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特許7213859温度センサ、基板処理装置、および半導体装置の製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-19
(45)【発行日】2023-01-27
(54)【発明の名称】温度センサ、基板処理装置、および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/31 20060101AFI20230120BHJP
   H01L 21/318 20060101ALI20230120BHJP
   H01L 21/316 20060101ALI20230120BHJP
   C23C 16/52 20060101ALI20230120BHJP
【FI】
H01L21/31 B
H01L21/318 B
H01L21/318 C
H01L21/316 X
C23C16/52
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2020201612
(22)【出願日】2020-12-04
(62)【分割の表示】P 2019154382の分割
【原出願日】2016-02-08
(65)【公開番号】P2021052196
(43)【公開日】2021-04-01
【審査請求日】2020-12-04
(31)【優先権主張番号】P 2015035680
(32)【優先日】2015-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】318009126
【氏名又は名称】株式会社KOKUSAI ELECTRIC
(72)【発明者】
【氏名】大坂 晃弘
(72)【発明者】
【氏名】小杉 哲也
(72)【発明者】
【氏名】赤尾 徳信
(72)【発明者】
【氏名】梅川 純史
(72)【発明者】
【氏名】竹脇 基哉
(72)【発明者】
【氏名】山口 英人
【審査官】佐藤 靖史
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-093717(JP,A)
【文献】特開2014-067766(JP,A)
【文献】特開平03-090435(JP,A)
【文献】特開2012-088171(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/31
H01L 21/318
H01L 21/316
C23C 16/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有する第1保護部材に保護されるよう、反応管の天井部に設けられる第1本体部であって、
前記反応管内の温度を測定する第1測温部と、前記第1測温部が前記反応管に対して固定されるための位置決め部と、を有する第1本体部を有し、
前記位置決め部が前記開口部に装填されることにより、前記第1測温部は、前記反応管の天井部と前記第1保護部材の間に配置されるよう構成されている温度センサ。
【請求項2】
前記第1本体部は、前記天井部の表面に接触するよう構成されている請求項1記載の温度センサ。
【請求項3】
前記第1測温部は、前記反応管の天井部の中心に配置されるよう構成されている請求項1記載の温度センサ。
【請求項4】
前記第1保護部材は、更に、前記第1本体部を通すための第1空間部を少なくとも有するよう構成されている請求項1記載の温度センサ。
【請求項5】
更に、前記反応管の側面に設けられ、前記第1測温部を構成する素線を内部に有する第2本体部を有し、
前記第2本体部は、前記反応管内の温度を検出する測温部を設けない構成である請求項1記載の温度センサ。
【請求項6】
更に、前記第1本体部と前記第2本体部を接続するよう構成されている接続部を有し、
前記接続部は、前記第1本体部と前記第2本体部とは異なる部材で前記素線を覆うよう構成されている請求項5記載の温度センサ。
【請求項7】
前記接続部は、前記素線を絶縁部材で巻いて覆うように構成されている請求項6記載の温度センサ。
【請求項8】
前記第1測温部と前記位置決め部は、前記第1本体部の長手方向に離れて配置されるよう構成される請求項1記載の温度センサ。
【請求項9】
開口部を有する第1保護部材に覆われるよう反応管の天井部に設けられる第1本体部であって、
前記反応管内の温度を測定する第1測温部と、前記第1測温部が前記反応管に対して固定されるための位置決め部と、を有する第1本体部を有し、
前記位置決め部が前記開口部に装填されることにより、前記第1測温部は前記反応管の天井部と前記第1保護部材の間に配置されるよう構成されている温度センサを備えた基板処理装置。
【請求項10】
更に、複数の加熱領域のうち一番上に位置する加熱領域に対向する位置に配置された基板を前記反応管の上方から加熱する第1加熱部を有し、
前記第1測温部は、前記第1加熱部により加熱される前記基板の温度を検出するよう構成されている請求項9記載の基板処理装置。
【請求項11】
更に、前記第1保護部材は前記第1測温部を固定する第1固定部が設けられ、
前記第1固定部は、前記第1本体部を前記位置決め部により配置される位置に固定するよう構成されている請求項9記載の基板処理装置。
【請求項12】
前記反応管の天井部の厚さは、前記反応管の側壁の厚さよりも大きく構成されている請求項9記載の基板処理装置。
【請求項13】
更に、複数の加熱領域に対向する位置に配置される基板を加熱する第2加熱部を有し、
前記温度センサは、前記第2加熱部に対向する位置に設けられる第2本体部を設けるよう構成されている請求項9記載の基板処理装置。
【請求項14】
前記第2本体部は、前記基板の温度を検出する測温部を設けないよう構成されている請求項13記載の基板処理装置。
【請求項15】
更に、前記第1本体部と前記第2本体部を接続するよう構成されている接続部を有し、
前記接続部は、前記第1本体部と前記第2本体部とは異なる部材で前記第1測温部を構成する素線を覆うよう構成されている請求項13記載の基板処理装置。
【請求項16】
前記接続部は、前記素線を絶縁部材で巻いて覆うように構成されている請求項15記載の基板処理装置。
【請求項17】
前記第1本体部は、前記天井部の表面に接触するよう構成されている請求項9記載の基板処理装置。
【請求項18】
前記第1測温部は、前記反応管の天井部の中心に配置されるよう構成されている請求項9記載の基板処理装置。
【請求項19】
前記第1測温部と前記位置決め部は、前記第1本体部の長手方向に離れて配置されるよう構成される請求項9記載の基板処理装置。
【請求項20】
開口部を有する第1保護部材に覆われるよう反応管の天井部に設けられる第1本体部であって、前記反応管内の温度を測定する第1測温部と、前記第1測温部が前記反応管に対して固定されるための位置決め部と、を有する第1本体部を有し、前記位置決め部が前記開口部に装填されることにより、前記第1測温部は前記反応管の天井部と前記第1保護部材の間に配置されるよう構成されている温度センサにより検出される温度に基づいて、前記反応管内の温度を所定の温度に維持しつつ、基板を処理する工程を有する半導体装置の製造方法。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度センサ、基板処理装置、および半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板処理装置の一例として、半導体製造装置があり、さらに半導体製造装置の一例として、縦型装置があることが知られている。この種の基板処理装置として、反応管内に、基板(ウエハ)を多段に保持する基板保持部材としてのボートを有し、この複数の基板を保持した状態で反応管内の処理室にて基板を所定の温度で処理するものがあることが知られている。
【0003】
特許文献1は、複数枚のウエハがボートに保持され、反応管内に挿入された状態において、反応管内に設けられた温度検出手段としての温度センサで検出される温度情報に基づいて反応管内の温度が所定の温度に維持されつつ、原料ガスが反応管内のウエハに対して供給され、ウエハ上に膜が形成される技術を開示する。
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1に記載の構成では、成膜が行われる反応室内に温度センサを設置しているため、温度を検出する部分を保護する石英製の保護管にも成膜される場合がある。よって、熱応力の影響などで、この保護管が破損し、パーティクルの発生源になる場合があるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2011-052319号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、反応管内部に設置していた温度センサを反応管外部に設置する構成を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、開口部を有する第1保護部材に保護されるよう、反応管の天井部に設けられる第1本体部であって、前記反応管内の温度を測定する第1測温部と、前記第1測温部が前記反応管に対して固定されるための位置決め部と、を有する第1本体部を有し、前記位置決め部が前記開口部に装填されることにより、前記第1測温部は、前記反応管の天井部と前記第1保護部材の間に配置されるよう構成が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る基板処理装置によれば、温度センサを反応管外部に配置する構成が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態で好適に用いられる基板処理装置の縦型処理炉の概略構成図であり、処理炉部分の縦断面図である。
図2】本発明の実施形態で好適に用いられる基板処理装置の縦型処理炉の一部の概略構成図であり、反応管の横断面図である。
図3】本発明の実施形態で好適に用いられる基板処理装置のコントローラの概略構成図であり、コントローラの制御系をブロック図である。
図4】本発明の第1実施形態で好適に用いられる基板処理装置の反応管に取り付けられる熱電対の概略構成図である。
図5】本発明の実施形態で好適に用いられる熱電対の温度検出部を拡大した詳細図である。
図6】本発明の第1実施形態で好適に用いられるカバーの一実施態様を示す図である。
図7】本発明の第1実施形態で好適に用いられる断熱材の一実施態様を示す図である。
図8】(a)本発明の第1実施形態で好適に用いられる反応管の外側に熱電対を取り付ける様子を示す概略図である。(b)本発明の第1実施形態で好適に用いられる反応管の外側に熱電対を取り付けた後の保護部材内の様子を示す概略図である。
図9】本発明の実施形態で好適に用いられる基板処理装置の縦型処理炉の概略構成図であり、反応管の外側に熱電対を取り付けた場合の処理炉部分の縦断面図である。
図10】本発明の実施形態で好適に用いられる炉口部に熱電対を取り付ける様子を示す概略図である。
図11】従来の熱電対を反応管の内側に取り付けた場合と本発明の実施形態で好適に用いられる熱電対を反応管の外側に取り付けた場合の温度特性の比較を示す概略図である。
図12】(a)本発明の他の実施形態で好適に用いられる反応管の外側に熱電対を取り付ける様子を示す概略図である。(b)本発明の他の実施形態で好適に用いられる反応管の外側に熱電対を取り付けた後の保護部材内の様子を示す横断面図である。
図13】本発明の実施形態で好適に用いられる保護管の詳細を示す図示例である。
図14】本発明の第2実施形態で好適に用いられる基板処理装置の反応管に取り付けられる熱電対の概略構成図である。
図15】本発明の第2実施形態で好適に用いられる保護部材の一実施態様を示す図である。
図16】本発明の第3実施形態で好適に用いられる基板処理装置の反応管に取り付けられる熱電対の概略構成図である。
図17A】本発明の第3実施形態で好適に用いられる天井部を保護する保護部材の一実施態様を示す図である。
図17B】本発明の第3実施形態で好適に用いられる天井部を保護する保護部材を取り付けた後の取り付けた後の様子を示す概略断面図である。
図18】本発明の第3実施形態で好適に用いられる側壁部を保護する保護部材の一実施態様を示す図である。
図19A】本発明の第4実施形態で好適に用いられる基板処理装置の概略構成図であり、反応管の外側に熱電対を取り付けた後の様子を示す概略図である。
図19B】本発明の第4実施形態で好適に用いられる基板処理装置の概略構成図であり、反応管の外側に熱電対を取り付け、更に保護部材で覆った後の様子を示す概略図である。
図20】本発明の実施形態で好適に用いられる基板処理装置の縦型処理炉の概略構成図であり、熱電対を取り付ける位置(高さ)の改善を行った場合の処理炉部分の縦断面図である。
図21】第2実施形態及び第3実施形態で好適に用いられる熱電対が反応管に取り付けられた状態を示す断面図である。
図22】第2実施形態及び第3実施形態で好適に用いられる熱電対の概略構成図であり、本体部と保護部の取り付け状態を示す概観図である。
図23図22のA-A断面図、図22のB-B断面図、図22のC-C断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<本発明の一実施形態>
以下、本発明の第1の実施形態について、図1図2等を用いて説明する。本発明における基板処理装置は、半導体装置の製造に使用される半導体製造装置の一例として構成されているものである。
【0011】
先ず、図1に示すように、処理炉202は加熱部(加熱機構)としてのヒータ207を有する。ヒータ207は円筒形状であり、図示しないがヒータ素線と断熱材を含むような構成である。ヒータ207の下部は、保持板としてのヒータベース(図示せず)に支持されることにより垂直に据え付けられる。また、ヒータ207は、処理ガスを熱で活性化(励起)させる活性化機構(励起部)としても機能する。
【0012】
ヒータ207の内側には、ヒータ207と同心円状に反応容器(処理容器)を構成する単管構造の反応管203が配設されている。反応管203は、例えば石英(SiO)または炭化シリコン(SiC)等の耐熱性材料から形成されている。反応管203は、下端部が開放され、上端部が平坦状の壁体で閉塞された有天井の形状で形成されている。反応管の上端部(以後、天井部ともいう)は、強度の確保という観点から厚く構成されている。反応管203の側壁は、円筒形状に形成された円筒部209と、円筒部209の外壁に設けられたガス供給エリア222とガス排気エリア224とを備えている。反応管203の円筒部209の内部には、処理室201が形成されている。処理室201は、基板としてのウエハ200を処理可能に構成されている。また、処理室201は、ウエハ200を水平姿勢で垂直方向に多段に整列した状態で保持可能なボート217を収容可能に構成されている。
【0013】
ガス供給エリア222は、凸部が円筒部209の一側壁の外側に突出するように形成されている。ガス供給エリア222の外壁は、円筒部209の外壁の一部としての一側壁の外側に円筒部209の外径よりも大きく、円筒部209と同心円状に形成されている。ガス供給エリア222は、下端部が開放され、上端部が平坦状の壁体で閉塞された有天井の形状で構成されている。ガス供給エリア222は、その長さ方向(上下方向)に沿って後述するノズル410a~410cが収容され、ガス供給エリア222と円筒部209との間の境界を構成する壁体である境界壁254には後述するガス供給スリット235が形成されている。境界壁254は円筒部209の一側壁であって、その外側面は、ガス供給エリア222に面する側面部分を構成する。
【0014】
円筒部209のガス供給エリア222が形成された一側壁に対向する他側壁には、ガス排気エリア224が形成される。ガス排気エリア224は、ガス供給エリア222との間に処理室201のウエハ200が収容される領域を挟むように配置されている。ガス排気エリア224は、凸部が円筒部209のガス供給エリア222が形成された一側壁に対向する他側壁の外側に突出するように形成されている。ガス排気エリア224の外壁は、円筒部209の外壁の一部としての他側壁の外側に円筒部209の外径よりも大きく、円筒部209と同心円状に形成されている。ガス排気エリア224は、下端部がと上端部が平坦状の壁体で閉塞された有天井の形状で構成されている。ガス排気エリア224と円筒部209との間の境界を構成する壁体である境界壁252には後述するガス排気スリット236が形成されている。境界壁252は円筒部209の一部であって、その外側面は、ガス排気エリア224に面する側面部分を構成する。
【0015】
反応管203の下端は、炉口部としての円筒体状のマニホールド226によって支持されている。マニホールド226は、例えばニッケル合金やステンレス等の金属で形成されるか、若しくは石英(SiO)または炭化シリコン(SiC)等の耐熱性材料で形成されている。マニホールド226の上端部にはフランジが形成されており、このフランジ上に反応管203の下端部を設置して支持する。このフランジと反応管203の下端部との間にはOリング等の気密部材220を介在させて反応管203内を気密状態にしている。
【0016】
マニホールド226の下端の開口部には、シールキャップ219がOリング等の気密部材220を介して気密に取り付けられており、反応管203の下端の開口部側、すなわちマニホールド226の開口部を気密に塞ぐようになっている。シールキャップ219は、例えばニッケル合金やステンレス等の金属で形成され、円盤状に形成されている。シールキャップ219は、石英(SiO)または炭化シリコン(SiC)等の耐熱性材料でその外側を覆うように構成されてもよい。
【0017】
シールキャップ219上にはボート217を支持するボート支持台218が設けられている。ボート支持台218は、例えば石英や炭化珪素等の耐熱性材料で構成され断熱部として機能すると共にボートを支持する支持体となっている。ボート217は、ボート支持台218上に立設されている。ボート217は例えば石英や炭化珪素等の耐熱性材料で構成されている。ボート217は図示しないボート支持台に固定された底板とその上方に配置された天板とを有しており、底板と天板との間に複数本の支柱が架設された構成を有している。ボート217には複数枚のウエハ200が保持されている。複数枚のウエハ200は、互いに一定の間隔をあけながら水平姿勢を保持しかつ互いに中心を揃えた状態で反応管203の管軸方向に多段に積載されボート217の支柱に支持されている。
【0018】
シールキャップ219の処理室201と反対側にはボートを回転させるボート回転機構267が設けられている。ボート回転機構267の回転軸はシールキャップを貫通してボート支持台218に接続されており、ボート回転機構267によって、ボート支持台218を介してボート217を回転させることでウエハ200を回転させる。シールキャップ219は反応管203の外部に設けられた昇降機構としてのボートエレベータ115によって垂直方向に昇降され、これによりボート217を処理室201内に対し搬入搬出することが可能となっている。
【0019】
マニホールド226には、ノズル340a~340cを支持するノズル支持部350a~350cが、L字状に屈曲されてマニホールド226を貫通するようにして設置されている。ここでは、3本のノズル支持部350a~350cが設置されている。ノズル支持部350a~350cは、例えばニッケル合金やステンレス等の材料から形成される。ノズル支持部350の反応管203側の一端には反応管203内へガスを供給するガス供給管310a~310cがそれぞれ接続されている。また、ノズル支持部350a~350cの他端にはノズル340a~340cがそれぞれ接続されている。ノズル340a~340cは、例えば石英またはSiC等の耐熱性材料から形成される。
【0020】
ノズル340a~340cはガス供給エリア222内の下部より上部に、その長さ方向(上下方向)に沿って設けられている。ノズル340a~340cは、I字型のロングノズルとしてそれぞれ構成されている。ノズル340a~340cの側面には、ガスを供給するガス供給孔234a~234cがそれぞれ設けられている。ガス供給孔234a~234cは、それぞれ反応管203の中心を向くように開口している。このように、ガス供給エリア222には、3本のノズル340a~340cが設けられており、処理室201内へ複数種類のガスを供給することができるように構成されている。
【0021】
以上の処理炉202では、バッチ処理される複数枚のウエハ200がボート217に対し多段に積層された状態において、ボート217がボート支持台218で支持されながら処理室201に挿入され、ヒータ207が処理室201に挿入されたウエハ200を所定の温度に加熱するようになっている。
【0022】
ガス供給管310aには、上流方向から順に、第1処理ガスを供給する第1処理ガス供給源、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)320aおよび開閉弁であるバルブ330aがそれぞれ設けられている。ガス供給管310bには、上流方向から順に、第2処理ガスを供給する第1処理ガス供給源、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)320bおよび開閉弁であるバルブ330bがそれぞれ設けられている。ガス供給管310cには、上流方向から順に、第3処理ガスを供給する第1処理ガス供給源、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)320cおよび開閉弁であるバルブ330cがそれぞれ設けられている。ガス供給管310a~310cのバルブ330a~330cよりも下流側には、不活性ガスを供給するガス供給管310d~310fがそれぞれ接続されている。ガス供給管310d~310fには、上流方向から順に、流量制御器(流量制御部)であるMFC320d~320fおよび開閉弁であるバルブ330d~330fがそれぞれ設けられている。
【0023】
主に、ガス供給管310a、MFC320a、バルブ330aにより第1処理ガス供給系が構成される。第1処理ガス供給源、ノズル支持部350a、ノズル340aを第1処理ガス供給系に含めて考えても良い。また、主に、ガス供給管310b、MFC320b、バルブ330bにより第2処理ガス供給系が構成される。第2処理ガス供給源、ノズル支持部350b、ノズル340bを第2処理ガス供給系に含めて考えても良い。また、主に、ガス供給管310c、MFC320c、バルブ330cにより第3処理ガス供給系が構成される。第3処理ガス供給源、ノズル支持部350c、ノズル340cを第3処理ガス供給系に含めて考えても良い。なお、本明細書において、処理ガスという言葉を用いた場合は、第1処理ガスのみを含む場合、第2処理ガスのみを含む場合、第3処理ガスのみを含む場合、もしくはそれら全てを含む場合がある。また、処理ガス供給系という言葉を用いた場合は、第1処理ガス供給系のみを含む場合、第2処理ガス供給系のみを含む場合、第3処理ガス供給系のみを含む場合、もしくはそれら全てを含む場合がある。
【0024】
ガス排気エリア224の下部には排気口230が設けられている。排気口230は排気管232に接続されている。排気管232には処理室201内の圧力を検出する圧力検出器(圧力検出部)としての圧力センサ245および圧力調整器(圧力調整部)としてのAPC(Auto PressureController)バルブ244を介して真空排気装置としての真空ポンプ246が接続されており、処理室201内の圧力が所定の圧力(真空度)となるよう真空排気し得るように構成されている。真空ポンプ246の下流側の排気管232は排ガス処理装置(図示せず)等に接続されている。なお、APCバルブ244は、弁を開閉して処理室201内の真空排気・真空排気停止ができ、更に弁開度を調節してコンダクタンスを調整して処理室201内の圧力調整をできるようになっている開閉弁である。主に、排気管232、APCバルブ244、圧力センサ245により排気系が構成される。なお、真空ポンプ246も排気系に含めてもよい。
【0025】
図2に示すように、反応管203の外側には温度検出器としての後述する温度センサ1(以後、熱電対ともいう)が設置されており、温度センサ1により検出された温度情報に基づきヒータ207への供給電力を調整することで、処理室201の温度が所望の温度分布となるように構成されている。
【0026】
図3に示すように、制御部(制御手段)であるコントローラ280は、CPU(Central Processing Unit)121a、RAM(Random Access Memory)121b、記憶装置121c、I/Oポート121dを備えたコンピュータとして構成されている。RAM121b、記憶装置121c、I/Oポート121dは、内部バス121eを介して、CPU121aとデータ交換可能なように構成されている。コントローラ280には、例えばタッチパネル等として構成された入出力装置122が接続されている。
【0027】
記憶装置121cは、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等で構成されている。記憶装置121c内には、基板処理装置の動作を制御する制御プログラムや、後述する基板処理の手順や条件等が記載されたプロセスレシピ等が、読み出し可能に格納されている。プロセスレシピは、後述する基板処理工程における各手順をコントローラ280に実行させ、所定の結果を得ることが出来るように組み合わされたものであり、プログラムとして機能する。以下、このプロセスレシピや制御プログラム等を総称して、単に、プログラムともいう。本明細書においてプログラムという言葉を用いた場合は、プロセスレシピ単体のみを含む場合、制御プログラム単体のみを含む場合、または、その両方を含む場合がある。RAM121bは、CPU121aによって読み出されたプログラムやデータ等が一時的に保持されるメモリ領域(ワークエリア)として構成されている。
【0028】
I/Oポート121dは、上述のMFC320a~320f、バルブ330a~330f、圧力センサ245、APCバルブ244、真空ポンプ246、ヒータ207、温度センサ(熱電対)1、ボート回転機構267、ボートエレベータ115等に接続されている。
【0029】
CPU121aは、記憶装置121cから制御プログラムを読み出して実行すると共に、入出力装置122からの操作コマンドの入力等に応じて記憶装置121cからプロセスレシピを読み出すように構成されている。CPU121aは、読み出したプロセスレシピの内容に沿うように、MFC320a~320fによる各種ガスの流量調整動作、バルブ330a~330fの開閉動作、APCバルブ244の開閉動作および圧力センサ245に基づくAPCバルブ244による圧力調整動作、真空ポンプ246の起動および停止、温度センサ1に基づくヒータ207の温度調整動作、ボート回転機構267によるボート217の回転および回転速度調節動作、ボートエレベータ115によるボート217の昇降動作等を制御するように構成されている。
【0030】
コントローラ280は、外部記憶装置(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスクやハードディスク等の磁気ディスク、CDやDVD等の光ディスク、MO等の光磁気ディスク、USBメモリやメモリカード等の半導体メモリ)123に格納された上述のプログラムを、コンピュータにインストールすることにより構成することができる。記憶装置121cや外部記憶装置123は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成されている。以下、これらを総称して、単に、記録媒体ともいう。本明細書において記録媒体という言葉を用いた場合は、記憶装置121c単体のみを含む場合、外部記憶装置123単体のみを含む場合、または、その両方を含む場合がある。なお、コンピュータへのプログラムの提供は、外部記憶装置123を用いず、インターネットや専用回線等の通信手段を用いて行ってもよい。
【0031】
次に、反応管203の形状について、図1図2を参照して説明する。
【0032】
図2に示すように、ガス供給エリア222およびガス排気エリア224の内部には、各エリア内空間を複数の空間に区画する内壁248、250が形成されている。内壁248、250は、反応管203と同一材料で形成され、例えば、石英(SiO)または炭化シリコン(SiC)等の耐熱性材料から形成されている。ここでは、それぞれ2つの内壁を備え、3つの空間に区画されている。
【0033】
ガス供給エリア222内を区画する2つの内壁248は、ガス供給エリア222を下端側から上端側に至るまで区画し、それぞれ隔離した3つの空間を形成するように、設けられている。ガス供給エリア222の各空間には、ノズル340a~340cがそれぞれ設置されている。内壁248により、各ノズル340a~340cはそれぞれ独立した空間内に設置されるため、各ノズル340a~340cから供給される処理ガスがガス供給エリア222内で混ざり合う事を抑制することができる。このような構成により、ガス供給エリア222内で処理ガスが混ざり合って薄膜が形成されたり、副生成物が生成されたりすることを抑制することができる。好適には、内壁248は、ガス供給エリア222を下端から上端に至るまで区画し、それぞれ隔離した3つの空間を形成するように、設けると良い。
【0034】
ガス排気エリア224内を区画する2つの内壁250は、ガス排気エリア224を下端側から上端側に至るまで区画し、それぞれ隔離した3つの空間を形成するように、設けられている。好適には、内壁250は、ガス排気エリア224を下端側から上端に至るまで区画し、それぞれ隔離した3つの空間を形成するように、設けると良い。好適には、ガス供給エリア222およびガス排気エリア224の外壁の外径は、同一寸法とすると、ヒータ207との間のデッドスペースを少なくすることができる等のメリットがある。また、好適には、ガス供給エリア222とガス排気エリア224それぞれのガスの流路断面積は同じ面積とする。また、好適には、ガス供給エリア222内の各空間のガスの流路断面積と、ガス供給エリア222内の各空間に対面するガス排気エリア224内の各空間のガスの流路断面積を同じ面積とする。
【0035】
ガス排気エリア224内の内壁250は、ガス排気エリア224の天井部の上端から下端側の排気口230上端よりも高い位置まで形成されている。ガス排気エリア224の下端側の排気口230上端よりも高い位置からガス排気エリア224の下端までは、1つの空間として構成されている。ガス排気エリア224の内壁250で区画された各空間を流通したガスは、排気口230の手前の1つの空間にて合流し、排気口230から排気されるようになっている。
【0036】
ガス供給エリア222内の内壁248は、ガス供給エリア222の天井部から反応管203の下端部上部まで形成されている。具体的には、内壁248の下端は、開口部の上端よりも下側まで形成される。内壁248の下端は、反応管203の下端部よりも上側であって、ノズル支持部350の上端部よりも下側になる領域として形成されている。ガス供給エリア222内の内壁248の長さは、反応管203の長さよりも短く、境界壁254の長さよりも長くなるよう構成されている。また、ガス供給エリア222内の内壁248の方が、ガス排気エリア224内の内壁250よりも長くなるように構成されている。
【0037】
ノズル340a~340cのガス供給孔234a~234cは各ガス供給スリット235に対し1個ずつ対応するように、各ガス供給スリット235の縦幅の中央部分に形成すると良い。例えば、ガス供給スリット235が25個形成されているときは、それぞれ25個のガス供給孔234a~234cが形成されると良い。すなわち、ガス供給スリット235とガス供給孔234a~234cは、載置されるウエハ200と同数形成されると良い。このようなスリット構成とすることにより、ウエハ200上にウエハ200に平行な処理ガスの流れを形成することができる。
【0038】
また、ガス排気エリア224には周方向に長くスリットが形成されているため、ウエハ200上を流れる処理ガスの流れを乱すことなく、排気を行う事が出来る。更に、本実施形態においては、ガス排気スリットを横長に形成しているため、排気側に近づくにつれて集中した処理ガスの流れが形成されることなく、ウエハ200上において流れを整流し、均一に処理ガスを供給することが可能となる。
【0039】
また、図2に示すように、制御用熱電対(制御用TC)として用いられる熱電対1が、反応管203(円筒部209)の外側に保護部材としてのカバー2より取り付けられている。尚、カバー2は、ここでは図示しないが、後述する石英部材で構成されている。本実施形態において、熱電対1が、処理室201の外側に取り付けられ、加熱部としてのヒータ207と対向するよう設けられる。よって、従来の反応管203内に熱電対1を設けていたときの課題(温度応答性の遅延)を解決することができ、更に、本実施形態における熱電対1が、反応管203とカバー2により固定されているので、地震などの災害で熱電対1自身が破損する危険を抑えることができる。図2では、熱電対1が1本しか図示されていないが、熱電対1を複数本設けることが可能であり、また、熱電対1と反応管203の間に後述する緩衝部材が設けることが可能な構成である。更に、図2の熱電対1は反応管の側壁に設けられているが、後述するように、熱電対1は反応管203の天井部に設けられる構成としてもよい。
【0040】
次に、図4図5図13を用いて熱電対1について説明する。図4に示すように、熱電対1は、反応管203内の温度を測定する測温部11(16)と、測温部を構成する熱電対素線14が内部に設けられる本体部としての絶縁管12と、温度検出部の下部で本体部12に接続され、熱電対素線14を保護する保護部13と、素線に接続され、測温部で測定される温度を取得する取得部としてのコネクタ15と、を含む構成になっている。尚、本発明で用いられる熱電対1は、上述した構成を基本とした構成である。
【0041】
従来のパーティクルの原因となった石英製の保護管で全体を覆うようなことはせず、測温部付近は、本体部としての絶縁管12(例えば、アルミナ製)で覆うように構成している。円筒体状の絶縁管12の径は、4mm~6mm程度である。この絶縁管12には、熱電対素線14を通すための中空孔が4か所形成されている。この中空孔に熱電対素線14が通され、測温部としての熱電対素線14の接点である先端部(以後、測温点ともいう)が少なくとも絶縁管12から突出するように構成されている。このように、温度を感知する測温部11(16)を、石英製の保護管で覆うことなく、直接熱エネルギーを感知しやすくすることができる。すなわち、熱電対1の感度を良くしている。また、この測温部11(16)は、熱電対素線14の先端に設けられ、本実施の形態では、第1温測部としての熱電対先端上ゾーン11と第2温測部としての熱電対先端下ゾーン16の2つのゾーンに分けられている。
【0042】
具体的には、図5(a)に示すように、絶縁管12は、その先端円周方向の一部が切りかかれた切欠部が構成されており、この切欠部に第1温測部11が配置されるように構成されている。図5(a)の斜線で示す部分が実質的に切欠部に相当する。この切欠部には、接着剤としてのアルミナセメント17が第1温測部11を絶縁管12の内壁に接着するように敷き詰められている。すなわち、アルミナセメント17の接着力により第1温測部11は、絶縁管12の内壁に固定されている。図5(b)に示すように、絶縁管12の中腹部には、その中腹部円周方向の一部が切りかかれた中腹切欠部が構成されており、この中腹切欠部に第2温測部16が配置されるように構成されている。図5(b)の斜線で示す部分が実質的に中腹切欠部に相当する。この中腹切欠部には、アルミナセメント17が第2温測部16を絶縁管12の内壁に接着するように敷き詰められている。すなわち、アルミナセメント17の接着力により第2温測部16を絶縁管12の内壁に固定されている。
【0043】
また、絶縁管12(熱電対1)の下部に、保護管13(例えば、石英製)が取り付けられている。この保護管13は、炉口部226に取り付けられることになる。なお、本実施形態では、炉口部226に取り付けるために、絶縁管12は反応管203の長手方向に直線状に設ける一方、保護官13をL字型の構成にしている。このように構成するメリットの一つとして、絶縁管12は、材質がアルミナ等の曲げ加工が困難なもので構成されることが多いため、その絶縁管12に代えて、炉口部226付近で材質を石英とした保護管13を構成することで加工しやすくなる。保護管13は、絶縁管12が取り付けられる一端側の外径が、他端側(絶縁管12が取り付けられない一端側)の外径よりも小さくなるように形成されている。ここで、図13に保護管13の詳細図を示す。保護管13は、絶縁管12と接続される部分を示す接続部13aと、絶縁管12との固定するために接着剤としてのアルミナセメント17が塗布される接着部13bと、炉口部226に取り付けるためにL字型加工される保護部13cと、の3部分で構成される。また、接続部13aの内径は、保護部13cの内径より、小さくなるように構成されている。つまり、保護管13は、絶縁管12が取り付けられる一端側の内径(接続部13aの内径)が、他端側(L型形状のうちの絶縁管12が取り付けられない一端側)の内径(保護部13cの内径)よりも小さくなるように形成されている。接続部13aの内径は、少なくとも絶縁管12が挿入されて設置される領域を形成するよう、実質的に同じ大きさの内径で構成される。保護管13は、絶縁管12が設置される領域の内径が当該領域以外の領域の内径よりも小さくなるように形成されている。また、保護管13は、絶縁管12が設置される領域の外径が当該領域以外の領域の外径よりも小さくなるように形成されている。これにより、保護管13(保護部13c)内の空間を大きくすることができる。熱電対1は熱膨張により長手方向に伸びる特性を持つが、この保護管13(保護部13c)内の空間により、遊びができることで、熱電対1の断線を抑制することができる。また、保護管13は、絶縁管12が取り付けられる一端側の中腹部に接着部13bとしての開口孔が形成されている。この開口孔を利用することで、アルミナセメント17を絶縁管12の外壁と接続13aの内壁に接着するように敷き詰めることが可能となる。このアルミナセメント17を敷き詰めることで絶縁管12を確実に保護管13に固定することができる。特に温度検出において、温測部が位置ずれ等を起こすと、処理室201内の温度制御性に悪影響を及ぼしたり、温度再現性が悪くなったりして、ウエハ200に対して所定の膜形成できなくなるという大きな問題を起こしがちであるが、このように絶縁管12を確実に保護管13に固定することで、そのような問題の発生を抑制することができる。なお、好適には、この開口孔は、保護管13のL型の他端側が延在する側に開口することでアルミナセメント17を敷き詰める際の作業性を向上させることができる。
【0044】
そして、熱電対素線14は、炉口部226の外側でコネクタ15に接続され、コネクタ15からここでは図示しない温度コントローラに温度データが出力される。なお、好適には、この保護管の他端側、すなわち、コネクタ15に接続される側の中腹部にも開口孔を設け、該開口孔を利用し、アルミナセメント17が熱前対素線14の外壁と保護管13の内壁に接着するように敷き詰められるように構成してもよい。こうすることで、熱電対1の熱膨張に対する遊びを確保できるのとともに、コネクタ15等が固定されやすく、コネクタ15が外れてしまうとか、熱電対素線14が断線してしまうという問題の発生を抑制することが可能となる。
【0045】
測温部11(16)が設けられる位置や場所による違い等で、見かけ上構成が異なる場合があるが、反応管203の側壁に設けられる熱電対1の基本構成は、後述する第2実施形態乃至第4実施形態において同じである。従い、以後、熱電対1の構成が同じ場合に、説明を省略することがある。
【0046】
図6は、本実施の形態における石英製のカバー2である。カバー2の上下端には、絞り部2aが設けられている。この絞り部2aの幅は、絶縁管12の径とほぼ同じ程度であり、この絞り部2aに絶縁管12をはめ込むよう構成されている。これにより、熱電対1の位置決めを行うことができる。また、熱電対1を固定するときに、半円筒状の空間が設けられるよう構成されている。この半円筒状の空間部分には、熱電対1の他、後述する断熱材3を入れることができるよう構成されている。これは、熱電対1を反応管203の内から外に移すと、熱電対1の測温点(本実施の形態では測温部)がヒータ素線に近づくため昇降温の特性が変化すると考えられるため、熱電対1の測温点が、ヒータ素線からの熱エネルギーを受けにくくするため、カバー2と断熱材3にて覆うことができる構成になっている。
【0047】
ヒータ207は複数の領域(ゾーン)に分割されているため、ゾーン毎にウエハ200に与える熱量を変える必要がある。そのため断熱材3の厚みをゾーンによって異ならせることができるように構成されている。断熱材3を厚くすると、熱電対1の温度が上がりにくくなり、ヒータ207からの出力はおおきくなる。そのため、ヒータ207の昇温特性が高い場合は断熱材3が無くてもよい。ウエハ200はヒータ207からの輻射熱で急激に昇温する為、断熱材3で昇温速度を早くするよう調整することが不要なためである。
【0048】
但し、縦型装置にある急冷機構を用いる場合、反応管203とカバー2の間に冷却エアーがとおり、その間にある熱電対が冷却エアーの温度を示してしまうため、エアー除けにエアー流れの上流側に断熱材を設置する必要がある。これに関しては後述する。
【0049】
次に、図8を用いて、反応管203への熱電対1の取り付けに関して説明する。
【0050】
本実施の形態において、熱電対1は、反応管203の外側にカバー2を用いて取り付けられる。図8に示すように、反応管203の外側に予め用意されたピン23があり、カバー2にも予めピン23へ引っかけるように穴(固定穴)が用意されている。ここで、ピン23は石英製である。具体的には、ピン23及びカバー2に設けられた固定穴はそれぞれ4つあり、それぞれピン23に固定穴を引っ掛けて4か所で固定するように構成されている。このような吊り下げ構造にしたのは、第1温測部11及び第2温測部16の熱電対素線14が、熱による膨張及び収縮で断線しないようにするためである。具体的には、吊下げ構造をとることで、素線熱膨張の伸び方向は地面方向に限定されるため、伸びのばらつきがなく断線リスクがないためである。尚、本実施形態において、反応管203に熱電対1を固定する第1固定治具として、カバー2、ピン23が用いられる。この構造は、後述する全体カバー2についても同様である。
【0051】
次に、ピン23を固定穴に引っ掛けて、カバー2を反応管203に吊り下げるように固定した後を示す図8(b)より、第1温測部11(熱電対素線14の先端)は、カバー2の中心になるよう構成されている。同様に、図8では明確になっていないが、第2温測部に関してもカバー2の中心になるように構成されている。ここで、本実施形態において、測温部が2箇所なので、第1固定治具としてのカバー2も同じ個数(2個)用意される。
【0052】
また、図8に示すように、断熱材3が、カバー2に設けられる円筒状の空間(石英カバー2下部に)に配置されている。これは、このカバー2に対向して配置されているヒータ207を冷却する冷却媒体により、熱電対1が影響を受けることを抑制するためである。具体的には、急冷用の冷却媒体が、ヒータ207に供給されると、カバー2は吊り下げ構造であるため、測温部としての第1温測部11(第2温測部16)にも、急冷用の冷却媒体が供給される。このため、反応管203内の温度を検出するための第1温測部11(第2温測部16)が、冷却媒体の温度でヒータ制御することが考えられる。従い、断熱材3をカバー2の下部に設けることにより、この冷却媒体による影響を抑え、第1温測部11(第2温測部16)の誤検知を抑えるようにしている。尚、第1温測部11(第2温測部16)をカバー2の中心に位置するように構成するのも、この冷却媒体による影響を考慮している。また、断熱材3を第1固定治具に含むようにしてもよい。
【0053】
図9に示すように、縦型装置のヒータ207は、複数のゾーンに分割されて制御されている。よって、熱電対1の測温部11(16)もヒータ207のゾーンに合わせた数が必要である。しかし、本実施形態における熱電対1は、構造上、2ゾーン分(2か所)の測温部しか持てないため、2ゾーン以上あるヒータの場合、複数個の熱電対1が設置される。例えば、ヒータゾーンが4つの場合、熱電対1は、2個設置され、5ゾーンの場合、熱電対1
は、3個設置される。
【0054】
図9に示すように、反応管203の外側に取り付けた熱電対1と加熱部としてのヒータ207が対向するように構成されている。ヒータ207は、4ゾーン(Uゾーン、CUゾーン、CLゾーン、Lゾーン)にそれぞれ温度制御ゾーンが分かれており、それぞれのゾーンにヒータ熱電対24が設けられている。
【0055】
ヒータ207は反応管203を囲繞するように配置されており、反応管203内のボート217に載置された複数枚のウエハ200を所定の温度に加熱する。
【0056】
図10に熱電対1を第2の固定治具としての熱電対を取り付けるための治具(熱電対取付冶具)4により、炉口部226に取り付ける構成が開示されている。ここで、治具4は石英製である。このように、熱電対1は、第1固定治具と第2固定治具により、反応管203と炉口部226を含む複数個所に取り付けられるよう構成されている。このような構成により、結果的に熱電対1を2点以上で保持できるため、地震などによる破損する危険性を抑えることができる。例えば、地震強度が300Gal相当にも耐えられる強度を有する。
【0057】
図11は、処理炉202内の温度を200℃から600℃まで昇温したときに、ウエハ200の表面に取り付けた熱電対(ウェーハ)の測温部、反応管203の外側に取り付けた本実施形態における熱電対1(外側設置_TC)の測温部、反応管203の内側に取り付けた従来の熱電対(内側設置_TC)の測温部が、それぞれ測定する温度の推移を示したグラフである。このグラフは、縦軸が温度であり、横軸が時間である。
【0058】
本実施形態における熱電対1を反応管203の内側から外側に移すと、熱電対1の測温点がヒータ素線に近づくため昇降温の特性が変化する。それは、反応管203の外であれば、ヒータ207に近く、反応管203などによる輻射熱の減衰が少ないためである。ここで、昇温特性の高いヒータの場合、反応管203内の熱電対1よりウエハ200の温度の昇温速度が高いことは実験等で既に公知である。
【0059】
図11に示すように、処理炉202内の温度を200℃から600℃までの昇温時(測定開始から約8minまで)におけるウエハ200の温度の昇温特性と熱電対1を反応管203の外に設置したときの温度の昇温特性は類似しているが、一方、熱電対1を反応管203の内に設置したときの温度特性は、下側にずれていることがわかる。これにより、昇温特性の高いヒータの場合は、ウエハ200の昇温特性に近づけるため、熱電対1を反応管203の外側に設置した方がよいということが明確にわかる。
【0060】
図11に示すように、600℃に昇温した後の温度特性を比較すると、特に、ウエハ200の温度特性と反応管203の外側に設置した熱電対1(外側設置_TC)の温度特性が同じである。また、設定温度(本実施の形態において600℃)との誤差を確認すると、明らかに反応管203の外に熱電対1を設置した方がよいということがわかる。また、図11によると、反応管203の内側に設置した熱電対1(内側設置_TC)は、温度を測定して20min経過しても、設定温度(600℃)に達していないのに対し、反応管203の外側に設置した熱電対1で測定された温度は、10min後には、ほぼ設定温度(600℃)に収束している。
【0061】
このように、図11に示すように、処理炉202内の温度を200℃から600℃まで昇温した際に、ウエハ200の温度特性と本実施形態における反応管203の外側に設置した熱電対1(外側設置_TC)の温度特性は、類似している。特に、600℃に収束する時間(温度安定時)がほぼ同じであり、600℃に収束時の温度(又は設定温度との誤差)もほぼ同じである。このことから、従来のように、反応管203の内側に設置した熱電対1(内側設置_TC)で温度を検出した場合と比較して、例えば、基板処理工程において、待機温度から成膜温度への昇温工程、また昇温後の成膜温度で安定するまでの時間短縮が可能であるため、スループットの向上が期待できる。更に、設定温度(600℃)収束時の温度もほぼ同じであることから、基板の品質の向上も期待できる。
【0062】
次に、本発明に関わる基板処理装置の動作概要について説明する。なお、基板処理装置は、コントローラ280により制御されるものである。
【0063】
所定枚数のウエハ200が載置されたボート217が反応管203内に挿入され、シールキャップ219により、反応管203が気密に閉塞される。気密に閉塞された反応管203内では、ウエハ200が加熱されて所定の温度に維持されると共に、処理ガスが反応管203内に供給され、ウエハ200に加熱等の熱処理がなされる。
【0064】
熱処理として、例えば、本実施形態における成膜処理では、処理室201内のウエハ200に対してHCDSガスを供給する工程と、処理室201内からHCDSガス(残留ガス)を除去する工程と、処理室201内のウエハ200に対してNHガスを供給する工程と、処理室201内からNHガス(残留ガス)を除去する工程と、を非同時に行うサイクルを所定回数(1回以上)行うことで、ウエハ200上にSiN膜を形成する。処理条件は、例えば下記のとおりである。
ウエハ200の温度:100~700℃(好ましくは、200~630℃、本実施形態では、600℃)
処理室内圧力:1~4000Pa(好ましくは、10~1332Pa)
HCDSガス供給流量:1~2000sccm(好ましくは、1~500sccm)
NHガス供給流量:100~10000sccm
ガス供給流量:100~10000sccm
SiN膜の膜厚:0.2~10nm
【0065】
本明細書では、この成膜シーケンスを、便宜上、以下のように示すこともある。なお、以下の変形例や他の実施形態の説明においても、同様の表記を用いることとする。
【0066】
(HCDS→NH)×n ⇒ SiN
【0067】
また、本明細書において「基板」という言葉を用いた場合も、「ウエハ」という言葉を用いた場合と同義である。
【0068】
(ウエハチャージおよびボートロード)
複数枚のウエハ200がボート217に装填(ウエハチャージ)されると、ボート217は、ボートエレベータによって処理室201内に搬入(ボートロード)される。このとき、シールキャップ219は、Oリングを介して反応管203の下端を気密に閉塞(シール)した状態となる。
【0069】
(圧力調整および温度調整)
処理室201内、すなわち、ウエハ200が存在する空間が所定の圧力(真空度)となるように、真空ポンプ246によって真空に排気される。この際、処理室201内の圧力は、圧力センサ245で測定され、この測定された圧力情報に基づきAPCバルブ244が、フィードバック制御される。真空ポンプ246は、少なくともウエハ200に対する処理が終了するまでの間は常時作動させた状態を維持する。
【0070】
また、処理室201内のウエハ200が所定の温度となるように、ヒータ207によって加熱される。この際、処理室201が所定の温度分布となるように、温度センサ1が検出した温度情報に基づきヒータ207への通電具合がフィードバック制御される。ヒータ207による処理室201内の加熱は、少なくともウエハ200に対する処理が終了するまでの間は継続して行われる。
【0071】
また、回転機構267によるボート217およびウエハ200の回転を開始する。回転機構267により、ボート217が回転されることで、ウエハ200が回転される。回転機構267によるボート217およびウエハ200の回転は、少なくとも、ウエハ200に対する処理が終了するまでの間は継続して行われる。
【0072】
(成膜処理)
処理室201の温度が予め設定された処理温度に安定すると、次の2つのステップ、すなわち、ステップ1~2を順次実行する。
【0073】
[ステップ1]
このステップでは、処理室201内のウエハ200に対し、HCDSガスを供給する。
【0074】
バルブ330b、330eを開き、ガス供給管310b内へHCDSガスを流す。HCDSガスは、MFCにより流量調整され、ノズル350bを介して処理室201内へ供給され、排気管120から排気される。このとき、ウエハ2に対してHCDSガスが供給されることとなる。このとき、同時にバルブ330aおよび330cを開き、ガス供給管310aおよび310c内へNガスを流す。Nガスは、MFCにより流量調整され、HCDSガスと一緒に処理室201内へ供給され、排気管231から排気される。ウエハ200に対してHCDSガスを供給することにより、ウエハ200の最表面上に、第1の層として、シリコン(Si)含有層が形成される。
【0075】
第1の層が形成された後、バルブ330bを閉じ、HCDSガスの供給を停止する。このとき、APCバルブ244は開いたままとして、真空ポンプ246により処理室201内を真空排気し、処理室201内に残留する未反応もしくは第1の層の形成に寄与した後のHCDSガスを処理室201内から排出する。このとき、バルブ330aおよび330cを開いたままとして、Nガスの処理室201内への供給を維持する。Nガスはパージガスとして作用し、これにより、処理室201内に残留するガスを処理室201内から排出する効果を高めることができる。
【0076】
このとき、処理室201内に残留するガスを完全に排出しなくてもよく、処理室201内を完全にパージしなくてもよい。処理室18内に残留するガスが微量であれば、その後に行われるステップ2において悪影響が生じることはない。処理室201内へ供給するNガスの流量も大流量とする必要はなく、例えば、反応管203(処理室201)の容積と同程度の量のNガスを供給することで、ステップ2において悪影響が生じない程度のパージを行うことができる。このように、処理室201内を完全にパージしないことで、パージ時間を短縮し、スループットを向上させることができる。Nガスの消費も必要最小限に抑えることが可能となる。
【0077】
[ステップ2]
ステップ1が終了した後、処理室201内のウエハ200、すなわち、ウエハ200上に形成された第1の層に対してNHガスを供給する。NHガスは熱で活性化されてウエハ2に対して供給されることとなる。
【0078】
このステップでは、バルブ330a、330dの開閉制御を、ステップ1におけるバルブ330b、330eの開閉制御と同様の手順で行う。NHガスは、MFCにより流量調整され、ノズル350aを介して処理室201内へ供給され、排気管232から排気される。このとき、ウエハ200に対してNHガスが供給されることとなる。ウエハ200に対して供給されたNHガスは、ステップ1でウエハ200上に形成された第1の層、すなわちSi含有層の少なくとも一部と反応する。これにより第1の層は、ノンプラズマで熱的に窒化され、SiおよびNを含む第2の層、すなわち、シリコン窒化層(SiN層)へと変化させられる(改質される)。なお、このとき、プラズマ励起させたNHガスをウエハ2に対して供給し、第1の層をプラズマ窒化することで、第1の層を第2の層(SiN層)へ変化させるようにしてもよい。
【0079】
第2の層が形成された後、バルブ330a、330dを閉じ、NHガスの供給を停止する。そして、ステップ1と同様の処理手順により、処理室201内に残留する未反応もしくは第2の層の形成に寄与した後のNHガスや反応副生成物を処理室201内から排出する。このとき、処理室201内に残留するガス等を完全に排出しなくてもよい点は、ステップ1と同様である。
【0080】
(所定回数実施)
上述した2つのステップを非同時に、すなわち、同期させることなく行うサイクルを所定回数(n回)行うことにより、ウエハ200上に、所定組成および所定膜厚のSiN膜を形成することができる。なお、上述のサイクルは複数回繰り返すのが好ましい。すなわち、上述のサイクルを1回行う際に形成される第2の層(SiN層)の厚さを所定の膜厚よりも小さくし、第2の層(SiN層)を積層することで形成されるSiN膜の膜厚が所定の膜厚になるまで、上述のサイクルを複数回繰り返すのが好ましい。
【0081】
(パージおよび大気圧復帰)
成膜処理が完了した後、バルブ310eおよび310fを開き、ガス供給管310bおよび310cからNガスを処理室201内へ供給し、排気管232から排気する。Nガスはパージガスとして作用する。これにより、処理室201内がパージされ、処理室201内に残留するガスや反応副生成物が処理室201内から除去される(パージ)。その後、処理室201内の雰囲気が不活性ガスに置換され(不活性ガス置換)、処理室201内の圧力が常圧に復帰される(大気圧復帰)。
【0082】
(ボートアンロードおよびウエハディスチャージ)
ボートエレベータ115によりシールキャップ219が下降され、反応管203の下端が開口される。そして、処理済のウエハ200が、ボート217に支持された状態で、反応管203の下端から反応管203の外部に搬出される(ボートアンロード)。処理済のウエハ200は、ボート217より取出される(ウエハディスチャージ)。
【0083】
本実施の形態(第1の実施形態)によれば、以下の(a)~(i)に記載の効果のうち少なくとも一つ以上の効果を奏する。
【0084】
(a)本実施の形態(第1の実施形態)によれば、熱電対を反応管の外側に配置することで、成膜影響による熱電対破損や熱電対起因のパーティクル発生はない。例えば、成膜が行われる処理室に熱電対(制御用TC)が設置されていたため、熱電対(TC)を保護する保護管に成膜されることで、保護管が破損し、パーティクルの発生源になることがない。また、例えば、反応管内が真空・大気を繰り返すことで熱電対(制御用TC)が動くことで反応
管やボートに接触することでのパーティクル発生源となることがない。
【0085】
(b)本実施の形態(第1の実施形態)によれば、熱電対測温点を保護部材でカバーする為、炉口部だけでなく、熱電対を複数の部分で保持できる。これにより、ある程度 (例えば、300Gal相当) の地震が起きても耐えられ、熱電対の破損の恐れが無い。
【0086】
(c) 本実施の形態(第1の実施形態)によれば、反応管に熱電対を固定する固定治具を設け、熱電対測温点を吊り下げ構造でカバーすることにより、熱膨張による素線の伸び方向は地面方向に限定されるため、断線する確率が低減される。
【0087】
(d)本実施の形態(第1の実施形態)によれば、本実施の形態(第1の実施形態)によれば、熱電対を反応管の外側に配置するだけでなく、更に、従来の制御用TC(L型カスケード熱電対)にあった石英保護管で測温部を覆わずに、アルミナ絶縁管のみとした。これにより、熱電対の反応(温度検出部の精度)が向上し、基板(ウエハ)の温度特性と同様の温度特性を取得できるので、温度制御機能が向上する。
【0088】
(e)本実施の形態(第1の実施形態)によれば、保護部材は、熱電対測温点を石英製の保護部材で覆う際、少なくとも断熱材を保護部材の少なくとも下部に設けるよう構成されるので、冷却媒体の流入による熱電対1の誤検知を抑制できるので、温度制御機能の低下を抑えられる。
【0089】
(f)本実施の形態(第1の実施形態)によれば、熱電対を反応管の内側から外側に移すことにより、熱電対の測温点がヒータ素線に近づくため昇降温の特性を変更することができ、温度安定までの時間を短縮することができる。これにより、基板の温度を目標温度に短時間で近づけることができ、スループットの向上が図れる。
【0090】
(g)本実施の形態(第1の実施形態)によれば、熱電対を反応管の内側から外側に移すことにより、熱電対の測温点がヒータ素線に近づくため昇降温の特性を改善することができ、温度安定時の温度を設定温度に近づけることができる。これにより、基板の温度分布を所望の温度分布に近づけることができ、基板品質の向上が図れる。
【0091】
(h)本実施の形態(第1の実施形態)によれば、ガス供給エリアとガス排気エリアとを処理室の外側に形成することにより、処理室にガスを供給するガス供給媒体としてのノズルを設置する必要がないため、基板のエッジと反応管内壁との間隔を短くすることができ、また、反応管の容積を従来の反応管よりも大幅に小さくすることが可能となる。これにより、ウエハのエッジと反応管内壁との間の間隙から処理ガスが流れることを抑制することができ、基板間に十分な量の処理ガスを供給でき、処理ガスの置換効率を向上させることが可能となる。
【0092】
(i)本実施の形態(第1の実施形態)によれば、供給バッファエリアおよび排気バッファエリアに内壁を形成することにより、ガス供給エリアとガス排気エリアとを処理室の外側に形成することによる反応管の強度の低下を補うことができる。これにより、反応管の容積を小さくしつつも反応管の破損のリスクを低下させることができる。
【0093】
<本発明の第2の実施形態>
次に、図14及び図15を用いて第2の実施形態について説明する。尚、第2の実施形態と第1の実施形態とでは、熱電対1の基本構成は同じであるので、熱電対1及びカバー2の構成が第1の実施形態と異なる構成に関して説明する。
【0094】
図14に示す熱電対1は、緩衝部としてのスペーサー18(18a、18b、18c)を設けた構成であり、その他の構成は、第1の実施形態で説明した熱電対1と同じ構成である。よって、緩衝部18に関連しない熱電対の構成の詳細説明は省略する。
【0095】
つまり、第2の実施形態で使用される温度検出部としての熱電対1は、反応管203内の温度を測定する測温部11(16)と、測温部11(16)を構成する素線14が内部に設けられる本体部12と、温度検出部の下部で本体部12に接続され、素線14を保護する保護部13と、素線14に接続され、測温部11(16)で測定される温度を取得する取得部15を有する構成になっている。本体部12の少なくとも一部には緩衝部18が設けられ、熱電対1(本体部12)が反応管203の外側に緩衝部18(18a、18b)を介して反応管203と接触した状態で取り付け可能に構成されている。また、緩衝部18は、反応管203の側面に沿って測温部11(16)近傍、及び本体部12と保護部13の境界にそれぞれ設けられるよう構成されている。
【0096】
図14に示すように、緩衝部18(18a)は、断熱部材であるアルミナスリーブを本体部12の周囲に複数回巻くことで固定した構成である。また、緩衝部18(18b)は、アルミナ板であり、後述するカバー2を反応管203に固定されるときに、本体部12と反応管203の間に挟み込まれるよう構成されている。また、緩衝部18(18c)は、中空で円筒状のアルミナ絶縁管であり、本体部12の周囲を覆うように設けられている。
【0097】
このように、測温部11近傍と本体部12と保護部13の境界にそれぞれ緩衝部18が設けられ、本体部12が緩衝部18を介して反応管203に本体部12が接触することにより、測温部11が反応管203に近接した位置で固定されるため、温度制御性能を確保できる。つまり、スペーサー18によって熱電対1の測温部11(16)を反応管203に接触させることで、ゾーン間の温度バラツキ、昇温特性のバラツキが小さくなり、結果として、ウエハ200の温度制御が向上する。一方、熱電対1の保護管13がスペーサー18によって反応管203との適切なクリアランスが保たれることで、保護管13へのストレス緩和が図られている。従い、保護管13の破損のリスクが低減される。
【0098】
また、緩衝部18(18a)は、測温部11近傍に径10mm程度になるまで巻くことで、熱電対1の固定に寄与している。一方、緩衝部18(18c)は径10mmであり、隣接する本体部12の径(4mm)、隣接する保護管13の径(8mm)よりも大きい径にすることで、反応管203と保護管13とのクリアランスの適切な調整に寄与している。ここで、緩衝部18(18a)は、緩衝部18(18c)と同様に本体部12を囲うように設けられてもよい。そして、本実施形態において、緩衝部18(18b)は、細長い板状に形成されており、幅8mm 長さ30mm、厚み4mmの板で、材質はアルミナである。後述するカバー2に設けられた空間に適切なクリアランスで設けられるよう構成されている。尚、本実施形態において、緩衝部18(18b、18c)は、例えば、アルミナセメント17等の接着剤により、本体部12に取り付けられ(固着され)、一体となっている。
【0099】
図15に示すように、第2の実施形態で用いられるカバー2は、第1の実施形態で用いられるカバー2を拡大した形態である。第1の実施形態で用いられるカバー2と異なり、熱電対1の測温部11を覆うだけでなく、反応管203の全体を覆うように構成されている。以後、第2の実施形態で用いられるカバー2を全体カバーと称する場合がある。
【0100】
カバー2は、反応管203に沿って基板処理領域を少なくとも覆う(囲う)ように設けられ、複数の独立した加熱する加熱領域(Uゾーン、CUゾーン、CLゾーン、Lゾーン)を有する加熱部としてのヒータ207は、カバー2は、反応管203に沿って少なくとも一つの加熱領域(CUゾーン、CLゾーン)を覆うように設けられる。
【0101】
カバー2は、頂上部としての先端部分32が板状のもので蓋がされている。この板状のものが、例えば、溶接により、カバー2に取り付けられ、一体となっている。図15に示すように、カバー2は、断面図に示す空間部31が設けられる。この空間部31に熱電対1を配置でき、熱電対1の近傍に設けられたスペーサー18(18a)の断面面積が、この空間部31の断面積と同じ程度に設定されており、スペーサー18(18a)が隙間なく設けられるため、熱電対1が反応管203に接触するように固定されている。更に、熱電対1の測温部11(16)が内蔵された本体部12には、スペーサー18bが予めアルミナセメント等の接着剤で固着されており、このスペーサー18b及び本体部12の断面面積が空間部31に所定のクリアランスで設けられ、カバー2の押圧により熱電対1が破損することが無い。また、スペーサー18bを介して反応管203に熱電対1(特に測温部11(16)を内部に設けた本体部12)が接触されている。
【0102】
この全体カバー2の反応管203への固定は、第1の実施形態で既に説明したように、反応管203の外側に予め用意されたピン23があり、カバー2にも予めピン23へ引っかけるように穴(固定穴)が用意されている。ここで、ピン23は石英製である。具体的には、ピン23及びカバー2に設けられた固定穴はそれぞれ4つあり、それぞれピン23に固定穴を引っ掛けて4か所で固定するように構成されている。
【0103】
これら4つのピン23及びカバー2に設けられた固定穴の位置は、空間部31に配置される測温部11の数には寄らず、カバー2全体で予め設計された4か所で固定されるよう構成されている。また、この全体カバー2の先端部分32は、反応管203の頂上部203aと同じ高さに設計されている。一方、全体カバー2の上端部分から下端部分は、少なくとも基板処理領域を含むように設計されている。
【0104】
このように、第1実施形態のカバー2を第2実施形態の全体カバー2に設計変更することにより、カバー2に対向して配置されているヒータ207を冷却する冷却媒体を供給しても、熱電対1の本体部12に冷却媒体が直接噴射されないように構成されるので、温度特性への影響を抑制することができる。
【0105】
第1の実施形態における熱電対1と同様に本体部12(熱電対1)の下部に、保護管13(例えば、石英製)が取り付けられている。また、この保護管13構成は、同じであるため、ここでは、異なる部分について詳細説明する。ここで、図22及び図23に第2実施形態における絶縁管12下部に取り付けられる保護管13の詳細図を示す。
【0106】
保護管13に白金(Pt)線27を通すための複数の開口部が設けられ、更に、本体部12に緩衝部18cを取り付ける際の隙間に白金(Pt)線27を通す。例えば、図23に示すように、本体部12と緩衝部18cの隙間に4本の白金(Pt)27-1、27-2、27-3、27-4を通し、開口部に装着された固定部26内に設けられる白金27を通す開口路からこれらの白金27を取出して、白金(Pt)線27を結ぶことにより、本体部12と保護管13が固定される。また、固定部26は、アルミナ製で本体部12に接着剤等で固定される。本体部12も固定部26もアルミナ製であるため、これらの接着にはアルミナセメント17を使用する。但し、アルミナ製の本体部12(固定部26含む)と石英製の保護管13を接続するには、石英とアルミナ絶縁管を接着しないで、白金27により縛る構造にしている。これにより、アルミナの熱膨張を拘束しない構造としている。
【0107】
尚、白金27は径φ0.3mmで接着剤が乾く前の状態で図23に示す隙間を通すことができ、緩衝部18cと本体部12の間は隙間なく接着剤で固められる(埋められる)。一方、図23に示すように白金27を保護管13と本体部12の間の隙間を通すことができる。また、図23に示すように固定部26を本体部12に固定することにより、保護管13と本体部12の固定に寄与するように構成されている。
【0108】
このように、保護管13(熱膨張が小)と絶縁管12及びアルミナセメント17(熱膨張が大)の熱膨張差に起因した応力により、保護管13が破損することがあるため、アルミナセメント17等の接着剤を開口部から埋め込むことを止め、白金27線で固定することにより、材質の熱膨張の差による保護管13の破損を防止できる。
【0109】
本実施の形態によれば、上述した第1の実施形態における効果、及び以下の(j)~(n)に記載の効果のうち少なくとも一つ以上の効果を奏する。
【0110】
(j) 本実施の形態によれば、反応管内の温度を測定する測温部が内部に設けられる本体部を少なくとも有する熱電対が、本体部の少なくとも一部には、緩衝部が設けられ、該緩衝部を介して反応管と接触した状態で、測温部は反応管の外側に固定されるので、ある程度の地震が起きても耐えられ、また、振動にも耐えられるので、熱電対の破損の恐れが無い。
【0111】
(k) 本実施の形態によれば、測温部を内蔵した本体部が、断熱部材を介して直接反応管に接触した状態で温度を検知するように構成されているので、温度応答性が向上する。更に、温度測定の繰返しが可能となるため、温度再現性が向上する。
【0112】
(l)本実施の形態によれば、複数の測温部を備えた熱電対に対してピン及び固定穴が4つで済むので、第1実施形態に比べ、石製製の部材(反応管及びカバー)の加工が簡単化することができ、低コストで、熱電対を確実に固定することができる。
【0113】
(m)本実施の形態によれば、反応管の側面に固定されている熱電対に対して覆い、冷却媒体が熱電対(本体部、あるいは温測部)に直に噴射されないため構造であるため、反応管内の温度誤検知を抑制することができ、温度制御性能を維持できる。
【0114】
(n) 本実施の形態によれば、保護管(膨張 小)と絶縁管&接着材(膨張 大)の熱膨張差に起因した応力による保護管(特に、L字部分の石英)の破損を防止することができる。
【0115】
<本発明の第3の実施形態>
図16に反応管天井部の温度制御用の熱電対1を示す。図16に示すように、第3の実施形態における熱電対1は、反応管天井部の温度制御用の測温点としての測温部21が設けられる天井用熱電対1a(以後、熱電対1aと称することもある)と、反応管側壁部の温度制御用の側壁用熱電対1b(以後、熱電対1bと称することもある)と、熱電対1aと熱電対1bとを繋ぐ接続部1cとを少なくとも含む構成である。
【0116】
つまり、第3の実施形態で用いられる温度検出部としての熱電対1は、反応管天井の温度を測定する第1測温部を有し、反応管天井に設けられる第1本体部としての熱電対1aと、反応管の側面に設けられる第2本体部としての熱電対1bと、第1本体部と第2本体部を接続する接続部1cと、を備え、第1測温部21が前記反応管天井の中心位置に固定されるよう構成されている。
【0117】
また、第3の実施形態で用いられる熱電対1を備えた基板処理装置は、反応管203内を加熱する加熱部としての天井ヒータ34と、加熱部34と該加熱部34に対向する第1本体部との間に設けられ、第1本体部を貫通する空間を有し、反応管の天井部に固定される天井カバーとしてのカバー2を有する構成されている。更に、第1本体部に設けられた突部としてのピン24(以後、位置決めピンともいう)を天井カバー2に設けられた開口部に装填することにより、第1測温部が天井カバー2の中心位置に固定されるよう構成されている。
【0118】
図16に示すように、第3の実施形態における熱電対1は、反応管側壁部の温度制御用の熱電対1bを延長し、反応管の外側に沿って屈曲し、反応管天井部に測温点21が配置されている。従い、天井部以外は、第1実施形態及び第2実施形態と大凡同じであるため、以後、詳細な説明は省略し、異なる部分について説明する。例えば、熱電対1bは、測温部11を設ける位置が異なるだけで第2の実施形態と同様の構成であるため、詳細な説明は省略する。また、第2実施形態と異なり、熱電対1bの測温部11bを設けない構成としてもよい。
【0119】
図16に示すように、測温部21は、第1実施形態及び第2実施形態と同様に少なくとも熱電対1の先端に設けられている。従い、熱電対1aは、少なくとも本体部12aを有し、該本体部12a内にそれぞれ設けられる開口部を熱電対素線14が通されている。
【0120】
また、熱電対1aは、ピン24が配置されている。反応管203の天井部を覆う天井カバー2には、このピン24で固定するための開口部としての固定穴が設けられており、このピン24と固定穴で熱電対1が位置決めされる。このとき、測温部21は、反応管203の中心であると共に、天井カバー2の中心部に配置されるように構成される。
【0121】
接続部1cは、熱電対1aの素線14の伸びを吸収するため本体部12を設けていない。また、接続部1cは、熱電対素線14を絶縁部材(絶縁スリーブ)であるアルミナスリーブ25で巻いたものである。尚、この接続部1cを石英管等で囲う構成としてもよい。
【0122】
図17Aに反応管天井部の温度制御用の熱電対1を覆う天井カバーとしてのカバー2を示す。ピン24に固定するための固定穴が設けられている。また、全体カバーと同様に、熱電対1を通すための空間部31と先端部分32の蓋が設けられている。また、天井カバー2を固定するための固定穴が4つ第1実施形態及び第2実施形態のカバー2と同様に設けられている。
【0123】
図17Bに示すように反応管天井部に熱電対1(本体部12)が直接接触するように構成されている。また、開口部に合うよう反応管天井部にも固定用の穴が設けられ、ねじ止めされている様子が分かる。ここで、反応管203の構造上、天井部が厚く構成されているので、反応管203に穴が設けられているが温度特性に影響はない。
【0124】
図18に示すように、第3の実施形態における全体カバー2は、第2実施形態の全体カバー2と大きさや空間部31を設ける等、構成は同じである。ここでは、第2実施形態の全体カバー2と異なる点について説明する。
【0125】
空間部31は、熱電対1の本体部12を通すための通し穴を構成するための絞り部33が設けられている。この絞り部33は、全体カバー2の全長に亘って設けられており、この通し穴は、本体部12とほぼ同じ径であり、反応管203に全体カバー2を固定することにより、熱電対1も位置決めされるようになっている。
【0126】
本実施の形態によれば、天井部の熱電対1が反応管203に接触するように構成されている状態と側壁に熱電対1が反応管203に緩衝部18bを介して接触するように構成されている状態を同じにするように、緩衝部18bの厚さは決定されるように構成してもよい。例えば、図23に示すように、天井部の反応管203の厚さと、反応管203の側壁に緩衝部18bを加えた厚さが同じになるよう構成されている。これにより、反応管203の天井部に設けられた熱電対1と側壁に設けられた熱電対1が同等レベルの温度検出が可能なように工夫している。また、このような厚さは、緩衝部18bの材質により適宜変更可能である。
【0127】
本実施の形態によれば、上述した第1の実施形態及び第2の実施形態における効果、及び以下の(o)~(q)に記載の効果のうち少なくとも一つ以上の効果を奏する。
【0128】
(o)本実施の形態によれば、熱電対1aにピン24が設けられ、天井カバー2にピン24を通すための固定穴が設けられ、反応管203の天井部にねじ止め用の固定穴が設けられ、熱電対1aのピン24が天井カバー2の固定穴と結合することにより位置決めされ、ねじで天井カバー2を反応管203に固定することにより、熱電対1aが固定されている。このような構成をしているので、ある程度の地震が起きても耐えられるので、熱電対1の破損の恐れが無い。
【0129】
(p)本実施の形態によれば、熱電対1aのピン24が天井カバー2の固定穴と結合することにより位置決めされることにより、熱電対1aの測温点21が、反応管203の中心部の位置に反応管203に接触した状態で固定されるように構成されている。このように構成しているので、反応管203内のウエハ200の中心温度を高精度に検出することができる。
【0130】
(q)本実施の形態によれば、熱電対1aのピン24が天井カバー2の固定穴と結合することにより位置決めされることにより、熱電対1aの測温点21が、天井カバー2の中心に配置されるように構成されている。これにより、冷却媒体が熱電対1aに直に噴射されない構造であるため、反応管203内の温度誤検知を抑制することができる。
【0131】
<本発明の第4の実施形態>
図19に、第3実施形態と第2実施形態(第1実施形態)で用いられる熱電対の使用例を示す。
【0132】
図19は、第2実施形態及び第3実施形態で用いられる熱電対1を反応管203に3本取り付けた状態を示したものである。両端の熱電対1は、第2実施形態で用いられる熱電対1であり、真ん中の熱電対1は、第3実施形態で用いられる熱電対1であり、反応管203から延長して反応管203の天井部に測温部21を設けている。尚、図示していない保護部13等の構成についても第1実施形態乃至第3実施形態において同様に同じである。
【0133】
つまり、第4の実施形態における基板処理装置は、複数枚の基板を保持するボート217を収容する反応管203と、複数の独立した加熱する加熱領域(Uゾーン、ULゾーン、CLゾーン、Lゾーン)に対向する位置に配置された基板を加熱する第1加熱部と、反応管203の天井部に設けられ、Uゾーンに対向する位置に配置された基板を加熱する第2加熱部と、反応管203の側壁に設けられ、第1加熱部に対向する位置の温度を検出する第1熱電対と、反応管203の天井部に設けられる第1本体部1aと、反応管203の側面に設けられる第2本体部1bと、第1本体部1aと第2本体部1bを接続する接続部(1c)と、を備えた第2熱電対と、反応管203の側壁に第1熱電対及び第2本体部を固定する全体カバー2と、反応管203の天井部に第1本体部を固定する天井カバー2と、第1熱電対及び第2熱電対で検出される温度に基づき、少なくとも第1加熱部と第2加熱部を制御して反応管203内の温度を所定の温度に保持するよう制御する制御部と、を有する構成である。
【0134】
また、第1本体部1bは、反応管203内の温度を測定する第1測温部21を有し、第1本体部1bに設けられた突部を天井カバー2に設けられた開口部に装填することにより、第1測温部が反応管203の天井部の中心位置に固定され、第2加熱部により加熱される基板の中心温度を測定するよう構成されている。例えば、図19Aに示すように、反応管203の天井部の中心、且つ、カバー2固定用の4つ穴の中心に測温点21が配置されるよう固定されている。これにより、少なくとも反応管203内の一番上のウエハ200中心部の温度を検出することができる。
【0135】
図19Aは、2本の第2実施形態で用いられる熱電対1は、測温部11(16)の高さ位置を変えて設けられる。例えば、それぞれUゾーン、ULゾーン、CLゾーン、Lゾーンの温度を検出するための位置に配置されている。それぞれの熱電対1は、スペーサー18を介して反応管203と接触した状態で固定されるように構成されている。これにより、測温部11(16)は、反応管203に非常に近接した状態で固定されるよう構成される。従い、反応管内の温度検出を高精度に検出することができる。後述する全体カバー2でこれら測温部11(16)は覆われるよう構成される。
【0136】
図19Bに示されるように、第2実施形態で用いられる全体カバー2と第3実施形態で用いられる全体カバー2は、固定穴の位置(それに伴う反応管203に設けられるピン23の位置)が異なっている。それは、片面配列にするとピン23間の距離が狭くなり、作業の効率が悪くなるためである。また、段違いにすることで、第2実施形態で用いられる全体カバー2と第3実施形態で用いられる全体カバー2の間で取り付け間違い防止の効果もある。
【0137】
また、全体カバー2は、少なくとも基板処理領域(ボート217で製品用のウエハ200が装填されている領域)の全領域を覆うように反応管203に取り付けられるように構成される。また、全体カバー2は、反応管203に沿って基板処理領域を少なくとも覆うように設けられると共に、少なくとも複数の独立した加熱する加熱領域(Uゾーン、CUゾーン、CLゾーン、Lゾーン)に対向して反応管203を覆うように設けられる。
【0138】
一方、第1実施形態で用いられるカバー2の場合は、ゾーン毎に必要であり、作業に時間がかかる。本実施の形態によれば、全体カバー2のピン23の数は4個で固定である。この全体カバー2により、1本の熱電対に対して1つの全体カバー2で済み、作業性の向上に寄与する。
【0139】
図20に本実施形態における複数の熱電対1を利用した熱処理炉を示す。本実施形態において、反応管203の上部に天井ヒータ34を設け、ボート217のウエハ200の中心部を加熱するようにしている。また、熱電対を反応管203天井部の外へ配置する。尚、他の2本の熱電対1は重複しているため1本しかないように見えているだけである。
【0140】
更に、本実施形態における温度制御システムは、反応管203の天井部に、反応管203内の温度を測定する第1測温部と、加熱領域(Uゾーン、CUゾーン、CLゾーン、Lゾーン)に対向する位置に反応管203内の温度を測定する第2測温部をそれぞれ有し、第1測温部及び第2測温部で検出される温度に基づき、少なくとも第1加熱部と第2加熱部を制御して反応管203内の温度を所定の温度に保持するよう構成されている。
【0141】
また、加熱領域の内、Uゾーンの温度制御は、第1測温部でUゾーンに配置される基板(若しくは、ボート217の最頂部に保持された基板)の中心の温度を検出し、第2測温部でUゾーンに配置される基板の端部から温度を検出し、少なくとも第1測温部及び第2測温部で検出された温度差が所定範囲になるよう第1加熱部及び第2加熱部を制御して少なくともUゾーンに配置される基板の温度を所定温度に保持するよう構成されている。このように、ボート217の最頂部に保持された基板の温度制御を行うよう構成されているので、基板温度の面内均一性及び基板温度の面間均一性の向上が図られている。また、反応管天井は、石英が厚い為熱容量が大きいので温まりにくく温度制御が難しかったが、第1測温部を反応管天井に設け、温度をモニタしているので、Uゾーンの温度制御性能の向上が図られている。
【0142】
図9に示す熱処理炉と異なる構成は、反応管203の上方に天井ヒータ34を設け、反応管203の天井部に熱電対1aを設けたことである。それ以外は、図9とほぼ同じ構成であるため、詳細な説明は省略する。天井ヒータ34が設けられる部分は、SubUゾーンとして、Uゾーンの加熱を補助する。具体的には、天井ヒータ34は、ボート217の上側に載置されたウエハ200を加熱するよう構成されている。ここで、熱電対1aの測温部21は、SubUゾーンの温度を検出する温度検出部として機能する。尚、熱電対1aの測温部21は、直接的には反応管の天井部の温度をモニタしているので、本実施の形態においては、Uゾーンに対向する位置にボート217の一番上側に載置されたウエハ200を配置しているが、特に、この形態に限定されず、ボート217の一番上側に載置されたウエハ200がCUゾーンであってもよい。
【0143】
ここで、Uゾーンの温度を検出する熱電対1(測温部11)、及びヒータ熱電対24を反応管203内のボート207の一番上に載置されているウエハ200の高さに設定する。尚、高さを厳密に一致させる必要はなく数cm程度のずれは特に問題はない。更に、Uゾーンの温度を検出する熱電対1(測温部11)、及びヒータ熱電対24を反応管の天井部の高さに設定してもよい。それは、反応管天井は、他の部位よりも石英が厚くなっているので、この温度制御の向上が、ウエハの温度制御性を向上に寄与するためである。尚、ボート207の一番上に載置されているウエハ200の高さから反応管の天井部の高さの間の所定の高さであってもよい。
【0144】
反応管203の上部ウエハ200は加熱時に周辺部が温まった後、中心部が温まるため、温度制御性能の向上が困難であったため、本実施の形態において、図20に示すように、天井ヒータ34を設け、反応室側壁用の熱電対1を延長し、反応室203の外側に沿って屈曲した構成の天井用熱電対1aの測温点21が、反応管203の天井部の中心部付近に配置されるよう構成した。
【0145】
更に、側壁用熱電対1と同様に天井カバー2を配置し、天井カバー2を位置決めピン24で反応室203天井部に固定した。これにより、ウエハ200の周辺部の温度を検出する測温部11と中心部の温度を検出する測温部21の検出温度の挙動が類似し、ウエハ200の周辺部と中心部の温度差が目標温度に達するまでの温度リカバリー時間を短縮することが可能となる。
【0146】
このように、ボート217の一番上に載置されたウエハ200について、ヒータ207によるウエハ200の周辺からの加熱と天井ヒータ34によるウエハ200の表面からの加熱を行うことにより、ウエハ200の表面温度の均一性を向上させることができる。
【0147】
特に、図20に示すように、ボート217の一番上に載置されたウエハ200を温度制御対象にして面内均一性を向上させることで、基板処理領域に載置されたウエハ200の表面温度の面内均一性の向上を図っている。
【0148】
尚、図示しないが、ボート217の下部にヒータを設け、反応管203の下端側からウエハ200の中心部を加熱するようにしてもよい。但し、この場合、ボート217の下部にも温度検出手段が必要となる。更に、図示しないボート下部にヒータを設け、ボート217の一番下に載置されたウエハ200を温度制御対象にして面内均一性を向上させることで、ウエハ200の表面温度の面内均一性の向上だけでなく、ウエハ200の温度の面間均一性の向上を図ることができる。
【0149】
本実施の形態によれば、上述した第1の実施形態乃至第3の実施形態における効果、及び以下の(r)~(s)に記載の効果のうち少なくとも一つ以上の効果を奏する。
【0150】
(r)本実施の形態によれば、反応管の側壁に設けられる熱電対と、反応管の天井部に設けられる該熱電対と同等の温度検出感度を持った熱電対をそれぞれ反応管に接触した状態で固定するよう構成されている。このように、熱電対をウエハの周辺部と中心部の温度を検出する位置に配置することで、ウエハ面内温度の均一性の向上及び所定温度に収束するリカバリー時間の短縮を図ることができる。
【0151】
(s)本実施の形態によれば、Uゾーンの加熱をヒータと天井ヒータの両方で行うようにしている。このように、ボートの上側ウエハの周辺部と中心部を加熱することで、ウエハの温度の面内均一性の向上を図ることができる。また、熱電対をウエハの周辺部と中心部の位置に配置することで、ウエハ面内温度のリカバリー時間を短縮し、生産性の向上を図ることが可能となる。
【0152】
<本発明の他の実施形態>
図12に示すように、反応管203が大きいタイプに関しても、第1固定治具としてのカバー2及びピン23を用意することにより、同様に熱電対1を反応管203の外側に固定することができる。この場合(ウエハ処理枚数が100枚以上と多い場合)、ウエハ200の昇温速度は遅くなるため断熱材3の厚みや材質を変えるなどして断熱効果を調整し、熱電対(制御用TC)1の昇温速度を調整する必要がある。ヒータ207の昇温特性が低くかったり、二重管構造など処理室201の加熱物が多いほど断熱材3を厚くしたり、断熱効果の高い材質にしたりすることで熱電対(制御用TC)1の昇温速度を遅くする必要がある。
【0153】
従来のように、熱電対(制御用TC)1、例えば、二重反応管構造のインナーチューブとアウターチューブの間に熱電対を配した場合、熱電対を保護する為の石英管にも同様に成膜されるため、膜厚で石英保護管が割れる危険がある。また、擦れなどでパーティクルの原因になることが懸念される。インナーチューブと熱電対の間に断熱材を設ける場合、本実施形態における熱電対(制御用TC)1同様に、熱電対の挙動をウエハ温度挙動に合わせることが可能であるが、処理室201に設置する為、プロセスに影響がなくウエハ温度の挙動に合うような断熱材3を選定する必要があり、コスト面UPの要因となる。
【0154】
本実施の形態(他の実施形態)によれば、上述した第1の実施形態乃至第4実施形態における効果、及び以下の(1)~(3)に記載の効果のうち少なくとも一つ以上の効果を奏する。
【0155】
(1) 本実施の形態(他の実施形態)によれば、反応管203が大きいタイプ(ウエハ処理枚数が100枚以上)であっても、第1の実施形態における熱電対(制御用TC)1を (反応管203に該当する) アウターチューブの外側に設けることができる。
【0156】
(2) 本実施の形態(他の実施形態)によれば、第1測温部(又は第2測温部)は、断熱材を介して保護部材で覆うよう構成されているので、断熱材により断熱効果を調整することができる。このような構成であるので、ヒータの影響を抑えつつウエハの昇温速度に熱電対で検出される温度の特性を合わせることができる。
【0157】
(3)本実施の形態(他の実施形態)によれば、断熱材の厚さ調整が必要な場合でも、保護部材を加工するという簡単な加工で済み、加工した保護部材を、反応管203に取り付けるだけでよく、コストがあまりかけずに、断熱効果を調整することができる。
【0158】
本実施形態では、基板処理装置の一種である縦型の半導体製造装置に関して詳述したが、これに限定されることは無く、例えば、横型の半導体製造装置についても本発明は適用できる。
【0159】
上述の実施形態では、第1処理ガスと第2処理ガスとを交互に供給する場合について説明したが、同時に供給した場合においても本発明は適用できる。
【0160】
例えば、上述の実施形態では、原料ガスとしてHCDSガスを用いる例について説明した。しかしながら、本発明は、このような態様に限定されない。例えば、原料ガスとしては、HCDSガスの他、モノクロロシラン(SiHCl、略称:MCS)ガス、ジクロロシラン(SiHCl、略称:DCS)ガス、トリクロロシラン(SiHCl、略称:TCS)ガス、テトラクロロシランすなわちシリコンテトラクロライド(SiCl、略称:STC)ガス、オクタクロロトリシラン(SiCl、略称:OCTS)ガス等の無機系ハロシラン原料ガスや、トリスジメチルアミノシラン(Si[N(CHH、略称:3DMAS)ガス、テトラキスジメチルアミノシラン(Si[N(CH、略称:4DMAS)ガス、ビスジエチルアミノシラン(Si[N(C、略称:BDEAS)ガス、ビスターシャリブチルアミノシラン(SiH[NH(C)]、略称:BTBAS)ガス等のハロゲン基非含有のアミノ系(アミン系)シラン原料ガスを用いることができる。また、原料ガスとしては、モノシラン(SiH、略称:MS)ガス、ジシラン(Si、略称:DS)ガス、トリシラン(Si、略称:TS)ガス等のハロゲン基非含有の無機系シラン原料ガスを用いることができる。
【0161】
また、例えば、上述の実施形態では、反応ガスとしてNHガスを用いる例について説明した。しかしながら、本発明は、このような態様に限定されない。例えば、反応ガスとしては、NHガスの他、ジアゼン(N)ガス、ヒドラジン(N)ガス、Nガス等の窒化水素系ガスや、これらの化合物を含むガス等を用いることができる。また、反応ガスとしては、トリエチルアミン((CN、略称:TEA)ガス、ジエチルアミン((CNH、略称:DEA)ガス、モノエチルアミン(CNH、略称:MEA)ガス等のエチルアミン系ガスや、トリメチルアミン((CHN、略称:TMA)ガス、ジメチルアミン((CHNH、略称:DMA)ガス、モノメチルアミン(CHNH、略称:MMA)ガス等のメチルアミン系ガス等を用いることができる。また、反応ガスとしては、トリメチルヒドラジン((CH(CH)H、略称:TMH)ガス等の有機ヒドラジン系ガス等を用いることができる。
【0162】
また、例えば、上述の実施形態では、原料ガスとしてHCDSガスを用い、反応ガスとしてNHガスのような窒素(N)含有ガス(窒化ガス)を用い、SiN膜を形成する例について説明した。しかしながら、本発明は、このような態様に限定されない。例えば、これらの他、もしくは、これらに加え、酸素(O)ガス等の酸素(O)含有ガス(酸化ガス)、プロピレン(C)ガス等の炭素(C)含有ガス、三塩化硼素(BCl)ガス等の硼素(B)含有ガス等を用い、SiO膜、SiON膜、SiOCN膜、SiOC膜、SiCN膜、SiBN膜、SiBCN膜等を形成することができる。なお、各ガスを流す順番は適宜変更することができる。これらの成膜を行う場合においても、上述の実施形態と同様な処理条件にて成膜を行うことができ、上述の実施形態と同様の効果が得られる。
【0163】
また、例えば、上述の実施形態では、SiN膜等のシリコン系絶縁膜を形成する例について説明した。しかしながら、本発明は、このような態様に限定されない。例えば、本発明は、基板上に、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)等の金属元素を含む膜、すなわち、金属系膜を形成する場合においても、好適に適用可能である。
【0164】
なお、各ガスを流す順番は適宜変更することができる。これらの成膜を行う場合においても、上述の実施形態と同様な処理条件にて成膜を行うことができ、上述の実施形態と同様の効果が得られる。
【0165】
すなわち、本発明は、半導体元素や金属元素等の所定元素を含む膜を形成する場合に好適に適用することができる。
【0166】
また、上述の実施形態では、基板上に膜を堆積させる例について説明した。しかしながら、本発明は、このような態様に限定されない。例えば、基板や基板上に形成された膜等に対して、酸化処理、拡散処理、アニール処理、エッチング処理等の処理を行う場合にも、好適に適用可能である。また、上述の実施形態や変形例は、適宜組み合わせて用いることができる。このときの処理条件は、例えば上述の実施形態や変形例と同様な処理条件とすることができる。
【0167】
以上、本発明の実施の形態を具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0168】
<本発明の好ましい態様>
以下、本発明の好ましい態様について付記する。
【0169】
(付記1)
本発明の一態様によれば、
反応管内の温度を測定する測温部と、前記測温部を構成する素線が内部に設けられる本体部と、
前記本体部の少なくとも前記測温部の近傍に設けられる緩衝部と、を備え、
前記緩衝部を介して前記反応管と接触した状態で、前記反応管の外側に固定されるよう構成されている熱電対が提供される。
【0170】
(付記2)
好ましくは、付記1記載の熱電対であって、
更に、前記緩衝部は、前記本体部と前記保護管の境界に設けられ、
前記緩衝部の外径は、隣接する前記本体部及び前記保護管の外径よりも大きく構成されている。
【0171】
(付記3)
好ましくは、付記1記載の熱電対であって、
更に、下部で前記本体部は、基板処理領域に対向する位置よりも下方に前記素線を保護する保護部を設け、
前記保護部は、前記本体部と接着される一端側の外径が、他端側の外径よりも小さくなるよう構成されている。
【0172】
(付記4)
好ましくは、付記1記載の熱電対であって、
更に、前記反応管の下部に設けられた炉口部には、石英製の固定部材が設けられ、
前記熱電対は、前記固定部材を介して前記保護部が前記炉口部に固定されるよう構成される。
【0173】
(付記5)
本発明の別の一態様によれば、
複数枚の基板を反応管に収容し、処理する基板処理装置であって、
前記反応管内を加熱する加熱部と、前記反応管内の温度を測定する測温部と、前記測温部を構成する素線が内部に設けられる本体部と、前記本体部の少なくとも前記測温部の近傍に設けられる緩衝部と、前記加熱部と該加熱部に対向する前記測温部との間に少なくとも固定される保護部材と、前記保護部材が前記反応管に固定されるときに、前記反応管と前記保護部材との間に挟み込まれる前記緩衝部を介して前記反応管と接触した状態で前記反応管の外側に固定されるよう構成されている熱電対(温度検出部)と、を備えた基板処理装置が提供される。
【0174】
(付記6)
前記温度検出部は、前記反応管内の温度を測定する測温部と、前記測温部を構成する素線が内部に設けられる本体部と、前記温度検出部の下部で前記本体部に接続され、前記素線を保護する保護部と、前記素線に接続され、前記測温部で測定される温度を取得する取得部と、を有するよう構成される。
【0175】
(付記7)
好ましくは、付記5記載の基板処理装置であって、
更に、前記基板を水平状態で多段に保持する基板保持部材を有し、
前記保護部材は、前記基板保持部材で製品基板を保持する領域である基板処理領域を少なくとも覆うように設けられ、
更に、前記加熱部は、複数の独立した加熱する加熱領域(Uゾーン、CUゾーン、CLゾーン、Lゾーン)を有し、
前記カバーは、前記反応管に沿って少なくとも一つの加熱領域(CUゾーン、CLゾーン)を覆うように設けられる。
【0176】
(付記8)
好ましくは、付記5記載の基板処理装置であって、
更に、前記反応管の下部に設けられた炉口部には、石英製の固定部材が設けられ、
前記熱電対は、前記固定部材を介して前記保護部が前記炉口部に固定されるよう構成される。
【0177】
(付記9)
好ましくは、付記5または付記7に記載の基板処理装置であって、
更に、前記加熱部は、複数の独立した加熱する加熱領域(Uゾーン、CUゾーン、CLゾーン、Lゾーン)を有し、
前記測温部は、前記加熱領域の数以上の数が設けられ、
前記熱電対で検出される温度に基づき、少なくとも前記加熱部を制御して前記反応炉内の温度を所定の温度に保持されるよう制御する制御部を有するよう構成される。
【0178】
(付記10)
好ましくは、付記5記載の基板処理装置であって、
更に、前記反応管内に処理ガスを供給する処理ガス供給系と、前記反応管内の雰囲気を排気する排気系と、を有し、
前記反応管は、上端に閉塞部を有し、下端に開口部を有する円筒部と、
前記円筒部の一側壁の外側に形成され、前記処理ガス供給系が接続されたガス供給エリアと、
前記ガス供給エリアと対向する前記円筒部の他側壁の外側に形成され、前記排気系が接続されたガス排気エリアと、を有するよう構成される。
【0179】
(付記11)
本発明の別の一態様によれば、
反応管天井に設けられる第1本体部と、反応管の側面に設けられる第2本体部と、前記第1本体部と前記第2本体部を接続する接続部と、を備えた熱電対であって、
前記第1本体部は、
前記反応管天井の温度を測定する第1測温部と、を有し、
前記第1測温部が前記反応管天井の中心位置に固定されるよう構成されている熱電対が提供される。
【0180】
(付記12)
好ましくは、付記11記載の熱電対であって、
前記第2本体部及び前記接続部は、
少なくとも前記第1測温部を構成する素線を内包するよう構成されている。
【0181】
(付記13)
好ましくは、付記11記載の熱電対であって、
前記第2本体部は、
前記反応管の側面の温度を検出する第2測温部と、前記第2測温部の近傍に緩衝部が少なくとも設けられ、
前記緩衝部を介して前記反応管と前記第2本体部が接触した状態で、前記第2測温部は前記反応管の外側の近接した位置に固定されるよう構成されているが提供される。
【0182】
(付記14)
本発明のさらに他の一態様によれば、
複数枚の基板を保持する基板保持部材を反応管に収容し、処理する基板処理装置であって、
前記反応管内の温度を測定する第1測温部を有し前記反応管の天井部に設けられる第1本体部と、反応管の側面に設けられる第2本体部と、前記第1本体部と前記第2本体部を接続する接続部と、を備えた熱電対と、
前記反応管内を加熱する加熱部と、
前記加熱部と該加熱部に対向する前記第1本体部との間に設けられ、前記第1本体部を貫通する空間部を有し、前記反応管の天井部に固定される天井カバーと、を備え、
前記第1本体部に設けられた突部を前記天井カバーに設けられた開口部に装填することにより、前記第1測温部が前記天井カバーの中心位置に固定されるよう構成されている基板処理装置が提供される。
【0183】
(付記15)
好ましくは、付記14記載の基板処理装置であって、
更に、前記加熱部は、複数の独立した加熱する加熱領域(Uゾーン、ULゾーン、CLゾーン、Lゾーン)を有し、
前記第1測温部は、前記Uゾーンに対向する位置に配置された基板の温度を検出するように構成されている。
【0184】
(付記16)
好ましくは、付記15記載の基板処理装置であって、
更に、前記加熱部と該加熱部に対向する前記反応管との間に設けられ、前記第2本体部を貫通する空間部を有する全体カバーを備え、
前記第2本体部は、前記全体カバーが前記反応管に固定されるときに、前記反応管の外側に固定されるよう構成されている。
【0185】
(付記17)
好ましくは、付記16記載の基板処理装置であって、
前記第2本体部は、前記反応管と前記全体カバーに挟まれるよう固定される際、前記反応管に設けられた固定部材に前記全体カバーを引っ掛けるよう構成されている。
【0186】
(付記18)
好ましくは、付記15記載の基板処理装置であって、
更に、前記加熱部と該加熱部に対向する前記反応管との間に設けられ、前記第2本体部を貫通する空間部を有する全体カバーを備え、
前記第2本体部は、前記全体カバーにより保護される第2測温部と、前記第2測温部の近傍に設けられる緩衝部と、を有し、
前記全体カバーが前記反応管に固定されるときに、前記反応管との間に挟み込まれる前記緩衝部を介して前記反応管と接触した状態で、前記第2測温部は、前記反応管の外側の近接した位置に固定されるよう構成されている。
【0187】
(付記19)
本発明の更に他の一態様によれば、
複数枚の基板を保持する基板保持部材を反応管に収容し、処理する基板処理装置であって、
複数の独立した加熱する加熱領域(Uゾーン、ULゾーン、CLゾーン、Lゾーン)に対向する位置に配置された前記基板を加熱する第1加熱部と、
反応管の天井部に設けられ、前記Uゾーンに対向する位置に配置された前記基板を加熱する第2加熱部と、
反応管の側壁に設けられ、前記第1加熱部に対向する位置の温度を検出する第1熱電対と、
反応管の天井部に設けられる第1本体部と、反応管の側面に設けられる第2本体部と、
前記第1本体部と前記第2本体部を接続する接続部と、を備えた第2熱電対と、
前記反応管の側壁に前記第1熱電対及び前記第2本体部を固定する全体カバーと、
前記反応管の天井部に前記第1本体部を固定する天井カバーと、
前記第1熱電対及び前記第2熱電対で検出される温度に基づき、少なくとも前記第1加熱部と前記第2加熱部を制御して前記反応管内の温度を所定の温度に保持するよう制御する制御部と、
を備えた基板処理装置が提供される。
【0188】
(付記20)
好ましくは、付記19記載の基板処理装置であって、
前記第1本体部は、
前記反応管内の温度を測定する第1測温部を有し、
前記第1本体部に設けられた突部を前記天井カバーに設けられた開口部に装填することにより、前記第1測温部が前記反応管の天井部の中心位置に固定され、前記第2加熱部により加熱される前記基板の中心温度を測定するよう構成されている。
【0189】
(付記21)
好ましくは、付記19記載の基板処理装置であって、
前記第1本体部は、前記反応管の天井部に、前記反応管内の温度を測定する第1測温部と、
前記第1熱電対は、前記加熱領域(Uゾーン、ULゾーン、CLゾーン、Lゾーン)に対向する位置に前記反応管内の温度を測定する第2測温部をそれぞれ有し、
前記第1測温部及び前記第2測温部で検出される温度に基づき、少なくとも前記第1加熱部と前記第2加熱部を制御して前記反応管内の温度を所定の温度に保持するよう構成されている。
【0190】
(付記22)
好ましくは、付記19記載の基板処理装置であって、
前記第1本体部は、前記反応管の天井部に、前記反応管内の温度を測定する第1測温部と、
前記第1熱電対は、少なくとも前記Uゾーンに対向する位置に、前記反応管内の温度を測定する第2測温部を有し、
前記第1測温部及び前記第2測温部で検出される温度に基づき、少なくとも前記第1加熱部及び前記第2加熱部を制御して前記Uゾーンに配置される前記基板の温度を所定の温度に保持するよう構成されている。
【0191】
(付記23)
好ましくは、付記22記載の基板処理装置であって、
前記第1測温部は、前記Uゾーンに配置される前記基板の中心の温度を検出し、
前記第2測温部は、前記Uゾーンに配置される前記基板の端部から温度を検出し、
少なくとも前記第1測温部及び前記第2測温部で検出された温度差が所定範囲になるよう前記第1加熱部及び前記第2加熱部を制御して前記Uゾーンに配置される前記基板の温度を所定温度に保持するよう構成されている。
【0192】
(付記24)
好ましくは、付記23記載の基板処理装置であって、
前記Uゾーンに配置される基板のうち、前記基板保持部材の最上端部に保持された基板の温度を所定温度に保持するよう構成されている。
【0193】
(付記25)
好ましくは、付記22記載の基板処理装置であって、
前記第1測温部は、前記Uゾーンに配置される前記基板の中心の温度を検出し、
前記第2測温部は、前記加熱領域に配置される前記基板の端部から温度を検出し、
少なくとも前記第1測温部及び前記第2測温部のうちUゾーンに設けられた測温部で検出された温度差が所定範囲になるよう前記第1加熱部及び前記第2加熱部を制御して前記加熱領域に配置される前記基板の温度を所定温度に保持するよう構成されている。
【0194】
(付記26)
好ましくは、付記19記載の基板処理装置であって、
前記第1熱電対及び前記第2本体部が前記反応管に固定される際、前記反応管に設けられた固定部材に前記全体カバーを引っ掛けるよう構成されている。
【0195】
(付記27)
本発明のさらに他の一態様によれば、
複数枚の基板を保持する基板保持部材を反応管に収容し、処理する基板処理装置であって、
前記反応管内を加熱する加熱部と、前記反応管内の温度を検出する温度検出部(熱電対)と、前記加熱部と該加熱部に対向する測温部との間に設けられるカバーと、を備え、
前記カバーが、前記熱電対を取り付けた状態で前記反応管に固定されることにより、前記熱電対を前記反応管に近接した状態で固定されるよう構成されている基板処理装置が提供される。
【0196】
(付記28)
好ましくは、付記27記載の基板処理装置であって、
前記熱電対が前記反応管と前記カバーに挟まれるように固定される際、前記測温部は、前記カバーの中心に覆われるよう構成される。
【0197】
(付記29)
好ましくは、付記28記載の基板処理装置であって、
前記カバーの少なくとも下部は、前記本体部(または前記熱電対)との間に断熱材が設けられるよう構成される。
【0198】
(付記30)
本発明の別の一態様によれば、
複数枚の基板を基板保持部材に保持させる工程と、
前記基板保持部材を反応管に装入する工程と、
反応管内の温度を測定する測温部と、前記測温部を構成する素線が内部に設けられる本体部と、前記本体部の少なくとも前記測温部の近傍に設けられる緩衝部と、を備え、前記緩衝部を介して前記反応管と接触した状態で前記反応管の外側に固定されるよう構成されている熱電対により検出される温度に基づいて、前記反応管内の温度を所定の温度に維持するよう前記加熱部を制御しつつ、前記基板を処理する工程と、
を有する半導体装置の製造方法が提供される。
【0199】
(付記31)
本発明のさらに他の一態様によれば、
複数枚の基板を基板保持部材に保持させる手順と、
前記基板保持部材を反応管に装入する手順と、
反応管内の温度を測定する測温部と、前記測温部を構成する素線が内部に設けられる本体部と、前記本体部の少なくとも前記測温部の近傍に設けられる緩衝部と、を備え、前記緩衝部を介して前記反応管と接触した状態で前記反応管の外側に固定されるよう構成されている熱電対により検出される温度に基づいて、前記反応管内の温度を所定の温度に維持するよう前記加熱部を制御しつつ、前記基板を処理する手順と、
をコンピュータに実行させるプログラム、または、該プログラムを記録したコンピュータ
読み取り可能な記録媒体が提供される。
【符号の説明】
【0200】
1 熱電対(制御用TC)
2 カバー(保護部材)
11 熱電対先端上ゾーン(測温部)
12 絶縁管(本体部)
13 保護管(保護部)
16 熱電対先端下ゾーン(測温部)
18 スペーサー(緩衝部)
21 温測点(測温部)
200 ウエハ(基板)
203 反応管
207 ヒータ(加熱部)
図1
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