが接地され、ドレインがビット線BLに接続されている。トランジスタNM5のゲートには、ディスチャージ信号PRENBが供給される。ビット線電圧制御部12Bは、Nチャネル型MOSFETであるトランジスタNM6から構成されている。トランジスタNM6は、ソースが接地され、ドレインがビット線BLCに接続されている。トランジスタNM6のゲートには、ディスチャージ信号PRENBが供給される。
【0023】
トランジスタNM5は、ディスチャージ信号PRENBの信号レベルが“H”レベルの場合にオンとなり、ビット線BLを接地電位VSSに固定する。また、トランジスタNM5は、ディスチャージ信号PRENBの信号レベルが“L”の場合にオフとなり、ビット線BLを接地電位VSSから切り離す。同様に、トランジスタNM6は、ディスチャージ信号PRENBの信号レベルが“H”レベルの場合にオンとなり、ビット線BLCを接地電位VSSに固定する。また、トランジスタNM6は、ディスチャージ信号PRENBの信号レベルが“L”の場合にオフとなり、ビット線BLCを接地電位VSSから切り離す。
【0024】
ラッチ部13Aは、出力ノードSの電圧に応じた電圧レベルの信号を保持し、出力データ信号RD_LATBとして出力するラッチ回路部である。ラッチ部13Aは、例えばインバータINV0及びINV1から構成されている。インバータINV1の入力端は、出力ノードSに接続されている。インバータINV0の入力端は、インバータINV1の出力端に接続されている。インバータINV0の出力端は、出力データ信号RD_LATBを出力するための出力端子に接続されている。出力ノードSの電圧がインバータINV1の閾値を超えると、出力ノードSの電圧を反映した信号レベルのデータが出力データ信号RD_LATBとして出力される。
【0025】
ラッチ部13Bは、出力ノードSNの電圧に応じた電圧レベルの信号を保持し、出力データ信号RD_LATとして出力するラッチ回路部である。ラッチ部13Bは、例えばインバータINV2及びINV3から構成されている。インバータINV2の入力端は、出力ノードSNに接続されている。インバータINV3の入力端は、インバータINV2の出力端に接続されている。インバータINV3の出力端は、出力データ信号RD_LATを出力するための出力端子に接続されている。出力ノードSNの電圧がインバータINV2の閾値を超えると、出力ノードSNの電圧を反映した信号レベルのデータが出力データ信号RD_LATとして出力される。
【0026】
次に、本実施例のセンスアンプ回路100によるデータ読み出し動作について、
図2のタイムチャートを参照して説明する。なお、ここではビット線BLに接続された正セル(すなわち、第1のトランジスタ)の期待値が1、ビット線BLCに接続された補セル(すなわち、第2のトランジスタ)の期待値が0である場合について説明する。
【0027】
読み出し開始信号READ及びスタンバイ信号READYは、例えばセンスアンプ回路100の外部に設けられた制御回路(図示せず)に供給されている。読出し開始信号READが“L”レベル、スタンバイ信号READYが“H”レベルの間、センスアンプ回路100は、スタンバイ状態にセットされている。
【0028】
このスタンバイ期間(
図2の時刻T1までの期間)において、アンプイネーブル信号SAEB及びディスチャージ信号PRENBは“H”レベルとなるように制御されている。トランジスタNM5及びNM6は、“H”レベルのディスチャージ信号PRENBの供給をゲートに受けてオンの状態に維持されている。ビット線BL及びBLCは接地され、接地電位VSSに固定されている。
【0029】
読み出し開始信号READが“H”レベルになると、スタンバイ信号READYが“L”レベルとなり、続いてアンプイネーブル信号SAEBが“L”レベル(
図2の時刻T2)、ディスチャージ信号PRENBが“L”レベル(
図2の時刻T3)へと順次変化する。
【0030】
アンプイネーブル信号SAEBが“L”レベルとなることにより、センスアンプ回路100の判定部11は動作を開始する。トランジスタPM0は、ゲートに“L”レベルのアンプイネーブル信号SAEBの供給を受けてオンとなり、トランジスタPM1及びPM2の各々のソースとVDD電源の電源供給ラインとが接続される。
【0031】
また、トランジスタPM3は、ゲートに“L”レベルのアンプイネーブル信号SAEBの供給を受けてオンとなる。これにより、ビット線BLがトランジスタPM3を介してトランジスタNM1及びNM3に接続される。同様に、トランジスタPM4は、ゲートに“L”レベルのアンプイネーブル信号SAEBの供給を受けてオンとなる。これにより、ビット線BLCがトランジスタPM4を介してトランジスタNM2及びNM4に接続される。
【0032】
一方、トランジスタNM5及びNM6は、ゲートに“L”レベルのディスチャージ信号PRENBの供給を受けてオフとなる。これにより、ビット線BL及びビット線BLCは、それぞれ接地電位VSSから切り離される。
【0033】
ビット線BL及びビット線BLCの電圧は、VDD電源の電源供給ラインからトランジスタPM0及びPM1を介して流れ込む電流により、上昇を開始する(
図2の時刻T4)。
【0034】
ビット線BLは、期待値1の正セルを構成する第1のトランジスタを介して接地されているため、トランジスタPM3、NM1及びNM3からなる電流路には電流Ipがほとんど流れない。このため、出力ノードSの電圧はあまり上昇せず、接地電位VSS付近の電圧レベルに維持される。
【0035】
これに対し、ビット線BLCは、期待値0の補セルを構成する第2のトランジスタを介して接地されているため、オープン状態となる。このため、トランジスタPM4、NM2及びNM4からなる電流路には電流Imが流れる。これにより、出力ノードSNの電圧が上昇する。
【0036】
出力ノードSNの電圧の上昇により、ゲートが出力ノードSNに接続されているトランジスタPM1がオフとなり、ビット線BL側には電流が流れなくなる。このため、ビット線BLとビット線BLCとの間の電圧差、及び出力ノードSと出力ノードSNとの間の電圧差は、時間の経過とともに拡大していく。
【0037】
出力ノードSNの電圧がラッチ部13BのインバータINV2の閾値を超えると、出力データ信号RD_LATが反転及び再反転して出力論理値が確定する(
図2の時刻T5以降)。これにより、センスアンプ回路100からは、“H”レベルの出力データ信号RD_LATが出力され、“L”レベルの出力データ信号RD_LATBが出力される。
【0038】
以上のように、本実施例のセンスアンプ回路100では、ビット線BL及びBLCを予め接地電位VSSに固定し、放電時には正セル及び補セル(すなわち、第1のトランジスタ及び第2のトランジスタ)のうち期待値1側のセルが接地されていることを利用して判定部11の電流路に流れる電流を制御し、データの判定を行う。かかる構成によれば、ビット線の電圧の落ち込みがなく、電源電圧VDDレベルまで電圧が上昇するため、セル電流の減少が抑えられ、低電圧でも安定した期待値判定を行うことが可能となる。
【0039】
図3は、本実施例のセンスアンプ回路100とは異なり、ビット線BL及びBLCを予め電源電圧VDDに充電し、放電時のセルからの電流の大小に基づく電圧変化の差を利用してデータの判定を行う比較例のセンスアンプ回路200の構成を示す回路図である。
【0040】
センスアンプ回路200では、ビット線電圧制御部22AがPチャネル型MOSFETであるトランジスタPM5から構成され、スタンバイ時にビット線BLを電源電圧VDDにプリチャージする。また、ビット線電圧制御部22Bは同じくPチャネル型MOSFETであるトランジスタPM6から構成され、スタンバイ時にビット線BLCを電源電圧VDDにプリチャージする。
【0041】
トランジスタPM1のゲートは、ビット線BLに接続されている。トランジスタPM2のゲートは、ビット線BLCに接続されている。トランジスタPM1のドレインは、トランジスタPM3のソースに接続されるとともに、Nチャネル型MOSFETであるトランジスタNM7のドレインに接続されている。トランジスタPM2のドレインは、トランジスタPM4のソースに接続されるとともに、Nチャネル型MOSFETであるトランジスタNM8のドレインに接続されている。
【0042】
トランジスタNM7及びNM8の各々は、ソースが接地されており、ゲートにアンプイネーブル信号SAEBの供給を受ける。アンプイネーブル信号SAEBの信号レベルが“H”レベルの間、トランジスタNM7及びNM8はそれぞれオンの状態となる。これにより、トランジスタPM1及びPM2の各々のドレインを接地電位VSSに固定される。アンプイネーブル信号SAEBの信号レベルが“L”レベルになると、トランジスタNM7及びNM8はそれぞれオフの状態となる。これにより、トランジスタPM1及びPM2の各々のドレインは、接地電位VSSから切り離される。
【0043】
トランジスタNM0は、ソース及びドレインのうちの一方がトランジスタPM1のドレイン及びトランジスタPM3のソースに接続され、他方がトランジスタPM2のドレイン及びトランジスタPM4のソースに接続されている。トランジスタNM0のゲートは、トランジスタPM3及びPM4の各々のゲートと共通に接続され、アンプイネーブル信号SAEBの供給を受ける。
【0044】
トランジスタNM1は、ソースが接地され、ドレインがトランジスタPM3のドレイン及び出力ノードSに接続されている。トランジスタNM1のゲートは、出力ノードSNに接続されている。トランジスタNM2は、ソースが接地され、ドレインがトランジスタPM4のドレイン及び出力ノードSNに接続されている。トランジスタNM2のゲートは、出力ノードSに接続されている。
【0045】
トランジスタNM3は、ソースが接地され、ドレインが出力ノードSに接続されている。トランジスタNM3のゲートには、制御信号LATRESが供給される。トランジスタNM4は、ソースが接地され、ドレインが出力ノードSNに接続されている。トランジスタNM4のゲートには、制御信号LATRESが供給される。
【0046】
インバータINV1は、入力端が出力ノードSに接続されており、出力ノードSの電圧を反転した電圧レベルを有する信号を出力データ信号RD_LATBとして出力する。インバータINV2は、入力端が出力ノードSNに接続されており、出力ノードSNの電圧を反転した電圧レベルを有する信号を出力データ信号RD_LATとして出力する。
【0047】
トランジスタPM7は、ソースがVDD電源の電源供給ラインに接続され、ゲートがインバータINV1の出力端に接続されている。トランジスタPM8は、ソースがVDD電源の電源供給ラインに接続され、ゲートがインバータINV2の出力端に接続されている。
【0048】
トランジスタPM9は、ソースがトランジスタPM7のドレインに接続され、ドレインが出力ノードSに接続されている。トランジスタPM9のゲートには、制御信号LATRESが供給される。トランジスタPM10は、ソースがトランジスタPM8のドレインに接続され、ドレインが出力ノードSNに接続されている。トランジスタPM10のゲートには、制御信号LATRESが供給される。
【0049】
図4は、比較例のセンスアンプ回路200によるデータの読み出し動作を示すタイムチャートである。ここではビット線BLに接続された正セル(すなわち、第1のトランジスタ)の期待値が1、ビット線BLCに接続された負セル(すなわち、第2のトランジスタ)の期待値が0である場合を前提としている。
【0050】
センスアンプ回路200のスタンバイ時において、ディスチャージ信号PRENBの信号レベルは“L”レベルであり、トランジスタPM5及びPM6を介してビット線BL及びBLCは電源電圧VDDに充電されている。
【0051】
読み出し開始信号READが“H”レベル、アンプイネーブル信号SAEBが“L”レベルになってアンプ回路が動き出すと、ビット線BL及びBLCがそれぞれ正セル及び負セルを構成する各トランジスタに接続される。さらに、ディスチャージ信号PRENBが“H”レベルになると、トランジスタPM5及びPM6がオフとなり、ビット線BL及びBLCがVDD電源の電源供給ラインから切り離される。これにより、ビット線BL及びBLCはそれぞれ正セル及び負セルを構成するトランジスタの各々を介して放電され、電圧が下がっていく。
【0052】
期待値1のセルである正セルからの電流の方が期待値0のセルである負セルからの電流よりも多い。このため、ビット線BLの方がビット線BLCよりも放電速度が速く、電圧低下の速度も速い。従って、ビット線BLにゲートが接続されているトランジスタPM1が、ビット線BLCにゲートが接続されているトランジスタPM2よりも先にオンとなって電流Ipが流れ始め、出力ノードSの電圧レベルが上昇していく。出力ノードSの電圧がインバータINV1の閾値を超えると、出力ノードSの電圧を反転した電圧レベルを有する信号が出力データ信号RD_LATBとして出力される。
【0053】
しかし、比較例のセンスアンプ回路200では、
図2に矢印で示すように、ビット線BL及びBLCの電圧が寄生容量の影響で大きく落ち込む。このため、各セルを構成するトランジスタのドレイン電圧が低下してセル電流が減少し、読み出しマージンが小さくなってしまう。このため、比較例のセンスアンプ回路200を用いてデータの読み出しを行った場合、安定した読み出し動作を行うことができない。
【0054】
これに対し、本実施例のセンスアンプ回路100では、上記の通り、スタンバイ時にビット線BL及びBLCを予め接地電位VSSに固定している。このため、比較例のような放電時におけるビット線BL及びBLCの電圧の落ち込みが生じない。従って、セル電流の減少が抑えられ、出力ノードSNの電圧が電源電圧VDDのレベルまで上昇するため、読み出しマージンを広くとることができる。
【0055】
以上のように、本実施例のセンスアンプ回路100によれば、安定した期待値判定が可能となる。
【0056】
なお、本発明は上記実施例で示したものに限られない。例えば、上記実施例では、トランジスタPM0がゲートにアンプイネーブル信号SAEBの供給を受けてオン及びオフとなる構成について説明した。しかし、トランジスタPM0に相当する部分の構成はこれに限られず、VDD電源の電源供給ラインとトランジスタPM1及びPM2の各々のソースとの間の接続及び非接続を切り替えることが可能なスイッチ素子により構成されていればよい。
【0057】
また、上記実施例では、ラッチ部13A及びラッチ部13Bが、それぞれ直列接続されたインバータから構成されている例について説明した。しかし、ラッチ部の構成はこれに限られず、出力ノードS及びSNの電圧を2値化した信号をデータ信号RD_LAT及びRD_LATBとして出力可能に構成されていればよい。
【符号の説明】
【0058】
100 センスアンプ回路
11 判定部
12A,12B ビット線電圧制御部
13A,13B ラッチ部
PM0~PM4 Pチャネル型トランジスタ
NM1~NM6 Nチャネル型トランジスタ
INV0~INV3 インバータ