(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-16
(45)【発行日】2023-01-24
(54)【発明の名称】液晶素子
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1334 20060101AFI20230117BHJP
G02F 1/13 20060101ALI20230117BHJP
【FI】
G02F1/1334
G02F1/13 500
(21)【出願番号】P 2018168308
(22)【出願日】2018-09-07
【審査請求日】2021-08-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179969
【氏名又は名称】駒井 慎二
(74)【代理人】
【識別番号】100173532
【氏名又は名称】井上 彰文
(72)【発明者】
【氏名】高島 正直
(72)【発明者】
【氏名】張 琴姫
(72)【発明者】
【氏名】丸山 和則
(72)【発明者】
【氏名】中田 秀俊
【審査官】磯崎 忠昭
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/105312(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/043276(WO,A1)
【文献】特表2018-522103(JP,A)
【文献】特表2018-522104(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1334
G02F 1/13
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一方に透明電極が設けられた2つの透明基板と、該透明基板間に配置され、高分子ネットワーク(B)と、該高分子ネットワーク(B)の空隙に液晶組成物(A)が存在する複合層とを備え、前記透明電極への電圧無印加時に光散乱状態である液晶素子であって、
前記高分子ネットワーク(B)が、前記液晶組成物(A)と重合性モノマー(b)とを必須成分として含有する複合液晶組成物中で相分離状態にある前記重合性モノマー(b)の重合体で構成され、
前記液晶組成物(A)が、下記一般式(I)で表される液晶化合物を必須成分として含み、
【化1】
(式中、R
1は炭素原子数1から10までのアルキル基を表し、該アルキル基中の1つ又は非隣接の2つのCH
2基は酸素原子、-COO-、-OCO-、-CH=CH-、又は-C≡C-によって置き換えられていても
よく、
R
2は、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、CF
3基、OCF
3基、OCHF
2基、NCS基、又は炭素原子数1~10のアルキル基を表し、該アルキル基中の1つ又は非隣接の2つのCH
2基は酸素原子、-COO-、-OCO-、-CH=CH-、又は-C≡C-で置き換えられていてもよく、
Z
1、及びZ
2は、それぞれ独立して、単結合、-COO-、-OCO-、-CH
2-CH
2-、-CH=CH-、-CF
2O-、-OCF
2-、又は-C≡C-を表し、Z
2が複数個存在する場合は、同じであっても異なっていても良く、
A
1、A
2、及びA
3は、それぞれ独立して、1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキシレン基、1,4-シクロヘキセニル基、テトラヒドロピラン-2,5-ジイル基、1,3-ジオキサン-2,5-ジイル基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、ピリジン-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基、ピラジン-2,5-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、2,6-ナフチレン基を表し、該1,4-フェニレン基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、2,6-ナフチレン基は非置換であるか又は置換基として1個又は2個以上のフッ素原子、塩素原子、CF
3基、OCF
3基又はCH
3基を有していても良く、mは0、1又は2である。)
前記重合性モノマー(b)が、下記一般式(i)で表される2官能性重合性モノマー(b-1)及び下記一般式(ii)で表される1官能性鎖式重合性モノマー(b-2)を含み、
【化2】
(式中、Y
1、及びY
2は水素原子、又はメチル基を表し、
X
1は直鎖、または分岐の炭素原子数6~80のアルキレンを表し、該アルキレンの任意の炭素原子は、酸素原子が直接隣接しないように、-O-、-CH=CH-、-CO-、-C≡C-、-OCO-又は-COO-で置換されていてもよい。)
【化3】
(式中、P
ii1は重合性官能基を表し、
R
ii1は単結合又は炭素原子数1~9のアルキレン基を表すが、該アルキレン基中の1つ又は2つ以上の-CH
2-は、酸素原子が直接隣接しないようにそれぞれ独立して-O-、-CO-、-COO-又は-OCO-で置換されていてもよく、該アルキレン基中に存在する1つ又は2つ以上の水素原子は、それぞれ独立してフッ素原子で置換されていてもよく、
R
ii2及びR
ii3はそれぞれ独立して、炭素原子数1~21のアルキル基を表すが、該アルキル基中の1つ又は2つ以上の-CH
2-は、酸素原子が直接隣接しないようにそれぞれ独立して-O-、-CO-、 -COO-又は-OCO-で置換されていてもよく、該アルキル基中に存在する1つ又は2つ以上の水素原子は、それぞれ独立してフッ素原子、炭素原子数1~8のアルキル基、炭素原子数1~8のハロゲン化アルキル基で置換されていてもよい。)
前記複合液晶組成物中における、前記一般式(I)中のR
1及びR
2の少なくとも一方に、-CH=CH-又は-C≡C-なる構造を有する化合物の含有率が
8~20質量%であり、前記重合性モノマー(b)の含有率が20~30質量%かつ前記1官能性鎖式重合性モノマー(b-2)の含有率が1~
4.41質量%であることを特徴とする、液晶素子。
【請求項2】
前記複合液晶組成物が、前記一般式(I)で表される化合物のうち、分子構造内にアセチレン構造(-C≡C-)を有する化合物を30~60質量%で含有する請求項1記載の液晶素子。
【請求項3】
前記透明電極を備える前記透明基板が、更にホモジニアス配向膜を備え、該透明基板が可撓性を有する請求項1又は2に記載の液晶素子。
【請求項4】
前記光散乱状態にある当該液晶素子において、波長Xnmの可視光領域の光の透過率をT(VIS)%とし、波長(X+400)nmの近赤外域の光の透過率をT(NIR)%としたとき、T(NIR)/T(VIS)が4以下である請求項1~3のいずれか1項に記載の液晶素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶素子、特に光散乱を利用する高分子分散型液晶素子に関する。
【背景技術】
【0002】
高分子分散型液晶表示素子(PD-LCD)は、素子中において液晶と高分子が互いに相分離し、高分子によるポリマーネットワークが形成された液晶素子方式である。PD-LCDは、透明状態と白濁状態との間のコントラスト比を利用する表示方式のため、偏光板等の光学フィルムを必要としない。そのため、偏光板を用いたTN、STN、IPS又はVAモードの液晶表示素子に比べ、明るい表示が実現できるメリットがある。加えて、素子の構成も単純であることから、調光ガラス等の光シャッター用途、時計等セグメント表示用途に応用されている。
【0003】
また、高精細表示を実現するため、アクティブ駆動表示素子と組み合わせて、プロジェクター用途、反射型ディスプレイ用途等への応用も検討されている(特許文献1、2)。また、近年では、透過型ディスプレイ、フレキシブルディスプレイといった、従来に無い設計の液晶表示装置も実用化へ向け開発が進められている。
【0004】
然しながら、これら従来の高分子分散型液晶表示素子は、可視光領域の光の散乱及び透過を主な目的としている。このため、可視光領域の光の散乱及び透過に優れているが、この高分子分散型液晶表示素子を近赤外線の透過光散乱素子として用いる場合、近赤外域の光を十分に散乱させることが困難であった。またスマートウインドウとして用いる場合、近赤外域の光の反射及び散乱性が低いことから、人の肌の劣化を抑止する効果が小さかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平5-119302号
【文献】特開2006-308883号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明が解決しようとする課題は、近赤外域の光及び可視光領域の光の散乱性が高い高分子分散型液晶素子、更には近赤外域の光の散乱性に優れると共に、応答速度の速い高分子分散型液晶素子を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、高分子分散型液晶素子における液晶組成において特定の構造をもつ液晶化合物の含有量を調節することにより、近赤外域の光の散乱性が飛躍的に向上すること、他方で近赤外域の光の散乱性を向上させた場合に応答速度が低くなってしまうこと、これを高分子分散型液晶素子における複合層中の複合液晶組成物の組成を調節することによって、近赤外域の光の散乱性を高めたまま、応答速度が改善されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明は、少なくとも一方に透明電極が設けられた2つの透明基板と、該透明基板間に配置され、高分子ネットワーク(B)と、該高分子ネットワーク(B)の空隙に液晶組成物(A)が存在する複合層とを備え、前記透明電極への電圧無印加時に光散乱状態である液晶素子であって、
前記高分子ネットワーク(B)が、前記液晶組成物(A)と重合性モノマー(b)とを必須成分として含有する複合液晶組成物中で相分離状態にある前記重合性モノマー(b)の重合体で構成され、
前記液晶組成物(A)が、下記一般式(I)で表される液晶化合物を必須成分として含み、
【化1】
(式中、R
1は炭素原子数1から10までのアルキル基を表し、該アルキル基中の1つ又は非隣接の2つのCH
2基は酸素原子、-COO-、-OCO-、-CH=CH-、又は-C≡C-によって置き換えられていてもく、
R
2は、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、CF
3基、OCF
3基、OCHF
2基、NCS基、又は炭素原子数1~10のアルキル基を表し、該アルキル基中の1つ又は非隣接の2つのCH
2基は酸素原子、-COO-、-OCO-、-CH=CH-、又は-C≡C-で置き換えられていてもよく、
Z
1、及びZ
2は、それぞれ独立して、単結合、-COO-、-OCO-、-CH
2-CH
2-、-CH=CH-、-CF
2O-、-OCF
2-、又は-C≡C-を表し、Z
2が複数個存在する場合は、同じであっても異なっていても良く、
A
1、A
2、及びA
3は、それぞれ独立して、1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキシレン基、1,4-シクロヘキセニル基、テトラヒドロピラン-2,5-ジイル基、1,3-ジオキサン-2,5-ジイル基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、ピリジン-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基、ピラジン-2,5-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、2,6-ナフチレン基を表し、該1,4-フェニレン基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、2,6-ナフチレン基は非置換であるか又は置換基として1個又は2個以上のフッ素原子、塩素原子、CF
3基、OCF
3基又はCH
3基を有していても良く、mは0、1又は2である。)
前記重合性モノマー(b)が、下記一般式(i)で表される2官能性重合性モノマー(b-1)及び下記一般式(ii)で表される1官能性鎖式重合性モノマー(b-2)を含み、
【化2】
(式中、Y
1、及びY
2は水素原子、又はメチル基を表し、
X
1は直鎖、または分岐の炭素原子数6~80のアルキレンを表し、該アルキレンの任意の炭素原子は、酸素原子が直接隣接しないように、-O-、-CH=CH-、-CO-、-C≡C-、-OCO-又は-COO-で置換されてよい。)
【化3】
(式中、P
ii1は重合性官能基を表し、
R
ii1は単結合又は炭素原子数1~9のアルキレン基を表すが、該アルキレン基中の1つ又は2つ以上の-CH
2-は、酸素原子が直接隣接しないようにそれぞれ独立して-O-、-CO-、-COO-又は-OCO-で置換されていてもよく、該アルキレン基中に存在する1つ又は2つ以上の水素原子は、それぞれ独立してフッ素原子で置換されていてもよく、
R
ii2及びR
ii3はそれぞれ独立して、炭素原子数1~21のアルキル基を表すが、該アルキル基中の1つ又は2つ以上の-CH
2-は、酸素原子が直接隣接しないようにそれぞれ独立して-O-、-CO-、 -COO-又は-OCO-で置換されていてもよく、該アルキル基中に存在する1つ又は2つ以上の水素原子は、それぞれ独立してフッ素原子、炭素原子数1~8のアルキル基、炭素原子数1~8のハロゲン化アルキル基で置換されていてもよい。)
前記複合液晶組成物中における、前記一般式(I)中のR
1及びR
2の少なくとも一方に、-CH=CH-又は-C≡C-なる構造を有する化合物の含有率が6~20質量%であり、前記重合性モノマー(b)の含有率が20~30質量%かつ前記1官能性鎖式重合性モノマー(b-2)の含有率が1~6質量%であることを特徴とする、液晶素子に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、近赤外域の光及び可視光領域の光の散乱性が高い高分子分散型液晶素子、更には近赤外域の光の散乱性と共に、応答速度の速い高分子分散型液晶素子を提供できる。
よって、スマートウインド等に用いれば、可視光領域の光と近赤外光領域の光との散乱及び透過を同時に制御し、近赤外域の光を散乱及び反射することで、人の肌の劣化を防止する効果を有するウインドウとなる。
また、赤外線通信等の光制御素子への利用も可能な高分子散乱型液晶素子が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の液晶素子は、前記した通り、透明電極への電圧無印加時に光散乱状態であり、2つの透明基板間に高分子ネットワーク(B)と、該高分子ネットワーク(B)の空隙に液晶組成物(A)が存在する複合層が形成されている。
複合層は、液晶組成物(A)と重合性モノマー(b)とを必須成分として含有する複合液晶組成物から形成され、高分子ネットワーク(B)が複合液晶組成物中で相分離状態にある重合性モノマー(b)の重合体で構成された相分離液晶層である。
【0011】
(液晶組成物(A))
本発明に係る液晶組成物(A)は、先ず、下記一般式(I)で表される化合物を含む。
【化4】
(式中、R
1は炭素原子数1から10までのアルキル基を表し、該アルキル基中の1つ又は非隣接の2つのCH
2基は酸素原子、-COO-、-OCO-、-CH=CH-、又は-C≡C-によって置き換えられていてもく、
R
2は、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、CF
3基、OCF
3基、OCHF
2基、NCS基、又は炭素原子数1~10のアルキル基を表し、該アルキル基中の1つ又は非隣接の2つのCH
2基は酸素原子、-COO-、-OCO-、-CH=CH-、又は-C≡C-で置き換えられていてもよく、
Z
1、及びZ
2は、それぞれ独立して、単結合、-COO-、-OCO-、-CH
2-CH
2-、-CH=CH-、-CF
2O-、-OCF
2-、又は-C≡C-を表し、Z
2が複数個存在する場合は、同じであっても異なっていても良く、
A
1、A
2、及びA
3は、それぞれ独立して、1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキシレン基、1,4-シクロヘキセニル基、テトラヒドロピラン-2,5-ジイル基、1,3-ジオキサン-2,5-ジイル基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、ピリジン-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基、ピラジン-2,5-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、2,6-ナフチレン基を表し、該1,4-フェニレン基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、2,6-ナフチレン基は非置換であるか又は置換基として1個又は2個以上のフッ素原子、塩素原子、CF
3基、OCF
3基又はCH
3基を有していても良く、mは0、1又は2である。)
【0012】
ここで、前記一般式(I)中、特にR1は、炭素原子数1~8のアルキル基、炭素原子数1~8のアルコキシ基、炭素原子数2~8のアルケニル基又は炭素原子数2~8のアルケニルオキシ基が好ましく、炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数1~5のアルコキシ基、炭素原子数2~5のアルケニル基又は炭素原子数2~5のアルケニルオキシ基が好ましく、炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数2~5のアルケニル基が更に好ましく、炭素原子数2~5のアルキル基又は炭素原子数2~3のアルケニル基が更に好ましく、炭素原子数3のアルケニル基(プロペニル基)が特に好ましい。
【0013】
信頼性を重視する場合にはR1はアルキル基であることが好ましく、粘性の低下を重視する場合にはアルケニル基であることが好ましい。
ネマチック相を安定化させるためには炭素原子及び存在する場合酸素原子の合計が5以下であることが好ましく、直鎖状であることが好ましい。
アルケニル基としては、式(R1)から式(R5)のいずれかで表される基から選ばれることが好ましい。(各式中の黒点はアルケニル基が結合している環構造中の炭素原子を表す。)
【0014】
【0015】
A1、A2及びA3はそれぞれ独立してΔnを大きくすることが求められる場合には芳香族であることが好ましく、応答速度を改善するためには脂肪族であることが好ましい。
具体的には、A1、A2及びA3はそれぞれ独立して1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキシレン基、1,4-シクロヘキセニル基、テトラヒドロピラン-2,5-ジイル基、1,3-ジオキサン-2,5-ジイル基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、ピリジン-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基、ピラジン-2,5-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、2,6-ナフチレン基を表し(該1,4-フェニレン基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、2,6-ナフチレン基は非置換であるか又は置換基として1個又は2個以上のフッ素原子、塩素原子、CF3基、OCF3基又はCH3基を有していても良く、A3が複数個存在する場合は、同じであっても異なっていても良い。)、1,4-フェニレン基、ピリミジン-2,5-ジイル基、1,4-シクロヘキシレン基、2,6-ナフチレン基(該1,4-フェニレン基、及び2,6-ナフチレン基は非置換であるか又は置換基として1個又は2個以上のフッ素原子、又はCH3基を有していても良い。)が好ましく、下記化6の構造がより好ましい。
【0016】
【0017】
Z1、及びZ2は、それぞれ独立して、単結合、-COO-、-OCO-、-CH2-CH2-、-CH=CH-、-CF2O-、-OCF2-、又は-C≡C-を表し、好ましくは、単結合、-COO-、-CF2O-、又は-C≡C-である。なお、Z2が複数個存在する場合は、同じであっても異なっていても良い。
【0018】
組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの所望の性能に応じて組み合わせて使用する。
使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類である。また、本発明の別の実施形態では4種類であり、5種類であり、6種類であり、7種類以上である。
該組成物において、一般式(I)で表される化合物の含有量は、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率、プロセス適合性、滴下痕、焼き付き、誘電率異方性などの求められる性能に応じて適宜調整する必要がある。
【0019】
一般式(I)で表される化合物は、例えば一般式(M-1)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
【化7】
(式中、R
M11は炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数2~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基を表し、X
M11からX
M15はそれぞれ独立して水素原子又はフッ素原子を表し、Y
M11はフッ素原子又はOCF
3を表す。)
【0020】
さらに、一般式(M-1)で表される化合物は、具体的には式(M-1.1)から式(M-1.4)で表される化合物であることが好ましい。
【化8】
【0021】
さらに、一般式(I)で表される化合物は、例えば一般式(M-2)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
【化9】
(式中、R
M21は炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数2~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基を表し、X
M21及びX
M22はそれぞれ独立して水素原子又はフッ素原子を表し、Y
M21はフッ素原子、塩素原子又はOCF
3を表す。)
【0022】
さらに、一般式(M-2)で表される化合物は、式(M-2.1)から式(M-2.5)で表される化合物であることが好ましい。
【化10】
【0023】
該組成物に使用される一般式(I)で表される化合物は、一般式(M-3)で表される化合物であることが好ましい。
【化11】
(式中、R
M31は炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数2~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基を表し、X
M31からX
M36はそれぞれ独立して水素原子又はフッ素原子を表し、Y
M31はフッ素原子、塩素原子又はOCF
3を表す。)
【0024】
さらに、該組成物に使用される一般式(M-3)で表される化合物は、具体的には式(M-3.1)から式(M-3.8)で表される化合物であることが好ましい。
【化12】
【0025】
さらに、一般式(I)で表される化合物は、一般式(M-4)で表される群より選ばれる化合物であることが好ましい。
【化13】
(式中、R
M41は炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数2~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基を表し、X
M41からX
M48はそれぞれ独立してフッ素原子又は水素原子を表し、Y
M41はフッ素原子、塩素原子又はOCF
3を表す。)
【0026】
さらに、該組成物に使用される一般式(M-4)で表される化合物は、具体的には式(M-4.1)から式(M-4.4)で表される化合物であることが好ましい。
【化14】
【0027】
さらに、一般式(I)で表される化合物は、一般式(M-5)で表される化合物であることが好ましい。
【化15】
(式中、R
M51は炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数2~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基を表し、X
M51及びX
M52はそれぞれ独立して水素原子又はフッ素原子を表し、Y
M51はフッ素原子、塩素原子又はOCF
3を表す。)
【0028】
さらに、一般式(M-5)で表される化合物は、式(M-5.1)から式(M-5.4)で表される化合物であることが好ましい。
【化16】
【0029】
さらに、一般式(M-5)で表される化合物は、式(M-5.11)から式(M-5.17)で表される化合物であることが好ましい。
【化17】
【0030】
さらに、一般式(M-5)で表される化合物は、式(M-5.21)から式(M-5.28)で表される化合物であることが好ましい。
【化18】
【0031】
さらに、一般式(I)で表される化合物は、一般式(M-6)で表される化合物であることが好ましい。
【化19】
(式中、R
M61は炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数2~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基を表し、X
M61からX
M64はそれぞれ独立してフッ素原子又は水素原子を表し、Y
M61はフッ素原子、塩素原子又はOCF
3を表す。)
【0032】
さらに、一般式(M-6)で表される化合物は具体的には式(M-6.1)から式(M-6.4)で表される化合物であることが好ましい。
【化20】
【0033】
さらに、一般式(M-6)で表される化合物は具体的には式(M-6.11)から式(M-6.14)で表される化合物であることが好ましい。
【化21】
【0034】
さらに、一般式(M-6)で表される化合物は具体的には式(M-6.21)から式(M-6.24)で表される化合物であることが好ましい。
【化22】
【0035】
さらに、一般式(M-6)で表される化合物は具体的には式(M-6.31)から式(M-6.34)で表される化合物が好ましい。
【化23】
【0036】
さらに、一般式(M-6)で表される化合物は具体的には式(M-6.41)から式(M-6.44)で表される化合物であることが好ましい。
【化24】
【0037】
更に、一般式(I)で表される化合物は、一般式(M-7)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
【化25】
(式中、X
M71からX
M76はそれぞれ独立してフッ素原子又は水素原子を表し、R
M71は炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数2~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基を表し、Y
M71はフッ素原子またはCN、又はOCF
3を表す。)
【0038】
さらに、一般式(M-7)で表される化合物は、式(M-7.1)から式(M-7.4)で表される化合物であることが好ましい。
【化26】
【0039】
さらに、一般式(M-7)で表される化合物は、式(M-7.11)から式(M-7.14)で表される化合物であることが好ましい。
【化27】
【0040】
さらに、一般式(M-7)で表される化合物は、式(M-7.21)から式(M-7.24)で表される化合物であることが好ましい。
【化28】
【0041】
さらに、一般式(M-7)で表される化合物は、式(M-7.25)から式(M-7.28)で表される化合物であることが好ましい。
【化29】
【0042】
更に、一般式(I)で表される化合物は、一般式(M-71)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
【化30】
(式中、R
M711は炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数2~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基を表す)
【0043】
さらに、一般式(M-71)で表される化合物は、式(M-71.1)から式(M-7.4)で表される化合物であることが好ましい。
【化31】
【0044】
さらに、一般式(I)で表される化合物は、一般式(M-8)で表される化合物であることが好ましい。
【化32】
(式中、X
M81からX
M84はそれぞれ独立してフッ素原子又は水素原子を表し、Y
M81はフッ素原子、塩素原子又は-OCF
3を表し、R
M81は炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数2~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基を表し、A
M81及びA
M82はそれぞれ独立して、1,4-シクロヘキシレン基、1,4-フェニレン基又は下記化33の構造を表すが、1,4-フェニレン基上の水素原子はフッ素原子によって置換されていてもよい。)
【0045】
【0046】
さらに、該組成物に使用される一般式(M-8)で表される化合物は、具体的には式(M-8.1)から式(M-8.4)で表される化合物であることが好ましい。
【化34】
【0047】
さらに、該組成物に使用される一般式(M-8)で表される化合物は、具体的には式(M-8.11)から式(M-8.14)で表される化合物であることが好ましい。
【化35】
【0048】
さらに、該組成物に使用される一般式(M-8)で表される化合物は、具体的には式(M-8.21)から式(M-8.24)で表される化合物であることが好ましい。
【化36】
【0049】
さらに、該組成物に使用される一般式(M-8)で表される化合物は、具体的には式(M-8.31)から式(M-8.34)で表される化合物であることが好ましい。
【化37】
【0050】
さらに、該組成物に使用される一般式(M-8)で表される化合物は、具体的には式(M-8.41)から式(M-8.44)で表される化合物であることが好ましい。
【化38】
【0051】
さらに、該組成物に使用される一般式(M-8)で表される化合物は、具体的には式(M-8.51)から式(M-8.54)で表される化合物であることが好ましい。
【化39】
【0052】
さらに、一般式(I)で表される化合物は、例えば一般式(M-18)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
【化40】
(式中、R
M181は炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数2~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基を表し、Z
M181は単結合、-CH
2CH
2-、-(CH
2)
4-、-OCH
2-、-CH
2O-、-COO-、-OCO-又は-C≡C-を表し、X
M181からX
M185はそれぞれ独立して水素原子又はフッ素原子を表す。)
【0053】
さらに、一般式(M-18)で表される化合物は、具体的には式(M-18.1)から式(M-18.8)で表される化合物であることが好ましい。
【化41】
【0054】
さらに、一般式(I)で表される化合物は、例えば一般式(M-19)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
【化42】
(式中、R
M191は炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数2~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基を表し、Z
M191は単結合、-CH
2CH
2-、-(CH
2)
4-、-OCH
2-、-CH
2O-、-COO-、-OCO-又は-C≡C-を表し、X
M191からX
M195はそれぞれ独立して水素原子又はフッ素原子を表す。)
【0055】
さらに、一般式(M-19)で表される化合物は、具体的には式(M-19.1)から式(M-19.4)で表される化合物であることが好ましい。
【化43】
【0056】
さらに、一般式(I)で表される化合物は、例えば一般式(M-20)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
【化44】
(式中、R
M201は炭素原子数1~6のアルキル基、炭素原子数2~6のアルケニル基又は炭素原子数1~5のアルコキシ基を表し、X
M201からX
M203はそれぞれ独立して水素原子又はフッ素原子を表す。)
【0057】
さらに、一般式(M-20)で表される化合物は、具体的には式(M-20.1)から式(M-20.5)で表される化合物であることが好まししい。
【化45】
【0058】
さらに、一般式(I)で表される化合物は、例えば一般式(M-21)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
【化46】
(式中、R
M211は炭素原子数1~7のアルキル基、炭素原子数2~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基を表し、X
M211からX
M212はそれぞれ独立して水素原子又はフッ素原子を表す。)
【0059】
さらに、一般式(M-21)で表される化合物は、具体的には式(M-21.1)から式(M-21.6)で表される化合物であることが好ましい。
【化47】
【0060】
さらに、一般式(M-21)で表される化合物は、式(M-21.11)から式(M-1.18)で表される化合物であることが好ましい。
【化48】
【0061】
【0062】
さらに、一般式(I)で表される化合物は、例えば一般式(M-22)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
【化50】
(式中、R
M221は炭素原子数1~7のアルキル基、炭素原子数2~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基を表し、X
M221からX
M222はそれぞれ独立して水素原子又はフッ素原子を表す。)
【0063】
さらに、一般式(M-22)で表される化合物は、式(M-22.1)から式(M-22.6)で表される化合物であることが好ましい。
【化51】
【0064】
さらに、一般式(M-22)で表される化合物は、式(M-22.11)から式(M-22.18)で表される化合物であることが好ましい。
【化52】
【0065】
さらに、一般式(I)で表される化合物は、例えば一般式(M-23)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
【化53】
(式中、R
M231及びR
M232はそれぞれ独立して、は炭素原子数1~7のアルキル基、炭素原子数2~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基又はフッ素を表し、Z
M231は単結合、又は-COO-を表し、X
M231、X
M232、X
M233は、それぞれ独立して水素原子又はフッ素原子、炭素原子数1~2のアルキル基す。)
【0066】
一般式(M-23)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。
組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。
使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0067】
一般式(M-23)で表される化合物は、一般式(M-23.1)から式(M-23.6)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
【化54】
【0068】
また、本発明における液晶組成物(A)は、前記一般式(I)で表される化合物として、下記一般式(K)で表される化合物を1種類又は2種類以上含有することが好ましい。
【化55】
(式中、R
K1は炭素原子数1~8のアルキル基を表し、該アルキル基中の1個又は非隣接の2個以上の-CH
2-はそれぞれ独立して-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-CO-、-COO-又は-OCO-によって置換されていてもよく、
n
K1は、0、1、2、3又は4を表し、
A
K1及びA
K2はそれぞれ独立して、
(a) 1,4-シクロヘキシレン基(この基中に存在する1個の-CH
2-又は隣接していない2個以上の-CH
2-は-O-又は-S-に置き換えられてもよい。)及び
(b) 1,4-フェニレン基(この基中に存在する1個の-CH=又は隣接していない2個以上の-CH=は-N=に置き換えられてもよい。)
からなる群より選ばれる基を表し、上記の基(a)及び基(b)上の1つ又は2つ以上の水素原子はそれぞれ独立してシアノ基、フッ素原子又は塩素原子で置換されていても良く、
Z
K1及びZ
K2はそれぞれ独立して単結合、-CH
2CH
2-、-(CH
2)
4-、-OCH
2-、-CH
2O-、-OCF
2-、-CF
2O-、-COO-、-OCO-又は-C≡C-を表し、
n
K1が2、3又は4であってA
K2が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていても良く、n
K1が2、3又は4であってZ
K1が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていても良く、
X
K1及びX
K3はそれぞれ独立して水素原子、塩素原子又はフッ素原子を表し、
X
K2は、水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、トリフルオロメチル基、フルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基又は2,2,2-トリフルオロエチル基を表す。)
【0069】
一般式(K)中、RK1は、炭素原子数1~8のアルキル基、炭素原子数1~8のアルコキシ基、炭素原子数2~8のアルケニル基又は炭素原子数2~8のアルケニルオキシ基が好ましく、炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数1~5のアルコキシ基、炭素原子数2~5のアルケニル基又は炭素原子数2~5のアルケニルオキシ基が好ましく、炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数2~5のアルケニル基が更に好ましく、炭素原子数2~5のアルキル基又は炭素原子数2~3のアルケニル基が更に好ましく、炭素原子数3のアルケニル基(プロペニル基)が特に好ましい。
【0070】
信頼性を重視する場合にはRK1はアルキル基であることが好ましく、粘性の低下を重視する場合にはアルケニル基であることが好ましい。
また、それが結合する環構造がフェニル基(芳香族)である場合には、直鎖状の炭素原子数1~5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1~4のアルコキシ基及び炭素原子数4~5のアルケニル基が好ましく、それが結合する環構造がシクロヘキサン、ピラン及びジオキサンなどの飽和した環構造の場合には、直鎖状の炭素原子数1~5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1~4のアルコキシ基及び直鎖状の炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましい。ネマチック相を安定化させるためには炭素原子及び存在する場合酸素原子の合計が5以下であることが好ましく、直鎖状であることが好ましい。
【0071】
アルケニル基としては、式(R1)から式(R5)のいずれかで表される基から選ばれることが好ましい。(各式中の黒点はアルケニル基が結合している環構造中の炭素原子を表す。)
【化56】
【0072】
AK1及びAK2はそれぞれ独立してΔnを大きくすることが求められる場合には芳香族であることが好ましく、応答速度を改善するためには脂肪族であることが好ましい。
具体的には、AK1及びAK2はそれぞれ独立してトランス-1,4-シクロへキシレン基、1,4-フェニレン基、2-フルオロ-1,4-フェニレン基、3-フルオロ-1,4-フェニレン基、3,5-ジフルオロ-1,4-フェニレン基、2,3-ジフルオロ-1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキセニレン基、1,4-ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ピペリジン-1,4-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基又は1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基を表すことが好ましく、下記化57の構造を表すことがより好ましく、下記化58の構造を表すことが更に好ましい。
【0073】
【0074】
【0075】
ZK1及びZK2はそれぞれ独立して-CH2O-、-CF2O-、-CH2CH2-、-CF2CF2-又は単結合を表すことが好ましく、-CF2O-、-CH2CH2-又は単結合が更に好ましく、-CF2O-又は単結合が特に好ましい。
nK1は、0、1、2又は3が好ましく、0、1又は2が好ましく、Δεの改善に重点を置く場合には0又は1が好ましく、TNIを重視する場合には1又は2が好ましい。
【0076】
組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの所望の性能に応じて組み合わせて使用する。
使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類である。また、本発明の別の実施形態では4種類であり、5種類であり、6種類であり、7種類以上である。
該組成物において、一般式(K)で表される化合物の含有量は、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率、プロセス適合性、滴下痕、焼き付き、誘電率異方性などの求められる性能に応じて適宜調整する必要がある。
【0077】
一般式(K)で表される化合物は、例えば一般式(K-1)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
【化59】
(式中、R
K11は炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数2~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基を表し、X
K11~X
K14はそれぞれ独立して水素原子又はフッ素原子を表し、Y
K11はフッ素原子又はOCF
3を表す。)
【0078】
組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの所望の性能に応じて組み合わせて使用する。
使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類以上である。
【0079】
さらに、一般式(K-1)で表される化合物は、具体的には式(K-1.1)から式(K-1.4)で表される化合物であることが好ましい。
【化60】
【0080】
一般式(K)で表される化合物は、例えば一般式(K-2)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
【化61】
(式中、R
K21は炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数2~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基を表し、X
K21~X
K24はそれぞれ独立して水素原子又はフッ素原子を表し、Y
K21はフッ素原子又はOCF
3を表す。)
【0081】
さらに、一般式(K-2)で表される化合物は、具体的には式(K-2.1)から式(K-2.8)で表される化合物であることが好ましい。
【化62】
【0082】
一般式(K)で表される化合物は、例えば一般式(K-3)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
【化63】
(式中、R
K31は炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数2~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基を表し、X
K31~X
K36はそれぞれ独立して水素原子又はフッ素原子を表し、Y
K31はフッ素原子又はOCF
3を表す。)
【0083】
さらに、一般式(K-3)で表される化合物は、具体的には式(K-3.1)から式(K-3.4)で表される化合物であることが好ましい。
【化64】
【0084】
該液晶組成物(A)は、前記一般式(I)として、下記一般式(L)で表される化合物を1種類又は2種類以上含有することが好ましい
【化65】
(式中、R
L1及びR
L2はそれぞれ独立して炭素原子数1~8のアルキル基を表し、該アルキル基中の1個又は非隣接の2個以上の-CH
2-はそれぞれ独立して-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-CO-、-COO-又は-OCO-によって置換されていてもよく、
n
L1は0、1、2又は3を表し、
A
L1、A
L2及びA
L3はそれぞれ独立して
(a) 1,4-シクロヘキシレン基(この基中に存在する1個の-CH
2-又は隣接していない2個以上の-CH
2-は-O-に置き換えられてもよい。)、
(b) 1,4-フェニレン基(この基中に存在する1個の-CH=又は隣接していない2個以上の-CH=は-N=に置き換えられてもよい。)、及び
(c) ナフタレン-2,6-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基又はデカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基(ナフタレン-2,6-ジイル基又は1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基中に存在する1個の-CH=又は隣接していない2個以上の-CH=は-N=に置き換えられても良い。)
からなる群より選ばれる基を表し、上記の基(a)、基(b)及び基(c)の基中に存在する1つ又は2つ以上の水素原子はそれぞれ独立してシアノ基、フッ素原子又は塩素原子で置換されていても良く、
Z
L1及びZ
L2はそれぞれ独立して単結合、-CH
2CH
2-、-(CH
2)
4-、-OCH
2-、-CH
2O-、-COO-、-OCO-、-OCF
2-、-CF
2O-、-CH=N-N=CH-、-CH=CH-、-CF=CF-又は-C≡C-を表し、
n
L1が2又は3であってA
L2が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていても良く、n
L1が2又は3であってZ
L2が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていても良いが、一般式(I)で表される化合物を除く。)
【0085】
信頼性を重視する場合にはRL1及びRL2はともにアルキル基であることが好ましく、化合物の揮発性を低減させることを重視する場合にはアルコキシ基であることが好ましく、粘性の低下を重視する場合には少なくとも一方はアルケニル基であることが好ましい。
【0086】
分子内に存在するハロゲン原子は0、1、2又は3個が好ましく、0又は1が好ましく、他の液晶分子との相溶性を重視する場合には1が好ましい。
RL1及びRL2は、それが結合する環構造がフェニル基(芳香族)である場合には、直鎖状の炭素原子数1~5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1~4のアルコキシ基及び炭素原子数4~5のアルケニル基が好ましく、それが結合する環構造がシクロヘキサン、ピラン及びジオキサンなどの飽和した環構造の場合には、直鎖状の炭素原子数1~5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1~4のアルコキシ基及び直鎖状の炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましい。ネマチック相を安定化させるためには炭素原子及び存在する場合酸素原子の合計が5以下であることが好ましく、直鎖状であることが好ましい。
【0087】
アルケニル基としては、式(R1)から式(R5)のいずれかで表される基から選ばれることが好ましい。(各式中の黒点は環構造中の炭素原子を表す。)
【化66】
【0088】
nL1は応答速度を重視する場合には0が好ましく、ネマチック相の上限温度を改善するためには2又は3が好ましく、これらのバランスをとるためには1が好ましい。また、組成物として求められる特性を満たすためには異なる値の化合物を組み合わせることが好ましい。
【0089】
AL1、AL2及びAL3はそれぞれ独立してΔnを大きくすることが求められる場合には芳香族であることが好ましく、応答速度を改善するためには脂肪族であることが好ましい。
具体的には、AL1、AL2及びAL3はそれぞれ独立してトランス-1,4-シクロへキシレン基、1,4-フェニレン基、2-フルオロ-1,4-フェニレン基、3-フルオロ-1,4-フェニレン基、3,5-ジフルオロ-1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキセニレン基、1,4-ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ピペリジン-1,4-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基又は1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基を表すことが好ましく、下記化67の構造を表すことがより好ましく、トランス-1,4-シクロへキシレン基又は1,4-フェニレン基を表すことがより好ましい。
【0090】
【0091】
ZL1及びZL2は応答速度を重視する場合には単結合であることが好ましい。
一般式(L)で表される化合物は分子内のハロゲン原子数が0個又は1個であることが好ましい。
一般式(L)で表される化合物は一般式(L-1)~(L-9)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
【0092】
一般式(L-1)で表される化合物は下記の化合物である。
【化68】
(式中、R
L11及びR
L12はそれぞれ独立して、一般式(L)におけるR
L1及びR
L2と同じ意味を表す。)
【0093】
RL11及びRL12は、直鎖状の炭素原子数1~5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1~4のアルコキシ基及び直鎖状の炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましい。
一般式(L-1)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。
組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。
【0094】
一般式(L-1)で表される化合物は一般式(L-1-1)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
【化69】
(式中R
L12は一般式(L-1)における意味と同じ意味を表す。)
【0095】
一般式(L-1-1)で表される化合物は、式(L-1-1.1)から式(L-1-1.3)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(L-1-1.2)又は式(L-1-1.3)で表される化合物であることが好ましく、特に、式(L-1-1.3)で表される化合物であることが好ましい。
【化70】
【0096】
一般式(L-1)で表される化合物は一般式(L-1-2)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
【化71】
(式中R
L12は一般式(L-1)における意味と同じ意味を表す。)
【0097】
さらに、一般式(L-1-2)で表される化合物は、式(L-1-2.1)から式(L-1-2.4)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。特に、式(L-1-2.2)で表される化合物は該組成物の応答速度を特に改善するため好ましい。
【化72】
【0098】
一般式(L-1)で表される化合物は一般式(L-1-3)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
【化73】
(式中R
L13及びR
L14はそれぞれ独立して炭素原子数1~8のアルキル基又は炭素原子数1~8のアルコキシ基を表す。)
【0099】
RL13及びRL14は、直鎖状の炭素原子数1~5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1~4のアルコキシ基及び直鎖状の炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましい。
【0100】
さらに、一般式(L-1-3)で表される化合物は、式(L-1-3.1)から式(L-1-3.13)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
【化74】
【0101】
一般式(L-1)で表される化合物は一般式(L-1-4)及び/又は(L-1-5)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
【化75】
(式中R
L15及びR
L16はそれぞれ独立して炭素原子数1~8のアルキル基又は炭素原子数1~8のアルコキシ基を表す。)
【0102】
RL15及びRL16は、直鎖状の炭素原子数1~5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1~4のアルコキシ基及び直鎖状の炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましい。
【0103】
さらに、一般式(L-1-4)及び(L-1-5)で表される化合物は、式(L-1-4.1)から式(L-1-5.3)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
【化76】
【0104】
一般式(L-1)で表される化合物は一般式(L-1-6)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
【化77】
(式中R
L17及びR
L18はそれぞれ独立してメチル基又は水素原子を表す。)
【0105】
さらに、一般式(L-1-6)で表される化合物は、式(L-1-6.1)から式(L-1-6.3)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
【化78】
【0106】
一般式(L-2)で表される化合物は下記の化合物である。
【化79】
(式中、R
L21及びR
L22はそれぞれ独立して、一般式(L)におけるR
L1及びR
L2と同じ意味を表す。)
【0107】
さらに、一般式(L-2)で表される化合物は、式(L-2.1)から式(L-2.6)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
【化80】
【0108】
一般式(L-3)で表される化合物は下記の化合物である。
【化81】
(式中、R
L31及びR
L32はそれぞれ独立して、一般式(L)におけるR
L1及びR
L2と同じ意味を表す。)
【0109】
RL31及びRL32はそれぞれ独立して炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数4~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基が好ましい。
高い複屈折率を得る場合は含有量を多めに設定すると効果が高く、反対に、高いTNIを重視する場合は含有量を少なめに設定すると効果が高い。
【0110】
さらに、一般式(L-3)で表される化合物は、式(L-3.1)から式(L-3.7)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましくい。
【化82】
【0111】
一般式(L-4)で表される化合物は下記の化合物である。
【化83】
(式中、R
L41及びR
L42はそれぞれ独立して、一般式(L)におけるR
L1及びR
L2と同じ意味を表す。)
【0112】
RL41は炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましく、RL42は炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数4~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基が好ましい。)
該組成物において、一般式(L-4)で表される化合物の含有量は、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率、プロセス適合性、滴下痕、焼き付き、誘電率異方性などの求められる性能に応じて適宜調整する必要がある。
【0113】
一般式(L-4)で表される化合物は、例えば式(L-4.1)から式(L-4.3)で表される化合物であることが好ましい。
【化84】
【0114】
低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて、式(L-4.1)で表される化合物を含有していても、式(L-4.2)で表される化合物を含有していても、式(L-4.1)で表される化合物と式(L-4.2)で表される化合物との両方を含有していても良いし、式(L-4.1)から式(L-4.3)で表される化合物を全て含んでいても良い。
【0115】
一般式(L-4)で表される化合物は、例えば式(L-4.4)から式(L-4.6)で表される化合物であることが好ましい。
【化85】
【0116】
一般式(L-4)で表される化合物は、式(L-4.7)から式(L-4.10)で表される化合物であることが好ましい。
【化86】
【0117】
一般式(L-5)で表される化合物は下記の化合物である。
【化87】
(式中、R
L51及びR
L52はそれぞれ独立して、一般式(L)におけるR
L1及びR
L2と同じ意味を表す。)
【0118】
RL51は炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましく、RL52は炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数4~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基が好ましい。
【0119】
一般式(L-5)で表される化合物は、式(L-5.1)又は式(L-5.2)で表される化合物であることが好ましい。
【化88】
【0120】
一般式(L-5)で表される化合物は、式(L-5.3)又は式(L-5.4)で表される化合物であることが好ましい。
【化89】
【0121】
一般式(L-5)で表される化合物は、式(L-5.5)から式(L-5.7)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
【化90】
【0122】
一般式(L-6)で表される化合物は下記の化合物である。
【化91】
(式中、R
L61及びR
L62はそれぞれ独立して、一般式(L)におけるR
L1及びR
L2と同じ意味を表し、X
L61及びX
L62はそれぞれ独立して水素原子又はフッ素原子を表す。)
【0123】
RL61及びRL62はそれぞれ独立して炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましく、XL61及びXL62のうち一方がフッ素原子他方が水素原子であることが好ましい。
Δnを大きくすることに重点を置く場合には含有量を多くした方が好ましく、低温での析出に重点を置いた場合には含有量は少ない方が好ましい。
【0124】
一般式(L-6)で表される化合物は、式(L-6.1)から式(L-6.9)で表される化合物であることが好ましい。
【化92】
【0125】
組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、これらの化合物の中から1種~3種類含有することが好ましく、1種~4種類含有することがより好ましく、式(L-6.1)、式(L-6.3)、式(L-6.4)、式(L-6.6)及び式(L-6.9)で表される化合物を含むことが更に好ましい。
【0126】
さらに、一般式(L-6)で表される化合物は、例えば式(L-6.10)から式(L-6.17)で表される化合物であることが好ましい。
【化93】
【0127】
一般式(L-7)で表される化合物は下記の化合物である。
【化94】
(式中、R
L71及びR
L72はそれぞれ独立して一般式(L)におけるR
L1及びR
L2と同じ意味を表し、A
L71及びA
L72はそれぞれ独立して一般式(L)におけるA
L2及びA
L3と同じ意味を表すが、A
L71及びA
L72上の水素原子はそれぞれ独立してフッ素原子によって置換されていてもよく、Z
L71は一般式(L)におけるZ
L2と同じ意味を表し、X
L71及びX
L72はそれぞれ独立してフッ素原子又は水素原子を表す。)
【0128】
式中、RL71及びRL72はそれぞれ独立して炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数2~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基が好ましく、AL71及びAL72はそれぞれ独立して1,4-シクロヘキシレン基又は1,4-フェニレン基が好ましく、AL71及びAL72上の水素原子はそれぞれ独立してフッ素原子によって置換されていてもよく、ZL71は単結合又はCOO-が好ましく、単結合が好ましく、XL71及びXL72は水素原子が好ましい。
【0129】
さらに、一般式(L-7)で表される化合物は、式(L-7.1)から式(L-7.4)で表される化合物であることが好ましく、式(L-7.2)で表される化合物であることが好ましい。
【化95】
【0130】
さらに、一般式(L-7)で表される化合物は、式(L-7.11)から式(L-7.13)で表される化合物であることが好ましい。
【化96】
【0131】
さらに、一般式(L-7)で表される化合物は、式(L-7.21)から式(L-7.23)で表される化合物である。式(L-7.21)で表される化合物であることが好ましい。
【化97】
【0132】
さらに、一般式(L-7)で表される化合物は、式(L-7.31)から式(L-7.34)で表される化合物であることが好ましい。
【化98】
【0133】
さらに、一般式(L-7)で表される化合物は、式(L-7.41)から式(L-7.44)で表される化合物であることが好ましい。
【化99】
【0134】
さらに、一般式(L-7)で表される化合物は、式(L-7.51)から式(L-7.53)で表される化合物であることが好ましい。
【化100】
【0135】
一般式(L-9)で表される化合物は下記の化合物である。
【化101】
(式中、R
L91及びR
L92はそれぞれ独立して、一般式(L)におけるR
L11及びR
L12と同じ意味を表し、X
L91、X
L92は、それぞれ独立して水素原子又はフッ素原子、炭素原子数1~2のアルキル基す。)
【0136】
RL91及びRL92はそれぞれ独立して炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数4~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基が好ましい。
一般式(L-9)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。
組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。
使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0137】
該組成物の総量に対しての式(L-9)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、10%であり、12%であり、14%であり、16%であり、18%であり、20%であり、22%であり、24%であり、25%が好ましい。含有量の上限値は、該組成物の総量に対して、45%であり、43%であり、40%であり、38%であり、37%であり、36%であり、35%であり、34%が好ましい。
高い複屈折率を得る場合は含有量を多めに設定すると効果が高く、反対に、高いTNIを重視する場合は含有量を少なめに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0138】
さらに、一般式(L-9)で表される化合物は、式(L-9.1)から式(L-9.24)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
【化102】
【0139】
【0140】
一般式(L-10)で表される化合物は下記の化合物である。
【化104】
(式中、R
L101及びR
L102はそれぞれ独立して、一般式(L)におけるR
L11及びR
L12と同じ意味を表し、Z
L71は単結合、又は-COO-を表し、X
L101、X
L102、X
L103、X
L104は、それぞれ独立して水素原子又はフッ素原子、炭素原子数1~2のアルキル基す。)
【0141】
一般式(L-10)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。
組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。
使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0142】
該組成物の総量に対しての式(L-10)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、10質量%であり、11質量%であり、12質量%であり、13質量%であり、14質量%であり、15質量%であり、16質量%であり、17質量%であり、18質量%が好ましい。
含有量の上限値は、該組成物の総量に対して、45質量%であり、43質量%であり、30質量%であり、28質量%であり、26質量%であり、24質量%であり、22質量%であり、21質量%が好ましい。
高い複屈折率を得る場合は含有量を多めに設定すると効果が高く、高いTNIを重視する場合は含有量を多めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0143】
一般式(L-10)で表される化合物は一般式(L-10.1)から式(L-10.9)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
【化105】
【0144】
さらに、一般式(L-10)で表される化合物は一般式(L-10.11)から式(L-10.19)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
【化106】
【0145】
さらに、一般式(L-10)で表される化合物は一般式(L-10.21)から式(L-10.29)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
【化107】
【0146】
さらに、一般式(L-10)で表される化合物は一般式(L-10.31)から式(L-10.42)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
【化108】
【0147】
(重合性モノマー(b))
重合性モノマー(b)は、下記一般式(i)で表される2官能性重合性モノマー(b-1)及び下記一般式(ii)で表される1官能性鎖式重合性モノマー(b-2)を含む。
(2官能性重合性モノマー(b-1))
本発明においては、下記一般式(i)で表わされる2官能性重合性モノマー(b-1)を使用する。
【0148】
【化109】
(式中、Y
1、及びY
2は水素原子、又はメチル基を表し、
X
1は直鎖、または分岐の炭素原子数6~80のアルキレンを表し、該アルキレンの任意の炭素原子は、酸素原子が直接隣接しないように、-O-、-CH=CH-、-CO-、-C≡C-、-OCO-、-COO-、又はOHで置換されてよい。)
【0149】
ここで、一般式(i)中、X1は直鎖、または分岐のアルキレンは、炭素原子数6~80の範囲のものであるが、炭素原子数は7~70の範囲であることが好ましく、中でも8~60の範囲であることが好ましく、特に9~50の範囲であることが駆動電圧低下の点から好ましい。
また、一般式(i)中のX1は、炭素原子数6~80のアルキレン中にアルキリデン基を有するものが駆動電圧の低下の点から好ましい。ここでアルキリデン基としては、エチリデン基、2,2-プロピリデン基であることが好ましい。
【0150】
かかるX
1は、更に具体的には、下記構造式(i―1)又は構造式(i―2)で表される構造部位を部分構造として、又は繰り返し単位として有することが好ましい。
【化110】
(構造式(i―1)中、Y
3及びY
4はそれぞれメチル基又は水素原子を表すが、少なくとも一方はメチル基であり、Y
5は単結合、メチレン基、1,3-プロピレン基を表す。また、破線は結合手を表す。)
【0151】
【化111】
(構造式(i―2)中、Y
3及びY
4はそれぞれメチル基又は水素原子を表すが、少なくとも一方はメチル基であり、Y
5は単結合、メチレン基、1,3-プロピレン基を表す。また、破線は結合手を表す。)
【0152】
上記した2官能性重合性モノマー(b-1)は、例えば、下記の構造のものが挙げられる。
【化112】
(式中、n
2は7~18、n
3及びm
2はn
3+m
2が3~18となる値、n
4は4~23、n
5は8~16、n
6は6~18、n
7は9~16をそれぞれ表す。)
【0153】
重合方法としては、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合等を用いることができるが、ラジカル重合により重合することが好ましく、光フリース転位によるラジカル重合、光重合開始剤によるラジカル重合がより好ましい。
ラジカル重合開始剤としては、熱重合開始剤又は光重合開始剤を用いることができるが、光重合開始剤が好ましい。
【0154】
(1官能性鎖式重合性モノマー(b-2))
また、本発明においては、一般式(i)で表わされる2官能性重合性モノマー(b-1)とともに、下記一般式(ii)で表される1官能性鎖式重合性モノマー(b-2)を併用する。
【化113】
(式中、P
ii1は重合性官能基を表し、
R
ii1は単結合又は炭素原子数1~9のアルキレン基を表すが、該アルキレン基中の1つ又は2つ以上の-CH
2-は、酸素原子が直接隣接しないようにそれぞれ独立して-O-、-CO-、-COO-又は-OCO-で置換されていてもよく、該アルキレン基中に存在する1つ又は2つ以上の水素原子は、それぞれ独立してフッ素原子で置換されていてもよく、
R
ii2及びR
ii3はそれぞれ独立して、炭素原子数1~21のアルキル基を表すが、該アルキル基中の1つ又は2つ以上の-CH
2-は、酸素原子が直接隣接しないようにそれぞれ独立して-O-、-CO-、 -COO-又は-OCO-で置換されていてもよく、該アルキル基中に存在する1つ又は2つ以上の水素原子は、それぞれ独立してP
ii2、フッ素原子、炭素原子数1~8のアルキル基、炭素原子数1~8のハロゲン化アルキル基で置換されていてもよい。
【0155】
高分子ネットワーク(B)は、一般式(i)で表わされる2官能性重合性モノマー(b-1)に由来する単量体単位と、一般式(ii)で表される1官能性鎖式重合性モノマー(b-2)に由来する単量体単位の両方を含む重合体で構成される。
高分子ネットワーク(B)は、得られる網目のサイズを大きくし、近赤外領域の光の散乱性を向上させやすい観点から、上記重合体を含むことが好ましい。
高分子ネットワーク(B)は、2官能性重合性モノマー(b-1)及び1官能性鎖式重合性モノマー(b-2)を含む複合液晶組成物を紫外線硬化することで容易に得ることができる。この観点から、複合液晶組成物は、メソゲン含有重合性モノマー(b-1)及び1官能性鎖式重合性モノマー(b-2)を含むことが好ましい。
また、一般式(i)で表わされる2官能性重合性モノマー(b-1)と1官能性鎖式重合性モノマー(b-2)とを併用することで、複合液晶組成物の重合反応速度を遅くすることができる。さらに、複合液晶組成物は、一般式(ii)で表わされる1官能性鎖式重合性モノマー(b-2)以外の鎖式重合性モノマーを含んでもよい。
【0156】
一般式(ii)において、Pii1は重合性官能基を表すが、具体的な例としては上記Pi1と同様の基が挙げられる。中でも、Pii1は(P-1)、(P-2)又は(P-3)であることが好ましい。
Rii1は炭素原子数1~6のアルキレン基であることが好ましく、炭素原子数1~3のアルキレン基であることがより好ましい。
【0157】
Rii2及びRii3はそれぞれ独立して、1つ若しくは2つ以上の隣接しない-CH2-が-O-で置換されていてもよく、1つ若しくは2つ以上の水素原子がそれぞれ独立してPii2で置換されていてもよい炭素原子数1~21のアルキル基を表すことが好ましく、1つ若しくは2つ以上の水素原子がそれぞれ独立してPii2で置換されていてもよい炭素原子数3~16のアルキル基を表すことがより好ましく、1つ若しくは2つ以上の水素原子がそれぞれ独立してPii2で置換されていてもよい炭素原子数5~14のアルキル基を表すことがさらに好ましく、炭素原子数6~12のアルキル基を表すことが特に結晶性を抑制できる点から好ましい。
【0158】
Rii1、Rii2及びRii3それぞれに含まれる炭素原子数の総和は、3~30であることが好ましく、4~28であることがより好ましく、5~26であることがさらに好ましく、6~24であることがさらに好ましく、12~24であることが特に好ましい。
【0159】
上記した1官能性重合性モノマー(b-2)は、例えば、下記の構造のものが挙げられる。
【化114】
【0160】
(複合液晶組成物)
本発明にかかる相分離液晶層は、上記液晶組成物(A)と、上記重合性モノマー(b)とを含む複合液晶組成物を用いて形成することができる。
複合液晶組成物は、少なくとも特定の温度範囲において安定的に液晶相であるように組成されたものであり、常温で液晶相であることが好ましい。
【0161】
本発明では前記した通り、一般式(I)中のR1及びR2の少なくとも一方に、-CH=CH-又は-C≡C-なる構造を有する化合物を、液晶組成物(A)と重合性モノマー(b)とを含む複合液晶組成物中、6~20質量%となる割合(含有率)で含有する。これにより、重合性モノマー(b)の重合速度が遅くなるため、形成される高分子ネットワーク(B)の網目のサイズを大きくすることができる。その結果、複合層(相分離液晶層)における近赤外域の光の散乱性が良好となる。
【0162】
更に、本発明では、前記一般式(I)で表される化合物のうち、分子構造内にアセチレン構造(-C≡C-)を有する化合物を複合液晶組成物中30~60質量%となる割合で含有することが好ましい。これにより、上記の複合層における近赤外域の光の散乱性がより良好となる。
【0163】
複合液晶組成物100質量%における一般式(i)で表わされる2官能性重合性モノマー(b-1)の含有量は、得られる液晶素子の高速応答性を得る観点から、下限値が15質量%以上であることが好ましく、18質量%以上であることがより好ましく、20質量%以上であることがさらに好ましく、22質量%以上であることが特に好ましく、得られる液晶素子の駆動電圧を下げる観点から、上限値が32質量%以下であることが好ましく、28質量%以下であることがより好ましく、27質量%以下であることがさらに好ましく、26質量%以下であることが特に好ましい。
【0164】
また、複合液晶組成物中における重合性モノマー(b)の含有率が20~30質量%かつ1官能性鎖式重合性モノマー(b-2)の含有率が1~6質量%である。これにより、液晶分子に対するアンカリング力や、高分子ネットワーク(B)の網目のサイズが適切に調整され、応答速度の速い高分子分散型液晶素子を得ることができる。
【0165】
複合液晶組成物は、本発明の目的を阻害しない限りに置いて、その他の任意成分を含んでよい。
上記任意成分としては、例えば、ラジカル重合開始剤などが挙げられる。
【0166】
(相分離液晶層)
複合液晶組成物が液晶相を示した状態で、複合液晶組成物中の重合性モノマー(b)を重合させることにより、相分離液晶層を形成することができる。このとき、重合反応の進行により、液晶組成物と重合体とが徐々に相分離されるようにすることが好ましい。このようにして得られた相分離液晶層においては、重合体が相中に密な高分子ネットワーク(B)を形成し、相中の液晶分子に対して高い配向規制力を発揮できる。
【0167】
重合時の反応速度は、紫外線重合においては、重合性モノマー(b)の官能基や光開始剤の種類及び含有量、紫外線露光強度により適宜調整すれば良い。紫外線露光強度は、十分な反応速度を得る観点から少なくとも2mW/cm2以上であることが好ましい。
【0168】
複合液晶組成物における重合性モノマー(b)の含有量が増加すると、組成物中で相分離が生じる場合がある。この場合は、少なくとも重合開始時には、複合液晶組成物が均一相となる温度条件を採用することが好ましい。
複合液晶組成物における重合性モノマー(b)の紫外線硬化は、複合液晶組成物を後述の中空素子に狭持させた状態で行うことが好ましい。これにより、液晶素子を効率的に作製することができる。
【0169】
(液晶素子)
本発明の液晶素子は、相分離液晶層と透明電極とを備え、更にホモジニアス配向膜を備えても良い。
本発明の液晶素子は、上記要素を備えるものであれば、具体的な実施形態は特に限定されるものではないが、例えば、少なくとも一方に透明電極が配置された2つの透明基板とホモジニアス配向膜とから構成される中空素子中に相分離液晶層が狭持された構成としてよい。
【0170】
本発明の液晶素子は、電圧無印加時には光散乱状態であり、電圧印加時には透過状態とすることができる。
本発明の液晶素子は、重合体からなる緻密な高分子ネットワーク(B)によって液晶分子の配向が制御されている。よって、本発明の液晶素子は、外的な応力による配向乱れを起こしにくく、高い応力耐性を有する。本発明の液晶素子は、曲げ応力が加わる環境下でも表示不良を起こしにくいため、屈曲可能なものとすることができる。従って、本発明の液晶素子は、素子表面が曲面であってもよい。この場合、好ましくは、透明電極及びホモジニアス配向膜を備える透明基板が可撓性を有する構成とすることができる。
【0171】
かかる液晶素子では、光散乱状態において、波長Xnmの可視光領域の光の透過率をT(VIS)%とし、波長(X+400)nmの近赤外域の光の透過率をT(NIR)%としたとき、T(NIR)/T(VIS)が4以下であることが好ましく、3以下であることがより好ましく、2以下であることが更に好ましく、1以下であることが特に好ましい。このような液晶素子は、近赤外域の光の散乱性が十分に高い。
【0172】
(透明電極)
透明電極は、本発明の液晶素子中において、相分離液晶層中の液晶分子を配向制御可能な電界を生じるように設けられる。電界強度は、透明電極への電圧印加の程度により制御される。
透明電極の形状は特に限定されず、導電部がストライプ状もしくはメッシュ状、またはランダムな網目状であってよい。
【0173】
(透明基板)
前記透明基板の材料としては、ガラス、プラスチック等を用いることができる。本発明の液晶素子をフレキシブルディスプレイに適用する場合は、透明基板は可撓性であることが好ましい。
【0174】
(液晶素子の製造例)
本発明の液晶素子は、生産性の観点から、中空素子に重合性モノマー(b)と液晶組成物(A)とを含有する複合液晶組成物をアイソトロピックの状態で注入し、複合液晶組成物中の重合性モノマー(b)を上述の方法により紫外線硬化し、複合液晶組成物から相分離液晶層を形成することで製造することが好ましい。
【0175】
中空素子に複合液晶組成物を狭持させる方法は、常法でよく、真空注入法又はODF法などを用いることができる。ODF法の重合性液晶素子製造工程においては、中空素子のバックプレーンまたはフロントプレーンのどちらか一方の基板にエポキシ系光熱併用硬化性などのシール剤を、ディスペンサーを用いて閉ループ土手状に描画し、その中に脱気下で所定量の複合液晶組成物を滴下後、フロントプレーンとバックプレーンを接合することによって重合性液晶素子を製造することができる。本発明に用いられる複合液晶組成物は、相安定性が高く揮発しにくいため、ODF工程に好適に使用することができる。
【0176】
本発明の液晶素子は、例えば、赤外域の光学素子、建材、調光ガラス、車載向けのスマートウィンドウ又はOLEDディスプレイにおける調光ユニット等に用いることが好ましい。また従来の高分子分散型液晶表示素子と同様な用途に用いることができるほか、フレキシブルディスプレイ等にも好ましく用いることができる。
【実施例】
【0177】
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳述するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、以下の実施例及び比較例の組成物における「%」は「質量%」を意味する。
【0178】
実施例において化合物の記載について以下の略号を用いる。
-n -CnH2n+1 炭素数nの直鎖状のアルキル基
n- CnH2n+1- 炭素数nの直鎖状のアルキル基
-On -OCnH2n+1 炭素数nの直鎖状のアルコキシル基
nO- CnH2n+1O- 炭素数nの直鎖状のアルコキシル基
-nO- -CnH2nO-
-On- -OCnH2n-
-n- -CnH2n-
-V -CH=CH2
V- CH2=CH-
-V1 -CH=CH-CH3
1V- CH3-CH=CH-
V2- CH2=CH-CH2-CH2-
-2V -CH2-CH2-CH=CH2
Coo -C(=O)-O- エステル基
T -C≡C- 三重結合
【0179】
【0180】
表1中の各重合性モノマーの化学構造を以下に示す。
【化116】
【0181】
各実施例及び比較例中の評価特性の各々の詳細は以下の通りである。
Δn :20℃における屈折率異方性
τr :0Vから50Vの電圧を印加したときの透過率変化において、10%~90%の変化にかかった時間。
τd :50Vから0Vの電圧を印加したときの透過率変化において、90%~10%の変化にかかった時間。
なお、表1中の各成分の含有量は、質量%を表す。
【0182】
[実施例1]
ITO付きガラス基板が15μmのセルに、表1に示す比率で液晶組成物と重合性モノマーと開始剤とを含む複合液晶組成物を注入し、注入口にフォトレック704(積水化学社製)で封止した後、メタルハライドランプで70mW/cm2のUV光を60sec間照射することで、高分子分散型液晶素子を得た。
この液晶素子において、電圧OFF時における波長940nmの光の透過率と波長540nmの光の透過率とは、それぞれ1.7%と2.5%とであり、近赤外域の光の透過率が低い値を示した。
【0183】
また光散乱状態において、可視光領域(波長540nm)の光の透過率をT(VIS)%とし、近赤外域(波長540+400nm)の光の透過率をT(NIR)%としたとき、T(NIR)/T(VIS)が0.7であった。
また、30℃における応答速度τrは4.7ms、τdは3.9msであった。
比較例に比べて、可視光領域の光の散乱性よりも近赤外域の光の散乱性が高いことは明らかであり、また応答速度も実用上問題がなかった。
【0184】
[実施例2~5]
実施例1と同様にして、表1に示す組成の複合液晶組成物を調製し、得られた液晶素子の電圧OFF時における波長940nm及び波長540nmの光の透過率と、25℃での応答速度とを測定した。
比較例に比べて、可視光領域の光の散乱性よりも近赤外域の光の散乱性が高いことは明らかであり、また応答速度も実用上問題がなかった。
【0185】
[比較例1~3]
実施例1と同様にして、表1に示す組成の複合液晶組成物を調製し、得られた液晶素子の電圧OFF時における波長940nm及び波長540nmの光の透過率と、25℃での応答速度とを測定した。
実施例に比べて、可視光領域の光の散乱性よりも近赤外域の光の散乱性が低いことは、明らかである。
【0186】