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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-17
(45)【発行日】2023-01-25
(54)【発明の名称】セリア粒子向けのCMP後洗浄用組成物
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20230118BHJP
   C11D 3/26 20060101ALI20230118BHJP
   C11D 3/36 20060101ALI20230118BHJP
   C11D 3/39 20060101ALI20230118BHJP
   C11D 3/30 20060101ALI20230118BHJP
   C11D 3/28 20060101ALI20230118BHJP
   C11D 3/20 20060101ALI20230118BHJP
【FI】
H01L21/304 647Z
C11D3/26
C11D3/36
C11D3/39
C11D3/30
C11D3/28
C11D3/20
H01L21/304 647A
H01L21/304 647B
H01L21/304 622Q
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021510837
(86)(22)【出願日】2019-08-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-27
(86)【国際出願番号】 US2019044948
(87)【国際公開番号】W WO2020046539
(87)【国際公開日】2020-03-05
【審査請求日】2021-05-06
(31)【優先権主張番号】62/723,759
(32)【優先日】2018-08-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505307471
【氏名又は名称】インテグリス・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】トーマス, エリザベス
(72)【発明者】
【氏名】ホワイト, マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ホワイト, ダニエラ
(72)【発明者】
【氏名】ダス, アタヌ
【審査官】安田 雅彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-260213(JP,A)
【文献】特開2014-170927(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0094536(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0204736(US,A1)
【文献】特表2016-526070(JP,A)
【文献】特開2005-167206(JP,A)
【文献】特表2015-512971(JP,A)
【文献】特表2018-503723(JP,A)
【文献】特表2017-502491(JP,A)
【文献】特表2016-527707(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0204764(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304-21/308
H01L 21/768
H01L 21/02 -21/027
C11D 1/00 - 7/60
C11D 17/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)少なくとも1つの酸化剤;
(ii)少なくとも1つの錯化剤;
(iii)少なくとも1つの洗浄剤;
(iv)少なくとも1つの第四級アンモニウムまたは第四級ホスホニウム化合物または無機水酸化物;および
(V)水
を含み、pHが8超であり、腐食防止剤及びエッチング液を含まない、セリア粒子および化学機械研磨夾雑物を除去するための組成物。
【請求項2】
酸化剤が、過酸化水素、過ヨウ素酸、t-ブチルヒドロペルオキシド、過酢酸、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、ペルオキシ硫酸カリウム、過マンガン酸カリウムおよび過酸化水素尿素から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
錯化剤が、一般式NRである化合物[式中、R、RおよびRは、同じであってもよく、または互いに異なっていてもよく、水素、直鎖状または分岐状C~Cアルキル、直鎖状または分岐状C~Cヒドロキシアルキル、および直鎖状または分岐状C~Cヒドロキシアルキル基のC~Cアルキルエーテルから選択される]から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
錯化剤が、4-(2-ヒドロキシエチル)モルホリン(HEM)、1,2-シクロヘキサンジアミン-N,N,N’,N’-四酢酸(CDTA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、m-キシレンジアミン(MXDA)、イミノ二酢酸(IDA)、2-(ヒドロキシエチル)イミノ二酢酸(HIDA)、ニトリロ三酢酸、チオ尿素、1,1,3,3-テトラメチル尿素、尿素、尿素誘導体、尿酸、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、バリンおよびそれらの組合せから選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
錯化剤が、1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸(HEDP)、1,5,9-トリアザシクロドデカン-N,N’,N”-トリス(メチレンホスホン酸)(DOTRP)、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-N,N’,N”,N’’’-テトラキス(メチレンホスホン酸)(DOTP)、ニトリロトリス(メチレン)トリホスホン酸、ジエチレントリアミンペンタキス(メチレンホスホン酸)(DETAP)、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、ビス(ヘキサメチレン)トリアミンペンタメチレンホスホン酸、1,4,7-トリアザシクロノナン-N,N’,N”-トリス(メチレンホスホン酸(NOTP)、ヒドロキシエチルジホスホネート、ニトリロトリス(メチレン)ホスホン酸、2-ホスホノ-ブタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸、カルボキシエチルホスホン酸、アミノエチルホスホン酸、グリホセート、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸) フェニルホスホン酸、それらの塩から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
除去用組成物中の錯化剤の量が、組成物の総重量に対して、約0.01重量%~約10重量%の範囲にある、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
洗浄剤が、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、テトラヒドロフルフリルアルコール(THFA)、3-クロロ-1,2-プロパンジオール、3-クロロ-1-プロパンチオール、1-クロロ-2-プロパノール、2-クロロ-1-プロパノール、3-クロロ-1-プロパノール、3-ブロモ-1,2-プロパンジオール、1-ブロモ-2-プロパノール、3-ブロモ-1-プロパノール、3-ヨード-1-プロパノール、3-アミノ-4-オクタノール、4-クロロ-1-ブタノール、2-クロロエタノール、ジクロロメタン、クロロホルム、酢酸、プロピオン酸、トリフルオロ酢酸、テトラヒドロフラン N-メチルピロリジノン(NMP)、シクロヘキシルピロリジノン、N-オクチルピロリジノン、N-フェニルピロリジノン、メチルジエタノールアミン、ギ酸メチル、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、テトラメチレンスルホン(スルホラン)、ジエチルエーテル、フェノキシ-2-プロパノール(PPh)、プロプリオフェノン、乳酸エチル、酢酸エチル、安息香酸エチル、アセトニトリル、アセトン、エチレングリコール、プロピレングリコール(PG)、1,3-プロパンジオール、ジオキサン、ブチリルラクトン、ブチレンカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテルおよびそれらの組合せから選択される水混和性有機溶媒である、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
洗浄剤が、水混和性有機溶媒でありかつ、組成物の総重量に対して、約0.0001重量%~約5パーセント重量%の範囲で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
その表面にセリア粒子および化学機械研磨夾雑物を有するマイクロ電子デバイスから前記粒子および夾雑物を除去する方法であって、以下:
(i)low-k誘電性材料を含むマイクロ電子デバイスに請求項1に記載の組成物を接触させること;および
(ii)脱イオン水を含む水溶液で、前記マイクロ電子デバイスから前記粒子および夾雑物を少なくとも一部、除去すること
を含む、方法。
【請求項10】
low-k誘電性材料が、ポリ-Si、PETEOS、炭化ケイ素、ポリマー薄膜、オキシ炭化ケイ素、オキシ窒化ケイ素および窒化ケイ素、ケイ素含有有機ポリマー、ケイ素含有有機/無機ハイブリッド材料、有機ケイ酸塩ガラス(OSG)、TEOS、フッ化ケイ酸塩ガラス(FSG)、二酸化ケイ素、および炭素ドープ酸化物(CDO)ガラスまたは炭素ドープガラスから選択される材料を含む、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、その表面にセリア粒子および他の化学機械研磨スラリー夾雑物を有するマイクロ電子デバイスからこれらを除去するための組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路を形成するために、マイクロ電子デバイスウェハが使用される。マイクロ電子デバイスウェハは、ケイ素などの基板を含み、この基板に絶縁特性、導電特性または半導体特性を有する様々な物質を堆積する領域がパターン形成される。
【0003】
正確なパターン形成を得るため、基板表面に層を形成する際に使用した過剰の物質は、除去されなければならない。さらに、機能性および信頼性のある電気回路を作製するため、その後の加工の前に、平坦なまたは平面のマイクロ電子ウェハ表面を調製することが重要となる。したがって、マイクロ電子デバイスウェハのある特定の表面を除去および/または研磨することが必要である。
【0004】
化学機械研磨または平面化(「CMP」)とは、研磨などの物理プロセスと酸化またはキレート形成などの化学プロセスとを連携させることによって、物質がマイクロ電子デバイスウェハの表面から除去され、この表面が研磨される(例えば、平坦化される)プロセスのことである。その最も基本的な形態では、CMPは、除去、平坦化および研磨プロセスの間に、マイクロ電子デバイスウェハの表面を磨く研磨用パッドに活性化学物質を有する研磨材のスラリーを適用することを含む。純粋な物理作用もしくは純粋な化学作用を使用する除去または研磨プロセスは、迅速で一様な除去を実現するには、上記の両方の作用の相乗的な組合せほど有効ではない。さらに、集積回路の製造では、CMPスラリーはまた、その後のフォトリソグラフィー、またはパターン形成、エッチングおよび薄膜加工を行うための高度な平面を生成することが可能となるように、金属および他の物質の複合層を含む薄膜を優先的に除去することが可能となるべきである。
【0005】
シャロートレンチアイソレーション(STI)法を使用する、ケイ素基板における隔離領域を形成するためのフロントエンド(FEOL)法では、パッド酸化膜およびパッド窒化膜を半導体基板表面に堆積させてパターン形成し、隔離領域に相当する基板の一部を露出させる。次に、基板の露出領域がエッチングされて、トレンチが形成される。この後に、この基板に、基板のエッチングにより引き起こされる損傷を除去するための犠牲酸化プロセスが施され、次いで、トレンチの表面に壁酸化膜が形成される。次に、トレンチ埋込み酸化膜(例えば、HDP酸化膜と称される高密度プラズマ化学蒸着によって形成される酸化膜)が、トレンチに埋め込まれるように基板の表面に堆積される。次に、パッド窒化膜が露出されるまで、HDP酸化膜の表面が化学機械研磨にかけられる。次に、得られた基板を洗浄し、トレンチエッチングの間にエッチバリアとして使用されるパッド窒化膜が除去されて、隔離領域の形成が完了する。
【0006】
セリア粒子を使用するCMPスラリーは、一般に、シリカ含有スラリーに比べて、絶縁体に対して一層速い研磨速度を実現する。さらに、セリアをベースとするスラリーは、最小限の酸化物浸食でSTIパターン平坦化を実現することができるので、ほとんどの場合に使用されている。不利なことに、セリアをベースとするスラリーは、酸化ケイ素および窒化ケイ素の表面に対して、セリア粒子が反対の電荷を帯びたゼータ電位があるために、STI構造から除去することが困難である。デバイスが、ウェハ上に留まるこれらの残留物と共に製造される場合、この残留物は、短絡および電気抵抗の増大をもたらす。セリア粒子はまた、FinFET構造の場合、セリアスラリーを使用するCMPプロセス後に問題となる。
【0007】
現在、セリア粒子を除去するための最も有効な湿式洗浄用配合物は、希フッ化水素酸(DHF)である。しかし、DHFは、不利なことに酸化ケイ素および他のlow-k誘電性材料を食刻する。
【0008】
したがって、窒化ケイ素、low-k絶縁体(例えば、酸化ケイ素)およびタングステン含有層などの下地物質を損傷せずに、マイクロ電子デバイスの表面からセリア粒子を効果的に除去する、セリア粒子除去用組成物および方法が依然として必要とされている。セリア粒子除去用組成物はまた、マイクロ電子デバイスの表面からCMPスラリー夾雑物を効果的に除去するはずである。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、一般に、その表面にセリア粒子およびCMP夾雑物を有するマイクロ電子デバイスから、特にPETEOS、窒化ケイ素およびポリ-Si基板を有するマイクロ電子デバイスから前記粒子および夾雑物を取り除くのに特に有用な除去用組成物および方法に関する。一態様では、本発明は、酸化剤を使用した、その表面に正に帯電したセリア粒子を有するマイクロ電子基板の処理を提供する。別の態様では、その表面にセリア粒子およびCMP夾雑物を有するマイクロ電子デバイスから前記粒子および夾雑物を除去する方法であって、前記方法が、マイクロ電子デバイスに、マイクロ電子デバイスから前記粒子および夾雑物を少なくとも一部、取り除くのに十分な時間、除去用組成物を接触させることを含み、前記除去用組成物が、(i)少なくとも1つの酸化剤;(ii)少なくとも1つの錯化剤;(iii)少なくとも1つの洗浄剤;(iv)少なくとも1つの第四級アンモニウムまたは第四級ホスホニウム化合物または無機水酸化物および(v)水;および場合により他の成分を含む、方法が記載されている。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、一般に、その表面に正に帯電したセリア粒子およびCMP夾雑物を有するマイクロ電子デバイスから、このような物質を除去するのに有用な組成物に関する。セリア粒子およびCMP夾雑物は、本組成物を使用して効果的に除去され、さらに本組成物は、窒化ケイ素およびlow-k絶縁(例えば、酸化ケイ素)層と適合性がある。
【0011】
第1の態様では、本発明は、本明細書において説明されている組成物を含む、これからなる、またはこれから実質的になる組成物を提供する。一実施形態では、本発明は、
(i)少なくとも1つの酸化剤;
(ii)少なくとも1つの錯化剤;
(iii)少なくとも1つの洗浄剤;
(Iv)少なくとも1つの第四級アンモニウムまたは第四級ホスホニウム化合物または無機水酸化物;および
(V)水
を含む組成物を提供する。
【0012】
本明細書で使用する場合、用語「酸化剤」としては、以下に限定されないが、過酸化水素;ペルオキソ一硫酸、過ホウ酸、過塩素酸、過ヨウ素酸、過硫酸、過マンガン酸および過酢酸の陰イオンを含有する塩および酸などの他の過酸化合物(per-compound);およびアミン-N-オキシドが挙げられる。さらなる例には、FeCl、FeF、Fe(NO、Sr(NO、CoF、MnF、オゾン(ozone)(2KHSO5.KHSO4.SO)、ヨウ素酸、酸化バナジウム(V)、酸化バナジウム(IV、V)、バナジウム酸アンモニウム、アンモニウムの多原子塩(例えば、ペルオキソ一硫酸アンモニウム、亜塩素酸アンモニウム(NHClO)、塩素酸アンモニウム(NHClO)、ヨウ素酸アンモニウム(NHIO)、硝酸アンモニウム(NHNO)、過ホウ酸アンモニウム(NHBO)、過塩素酸アンモニウム(NHClO)、過ヨウ素酸アンモニウム(NHIO)、過硫酸アンモニウム((NH)、次亜塩素酸アンモニウム(NHClO))、タングステン酸アンモニウム((NH10(W))、ナトリウムのポリアトトニック(polyatotnic)塩(例えば、過硫酸ナトリウム(Na)、次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)、過ホウ酸ナトリウム)、カリウムの多原子塩(例えば、ヨウ素酸カリウム(KIO)、過マンガン酸カリウム(KMnO)、過硫酸カリウム、硝酸(HNO)、過硫酸カリウム(K)、次亜塩素酸カリウム(KClO))、テトラメチルアンモニウムの多原子塩(例えば、亜塩素酸テトラメチルアンモニウム((N(CH)ClO)、塩素酸テトラメチルアンモニウム((N(CH)ClO)、ヨウ素酸テトラメチルアンモニウム((N(CH)IO)、過ホウ酸テトラメチルアンモニウム((N(CH)BO)、過塩素酸テトラメチルアンモニウム((N(CH)ClO)、過ヨウ素酸テトラメチルアンモニウム((N(CH)IO)、過硫酸テトラメチルアンモニウム((N(CH)S))、テトラブチルアンモニウムの多原子塩(例えば、ペルオキソ一硫酸テトラブチルアンモニウム)、ペルオキソトノノスルフリックアシッド(peroxotnonosulfuric acid)、硝酸第二鉄(Fe(NO)、過酸化水素尿素((CO(NH)H)、過酢酸(CH(CO)OOH)、1,4-ベンゾキノン、トルキノン、ジメチル-1,4-ベンゾキノン、クロラニル、アロキサン、N-メチルモルホリンN-オキシド、トリメチルアミンN-オキシドおよびそれらの組合せが挙げられる。酸化剤の他の例としては、過臭素酸、テルル酸 トリフルオロ過酢酸、m-クロロ過安息香酸、t-ブチルヒドロペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、ペルオキシ硫酸カリウム(例えば、Oxone(登録商標)DuPont)、メチルエチルケトンペルオキシド、アセトンペルオキシド、エチルヒドロペルオキシドおよびクメンヒドロペルオキシドが挙げられる。
【0013】
一実施形態では、酸化剤の量は、本組成物の総重量に対して、約0.001重量%~5重量%の範囲にあり、別の実施形態では、約0.001重量%~約2重量%の範囲にある。
【0014】
本明細書で使用する場合、用語「錯化剤」には、当業者によって、錯化剤、キレート剤および/もしくは金属イオン封鎖剤と理解されている化合物、または他にはセリアと相互作用する化合物が含まれる。錯化剤は、本明細書に記載されている組成物を使用して除去されることになる、金属原子および/または金属イオンを化学的に結合するか、または物理的に保持する。錯化剤には、一般式NRを有する化学種が含まれ、R、RおよびRは、同じであってもよく、または互いに異なっていてもよく、水素、直鎖状または分岐状C~Cアルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチルおよびヘキシル)基、直鎖状または分岐状C~Cヒドロキシアルキル(例えば、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシブチル、ヒドロキシペンチルおよびヒドロキシヘキシル)基、および上で定義した直鎖状または分岐状C~Cヒドロキシアルキル基のC~Cアルキルエーテルから選択される。ある特定の実施形態では、R、RおよびRの少なくとも1つは、直鎖状または分岐状C~Cヒドロキシアルキル基である。実施例には、非限定的に、アミノエチルエタノールアミン、N-メチルアミノエタノール、アミノエトキシエタノール、ジメチルアミノエトキシエタノール、ジエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、モノエタノールアミン(MEA)、トリエタノールアミン(TEA)、1-アミノ-2-プロパノール、2-アミノ-1-ブタノール、イソブタノールアミン、トリエチレンジアミン、他のC~Cアルカノールアミンなどのアルカノールアミン、およびそれらの組合せが含まれる。(以下の表1中の例示的な例では、アルカノールアミンは、「アミン」の列に一覧表示されている)。アミンが、アルキルエーテル構成成分を含む場合、このアミンは、アルコキサミン、例えば、1-メトキシ-2-アミノエタンと見なされ得る。NRアミンの代替または追加として、錯化剤は、以下に限定されないが、4-(2-ヒドロキシエチル)モルホリン(HEM)、1,2-シクロヘキサンジアミン-N,N,N’,N’-四酢酸(CDTA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、m-キシレンジアミン(MXDA)、イミノ二酢酸(IDA)、2-(ヒドロキシエチル)イミノ二酢酸(HIDA)、ニトリロ三酢酸、チオウレア、1,1,3,3-テトラメチル尿素、尿素、尿素誘導体、尿酸、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、バリンおよびそれらの組合せを含めた、多官能性アミンであってもよい。前述の錯化剤の代替として、またはこれに加えて、さらなる錯化剤は、ホスホネート(例えば、1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸(HEDP)、1,5,9-トリアザシクロドデカン-N,N’,N”-トリス(メチレンホスホン酸)(DOTRP)、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-N,N’,N”,N’’’-テトラキス(メチレンp-ホスホニックアシッド(methylenep-hosphonic acid))(DOTP)、ニトリロトリス(メチレン)トリホスホン酸、ジエチレントリアミンペンタキス(メチレンホスホン酸)(DETAP)、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、ビス(ヘキサメチレン)トリアミンペンタメチレンホスホン酸、1,4,7-トリアザシクロノナン-N,N’,N”-トリス(メチレンホスホン酸(NOTP)、ヒドロキシエチルジホスホネート、ニトリロトリス(メチレン)ホスホン酸、2-ホスホノ-ブタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸、カルボキシエチルホスホン酸、アミノエチルホスホン酸、グリホセート(glyphosate)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸) フェニルホスホン酸、その塩およびその誘導体)および/またはカルボン酸(例えば、シュウ酸、スクシニックアシッド(succinnic acid)、スルホコハク酸、スルホフタル酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、アジピン酸、フタル酸、クエン酸、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、クエン酸アンモニウム、トリカルバリル酸、トリメチロールプロピオン酸、酒石酸、グルクロン酸、2-カルボキシピリジン、エチドロン酸、アミノトリス(メチレンホスホン酸))および/またはスルホン酸(タイロン(4,5-ジヒドロキシ-1,3-ベンゼン二スルホン酸二ナトリウム塩)など)を含むことができる。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの錯化剤は、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、硫酸、クエン酸およびそれらの組合せから選択される化学種を含む。一実施形態では、除去用組成物中の錯化剤の量は、該除去用組成物の総重量に対して、約0.01重量%~約10重量%の範囲にある。
【0015】
本組成物はまた、少なくとも1つの洗浄剤を含む。前記洗浄剤は、(i)1つまたは複数の水混和性溶媒および/または(ii)1つまたは複数の1つのポリマーのうちの少なくとも1つから選択される。
【0016】
水混和性溶媒の例としては、以下に限定されないが、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールおよび高級アルコール(C~CジオールおよびC~Cトリオールなど)、テトラヒドロフルフリルアルコール(THFA)、ハロゲン化アルコール(3-クロロ-1,2-プロパンジオール、3-クロロ-1-プロパンチオール、1-クロロ-2-プロパノール、2-クロロ-1-プロパノール、3-クロロ-1-プロパノール、3-ブロモ-1,2-プロパンジオール、1-ブロモ-2-プロパノール、3-ブロモ-1-プロパノール、3-ヨード-1-プロパノール、4-クロロ-1-ブタノール、2-クロロエタノールなど)、3-アミノ-4-オクタノールを含めたグリコールおよびグリコールエーテル、ジクロロメタン、クロロホルム、酢酸、プロピオン酸、トリフルオロ酢酸、テトラヒドロフラン N-メチルピロリジノン(NMP)、シクロヘキシルピロリジノン、N-オクチルピロリジノン、N-フェニルピロリジノン、メチルジエタノールアミン、ギ酸メチル、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、テトラメチレンスルホン(スルホラン)、ジエチルエーテル、フェノキシ-2-プロパノール(PPh)、プロプリオフェノン(propriophenone)、乳酸エチル、酢酸エチル、安息香酸エチル、アセトニトリル、アセトン、エチレングリコール、プロピレングリコール(PG)、1,3-プロパンジオール、ジオキサン、ブチリルラクトン、ブチレンカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(すなわち、ブチルカルビトール)、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル(DPGME)、トリプロピレングリコールメチルエーテル(TPGME)、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールn-プロピルエーテル、ジプロピレングリコールn-プロピルエーテル(DPGPE)、トリプロピレングリコールn-プロピルエーテル、プロピレングリコールn-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールn-ブチルエーテル、トリプロピレングリコールn-ブチルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテルヘキサエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(TEGDE)、二塩基酸エステル、グリセリンカーボネート、N-ホルミルモルホリン、リン酸トリエチルおよびそれらの組合せが挙げられる。ポリマーとしては、存在する場合、以下に限定されないが、メタクリル酸ホモポリマー、および例えば、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸およびマレイン酸との共重合体;マレイン酸/ビニルエーテル共重合体;ポリ(ビニルピロリドン)/酢酸ビニル;ホモポリマー(ホスホネート化ポリエチレングリコールオリゴマー、ポリ(アクリル酸)(PAA)、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、ポリプロピレングリコール)(PPG)、ポリ(スチレンスルホン酸)、ポリ(ビニルスルホン酸)、ポリ(ビニルホスホン酸)、ポリ(ビニルリン酸)、ポリ(エチレンイミン)、ポリ(プロピレンイミン)、ポリアリルアミン、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリビニルピロリドン(PVP)、PPG-PEG-PPGブロック共重合体、PEG-PPG-PEGブロック共重合体、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ヒドロキシエチル)アクリレート、ポリ(ヒドロキシエチル)メタクリレートなど)、ヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、キサンタンガム、アルギン酸カリウム、ペクチン、カルボキシメチルセルロース、グルコサミン、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウム)クロリド、ペグ化(すなわち、ポリエチレングリコール化)メタクリレート/アクリレート共重合体、ポリMADQuatおよびその共重合体、ジメチルアミノメタクリレートポリマーおよびそれらのコムポリマー(compolymer)、トリメチルアンモニウムメチルメタクリレートポリマー(すなわち水混和性溶媒)およびその共重合体、ならびにそれらの組合せを含む。上記の共重合体は、ランダム共重合体またはブロック共重合体とすることができる。本組成物中のポリマーの量は、存在する場合、該組成物の総重量に対して、約0.0001重量%~約5重量%の範囲にある。別の実施形態では、本組成物中のポリマーの量は、該組成物の総重量に対して、約0.0001重量%~約20重量%の範囲にある。
【0017】
ある特定の実施形態では、本組成物のpHは、8超、9超、10超または11超、14未満、13未満、12未満または11未満である。ある特定の実施形態では、pHは、約8~11.5であり、ある特定の実施形態では、pHは、希釈後、7超、8超、9超または10超、13未満、12未満または11未満である。ある特定の実施形態では、希釈組成物のpHは、約8~12である。
【0018】
参照を容易にするため、「マイクロ電子デバイス」は、マイクロ電子用の集積回路またはコンピュータチップ用途に使用するために製造された、半導体基板、フラットパネルディスプレイ、相変化メモリデバイス、ソーラーパネル、ならびに太陽電池用基板、太陽光発電および微小電気機械システム(MEMS)を含む他の製品に相当する。太陽電池用基板には、以下に限定されないが、シリコン、アモルファスシリコン、多結晶性シリコン、単結晶シリコン、CdTe、銅インジウムセレン、銅インジウムスルフィドおよびガリウム担持ヒ化ガリウムが挙げられる。太陽電池用基板は、ドープされていてもよく、またはドープされていなくてもよい。用語「マイクロ電子デバイス」は、限定を決して意図するものではなく、最終的にマイクロ電子デバイスまたはマイクロ電子アセンブリになるいずれの基板も含むことを理解されたい。
【0019】
本明細書で使用する場合、「セリア粒子」は、例えば、式CeおよびCeOを有する酸化セリウムを含む化学機械研磨用スラリーに使用することができる、セリウムをベースとする研磨剤粒子に相当する。「セリア粒子」は、酸化セリウムを含む、これからなる、またはこれから実質的になることができることが理解されるべきである。
【0020】
本明細書で使用する場合、「夾雑物」は、CMPスラリー中に存在する化学物質、すなわち研磨スラリー、CMP後残留物、ウェットエッチング用組成物中に存在する化学物質、ウェットエッチング組成物の生成物による反応物、およびCMPプロセス、ウェットエッチング、プラズマエッチングまたはプラズマアッシングプロセスの副生成物である任意の他の物質に相当する。
【0021】
本明細書で使用する場合、「CMP後残留物」とは、研磨スラリーに由来する粒子、例えば、スラリー中に存在する化学物質、研磨スラリーの反応副生物、炭素に富む粒子、研磨用パッド粒子、ブラシから脱離した粒子、建設用設備資材の粒子、金属、有機物、有機金属、性質が有機ケイ素または無機ケイ素のもの、例えば、ケイ素含有有物質、チタン含有物質、窒素含有物質、酸素含有物質、残留ポリマー物質、銅含有残留物質(酸化銅残留物を含む)、タングステン含有残留物質、コバルト含有残留物質、塩素およびフッ素などのエッチング用ガス残留物、およびCMPプロセスの副生成物である他の任意の物質に相当する。
【0022】
本明細書で使用する場合、用語「low-k誘電性材料」は、層化マイクロ電子デバイスにおける誘電性材料として使用される任意の物質であって、約3.5未満の誘電率を有する、物質に相当する。ある特定の実施形態では、low-k誘電性材料としては、ケイ素含有有機ポリマー、ケイ素含有有機/無機ハイブリッド材料、有機ケイ酸塩ガラス(OSG)、TEOS、フッ化ケイ酸塩ガラス(FSG)、二酸化ケイ素、オキシ炭化ケイ素、オキシ窒化ケイ素、窒化ケイ素、炭素ドープ酸化物(CDO)または炭素ドープガラス、例えば、Novellus Systems,Inc.製のCORAL(商標)、Applied Materials,Inc.製のBLACK DIAMOND(商標)(例えば、PECVD用のBD1、BD2およびBD3という名称)、Dow(多官能性シクロペンタジエノンとアセチレン含有物質の反応による架橋化ポリフェニレンに基づくポリマー;例えば、参照により本明細書に組み込まれている米国特許第5,965,679号を参照されたい)製のSiLK(商標)誘電性樹脂、およびNanopore,Inc製のNANOGLASS(商標)(シリカエアロゲル/キセロゲル(ナノ多孔質シリカとして公知である)が挙げられる。low-k誘電性材料は、様々な密度および様々な多孔度を有することがあることが理解されるべきである。
【0023】
本明細書で使用する場合、用語「エッチング液」とは、フッ化水素酸(HF);フルオロケイ酸(HSiF);フルオロホウ酸;アンモニウムフルオロシリケート塩((NHSiF);テトラメチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート;フッ化アンモニウム;二フッ化アンモニウム;第四級アンモニウムテトラフルオロボレートおよび第四級ホスホニウムテトラフルオロボレート、ならびにそれらの組合せを指す。
【0024】
本明細書において使用する場合、用語「金属腐食防止剤」とは、非イオン性界面活性剤(PolyFox PF-159(OMNOVA溶液)、ポリエチレングリコール)(「PEG」)、ポリ(プロピレングリコール)(「PPG」)など)、エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロック共重合体(Pluronic F-127(BASF)など)、ポリソルベートポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート(Tween80)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート(Tween60)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノパルミテート(Tween40)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート(Tween20)、ポリオキシプロピレン/ポリオキシエチレンブロック共重合体(例えば、Pluronic L31、Plutonic 31R1、Pluronic 25R2およびPluronic 25R4)およびそれらの組合せなど);およびアゾールと組み合わせたこのような化合物、例えば、5-アミノテトラゾール、5-フェニル-ベンゾトリアゾール、1H-テトラゾール-5-酢酸、1-フェニル-2-テトラゾリン-5-チオン、ベンズイミダゾール、メチルテトラゾール、ビスムチオールI、シトシン、グアニン、チミン、ピラゾール、イミノ二酢酸(IDA)、プロパンチオール、ベンゾヒドロキサム酸、クエン酸、アスコルビン酸、5-アミノ-1,3,4-チアジアゾール-2-チオール(ATDT)、ベンゾトリアゾール(BTA)、1,2,4-トリアゾール(TAZ)、トリルトリアゾール、5-メチル-ベンゾトリアゾール(mBTA)、5-フェニル-ベンゾトリアゾール、5-ニトロ-ベンゾトリアゾール、ベンゾトリアゾールカルボン酸、3-アミノ-5-メルカプト-1,2,4-トリアゾール、1-アミノ-1,2,4-トリアゾール、ヒドロキシベンゾトリアゾール、2-(5-アミノ-ペンチル)-ベンゾトリアゾール、1-アミノ-1,2,3-トリアゾール、1-アミノ-5-メチル-1,2,3-トリアゾール、3-アミノ-1,2,4-トリアゾール(3-ATA)、3-メルカプト-1,2,4-トリアゾール、3-イソプロピル-1,2,4-トリアゾール、5-フェニルチオール-ベンゾトリアゾール、ハロ-ベンゾトリアゾール(ハロ=F、Cl、BrまたはI)、ナフトトリアゾール、2-メルカプトベンズイミダゾール(MBI)、2-メルカプトベンゾチアゾール、4-メチル-2-フェニルイミダゾール、2-メルカプトチアゾリン、5-アミノ-1,2,4-トリアゾール(5-ATA)、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ATA-SDS、3-アミノ-5-メルカプト-1,2,4-トリアゾール、ペンチレンテトラゾール、5-フェニル-1H-テトラゾール、5-ベンジル-1H-テトラゾール、アブルミン(Ablumine)O、2-ベンジルピリジン、スクシンイミド、2,4-ジアミノ-6-メチル-1,3,5-トリアジン、チアゾール、トリアジン、メチルテトラゾール、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、1,5-ペンタメチレンテトラゾール、1-フェニル-5-メルカプトテトラゾール、ジアミノメチルトリアジン、イミダゾリンチオン、4-メチル-4H-1,2,4-トリアゾール-3-チオール、4-アミノ-4H-1,2,4-トリアゾール、3-アミノ-5-メチルチオ-1H-1,2,4-トリアゾール、ベンゾチアゾール、イミダゾール、インジアゾール(indiazole)、アデニン、スクシンイミド、アデノシン、カルバゾール、サッカリン、尿酸、ベンゾインオキシム、陽イオン性第四級塩(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンジルジメチルドデシルアンモニウム、臭化ミリスチルトリメチルアンモニウム(myristyltrime thylammonium)、臭化ドデシルトリメチルアンモニウム、塩化ヘキサデシルピリジニウム、Aliquot336(Cognis)、塩化ベンジルジメチルフェニルアンモニウム、Crodaquat TES(Croda.Inc.)、Rewoquat CPEM(Witco)、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムp-トルエンスルホネート、水酸化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、二塩化1-メチル-1’-テトラデシル-4,4’-ビピリジニウム、臭化アルキルトリメチルアンモニウム、アンプロリウム塩酸塩、水酸化ベンゼトニウム、塩化ベンゼトニウム、ベンジルジトネチルヘキサデシルアンモニウムクロリド(benzylditnethylhexadecylammonium chloride)、塩化ベンジルジメチルテトラデシルアンモニウム、臭化ベンジルドデシルジメチルアンモニウム、塩化ベンジルドデシルジメチルアンモニウム、塩化セチルピリジニウム、コリンp-トルエンスルホネート塩、臭化ジメチルジオクタデシルアンモニウム、臭化ドデシルエチルジメチルアンモニウム(dodecylethyldime thylammonium bromide)、塩化ドデシルトリメチルアンモニウム、臭化エチルヘキサデシルジメチルアンモニウム、Girard試薬、リン酸二水素ヘキサデシル(2-ヒドロキシエチル)ジメチルアンモニウム、臭化デキサデシルピリジニウム(dexadecylpyridinium)、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、塩化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、塩化メチルベンゼトニウム、Hyamine(登録商標)1622、Luviquat(商標)、N,N’,N’-ポリオキシエチレン(10)-N-獣脂-1,3-ジアミノプロパン液、臭化オキシフェノニウム、臭化テトラヘプチルアンモニウム、臭化テトラキス(デシル)アンモニウム、臭化トンゾニウム、塩化トリドデシルアンモニウム、臭化トリメチルオクタデシルアンモニウム、1-メチル-3-n-オクチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1-デシル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、塩化1-デシル-3-メチルイミダゾリウム、臭化トリドデシルメチルアンモニウム、塩化ジメチルジステアリルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、臭化ミリスチルトリメチルアンモニウムおよび塩化ヘキサメトニウム)、陰イオン性界面活性剤(例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルホスホン酸(DDPA)およびそれらの組合せ)と組み合わせたこのような化合物を指す。
【0025】
本明細書で使用する場合、用語「low-k不動態化剤」とは、low-k層の化学攻撃を低減して、さらなる酸化からウェハを保護する化合物を指す。ホウ酸は、low-k不動態化剤の一例であるが、このような目的のために、他のヒドロキシル添加剤、例えば、3-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、マロン酸、イミノ二酢酸、アンモニウムペンタボレート、尿素、メチルトリエトキシシランおよびそれらの混合物が公知である。
【0026】
「実質的にない」とは、ある特定の実施形態では、本明細書において、2重量%未満、1重量%未満、0.5重量%未満または0.1重量%未満と定義される。「ない」とは、ある特定の実施形態では、環境に由来する夾雑物が0.001重量%未満しか占めないことに相当し、別の実施形態では、0.0重量%に相当する。
【0027】
一部の実施形態では、本組成物は、(a)腐食防止剤;(b)エッチング液;および(c)不動態化剤を実質的に含まない。他の実施形態では、本組成物は、(a)腐食防止剤;(b)エッチング液;および(c)不動態化剤を含まない。
【0028】
本明細書で使用する場合、「約」は、明記した値の+/-0.5%に相当することが意図されている。
【0029】
本明細書で使用する場合、用語「バッファー」とは、リン酸塩(例えば、リン酸水素二アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸アンモニウム)、ならびに炭酸水素カリウムおよび炭酸カリウムなどの炭酸塩などの一般的なバッファーを指す。本組成物は、存在する場合、該組成物の総重量に対して、約0.1重量%~約20重量%の緩衝性化学種を含む。
【0030】
本明細書で使用する場合、その表面にセリア粒子およびCMP夾雑物を有するマイクロ電子デバイスから前記粒子および夾雑物を除去するための「適性」は、マイクロ電子デバイスから前記粒子/夾雑物を少なくとも一部、除去することに相当する。洗浄効率は、マイクロ電子デバイス表面の対象物の低下率によって等級付けされる。例えば、原子間力顕微鏡を使用して洗浄前および洗浄後分析を行うことができる。試料上の粒子は、ピクセルの範囲として登録されてもよい。ヒストグラム(例えば、シグマスキャンプロ)を適用して、ある程度の強度(例えば、231~235)でピクセルにフィルターをかけて、粒子の数を計数することができる。粒子の低下率は、以下:
洗浄効率=
(洗浄前の対象物の数-洗浄後の対象物の数)×100/洗浄前の対象物の数
を使用して算出することができる。
【0031】
留意すべきことに、洗浄効率の決定法は、単に例のために提示されているに過ぎず、この方法に限定されることを意図するものではない。代替的に、洗浄効率は、粒子状物質によって被覆される全表面の百分率と見なしてもよい。例えば、AFMは、z面の走査を行い、ある特定の高さ閾値を超える目的のトポグラフィー領域を特定し、次に、前記目的領域によって被覆されている全表面の面積を計算するようにプログラム化され得る。当業者は、洗浄後の前記目的領域により被覆される面積が小さいほど、除去用組成物の効率が高いことを容易に理解すると思われる。ある特定の実施形態では、粒子/夾雑物の少なくとも75%が、本明細書に記載されている組成物を使用して、マイクロ電子デバイスから除去され、粒子/夾雑物の少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも99%が除去される。
【0032】
本明細書に記載されている組成物は、本明細書のこれ以降に一層完全に記載されている通り、幅広い特定の配合物に具現化され得る。
【0033】
本組成物の特定の構成成分が、下限値ゼロを含む重量百分率の範囲を参照して議論されているこのような組成物のすべてにおいて、このような構成成分は、本組成物の様々な特定の実施形態に存在してもよいこと、または存在しなくてもよいこと、およびこのような構成成分が存在する場合、それらの構成成分は、このような構成成分が使用される組成物の総重量に対して0.00001重量パーセントという低い濃度で存在してもよいことが理解されよう。
【0034】
所望のエンドポイントにpHを調節するため、第四級アンモニウム化合物および/または第四級ホスホニウム化合物が利用され得る。本明細書で使用する場合、用語「第四級アンモニウム化合物」とは、その通常の意味を指し、式NROHを有する化合物である水酸化テトラアルキルアンモニウム[R、R、RおよびRは、同じであってもよく、または互いに異なってもよく、水素、直鎖状または分岐状C~Cアルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチルおよびヘキシル)基、C~Cヒドロキシアルキル(例えば、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシブチル、ヒドロキシペンチルおよびヒドロキシヘキシル)基から選択される]、水酸化メチルトリエチルアンモニウム、水酸化ジエチルジメチルアンモニウム、水酸化エチルトリメチルアンモニウム、水酸化コリン、水酸化メチルトリス(ヒドロキシエチル)アンモニウム、水酸化カリウム、水酸化セシウムおよび置換または無置換のC~C10アリール基(例えば、ベンジル基)を含む。市販されている水酸化テトラアルキルアンモニウムとしては、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)、水酸化テトラエチルアンモニウム(TEAH)、水酸化テトラプロピルアンモニウム(TPAH)、水酸化テトラブチルアンモニウム(TBAH)、水酸化トリブチルメチルアンモニウム(TBMAH)、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム(BTMAH)、水酸化コリン、水酸化エチルトリメチルアンモニウム、水酸化トリス(2-ヒドロキシエチル)メチルアンモニウム、水酸化ジエチルジメチルアンモニウムおよびそれらの組合せが挙げられる。
【0035】
代替としてまたはさらに、pHは、式(PR1011)OHを有する第四級ホスホニウム化合物を使用して調節されてもよく、式中、R、R、R10およびR11は、同じであってもよく、または互いに異なってもよく、水素、直鎖C~Cアルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチルおよびヘキシル)基、分岐状C~Cアルキル基、C~Cヒドロキシアルキル(例えば、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシブチル、ヒドロキシペンチルおよびヒドロキシヘキシル)基、置換C~C10アリール基、無置換C~C10アリール基(例えば、ベンジル基)およびそれらの任意の組合せからなる群から選択される;市販されている水酸化テトラアルキルホスホニウムとしては、水酸化テトラメチルホスホニウム(TMPH)、水酸化テトラエチルホスホニウム(TEPH)、水酸化テトラプロピルホスホニウム(TPPH)、水酸化テトラブチルホスホニウム(TBPAH)、水酸化トリブチルメチルホスホニウム(TBMPAH)、水酸化ベンジルトリメチルホスホニウム(BTMPH)、水酸化エチルトリメチルホスホニウム、水酸化トリス(2-ヒドロキシエチル)メチルホスホニウム、水酸化ジエチルジメチルホスホニウムおよびそれらの組合せが挙げられる。酸としては、以下に限定されないが、硝酸、硫酸、リン酸、塩酸、臭化水素酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、酢酸、乳酸、グリコール酸およびそれらの任意の組合せが挙げられる。一実施形態では、pH調節剤は、KOHを含む。別の実施形態では、pH調節剤は、水酸化コリンを含む。さらに別の実施形態では、pH調節剤は、水酸化アンモニウムを含む。代替として、第四級アンモニウム化合物および/または第四級ホスホニウム化合物に加えて、pH調節剤は、少なくとも1種のアルカリ金属水酸化物をさらに含んでもよい。別の実施形態では、pH調節剤は、KOH、および本明細書に列挙されている少なくとも1種の追加の水酸化物を含む。さらに別の実施形態では、pH調節剤は、KOH、ならびに水酸化コリンおよび水酸化アンモニウムのうちの少なくとも1つを含む。これらの列挙されている実施形態のいずれかに対して、pH調節剤は、少なくとも1種の酸、例えば、硫酸、クエン酸、またはクエン酸と硫酸との組合せをさらに含むことができる。
【0036】
代替としてまたはさらに、pHは、KOH、CsOHおよび/または水酸化アンモニウムを含む水酸化アルカリである、無機の水酸化化合物を使用して調節されてもよい。
【0037】
さらに、本組成物は、フッ化物含有化合物および/または界面活性剤などの、所望の他の添加剤を含んでもよい。
【0038】
本明細書で使用する場合、「フッ化物含有化合物」は、別の原子にイオン結合したフッ化物イオン(F-)を含む、塩または酸化合物に対応する(HFなど)。
【0039】
本明細書で使用する場合、用語「界面活性剤」とは、2種の液体間または液体と固体との間の表面張力(または界面張力)を低下させる有機化合物、通常、疎水性基(例えば、炭化水素(例えば、アルキル)「尾部」)および親水基を含有する有機両親媒性化合物を指す。本明細書に記載されている組成物に使用するための界面活性剤は、存在する場合、以下に限定されないが、デシルホスホン酸、ドデシルホスホン酸(DDPA)、テトラデシルホスホン酸、ヘキサデシルホスホン酸、ビス(2-エチルヘキシル)ホスフェート、オクタデシルホスホン酸、ペルフルオロヘプタン酸、プレフルオロデカノイックアシッド(prefluorodecanoic acid)、トリフルオロメタンスルホン酸、ホスホノ酢酸、ドデシルベンゼンスルホン酸(DDBSA)、他のRベンゼンスルホン酸またはその塩[Rは、直鎖状または分岐状C~C18アルキル基である]、ドデセニルコハク酸、リン酸水素ジオクタデシル、リン酸二水素オクタデシル、ドデシルアミン、ドデセニルコハク酸モノジエタノールアミド、ラウリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ジュニペリック酸、12ヒドロキシステアリン酸、オクタデシルホスホン酸(ODPA)、ドデシルホスフェートを含む、両性塩、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤およびそれらの組合せを含むが、これらに限定されない。企図される非イオン性界面活性剤としては、以下に限定されないが、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ドデセニルコハク酸モノジエタノールアミド、エチレンジアミンテトラキス(エトキシレート-ブロック-プロポキシレート)テトロール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレンまたはポリプロピレングリコールエーテル、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドに基づくブロック共重合体、ポリオキシプロピレンスクロースエーテル、t-オクチルフェノキシポリエトキシエタノール、10-エトキシ-9,9-ジメチルデカン-1-アミン、ポリオキシエチレン(9)ノニルフェニルエーテル、分岐状ポリオキシエチレン(40)ノニルフェニルエーテル、分岐状ジノニルフェニルポリオキシエチレン、ノニルフェノールアルコキシレート、ポリオキシエチレンソルビトールヘキサオレエート、ポリオキシエチレンソルビトールテトラオレエート、ポリエチレングリコールソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノオレエート、アルコールアルコキシレート、アルキル-ポリグルコシド、エチルペルフルオロブチレート、1,1,3,3,5,5-ヘキサメチル-1,5-ビス[2-(5-ノルボルネン-2-イル)エチル]トリシロキサン、オクタデシルシラン誘導体モノマー、シロキサン修飾ポリシラザン、シリコーン-ポリエーテル共重合体およびエトキシ化フッ素系界面活性剤が挙げられる。企図される陽イオン性界面活性剤としては、以下に限定されないが、臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)、ヘプタデカンフルオロオクタンスルホン酸、テトラエチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化4-(4-ジエチルアミノフェニルアゾ)-1-(4-ニトロベンジル)ピリジニウム、塩化セチルピリジニウム一水和物、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム 塩化ベンジルジメチルドデシルアンモニウム、塩化ベンジルジメチルヘキサデシルアンモニウム、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、塩化ジメチルジオクタデシルアンモニウム、塩化ドデシルトリメチルアンモニウム、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムp-トルエンスルホネート、臭化ジドデシルジメチルアンモニウム、塩化ジ(水素化獣脂)ジメチルアンモニウム、臭化テトラヘプチルアンモニウム、臭化テトラキス(デシル)アンモニウムおよび臭化オキシフェノニウム、グアニジン塩酸塩(C(NHCl)またはトリフレート塩(テトラブチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホネートなど)、塩化ジメチルジオクタデシルアンモニウム、臭化ジメチルジヘキサデシルアンモニウム、塩化ジ(水素化獣脂)ジメチルアンモニウムおよびポリオキシエチレン(16)獣脂エチルモニウムエトサルフェートが挙げられる。企図される陰イオン性界面活性剤としては、以下に限定されないが、ポリ(アクリル酸ナトリウム塩)、アンモニウムポリアクリレート、ナトリウムポリオキシエチレンラウリルエーテル、ナトリウムジヘキシルスルホスクシネート、ドデシル硫酸ナトリウム、ジオクチルスルホスクシネート塩、2-スルホスクシネート塩、2,3-ダイマーカプト-1-プロパンスルホン酸塩、ジシクロヘキシルスルホコハク酸ナトリウム塩、7-エチル-2-メチル-4-ウンデシル硫酸ナトリウム、ホスフェートフッ素系界面活性剤、フッ素系界面活性剤およびポリアクリレートが挙げられる。双性イオン性界面活性剤としては、以下に限定されないが、アセチレンジオールまたは修飾アセチレンジオール、エチレンオキシドアルキルアミン、N,N-ジメチルドデシルアミンN-オキシド、ナトリウムコカミンプロピネート(cocaminpropinate)、3-(N,N-ジメチルミリスチルアンモニオ)プロパンスルホネートおよび(3-(4-ヘプチル)フェニル-3-ヒドロキシプロピル)ジメチルアンモニオプロパンスルホネートが挙げられる。
【0040】
組成物量に関すると、他の添加剤と構成成分(i)、(ii)、(iii)、(iv)、(v)との重量パーセント比は、一実施形態では、約0.001:1~約10:1、他の実施形態では、約0.1:1~約5:1の範囲にある。pH調節剤(すなわち、第四級アンモニウム化合物またはホスホニウム化合物)の量は、本明細書において開示されているpH値、および当業者の知識に基づいて、使用するための除去用組成物を調製する際に求められる最終pHに依存する。
【0041】
構成成分の重量パーセント比の範囲は、高濃度のまたは希釈された本組成物の可能な実施形態のすべてを包含するであろう。その目的のため、一実施形態では、洗浄溶液として使用するために希釈され得る高濃度除去用組成物が提供される。高濃度組成物または「高濃度物」によって、有利には、ユーザー(例えば、CMPプロセスの技術者)が、この高濃度物を使用時点に所望の強度およびpHに希釈することが可能となる。高濃度水性組成物の希釈度は、約1:1~約2500:1、約5:1~約200:1または約20:1~約120:1の範囲にあることができ、この場合、水性組成物は、溶媒、例えば脱イオン水を用いて、器具時またはその直前に希釈される。当業者は、希釈後、本明細書において開示されている構成成分の重量パーセント比の範囲は変化しないままであるべきであることを理解するであろう。
【0042】
基板に関すると、本発明の組成物は、本明細書において説明されているlow-k誘電性材料を洗浄する際に有用であると考えられる。
【0043】
本発明により提供される、low-k誘電性材料からセリアを除去するのに有用と考えられる例示的な組成物は、以下を含む:
【0044】
さらに別の実施形態では、本明細書に記載されている組成物は、セリア粒子および/またはCMP夾雑物をさらに含む。セリア粒子および夾雑物は、洗浄が開始された後に本組成物の構成成分となり、本組成物中に溶解および/または懸濁するであろう。
【0045】
本除去用組成物は、個々の成分の単純な添加、および均一状態への混合によって容易に配合される。さらに、本組成物は、単一包装配合物、または使用時点もしくは使用時点前に混合される複数のパーツ配合物として容易に配合することができ、例えば、複数のパーツ配合物の個々のパーツは、器具において、または器具の上流の保管槽で混合されてもよい。個々の成分の濃度は、本組成物の特定の倍数で幅広く変動してもよく、すなわち、濃度が一層低くてもよくまたは一層高くてもよく、本明細書に記載されている組成物は、様々におよび代替として、本明細書における開示に一致する成分の任意の組合せを含む、これらからなる、またはこれらから実質的になることが理解されよう。
【0046】
したがって、別の態様は、1つまたは複数の容器中に、本明細書に記載されている組成物を形成するようになされている、1つまたは複数の構成成分を含むキットに関する。キットは、1つまたは複数の容器に、その表面にセリア粒子および化学機械研磨(CMP)夾雑物を有するマイクロ電子デバイスから、前記粒子および夾雑物を除去するのに好適な構成成分をその中に有する1つまたは複数の容器を備えるキットであって、前記キットの1つまたは複数の容器が、少なくとも1つの酸化剤;少なくとも1つの錯化剤;少なくとも1つの洗浄剤;少なくとも1つの第四級アンモニウム化合物;ならびに製造工場または使用時点に追加の溶媒および/または水と一緒にするための水を含有する、キットを含むことができる。キットの容器は、本組成物を保管および輸送するのに好適でなければならず、例えば、NOWPak(登録商標)容器(Entegris,Inc.、Billerica、Mass.、米国)とすることができる。
【0047】
一実施形態では、水性除去用組成物の構成成分を含む1つまたは複数の容器は、ブレンドおよび分散のために流体連通している前記1つまたは複数の容器に構成成分を一緒にするための手段を含む。例えば、NOWPak(登録商標)容器について述べると、前記1つまたは複数の容器中のライナー(liner)の外側にガス圧をかけ、ライナーの内容物の少なくとも一部を払い出すようにすることができ、こうして、ブレンドおよび分散するための流体連通が可能となる。代替的に、ガス圧は、慣用的な加圧可能な容器のヘッドスペースにかけられてもよいか、またはポンプを使用して、流体連通を可能にすることができる。さらに、ある特定の実施形態では、本システムは、加工用器具にブレンド済み除去用組成物を分散するために分注用導入口を含む。
【0048】
本明細書に記載されている除去用組成物は、マイクロ電子の製造操作に適用されると、有用なことに、マイクロ電子デバイスの表面からセリア粒子および/またはCMP夾雑物(例えば、CMP後残留物および夾雑物)を取り除くため使用される。ある特定の実施形態では、本水性除去用組成物は、粒子を除去する前にデバイス表面に存在するセリア粒子の少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも99%を除去する。
【0049】
CMP後粒子および夾雑物除去に適用する場合、本明細書に記載されている水性除去用組成物は、以下に限定されないが、バーテックシングルウェハメガソニックゴールドフィンガー(Verteq single wafer megasonic Goldfinger)、OnTrak systemsのDDS(両面スクラブ洗浄装置)、SEZまたは他のシングルウェハスプレーリンス(single wafer spray rinse)、Applied MaterialsのMirra-Mesa(商標)/Reflexion(商標)/Reflexion LK(商標)およびメガソニックバッチ式ウェットベンチシステムを含めた、メガソニックおよびブラシスクラブなどの多種多様な慣用的な洗浄用器具と共に使用されてもよい。
【0050】
その表面にセリア粒子およびCMP夾雑物を有するマイクロ電子デバイスからこれらを除去するために本明細書に記載されている組成物を使用する際には、本水性除去用組成物を、通常、約20℃~約90℃、または約20℃~約50℃の範囲の温度において、約5秒~約10分または約1秒~20分または約15秒~約5分の時間の間、デバイスに接触させる。このような接触時間および温度は、例示的なものであり、本方法の幅広い実施の範囲内で、デバイスからセリア粒子およびCMP夾雑物を少なくとも一部、除去するのに有効な、任意の他の好適な時間および温度条件が使用されてもよい。ある特定の実施形態では、「少なくとも部分的に洗浄する」および「実質的に除去すること」は、どちらも、粒子を除去する前にデバイス表面に存在するセリア粒子の少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも99%を除去することに相当する。
【0051】
所望の粒子の除去作用の達成後、本水性除去用組成物は、これが先に施用されたデバイスから容易に除去され得、これは本明細書に記載されている組成物の所与の最終使用用途において望ましく、かつ有効となり得る。一実施形態では、リンス溶液は、脱イオン水を含む。この後、デバイスは、窒素またはスピン式乾燥サイクルを使用して乾燥されてもよい。
【0052】
さらに別の態様は、本明細書に記載されている方法に準拠して作製されたマイクロ電子デバイスの改善、およびこのようなマイクロ電子デバイスを含む製品に関する。
【0053】
別の態様は、リサイクルされた水性除去用組成物であって、当業者により容易に決定される通り、粒子および/または夾雑物の負荷量が、水性除去用組成物が収容することができる最大量に到達するまでリサイクルされてもよい、リサイクルされた水性除去用組成物に関する。
【0054】
さらなる態様は、マイクロ電子デバイスを備える物品を製造する方法であって、マイクロ電子デバイスに、その表面にセリア粒子およびCMP夾雑物を有するマイクロ電子デバイスから前記粒子および夾雑物を除去するのに十分な時間、水性除去用組成物を接触させること、および本明細書に記載されている除去用組成物を使用して、前記マイクロ電子デバイスを前記物品に組み込むことを含む方法に関する。
【0055】
別の態様では、その表面にセリア粒子およびCMP夾雑物を有するマイクロ電子デバイスからこれらを除去する方法が提供される。したがって、別の態様では、本発明は、その表面にセリア粒子および化学機械研磨夾雑物を有するマイクロ電子デバイスから前記粒子および夾雑物を除去する方法であって、以下:
(i)マイクロ電子デバイスに本発明の組成物を接触させること;および
(ii)脱イオン水を含む水溶液で、前記マイクロ電子デバイスから前記粒子および夾雑物を少なくとも一部、除去すること
を含む、方法を提供する。
【0056】
本発明は、以下の項に係る実施態様を含む。
項1
(i)少なくとも1つの酸化剤;
(ii)少なくとも1つの錯化剤;
(iii)少なくとも1つの洗浄剤;
(iv)少なくとも1つの第四級アンモニウムまたは第四級ホスホニウム化合物または無機水酸化物;および
(V)水
を含む、組成物。
項2
酸化剤が、過酸化水素、過ヨウ素酸、t-ブチルヒドロペルオキシド、過酢酸、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、ペルオキシ硫酸カリウム、過マンガン酸カリウムおよび過酸化水素尿素から選択される、項1に記載の組成物。
項3
錯化剤が、一般式NR である化合物[式中、R 、R およびR は、同じであってもよく、または互いに異なっていてもよく、水素、直鎖状または分岐状C ~C アルキル、直鎖状または分岐状C ~C ヒドロキシアルキル、および直鎖状または分岐状C ~C ヒドロキシアルキル基のC ~C アルキルエーテルから選択される]から選択される、項1に記載の組成物。
項4
錯化剤が、C ~C アルカノールアミンから選択される、項1に記載の組成物。
項5
錯化剤が、4-(2-ヒドロキシエチル)モルホリン(HEM)、1,2-シクロヘキサンジアミン-N,N,N’,N’-四酢酸(CDTA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、m-キシレンジアミン(MXDA)、イミノ二酢酸(IDA)、2-(ヒドロキシエチル)イミノ二酢酸(HIDA)、ニトリロ三酢酸、チオウレア、1,1,3,3-テトラメチル尿素、尿素、尿素誘導体、尿酸、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、バリンおよびそれらの組合せから選択される、項1に記載の組成物。
項6
錯化剤が、1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸(HEDP)、1,5,9-トリアザシクロドデカン-N,N’,N”-トリス(メチレンホスホン酸)(DOTRP)、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-N,N’,N”,N’’’-テトラキス(メチレンホスホン酸)(1,4,7,10-tetraazacyclododecane-N,N’,N”,N’’’-tetrakis(methylenep- hosphonic acid))(DOTP)、ニトリロトリス(メチレン)トリホスホン酸、ジエチレントリアミンペンタキス(メチレンホスホン酸)(DETAP)、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、ビス(ヘキサメチレン)トリアミンペンタメチレンホスホン酸、1,4,7-トリアザシクロノナン-N,N’,N”-トリス(メチレンホスホン酸(NOTP)、ヒドロキシエチルジホスホネート、ニトリロトリス(メチレン)ホスホン酸、2-ホスホノ-ブタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸、カルボキシエチルホスホン酸、アミノエチルホスホン酸、グリホセート、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸) フェニルホスホン酸、それらの塩から選択される、項1に記載の組成物。
項7
錯化剤が、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、硫酸、クエン酸およびそれらの組合せから選択される、項1に記載の組成物。
項8
除去用組成物中の錯化剤の量が、組成物の総重量に対して、約0.01重量%~約10重量%の範囲にある、項1のいずれか一項に記載の組成物。
項9
水混和性有機溶媒が、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、テトラヒドロフルフリルアルコール(THFA)、3-クロロ-1,2-プロパンジオール、3-クロロ-1-プロパンチオール、1-クロロ-2-プロパノール、2-クロロ-1-プロパノール、3-クロロ-1-プロパノール、3-ブロモ-1,2-プロパンジオール、1-ブロモ-2-プロパノール、3-ブロモ-1-プロパノール、3-ヨード-1-プロパノール、3-アミノ-4-オクタノール、4-クロロ-1-ブタノール、2-クロロエタノール)、ジクロロメタン、クロロホルム、酢酸、プロピオン酸、トリフルオロ酢酸、テトラヒドロフラン N-メチルピロリジノン(NMP)、シクロヘキシルピロリジノン、N-オクチルピロリジノン、N-フェニルピロリジノン、メチルジエタノールアミン、ギ酸メチル、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、テトラメチレンスルホン(スルホラン)、ジエチルエーテル、フェノキシ-2-プロパノール(PPh)、プロプリオフェノン、乳酸エチル、酢酸エチル、安息香酸エチル、アセトニトリル、アセトン、エチレングリコール、プロピレングリコール(PG)、1,3-プロパンジオール、ジオキサン、ブチリルラクトン、ブチレンカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテルおよびそれらの組合せから選択される、項1に記載の組成物。
項10
ポリマーをさらに含む、項1に記載の組成物。
項11
第四級アンモニウム化合物が、水酸化コリン、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウムおよび水酸化テトラブチルアンモニウムから選択される、項1に記載の組成物。
項12
組成物中の水混和性有機溶媒が、組成物の総重量に対して、約0.0001重量%~約5パーセント重量%の範囲で存在する、項1に記載の組成物。
項13
その表面にセリア粒子および化学機械研磨夾雑物を有するマイクロ電子デバイスから前記粒子および夾雑物を除去する方法であって、以下:
(i)マイクロ電子デバイスに項1に記載の組成物を接触させること;および
(ii)脱イオン水を含む水溶液で、前記マイクロ電子デバイスから前記粒子および夾雑物を少なくとも一部、除去すること
を含む、方法。
項14
low-k誘電体が、ポリ-Si、PETEOS、炭化ケイ素、ポリマー薄膜、オキシ炭化ケイ素、オキシ窒化ケイ素および窒化ケイ素、ケイ素含有有機ポリマー、ケイ素含有有機/無機ハイブリッド材料、有機ケイ酸塩ガラス(OSG)、TEOS、フッ化ケイ酸塩ガラス(FSG)、二酸化ケイ素、および炭素ドープ酸化物(CDO)ガラスまたは炭素ドープガラスから選択される、項13に記載の方法。
項15
使用時点または使用時点前に、水および/または水混和性有機溶媒、ならびに場合により1種または複数の界面活性剤を含む溶媒により、組成物を希釈する工程をさらに含む、項13に記載の方法。
本発明は、本発明の好ましい実施形態の以下の実施例によりさらに例示され得るが、これらの実施例は、単に例示目的で含まれているに過ぎず、特に具体的に示さない限り、本発明の範囲を限定することを意図するものではないことが理解されよう。
【実施例
【0057】
実験項目
ビーカー浸漬実験手順
1.希釈したセリアスラリーに5分間、基板を浸漬し、次いで、DIW(脱イオン水)により30秒間、リンスする。
2.希釈した洗浄液にスラリーに露出した基板を1分間、浸漬し、次いでDIWで30秒間、リンスする。
【0058】
性能評価(計測学):
計測学の性能評価:採集した小片のSEMによる洗浄後画像
・ 画像解析ソフトウエア(Image J)によって、セリア粒子の全面積を算出した。