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特許7213846表示装置、データドライバ及び表示コントローラ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-19
(45)【発行日】2023-01-27
(54)【発明の名称】表示装置、データドライバ及び表示コントローラ
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/36 20060101AFI20230120BHJP
   G02F 1/133 20060101ALI20230120BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20230120BHJP
【FI】
G09G3/36
G02F1/133 550
G09G3/20 611J
G09G3/20 621B
G09G3/20 623D
G09G3/20 623E
G09G3/20 623G
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020090004
(22)【出願日】2020-05-22
(65)【公開番号】P2021021936
(43)【公開日】2021-02-18
【審査請求日】2020-06-17
【審判番号】
【審判請求日】2022-04-22
(31)【優先権主張番号】P 2019139876
(32)【優先日】2019-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】308033711
【氏名又は名称】ラピスセミコンダクタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079119
【弁理士】
【氏名又は名称】藤村 元彦
(72)【発明者】
【氏名】土 弘
(72)【発明者】
【氏名】大谷 圭吾
【合議体】
【審判長】中塚 直樹
【審判官】波多江 進
【審判官】濱本 禎広
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0379579(US,A1)
【文献】特開2015-143781(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/00 - 3/38
G02F 1/133
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1及び第2のデータ線群からなる複数のデータ線、及び前記複数のデータ線と交叉して配置されている複数のゲート線を含み、前記データ線と前記ゲート線との各交叉部に画素を担う表示セルが配置されている表示パネルと、
前記複数のゲート線の各々にゲート選択信号を供給するゲートドライバと、
所定のデータ線数毎に設けられ、それぞれが映像信号を受け、当該映像信号に基づく各画素の輝度レベルに対応した、所定の基準電圧に対して正極性のアナログ電圧値を有するデータパルスが所定周期で表れる信号を正極性の階調データ信号として生成すると共に前記基準電圧に対して負極性のアナログ電圧値を有するデータパルスが前記正極性の階調データ信号とは異なる位相で前記所定周期毎に表れる信号を負極性の階調データ信号として生成し、前記第1及び第2のデータ線群のうちの一方のデータ線群に前記正極性の階調データ信号を出力すると共に、他方のデータ線群に前記負極性の階調データ信号を出力する複数のデータドライバと、を含み、
前記データドライバは、
前記正極性の階調データ信号を前記所定周期毎に出力する際に前記複数のゲート線の各々から出力される前記ゲート選択信号のゲートオフタイミングに対応する基準タイミングに対する遅延時間を表す第1の出力遅延時間、及び前記負極性の階調データ信号を前記所定周期毎に出力する際の前記基準タイミングに対する遅延時間を表し前記第1の出力遅延時間と異なる第2の出力遅延時間を夫々示す設定情報を受け、
前記正極性の階調データ信号を前記所定周期毎に、前記基準タイミングから前記設定情報にて示される前記第1の出力遅延時間だけ遅延させて出力すると共に、前記負極性の階調データ信号を前記所定周期毎に、前記基準タイミングから前記設定情報にて示される前記第2の出力遅延時間だけ遅延させて出力し、
前記負極性の階調データ信号は、前記正極性の階調データ信号に対して遅れる方向に位相シフトされた信号であり、
前記正極性の階調データ信号に対する前記負極性の階調データ信号の前記位相シフトの時間長は、前記ゲートドライバの出力端子から、前記階調データ信号を受けるデータ線とゲート線とが交叉する位置までの当該ゲート線の配線長が短いほど短く設定されることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記表示セルは、
液晶層と、
前記液晶層を挟む画素電極及び対向基板電極と、
前記ゲート線に前記ゲート選択信号が供給された場合にオン状態となって前記データ線に供給された前記階調データ信号を前記画素電極へ供給する画素スイッチと、を含み、
前記対向基板電極には前記所定の基準電圧をなす対向基板電圧が印加されており、
前記画素スイッチは、自身の制御端が前記ゲート線に接続されており、自身の第1端子が前記データ線に接続されており、自身の第2端子が前記画素電極に接続されている薄膜トランジスタであることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記複数のデータドライバの各々は、
夫々が正極性又は負極性からなるi(iは2以上の整数)個の前記階調データ信号を出力するi個の出力チャネルを含み、
前記設定情報に基づき、前記i個の出力チャネルに対し、極性毎且つ所定の出力チャネル数単位毎に複数段階の出力遅延時間が設定されることを特徴とする請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記設定情報は、
前記複数のデータドライバの各々毎に、前記i個の出力チャネルに対し、正極性及び負極性夫々の出力開始チャネルからの前記出力遅延時間を、前記出力チャネルの番号の昇順及び降順のうちのいずれの順序で増加させるか、又は、前記i個の出力チャネルの両端側から中央に向かって出力遅延時間を増加させるかを指定する出力遅延方向情報と、
前記複数のデータドライバの各々毎に、前記i個の出力チャネル内での前記正極性の階調データ信号に対する出力遅延時間の変化率を第1の遅延シフト量として指定し、前記i個の出力チャネル内での前記負極性の階調データ信号に対する出力遅延時間の変化率を第2の遅延シフト量として指定する出力遅延シフト量情報と、
前記複数のデータドライバの各々毎に、前記i個の出力チャネルにおける前記正極性の階調データ信号に対する前記正極性の出力開始チャネルの出力開始タイミングを第1の出力スタートタイミングとして指定し、前記i個の出力チャネルにおける前記負極性の階調データ信号に対する前記負極性の出力開始チャネルの出力開始タイミングを第2の出力スタートタイミングとして指定する出力スタートタイミング情報と、を含むことを特徴とする請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記設定情報は、前記出力遅延シフト量情報の代わりに、
前記i個の出力チャネルにおける前記正極性の階調データ信号に対する正極性の出力最終チャネルの出力開始タイミングを指定する第3の出力スタートタイミングと、前記i個の出力チャネルにおける前記負極性の階調データ信号に対する負極性の最終出力チャネルの出力開始タイミングを指定する第4の出力スタートタイミングとが、前記出力スタートタイミング情報に追加され、
前記正極性の階調データ信号に対する出力遅延時間の変化率は、前記第1及び前記第3の出力スタートタイミングの指定に基づき前記第1の遅延シフト量が算出設定され、前記負極性の階調データ信号に対する出力遅延時間の変化率は、前記第2及び前記第4の出力スタートタイミングの指定に基づき前記第2の遅延シフト量が算出設定される、ことを特徴とする請求項4に記載の表示装置
【請求項6】
前記複数のデータドライバは、前記表示コントローラから供給された前記設定情報を記憶する記憶回路を含むことを特徴とする請求項5に記載の表示装置
【請求項7】
前記表示パネルを構成する前記複数のデータ線群が互いに隣接する所定数のデータ線毎にグループ化されており、
前記グループ内では互いに隣接するデータ線同士で異なる極性の階調データ信号が出力され、隣接する前記グループの境界を挟んで隣接するデータ線同士では同一極性の階調データ信号が出力されることを特徴とする請求項1~6のいずれか1に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像信号に応じた画像を表示する表示装置、及び表示装置に含まれるデータドライバ及び表示コントローラに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、大画面の表示装置の多くには、表示デバイスとしてアクティブマトリクス駆動方式の液晶パネルが採用されている。
【0003】
液晶パネルには、2次元画面の垂直方向に夫々伸張する複数のデータ線と、2次元画面の水平方向に夫々伸張する複数のゲート線と、が交叉して配置されている。更に、これら複数のデータ線と、複数のゲート線との各交叉部には、データ線及びゲート線に接続されている画素スイッチを含む画素部が形成されている。画素部は、画素毎に独立して配置されている透明電極と、液晶パネルにおける2次元画面全体を担う1つの透明な電極が形成されている対向基板と、各画素の透明電極各々と対向基板との間に封入された液晶材料と、バックライトと、を有する。
【0004】
液晶表示装置は、かかる液晶パネルと共に、各画素の輝度レベルに対応したアナログ電圧値を有する階調データ信号を1水平走査期間単位のデータパルスでデータ線に供給するデータドライバ、及び画素スイッチをオン・オフ制御するゲート選択信号をゲート線の各々に印加するゲートドライバを含む。
【0005】
液晶表示装置では、ゲートドライバから送出されたゲート選択信号に応じて画素スイッチがオンとなるときに、データドライバから送出された階調データ信号が画素部の透明電極に印加される。以降、かかる動作を画素部への電圧供給、或いは画素部への充電(放電も含む)と称する。この際、各画素部の透明電極に印加された階調データ信号の電圧値と、対向基板に印加されている固定の電圧(対向基板電圧と称する)との電位差に応じて液晶の透過率が変化し、当該階調データ信号に応じた表示が行われる。
【0006】
更に、液晶表示装置では、自身の液晶の劣化を防ぐために、対向基板電圧に対して正極性の階調データ信号と負極性の階調データ信号を所定のフレーム期間毎に交互に供給する極性反転駆動を行う。
【0007】
尚、近年の液晶表示装置の大画面化及び超高解像度化に伴い、映像信号の1水平走査期間の期間長が短くなり、1画素あたりの駆動期間、つまりデータ線に1つの画素に対応した階調データ信号を供給する期間(1データ期間とも称する)も短くなる。これにより、画素への充電期間が短くなり、特に、負極性の階調データ信号が供給(充電)される画素よりも、正極性の階調データ信号が供給(充電)される画素において充電不足が生じる可能性が高かった。
【0008】
つまり、各画素に含まれる画素スイッチは実際には薄膜トランジスタであり、その制御端子に印加されるゲート選択信号と、その第1端子に印加される階調データ信号との電位差に応じた電流駆動能力で、その第2端子に接続される画素(透明電極)へ階調データ信号が供給される。よって、ゲート選択信号と階調データ信号との電位差が小さいほど画素スイッチの電流駆動能力が小さくなり、画素に対する階調データ信号の充電速度が遅くなる。
【0009】
この際、正極性の階調データ信号の電圧は全体的に負極性の階調データ信号の電圧よりも高い。よって、正極性の階調データ信号とゲート選択信号との電位差は、負極性の階調データ信号とゲート選択信号との電位差よりも小さくなる。これにより、1データ期間内において、負極性の階調データ信号が供給(充電)された画素が過不足無く充電されても、正極性の階調データ信号が供給(充電)された画素が充電不足となる場合があり、表示画像にフリッカや画質劣化が生じる虞があった。
【0010】
そこで、階調データ信号の極性を1水平走査ライン毎に反転させる駆動を採用し、正極性の階調データ信号で書込を行う1水平走査期間の期間長を、負極性の階調データ信号で書込を行う1水平走査期間の期間長に比べて長くすることで、上記不具合を解消した液晶駆動方法が提案された(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】特開2002-108288号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところで、液晶表示装置の大画面化及び超高解像度化に伴い、1データ期間が短くなると共に、ゲート線及びデータ線の配線抵抗及び配線容量が増加する。これにより、ゲートドライバの出力端子からの配線長が長い位置に配置されている画素では、近い位置に配置されている画素に比べて、その画素に到達するゲート選択信号のパルスのエッジ部の鈍りが大きくなる。また、極性反転による電位差の大きいデータ線の充放電が多いと、データドライバの消費電力(発熱)が増大する。
【0013】
そこで、大画面及び高解像度の液晶パネルでは、データ線に供給する階調データ信号の極性をフレーム期間内は同一極性とし、隣接データ線間で極性を異ならせると共に、フレーム期間単位で、各データ線に供給する階調データ信号の極性を反転させる、いわゆるカラム反転駆動(カラムライン反転駆動とも称する)が行われている。
【0014】
しかしながら、カラム反転駆動を行う場合にも、前述したように、負極性の階調データ信号が供給された画素が過不足無く充電されても、正極性の階調データ信号が供給された画素が充電不足となる虞がある。
【0015】
図1は、カラム反転駆動により、表示パネルの互いに隣接する第X番目及び第(X+1)番目のデータ線に、あるフレーム期間に夫々印加される正極性の階調データ信号Vdx及び負極性の階調データ信号Vd(x+1)、及びゲート線に印加されるゲート選択信号Vgkの一例を示すタイムチャートである。図1では、後述の図2に示す表示パネル150と同様に、データドライバに最も近い1番目のゲート線をGL1とし、最も遠いr番目のゲート線をGLrとし、ゲート線GLrからゲート線GL1に向かってゲートドライバから順次ゲート選択信号が出力される駆動例を示している。また、データドライバから出力される正極性の階調データ信号Vdx及び負極性の階調データ信号Vd(x+1)も、ゲート選択信号の選択順に対応し、それぞれr行目の画素に供給される階調データパルスDpr、Dnrから順次出力され、最後に1行目の画素に供給される階調データパルスDp1、Dn1が出力される。
【0016】
ここで、階調データ信号は、データ線方向の各画素にそれぞれ供給するアナログ電圧値(階調電圧)を有し、1データ期間単位の複数の階調データパルスで構成される。正極性の階調データ信号Vdxの各階調データパルスは、対向基板電圧VCOMより高電位側で、所定の下限値Lpyから、それより高い上限値Lpzまでの電圧範囲内の階調電圧を有する。また、負極性の階調データ信号Vd(x+1)は、対向基板電圧VCOMより低電位側で、所定の上限値Lnyから、それより低い下限値Lnzまでの電圧範囲内の階調電圧を有する。対向基板電圧は、一般的に、正極性の階調データ信号の下限値Lpyと、負極性の階調データ信号の上限値Lnyとの間に設定される。なお図面では、説明の便宜上、階調データ信号Vdx及びVd(x+1)の階調データパルスは、それぞれの電圧範囲内の上限値と下限値の階調電圧が1データ期間毎交互に出力される駆動パターンを示す。
【0017】
ゲート選択信号Vgkは、選択対象となる第k(kは2以上の整数)番目のゲート線に印加される、所定の低電位VGLの状態から高電位VGHに推移するパルス信号である。ゲート選択信号は、ゲートドライバの出力端子からのゲート線の配線長に応じたインピーダンス(配線抵抗や配線容量)により波形鈍りを生じる。尚、図1では、ゲートドライバの出力端子からの配線長が比較的長い位置の第X、第(X+1)番目のデータ線と交叉するゲート線の位置で観測されるゲート選択信号Vgkの波形の一例を示す。また、図1に示す一例では、画素充電効率を高める為に、ゲート選択信号Vgkは、k行目の画素に供給する正極性の階調データパルスDpk及び負極性の階調データパルスDnkが第X、第(X+1)番目のデータ線に出力される1データ期間よりも前のデータ期間から高電位VGHの状態を維持している。これにより、図1に示すように、Dpk及びDnkの直前の階調データパルスDp(k+1)及びDn(k+1)等によって、選択対象となるk行目の画素を予備充電しておくという、いわゆるゲートプリチャージが為される。
【0018】
ここで、正極性のデータパルスDpkと負極性のデータパルスDnk(kは共に1,2,…,r)は同一クロックCLKによりタイミング制御され、それぞれの位相は同一とされる。ゲート選択信号Vgkと階調データパルスDpk及びDnkの位相タイミングは、k行目の選択画素に対して次の階調データパルスDp(k-1)及びDn(k-1)の充電が生じないように、負極性の階調データ信号Vd(x+1)の振幅の下限値Lnzとゲート選択信号Vgkの電位との関係で決定する。図1では、負極性の階調データ信号Vd(x+1)の下限値Lnzを有する階調データパルスDnkを供給する1データ期間T1Hの終了時に、ゲート信号Vgkが電位Lnzを下回るように位相タイミングが調整される。
【0019】
これにより、負極性の階調データパルスDnkの実効的な画素充電期間Tn1は1データ期間T1Hと同等となる。
【0020】
一方、正極性の階調データパルスDpkの実効的な画素充電期間Tp1は、正極性の階調データ信号Vdxのダイナミックレンジの下限値Lpyの階調データパルスDpkとゲート選択信号Vgkの電位により定まる。
【0021】
このとき、正極性の階調データパルスDpkによる実効的な画素充電期間Tp1は、図1に示すようにゲート選択信号Vgkのリアエッジ部の鈍りにより、1データ期間T1Hよりも期間Ts1だけ短くなり、その分だけ画素充電率が下がる。
【0022】
更に、前述したように、ゲート選択信号Vgkと階調データ信号との電位差も画素充電率に影響し、電位差の大きい負極性の階調データ信号Vd(x+1)の画素充電率に比べて、正極性の階調データ信号Vdxの画素充電率は低くなる。
【0023】
したがって、負極性の階調データ信号に比べて、正極性の階調データ信号の画素充電率が低下することで、各画素の正極性と負極性の透過率が不均一となり、表示画像中にフリッカや画質劣化が生じるという不具合が発生する。
【0024】
尚、カラム反転駆動を行う場合には、1水平走査ラインに沿って正極性の階調データ信号が供給される画素と、負極性の階調データ信号が供給される画素とが混在するので、上記した特許文献1に記載の方法を採用して上記不具合を解消することはできない。
【0025】
そこで、本発明は、カラム反転駆動を採用して、画質劣化を抑えた大画面の画像表示を行うことが可能な表示装置、データドライバ及び表示コントローラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明に係る表示装置は、第1及び第2のデータ線群からなる複数のデータ線、及び前記複数のデータ線と交叉して配置されている複数のゲート線を含み、前記データ線と前記ゲート線との各交叉部に画素を担う表示セルが配置されている表示パネルと、前記複数のゲート線の各々にゲート選択信号を供給するゲートドライバと、所定のデータ線数毎に設けられ、それぞれが映像信号を受け、当該映像信号に基づく各画素の輝度レベルに対応した、所定の基準電圧に対して正極性のアナログ電圧値を有するデータパルスが所定周期で表れる信号を正極性の階調データ信号として生成すると共に前記基準電圧に対して負極性のアナログ電圧値を有するデータパルスが前記正極性の階調データ信号とは異なる位相で前記所定周期毎に表れる信号を負極性の階調データ信号として生成し、前記第1及び第2のデータ線群のうちの一方のデータ線群に前記正極性の階調データ信号を出力すると共に、他方のデータ線群に前記負極性の階調データ信号を出力する複数のデータドライバと、を含み、前記データドライバは、前記正極性の階調データ信号を出力する際の前記所定周期毎の基準タイミングに対する遅延時間を表す第1の出力遅延時間、及び前記負極性の階調データ信号を前記所定周期毎に出力する際の前記基準タイミングに対する遅延時間を表す第2の出力遅延時間を夫々示す設定情報を受け、前記正極性の階調データ信号を前記所定周期毎に、前記基準タイミングから前記設定情報にて示される前記第1の出力遅延時間だけ遅延させて出力すると共に、前記負極性の階調データ信号を前記所定周期毎に、前記基準タイミングから前記設定情報にて示される前記第2の出力遅延時間だけ遅延させて出力する
【0027】
本発明に係るデータドライバは、各画素の輝度レベルを示す映像信号を受け、前記映像信号に応じて、夫々に複数の表示セルが接続されている複数のデータ線を有する表示パネルを駆動するデータドライバであって、前記複数のデータ線が接続される、第1及び第2の出力端子群からなる複数の出力端子を有し、映像信号を受け、当該映像信号に基づき各画素の輝度レベルに対応した所定の基準電圧に対する正極性のアナログ電圧値を夫々が有するデータパルスが所定周期で表れる信号を正極性の階調データ信号として生成すると共に、前記映像信号に基づく各画素の輝度レベルに対応した前記所定の基準電圧に対する負極性のアナログ電圧値を夫々有するデータパルスが前記正極性の階調データ信号とは異なる位相で前記所定周期毎に表れる信号を負極性の階調データ信号として生成し、前記正極性の階調データ信号を出力する際の前記所定周期毎の基準タイミングに対する遅延時間を表す第1の出力遅延時間、及び前記負極性の階調データ信号を前記所定周期毎に出力する際の前記基準タイミングに対する遅延時間を表す第2の出力遅延時間を夫々示す設定情報を受け、前記第1及び第2の出力端子群のうちの一方の出力端子群に前記正極性の階調データ信号を、前記所定周期毎に、前記基準タイミングから前記設定情報にて示される前記第1の出力遅延時間だけ遅延させて出力すると共に、他方の出力端子群に前記負極性の階調データ信号を、前記所定周期毎に、前記基準タイミングから前記設定情報にて示される前記第2の出力遅延時間だけ遅延させて出力する出力する。
【0028】
本発明に係る表示コントローラは、夫々が正極性又は負極性からなるi(iは2以上の整数)個の階調データ信号を表示パネルのデータ線の各々に出力するi個の出力チャネルを有する複数のデータドライバの各々に映像信号、制御信号及び設定情報を供給する表示コントローラであって、前記i個の出力チャネルにおける所定の出力チャネル数単位毎に、複数段階の前記正極性の階調データ信号及び前記負極性の階調データ信号の基準タイミングに対する出力遅延時間を夫々個別に表す情報を設定し夫々を含む前記設定情報を、前記複数のデータドライバの各々へ供給する。
【発明の効果】
【0029】
本発明では、1フレーム期間内で正極性の階調データ信号と負極性の階調データ信号を表示パネルの各データ線に供給するカラム反転駆動を行うにあたり、正極性の階調データ信号と負極性の階調データ信号との位相を互いに異ならせている。これにより、ゲート選択信号のリアエッジ部に鈍りが生じている状態において、負極性の階調データ信号による画素充電率を低下させ、正極性の階調データ信号による画素充電率を高くすることができる。よって、負極性の階調データ信号による画素充電率と、正極性の階調データ信号による画素充電率との差を縮めることができるので、負極性の階調データ信号による画素充電率と、正極性の階調データ信号による画素充電率との差に伴うフリッカを抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】互いに隣接するデータ線に夫々印加される正極性及び負極性の階調データ信号と、ゲート線に印加されるゲート選択信号における従来の印加タイミングを示すタイムチャートである。
図2】本発明に係る表示装置としての液晶表示装置の概略構成を示すブロック図である。
図3】表示セルの構造を概略的に表す図である。
図4】クロック信号及び遅延クロック信号を表すタイムチャートである。
図5】データドライバの内部構成の一例を示すブロック図である。
図6】液晶表示装置によるカラム反転駆動の形態を表す図である。
図7】本発明に係る表示装置において、互いに隣接するデータ線に夫々印加される正極性及び負極性の階調データ信号と、ゲート線に印加されるゲート選択信号の印加タイミングの一例を示すタイムチャートである。
図8】本発明に係る表示装置において、互いに隣接するデータ線に夫々印加される正極性及び負極性の階調データ信号と、ゲート線に印加されるゲート選択信号の印加タイミングの他の一例を示すタイムチャートである。
図9】本発明に係る表示装置としての液晶表示装置の他の構成を示すブロック図である。
図10】データドライバの内部構成の他の一例を示すブロック図である。
図11】データドライバの出力遅延特性の一例を示す図である。
図12A】第1の出力遅延特性を示す図である。
図12B】第2の出力遅延特性を示す図である。
図12C】第3の出力遅延特性を示す図である。
図13】出力遅延特性の形態の一例を示す図である。
図14】データドライバの出力遅延特性の他の一例を示す図である。
図15】液晶表示装置における各タイミング信号のタイムチャートの一例を示す図である。
図16】液晶表示装置によるカラム反転駆動の形態の他の一例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図2は、本発明に係る表示装置としてのアクティブマトリクス型の液晶表示装置10の概略構成を示すブロック図である。
【0032】
図2に示すように、液晶表示装置10は、表示コントローラ100、データドライバ120-1~120-S、ゲートドライバ110及び表示パネル150を有する。
【0033】
表示パネル150には、図2に示すように2次元画面の水平方向に伸張するゲート線GL1~GLr(rは2以上の整数)と、2次元画面の垂直方向に伸張するデータ線DL1~DLm(mは2以上の整数)とが交叉して配置されている。データドライバ120-1~120-Sは、それぞれ所定のデータ線数毎に設けられて、S個(Sは1より大の整数)のデータドライバ全体で表示パネル150のデータ線DL1~DLmを駆動する。ゲート線GL1~GLrを駆動するゲートドライバ110は、狭額縁化の要請により、表示パネル150と一体で形成された薄膜トランジスタ回路で構成されるものが主流となっている。図2では、ゲートドライバ110は表示パネル150の片側配置で示されているが、両側配置とされてもよい。
【0034】
ゲート線GL1~GLrの各々と、データ線DL1~DLmの各々との交叉部には、単位画素を担う表示セル154が形成されている。
【0035】
図3は、表示セル154の構造を概略的に表す図である。
【0036】
図3に示すように、表示セル154は、互いに積層されている画素電極C1、液晶層C2及び対向基板電極C3と、画素スイッチとしての薄膜トランジスタTRと、を含む。図3では、nチャネル型の薄膜トランジスタの例を示す。尚、画素電極C1は、表示セル154毎に独立して設けられた透明電極であり、対向基板電極C3は、表示パネル150の全面に亘る単一の透明電極である。トランジスタTRの制御端子はゲート線GLに接続されており、その第1端子はデータ線DLに接続されている。更に、トランジスタTRの第2端子は画素電極C1に接続されている。対向基板電極C3には基準電位としての電圧VCOMが印加されている。
【0037】
表示コントローラ100は、映像信号VDを受け、当該映像信号VDに基づき、ゲート線GL1~GLrの各々にゲート選択信号を印加するタイミングを示すゲートタイミング信号をゲートドライバ110に供給する。
【0038】
更に、表示コントローラ100は、映像信号VDに基づき、データ取込開始タイミングを示すスタートパルス信号ST及びクロック信号CLKを含む制御信号と、各画素の輝度レベルを示す映像データPDの系列と、を含むデジタルの映像信号DVSを生成する。
【0039】
尚、クロック信号CLKは、図4に示すような1データ期間T1Hの周期からなる2値(論理レベル0又は1)のクロック信号である。また、映像データPDの系列とは、各画素の輝度レベルを例えば8ビットで表すデジタルデータ片のまとまりである。
【0040】
表示コントローラ100は、上記した映像信号DVSをデータドライバ120-1~120-Sのそれぞれに供給する。なお、表示コントローラ100と各データドライバ間の伝送線路を減らすため、通常表示コントローラ100から高速シリアル信号で送出される。その場合、各データドライバは高速シリアル信号を受けて元の周波数に戻すデシリアル機能を備えている。
【0041】
ゲートドライバ110は、表示コントローラ100から供給されたゲートタイミング信号に応じて、夫々がゲート線を選択する為の少なくとも1つのパルスを含むゲート選択信号Vg(r)~Vg1を順に生成し、r個の出力端子の各々から個別に出力する。ゲートドライバ110は、当該r個の出力端子から出力したゲート選択信号Vg(r)~Vg1を表示パネル150のゲート線GLr~GL1の各々に供給する。
【0042】
データドライバ120-1~120-Sは、それぞれ映像信号DVSに含まれるスタートパルス信号ST及びクロック信号CLKに応じて、当該DVSに含まれる1水平走査ライン分(所定のデータ線数毎)の映像データPDの各々を取り込む。
【0043】
データドライバ120-1~120-Sは、所定のデータ線数分の出力チャンネルを有し、取り込んだ映像データPDを、それぞれの輝度レベルに対応したアナログ電圧値を有する階調データ信号に変換して出力する。データドライバ120-1~120-S全体で階調データ信号Vd1~Vd(m)を生成し、データドライバ120-1~120-S全体から出力された階調データ信号Vd1~Vd(m)は、表示パネル150のデータ線DL1~DLmに夫々供給される。
【0044】
尚、データドライバ120-1~120-Sは、階調データ信号Vd1~Vd(m)のうち、あるフレーム期間は、隣接して対をなす一方のデータ線に正極性の階調データ信号を供給し、他方のデータ線に負極性の階調データ信号を供給するカラム反転駆動を行う。そして夫々の階調データ信号の極性状態はフレーム単位で反転させる。最も簡単な方法としては、表示パネルの奇数番目のデータ線に供給する階調データ信号Vd1、Vd3、Vd5、・・・各々の極性を正極及び負極の一方の極性とし、偶数番目のデータ線に供給する階調データ信号Vd2、Vd4、Vd6、・・・各々の極性を他方の極性とし、夫々の極性の状態を1フレーム毎に反転させてもよい。
【0045】
更に、データドライバ120-1~120-Sは、階調データ信号Vd1~Vd(m)を出力するにあたり、後述の図7図8に示すように、Vd1~Vd(m)のうちの正極性の階調データ信号群をクロック信号CLKの位相に同期したタイミングで出力する。また、データドライバ120-1~120-Sは、階調データ信号Vd1~Vd(m)のうちの負極性の階調データ信号群を、クロック信号CLKの位相よりも所定期間だけ遅れた遅延クロック信号CLKdの位相に同期したタイミングで出力する。
【0046】
図5は、データドライバ120-1~120-Sの各々の内部構成を示すブロック図である。以下では任意の1つのデータドライバをデータドライバ120と表す。
【0047】
図5に示すように、データドライバ120は、制御回路51、遅延回路52、階調電圧生成部54、シフトレジスタ60、データラッチ部70、レベルシフタ80、デコーダ部90、及び出力アンプ部95を含む。データドライバ120は、半導体ICで形成されている。
【0048】
制御回路51は、表示コントローラ100からシリアル化されて送られる映像信号DVSを受けてデシリアル化し、映像信号DVS中から制御信号、スタートパルス信号ST、クロック信号CLK、極性反転信号及び映像データPDの系列を夫々抽出する。制御回路51は、タイミング生成機能を備えて、各信号のタイミングを制御する。
【0049】
制御回路51は、抽出したスタートパルス信号STをシフトレジスタ60に供給し、抽出したクロック信号CLKを遅延回路52、シフトレジスタ60及びデータラッチ部70に供給する。更に、制御回路51は、抽出した映像データPDの系列をデータラッチ部70に供給する。
【0050】
また制御回路51は、映像信号DVSに応じて、データドライバ120が出力する階調データ信号の各々の極性をフレーム期間単位で反転させる2値(論理レベル0又は1)の極性反転信号POLを出力し、データラッチ部70に供給する。
【0051】
遅延回路52は、図4に示すように、クロック信号CLKを時間Ts21だけ遅延させた遅延クロック信号CLKdをデータラッチ部70に供給する。尚、遅延回路52としては、クロック信号CLKを遅延させる時間Ts21を任意の長さに調整することが可能な可変遅延回路を採用しても良い。この際、遅延回路52は、後述する正極性の階調データ信号に対して負極性の階調データ信号の位相を遅らせる方向にシフトする際の位相シフト量を調整する手段として機能する。
【0052】
階調電圧生成部54は、正極性のL個の参照電圧群X1~XL、負極性のL個の参照電圧群Y1~YLを生成し、デコーダ部90へ供給する。例えば、階調電圧生成部54は、ラダー抵抗により、所定の高電位VGHと、この高電位VGHよりも低い所定の低電位VGLとの間を複数の電圧に分圧した参照電圧群を出力する。
【0053】
シフトレジスタ60は、スタートパルス信号STに応じて、クロック信号CLKに同期したタイミングで夫々異なるラッチタイミングを示す複数のラッチタイミング信号を生成して、データラッチ部70に供給する。
【0054】
データラッチ部70は、シフトレジスタ60から供給された複数のラッチタイミング信号に応じて、上記した映像データPDの系列中から出力数に対応した映像データPDを取り込む正極データラッチ71及び負極データラッチ72を含む。
【0055】
正極データラッチ71は、上記した映像データPDの系列と共に、クロック信号CLK及び極性反転信号POLを受ける。負極データラッチ72は、映像データPDの系列と共に、遅延クロック信号CLKd及び極性反転信号POLを受ける。
【0056】
データドライバ120の出力数をq(qは1以上の整数)とし、表示パネル150のデータ線のうち奇数番目と偶数番目の一方を正極性、他方を負極性として駆動する場合、極性反転信号POLが論理レベル1を示すとき、正極データラッチ71は、出力数に対応したq個の映像データPDの系列中の奇数番目の映像データPDの各々を正極データとして取り込む。更に、このとき、負極データラッチ71は、当該q個の映像データPDの系列中の偶数番目の映像データPDの各々を負極データとして取り込む。
【0057】
そして、正極データラッチ71は、自身が取り込んだ正極データとしての複数の映像データPDを、クロック信号CLKのタイミングで奇数番目の映像データP1、P3、P5、・・・としてレベルシフタ80に供給する。負極データラッチ72は、自身が取り込んだ負極データとしての複数の映像データPDを、遅延クロック信号CLKdのタイミングで偶数番目の映像データP2、P4、P6、・・・としてレベルシフタ80に供給する。
【0058】
一方、極性反転信号POLが論理レベル0を示す場合には、正極データラッチ71は、q個の映像データPDの系列中の偶数番目の映像データPDの各々を正極データとして取り込み、負極データラッチ71は、当該q個の映像データPDの系列中の奇数番目の映像データPDの各々を負極データとして取り込む。
【0059】
そして、正極データラッチ71は、自身が取り込んだ正極データとしての複数の映像データPDを、クロック信号CLKのタイミングで偶数番目の映像データP2、P4、P6、・・・としてレベルシフタ80に供給する。負極データラッチ72は、自身が取り込んだ負極データとしての複数の映像データPDを、遅延クロック信号CLKdのタイミングで奇数番目の映像データP1、P3、P5、・・・としてレベルシフタ80に供給する。
【0060】
レベルシフタ80は、データラッチ部70から供給されたq個の映像データP1~Pqの各々に対して、そのデータの信号レベル(電圧振幅)を増加するレベルシフト処理を施して得られた映像データJ1~Jqをデコーダ部90に供給する。
【0061】
デコーダ部90は、映像データJ1~Jqの各々を個別に、アナログ電圧値を有する階調データ信号に変換するq個のデコーダDECを有する。
【0062】
q個のデコーダDECの各々は、階調電圧生成部54から、正極性の参照電圧群X1~XL、及び負極性の参照電圧群Y1~YLを受ける。更に、q個のデコーダDECの各々は、映像データJ1~Jqのうちの1つを夫々個別に受ける。
【0063】
各デコーダDECは、自身が受けた映像データJが正極データである場合には、正極性の参照電圧群X1~XLのうちから、その映像データJによって指定される1つ又は複数の参照電圧を選択する。一方、自身が受けた映像データJが負極データである場合には、デコーダDECは、負極性の参照電圧群Y1~YLのうちから、その映像データJによって指定される1つ又は複数の参照電圧を選択する。
【0064】
デコーダ部90は、q個のデコーダDECでそれぞれ選択された1つ又は複数の参照電圧を出力アンプ部95に出力する。
【0065】
出力アンプ部95は、q個のデコーダDECにそれぞれ対応したq個のオペアンプを備え、各デコーダDECから供給される1つ又は複数の参照電圧が各オペアンプに入力される。これらq個のオペアンプの各々は、自身の出力端子と反転入力端子(-)とが互いに接続されているボルテージフォロワからなり、自身の非反転入力端子(+)で受けた1つ又は複数の参照電圧を演算増幅して得られるアナログ電圧値を出力端子へ供給する。このとき得られるアナログ電圧値は輝度レベルに対応した階調電圧である。出力アンプ部95は、これらq個のオペアンプによってそれぞれ演算増幅されたアナログ電圧値を階調データ信号の階調データパルスとして、半導体ICのq個の出力端子T1~Tqを介して外部出力する。階調データパルスは、1データ期間単位で1フレーム期間内に連続して出力される。本明細書では、各出力端子から出力される階調データパルスの連続信号を階調データ信号と称する。ここで、q個の出力端子T1~Tqは、表示パネル150のデータラインDL1~DLmのうちのq本と接続されている。例えばデータドライバ120が、データラインDL1~DLmのうちのDL1~DLqを受け持つデータドライバ120-1の場合、データドライバ120の出力端子T1~Tqそれぞれから階調データ信号Vd1~Vd(q)が出力される。
【0066】
図5に示す構成により、データドライバ120は、階調データ信号Vd1~Vd(q)のうちの正極性の階調データ信号群を、例えば表示パネル150のデータラインDL1~DLmの内の当該データドライバが受け持つq本のデータラインの奇数番目のデータライン群及び偶数番目のデータライン群の内の一方に供給する。また、データドライバ120は、階調データ信号Vd1~Vd(q)のうちの負極性の階調データ信号群を、表示パネル150の当該q本のデータラインの奇数番目のデータライン群及び偶数番目のデータライン群の内の他方に供給する。尚、正極性の階調データ信号群に対して、負極性の階調データ信号群の位相は図4に示す時間Ts21の分だけ位相シフトされている。
【0067】
以下に、図5に示すデータラッチ部70及びデコーダ部90の動作によるカラム反転駆動について詳細に説明する。
【0068】
図6は、当該カラム反転駆動によって例えばデータドライバ120-1から出力される階調データ信号Vd1~Vd(q)各々の状態(正極性又は負極正)の一例を表すタイムチャートである。
【0069】
図6に示すように極性反転信号POLが論理レベル1となる1フレーム期間では、データラッチ部70の正極データラッチ71は、1水平走査ライン分のq個の映像データPDの系列中の奇数番目の映像データPDの各々を正極データとして取り込む。また、この間、データラッチ部70の負極データラッチ72は、1水平走査ライン分のq個の映像データPDの系列中の偶数番目の映像データPDの各々を負極データとして取り込む。
【0070】
そして、極性反転信号POLが論理レベル1となる1フレーム期間において、正極データラッチ71は、正極データとしての奇数番目の映像データPDの各々を、奇数番目の映像データP1、P3、P5、P7、・・・・として出力する。また、この間、負極データラッチ72は、負極データとしての偶数番目の映像データPDの各々を、偶数番目の映像データP2、P4、P6、P8、・・・・として出力する。
【0071】
これにより、図6に示すように、極性反転信号POLが論理レベル1となる1フレーム期間では、表示パネル150のデータ線DL1~DLqに夫々印加される階調データ信号Vd1~Vd(q)のうちの奇数番目の階調データ信号Vd1、Vd3、Vd5、Vd7、・・・の各々が正極性となる。更に、極性反転信号POLが論理レベル1となる1フレーム期間では、図6に示すように、偶数番目の階調データ信号Vd2、Vd4、Vd6、Vd8、・・・の各々が負極性となる。
【0072】
また、図6に示すように、極性反転信号POLが論理レベル0となる1フレーム期間では、正極データラッチ71は、1水平走査ライン分のq個の映像データPDの系列中の偶数番目の映像データPDの各々を正極データとして取り込む。また、この間、負極データラッチ72は、1水平走査ライン分のq個の映像データPDの系列中の奇数番目の映像データPDの各々を負極データとして取り込む。
【0073】
そして、極性反転信号POLが論理レベル0となる1フレーム期間において、正極データラッチ71は、正極データとしての偶数番目の映像データPDの各々を、偶数番目の映像データP2、P4、P6、P8、・・・・として出力する。また、この間、負極データラッチ72は、負極データとしての奇数番目の映像データPDの各々を、奇数番目の映像データP1、P3、P5、P7、・・・・として出力する。
【0074】
これにより、図6に示すように、極性反転信号POLが論理レベル0となる1フレーム期間では、表示パネル150のデータ線DL1~DLmに夫々印加される階調データ信号Vd1~Vd(q)のうちの奇数番目の階調データ信号Vd1、Vd3、Vd5、Vd7、・・・の各々が負極性となる。更に、極性反転信号POLが論理レベル0となる1フレーム期間では、図6に示すように、偶数番目の階調データ信号Vd2、Vd4、Vd6、Vd8、・・・の各々が正極性となる。
【0075】
尚、階調データ信号Vd1~Vd(q)の各々は、データ線DL1~DLqの各々に沿って配置されているr個の表示セル154に夫々対応したr個の階調データパルスが1データ期間T1Hの周期毎に連続するパルスの系列からなる。
【0076】
この際、ゲートドライバ110から送出されたパルス状のゲート選択信号Vgをゲート線GLを介して受け、且つデータドライバ120から送出された階調データ信号Vdを受けた表示セル154で、階調データパルスが画素スイッチを介して画素電極に供給(充電)される。つまり、階調データパルスの電位とゲート選択信号Vgの電位との電位差に対応した電流駆動能力で当該表示セル154に階調データパルスが供給され、当該表示セル154は、この階調データパルスの電圧値に保持される。
尚、上記ではデータドライバ120として、表示パネル150のデータラインDL1~DLmのうちのデータラインDL1~DLqを受け持つデータドライバ120-1について代表して説明した。データドライバ120-1以外のデータドライバ120-2~120-Sは、それぞれが受け持つデータラインの場所が異なるだけで、図5に示すデータドライバの構成及びそれぞれの作用はデータドライバ120-1と同様であり、説明は省略する。
【0077】
図7は、互いに隣接するデータ線DLx(xは1~mの整数)及びDL(x+1)の各々と、ゲート線GLk(kは1~rの整数)との交叉部に夫々形成されている2つの表示セル154に、階調データパルスDpk及びDnkを供給(充電)するときの各種信号の印加タイミングを示すタイムチャートである。図1と同様に、データドライバから最も遠いゲート線GLrから最も近いゲート線GL1に向かってゲートドライバから順次ゲート選択信号が出力される駆動例を示している。ここで、データ線DLx及びDL(x+1)は、ゲート線GLk上におけるゲートドライバ110の出力端子(図示せず)からの配線長が比較的長い位置でこのゲート線GLkと交叉するデータ線である。また、図7の一点破線にて示されるゲート選択信号Vgkのパルス波形は、ゲート線GLk上におけるデータ線DLx、DL(x+1)との交叉部の位置で観測される波形である。データ線DLx、DL(x+1)との交叉部の位置で観測されるこのゲート選択信号Vgkは、ゲートドライバの出力端子からのゲート線の配線長に応じたインピーダンスが大きく、比較的大きな波形鈍りを生じる。
【0078】
尚、図7に示す一例では、階調データパルスDpkを含む正極性の階調データ信号Vdxがデータ線DLxに印加され、階調データパルスDnkを含む負極性の階調データ信号Vd(x+1)がデータ線DL(x+1)に印加された状態を示す。階調データ信号は、データ線方向の各画素にそれぞれ供給するアナログ電圧値(階調電圧)を有し、1データ期間単位の複数の階調データパルスで構成される。正極性の階調データ信号Vdxの各階調データパルスは、下限値Lpyから上限値Lpzまでの電圧範囲内の階調電圧を有する。同様に、負極性の階調データ信号Vd(x+1)の各階調データパルスは、上限値Lnyから下限値Lnzまでの電圧範囲内の階調電圧を有する。対向基板電圧VCOMは、正極性の階調データ信号の下限値Lpyと、負極性の階調データ信号の上限値Lnyとの間に設定されている。なお、図7においても説明の便宜上、階調データ信号Vdx及びVd(x+1)の階調データパルスは、それぞれの電圧範囲内の上限値と下限値の階調電圧が1データ期間毎交互に出力される駆動パターンを示す。
【0079】
図7に示すゲート選択信号Vgkは、図1と同様に、画素充電率を高める為にゲートプリチャージが為されている。すなわち第k行目の画素に対応した階調データパルスDpk及びDnkと共に、第(k+1)行目の画素に対応した1データ期間前の階調データパルスDp(k+1)及びDn(k+1)の印加期間も含めて高電位VGHの状態を維持させている。
【0080】
図7に示すタイムチャートの特徴は、正極性の階調データパルスDpkと負極性の階調データパルスDnkがそれぞれ異なるタイミングで制御される点である。図1との比較において、図1では正極性のデータパルスDpkと負極性のデータパルスDnkは同一クロック信号CLKによりタイミング制御され、それぞれの位相は同一とされている。一方、図7では、正極性の階調データパルスDpkは、クロック信号CLKによりタイミング制御され、負極性のデータパルスDnkはクロック信号CLKから所定の位相シフトした遅延クロック信号CLKdによりタイミング制御される。したがって、正極性の階調データパルスDpkに対し、負極性の階調データパルスDnkは所定の位相シフト分遅延したタイミングで制御される。
【0081】
図7において、正極性の階調データ信号Vdxとゲート選択信号Vgkとのタイミング制御について以下に説明する。データドライバ120は、正極性の階調データ信号Vdxの出力タイミングに関し、ゲート選択信号Vgkによって階調データパルスDpkの次のデータ期間の階調データパルスDp(k-1)が表示セル154へ供給(充電)されないように、以下のように設定される。
【0082】
すなわち、データドライバ120は、図7に示すように、正極性の階調データパルスDpkのリアエッジ部の時点でゲート選択信号Vgkのリアエッジ部の電位が当該階調データパルスDpkの下限値Lpy以下となるようなタイミングで正極性の階調データ信号Vdxを出力する。例えば、このような出力形態となるように、正極性の階調データ信号Vdxの位相を決定するクロック信号CLKの位相を制御回路51で調整するようにしても良い。
【0083】
これにより、正極性の階調データパルスDpkの実効的な画素充電期間を、図7に示すように、1データ期間T1Hと同等の画素充電期間Tp2とすることができる。
【0084】
また、データドライバ120は、図7に示すように、正極性の階調データ信号Vdxの位相に対して負極性の階調データ信号Vd(x+1)の位相を時間Ts21だけ遅らせる方向に位相シフトしている。
【0085】
すなわち、図5に示す構成では、正極データラッチ71が正極データとして定めた映像データ片群をクロック信号CLKのタイミングで出力する。一方、負極データラッチ72が負極データとして定めた映像データ片群を、クロック信号CLKに対して時間Ts21だけ位相を遅らせた遅延クロック信号CLKdのタイミングで出力する。
【0086】
これにより、データドライバ120は、図7に示すように、クロック信号CLKに同期した正極性の階調データ信号Vdxに対して、時間Ts21だけ位相を遅らせる方向にシフトされた負極性の階調データ信号Vd(x+1)を出力する。その結果、図7に示すように、負極性の階調データ信号Vd(x+1)に含まれる階調データパルスDnkのリアエッジよりも手前の時点で、ゲート信号Vgkのリアエッジ部の電位が当該階調データパルスDnkの下限値Lpy以下となる。
【0087】
よって、負極性の階調データパルスDnkの実効的な画素充電期間は、図7に示すように、1データ期間T1Hよりも期間Ts22(≧0)だけ短い画素充電期間Tn2となる。この期間Ts22の作用は以下の通りである。
【0088】
ゲート選択信号Vgkと階調データ信号との電位差は、正極性に比べて負極性の方が大きいため、同じ画素充電期間でも負極性の画素充電率の方が高くなる。ゲート選択信号Vgkと階調データ信号との電位差に伴う正極性と負極性の画素充電率の差の調整として期間Ts22を設ける。
【0089】
つまり、上記した駆動により、正極性の階調データパルスDpkの実効的な画素充電期間Tp2として1データ期間T1Hと同等の期間を確保すると共に、負極性の階調データパルスDnkの実効的な画素充電期間Tn2を1データ期間T1H以下にすることが可能となる。
【0090】
したがって、正極性の階調データパルスDpkの画素充電期間Tp2を図1に示す画素充電期間Tp1よりも長くすると共に、負極性の階調データパルスDnkの画素充電期間Tn2を図1に示す画素充電期間Tn1以下にすることが可能となる。
【0091】
このように、負極性の階調データ信号による画素充電率を低下調整させる一方、正極性の階調データ信号による画素充電率を高くすることで、負極性の階調データ信号による画素充電率と、正極性の階調データ信号による画素充電率との差が縮まる。
【0092】
よって、本発明によれば、ゲート選択信号のパルスエッジ部に鈍りが生じていても、負極性の階調データ信号による画素充電率と、正極性の階調データ信号による画素充電率との差に伴って生じるフリッカ及び画質劣化を抑制することが可能となる。
【0093】
尚、上記実施例では、データドライバ120は、正極性の階調データ信号の位相に対して負極性の階調データ信号の位相を時間Ts21だけ遅らせる方向に位相シフトしているが、負極性の階調データ信号毎に時間Ts21の長さを異ならせてもよい。
【0094】
例えば、ゲート選択信号Vgのパルスのリアエッジ部の鈍り度合、つまり時間経過に伴う電圧変化率は、ゲートドライバ110の出力端子及び表示セル154間のゲート線GLの配線長(以下、配線長WLと称する)が短くなるほど小さくなる。
【0095】
そこで、データ線DL1~DLmの各々に出力する負極性の階調データ信号の、正極性の階調データ信号に対する位相シフトの時間長(Ts21)を、ゲートドライバ110の出力端子から、負極性の階調データ信号を受けるデータ線DLとゲート線GLとが交叉する位置までの当該ゲート線の配線長WLが短いほど短くする。なお、図2では表示パネル150のデータ線DL1~DLmはS個のデータドライバ120-1~120-Sで駆動され、各データドライバは所定数(q本)毎のデータ線を受け持っている。ゲートドライバ110の出力端子から、各データドライバが受け持つデータ線までのゲート線GLの配線長はそれぞれ異なっているため、正極性の階調データ信号に対する負極性の階調データ信号の位相シフトの時間長(Ts21)を、データドライバ毎に設定してもよい。すなわち、受け持つデータ線までのゲート線GLの配線長が短いデータドライバから出力される正極性及び負極性間の階調データ信号の位相シフトの時間長(Ts21)は短く、受け持つデータ線までのゲート線GLの配線長が長いデータドライバから出力される当該位相シフトの時間長(Ts21)は長くする。
【0096】
図8は、図7と同様にデータ線DLx及びDL(x+1)の各々と、ゲート線GLkとの交叉部に夫々形成されている2つの表示セル154に、階調データパルスDpk及びDnkを供給(充電)するときの各種信号の印加タイミングを示すタイムチャートである。
【0097】
ただし、図8において階調データパルスDpkの印加対象としているデータ線DLxは、図7において階調データパルスDpkの印加対象としているデータ線よりも、ゲート線GLkにおけるゲートドライバ110の出力端子からの配線長WLが短い。これにより、ゲート線GLk上におけるデータ線DLxとの交叉部の位置で観測されるゲート選択信号Vgkのパルスのリアエッジ部での時間経過に伴う電圧変化率は、図7に示すゲート選択信号Vgkよりも大、つまり急峻(波形鈍りが小)となる。
【0098】
そこで、図8に示すように、正極性の階調データ信号Vdxに対する負極性の階調データ信号Vdxの位相シフト量を図7に示す時間Ts21よりも短い時間Ts31とする。
【0099】
これにより、図8に示すように、正極性の階調データパルスDpkによる画素充電期間Tp3を、1データ期間T1Hと同等まで拡大することが可能となる。一方、負極性の階調データパルスDnkの画素充電期間Tn3については、1データ期間T1Hよりも図8に示す時間Ts32だけ短縮調整させることが可能となる。この際、正極性の階調データパルスDpkによる実効的な画素充電期間Tp3は図1に示す実効的な画素充電期間Tp1より長くなり、負極性の階調データパルスDnkによる実効的な画素充電期間Tn3は図1に示す実効的な画素充電期間Tn1よりも短くなる。
【0100】
したがって、負極性の階調データ信号による画素充電率を低下調整させる一方、正極性の階調データ信号による画素充電率を高くすることができるので、負極性の階調データ信号による画素充電率と、正極性の階調データ信号による画素充電率との差が縮まる。
【0101】
更に、かかる駆動によれば、ゲートドライバの出力端子からのゲート線の配線長の違いにより各表示セルに到達するゲート選択信号のリアエッジ部の鈍り度合が異なっていても、それに追従させて負極性の階調データ信号による画素充電率と、正極性の階調データ信号による画素充電率との差を画面内において均一化することが可能となる。これにより、ゲート選択信号の波形鈍りの影響を受けずに、1画面の全域に亘りフリッカーレスの高画質な画像を提供することが可能となる。
【0102】
なお、図5では、データラッチ部70が、正極データラッチ71と負極データラッチ72とを備える実施例を説明したが、他の機能ブロックも、正極用の回路部と負極用の回路部とに区分けして構成しても良い。例えば、ラッチタイミング信号を生成するシフトレジスタ60を、正極用のラッチタイミング信号を生成する回路部と、負極用のラッチタイミング信号を生成する回路部とに区分けして構成してもよい。
【0103】
また、上記実施例では、図7に示すように正極性の階調データ信号Vdxに対して負極性の階調データ信号Vd(x+1)の位相をシフトさせる為に、クロック信号CLK及び遅延クロック信号CLKd、正極データラッチ71及び負極データラッチ72を用いているが、かかる構成に限定されない。
【0104】
要するに、複数のデータ線(DL)及び複数のデータ線と交叉して配置されている複数のゲート線(GL)を含み、データ線とゲート線との各交叉部に画素を担う表示セル(154)が配置されている表示パネル(150)を有する表示装置(10)としては、以下のゲートドライバ及びデータドライバを備えたものであれば良い。
【0105】
ゲートドライバ(110)は、複数のゲート線の各々にゲート選択信号(Vg)を供給する。
【0106】
データドライバ(120)は、映像信号(DVS)を受け、当該映像信号に基づき正極性の階調データ信号及び負極性の階調データ信号を生成する。そして、第1のデータ線群及び第2のデータ線群のうちの一方に正極性の階調データ信号、他方に負極性の階調データ信号を夫々出力する。なお、第1のデータ線群と前記第2のデータ線群とは約同数のデータ線で構成され、隣接して対をなす一方のデータ線が前記第1のデータ線群に属し、他方のデータ線が前記第2のデータ線群に属する。例えば、奇数番目のデータ線群を第1のデータ線群とし、偶数番目のデータ線群を第2のデータ線群としてもよい。
【0107】
この際、データドライバ(120)は、映像信号(DVS)に基づく各画素の輝度レベルに対応した正極性のアナログ電圧値(階調電圧)を夫々が有するデータパルス(Dp)が所定周期(T1H)で表れる信号を正極性の階調データ信号として生成する。更に、データドライバ(120)は、映像信号に基づく各画素の輝度レベルに対応した負極性のアナログ電圧値(階調電圧)を夫々有するデータパルス(Dn)の各々が正極性の階調データ信号とは異なる位相(Ts21)で所定周期毎(T1H)に表れる信号を負極性の階調データ信号として生成する。
【0108】
次に、本発明に係る表示装置の他の実施例について説明する。
【0109】
図9は、本発明に係る表示装置の他の実施例としての液晶表示装置10_1の概略構成を示すブロック図である。液晶表示装置10_1は、表示コントローラ100A、ゲートドライバ110A及び110B、データドライバIC120-1~120-p(pは2以上の整数)、及び表示パネル150_1を含む。
【0110】
表示パネル150_1は、図2に示す表示パネル150に比べて画面サイズが大きい点を除き、その構造自体は図2に示す表示パネル150と同一である。
【0111】
ゲートドライバ110A及び110Bは、表示パネル150_1と一体で形成される薄膜トランジスタ回路で構成され、それぞれ表示パネル150_1の左右両端に配置されている。ゲートドライバ110Aは、表示パネル150_1に形成されているゲート線GL1~GLr各々の一端に接続されており、ゲートドライバ110Bは、表示パネル150_1に形成されているゲート線GL1~GLr各々の他端に接続されている。尚、ゲートドライバ110A及び110Bは、図2に示すゲートドライバ110と同様に、表示コントローラ100Aから供給されたゲートタイミング信号に応じて、ゲート選択信号Vg(r)~Vg1を表示パネル150_1のゲート線GLr~GL1の各々に供給する。
【0112】
表示コントローラ100Aは、映像信号VDに基づき上記したゲートタイミング信号をゲートドライバ110A及び110Bに供給する。
【0113】
更に、表示コントローラ100Aは、映像信号VDに基づき、制御信号群CS、各画素の輝度レベルを示す映像データPDの系列、及びデジタル設定情報をシリアルのデジタル信号形態で表す映像信号DVSを生成する。
【0114】
制御信号群CSは、フレーム周期の基準信号の垂直帰線信号Vsync、データ期間の基準信号の水平帰線信号Hsync、及びクロック信号CLK等を含む。
【0115】
デジタル設定情報は、出力遅延方向情報CF、出力遅延シフト量情報SA1及びSA2、出力スタートタイミング情報TA1及びTA2を含む。
【0116】
出力遅延方向情報CFとは、データドライバIC120-1~120-pの各々毎に、i(iは2以上の整数)個の階調データ信号Vdを出力するi個の出力チャネルに対し、正極性及び負極性夫々の出力開始チャネルからの出力遅延時間の増加方向を、出力チャネルの番号の昇順及び降順のうちのいずれの順序で増加させるか、又は、i個の出力チャネルの両端側から中央に向かって出力遅延時間を増加させるかを指定する情報である。なお正極及び負極の出力遅延方向情報CFは共通とされる。具体的には、例えば表示パネルの2次元画面の左右両端部にゲートドライバが配置され、2次元画面の下端部(又は上端部)に水平方向に沿ってデータドライバIC120-1~120-pが並置される場合、2次元画面の左半面のデータドライバIC各々の出力遅延方向情報CFは、i個の出力チャネルに対して、左端ゲートドライバから画面中央に向かってゲート選択信号遅延が増加する方向に対応し、第1出力チャネルから第i出力チャネルに向かって出力遅延時間を増加させる方向指定を行うことができる。また、2次元画面の右半面のデータドライバIC各々の出力遅延方向情報CFは、i個の出力チャネルに対して、右端側ゲートドライバから画面中央に向かってゲート選択信号遅延が増加する方向に対応し、第i出力チャネルから第1出力チャネルに向かって出力遅延時間を増加させる方向指定を行うことができる。あるいは、出力遅延方向情報CFは、データドライバICが実装される表示パネル端部でのデータ線ファンアウト配線長に対する補正のために、i個の出力チャネルの両端側から中央に向かって出力遅延時間を増加させる方向指定を行ってもよい。
【0117】
出力遅延シフト量情報SA1は、データドライバIC120-1~120-pの各々毎に、正極性の階調データ信号Vdの出力を担う出力チャネル群に設定する遅延シフト量を指定する情報である。出力遅延シフト量情報SA2は、データドライバIC120-1~120-pの各々毎に、負極性の階調データ信号Vdの出力を担う出力チャネル群に設定する遅延シフト量を指定する情報である。尚、遅延シフト量とは、所定の出力チャネル数単位xr(出力チャネル番号の昇順方向)又はxl(出力チャネル番号の降順方向)(但し、xr<i、xl<i)あたりの遅延時間の変化量であり、例えばクロック信号CLKのパルス幅の整数倍にて段階的に表される。
【0118】
出力スタートタイミング情報TA1は、データドライバIC120-1~120-pの各々毎に、正極性の階調データ信号Vdの出力を担う出力チャネル群に対して出力開始チャネルの出力タイミングを指定する情報である。出力スタートタイミング情報TA2は、データドライバIC120-1~120-pの各々毎に、負極側の階調データ信号Vd群の出力を担う出力チャネル群に対して出力開始チャネルの出力タイミングを指定する情報である。
【0119】
なお正極性及び負極性の出力開始チャネルの指定情報を出力スタートタイミング情報TA1、TA2に夫々含めてもよい。あるいは、出力遅延方向情報CFに対応して出力チャネルを指定するようにしてもよい。
【0120】
表示コントローラ100Aは、上記したように生成した映像信号DVSをデータドライバIC120-1~120-pの各々に供給する。
【0121】
データドライバIC120-1~120-pは、p個のICで構成されており、表示パネル150_1のデータ線DL1~DLmのi(iは2以上の整数)本毎に設けられている。
【0122】
図10は、データドライバ120-1~120-pのうちから1つのデータドライバIC120を抜粋して、その内部の構成を示すブロック図である。
【0123】
尚、当該データドライバIC120は、図5に示す構成と同様に、正極データラッチに対して負極データラッチのタイミングを遅らせて、データ線に出力する正極及び負極の階調データ信号の位相の出力タイミング制御を行う。ただし、図10に示すデータドライバIC120では、表示コントローラ100Aから供給される設定情報に基づき、正極及び負極の階調データ信号の位相、つまり出力タイミングを各種の形態で調整できるように構成されている。
【0124】
図10に示すように、データドライバIC120は、階調電圧生成部54、レベルシフタ80、デコーダ部90、出力アンプ部95、制御コア部510、設定記憶部600、タイミング制御部650、及びラッチ部700を含む。尚、階調電圧生成部54、レベルシフタ80、デコーダ部90、及び出力アンプ部95については、図5に示すものと同一であるので、夫々の説明は省略する。
【0125】
制御コア部510は、シリアル形態の映像信号DVSに対してデシリアル化すなわちシリアルパラレル変換処理を施すことで、映像データPDの系列、前述した各種の信号群及び設定情報を分離抽出し、夫々を、対応するブロックに供給する。
【0126】
すなわち、制御コア部510は、映像信号DVSから、映像データPDの系列、デジタル設定情報(CF、SA1、SA2、TA1、TA2)及びクロック信号CLKを抽出する。制御コア部510は、デジタル設定情報(CF、SA1、SA2、TA1、TA2)を設定記憶部600に供給し、基準タイミング信号STDをタイミング制御部650に供給し、映像データPDの系列をラッチ部700に供給する。
【0127】
なお、制御コア部510は、映像信号DVSに応じて1水平期間周期(1H周期)の基準タイミング信号STDを内部生成する。この基準タイミング信号STDとしては、例えばゲート選択信号のゲートオフタイミングと同期した信号としてもよい。
【0128】
更に、制御コア部510は、映像信号DVSに応じて、上記した極性反転信号POL、並びに、正極用及び負極用夫々の映像データ信号をラッチ部700へ取り込む為の正極用のラッチ出力タイミング信号LOAD1及び負極用のラッチ出力タイミング信号LOAD2を生成する。制御コア部510は、極性反転信号POLをラッチ部700に供給し、ラッチ出力タイミング信号LOAD1及びLOAD2を、タイミング制御部650及びラッチ部700に供給する。尚、ラッチ出力タイミング信号LOAD1及びLOAD2は、制御信号群CSやデジタル設定情報に基づき、基準タイミング信号STDに対して所定の遅延量を有する信号として生成される。また負極用のラッチ出力タイミング信号LOAD2は、正極用のラッチ出力タイミング信号LOAD1を遅延させた信号として生成される。
【0129】
設定記憶部600は、制御コア部510から供給されたデジタル設定情報(CF,SA1,SA2,TA1、TA2)を取り込んで格納する。設定記憶部600は、格納したデジタル設定情報、すなわち出力遅延方向情報CF、出力遅延シフト量情報SA1及びSA2、出力スタートタイミング情報TA1及びTA2をタイミング制御部650に供給する。尚、設定記憶部600に格納されたデジタル設定情報は、所定周期毎にリフレッシュされる。
【0130】
タイミング制御部650は、正極用及び負極用夫々の機能ブロックを備え、ラッチ部700に取り込まれた正極用及び負極用に夫々対応した映像データ信号を出力するタイミング信号を生成する。
【0131】
すなわち、タイミング制御部650の正極用の機能ブロックは、出力遅延方向情報CF、出力遅延シフト量情報SA1、出力スタートタイミング情報TA1、基準タイミング信号STD及びラッチ出力タイミング信号LOAD1に基づき、正極用の映像データ信号のラッチ出力タイミング信号群LOAD1-Grsを生成する。
【0132】
タイミング制御部650の負極用ブロックは、出力遅延方向情報CF、出力遅延シフト量情報SA2、出力スタートタイミング情報TA2、基準タイミング信号STD及びラッチ出力タイミング信号LOAD2に基づき、負極用の映像データ信号のラッチ出力タイミング信号群LOAD2-Grsを生成する。
【0133】
タイミング制御部650は、ラッチ出力タイミング信号群LOAD1-Grs及LOAD2-Grsをラッチ部700に供給する。
【0134】
ラッチ部700は、正極データラッチ710及び負極データラッチ720を含む。ラッチ部700は、極性切替信号POLに応じて、映像データPDの系列中の各映像データPDを正極用及び負極用に振り分ける。
【0135】
正極データラッチ710は、ラッチ出力タイミング信号LOAD1に応じて、正極に振り分けられた映像データPDの各々を取り込む。
【0136】
そして、正極データラッチ710は、取り込んだ正極の映像データPDの各々を映像データPとして、夫々に対応する出力チャネルに対応した出力タイミング信号群LOAD1-Grsに基づく所定の出力数単位毎に設定された出力タイミングで出力する。
【0137】
負極データラッチ720は、ラッチ出力タイミング信号LOAD2に応じて、負極に振り分けられた映像データPDの各々を取り込む。
【0138】
そして、負極データラッチ720は、取り込んだ負極の映像データPDの各々を映像データPとして、夫々に対応する出力チャネルに対応した出力タイミング信号群LOAD2-Grsに基づく所定の出力数単位毎に設定された出力タイミングで出力する。
【0139】
ラッチ部700は、これら正極データラッチ710及び負極データラッチ720から出力されたi(iは2以上の整数)個の映像データPを映像データP1~Piとしてレベルシフタ80に供給する。
【0140】
レベルシフタ80、デコーダ部90及び出力アンプ部95は、映像データP1~Piに基づき階調データ信号Vd1~Vdiを生成して、夫々に対応した各データ線DLに供給する。
【0141】
したがって、各データ線への階調データ信号の位相(階調データパルス)の出力タイミングは、所定の出力数単位毎及び極性に基づいてラッチ部700から出力される映像データ片各々の出力タイミングに対応している。
【0142】
図11は、夫々が図10に示す構成を有するデータドライバIC120-1~120-pが、表示パネル150_1のデータ線DL1~DL(m)に印加する階調データ信号Vd1~Vdmの位相(階調データパルス)の出力遅延特性の一例を示す図である。尚、図11では、正極性の階調データ信号Vd1~Vdmの出力遅延特性をPOS、負極性の階調データ信号Vd1~Vdmの出力遅延特性をNEGとして表している。
【0143】
ここで、図11に示す横軸は、表示パネル150_1のデータ線DL1~DL(m)と、夫々がi本(例えば960本)のデータ線DLの駆動を担うデータドライバIC120-1~120-pとを、対応付けして示している。尚、図11では、データ線DL1~DLiの駆動を担うデータドライバIC120-1をIC1、データ線DL(i+1)~DL(2i)の駆動を担うデータドライバIC120-1をIC2、・・・、データ線DL(m-i+1)1~DL(m)の駆動を担うデータドライバIC120-pをICpと表記している。更に、図11では、データ線DL1~DLmのうちで、画面水平方向における中央領域に含まれるデータ線群の駆動を担うデータドライバIC120をICsと表記している。
【0144】
図11に示す縦軸は、1水平期間(1データ期間)周期の基準タイミングの位相に対する、データドライバIC120-1~120-pによる階調データ信号Vd1~Vdmの出力遅延時間を示す。尚、基準タイミングとは、1データ期間毎の位相を有する基準タイミング信号STDのタイミングであり、本実施例では説明の便宜上、1データ期間毎のゲート選択信号のゲートオフタイミング、つまりゲート選択信号の立下りの開始タイミングとする。
【0145】
すなわち、図11に示す出力遅延特性では、表示パネル150_1の左端部のデータ線DL1(IC1側)及び右端部のデータ線DLm(ICp側)で出力遅延時間が最小となり、表示パネル150_1の中央部のデータ線DL(c)で出力遅延時間が最大となる。更に、図11に示す出力遅延特性では、出力遅延特性POS及びNEGに示されるように、正極性の階調データ信号Vd1~Vdmに比べて負極性の階調データ信号Vd1~Vdmの出力遅延時間が大きくなる。
【0146】
図11に示すようなデータドライバIC120毎の階調データ信号の出力遅延時間の設定によれば、ゲート選択信号のパルス波形の鈍りによる画素充電率の低下を改善することが可能となる。
【0147】
具体例として、図7及び図8を参照して説明する。
【0148】
図8は、前述したように、ゲート線とデータ線の交叉部でゲートドライバの出力端子からのゲート線の配線長が短かい位置で観測されるゲート選択信号Vgkと正極性及び負極性の階調データ信号Vdx、Vd(x+1)の位相タイミング図を示している。
【0149】
図8に示す一例では、ゲート選択信号Vgkのリアエッジ部(立下り波形)の鈍り度合に応じて、画素充電率の低下を抑制するようにゲート選択信号Vgk、階調データ信号Vdx、Vd(x+1)の各位相タイミングを最適化している。
【0150】
図8では、ゲート選択信号Vgkのゲートオフタイミング(立下り開始時点)Tgofを基準タイミング(基準タイミング信号STDの位相)とし、正極の階調データ信号Vdxのデータ切替タイミングTpt(位相)との時間差をTs30とする。更に、正極の階調データ信号Vdxのデータ切替タイミングTptと、負極の階調データ信号Vd(x+1)のデータ切替タイミングTntとの時間差をTs31とする。この際、Ts30とTs31との時間差は、ゲートドライバ110A(又は110B)の出力端子に近いデータドライバIC(例えば図11のIC1)が駆動するデータ線DLの出力遅延時間に対応する。
【0151】
同様に、図7は、ゲート線とデータ線の交叉部でゲートドライバの出力端子からのゲート線の配線長が長い位置で観測されるゲート選択信号Vgkと正極性及び負極性の階調データ信号Vdx、Vd(x+1)の位相タイミング図を示している。
【0152】
図7に示す一例では、ゲート選択信号Vgkのリアエッジ部(立下り波形)の鈍り度合に応じて、画素充電率の低下を抑制するようにゲート選択信号Vgk、階調データ信号Vdx、Vd(x+1)の各位相タイミングを最適化している。
【0153】
図7では、ゲート選択信号Vgkのゲートオフタイミング(立下り開始時間)Tgofを基準タイミング(基準タイミング信号STDの位相)とし、正極の階調データ信号Vdxのデータ切替タイミングTpt(位相)との時間差をTs20とする。更に、正極の階調データ信号Vdxのデータ切替タイミングTptと、負極の階調データ信号Vd(x+1)のデータ切替タイミングTntとの時間差をTs21とする。この際、Ts20とTs21との時間差は、ゲートドライバ110A(又は110B)の出力端子から遠いデータドライバIC(例えば図11のICs)が駆動するデータ線DLの出力遅延時間に対応する。
【0154】
なお、図7において、タイミングTgof、Tpt、Tntの各位相は、例えば図11のICsの基準タイミング信号STDと、ある2つの隣接チャネルに対応した出力タイミング信号群LOAD1-Grs、LOAD2-Grsの中の出力タイミング信号LOAD1-Grg、LOAD2-Grgとにより設定される。
【0155】
すなわち、図7及び図8では、ゲートドライバの出力端子からのゲート線の配線長、つまり表示パネル150_1のデータ線DLの位置に基づき、以下のように、正極及び負極の階調データ信号各々の出力遅延時間を調整している。つまり、ゲート選択信号のリアエッジ部の鈍りが比較的小さい、表示パネル150_1の水平方向における両端側では、ゲート選択信号に対する正極及び負極階調データ信号の各位相のタイミング差を小さく調整する。一方、ゲート選択信号のリアエッジ部の鈍りが大きい、表示パネルの水平方向における中央部では、ゲート選択信号に対する正極及び負極階調データ信号の各位相のタイミング差を大きく調整する。このような出力遅延時間の調整により、画素充電率の低下を抑制する。
【0156】
したがって、図11に示すような、表示パネルの各データ線の配置位置に基づくデータドライバIC毎の階調データ信号の出力遅延時間の設定により、ゲート選択信号のパルス波形の鈍りによる画素充電率の低下を改善することが可能となる。
【0157】
次に、図11に示す極性毎の出力遅延特性の設定方法について説明する。
【0158】
図12A図12Cは、データドライバIC120毎に設定される正極性の出力遅延特性の一例を示すものであり、図12Aは第1の出力遅延特性Shift-1、図12Bは第2の出力遅延特性Shift-2、図12Cは第3の出力遅延特性Shift-3を示す。尚、負極性の出力遅延特性についても同様である。
【0159】
図12A図12c各々で示される横軸は、i個の階調データ信号を夫々出力するデータドライバIC120のi個の出力チャネルと、i個の出力チャネルに夫々接続される表示パネルのデータ線DL群(i個)とを示している。つまり、図12A図12cの各々では、第1の出力チャネルが表示パネルのデータ線DLxに接続され、第iの出力チャネルがデータ線DL(x+i)に接続された状態を表している。図12A図12cに示される「x」は、各データドライバIC120の第1の出力チャネルが接続される表示パネルのデータ線DLの番号を表している。
【0160】
図12Aに示す出力遅延特性Shift-1では、データドライバIC120の第1番目の出力チャネルから第i番目の出力チャネルに向けて、出力チャネル番号の増加につれて一定比で出力遅延時間が増加する。
【0161】
図12Bに示す出力遅延特性Shift-2では、出力遅延特性Shift-1とは出力チャネルの変化に対する出力遅延時間の増減が逆となり、データドライバIC120の第i番目の出力チャネルから第1番目の出力チャネルに向かって一定比で出力遅延時間が増加する。
【0162】
図12Cに示す出力遅延特性Shift-3では、データドライバIC120の第1番目の出力チャネル及び第i番目の出力チャネルの夫々から中央の出力チャネルに向かって一定比で出力遅延時間が増加する設定である。なお、図12A図12Cのいずれの例も同極性内の隣接出力間の出力遅延時間差は表示に影響しない程度の比較的小さい時間差である。
【0163】
ここで、図11に示すような出力遅延特性は、上記したデジタル設定情報(CF、SA1、SA2、TA1、TA2)により、表示パネル150_1の左半面の画像領域の表示を担う各データドライバIC120(IC1側)を図12Aの出力遅延特性Shift-1に設定する。更に、表示パネルの右半面の画像領域の表示を担う各データドライバIC120(ICp側)を図12Bの出力遅延特性Shift-2に設定する。
【0164】
図12Aに示す出力遅延特性Shift-1を実現するには、出力遅延方向情報CFにより、出力遅延時間を出力チャネルの番号昇順で増加させることを指定する。更に、出力遅延シフト量情報SA1により、第1番目の出力チャネルから第i番目の出力チャネルに向けた(xr1)本の出力チャネル群あたりの出力遅延時間tr1の変化率(tr1/xr1)を、正極性の階調データ信号の遅延シフト量として指定する。更に、出力遅延シフト量情報SA2により、第1番目の出力チャネルから第i番目の出力チャネルに向けた(xr2)本の出力チャネル群あたりの出力遅延時間tr2の変化率(tr2/xr2)を、負極性の階調データ信号の遅延シフト量として指定する。
【0165】
図12Bに示す出力遅延特性Shift-2を実現するには、出力遅延方向情報CFにより、出力遅延時間を出力チャネルの番号降順で増加させることを指定する。更に、出力遅延シフト量情報SA1により、第i番目の出力チャネルから第1番目の出力チャネルに向けた(xl1)本の出力チャネル群あたりの出力遅延時間tl1の変化率(tl1/xl1)を、正極性の階調データ信号の遅延シフト量として指定する。更に、出力遅延シフト量情報SA2により、第i番目の出力チャネルから第1番目の出力チャネルに向けた(xl2)本の出力チャネル群あたりの出力遅延時間tl2の変化率(tl2/xl2)を、負極性の階調データ信号の遅延シフト量として指定する。
【0166】
図12Cに示す出力遅延特性Shift-3を実現するには、出力遅延方向情報CFにより、出力遅延時間を第1番目の出力チャネルからデータドライバIC120の中央側出力チャネルに向かって番号昇順で増加させ、且つ、第i番目の出力チャネルから中央側出力チャネルに向かって番号降順で増加させることを指定する。なお、それぞれの出力遅延時間の変化率は、出力遅延特性Shift-1及びShift-2のそれぞれで指定する遅延シフト量と同じものを用いてもよい。
【0167】
更に、図11に示す出力遅延特性を実現するには、出力スタートタイミング情報TA1及びTA2により、表示パネル150_1の左半面の画像領域の駆動を担うIC1側の各データドライバIC120毎に、出力開始チャネルを第1出力チャネル側に指定し、正極及び負極夫々の出力開始チャネルの出力スタートタイミングを指定する。尚、出力スタートタイミングは基準タイミングからの出力遅延時間によって指定する。
【0168】
例えば、IC1の出力スタートタイミング情報TA1では、図11に示す「tsp1」を正極側の出力開始チャネル(例えばデータ線DL1又はDL2の正極側)の出力スタートタイミングとして指定し、IC2の出力スタートタイミング情報TA1では図11に示す「tsp2」を正極側の出力開始チャネル(例えばデータ線DL(i+1)又はDL(i+2)の正極側)の出力スタートタイミングとして指定する。更に、IC3の出力スタートタイミング情報TA1では、図11に示す「tsp3」を正極側の出力開始チャネル(例えばデータ線DL(2i+1)又はDL(2i+2)の正極側)の出力スタートタイミングとして指定し、IC4の出力スタートタイミング情報TA1では、図11に示す「tsp4」を正極側の出力開始チャネル(例えばデータ線DL(3i+1)又はDL(3i+2)の正極側)の出力スタートタイミングとして指定する。また、例えばIC1の出力スタートタイミング情報TA2では、図11に示す「tsn1」を負極側の出力開始チャネル(例えばデータ線DL1又はDL2の負極側)の出力スタートタイミングとして指定し、IC2の出力スタートタイミング情報TA2では、図11に示す「tsn2」を負極側の出力開始チャネル(例えばデータ線DL(i+1)又はDL(i+2)の負極側)の出力スタートタイミングとして指定する。更に、IC3の出力スタートタイミング情報TA2では、図11に示す「tsn3」を負極側の出力開始チャネル(例えばデータ線DL(2i+1)又はDL(2i+2)の負極側)の出力スタートタイミングとして指定し、IC4の出力スタートタイミング情報TA2では、図11に示す「tsn4」を負極側の出力開始チャネル(例えばデータ線DL(3i+1)又はDL(3i+2)の負極側)の出力スタートタイミングとして指定する。
【0169】
尚、表示パネル150_1の右半面の画像領域の駆動を担うICp側の各データドライバIC120では、出力スタートタイミング情報TA1、TA2は、出力開始チャネルを第i出力チャネル側に指定し、正極及び負極夫々の第i出力チャネルからの出力スタートタイミングを指定する。各データドライバIC120における出力スタートタイミングは、上記した左半面の画像領域の駆動を担うIC1側の各データドライバIC120での出力スタートタイミングに関し、表示パネルの中央に対して対称となる。
【0170】
したがって、例えばICpの出力スタートタイミング情報TA1では、図11に示す「tsp1」を正極側の出力開始チャネル(例えばデータ線DL(m-1)又はDL(m)の正極側)の出力スタートタイミングとして指定し、IC(p-1)の出力スタートタイミング情報TA1では、図11に示す「tsp2」を正極側の出力開始チャネル(例えばデータ線DL(m-i-1)又はDL(m-i)の正極側)の出力スタートタイミングとして指定する。更に、ICpの出力スタートタイミング情報TA2では、図11に示す「tsn1」を負極側の出力開始チャネル(例えばデータ線DL(m-1)又はDL(m)の負極側)の出力スタートタイミングとして指定し、IC(p-1)の出力スタートタイミング情報TA2では、図11に示す「tsn2」を負極側の出力開始チャネル(例えばデータ線DL(m-i-1)又はDL(m-i)の負極側)の出力スタートタイミングとして指定する。
【0171】
なお、各出力の極性はフレーム周期単位で切り替わるため、例えばIC1の第1出力チャネルが正極、第2出力チャネルが負極のとき、当該第1出力チャネルの出力遅延時間は、出力スタートタイミング情報TA1にて示される「tsp1」に設定される。また、第2出力チャネルの出力遅延時間は、出力スタートタイミング情報TA2によって示される「tsn1」に設定される。一方、IC1の第1出力チャネルが負極、第2出力チャネルが正極に切り替わると、第1出力チャネルの出力遅延時間は、TA2によって示される「tsn1」に設定され、第2出力チャネルの出力遅延時間は、TA1によって示される「tsp1」に設定される。尚、各データドライバIC120間の境界の隣接データ線DL間では、夫々の出力遅延時間同士の差が表示に影響しない程度の比較的小さい値となるように設定される。
【0172】
ところで、上記した一例では、表示パネル150_1の左半面の画像領域の駆動を担う、IC1側の各データドライバIC120の第1の出力チャネル側の正極及び負極のスタートタイミングの設定をTA1、TA2で設定する例で説明した。この際、出力スタートタイミング情報TA1及びTA2に、各データドライバIC120の第iの出力チャネル側の正極及び負極の出力スタートタイミングを指定する情報を含めてもよい。
【0173】
ここで、表示パネル150_1の左半面の画像領域の駆動を担うIC1側の各データドライバIC120と、右半面の画像領域の駆動を担うICp側の各データドライバIC120とでは、出力遅延時間に対する出力スタートタイミングが指定される出力開始チャネルが第1出力チャネル側(通常左半面の画像領域の各データドライバIC120)、又は、第i出力チャネル側(通常右半面の画像領域の各データドライバIC120)と異なるが、出力遅延方向情報CFに基づき出力開始チャネルの指定を自動切り替えすることも可能である。
【0174】
尚、図12A図12Cは代表例であり、各出力チャネルに対して図12A図12C以外の出力遅延特性とする設定を行っても良い。
【0175】
また、上記した実施例では、図12Cに示す出力遅延特性Shift-3の適用例は図示していないが、出力遅延特性Shift-3の設定は、例えば、データドライバIC120が実装される表示パネル150_1の画面水平方向における端部側に配置されているデータ線のファンアウト配線長に対する補正用として適用することができる。なお、出力遅延特性Shift-3の設定においては、出力スタートタイミング情報TA1及びTA2により、適用するデータドライバIC120の出力開始チャネルを第1出力チャネル側と第i出力チャネル側の両方を指定し、且つ、正極及び負極夫々の出力開始チャネルの出力スタートタイミングを指定する。また、図12Cに示す出力遅延特性Shift-3については、単独適用だけでなく、出力遅延特性Shift-1及びShift-2と組み合わせた設定を行うようにしてもよい。
【0176】
また、上記した実施例では、デジタル設定情報として、出力遅延方向情報CF、出力遅延シフト量情報SA1及びSA2、出力スタートタイミング情報TA1及びTA2について述べたが、これに限定されない。つまり、当該デジタル設定情報としては、これらCF、SA1、SA2、TA1及びTA2に基づく出力タイミングを実現する任意のデジタル設定パラメータを含むものであれば良い。例えば、SA1、SA2の代わりに、データドライバIC120毎の第1出力チャネル側の階調データ信号Vdの位相の開始又は終了タイミングを極性毎に設定するTA1及びTA2と、データドライバIC120毎の第i出力チャネル側の階調データ信号Vdの位相の開始又は終了タイミングを極性毎に設定するTB1及びTB2とに基づき、極性毎の遅延シフト量をタイミング制御部で内部設定することも可能である。
【0177】
ところで、図11及び図12A図12Cに示される出力遅延時間は、便宜上、データ線に対して連続的に変化するように見える。しかしながら、例えば各出力チャネル毎に出力遅延時間をシフトするように設計するとデータドライバIC120の回路規模が膨大となり現実的ではない。
【0178】
そこで、現実的には、図13に示すように、(xr1)個の出力チャネル毎に出力遅延時間を(tr1)だけ変化させるステップ型とするのが望ましい。出力遅延時間を所定の出力チャネル数単位毎に段階的に変化させるように設定する場合、その1ステップあたりの遅延時間tr1は、隣接出力チャネル間の出力遅延時間差が表示に影響しない程度に小さい値となるように設定される。なお、所定の出力チャネル数単位毎に設定される正極及び負極の複数の出力タイミング信号群が、図10のLOAD1-Grs及びLOAD2-Grsにそれぞれ対応する。
【0179】
図14は、データドライバ120-1~120-pによる出力遅延特性の他の一例を示す図である。
【0180】
図14では、各データドライバIC120毎の出力遅延シフト量情報SA1及びSA2に基づき、正極及び負極の遅延シフト量を、データドライバIC120毎に変更している。
【0181】
具体的には、正極及び負極の遅延シフト量を、表示パネル150_1の画面水平方向における両端部から中央に向かって徐々に小さくなるように設定している。この設定は、ゲート選択信号のリアエッジ部(例えば立下り波形部)が、表示パネル150_1の画面水平方向における両端側では鈍り(立下り波形の傾き)の変化量が大きく、画面水平方向における中央部では鈍り(立下り波形の傾き)の変化量が小さいことに対応した設定である。なお、各データドライバIC120毎の遅延シフト量を示す出力遅延シフト量情報SA1及びSA2に対応して、各データドライバIC120毎の階調データ信号の位相のスタートタイミングを設定する出力スタートタイミング情報TA1及びTA2も最適化されている。
【0182】
以上のように、ゲート選択信号のリアエッジ部の鈍りの変化に応じて各データドライバIC120毎のデジタル設定情報(CF、SA1、SA2、TA1、TA2)を最適に設定することにより、ゲート選択信号のリアエッジ部の鈍りによる表示パネルの画素充電率低下を抑制し、高品質表示を実現できる。
【0183】
また、液晶表示装置10_1の表示パネル150_1の画面サイズやパネル設計に応じて、デジタル設定情報(CF、SA1、SA2、TA1、TA2)を表示コントローラ100A側で最適値に設定することで、高品質な液晶表示装置を実現できる。この際、上記したデジタル設定情報の情報量は多くはないので、外部から書き換え可能なメモリ等に記憶させておくことで、表示パネルに応じた最適調整が可能となる。
【0184】
図15は、図10に示すデータドライバIC120を搭載した図2又は図9に示す液晶表示装置における各タイミング信号のタイムチャートの一例を示す図である。
【0185】
尚、図15に示すタイムチャートでは、データドライバIC120としての図11のIC1及びICsを抜粋して、夫々の制御コア部510の内部で生成される1水平期間(1データ期間)周期の基準タイミング信号STD、及びゲート線の選択シーケンスを示す。また、図15では、タイミング制御部650で生成されるラッチ出力タイミング信号群LOAD1-Grs及LOAD2-Grsの一例として、IC1における第1出力チャネル側の正極性に対応したLOAD1-Gr1及び負極性に対応したLOAD2-Gr1と、IC1における第i出力チャネル側の正極性に対応したLOAD1-Grf(fは2以上の整数)及び負極性に対応したLOAD2-Grfと、を表す。更に、図15では、ICsにおける第i出力チャネル側の正極性に対応したLOAD1-Grg及び負極性に対応したLOAD2-Grgを表す。なお、ゲート線の選択シーケンスは、複数のラッチ出力タイミング信号群に対する簡便的なゲート選択順のみを表す。
【0186】
ここで、LOAD1-Gr1及びLOAD1-Grfは、IC1の正極性のラッチ出力タイミング信号群LOAD1-Grs内において互いに異なるグループに属する。また、LOAD2-Gr1及びLOAD2-Grfについても同様に、IC1の負極性のラッチ出力タイミング信号群LOAD2-Grs内における互いに異なるグループに属する。
【0187】
各ラッチ部出力タイミング信号は、デジタル設定情報(CF、TA1、TA2、SA1、SA2)にしたがって所定の出力チャネル数毎に夫々のタイミングが個別に設定される。
【0188】
データドライバIC120としてのIC1は、図9に示す表示パネル150_1を駆動するデータドライバIC120-1~120-p(IC1~ICp)のうちのゲートドライバ110Aに最も近くに設置されている。
【0189】
データドライバ120としてのICsは、ゲートドライバ110A及び110Bの各々から最も離間した位置(表示パネルの中央部)に設置されている。図15では、各タイミング信号の立上りエッジをタイミングの基準として示している。また、図15に示すタイムチャートでは、表示パネル150_1の各データ線DLに印加する階調データ信号Vdに対するゲート線GLの選択順として、データドライバIC120から最も離間した位置に形成されているゲート線GLrから、データドライバIC120に最も近い位置に形成されているゲート線GL1に向かって順次選択する場合を示す。
【0190】
図15において、LOAD1-Gr1及びLOAD2-Gr1は、IC1の第1出力チャネル側の正極及び負極夫々のラッチ出力タイミング信号である。この際、前述したデジタル設定情報に基づき、正極に対応したLOAD1-Gr1は、基準タイミング信号STDに対して時間Ts30だけ遅延させた信号に設定され、負極に対応したLOAD2-Gr1は、LOAD1-Gr1に対して更に時間Ts31だけ遅延させた信号に設定される。
【0191】
尚、遅延シフト量としての時間Ts30及びTs31は、ゲート選択信号の遅延に応じてあらかじめ設定される。ここで、IC1の第1出力チャネル側は、ゲートドライバ110Aに近いデータ線であり、ゲート信号の信号遅延も小さい。それ故、遅延シフト量としての時間Ts30及びTs31は比較的小さい値に設定される。なお、時間Ts30及びTs31は、図8に示すゲートオフタイミングTgofと、正極性の階調データ信号Vdxとの位相差、及び正極性の階調データ信号Vdxと負極性の階調データ信号Vd(x+1)との位相差に対応する。
【0192】
また、図15において、LOAD1-Grf及びLOAD2-Grfは、IC1の第i出力チャネル側の正極及び負極のラッチ出力タイミング信号である。
【0193】
正極に対応したラッチ出力タイミング信号LOAD1-Grfは、上記したデジタル設定情報(CF、TA1、TA2、SA1、SA2)に基づき、基準タイミング信号STDに対して図15に示すように時間Ts30aだけ遅延させた信号に設定される。一方、負極に対応したラッチ出力タイミング信号LOAD2-Grfは、LOAD1-Grfに対して図15に示すように時間Ts31aだけ遅延させた信号に設定される。遅延シフト量としての時間Ts30a及びTs31aは、ゲート信号の遅延に応じてあらかじめ設定される。
【0194】
ここで、IC1の第i出力チャネル側のデータ線は、第1出力チャネル側に比べるとゲートドライバ110Aから離間した位置に配置されているデータ線であり、ゲート信号の遅延が増加する。このため、遅延シフト量としての時間Ts30a及びTs31aは第1出力チャネル側の遅延シフト量としての時間Ts30及びTs31より大きい値に設定される。
【0195】
更に、図15において、LOAD1-Grg及びLOAD2-Grgは、ICsの第i出力チャネル側の正極及び負極のラッチ出力タイミング信号である。
【0196】
正極に対応したラッチ出力タイミング信号LOAD1-Grgは、基準タイミング信号STDに対して図15に示すように時間Ts20だけ遅延させた信号に設定される。一方、負極に対応したラッチ出力タイミング信号LOAD2-Grgは、LOAD1-Grgに対して図15に示すように時間Ts21だけ遅延させた信号に設定される。遅延シフト量としての時間Ts20及びTs21は、ゲート信号の遅延に応じてあらかじめ設定される。
【0197】
ここで、ICsの第i出力チャネル側のデータ線DLは、ゲートドライバから離間した位置に配置されているデータ線であり、ゲート信号の信号遅延は大きい。このため遅延シフト量としての時間Ts20及びTs21は大きい値に設定される。なお、時間Ts20及びTs21は、図7に示されるゲートオフタイミングTgofと正極性の階調データ信号Vdxとの位相差、及び正極性の階調データ信号Vdxと負極性の階調データ信号Vd(x+1)との位相差に対応する。
【0198】
以上、詳述したように、図9及び図10に示すデータドライバ120-1~120-pは、正極性の階調データ信号を遅延させて出力する際の出力遅延時間、及び負極性の階調データ信号を遅延させて出力する際の出力遅延時間を個別に指定する設定情報を受け、当該設定情報に基づく駆動を行う。尚、設定情報は、以下の出力遅延方向情報、出力遅延シフト量情報、及び出力スタートタイミング情報を含む。つまり、出力遅延方向情報(CF)は、複数のデータドライバ(120-1~120-p)の各々毎に、i(iは2以上の整数)個の出力チャネルに夫々設定する出力遅延時間の増加方向を指定する情報である。代表的な出力遅延方向情報(CF)として、i個の出力チャネル対し、出力開始チャネルからの出力遅延時間を、出力チャネルの番号の昇順及び降順のうちのいずれの順序で増加させるか、又は、i個の出力チャネルの両端側から中央に向かって出力遅延時間を増加させるかを指定する情報等がある。また、出力遅延シフト量情報(SA1、SA2)は、複数のデータドライバの各々毎に、i個の出力チャネル内での正極性の階調データ信号に対する出力遅延時間の変化率(tr1/xr1、tl1/xl1)を第1の遅延シフト量(SA1)として指定し、i個の出力チャネル内での負極性の階調データ信号に対する出力遅延時間の変化率(tr2/xr2、tl2/xl2)を第2の遅延シフト量(SA2)として指定する情報である。出力スタートタイミング情報(TA1、TA2)は、複数のデータドライバの各々毎に、正極性の階調データ信号に対する出力開始チャネルの出力タイミング(例えばtsp1)を第1の出力スタートタイミング(TA1)として指定し、負極性の階調データ信号に対する出力開始チャネルの出力タイミング(例えばtsn1)を第2の出力スタートタイミング(TA2)として指定する情報である。なお、出力スタートタイミング情報(TA1、TA2)に、各データドライバの出力スタートタイミング設定の出力開始チャネル(第1チャネル側又は第iチャネル側)を指定する情報を含めてもよい。あるいは、出力遅延方向情報に対応して出力スタートタイミング設定の出力開始チャネルを指定するようにしてもよい。
【0199】
かかる図9及び図10に示す構成を採用することで、表示装置の表示パネルの大きさや、データドライバ及びゲートドライバの数及び配置形態に適応させて、ゲート選択信号のリアエッジ部の鈍りによる表示パネルの画素充電率低下を抑制することが可能となる。
【0200】
図16は、カラム反転駆動によって例えばデータドライバ120-1から出力される階調データ信号Vd1~Vd(q)各々の状態(正極性又は負極正)の他の一例を表すタイムチャートであり、図6に示すタイムチャートの変形例を示す。
【0201】
つまり、図6では、階調データ信号の正極性と負極性の極性切替をデータ線の偶数番目と奇数番目で行う例を示している。
【0202】
それに対して、図16に示す他の一例では、表示パネルのデータ線DL1~DLmを所定数(j本)単位のグループに分け、各グループ内では隣接データ線DLに対して極性が異なる階調データ信号を印加するように駆動し、隣接するグループ同士の境界を挟んだ隣接データ線DLに対しては、同一極性の階調データ信号が印加されように駆動する。
【0203】
すなわち、特に、データ線DLの数が非常に多い高解像度の表示パネルでは、高表示品質化のため階調データ信号の極性設定を複数のパターンで行う場合がある。そこで、カラム反転駆動を行うにあたり、図16に示す駆動も取り入れることで、このような各種の極性パターンへの対応を図るものである。
【符号の説明】
【0204】
70 データラッチ部
71 正極データラッチ
72 負極データラッチ
100 増幅回路
110 ゲートドライバ
120 データドライバ
150 表示パネル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図12C
図13
図14
図15
図16